JP4723411B2 - 内燃機関 - Google Patents

Description

本発明は請求項１の前文に記載の内燃機関に関する。

内燃機関の効率を高めるべく、内燃機関に排気駆動過給機を装備することは従来から公知である。排気駆動過給運転時ないしターボチャージ運転時、エンジンから排出される排気ガスがタービン内で膨張し、その際、タービンがエンジンに供給すべき燃焼空気を圧縮する圧縮機を駆動する。圧縮済み燃焼空気を所定の温度に冷却するため、圧縮機とエンジンとの間にインタクーラ（過給空気冷却器）が挿入接続される。かかる排気駆動過給運転ないしターボチャージ運転によって、内燃機関の効率が向上する。

排気駆動過給機の圧縮機は、圧縮機ロータないし圧縮機インペラと、圧縮機ロータの下流に置かれた圧縮空気案内装置とを利用している。この案内装置は、圧縮機で圧縮した燃焼空気を流れ転向するために用いる複数の静翼（固定案内羽根）を備える。圧縮済み燃焼空気流は、通常、圧縮空気案内装置から出て初めて渦形室を通って導かれ、続いてインタクーラに入る。圧縮済み燃焼空気流は、圧縮空気案内装置の領域で、約２２０℃の温度を有している。圧縮済み燃焼空気流はインタクーラで約４５℃に冷却され、その際、圧縮空気案内装置とインタクーラとの間の流れ損失のために、燃焼空気圧力が低下する。

圧縮空気案内装置の高温領域は汚れの発生を助長する。特に油含有空気の圧縮時、炭化のため圧縮空気案内装置の汚れが生ずる。実際、圧縮空気案内装置を水で掃除することは公知である。しかしこれは、掃除のために別個の媒体が必要になる欠点を持つ。

上述の点から出発して、本発明の課題は新しい内燃機関を提供することにある。

この課題は、請求項１に記載の内燃機関にて解決される。本発明に従い、圧縮空気案内装置の少なくとも幾つかの静翼に孔が設けられ、インタクーラの下流で分岐された冷却済み過給空気が、孔を経て圧縮空気案内装置の領域で未冷却空気流に帰還又は導入される。

本発明は、圧縮空気案内装置を冷却すべく、静翼に孔を設け、この孔を経て、インタクーラの下流で分岐し、従って冷却した過給空気を、圧縮空気案内装置の領域において未冷却空気流に帰還ないし導入することを特徴とする。

これにより、別個の冷却媒体を利用せずに、かつ冷却に伴い一層の又は追加的な汚れを生ぜずに、内燃機関の排気駆動過給機の圧縮空気案内装置を冷却できる。従って、本発明によれば、内燃機関の排気駆動過給機の圧縮空気案内装置の効果的な冷却が可能となる。

本発明の有利な実施態様は、従属請求項および以下の説明から明らかである。

以下、図を参照し本発明の実施例を詳細に説明するが、本発明はこれに限定されない。

図１は、本発明に基づく内燃機関の排気駆動過給機における圧縮空気案内装置１１の静翼（案内羽根）１０の範囲を示す。圧縮空気案内装置１１は、排気駆動過給機の圧縮機ロータないしインペラの下流並びに排気駆動過給機の所謂渦形室の上流、且つインタクーラの下流に置かれている。

排気駆動過給機の圧縮機はラジアル圧縮機として構成され、圧縮空気案内装置１１の静翼１０の前縁（入口縁）１２と後縁（出口縁）１３は、各々圧縮機の軸方向に延びる。各静翼１０の前縁１２と後縁１３の間で、静翼１０の片側に所謂翼の腹１４が、反対側に所謂翼の背１５が形成されている。従って、圧縮空気案内装置１１は半径方向ないし接線方向に貫流される。

図１から解るように、圧縮空気案内装置１１の静翼１０は、圧縮空気案内装置１１のハウジング１０に固定されている。

本発明に基づく内燃機関の排気駆動過給機の圧縮機の範囲で圧縮された燃焼空気は、約２２０℃の温度を有している。本発明は、圧縮空気案内装置１１を冷却すべく、圧縮空気案内装置１１の静翼１０に孔を設けることを特徴とする。該孔を通して、インタクーラの下流で分岐され、従って冷却済み燃焼空気が、圧縮空気案内装置１１の領域において未冷却空気流に帰還ないし導入される。この結果、圧縮空気案内装置１１の汚れの恐れなしに圧縮空気案内装置１１の特に効果的な冷却が可能となる。

図１から解るように、圧縮空気案内装置１１の各静翼１０に、圧縮機ないし圧縮空気案内装置の軸方向に延びる供給孔１７を設けている。該供給孔１７から複数の孔１８が分岐し、これら孔１８の出口１９は、各々の静翼１０の前縁１２の下流に隣接して位置する。供給孔１７から分岐した孔１８は、略半径ないし接線方向に延びる。図１から解る如く、静翼１０の軸方向に複数の孔１８が連続して配置され、該孔１８は全て供給孔１７から分岐している。図２では、供給孔１７から１つの軸位置で各々２つの孔１８が分岐し、一方の孔１８は静翼１０の翼の腹１４の箇所に、他方の孔１８は静翼１０の翼の背１５の箇所に各々出口１９、詳しくは各前縁１２の下流にそれに隣接して出口１９を有する。

図１から解るように、供給孔１７も同様にハウジング１６を通って延び、該ハウジング１６に、インタクーラの下流で分岐した冷却済み過給空気を供給孔１７、従って圧縮空気案内装置１１に案内する配管２０が接続されている。

図２では、圧縮空気案内装置１１の静翼１０における静翼１０の横断面形状が最も厚い箇所、即ち翼の腹１４と翼の背１５の間隔が最大の箇所に供給孔１７を設けている。

既述のように、出口１９は、各静翼１０の前縁１２に隣接して、前縁１２の下流に位置している。この結果、孔１８の出口１９の領域で動圧が生ぜず、従ってインタクーラの下流における圧力と出口における壁圧との圧力勾配を、出口１９を経てインタクーラの下流で分岐された燃焼空気を燃焼空気流に導入するのに十分であるようになし得る。

本発明に基づく内燃機関における排気駆動過給機の静翼の範囲の部分図。 図１におけるＩＩ−ＩＩ線に沿った圧縮空気案内装置の静翼の断面図。

符号の説明

１０ 静翼、１１ 圧縮空気案内装置、１２ 前縁、１３ 後縁、１４ 翼の腹、１５ 翼の背、１６ ハウジング、１７ 供給孔、１８ 孔、１９ 出口、２０ 配管

Claims (4)

1. エンジンと排気駆動過給機とインタクーラとを備え、排気駆動過給機がエンジンから出る排気ガス流を膨張するためのタービンと、エンジンに供給すべき燃焼空気流を圧縮するための圧縮機とを有し、インタクーラが圧縮機とエンジンとの間に挿入接続され、圧縮機が動翼付き圧縮機ロータと、該ロータの下流に配置された静翼（１０）付き圧縮空気案内装置（１１）とを有する内燃機関において、
   圧縮空気案内装置（１１）の少なくとも幾つかの静翼（１０）に孔（１７、１８）が設けられ、インタクーラの下流で分岐された冷却済み過給空気が、前記孔（１７、１８）の出口（１９）を経て、圧縮空気案内装置（１１）の領域において未冷却空気流に帰還ないし導入されること、および
   前記孔（１７、１８）の出口（１９）が、圧縮空気案内装置（１１）の各静翼（１０）の翼の腹（１４）および／又は翼の背（１５）の箇所に位置する
   ことを特徴とする内燃機関。
2. 圧縮機がラジアル圧縮機として形成され、圧縮空気案内装置（１１）の静翼（１０）の前縁（１２）および後縁（１３）が圧縮機の軸方向に延び、この結果圧縮空気案内装置（１１）が半径ないし接線方向に貫流されることを特徴とする請求項１記載の内燃機関。
3. 圧縮空気案内装置（１１）の少なくとも幾つかの静翼（１０）に、各々圧縮機の軸方向に延びる中央供給孔（１７）が設けられ、各供給孔（１７）から複数の孔（１８）が分岐し、該分岐孔（１８）の出口（１９）が、各静翼（１０）の前縁（１２）の下流に隣接して位置することを特徴とする請求項１又は２記載の内燃機関。
4. 供給孔（１７）が、圧縮空気案内装置（１１）の静翼（１０）の横断面形状が最も厚い箇所に設けられたことを特徴とする請求項１又は３記載の内燃機関。
   
   

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