JP4705518B2 - 電子写真感光体および電子写真装置 - Google Patents
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Description
特に情報をデジタル信号に変換して、光によって情報記録を行う光プリンタは、そのプリント品質、信頼性において向上が著しい。
このデジタル記録技術は、プリンタのみならず通常の複写機にも応用され、いわゆるデジタル複写機が開発されている。また、従来からあるアナログ複写にこのデジタル記録技術を搭載した複写機は、種々様々な情報処理機能が付加されるため、今後その需要性が益々高まっていくと予想される。
さらに、パーソナルコンピュータの普及、及び性能の向上にともない、画像及びドキュメントのカラー出力を行うためのデジタルカラープリンタの進歩も急激に進んでいる。
これらの電子写真装置に用いる電子写真感光体は光導電性素材として、従来用いられたSe、CdS、ZnO等の無機材料に対し、感度、熱安定性、毒性等に優位性を有する有機光導電性材料を用いた電子写真感光体が主流になっている。
この有機光導電性材料を用いた電子写真感光体には、電荷発生材料を含有する電荷発生層と電荷輸送材料を含有する電荷輸送層とからなる積層構造を有する機能分離型の感光層が主に使われている。
一方、電荷発生材料と電荷輸送材料を単一の感光層に含む単層感光体は、単純な製造工程で生産可能であること、層界面が少ないことから光学的特性が向上すること、正負いずれの帯電プロセスにも使用できることなどの利点があることから近年注目されている。
このような課題を解決するため、負帯電の電子写真感光体では例えば特許文献1、特許文献2等に開示されているように潤滑剤としてフッ素樹脂粒子を感光体の表面層に含有させる表面離型効果を狙った感光体表面摩擦係数の低減による手法は非常に効果的である。
同様の課題は正帯電の電子写真感光体においても生じることから、正帯電の電子写真感光体に小径で球形のトナーを用いた場合においてもクリーニング不良などを引き起こさず、トナーフィルミングや融着などに起因した画像劣化への耐性が高い感光体が必要とされる。
本発明の第1は、少なくとも導電性支持体と感光層を有する電子写真感光体において、該感光層中に少なくとも電荷発生材料と下記一般式(1)および(3)で表される電荷輸送材料とフッ素樹脂粒子を含むことを特徴とする電子写真感光体に関する。
本発明の第2は、少なくとも導電性支持体と感光層を有する電子写真感光体において、該感光層中に少なくとも電荷発生材料と下記一般式(2)および(3)で表される電子輸送材料とフッ素樹脂粒子を含むことを特徴とする電子写真感光体に関する。
本発明の第3は、前記フッ素樹脂粒子が前記感光層の最表層に含まれることを特徴とする請求項1又は2記載の電子写真感光体に関する。
本発明の第4は、前記電荷発生材料がフタロシアニンであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の電子写真感光体に関する。
本発明の第5は、前記フタロシアニンがチタニルフタロシアニンであることを特徴とする請求項4記載の電子写真感光体に関する。
本発明の第6は、前記チタニルフタロシアニンがCu−Kα線(波長1.542Å)に対するブラッグ角2θの回折ピーク(±0.2゜)として、少なくとも27.2°に最大回折ピークを有し、更に9.4゜、9.6゜、24.0゜に主要なピークを有し、かつ最も低角側の回折ピークとして7.3゜にピークを有し、7.3゜のピークと9.4゜のピークの間にピークを有さないことを特徴とする請求項5に記載の電子写真感光体に関する。
本発明の第7は、請求項1〜6のいずれかに記載された電子写真感光体と、少なくとも帯電手段、画像露光手段、現像手段、および転写手段とを具備することを特徴とする電子写真装置に関する。
本発明の第8は、正帯電で帯電プロセスを行うことを特徴とする請求項7記載の電子写真装置に関する。
本発明の第9は、前記電子写真装置が複数の感光体を具備してなり、それぞれの感光体上に現像された単色のトナー画像を順次重ね合わせてカラー画像を形成することを特徴とする請求項7又は8記載の電子写真装置に関する。
本発明の第10は、請求項1〜6のいずれかに記載された電子写真感光体と、帯電手段、画像露光手段、現像手段、転写手段の少なくとも1つを具備することを特徴とする電子写真装置用プロセスカートリッジに関する。
本発明では電子写真感光体の感光層にフッ素樹脂粒子を含有させる。フッ素樹脂粒子は非常に表面エネルギーが低いためこれを最表層に含有させた電子写真感光体は表面を低摩擦係数とすることができる。
これよりトナーがブレードをすり抜けることによるトナーのクリーニング不良を防ぐことができ、クリーニングブレードによるトナーのクリーニングを補助することができる。
さらに電荷発生材料においても特定の材料を用いることにより特性が向上する。
本発明においては電荷発生材料として公知の材料を用いることが可能であるが、中でもフタロシアン構造のものが本発明で用いられる電子輸送材料との組合せ上好ましい。
その中でも特に中心金属としてチタンを有する下記構造式(A)に示すようなチタニルフタロシアニンとすることによって、特に感度が高い感光層とすることが出来、電子写真装置として高速化をよりいっそうはかることが可能となる。
特に、特開2001−19871号公報に記載されている27.2°に最大回折ピークを有し、更に9.4゜、9.6゜、24.0゜に主要なピークを有し、かつ最も低角側の回折ピークとして7.3°にピークを有し、該7.3゜のピークと9.4゜のピークの間にピークを有さないチタニルフタロシアニンを用いることで、高感度を失うことなく、繰り返し使用しても帯電性の低下を生じない安定した電子写真感光体を得ることができる。
また感光層が単層構成で用いられる場合には、正孔輸送材料を併用することで正負両帯電において用いることが可能であるが、正帯電の方が帯電性が安定しておりまた発生する酸化性ガスが少ない(負帯電の1/10程度)ため好ましい。
はじめに本発明に用いる一般式(1)、一般式(2)および一般式(3)で表される電子輸送材料について説明する。
一般式(1)
一般式(2)
一般式(3)
なお、これらの置換基の置換位置については特に限定されず、上記置換又は無置換のアルキル基の炭素原子の一部がヘテロ原子(N、O、S等)に置換された基も置換されたアルキル基に含まれる。
該ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
尚、式中Meはメチル基を示す。
化学式(4)
ナフタレンカルボン酸は、公知の合成方法(例えば、米国特許6794102号公報、
Industrial Organic Pigments 2nd edition,
VCH,485(1997)等)に従い、下記反応により合成される。
表す。)
第一工程
200ml4つ口フラスコに、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物5.0g(18.6mmol)、DMF50mlを入れ、加熱還流させた。これに、2−アミノヘプタン2.14g(18.6mmol)とDMF25mlの混合物を攪拌しながら滴下した。滴下終了後、6時間加熱還流させた。
反応終了後、容器を冷却し、減圧濃縮した。残渣にトルエンを加え、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製した。更に回収品をトルエン/ヘキサンにより再結晶し、モノイミド体A2.14g(収率31.5%)を得た。
第二工程
100ml4つ口フラスコに、モノイミド体A2.0g(5.47mmol)と、ヒドラジン一水和物0.137g(2.73mmol)、p−トルエンスルホン酸10mg、トルエン50mlを入れ、5時間加熱還流させた。反応終了後、容器を冷却し、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製した。更に回収品をトルエン/酢酸エチルにより再結晶し、化学式(4)で表される電子輸送材料0.668g(収率33.7%)を得た。
質量分析(FD−MS)において、M/z=726のピークが観測されたことにより目的物であると同定した。元素分析は計算値、炭素69.41%、水素5.27%、窒素7.71%に対し、実測値で炭素69.52%、水素5.09%、窒素7.93%であった。
第一工程
200ml4つ口フラスコに、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物10g(37.3mmol)とヒドラジン一水和物0.931g(18.6mmol)、p−トルエンスルホン酸20mg、トルエン100mlを入れ、5時間加熱還流させた。反応終了後、容器を冷却し、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製した。更に回収品をトルエン/酢酸エチルにより再結晶し、二量体C 2.84g(収率28.7%)を得た。
第二工程
100ml4つ口フラスコに、二量体C2.5g(4.67mmol)、DMF30mlを入れ、加熱還流させた。これに、2−アミノプロパン0.278g(4.67mmol)とDMF10mlの混合物を攪拌しながら滴下した。滴下終了後、6時間加熱還流させた。反応終了後、反応容器を冷却し、減圧濃縮した。残渣にトルエンを加え、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、モノイミド体C0.556g(収率38.5%)を得た。
第三工程
50ml4つ口フラスコに、モノイミド体C0.50g(1.62mmol)、DMF10mlを入れ、加熱還流させた。これに、2−アミノヘプタン0.186g(1.62mmol)とDMF5mlの混合物を攪拌しながら滴下した。滴下終了後、6時間加熱還流させた。反応終了後、反応容器を冷却し、減圧濃縮した。残渣にトルエンを加え、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製した。更に回収品をトルエン/ヘキサンにより再結晶し、上記化学式(5)で表される電子輸送材料0.243g(収率22.4%)を得た。
質量分析(FD−MS)において、M/z=670のピークが観測されたことにより目的物であると同定した。元素分析は計算値、炭素68.05%、水素4.51%、窒素8.35%に対し、実測値で炭素68.29%、水素4.72%、窒素8.33%であった。
第一工程
200ml4つ口フラスコに、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物5.0g(18.6mmol)、DMF50mlを入れ、加熱還流させた。これに、2−アミノプロパン1.10g(18.6mmol)とDMF25mlの混合物を攪拌しながら滴下した。滴下終了後、6時間加熱還流させた。反応終了後、反応容器を冷却し、減圧濃縮した。残渣にトルエンを加え、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製した。更に回収品をトルエン/ヘキサンにより再結晶し、モノイミド体B2.08g(収率36.1%)を得た。
第二工程
100ml4つ口フラスコに、モノイミド体B2.0g(6.47mmol)と、ヒドラジン一水和物0.162g(3.23mmol)、p−トルエンスルホン酸10mg、トルエン50mlを入れ、5時間加熱還流させた。反応終了後、容器を冷却し、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製した。更に回収品をトルエン/酢酸エチルにより再結晶し、化学式(6)で表される電子輸送材料0.810g(収率37.4%)を得た。
質量分析(FD−MS)において、M/z=614のピークが観測されたことにより目的物であると同定した。元素分析は計算値、炭素66.45%、水素3.61%、窒素9.12%に対し、実測値で炭素66.28%、水素3.45%、窒素9.33%であった。
第一工程
200ml4つ口フラスコに、上述した二量体C5.0g(9.39mmol)、DMF50mlを入れ、加熱還流させた。これに、2−アミノヘプタン1.08g(9.39mmol)、DMF25mlの混合物を攪拌しながら滴下した。滴下終了後、6時間加熱還流させた。反応終了後、反応容器を冷却し、減圧濃縮した。残渣にトルエンを加え、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、モノイミド体D1.66g(収率28.1%)を得た。
第二工程
100ml4つ口フラスコに、モノイミド体D1.5g(2.38mmol)、DMF50mlを入れ、加熱還流させた。これに、2−アミノオクタン0.308g(2.38mmol)とDMF10mlの混合物を攪拌しながら滴下した。滴下終了後、6時間加熱還流させた。反応終了後、反応容器を冷却し、減圧濃縮した。残渣にトルエンを加え、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製した。
更に回収品をトルエン/ヘキサンにより再結晶し、化学式(7)で表される電子輸送材料0.328g(収率18.6%)を得た。
質量分析(FD−MS)において、M/z=740のピークが観測されたことにより目的物であると同定した。元素分析は計算値、炭素69.72%、水素5.44%、窒素7.56%に対し、実測値で炭素69.55%、水素5.26%、窒素7.33%であった。
第一工程
200ml4つ口フラスコに、上述した二量体C5.0g(9.39mmol)、DMF50mlを入れ、加熱還流させた。これに、2−アミノヘプタン1.08g(9.39mmol)、DMF25mlの混合物を攪拌しながら滴下した。滴下終了後、6時間加熱還流させた。反応終了後、反応容器を冷却し、減圧濃縮した。残渣にトルエンを加え、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、モノイミド体D1.66g(収率28.1%)を得た。
第二工程
100ml4つ口フラスコに、モノイミド体D1.5g(2.38mmol)、DMF50mlを入れ、加熱還流させた。これに、6−アミノウンデカン0.408g(2.38mmol)とDMF10mlの混合物を攪拌しながら滴下した。滴下終了後、6時間加熱還流させた。反応終了後、反応容器を冷却し、減圧濃縮した。残渣にトルエンを加え、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製した。更に回収品をトルエン/ヘキサンにより再結晶し、上述した化学式(8)で表される電子輸送材料0.276g(収率14.8%)を得た。
質量分析(FD−MS)において、M/z=782のピークが観測されたことにより目的物であると同定した。元素分析は計算値、炭素70.57%、水素5.92%、窒素7.16%に対し、実測値で炭素70.77%、水素6.11%、窒素7.02%であった。
繰り返し単位nは、重量平均分子量(Mw)から求められる。すなわち化合物は分子量に分布をもった状態で存在する。
nが100をこえると化合物の分子量が大きくなり、各種溶媒に対する溶解性が落ちるため、100以下が好ましい。
一方例えばnが1の場合はナフタレンカルボン酸の三量体であるが、R1、R2の置換基を適切に選択することにより、オリゴマーでも優れた電子移動特性が得られる。
このように繰り返し単位nの数により、オリゴマーからポリマーまで幅広い範囲のナフタレンカルボン酸誘導体が合成される。
オリゴマー領域の分子量が小さい範囲では、段階的に合成することで、単分散の化合物を得ることができる。分子量が大きい化合物の場合は、分子量に分布をもった化合物が得られる。
電子写真感光体の感光層は、電荷発生材料を含有する電荷発生層と電荷輸送材料を含有する電荷輸送層とをこの順に積層させた積層型感光層と、単一の層中に電荷発生物質と電子輸送材料を含有する単層型感光層がある。さらにそれぞれの感光体の最表層に保護層を設けた形態がある。
図1、図2は電子写真装置で用いられる電子写真感光体の一例を模式的に示す断面図であり、図1は積層型感光層の感光体の例、図2は単層型感光層の感光体の例である。図3、図4はそれぞれ図1、図2の形態に保護層を設けた本発明の感光体の例である。
この例では導電性支持体21と電荷発生層22との間に下引き層24が設けられ、電荷発生層22の上に電荷輸送層23が設けられている感光層の構成である。
導電性支持体21としては、体積抵抗1010Ω・cm以下の導電性を示すもの、例えばアルミニウム、ニッケル、クロム、ニクロム、銅、銀、金、白金、鉄などの金属、酸化スズ、酸化インジウムなどの酸化物を、蒸着又はスパッタリングによりフィルム状又は円筒状のプラスチック、紙などに被覆したもの、或いはアルミニウム、アルミニウム合金、ニッケル、ステンレスなどの板、及び、それらを、Drawing Ironing法、Impact Ironing法、Extruded Ironing法、Extruded Drawing法、切削法等の工法により素管化後、切削、超仕上げ、研磨などにより表面処理した管などを使用することが出来る。
積層型感光体における各層のうち、まず電荷発生層22について説明すると、電荷発生層は電荷発生材料を主成分とする層で、必要に応じてバインダー樹脂を用いることもある。
本発明に用いられる電荷発生材料としては、公知の材料を用いることができる。例えば、金属フタロシアニン、無金属フタロシアニンなどのフタロシアニン系顔料、アズレニウム塩顔料、スクエアリック酸メチン顔料、カルバゾール骨格を有するアゾ顔料、トリフェニルアミン骨格を有するアゾ顔料、ジフェニルアミン骨格を有するアゾ顔料、ジベンゾチオフェン骨格を有するアゾ顔料、フルオレノン骨格を有するアゾ顔料、オキサジアゾール骨格を有するアゾ顔料、ビススチルベン骨格を有するアゾ顔料、ジスチリルオキサジアゾール骨格を有するアゾ顔料、ジスチリルカルバゾール骨格を有するアゾ顔料、ペリレン系顔料、アントラキノン系または多環キノン系顔料、キノンイミン系顔料、ジフェニルメタン及びトリフェニルメタン系顔料、ベンゾキノン及びナフトキノン系顔料、シアニン及びアゾメチン系顔料、インジゴイド系顔料、ビスベンズイミダゾール系顔料などが挙げられる。
これらの電荷発生物質は単独または2種以上の混合物として用いることができる。
その中でも特に中心金属としてチタンを有するチタニルフタロシアニンであることによって、特に感度が高い感光層とすることが出来、電子写真装置として高速化をより一層はかることが可能となる。
さらに各種の結晶形のうち、ブラッグ角2θの27.2°に最大回折ピークを有するチタニルフタロシアニンが特に優れた感度特性を示し、良好に使用される。
特に、特開2001−19871号公報に記載されている27.2°に最大回折ピークを有し、更に9.4゜、9.6゜、24.0゜に主要なピークを有し、かつ最も低角側の回折ピークとして7.3°にピークを有し、該7.3゜のピークと9.4゜のピークの間にピークを有さないチタニルフタロシアニンを用いることで、高感度を失うことなく、繰り返し使用しても帯電性の低下を生じない安定した電子写真感光体を得ることができる。
これらのバインダー樹脂は、単独でも2種以上の混合物として用いてもよい。
バインダー樹脂は電荷発生材料100重量部に対し0〜500重量部、好ましくは10〜300重量部が適当である。
電荷発生層を形成する方法としては、溶液分散系からのキャスティング法が好ましい。キャスティング法によって電荷発生層を設けるには、上述した電荷発生材料を、必要ならばバインダー樹脂と共にテトラヒドロフラン、シクロヘキサノン、ジオキサン、ジクロロエタン、ブタノンなどの溶媒を用いてボールミル、アトライター、サンドミルなどにより分散し、分散液を適度に希釈して塗布すればよい。
塗布は、浸漬塗工法、スプレーコート法、ビードコート法などにより行うことが出来る。
以上のようにして設けられる電荷発生層の膜厚は、通常は0.01μm〜5μm、好ましくは0.1μm〜2μmである。
次に、電荷輸送層23について説明する。
電荷輸送層は、電荷輸送成分とバインダー成分を主成分とする混合物又は共重合体を適当な溶剤に溶解又は分散し、これを塗布、乾燥することにより形成する。
電荷輸送層のバインダー成分として用いることのできる高分子化合物としては、例えば、ポリスチレン、スチレン/アクリロニトリル共重合体、スチレン/ブタジエン共重合体、スチレン/無水マレイン酸共重合体、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアリレート樹脂、ポリカーボネート、酢酸セルロース樹脂、エチルセルロース樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルトルエン、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、アルキド樹脂などの熱可塑性又は熱硬化性樹脂が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
これらの高分子化合物は、単独又は2種以上の混合物として、或いはそれらの原料モノマー2種以上からなる共重合体として、更には、電荷輸送材料と共重合化して用いることができる。
電子輸送材料としては、例えばクロルアニル、ブロムアニル、テトラシアノエチレン、テトラシアノキノジメタン、2,4,7−トリニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロキサントン、2,4,8−トリニトロチオキサントン、2,6,8−トリニトロ−4H−インデノ〔1,2−b〕チオフェン−4−オン、1,3,7−トリニトロジベンゾチオフェン−5,5−ジオキサイドなどの電子受容性物質が挙げられる。
これらの電子輸送材料は、単独でも2種以上の混合物として用いてもよい。
その例としては、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、トリフェニルアミン誘導体、9−(p−ジエチルアミノスチリルアントラセン)、1,1−ビス−(4−ジベンジルアミノフェニル)プロパン、スチリルアントラセン、スチリルピラゾリン、フェニルヒドラゾン類、α−フェニルスチルベン誘導体、チアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、フェナジン誘導体、アクリジン誘導体、ベンゾフラン誘導体、ベンズイミダゾール誘導体、チオフェン誘導体などが挙げられる。
これらの正孔輸送材料は、単独でも2種以上の混合物として用いてもよい。
電荷輸送材料の添加量は樹脂成分100重量部に対して40〜200重量部、好ましくは70〜150重量部程度が適当であり、電荷輸送材料全体に対し、一般式(1)又は一般式(2)で表される電子輸送材料が50〜100重量%であることが好ましい。
感光層に含まれるフッ素樹脂粒子としては前述のフッ素樹脂粒子を含むことができる。効果を発揮させるためにはフッ素樹脂粒子の添加量はバインダー樹脂成分100重量部に対して5〜50重量部、好ましくは10〜20重量部とすることが好ましい。
また、必要により、電荷輸送層中に酸化防止剤、可塑剤、滑剤、紫外線吸収剤などの低分子化合物およびレベリング剤を添加することもできる。
これらの化合物は単独または2種以上の混合物として用いることができる。
低分子化合物の使用量は、高分子化合物100重量部に対して0.1〜50重量部、好ましくは、0.1〜20重量部、レベリング剤の使用量は、高分子化合物100重量部に対して0.001〜5重量部程度が適当である。
電荷輸送層の膜厚は、15〜40μm程度が適当であり、好ましくは15〜30μm程度、解像力が要求される場合、25μm以下が適当である。
本発明に用いられる電子写真感光体には、導電性支持体と混合型感光層又は電荷発生層との間に下引き層24を設けることができる。
下引き層は、接着性の向上、モワレの防止、上層の塗工性の改良、残留電位の低減、導電性支持体からの電荷注入の防止などの目的で設けられる。
下引き層は一般に樹脂を主成分とするが、これらの樹脂はその上に溶剤を用いて感光層を塗布することを考慮すると、一般の有機溶剤に対して耐溶解性の高い樹脂であることが望ましく、このような樹脂としては、ポリビニルアルコール、カゼイン、ポリアクリル酸ナトリウムなどの水溶性樹脂、共重合ナイロン、メトキシメチル化ナイロンなどのアルコール可溶性樹脂、ポリウレタン、メラミン樹脂、アルキッド−メラミン樹脂、エポキシ樹脂など三次元網目構造を形成する硬化型樹脂などが挙げられる。
また、下引き層には、酸化チタン、シリカ、アルミナ、酸化ジルコニウム、酸化スズ、酸化インジウムなどの金属酸化物、或いは金属硫化物、金属窒化物などの微粉末を加えてもよい。これらの下引き層は、前述の感光層と同様、適当な溶媒及び塗工法を用いて形成することが出来る。
更に下引き層としては、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、クロムカップリング剤などを使用して、例えばゾル−ゲル法などにより形成した金属酸化物層も有用である。
この他に、アルミナを陽極酸化により設けたもの、ポリパラキシリレン(パリレン)などの有機物、酸化ケイ素、酸化スズ、酸化チタン、ITO、セリアなどの無機物を真空薄膜作製法にて設けたものも下引き層として良好に使用できる。
下引き層の膜厚は、0.1〜10μmが適当であり、さらに好ましくは1〜5μmである。
また本発明において、感光層中に一般式(3)で表される電子輸送材料を加えることにより、感光層を緻密にすることができるため、ガスバリアー性が向上し、帯電器などで発生する酸化性ガスによる感光体劣化を防ぐことができる。また成膜時における収縮が緩和されるため、アルミ蒸着したPETシートやニッケルベルトなどのフレキシブルなシートを支持体とした場合、一般にカールと称される反りを減少させることが可能となり、クラックなどの感光体欠陥の発生を防ぐことができる。
これは、一般式(3)で表される電子輸送材料が低分子であるため、感光層中で可塑剤のような働きをするためであるが、一般式(3)で表される電子輸送材料は電子輸送能を持ち、また一般式(1)及び一般式(2)で表される電子輸送材料のモノマーであるため、残留電位などの副作用もほとんど生じずにガスバリアー性の向上及びカールを減少させることができる。
一般式(3)で表される電子輸送材料は、一般式(1)又は一般式(2)で表される電子輸送材料に対して1〜50重量%が適当である。少なすぎると所望の効果が得られず、また、一般式(3)で表される電子輸送材料は一般式(1)又は一般式(2)で表される電子輸送材料に比べ電子輸送能が劣るため、多すぎる場合には感度が低下してしまう。
図2は本発明の電子写真装置で用いられる電子写真感光体の一例を模式的に示す断面図である。
導電性支持体21の上に少なくとも電荷発生材料と、前記一般式(1)および(3)又は一般式(2)および(3)で表される電子輸送材料とフッ素樹脂粒子を含む感光層25が設けられている。
また図示していないが導電性支持体21と感光層25の間に下引き層を設けることも可能である。
単層構成の感光層に用いることが出来る電荷発生材料は積層構成時と同様に公知の材料を使用することができるが、前述のようにフタロシアニン系の顔料が本発明に必要な諸特性の面から特に好ましい。
その中でも前述のように特に中心金属としてチタンを有するチタニルフタロシアニンであることによって、特に感度が高い感光層とすることが出来、電子写真装置として高速化をよりいっそうはかることが可能となる。
さらに積層同様に各種の結晶形のうち、ブラッグ角2θの27.2°に最大回折ピークを有するチタニルフタロシアニンが特に優れた感度特性を示し、良好に使用される。
特に、特開2001−19871号公報に記載されている27.2°に最大回折ピークを有し、更に9.4゜、9.6゜、24.0゜に主要なピークを有し、かつ最も低角側の回折ピークとして7.3°にピークを有し、該7.3゜のピークと9.4゜のピークの間にピークを有さないチタニルフタロシアニンを用いることで、高感度を失うことなく、繰り返し使用しても帯電性の低下を生じない安定した電子写真感光体を得ることができる。
これらの顔料は予めテトラヒドロフラン、シクロヘキサノン、ジオキサン、ジクロロエタン、ブタノンなどの溶媒を用いてボールミル、アトライター、サンドミルなどにより分散しておくことが好ましい。また分散時には必要に応じてバインダー樹脂と共に分散しても良い。
上記単層構成の感光層において、電荷発生材料は感光層全体に対して0.1〜30重量%、好ましくは0.5〜10重量%が適当である。電子輸送材料はバインダー樹脂成分100重量部に対して5〜300重量部、好ましくは10〜150重量部が適当である。
また正孔輸送材料は、バインダー樹脂成分100重量部に対して5〜300重量部、好ましくは20〜150重量部が適当である。電子輸送材料と正孔輸送材料を併用する場合は、電子輸送材料と正孔輸送材料の総量が、バインダー樹脂成分100重量部に対して20〜300重量部、好ましくは30〜200重量部が適当である。
単層構成時においても感光層に含まれるフッ素樹脂粒子としては前述のフッ素樹脂粒子を含むことができる。
フッ素樹脂粒子を添加した効果を発揮させるためにはフッ素樹脂粒子の添加量はバインダー樹脂成分100重量部に対して5〜50重量部、好ましくは10〜20重量部とすることが好ましい。
フッ素樹脂粒子の含有量が多すぎると感光体としての基本的な特性が低下するおそれがあり、少なすぎるとフッ素樹脂粒子を含有させた効果が十分に発揮されない。
また、必要により、感光層中に酸化防止剤、可塑剤、滑剤、紫外線吸収剤などの低分子化合物およびレベリング剤を添加することもできる。
これらの化合物は単独または2種以上の混合物として用いることができる。
低分子化合物の使用量は、バインダー樹脂などの高分子化合物100重量部に対して0.1〜50重量部、好ましくは、0.1〜20重量部、レベリング剤の使用量は、高分子化合物100重量部に対して0.001〜5重量部程度が適当である。
また成膜時における収縮が緩和されるため、アルミ蒸着したPETシートやニッケルベルトなどのフレキシブルなシートを支持体とした場合、一般にカールと称される反りを減少させることが可能となり、クラックなどの感光体欠陥の発生を防ぐことができる。
単層構成の感光層において、一般式(3)で表される電子輸送材料は、一般式(1)又は一般式(2)で表される電子輸送材料に対して1〜50重量%が適当である。少なすぎると所望の効果が得られず、また、一般式(3)で表される電子輸送材料は一般式(1)又は一般式(2)で表される電子輸送材料に比べ電子輸送能が劣るため、多すぎる場合には感度が低下してしまう。
塗工方法としては浸漬法、スプレー塗工法、リングコート法、ロールコータ法、グラビア塗工法、ノズルコート法、スクリーン印刷法等が採用される。
感光層の膜厚は、10〜45μm程度が適当であり、好ましくは15〜32μm程度、解像力が要求される場合、25μm以下が適当である。
保護層26に使用される結着樹脂としてはABS樹脂、ACS樹脂、オレフィン−ビニルモノマー共重合体、塩素化ポリエーテル、アリール樹脂、フェノール樹脂、ポリアセタール、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリアクリレート、ポリアリルスルホン、ポリブチレン、ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリエーテルスルホン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリイミド、アクリル樹脂、ポリメチルペンテン、ポリプロピレン、ポリフェニレンオキシド、ポリスルホン、ポリスチレン、ポリアリレート、AS樹脂、ブタジエン−スチレン共重合体、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、エポキシ樹脂等の樹脂が挙げられる。フッ素樹脂粒子の分散性、残留電位、塗膜欠陥の点から、特にポリカーボネートあるいはポリアリレートが有効かつ有用である。
フィラーとしては有機性フィラーと無機性フィラーがあるが、フィラーの硬度の点から無機性フィラーを用いることが耐摩耗性の向上に対し有利である。
このような無機性フィラー材料としては、銅、スズ、アルミニウム、インジウムなどの金属粉末、シリカ、酸化錫、酸化亜鉛、酸化チタン、アルミナ、酸化ジルコニウム、酸化インジウム、酸化アンチモン、酸化ビスマス、酸化カルシウム、アンチモンをドープした酸化錫、錫をドープした酸化インジウム等の金属酸化物、フッ化錫、フッ化カルシウム、フッ化アルミニウム等の金属フッ化物、チタン酸カリウム、窒化硼素などの無機材料が挙げられる。
これらのフィラーは少なくとも1種の表面処理剤で表面処理させることが可能であり、そうすることがフィラーの分散性の面から好ましい。
フィラーの分散性の低下は残留電位の上昇だけでなく、塗膜の透明性の低下や塗膜欠陥の発生、さらには耐摩耗性の低下をも引き起こすため、高耐久化あるいは高画質化を妨げる大きな問題に発展する可能性がある。
シランカップリング剤による処理は画像ボケの影響が強くなるが、上記の表面処理剤とシランカップリング剤との混合処理を施すことによりその影響を抑制できる場合がある。
表面処理量については、用いるフィラーの平均一次粒径によって異なるが、3〜30重量%が適しており、5〜20重量%がより好ましい。
表面処理量がこれよりも少ないとフィラーの分散効果が得られず、また多すぎると残留電位の著しい上昇を引き起こす。
フッ素樹脂粒子はその機能を発揮させるため最表層に含まれるのが望ましい。
本発明に用いることができるフッ素樹脂粒子としては、例えば四フッ化エチレン樹脂粒子、パーフロロアルコキシ樹脂粒子、三フッ化塩化エチレン樹脂粒子、六フッ化エチレンプロピレン樹脂粒子、フッ化ビニル樹脂粒子、フッ化ビニリデン樹脂粒子、フッ化二塩化エチレン樹脂粒子及びこれ等の共重合体等が挙げられ、これ等の中から一種あるいはそれ以上が適宜選択されるが、特に四フッ化エチレン樹脂粒子、パーフロロアルコキシ樹脂粒子が好ましい。
粒径は0.05〜10μm、好ましくは0.1〜2.0μmが使用可能である。
フッ素樹脂粒子を添加した効果を十分発揮させるためには、フッ素樹脂粒子の添加量はバインダー樹脂成分100重量部に対して5〜100重量部とすることが好ましい。
フッ素樹脂粒子の含有量が多すぎると感光体としての基本的な特性が低下するおそれがあり、少なすぎるとフッ素樹脂粒子を含有させた効果が十分に発揮されない。
但し、分散時には粘度が高い溶剤が好ましいが、塗工時には揮発性が高い溶剤が好ましい。
これらの条件を満たす溶剤がない場合には、各々の物性を有する溶剤を2種以上混合させて使用することが可能であり、フッ素樹脂粒子の分散性に対して大きな効果を有する場合がある。
また、保護層に電荷輸送層23で挙げた電子輸送材料を添加することは残留電位の低減及び画質向上に対して有効かつ有用である。
また、フッ素樹脂粒子の分散性を制御する目的で分散剤を樹脂に添加してもよい。このような分散剤としては、フッ素系の界面活性剤、グラフトポリマー、ブロックポリマー及びカップリング剤等が使用できる。
さらに、保護層の必要膜厚を一度で塗工し、保護層を形成することも可能であるが、2回以上重ねて塗工し、保護層を多層にする方が膜中におけるフッ素樹脂粒子の均一性の面からより好ましい。
保護層の厚さは自由に設定可能であるが、保護層膜厚が著しく増加すると、画質が若干劣化する傾向が認められるため、必要最小限度の膜厚に設定することが好ましい。0.1〜10μm程度が適当である。
図5は、本発明の電子写真装置を説明するための概略図であり、後述するような変形例も本発明の範疇に属するものである。
図5において感光体11は少なくとも導電性支持体上に感光層を有し、該感光層中に少なくとも電荷発生材料と前記一般式(1)および(3)又は一般式(2)および(3)で表される電子輸送材料とフッ素樹脂粒子を含む。感光体11はドラム状の形状を示しているが、シート状、エンドレスベルト状のものであっても良い。
帯電手段12は、コロトロン、スコロトロン、固体帯電器(ソリッド・ステート・チャージャ)、帯電ローラーを始めとする公知の手段が用いられる。
本発明においては帯電の極性は感光体の構成により正負いずれも使用できるが、正帯電の方が負帯電に比べ、帯電性が安定しており、またオゾン、NOxといった酸化性ガスの発生量も少ないため望ましい。
転写手段16には、コロトロン、スコロトロン、固体帯電器(ソリッド・ステート・チャージャー)、帯電ローラを始めとする公知の帯電器を使用できるが、転写チャージャーと分離チャージャーを併用したものが効果的である。
露光手段13、除電手段1A等に用いられる光源には、蛍光灯、タングステンランプ、ハロゲンランプ、水銀灯、ナトリウム灯、発光ダイオード(LED)、半導体レーザー(LD)、エレクトロルミネッセンス(EL)などの発光物全般を挙げることができる。そして、所望の波長域の光のみを照射するために、シャープカットフィルター、バンドパスフィルター、近赤外カットフィルター、ダイクロイックフィルター、干渉フィルター、色温度変換フィルターなどの各種フィルターを用いることもできる。
現像手段14により感光体上に現像されたトナー15は、受像媒体18に転写されるが、全部が転写されるわけではなく、感光体上に残存するトナーも生ずる。このようなトナーは、クリーニング手段17により、感光体より除去される。クリーニング手段は、ゴム製のクリーニングブレードやファーブラシ、マグファーブラシ等のブラシ等を用いることができる。
図6において、感光体11は、本発明の要件を満たし、エンドレスベルト状のものである。
駆動手段1Cにより駆動され、帯電手段12による帯電、露光手段13による像露光、現像(図示せず)、転写手段16による転写、クリーニング前露光手段1Bによるクリーニング前露光、クリーニング手段17によるクリーニング、除電手段1Aによる除電が繰返し行われる。図6においては、感光体(この場合は支持体が透光性である)の支持体側よりクリーニング前露光の光照射が行われる。
一方、光照射工程は、像露光、クリーニング前露光、除電露光が図示されているが、他に転写前露光、像露光のプレ露光、およびその他公知の光照射工程を設けて、感光体に光照射を行うこともできる。
また、以上に示すような画像形成手段は、複写機、ファクシミリ、プリンター内に固定して組み込まれていてもよいが、プロセスカートリッジの形でそれら装置内に組み込まれてもよい。プロセスカートリッジとは、感光体を内蔵し、他に帯電手段、露光手段、現像手段、転写手段、クリーニング手段、除電手段を含んだ1つの装置(部品)である。プロセスカートリッジの形状等は多く挙げられるが、一般的な例として、図7に示すものが挙げられる。この場合も、感光体11は、本発明の要件を満たす感光体である。感光体11は、ドラム状の形状を示しているが、シート状、エンドレスベルト状のものであっても良い。
この電子写真装置では、感光体11の周囲に帯電手段12、露光手段13、ブラック(Bk)、シアン(C)、マゼンタ(M)、およびイエロー(Y)の各色トナー毎の現像手段14Bk、14C、14M、14Y、中間転写体である中間転写ベルト1F、クリーニング手段17が順に配置されている。ここで、図中に示すBk、C、M、Yの添字は上記のトナーの色に対応し、必要に応じて添字を付けたり適宜省略する。
感光体11は、本発明の要件を満たす電子写真感光体である。
各色の現像手段14Bk、14C、14M、14Yは各々独立に制御可能となっており、画像形成を行う色の現像手段のみが駆動される。感光体11上に形成されたトナー像は中間転写ベルト1Fの内側に配置された第1の転写手段1Dにより、中間転写ベルト1F上に転写される。
第1の転写手段1Dは感光体11に対して接離可能に配置されており、転写動作時のみ中間転写ベルト1Fを感光体11に当接させる。
各色の画像形成を順次行い、中間転写ベルト1F上で重ね合わされたトナー像は第2の転写手段1Eにより、受像媒体18に一括転写された後、定着手段19により定着されて画像が形成される。
第2の転写手段1Eも中間転写ベルト1Fに対して接離可能に配置され、転写動作時のみ中間転写ベルト1Fに当接する。
このような中間転写方式は図8に示す装置に限らず前述の図5、図6、図7および後述する図9(具体例を図10に記す。)に記す電子写真装置に適用することができる。
また、各色毎の感光体11Y、11M、11C、11Bkが設けられている。
この電子写真装置に用いられる感光体11は、本発明の要件を満たす感光体である。各感光体11Y、11M、11C、11Bkの周りには、帯電手段12、露光手段13、現像手段14、クリーニング手段17等が配設されている。
また、直線上に配設された各感光体11Y、11M、11C、11Bkの各転写位置に接離する転写材担持体としての搬送転写ベルト1Gが駆動手段1Cにて掛け渡されている。
この搬送転写ベルト1Gを挟んで各感光体1Y、1M、1C、1Bkに対向する転写位置には転写手段16が配設されている。
尚、実施例中、部は全て重量部を示す。
下記組成の下引き層用塗工液、電荷発生層用塗工液及び電荷輸送層用塗工液をそれぞれ作製した。
(下引き層用塗工液作製例1)
アルキッド樹脂
(大日本インキ製:ベッコゾール M−6401−50) 60部
メラミン樹脂
(大日本インキ製:スーパーベッカミン L−121−60) 40部
酸化チタン(石原産業社製:CR−EL) 400部
メチルエチルケトン 500部
これらをボールミル装置(メディアとしてφ10mmのアルミナボールを使用)にて5日間ボールミルをおこない下引き層用塗工液とした。
(電荷発生層用塗工液作製例1)
X型無金属フタロシアニン顔料
(大日本インキ工業株式会社:Fastogen Blue8120B) 12部
ポリビニルブチラール樹脂
(積水化学工業株式会社:エスレックBX−1) 5部
2−ブタノン 200部
シクロヘキサノン 400部
これらをφ9cmのガラスポットにφ0.5mmのPSZボールを用い、回転数100rpmで5時間分散を行い電荷発生層用塗工液とした。
(電荷輸送層用塗工液作製例1)
下記化学式(4)の電子輸送材料 10部
Z型ポリカーボネート樹脂
(帝人化成製:パンライトTS−2050) 10部
シリコーンオイル(信越化学工業社製:KF50) 0.01部
テトラヒドロフラン 80部
(保護層塗工液作製例1)
パーフロロアルコキシ樹脂粒子(PFA)
(MPE−056、三井フロロケミカル製) 3.3部
分散助剤(モディパーF210日本油脂製) 1.0部
酸化防止剤 0.2部
ポリカーボネート(Zポリカ、帝人化成製) 6.4部
テトラヒドロフラン 200部
シクロヘキサノン 60部
上記保護層塗工液を高速液衝突分散装置(装置名:アルティマイザーHJP−25005 スギノマシン社製)において、100MPa圧力下、30min循環し、その後、超音波を10分間照射して調整し、保護層塗工液とした。
次いで、φ30mm、長さ340mmのアルミニウムドラム上に、前記組成の下引き層用塗工液、電荷発生層用塗工液及び電荷輸送層用塗工液の各塗工液を順次、浸漬塗工法にて塗布、乾燥し、4.5μmの下引き層、0.15μmの電荷発生層、20μmの電荷輸送層を形成した。
電荷輸送層上に保護層塗工液をスプレー塗工[スプレーガン:ピースコンPC308 オリンポス社製、エア圧:2kgf/cm2]することで約5μmの保護層を形成し、実施例1の感光体1を作製した。なおそれぞれの層の乾燥温度は135℃で20分、80℃で15分、120℃で20分、130℃で30分とした。
(感光体2作製例)
X型無金属フタロシアニンを下記組成の処方、条件にて分散を行い顔料分散液を作成した。
X型無金属フタロシアニン顔料
(大日本インキ工業株式会社:Fastogen Blue8120B) 3部
シクロヘキサノン 97部
φ9cmのガラスポットにφ0.5mmのPSZボールを用い、回転数100rpmで5時間分散を行った。
上記分散液を用いて下記組成の感光体用塗工液を作製した。
上記分散液 60部
化学式(B)の正孔輸送材料 30部
化学式(4)の電子輸送材料 20部
Z型ポリカーボネート樹脂
(帝人化成製:パンライトTS−2050) 50部
シリコーンオイル(信越化学工業社製:KF50) 0.01部
テトラヒドロフラン 350部
実施例1において電荷発生材料をX型無金属フタロシアニン(Fastogen Blue8120B)に代えて下記顔料合成例1に従って作製したチタニルフタロシアニンを用いた以外は実施例1と全く同様にして実施例3の感光体3を作製した。
(顔料合成例1)
特開平2−8256号(特公平7−91486号)公報の製造例に記載の方法に準じて、顔料を作製した。
すなわち、フタロジニトリル9.8gと1−クロロナフタレン75mlを撹拌混合し、窒素気流下で四塩化チタン2.2mlを滴下する。滴下終了後、徐々に200℃まで昇温し、反応温度を200℃〜220℃の間に保ちながら3時間撹拌して反応を行った。
反応終了後、放冷し130℃になったところ熱時ろ過し、次いで1−クロロナフタレンで粉体が青色になるまで洗浄、次にメタノールで数回洗浄し、さらに80℃の熱水で数回洗浄した後、乾燥し顔料を得た。
得られたチタニルフタロシアニン粉末を、下記の条件によりX線回折スペクトル測定し、公報に記載のスペクトルと同様であることを確認した。
(X線回折スペクトル測定条件)
X線管球:Cu
電圧 :50kV
電流 :30mA
走査速度:2°/分
走査範囲:3°〜40°
時定数 :2秒
実施例2において電荷発生材料をX型無金属フタロシアニン(Fastogen Blue8120B)に代えて前記顔料合成例1に従って作製したチタニルフタロシアニンを用いた以外は実施例2と全く同様にして実施例4の感光体4を作製した。
実施例1において電荷発生材料をX型無金属フタロシアニン(Fastogen Blue8120B)に代えて下記顔料合成例2に従って作製したチタニルフタロシアニンを用いた以外は実施例1と全く同様にして実施例5の感光体5を作製した。
(顔料合成例2)
特開2001−19871号公報に準じて、顔料を作製した。即ち、1,3−ジイミノイソインドリン29.2gとスルホラン200mlを混合し、窒素気流下でチタニウムテトラブトキシド20.4gを滴下する。
滴下終了後、徐々に180℃まで昇温し、反応温度を170℃〜180℃の間に保ちながら5時間撹拌して反応を行った。
反応終了後、放冷した後析出物を濾過し、クロロホルムで粉体が青色になるまで洗浄し、つぎにメタノールで数回洗浄し、さらに80℃の熱水で数回洗浄した後乾燥し、粗チタニルフタロシアニンを得た。粗チタニルフタロシアニンを20倍量の濃硫酸に溶解し、100倍量の氷水に撹拌しながら滴下し、析出した結晶をろ過、ついで洗浄液が中性になるまで水洗いを繰り返し、チタニルフタロシアニン顔料のウェットケーキ(水ペースト)を得た。
得られたこのウェットケーキ(水ペースト)2gをテトラヒドロフラン20gに投入し、4時間攪拌を行った後、濾過を行い、乾燥して、チタニルフタロシアニン粉末を得た(顔料1とする)。
得られたチタニルフタロシアニン粉末を、顔料合成例1の条件によりX線回折スペクトル測定し、公報に記載の、Cu−Kα線(波長1.542Å)に対するブラッグ角2θの回折ピーク(±0.2゜)として、少なくとも27.2°に最大回折ピークを有し、更に9.4゜、9.6゜、24.0゜に主要なピークを有し、かつ最も低角側の回折ピークとして7.3゜にピークを有し、7.3゜のピークと9.4゜のピークの間にピークを有さないチタニルフタロシアニンであることを確認した。
実施例2において電荷発生材料をX型無金属フタロシアニン(Fastogen Blue8120B)に代えて前記顔料合成例2に従って作製したチタニルフタロシアニンを用いた以外は実施例2と全く同様にして実施例6の感光体6を作製した。
尚、上述の化学式(4)で表される電子輸送物質は、下記の方法により製造した。
第一工程
200ml4つ口フラスコに、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物5.0g(18.6mmol)、DMF50mlを入れ、加熱還流させた。
これに、2−アミノヘプタン2.14g(18.6mmol)とDMF25mlの混合物を攪拌しながら滴下した。
滴下終了後、6時間加熱還流させた。反応終了後、容器を冷却し、減圧濃縮した。残渣にトルエンを加え、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製した。
更に回収品をトルエン/ヘキサンにより再結晶し、モノイミド体A 2.14g(収率31.5%)を得た。
第二工程
100ml4つ口フラスコに、モノイミド体A2.0g(5.47mmol)と、ヒドラジン水和物0.137g(2.73mmol)、p−トルエンスルホン酸10mg、トルエン50mlを入れ、5時間加熱還流させた。反応終了後、容器を冷却し、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製した。更に回収品をトルエン/酢酸エチルにより再結晶し、化学式(4)で表される電子輸送材料0.668g(収率33.7%)を得た。
実施例6において電子輸送材料を前記化学式(5)のものとした以外は実施例6と全く同様にして実施例8の感光体8を作製した。
尚、上述の化学式(5)で表される電子輸送材料は、下記の方法により製造した。
第一工程
200ml4つ口フラスコに、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物10g(37.3mmol)とヒドラジン一水和物0.931g(18.6mmol)、p−トルエンスルホン酸20mg、トルエン100mlを入れ、5時間加熱還流させた。
反応終了後、容器を冷却し、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製した。更に回収品をトルエン/酢酸エチルにより再結晶し、二量体C 2.84g(収率28.7%)を得た。
第二工程
100ml4つ口フラスコに、二量体C2.5g(4.67mmol)、DMF30mlを入れ、加熱還流させた。これに2−アミノプロパン0.278g(4.67mmol)とDMF10mlの混合物を攪拌しながら滴下した。
滴下終了後、6時間加熱還流させた。反応終了後、反応容器を冷却し、減圧濃縮した。残渣にトルエンを加え、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、モノイミド体C滴下0.556g(収率38.5%)を得た。
第三工程
50ml4つ口フラスコに、モノイミド体C0.50g(1.62mmol)、DMF10mlを入れ、加熱還流させた。これに、2−アミノヘプタン0.186g(1.62mmol)とDMF5mlの混合物を攪拌しながら滴下した。
滴下終了後、6時間加熱還流させた。反応終了後、反応容器を冷却し、減圧濃縮した。残渣にトルエンを加え、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製した。更に回収品をトルエン/ヘキサンにより再結晶し、上記化学式(5)で表される電子輸送物質0.243g(収率22.4%)を得た。
実施例6において電子輸送材料を前記化学式(6)のものとした以外は実施例6と全く同様にして実施例10の感光体10を作製した。
尚、上述の化学式(6)で表される電子輸送材料は、下記の方法により製造した。
第一工程
200ml4つ口フラスコに、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物5.0g(18.6mmol)、DMF50mlを入れ、加熱還流させた。これに2−アミノプロパン1.10g(18.6mmol)とDMF25mlの混合物を攪拌しながら滴下した。滴下終了後、6時間加熱還流させた。
反応終了後、反応容器を冷却し、減圧濃縮した。
残渣にトルエンを加え、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製した。更に回収品をトルエン/ヘキサンにより再結晶し、モノイミド体B2.08g(収率36.1%)を得た。
第二工程
100ml4つ口フラスコに、モノイミド体B2.0g(6.47mmol)と、ヒドラジン一水和物0.162g(3.23mmol)、p−トルエンスルホン酸10mg、トルエン50mlを入れ、5時間加熱還流させた。
反応終了後、容器を冷却し、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製した。更に回収品をトルエン/酢酸エチルにより再結晶し、化学式(6)で表される電子輸送材料0.810g(収率37.4%)を得た。
実施例5においてフッ素樹脂粒子をパーフロロアルコキシ樹脂粒子に代えて四フッ化エチレン樹脂粒子(PTFE)とした以外は実施例5と全く同様にして実施例11の感光体11を作製した。
実施例6においてフッ素樹脂粒子をパーフロロアルコキシ樹脂粒子に代えて四フッ化エチレン樹脂粒子とした以外は実施例6と全く同様にして実施例12の感光体12を作製した。
実施例6において電子輸送材料を前記化学式(11)のものとした以外は実施例6と全く同様にして実施例14の感光体14を作製した。
なお、化学式(11)の電子輸送材料は、下記の方法により製造した。
第一工程
200ml4つ口フラスコに、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物5.0g(18.6mmol)、DMF50mlを入れ、加熱還流させた。
これに、2−アミノペンタン1.62g(18.6mmol)とDMF25mlの混合物を攪拌しながら滴下した。滴下終了後、6時間加熱還流させた。反応終了後、容器を冷却し、減圧濃縮した。残渣にトルエンを加え、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製した。更に回収品をトルエン/ヘキサンにより再結晶し、モノイミド体E3.49g(収率45.8%)を得た。
第二工程
100ml4つ口フラスコに、モノイミド体E3.0g(7.33mmol)と、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物0.983g(3.66mmol)、ヒドラジン一水和物0.368g(7.33mmol)、p−トルエンスルホン酸10mg、トルエン50mlを入れ、5時間加熱還流させた。反応終了後、容器を冷却し、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて2回精製した。更に回収品をトルエン/酢酸エチルにより再結晶し、化学式(11)で表される電子輸送材料を0.939g(収率13.7%)得た。
質量分析〔FD−MS〕において、M/z=934のピークが観測されたことにより目的物であると同定した。
元素分析は計算値、炭素66.81%、水素3.67%、窒素8.99%に対し、実測値で炭素66.92%、水素3.74%、窒素9.05%であった。
実施例5において電子輸送材料を前記化学式(4)の電子輸送材料:8部及び下記化学式(14)の電子輸送材料:2部に変更した以外は実施例5と全く同様にして実施例15の感光体15を作製した。
化学式(14)
実施例6において電子輸送材料を前記化学式(4)の電子輸送材料:15部及び前記化学式(15)の電子輸送材料:5部に変更した以外は実施例6と全く同様にして実施例16の感光体16を作製した。
実施例6において電子輸送材料を前記化学式(15)のものとした以外は実施例6と全く同様にして比較例2の感光体18を作製した。
実施例6において電子輸送材料を前記化学式(16)のものとした以外は実施例6と全く同様にして比較例4の感光体20を作製した。
実施例5において保護層にパーフロロアルコキシ樹脂粒子を加えなかった以外は実施例5と全く同様にして比較例5の感光体21を作製した。
実施例6において保護層にパーフロロアルコキシ樹脂粒子を加えなかった以外は実施例6と全く同様にして比較例6の感光体22を作製した。
リコー製レーザープリンタ(imagio Neo 270)改造機(帯電器はスコロトロンであり正帯電となるように改造し、さらにLD波長は780nm、下記のトナー製造例1により作製したトナーを使用)に作製した感光体1〜22を組み付け、黒ベタ部5%のチャート紙による連続3万枚の耐刷試験を行った。
試験の前後で画像評価、明部電位、感光体摩擦係数の評価を行った。
結果を表1に示す。
画像評価:評価用画像を出力し、トナーのクリーニング不良による画像の乱れ、地汚れ、かぶり、画像濃度などを目視で評価した。
画像評価は4段階にて行い、極めて良好なものを◎、良好なものを○、やや劣るものを△、非常に悪いものを×で表した。
明部電位:一次帯電の後、画像露光(全面露光)を受け、現像部位置まで移動した際の感光体表面電位。
感光体摩擦係数:特開平9−166919号公報等にて開示されているオイラー・ベルト方式を用い表面摩擦係数を評価した。ここでいうベルトとは、中厚の上質紙で、紙すきが長手方向になるようにして、図11に示すように、感光体の円周1/4に張架し、ベルトの一方にW=100gの荷重を掛け、他方にフォースゲージ(バネ秤)を設置し、フォースゲージを徐々に引っ張りながらベルトの移動を観察し、移動が開始した時点での荷重を読み取って以下の式にて計算する。
なお、図11では、荷重:100g分銅と、ベルト:Type6200/T目/A4用
紙/30mm幅(すき目方向にカット)と、ダブルクリップ2個が使用される。また、式
におけるμは摩擦係数を、Fは引っ張り力を、Wは荷重を表す。
μ=2/π×ln(F/W) W=100g
(1)単量体組成物の作製
スチレンモノマー 70部
n−ブチルメタクリレート 30部
ポリスチレン 5部
3,5−ジ−tert−ブチルサリチル酸亜鉛塩 2部
カーボンブラック 6部
上記の重合性単量体混合物をボールミルを用いて24時間分散混合して単量体組成物を調製した。
攪拌機、温度計、不活性ガス導入管及び細孔径110,000単位、細孔容積0.42cc/g、10φ×50ミリメートルの多孔質ガラス管を備えたフラスコに2%ポリビニルアルコール水溶液400mlを取り、窒素ガスを送りながら室温で攪拌を行い、反応容器中の酸素を窒素置換した。
ついで(1)の単量体組成物113gにアゾビスイソブチルニトリル1.56gを加え攪拌溶解し、ポンプを用いて多孔質ガラス管を通過させて、ポリビニルアルコール水溶液中へ加え、加え終った後ポリビニルアルコールと単量体組成物の混合物を、前記ポンプと多孔質ガラス管を用いて約120ml/minの割合で2時間循環させた後内温を70℃とし8時間重合させた。
その後室温まで冷却し一晩静置後、上澄液を除き水を加えて1時間攪拌後濾過、乾燥しトナーを得た。このトナーをコールターカウンターで粒子径を測定したところ、平均粒子計8.5μmで5〜0μm径の範囲にある粒子は全体の95%であり極めて狭い粒度分布であった。また、このトナーの円形度は0.98であった。
一方、本発明の要件を満たさない比較例7〜12では繰り返しの使用により感光体の明部電位の上昇やトナーのクリーニング不良による異常画像の発生が見られた。
作製した感光体5、6、15、16について、オゾン濃度10ppmの環境に5日間放置するオゾン暴露試験を行った。
オゾン暴露試験後に画像評価及び解像度の評価を行った。
評価は(実施例17〜32、比較例7〜12)で用いた電子写真装置を用いて行った。
(画像評価)
評価用画像を出力し、目視で地汚れ、かぶり、画像濃度等を総合的にランク評価した。
(解像度)
ハーフトーン画像を出力し、ドット形成状態(ドットの散り具合やドット再現性)を観
察した。
いずれの場合も評価ランクは、以下の通りである。
◎:非常に良好
○:良好
△:やや劣る
×:非常に悪い
以上、実施例33〜36の評価結果を表2に示す。
22 電荷発生層
23 電荷輸送層
24 下引き層
25 感光層
26 保護層
11 電子写真感光体
12 帯電手段
13 露光手段
14 現像手段
15 トナー
16 転写手段
17 クリーニング手段
18 受像媒体
19 定着手段
1A 除電手段
1B クリーニング前露光手段
1C 駆動手段
1D 第1の転写手段
1E 第2の転写手段
1F 中間転写体
1G 受像媒体担持体
Claims (10)
- 少なくとも導電性支持体と感光層を有する電子写真感光体において、該感光層中に少なくとも電荷発生材料と下記一般式(1)および(3)で表される電子輸送材料とフッ素樹脂粒子を含むことを特徴とする電子写真感光体。
- 少なくとも導電性支持体と感光層を有する電子写真感光体において、該感光層中に少な
くとも電荷発生材料と下記一般式(2)および(3)で表される電子輸送材料とフッ素樹脂粒子を含むことを特徴とする電子写真感光体。
- 前記フッ素樹脂粒子が前記感光層の最表層に含まれることを特徴とする請求項1又は2記載の電子写真感光体。
- 前記電荷発生材料がフタロシアニンであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の電子写真感光体。
- 前記フタロシアニンがチタニルフタロシアニンであることを特徴とする請求項4記載の電子写真感光体。
- 前記チタニルフタロシアニンがCu−Kα線(波長1.542Å)に対するブラッグ角2θの回折ピーク(±0.2゜)として、少なくとも27.2°に最大回折ピークを有し、更に9.4゜、9.6゜、24.0゜に主要なピークを有し、かつ最も低角側の回折ピークとして7.3゜にピークを有し、7.3゜のピークと9.4゜のピークの間にピークを有さないことを特徴とする請求項5に記載の電子写真感光体。
- 請求項1〜6のいずれかに記載された電子写真感光体と、少なくとも帯電手段、画像露光手段、現像手段、および転写手段とを具備することを特徴とする電子写真装置。
- 正帯電で帯電プロセスを行うことを特徴とする請求項7記載の電子写真装置。
- 前記電子写真装置が複数の感光体を具備してなり、それぞれの感光体上に現像された単色のトナー画像を順次重ね合わせてカラー画像を形成することを特徴とする請求項7又は8記載の電子写真装置。
- 請求項1〜6のいずれかに記載された電子写真感光体と、帯電手段、画像露光手段、現像手段、転写手段の少なくとも1つを具備することを特徴とする電子写真装置用プロセスカートリッジ。
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