JP4720817B2 - 圧電アクチュエータ及び流体移送装置 - Google Patents

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Description

本発明は、圧電アクチュエータ、及びそれを用いた流体移送装置に関する。
従来、紙等の記録媒体に記録を行う記録装置として、例えばインクジェットヘッドを備えたインクジェットプリンタが知られている(例えば、特許文献1参照)。
特許第3128857号公報
このインクジェットヘッド420は、図24に示すように、図示外の駆動回路で発生した駆動電圧により駆動される圧電アクチュエータプレート421と、インクが通るためのインク流路を形成するキャビティプレート422と、インクを噴射するノズル424を備えたノズルプレート423とがそれぞれ上部、中間部及び下部に位置するように積層されて構成されている。キャビティプレート422は、上下に積層された3枚の層422a〜422cから構成されており、上側の層422aにはインクを収容するための圧力室430が、下側の層422cには圧力室にインクを供給するためのマニホールド(図示外)及び圧力室430をノズル424に連通する連通孔432が、中間部の層422bには圧力室430とマニホールドとを連通するための連通孔(図示外)及び圧力室430をノズル424に連通する連通孔431がそれぞれエッチング等によって形成されている。
また、圧電アクチュエータプレート421は、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)のセラミックス材料からなる圧電セラミックス材料からなり、圧電効果を有する複数の圧電セラミックス層440と、その層間に複数の内部電極445,446,447,448,449,450とを備えている。内部電極445〜450は、それぞれ圧力室430の中央部に対応する部分に設けられており、内部電極445〜450に挟まれた圧電セラミックス層440の部分は、内部電極445〜450に電圧が印加されることによりそれぞれ積層方向に伸長する活性部455,456,457,458,459となっている。そして、図25に示すように、圧電アクチュエータプレート421の任意の圧力室430aに対応する内部電極445〜450に電圧を印加すると、活性部455〜459に分極方向と平行な電界が生じ、活性部455〜459が積層方向に伸長して、圧力室430a内のインクに噴射のための圧力が付与される。
しかしながら、上記のような従来の技術では、図25に示すように、電極445〜450の平面形状がほぼ圧力室430の平面形状と対応しており、さらに上記のように積層することによって、圧電材料440の電極間に配置される部分の面積が大きくなり、静電容量が増えるので、圧電アクチュエータを高速駆動するための電流が大きくなり、エネルギ効率が悪くなるという問題があった。
また、インクを噴射する動作をした活性部455〜459が下に凸に変形することの反作用によって、圧力室430間の隔壁430cの上方部分を支点P1として隣接する圧力室430bの上方の圧電アクチュエータプレート421部分が上に凸となるように湾曲し、また、それと共に隔壁430cも圧力室430aに向け傾斜する力を受ける。このように、任意の圧力室430aにおいてインクを噴射する動作をすると、隣接する圧力室430bも容積変化しインクに圧力変動が生じて、その圧力室430bからインクを噴射するときに、インク液滴の噴射速度や体積がばらつく、いわゆるクロストークが生じることがあった。そして、そのために、インクジェットヘッド420の印字品質が悪くなるという問題点があった。
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、電極間に配置される圧電材料の面積を小さくしても圧電材料板に十分な変形量を付与することができ、アクチュエータの各圧力室に対応する部分の変形が、他の圧力室に対応する部分に影響を及ぼすのを防止し、印字品質を高くでき、エネルギ効率の良好な圧電アクチュエータ、及び流体移送装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、請求項1に係る発明の圧電アクチュエータは、圧電材料からなる板状体と、当該板状体を変形させるための電界を発生する複数の電極とを備え、前記板状体は、その面方向に対して実質的に直交する方向に変形する動作部分の略中央に対応する第1の部分と、その第1の部分の前記面方向両側に対称に位置する一対の第2の部分とを有し、前記複数の電極は、前記第1の部分においては配置されず、前記第2の部分において厚さ方向の一方に偏った部分を前記厚さ方向に挟むように対向配置され、その挟まれた部分は、前記電極の対向方向に分極されており、対向する前記電極間に発生した電界により、前記第2の部分において厚さ方向の一方に偏った部分を、それぞれ前記面方向に収縮させるものであり、その収縮にともない一対の前記第2の部分をそれぞれ湾曲変形させるとともにその変形した一対の前記第2の部分間の前記第1の部分を前記面方向に対して実質的に直交する方向に湾曲変形させるようにしたことを特徴とする構成となっている。
この構成の圧電アクチュエータでは、複数の電極による第2の部分の収縮にともない、それぞれ湾曲変形した一対の第2の部分間の第1の部分を、面方向に対して実質的に直交する方向に湾曲変形させることで、第1および第2の部分全体で大きい変形量を得ることができる。
また、このようにすることで、上記のように一対の第2の部分を湾曲変形させ、それにともない第1の部分も湾曲変形させることができる。また、請求項2に係る発明の圧電アクチュエータは、請求項1に記載の発明の構成に加えて、前記複数の電極は、前記板状体の前記挟まれた部分を厚さ方向に複数形成するように、厚さ方向に複数配置され、前記湾曲変形の内側に近い電極ほど前記面方向において大きいことを特徴とする構成となっている。このようにすることで、内側の電極ほど湾曲変形に寄与し、外側の電極では静電容量の低減に寄与できる。
また、請求項3に係る発明の圧電アクチュエータは、圧電材料からなる板状体と、当該板状体を変形させるための電界を発生する複数の電極とを備え、前記板状体は、その面方向に対して実質的に直交する方向に変形する動作部分の略中央に対応する第1の部分と、その第1の部分の前記面方向両側に対称に位置する一対の第2の部分とを有し、前記複数の電極は、前記第1の部分においては配置されず、前記第2の部分において厚さ方向の一方に偏った部分を前記面方向に挟むように対向配置され、その挟まれた部分は、前記電極の対向方向に分極されており、対向する前記電極間に発生した電界により、前記第2の部分において厚さ方向の一方に偏った部分を、それぞれ前記面方向に伸長させるものであり、その伸長にともない一対の前記第2の部分をそれぞれ湾曲変形させるとともにその変形した一対の前記第2の部分間の前記第1の部分を前記面方向に対して実質的に直交する方向に湾曲変形させるようにしたことを特徴とする構成となっている。この構成の圧電アクチュエータでは、複数の電極による第2の部分の伸張にともない、それぞれ湾曲変形した一対の第2の部分間の第1の部分を、面方向に対して実質的に直交する方向に湾曲変形させることで、第1および第2の部分全体で大きい変形量を得ることができる。また、このようにすることで、上記のように一対の第2の部分を湾曲変形させ、それにともない第1の部分も湾曲変形させることができる。
また、請求項4に係る発明の流体移送装置は、請求項1に記載の圧電アクチュエータの前記動作部分を流体収容室と対向配置し、前記第2の部分において前記複数の電極を前記流体収容室から遠い側の偏った位置に配置し、前記電界を発生する方向は分極方向と平行であって、前記電界が発生した部分を、それぞれ前記面方向に収縮させることにより、前記第1および第2の部分を流体収容室の容積を拡大する方向に変形し、その後、容積を縮小することで、当該流体収容室の流体を移送させることを特徴とする構成となっている。このようにすることで、請求項に記載の圧電アクチュエータを用い、流体収容室に生じた流体の圧力変動を利用して流体を移送することができる。
また、請求項5に係る発明の流体移送装置は、請求項3に記載の圧電アクチュエータの前記動作部分を流体収容室と対向配置し、前記第2の部分において前記複数の電極を前記流体収容室に近い側の偏った位置に配置し、前記電界を発生する方向は分極方向と平行であって、前記電界が発生した部分を、それぞれ前記面方向に伸長させることにより、前記第1および第2の部分を流体収容室の容積を拡大する方向に変形し、その後、容積を縮小することで、当該流体収容室の流体を移送させることを特徴とする構成となっている。このようにすることで、請求項3に記載の圧電アクチュエータを用い、流体収容室に生じた流体の圧力変動を利用して流体を移送することができる。
以上説明したように、請求項1に係る発明の圧電アクチュエータでは、複数の電極による板状体の収縮にともない、それぞれ湾曲変形した一対の第2の部分間の第1の部分を、面方向に対して実質的に直交する方向に湾曲変形することができる。従って、板状体の一部に電極を配置するだけでそれよりも広い部分の板状体を湾曲変形させることができるので、静電容量を小さくし、エネルギ効率を上げることができる。
また、第2の部分において厚さ方向に対向する電極間に発生した電界により、第2の部分において厚さ方向の一方に偏った部分を、それぞれ面方向に収縮させることができる。従って、一対の第2の部分が湾曲変形するのにともない、その間の第1の部分も湾曲変形させることができる。
また、請求項3に係る発明の圧電アクチュエータでは、第2の部分において面方向に対向する電極間に発生した電界により、第2の部分において厚さ方向の一方に偏った部分を、それぞれ面方向に伸長させることができる。従って、一対の第2の部分が湾曲変形するのにともない、その間の第1の部分も湾曲変形させることができる。
また、請求項4に係る発明の流体移送装置では、請求項1に記載の圧電アクチュエータの第2の部分に電極を流体収容室から遠い側に配置し、第1および第2の部分を流体収容室の容積を拡大する方向に変形して、その後、容積を縮小するので、拡大した際に生じた流体の圧力変動を利用して効率よく流体を移送させることができる。従って、流体収容室の容積を拡大する場合にのみ板状体に電圧を印加して流体を移送できるので、安全性を高くし、エネルギ効率をよくすることができる。
また、請求項5に係る発明の流体移送装置では、請求項3に記載の圧電アクチュエータの第2の部分に電極を流体収容室に近い側に配置し、第1および第2の部分を流体収容室の容積を拡大する方向に変形して、その後、容積を縮小するので、拡大した際に生じた流体の圧力変動を利用して効率よく流体を移送させることができる。従って、流体収容室の容積を拡大する場合にのみ板状体に電圧を印加して流体を移送できるので、安全性を高くし、エネルギ効率をよくすることができる。
以下、本発明を具体化した第1の実施の形態について、図面を参照して説明する。まず、図1を参照して、圧電アクチュエータを備えた流体移送装置の一例であるインクジェットヘッド100を搭載したインクジェットプリンタ101の構造について説明する。図1は、インクジェットプリンタ101の要部の斜視図である。
図1に示すように、インクジェットプリンタ101は、被記録媒体である用紙111を搬送する用紙搬送手段としてのプラテンローラ110と、インクが充填されるインクカートリッジ116およびプラテンローラ110上にセットされる用紙111に印刷するためプラテンローラ110と対向する位置に配置されたインクジェットヘッド100が搭載されるキャリッジ118とを備えている。プラテンローラ110は、軸112によりフレーム113に回転可能に取り付けられており、モータ114によって回転駆動される。キャリッジ118は、プラテンローラ110の軸線に平行に配設された2本のガイドロッド120に摺動可能に支持されるとともに、一対のプーリ122に巻きかけられたタイミングベルト124に接合されている。そして、一方のプーリ122がモータ123によって正逆回転駆動されることでキャリッジ118がプラテンローラ110に沿って往復移動されるようになっている。
用紙111は、インクジェットプリンタ101の側方に設けられた給紙カセット(図示外)から給紙され、インクジェットヘッド100とプラテンローラ110との間に搬送されて、インクジェットヘッド100から噴射されるインクにより所定の印刷がなされ、その後、排紙される。尚、図1において、用紙111の給紙機構および排紙機構の図示を省略している。
次に、図2〜図7を参照して、第1の実施の形態の圧電アクチュエータ50を備えたインクジェットヘッド100の構造について説明する。図2は、インクジェットヘッド100の分解斜視図である。図3は、キャビティプレート10の分解斜視図である。図4は、図2に示す1点鎖線A−A’における矢視方向からみたキャビティプレート10の要部を拡大した分解断面斜視図である。図5は、図2に示す1点鎖線B−B’における矢視方向からみた圧電アクチュエータ50の要部を拡大した分解断面斜視図である。図6は、図2に示す1点鎖線C−C’における矢視方向からみたキャビティプレート10および圧電アクチュエータ50の部分断面図である。図7は、図2に示す1点鎖線D−D’における矢視方向からみたキャビティプレート10および圧電アクチュエータ50の部分断面図である。
図2に示すように、インクジェットヘッド100は、複数枚の積層型のキャビティプレート10と、キャビティプレート10に対して接着剤または接着シートを介して接着・積層されるプレート型の圧電アクチュエータ50と、その上面に、外部機器との電気的接続を行うためのフレキシブルフラットケーブル40とが接着剤にて重ね接合されて構成されており、最下層のキャビティプレート10の下面側に開口されたノズル15(図3参照)から下向きにインクが噴射するようになっている。
次に、図3に示すように、キャビティプレート10は、ノズルプレート11と、二枚のマニホールドプレート12と、スペーサプレート13と、ベースプレート14との五枚の薄い金属板をそれぞれ接着剤にて重ね積層した構造となっている。これらの各プレート11〜14は、例えば42%ニッケル合金鋼板(42合金)製で、50μm〜150μm程度の厚さを有している。
また、図4,図6,図7に示すように、ベースプレート14には、長手方向の中心線14a,14bに対して直交する方向に延びる細幅の複数の圧力室16が千鳥状配列で穿設されている。各圧力室16の間は隔壁14cによって隔てられている。また、各圧力室16に対応して、それぞれの圧力室16よりもベースプレート14の短手方向の両端側の位置にインク供給孔16bがそれぞれ穿設されており、その間に凹設された絞り部16dによって、各圧力室16と各インク供給孔16bとがそれぞれ接続されている。各インク供給孔16bは、スペーサプレート13の短手方向における左右両側部位に穿設された各インク供給孔18を介して、マニホールドプレート12における共通インク室12aに連通している。ここで、各絞り部16dにおけるインクが流れる方向と直交する断面積は、各圧力室16における断面積より小さい構造となっている。これは、絞り部16dの断面積を小さくすることにより、流路抵抗を増すためである。また、各圧力室16の一端部16aは、ノズルプレート11における千鳥状配列のノズル15に、スペーサプレート13および二枚のマニホールドプレート12に、同じく千鳥状配列で穿設されている微小径の貫通孔17を介して連通している。尚、圧力室16が、本発明における「流体収容室」である。
そして、図3,図6,図7に示すように、ベースプレート14およびスペーサプレート13には、インクカートリッジ116からインクをマニホールドプレート12における共通インク室12aに供給するためのインク供給孔19a,19bが、それぞれ穿設されている。二枚のマニホールドプレート12には、ノズルプレート11における複数のノズル15のなす列を挟み、共通インク室12aが長手方向に沿って2つ設けられている。共通インク室12aは各マニホールドプレート12に貫通して形成されている。この共通インク室12aは、ベースプレート14における複数の圧力室16がなす面と平行な面内に位置し、かつ、この複数の圧力室16よりも、ノズルプレート11側に、複数のノズル15がなす列方向に長く延びるように、二枚のマニホールドプレート12に設けられている。
また、共通インク室12aは、インク供給孔19a,19bから離れた端部(C部)において、インク供給孔19a,19bから離れる方向に、その断面積が一定割合で減少する形状である。これは、共通インク室12aの端部(C部)に溜まりやすい残留気泡を排出しやすいようにするためである。この共通インク室12aは、二枚のマニホールドプレート12に対するノズルプレート11およびスペーサプレート13の積層により密閉される構造になっている。
ノズルプレート11には、微小径、例えば25μm程度の複数のインク噴射用のノズル15が、ノズルプレート11における長手方向の中心線11a,11bに沿って、微小ピッチPの間隔で千鳥状配列で穿設されている。そして、それぞれのノズル15は、マニホールドプレート12の貫通孔17のそれぞれに対応している。尚、ノズル15が、本発明における「噴射孔」である。
次に、図5〜図7に示すように、圧電アクチュエータ50は、チタン酸ジルコン酸鉛系(PZT)の圧電セラミックス材料からなる6枚の圧電シート51,52,53,54,55,56を積層した構造である。これら圧電シート54〜56の各上面には、後述する各電極が、例えば導電性ペースト材料を使用したスクリーン印刷または導電材料の蒸着により形成される。尚、圧電シート51〜56からなる集合体が、本発明における「板状体」である。
圧電シート54,56の上面には、キャビティプレート10における各圧力室16毎に対応した複数の駆動電極24が、キャビティプレート10の平面方向における各圧力室16の面積分をそれぞれ覆うように、圧電シート54,56の長手方向に対して直交する方向に延びる電極として千鳥状配列に設けられている。この各駆動電極24は、それぞれ対応した圧力室16の外周部分に沿って配置されるように環状に形成されており、各駆動電極24の一端から延設された配線部24aは、圧電アクチュエータ50の表裏面50a,50bと直交する長手方向の左右側面50cにそれぞれ露出するように形成されている。
また、圧電シート53,55の上面には、複数の圧力室16に対して共通な接地電極としての複数のコモン電極25が、それぞれ駆動電極24と対応する位置に、同様に千鳥状配列に設けられている。この各コモン電極25は駆動電極24と同形状を有しており、それぞれのコモン電極25の一端から延設された配線部25aが、圧電シート53,55の長手方向の中央部分に延びる共通配線部25bにそれぞれ接続されている。そして、共通配線部25bの両端は、圧電シート53,55の長手方向の両縁端に沿って延設された共通配線部25cに接続され、この共通配線部25cの両端は、各駆動電極24の配線部24aと同様、左右側面50cに露出するように形成されている。
尚、電極28,29は、いわゆる捨てパターンの電極で、圧電シート53〜56の長手方向の両端に沿って各配線部24a,25aに対応する位置にそれぞれ設けられている。
また、圧電アクチュエータ50の左右側面50cには、各駆動電極24の配線部24aに対応する第1の凹み溝30と、コモン電極25の共通配線部25cの両端に対応する第2の凹み溝31とが、圧電シート51〜56の積層方向に延びるようにそれぞれ設けられている。各第1の凹み溝30内には、各駆動電極24と各捨てパターンの電極29とをそれぞれ電気的に接続する側面電極(図示外)が形成されている。同様に、第2の凹み溝31内には、各コモン電極25と各捨てパターンの電極28とをそれぞれ電気的に接続する側面電極(図示外)が形成されている。そして、図2に示すように、圧電アクチュエータ50の上面(積層された圧電シート56側)の上面には絶縁シート23が接着され、各側面電極がその絶縁シートの上面に設けられた電極26,27にそれぞれ接続される。すなわち、各駆動電極24は各電極26に、また、各コモン電極25は電極27にそれぞれ電気的に接続される。そして、各電極26,27が、フレキシブルフラットケーブル40のそれぞれ対応する接点(図示外)に接続される。尚、上記電極の引き出し方法のほか、圧電シートを積層方向に貫通する電気的なスルーホールを用いることもできる。
駆動電極24を有する圧電シート54,56と、コモン電極25を有する圧電シート53,55は交互に積層され、それらの圧力室16側にはさらに電極のないシート51,52が積層されて一体に焼成されている。そして、公知のようにコモン電極25をグランド(GND)に接続し、駆動電極24に分極用の高い正電圧を、電極26,27を介して印加することで、圧電シート54,55,56の積層方向において電極24,25間に挟まれた部分は、駆動電極24からコモン電極25に向かう方向Pに分極されている(図8参照)。
圧電アクチュエータ50の電極24,25は、平面方向からみて、図6、図7に示すように、圧力室16の外周に沿って環状に位置する。この圧電アクチュエータ50において、平面方向からみて電極24,25を有する部分を本発明における「第2の部分」Sとし、第2の部分Sに囲まれる部分を本発明における「第1の部分」Fとする。つまり、断面方向において第1の部分Fの両側に一対(実際には環状に連続しているが)の第2の部分Sが位置している。電極24,25は、各第2の部分Sの厚さ方向において圧力室16から遠い側に偏って位置している。圧電シート54,55,56の積層方向において電極24,25間に挟まれた部分は電圧の印加によって圧電効果の変形をする圧力発生部を構成し、第1の部分Fと第2の部分Sは、その圧力発生部の変形にもとづいて変形する1つの動作部分を構成する。
圧電アクチュエータ50は、1つの第1の部分Fとその両側の第2の部分Sからなる動作部分を圧力室16に対応させてキャビティプレート10と接合される。このとき、第1の部分Fに対して第2の部分Sの外側(つまり隣接する動作部分間)の下面部分が圧力室16間の隔壁14c上に固着される。隔壁14cは本発明の「固定部位」を構成する。
図6に示すように、初期状態において、駆動電極24とコモン電極25とはいずれもグランド(GND)に接続されており、すなわちその電位は0Vとなっている。また、共通インク室12aから供給されたインクで、圧力室16からノズル15の先端までインクで満たされている。
次に、図9に示すように、所定の印刷データに基づいて、1つの圧力室16に連通するノズル15からインクを噴射する場合には、その圧力室16に対応する部分の圧力発生部に駆動電圧が印加される。すなわち、コモン電極25をグランド(GND)に接続したまま、駆動電極24に、例えば20Vの駆動電圧が印加される。このとき、各駆動電極24と各コモン電極25との間の圧電シート54〜56の各部分は、図8に示すように、各分極方向Pと電界方向Eとが一致しているため、圧電縦効果によって分極方向Pに伸びようとするが、分極方向の厚さよりもそれと直交する面方向の寸法の方が十分に大きいため、圧電横効果によって面方向Hに大きく収縮する。
しかし、圧力発生部が面方向Hに収縮する一方、それと積層方向に隣接する圧電シート51〜53は電極に挟まれていないので変形せず、図9に示すように、第2の部分Sは全体として、圧力発生部側を凹として湾曲することになる。このとき、第2の部分Sは一方の外側を隔壁14cに固定されているので、第2の部分Sの湾曲は、第1の部分F側においてキャビティプレート10から離れる方向に大きく生じる。また、1つの圧力室16においてその外周寄りの一対の第2の部分Sの湾曲はその中央に対して対称に生じるので、第1の部分Fは、第2の部分Sの湾曲によって圧電アクチュエータの面方向に対して実質的に直交する方向に押し上げられながらその押し上げ方向に凸をなして湾曲する。つまり、第2の部分S、第1の部分Fともに、圧力室16の容積を増大する方向に湾曲する。その結果、圧力室16の内圧が減少して負圧となるため、共通インク室12aから圧力室16にインクが供給される。
このとき、圧力室16内では圧力波が発生する。そして、公知のように、圧力室16内で発生した圧力波が圧力室16の長手方向に片道伝搬する時間経過すると、圧力室16内の圧力が正に転ずるので、このタイミングに合わせて駆動電極24に印加されている電圧を解除し、0Vに戻す。すると、図10に示すように、圧電アクチュエータ50の圧力発生部が変形前の状態に戻り、第1および第2の部分F,Sも、もとの平坦な状態に弾性復帰する。
このとき、正に転じた圧力波による圧力と、圧電アクチュエータ50の復帰による圧力とが合成されることによって、比較的高い圧力が圧力室16に連通するノズル15付近に生じて、インク液滴150がノズル15から噴射される。本実施の形態のインクジェットヘッド100では、このような、いわゆる引き打ちを行うことが可能である。尚、上記の第1の実施の形態の圧電アクチュエータ50を構成する6枚の圧電シート51,52,53,54,55,56の内のキャビティプレート10側から三枚の圧電シート54,55,56は、圧電材料でなく、例えば、金属でも良い。
次に、図11を参照して、第2の実施の形態の圧電アクチュエータ50を備えたインクジェットヘッド100について説明する。尚、この実施の形態のインクジェットヘッド100のキャビティプレート10の構造は、第1の実施の形態において説明したものと同様である。
圧電アクチュエータ50は、前記実施の形態と同様に圧力室16に対応して第1の部分Fと一対の第2の部分Sを有する。この実施の形態においては、第2の部分Sは、圧電アクチュエータの厚さ方向において圧力室寄りの圧電シート51〜53間に電極24,25を有する。コモン電極25は、圧力室16の外周に沿って圧電シートの積層方向に各層間に配置されている。駆動電極24は、そのコモン電極25から内側に面方向に間隔をおいて、圧電シートの積層方向に各層間に配置されている。圧電シートの分極は、駆動電極24に高い正電圧を印加し、コモン電極25をグランド(GND)に接続することで、圧電シートの面方向Pに行われる。
このように駆動電極24とコモン電極25とが配置された圧電アクチュエータ50では、インクジェットプリンタ101の印刷時において、前記実施の形態と同様に、初期状態では駆動電極24とコモン電極25とはいずれもグランド(GND)に接続されている。そして、所定の印刷データに基づいて、1つの圧力室16に連通するノズル15からインクを噴射する場合に、コモン電極25をグランド(GND)に接続したまま、駆動電極24に駆動電圧が印加されると、内側の駆動電極24から外側のコモン電極25方向に分極方向Pと一致する電界Eが発生し、圧電縦効果によって圧電アクチュエータ50の面方向に配置された駆動電極24とコモン電極25との間の距離が伸びる。
このとき、電極の配置されていない圧電シート54〜56には変形が生じず、面方向に伸びようとする圧電シート51〜53との間でユニモルフ的な変形が発生する。すなわち、第2の部分Sにおいて、圧電シート54〜56側を内側方向とする湾曲が発生する。しかし、前記実施の形態と同様に、圧力室16の外周部分が固定されているので、第2の部分Sは、圧力室16の略中央側が上向きに大きく変形することになり、それにともない第1の部分Fも圧力室16から離れる方向に上向きに湾曲する。そして、駆動電極24に印加されている電圧が解除されると圧電アクチュエータ50がもとの平坦な状態に弾性復帰し、圧力室16内のインクに圧力が加えられることによってインクがノズル15から噴射される。
次に、図12を参照して、第3の実施の形態の圧電アクチュエータ50を備えたインクジェットヘッド100について説明する。本実施の形態の圧電アクチュエータ50は、第1の実施の形態の圧電アクチュエータ50の構成に加え、第1の部分Fには、厚さ方向において湾曲変形方向に偏った位置、すなわち圧力室16とは反対側の面に、切欠き57が形成されている。そして、この切欠き57の内面および圧電アクチュエータ50の表面に連続して導電材料を蒸着する等して接続電極58が形成されている。駆動電極24またはコモン電極25のいずれか一方から延びる配線がこの接続電極58に接続され、接続電極58を介して外部電源と接続される。
この切欠き57によって、第1の部分Fの厚みが圧力室16寄りの部分のみとなって、第1の部分Fにおける剛性が低下する。つまり第2の部分Sが変形によって第1の部分Fを湾曲させる際の抵抗が小さくなり、第2の部分Sの変形量が大きくなるとともに第1の部分Fの変形量も大きくなり、圧力室16の容積変化を大きくできる。尚、上記切欠きに代えて、第1の部分Fの一部に剛性の低い材料を使用したり、あるいは第1の部分Fの一部に中空の部分を形成することでも、上記のように圧電アクチュエータ50を変形しやすくできる。
次に、図13を参照して、第4の実施の形態の圧電アクチュエータ50を備えたインクジェットヘッド100について説明する。本実施の形態の圧電アクチュエータ50は、第1の実施の形態の圧電アクチュエータ50の構成に加え、第1の部分Fにはその圧電シート51〜56を貫通して微小径の貫通孔50dが穿設されている。そして、ノズルプレート11は、圧電アクチュエータ50の圧力室16とは反対側の表面50a側に接着され、各圧力室16に接続されているそれぞれの貫通孔50dに対応する位置に、ノズル15がそれぞれ穿設され、各圧力室16と連通されている。
本実施の形態では、圧電アクチュエータ50に電圧が印加された場合の圧電アクチュエータ50の変形動作については第1の実施の形態と同様であり、これと接合されているノズルプレート11のノズル15の開口部分もその変形にともなって変形し、圧力室16の容積を増大させる。そして、圧電アクチュエータ50が復帰することで、インクに圧力が加えられ、貫通孔50dを通ってノズル15からインクが噴射される。
図14は、第5の実施の形態を示すもので、基本的には第1の実施の形態と同様の構造を有するものであるが、電極24,25の幅を変えている。すなわち、図面において上、つまり湾曲変形の内側に近い電極24,25ほど面方向の幅W1を大きく、図面において下、つまり湾曲変形の外側の電極24,25ほど面方向の幅W2を小さくしている。圧力室16に対して電極24,25の外周側を厚さ方向(積層方向)に並んで配置し、圧力室16の内側方向に電極24,25の先端を階段状に配列している。
湾曲変形の内側に近い圧力発生部ほど面方向の収縮力を大きくする必要があるが、湾曲変形の外側に近い圧力発生部では収縮力は小さくてもよいので、このようにすることで、湾曲変形量を維持しながら、電極の全体の面積を小さくして静電容量をより一層小さくし、電流量を下げることができる。
次に、本発明の第6の実施の形態について、図15乃至図19を参照して説明する。図15は、インクジェットヘッド301を、圧力室の長手方向と略平行に切断した断面図であり、図16は、インクジェットヘッド301を、圧力室の配列方向に沿って切断した断面図であり、図17は、図16に示す圧電アクチュエータプレート305と圧力室310の一部分の拡大図である。図15及び図16に示すように、インクジェットヘッド301では、図6で説明した実施の形態と同様に圧電アクチュエータ306と、キャビティプレート307とからなる。
キャビティプレート307は、図6で説明したキャビティプレート10と基本的には同様の構造であるが、最上部の第1の層307aがベースプレート14に、第2の層307bがスペーサプレート15に、第3の層307cが2枚のマニホールドプレート12,12にそれぞれ対応する。第1の層307aには、隔壁310cによって隔てられた複数の圧力室310が形成され、第3の層307cには、マニホールド流路すなわち共通インク室315が形成されている。各圧力室310は、第2の層307bに設けられたインク供給孔312によって共通インク室315に接続され、また、第2の層307b及び第3の層307cに設けられた貫通孔311によって最下層のノズルプレート308のノズル309にそれぞれ接続されている。これら各室及び孔は、キャビティプレート10のそれと同様に機能する。
圧電アクチュエータ306は、図6で説明した圧電アクチュエータ50と基本的には同様に複数の圧電シート306a〜306f間に後述する各電極326〜340を挟んで積層した構造である。
本実施の形態では、圧電アクチュエータ306において各圧力室310の周辺部分(図15で圧力室310の長手方向両端部分及び図16で圧力室310の左右両端部分からなる環状の部分)に対応する部分(以下、「第2の部分」という。)305bに、電極327,328,326がその第1〜第4層306a〜306dの間に挟まれて設けられている。電極327,328は圧力室310の周辺に沿って環状をなしている。また、第2の部分305bに囲まれる各圧力室310の中央部分に対応する圧電アクチュエータ306の部分(以下、「第1の部分」という。)305aに、電極326,329,330がその第3〜第6層306c〜306fの間に挟まれて設けられている。圧電アクチュエータ306は、第1の部分305aに対して第2の部分305bの外側の部分で圧力室310間の隔壁310cに固着されている。
第1の部分305aの電極326,329,330は、圧電シート306a〜306cの積層方向に相互に対向した第1の電極グループ331を構成し、第2の部分305bの電極327,328,326は、圧電シート306d〜306fの積層方向に相互に対向した第2の電極グループ333を構成している。電極326は、第1の部分と第2の部分との両方に渡って延び、第1及び第2の電極グループ331,333に共通の共通電極として設けられている。
電極326〜330に挟まれる圧電シート306b〜306eの部分は、電極326〜330を図17に示すように積層方向に交互に正電源(+)とグランド(G)とに接続し、公知のように分極用の高電圧を印加することで、積層方向に交互の向き(矢印d方向)に分極される。そして、電極326〜330に挟まれた部分は、駆動電圧の印加によって変形する活性部337〜340を構成する。これにより、第1の部分305aは、圧電アクチュエータ306の圧力室310側に活性部339,340を有し、圧力室と反対側に不活性な層306a〜306cを有している。また、第2の部分305bは、圧電アクチュエータ306の圧力室310と反対側に活性部337,338を有し、圧力室側に不活性な層306d〜306fを有している。
そして、電極326〜330を図17に示すように分極時と同様に積層方向に交互に正電源(+)とグランド(G)とに接続し、分極時よりも低い駆動電圧を印加すると、活性部337〜340に分極方向dと平行な電界が生じ、活性部337〜340が積層方向と直交する方向、つまり各層の面と平行な方向に収縮する。一方、各部分305a,305bにおいて不活性な層は収縮しないので、第1の部分305aは、上方へ凸となるように湾曲すると共に、第2の部分305bは、下へ凸となるように湾曲する。その結果、圧力室310は、図18に示すように容積を広げ、共通インク室315からインクを吸引する。その後、各電極への電圧の印加を停止すると、圧電アクチュエータ306は、図16に示すように平坦な状態に復帰し、その復帰動作により、圧力室310内のインクに圧力を付与し、ノズル309からインク液滴を噴射する。尚、活性部337〜340は、上記収縮動作と同時に、分極方向dと平行な方向に伸長するが、圧電シートの積層数が少ないので、収縮量に比して伸長量はごく僅かであり、インクの噴射動作にはほとんど影響しない。
上記実施の形態において、仮に第2の部分305bに電極327,328が存在しない場合、図19に示すように、第1の部分305aの電極326,329,330への電圧の印加のみで圧力室310aの上方に対応する圧電アクチュエータ306の部分が一様に凸に湾曲することになり、従来の技術において説明したと同様に、その反作用で隔壁310cの上方の位置を支点P1として、隣接する圧力室310bに対応する圧電アクチュエータ306の部分が下方に凸に湾曲する。また、それに伴い圧力室間の隔壁310cも傾斜する。つまり、クロストークを生じることになる。
しかし、上記実施の形態では、凸に湾曲した第1の部分305aの両側で、それとは反対方向に第2の部分305bが凸に湾曲することで、第1の部分305aの変形に伴う反作用がほぼ打ち消され、隣接する圧力室310bに対応する圧電アクチュエータ306の部分、及び圧力室間の隔壁310cへの影響が抑えられる。従って、隣接する圧力室へのクロストークが少なくなり、噴射するインク液滴の速度や体積がほぼ均一になり、印字品質が向上する。
図20、図21は第7の実施の形態を示すものである。この実施の形態においては、第1の部分305aの電極370,371,372を、圧力室310とは反対側寄りの圧電アクチュエータ306の層間に配置し、第2の部分305bの電極372,373,374を、圧力室310寄りの圧電アクチュエータ306の層間に配置している。つまり、前記第6の実施の形態とは、圧電アクチュエータ306を上下逆にしたものである。この場合、電極370〜374に電圧を印加すると、図21に示すように、圧電アクチュエータ306が圧力室310側に湾曲するように、第1及び第2の部分がそれぞれ前記第6の実施の形態と上下逆であるが同様に変形し、インクに噴射圧力を付与する。
また、図22は、第8の実施の形態を示すものである。この実施の形態において、圧電アクチュエータ392は、2層の圧電シート393a,393bから構成される。両層間に共通の電極395が第1の部分392aと第2の部分392bとに渡って配置され、一方の層393bの第1の部分392aの外面に、共通の電極395の中央と対向する電極396が、他一方の層393aの第2の部分392bの外面に、共通の電極395の周辺部と対向する電極394が設けられている。第1の部分392aの電極395,396間に挟まれる層の部分399、及び第2の部分392bの電極394,395間に挟まれる層の部分397,398が、それぞれ第6の実施の形態と同様に分極されている。
そして、電極395と396との間、及び電極394と395との間に、駆動電圧を印加することで、各部分において電極間に挟まれた部分が層の積層方向と直交する方向に収縮し、電極間に挟まれていない部分が収縮しないから、第1の部分が凸に湾曲すると同時にその両側で第2の部分が反対方向に凸に湾曲することは、第6の実施の形態と同様である。図22の構成では、第6の実施の形態と同様に、圧力室310の容積を拡大してから圧電アクチュエータ392が復帰してインクを噴射するが、第7の実施の形態と同様に圧力室310の容積を縮小してインクを噴射するように構成することもできる。
第6から第8の実施の形態は、第1から第5の実施形態に比して、第1の部分の電極が追加されているから、その分だけ、静電容量が増加するが、図24で説明した構成に比して第1の部分及び第2の部分の不活性部分に電極がない分だけ静電容量を減少させ、電流量を下げることができる。
次に、図23を参照して、第9の実施の形態の圧電アクチュエータ50を備えたインクジェットヘッド100について説明する。尚、この実施の形態のインクジェットヘッド100のキャビティプレート10の構造は、第1及び第2の実施の形態において説明したものと同様である。
この第9の実施の形態の圧電アクチュエータ50は、前記実施の形態と同様に圧力室16に対応して第1の部分Fと一対の第2の部分Sとを有する。この第9の実施の形態においては、第1の部分Fは、圧電アクチュエータの厚さ方向において圧力室16から外側寄りの圧電シート54〜56間に電極24,25を有する。また、第2の部分Sは、圧電アクチュエータの厚さ方向において圧力室寄りの圧電シート51〜53間に電極24,25を有する。
また、第1の部分Fにおいては、駆動電極24は、圧力室16の中央に対向する位置の圧電シート54,55,56の各層間に配置され、また、コモン電極25は、その駆動電極24の圧電シートの面方向両側に間隔をおいて各々配置されている。この第9の実施の形態の圧電アクチュエータ50の第1の部分Fにおいては、圧電シート54,55,56の分極は、駆動電極24に高い正電圧を印加し、駆動電極24を挟んで配置されている一対のコモン電極25をグランド(GND)に接続することで、図23に示すP2方向に行われる。
また、第2の部分Sにおいては、駆動電極24は、圧力室16の外周に沿って圧電シート51,52,53の積層方向に各層間に配置されている。コモン電極25は、その駆動電極24から内側(圧力室16の中心方向側)に面方向に間隔をおいて、圧電シート51,52,53の積層方向に各層間に配置されている。圧電シート51,52,53の分極は、駆動電極24に高い正電圧を印加し、コモン電極25をグランド(GND)に接続することで、圧電シートの面方向P1に行われる。
このように駆動電極24とコモン電極25とが配置された圧電アクチュエータ50では、インクジェットプリンタ101の印刷時において、前記実施の形態と同様に、初期状態では駆動電極24とコモン電極25とはいずれもグランド(GND)に接続されている。そして、所定の印刷データに基づいて、1つの圧力室16に連通するノズル15からインクを噴射する場合に、コモン電極25をグランド(GND)に接続したまま、駆動電極24に駆動電圧が印加されると、第1及び第2の部分F,Sにおいてそれぞれ駆動電極24からコモン電極25方向に分極方向P1,P2と一致する電界Eが発生し、圧電縦効果によって圧電アクチュエータ50の面方向に配置された駆動電極24とコモン電極25との間の距離が伸びる。
このとき、一対の第2の部分Sは、第2の実施の形態(図11)と同様に、圧電シート54〜56側を内側方向とする湾曲を生じ、第1の部分Fを圧力室16から離れる方向に持ち上げる。同時に第1の部分Fも圧力室16側を内側として、圧力室16からさらに離れる方向に湾曲する。そして前記実施の形態と同様に、第2の部分の外周が、隔壁14c上に固定されているので、圧力室16の容積が拡大される。その後、駆動電極24に印加されている電圧が解除されると圧電アクチュエータ50がもとの平坦な状態に弾性復帰し、圧力室16内のインクに圧力が加えられることによってインクがノズル15から噴射される。
尚、本発明は、各種の変形が可能なことはいうまでもない。例えば、駆動電極24,コモン電極25,電極327,328,373,374,394の形状は環状でなくともよく、平行する2本の線状として配置したり、あるいはこれらの電極のうち圧電シートをはさんで対向する電極の一方を圧電シートの全面にわたって平面状に設けてもよい。また、圧力発生部によって湾曲変形される圧電アクチュエータの部分に対応する圧力室の位置は、その略中央部分でなくともよく、圧力室内のインクに圧力を加えられる位置であればよい。
また、本圧電アクチュエータ50は、インクジェットヘッドだけでなく、各種の流体を移送するためにも利用できることはいうまでもない。さらに、各実施の形態では、圧力室(流体収容室)の容積を拡大した後復帰させてインク(流体)に圧力を与えるようにしているが、容積を縮小することで圧力を与えるようにすることもできる。その際、例えば、キャビティプレート10に対して圧電アクチュエータ50を図において上下逆に設置することによって、容積を縮小することができる。また、各実施の形態において、圧電材料の伸長動作を収縮動作に変え、容積を縮小するようにすることもできる。
図1は、インクジェットプリンタ101の要部の斜視図である。 図2は、インクジェットヘッド100の分解斜視図である。 図3は、キャビティプレート10の分解斜視図である。 図4は、図2に示す1点鎖線A−A’における矢視方向からみたキャビティプレート10の要部を拡大した分解断面斜視図である。 図5は、図2に示す1点鎖線B−B’における矢視方向からみた圧電アクチュエータ50の要部を拡大した分解断面斜視図である。 図6は、図2に示す1点鎖線C−C’における矢視方向からみたインクジェットヘッド100の部分断面図である。 図7は、図2に示す1点鎖線D−D’における矢視方向からみたインクジェットヘッド100の部分断面図である。 図8は、圧電アクチュエータ50の一部拡大断面図である。 図9は、圧電アクチュエータ50に電圧を印加した場合の図6相当断面図である。 図10は、圧電アクチュエータ50への電圧の印加を終了した場合の図6相当断面図である。 図11は、第2の実施の形態のインクジェットヘッド100の部分断面図である。 図12は、第3の実施の形態のインクジェットヘッド100の部分断面図である。 図13は、第4の実施の形態のインクジェットヘッド100の部分断面図である。 図14は、第5の実施の形態のインクジェットヘッド100の部分断面図である。 図15は、第6の実施の形態のインクジェットヘッド301の圧力室310の長手方向に略平行な断面図である。 図16は、第6の実施の形態のインクジェットヘッド301の圧力室310の配列方向に沿った断面図である。 図17は、図16に示す圧電アクチュエータプレート305と圧力室310の一部分の拡大図である。 図18は、図16の圧電アクチュエータプレート305が変形した状態を示す断面図である。 図19は、図18の動作を説明するための参考図である。 図20は、第7の実施の形態のインクジェットヘッドの断面図である。 図21は、図20の圧電アクチュエータプレート305が変形した状態を示す断面図である。 図22は、第8の実施の形態をインクジェットヘッドの断面図である。 図23は、第9の実施の形態のインクジェットヘッド100の部分断面図である。 図24は、従来のインクジェットヘッド420の断面図である。 図25は、図24の圧電アクチュエータプレート421が変形した状態を示す断面図である。
14c 隔壁
15 ノズル
16 圧力室
24 駆動電極
25 コモン電極
50 圧電アクチュエータ
51〜56 圧電シート
57 切欠き
100 インクジェットヘッド
F 第1の部分
S 第2の部分
301 インクジェットヘッド
305 圧電アクチュエータプレート
305a 第1の部分
305b 第2の部分
306 圧電アクチュエータ
306a 第1層
306b 第2層
306c 第3層
306d 第4層
306e 第5層
306f 第6層
307 キャビティプレート
308 ノズルプレート
309 ノズル
310 圧力室
310c 隔壁
326,327,328,329,330 電極
331 第1の電極グループ
333 第2の電極グループ
337,338,339,340 活性部

Claims (5)

  1. 圧電材料からなる板状体と、当該板状体を変形させるための電界を発生する複数の電極とを備え、
    前記板状体は、その面方向に対して実質的に直交する方向に変形する動作部分の略中央に対応する第1の部分と、その第1の部分の前記面方向両側に対称に位置する一対の第2の部分とを有し
    記複数の電極は、前記第1の部分においては配置されず、前記第2の部分において厚さ方向の一方に偏った部分を前記厚さ方向に挟むように対向配置され、
    その挟まれた部分は、前記電極の対向方向に分極されており、対向する前記電極間に発生した電界により、前記第2の部分において厚さ方向の一方に偏った部分を、それぞれ前記面方向に収縮させるものであり、
    その収縮にともない一対の前記第2の部分をそれぞれ湾曲変形させるとともにその変形した一対の前記第2の部分間の前記第1の部分を前記面方向に対して実質的に直交する方向に湾曲変形させるようにしたことを特徴とする圧電アクチュエータ。
  2. 前記複数の電極は、前記板状体の前記挟まれた部分を厚さ方向に複数形成するように、厚さ方向に複数配置され、前記湾曲変形の内側に近い電極ほど前記面方向において大きいことを特徴とする請求項1に記載の圧電アクチュエータ。
  3. 圧電材料からなる板状体と、当該板状体を変形させるための電界を発生する複数の電極とを備え、
    前記板状体は、その面方向に対して実質的に直交する方向に変形する動作部分の略中央に対応する第1の部分と、その第1の部分の前記面方向両側に対称に位置する一対の第2の部分とを有し
    記複数の電極は、前記第1の部分においては配置されず、前記第2の部分において厚さ方向の一方に偏った部分を前記面方向に挟むように対向配置され、
    その挟まれた部分は、前記電極の対向方向に分極されており、対向する前記電極間に発生した電界により、前記第2の部分において厚さ方向の一方に偏った部分を、それぞれ前記面方向に伸長させるものであり、
    その伸長にともない一対の前記第2の部分をそれぞれ湾曲変形させるとともにその変形した一対の前記第2の部分間の前記第1の部分を前記面方向に対して実質的に直交する方向に湾曲変形させるようにしたことを特徴とする圧電アクチュエータ。
  4. 請求項1に記載の圧電アクチュエータの前記動作部分を流体収容室と対向配置し、前記第2の部分において前記複数の電極を前記流体収容室から遠い側の偏った位置に配置し、前記電界を発生する方向は分極方向と平行であって、前記電界が発生した部分を、それぞれ前記面方向に収縮させることにより、前記第1および第2の部分を流体収容室の容積を拡大する方向に変形し、その後、容積を縮小することで、当該流体収容室の流体を移送させることを特徴とする流体移送装置。
  5. 請求項3に記載の圧電アクチュエータの前記動作部分を流体収容室と対向配置し、前記第2の部分において前記複数の電極を前記流体収容室に近い側の偏った位置に配置し、前記電界を発生する方向は分極方向と平行であって、前記電界が発生した部分を、それぞれ前記面方向に伸長させることにより、前記第1および第2の部分を流体収容室の容積を拡大する方向に変形し、その後、容積を縮小することで、当該流体収容室の流体を移送させることを特徴とする流体移送装置。
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