JP4726275B2 - 空気入りラジアルタイヤ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は空気入りラジアルタイヤ、さらに詳しくは、操縦安定性と、振動乗心地性及び低騒音性が高いレベルでバランスしていると共に、タイヤサイドの良好な外観性を有する空気入りラジアルタイヤに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年の車輛の高級化、高品質化に伴い、特に乗用車においては車輛の低振動化、乗心地性の改良が急激に進みつつある中、タイヤとしての要求特性にも低騒音、高乗心地化が求められている。
すなわち、乗心地の改良と共に、特に車内に生じるノイズの低減が望まれており、かかるノイズの一つとして、走行中のタイヤが路面の凹凸をひろい、その振動が伝達されて車内の空気を振動させることに基づいて発生するいわゆるロードノイズの改良要求は極めて高くなってきている。
ところで、空気入りラジアルタイヤ、中でも乗用車や小型トラック用空気入りラジアルタイヤでは、操作安定性の向上及びタイヤサイドの外観性改善(タイヤのカーカスプライコードのジョイント部に起因してその部分が凹になり、外観上凹凸に見えるタイヤサイドの外観性改善)のために、一般にカーカスプライに高モジュラスの材料が用いられている。
しかしながら、高モジュラスの材料をカーカスプライに用いた場合、車輛の振動が生じやすい上、タイヤ走行時に発生する騒音も大きくなるなどの問題があった。この問題を解決するために、例えば高モジュラスの有機繊維材料、具体的にはポリエチレンナフタレート繊維、アラミド繊維、ポリエチレンテレフタレート繊維などを熱処理加工することが考えられるが、材料本来の性質から、それにも限度がある。
また、低モジュラスコードを太糸化して、見かけ上のカーカスプライモジュラスを上げる方法、タイヤサイド部分のプライコードのみ2層化する方法として、モノプライの折り返し部分をタイヤクラウン部ベルトの下までもっていく、いわゆるエンベロープ構造や、タイヤサイド部のみに追加補強材、すなわちインサートプライを配設する方法なども考えられるが、現有技術の範囲では、タイヤサイドの外観を良好なものとし、かつ操縦安定性と、振動乗心地性及び低騒音性を高いレベルでバランスさせることは、困難である。
【0003】
なお、ナイロン繊維を用いた低モジュラスのカーカスプライは、振動乗心地性の改善や低騒音化については有利であるが、ユニフォミティー、操縦安定性及びフラットスポット性(車を走行させたのち止めて置き、1日間程度放置後、再走行する際のタイヤ接地面部分における一時的変形に起因する振動)などの面で不利であることから、現在、その使用が抑制されてきている。
一方、カーカスプライの折り返し端が、ベルト下に位置するタイヤにおいて、この端部周辺にゴムシートを配設し、端部の剥離耐久性を上げることにより、タイヤの走行耐久性を向上させる技術が開示されている(特開平10−100610号公報)。しかしながら、この場合においても、乗心地性や低騒音性の改善は不充分である。また、モノプライカーカスタイヤのサイド部の外側に、ベルト下とビードの間をジグザグ状に連続して往復させてなる補強層を配設して、操縦安定性と荷重性を改良する目的のタイヤが開示されている(特開平10−236106号公報)。しかしながら、このタイヤにおいては、サイドウォール部の剛性が高くなりすぎ、乗心地性や低騒音性が悪化するおそれがある。
このように、操縦安定性と、振動乗心地性及び低騒音性が高いレベルでバランスし、しかもタイヤサイドの外観性が良好な空気入りラジアルタイヤは、これまで見出されていないのが実状であり、その開発が望まれていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような状況下で、操縦安定性と、振動乗心地性及び低騒音性が高いレベルでバランスすると共に、タイヤサイドの良好な外観性を有する空気入りラジアルタイヤを提供することを目的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記の優れた性質を有する空気入りラジアルタイヤを開発すべく鋭意研究を重ねた結果、モノプライのカーカスタイヤにおいて、サイドウォール部が有機繊維コードとゴムとの複合体からなる前記カーカス及びインサート補強層の少なくとも2層で補強されており、有機繊維コードとして、それぞれ特定の性状のものを用いることにより、その目的を達成しうることを見出した。本発明は、かかる知見に基づいて完成したものである。
【0006】
すなわち、本発明は、一対のビードコア間において、両ビード部、両サイドウォール部及びクラウン部をまたいでラジアル方向に延びるゴム被覆コードの1プライによるカーカス本体と、該プライを各ビードコアのまわりにそれぞれタイヤの内側から外側へ巻返してタイヤ径方向の外側に延ばした折返し部とからなるカーカスを骨格とし、このカーカスのクラウン部の径方向外側に少なくとも2層のベルトを配置した空気入りラジアルタイヤであって、上記サイドウォール部が前記プライとその外側に位置するインサート補強層からなる少なくとも2層の有機繊維コードとゴムとの複合体で補強されており、かつ(1)内側層の有機繊維プライコードが、コードのトータル繊度400〜2000デシテックス(dtex)、タイヤから取り出したコードの2.0cN/dtex時の中間伸び5.0〜12.0%及びタイヤクラウン部での打込み数20〜40本/50mmであると共に、(2)外側層のインサート補強層は、有機繊維コードのトータル繊度2000〜6700dtex、タイヤから取り出したコードの2.0cN/dtex時の中間伸び0.9〜7.0%であり、かつビード上の位置からベルト端よりタイヤトレッドセンター側の位置まで配設された構造を有することを特徴とする空気入りラジアルタイヤを提供するものである。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明の空気入りラジアルタイヤは、ゴム被覆コードの1プライによるカーカス本体と、該プライを一対のビードコアのまわりにそれぞれタイヤの内側から外側へ巻返してタイヤ径方向の外側に延ばした折返し部とからなるカーカスを骨格とし、このカーカスのクラウン部の径方向外側に少なくとも2層のベルトが配置されており、かつ両サイドウォール部が有機繊維コード及びゴムによる複合体の少なくとも2層で補強された構造を有している。
上記ゴム被覆コードの1プライによるカーカス本体は、一対のビードコア間において、両ビード部、両サイドウォール部及びクラウン部をまたいでラジアル方向に延びている。
【0008】
本発明の空気入りラジアルタイヤは、乗用車用や小型トラック用などとして、操縦安定性、振動乗心地性及び低騒音性を高いレベルでバランスさせたものであり、これはトレッドベルト下のカーカスプライの特性を可能な限り、低モジュラス化して振動乗心地性及び低騒音性を向上させると共に、タイヤサイド部のカーカスプライの特性を可能な限り、高モジュラス化して操縦安定性を、振動乗心地性や低騒音性を損なうことなく向上させることにより、達せられる。具体的には、カーカスプライに用いられる内側層の有機繊維プライコード及びサイドウォール部に設けられる外側層の有機繊維インサート補強層を、下記のように規定することにより、達せられる。
まず、上記内側層の有機繊維プライコードについて説明する。
【0009】
この有機繊維プライコードにおける有機繊維材料としては、低モジュラスのもの、例えばポリC2 〜C4 アルキレンテレフタレート繊維、さらには6,6−ナイロン繊維及び4,6−ナイロン繊維などを好ましく挙げることができる。上記ポリC2 〜C4 アルキレンテレフタレート繊維の具体例としては、ポリエチレンテレフタレート繊維、ポリプロピレンテレフタレート繊維及びポリブチレンテレフタレート繊維が挙げられる。これらの繊維は単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明においては、該有機繊維プライコードとして、コードのトータル繊度が400〜2000デシテックス(dtex)の範囲にある細いものが用いられる。なお、通常タイヤに用いられるコードの繊度は約2200dtex以上である。該繊度が400dtex未満ではタイヤ使用時の内圧により徐々にタイヤ径が大きくなって、タイヤの耐久性が不充分となり、一方2000dtexを超えるとトレッドベルト下のカーカスプライのモジュラスが充分に低くならず振動乗心地性及び低騒音性の向上効果が発揮されない。タイヤの耐久性、振動乗心地性及び低騒音性などを考慮すると、この繊度の好ましい範囲は、600〜1800dtexである。
【0010】
また、タイヤから取り出したコードの2.0cN/dtex時の中間伸びは、5.0〜12.0%の範囲にあることが必要である。この中間伸びが5.0%未満ではモジュラスが高すぎて振動乗心地性及び低騒音性の向上効果が充分に発揮されず、一方12.0%を超えるとタイヤ使用時の内圧により徐々にタイヤ径が大きくなって、タイヤの耐久性が不充分となる。振動乗心地性、低騒音性及び耐久性などを考慮すると、この中間伸びの好ましい範囲は、6.0〜11.0%である。このような中間伸びは、例えば前記有機繊維に熱処理加工を施し、低モジュラス化することにより、得ることができる。
【0011】
さらに、該有機繊維プライコードは、タイヤクラウン部での打込み数が20〜40本/50mmの範囲にあることが必要である。この打込み数が20本/50mm未満ではタイヤの耐久性に劣り、一方40本/50mmを超えると振動乗心地性及び低騒音性が不充分となる。タイヤの耐久性、振動乗心地性及び低騒音性などを考慮すると、この打込み数の好ましい範囲は、25〜35本/50mmである。なお、通常のモノプライタイヤでは、打込み数を40本/50mm以下にすると、タイヤの内圧に対する安全率が不足したり、コードとコード間のすき間が大きくなりすぎ、タイヤサイドの凹凸が激しくなり、外観不良が生じる。本発明においては、打込み数を上記範囲にすることにより、タイヤサイドの外観を損なうことなく、トレッドベルト下のプライコードモジュラスを極端に下げることができ、その結果、振動乗心地性及び低騒音性を大幅に向上させることができる。
【0012】
次に、外側層の有機繊維インサート補強層について説明する。
この有機繊維インサート補強層は、ビード上の位置からベルト端よりタイヤトレッドセンター側まで配設された構造を有しており、タイヤに耐久性及び操縦安定性を付与する効果を有している。
この有機インサート補強層における有機繊維材料としては、高モジュラスのもの、例えばポリエチレンテレフタレート繊維やポリエチレンナフタレート繊維、さらにはレーヨン繊維、アラミド繊維、ポリオキシケトン繊維及びポリp−フェニレンベンゾビスオキサゾール繊維などを好ましく挙げることができる。これらの繊維は単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0013】
本発明においては、この有機インサート補強層は、コードのトータル繊度が2000〜6700dtexの範囲にあることが必要である。この繊度が2000dtex未満では操縦安定性の向上効果が充分に発揮されず、一方6700dtexを超えるとコードの断面積が大きくなりすぎ、補強層の端から亀裂が発生し、タイヤの耐久性が悪化する。操縦安定性及びタイヤの耐久性などを考慮すると、この繊度の好ましい範囲は、2200〜4500dtexである。
また、タイヤから取り出したコードの2.0cN/dtex時の中間伸びは0.9〜7.0%の範囲である。前記有機繊維を熱処理加工することにより、さらに高モジュラス化することができるが、該中間伸びが0.9%未満のものは、得られにくい。一方、この中間伸びが7.0%を超えると操縦安定性の向上効果が発揮されにくい。高モジュラスな有機繊維の製造の容易さ及び操縦安定性などを考慮すると、この中間伸びの好ましい範囲は1.0〜6.0%である。
また、タイヤサイド部(ビード〜タイヤクラウン部の中間位置)での打込み数は、40〜70本/50mmの範囲にあることが好ましい。この打込み数が40本/50mm未満では操縦安定性の向上効果が充分に発揮されないおそれがあり、一方70本/50mmを超えるとコード〜コード間が狭くなりすぎて製品不良が発生する原因となる。操縦安定性及び製品不良の発生防止などの面から、この打込み数のより好ましい範囲は、45〜65本/50mmである。
【0014】
本発明において、カーカスプライコードとして用いられる前記内側層の有機繊維プライコード及びタイヤサイド部に設けられる外側層の有機繊維インサート補強層用のコードは、いずれも有機繊維コードとゴムによる複合体であって、例えば以下に示す方法によって作製することができる。
まず、内側層の有機繊維プライコードの作製方法について説明する。
前述の低モジュラスな有機繊維原糸複数本を用い、公知の方法に従って、トータル繊度が400〜2000dtexの範囲にある撚りコードを作製したのち、タイヤトレッドクラウン部での打込み数が20〜40本/50mmの範囲となるように、公知の方法に従いタイヤコード織物を作製する。
【0015】
次いで、このタイヤコード織物に、通常のディッピング熱処理機を用いて、接着剤付与処理を施したのち、適当な条件で乾燥処理し、さらに熱処理を用い、所望の物性を有する接着剤付与・熱処理タイヤコード織物を得る。この際、接着剤付与処理方法としては、例えば(1)トリアリルシアヌレートとレゾルシンとホルマリンとアンモニア水から生成する通常N3と呼称される液とRFL液の混合液で処理する一浴型の処理方法、(2)p−クロルフェノールとホルマリンとから生成する2,6−ビス(2′,4′−ジヒドロキシフェニルメチル)−4−クロルフェノールを主成分とする反応生成物とレゾルシンとホルマリンとアンモニア水とからなる通常PEXULと呼称される液をRFL液と混合した液で処理する一浴型の処理方法、(3)特開昭60−72972号公報で開示さているように多価フェノールポリサルファイドと、レゾルシン及びホルマリンの混合物とをアルカリ下で熟成した液とRFL液とを混合した液で処理する一浴型の処理方法、あるいは、(4)タイヤコード織物をエポキシ化合物又はブロックイソシアネート化合物を含む第一液で処理した後、レゾルシンとホルマリンと各種ラテックスと苛性ソーダ及び/又はアンモニア水を含む第二液(RFL液)で処理する二浴型の処理方法などを用いることができる。
次に、このようにして得られた接着剤付与・熱処理タイヤコード織物を、通常の加工方法に従い、ゴムをトッピングしたのち、タイヤサイズに合わせて、所定の幅に裁断することにより、カーカスプライに用いられる内側層の有機繊維プライコードを作製することができる。
【0016】
次に、外側層の有機繊維インサート補強層用のコードの作製方法について説明する。
前述の高モジュラスな有機繊維原糸複数本を用い、公知の方法に従って、トータル繊度が2000〜6700dtexの範囲にある撚りコードを作製したのち、タイヤサイド部での打込み数が、好ましくは40〜70本/50mmの範囲となるように、公知の方法に従い、タイヤコード織物を作製する。
次いで、このタイヤコード織物に、前記内側層の有機繊維プライコードの場合と同様にして、接着剤付与処理、乾燥処理、熱処理及びゴムトッピング処理を施したのち、裁断することにより、外側層の有機繊維インサート補強層用のコードを作製することができる。
図1及び図2は、それぞれ本発明の空気入りラジアルタイヤの一例の断面図及び一般の空気入りラジアルタイヤの一例の断面図である。
【0017】
図1で示されるように、本発明の空気入りラジアルタイヤは、一対のビードコア8,8′間において、両ビード部1,1′、両サイドウォール部3,3′及びクラウン部4をまたいで延びる1プライによるカーカス本体2と、該プライを各ビードコア8,8′のまわりに巻返してなる折返し部5,5′とからなるカーカスを骨格とし、該カーカスのクラウン部4の外側に2層のベルト6を配置すると共に、両サイドウォール部3,3′にインサート補強層7,7′が設けられた構造を有している。
また、図2で示される一般の空気入りラジアルタイヤは、上記図1において、インサート補強層7,7′が設けられていない構造を有するものである。
このような本発明の空気入りラジアルタイヤは、操縦安定性、乗心地性及び低騒音性が高いレベルでバランスしている特徴を有している。
【0018】
【実施例】
次に、本発明を実施例により、さらに詳細に説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定されるものではない。
なお、実施例及び比較例における各種の測定及び試験方法は、次のとおりである。
(1)中間伸びの測定
タイヤのカーカス又はインサート補強層から取り出したコードの周囲に付着している余分のゴムをはさみにより注意深くそぎ落したのち、JIS L 1017に従いオートグラフにて、室温(24±2℃)で引張り、2.0cN/dtex荷重時の伸び(%)を求めた。なお、コードの太さdtex数表示は、撚糸前の原糸の繊度を用いた。この理由は、撚糸の接着剤処理、熱処理、タイヤ加硫時の収縮などによるコード長さの変化により生じる煩雑化を避けるためである。
例えば1100dtex2本撚りコードでは、トータル繊度は2200dtexとした。したがって、実施例にある465dtex/2の6,6−ナイロンでは、トータル繊度は930dtexとなる。
【0019】
(2)タイヤ走行騒音の測定
JASO(自動車技術会)C606−81に従い、タイヤ単体台上試験を実施した。このJASO C606−81による試験の概要を以下に示す。
この試験において、代用路面として、表面が平坦で摩擦係数の高い粗粒面をもつ直径3mのドラムとタイヤ負荷装置を備えた試験機を使用した。この試験機及び外部からの騒音ができるだけ小さくなるように防音を施した試験室で実施した。
タイヤ荷重及び空気圧は、JIS D 4202に規定される最大の荷重及びこれに対応する空気圧とした。リムもJIS D 4202に定められた標準リムとした。そして、タイヤから1m離れた位置にマイクロホンを設置し、予備走行を60km/時で30分間行ったのち、内圧、荷重を再調整し、速度40km/時、60km/時、80km/時、100km/時における騒音レベル(dB)を測定し、全速度の平均騒音レベル〔dB(A)〕を算出した。
【0020】
(3)振動乗心地性試験
振動乗心地性試験は、外径2000mmのドラム上の1ヶ所に鉄製突起(上底19mm、下底38mm、高さ9.5mm)を固定し、内圧を166.7kPaに調整した試験タイヤに荷重を3920Nで負荷し、80km/時の速度で20分間予備走行させたのち、無負荷状態で内圧166.7kPaに再調整し、速度を20km/時に合わせて、荷重を3920Nに調整し、以後、5km/時毎速度を増加させ、各速度において突起乗越時のタイヤ固定軸荷重変動の平均波形を求め、その波形のピーク最高値と最低値の差(p−p値)を算出した。
タイヤ固定軸における突起乗越時の軸荷重変動方向は、タイヤ進行方向(前後ばね)であり、30〜40km/時の速度域で、いわゆる前後ばね定数は最大となる。したがって、この速度域でのp−p値を算出した。なお、指数化は、比較例2のコントロールタイヤを100として、次式により行った。
指数=100+〔100×{(コントロールタイヤp−p値)−(テストタイヤp−p値)}/(コントロールタイヤp−p値)〕
この指数は、p−p値が小さい方が大きくなるようにしたものであり、指数が大きいほど、乗心地性が良好であることを示す。
【0021】
(4)操縦安定性試験
操縦安定性試験は、各タイヤを標準リムに組み込み、最大負荷能力に対応する空気圧に調整してから、排気量2500ミリリットルクラスの乗用車に装着し、60〜200km/時の速度で走行した際の直進安定性、旋回安定性及びハンドリング性などの項目について、官能試験を行った。なお、評価は、比較例2における評点を基準100とした指数で示した。数値が大きいほど高性能である。
製造例1 実施例1で用いたカーカスプライコードの作製
465dtexの6,6−ナイロン繊維を用い、下撚り55回/10cmをかけ2本を合糸して逆方向の撚り55回/10cmをかけ(下撚り55Z方向,上撚り55S方向)、2本撚りコード(この2本撚りコードを465dtex/2と表示する。以下、他も同様に表示する。)を作製し、タイヤトレッドクラウン部での打込み数が30本/50mmとなるように、通常の方法でスダレ状タイヤコード織物を作製した。
【0022】
このように作製したタイヤコード織物に接着剤を付与し、下記の熱処理加工を施して、所定の物性になるようにした。
<熱処理加工>
通常のディッピング熱処理機を用い、まず接着剤を付与し、110〜130℃で100秒間乾燥処理し、次にヒートセットゾーン及びノルマライジングゾーンの熱処理温度を230℃、処理時間を各ゾーン40秒間とし、ヒットセットゾーンの張力をホットゾーン0.90cN/dtex、ノルマライジングゾーンの張力を0.45cN/dtexとし、2.0cN/dtex時の中間伸び7%のコードとした。
【0023】
このようにして得られた接着剤付与・熱処理タイヤコード織物を、通常の加工方法に従い、ゴムをトッピングし、タイヤサイズに合わせ、所定の幅に裁断して、内側層のカーカスプライコードを作製した。
製造例2 実施例1で用いたインサート補強層用コードの作製
1670dtexのポリエチレンテレフタレートタイヤコード原糸を用い、撚り数39回/10cmZ方向の下撚りをかけ、これを2本合わせて、撚り数39回/10cm逆のS方向の撚りをかけ、2本撚りコード1670dtex/2を作製したのち、タイヤサイド部での打込み数が50本/50mmとなるように、スダレ状タイヤコード織物を作製した。これに接着剤を付与し、下記の熱処理加工を施して、インサート補強層用コードとした。
<熱処理加工>
接着剤を付与し、160〜170℃で乾燥処理したのち、ホットゾーン0.75cN/dtex、ノルマライジングゾーン0.40cN/dtexの張力をかけ、各ゾーン245℃の温度で熱処理して、2.0cN/dtex時の中間伸び3.5%のコードとした。
このようにして得られた接着剤付与・熱処理タイヤコード織物を、製造例1と同様にして、ゴムをトッピングしたのち、裁断し、外側層のインサート補強層用コードを作製した。
【0024】
製造例3 比較例2で用いたカーカスプライコードの作製
1100dtexのポリエチレンテレフタレートタイヤコード原糸を用い、撚り数47回/10cmでZ方向の下撚りをかけ、次いで2本合糸して47回/10cmでS方向の上撚りをかけ、1100dtex/2コードを作製した。これを用い、タイヤトレッドクラウン部での打込み数が50本/50mmとなるようにスダレ状タイヤコード織物を作製した。
次に、製造例2と同様の熱処理条件で、接着剤付与・熱処理加工を施し、2.0cN/dtex時の中間伸び3.8%のタイヤコード織物を作製した。次いで、製造例1と同様にして、ゴムをトッピングしたのち、裁断してカーカスプライコードを作製した。
他の実施例及び比較例で使用したカーカスプライコード、インサート補強層用コードについても、所定の物性になるように、上記製造例と同様にして、打込み本数の調整、熱処理加工条件、張力の調整により作製した。
【0025】
実施例1〜16及び比較例1〜4
第1表に示すカーカスプライコード及びインサート補強層用コード、又はカーカスプライコードのみを用い、2層のベルトを配置してなるタイヤサイズ195/70R14の空気入りラジアルタイヤを、常法に従って製造した。
このタイヤの製造は、加硫条件を175℃×11分、ポストキュアインフレーション条件を内圧250KPa、22分に設定して行った。
また、2層のベルトは、いずれもスチールベルトで、第一層スチールベルトは幅150mm、第二層スチールベルトは幅140mmであり、そのスチールコードは1×3の構造、打込み数は32本/50mmである。第一層の角度は周方向に対して左68度とし、第二層の角度は周方向に対して右68度とした。各タイヤの性能評価結果を第1表に示す。
【0026】
【表1】
Figure 0004726275
【0027】
【表2】
Figure 0004726275
【0028】
【表3】
Figure 0004726275
【0029】
【表4】
Figure 0004726275
【0030】
〔注〕
(1)材質
PET:ポリエチレンテレフタレート
PEN:ポリエチレン2,6−ナフタレート
PPT:ポリプロピレンテレフタレート
アラミド:ケブラー(デュポン社製)
PBO:ポリp−フェニレンベンゾビスオキサゾール
POK:ポリオキシケトン
【0031】
(2)タイヤ構造
1P+補:本発明の構造
1P:モノプライタイヤ
2P:2プライタイヤ
第1表から、実施例1〜16は、タイヤカーカスプライコードを細くし、モジュラスを下げ、さらに打込み数を大幅に下げると共に、耐久性及び操縦安定性の低下を防ぐために、タイヤサイドにインサート補強層を設けることによって、タイヤ走行時の騒音を大幅に改善すると同時に、操縦安定性及び乗心地性も向上し、高度に性能がバランスしていることが分かる。
比較例1は、1プライ+インサート補強構造ではあるが、カーカスプライコードの打込み数が多く、騒音性能を改善できないことが分かる。比較例2及び3は、通常構造の1プライ構造タイヤであり、騒音性能が不充分であることが分かる。さらに、比較例4は、1プライ構造タイヤにおいて、カーカスプライコードの打込み数を大幅に下げた例であるが、補強性が低下することにより、タイヤの耐久性が著しく悪化し、実車走行に供することが不可能であった。
【0032】
【発明の効果】
本発明の空気入りラジアルタイヤは、モノプライのカーカスタイヤであって、カーカスプライに特定性状の有機繊維プライコードを用いると共に、サイドウォール部に特定性状の有機繊維インサート補強層を設けることにより、操縦安定性と、振動乗心地性及び低騒音性を高いレベルでバランスさせ、しかもタイヤサイドの外観を良好なものにする効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の空気入りラジアルタイヤの一例の断面図である。
【図2】 一般の空気入りラジアルタイヤの一例の断面図である。
【符号の説明】
1,1′; ビード部
2; カーカス
3,3′; サイドウォール部
4; カーカスクラウン部
5,5′; プライ折返し部
6; ベルト
7,7′; インサート補強層

Claims (6)

  1. 一対のビードコア間において、両ビード部、両サイドウォール部及びクラウン部をまたいでラジアル方向に延びるゴム被覆コードの1プライによるカーカス本体と、該プライを各ビードコアのまわりにそれぞれタイヤの内側から外側へ巻返してタイヤ径方向の外側に延ばした折返し部とからなるカーカスを骨格とし、このカーカスのクラウン部の径方向外側に少なくとも2層のベルトを配置した空気入りラジアルタイヤであって、上記サイドウォール部が前記プライとその外側に位置するインサート補強層からなる少なくとも2層の有機繊維コードとゴムとの複合体で補強されており、かつ(1)内側層の有機繊維プライコードが、コードのトータル繊度400〜2000デシテックス(dtex)、タイヤから取り出したコードの2.0cN/dtex時の中間伸び5.0〜12.0%及びタイヤクラウン部での打込み数20〜40本/50mmであると共に、(2)外側層のインサート補強層は、有機繊維コードのトータル繊度2200〜6700dtex、タイヤから取り出したコードの2.0cN/dtex時の中間伸び0.9〜7.0%であり、かつビード上の位置からベルト端よりタイヤトレッドセンター側の位置まで配設された構造を有することを特徴とする空気入りラジアルタイヤ。
  2. 内側層の有機繊維プライコードが、有機繊維として、ポリC2 〜C4 アルキレンテレフタレート繊維を用いたものである請求項1記載の空気入りラジアルタイヤ。
  3. 内側層の有機繊維プライコードが、有機繊維として、6,6−ナイロン繊維及び4,6−ナイロン繊維から選ばれた少なくとも一種を用いたものである請求項1記載の空気入りラジアルタイヤ。
  4. 外側層の有機繊維インサート補強層が、有機繊維として、ポリエチレンテレフタレート繊維及びポリエチレンナフタレート繊維から選ばれた少なくとも一種を用いたものである請求項1,2又は3記載の空気入りラジアルタイヤ。
  5. 外側層の有機繊維インサート補強層が、有機繊維として、レーヨン繊維、アラミド繊維、ポリオキシケトン繊維及びポリp−フェニレンベンゾビスオキサゾール繊維の中から選ばれた少なくとも一種を用いたものである請求項1,2又は3記載の空気入りラジアルタイヤ。
  6. 外側層の有機繊維インサート補強層におけるタイヤサイド部(ビード〜タイヤクラウン部の中間位置)での打込み数が40〜70本/50mmである請求項1ないし5のいずれかに記載の空気入りラジアルタイヤ。
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