JP4703111B2 - 非水電解質二次電池 - Google Patents

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Description

本発明は、非水電解質二次電池に関する。
近年、民生用電子機器のポータブル化、コードレス化が急速に進んでおり、これらの駆動用電源を担う小型・軽量で、高エネルギー密度を有する二次電池への要望も高まっている。このような観点から、非水電解質二次電池、特に、高電圧・高エネルギー密度を有するリチウム二次電池への期待は大きく、その開発が急がれている。
近年、リチウム含有複合酸化物を正極活物質として含み、炭素材料を負極材料として含む電池が、高エネルギー密度のリチウム二次電池として注目を集めている。リチウム含有複合酸化物としてはLiCoO2が実用化されている。さらなる高容量を目指して、LiNiO2を実用化する試みも盛んであるが、LiNiO2は熱安定性が低いという問題を有しており、その実現には困難が多い。
これらの正極活物質は、充放電を行うことにより、膨張と収縮を繰り返す。この際、正極活物質には格子歪や結晶構造の破壊および粒子の割れが発生し、放電容量は低下する。そこで、これを防ぐために、コバルトの一部を他の元素で置換することにより、結晶格子の安定化を図り、サイクル寿命特性を改善する努力がなされている。
例えば、特許文献1や特許文献2は、リチウム化合物と、酸化コバルトと、添加元素の化合物とを、混合し、焼成することで、コバルトの一部を添加元素と置換した正極活物質を提案している。これらの提案によれば、ある程度まではサイクル寿命特性を向上することができる。添加元素には、Alなどのサイクル寿命特性を向上させる効果を有する元素と、Mgなどの正極活物質の熱安定性を向上させる効果を有する元素が採用されている。
特開昭63−121258号公報 特開2001−319652号公報
しかしながら、上記のような従来の製造方法では、固相同士の反応であるため、添加元素が正極活物質の表層部に偏析する傾向がある。熱安定性を向上させる効果を有する元素が表層部に偏析すると、熱安定性の向上効果が小さくなり、所望の電池特性が得られない。そこで、共沈法により、予め添加元素を含むコバルト化合物を調製し、このコバルト化合物とリチウム化合物を焼成することも考えられる。しかし、共沈法により、Alなどを含むコバルト化合物を調製すると、そのタップ密度が著しく小さくなってしまう。その結果、正極活物質のタップ密度も小さくなり、電池の容量が小さくなるという問題がある。
本発明は、正極活物質のタップ密度を減少させずに、非水電解質二次電池のサイクル寿命とその正極活物質の熱安定性の両方を最大限に向上させることを目的とする。また、そのような電池を、高温下、充電状態で保存した場合に、保存後の電池の放電容量の低下を抑制することを目的とする。
本発明は、
(a)正極活物質からなる正極、
(b)負極活物質からなる負極、ならびに
(c)非水電解質
を備える非水電解質二次電池に関する。本発明において、正極活物質は、LiとCoとを含む複合酸化物の粒子からなり、前記複合酸化物は、さらに元素M1および元素M2を含んでいる。ここで、元素M1は、Mg、CuおよびZnよりなる群から選ばれた少なくとも1種であり、元素M2は、Al、Ca、Ba、Sr、YおよびZrよりなる群から選ばれた少なくとも1種である。元素M1は、前記複合酸化物の粒子中に均一に分布しており、元素M2は、前記粒子の内部よりも表層部に多く分布している。また、非水電解質は、LiPF6およびLiBF4を溶質として含む。
上記複合酸化物の粒子において、完全に均一に元素M1が粒子中に分布している必要はない。粒子の内部における元素M1の分布と、粒子の表層部における元素M1の分布とが実質的に同程度であればよい。一方、元素M2は、活物質のタップ密度の減少を防ぐ観点から、前記粒子の表層部に多く分布している必要がある。具体的には、前記粒子の表層部(粒子半径をrとするとき、表面から0.3r以内の領域)には、中心部(粒子半径をrとするとき、中心から0.3r以内の領域)の1.2倍以上の濃度で元素M2が分布していることが好ましい。
なお、粒子半径rには、活物質を構成する粒子全体の平均粒径の1/2の値を用いる。ここで、平均粒径には、電子顕微鏡観察を利用した計数法により測定されるFeret径を用いることができる。
また、粒子の表面から0.3r以内および中心から0.3r以内の領域における元素濃度は、例えば以下の方法で測定可能である。
まず、活物質をペレット状に成形して、ペレットの表面から、0.3r(rは、活物質の粒子半径)の深さまでの領域をスパッタリングして、その領域に含まれる元素の組成を決定する。その後、スパッタリングを続け、ペレットの表面から0.7rの深さから1rの深さまでの領域に含まれる元素の組成を決定する。こうして得られた組成から、所定元素の濃度もしくは濃度比を算出することができる。元素の組成は、二次イオン質量分析(SIMS)、飛行時間型質量分析(TOF−SIMS)、X線光電子分析(ESCA)、オージェ分光分析、X線マイクロ分析(EPMA)などにより決定することができる。
本発明の非水電解質二次電池において、複合酸化物に含まれるLi、Co、M1およびM2の合計モル数に占めるM1のモル数の割合R1は、0.5%以上8%以下であり、前記合計モル数に占めるM2のモル数の割合R2は、0.05%以上2%以下であることが好ましい。
また、割合R2は、割合R1以下であることが好ましい。
本発明の非水電解質二次電池において、前記複合酸化物の粒子の平均粒子径は、1μm以上20μm以下であることが好ましい。
また、前記粒子の比表面積は、0.2m2/g以上1.2m2/g以下であることが好ましい。
本発明によれば、正極活物質のタップ密度を減少させずに、サイクル寿命と安全性を向上させた電池の性能をさらに向上させることができる。すなわち、LiPF6およびLiBF4を溶質として含む非水電解質を使用することにより、サイクル寿命特性がさらに向上するとともに、高温下、充電状態で保存した場合でも、放電容量の低下が生じにくい非水電解質二次電池を提供することができる。
本発明の一実施形態にかかる非水電解質二次電池の一部を切り欠いた斜視図である。 参考例1にかかる正極活物質中のMgの割合R1と1サイクル目の放電容量との関係を示す図である。 参考例1にかかる正極活物質中のMgの割合R1と100サイクル目の容量維持率との関係を示す図である。 参考例1にかかる正極活物質中のMgの割合R1と発熱温度との関係を示す図である。 参考例2にかかる正極活物質中のAlの割合R2と1サイクル目の放電容量との関係を示す図である。 参考例2にかかる正極活物質中のAlの割合R2と100サイクル目の容量維持率との関係を示す図である。 参考例2にかかる正極活物質中のAlの割合R2と第1発熱温度との関係を示す図である。 参考例2にかかる正極活物質中のAlの割合R2とタップ密度との関係を示す図である。
本発明の非水電解質二次電池の一実施形態を、図1を参照しながら説明する。
図1は、本発明の一実施形態にかかる非水電解質二次電池の一部を切り欠いた斜視図である。
図1に示されるように、本発明の一実施形態において、非水電解質二次電池は、正極と負極とをセパレータを介して巻回して構成されている極板群1を備える。極板群1を構成する正極および負極は、それぞれ、正極集電体およびその上に配置された正極活物質からなる正極合剤層、ならびに負極集電体およびその上に配置された負極活物質からなる負極合剤層を有する。また、正極と負極には、それぞれ正極リード2および負極リード3が取り付けられている。
極板群1は、電池ケース4内に収容されており、電池ケース4の開口端部は、封口板5で封口されている。ここで、正極リード2の他端は、封口板5に、負極リード3の他端は、封口板5の中心部にあり、封口板5とは絶縁された負極端子6に取り付けられている。また、封口板5に設けられた注入口は、非水電解質の注入後、封栓7で塞がれる。
本発明において、負極活物質としては、リチウムを吸蔵および放出し得るものを、特に限定されることなく用いることができる。その例としては、黒鉛等が挙げられる。
次に、本発明で用いられる正極活物質について説明する。
本発明の非水電解質二次電池において、正極活物質としては、LiとCoとを含む複合酸化物の粒子からなるものが用いられる。この複合酸化物は、さらに元素M1および元素M2を含む。ここで、元素M1は、Mg、CuおよびZnよりなる群から選ばれた少なくとも1種であり、元素M2は、Al、Ca、Ba、Sr、YおよびZrよりなる群から選ばれた少なくとも1種である。元素M1は、上記粒子中に均一に分布しており、元素M2は、上記粒子の内部よりも表層部に多く分布している。
次に、本発明で用いられる正極活物質の製造方法について説明する。
(1)工程A
工程Aは、Mg、CuおよびZnよりなる群から選ばれた少なくとも1種の元素M1とCoとを含み、元素M1とCoとが均一に分布している化合物Xを調製する工程である。化合物Xには、例えばM1を含む水酸化コバルト、M1を含む酸化コバルト、M1を含む炭酸コバルトなどが適する。M1を含む酸化物は、空気中で安定であり、コスト的に最も有利な四酸化三コバルト(Co34)からなることが好ましいが、一酸化一コバルト(CoO)、三酸化二コバルト(Co23)等からなるものでもよい。
化合物Xの調製方法は、特に限定されないが、Co塩とM1の塩とを溶解させた水溶液にアルカリ水溶液を注いで水酸化物を沈殿させる共沈法が好ましい。そこで、次に共沈法について説明する。
共沈法では以下の原材料を用いることができる。
まず、Co塩には、硫酸コバルト、硝酸コバルトなどを用いることができる。これらは単独で用いてもよく、組み合わせて用いてもよい。これらのうちでは、特に硫酸コバルトが好ましい。
1の塩には、硫酸塩、硝酸塩、炭酸塩などを用いることができる。例えば、Mgの塩としては、硫酸マグネシウム、硝酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、塩基性炭酸マグネシウム、塩化マグネシウム、フッ化マグネシウム、酢酸マグネシウム、蓚酸マグネシウム、硫化マグネシウムなどを用いることができる。また、Cuの塩としては、硫酸銅、硝酸銅、炭酸銅、酢酸銅、蓚酸銅、塩化銅、硫化銅などを用いることができる。また、Znの塩としては、硫酸亜鉛、硝酸亜鉛、酢酸亜鉛、塩化亜鉛、フッ化亜鉛、硫化亜鉛などを用いることができる。これらは単独で用いてもよく、組み合わせて用いてもよい。
Co塩とM1の塩とを溶解させた水溶液におけるCo塩の濃度は、例えば0.5〜2mol/Lであり、M1の塩の濃度は、例えば0.01〜0.32mol/Lである。
また、前記溶液に注ぐアルカリ水溶液のアルカリ濃度は、例えば10〜50重量%である。アルカリ水溶液に溶解させるアルカリとしては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウムなどを用いることができる。
Co塩とM1の塩とを溶解させた水溶液およびアルカリ水溶液の温度は、いずれも特に限定されないが、例えば20〜60℃である。
Co塩とM1の塩とを溶解させた水溶液に、その水溶液のpHがCoとM1が共沈するpH(一般的にはpH8以上)に制御されるように、アルカリ水溶液を連続的に滴下すると、コバルトとM1の共沈物である水酸化物が得られる。この水酸化物を、濾過、水洗、乾燥後、酸素含有雰囲気中で焼成すると、化合物Xとしての酸化物が得られる。
(2)工程B
工程Bは、Al、Ca、Ba、Sr、YおよびZrよりなる群から選ばれた少なくとも1種の元素M2を含む化合物Zと、化合物Xと、リチウム化合物とを、混合し、得られた混合物を加熱することにより、LiとCoとM1とM2とを含む複合酸化物を得る工程である。
工程Bでは、まず、Al、Ca、Ba、Sr、YおよびZrよりなる群から選ばれた少なくとも1種の元素M2を含む化合物Zと、化合物Xと、リチウム化合物とを、混合する。その際、混合物に含まれるLi、Co、M1およびM2の合計モル数に占めるM1のモル数の割合R1は、0.5%以上8%以下、さらには0.5%以上5%以下とし、前記合計モル数に占めるM2のモル数の割合R2は、0.05%以上2%以下、さらには0.05%以上1%以下とすることが好ましい。
前記合計モル数に占めるM1のモル数の割合R1が0.5%未満では、正極活物質の熱安定性がほとんど向上せず、8%をこえると、正極活物質の容量が不充分になる。また、前記合計モル数に占めるM2のモル数の割合R2が、0.05%未満では、電池のサイクル寿命特性がほとんど向上ぜず、2%をこえると、正極活物質の容量が不充分になる。
ただし、割合R2は、割合R1以下であることが好ましい。割合R2が、割合R1をこえると、放電容量の低下が大きくなる。
元素M2を含む化合物Zには、例えばM2の水酸化物、M2の酸化物、M2の炭酸塩、M2の硝酸塩などが適する。例えば、Alを含む化合物としては、水酸化アルミニウム、酸化アルミニウム、硝酸アルミニウム、フッ化アルミニウム、硫酸アルミニウムなどを用いることができる。また、Caを含む化合物としては、水酸化カルシウム、酸化カルシウムなどを用いることができる。また、Baを含む化合物としては、水酸化バリウム、酸化バリウムなどを用いることができる。また、Srを含む化合物としては、水酸化ストロンチウム、酸化ストロンチウムなどを用いることができる。また、Yを含む化合物としては、水酸化イットリウム、酸化イットリウムなどを用いることができる。また、Zrを含む化合物としては、硝酸ジルコニウム、水酸化ジルコニウム、酸化ジルコニウム、炭酸ジルコニウム、硫酸ジルコニウムなどを用いることができる。
リチウム化合物には、炭酸リチウム、水酸化リチウム、硝酸リチウム、硫酸リチウム、
酸化リチウムなどを用いることができる。なかでも炭酸リチウムおよび水酸化リチウムが、環境面とコスト面で最も有利である。
前記リチウム化合物の平均粒子径は、2〜15μm、さらには4〜10μmであることが好ましい。リチウム化合物の平均粒子径が2μm未満では、得られるLiとCoとM1とM2とを含む複合酸化物の密度が低下し、電池容量が低くなる。一方、リチウム化合物の平均粒子径が15μmをこえると、粒子が大きすぎて、化合物X、Zとの反応性が低下したり、反応が不均一に進行したりする。
また、化合物Xの平均粒子径は、1〜20μm、さらには4〜10μmであることが好ましい。化合物Xの平均粒子径が1μm未満では、得られるLiとCoとM1とM2とを含む複合酸化物の密度が低下し、電池容量が低くなる。一方、化合物Xの平均粒子径が20μmをこえると、LiとCoとM1とM2とを含む複合酸化物の粒子径が大きくなりすぎ、それを用いた電池の高負荷特性が低下する。
また、化合物Zの平均粒子径は、1〜15μm、さらには1〜10μmであることが好ましい。化合物Zの平均粒子径が1μm未満でも、15μmをこえても、化合物Xおよびリチウム化合物との均一な混合状態が得られず、比較的不均一な活物質が生成する。
次いで、上記化合物Xと化合物Zとリチウム化合物との混合物を加熱することにより、LiとCoとM1とM2とを含む複合酸化物を調製する。
工程Bでは、前記混合物を800℃以上1050℃以下、さらには900℃以上1050℃以下で加熱することが好ましい。加熱温度が800℃未満では、LiとCoとM1とM2とを含む複合酸化物の結晶性が低くなり、それを用いた電池に充分な放電容量が得られない。一方、加熱温度が1050℃をこえると、LiとCoとM1とM2とを含む複合酸化物の比表面積が低くなり、それを用いた電池の高負荷特性が低くなる。
また、前記混合物を800℃以上1050℃以下で加熱する前に、ロータリーキルンを用いて、600℃以上750℃以下で前記混合物を予備加熱することが好ましい。このような2段階の焼成法によれば、結晶性の高い活物質が得られるとともに、未反応物の残留を低減することができる。なお、ロータリーキルンは、混合物を流動させながら加熱することが可能であり、原材料同士の接触回数を増加させることができるため、反応性を向上させることができる。
以上のような方法によれば、LiとCoとを含む複合酸化物の粒子からなり、元素M1
および元素M2を含んでおり、M1は、前記粒子中に均一に分布しており、M2は、前記粒
子の内部よりも表層部に多く分布している正極活物質を得ることができる。
さらに、本発明において用いられる非水電解質は、LiPF6およびLiBF4を溶質として含む。上記のような正極活物質からなる正極と、LiPF6およびLiBF4を溶質として含む非水電解質とを組み合わせて用いることにより、非水電解質二次電池のサイクル寿命特性がさらに向上するとともに、高温下、充電状態で保存した際に生じやすい放電容量の低下を抑制することが可能となる。
本発明において、LiPF6とLiBF4との混合比は、LiPF61モルあたり、LiBF4は、0.03モル〜0.50モルの範囲にあることが好ましい。LiBF4の混合比が、0.03モルよりも小さいと、サイクル寿命特性をさらに向上する効果、および高温下、充電状態で保存した際に生じやすい放電容量の低下を抑制する効果が小さくなる。一方、LiBF4の混合比が、0.50モルよりも大きいと、電解質の電導度が下がるために放電容量が小さくなる。
また、非水電解質に含まれるLiPF6およびLiBF4の濃度の合計は、0.75mol/L〜2mol/Lの範囲にあることが好ましい。濃度の合計が、0.75mol/Lより少ないと、電解質の電導度が低くなり、2mol/Lを越えると、電解質の粘度が増加するために、低温特性が悪くなる。
また、非水電解質に用いる非水溶媒としては、従来から公知のものを使用することができる。例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、メチルプロピルカーボネート、メチルイソプロピルカーボネート、γ−ブチロラクトン、酢酸メチル、プロピオン酸メチル、メチルブチルエーテル、ビニレンカーボネート、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジクロロエタン、1,3−ジメトキシプロパン、4−メチル−2−ペンタノン、1,4−ジオキサン、アセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリル、バレロニトリル、ベンゾニトリル、スルホラン、3−メチル−スルホラン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド、ジエチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、リン酸トリメチル、リン酸トリエチル等が挙げられる。また、2種以上の非水溶媒を混合して用いてもよい。
また、本発明において、上記正極活物質の平均粒子径は、1〜20μm、さらには4〜10μmであることが好ましい。正極活物質の平均粒子径が1μm未満では、活物質の密度が低いため、それを用いた電池の容量が低くなり、20μmをこえると、電池の高負荷特性が低下する。
また、本発明において、上記正極活物質の比表面積は、0.2〜1.2m2/gであることが好ましい。正極活物質の比表面積が0.2m2/g未満では、それを用いた電池の高負荷特性が低くなり、1.2m2/gをこえると、非水電解質と正極活物質との接触面積が大きくなることから、正極でのガス発生量が多くなる。
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明する。なお、以下の実施例では角型電池を作製したが、電池の形状はこれに限られない。本発明は、コイン型、ボタン型、シート型、積層型、円筒型または偏平型の電池や、電気自動車等に用いる大型電池にも適用できる。
本実施例においては、元素M1をMgとし、元素M2をAlとした。また、正極活物質に含まれるLi、Co、M1およびM2の合計モル数に占めるM1のモル数の割合R1を2%とし、前記合計モル数に占めるM2のモル数の割合R2を0.5%とした。
(i)正極の作製
非水電解質二次電池に用いる正極活物質を、以下に述べる共沈法を採用して調製した。
工程A
硫酸コバルトおよび硫酸マグネシウムを溶解させた水溶液を調製した。前記水溶液における硫酸コバルトの濃度は1mol/Lとし、硫酸マグネシウムの濃度は、正極活物質に含まれるMgの量がモル比で2%となるように適宜調整した。攪拌下にある前記水溶液を50℃に維持し、その中に、水酸化ナトリウムを30重量%含む水溶液をpH12になるように滴下して、マグネシウム含有水酸化コバルトを沈殿させた。水酸化コバルトの沈殿を濾過して水洗し、空気中で乾燥させ、次いで400℃で5時間焼成し、マグネシウム含有酸化コバルトを得た。
工程B
得られたマグネシウム含有酸化コバルトと、水酸化アルミニウムと、炭酸リチウムとを、Alの量がモル比で0.5%となるように混合した。なお、Li:(Co+Mg+Al)は、モル比で1:1とした。この混合物をロータリーキルンに入れ、空気雰囲気中で650℃で10時間予備加熱した。次いで、予備加熱後の混合物を電気炉内で950℃まで2時間で昇温し、950℃で10時間焼成することにより、正極活物質を合成した。
上記のようにして合成した正極活物質中のMgおよびAlの分布状態を、二次イオン質量分析(SIMS)、飛行時間型質量分析(TOF−SIMS)、X線光電子分析(ESCA)、オージェ分光分析およびX線マイクロ分析(EPMA)により調べた。
[正極活物質粒子断面の分析]
測定用の試料は、活物質を、エポキシ樹脂と混合し、硬化させたのち、硬化物を切断、研磨して調製した。この試料を、上記分析法(主として、EPMA)で面分析して、粒子の表層部と中心部の元素分布および濃度分布について測定した。
[正極活物質粒子表面からの深さ方向の分析]
粒子表面からの深さ方向の分析は、粒子表面を徐々にスパッタリングし、その表面を主としてTOF−SIMS測定を行うことにより実施した。
その結果、上記正極活物質中では、活物質粒子の表層部(粒子半径をrとするとき、表面から0.3r以内の領域)に、中心部(粒子半径をrとするとき、中心から0.3r以内の領域)の約2倍の濃度でAlが分布していることがわかった。一方、Mgは、活物質粒子中に均質に分布していた。
次に、100重量部の正極活物質に、導電材として3重量部のアセチレンブラックと、結着剤として7重量部のポリ四フッ化エチレンと、カルボキシメチルセルロースを1重量%含む水溶液100重量部とを加え、撹拌・混合し、ペースト状の正極合剤を得た。この正極合剤を、集電体となる厚さ20μmのアルミニウム箔の両面に塗布し、乾燥後、圧延し、所定寸法に裁断して、正極を得た。
(ii)負極の作製
平均粒子径が約20μmになるように粉砕・分級した100重量部の鱗片状黒鉛に、結着剤としてスチレン/ブタジエンゴムを3重量部と、カルボキシメチルセルロースを1重量%含む水溶液100重量部とを加え、撹拌・混合し、ペースト状の負極合剤を得た。この負極合剤を、集電体となる厚さ15μmの銅箔の両面に塗布し、乾燥後、圧延し、所定寸法に裁断して、負極を得た。
(iii)電池の組み立て
上記のようにして得られた正極と負極とを用いて、図1に示されるような角型非水電解質二次電池(幅34mm、高さ50mm)を組み立てた。
上記電池は以下のようにして組み立てた。まず、上記正極と上記負極とを、厚さ25μmの微多孔性ポリエチレン樹脂製セパレータを介して巻回して、極板群1を構成した。正極と負極には、それぞれアルミニウム製正極リード2およびニッケル製負極リード3を溶接した。極板群1の上部にポリエチレン樹脂製の絶縁リング(図示しない)を装着し、アルミニウム製電池ケース4内に収容した。正極リード2の他端は、アルミニウム製封口板5にスポット溶接した。また、負極リード3の他端は、封口板5の中心部にあるニッケル製負極端子6の下部にスポット溶接した。電池ケース4の開口端部と封口板5の周縁部とをレーザー溶接してから、封口板に設けてある注入口から所定量の非水電解液を注液した。最後に注入口をアルミニウム製の封栓7で塞ぎ、レーザー溶接で密封して電池を完成させた。
ここで、非水電解質には、エチレンカーボネートとエチルメチルカーボネートとの体積比1:3の混合溶媒に、LiPF6およびLiBF4を、表1に示すような濃度で溶解したものを用いた。また、比較として、上記混合溶媒に、LiPF6のみを1mol/Lで溶解したものを用いた。なお、電池2〜6は実施例であり、比較電池1は比較例である。
Figure 0004703111
(iv)電池の評価
[放電容量]
環境温度20℃で、各電池の充放電サイクルを繰り返した。ここで、各充放電サイクルにおいて、充電を、以下のような条件で行った。つまり、最大電流値600mAで、充電終止電位4.2Vの定電流充電を行い、電位が4.2Vに到達してからは2時間の定電圧充電を行った。また、放電を、以下のような条件で行った。つまり、電流値600mAで、放電終止電位3.0Vの定電流放電を行った。1サイクル目の正極活物質1gあたりの放電容量を表1に示す。
[高温下、充電状態で保存したのちの容量回復率]
保存前の放電容量に対する、高温下、充電状態で保存した後の放電容量の割合(容量回復率)を、以下のように測定した。
環境温度20℃で、上述と同じ条件で電池の充放電を5サイクル繰り返したのち、電池を充電し、85℃で3日間保存した。こののち、20℃で、電池を放電した。次いで、電池の充放電を、上述の条件で1サイクル行うことにより、保存後の放電容量を測定した。測定結果から、保存前の放電容量に対する保存後の放電容量を、容量回復率として百分率(%)で求めた。なお、保存前の放電容量とは、上記1サイクル目の正極活物質1gあたりの放電容量であり、保存後の放電容量とは、保存後の正極活物質1gあたりの放電容量である。得られた結果を、表1に示す。
表1に示されるように、LiPF6およびLiBF4を溶質として含む非水電解質を用いた電池2〜6は、89%以上の容量回復率を有し、LiPF6のみを溶質として含む非水電解質を用いた比較電池1と比べて、その容量回復率が向上していることが理解される。
[容量維持率]
環境温度20℃で、上記のような条件で、充放電サイクルを100回繰り返して、100サイクル目の放電容量の、1サイクル目の放電容量に対する割合を、容量維持率として百分率(%)で求めた。同様に、得られた結果を表1に示す。
表1に示されるように、LiPF6およびLiBF4を溶質として含む非水電解質を用いた電池は、比較電池1の場合と同程度、もしくはそれ以上の容量維持率を有することが理解される。
[発熱温度]
上記のような条件で、充放電を3サイクル繰り返し、その終了後に、環境温度20℃で、最大電流値600mA、終止電圧4.4Vで定電流充電を行い、4.4Vに到達してからは2時間の定電圧充電を行った。充電終了後、電池を分解し、正極より正極合剤を取り出し、そのうちの2mgをSUS PANに入れ、熱安定性の指標を与えるDSC測定を行った。測定は、RIGAKU Thermo Plus(理学電機製)を用い、室温から400℃まで10℃/分で空気雰囲気で行った。表1に、測定で観測された第1発熱温度も示しておく。
次に、本発明にかかる正極活物質を用いた非水電解質二次電池の性質を、エチレンカーボネートとエチルメチルカーボネートとの体積比1:3の混合溶媒に、LiPF6のみを溶質として含む非水電解質を用いた場合のものについて、以下に説明する。
参考例1
正極活物質に含まれるLi、Co、M1およびM2の合計モル数に占めるM1のモル数の割合R1および前記合計モル数に占めるM2のモル数の割合R2として、表2に示す値を有する正極活物質を調製した以外、比較電池1と同様にして、電池A1〜A6を作製した。ここでは、M1としてMg、M2としてAlを採用した。なお、電池A3は、比較電池1と同じものである。
Figure 0004703111
また、所定の割合R1および割合R2を有する正極活物質を、共沈法を採用せずに、以下のように作製したこと以外、比較電池1と同様にして、電池B1〜B4を作製した。
まず、濃度1mol/Lの硫酸コバルト水溶液を調製した。攪拌下にある前記硫酸コバルト水溶液を50℃に維持し、その中に、水酸化ナトリウムを30重量%含む水溶液をpH12になるように滴下して、水酸化コバルトを沈殿させた。水酸化コバルトの沈殿を濾過して水洗し、空気中で乾燥させ、次いで400℃で5時間焼成し、酸化コバルトを得た。
得られた酸化コバルトと、硝酸マグネシウムと、水酸化アルミニウムと、炭酸リチウムとを、表2に従って、所定のモル比で混合した。Li:(Co+Mg+Al)は、モル比で1:1とした。この混合物をロータリーキルンに入れ、空気雰囲気中で650℃で10時間予備加熱した。次いで、予備加熱後の混合物を電気炉内で950℃まで2時間で昇温し、950℃で10時間焼成することにより、正極活物質を合成した。
また、電池A3および電池B2に用いる正極活物質中のAlおよびMgの分布状態を、実施例1と同様にして、二次イオン質量分析(SIMS)、飛行時間型質量分析(TOF−SIMS)、X線光電子分析(ESCA)、オージェ分光分析およびX線マイクロ分析(EPMA)により調べた。
電池A3(比較電池1)については、上記の通りである。
電池B2に用いる正極活物質中では、活物質粒子の表層部(粒子半径をrとするとき、表面から0.3r以内の領域)に、中心部(粒子半径をrとするとき、中心から0.3r以内の領域)の約2倍の濃度でAl、約1.5倍の濃度でMgが分布していることがわかった。すなわち、AlとMgの両者が、活物質粒子の表層部に偏在していた。
電池の評価
[放電容量]
環境温度20℃で、各電池の充放電サイクルを繰り返した。各充放電サイクルにおける、充電および放電の条件は、実施例1の場合と同様である。1サイクル目の正極活物質1gあたりの放電容量を表2に示す。
また、Mgの割合R1と1サイクル目の放電容量との関係を図2に示す。
図2に示されるように、電池A1〜A6は、Mgの割合の増加に伴う容量低下が小さいが、電池B1〜B4は、容量低下が大きくなっている。このような結果は、電池B1〜B4では、Mgが正極活物質の表層部に偏在しており、また、未反応のMg化合物が残存しやすいことに基づくものと考えられる。
[容量維持率]
実施例1と同様にして、容量維持率を測定した。結果を表1に示す。
また、割合R1と100サイクル目の容量維持率との関係を図3に示す。
図3に示されるように、電池A1〜A6および電池B1〜B4は、共に正極活物質に含まれるMgの割合の増加に伴い、容量維持率が向上している。このような結果は、Mgにより、正極活物質の結晶構造が安定化されていることに基づくものと考えられる。また、電池A1〜A6の方が、電池B1〜B4よりも良好な結果を示していることから、電池A1〜A6では、正極活物質内にMgが均一に存在しているため、Mgの添加効果が効率よく得られていることがわかる。
[発熱温度]
実施例1と同様にして、第1発熱温度を測定した。得られた結果を表2に示す。
また、割合R1と第1発熱温度との関係を図4に示す。
図4に示されるように、電池A1〜A6および電池B1〜B4は、共に正極活物質に含まれるMgの割合の増加に伴い、熱安定性が向上している。このような結果は、Mgにより、充電状態の正極活物質の結晶構造が安定化されていることに基づくものと考えられる。また、電池A1〜A6の方が、電池B1〜B4よりも良好な結果を示していることから、電池A1〜A6では、正極活物質内にMgが均一に存在しているため、Mgの添加効果が少量で効率よく得られていることがわかる。
参考例2
正極活物質に含まれるLi、Co、M1およびM2の合計モル数に占めるM1のモル数の割合R1および前記合計モル数に占めるM2のモル数の割合R2として、表3に示す値を有する正極活物質を調製し、これを用いて電池A7〜A12および電池B5〜B8を作製した。ここでは、M1としてMg、M2としてAlを採用した。
Figure 0004703111
(i)正極の作製
電池A7〜A12に用いる正極活物質は、Mgの割合R1を2%に固定し、Alの割合R2を変化させたこと以外、実施例1と同様に合成した。
電池B5〜B8に用いる正極活物質は、以下に述べる共沈法を採用して調製した。
硫酸コバルト、硫酸マグネシウムおよび硫酸アルミニウムを溶解させた水溶液を調製した。前記水溶液における硫酸コバルトの濃度は1mol/Lとし、硫酸マグネシウムおよび硫酸アルミニウムの濃度は表3に従って適宜調整した。攪拌下にある前記水溶液を50℃に維持し、その中に、水酸化ナトリウムを30重量%含む水溶液をpH12になるように滴下して、マグネシウム/アルミニウム含有水酸化コバルトを沈殿させた。この水酸化コバルトの沈殿を濾過して水洗し、空気中で乾燥させ、次いで400℃で5時間焼成し、マグネシウム/アルミニウム含有酸化コバルトを得た。得られたマグネシウム/アルミニウム含有酸化コバルトを用い、水酸化アルミニウムを用いなかったこと以外、実施例1と同様に正極活物質を合成した。
電池A9および電池B6に用いる正極活物質中のAlおよびMgの分布状態を、実施例1と同様にして、二次イオン質量分析(SIMS)、飛行時間型質量分析(TOF−SIMS)、X線光電子分析(ESCA)、オージェ分光分析およびX線マイクロ分析(EPMA)により調べた。
その結果、電池A9に用いる正極活物質中では、活物質粒子の表層部(粒子半径をrとするとき、表面から0.3r以内の領域)に、中心部(粒子半径をrとするとき、中心から0.3r以内の領域)の約3倍の濃度でAlが分布していることがわかった。一方、Mgは、活物質粒子中に均質に分布していた。
また、電池B6に用いる正極活物質中では、MgとAlの両者が、活物質粒子中に均質に分布していた。すなわち、電池B6に用いる正極活物質中には、Alが活物質粒子の内部により多く取り込まれていた。
所定の正極を用いて、比較電池1と同様の角型非水電解質二次電池を作製した。また、1サイクル目の放電容量、容量維持率、および第1発熱温度を、参考例1と同様にして評価した。結果を表3に示す。
また、Alの割合R2と1サイクル目の放電容量との関係を図5に示す。
また、Alの割合R2と100サイクル目の容量維持率との関係を図6に示す。
また、Alの割合R2と第1発熱温度との関係を図7に示す。
また、Alの割合R2とタップ密度との関係を図8に示す。
図5に示されるように、電池A7〜A12よりも電池B5〜B8の方が、正極活物質に含まれるAlの割合の増加に伴う容量減少が大きいことがわかる。このような結果は、電池B5〜B8の正極活物質は、Co、MgおよびAlを同時に共沈させて調製されているため、調製時に取り込んだ硫酸イオンが合成後の活物質に残り、容量低下を引き起こしたことを示している。
また、図6、7に示されるように、電池A7〜A12および電池B5〜B8は、共に正極活物質に含まれるAlの割合の増加に伴い、容量維持率と熱安定性が向上している。
また、図8に示されるように、電池A7〜A12では、正極活物質に含まれるAlの割合を増加させても、タップ密度がほとんど変化していないのに対し、電池B5〜B8では、正極活物質に含まれるAlの割合の増加に伴うタップ密度の減少が大きい。このような結果は、電池B5〜B8の正極活物質には、硫酸イオンが取り込まれ、粒子が膨張したことに基づくものと考えられる。
参考例3
正極活物質に含まれるLi、Co、M1およびM2の合計モル数に占めるM1のモル数の割合R1および前記合計モル数に占めるM2のモル数の割合R2として、表4に示す値を有する正極活物質を調製し、これを用いて電池A13〜A17および電池B9〜B13を作製した。ここでは、M1としてMgを採用し、M2としてCa、Ba、Sr、YまたはZrを採用した。
Figure 0004703111
(i)正極の作製
電池A13〜A17に用いる正極活物質は、Mgの割合R1を2%に固定し、工程Bにおいて、水酸化アルミニウムの代わりに水酸化カルシウム、水酸化バリウム、水酸化ストロンチウム、水酸化イットリウムまたは硝酸ジルコニウムを用いるとともに、Ca、Ba、Sr、YまたはZrの割合R2を0.5%に固定したこと以外、参考例1の電池A1の場合と同様に合成した。
電池B9〜B13に用いる正極活物質は、Mgの割合R1を2%に固定し、水酸化アルミニウムの代わりに水酸化カルシウム、水酸化バリウム、水酸化ストロンチウム、水酸化イットリウムまたは硝酸ジルコニウムを用いるとともに、Ca、Ba、Sr、YまたはZrの割合R2を0.5%に固定したこと以外、参考例1の電池B1の場合と同様に合成した。
所定の正極を用いて、比較電池1と同様の角型非水電解質二次電池を作製した。また、放電容量、容量維持率、および第1発熱温度を、参考例1と同様にして評価した。結果を表4に示す。
表4に示すように、参考例1と同様に、電池A13〜A17の方が、電池B9〜B13よりも、容量が大きく、容量維持率が高く、熱安定性も優れている。このような結果は、電池B9〜B13では、Mgが正極活物質の表層部に偏在しており、また、未反応のMg化合物が残存しやすいのに対し、電池A13〜A17では、Mgが正極活物質に均一に分布していることに基づくものと考えられる。
また、Al、Ca、Ba、Sr、YおよびZrのいずれを用いても、同様の傾向が見られることがわかる。
参考例4
正極活物質に含まれるLi、Co、M1およびM2の合計モル数に占めるM1のモル数の割合R1および前記合計モル数に占めるM2のモル数の割合R2として、表5に示す値を有する正極活物質を調製し、これを用いて電池A18〜A19および電池B14〜B15を作製した。ここでは、M1としてCuまたはZnを採用し、M2としてAlを採用した。
Figure 0004703111
電池A18〜A19に用いる正極活物質は、工程Aにおいて、硫酸マグネシウムの代わりに硫酸銅または硫酸亜鉛を用いたこと以外、参考例1の電池A3の場合と同様に合成した。
電池B14〜B15に用いる正極活物質は、硝酸マグネシウムの代わりに硝酸銅または硝酸亜鉛を用いたこと以外、参考例1の電池B2の場合と同様に合成した。
所定の正極を用いて、比較電池1と同様の角型非水電解質二次電池を作製した。また、放電容量、容量維持率、および第1発熱温度を、参考例1と同様に評価した。結果を表5に示す。
表5に示すように、参考例1と同様に、電池A18〜A19の方が、電池B14〜B15よりも、容量が大きく、容量維持率が高く、熱安定性も優れている。このような結果は、電池B14〜B15では、CuまたはZnが正極活物質の表層部に偏在しており、また、未反応のCuまたはZn化合物が残存しやすいのに対し、電池A18〜A19では、CuまたはZnが正極活物質に均一に分布していることに基づくものと考えられる。
また、Mg、CuおよびZnのいずれを用いても、同様の傾向が見られることがわかる。
参考例5
正極活物質に含まれるLi、Co、M1およびM2の合計モル数に占めるM1のモル数の割合R1および前記合計モル数に占めるM2のモル数の割合R2として、表6に示す値を有する正極活物質を調製し、これを用いて電池A20〜A21および電池B16〜B17を作製した。ここでは、M1としてMg、M2としてAlを採用した。
Figure 0004703111
電池A20に用いる正極活物質は、工程Aにおいて、Mg含有酸化コバルトの代わりに、共沈法で得たMg含有水酸化コバルトをそのまま用いたこと以外、参考例1の電池A3の場合と同様に合成した。
また、電池A21に用いる正極活物質は、Mg含有酸化コバルトの代わりに、Mgを均一に固溶させた炭酸コバルトを用いたこと以外、参考例1の電池A3の場合と同様に合成した。
電池B16に用いる正極活物質は、酸化コバルトの代わりに、水酸化コバルトを用いたこと以外、参考例1の電池B2の場合と同様に合成した。
また、電池B17に用いる正極活物質は、酸化コバルトの代わりに、炭酸コバルトを用いたこと以外、参考例1の電池B2の場合と同様に合成した。
所定の正極を用いて、比較電池1と同様の角型非水電解質二次電池を作製した。また、放電容量、容量維持率、および第1発熱温度を、参考例1と同様にして評価した。結果を表6に示す。
表6に示すように、参考例1と同様に、電池A20〜A21の方が、電池B16〜B17よりも、容量が大きく、容量維持率が高く、熱安定性も優れている。このような結果は、電池B16〜B17では、Mgが正極活物質の表層部に偏在しており、また、未反応のMg化合物が残存しやすいのに対し、電池A20〜A21では、Mgが正極活物質に均一に分布していることに基づくものと考えられる。
また、Mg含有炭酸コバルトやMg含有水酸化コバルトを、Mg含有酸化コバルトの代わりに用いても、参考例1と同様の傾向が見られることがわかる。
本発明により、正極のタップ密度を減少させずに、サイクル寿命と安全性の両方を向上させた電池の性能をさらに向上させることができる。すなわち、LiPF6およびLiBF4を溶質として含む非水電解質を使用することにより、サイクル寿命特性をさらに向上するとともに、高温下、充電状態で保存した場合でも、放電容量の低下が生じにくい非水電解質二次電池を提供することができる。
1 極板群
2 正極リード
3 負極リード
4 電池ケース
5 封口板
6 負極端子
7 封栓

Claims (4)

  1. 非水電解質二次電池であって、
    (a)正極活物質からなる正極、
    (b)負極活物質からなる負極、ならびに
    (c)非水電解質
    を備え、
    前記正極活物質は、LiとCoとを含む複合酸化物の粒子からなり、
    前記複合酸化物は、さらに元素M1および元素M2を含んでおり、
    元素M1は、Mg、CuおよびZnよりなる群から選ばれた少なくとも1種であり、
    元素M2は、Al、Ca、Ba、Sr、YおよびZrよりなる群から選ばれた少なくと
    も1種であり、
    元素M1は、前記粒子中に均一に分布しており、
    元素M2は、前記粒子の内部よりも表層部に多く分布しており、
    前記複合酸化物に含まれるLi、Co、M 1 およびM 2 の合計モル数に占めるM 1 のモル数の割合R 1 が、0.5%以上8%以下であり、前記合計モル数に占めるM 2 のモル数の割合R 2 が、0.05%以上2%以下であり、
    前記非水電解質が、LiPF6およびLiBF4を溶質として含む、
    非水電解質二次電池。
  2. 割合R2が、割合R1以下である請求項記載の非水電解質二次電池。
  3. 前記粒子の半径をrとするとき、粒子表面から0.3r以内の領域には、粒子中心から0.3r以内の領域の1.2倍以上の濃度で元素M2が分布している請求項1記載の非水電解質二次電池。
  4. 前記粒子の平均粒子径が、1μm以上20μm以下であり、比表面積が、0.2m2/g以上1.2m2/g以下である請求項1記載の非水電解質二次電池。
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