JP4705283B2 - 耐久性および真直性に優れる軌条とその矯正方法 - Google Patents

耐久性および真直性に優れる軌条とその矯正方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、軌条に関し、特に、鉄道車輌の高速化に必要な耐久性および真直性に優れた軌条、およびその矯正方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
鉄道車輌の高速化に伴い、走行時の安全性および快適性の確保が図られている。
【0003】
その一環として、車輌を支える軌条の安全性がますます重要となってきており、耐用寿命の延命化ならびに耐破壊性の向上が強く要望されている。中でも、海外の鉄道においては、図7に示す矯正機でローラー矯正された軌条1の胴部(柱部とも記載される。)に脆性き裂が進展し、脱線、死傷事故に至ったことから、軌条胴部脆性き裂進展特性が重要視され、胴部脆性き裂進展特性の優れた軌条が望まれている。軌条の耐疲労損傷性を増すためには、軌条材質の強化と合わせて残留応力の活用が最も効果的であることが公知であり、従来から、如何にして軌条に低コストで耐疲労損傷性に有効な圧縮残留応力を付与するかが研究されてきた。例えば、特開平4−17921号公報には、軌条の耐疲労性を向上させる矯正法として、図8に示すように、直径が50〜300mmの小径ロール3を上下交互に配列したローラー矯正機で、レール1の頭部と底部の表面層を加工することにより、ロールと接触する軌条表面近傍を、軌条表面内部よりも多く塑性変形させて、軌条表面層に圧縮の残留応力を誘起する技術が開示されている。しかし、この技術では、大きな圧縮残留応力が要求される場合、ローラー矯正機の矯正荷重が約150tにも達することから、50〜300mmの小径ロールでは矯正荷重に耐えられないため、バックアップロール31が必要となり、矯正機の構造が複雑で設備コストが嵩む問題があった。
【0004】
特開平6−312216号公報では、図9に示すように、ローラー矯正機(a)の後段に、直径100〜500mm、ロール軸方向に200〜1000mmの曲率を有するロール4を、図10に示すように相対向させた圧延装置(b)を設け、ロール間のヘルツ応力が90〜300MPa の範囲になるように負荷して、軌条頭部および底部表面層に圧縮残留応力を付与することにより、軌条の耐転がり疲労寿命を4倍以上に向上させる技術が開示されている。しかし、この技術は、前段のローラー矯正と後段の非対称圧延との組合せであるから、大きな圧縮残留応力が要求される場合、原理的に後段の圧延で、非対称性に由来する圧延曲がりが発生する。そのため、ローラー矯正機単独の場合に比べて、最適な矯正条件の設定が煩雑になる問題点があった。
【0005】
この他にも、鉄道車輌の高速化に伴い、軌条頭部踏面の長手方向の平担性を確保するというニーズがある。軌条頭部の踏面に、長手方向に周期的な波状の凹凸、即ち、波状変形が存在すると、走行時の車輌の車輪に上下方向の振動が発生する。速度の遅い従来線では通常問題にならないような波長の長い波状変形でも、高速車輌の場合、比較的高い周波数の振動になる。この周波数が車輌の足廻りの固有振動数と一致した場合は、共振を生じて車輪と軌条の接触が不安定となり、最悪の場合、車輌の脱線などの事故に繋がる可能性がある。また、事故にはならなくとも、波状変形による振動は、乗り心地の低下を招来する問題があった。軌条の波状変形発生の一因子として、ローラー矯正機のロールのガタや偏心が矯正工程で軌条に転写されることが考えられる。これを防止するためには、ローラー矯正機の全ロールのガタおよび偏心を最小限に管理する必要があるが、そのためには、装置の改造や設備更新が必要になる。しかし、通常のローラー矯正機はロールを7本以上有するので、初期コストのアップに繋がるとともに、操業時に余分な管理費が発生する問題があった。前記の特開平6−312216号公報では、ローラー矯正機の後段にロール対を配置して圧下するので、ローラー矯正機で波状変形が発生しても圧延により修正出来るとしている。しかし、圧延による波状変形の修正効果を高めるためには圧下率を増加させる必要があり、その際に、前記の非対称性に由来する圧延曲がりの発生が問題となる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記のような問題点を抜本的に解決するためには、ロール本数が多く設備的に複雑であり、そのため波状変形発生因子となりやすいローラー矯正機に代えて、より単純な原理の新矯正技術を指向する必要がある。即ち、圧延による軌条の矯正技術を開発すれば、波状変形発生因子の排除および圧縮残留応力の制御により、波状変形の無い高耐久性の軌条の製造が原理的に可能になる。しかし、前述のような従来の軌条の圧延は、非対称圧延であるから、圧延曲がりが発生して、真直性の確保を狙いとする本来の矯正が出来ない問題があった。そこで、軌条圧延のように非対称圧延であっても、圧延機自体に矯正効果を発揮する機能を具備すれば、狙いとする軌条の矯正が可能になることを知見し、本発明を成したものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記検討に基づきなされたもので、その要旨とするところは、以下のとおりである。
【0008】
(1)耐久性および真直性に優れる軌条において、矯正後の軌条の頭部踏面および脚部底面並びに頭部および脚部の一部を含む胴部の表面から1mm以下の表層に圧縮の残留応力を有するとともに、該軌条の長手方向に直角な断面内の残留応力の絶対値が、該軌条の変形抵抗の1割以下であることを特徴とする耐久性および真直性に優れる軌条。
【0009】
(2)耐久性および真直性に優れる軌条の矯正方法において、圧延後の矯正工程で、該軌条の長手方向に直角な断面全体を塑性変形させ得る圧延機を用いて、軌条の頭部踏面および脚部底面を竪ロールと接触させ、頭部および脚部の一部と胴部を水平ロールと接触させて、10%以下の延伸率で全断面が塑性変形するように圧下するとともに、該圧延機の出側と入側のどちらか一方または両方に設けたピンチロールにより、塑性変形中の該軌条に、曲げモーメントを負荷することを特徴とする耐久性および真直性に優れる軌条の矯正方法。
【0010】
(3)耐久性および真直性に優れる軌条の矯正方法において、圧延後の矯正工程で、該軌条の長手方向に直角な断面全体を塑性変形させ得る圧延機を用いて、軌条の頭部踏面および脚部底面を竪ロールと接触させ、頭部および脚部の一部と胴部を水平ロールと接触させて、10%以下の延伸率で全断面が塑性変形するように圧下するとともに、該圧延機の出側と入側のどちらか一方または両方に設けたピンチロールにより、塑性変形中の該軌条に、曲げモーメントと長手方向の張力とを負荷することを特徴とする耐久性および真直性に優れる軌条の矯正方法。
【0011】
以下に、本発明について説明する。
【0012】
【発明の実施の形態】
図1は、軌条の長手方向に直角な断面の残留応力分布を示す図であり、図1(a)は、本発明の軌条の場合、図1(b)は、特開平6−312216号公報のローラーレベラー矯正後の軌条の場合である。なお、本発明においては、断面とは、軌条の長手方向に対して直角な断面を指すものとする。図1(b)に示すように、ローラーレベラー矯正後の軌条の断面全体には、引張応力と圧縮応力とが隣あって複雑に分布しており、残留応力の絶対値が該軌条の変形抵抗の1割を超える領域(図1(b)の斜線部)が認められる。このような余分な残留応力場の中に介在物や内部割れなどの素材欠陥が存在すると、車輪との接触によって加えられる繰返し応力によってその部分から疲労き裂が発生し易く、その分、材料の欠陥管理や材質向上などのためのコスト増加の因子となる。線形破壊力学の観点では、材料内部の円形のき裂と表面の同じ半径の半円き裂とでは、後者の応力拡大係数(き裂の伝播し易さの指標)が前者の約1.1倍となり、通常、表面から割れやすい。しかし、一般に、疲労強度は引張強度の50%以下であり、変形抵抗よりも小さいため、図1(b)のように内部の残留応力が変形抵抗の1割を超えると、これに車輪により加えられる外部からの応力が重畳されることもあって、内部の円形のき裂の応力拡大係数が表面の半円き裂のそれより大となる部分が発生し易く、有害と見なされる。発明者らは種々の強度の残留応力が分布する材料の疲労特性試験を実施して、図1(a)に示すように、内部の残留応力が変形抵抗の1割以下であれば、これが1割を超える図1(b)に比べて、内部からの破壊が著しく減少することを知見した。このことから本発明の軌条の長手方向に直角な断面内の残留応力の絶対値は、軌条の変形抵抗の1割以下とするものである。
【0013】
また、材料内部の欠陥が少ない材料では、軌条表面の打痕などによる応力集中により割れが発生し易い。その場合は、表面から1mm程度に圧縮の残留応力が分布していれば、き裂の有効応力拡大係数が減少するので破壊を生じにくいこと、また、1mmを超えて圧縮の残留応力を付与しても、効果が飽和してしまうこと、付与するための費用がかかることなどを知見した。このことから、残留応力を付与する範囲を1mm以下とするものである。一般に、軌条踏面は車輌の車輪と直接接触するために過大な応力が発生し易いので、この部分に圧縮の残留応力を付与すると効果的である。また、前記したように軌条の胴部を起点とする破壊が発生していることから図1(a)に示すように、踏面以外のその他の部分にも適宜、圧縮の残留応力を付与すると、一層軌条の信頼性が増し、好ましい。
【0014】
以上のことから、本発明は、矯正後の軌条で、該軌条の表面から1mm以下の表層に圧縮応力を有するとともに、該軌条の長手方向に直角な断面内の残留応力の絶対値が、該軌条の変形抵抗の1割以下とし、耐久性および真直性に優れた軌条とするものである。
【0015】
また、本発明は、軽圧下を特徴とする矯正方法により、図1(a)に示すように疲労破壊を抑制しうる理想的な残留応力分布、すなわち、矯正後の軌条で、軌条の表面から1mm以下の表層に圧縮応力を有するとともに、該軌条の断面内の残留応力の絶対値が該軌条の変形抵抗の1割以下、を有する軌条を製造可能とするものである。
【0016】
すなわち、圧延後の矯正工程で、軌条の長手方向に直角な断面全体を塑性変形させ得る圧延機を用いて、10%以下の延伸率で圧下するとともに、該圧延機の出側と入側のいづれか一方または両方に設けたピンチロールにより、塑性変形中の該軌条に、曲げモーメントおよび、さらに、長手方向の張力を負荷するものである。
【0017】
図2は、本発明の矯正方法に使用する矯正装置の基本構成を示す図であり、圧延工程で所定の断面寸法形状に成形された軌条50が、入側ピンチロール列52とユニバーサル圧延機51および出側ピンチロール列53を通過している状況を示す。
【0018】
図3は、図2で矯正圧延中の軌条と圧延機のロールとの位置関係を示す垂直断面図である。軌条50は、ユニバーサル圧延機51の上下の水平ロール54,54’と左右の竪ロール55,55’とにより挟み込まれて断面全体が同時に圧下されることにより、断面全体に塑性変形を受けており、軌条は所定の断面寸法に矯正成形される。その際、軌条50の頭部踏面および脚部底面が竪ロール55,55’と接触し、頭部および脚部の一部と胴部が水平ロール54,54’と接触する。矯正圧延中にロールと接触するこれらの軌条の表面はロール表面との間で相対滑りを発生するため、軌条の表面近傍がせん断変形により局部ひずみを生じる。その結果、表面近傍に圧縮の残留応力が付与されるとともに加工硬化を生じる。このように、損傷を受ける部位に圧縮の残留応力を付与することができるので、軌条の断面全体を塑性変形させうる圧延機としてユニバーサル圧延機を用いた図3の圧延は、軌条の耐疲労損傷性を安価に向上させる、材質改善技術として有用である。また、孔形を加工するなど、圧延機のロール形状を変更することにより、残留応力を付与する部分を比較的自由に設定出来る上に、圧下率や摩擦係数を変化させることにより、残留応力の発生深さやその強度を変化させることが可能であり、材質制御技術としても優れている。
【0019】
また、矯正圧延の延伸率を10%以下と規定しているのは、延伸率を10%以下とすることで、軌条の表面から1mm以下の表層に圧縮の残留応力を付与できると共に、長手方向に直角な断面内の残留応力の絶対値を変形抵抗の1割以下にすることができるためであり、これ以上の延伸率で圧下すると、軌条の断面形状の変化が大きくなり、狙いの形状に制御し難いためと、圧延反力が大となって装置が大型化し、設備コストの増大を招くためである。
【0020】
図4は、従来方式のローラーレベラーによる矯正と本発明の矯正とによる軌条の変形特性を比較するために導入したモデル図である。図4(a)は従来方式のローラーレベラー矯正における軌条および矯正ロールの一部を示す図で、B’点、A点およびB点は、それぞれ矯正ロール72,71および73と軌条50との接触部であり、B点は、押し込み量Δだけ軌条50を押し込む位置に設定されている。そのため、軌条50は、下に凸な曲げ矯正を受けるので、B点には矯正の反力が発生する。
【0021】
図4(b)は、本発明の矯正による軌条およびロールを示す図で、B’とB点それぞれ入側ピンチロール57’,57および出側のピンチロール59’,59と軌条50との接触部に対応し、A,A’点は、ユニバーサル圧延機のロール55,55’と軌条50との接触部に対応する。この場合もB点は、押し込み量Δだけ軌条50を押し込む位置に設定されている。そのため、軌条50は、下に凸な曲げ矯正を受けるので、B点には矯正の反力が発生する。その際、ロール55,55’により軌条50を圧下量uだけ圧延するので、圧下量uの変化に伴ってB点の反力も変化する。また、ピンチロール57,57’または59,59’が回転駆動して軌条50を引っ張るので、矯正効果が生じるAおよびA’近傍の軌条の長手方向に張力が作用する(図4(b)の左右の矢印の方向)。
【0022】
このようにして、塑性変形中の軌条に所定の曲げモーメントおよび、さらには張力を負荷することができる。なお、矯正のために負荷する所要の曲げモーメントおよび、さらには、長手方向の張力は、被矯正材である軌条の変形状態、延伸率などを勘案して設定することができる。負荷する張力は、大きい程スプリングバック低減効果があるので好ましいが、過度に大きな張力負荷は、ピンチロールの設備コストの増加を招くので、その費用対効果を考慮して設定する必要がある。一般に、軌条の変形抵抗の10%程度の張力を負荷できれば、顕著な効果が認められる。
【0023】
図5は、図4のモデルに関して弾塑性有限要素解析により得られた結果で、ローラーレベラー矯正と本発明の矯正とにおける矯正反力を比較した図である。
【0024】
縦軸は、図4(a)および図4(b)で矯正によりピンチロールのB点に作用する反力、横軸は、図4(a)および図4(b)のAおよびA’点における矯正圧延の圧下率(%)である。横軸が0の場合は圧延を施さず曲げ矯正する場合なので図4(a)に対応しており、この場合に矯正反力が最大値となる。また、矯正圧延における圧下率が増加するに従って矯正反力が単調に減少する。これは、図4(b)で矯正圧延の圧下により既に降伏状態にあるロールバイト内の材料、即ち、A点およびA’点を含む軌条の断面(軌条の長手方向に対して直角な断面)近傍の材料に対して、ピンチロール59’の反力に起因する曲げ応力が重畳する状態となるため、圧延圧下率の増加により降伏域が拡大するほどB点の反力が減少するものと理解される。また、さらには、ピンチロールによる張力が重畳することにより更に降伏しやすくなるので、張力の作用によりB点の矯正反力は図5の矢印のように低下する。本発明の技術では、従来技術に比べて矯正によるバルク全体の残留応力が低減されるので、矯正後の除荷によるスプリングバック量が大幅に減少し、高精度の矯正が可能である。
【0025】
以上より、耐久性および真直性に優れる軌条が製造可能である。
【0026】
図2は、本発明の矯正方法に使用する矯正装置の一実施形態を示すが、ユニバーサル圧延機51と、その入側および出側に、軌条の送り方向に対して上下、左右の移動と、時計および反時計方向の軸の回転により、上下、左右および傾斜の各位置決めが可能な自在ピンチロール列52,53を配置するのが基本構成である。このピンチロールの位置決めにより、塑性変形中の軌条に所要の曲げモーメントを与えることができる。ピンチロールの移動、軸の回転などは、油圧式あるいは、電動式などのアクチュエータを適宜設けて行なうことができる。自在ピンチロール列に関しては入側、出側の何れか一方だけでもかまわないが、ピンチロール列の少なくとも1対以上のピンチロールは、回転駆動される。この回転駆動によって圧延機とピンチロールとの間にある塑性変形中の軌条に対して、さらに、長手方向の張力を付与することができる。この張力の調整は、ピンチロールの回転駆動を制御することによって可能である。なお、ピンチロールの圧下力を大きくしたり、回転速度制御するピンチロールの数を増やしたりしてピンチロールと軌条との間の摩擦力を確保することにより、負荷する張力を調整することも好ましい。
【0027】
【実施例】
図6は、素材を圧延、矯正して、軌条を製造する工程を示した図である。
【0028】
図2に示す構成の矯正装置を、図6に示す一般的な軌条圧延工程のローラーレベラー矯正機とリプレースし、表1に示す条件で両者の能力を比較した。その結果を表1に示す。
【0029】
先ず、ローラーレベラー矯正機では、ロールの押し込み量を入側で大きく、出側にいくに従って小さくする基本設定で、軌条の定常部の曲がりを矯正することが出来た。しかし、軌条の端部に関しては公差を外れる場合がかなりの頻度で見られた。これらの公差外れの軌条は、生産性の極めて低いプレス装置で矯正するか、歩留落ちを前提に端部を切断除去することで救済せざるを得なかった。
【0030】
一方、本発明の方法では、軌条の両端部を含めてほぼ目標公差に入れることが出来た。
【0031】
また、軌条の端部を含めて何れの場所で長手方向に直角に切断しても、断面形状の大きな変化は見られなかった。更に、ローラーレベラーで矯正しにくいねじれ不良に関しても、矯正出来ることが確認された。
【0032】
以上の結果から、本発明の方法は寸法精度の点で従来のローラーレベラーによる矯正方法に完全に代替出来ることが判明した。また、ローラーレベラーで矯正しにくいねじれ不良に関しても、矯正出来ることが確認された。
【0033】
また、軌条の頭部踏面の波状変形を測定したが、本発明の方法では従来法に比べて波状変形の振幅が数分の一に低減されていた。
【0034】
更に、本発明の軽圧下(延伸率3%)で矯正した軌条と、従来のローラーレベラーで矯正した軌条とを用いて、耐疲労損傷性試験を行ない、特性を比較した。
【0035】
また、本発明の方法により矯正した軌条には、図1(a)に示したように表面から1mm間の範囲に圧縮残留応力が付与され、また、横断面内の残留応力の絶対値は変形抵抗の8%であった。そして耐疲労損傷試験の結果、寿命は、従来のものに比べて数倍長いものであった。また、図3の圧延条件(ロールと材料の接触域、ロール径、圧下量、摩擦係数)を変化させることにより軌条のサイズや材質に応じて疲労寿命を最適に制御出来ることが判明した。
【0036】
以上は、図6の軌条圧延工程の場合であるが、本発明の技術は熱間矯正、温間矯正、冷間矯正など幅広い工程に適用可能である。
【0037】
【表1】
Figure 0004705283
【0038】
【発明の効果】
本発明は、均一変形に優れた圧延矯正方法と、不均一変形ではあるが形状制御性の良い曲げ矯正方法を適切に組み合わせて、両者の欠点を補うとともに、その長所を十分発揮させるようにしたことにより、従来の矯正方法では達成が極めて困難な耐久性および真直性に優れる残留応力分布を有する軌条を製造することが可能となった。本発明は、軌条の形状、材質に制限されることなく、各種の軌条に適用することが可能であり、いずれも耐久性、真直性に優れた軌条を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】軌条の長手方向に直角な断面を示す図であり、図1(a)は本発明の、図1(b)は従来の軌条をそれぞれ示す。
【図2】本発明の矯正方法に使用する矯正装置の基本構成を示す図である。
【図3】本発明の技術に関する軌条と圧延機のロールとの位置関係を示す垂直断面図である。
【図4】従来技術と本発明の技術の矯正特性を比較するモデルを示す図であり、図4(a)は従来の技術、図4(b)は本発明の技術によるモデルをそれぞれ示す。
【図5】図4のモデルにより求めた矯正反力と矯正圧延圧下率との関係を示す図である。
【図6】軌条の圧延、および矯正工程を示す図である。
【図7】従来の矯正技術を示す図である。
【図8】従来の矯正技術を示す図である。
【図9】従来の矯正技術を示す図である。
【図10】従来の矯正技術を示す図である。
【符号の説明】
1…軌条
2…搬送テーブルローラー
3…小径ロール
4…曲率を有するロール
31…バックアップロール
50…軌条
51…ユニバーサル圧延機
52…入側ピンチロール列
53…出側ピンチロール列
54,54’…ユニバーサル圧延機の水平ロール
55,55’…ユニバーサル圧延機の竪ロール
56,56’…入側ピンチロール列の水平ピンチロール
57,57’…入側ピンチロール列の竪ピンチロール
58,58’…出側ピンチロール列の水平ピンチロール
59,59’…出側ピンチロール列の竪ピンチロール
71,72,73…ローラーレベラーの矯正ロール

Claims (3)

  1. 耐久性および真直性に優れる軌条において、矯正後の軌条の頭部踏面および脚部底面並びに頭部および脚部の一部を含む胴部の表面から1mm以下の表層に圧縮の残留応力を有するとともに、該軌条の長手方向に直角な断面内の残留応力の絶対値が、該軌条の変形抵抗の1割以下であることを特徴とする耐久性および真直性に優れる軌条。
  2. 耐久性および真直性に優れる軌条の矯正方法において、圧延後の矯正工程で、該軌条の長手方向に直角な断面全体を塑性変形させ得る圧延機を用いて、軌条の頭部踏面および脚部底面を竪ロールと接触させ、頭部および脚部の一部と胴部を水平ロールと接触させて、10%以下の延伸率で全断面が塑性変形するように圧下するとともに、該圧延機の出側と入側のどちらか一方または両方に設けたピンチロールにより、塑性変形中の該軌条に、曲げモーメントを負荷することを特徴とする耐久性および真直性に優れる軌条の矯正方法。
  3. 耐久性および真直性に優れる軌条の矯正方法において、圧延後の矯正工程で、該軌条の長手方向に直角な断面全体を塑性変形させ得る圧延機を用いて、軌条の頭部踏面および脚部底面を竪ロールと接触させ、頭部および脚部の一部と胴部を水平ロールと接触させて、10%以下の延伸率で全断面が塑性変形するように圧下するとともに、該圧延機の出側と入側のどちらか一方または両方に設けたピンチロールにより、塑性変形中の該軌条に、曲げモーメントと長手方向の張力とを負荷することを特徴とする耐久性および真直性に優れる軌条の矯正方法。
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