以下、図面を参照して本発明の実施形態に係る撮像装置を説明する。但し、この実施形態に記載する構成要素、組み合わせ、種類、形状、その相対配置などは、特定的な記載が無い限り、この発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明に過ぎない。
図1は、本発明の実施形態に係る撮像装置の一例であるデジタルカメラ100の概略ブロック図である。同図において、デジタルカメラ100は、電源部110と本体部120より構成される。電源部110において、111はデジタルカメラ100に駆動電力を供給するための電池、112は電池111の端子間電圧を所定の動作電圧に変更し、安定化された出力電圧を出力する電圧変換手段であるDC−DCコンバータである。すなわち、電源部110からの出力電圧は、動作電圧として本体部120に含まれる複数の動作回路の各動作回路に供給される。
また113は信号制御回路、114はクロック切換回路、さらに115はクロック発生回路を示す。クロック切換回路114は、入力されるクロックを選択して出力する。信号制御回路113は、クロック切換回路114で選択したクロックを、任意の位相及びデューティ比に変更し、分周してクロック発生回路115に供給する。
一方、デジタルカメラ100の本体部120は、先に説明するように複数の動作回路を備える。ここでは、デジタルカメラとして本体部120が機能するために組み込まれている機能のブロックを動作回路と呼ぶ。すなわち、図1に示した例においては、以下に説明する4つである複数の動作回路を備える。すなわち、121はCPU、ROM、RAM等を含むシステム回路である。さらに122は、CCD等で構成される撮像素子、駆動回路、タイミングジェネレータ、相関二重サンプリング及びA/D変換を行うアナログ部等を含む撮像回路である。また123は、LCDの駆動回路及びLCDからなる表示回路であり、124は、撮影した画像を転送する通信回路である。また、各動作回路は夫々クロック発生回路125〜128を備える。
図1に示す電池111の端子間電圧は、電圧変換手段であるDC−DCコンバータ112で昇圧または降圧され、さらに安定化される。そして電源部110の出力電圧として、電源供給線130を介して、システム回路121、撮像回路122、表示回路123及び通信回路124へ動作電源として供給される。電圧変換手段であるDC−DCコンバータ112が独立したクロック発生回路115を備えるように、各動作回路も夫々異なるクロック発生回路125〜128を備える。
各動作回路は、システム回路121の制御に基づいて動作することになる。クロック発生回路115の電源クロックCLK1及びクロック発生回路125〜128のクロックCLK2〜CLK5は、システム信号線131のシステム制御信号とともに、クロック切換回路114へ供給されている。システム制御信号はシステム回路121より出力される。
図2は、クロック切換回路114の構成を示し、1141の第1スイッチ及び1142の第2スイッチから構成されている。第1スイッチ1141は、電源クロックCLK1及び第2スイッチ1142の出力を入力とし、システム制御信号に基づき、いずれかを選択して信号制御回路113に供給する。また第2スイッチ1142は、クロックCLK2〜CLK5を入力とし、システム制御信号に基づき、いずれかを選択して第1スイッチ1141に供給する。
システム回路121が、電圧変換手段であるDC−DCコンバータ112の非同期駆動を選択した場合は、第1スイッチ1141を切り換えて、DC−DCコンバータ112に接続されたクロック発生回路115よりの電源クロックCLK1を選択する。しかし、システム回路121で同期駆動が選択された際には、第1スイッチ1141を切り換え、第2スイッチ1142の出力が選択され、第2スイッチ1142で選択されたいずれかの動作回路のクロックが選択される。ここで、クロック切換回路114に入力されるクロックは、クロック発生回路125〜128で生成したクロックだけでなく、各動作回路を制御するための制御信号であってもよい。
次に、図3のフローチャート図及び各図を参照して本発明の実施形態に係る撮像装置の電源制御の動作を概略的に説明する。
まず、デジタルカメラ100の起動時の動作について説明する。図1に示さない操作部のデジタルカメラ100起動スイッチがオンすると、イネーブル信号が入りDC−DCコンバータ112が起動する。デジタルカメラ100起動スイッチが押された直後はDC−DCコンバータ112のみ起動している。そのため、図2の第1スイッチ1141の初期設定はDC−DCコンバータ112のクロック発生回路115の電源クロックCLK1を選択しており、非同期駆動を行う。この場合、DC−DCコンバータ112の駆動周波数として、変換効率を高くするために電池からの入力電圧と出力側の消費電流量を考慮して設計した周波数が予め設定されており、この周波数で駆動される。
処理の開始後、ステップS31で、動作モードが選択される。次に、ステップS32で、動作モードが撮影モードか否かが判定される。撮影モードであればステップS33に進み、撮影モードの種類の選択をする。次に、ステップS33での選択が静止画撮影であった場合にはステップS35に進み、静止画撮影に適した撮像クロックが選択される。しかし、静止画撮影でない場合には、ステップS37に進み、動画撮影に適した撮像クロックが選択される。
一方、ステップS32で、撮影モードでなかった場合はステップS39に進む。ステップS39では、再生時の動作である再生モードか否かが判定され、再生モードであればステップS40で再生モードの種類を選択後ステップS41に進み、表示クロックを選択する。また、ステップS39で再生モードでなければステップS43に進み、通信モードの種類が選択され、これに従い、ステップS44で適切な通信クロックが選択される。
かくして、ステップS36では静止画の撮影、ステップS38では動画の撮影、ステップS42では画像の再生およびステップS45ではデータの転送が実行されることになる。
すなわち、デジタルカメラ100のモードに応じて、システム回路121は、図示しないが回路選択部を含み、複数の動作回路から必要とする動作回路を選択する。回路選択部での選択に応じて制御信号を発生し、システム信号線131を介してクロック切換回路114に供給する。デジタルカメラ100は、モードに応じて、システム回路121の回路選択部で必要な動作回路のみを選択することで、無駄な電力の削減も可能となる。
上記のようなクロック信号の選択は、図2のクロック切換回路114でシステム制御信号に従って実行される。複数の動作回路のそれぞれの起動後は、図3のフローチャートに示す様に各動作モードに対応するクロックが選択可能となる。したがって、選択した動作モードに応じた各動作回路のクロックをシステム回路121から発生されるシステム制御信号で選択することになる。
システム回路121のCPUには、動作モードごとの各カメラ動作に対して、どの動作回路のクロックを選択するかを示すテーブルを予め用意しておく。図4はこのテーブルの一例を示す。各動作モードに対応したクロックの関係は、DC−DCコンバータ112の出力変動に最も影響を受ける動作回路であること、及びDC−DCコンバータ112の出力を変動させる大きな負荷変動を伴う動作回路である事を考慮し、選択する優先順位が決定される。特定の動作モードにおいて任意の動作が選択された場合、システム回路121は現在の動作モードと動作シーケンスとを判断し、テーブルから適切な動作回路のクロックを選択し、電源部110へシステム制御信号を出力する。
例えば図4に示す様に、撮影モードを選択した際には、撮影する画像に影響する電源電圧の変動の抑制を第一に優先させるため、撮像回路122のクロックCLK3にDC−DCコンバータ112の電源クロックCLK1を同期させる。あるいは、待機モードでは各動作回路が動作を行わず、負荷がほとんどないため、DC−DCコンバータ112の電源クロックCLK1を非同期駆動とし、さらにクロックの周波数を下げることで消費電力を減少させる。
クロック切換回路114では、常時、各動作回路のクロックが入力されており、システム回路121からのシステム制御信号に応じて、図2に示される第1スイッチ1141、第2スイッチ1142を切り換え、選択したクロックを信号制御回路113へ送る。システム回路121がDC−DCコンバータ112の非同期駆動を選択した場合は、第1スイッチ1141を切り換えてDC−DCコンバータ112の持つクロック発生回路115の電源クロックCLK1を選択する。また、同期駆動が選択された際には、第1スイッチ1141を切り換えることで第2スイッチ1142の出力が選択され、第2スイッチ1142によりいずれかの動作回路のクロックが選択される。ここで、クロック切換回路114に入力されるクロックは、クロック発生回路115、125〜128で生成したクロックだけでなく、各駆動回路を制御するための制御信号であってもよい。
DC−DCコンバータ112の電源クロックCLK1と、動作回路のクロックが同期すると動作回路のクロックがハイになり、負荷の変動が開始してから次にDC−DCコンバータ112の電源クロックCLK1がハイになるまでの時間が常に一定に保たれる。
先に図11で説明したように、T101の時点で動作回路が動作すると負荷が急激に増える。T102の点で、DC−DCコンバータ112の電源クロックCLK1が切り替わり、出力電圧のフィードバックが掛かる。T103の点で2度目の負荷変動が起きた時、T104でDC−DCコンバータ112に出力電圧のフィードバックが掛かる。DC−DCコンバータ112の電源クロックCLK1が動作回路のクロックに対して同期していない場合、1度目の負荷変動からDC−DCコンバータ112の出力変動が補正されるまでの時間のT102−T101は、2度目のT104−T103と一致しない。
一方、DC−DCコンバータ112の電源クロックCLK1が動作回路のクロックに対して同期している場合は、図5に示すようにT202−T201とT204−T203の時間が一定となる。このため、周期的に同じ負荷変動が繰り返される場合、DC−DCコンバータ112の出力電圧の変動が常に一定時間で一定変動となる。
このように、本発明の実施形態に係る撮像装置においては、デジタルカメラ100の各動作モードに応じてDC−DCコンバータ112の電源クロックCLK1を、本体部120の動作回路のクロックに同期させる様に構成している。これにより、DC−DCコンバータ112出力の変動時間と変動量を常に一定に保つことができる。また、変動量と時間を制御することで、DC−DCコンバータ112の出力変動に起因したノイズを回避し抑制することが容易となり、画質の良い撮影結果を得ることが出来る。
以下、本発明の実施形態に係る撮像装置の各動作モードでの動作を、さらに詳しく説明する。まず、静止画像及び動画像を撮影する撮影モードが選択された場合におけるクロック切換回路114でのクロックの選択について説明する。動作モードの切り換えが行われるとシステム回路121が選択中の動作モードを検知する。システム回路121は、撮影モードを選択していることを確認し、検知した撮影モードに対応した駆動周波数をCPU内に保存した図4で示すようなテーブルから選択する。そして、クロック切換回路114へクロックの選択のためのシステム制御信号を送り、これによりクロック切換回路114が第2スイッチ1142を撮像回路122からのクロックCLK3へ切り換える。
クロック切換回路114は、このように、入力されるクロックを選択して出力する。信号制御回路113は、クロック切換回路114で選択したクロックを、任意の位相及びデューティ比に変更し、分周してクロック発生回路115に供給する。
次に、本発明の理解を容易とするため、デジタルカメラ100で実行される撮影時の処理について簡単に説明する。撮像回路122を駆動する信号はタイミングジェネレータにより生成される。タイミングジェネレータは、撮像回路122のクロックCLK3とCPUからの垂直同期信号VD、水平同期信号HD信号を受けて撮像素子の水平転送部を駆動する水平転送駆動パルスを撮像素子に出力する。撮像素子はレンズを通し撮像素子上に結像した被写体画像を光電変換する。光電変換された撮像素子の出力信号は、相関二重サンプリングによりリセットノイズ及び低域雑音の抑圧処理を行い、その後AD変換回路でデジタル信号に変換される。
デジタル信号となった画像信号はCPUによりRAM上の任意の領域へ記録される。以上で画像信号の読み出しが終了する。画像信号の読み出し終了後、CPUは画像信号に現像処理を行い、任意の画像信号のフォーマットに従って再度RAM上の別の記録領域に記録する。この画像信号は次にCPUにより任意の順序で符号化部へ送られ、圧縮符号化処理を受けた後、RAM上の任意の記録領域に記録される。CPUはこの符号化データに対して決められたヘッダー及びフッターデータを付け、あらかじめ決められた画像フォーマットに従った形式でRAM上に記録する。以上で露光及び撮影動作が終了する。
先に説明したように、図10で示した撮像素子における水平転送時の負荷変動とDC−DCコンバータ112の出力電圧の変動波形を参照する。図10において、T301-T302の期間は、画像信号の水平ブランキング期間、T303-T304は画像信号のデータ読み出し期間である。水平ブランキング期間からデータ読み出し期間への切り替わり時には、DC−DCコンバータ112の出力電圧は、その急激な変動に追従できないためにT301のように大きく低下して再び上昇する所謂リンギング現象が発生する。この変動時間は負荷が容量性かインダクタ性かにより異なる。負荷が安定しているときは、DC−DCコンバータ112の出力電圧に変動はない。しかし、T302において負荷がゼロまで変動すると、DC−DCコンバータ112の出力電圧はその急激な変動に追従できないため大きく上昇して再び低下する所謂リンギング現象が発生する。このときは、水平ブランキング期間にあるため、撮影画像に対しては影響を与えない。
データ読み出し期間中に撮像素子の電源電圧が変動すると、光電変換する際の基準電圧が乱れる。これにより読み出し画像は電源電圧の変動を受け、光電変換時の画像データが変化してしまう。図10の301に示すDC−DCコンバータ112の出力電圧変動が画像信号へ加算されて現れることとなり、実際の画像データと比較して輝度の低下した画像となって現れ、画像の表示画面の片隅が暗く落ち込むこととなる。
撮像回路122のクロックCLK3に対して、DC−DCコンバータ112の電源クロックCLK1が非同期で駆動している場合、図10のT301〜T304における電圧変動の時間が変化する。T301で画像信号の読み出しが始まると、負荷の急激な増加によってDC−DCコンバータ112の出力電圧が低下する。その後、DC−DCコンバータ112の電源クロックCLK1がハイになる。するとDC−DCコンバータ112は出力電圧の変動を検知する。そしてPWMコンパレータによってスイッチング周期を変更し、出力電圧に対してフィードバックが掛かる。DC−DCコンバータ112の電源クロックCLK1が撮像回路122のクロックCLK3に対して非同期である場合、水平駆動パルスがハイになってから、電源クロックCLK1がハイになるまでの時間が、水平同期期間ごとに変化してしまう。そのため、DC−DCコンバータ112の出力変動時間及び変動量が水平期間ごとに異なる。
一方で、DC−DCコンバータ112の電源クロックCLK1を撮像回路122のクロックCLK3に同期させた場合、撮像回路122のクロックCLK3がハイになると同じタイミングでDC−DCコンバータ112の電源クロックCLK1もハイに遷移する。画像データの転送から、DC−DCコンバータ112内の同期整流回路の切り換えまでに掛かる時間が一定になる。そのため、図7に示すように読み出し時の電源電圧における変動が常に一定量、一定時間に保たれることとなる。DC−DCコンバータ112の出力電圧の変動量及び、変動時間が定まれば、画像信号をデジタル処理する際に、電源電圧の変動によるノイズ成分を除去する事が可能となる。
また特許文献2で開示されているように、負荷が変動する直前に擬似的な負荷に電流を流す事で急激な負荷変動を緩和し変動量を低減する。あるいは、図10において画像情報部分に現れてしまうリンギング現象を水平ブランキング期間にシフトすることでノイズを回避した画像読み出しの動作を実現する事が可能となる。
図6に、本発明の実施形態に係る撮像装置の撮影時の動作シーケンスを示す。図6の動作シーケンスでは、静止画を撮影する静止画撮影モードが選択された状態で、デジタルカメラ100を起動し撮影を行うまでの主だった動作を示す。さらに、その時にDC−DCコンバータ112のクロック切換回路114で選択されるクロックを示している。
デジタルカメラ100の電源スイッチが押され、DC−DCコンバータ112が駆動を開始すると、続いてシステム回路121が起動し、選択中の動作モードを検知する。システム回路121は、静止画撮影モードを選択していることを確認し、撮像回路122を起動させる制御信号をDC−DCコンバータ112へ送る。電子ファインダの使用を選択しているときは、表示回路123も起動する。DC−DCコンバータ112は、システム回路121からの制御信号を受け、各動作回路121〜124へ電源を供給する。
撮像回路122と通信回路124が起動すると、クロック切換回路114へ撮像回路122のクロック発生回路126のクロックCLK3、通信回路124のクロック発生回路128のクロックCLK5が入力される。続いてシステム回路121は、検知した動作モードに対応したクロックをCPU内に保存した図4に示すテーブルから選択する。そして、クロック切換回路114へクロックの選択のためのシステム制御信号を送り、クロック切換回路114が第2スイッチ1142により、撮像回路122のクロックCLK3へ切り換える。
次に、撮影時の処理について述べる。撮像素子を駆動する信号は、図示しないタイミングジェネレータにより生成される。タイミングジェネレータは、撮像回路122のクロックCLK3とCPUからの垂直同期信号VD、水平同期信号HD信号を受けて撮像素子の水平転送部を駆動する水平転送駆動パルスを撮像素子に出力する。撮像素子はレンズを通し撮像素子上に結像した被写体画像を光電変換する。光電変換された撮像素子の出力信号は、相関二重サンプリングによりリセットノイズ及び低域雑音の抑圧処理を行い、その後AD変換回路でデジタル信号に変換される。
デジタル信号となった画像信号は、CPUによりRAM上の任意の領域へ記録される。以上で画像信号の読み出しが終了する。画像信号の読み出し終了後、CPUは画像信号に現像処理を行い、任意の画像信号のフォーマットに従って再度RAM上の別の記録領域に記録する。この画像信号は次にCPUにより任意の順序で符号化部へ送られ、圧縮符号化処理を受けた後、RAM上の任意の記録領域に記録される。CPUはこの符号化データに対して決められたヘッダーおよびフッターデータを付加し、あらかじめ決められた画像フォーマットに従った形式でRAM上に記録する。以上で露光及び撮影動作が終了する。
通常はCPUの消費電力を抑えるため、システム回路121のクロックCLK2の周波数を下げて駆動を行っている。撮影動作内のCPUによる画像処理時には、処理速度を上げるためにCPUのクロック駆動周波数を高周波数へ変更する。この時、クロックの周波数の増加に伴いシステム回路121の消費電力が急増し、システム回路121の負荷変動がDC−DCコンバータ112の出力を変動させる。そこで、撮像素子からの画像信号の読み出しを終了後、DC−DCコンバータ112のクロックとして、システム回路121のクロックCLK2が選択される。
システム回路121のクロックCLK2に同期する事で、システム回路121の負荷増加からDC−DCコンバータ112の出力変動に補正がかかるまでの時間が一定なる。また、DC−DCコンバータ112の駆動周波数が高くなるため、出力電圧が安定するまでの制御時間が短くなり、DC−DCコンバータ112の出力変動が、他の動作回路へ与える影響を最低限に抑える事が可能となる。
画像信号の形式変換及びRAM上への記録が終了すると、システム回路121は撮像回路122のクロックCLK3を選択するシステム制御信号をクロック切換回路114へ送る。その後、DC−DCコンバータ112の電源クロックCLK1は、再び撮像回路122のクロックCLK3に同期して駆動される。
このように、動作モードに応じたクロックを選択し、DC−DCコンバータ112を駆動する。このとき、同一の動作モードにおいても、動作シーケンスによってDC−DCコンバータ112の電源クロックCLK1を適宜選択し、切り換え可能な構成となっている。
DC−DCコンバータ112の電源クロックCLK1と動作回路のクロックが同期すると、動作回路のクロックがハイになり負荷の変動が開始してから、次にDC−DCコンバータ112の電源クロックCLK1がハイになるまでの時間が常に一定に保たれる。このため、周期的に同じ負荷変動が繰り返される場合、図7に示すように、DC−DCコンバータ112の出力電圧の変動が常に一定時間であり、一定範囲内の変動となる。
次にデジタルカメラ100起動後に一定時間操作が行われない場合に、カメラ動作及び画像表示を停止する待機モードの動作について説明する。
デジタルカメラ100に対して、一定時間内にいずれの操作が行われないと、システム回路121は待機モードを選択する。この時、システム回路121はクロック切換回路114にDC−DCコンバータ112の電源クロックCLK1を選択するシステム制御信号を送る。システム制御信号を受け取ったクロック切換回路114は、図2の第1スイッチ1141を切り換え、DC−DCコンバータ112のクロック発生回路115からの電源クロックCLK1を選択する。
選択された電源クロックCLK1は、信号制御回路113で分周されて周波数を下げられたクロックを用いてDC−DCコンバータ112が駆動される。クロックの切り換えを確認すると、システム回路121のCPUは、DC−DCコンバータ112へ、撮像回路122、表示回路123、通信回路124への電源供給を停止する制御信号を送る。
制御信号を受けたDC−DCコンバータ112は、各動作回路に対する電源供給を停止し、待機モードになる。待機モードにおいては、各動作回路が動作を行わないため、消費電力が小さく、負荷変動も小さい。そこで、待機モードでは、DC−DCコンバータ112の電源クロックCLK1を非同期駆動に選択する。クロックの周波数が高いときはDC−DCコンバータ112の自己消費電力も高くなる。クロックの周波数を下げる事で消費電力を低減し、変換効率の高い動作を実現する事が可能となる。
再び、デジタルカメラ100にいずれかの操作がなされると、CPUはDC−DCコンバータ112へ本体部120の各動作回路への電源供給を開始する制御信号を送る。制御信号を受けたDC−DCコンバータ112は各動作回路へ電源供給を行い、起動した動作回路からのクロックCLK2〜CLK5がクロック切換回路114へ入力される。
電源部110の電源クロックCLK1の周波数を低くし、消費電力を低減する省電力モードでは、DC−DCコンバータ112の電源クロックCLK1を負荷である動作回路に対して非同期で駆動する。
DC−DCコンバータ112の電源クロックCLK1の周波数は、エネルギー変換効率に大きく影響する。変換効率を高くするためのクロックの周波数の最適値は、入力電圧や出力側の消費電流等の条件により変化し、同じ電子機器であっても、動作モードの違いにより消費電流値が変化する。このため、ある動作モードにおいて最適なクロックの周波数が、他の動作モードにおいては最適でないという状況が発生し、効率の悪い電池の使い方となる。
DC−DCコンバータ112を負荷の動作回路に対して非同期とされた電源クロックCLK1で駆動することにより、エネルギー変換効率を優先させた駆動が可能となる。
ここで、省電力モードにあっても、高精彩モード、高感度モードが選択された際は、DC−DCコンバータ112の電源クロックCLK1を撮像回路122のクロックCLK3に対して同期させる。
高感度モードにおいてISO感度を上げると、読み出し後のデータを増幅するゲインを大きくするため、ノイズも増幅される事となる。この時、通常の撮影時には撮像画像に表れなかったノイズが撮影した画像に現れる事となる。また、高精細モードでは、画素数が高く撮像素子の各画素あたりの光電蓄積量が低いために、一画素あたりのSN比が低下する。
そのため高感度モード及び高精細モードが選択されている場合は、省電力モードが設定されている場合でも、光電変換を行う直前に第1スイッチ1141を切り換え、第2スイッチ1142で撮像回路122のクロックCLK3を選択する。撮像素子の出力信号は光電変換され、相関二重サンプリングにより、リセットノイズ及び低域雑音の抑圧処理が施される。その後、AD変換回路でデジタル信号に変換されると、クロック切換回路114は、再びDC−DCコンバータ112の電源クロックCLK1を選択する。
DC−DCコンバータ112の電源クロックCLK1を撮像回路122のクロックCLK3と同期させる事で、画像の読み出し期間に対する電源ノイズの干渉期間を一意に定める事が可能となる。これにより、電源ノイズを回避し、より精度の高い画像情報を得る事ができる。
動画像を撮影する動画撮影モードでは、DC−DCコンバータ112の電源クロックCLK1を撮像回路122のクロックCLK3に同期させる。動画撮影時には音声の録音も同時に行う。この時、DC−DCコンバータ112のクロックの周波数が低いとDC−DCコンバータ112のスイッチング発振音が動画記録時の音声に録音されてしまう。そのため、撮像回路122のクロックCLK3が可聴領域以下の周波数にある場合、クロック切換回路114は第1スイッチ1141を切り換えて非同期駆動とする。すなわち、電源クロックCLK1を選択して、クロックの周波数を可聴領域より高い周波数に保つ。これにより、動画撮影中のDC−DCコンバータ112のスイッチングに起因したノイズを抑えることが可能となる。
撮影した画像及び動画を再生して表示する再生モードでは、DC−DCコンバータ112の電源クロックCLK1として表示回路123のクロックCLK4を選択する。再生モードでは、メモリーに記憶した画像情報を表示回路123の表示装置に表示させる。表示装置の制御回路を駆動するクロックCLK4を用いる事で、表示画像に対する電源電圧の変動を一定に保つ事が可能となる。これにより、ノイズの抑制や除去が容易になる。
ビデオ信号の様にアナログ信号を外部出力する際には、DC−DCコンバータ112の電源クロックCLK1の周波数を、外部接続される表示装置に応じた周波数に変更する。例えば、NTSC方式のコンポジット信号の出力を選択した場合、システム回路121で画像情報をビデオ信号へと変換する。外部出力を行う際には、生成したビデオ信号を出力バッファでフィルタリング、増幅した信号を外部の表示装置へと出力する。ビデオ信号を増幅する際、供給する電源が変動するとその負荷変動がビデオ信号へノイズとして乗る事となる。ここで、出力するビデオ信号の水平同期期間にDC−DCコンバータ112のクロックすなわち、スイッチング周期を重ねる事で、図示しないビデオ信号の画像処理回路から電源の負荷変動を回避させることが可能となる。これにより、電源ノイズの影響のない映像を出力する事ができる。
撮影モードにおいても、表示回路123を電子ファインダとして利用する事がある。この時、表示回路123にスルー表示させる画像に電源の変動に起因するノイズが現れることがある。このような場合には、必ずしも撮影モードにおいて撮像回路122のクロックCLK3を選択する必要は無い。撮影モードを選択した状態でも、表示回路123を電子ファインダとして利用する際には、表示回路123のクロックCLK4をクロック切換回路114で選択し、DC−DCコンバータ112を駆動する。これにより、表示回路123に表示される画像に乗る電源ノイズの影響を低減する事が可能となる。また、先に説明したように、静止画や動画像を記録する際には、撮影を行う直前にDC−DCコンバータ112の電源クロックCLK1として撮像回路122のクロックCLK3を選択する。
撮影画像データの転送を行う通信モードでは、DC−DCコンバータ112の電源クロックCLK1を、画像情報を転送する通信回路124のクロックCLK5に同期させる。撮影画像の外部への出力時には、受信装置に応じたクロックで撮影情報を転送する必要がある。
赤外線、無線LAN、ブルートュース等のワイヤレス通信を行う際には、DC−DCコンバータ112の電源クロックCLK1を負荷の動作回路に対して非同期で駆動してもよい。無線通信時の負荷の変動が大きくなるため、DC−DCコンバータ112の電源クロックCLK1の周波数を高くすることで、消費電流が増加した際の出力電圧の負荷変動を軽減する事ができる。
また、動画撮影や電子ビューファインダに表示されるスルー表示画像をリアルタイムに転送、表示させる場合には、撮像回路122のクロックCLK3を選択する。撮像回路122のクロックCLK3を選択する事で、DC−DCコンバータ112の出力変動を一定に保つ事が可能となり、撮影画像に乗るノイズを回避し、抑制する事が容易になる。
上記で説明した実施形態において、電源クロックCLK1の周波数を選択する際にDC−DCコンバータ112の回路構成上の動作限界周波数を上回ってしまう場合がある。この場合には、DC−DCコンバータ112の動作限界周波数以下まで、選択したクロックを信号制御回路113で分周する。そしてその信号で作られた電源駆動クロックでDC−DCコンバータ112を駆動すればよい。また、クロック切換回路114へ供給されるクロックは、各動作回路のクロック発生回路125〜128によって生成された周波数によるクロックに限られない。すなわち、各動作回路を駆動するためにパルスジェネレータ等によって分周された駆動パルス信号からつくられたクロックであってもよい。
また、クロック切換回路114へ供給される各動作回路のクロックは、デジタルカメラ100の起動後から終了時まで、常にクロックを供給しつづける必要は無い。任意に選択したデジタルカメラ100の動作モードにおいて、該動作モード内で使用するクロックのみを供給するだけでもよい。また、クロック切換回路114でクロックを選択する直前に、CPUからの制御信号を受けた後に該当する動作回路から供給されても良い。
クロック切換回路114へ供給されるクロックの数を減らす事で、回路内の不要輻射ノイズを低減する事が可能となる。
以上説明したように本発明では、デジタルカメラ100を駆動する動作モードに応じて、電源部110の電源クロックCLK1を選択できる構成にしている。特に動作モードの切り換えに応じてDC−DCコンバータ112のクロックを各動作回路のクロックに対して同期させることを選択できる構成とする。
消費電力を抑えることを目的とした省電力モードや待機モードでは、消費電力と変圧時の変換効率を優先させる。そのため、DC−DCコンバータ112を動作回路に対して非同期駆動することにより、設計時に定めた任意の周波数によるクロックでの駆動を選択し、変換効率の高い動作を実現することが出来る。
また、電源電圧の変動に弱い動作や、高い精度を求められる動作回路の駆動を行う際には、対象となる動作回路のクロックを選択してDC−DCコンバータ112の電源クロックCLK1を同期させる。これにより、対象となる動作回路の変動に伴う該DC−DCコンバータ112の出力変動時間及び変動量を一定に保つことが可能となり、負荷に対する出力変動の抑制や回避を容易にすることが出来る。
上記の説明では、電源クロックCLK1でDC−DCコンバータ112を駆動する説明となっているが、DC−DCコンバータ112は必ずしも電源クロックCLK1である必要はない。すなわち、DC−DCコンバータ112は電源クロックCLK1あるいは、先に説明したように、電源クロックを分周して周波数の下げられたクロックを含む電源駆動クロックで駆動することが可能である。
また、本発明は、前述した実施形態の機能を実現するソフトウェアのプログラムコードを記録した記憶媒体を、システムあるいは装置に供給することによっても実施可能である。すなわち本発明の目的は、そのシステムあるいは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU)が記憶媒体に格納されたプログラムコードを読出し実行することによっても達成される。この場合、記憶媒体から読出されたプログラムコード自体が前述した実施形態の機能を実現することになり、そのプログラムコードを記憶した記憶媒体は本発明を構成することになる。プログラムコードを供給するための記憶媒体としては、例えばフレキシブルディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、CD−R、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROMなどを用いることができる。
また、コンピュータが読出したプログラムコードを実行することで、前述した実施形態の機能が実現されるだけでなく、そのプログラムコードの指示に基づき、コンピュータ上で稼働しているOSなどが実際の処理の一部または全部を行いこともありうる。それにより、本発明は、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される場合も含まれる。
さらに本発明においては、記憶媒体から読出されたプログラムコードが、コンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書込まれて実施することも可能である。したがって、書込まれプログラムコードの指示に基づき、その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPUなどが実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される場合も含まれる。