JP4717022B2 - α線放出核種同定方法及びα線測定装置 - Google Patents

α線放出核種同定方法及びα線測定装置 Download PDF

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Description

本発明は、α線放出核種同定方法及びα線測定装置に係り、特に、α線放出核種を正確に同定し得るα線放出核種同定方法及びそのα線放出核種同定方法に用いられるα線測定装置に関する。
半田材料、配線材料、封止材料等には微量の放射性物質が含まれており、これらの材料からα線が放出される場合がある。これらの材料から放出されたα線は半導体素子の動作に影響を与え、いわゆるソフトエラーの要因となる。近時では、より信頼性の高い半導体装置を提供すべく、ソフトエラーに対する対策が極めて重要となっている。
ソフトエラーの生じにくい半導体装置を提供するためには、半導体装置を製造する際に用いられる材料に含まれる放射性物質を高精度に分析することが重要である。
従来より、試料から放出されるα線のエネルギーを半導体検出器を用いて測定することにより、試料に含まれているα線源(α線放出核種)を同定する技術が提案されている。α線放出核種から放出されるα線のエネルギーは、α線放出核種毎に異なっている。このため、α線のエネルギーを測定することにより、α線放出核種を同定することが可能である。
なお、α線のエネルギーを測定する技術は、特許文献1,2に開示されている。
特開平8−313639号公報 特開2004−301601号公報 特許第3741006号公報 B. Dorschel et al., "Track parameters and etch rates in alpha-irradiated CR-39 detectors used for dosemeter response calculation", Radiation Protection Dosimetry, Vol. 78, No. 3, p.205-212 (1998)
しかしながら、半導体検出器はノイズの影響を受けやすいため、試料から放出されるα線の線量率が0.002cph/cm程度より小さい場合には、α線のエネルギーを正確に測定することが困難であった。なお、cph/cmは、count per hour/cmの略であり、単位面積当たりの線量率を示す単位である。線量率とは、単位時間当たりの放射線の量のことである。cph/cmなる単位は、試料表面1cm当たりにおいて、1時間にいくつのα粒子が放出されるかを示す際に用いられる。よりソフトエラーの起こりにくい半導体装置を提供するためには、放出されるα線の線量率が0.002cph/cmより十分に小さい材料を用いることが要求される。このため、α線の線量率が十分に小さい材料を測定する場合であっても、α線放出核種を正確に同定しうる技術が待望されていた。
本発明の目的は、α線放出核種を正確に同定し得るα線放出核種同定方法及びそのα線放出核種同定方法に用いられるα線測定装置を提供することにある。
本発明の一観点によれば、固体飛跡検出器と試料とを重ね合わせた状態で放置する第1のステップと、前記固体飛跡検出器をエッチングすることにより、前記固体飛跡検出器に入射したα線の飛跡に応じたエッチピットを前記固体飛跡検出器に形成する第2のステップと、前記固体飛跡検出器に形成された前記エッチピット内に発光材料を埋め込む第3のステップと、前記固体飛跡検出器に励起光を照射し、前記エッチピット内の前記発光材料から放出される光の強度を光検出器を用いて検出し、前記エッチピット内の前記発光材料から放出される光の強度に基づいて、前記試料に含まれるα線放出核種を同定する第4のステップとを有し、前記第4のステップでは、開口部が形成された遮蔽板を前記固体飛跡検出器に対向するように配し、前記固体飛跡検出器を掃引しつつ、前記エッチピット内の前記発光材料から放出される光のうちの、前記開口部を通り抜ける光の強度を前記光検出器を用いて検出し、前記第4のステップでは、一の前記エッチピット内の一の前記発光材料から放出される光の一の強度に基づいて、前記α線放出核種を同定することを特徴とするα線放出核種同定方法が提供される。
また、本発明の他の観点によれば、試料から放出されるα線の飛跡に応じて形成されたエッチピット内に発光材料が埋め込まれた固体飛跡検出器に励起光を照射する励起光源と、前記固体飛跡検出器に対向するように配され、開口部が形成された遮蔽板と、前記エッチピット内の前記発光材料から放出される光の強度を検出する光検出器と、前記光検出器に接続され、前記エッチピット内の前記発光材料から放出される光の強度の分布を求める光強度分布測定手段とを有し、前記光検出器は、前記エッチピット内の前記発光材料から放出される光のうちの、前記開口部を通り抜ける光の強度を検出し、前記固体飛跡検出器を掃引する処理部を更に有し、前記固体飛跡検出器を掃引しつつ、前記開口部を通り抜ける光の強度を前記光検出器により検出し、前記光検出器は、一の前記エッチピット内の一の前記発光材料から放出される光の一の強度を検出することを特徴とするα線測定装置が提供される。
本発明によれば、エッチピット内に発光材料を埋め込み、エッチピット内に埋め込まれた発光材料から放出される光の強度を検出する。エッチピットに埋め込まれた発光材料から放出される光の強度は、α線放出核種によって異なる。このため、検出された光の強度と、予めα線放出核種毎に求められた光の強度とを対比することにより、α線放出核種を同定することができる。エッチピットに埋め込まれた発光材料から放出される光の強度に基づいてα線放出核種を同定するため、α線の線量率が十分に小さい材料を測定する場合であっても、α線放出核種を正確に同定することができる。
[第1実施形態]
本発明の第1実施形態によるα線放出核種同定方法及びそのα線放出核種同定方法に用いられるα線測定装置を図1乃至図8を用いて説明する。図1は、本実施形態によるα線測定装置を示す概略図である。
まず、本実施形態によるα線測定装置について図1乃至図5を用いて説明する。
図1に示すように、本実施形態によるα線測定装置は、固体飛跡検出器(Solid State Track Detector、SSTD)12に励起光22を照射する励起光源(図示せず)と;固体飛跡検出器12の下面側に配され、開口部24が形成された遮蔽板26と;開口部24を通過する光が入射される波長選択器30と;波長選択器30からの出力に基づいて光を検出する光検出器32と;光検出器32からの出力に基づいて光の強度の分布を求める光強度分布測定手段(ヒストグラム作成手段)34とを有している。
図1に示すように、固体飛跡検出器12の上方には、励起光22を照射する励起光源(図示せず)が設けられている。励起光源としては、例えば紫外透過フィルタを通過させた水銀ランプの光が用いられている。また、励起光源として、紫外透過フィルタを通過させたキセノン放電管の光を用いるようにしてもよい。また、励起光源として、紫外発光ダイオードを用いてもよい。励起光22が固体飛跡検出器12に照射される際のスポットサイズは、例えば10mm×10μm程度とする。
固体飛跡検出器12としては、例えばアリルジグリコールカーボネート(商標名:CR−39)より成る平板が用いられている。固体飛跡検出器12のサイズは、例えば90mm×90mm×1mmとする。なお、固体飛跡検出器12の内部には、例えば気泡(図示せず)が混入している場合もある。また、固体飛跡検出器12の表面には、例えば傷(図示せず)が形成されている場合もある。
α線等の重荷電粒子が絶縁性の固体中を通過すると、重荷電粒子の通路に沿って固体中の原子配列に歪みが生じ、荷電粒子の飛跡(放射線損傷)が形成される。飛跡が形成された固体を薬液を用いてエッチングすると、飛跡に沿って比較的速いレートでエッチングが進行し、光学顕微鏡で観測可能な蝕孔(エッチピット、Etch pit)が形成される。固体飛跡検出器とは、このような原理により放射線を検出し得る放射線検出器のことである。
固体飛跡検出器12のうちの試料10(図6参照)に対向していた面(図1(a)における上面)には、α線の通過に応じてエッチピット20が形成されている。
エッチピット20の深さや径は、α線のエネルギーによって異なる(非特許文献1参照)。エッチピット20の深さは、α線のエネルギーが大きくなるに伴って深くなる(非特許文献1の図6参照)。また、天然の放射性物質が放出するα線のエネルギーの範囲(4.2〜7.4MeV)においては、エッチピット20の径は、α線のエネルギーが大きくなるに伴って徐々に小さくなる(非特許文献1の図7参照)。
α線のエネルギーは、α線を放出する放射性物質の核種(α線放出核種)によって異なっている。例えば、α線放出核種が238Uの場合には、α線のエネルギーは4.195MeVであり、α線放出核種が235Uの場合には、α線のエネルギーは4.354MeVであり、α線放出核種が222Rnの場合には、α線のエネルギーは5.486MeVであり、α線放出核種が210Poの場合には、α線のエネルギーは5.305MeVであり、α線放出核種が232Thの場合には、α線のエネルギーは3.998MeVである。
このように、エッチピット20の深さや径はα線のエネルギーによって異なり、α線のエネルギーはα線放出核種によって異なる。このため、エッチピット20の深さや径は、試料に含まれるα線放出核種によって異なった値となる。従って、エッチピット20の体積も、試料に含まれるα線放出核種によって異なったものとなる。
エッチピット20内には、発光材料28が埋め込まれている。発光材料28としては、例えば蛍光材料が用いられている。かかる蛍光材料28としては、励起光と異なる波長の光を放出する蛍光材料を用いる。ここでは、例えば、励起光より長い波長の光を放出する蛍光材料28を用いる。好ましくは、ストークス・シフトが比較的大きく、発光量子効率の高い蛍光材料28を用いる。このようなストークス・シフトが比較的大きく、発光量子効率の高い蛍光材料28を用いると、蛍光材料28からは、励起光の波長から長波長側に大きくシフトした蛍光が発せられる。このような蛍光材料28としては、例えばローダミン6G、クマリン153等を挙げることができる。かかる蛍光材料28は、例えばレーザ色素として一般に用いられている。
図1においては、励起光と異なる波長の光を破線を用いた矢印で示している。図1は、エッチピット20に埋め込まれた発光材料28から、励起光22と異なる波長の光が放出されている状態を示している。
固体飛跡検出器12の下方には、開口部24が形成された遮光板26が設けられている。遮光板26のサイズは、例えば100mm×100mm程度とする。開口部24の形状は例えば長方形とし、開口部24の大きさは例えば10mm×10μm程度とする。
図2は、励起光が照射される箇所と開口部との位置関係を示す平面図である。励起光源から発せられる励起光22の光路に一致するように開口部24が配されている。励起光がエッチピット20内に埋め込まれた発光材料28に照射されると、発光材料28から励起光と異なる波長の光が発せられる。発光材料28から発せられる光は、遮光板26に形成された開口部24を通過する。発光材料28から発せられる光の強度は、エッチピット20内に埋め込まれた発光材料28の体積に応じた強度となる。エッチピット20の体積は、α線放出核種によって異なっている。このため、エッチピット20内に埋め込まれた発光材料28から発せられる光の強度は、試料に含まれるα線放出核種によって異なることとなる。
遮光板26の下方には、波長選択器30が設けられている。波長選択器30としては、例えばバンドパス・フィルタやモノクロメータ等が用いられている。波長選択器30は、特定の波長の光を選択的に検出するものである。波長選択器30は、発光材料28から発せられる光を選択的に検出し、発光材料28から発せられる光の強度に応じた大きさの信号を出力する。
波長選択器30には、光検出器32が接続されている。光検出器32は、波長選択器30からの出力に応じた大きさの信号を出力する。開口部24の上方領域にエッチピット20が位置した際には、発光材料28から発せられる光の強度に応じた大きさの信号が波長選択器30から出力され、波長選択器30から出力される信号に応じた大きさの信号が光検出器32から出力される。換言すれば、開口部24の上方領域にエッチピット20が位置した際には、エッチピット20内の発光材料28から発せられる光の強度に応じた大きさの信号が光検出器32から出力される。
光検出器32には、エッチピット20内の発光材料28から発せられる光の強度の分布を測定する光強度分布測定手段(ヒストグラム作成手段)34が接続されている。かかる光強度分布測定手段34としては、例えば、セイコー・イージーアンドジー株式会社製のマルチチャンネルアナライザ(型番:MCA7600)を用いることができる。光強度分布測定手段34は、エッチピット20内の発光材料28から発せられる光の強度の分布を測定するためのものである。具体的には、光強度分布測定手段34はエッチピット20内の発光材料28から発せられる光の強度の分布を示すヒストグラムを作成する。
図3は、光強度分布測定手段により作成されるヒストグラムの例を示す図である。横軸は、エッチピット20内の発光材料28から発せられる光の強度を示している。縦軸は、横軸の各区間に属する測定値の観測回数、即ち、度数を示している。
図3におけるTは、エッチピット20内の発光材料28から発せられる光の強度分布のピークに対応する光の強度を示している。上述したように、エッチピット20内の発光材料28から発せられる光の強度Tは、α線放出核種毎に異なった値となる。
なお、図3に示すように、極端に強度の弱い発光が観測される場合があるが、これは固体飛跡検出器12内の気泡(図示せず)に起因するものである。また、図3に示すように、極端に強度の強い発光が観測される場合もあるが、これは固体飛跡検出器12の表面に生じた傷(図示せず)に起因するものである。
図4は、含有されているα線放出核種が予め判明している試料を用いて得られた参照用のヒストグラム(その1)である。図5は、含有されているα線放出核種が予め判明している試料を用いて得られた参照用のヒストグラム(その2)である。
図4及び図5に示すように、含有されているα線放出核種が予め判明している試料を用いて、参照用のヒストグラムを予め作成しておく。
例えば、図4は、Xというα線放出核種が含有されていることが判明している試料を用いて得られた参照用ヒストグラムである。図4から分かるように、α線放出核種がXである場合には、エッチピット20内の発光材料28から発せられる光の強度はTP1となる。
また、図5は、Yというα線放出核種が含有されていることが判明している試料を用いて得られた参照用ヒストグラムである。図5から分かるように、α線放出核種がYである場合には、エッチピット20内の発光材料28から発せられる光の強度はTP2となる。
このような参照用ヒストグラムは、α線放出核種毎に予め求めておく。そして、α線放出核種毎に求められた参照用ヒストグラムに基づいて、発光材料28から発せられる光の強度TP1、TP2、・・・、TPnをα線放出核種毎に予め求めておく。
予めα線放出核種毎に求められた光強度TP1、TP2、・・・、TPnと、測定対象の試料に対して得られた光強度分布のピークに対応する光強度Tとを対比すれば、試料10に含まれるα線放出核種を同定することができる。
本実施形態によるα線測定装置は、図示しない処理部(制御回路)を有している。かかる処理部は、α線測定装置全体を制御するためのものである。処理部は、励起光源のオン・オフの制御、固体飛跡検出器12の掃引(移動)等を行う。
こうして、本実施形態によるα線測定装置が構成されている。
次に、本実施形態によるα線放出核種同定方法を図5乃至図8を用いて説明する。図6乃至図8は、本実施形態によるα線放出核種同定方法を示す工程図である。
測定対象となる試料10と固体飛跡検出器12とを用意する。試料10は、例えば、半田材料、電極材料、配線材料、封止材料等である。固体飛跡検出器12としては、上述したように、例えばアリルジグリコールカーボネート(商標名:CR−39)より成る平板を用いる。固体飛跡検出器12のサイズは、上述したように、例えば90mm×90mm×1mmとする。
次に、互いに重ね合わせた試料10と固体飛跡検出器12とをチャンバ14内に導入する(図3(a)参照)。試料10から放出されるα線が確実に固体飛跡検出器12内に入射するようにするため、試料10と固体飛跡検出器12とを互いに密着させることが望ましい。チャンバ14には、配管16を介して真空ポンプ18が接続されている。チャンバ14としては、例えばステンレス製のチャンバを用いる。固体飛跡検出器12の面のうちの試料10に接する側の面は、試料10から放出されるα線を検出する検出面として機能する。
次に、真空ポンプ18を用いてチャンバ14内の空気を排気し、チャンバ14内を真空状態にする。チャンバ14内の圧力は、例えば1×10−1Pa以下とする。
この後、チャンバ14内を真空状態に維持したまま、試料10と固体飛跡検出器12とをチャンバ14内に所定時間放置する。試料10と固体飛跡検出器12とをチャンバ14内に放置する時間は、例えば、数百時間から数千時間、即ち、数週間から数箇月程度とする。
所定時間が経過した後、試料10と固体飛跡検出器12とをチャンバ内14から取り出す。
次に、固体飛跡検出器12をエッチング液に浸漬する。エッチング液としては、例えば、NaOH溶液やKOH溶液を用いる。固体飛跡検出器12のうちのα線が入射した箇所(飛跡)においては、固体飛跡検出器12を構成する分子に化学変化が生じているため、α線が入射していない箇所と比較してエッチングが速い速度で進行する。このため、固体飛跡検出器12をエッチング液に浸漬すると、α線の飛跡が拡大され、α線の飛跡に応じたエッチピット(Etch Pit、蝕孔)20が固体飛跡検出器12表面に形成される(図3(b)及び図7(a)参照)。エッチピット20の直径や深さは、上述したようにα線放出核種によって異なる。なお、エッチング条件は、参照用ヒストグラム(図4、図5参照)を求める際に固体飛跡検出器12に対して行われたエッチング条件と同様とする。
次に、図7(b)に示すように、固体飛跡検出器12のうちの試料10に対向していた面(図7(b)における紙面上側の面)に、発光材料を塗布することにより発光材料膜28を形成する。発光材料としては、上述したように、例えば蛍光材料を用いる。かかる蛍光材料としては、上述したように、励起光と異なる波長の光を放出する蛍光材料を用いる。ここでは、励起光より長波長の光を放出する蛍光材料を用いる。好ましくは、ストークス・シフトが比較的大きく、発光量子効率の高い蛍光材料を用いる。このようなストークス・シフトが比較的大きく、発光量子効率の高い蛍光材料を用いると、励起光の波長から長波長側に大きくシフトした蛍光が発せられる。このような蛍光材料としては、上述したように、例えばローダミン6G、クマリン153等を挙げることができる。かかる蛍光材料は、例えばレーザ色素として一般に用いられている。
発光材料の塗布方法は、例えば以下の通りとする。例えば、発光材料を含む溶液を固体飛跡検出器12の表面に塗布し、この後、溶媒を蒸発させることによって、発光材料を塗布することが可能である。また、昇華法によっても、固体飛跡検出器12の表面に発光材料を塗布することが可能である。こうして、発光材料より成る発光材料膜28が形成される。
次に、蛍光材料膜28のうちの固体飛跡検出器12の表面に存在している部分をワイパー(図示せず)等を用いて拭き取る。かかるワイパーとしては、例えばクレシア株式会社製のワイパー(製品名:キムワイプ S−200)等を用いることができる。また、ワイパーとして、リントフリーペーパーを用いてもよい。
こうしてワイパー等を用いて固体飛跡検出器12の表面の蛍光材料膜28を拭き取ると、エッチピット内に発光材料28が残存する(図7(c)参照)。
次に、図8に示すように、励起光源から固体飛跡検出器12の上面側に励起光22を照射する。励起光源としては、例えば紫外透過フィルタを通過させた水銀ランプが用いられている。また、励起光源として、紫外透過フィルタを通過させたキセノン放電管の光を用いるようにしてもよい。また、励起光源として、紫外発光ダイオードを用いてもよい。このようにして励起光を照射すると、エッチピット内に埋め込まれた蛍光材料より成る発光材料から蛍光が放出される。本実施形態では、発光材料28として、励起光と異なる波長の蛍光が放出されるような蛍光材料が用いられているため、励起光と異なる波長の光が発光材料28から放出される。図8においては、励起光と異なる波長の光を破線を用いた矢印で示している。図8は、エッチピット20に埋め込まれた発光材料28から、励起光と異なる波長の光が放出されている状態を示している。
開口部24の上方領域にエッチピット20が位置した際には、発光材料28から発せられる光が波長選択器30に入射される。発光材料28から発せられる光が波長選択器30に入射されると、発光材料28から発せられる光の強度に応じた大きさの信号が波長選択器30から出力され、ひいては、発光材料28から発せられる光の強度に応じた大きさの信号が光検出器32から出力される。
固体飛跡検出器12をX方向、Y方向(図2参照)に適宜掃引すると、開口部24の上方領域にエッチピット20が位置する毎に、発光材料28から発せられる光の強度に応じた大きさの信号が光検出器32から光強度分布測定手段(ヒストグラム作成手段)34に入力される。そして、発光材料28から発せられる光の強度の分布を示すヒストグラムが光強度分布測定手段34により作成される(図3参照)。
次に、光強度分布測定手段34により作成されたヒストグラムに基づいて、試料に含まれているα線放出核種を同定する。
図4及び図5に示すような参照用ヒストグラムは、α線放出核種毎に予め求めておく。そして、α線放出核種毎に求められた参照用ヒストグラムに基づいて、発光材料28から発せられる光の強度TP1、TP2、・・・、TPnをα線放出核種毎に予め求めておく。
予めα線放出核種毎に求められた光強度TP1、TP2、・・・、TPnと、測定対象の試料に対して得られた光強度分布のピークに対応する光強度Tとを対比すれば、試料10に含まれるα線放出核種を同定することができる。
こうして、試料10から放出されるα線放出核種が同定される。
本実施形態によるα線放出核種同定方法は、エッチピット20内に発光材料28を埋め込み、エッチピット20内に埋め込まれた発光材料28から放出される光の強度を検出する。エッチピット20に埋め込まれた発光材料28から放出される光の強度は、α線放出核種によって異なる。このため、検出された光の強度と、予めα線放出核種毎に求められた光の強度とを対比することにより、α線放出核種を正確に同定することができる。
また、本実施形態によれば、エッチピット20に埋め込まれた発光材料28から放出される光の強度分布のピークに基づいてα線放出核種を同定するため、高精度かつ容易にα線放出核種を同定することができる。
(変形例)
次に、本実施形態によるα線放出核種同定方法及びそのα線放出核種同定方法に用いられるα線測定装置の変形例を図9を用いて説明する。図9は、本変形例によるα線放出核種同定方法及びα線測定装置を示す概念図である。
本変形例によるα線放出核種同定方法及びα線測定装置は、固体飛跡検出器12の側面に励起光22を照射することに主な特徴がある。
図9に示すように、固体飛跡検出器12の側方には、励起光22を照射する励起光源(図示せず)が配されている。
固体飛跡検出器12の側方に配された励起光源から励起光22を照射する場合にも、第1実施形態によるα線放出核種同定方法及びα線測定装置と同様に、励起光22と異なる波長の光が、エッチピット20内に埋め込まれた発光材料28の体積に応じた強度で放出される。
従って、本変形例によっても、α線放出核種を正確に同定することができる。
[第2実施形態]
本発明の第2実施形態によるα線放出核種同定方法及びそのα線放出核種同定方法に用いられるα線測定装置を図10乃至図12を用いて説明する。図10は、本実施形態によるα線測定装置を示す概念図である。図1乃至図9に示す第1実施形態によるα線放出核種同定方法及びα線測定装置と同一の構成要素には、同一の符号を付して説明を省略または簡潔にする。
本実施形態によるα線放出核種同定方法及びα線測定装置は、燐光を発する発光材料28aをエッチピット20に埋め込み、断続的に励起光を照射し、励起光の照射が中断されてから所定時間後における光を光検出器32により検出することに主な特徴がある。
本実施形態によるα線測定装置は、固体飛跡検出器12に励起光22aを断続的に照射する励起光源(図示せず)と;固体飛跡検出器12の下面側に配され、開口部24が形成された遮蔽板26と;開口部24を通過する光の強度を検出する光検出器32と;検出器32により検出された光の強度に基づいて、光の強度の分布を測定する光強度分布測定手段(ヒストグラム作成手段)34とを有している。
図10に示すように、固体飛跡検出器12の上方には、励起光22aを断続的に照射する励起光源(図示せず)が設けられている。励起光22aのオン・オフは、図示しない処理部(制御回路)により制御される。励起光源としては、第1実施形態と同様に、例えば紫外透過フィルタを通過させた水銀ランプの光が用いられている。なお、励起光源として、紫外透過フィルタを通過させたキセノン放電管の光を用いるようにしてもよい。また、励起光源として、紫外発光ダイオードを用いてもよい。励起光が固体飛跡検出器12に照射される際のスポットサイズは、第1実施形態と同様に、例えば10mm×10μm程度とする。
固体飛跡検出器12としては、第1実施形態と同様に、例えばアリルジグリコールカーボネートより成る平板が用いられている。
固体飛跡検出器12のうちの試料10(図6参照)に対向していた面(図10(a)における上面)には、α線の通過に応じてエッチピット20が形成されている。
エッチピット20内には、発光材料28aが埋め込まれている。発光材料28aとしては、例えば燐光材料を用いる。かかる燐光材料としては、例えば、イリジウム−フェニルピリジン錯体を用いることができる。燐光材料は、燐光を発する材料のことである。燐光とは、減衰時間が比較的短い蛍光に対して、長い残光を示す発光成分のことである。なお、燐光材料から発せられる燐光の波長と、励起光の波長との間には、あまり大きな波長の差はない。従って、発光材料として燐光材料を用いる場合には、第1実施形態で示したように励起光と異なる波長の光を検出することによってエッチピット20から放出される光の強度を検出することは困難である。ところが、燐光材料の場合には、放出される光の減衰時間が比較的長いため、励起光の照射を中断した一定時間後にも光を検出することが可能である。例えば、蛍光材料から発せられる光の減衰時間は数nsec程度であるのに対し、燐光材料から発せられる光の減衰時間は数msec程度である。従って、発光材料28aとして燐光材料を用いる場合には、励起光の照射を中断してから一定時間後における光を検出する。
開口部24の上方にエッチピット20が存在している場合には、図10(b)に示すように、励起光の照射を中断した一定時間後においても、発光材料28aの体積に応じた強度の光が光検出器32により検出される。一方、開口部24の上方にエッチピット20が存在していない場合には、励起光の照射を中断した段階で光検出器32により光が検出されなくなる。
光検出器32には、光強度分布測定手段34が接続されている。
光強度分布測定手段34は、光検出器32から出力される信号に基づいて、発光材料28から発せられる光の強度の分布を示すヒストグラムを作成する。
本実施形態によるα線測定装置は、図示しない処理部(制御回路)を有している。かかる処理部は、α線測定装置全体を制御するためのものである。処理部は、励起光源のオン・オフの制御、固体飛跡検出器12の掃引(移動)等を行う。
こうして、本実施形態によるα線測定装置が構成されている。
次に、本実施形態によるα線放出核種同定方法を図11及び図12を用いて説明する。図11及び図12は、本実施形態によるα線放出核種同定方法を示す工程断面図である。
まず、測定対象となる試料10と固体飛跡検出器12とを用意する工程から、所定時間が経過後に、試料10と固体飛跡検出器12とをチャンバ内14から取り出す工程までは、第1実施形態によるα線放出核種同定方法と同様であるので説明を省略する(図6参照)。
次に、図11(a)に示すように、第1実施形態によるα線放出核種同定方法と同様にして、固体飛跡検出器12をエッチング液に浸漬し、α線の飛跡を拡大させ、α線の飛跡に応じたエッチピット20を固体飛跡検出器12表面に形成する。
次に、図11(b)に示すように、固体飛跡検出器12のうちの試料10(図6参照)に対向していた面(図11(b)における上面)に、発光材料28aを塗布する。発光材料としては、例えば燐光材料を用いる。かかる燐光材料としては、例えば、イリジウム−フェニルピリジン錯体を用いることができる。
発光材料28aの塗布方法は、例えば以下の通りとする。例えば、発光材料を含む溶液を固体飛跡検出器12の表面に塗布し、この後、溶媒を蒸発させることにより、発光材料を塗布することが可能である。また、昇華法によっても、固体飛跡検出器12の表面に発光材料を塗布することが可能である。こうして、燐光材料より成る燐光材料膜28aが形成される。
次に、燐光材料膜28aのうちの固体飛跡検出器12の表面に存在している部分をワイパー等を用いて拭き取る。かかるワイパーとしては、第1実施形態によるα線放出核種同定方法と同様に、例えばクレシア株式会社製のワイパー(製品名:キムワイプ S−200)等を用いることができる。また、ワイパーとして、リントフリーペーパーを用いてもよい。
こうしてワイパー等を用いて固体飛跡検出器12の表面の燐光材料膜28aを拭き取ると、エッチピット20内に燐光材料28aが残存する(図11(c)参照)。
次に、図12(a)に示すように、励起光源から励起光22aを照射する。そうすると、エッチピット20に埋め込まれた燐光材料28aから、燐光材料28aの体積に応じた強度の光が放出される。
次に、図12(b)に示すように、励起光源からの励起光22aの照射を中断する。エッチピット20内には、減衰時間が比較的長い燐光材料28aが埋め込まれているため、励起光源からの励起光22aを中断した後においても、エッチピット20内に埋め込まれた燐光材料28aから光が放出され続ける。燐光材料28aから放出される光は光検出器32により検出される。光検出器32は、燐光材料28aから放出される光の強度に応じた大きさの信号を出力する。
光強度分布測定手段34は、励起光22aの照射が中断されてから所定時間経過した後に、光検出器32の出力信号を読み取る。ここでは、所定時間を例えば100μsecとする。光強度分布測定手段34が光検出器32の出力信号を読み取るタイミングの制御は、光強度分布測定手段34に接続された処理部(制御回路)により行われる。
固体飛跡検出器12をX方向、Y方向(図2参照)に適宜掃引しつつ、励起光22aの照射が中断されてから所定時間経過後の光検出器32の出力を光強度分布測定手段34に入力していくと、発光材料28aから発せられる光の強度の分布を示すヒストグラムが光強度分布測定手段34により作成される。
次に、光強度分布測定手段34により作成されたヒストグラムに基づいて、試料に含まれているα線放出核種を同定する。励起光22aの照射が中断されてから所定時間経過後にエッチピット内の発光材料から発せられる光の強度は、含有するα線放出核種が予め判明している参照用の試料を用いて、α線放出核種毎に予め求められている。このため、予めα線放出核種毎に求められた光強度と、測定された光強度分布のピークに対応する光強度とを対比することにより、試料10に含まれるα線放出核種を同定することができる。
こうして、試料10から放出されるα線放出核種が同定される。
本実施形態によるα線放出核種同定方法は、燐光材料28aをエッチピット20に埋め込み、断続的に励起光を照射し、励起光の照射が中断されてから所定時間後における光の強度を検出し、かかる光の強度に基づいてα線放出核種を同定することに主な特徴がある。本実施形態のように、エッチピット20に埋め込まれた燐光材料28aから放出される光の強度に基づいてα線放出核種を同定するようにしてもよい。
(変形例)
次に、本実施形態によるα線放出核種同定方法及びそのα線放出核種同定方法に用いられるα線測定装置の変形例を図13を用いて説明する。図13は、本変形例によるα線放出核種同定方法及びα線測定装置を示す概念図である。
本変形例によるα線放出核種同定方法及びα線測定装置は、固体飛跡検出器12の側面に励起光を照射することに主な特徴がある。
図13に示すように、固体飛跡検出器12の側方には、励起光22aを照射する励起光源(図示せず)が配されている。
固体飛跡検出器12の側方に配された励起光源から励起光22aを照射する場合にも、第2施形態によるα線放出核種同定方法及びα線測定装置と同様に、励起光を中断した後、所定時間後においても、エッチピット20内に埋め込まれた発光材料28aから光が放出される。
従って、本変形例によっても、α線放出核種を正確に同定することができる。
[第3実施形態]
本発明の第3実施形態によるα線放出核種同定方法及びそのα線放出核種同定方法に用いられるα線測定装置を図14及び図15を用いて説明する。図14は、本実施形態によるα線放出核種同定方法及びα線測定装置を示す概略図である。図1乃至図13に示す第1又は第2実施形態によるα線放出核種同定方法及びα線測定装置と同一の構成要素には、同一の符号を付して説明を省略または簡潔にする。
本実施形態によるα線放出核種同定方法及びα線測定装置は、励起光が照射される箇所に対してずらした箇所に光検出器32が配されており、固体飛跡検出器12のうちの励起光が照射された箇所が開口部24上に所定時間後に位置するように固体飛跡検出器12を掃引しながら、エッチピット20内の発光材料28aから放出される光を光検出器32により検出することに主な特徴がある。
まず、本実施形態によるα線測定装置を図14及び図15を用いて説明する。
図14(a)に示すように、固体飛跡検出器12の上方には、励起光22を照射する励起光源(図示せず)が設けられている。
固体飛跡検出器12の下方には、開口部24が形成された遮蔽板26が配されている。
図15は、励起光が照射される箇所と開口部との位置関係を示す平面図である。固体飛跡検出器12のうちの励起光が照射される箇所と開口部24の位置とは、互いに異なっている。即ち、励起光が照射される箇所に対してずらした箇所に開口部24が位置している。ここでは、励起光が照射される箇所と開口部24の箇所との間の距離は、例えば10μm程度とする。
開口部24の下方には、光検出器32が位置している。光検出器32は、開口部24を介して入射する光を検出する。光検出器32は、エッチピット20内の発光材料28aから放出される光の強度に応じた大きさの信号を出力する。
本実施形態では、固体飛跡検出器12のうちの励起光が照射された箇所が、開口部24上に所定時間後に位置するように、固体飛跡検出器12が掃引される。エッチピット20には燐光材料28aが埋め込まれているため、燐光材料28aへの励起光の照射が中断された後であっても、比較的長時間に亘って燐光材料28aから光が放出される。
光検出器32には、光強度分布測定手段34が接続されている。光強度分布測定手段34は、エッチピット20から放出される光の強度の分布を示すヒストグラムを作成する。
本実施形態では、励起光が照射される箇所に対してずらした箇所に光検出器32が配されているため、励起光を敢えて断続させず、連続照射する場合であっても、燐光材料28aから放出される光を検出することが可能である。
本実施形態によるα線測定装置は、図示しない処理部(制御回路)を有している。かかる処理部は、α線測定装置全体を制御するためのものである。処理部は、固体飛跡検出器12の掃引(移動)等を行う。
こうして、本実施形態によるα線測定装置が構成されている。
次に、本実施形態によるα線測定装置を用いたα線放出核種同定方法を図14及び図15を用いて説明する。
まず、測定対象となる試料10と固体飛跡検出器12とを用意する工程から、エッチピット内に燐光材料28aを埋め込む工程までは、図6及び図7を用いて上述した第1実施形態によるα線放出核種同定方法と同様であるので説明を省略する。
次に、図14(a)に示すように、励起光源により励起光22を照射しながら、固体飛跡検出器12を掃引する。励起光をエッチピット20に照射すると、エッチピット20に埋め込まれた燐光材料28aから光が放出される。また、固体飛跡検出器12内に混入した気泡32により励起光が散乱する。励起光が照射される箇所に対して開口部24の箇所がずらして配されているため、この状態では、エッチピット20から放出される光は光検出器32により検出されない。
図14(b)は、固体飛跡検出器12がX方向に若干掃引された状態を示している。固体飛跡検出器12を掃引する際の速度は、例えば10cm/秒程度とする。
図14(c)は、エッチピット20が開口部24の上方に位置している状態を示している。エッチピット20内には、減衰時間が比較的長い燐光材料28aが埋め込まれているため、エッチピット20内に埋め込まれた燐光材料28aから放出される光が開口部24を通過する。開口部24を通過した光は、光検出器32により検出される。光検出器32は燐光材料28aから放出される光の強度に応じた大きさの信号を出力する。
固体飛跡検出器12をX方向、Y方向(図12参照)に適宜掃引しつつ、光検出器32の出力を光強度分布測定手段34に入力していくと、発光材料28aから発せられる光の強度の分布を示すヒストグラムが光強度分布測定手段34により作成される。
次に、光強度分布測定手段34により作成されたヒストグラムに基づいて、試料に含まれているα線放出核種を同定する。エッチピット20が開口部24の上方に位置したときにエッチピット20内の発光材料28aから発せられる光の強度は、含有されているα線放出核種が予め判明している試料を用いて、α線放出核種毎に予め求められている。このため、予めα線放出核種毎に求められた光強度と、測定された光強度分布のピークに対応する光強度とを対比することにより、試料10に含まれるα線放出核種を同定することができる。
こうして、試料10から放出されるα線放出核種が同定される。
本実施形態によるα線放出核種同定方法は、励起光22が照射される箇所に対してずらした箇所に光検出器32を配し、固体飛跡検出器12のうちの励起光22が照射された箇所が開口部24上に所定時間後に位置するように固体飛跡検出器12を掃引しながら、エッチピット20内の発光材料28aから放出される光を光検出器32により検出することに主な特徴がある。本実施形態の場合にも、α線放出核種を正確に同定することができる。
[変形実施形態]
本発明は上記実施形態に限らず種々の変形が可能である。
例えば、上記実施形態では、試料に含まれるα線放出核種をヒストグラムに基づいて同定する場合を例に説明したが、必ずしもヒストグラムを作成しなくてもよい。検出された光の強度と、予めα線放出核種毎に求められた光の強度とを対すれば、試料に含まれるα線放出核種を同定することが可能である。
また、上記実施形態では、固体飛跡検出器の材料としてアリルジグリコールカーボネートを用いる場合を例に説明したが、固体飛跡検出器の材料はアリルジグリコールカーボネートに限定されるものではない。α線の飛跡に応じたエッチピットが得られる他のあらゆる樹脂を、固体飛跡検出器の材料として適宜用いることが可能である。
以上詳述したように、本発明の特徴をまとめると以下のようになる。
(付記1)
固体飛跡検出器と試料とを重ね合わせた状態で放置する第1のステップと、
前記固体飛跡検出器をエッチングすることにより、前記固体飛跡検出器に入射したα線の飛跡に応じたエッチピットを前記固体飛跡検出器に形成する第2のステップと、
前記固体飛跡検出器に形成された前記エッチピット内に発光材料を埋め込む第3のステップと、
前記固体飛跡検出器に励起光を照射し、前記エッチピット内の前記発光材料から放出される光の強度を光検出器を用いて検出し、前記エッチピット内の前記発光材料から放出される光の強度に基づいて、前記試料に含まれるα線放出核種を同定する第4のステップと
を有することを特徴とするα線放出核種同定方法。
(付記2)
付記1記載のα線放出核種同定方法において、
前記第4のステップでは、前記エッチピット内の前記発光材料から放出される光の強度の分布に基づいて、前記試料に含まれるα線放出核種を同定する
ことを特徴とするα線放出核種同定方法。
(付記3)
付記1又は2記載のα線放出核種同定方法において、
エッチピット内の前記発光材料から放出される光の強度を、α線放出核種毎に予め求めておき、
前記第4のステップでは、予め前記α線放出核種毎に求められた光の強度を参照することにより、前記試料に含まれる前記α線放出核種を同定する
ことを特徴とするα線放出核種同定方法。
(付記4)
付記1乃至3のいずれかに記載のα線放出核種同定方法において、
前記第3のステップでは、前記固体飛跡検出器のうちの前記試料と重ね合わせた側の面である第1の面に前記発光材料を塗布し、前記固体飛跡検出器の前記第1の面に塗布された発光材料を拭き取ることにより、前記エッチピット内に前記発光材料を残存させる
ことを特徴とするα線放出核種同定方法。
(付記5)
付記1乃至4のいずれかに記載のα線放出核種同定方法において、
前記発光材料は、蛍光材料より成り、
前記第4のステップでは、前記蛍光材料から放出される蛍光を前記光検出器により検出する
ことを特徴とするα線放出核種同定方法。
(付記6)
付記5記載のα線放出核種同定方法において、
前記第4のステップでは、前記励起光を前記固体飛跡検出器の上面側又は側面側から照射する
ことを特徴とするα線放出核種同定方法。
(付記7)
付記1乃至4のいずれかに記載のα線放出核種同定方法において、
前記発光材料は、燐光材料より成り、
前記第4のステップでは、前記燐光材料から放出される燐光を前記光検出器により検出する
ことを特徴とするα線放出核種同定方法。
(付記8)
付記7記載のα線放出核種同定方法において、
前記励起光が照射される箇所に対してずらした箇所に前記光検出器が配されており、
前記第4のステップでは、前記固体飛跡検出器のうちの前記励起光が照射された箇所が所定時間後に前記光検出器上に位置するように前記固体飛跡検出器を掃引しながら、前記エッチピット内の前記発光材料から放出される燐光を前記光検出器により検出する
ことを特徴とするα線放出核種同定方法。
(付記9)
付記7記載のα線放出核種同定方法において、
前記第4のステップでは、前記励起光を断続的に照射し、前記固体飛跡検出器への励起光の照射が中断してから所定時間後における燐光を前記光検出器により検出する
ことを特徴とするα線放出核種同定方法。
(付記10)
付記1乃至9のいずれかに記載のα線放出核種同定方法において、
前記固体飛跡検出器は、樹脂より成る
ことを特徴とするα線放出核種同定方法。
(付記11)
付記10記載のα線放出核種同定方法において、
前記樹脂は、アリルジグリコールカーボネートである
ことを特徴とするα線放出核種同定方法。
(付記12)
付記1乃至11のいずれかに記載のα線放出核種同定方法において、
前記第2のステップでは、NaOH溶液又はKOH溶液を用いてエッチングを行う
ことを特徴とするα線放出核種同定方法。
(付記13)
試料から放出されるα線の飛跡に応じて形成されたエッチピット内に発光材料が埋め込まれた固体飛跡検出器に励起光を照射する励起光源と、
前記固体飛跡検出器に対向するように配され、開口部が形成された遮蔽板と、
前記エッチピット内の前記発光材料から放出される光の強度を検出する光検出器と、
前記光検出器に接続され、前記エッチピット内の前記発光材料から放出される光の強度の分布を求める光強度分布測定手段と
を有することを特徴とするα線測定装置。
本発明の第1実施形態によるα線測定装置を示す概略図である。 励起光が照射される箇所と開口部との位置関係を示す平面図(その1)である。 光強度分布測定手段により作成されるヒストグラムの例を示す図である。 含有されているα線放出核種が予め判明している試料を用いて得られた参照用のヒストグラム(その1)である。 含有されているα線放出核種が予め判明している試料を用いて得られた参照用のヒストグラム(その2)である。 本発明の第1実施形態によるα線放出核種同定方法を示す工程図(その1)である。 本発明の第1実施形態によるα線放出核種同定方法を示す工程図(その2)である。 本発明の第1実施形態によるα線放出核種同定方法を示す工程図(その3)である。 本発明の第1実施形態の変形例によるα線放出核種同定方法及びα線測定装置を示す概念図である。 本発明の第2実施形態によるα線測定装置を示す概念図である。 本発明の第2実施形態によるα線放出核種同定方法を示す工程断面図(その1)である。 本発明の第2実施形態によるα線放出核種同定方法を示す工程断面図(その2)である。 本発明の第2実施形態の変形例によるα線放出核種同定方法及びα線測定装置の概念図である。 本発明の第3実施形態によるα線放出核種同定方法及びα線測定装置を示す概略図である。 励起光が照射される箇所と開口部との位置関係を示す平面図(その2)である。
符号の説明
10…試料
12…固体飛跡検出器
14…チャンバ
16…配管
18…真空ポンプ
20…エッチピット
22…励起光
24…開口部
26…遮光板
28、28a…発光材料
30…波長選択器
32…光検出器
34…光強度分布測定手段

Claims (5)

  1. 固体飛跡検出器と試料とを重ね合わせた状態で放置する第1のステップと、
    前記固体飛跡検出器をエッチングすることにより、前記固体飛跡検出器に入射したα線の飛跡に応じたエッチピットを前記固体飛跡検出器に形成する第2のステップと、
    前記固体飛跡検出器に形成された前記エッチピット内に発光材料を埋め込む第3のステップと、
    前記固体飛跡検出器に励起光を照射し、前記エッチピット内の前記発光材料から放出される光の強度を光検出器を用いて検出し、前記エッチピット内の前記発光材料から放出される光の強度に基づいて、前記試料に含まれるα線放出核種を同定する第4のステップとを有し、
    前記第4のステップでは、開口部が形成された遮蔽板を前記固体飛跡検出器に対向するように配し、前記固体飛跡検出器を掃引しつつ、前記エッチピット内の前記発光材料から放出される光のうちの、前記開口部を通り抜ける光の強度を前記光検出器を用いて検出し、
    前記第4のステップでは、一の前記エッチピット内の一の前記発光材料から放出される光の一の強度に基づいて、前記α線放出核種を同定する
    ことを特徴とするα線放出核種同定方法。
  2. 請求項1記載のα線放出核種同定方法において、
    前記第4のステップでは、前記エッチピット内の前記発光材料から放出される光の強度の分布に基づいて、前記試料に含まれるα線放出核種を同定する
    ことを特徴とするα線放出核種同定方法。
  3. 請求項1又は2記載のα線放出核種同定方法において、
    エッチピット内の前記発光材料から放出される光の強度を、α線放出核種毎に予め求めておき、
    前記第4のステップでは、予め前記α線放出核種毎に求められた光の強度を参照することにより、前記試料に含まれる前記α線放出核種を同定する
    ことを特徴とするα線放出核種同定方法。
  4. 請求項1乃至3のいずれか1項に記載のα線放出核種同定方法において、
    前記第3のステップでは、前記固体飛跡検出器のうちの前記試料と重ね合わせた側の面である第1の面に前記発光材料を塗布し、前記固体飛跡検出器の前記第1の面に塗布された発光材料を拭き取ることにより、前記エッチピット内に前記発光材料を残存させる
    ことを特徴とするα線放出核種同定方法。
  5. 試料から放出されるα線の飛跡に応じて形成されたエッチピット内に発光材料が埋め込まれた固体飛跡検出器に励起光を照射する励起光源と、
    前記固体飛跡検出器に対向するように配され、開口部が形成された遮蔽板と、
    前記エッチピット内の前記発光材料から放出される光の強度を検出する光検出器と、
    前記光検出器に接続され、前記エッチピット内の前記発光材料から放出される光の強度の分布を求める光強度分布測定手段とを有し、
    前記光検出器は、前記エッチピット内の前記発光材料から放出される光のうちの、前記開口部を通り抜ける光の強度を検出し、
    前記固体飛跡検出器を掃引する処理部を更に有し、
    前記固体飛跡検出器を掃引しつつ、前記開口部を通り抜ける光の強度を前記光検出器により検出し、
    前記光検出器は、一の前記エッチピット内の一の前記発光材料から放出される光の一の強度を検出する
    ことを特徴とするα線測定装置。
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JPH03102283A (ja) * 1989-09-18 1991-04-26 Toshiba Glass Co Ltd 放射線量読取装置
JPH08220236A (ja) * 1995-02-08 1996-08-30 Toshiba Glass Co Ltd 蛍光ガラス線量計測定装置

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