JP4725506B2 - 流体透過特性評価装置 - Google Patents
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Description
多孔質板の面方向に通過する流体の透過特性を評価する方法としては、例えば特許文献1のように、多孔質板の主面に対して流体を強制的に流入・流出させる方法がある。なお、この評価方法を実施する際には、多孔質板の内部を通過させる流体の流路を除き、多孔質板の外面を密閉する必要がある。
本発明によれば、押付部材により多孔質板を押さえつけるだけで、弾性シール材のうち多孔質板の上面に当接した部分を圧縮変形させて、弾性シール材のうち多孔質板の上面周囲に位置する部分を載置平面に当接させることができる。また、この際には、載置平面に当接した弾性シール材が圧縮変形し、これによって載置平面に対する弾性シール材の押し付け圧力を十分な大きさで得ることができる。これにより、多孔質板内部を通過する流体が載置平面と弾性シール材との間から漏れ出すことを防止することができる。
以上のことから、多孔質板の厚さ寸法等の大きさに関わらず、押付部材を多孔質板に押しつけるだけで、流路を除いた多孔質板の外面を密閉して、多孔質板における流体の透過特性の評価を容易に行うことが可能となる。
この場合には、押付部材による押さえつけを解除した際に、弾性シール材が良好に弾性復帰するため、同一の弾性シール材を用いても、透過特性評価を多数回にわたって繰り返し実施することができ、透過特性の評価結果の再現性も良好に保つことができる。
この場合には、弾性シール材を小さな荷重で多孔質板に押しつけても容易に弾性変形できるため、多孔質板の外面を確実に気密に覆うことができる。また、弾性シール材が閉気孔を含んで多孔質体をなすように構成されている場合には、多孔質板内部を通過する流体が弾性シール材を介して外部に漏れることを防ぐことができる。また、この場合には、流体が多孔質板から弾性シール材内部に侵入・透過することで多孔質板の外側に流体の流路が形成されることを防止し、この流路形成に基づいて透過特性の評価精度が損なわれてしまうことも回避できる。
これは、弾性シール材の25%圧縮応力が10kPa未満となると、多孔質板内部に流入した流体の圧力によって弾性シール材が容易に圧縮変形して多孔質板の外面から押し上げられ、多孔質板の外面と弾性シール材との間に大きな隙間が生じるためである。また、弾性シール材の25%圧縮応力が350kPaよりも大きくなると、押付部材により載置平面に載置された多孔質板を押さえつけた状態において、多孔質板の外形形状に対する弾性シール材の追従性が不足して、多孔質板の外面と弾性シール材との間に大きな隙間が生じるためである。
したがって、弾性シール材の25%圧縮応力を10kPa以上350kPa以下とすることで、流体の圧力による弾性シール材の浮き上がりを抑制すると共に多孔質板の外形形状に対する弾性シール材の追従性を向上させて、上述した隙間を小さく抑えることができ、多孔質板における流体の透過特性を精度良く評価することが可能となる。
なお、以下に説明する各実施形態の流体透過特性評価装置は、三次元網目構造を有する多孔質板の内部で、その面方向に流体を通過させ、多孔質板における流体(気体、液体)の透過特性を評価するものである。
はじめに、第1実施形態に係る流体透過特性評価装置について説明する。
図1に示すように、この実施形態に係る流体透過特性評価装置1は、平面視略矩形状の多孔質板3を載置する載置平面5aを有する載置台5と、載置台5の上方から多孔質板3を押さえつけるための押付部材7と、上記載置平面5aに対向するように押付部材7に固定された弾性変形可能な弾性シール材9とを備えている。
載置台5及び押付部材7は、多孔質板3をその厚さ方向(Z軸方向)から挟み込む際に変形しない剛性の高い材料からなり、この実施形態においては平面視略矩形状に形成されている。また、載置台5及び押付部材7は、その長手方向(X軸方向)及び幅方向(Y軸方向)の寸法が多孔質板3よりも大きくなるように形成されている。さらに、後述する弾性シール材9を固定する押付部材7の固定面7aは平坦に形成されている。そして、押付部材7により多孔質板3を押さえつけた状態においては、固定面7aと載置台5の載置平面5aとが平行に保持されるようになっている。
そして、弾性シール材9は、平面視略矩形状に形成され、多孔質板3と略同等の長さ寸法を有している。また、弾性シール材9の幅寸法は、載置台5及び押付部材7と略同等に設定されており、載置平面5aに配された多孔質板3の両側部から幅方向に突出するように形成されている。さらに、弾性シール材9の厚さ寸法は、多孔質板3の厚さ寸法の2倍以上に設定されている。
この押さえつけの際には、弾性シール材9の中央部分が多孔質板3の上面3aに当接して圧縮変形されると共に、弾性シール材9のうち多孔質板3の両側部から幅方向に突出する部分が載置平面5aに当接することになる。また、この際には、載置平面5aに当接した弾性シール材9も圧縮変形する。なお、この圧縮変形によって載置平面5aに対する弾性シール材9の押し付け圧力が発生する。
以上のことから、この流体透過特性評価装置1において多孔質板3内部に流体を通過させる際には、多孔質板3の一端面3eから流体を流入し、他端面3fから流体を流出すればよい。
次に、第2実施形態に係る流体透過特性評価装置について説明する。なお、この実施形態の流体透過特性評価装置は、上述した第1実施形態と主に載置台の構成及び弾性シール材の寸法についてのみ異なっている。ここでは、当該相違点についてのみ説明し、第1実施形態の流体透過特性評価装置1の構成要素と同一の部分については同一符号を付し、その説明を省略する。
この押さえつけの際には、第1実施形態と同様に、弾性シール材17の中央部分が多孔質板3の上面3aに当接して圧縮変形される。また、弾性シール材17のうち多孔質板3の周囲から突出する部分が載置平面13aに当接して圧縮変形する。この圧縮変形によって載置平面13aに対する弾性シール材17の押し付け圧力が発生する。
したがって、この流体透過特性評価装置11において多孔質板3内部に流体を通過させる際には、一方の孔15Aを通じて多孔質板3の一端部側の下面3bから流体を流入し、他端部側の下面3bから他方の孔15Bを通じて流体を流出すればよい。
この試験では、図1,2に示すように押付部材7により多孔質板3を押さえつけた状態で、アルゴンガス(流体)を1分間当たり1リットルの流量で多孔質板3の一端面3eや下面3bから多孔質板3内部に流入させ、吸引式リークディテクター(LD229(GLサイエンス社製))を用いて載置平面5a,13aとこれに当接する弾性シール材9,17との間からアルゴンガスが漏れているか否かを確認し、この確認結果を弾性シール材9,17のシール性能の良否として評価した。
また、弾性シール材9,17の材質には、日東電工社製の薄層クリーンフォームSCF(品番:SCF100、P200UL)、ロジャースイノアック社製のポロン(タイプ:L−24、H−32、H−48、SR−S−24P)、ジェルテック社製のNPゲル、θ−8ゲル(商品名)を使用した。上記材質の弾性シール材9,17の圧縮弾性率は、いずれも多孔質板3の圧縮弾性率よりも低いものである。
そして、弾性シール材9,17の厚さ寸法は、実施例1〜10及び比較例1,3,4において多孔質板3の厚さ寸法の2倍以上となっており、比較例2においてのみ多孔質板3の厚さ寸法の1.5倍となっている。
また、表1中に記載の「側面」は、第1実施形態の流体透過特性評価装置1において試験したことを示しており、「全周」は、第2実施形態の流体透過特性評価装置11において試験したことを示している。
さらに、表1中に記載の「シール圧」は、載置台5,13の載置平面5a,13aに対する弾性シール材9,17の押し付け圧力を示しており、「ガス圧」は、多孔質板3の内部に流入するアルゴンガスの圧力を示している。そして、このシール圧は、実施例1〜10及び比較例2〜4においていずれもガス圧の2倍以上に設定されており、比較例1においてのみガス圧の2倍未満に設定されている。
比較例1のものでは、シール圧がガス圧の2倍未満となっていることで、載置平面13aに対する弾性シール材17の押し付け圧力が不足するために、ガス漏れが発生していると考えられる。また、比較例2のものでは、シール圧がガス圧の2倍以上となっているが、弾性シール材17の厚さ寸法が多孔質板3の2倍未満となっていることで、弾性シール材17を十分に載置平面13aに押さえつけることができないために、ガス漏れが発生していると考えられる。このように、ガス漏れが発生している場合には、アルゴンガスの透過特性評価を実施することはできない。
また、比較例4のものでは、押付部材7により多孔質板3を押さえつけた状態において、側面3c,3dと載置平面5aとからなる凹部面と弾性シール材9との間に大きな隙間が生じていることが確認された。この隙間は、弾性シール材9の25%圧縮応力が360kPaと大きく、載置平面5aに載置された多孔質板3の外形形状に対する弾性シール材9の追従性が不足することで発生すると考えられる。
しかしながら、比較例3,4のものでは、隙間高さが上述した値を超えてしまうため、アルゴンガスの透過特性を精度良く評価することが困難となる(シール性能「△」)。
したがって、実施例1〜10のものでは、多孔質板3における流体の透過特性を精度良く評価することが可能となる(シール性能「○」)。
さらに、弾性シール材9,17は、その内部に閉気孔を含んだ多孔質状に形成されているため、これを小さな荷重で多孔質板3に押しつけても容易に弾性変形でき、多孔質板3の外面3a,3c〜3fを確実に気密に覆うことが可能となる。また、弾性シール材9,17は閉気孔を含んで多孔質体をなすように構成されているため、多孔質板3内部を通過する流体が弾性シール材9,17を介して外部に漏れることを防ぐことができる。さらに、この場合には、流体が多孔質板3から弾性シール材9,17内部に侵入・透過することで多孔質板3の外側に流体の流路が形成されることを防止し、この流路形成に基づいて透過特性の評価精度が損なわれてしまうことも回避できる。
すなわち、第1実施形態における弾性シール材9の長さ寸法は、例えば多孔質板3の長さ寸法よりも長くしても構わない。この場合には、多孔質板3の長手方向の両端面3e,3fに流体の流路を確保する中空のスペーサ等を別途設け、このスペーサにより弾性シール材9が多孔質板3の両端面3e,3fを密閉することこと防止すればよい。
さらに、弾性シール材9,17は、上記実施形態のように押付部材7の固定面7aに固定されることが望ましいが、少なくとも載置台5,13の載置平面5a,13aに対向するように押付部材7の下部と多孔質板3との間に静置されていればよい。すなわち、弾性シール材9,17は、例えば押付部材7に固定せずに、押付部材7により多孔質板3を押さえつけた状態において押付部材7と載置台5,13や多孔質板3との間に挟み込まれるように配置してもよい。
3 多孔質板
3a 上面(外面)
3c,3d 側面(外面)
3e,3f 端面(外面)
5,13 載置台
5a,13a 載置平面
7 押付部材
9,17 弾性シール材
Claims (4)
- 三次元網目構造を有する多孔質板の内部でその面方向に流体を通過させ、前記多孔質板における前記流体の透過特性を評価する流体透過特性評価装置であって、
前記多孔質板を載置する載置平面を有する載置台と、該載置台の上方から前記多孔質板を押さえつける押付部材と、前記載置台の載置平面に対向するように前記押付部材の下部と前記多孔質板との間に静置された弾性変形可能な弾性シール材とを備え、
前記弾性シール材は、前記押付部材により前記載置平面に載置された前記多孔質板を押さえつけた状態で、前記多孔質板の内部に通過させる前記流体の流路を除いて、前記載置平面に当接すると共に前記多孔質板の外面を気密に覆うように弾性変形するものであり、
前記弾性シール材の圧縮弾性率が前記多孔質板の圧縮弾性率よりも低く、かつ、前記弾性シール材の厚さ寸法が前記多孔質板の厚さ寸法の2倍以上であり、さらに、前記載置平面に対する前記弾性シール材の押し付け圧力が前記多孔質板の内部に流入する前記流体の圧力の2倍以上であることを特徴とする流体透過特性評価装置。 - 前記弾性シール材の圧縮永久歪みが10%以下であることを特徴とする請求項1に記載の流体透過特性評価装置。
- 前記弾性シール材が、その内部に閉気孔を含んだ多孔質状に形成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の流体透過特性評価装置。
- 前記弾性シール材の厚さを25%圧縮するために要する圧縮応力が、10kPa以上350kPa以下であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の流体透過特性評価装置。
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