以下、本発明の実施形態を、添付図面を参照して説明する。なお、以下の説明及び図面においては、同一又は同等の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
[第1実施形態]
まず、本発明の第1実施形態を、図1〜図7を参照して説明する。
本第1実施形態においては、被検体としての就寝時の人体の姿勢を検出する姿勢検出装置を例示して説明する。ここで、図1に示されるように、人体HBには、頭部HP、肩部AP、当該肩部APと接続された胸部CP及び腰部BPが含まれている。そして、人体HBの全体を真っ直ぐにした仰向け姿勢(仰臥位)である基準姿勢の状態から、頭部HPが、首部との接続位置から頭頂部へ向かって延びる個別軸HA回りに回動可能となっているとともに、胸部CPが、腹部BPから首部へ向かって延びる個別軸CA回りに回動可能となっている。また、上述した基準姿勢の状態から、腰部BPが、股部から胸部CPへ向かって延びる個別軸BA回りに回動可能となっている。
なお、本第1実施形態では、被検体を就寝時の人体HBとするので、個別軸HA、個別軸CA及び個別軸BAは、就寝面とほぼ平行な床面と平行であるものとして以下の説明を行う。
<構成>
図2には、第1実施形態に係る姿勢検出装置100Aの概略的な構成がブロック図にて示されている。
なお、本第1実施形態では、図3(A),(B)に示されるように、ベッドBDの就寝面上で就寝中の人体HBを被検体としている。
図2に示されるように、姿勢検出装置100Aは、特定手段、解析手段としての処理部110Aと、シート状圧力敏感部材130A1,130A2,…,130A8と、検出報告手段としての検出報告部140Aとを備えている。また、姿勢検出装置100Aは、操作部150と、表示部160と、アンテナ180とを備えている。
上記の処理部110Aは、姿勢検出に関するデータ処理等を行う。本第1実施形態では、処理部110Aは、中央処理装置(CPU)及びその周辺回路から構成されている。また、処理部110Aは、無線通信で、検出報告部140Aとの間で情報のやり取りを行う。処理部110Aによる処理の詳細については、後述する。
上記のシート状圧力敏感部材130A1〜130A8のそれぞれは、人体HBにおける複数の所定位置に装着されている。本第1実施形態では、図3(A),(B)に総合的に示されるように、シート状圧力敏感部材130A1は頭部HPにおける後頭部に装着され、シート状圧力敏感部材130A2は左側頭部に装着され、シート状圧力敏感部材130A3は右側頭部に装着されている。また、シート状圧力敏感部材130A4は肩部APにおける左側肩部に装着されており、シート状圧力敏感部材130A5は右側肩部に装着されている。さらに、シート状圧力敏感部材130A6は腰部BPにおける左側腰部に装着されており、シート状圧力敏感部材130A7は右側腰部に装着されている。また、シート状圧力敏感部材130A8は臍上部に装着されている。
そして、シート状圧力敏感部材130A1〜130A8のそれぞれは、コードを介して、検出報告部140Aに接続されている。
このようにして人体HBにおける複数の所定位置に装着されたシート状圧力敏感部材130Ak(k=1,…,8)の断面図が、図4に示されている。ここで、図4における座標系(x,y,z)は、シート状圧力敏感部材130Akにおける人体HBとの装着面をxy平面とする座標系である。この図4に示されるように、シート状圧力敏感部材130Akは、絶縁シート211と、電極212と、スペーサ213と、スペーサ214と、電極215と、絶縁シート216とを備えている。そして、絶縁シート211、電極212、スペーサ213及び214、電極215、絶縁シート216が、−z方向側から+z方向側へ順に積層されている。このシート状圧力敏感部材130Akを構成する要素のうち、絶縁シート211は、シール等により後頭部等の所定位置に装着されている。そして、絶縁シート216が、人体HBの姿勢変化により、枕PWやベッドBD(以下、「ベッドBD等」とも記す)と接触するようになっている。なお、シート状圧力敏感部材130Akにおける外部に晒される部分については、絶縁シート等により覆われるようになっている。
これらの要素のうち、絶縁シート211、電極212、電極215及び絶縁シート216のそれぞれは、可撓性を有し、x方向及びy方向に延びる長方形(又は、正方形)のシート状に形成されている。そして、シート状圧力敏感部材130AkがベッドBD等に押し付けられていない状態においては、電極212と電極215とは、スペーサ213,214の配置領域を除いて、z方向に関して所定の間隔をもって対向配置されるようになっている。なお、電極215のxy平面における中央部分には、−z方向に盛り上がった突起部が形成されている。
また、スペーサ213,214は、弾性絶縁部材であり、それぞれ、上述したシートの−y方向と+y方向の両端部に配置され、電極212と電極215との間を、シート状圧力敏感部材130AkがベッドBD等に押し付けられていない状態においては、上記の所定の間隔を保つようになっている。また、電極212,215のそれぞれは、コードを介して、検出報告部140Aに接続されている。
このように構成されたシート状圧力敏感部材130Akが、人体HBの姿勢変化により、ベッドBD等に押し付けられているときの状態の一例が、図5に示されている。この図5に示されるように、絶縁シート216が、ベッドBD等に押し付けられると、電極215及び絶縁シート216が摺曲するとともに、スペーサ213,214の形状が変形して上記の所定の間隔が短くなる。そして、押し付けられる力が所定圧力以上となると、電極212と電極215との間が電気的に導通する。
上記の検出報告部140Aは、人体HBにおける臍下部に装着されており、上述したように、コードを介して、シート状圧力敏感部材130A1〜130A8のそれぞれと接続されている(図3(A),(B)参照)。検出報告部140Aは、マイクロプロセッサ等を備えて構成されており、シート状圧力敏感部材130A1〜130A8のそれぞれの2つ電極212,215間の電気的な導通及び非導通を検出することで、シート状圧力敏感部材130Akが所定の圧力以上で、ベッドBD等に押し付けられているか否かを検出する。検出報告部140Aは、この検出結果を、無線通信で、処理部110Aへ報告する。かかる機能を有する検出報告部140Aは、図6に示されるように、検出部141A1,141A2,…,141A8と、直流電源142Aと、報告部145Aとを備えている。
上記の検出部141Ak(k=1,…,8)の一方の検出用端子は、直流電源142Aの一方の端子に接続され、他方の検出用端子は、シート状圧力敏感部材130Akの電極215に接続されている。上記の直流電源142Aの一方の端子は、検出部141Akの一方の検出用端子に接続され、他方の端子は、シート状圧力敏感部材130Akの電極212に接続されている。そして、直流電源142Aは、所定の一定電圧を、検出部141Akと電極212との間に印加する。そして、検出部141Akは、電極212と電極215との間が電気的に導通して、両方の検出用端子間に一定電圧が印加されたことを検出すると、シート状圧力敏感部材130Akの識別子を含む検出報告を、出力端子から報告部145Aに向けて出力する。
上記の報告部145Aは、不図示のアンテナ等を備えて構成されている。この報告部145Aは、検出部141Ak(k=1,…,8)からの検出報告を受ける。そして、報告部145Aは、シート状圧力敏感部材130Akごとの2つの電極212,電極215間の電気的な導通及び非導通に関する情報を、検出結果として、無線通信で、処理部110Aへ報告する。
図2に戻り、上記の操作部150は、複数のキーが配列されたキー部を備えて構成されている。かかるキー部としては、表示部160の表示デバイスに設けられたタッチパネルを用いることができる。利用者によるキー操作情報は、操作部150から処理部110Aに報告される。
上記の表示部160は、例えば、液晶表示デバイスを備え構成される。この表示部160は、処理部110Aから送られてきた表示信号に従って、操作案内画像、被検体の姿勢情報、寝返り態様の解析結果等を表示する。
上記のアンテナ180は、検出報告部140Aからの無線信号を受信するとともに、検出報告部140Aへ向けて無線信号を送信する。アンテナ180による受信結果は、受信信号として、処理部110Aへ向けて出力される。また、アンテナ180は、処理部110Aからの送信信号を受けて、当該送信信号に対応する無線信号を検出報告部140Aへ向けて送信する。このアンテナ180は、例えば、ベッドBD上方の天井等に配置される。
次に、処理部110Aについて説明する。処理部110Aは、シート状圧力敏感部材130Ak(k=1,…,8)それぞれの2つの電極212,215間の電気的な導通及び非導通に関する情報を検出結果として、無線通信で、検出報告部140Aから取得し、当該検出結果に基づく解析処理を行う。また、この処理部110Aは、寝返り態様の解析処理のための操作案内画像を表示部160に表示させる。そして、操作部150から解析の開始指令が入力されると、処理部110Aは、寝返り態様の解析処理を開始する。
上述した被検体である人体HBの各時点における姿勢を検出するために、処理部110Aは、所定時間ごとに、無線通信により、検出報告部140Aからの検出結果を受ける。そして、処理部110Aは、検出報告部140Aからの検出結果に基づいて、シート状圧力敏感部材130Akが装着されている所定位置ごとに、当該所定位置が、シート状圧力敏感部材130Akを介して、ベッドBD等と接触しているか否かを判定する。引き続き、処理部110Aは、当該判定の結果に基づいて、人体HBにおける頭部HPの基準姿勢からの個別軸HA回りの回転、胸部CPの基準姿勢からの個別軸CA回りの回転、及び、腰部BPの基準姿勢からの個別軸BA回りの回転を特定する。かかる回転の特定に関する処理については、後述する。
そして、処理部110Aは、所定時間ごとの頭部HP、胸部CP及び腰部BPそれぞれの個別軸回りの回転の特定結果に基づいて、各時点における人体HBの姿勢を検出する。引き続き、処理部110Aは、検出された人体姿勢の時間変化に基づいて、人体HBの寝返り態様を導出する。
ここで、所定時間は、褥瘡の防止等に考慮して、人体HBの寝返り態様を導出する観点から、実験、シミュレーション、経験等に基づいて予め定められる。
また、処理部110Aは、人体HBの寝返り態様の導出結果から、表示部160に表示させるための表示信号を生成して、表示部160へ送る。
<動作>
以上のようにして構成された姿勢検出装置100Aの動作について、主に人体HBの姿勢検出処理に着目して説明する。
なお、人体HBの頭部HPの姿勢は枕PW上において変化し、肩部AP、胸部CP及び腰部BPの姿勢はベッドBD上において変化するものとする。
この姿勢検出処理は、利用者が操作部150に、姿勢検出の開始指令を入力することにより開始する。処理部110Aは、当該開始指令を受けると、所定時間ごとに、無線通信により、検出報告部140Aから検出結果を受ける。そして、処理部110Aは、当該検出結果が、シート状圧力敏感部材130Akの2つの電極212,215間が電気的に導通している旨の検出結果である場合には、当該シート状圧力敏感部材130AkがベッドBD等から押圧力を受けている、すなわち、当該シート状圧力敏感部材130Akを介して、当該シート状圧力敏感部材130Akが装着されている人体HBにおける所定位置とベッドBD等とが接触していると判定する。そして、処理部110Aは、この判定の結果に基づいて、人体HBにおける頭部HPの基準姿勢からの個別軸HA回りの回転、胸部CPの基準姿勢からの個別軸CA回りの回転、及び、腰部BPの基準姿勢からの個別軸BA回りの回転を特定しつつ、この特定結果に基づいて、人体HBの寝返り態様を導出する。
かかる回転の特定に際して、処理部110Aは、後頭部に装着されているシート状圧力敏感部材130A1のみが枕PWに接触していると判定したとき(図3(A),(B)参照)には、頭部HPについては基準姿勢から個別軸HA回りに回転していないと特定する。また、処理部110Aは、この判定を行ったときには、胸部CPについては、シート状圧力敏感部材130A4又はシート状圧力敏感部材130A5がベッドBDに接触するほど個別軸CA回りに大きく回転しておらず、また、腰部BPについても、シート状圧力敏感部材130A6又はシート状圧力敏感部材130A7がベッドBDに接触するほど個別軸BA回りに大きく回転していないと特定する。
また、かかる回転の特定に際して、処理部110Aは、左側頭部に装着されているシート状圧力敏感部材130A2が枕PWに接触していると判定したときには、頭部HPが基準姿勢から個別軸HA回りに約90度だけ左回転していると特定する。また、処理部110Aは、左側肩部に装着されているシート状圧力敏感部材130A4がベッドBDに接触していると判定したときには、胸部CPが基準姿勢から個別軸CA回りに約90度だけ左回転していると特定する。また、処理部110Aは、左側腰部に装着されているシート状圧力敏感部材130A6がベッドBDに接触していると判定したときには、腰部BPが基準姿勢から個別軸BA回りに約90度だけ左回転していると特定する。
さらに、かかる回転の特定に際して、処理部110Aは、右側頭部に装着されているシート状圧力敏感部材130A3が枕PWに接触していると判定したときには、頭部HPが基準姿勢から個別軸HA回りに約90度だけ右回転していると特定する。また、処理部110Aは、右側肩部に装着されているシート状圧力敏感部材130A5がベッドBDに接触していると判定したときには、胸部CPが基準姿勢から個別軸CA回りに約90度だけ右回転していると特定する。また、処理部110Aは、右側腰部に装着されているシート状圧力敏感部材130A7がベッドBDに接触していると判定したときには、腰部BPが基準姿勢から個別軸BA回りに約90度だけ右回転していると特定する。
処理部110Aは、上述した回転の特定処理を所定時間ごとに行う。そして、処理部110Aは、特定結果の時間的変化を解析して、人体HBの寝返り態様を導出する。例えば、処理部110Aは、頭部HP、胸部CP及び腰部BPのそれぞれが基準姿勢から個別軸回りに大きく回転していないとき、すなわち、シート状圧力敏感部材130A1のみが枕PWに接触しているときには、人体HBの姿勢は、概ね、仰臥位の姿勢状態(図3(A),(B)参照)になっていると解析する。
また、処理部110Aは、頭部HP、胸部CP及び腰部BPのそれぞれが基準姿勢から個別軸回り約90度だけ左回転しているとき、すなわち、シート状圧力敏感部材130A2、シート状圧力敏感部材130A4及びシート状圧力敏感部材130A6が枕PW又はベッドBDに接触しているときには、人体HBの姿勢は、図7(A),(B)に示されるような左側臥位の姿勢状態になっていると解析する。また、胸部CP及び腰部BPのそれぞれが基準姿勢から個別軸回り約90度だけ左回転しているとき、すなわち、シート状圧力敏感部材130A4及びシート状圧力敏感部材130A6がベッドBDに接触しているときにも、人体HBの姿勢は、左側臥位の姿勢状態になっていると解析する。なお、図7(A),(B)においては、検出報告部140A及びコードの図示を省略している。
また、処理部110Aは、頭部HP、胸部CP及び腰部BPのそれぞれが基準姿勢から個別軸回り約90度だけ右回転しているとき、すなわち、シート状圧力敏感部材130A3、シート状圧力敏感部材130A5及びシート状圧力敏感部材130A7が枕PW又はベッドBDに接触しているときには、人体HBの姿勢は、右側臥位の姿勢状態になっていると解析する。また、胸部CP及び腰部BPのそれぞれが基準姿勢から個別軸回り約90度だけ右回転しているとき、すなわち、シート状圧力敏感部材130A5及びシート状圧力敏感部材130A7がベッドBDに接触しているときにも、人体HBの姿勢は、右側臥位の姿勢状態になっていると解析する。
さらに、処理部110Aは、臍上部に装着されたシート状圧力敏感部材130A8のみがベッドBDに接触しているときには、人体HBの姿勢は、概ね、顔を回転させていない伏臥位の姿勢状態になっていると解析する。また、処理部110Aは、シート状圧力敏感部材130A8及びシート状圧力敏感部材130A2がベッドBDに接触しているときには、人体HBの姿勢は、顔を左回転させた伏臥位の姿勢状態になっていると解析し、シート状圧力敏感部材130A8及びシート状圧力敏感部材130A3がベッドBDに接触しているときには、人体HBの姿勢は、顔を右回転させた伏臥位の姿勢状態になっていると解析する。こうして解析された人体HBの寝返り態様の導出結果は、表示部160に表示される。
以上説明したように、本第1実施形態では、人体HBの後頭部、両側頭部、両側肩部、両側腰部及び臍上部に装着されたシート状圧力敏感部材130Ak(k=1,…,8)のいずれかが、人体HBの姿勢変化により、枕PWやベッドBDに押し付けられると、当該押し付けられたシート状圧力敏感部材130Akの要素である2つの電極212,215間が電気的に導通する。検出報告部140Aは、この電極212,215間の電気的な導通及び非導通を検出することで、シート状圧力敏感部材130Akが所定の圧力以上で、ベッドBD等に押し付けられているか否かを検出する。処理部110Aは、この2つの電極間の電気的な導通に関する情報を、無線通信で検出報告部140Aから受けると、当該シート状圧力敏感部材130Akを介して、当該シート状圧力敏感部材130Akが装着されている所定位置が枕PWやベッドBDと接触していると判定する。そして、処理部110Aは、頭部HPに装着されたシート状圧力敏感部材130A1,130A2,130A3についての接触及び非接触の判定の結果に基づいて、頭部HPの基準姿勢からの個別軸HA回りの回転を特定する。また、処理部110Aは、肩部APに装着されたシート状圧力敏感部材130A4,130A5についての接触及び非接触の判定の結果に基づいて、胸部CPの基準姿勢からの個別軸CA回りの回転を特定する。また、処理部110Aは、腰部BPに装着されたシート状圧力敏感部材130A6,130A7についての接触及び非接触の判定の結果に基づいて、腰部BPの基準姿勢からの個別軸BA回りの回転を特定する。このため、どのシート状圧力敏感部材が、所定の圧力以上で、枕PW又はベッドBDに押し付けられているかを検出するという簡易な方法で、頭部HP、胸部CP及び腰部BPそれぞれの基準姿勢からの個別軸回りの回転の特定を行うことができる。この結果、各時点における人体HBの姿勢が検出される。
そして、処理部110Aは、頭部HP、胸部CP及び腰部BPそれぞれの回転の特定結果の時間的変化を解析して、人体HBの姿勢が、仰臥位、側臥位、伏臥位等のどのような姿勢状態であるかを判定しつつ、人体HBの寝返りの態様を導出する。
したがって、本第1実施形態によれば、被検体である人体HBの各時点における姿勢を、簡易に、かつ、精度良く検出することができる。そして、検出された各時点の姿勢の時間変化に基づいて、人体HBの寝返り態様を導出することができる。
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態を、図8〜図12を主に参照して説明する。
<構成>
本第2実施形態にかかる姿勢検出装置100Bは、図8に示されるように、上述した第1実施形態の姿勢検出装置100Aと比べて、処理部110Aに代えて処理部110Bを備える点、シート状圧力敏感部材130A1,130A2,…,130A8に代えてシート状圧力敏感部材130B1,130B2,…,130B8を備える点、及び、検出報告部140Aに代えて検出報告部140Bを備える点が異なっている。以下、こうした相違点に主に着目して説明する。
上記の処理部110Bは、姿勢検出に関するデータ処理等を行う。この処理部110Bは、上述した処理部110Aと同様に、中央処理装置(CPU)及びその周辺回路から構成されている。また、処理部110Bは、上述した処理部110Aと同様に、無線通信で、検出報告部140Bとの間で情報のやり取りを行う。処理部110Bによる処理の詳細については、後述する。
上記のシート状圧力敏感部材130B1〜130B8のそれぞれは、上述したシート状圧力敏感部材130A1〜130A8と同様、人体HBの後頭部、両側頭部、両側肩部、両側腰部及び臍上部に装着されている(図3(A),(B)参照)。また、シート状圧力敏感部材130B1〜130B8のそれぞれは、上述したシート状圧力敏感部材130A1〜130A8と同様に、コードを介して、検出報告部140Bに接続されている。
このシート状圧力敏感部材130Bk(k=1,…,8)の断面図が、図9に示されている。ここで、図9における座標系(x,y,z)は、第1実施形態において定義した座標系(図4参照)である。この図9に示されるように、シート状圧力敏感部材130Bkは、シート状に形成された絶縁シート221と、電極222と、感圧導電ゴム223と、電極224と、絶縁シート225とを備えており、これらの要素が、−z方向側から+z方向側へ順に積層されている。このシート状圧力敏感部材130Bkを構成する要素のうち、絶縁シート221は、シール等により後頭部等の所定位置に装着されている。そして、絶縁シート225が、人体HBの姿勢変化により、ベッドBD等と接触するようになっている。なお、シート状圧力敏感部材130Bkにおける外部にさらされる部分については、絶縁シート等により覆われるようになっている。
また、感圧導電ゴム223は、ゴムに導電性粒子(カーボン等)を配合した導電性の弾性部材である。また、電極222の+y方向の端E1、及び、電極224の+y方向の端E2のそれぞれは、コードを介して、検出報告部140Bに接続されている。
このようにして構成されたシート状圧力敏感部材130Bkが、人体HBの姿勢変化により、ベッドBD等に押し付けられているときの状態の一例が、図10に示されている。この図10に示されるように、絶縁シート225が、ベッドBD等に押し付けられると、感圧導電ゴム223の形状が変形して、導電性粒子間の密接度が変化する。この結果、2つの電極222,224間の抵抗値が変化する。
上記の検出報告部140Bは、上述した検出報告部140Aと同様に、人体HBにおける臍下部に装着されており、コードを介して、シート状圧力敏感部材130B1〜130B8のそれぞれと接続されている(図3(A),(B)参照)。この検出報告部140Bは、シート状圧力敏感部材130B1〜130B8の感圧導電ゴム223を挟む電極222,224間の抵抗値を検出することで、シート状圧力敏感部材130BkがベッドBD等から受ける圧力変化を検出する。検出報告部140Bは、この検出結果を、無線通信で、処理部110Bへ報告する。かかる機能を有する検出報告部140Bは、図11に示されるように、検出部141B1,141B2,…,141B8と、直流電源142Bと、報告部145Bとを備えている。
上記の検出部141Bk(k=1,…,8)は、図12に示されるように、検出用回路143Bと、差動増幅回路144とを備えている。
上記の検出用回路143Bは、抵抗素子261と、抵抗素子262と、抵抗素子263とを備えている。なお、検出用回路143Bは、シート状圧力敏感部材130Bk及び直流電源142Bと一体となって、直流ブリッジ回路260Bを形成している。
上記の直流電源142Bの一方の端子は、検出部141Bk(k=1,…,8)と接続され、他方の端子は、シート状圧力敏感部材130Bk及び検出部141Bkと接続されている。より詳しくは、直流電源142Bの一方の端子は、抵抗素子261の一方の端子及び抵抗素子262の一方の端子と接続され、他方の端子は、抵抗素子263の一方の端子及びシート状圧力敏感部材130Bkの電極224(端E2)と接続されている。そして、直流電源142Bは、所定の電圧Eを印加する。
上記の抵抗素子261は、抵抗値R1を有している。この抵抗素子261の一方の端子は、直流電源142Bの一方の端子及び抵抗素子262の一方の端子と接続され、他方の端子は、シート状圧力敏感部材130Bkの電極222(端E1)及び差動増幅回路144の一方の入力端子と接続されている。上記の抵抗素子262は、抵抗値R2を有している。この抵抗素子262の一方の端子は、直流電源142Bの一方の端子及び抵抗素子261の一方の端子と接続され、他方の端子は、抵抗素子263の他方の端子及び差動増幅回路144の他方の入力端子と接続されている。上記の抵抗素子263は、抵抗値R3を有している。この抵抗素子263の一方の端子は、直流電源142Bの他方の端子及びシート状圧力敏感部材130Bkの電極224(端E2)と接続され、他方の端子は、抵抗素子262の他方の端子及び差動増幅回路144の他方の入力端子と接続されている。
上記の差動増幅回路144は、OPアンプ(Operational Amplifier)、抵抗素子等から構成されており、直流ブリッジ回路260Bからの出力である2つの入力電圧について、電位差分だけ増幅する。こうして増幅された結果は、報告部145Bへ送られる。
図11に戻り、上記の報告部145Bは、不図示のアンテナ、マイクロプロセッサ等を備えて構成されている。この報告部145Bは、順次、検出部141Bk(k=1,…,8)からの増幅結果を受け、当該増幅結果をアナログ−デジタル変換した後、直流電源142Bの電圧値、及び、抵抗素子261,262,263の抵抗値に基づいて、シート状圧力敏感部材130Bkごとの電極222,224間の抵抗値を算出する。引き続き、報告部145Bは、シート状圧力敏感部材130Bkごとの電極222,224間の抵抗値の情報を、検出結果として、無線通信で、処理部110Bへ報告する。
図8に戻り、上記の処理部110Bは、シート状圧力敏感部材130Bk(k=1,…,8)それぞれの電極222,224間の抵抗値に関する情報を検出結果として、無線通信で、検出報告部140Bから取得し、当該検出結果に基づく解析処理を行う。また、処理部110Bは、上述した処理部110Aと同様に、寝返り態様の解析処理のための操作案内画像を表示部160に表示させる。そして、操作部150から解析の開始指令が入力されると、処理部110Bは、寝返り態様の解析処理を開始する。
人体HBの各時点における姿勢を検出するために、処理部110Bは、所定時間ごとに、無線通信により、検出報告部140Bからの検出結果を受ける。そして、処理部110Bは、検出報告部140Bからの検出結果に基づいて、シート状圧力敏感部材130Bkが装着されている所定位置ごとに、シート状圧力敏感部材130Bkにおける電極E1,E2間の抵抗値から、所定位置がベッドBD等から受けている押圧力を算出する。引き続き、処理部110Bは、当該押圧力に基づいて、人体HBにおける頭部HPの基準姿勢からの個別軸HA回りの回転、胸部CPの基準姿勢からの個別軸CA回りの回転、及び、腰部BPの基準姿勢からの個別軸BA回りの回転を特定するとともに、頭部HP、胸部CP及び腰部BPが、ベッドBD等から受ける力の分布を特定する。かかる力の分布の特定に関する処理については、後述する。
そして、処理部110Bは、所定時間ごとの頭部HP、胸部CP及び腰部BPそれぞれについての個別軸回りの回転の特定結果及びベッドBD等から受ける力の分布に基づいて、各時点における人体HBの姿勢を検出する。引き続き、処理部110Bは、検出された人体姿勢の時間変化に基づいて、人体HBの寝返り態様を導出する。
また、処理部110Bは、上述した処理部110Aと同様に、人体HBの寝返り態様の導出結果から、表示部160に表示させるための表示信号を生成して、表示部160へ送る。
<動作>
以上のようにして構成された姿勢検出装置100Bの動作について、主に人体HBの姿勢検出処理に着目して説明する。
なお、本第2実施形態においても、人体HBの頭部HPの姿勢は枕PW上において変化し、肩部AP、胸部CP及び腰部BPの姿勢はベッドBD上において変化するものとする。
人体HBの姿勢検出処理は、第1実施形態の場合と同様に、利用者が操作部150に、姿勢検出の開始指令を入力することにより開始する。処理部110Bは、当該開始指令を受けると、所定時間ごとに、無線通信により、検出報告部140Bから検出結果を受ける。そして、処理部110Bは、検出結果であるシート状圧力敏感部材130Bkそれぞれの電極E1,E2間の抵抗値から、ベッドBD等から受けている押圧力を算出する。そして、処理部110Bは、押圧力を受けている人体HBにおける所定位置については、シート状圧力敏感部材130Bkを介して、ベッドBD等と接触していると判定する。そして、処理部110Bは、この判定の結果に基づいて、第1実施形態の場合と同様に、人体HBにおける頭部HPの基準姿勢からの個別軸HA回りの回転、胸部CPの基準姿勢からの個別軸CA回りの回転、及び、腰部BPの基準姿勢からの個別軸BA回りの回転を特定する。
また、処理部110Bは、上述した回転の特定とともに、算出した押圧力に基づいて、頭部HP、胸部CP及び腰部BPが、ベッドBD等から受ける力の分布を特定する。そして、処理部110Bは、回転の特定結果及び力の分布の特定結果に基づいて、人体HBの寝返り態様を導出する。
処理部110Bは、上述した回転及び力の分布の特定処理を所定時間ごとに行う。そして、処理部110Bは、特定結果の時間的変化を解析して、第1実施形態の場合と同様に、人体HBの仰臥位、側臥位、伏臥位の姿勢状態を特定しつつ、人体HBの寝返り態様を導出する。こうして解析された人体HBの寝返り態様の導出結果は、表示部160に表示される。
以上説明したように、本第2実施形態では、人体HBの後頭部、両側頭部、両側肩部、両側腰部及び臍上部に装着されたシート状圧力敏感部材130Bk(k=1,…,8)のいずれかが、人体HBの姿勢変化により、枕PWやベッドBDに押し付けられると、当該押し付けられたシート状圧力敏感部材130Bkの要素である感圧導電ゴム223を挟む電極222,224間の抵抗値が変化する。処理部110Bは、この抵抗値に関する情報を検出することで、シート状圧力敏感部材130BkがベッドBD等から受ける圧力変化を検出する。処理部110Bは、この抵抗値に関する情報を、無線通信で検出報告部140Bから受けると、シート状圧力敏感部材130Bkを装着している所定位置が、ベッドBD等から受ける押圧力を算出する。そして、処理部110Bは、頭部HPに装着されたシート状圧力敏感部材130B1,130B2,130B3が枕PWから受ける押圧力に基づいて、頭部HPの基準姿勢からの個別軸HA回りの回転を特定する。また、処理部110Bは、肩部APに装着されたシート状圧力敏感部材130B4,130B5がベッドBDから受ける押圧力に基づいて、胸部CPの基準姿勢からの個別軸CA回りの回転を特定する。また、処理部110Bは、腰部BPに装着されたシート状圧力敏感部材130B6,130B7がベッドBDから受ける押圧力に基づいて、腰部BPの基準姿勢からの個別軸BA回りの回転を特定する。さらに、処理部110Bは、この回転の特定とともに、頭部HP、胸部CP及び腰部BPが、ベッドBD等から受ける力の分布を特定する。このため、シート状圧力敏感部材130BkがベッドBD等から受ける押圧力を検出するという簡易な方法で、頭部HP、胸部CP及び腰部BPそれぞれの基準姿勢からの個別軸回りの回転の特定を行うとともに、頭部HP、胸部CP及び腰部BPがベッドBD等から受ける力の分布を特定することができる。この結果、各時点における人体HBの姿勢が検出される。
そして、処理部110Bは、頭部HP、胸部CP及び腰部BPそれぞれの回転の特定結果、並びに、頭部HP、胸部CP及び腰部BPがベッドBD等から受ける力の分布の特定結果の時間的変化を解析して、人体HBの姿勢が、仰臥位、側臥位、伏臥位等のどのような姿勢状態であるかを判定しつつ、人体HBの寝返りの態様を導出する。
したがって、本第2実施形態によれば、被検体である人体HBの各時点における姿勢を、簡易に、かつ、精度良く検出することができる。そして、検出された各時点の姿勢の時間変化に基づいて、人体HBの寝返り態様を導出することができる。
[第3実施形態]
次に、本発明の第3実施形態を、図13〜図16を主に参照して説明する。
<構成>
本第3実施形態にかかる姿勢検出装置100Cは、図13に示されるように、上述した第1実施形態の姿勢検出装置100Aと比べて、処理部110Aに代えて処理部110Cを備える点、シート状圧力敏感部材130A1,130A2,…,130A8に代えてシート状圧力敏感部材130C1,130C2,…,130C8を備える点、及び、検出報告部140Aを備えていない点が異なっている。以下、こうした相違点に主に着目して説明する。
上記の処理部110Cは、姿勢検出に関するデータ処理等を行う。この処理部110Cは、上述した処理部110Aと同様に、中央処理装置(CPU)及びその周辺回路から構成されている。また、処理部110Cは、無線通信で、検出報告部140Cとの間で情報のやり取りを行う。処理部110Cによる処理の詳細については、後述する。
上記のシート状圧力敏感部材130C1〜130C8のそれぞれは、図14(A),(B)に総合的に示されるように、上述したシート状圧力敏感部材130A1〜130A8と同様(図3(A),(B)参照)、人体HBの後頭部、両側頭部、両側肩部、両側腰部及び臍上部に装着されている。
このシート状圧力敏感部材130C1〜130C8のそれぞれは、上述したシート状圧力敏感部材130A1〜130A8と異なり、検出報告部と接続するための配線コードがつながれていない。その代りに、シート状圧力敏感部材130Ck(k=1,…,8)の内部には、検出報告手段としての検出報告部140Cが組み込まれるようになっている。
このシート状圧力敏感部材130Ck(k=1,…,8)の構成が、図15(A),(B)に総合的に示されている。ここで、図15(A),(B)における座標系(x,y,z)は、第1実施形態において定義した座標系(図4参照)である。この図15(A)に示されるように、シート状圧力敏感部材130Ckは、絶縁シート231と、圧力検知回路250Cと、スペーサ233,234と、絶縁シート235とを備えている。また、シート状圧力敏感部材130Ckは、導通介在部材237と、絶縁シート239とを備えている。
このシート状圧力敏感部材130Ckを構成する要素のうち、絶縁シート231は、シール等により後頭部等の所定位置に装着されている。そして、絶縁シート235が、人体HBの姿勢変化により、ベッドBD等と接触するようになっている。なお、シート状圧力敏感部材130Ckにおける外部にさらされる部分については、絶縁シート239により覆われるようになっている。
これらの要素のうち、絶縁シート231及び絶縁シート235のそれぞれは、x方向及びy方向に延びる長方形(又は、正方形)のシート状に形成されている。そして、シート状圧力敏感部材130CkがベッドBD等に押し付けられていない状態においては、絶縁シート231と絶縁シート235とは、z方向に関して所定の間隔をもって対向配置されるようになっている。
また、スペーサ233,234は、スポンジ等の変形自在な絶縁部材であり、それぞれ、上述したシートの−y方向と+y方向の両端部に配置され、シート状圧力敏感部材130CkがベッドBD等に押し付けられていない状態においては、絶縁シート231と絶縁シート235との間を、上記の所定の間隔を保つようになっている。
上記の圧力検知回路250Cの平面図が、図15(B)に示されている。この図15(B)に示されるように、圧力検知回路250Cは、表面に2つのアンテナコイルパターン252A,252Bが形成された配線基材251Cと、検出報告部140Cとを備えている。なお、図15(B)に示した線分A−Aを含むyz平面が、図15(A)に示されるシート状圧力敏感部材130Ckの断面となっている。
上記の検出報告部140Cは、動作電力が供給された場合に、自身の識別情報を継続的に発信する、いわゆるIC(Integrated Circuit)タグとして機能するようになっている。この検出報告部140Cは、配線基材251C上に搭載されるとともに、アンテナコイルパターン252A,252Bの一端が接続されている。そして、アンテナコイルパターン252Aとアンテナコイルパターン252Bとが電気的に導通している状態において、処理部110Cがアンテナ180を介して発信する無線信号に由来する動作電力が、検出報告部140Cに供給され、検出報告部140Cは、処理部110Cとの間で、無線通信を行うことができるようになっている。
なお、本第3実施形態では、無線通信においては、アンテナコイルパターン252A,252Bの指向性を問わない周波数帯域の無線信号、例えば、900MHz周波数帯の無線信号を利用するようになっている。
上記のアンテナコイルパターン252A,252Bは、それぞれの一端が検出報告部140Cと接続されている。このアンテナコイルパターン252A,252Bは、シート状圧力敏感部材130CkがベッドBD等に押し付けられていない状態では、電気的に導通しないようになっている。
上記の導通介在部材237は、アンテナコイルパターン252A,252B間を電気的に導通させるための導電性部材である。この導通介在部材237は、絶縁シート235の−z方向側のxy面に装着されている。
このように構成されたシート状圧力敏感部材130Ckが、人体HBの姿勢変化により、ベッドBD等に押し付けられているときの状態の一例が、図16に示されている。この図16に示されるように、絶縁シート235が、ベッドBD等に押し付けられると、スペーサ233及びスペーサ234の形状が変形して、導通介在部材237がアンテナコイルパターン252A,252Bと接触する。この結果、アンテナコイルパターン252Aとアンテナコイルパターン252Bとが、電気的に導通するようになっている。
図13に戻り、上記の処理部110Cは、アンテナコイルパターン252A,252B間が電気的に導通しているシート状圧力敏感部材130Ckに対して、動作電力を供給するとともに、無線通信で、当該シート状圧力敏感部材130Ckから検出報告部140C自身の識別子を受ける。そして、処理部110Cは、当該識別子に関する情報に基づく解析処理を行う。また、処理部110Cは、上述した処理部110Aと同様に、寝返り態様の解析処理のための操作案内画像を表示部160に表示させる。そして、操作部150から解析の開始指令が入力されると、処理部110Cは、寝返り態様の解析処理を開始する。
人体HBの各時点における姿勢を検出するために、処理部110Cは、無線通信により、アンテナコイルパターン252A,252B間が電気的に導通しているシート状圧力敏感部材130Ckから、当該シート状圧力敏感部材130Ckの内部に組み込まれた検出報告部140C自身の識別子を継続的に受ける。そして、処理部110Cは、識別子を受けたシート状圧力敏感部材130Ckについては、当該シート状圧力敏感部材130Ckが装着されている所定位置が、シート状圧力敏感部材130Ckを介して、ベッドBD等と接触していると判定する。引き続き、処理部110Cは、上述した処理部110Aと同様に、当該判定の結果に基づいて、人体HBにおける頭部HPの基準姿勢からの個別軸HA回りの回転、胸部CPの基準姿勢からの個別軸CA回りの回転、及び、腰部BPの基準姿勢からの個別軸BA回りの回転を特定する。
そして、処理部110Cは、頭部HP、胸部CP及び腰部BPそれぞれの個別軸回りの回転の特定結果に基づいて、各時点における人体HBの姿勢を検出する。引き続き、処理部110Cは、検出された人体姿勢の時間変化に基づいて、人体HBの寝返り態様を導出する。
また、処理部110Cは、上述した処理部110Aと同様に、人体HBの寝返り態様の導出結果から、表示部160に表示させるための表示信号を生成して、表示部160へ送る。
<動作>
以上のようにして構成された姿勢検出装置100Cの動作について、主に人体HBの姿勢検出処理に着目して説明する。
なお、本第3実施形態においても、人体HBの頭部HPの姿勢は枕PW上において変化し、肩部AP、胸部CP及び腰部BPの姿勢はベッドBD上において変化するものとする。
人体HBこの姿勢検出処理は、第1及び第2実施形態の場合と同様に、利用者が操作部150に、姿勢検出の開始指令を入力することにより開始する。処理部110Cは、当該開始指令を受けると、無線通信により、アンテナコイルパターン252A,252B間が電気的に導通しているシート状圧力敏感部材130Ckから、当該シート状圧力敏感部材130Ckの内部に組み込まれた検出報告部140Cの識別子を継続的に受ける。そして、処理部110Cは、識別子を受けたシート状圧力敏感部材130Ckについては、当該シート状圧力敏感部材130CkがベッドBD等から押圧力を受けている、すなわち、当該シート状圧力敏感部材130Ckを介して、当該シート状圧力敏感部材130Ckが装着されている所定位置とベッドBD等とが接触していると判定する。そして、処理部110Cは、この判定の結果に基づいて、第1実施形態の場合と同様に、人体HBにおける頭部HPの基準姿勢からの個別軸HA回りの回転、胸部CPの基準姿勢からの個別軸CA回りの回転、及び、腰部BPの基準姿勢からの個別軸BA回りの回転を特定する。
そして、処理部110Cは、特定結果の時間的変化を解析して、第1実施形態の場合と同様に、人体HBの仰臥位、側臥位、伏臥位の姿勢状態を特定しつつ、人体HBの寝返り態様を導出する。こうして解析された人体HBの寝返り態様の導出結果は、表示部160に表示される。
以上説明したように、本第3実施形態では、人体HBの後頭部、両側頭部、両側肩部、両側腰部及び臍上部に装着されたシート状圧力敏感部材130Ck(k=1,…,8)のいずれかが、人体HBの姿勢変化により、枕PWやベッドBDに押し付けられると、当該押し付けられたシート状圧力敏感部材130Ckの要素であるアンテナコイルパターン252A,252B間が電気的に導通する。アンテナコイルパターン252Aとアンテナコイルパターン252Bとが電気的に導通している状態において、シート状圧力敏感部材130Ckの内部に組み込まれた検出報告部140Cが、自身の識別子を継続的に、無線通信で、処理部110Cへ送る。処理部110Cは、シート状圧力敏感部材130Ckの識別子を受けると、当該シート状圧力敏感部材130Ckを介して、当該シート状圧力敏感部材130Ckが装着されている所定位置が枕PWやベッドBDと接触していると判定する。そして、処理部110Cは、頭部HPに装着されたシート状圧力敏感部材130C1,130C2,130C3についての接触及び非接触の判定の結果に基づいて、頭部HPの基準姿勢からの個別軸HA回りの回転を特定する。また、処理部110Cは、肩部APに装着されたシート状圧力敏感部材130C4,130C5についての接触及び非接触の判定の結果に基づいて、胸部CPの基準姿勢からの個別軸CA回りの回転を特定する。また、処理部110Cは、腰部BPに装着されたシート状圧力敏感部材130C6,130C7についての接触及び非接触の判定の結果に基づいて、腰部BPの基準姿勢からの個別軸BA回りの回転を特定する。このため、どのシート状圧力敏感部材が枕PW又はベッドBDに所定圧力以上の圧力で押し付けられているかという簡易な方法で、頭部HP、胸部CP及び腰部BPそれぞれの基準姿勢からの個別軸回りの回転の特定を行うことができる。この結果、各時点における人体HBの姿勢が検出される。
そして、処理部110Cは、頭部HP、胸部CP及び腰部BPそれぞれの回転の特定結果の時間的変化を解析して、人体HBの姿勢が、仰臥位、側臥位、伏臥位等のどのような姿勢状態であるかを判定しつつ、人体HBの寝返りの態様を導出する。
したがって、本第3実施形態によれば、被検体である人体HBの各時点における姿勢を、簡易に、かつ、精度良く検出することができる。そして、検出された各時点の姿勢の時間変化に基づいて、人体HBの寝返り態様を導出することができる。
[実施形態の変形]
本発明は、上記の実施形態に限定されるものではなく、様々な変形が可能である。例えば、以下の第1及び第2変形例への変形が可能である。
<第1変形例>
例えば、上記の第2実施形態の姿勢検出装置100Bでは、シート状圧力敏感部材130Bk(k=1,…,8)は、ベッドBD等から受ける押圧力に応じて抵抗値が変化する弾性ゴムを構成要素とすることとした(図9参照)。これに対して、第1変形例の姿勢検出装置として、シート状圧力敏感部の構成要素に、ベッドBD等から受ける押圧力に応じて静電容量値が変化する、例えば、誘電体ジェルを採用することができる。
第1変形例の姿勢検出装置は、第2実施形態の姿勢検出装置100Bと比べて、シート状圧力敏感部材130Bk(図9参照)に代えて、図17に示される構成のシート状圧力敏感部材130Dkを備えている。このシート状圧力敏感部材130Dkは、図17の断面図に示されるように、シート状に形成された絶縁シート241と、電極242と、誘電体ジェル243と、電極244と、絶縁シート245とを備えている。
ここで、シート状圧力敏感部材130Dkを構成する要素のうち、絶縁シート241は、シール等により後頭部等の所定位置に装着される。そして、絶縁シート245が、人体HBの姿勢変化により、ベッドBD等と接触するようになっている。また、電極242の端E3、電極244の端E4のそれぞれは、コードを介して、検出報告部140Dに接続されている。
このように、図17に示される構成のシート状圧力敏感部材130Dkを採用した場合においては、第2実施形態における検出報告部140B(図11参照)に代えて、図18に示される構成の検出報告部140Dを備えるようにすることができる。上記の検出報告部140Dは、図18に示されるように、検出報告部140Bと比べて、検出部141B1,141B2,…,141B8に代えて検出部141D1,141D2,…,141D8を備える点、直流電源142Bに代えて交流電源142Dを備える点、及び、報告部145Bに代えて報告部145Dを備える点が異なっている。
上記の検出部141Dk(k=1,…,8)は、図19に示されるように、上述した第2実施形態の検出部141Bkと比べて、検出用回路143Bに代えて検出用回路143Dを備える点が異なっている。この検出用回路143Dは、検出用回路143Bと比べて、抵抗素子263に代えてキャパシタ素子264を備える点が異なっている。なお、検出用回路143Dは、シート状圧力敏感部材130Dk及び交流電源142Dと一体となって、交流ブリッジ回路260Dを形成している。
上記の交流電源142Dの一方の端子は、抵抗素子261の一方の端子及び抵抗素子262の一方の端子と接続され、他方の端子は、キャパシタ素子264の一方の端子及びシート状圧力敏感部材130Dkの電極244(端E4)と接続されている。
抵抗素子261の一方の端子は、交流電源142Dの一方の端子及び抵抗素子262の一方の端子と接続され、他方の端子は、シート状圧力敏感部材130Dkの電極242(端E3)及び差動増幅回路144の一方の入力端子と接続されている。抵抗素子262の一方の端子は、交流電源142Dの一方の端子及び抵抗素子261の一方の端子と接続され、他方の端子は、キャパシタ素子264の他方の端子及び差動増幅回路144の他方の入力端子と接続されている。キャパシタ素子264は、静電容量値C1を有している。このキャパシタ素子264の一方の端子は、交流電源142Dの他方の端子及びシート状圧力敏感部材130Dkの電極244(端E4)と接続され、他方の端子は、抵抗素子262の他方の端子及び差動増幅回路144の他方の入力端子と接続されている。
図18に戻り、上記の報告部145Dは、上述した報告部145Bと同様に、不図示のアンテナ、マイクロプロセッサ等を備えて構成されている。この報告部145Dは、順次、検出部141Dk(k=1,…,8)からの増幅結果を受け、当該増幅結果をアナログ−デジタル変換した後、交流電源142Dの電圧値、抵抗素子261,262の抵抗値、及び、キャパシタ素子264の静電容量値に基づいて、シート状圧力敏感部材130Dkごとの誘電体ジェル243を挟む電極242,244間の静電容量値を算出する。引き続き、報告部145Dは、シート状圧力敏感部材130Dkごとの静電容量値の情報を、無線通信で、処理部110Dへ報告する。
そして、処理部110Dでは、シート状圧力敏感部材130Dkが装着されている人体HBの所定位置ごとに、シート状圧力敏感部材130Dkにおける電極242,244間の静電容量値から、所定位置がベッドBD等から受ける押圧力を算出する。引き続き、処理部110Dは、当該押圧力に基づいて、人体HBにおける頭部HPの基準姿勢からの個別軸HA回りの回転、胸部CPの基準姿勢からの個別軸CA回りの回転、及び、腰部BPの基準姿勢からの個別軸BA回りの回転を特定するとともに、頭部HP、胸部CP及び腰部BPが、ベッドBD等から受ける力の分布を特定する。
したがって、本第1変形例によれば、上記の第1〜第3実施形態と同様に、人体HBの各時点における姿勢を、簡易に、かつ、精度良く検出することができる。そして、検出された各時点の姿勢の時間変化に基づいて、人体HBの寝返り態様を導出することができる。
なお、本第1変形例では、押圧力の変化に応じて静電容量値が変化する誘電体ジェルを、シート状圧力敏感部材130Dkの構成要素として採用したが、押圧力の変化に応じて電圧値が変化する部材を構成要素として採用するようにしてもよい。
<第2変形例>
上記の第3実施形態の姿勢検出装置100Cでは、シート状圧力敏感部材130Ck(k=1,…,8)がベッドBD等から押圧力を受けて、アンテナコイルパターン252A,252B間が電気的に導通した際に、ICタグとして構成される検出報告部140Cが、自身の識別子を継続的に処理部110Cへ報告することとした。これに対して、第2変形例の姿勢検出装置として、シート状圧力敏感部の構成要素として、ベッドBD等から受ける押圧力に応じて抵抗値が変化する素子を更に含み、ICタグとして構成される検出報告部が、押圧力に応じて変化する抵抗値とともに、自身の識別子を継続的に処理部へ報告する構成を採用することができる。
第2変形例の姿勢検出装置は、第3実施形態の姿勢検出装置100Cと比べて、シート状圧力敏感部材130Ck(図15(A),(B)参照)に代えて、図20(A),(B)に示される構成のシート状圧力敏感部材130Ekを備えている。このシート状圧力敏感部材130Ekは、図20(A),(B)に総合的に示されるように、シート状圧力敏感部材130Ckと比べて、圧力検知回路250Cに代えて圧力検知回路250Eを備える点、及び、導通介在部材237を備えていない点が異なっている。なお、図20(B)に示した線分B−Bを含むyz平面が、図20(A)に示されるシート状圧力敏感部材130Ekの断面となっている。
上記の圧力検知回路250Eは、上述した第3実施形態の圧力検知回路250Cと比べて、配線基材251Cに代えて配線基材251Eを備える点、検出報告部140Cに代えて検出報告部140Eを備える点、及び、ピエゾ抵抗素子253を更に備える点が異なっている。
上記の配線基材251Eの表面には、アンテナコイルパターン252及び2つの配線パターン254,255が形成されている。なお、第2変形例におけるアンテナコイルパターンは、第3実施形態と比べて、2個のアンテナコイルパターン252A,252Bに代えて1個のアンテナコイルパターン252である点が異なっている。
上記の検出報告部140Eは、自身の識別情報及び付加情報を継続的に発信するICタグとして機能するようになっている。この検出報告部140Eは、配線基材251E上に搭載されている。また、検出報告部140Eには、アンテナコイルパターン252の両端が接続されるとともに、配線パターン254,255それぞれの一端が接続されている。
上記のアンテナコイルパターン252は、両端が検出報告部140Eと接続されている。また、上記のピエゾ抵抗素子253は、押圧力の変化に応じて抵抗値が変化する素子であり、配線パターン254,255それぞれの他端と接続されている。そして、ピエゾ抵抗素子253の抵抗値は、配線パターン254,255を介して、検出報告部140Eに報告されるようになっている。
このようにして構成されたシート状圧力敏感部材130Ekが、人体HBの姿勢変化により、ベッドBD等に押し付けられると、ピエゾ抵抗素子253の抵抗値が変化する。検出報告部140Eは、シート状圧力敏感部材130E1〜130E8に組み込まれたピエゾ抵抗素子の抵抗値を算出して、シート状圧力敏感部材130EkがベッドBD等から受ける圧力変化を検出する。そして、検出報告部140Eは、この検出結果を、無線通信で、処理部へ報告する。
そして、処理部では、シート状圧力敏感部材130Ekが装着されている人体HBの所定位置ごとに、検出された抵抗値から、所定位置がベッドBD等から受ける押圧力を算出する。引き続き、処理部は、当該押圧力に基づいて、人体HBにおける頭部HPの基準姿勢からの個別軸HA回りの回転、胸部CPの基準姿勢からの個別軸CA回りの回転、及び、腰部BPの基準姿勢からの個別軸BA回りの回転を特定するとともに、頭部HP、胸部CP及び腰部BPが、ベッドBD等から受ける力の分布を特定する。
したがって、本第2変形例によれば、上記の第1〜第3実施形態と同様に、人体HBの各時点における姿勢を、簡易に、かつ、精度良く検出することができる。そして、検出された各時点の姿勢の時間変化に基づいて、人体HBの寝返り態様を導出することができる。
なお、本第2変形例では、押圧力の変化に応じて抵抗値が変化するピエゾ抵抗素子を、シート状圧力敏感部材130Ekの構成要素として採用したが、押圧力の変化に応じて静電容量値や電圧値が変化する素子を構成要素として採用するようにしてもよい。
また、上記の第1〜第3実施形態、並びに、第1〜第2変形例では、8個のシート状圧力敏感部材を備えることとしたが、シート状圧力敏感部材の数を7個以下又は9個以上としてもよい。例えば、シート状圧力敏感部材の数を9個とする場合には、9個目のシート状圧力敏感部材を人体の背中の中央部分に装着するようにしてもよい。この場合には、後頭部に装着されたシート状圧力敏感部材と、背中の中央部分に装着されたシート状圧力敏感部とによる電気的特性に基づいて、仰臥位の姿勢状態を導出するようにしてもよい。
また、第2実施形態、並びに、第1及び第2変形例において、シート状圧力敏感部材を背中、臀部、踵等の部位に装着すれば、仰臥位の姿勢状態で、背中、臀部、踵等がベッド等から受ける力の分布を特定することができる。
また、上記の第1及び第2実施形態では、検出報告部は、臍下部に装着されることとしたが、人体の自由な姿勢変化の妨げとならない部分であれば、例えば、大腿の内側に装着するようにしてもよいし、又、臍上部に装着されたシート状圧力敏感部材と重ねるように装着するようにしてもよい。
また、上記の第2実施形態及び第2変形例では、シート状圧力敏感部材がベッドBD等から受ける押圧力に応じて変化する抵抗値を、検出報告部が、無線通信で、処理部へ報告することした。これに対して、検出報告部は、検出された抵抗値と所定閾値とを比較し、比較結果を、無線通信で、処理部へ報告するようにしてもよい。この場合に、所定閾値をシート状圧力敏感部材がベッド等に接触を開始したときの抵抗値に設定することで、処理部は、人体における所定位置が、シート状圧力敏感部材を介して、ベッドBD等と接触しているか否かを判定することができる。
なお、第1変形例において説明した押圧力に応じて変化する静電容量値に基づき、人体の姿勢を検出する場合においても、検出報告部が、検出された静電容量値と所定閾値とを比較し、比較結果を、無線通信で、処理部へ報告するようにしてもよい。この場合においても、所定閾値をシート状圧力敏感部がベッド等に接触を開始したときの静電容量値に設定することで、処理部は、人体における所定位置が、シート状圧力敏感部材を介して、ベッドBD等と接触しているか否かを判定することができる。
また、上記の第3実施形態では、シート状圧力敏感部材は、人体HBの姿勢変化により、シート状圧力敏感部材がベッド等に接触している状態時に、2つの電極間が電気的に導通するようにした。これに対して、シート状圧力敏感部材がベッド等に接触していないときに、2つの電極間が電気的に導通するように構成してもよい。この場合には、処理部は、識別子を受けたシート状圧力敏感部材については、ベッド等に接触していないと判定することになる。
また、第2実施形態における直流ブリッジ回路(図12参照)については、電極222,224間の抵抗値を検出するものであれば、他の回路構成であってもよい。また、第1変形例における交流ブリッジ回路(図19参照)についても、電極242,244間の静電容量値を検出するものであれば、他の回路構成であってもよいことは勿論である。
また、人体HBが寝返りを行わずに特定の姿勢を長時間続けるような場合には、処理部は、表示部等を利用して、介護者・看護者に対して、褥瘡を防止するための手立てを行うべき旨の警報する報知をするようにしてもよい。
また、上記の第1〜第3実施形態、並びに、第1〜第2変形例においては、人体の姿勢を検出する姿勢検出装置に本発明を適用したが、ロボットなどの運動体の姿勢を検出する姿勢検出装置にも本発明を適用することができる。