JP4716756B2 - ランダム共重合体の製造方法 - Google Patents
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Description
ビニル含有率の高いポリブタジエンゴムの製造方法として、1,3−ブタジエンをナトリウムアルコキシド及び極性物質の存在下で重合する方法が、例えば、特許文献2に開示されている。しかしながらこの方法で得られる重合体は、リビング性に劣り、重合後のポリマー末端を利用してカップリング反応や末端変性反応を行うには不適であった。
即ち本発明は、共役ジエン系単量体とビニル芳香族系単量体とをリチウム開始剤を用いてランダム共重合体を製造する方法であって、重合の際に下記(1)、(2)の物質を共存させることを特徴とするランダム共重合体の製造方法を提供するものである。
(1)3級アミン化合物
(2)トリウムアルコキシド
ここで、(2)/(1)=0.01以上0.1未満(モル比)であり、(1)の使用量はリチウム開始剤に対して0.2〜2.0(モル比)である。
本発明の製造方法は、共役ジエン系単量体とビニル芳香族系単量体からなるランダム共重合体を高生産性で得る方法である。
本発明で用いる共役ジエン系単量体は、1対の共役二重結合を有するジオレフィンであり、例えば、1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン(イソプレン)、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、2−メチル−1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエンなどである。特に好ましいものとしては1,3−ブタジエンが挙げられるが、これらは一種のみならず二種以上を使用してもよい。
本発明において、ランダム共重合体は、炭化水素溶媒中でリチウム開始剤を用いてアニオンリビング重合により得られる。炭化水素溶媒としては、例えば、n−ブタン、イソブタン、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタンの如き脂肪族炭化水素類、シクロヘキサン、シクロヘプタン、メチルシクロヘプタンの如き脂環式炭化水素類、また、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼンの如き芳香族炭化水素類が挙げられる。
リチウム開始剤の使用量は、目的とするランダム共重合体の分子量によって変化させるが、単量体100重量部に対して、一般的には0.01〜0.4重量部を用いるが、好ましくは0.01〜0.2重量部、より好ましくは0.02〜0.14重量部である。
第3級アミン化合物は、共役ジエン部のビニル結合量を高くするために使用し、その使用量は、目的とする共役ジエン部のビニル結合量によって調節することができる。本発明で目的とする共役ジエンブロック部分のビニル結合量は、40%以上であり,第3級アミン化合物の使用量は、リチウム開始剤に対して0.1〜4(モル/Li)、より好ましくは0.2〜3(モル/Li)である。
本発明に用いるナトリウムアルコキシドの量は、第3級アミン化合物に対し、0.01以上0.1未満(モル比)であり、より好ましくは0.03以上0.08未満(モル比)、さらに好ましくは0.04以上0.055未満(モル比)である。ナトリウムアルコキシドの量がこの範囲にあると、共役ジエン部のビニル結合量が高く、且つカップリング反応や末端変性反応に有効なリビング性の高い共重合体を高生産性で得ることができる。
重合温度は、一般に0℃〜150℃、好ましくは30℃〜120℃、更に好ましくは50℃〜100℃である。重合に要する時間は条件によって異なるが、通常は24時間以内であり、特に好適には0.1〜10時間である。又、重合系の雰囲気は窒素ガスなどの不活性ガス雰囲気にすることが好ましい。重合圧力は、上記重合温度範囲で単量体及び溶媒を液相に維持するに充分な圧力の範囲で行えばよく、特に限定されるものではない。更に、重合系内は開始剤及びリビングポリマーを不活性化させるような不純物、例えば、水、酸素、炭酸ガスなどが混入しないように留意する必要がある。
また、上記で得られたランダム共重合体を水素添加することにより、水添共重合体を得ることもできる。特に好ましい水添触媒としてはチタノセン化合物及び/又は還元性有機金属化合物との混合物が挙げられる。チタノセン化合物としては、特開平8−109219号公報に記載された化合物が使用できるが、具体例としては、ビスシクロペンタジエニルチタンジクロライド、モノペンタメチルシクロペンタジエニルチタントリクロライド等の(置換)シクロペンタジエニル骨格、インデニル骨格あるいはフルオレニル骨格を有する配位子を少なくとも1つ以上有する化合物が挙げられる。
上記のようにして得られたランダム共重合体の溶液は、必要に応じて触媒残査を除去し、共重合体を溶液から分離することができる。溶媒の分離の方法としては、例えば、反応液にアセトンまたはアルコール等の共重合体に対する貧溶媒となる極性溶媒を加えて重合体を沈澱させて回収する方法、反応液を撹拌下熱湯中に投入し、スチームストリッピングにより溶媒を除去して回収する方法、または直接重合体溶液を加熱して溶媒を留去する方法等を挙げることができる。
また以下の実施例においては、分析や共重合体の解析は次のようにして行った。
I−1)各単量体の重合率の測定
ガスクロマトグラフィー(島津製作所製、GC−14B)を用いて測定した。
尚、カラム充填材はアピーゾングリスを使用し、ブタジエンの重合率は90℃一定、スチレンの重合率は90〜150℃昇温の条件にて行った。
I−2)共重合体中のビニル結合量<ジエン部>
赤外分光光度計(日本分光社製、FT/IR−230)を用いて測定した。そして、ビニル結合量はハンプトン法により算出した。
GPC〔装置は、ウォーターズ製〕で測定した。溶媒にはテトラヒドロフランを用い、測定条件は、温度40℃で行った。重量平均分子量と数平均分子量が既知の市販の標準ポリスチレンを用いて作成した検量線を使用し、重量平均分子量を求めた。また、分子量分布は、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比である。
I−4)共重合体のカップリング率の測定
上記3)と同様のGPCにて測定した。カップリング後のサンプルを用い、高分子量化した比率を重量%で求めた。
I−5)共重合体の変性率の測定
シリカ系ゲルを充填剤としたGPCカラムに、変性した成分が吸着する特性を応用し、試料及び低分子量内部標準ポリスチレンを含む試料溶液に関して、上記3)のポリスチレン系ゲルのGPCと、シリカ系カラムGPC(デュポン社製Zorbax)の両クロマトグラムを測定し、それらの差分よりシリカカラムへの吸着量を測定し変性率を求めた。
内容積が10lの攪拌装置及びジャケット付き槽型反応器を使用してバッチ重合を行った。はじめに1lのシクロヘキサンを張り込み、その後n−ブチルリチウム(以下、Bu−Liとする。)を全モノマ−100重量部に対して0.08重量部とN,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン(以下、TMEDAとする。)をn−ブチルリチウム1モルに対して1.8モルとナトリウムt−ペントキシド(以下、NaOAmとする。)をTMEDAに対して0.055モル添加した。
次に、ブタジエン80重量部とスチレン20重量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度14重量%)を100分間かけて投入し(重合温度は、70℃にコントロ−ルしながら),その後さらに10分間重合した。この時点でポリマー溶液をサンプリングし、ブタジエンとスチレンの重合率を測定したところ、それぞれ100%であった。
得られた共重合体は、ブタジエン部のビニル結合量64.2%、重量平均分子量15.1万、分子量分布1.08であった。得られた共重合体の解析結果を表−1に示す。
次に、得られたポリマー溶液に、テトラグリシジル−1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン(以下、TEDとする。)を重合に使用したBu−Liに対して当モル反応させてカップリング共重合体を得た。得られた共重合体のカップリング率を測定したところ、90%であった。
実施例1と同様に共重合体を作成した。但し、NaOAmに変えてナトリウムt−ブトキシド(以下、NaOBuとする。)を使用した。得られた共重合体の解析結果を表−1に示す。
また、実施例1と同様にTEDによるカップリング共重合体を得た。得られた共重合体のカップリング率を測定したところ、88%であった。
内容積が10lの攪拌装置及びジャケット付き槽型反応器を使用してバッチ重合を行った。はじめに1lのシクロヘキサンを張り込み、その後Bu−Liを全モノマー100重量部に対して0.04重量部とTMEDAをBu−Li1モルに対して1.8モルとNaOAmをTMEDAに対して0.055モル添加した。次にブタジエン50重量部とスチレン50重量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度14重量%)を100分間かけて投入し(重合温度は、70℃にコントロールしながら)、その後さらに10分間重合した。この時点でポリマ−溶液をサンプリングし、ブタジエンとスチレンの重合率を測定したところ、それぞれ100%であった。
得られた共重合体は、ブタジエン部のビニル結合量48.6%、重量平均分子量30.8万、分子量分布1.07であった。得られた共重合体の解析結果を表−1に示す。
次に、得られたポリマー溶液に、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン(以下、DMIとする。)を重合に使用したBu−Liに対して当モル反応させて変性共重合体を得た。得られた共重合体の変性率を測定したところ、83%であった。
実施例3と同様に共重合体を作成した。但し、TMEDAの添加量を2.0モルに、またNaOAmの添加量を0.04モルに変更した。得られた共重合体の解析結果を表−1に示す。
また、実施例3と同様にDMIによる変性共重合体を得た。得られた共重合体の変性率を測定したところ、86%であった。
[比較例1]
実施例1と同様に共重合体を作成した。但し、NaOAmを添加しなかった。
同様にサンプリングしたポリマー溶液中には、未反応の単量体が存在した。得られた共重合体の解析結果を表−1に示す。
実施例3と同様に共重合体を作成した。但し、NaOAmを添加しなかった。
同様にサンプリングしたポリマー溶液中には、未反応の単量体が存在した。得られた共重合体の解析結果を表−1に示す。
[比較例3]
実施例1と同様に共重合体を作成した。但し、NaOAmの添加量を0.12モルに変更した。得られた共重合体の解析結果を表−1に示す。
また、実施例1と同様にTEDによるカップリング共重合体を得た。得られた共重合体のカップリング率を測定したところ、55%であった。
[比較例4]
実施例1と同様に共重合体を作成した。但し、NaOAmの添加量を0.50モルに変更した。得られた共重合体の解析結果を表−1に示す。
また、実施例1と同様にTEDによるカップリング共重合体を得た。得られた共重合体のカップリング率を測定したところ、46%であった。
本発明で得られるランダム共重合体、あるいはそのリビングポリマーをカップリングや末端変性した共重合体は、タイヤ用途をはじめ、工業部品等に利用される。従って、該共重合体を容易に生産できる本発明は極めて有用である。
Claims (4)
- 共役ジエン系単量体とビニル芳香族系単量体とをリチウム開始剤を用いてランダム共重合体を製造する方法であって、重合の際に下記(1)、(2)の物質を共存させることを特徴とするランダム共重合体の製造方法。
(1)第3級アミン化合物
(2)ナトリウムアルコキシド
ここで、(2)/(1)=0.01以上0.1未満(モル比)であり、(1)の使用量はリチウム開始剤に対して0.2〜2.0(モル比)である。 - 共役ジエン系単量体が1,3−ブタジエンであり、ビニル芳香族系単量体がスチレンであることを特徴とする請求項1に記載のランダム共重合体の製造方法。
- (2)/(1)=0.03以上0.08未満(モル比)であることを特徴とする請求項1または2に記載のランダム共重合体の製造方法。
- 請求項1〜3のいずれか一項に記載のランダム共重合体の製造方法に続き、官能基含有化合物を反応することを特徴とする変性ランダム共重合体の製造方法。
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