JP4697577B2 - 有機el素子 - Google Patents

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Description

本発明は、高精細で視認性に優れ、携帯端末機または産業用計測器の表示など広範囲な応用可能性を有する有機エレクトロルミネセンス(以下有機ELという)ディスプレイの構成に関する。
表示装置に適用される発光素子の一例として、有機化合物の薄膜積層構造を有する有機EL素子が知られている。有機EL素子は、薄膜の自発光型素子であり、低駆動電圧、高解像度、高視野角といった優れた特徴を有することから、それらの実用化に向けて様々な検討がなされている。
有機EL素子は、陽極と陰極の間に少なくとも有機発光層を備えた構造を有している。有機発光層は、陽極および陰極に電圧が印加されることによって生じる正孔および電子が再結合することで発光する部位である。有機EL素子は、必要に応じて、正孔注入層、正孔輸送層、電子輸送層および/または電子注入層を介在させた構造を有する。より具体的には、例えば、以下に示すような構造が挙げられる。
(1)有機発光層
(2)正孔注入層/有機発光層
(3)有機発光層/電子輸送層
(4)正孔注入層/有機発光層/電子輸送層
(5)正孔注入層/正孔輸送層/有機発光層/電子輸送層
(6)正孔注入層/正孔輸送層/有機発光層/電子輸送層/電子注入層
なお、上述の(1)〜(6)の構造を有する有機EL素子において、有機発光層または正孔注入層に陽極が接続され、有機発光層、電子輸送層または電子注入層に陰極が接続される。
正孔注入層、正孔輸送層には、4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニルアミノ]ビフェニル(α−NPD)など、高い正孔移動度を有する各種芳香族アミン化合物が開発されている。
これに対して、電子輸送層には電子移動度の高さおよび精製の容易さの観点から、金属キレート化オキソニウム化合物の1つであるトリス(8−キノリノラト)アルミニウム錯体(Alq)(イオン化ポテンシャル5.7eV)がもっぱら使用されている。しかし、Alqは電気化学的安定性が十分でなく、正孔の存在下で酸化されやすいという欠点がある。特に、正孔注入層や正孔輸送層の正孔移動度がAlqからなる電子輸送層の電子移動度よりも一桁以上も高いため、有機EL素子内での電流バランスが悪く、また、有機発光層のイオン化ポテンシャルがAlqとほぼ同じであるため、正孔が容易に有機発光層をこえてAlqに移動し、Alqの酸化による素子特性の劣化が生じることが問題であった。
上記のような積層構造の界面で生じるエネルギー障壁を緩和する目的で、有機発光層と電子輸送層との間に、発光層を構成する有機化合物と電子輸送層を構成する有機化合物との両方を含む混合層を設け、発光層を構成する有機化合物の濃度は、前記発光層から前記電子輸送層の方向に向かって減少することを特徴とする発光装置が提案されている(特許文献1参照)。しかし、この構成においては、上記のような電子輸送層の劣化を促進する正孔の移動を阻止することはできない。
そこで、正孔の電子輸送層への移動を阻止する目的で、イオン化ポテンシャルが発光層よりも大きな電子輸送性材料を有機発光層と電子輸送層の間に設ける試みがなされている(特許文献2および3参照)。しかし、2,9−ジメチル−4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン(BCP)(イオン化ポテンシャル6.5eV)に代表される正孔阻止材料は長期安定性に欠けるという問題があった。
特開2002−324680号公報 特開平02−195683号公報 特開平11−273867号公報
本発明の目的は、BCPのような正孔阻止層を用いずに、正孔の電子注入層への移動を阻止し、素子特性の劣化のない信頼性に優れた有機EL素子を提供することである。
本発明の有機EL素子は、陽極と陰極との間に、有機発光層と前記有機発光層の陰極側に接する電子輸送層とを少なくとも有する有機EL層を含む有機EL素子であって、前記有機発光層と前記電子輸送層との界面において、前記有機発光層のイオン化ポテンシャルが前記電子輸送層のイオン化ポテンシャルより0.2eV以上異なることを特徴とする。ここで、前記有機発光層が、陽極側の第1有機発光層と、陰極側の第2有機発光層とで構成され;前記第1有機発光層は第1の有機化合物を含み;前記第2有機発光層は前記第1の有機化合物と前記第1の有機化合物よりも0.2eV以上大きなイオン化ポテンシャルを有する第2の有機化合物とを含み;前記第2有機発光層中の前記第1の有機化合物の濃度は、前記第1有機発光層から前記電子輸送層に向かって連続的に減少し;イオン化ポテンシャルのプロファイルが、前記第2有機発光層と前記電子輸送層との界面においてスパイク状のギャップを有することが望ましい。特に望ましくは、前記第2有機発光層と前記電子輸送層との界面において、前記第2有機発光層中の前記第1の有機化合物の濃度は0である。また、前記第1有機発光層と前記第2有機発光層とは異なる種類の発光中心を有し、白色光を発してもよい。さらに、前記電子輸送層は、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム錯体を含むことが望ましい。
以上のような構成をとって、有機発光層の陰極側のイオン化ポテンシャルを電子輸送層のイオン化ポテンシャルより0.2eV以上大きくして、有機EL発光層と電子輸送層との界面においてイオン化ポテンシャルのプロファイルをスパイク状とすることによって、正孔の電子輸送層への侵入およびそれに伴う電子輸送層の特性劣化を防止し、素子の信頼性を向上させることができる。加えて、有機発光層の陰極側に正孔トラップとして作用可能な蛍光色素をドーピングすることで、上記の効果をさらに高めることができる。
本発明の有機EL素子の模式断面図を図1に示す。本発明の有機EL素子は、基板10の上に、陽極20、有機EL層30、陰極40が積層されており、有機EL層30は、有機発光層(33,34)と、有機発光層の陰極側に接する電子輸送層35とを少なくとも含む。有機EL層30は、必要に応じて、正孔注入層31、正孔輸送層32および電子注入層36をさらに含んでもよい。
陽極20は、SnO、In、ITO、IZO、ZnO:Alなどの導電性金属酸化物をスパッタ法を用いて積層することにより形成される。陽極20は、波長400〜800nmの光に対して好ましくは50%以上、より好ましくは85%以上の透過率を有することが好ましい。陽極20は、通常50nm以上、好ましくは50nm〜1μm、より好ましくは100〜300nmの範囲内の厚さを有することが望ましい。
陰極40は、高反射率の金属、アモルファス合金、微結晶性合金を用いて形成されることが好ましい。高反射率の金属は、Al、Ag、Mo、W、Ni、Crなどを含む。高反射率のアモルファス合金は、NiP、NiB、CrPおよびCrBなどを含む。高反射率の微結晶性合金は、NiAlなどを含む。あるいはまた、前述の高反射率の金属を含む他の合金(たとえばMg/Ag合金など)を用いることができる。陰極40は、蒸着、スパッタなどの当該技術において知られている任意の方法で形成することができる。
本発明において、陽極20および陰極40のそれぞれを複数のストライプ形状部分電極から形成して、パッシブマトリクス駆動を行うようにしてもよい。この場合、陽極20のストライプ形状部分電極の延びる方向は、陰極40のストライプ形状部分電極の延びる方向と交差し、好ましくは直交する。あるいはまた、基板10表面に複数のスイッチング素子(TFTなど)を設け、複数のスイッチング素子に1対1で対応する複数の部分電極から陽極20を構成して、アクティブマトリクス駆動を行うようにしてもよい。この場合には陰極40は一体型の電極として形成される。
有機EL層30は、少なくとも、有機発光層(33,34)と、該有機発光層の陰極側に接触して設けられる電子輸送層35とを含む。必要に応じて、正孔注入層31、正孔輸送層32、および/または電子注入層36を介在させた構造を有する。より具体的には、例えば、以下に示すような構造が挙げられる。
(1)有機発光層/電子輸送層
(2)有機発光層/電子輸送層/電子注入層
(3)正孔注入層/有機発光層/電子輸送層
(4)正孔注入層/有機発光層/電子輸送層/電子注入層
(5)正孔注入層/正孔輸送層/有機発光層/電子輸送層
(6)正孔注入層/正孔輸送層/有機発光層/電子輸送層/電子注入層
上述の(1)〜(6)の構造を有する有機EL層30において、有機発光層または正孔注入層に陽極20が接続され、電子輸送層または電子注入層に陰極40が接続される。
正孔注入層31の材料としては、フタロシアニン(Pc)類(銅フタロシアニン(CuPc)などを含む)またはインダンスレン系化合物などを用いることができる。
正孔輸送層32は、トリアリールアミン部分構造、カルバゾール部分構造、オキサジアゾール部分構造を有する材料(たとえばTPD、α−NPD、PBD、m−MTDATAなど)を用いて形成することができる。
電子注入層36の材料としては、Li、Na、K、またはCsなどのアルカリ金属、Ba、Srなどのアルカリ土類金属またはそれらを含む合金、希土類金属、あるいはそれら金属のフッ化物などを用いることができるが、それらに限定されるものではない。本発明の構成においては、電子注入効率の改善の観点から、電子注入層36を設けることが好ましい。電子注入層36の膜厚は、駆動電圧および透明性等を考慮して適宜選択することができるが、通常の場合には10nm以下であることが好ましい。あるいはまた、アルカリ金属ないしアルカリ土類金属をドープしたアルミニウムのキノリノール錯体を用いてもよい。
有機発光層は、陽極20側に配置される第1有機発光層33と、陰極40側に配置される第2有機発光層34とで構成され、第2有機発光層34が電子輸送層35と接触する。
第1有機発光層33は、電子−正孔再結合の主たる領域として機能し、全体にわたって一定の組成を有する層である。第1有機発光層33の材料は、所望する色調に応じて選択することが可能であり、例えば青色から青緑色の発光を得るためには、ベンゾチアゾール系、ベンゾイミダゾール系、ベンゾオキサゾール系などの蛍光増白剤、スチリルベンセラン系化合物、芳香族ジメチリデイン系化合物などを使用することが可能である。あるいはまた、前述の材料をホスト材料として用い、これにドーパントを添加することによって第1有機発光層33を形成してもよい。ドーパントとして用いることができる材料としては、たとえばレーザ色素としての使用が知られているクマリン誘導体(緑色:たとえば、クマリン6など)、ペリレン(青色)、ルブレン(黄色)、キナクリドン類(緑色)、DCM(赤色)、金属ポルフィリン錯体(たとえば、PtOEP(赤色)など)などを用いることができる。ドーパントを用いる場合においても、第1有機発光層33は、その全体にわたって均一な組成を有することが好ましい。
Figure 0004697577
第2有機発光層34は、電子−正孔再結合領域として発光に寄与することに加えて、そのイオン化ポテンシャルを制御して正孔の電子輸送層35への侵入を防止するための層である。第2有機発光層34の電子−正孔再結合領域としての機能を確保することを目的として、第1有機発光層33との界面から電子輸送層35との界面に向かって連続的に変化する組成およびイオン化ポテンシャルを有することが好ましい。
具体的には、第2有機発光層34を、第1の有機化合物と、よりイオン化ポテンシャルの大きい第2の有機化合物とを用いて形成する。第1の有機化合物としては、第1有機発光層33の形成材料、または第1有機発光層がホスト−ドーパント系の場合には第1有機発光層33のホスト材料を用いることができる。好ましくは、第2の有機化合物としては、電子輸送層35の材料よりも0.2eV以上大きなイオン化ポテンシャルを有する材料を用いることができる。より好ましくは、1,2,4−トリアゾール誘導体(たとえば、TAZ(イオン化ポテンシャル:5.9eV)など)、トリアジン誘導体(たとえば、TRZ5(イオン化ポテンシャル:6.1eV)など)などを用いることができる。
Figure 0004697577
第2有機発光層34は、形成当初は第1の有機化合物のみを用い、続いて第2の有機化合物の混合を開始し、そして第2の有機化合物の比率を連続的に増加させることによって、前述のような組成およびイオン化ポテンシャル、すなわち第1有機発光層33から電子輸送層35に向かって連続的に減少する第1の有機化合物の濃度、および第1有機発光層33から電子輸送層35に向かって連続的に増大するイオン化ポテンシャルを得ることができる。より好ましい実施態様においては、形成中に第1の有機化合物の比率を0とし、電子輸送層35との界面において、第2有機発光層34は第2の有機化合物のみから形成される。第1の有機化合物の比率を0とする点は、電子輸送層35との界面であってもよいし、あるいは第2有機発光層34の内部の任意の点であってもよい。
イオン化ポテンシャルの概念図を図2に示す。第1有機発光層33と第2有機発光層34との界面においては、イオン化ポテンシャルの差がなく、界面準位が発生することがない。したがって界面準位によるキャリア(電子および/または正孔)のトラップが発生せず、発光効率を維持することが可能となる。一方、電子輸送層35との界面における第2有機発光層34のイオン化ポテンシャルが、電子輸送層35のイオン化ポテンシャルよりも0.2eV以上大きく、第2有機発光層34と電子輸送層35との界面におけるイオン化ポテンシャルのプロファイルにおいて、0.2eV以上の大きさのスパイク状のギャップ50が形成される。ここで、第2有機発光層34におけるイオン化ポテンシャルの連続的増大が正孔移動の熱力学的障壁として機能し、第2有機発光層34と電子輸送層35との界面におけるスパイク状のギャップ50が正孔移動の速度論的障壁として機能することによって、電子輸送層35に対する正孔の侵入を効率的に防止することが可能となる。
本発明において、第2有機発光層34をホスト−ドーパント系としてもよい。第2有機発光層34のホスト材料は、前述の第1の有機化合物と第2の有機化合物との混合物とすることが望ましい。この場合にも、前述のように、ホスト材料の組成を第1有機発光層33の界面から電子輸送層35の界面に向かって変化させることにより、第1有機発光層33との界面における界面準位の形成を抑制し、かつ電子輸送層35との界面に0.2eV以上の大きさのスパイク状のギャップを有するイオン化ポテンシャルのプロファイルを実現することが可能となる。
第2有機発光層34に用いるドーパント材料は、前述のような材料を含む。ここで、第2有機発光層34のドーパントとして、第1有機発光層33の発光よりも長波長の光を発光するものを選択して、第1有機発光層33の発光中心と第2有機発光層34の発光中心とを異なる種類のものとしてもよい。そのような長波長用ドーパントは、HOMO−LUMO間エネルギーギャップがより小さく、そのイオン化ポテンシャルが小さいので、正孔の熱力学的トラップとして有効である。したがって、長波長用ドーパントによって正孔を捕捉して、正孔の電子輸送層35への侵入をさらに有効に防止することが可能となる。ドーパント材料については、第2有機発光層34全体にわたって均一な濃度を有していてもよいし、または第1有機発光層33の界面から電子輸送層35の界面に向かってホスト材料と同様に連続的に変化する組成を有していてもよい。
また、第1有機発光層33の発光波長と異なる波長の光が第2有機発光層34から発光されることとなり、混色によって所望の色相を有する光を発する有機EL素子を形成することが可能となる。たとえば、第1有機発光層33として青色発光する系(ホスト−ドーパント系または非ホスト−ドーパント系のいずれであってもよい)を用い、第2有機発光層34において赤色発光するホスト−ドーパント系を用いることによって、全体として白色発光する有機EL素子を形成することができる。
電子輸送層35は、第2有機発光層の材料(ホスト−ドーパント系の場合はホスト材料)のイオン化ポテンシャルよりも0.2eV以上小さいイオン化ポテンシャルを有することを条件として、当該技術において知られている材料を用いて形成することができる。好ましくは、電子輸送層35はトリス(8−キノリノラト)アルミニウム錯体(Alq)、トリス(4−メチル−8−キノリノラト)アルミニウム錯体(Almq)、トリス(5−フェニル−8−キノリノラト)アルミニウム錯体(Alpq)のようなアルミニウム錯体を用いて形成され、より好ましくはAlq(イオン化ポテンシャル:5.7eV)を用いて形成される。電子輸送層35の膜厚は、駆動電圧および透明性等を考慮して適宜選択することができるが、通常の場合には40nm以下であることが好ましい。
有機EL層30を構成するそれぞれの層は、蒸着(抵抗加熱または電子ビーム加熱)などの当該技術において知られている任意の手段を用いて形成することができる。
以上の説明においては、陽極20を透明電極とし、陰極40を反射電極として用いるボトムエミッション型構成例について説明したが、陽極20を反射電極とし、陰極40を透明電極として用いるトップエミッション型構成であってもよい。この場合には、陽極20を、前述の高反射率の金属、アモルファス合金、微結晶性合金の上に、SnO、In、ITO、IZO、ZnO:Alなどの導電性金属酸化物を積層した構造として、有機EL層30に対する正孔注入効率を向上させてもよい。一方、陰極40は、前述の導電性金属酸化物を用いて形成することができる。ここで、電子注入効率を向上させるために、有機EL層30の構成を電子注入層36を含むものとすることが非常に好ましい。
[実施例1]
本発明にもとづく有機EL素子を以下の手順により作製した。最初に、基板10上に、室温において、DCスパッタ法により膜厚200nmのIn−Zn酸化物膜を堆積させて、陽極20を得た。スパッタターゲットにはIn−Zn酸化物焼成ターゲットを用い、スパッタガスとしてArおよび酸素の混合ガスを用いた。
引き続いて、前記陽極20を形成した基板10を抵抗加熱蒸着装置内に装着し、正孔注入層31、正孔輸送層32、第1有機発光層33、第2有機発光層34、電子輸送層35、電子注入層36を、真空を破らずに順次成膜した。成膜に際して真空槽内圧は1×10−4Paまで減圧した。正孔注入層31として、膜厚100nmの銅フタロシアニン(CuPc)を積層した。正孔輸送層32として、膜厚20nmのα−NPDを積層した。第1有機発光層33として、膜厚20nmの4,4’−ビス(2,2’−ジフェニルビニル)ビフェニル(DPVBi)を積層し、その後、DPVBiの蒸着速度を順次低下させるとともに、TAZの蒸着速度をゼロから順次増大させ、連続的に変化する組成を有する膜厚20nmの第2有機発光層を積層した。ここで、第2有機発光層34の積層終了時のDPVBiの蒸着速度がゼロになるように調整した。第1有機発光層33および第2有機発光層34の積層中、ドーパントとして、体積比で5%とするような速度でペリレンを同時蒸着した。電子輸送層17として、膜厚20nmのAlqを積層した。電子注入層として、膜厚0.5nmのLiFを積層した。
次に、真空を破ることなしに、蒸着法により膜厚200nmのMg/Ag(10:1の重量比率)層を堆積させて、陰極40を形成した。こうして得られた有機発光素子のグローブボックス内乾燥窒素雰囲気(酸素および水分濃度ともに10ppm以下)下において、封止ガラスとUV硬化接着剤を用いて封止した。
得られた有機EL素子は、第2有機発光層34と電子輸送層35との界面において、第2有機発光層34が5.9eVのイオン化ポテンシャルを有し、かつ電子輸送層35が5.7eVのイオン化ポテンシャルを有しており、イオン化ポテンシャルのプロファイルとして0.2eVのスパイク状ギャップが形成された。得られた有機EL素子は青色に発光した。この素子について、電圧−瞬間輝度特性を測定した結果、電流密度1.0×10−2A/cmで輝度642cd/mを得た。初期輝度1000cd/mを与える電流の連続通電において輝度が半減する連続通電寿命半減期間は、3000時間であった。
[比較例1]
第1有機発光層33および第2有機発光層34の形成をせず、膜厚40nmのDPVBi(5体積%のペリレンを含む)の層を単一の有機発光層として積層したことを除いて、実施例1の手順を繰り返して有機EL素子を得た。
得られた有機EL素子に関して、有機発光層/電子輸送層界面におけるイオン化ポテンシャルのギャップは0eVであった。得られた有機EL素子は青色発光し、電流密度1.0×10−2A/cmで695cd/mの輝度を有した。連続通電寿命半減期間は、1500時間であった。
[実施例2]
第2発光層形成34時にドーパントをペリレンからルブレンに変更した以外は、実施例1の手順を繰り返して有機EL素子を得た。その結果、CIE−XYZ表色系において(x,y)=(0.35,0.38)の色度座標を有する白色光を発する有機EL素子が得られた。本実施例の有機EL素子の連続通電寿命半減期間は、本実施例では3800時間であった。
[実施例3]
第2発光層形成34時にドーパントをペリレンから4−(ジシアノメチレン)−2−メチル−6−(p−ジメチルアミノスチリル)−4H−ピラン(DCM)に変更した以外は、実施例1の手順を繰り返して有機EL素子を得た。その結果、CIE−XYZ表色系において(x,y)=(0.36,0.40)の色度座標を有する白色光を発する有機EL素子が得られた。本実施例の有機EL素子の連続通電寿命半減期間は、本実施例では3500時間であった。
以上の結果から明らかなように、本発明に係る実施例1〜3の有機EL素子のそれぞれは、比較例1の有機EL素子よりも長い連続通電寿命半減期間を有した。これは、第2有機発光層34と電子輸送層35との界面(すなわち、有機発光層と電子輸送層との界面)において、0.2eV以上の大きさを有するスパイク状ギャップを設けたことによって、正孔の電子輸送層への侵入を抑制し、電子輸送層の特性劣化を防止したことによると考えられる。また、第2発光層34をホスト−ドーパント系とし、第1発光層よりも長波長の光を発するドーパントを第2発光層34中に用いることによって、白色発光の有機EL素子を形成することができた。さらに、そのような長波長のドーパント(ルブレンまたはDCM)を用いた実施例2および3の有機EL素子は、より短波長のドーパント(ペリレン)を用いた実施例1の有機EL素子よりもさらに長い連続通電寿命半減期間を示した。これは、長波長ドーパントの正孔トラップの効果により、電子輸送層への正孔の侵入をより効率的に抑制することができたためと考えられる。
本提案の有機EL素子の構造を示す模式的断面図である。 本提案の有機EL素子のイオン化ポテンシャルのプロファイルを示すエネルギーダイアグラムである。
符号の説明
10 基板
20 陽極
30 有機EL層
31 正孔注入層
32 正孔輸送層
33 第1有機発光層
34 第2有機発光層
35 電子輸送層
36 電子注入層
40 陰極
50 スパイク状ギャップ

Claims (4)

  1. 陽極と陰極との間に、有機発光層と前記有機発光層の陰極側に接する電子輸送層とを少なくとも有する有機EL層を含む有機EL素子であって、
    前記有機発光層が、陽極側の第1有機発光層と、陰極側の第2有機発光層とで構成され;前記第1有機発光層は第1の有機化合物を含み;
    前記第2有機発光層は前記第1の有機化合物と前記第1の有機化合物よりも0.2eV以上大きなイオン化ポテンシャルを有する第2の有機化合物とを含み;
    前記第2有機発光層中の前記第1の有機化合物の濃度は、前記第1有機発光層から前記電子輸送層に向かって連続的に減少し;
    前記第1有機発光層と前記第2有機発光層との界面においては、前記第1有機発光層のイオン化ポテンシャルと前記第2有機発光層のイオン化ポテンシャルが一致し;
    前記第2有機発光層におけるイオン化ポテンシャルが、前記第1有機発光層から前記電子輸送層に向かって連続的に増大し;
    前記第2有機発光層と電子輸送層との界面において、前記第2有機発光層のイオン化ポテンシャルが、前記電子輸送層のイオン化ポテンシャルよりも0.2eV以上大きい
    ことを特徴とする有機EL素子。
  2. 前記第2有機発光層と前記電子輸送層との界面において、前記第2有機発光層中の前記第1の有機化合物の濃度は0であることを特徴とする請求項1に記載の有機EL素子。
  3. 前記第1有機発光層と前記第2有機発光層とは異なる種類の発光中心を有し、白色光を発することを特徴とする請求項1または2に記載の有機EL素子。
  4. 前記電子輸送層は、トリス(8−キノリノラト)アルミニウム錯体を含むことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の有機EL素子。
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