JP4711697B2 - 光学素子の製造方法、モールドプレス成形装置、及びこれらに用いる位置決め装置 - Google Patents
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Description
このような成形方法にあっては、予め下型成形面の中心位置に成形素材を供給、配置する必要があり、成形素材が下型成形面の中心位置に配置されず、成形面上に偏在していると、成形される光学素子が偏肉し、形状不良となるだけでなく、偏肉に起因してプレス荷重の印加が不均一になってしまうことにより、光学機能面の面精度が劣化してしまう。
しかしながら、得ようとする光学素子の形状や、プレス成形に用いる成形型の構造などによっては、下型成形面の中心位置に、成形素材を配置することが必ずしも容易でない。
しかしながら、この方法によると、成形型内部に位置決め部材を配置するので、成形型が極めて複雑な構造となるという問題がある。さらに、プレス装置に上下型からなる成形型を固定し、昇温、プレス、冷却を同位置で行う場合には、上記のような装置の複雑化を伴う可動部材によって成形素材の位置決めを行うことは、ある程度は可能であるが、プレス装置から分離された成形型に成形素材を収容し、装置内を移送させつつ、順次適切な処理を施す成形方法(詳細については後述する)においては、個々の成形型に上記のような大掛かりな可動部材を設けることは著しく不効率であり、実質的に不可能である。
そして、両者の位置関係にずれが生じてしまうと、光学素子材料が上記凹部に嵌合されなかったり、上記凹部内で素子材料の姿勢が傾いた状態のまま、光学素子材料が吸引、保持されたりするなどの問題が生じてしまう。
このような場合には、成形型に成形素材を供給する搬送手段(例えば、吸着パッドを備えたロボットの成形素材保持部など)に成形素材を保持させるときに、搬送手段と成形素材とを予め相互に位置決めし、これとともに、成形素材を成形型に供給するときには、搬送手段と成形型との相対位置についても予め制御用コンピュータなどにより制御することで、成形素材が成形面の中心に配置されるようにすることが有効である。
したがって、トレーに収容された個々の成形素材は、それぞれトレーの各収容区画内のばらばらの位置に収容され、例えば、搬送手段が備える吸着パッドに成形素材を吸着、保持させるときに、成形素材と吸着パッドとの位置関係は、必ずしも一定にはならない。このような状態で、吸着パッドにより成形素材を拾い上げると、吸着パッドによる成形素材の保持姿勢が一定とはならず、その保持姿勢にも傾きなどが生じてしまう。
しかしながら、光学素材の周囲から位置決め点に向かって移動可能に構成された移動部材を光学素材に当接させて位置決めする方法や、ベルクランプ式により位置決めする方法では、光学素材が載置される基準部材の周辺に駆動手段などを配置しなければならず、そのための相当のスペースを必要とする。このため、装置の大型化を招き、設置場所が制限されるなどの問題がある。また、基準部材を振動させて位置決めする方法では、光学素材が凸曲面によって覆われている場合には、基準部材の支持部上に、光学素材が対称に支持されにくくなり、位置決め精度が落ちるという問題がある。
このような方法とすれば、生産効率の点で有利であり、かつ、表面欠陥のない熱間成形による凸曲面に覆われた形状の成形素材を用いて光学素子を製造することができ、この際、成形型の成形面の中心位置に正確に成形素材を供給、配置することにより、このような形状の成形素材に顕著な、成形面上での偏在などの問題を解消することができる。
このような方法とすれば、成形型に成形素材が供給された後に行われる加熱処理において、成形素材がプレス成形に適した温度となるまでに要する時間を短縮することができるとともに、成形素材の表面と内部との温度差が緩和され、成形素材の表面と内部との温度差により、プレス成形された光学素子の肉厚精度や、面精度が損なわれてしまう不都合を有効に回避することができる。
このような方法にすれば、多数の成形型を同時に使用しつつ、成形型の昇温や降温を効率良く行い、光学素子1個当たりの成形に必要な実質時間(成形サイクルタイム)を短縮することができ、生産効率を向上させることが可能となる。
本発明方法は、搬送手段と成形素材との相対的な位置関係を一定とすることにより、成形型の成形面の中心位置に正確に成形素材を供給、配置するものであるため、個々の成形型に大掛かりな可動部材を設けて、成形面上で成形素材の位置修正をすることが実質的に不可能な、この種の成形型の移送を前提とした成形方法に、特に好適に適用することができる。
このような構成とすれば、成形素材として、例えば、両凸曲面形状に予備成形されたものを用いた場合であっても、受け部上に、成形素材を安定に載置することができる。
このような構成とすれば、受け部の上面に設けた開口部から噴出する気流と、落し穴の内周面とによって、成形素材の位置修正をすることができる。
このような構成とすれば、位置決め装置上で、成形素材に予熱処理を施すことができ、成形型に成形素材が供給された後に行われる加熱処理において、成形素材がプレス成形に適した温度となるまでに要する時間を短縮することができるとともに、成形素材の表面と内部との温度差が緩和され、成形素材の表面と内部との温度差により、プレス成形された光学素子の肉厚精度や、面精度が損なわれてしまう不都合を有効に回避することができる。
これにより、プレス成形により成形される光学素子の偏肉や、プレス荷重の不均一による光学機能面の面精度の劣化を防止して、高い精度で光学素子を製造することができる。
まず、本発明に係る位置決め装置の第一実施形態について説明する。ここで、図1及び図2は、後述する本発明に係る光学素子の製造方法の実施形態における一工程を示す説明図であり、本実施形態に係る位置決め装置により、成形素材を成形型に供給するための搬送手段と、成形素材との相対的な位置関係を常に一定とする位置決め工程を示している。
この受け部2は、上面(成形素材50が載置される載置面)が所定の曲率をもって凹曲面状に形成された皿形状のものとするのが好ましい。これにより、成形素材50が、図示するような、両凸曲面形状に予備成形されたものであっても、受け部2上に、成形素材50を安定に載置することができる。
このとき、気体供給源から供給される気体としては、例えば、窒素などの不活性ガスが用いられる。
しかしながら、加熱処理に際しては、成形素材50の組成や、体積などに応じて、十分な熱量を加えないとプレス工程における肉厚精度や、面精度などに悪影響を及ぼしてしまう。このため、加熱時間を短くするには限度があり、成形素材50への加熱を十分なものとするために加熱時間が長くなると、成形サイクルタイムの短縮に不利となる。また、成形サイクルタイムの短縮を図りつつ、十分な加熱がなされるようにするためには、加熱室を増やすことが考えられるが、加熱室を増やすとすると、既存の装置の改造が必要となるだけでなく、成形型数もさらに増やす必要が生じ、コスト効率上不利である。
また、成形素材50の表面と内部とで温度差があると、プレス成形された光学素子(成形体51)の肉厚精度や、面精度が損なわれてしまう不都合があり、特に、成形素材50の体積が大きい場合には、このような温度差が生じやすいが、加熱室における加熱処理に先だって、成形素材50に予熱処理を施すことにより、成形素材50の表面と内部との温度差が緩和され、これにより、光学素子(成形体51)の肉厚精度や、面精度が損なわれるのを有効に回避することができる。
この一連の過程において、位置決め装置1により同時に予熱処理が施された成形素材50からの放熱を少なくするために、位置決め部P10(位置決め装置1)は、分解・組立部P9とともに、取出・挿入室P1の近傍に配置されるのが好ましい。
したがって、成形素材50が、先にトレー上で一定の位置、一定の姿勢となるように、それぞれの収容区画内における収容位置や、収容姿勢が正確に定められていなかったことを反映して、搬送アーム60が備える吸着パッド61により、成形素材50を吸引保持する際に、吸着パッド61と成形素材50の中心位置(中心軸)は、必ずしも一致せず、吸着パッド61により吸引保持される成形素材50の姿勢も一定ではない(図1(1)参照)。
このとき、上述したように成形素材50と吸着パッド61の中心位置は必ずしも一致していないため、受け部2上に載置された成形素材50についても、その中心軸と、受け部2の中心軸Cとは、必ずしも一致しておらず、受け部2上に載置された成形素材50の姿勢も一定とは限らない(図1(3)参照)。
そして、この気流により、成形素材50と受け部2との間に気体の層が形成され、成形素材50は、受け部2上に浮遊した状態となり、最も安定な受け部2の中心位置に向かうように移動する。これにより、受け部2上における成形素材50の位置修正がなされ、成形素材50の中心軸と、受け部2の中心軸Cとが一致するように、成形素材50が位置決めされる(図1(4)参照)。
このとき、搬送アーム60の吸着パッド61の中心軸と、受け部2の中心軸Cとが一致するように、搬送アーム60の動きを制御することにより、成形素材50と吸着パッド61の中心位置も実質的に一致し、搬送アーム60と成形素材50との相対的な位置決めがなされる(図1(6)参照)。
成形型に供給、収容された成形素材50は、所定の処理が施されることによりプレス成形されるが、これにつては後述する。
成形素材50を位置決め装置1まで搬送する搬送手段と、位置決め装置1から成形型に搬送する搬送手段とを、別個独立のものとすれば、一つの成形素材50について、その位置決めが完了し、位置決め装置1から取り出された直後に、次の成形素材50を受け部2に載置することができ、成形素材50が位置決め装置1に滞在している時間を長くすることができる。このような態様は、位置決め装置1上で成形素材50に予熱処理を施す場合に、加熱時間を確保する上で有利である。
次に、本発明に係る位置決め装置の第二実施形態について説明する。ここで、図3は、本実施形態に係る位置決め装置により、成形素材を成形型に供給するための搬送手段と、成形素材との相対的な位置関係を常に一定とする位置決め工程の一部を示す説明図である。
第一実施形態では、受け部2を、上面が所定の曲率をもって凹曲面状に形成された皿形状のものとすることで、成形素材50を受け部2上に安定に載置できるようにしているが、本実施形態では、図示するように、成形素材50の外径よりわずかに大きな内径を有する落し穴6を、受け部2の周りを囲むように設けるともに、落し穴6の開口部の周囲には、落し穴6に向かって下方に傾斜するガイド面7が設けられている。
すなわち、搬送アーム60によりガイド面7上まで搬送された成形素材50は、吸着パッド61による吸引保持が解除されると、図中一点破線で示すように、ガイド面7上を滑り落ちて、落し穴6内に落し込まれ、受け部2上に載置される。
このように、本実施形態における位置決め装置1は、落し穴6の内周面を成形素材50の位置決めに関与させるものであるので、寸法管理が容易な、研磨により図示するような円盤状に予備成形された成形素材50を用いる場合に、特に好適である。
また、本実施形態においても、第一実施形態と同様に、受け部2の周囲には、加熱手段5を設置することもできる。
次に、本発明に係るモールドプレス成形装置(以下、単に成形装置という)の実施形態について説明する。ここで、図4は、本実施形態に係る成形装置の一例として示す回転移送式の成形装置の概略平面図である。
取出・挿入室P1から取り出された成形型は、成形エリア外の分解・組立部P9に移送され、プレス成形された成形体51を取り出すために分解される。そして、分解された成形型は、新たに成形に供される成形素材50が供給されるのを、そのままの状態で待機する。
搬送手段との相対的な位置関係が一定とされた成形素材50は、搬送手段により、分解・組立部P9で待機する成形型に供給され、成形型は、成形素材50を収容して組み立てられる。
なお、不活性ガス雰囲気となっていない取出・挿入室P1にあっては、成形型の酸化防止を考慮して、成形型の温度が250℃以下となるように温度制御するのが好ましい。
これらの処理室P2〜P8は、略等間隔に配置されており、それぞれの処理に適した温度に温度制御されるとともに、各処理室内の温度を所定温度に保つために、シャッターS1〜S6によって区画されている。
すなわち、プレス成形に適した温度への成形型の昇温、プレス荷重の印加、その後の冷却処理が、二次元的に配置された各処理室を成形型が通過することによって行われるため、多数の成形型を同時に使用でき、実質的な成形サイクルタイムが短縮される。
また、生産効率をさらに向上させるためには、加熱室、プレス室、冷却室などをそれぞれ同数連設し、異なる温度条件、異なる加圧条件を要する複数種類のプレス成形を同時並行的に行うようにしてもよい。
次に、本発明に好適に用いられるモールドプレス成形型(以下、単に成形型という)の一例について説明する。ここで、図5は、成形型の概略断面図であり、プレス荷重印加時の状態(図7(14)参照)を示している。また、図6〜図8は、後述する本発明に係る光学素子の製造方法の実施形態における工程の一部を示す説明図である。
このため、胴型30と上下型10,20の摺動クリアランスは、要求される光学素子の偏心精度を考慮すると10μm以下、特に、5μm以下とすることが好ましい。上記摺動クリアランスを制御すれば、上下型10,20の成形面11,21間の偏心(シフト:上下型10,20の成形面11,21の水平方向のずれ、ティルト:上下型10,20の軸の傾き)を高精度に抑制できる。
なお、後述のとおり、支承部材40の外周面と胴型30とのクリアランスは、成形する光学素子の偏心精度に直接影響しないため、支承部材40の通気孔41と胴型30の通気孔33を連通し、雰囲気ガスが支障なく排出される程度に設定することができる。
[光学的有効径]≦[光学素子有効径(=芯取り径)]<[支承部材の内径(支承位置)]<[成形素材の径] ・・・(1)
下型20の成形面21の外周に、別体に形成された支承部材40を着脱可能に設けるには、例えば、図示するように、下型20の成形面21の周囲であって、成形面21より低く、フランジ部22よりも高い位置に段部23を形成しておき、この段部23に支承部材40を載置するようにすればよい。
なお、支承部材40と胴型30とのクリアランスは、光学素子の偏心精度には直接関係しないため、5〜50μm程度でよく、得ようとする光学素子の外径中心と、その光軸との一致性は、プレス成形された成形体51に芯取り加工を施すことによって得ることができる。
このような態様は、前述したような成形装置において、成形型を保持する保持台の熱容量により、下型20が、より強く加熱されやすい場合や、リン酸塩系硝材、W,Ti,Nb等の高屈折率成分(例えば、nd≧1.7)を多量に含有する硝材、又はアルカリ金属を多量に含有する硝材などのような反応性の高い硝材を用いてプレス成形する場合に、特に有効である。
上下型10,20の成形面11、21や、支承部材40には、ガラスの融着を防止するために、非晶質及び/又は結晶質のグラファイト及び/又はダイヤモンドの単一成分層又は混合層からなる炭素膜、又は貴金属合金による離型膜などを用いることが好ましい。
次に、本発明に係る光学素子の製造方法の実施形態について、図5に示す成形型を、図4に示す成型装置に適用して実施する例を挙げて説明する。ここで、図1は、本実施形態に係る光学素子の製造方法における工程(1)〜(4)を示す説明図、図2は、同工程(5)〜(7)を示す説明図、図6は、同工程(8)〜(11)を示す説明図、図7は、同工程(12)〜(15)を示す説明図、図8は、同工程(16)〜(18)を示す説明図である。
本実施形態にあっては、まず、所定の位置に配置された、図示しない搬送用のトレーから、先端に吸着パッド61を備えた搬送アーム60により、成形素材50を一つずつ吸引保持して取り出して、位置決め部P10に設置された位置決め装置1に搬送する。
このとき、トレー上の成形素材50と吸着パッド61との位置関係は一定になっていないため、吸着パッド61により吸引保持される成形素材50の姿勢は一定していない(図1(1)参照)。
このとき、吸着パッド61により吸引保持された成形素材50の姿勢が一定していなかったため、受け部2上に載置された成形素材50の姿勢も一定していない(図1(3)参照)。
そして、位置決め装置1から取り出された成形素材50は、成形型に搬送、供給される(図2(7)参照)。
位置決め装置1上で、成形素材50の位置決めに要する時間を利用して、成形素材50に予熱処理を施しておくことで、後述する加熱工程において、成形素材50がプレス成形に適した温度となるまでに要する時間を短縮することができ、また、成形素材50の表面と内部との温度差を緩和して、プレス成形された光学素子(成形体51)の肉厚精度、面精度を良好とすることもできるので、このような態様は、成形サイクルタイムの短縮のみならず、成形精度においても有利である。
搬送アーム60の吸着パッド61と、成形素材50との相対的な位置関係を一定にした後に、成形素材50を、下型20と上型10とが離間した状態で待機している成形型に搬送(供給)する。このとき、上型10が組み込まれた胴型30は、保持手段80により、その位置を固定しておく(図6(8)参照)。
そして、搬送アーム60の吸着パッド61が、所定範囲内の精度で下型20の成形面21上に到達したときに(図6(9)参照)、その吸着を解除し、搬送アーム60を直ちに退避させる。
これにより、成形素材50は、その下面側の周辺部が、支承部材40の内周側の上端縁に支承され、滑落することなく支承部材40上に保持される(図6(10)参照)。
しかしながら、本実施態様では、成形素材50を成形型に供給するに先だって、搬送アーム60と成形素材50の相対的な位置関係が常に一定になるように、成形素材50の位置決めをしているため、支承部材40の所定の位置に成形素材50を確実に支承させることができる。
搬送アーム60を退避させた後に、載置台70を上昇させ、胴型30内に下型20を組み込む。胴型30内に下型20が組み込まれ、胴型30の下面に、下型20のフランジ部22の上面が当接すると、成形素材50の厚みによって、上型10の上面が、胴型30の上面より高い位置に押し上げられる(図6(11)参照)。
成形素材50を収容して組み立てられた成形型を、回転テーブルに取り付けられた保持台75に保持させるなどして、加熱室P2〜P4に順次移送しつつ、加熱して、成形型ごと成形素材50をプレス成形に適した温度に昇温する(図7(12)参照)。
適温になった成形型を、プレス室P5に移送する(図7(13)参照)。プレス室P5では、成形型の上方からプレスヘッド90により、所定圧力(例えば、30〜200Kg/cm2)、所定時間(例えば、数十秒)で、成形型にプレス荷重を印加する(図7(14)参照)。このとき、下型20と成形素材50との間に介在する雰囲気ガスは、支承部材40の通気孔41や胴型30の通気孔33を経由して成形型の外部へ放出される。
プレスヘッド90の下面が胴型30の上面に当接した時点で成形体51の肉厚が規定され、その後、プレスヘッド90を上昇させてプレス荷重の印加を解除することにより、プレス工程を終了する。
プレス工程終了後、徐冷室P6、P7及び急冷室P8に、成形型を順次移送して、冷却処理を施す(図7(15)参照)。急冷室P8では、冷却用ガスによる急冷を行うことができ、成形体51が大気開放に支障のない温度となるまで冷却する。
このとき、成形型には、上型10のフランジ部12の下面と、胴型30の小径内周部32の上端との間に、前述したような隙間Gを所定の寸法で確保しておくことにより、ガラスの収縮に対して上型10がその自重によって追随することが可能となり、良好な形状精度が得られる。
なお、ガラスの収縮に追随して上型10が降下したとき、上型10のフランジ部12と、胴型30の小径内周部32の上端面との間の隙間Gの間隔は狭くなる。
冷却処理が施された成形型を、取出・挿入室P1から取り出して、分解・組立部P9に移送し、分解・組立部P9に設けた載置台70に載置する(図8(16)参照)。そして、保持手段80により、上型10が組み込まれた胴型30の位置を固定するとともに、載置台70の開口部71から雰囲気ガスを吸引して、載置台70上に下型20を一体的に保持した上で、載置台70を垂直に下降させ、胴型30から下型20を抜き出す(図8(17)参照)。
このとき、載置台70上に下型20を一体的に保持して、胴型30から下型20を抜き出したときの位置を維持することで、下型20と胴型30の水平方向の相対位置がずれてしまうのを避けることができる。
胴型30から下型20を抜き出した後に、搬送アーム60の吸着パッド61によって成形体51を吸引保持し、下型20の成形面21上から成形体51を取り出す(図8(18)参照)。
このようにして成形型から取り出された成形体51は、そのまま、又は必要に応じて芯取り加工を施して、所望の光学素子とすることができる。
本実施形態における光学素子の製造方法は、搬送手段と成形素材との相対的な位置関係を一定とすることにより、成形型の成形面の中心位置に正確に成形素材を供給、配置するものであるため、個々の成形型に大掛かりな可動部材を設けて、成形面上で成形素材の位置修正をすることが実質的に不可能な、この種の成形型の移送を前提とした成形方法に、特に好適に適用することができる。
本実施形態においては、冷間加工した円盤状のガラス素材、又は熱間成形した両凸曲面形状のガラス素材を成形素材50とするのが好ましいが、特に、熱間成形による両凸曲面形状のもの(凸曲面に覆われたもの)は生産効率の点で極めて有利である。凸曲面に覆われた成形素材50は、成形面上での転がりによる偏在などの問題が生じやすいが、本実施形態では、成形素材50を成形型に搬送、供給する際に、搬送アーム60と成形素材50との相互の位置決めを高い精度で行ってから、成形型の成形面の中心位置に成形素材を供給、配置することにより、このような問題を解消することができる。
2 受け部
3 開口部
5 加熱手段
6 落し穴
10 上型
20 下型
50 成形素材
P1 取出・挿入室
P2 第一加熱室
P3 第二加熱室
P4 第三加熱室
P5 プレス室
P6 第一徐冷室
P7 第二徐冷室
P8 急冷室
P9 分解・組立部
P10 位置決め部
Claims (9)
- 成形素材を、搬送手段によって成形型に供給し、プレス成形する光学素子の製造方法であって、
前記成形素材を前記成形型に供給するに際し、
前記成形素材を位置決め装置に載置して、前記位置決め装置から気流を噴出させて前記成形素材の位置を修正し、次いで、雰囲気ガスを吸引して前記成形素材を前記位置決め装置上に固定することによって、
前記成形素材と、前記搬送手段との相対的な位置決めをした後に、
前記搬送手段により前記成形素材を前記成形型に供給することを特徴とする光学素子の製造方法。 - 前記成形素材が、溶融ガラスを流下、又は滴下して受け型上で成形されたものであり、凸曲面に覆われた形状を有することを特徴とする請求項1に記載の光学素子の製造方法。
- 前記位置決め装置上で、前記成形素材に予熱処理を施すことを特徴とする請求項1〜2のいずれか1項に記載の光学素子の製造方法。
- 前記成形素材が収容された成形型を、加熱室、プレス室、冷却室を含む複数の処理室に移送し、順次、加熱、プレス、冷却を含む処理を施すことにより、前記成形型に収容された前記成形素材をプレス成形することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の光学素子の製造方法。
- 成形素材をプレス成形するためのモールドプレス成形装置であって、
対向する成形面を有する一対の成形型と、
前記成形素材を前記成形型に供給する搬送手段と、
前記成形素材と前記搬送手段との相対的な位置決めをする位置決め装置と
を備え、
前記位置決め装置が、前記成形素材が載置される受け部を有し、前記受け部の載置面に設けた開口部から気流を噴出させて、前記成形素材を前記受け部上に浮遊させて位置を修正し、次いで、雰囲気ガスを吸引して前記開口部内を負圧とすることにより、前記成形素材を前記受け部上に固定することによって、前記成形素材と、前記搬送手段との相対的な位置決めをすることを特徴とするモールドプレス成形装置。 - 成形素材を成形型に供給してプレス成形するにあたり、前記成形素材と、前記成形素材を前記成形型に供給する搬送手段との相対的な位置決めをする位置決め装置であって、
前記成形素材が載置される受け部を有し、前記受け部の載置面に設けた開口部から気流を噴出させて、前記成形素材を前記受け部上に浮遊させて位置を修正し、次いで、雰囲気ガスを吸引して前記開口部内を負圧とすることにより、前記成形素材を前記受け部上に固定することによって、前記成形素材と、前記搬送手段との相対的な位置決めをすることを特徴とする位置決め装置。 - 前記受け部の載置面が、凹曲面を有していることを特徴とする請求項6に記載の位置決め装置。
- 前記成形素材の外径よりわずかに大きな内径を有する落し穴が、前記受け部の周りを囲むように設けられていることを特徴とする請求項6に記載の位置決め装置。
- 前記受け部の周囲に、加熱手段が設置されていることを特徴とする請求項6〜8のいずれか1項に記載の位置決め装置。
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