JP4709978B2 - 5−メチル−5−(4−メチル−3−ペンテニル)−4,5−ジヒドロ−2(3h)−フラノンを含有する香料組成物、およびその製造法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、5−メチル−5−(4−メチル−3−ペンテニル)−4,5−ジヒドロ−2(3H)−フラノン(以下、化合物1ともいう)を含有することを特徴とする香料組成物、および化合物1の製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】
式1で表される化合物1については、すでにその合成法が報告されている(J. Chem. Soc. Chem. Commun. 1993, 499-500およびJ. Org. Chem. 1991, 56, 5357-5360)。しかし、これらの報告には、香気に関する記述は見当たらない。また、その合成法はパラジウムやサマリウムなどの高価な遷移金属触媒を用いるもので、反応条件としては高温高圧を必要とするものや、長い反応時間を要するものなどがあり、経済性や環境に対する負荷、および工業化への可能性の観点からは必ずしも優れた方法とは言い難い。
また、化合物1と類似の化合物として、式2で表されるラクトンが知られている。
【化2】
Figure 0004709978
このものはグリ−ン、ジャスミン調の香気を有し、調合香料素材として利用されている(「合成香料」印藤元一著、化学工業日報社発行、p557−558、1996年)。
一方、アップルに含まれるラクトン類としては、例えばγ−ヘキサラクトン、γ−オクタラクトン、γ−デカラクトン、γ−ウンデカラクトン、δ−デカラクトン、δ−ウンデカラクトンなどが知られ、香料素材として広く利用されている。しかし、化合物1に関しては天然物からは見い出されておらず、更には香料素材としての利用は全くなされていない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
近年、消費者のニ−ズはより天然志向へシフトしており、ナチュラルかつ特徴的な飲食品または香粧品の開発が要求されている。これらの原料素材の一つである香料についても、同様に強いキャラクタ−を有し、好ましい天然感を演出する調合香料の開発が懸案となっていた。
【0004】
本発明者らは、アップル果実の香気成分を精査した結果、式1で表される化合物1を微量成分として単離、構造決定した。また、このものを天然物(アップル王林果汁)より初めて見い出した。
また、化合物1がフル−ティ、グリ−ン、ミルキ−、ナッティな香気香味特性を有し、これを食品香料、または香粧品香料に添加・使用することにより、例えば好ましい天然感とボリュ−ムが賦与されることを見い出した。
更に、化合物1の製造法を鋭意検討した結果、短工程数で安価、かつ高収率であり、経済性や環境に対する負荷、および工業化への可能性のいずれにおいても有利な方法を見い出して本発明を完成した。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は式1
【化3】
Figure 0004709978
で表される5−メチル−5−(4−メチル−3−ペンテニル)−4,5−ジヒドロ−2(3H)−フラノンを含有することを特徴とする香料組成物、および(A)メチルへプテノンにトリメチルスルホキソニウム イリドを反応させてエポキサイドを得、(B)これに、塩基の存在下マロン酸エステルを縮合させた後、アルカリ加水分解、脱水閉環、脱炭酸を経て5−メチル−5−(4−メチル−3−ペンテニル)−4,5−ジヒドロ−2(3H)−フラノンを得ることからなる製造法である。
【0006】
化合物1はアップル果実、または果汁から抽出、単離することができる。アップル果実、または果汁としては、例えば王林、紅玉、富士などを挙げることができる。
【0007】
化合物1の抽出、単離方法としては、例えばアップル果実をホモジナイズしたものを、例えば酢酸エチルなどの有機溶剤で抽出し、減圧下で濃縮した後に蒸留や、例えばシリカゲルカラムクロマトグラフィなどのクロマトグラフィにより単離する。また、果汁を吸着樹脂に通過させた後、脱着によって得られた濃縮物を蒸留、クロマトグラフィなどにより単離する方法などが挙げられる。
【0008】
化合物1は、例えば下記工程図に示す方法で合成することができる。
【化4】
Figure 0004709978
【0009】
即ち、香料素材として安価に市販されている式3で表されるメチルへプテノンを、トリメチルスルホキソニウム イリドと反応させることにより式4で表されるエポキサイドを得る。このものを、マロン酸エステルから調製したアニオンと反応させた後、アルカリ加水分解、脱水閉環、脱炭酸を経て式1で表される化合物を得る。
【0010】
上記のエポキシ化の工程において、反応系中でイリドとする原料としては、トリメチルスルホキソニウム アイオダイド(TMSOIともいう)以外には、例えばトリメチルスルホニウム アイオダイド(TMSIともいう)、トリメチルスルホキソニウム ブロマイド(TMSOBともいう)などが挙げられ、その使用量は式3で表されるケトン1モルに対し、一般に約1〜約10モルの範囲を挙げることができるが、好ましくは約1〜約5モルの範囲で使用できる。
塩基は水素化ナトリウム(NaHともいう)などの金属ハイドライド以外には、例えば金属アルコキサイド、水酸化アルカリ、アルカリ金属、アルカリ土類金属、金属アミドなどが挙げられ、その使用量は式3で表されるケトン1モルに対し、一般に約1〜約10モルの範囲を挙げることができるが、好ましくは約1〜約5モルの範囲で使用できる。
反応溶媒としてはジメチルスルホキシド(DMSOともいう)以外には、例えばテトラハイドロフラン(THFともいう)、1,3−ジメチルイミダゾリジノン(DMIともいう)、エ−テル類、炭化水素類、ハロゲン化溶媒類などを挙げることができる。反応条件としては、一般に約−20〜50℃の温度範囲内で、約2〜10時間の条件が挙げられる。
【0011】
上記のマロン酸エステルの縮合反応において、マロン酸エステルはジエチル以外には、例えばジメチル、ジイソプロピル、t−ブチルエステルなどが挙げられ、その使用量は式4で表されるエポキサイド1モルに対し、一般に約1〜約10モルの範囲を挙げることができるが、好ましくは約1〜約5モルの範囲で使用できる。
塩基はナトリウムエトキサイドなどの金属アルコキサイド以外には、例えば水酸化アルカリ、アルカリ金属、アルカリ土類金属、金属ハイドライド、金属アミドなどが挙げられ、その使用量は式4で表されるエポキサイド1モルに対し、一般に約1〜約10モルの範囲を挙げることができるが、好ましくは約1〜約5モルの範囲で使用できる。
反応溶媒としてはエタノ−ルなどのアルコ−ル類以外には、例えばジメチルホルムアミド(DMFともいう)、エ−テル類、アセトニトリル、DMSO、炭化水素類などを挙げることができる。反応条件としては、一般に約0〜150℃の温度範囲内で、約2〜20時間の条件が挙げられる。
【0012】
アルカリ加水分解に用いる水酸化ナトリウム水溶液の濃度は、一般に約1〜49重量%の範囲が挙げられるが、好ましくは10〜30重量%の範囲を挙げることができる。また、アルカリとしては水酸化ナトリウム以外には、例えば水酸化カリウム、水酸化リチウムなどが挙げられる。
反応溶媒(含水)としてはメタノ−ルなどのアルコ−ル類以外には、例えばDMF、THF、アセトニトリル、DMSOなどを挙げることができる。反応条件としては、一般に約0〜100℃の温度範囲内で、約1〜5時間の条件が挙げられる。
【0013】
脱水閉環に用いる塩酸水溶液の濃度は、一般に約1〜35重量%の範囲が挙げられるが、好ましくは約5〜20重量%の範囲を挙げることができる。また、酸としては塩酸以外には、例えば臭化水素酸、硫酸、リン酸、パラ−トルエンスルホン酸などが挙げられる。
【0014】
脱炭酸工程の反応条件としては、一般に約100〜300℃の温度範囲が挙げられるが、好ましくは約120〜180℃の温度範囲が挙げることができ、反応時間については一般に約1〜5時間の条件が挙げられる。
【0015】
各工程で用いる不活性ガスとしては、アルゴン、ヘリウム、窒素などが挙げられる。
【0016】
各工程における分離・精製法としては、例えば常圧または減圧蒸留、順相または逆相カラムクロクロマトグラフィ、順相または逆相高速液体クロマトグラフィ(HPLCともいう)、無極性または極性カラムを用いたガスクロマトグラフィ(GCともいう)などが挙げられる。
【0017】
上記反応によって得られる化合物1はフル−ティ、グリ−ン、ミルキ−、ナッティな香気香味特性を有する。
化合物1は上記のようにそれ自体で特有の香気を有するものであるが、公知の香料組成物に化合物1を含有させることにより、該香料組成物は化合物1の香気特性を生じながら、該香料組成物自身の香気ときわめて効果的な調和を示し、各香料組成物の香気の改善および増強に優れた効果を示す。
例えば、化合物1をフロ−ラル系調合香料に添加・使用することにより、ボリュ−ム、透明感、およびマイルドな甘さが増すなどの効果が得られる。また、例えばフル−ツ系調合香料に添加・使用することにより、フレッシュ感、みずみずしさ、および天然感が増すなどの効果が得られる。これらの他にも、例えばバニラ、ミルク、ウッディ、シトラス系などの調合香料に添加・使用することにより、いずれもボディ感および天然感などが向上し、それぞれのキャラクタ−がエンハンスされる。
【0018】
即ち本発明の香料組成物は、化合物1を含有することを特徴とする香料組成物である。その含有量は、一般に香料組成物全重量の約0.001〜約20重量%、好ましくは約0.1〜約10重量%の範囲が挙げられるが、これによって限定されるものではなく、対象となる香料組成物の種類によって、その含有量は適宜調整できる。
【0019】
化合物1を用いて香料組成物を調製する場合、他に使用される香料化合物としては、例えばリモネン、カリオフィレン、ピネンなどの各種炭化水素類;アセトアルデヒド、α−ヘキシルシンナムアルデヒド、シトラ−ルなどの各種アルデヒド類;マルト−ル、ベンジルアセトン、ダマセノンなどの各種ケトン類;ブタノ−ル、ベンジルアルコ−ル、リナロ−ルなどの各種アルコ−ル類;ゲラニル エチル エ−テル、ロ−ズオキサイド、フルフラ−ルなどの各種エ−テル・オキサイド類;エチル アセテ−ト、ベンジル アセテ−ト、リナリル アセテ−トなどの各種エステル類;γ−デカラクトン、クマリン、スクラレオライドなどの各種ラクトン類;インド−ル、2−イソプロピル−4−メチルチアゾ−ル、フェニルアセトニトリルなどの各種ヘテロ化合物類;ジャスミンアブソリュ−ト、シダ−ウッドオイル、オリスコンクリ−トなどの各種天然素材類が挙げられる。使用する溶剤としては、例えばエタノ−ル、ジプロピレングリコ−ル(DPGともいう)、ベンジル ベンゾエ−ト(BBともいう)、水、トリアセチン、トリエチル シトレ−ト(TECともいう)などが挙げられる。
【0020】
本発明の香料組成物は、下記の飲食品類および香粧品類に用いることによって、その特徴的な香気または香気香味特性を商品に賦与し、消費者のニ−ズにあった、かつユニ−クな商品を提供できる。
飲食品類としては、例えば、酒類、柑橘飲料類、フル−ツ飲料類、乳飲料類、炭酸飲料類、茶飲料などの各種飲料類;アイスクリ−ム、アイスシャ−ベット、アイスキャンディなどの各種冷菓類;タバコ、チュ−インガム、キャンディ、プリン、ゼリ−などの各種嗜好品類;和風ス−プ、洋風ス−プなどの各種ス−プ類;インスタント食品類、スナック食品類、動植物エキス類などが挙げられる。
香粧品類としては、例えばパルファム、オ−ドパルファム、オ−ドトワレなどの香水類;シャンプ−類、リンス類、トリ−トメント類、石鹸類、ボディシャンプ−類などの各種トイレタリ−製品類;線香、ろうそく、練り香などの各種香類;染毛剤類、ブリ−チ剤類、ヘアトニック類などの各種毛髪料類;ファンデ−ション、化粧水、口紅などの各種化粧品類;室内芳香剤類、車内芳香剤類などの各種芳香剤類;食器洗剤類、洗濯洗剤類、柔軟剤類などの各種洗剤類などが挙げられる。
【0021】
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、これによって限定されるものではない。
【0022】
【実施例】
【0023】
実施例1:5−メチル−5−(4−メチル−3−ペンテニル)−4,5−ジヒドロ−2(3H)−フラノン(1)の単離、構造決定
アップル王林ストレ−ト果汁762kgをカラムクロマトグラフィ(ダイアイオン HP−20, 5kg, 三菱化学社製)に付し、水20Lで洗浄後、酢酸エチル25Lで吸着物を溶出させた。これを減圧下に溶媒留去して濃縮物を105g得た。これをシリカゲルカラムクロマトグラフィ(CC, シリカゲル1kg)に付し、展開溶媒(ヘキサン / 酢酸エチル = 2 / 1〜1 / 1)で溶出した画分を濃縮し、香気成分画分を4.32g得た。この画分を再度、シリカゲルカラムクロマトグラフィ(CC, シリカゲル70g)に付し、展開溶媒(ヘキサン / 酢酸エチル = 9 / 1〜17 / 3)で溶出した画分を濃縮し、該画分を0.5g得た。これをカラムクロマトグラフィ(Chromatorex−ODS DM1020T, 富士シリシア化学社製, 展開溶媒:メタノ−ル)に付し、画分0.27gを得た。これをHPLC (Shimazu LC−10, ODS, 5μm, 20×250mm, アセトニトリル / 水 = 47.5 / 52.5)で保持時間約51分のピ−クを分取し、無色透明な油状の化合物を約1.5mg得た。その香気はフル−ティ、グリ−ン、ミルキ−、ナッティな香気であった。該化合物のMS、IR、1H NMRおよび13C NMR各種スペクトルデ−タを解析することにより、該化合物が5−メチル−5−(4−メチル−3−ペンテニル)−4,5−ジヒドロ−2(3H)−フラノンであると同定した。
以下にMS、IR、1H NMRおよび13C NMR各種デ−タを示す。
【0024】
5−メチル−5−(4−メチル−3−ペンテニル)−4,5−ジヒドロ−2(3H)−フラノン(1)のスペクトルデ−タ
EI-MS (m/z, rel. intensity):182 (M+, 3), 167 (9), 122 (17), 109 (100), 99 (99), 81 (48), 68 (99), 55 (36), 43 (58)
IR (film, cm-1):2960, 2930, 2860, 1770, 1460, 1380, 1170, 1080, 940
1H NMR (300MHz, CDCl3, δ ppm):1.39 (3H, s), 1.61 (3H, s), 1.68 (3H and 2H, s and m), 1.95〜2.16 (4H, m), 2.57〜2.64 (2H, m), 5.08 (1H, m)
13C NMR (75MHz, CDCl3, δ ppm):18.05, 22.98, 25.98, 26.04, 29.55, 33.39, 41.29, 87.09, 123.56, 132.84, 177.17
【0025】
合成例1:1,2−エポキシ−2,6−ジメチル−5−ヘプテン(4)の合成アルゴン雰囲気下、NaH (21.0g, 0.53mol)のDMSO (100mL)溶液を70℃で1時間攪拌してDMSOのアニオンを調製した。室温まで冷却後、氷冷下にTMSOI (117g, 0.53mol)を10分を要して添加し、室温で30分間攪拌した。これに式3で表されるメチルへプテノン(50.5g, 0.40mol)のDMSO (200mL)溶液を室温で1時間を要して滴下し、同温で3時間攪拌を続けて反応を完結させた。反応混合物を氷水に注ぎ、MTBE (300mL)で2回抽出し、合わせた有機層を水、飽和食塩水の順で洗浄した。これを無水硫酸ナトリウム上で乾燥した後、減圧下に溶媒を留去して粗生成物を52.7g得た。このものを減圧蒸留に付し、沸点35〜40℃ / 1mmHgの画分を46.2g得た(収率82.5%)。GC分析(Hewlett Packard 5890, DB−1, 60m×0.25mm, 0.25μm)の結果、化学純度は99.9%であった。
【0026】
実施例2:5−メチル−5−(4−メチル−3−ペンテニル)−4,5−ジヒドロ−2(3H)−フラノン(1)の合成
ナトリウム エトキサイド(70.8g, 1.04mol)と、ジエチル マロネ−ト(169.0g, 1.04mol)のエタノ−ル(300mL)溶液から予めアニオンを調製した後、70℃で30分を要して合成例1の方法で得られる式4で表されるエポキサイド(114.0g, 0.80mol)のエタノ−ル(300mL)溶液を滴下し、3時間加熱還流して反応を完結させた。反応混合物を氷水に注ぎ、MTBE (300mL)で2回抽出し、合わせた有機層を水、飽和食塩水の順で洗浄した。これを無水硫酸ナトリウム上で乾燥した後、減圧下に溶媒を留去して粗生成物を224.7g得た。
このものを精製することなく、10%水酸化ナトリウム(800g, 2.00mol)およびメタノ−ル(300mL)と混合し、1時間加熱還流して反応を完結させた。反応混合物を室温まで冷却し、MTBE (200mL)で2回下油抽出した。水層を塩酸でpHを1以下に調整した後、食塩で塩析させてからMTBE (200mL)で2回抽出した有機層を飽和食塩水で1回洗浄した。これを無水硫酸ナトリウム上で乾燥した後、減圧下に溶媒を留去して得られた濃縮物173.5gを110℃〜170℃で2時間加熱して脱炭酸させた。反応混合物を減圧蒸留に付し、沸点110〜113℃ / 2mmHgの画分を100.5g得た(収率70.6%)。GC分析の結果、化学純度は99.9%であった。このもののMS、IR、1H NMRおよび13C NMR各種スペクトルデ−タは実施例1で示した単離品のそれらと完全に一致した。
得られた化合物1を用いて以下の香料組成物を調製した。
【0027】
実施例3:チュベロ−ズタイプ香料の調製
チュベロ−ズタイプの香料組成物として下記表1の各成分(重量部)を混合した。
【表1】
Figure 0004709978
上記香料組成物について、よく訓練された専門パネラ−10人で比較したところ、全員が実施例3の方がボリュ−ムが増し、透明感のあるみずみずしい生花的な香気を効果的に表現しているとした。
【0028】
実施例4:ガ−デニアタイプ香料の調製
ガ−デニアタイプの香料組成物として下記表2の各成分(重量部)を混合した。
【表2】
Figure 0004709978
上記香料組成物について、よく訓練された専門パネラ−10人で比較したところ、全員が実施例4の方がガ−デニアの特徴である甘いフロ−ラルノ−トがエンハンスされ、まとまりとボリュ−ムが効果的に賦与されているとした。
【0029】
実施例5:アップルタイプ香料の調製
アップルタイプの香料組成物として下記表3の各成分(重量部)を混合した。
【表3】
Figure 0004709978
上記香料組成物について、よく訓練された専門パネラ−10人で比較したところ、全員が実施例5の方がナチュラルな果肉感が強調されており、ボトムに好ましい甘味が賦与されているとした。
【0030】
実施例6:マスカットタイプ香料の調製
マスカットタイプの香料組成物として下記表4の各成分(重量部)を混合した。
【表4】
Figure 0004709978
上記香料組成物について、よく訓練された専門パネラ−10人で比較したところ、全員が実施例6の方がフレッシュなグリ−ン感がエンハンスされ、みずみずしい果汁感と天然感が強調されているとした。
【0031】
【発明の効果】
本発明により提供される5−メチル−5−(4−メチル−3−ペンテニル)−4,5−ジヒドロ−2(3H)−フラノンはフル−ティ、グリ−ン、ミルキ−、ナッティな香気香味特性を有し、香料組成物における有用な調合素材である。
また、本発明の香料組成物は化合物1の香気特性を生じながら、例えば天然感とボリュ−ムが賦与される等の改善および増強された優れた香気特性を有する。
更に、本発明の製造法は、短工程数で安価、かつ高収率であり、経済性や環境に対する負荷、および工業化への可能性のいずれにおいても有利である。

Claims (2)

  1. 式1
    Figure 0004709978
    で表される5−メチル−5−(4−メチル−3−ペンテニル)−4,5−ジヒドロ−2(3H)−フラノンを含有することを特徴とする香料組成物。
  2. (A) メチルへプテノンにトリメチルスルホキソニウム イリドを反応させてエポキサイドを得、(B)これに、塩基の存在下マロン酸エステルを縮合させた後、アルカリ加水分解、脱水閉環、脱炭酸を経て5−メチル−5−(4−メチル−3−ペンテニル)−4,5−ジヒドロ−2(3H)−フラノンを得ることからなる製造法。
JP2000360422A 2000-11-28 2000-11-28 5−メチル−5−(4−メチル−3−ペンテニル)−4,5−ジヒドロ−2(3h)−フラノンを含有する香料組成物、およびその製造法 Expired - Lifetime JP4709978B2 (ja)

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