以下に、本願発明を具体化した実施形態を図面(図1〜図9)に基づいて説明する。図1は温室の概略平面図、図2はコンテナの一部切り欠き斜視図、図3はラベルの説明図、図4はコントローラの機能ブロック図、図5は乾燥処理手順の一例を示す説明図、図6は除湿乾燥制御のフローチャート、図7は低湿モード制御の態様を示すフローチャート、図8は高湿モード制御の態様を示すフローチャート、図9は高温防止制御の態様を示すフローチャートである。
(1).システムの概要
まず、図1及び図5を参照しながら、実施形態における除湿乾燥システム(以下、システムと称する)の概要について説明する。
図1に示すように、後述する乾燥装置DRが内部に配置された温室1は、多数本の支柱とフレームとにより骨組が構成されている。温室1の側壁には、複数の側窓2と出入り用の扉3とが開閉可能に設けられている。この側壁に隣接した2つの側壁には、温室1内の換気を行うための換気ファン4がそれぞれ取り付けられている。扉3のある側壁と向かい合った側壁には開閉用のシャッター5が設けられている。温室1内の天井側には、白色灯や水銀灯等の照明具が複数個配置されている(図示せず)。温室1の一側壁のうち扉3の近傍箇所には、後述する制御手段の一例である乾燥コントローラ7(図4参照)等を有する制御盤6が配置されている。
実施形態の除湿乾燥システムは、例えば各農家の所有する圃場にて収穫された被乾燥物としての籾を、温室1へ運んで除湿・乾燥させるという一連の工程を実行するものであり、被乾燥物としての籾が収容される複数個のコンテナ8と、圃場Fや農家、温室1といった所望個所に各コンテナ8を配送する配送手段としてのトラック31(図5(a)参照)と、圃場Fや農家にて籾を受け取った各コンテナ8を温室1とトラック31との間で運搬する運搬手段としてのフォークリフト32(図5(b)参照)と、温室1内に配置された乾燥装置DR及び情報処理手段としての管理コンピュータ33(図5(c)参照、以下、管理PCと称する)とを備えている。
(2).コンテナ、乾燥装置及び管理PCの詳細構成
次に、図1〜図5を参照しながら、コンテナ8、乾燥装置DR及び管理PC33の詳細構成について説明する。
コンテナ8は上向き開口略箱型に形成されたものである。図2に示すように、コンテナ8の内部には目の細かい網状の通気床板15が張設されている。この通気床板15の存在にて、コンテナ8内が上側の籾収容室16と下側のエアチャンバ室17とに区画されている。従って、籾収容室16とエアチャンバ室17とは通気床板15の網目を介して連通している。
実施形態では、収穫後の籾は、コンバインCの排出オーガDA(図5(a)参照)からコンテナ8の籾収容室16に、袋詰め等することなく直接投入される。このため、籾収容室16の一側下部には、籾収容室16内の籾を排出するための横長の排出口18が形成されている。この排出口18は開閉式のカバー体19で塞がれている。エアチャンバ室17の一側壁には、外部からエアチャンバ室17内に空気を導入するための導入口20が形成されている。
なお、コンテナ8の底面には、フォークリフト32のフォーク爪を差し込むための一対の爪差し込み部21と、各組のレール14上を転動可能に走行する車輪22とが設けられている。
コンテナ8の外側面には、各種情報35〜40を目視にて読み取り可能に記載したラベル34が貼り付けられている(図3参照)。ラベル34に記載された各種情報35〜40のうちコンテナ番号情報35は個々のコンテナ8を識別するための識別情報に相当するものである。客先名称情報36、客先番号情報37、客先から預かった籾が収容されたコンテナ8の総数に対する通し番号情報38、及びトレーサビリティ情報39(追跡調査用情報)は、コンテナ8内の籾に関する固有情報に相当するものである。
この場合、トレーサビリティ情報39としては、例えばコンテナ8内の籾の所有者(客先)、籾の品種、コンテナ8の預かり日付、乾燥装置情報(どの装置で乾燥処理したかを区別する装置名等)がコード番号にて表示されている。また、実施形態では、コンテナ8の所有元名称情報40もラベル34に記載されている。
また、ラベル34には、コンテナ8別の識別情報であるコンテナ番号情報35を光学的に読み取り可能に表示した第1の情報媒体としての第1バーコード41と、客先名称情報36、客先番号情報37、通し番号情報38、及びトレーサビリティ情報39を光学的に読み取り可能に表示した第2の情報媒体としての第2バーコード42とが付されている。各バーコード41,42は1次元バーコードでもよいし、より高密度な情報を有し得る2次元バーコード(QRコード)でもよい。また、各種情報35〜39を1つのバーコードにまとめても差し支えない。
乾燥装置DRは、籾、麦又は大豆のような農作物や加工食品等の被乾燥物を送風にて除湿・乾燥させるためのものであり、各コンテナ8に温室1内の空気を強制的に導入するための送風ユニット9と、温室1内の空気を除湿するための除湿機10と、温室1内の空気を温めるための加温機11と、前述した一対の換気ファン4と、温室1内の雰囲気温度を検出するためのIC型等の温度センサ12(図4参照)と、温室1内の雰囲気湿度を検出するためのインピーダンス変化型等の湿度センサ13(図4参照)と、制御盤6内の乾燥コントローラ7(図4参照)とにより構成されている。
図1に示すように、温室1の床面には、載置架台としての2本1組のレール14がその長手方向と平面視で交差する方向に適宜間隔を開けて並列状に並ぶように複数列敷設されている(実施形態では3組)。複数個のコンテナ8は、各組のレール14上にその長手方向に沿って移動可能に載置される(実施形態では1組のレール14につき5個)。
送風ユニット9は各組のレール14に対応して設けられており(1組のレール14につき1台)、各組のレール14における並び方向の一側方に当該レール14と平行状に延びるように配置された送風ダクト23と、この送風ダクト23内に空気を送り込むための送風ファン24とを備えている。送風ファン24は送風ダクト23の一端部(図1で扉3のある側壁に近い箇所)に設けられている。送風ダクト23の他端部は閉塞されている。
各送風ダクト23には、これと対応するレール14側の側面に、平面視でレール14に向けて突出した分岐ダクト25が複数本設けられている(実施形態では5本)。詳細は図示していないが、各分岐ダクト25は、その突出方向(送風ダクト23の長手方向と交差する方向)に沿って伸縮可能に構成されていると共に、これを伸長した状態に付勢する付勢手段を備えている。また、実施形態の乾燥装置DRには、コンテナ8が分岐ダクト25に接近及び離間するときに分岐ダクト25をコンテナ8から遠ざかるように短縮動させ、コンテナ8がその導入口20を分岐ダクト25に対峙させた対峙位置にあるときに分岐ダクト25がコンテナ8に当接するように伸長動するのを許容する規制手段を備えている。
この場合、各組のレール14に沿って移動するコンテナ8のコーナ部が分岐ダクト25に接触すると(近傍位置に到達すると)、分岐ダクト25は付勢手段の付勢力に抗してコンテナ8から遠ざかる方向に短縮し、コンテナ8の移動を妨げない。更に移動を進めたコンテナ8が対峙位置に到達すると、付勢手段による分岐ダクト25の伸長動が許容され、分岐ダクト25の先端口がコンテナ8における導入口20の箇所に密接する。これにより、コンテナ8のエアチャンバ室17と分岐ダクト25とが連通接続される。更にコンテナ8の移動を進めれば、コンテナ8が対峙位置からずれるため、分岐ダクト25は再びコンテナ8から遠ざかる方向に短縮する。
従って、コンテナ8を各組のレール14に沿って移動させるだけで、コンテナ8と分岐ダクト25とをワンタッチ的に連通接続できる(着脱可能に接続できる)。なお、送風ユニット9自体も、コンテナ8と同様に、温室1内から取り外し可能になっている。
除湿機10は、送風ユニット9と同様に各組のレール14に対応して設けられていて、各送風ダクト23の一端部に連通接続されている。除湿機10にて除湿された空気は、送風ファン24を駆動させることにより、送風ダクト23及び各分岐ダクト25を介して各コンテナ8のエアチャンバ室17内に送り込まれ、エアチャンバ室17から通気床板15の網目を通って籾収容室16内に流入する。そして、この空気は籾間を流通してコンテナ8の上面開口から再び温室1内に排出される。
一方、加温機11は、送風ユニット9や除湿機10とは異なり、温室1内に1台のみ単独で配置されている。加温機11にて温められた温室1内の空気は、除湿機10を経由して送風ダクト23内に取り込まれることになる。なお、除湿機10及び加温機11も、温室1内から取り外し可能になっている。
実施形態では、温度や湿度等の栽培環境の状態量を検出するための温度センサ12及び湿度センサ13が各分岐ダクト25内に取り付けられている。これら2種類のセンサ12,13は乾燥コントローラ7の入力インターフェイスに接続されている(図4参照)。なお、温度センサ12及び湿度センサ13はいずれも、温室1内の適宜箇所に配置されていればよい。
乾燥コントローラ7は、温度センサ12及び湿度センサ13の制御情報に基づいて換気ファン4及び送風ユニット9を作動させて、コンテナ8に収容された籾の除湿乾燥制御を実行するものであり、各種演算処理を実行するCPU26の他、制御プログラムやデータを記憶させるためのROM27、制御プログラムやデータを一時的に記憶させるためのRAM28、タイマ機能としてのクロック、センサやアクチュエータ等との間でデータ(制御情報)のやり取りをするための入出力インターフェイス等を備えている(図4参照)。
乾燥コントローラ7のROM27には、コンテナ8内に送り込まれる空気の雰囲気温度T(送風温度、単位:K)と、目標とする雰囲気湿度h(目標湿度、単位:%)との関係を示す関係式又は制御マップが予め記憶されている。
実施形態では、一定の温度・湿度条件の雰囲気下に物質を放置すると、この物質の水分量は前述の温度・湿度条件に対応した一定値になるという平衡水分に関する知見を参考にして、Chen−Clayton式に基づいた関係式を作成している。
この場合の関係式としては、
h=exp{−f1・Tg1・exp(−f2・Tg2・M)}
が採用されている。ここで、f1、f2、g1、g2はいずれも穀物の種類に応じたパラメータであり、実験等により求められる。Mは穀物の平衡水分(目標とする水分量、単位:%)である。なお、送風温度Tと目標湿度hとの対のデータを、テーブルマップとして乾燥コントローラ7のROM27に記憶させるようにしてもよい。
乾燥コントローラ7の入力インターフェイスには、前述した2種類のセンサ12,13の他、除湿乾燥システム全体の電源を入り切り操作するメインスイッチやキーボード等を有する入力部29や、警報ブザー30等がそれぞれ接続されている。入力部29及び警報ブザー30は制御盤6に設けられている。また、乾燥コントローラ7の出力インターフェイスには、一対の換気ファン4、3組の送風ファン24及び除湿機10、並びに1台の加温機11等がそれぞれ接続されている。
一方、図5(c)に示すように、情報処理手段としての管理PC33は、各種演算処理や制御を実行するためのCPU43と、制御プログラムやデータを記憶するためのROM44と、制御プログラムやデータを一時的に記憶する情報記憶部45と、入出力インターフェイス(図示せず)と、CRTディスプレイや液晶ディスプレイ等の表示手段46と、キーボードやマウス等の入力手段47と、プリンタ48とを備えている。管理PC33には、各コンテナ8に貼り付けられたラベル34のバーコード41,42を光学的に読み取る読み取り手段としてのバーコードリーダ49が無線又は有線にて接続されている。
管理PC33の情報記憶部45は、外付け型又は内蔵型のハードディスクやRAM(随時読み書き可能メモリ)からなるものである。情報記憶部45には、バーコードリーダ49にて読み取られたデータが1グループとして(コンテナ8単位で)記憶される。換言すると、情報記憶部45には、各コンテナ8におけるラベル34上の第1バーコード41に対応した識別情報(コンテナ番号情報35)、並びに第2バーコード42に対応した固有情報(客先名称情報36、客先番号情報37、通し番号情報38、及びトレーサビリティ情報39)のデータが、1グループとして相互に関連付けて記憶される。
情報記憶部45には、作業履歴(乾燥処理履歴)も、前述のグループ毎に関連付けて記憶される。作業履歴には、例えば各コンテナ8について乾燥処理を実行した年月日や時刻等のデータが含まれる。かかるデータは、例えば作業者が入力手段47の操作にて入力したりすればよい。なお、情報記憶部45に記憶されたコンテナ8毎の各種データは、入力手段47の操作にて、表示手段46に表示したりプリンタ48に印刷したりできる。
管理PC33は、イントラネット回線網やインターネット回線網等の通信回線網50を介して、遠隔地等の温室1外(例えば管理会社)に設置された外部サーバ51に接続されている。管理PC33と外部サーバ51との間では、通信回線網50を介して双方向に通信可能に構成されている。従って、情報記憶部45に記憶されたコンテナ8毎の各種データを外部サーバ51に保存しておくことも可能である。情報記憶部45及び外部サーバ51は特許請求の範囲に記載した記憶手段に相当する。但し、外部サーバ51は本願発明に必須の構成要素ではない。
(3).乾燥処理手順の説明
次に、図5(a)〜(c)を参照しながら、実施形態のシステムを利用した乾燥処理手順の一例について説明する。
まず、配送手段としてのトラック31に適宜個数のコンテナ8を積載し、当該トラック31を運転して、所定農家(客先)の所有する圃場Fまでコンテナ8を配送する。この場合、各コンテナ8には、各種情報35〜40及びバーコード41,42を付したラベル34が予め貼り付けられているものとする。
次いで、コンバインCのグレンタンクGT内にある収穫後の籾を、排出オーガDAを介してトラック31上の各コンテナ8に直接投入した後(図5(a)参照)、トラック31を運転して、圃場Fから温室1まで籾入りのコンテナ8を配送する。
それから、温室1のシャッター5を開けて、運搬手段としてのフォークリフト32が温室1内外に出入りできるようにし、フォークリフト32にて、トラック31上の各コンテナ8を温室1内にある各組のレール14上に降ろす(図5(b)参照)。そして、手動又は適宜動力にて、各コンテナ8を各組のレール14に沿って移動させて、1組のレール14につき5個ずつコンテナ8を整列させ、各コンテナ8とこれに対応した分岐ダクト25とをワンタッチ的に連通接続する。
次いで、各コンテナ8におけるラベル34上のバーコード41,42を、バーコードリーダ49にて読み取り、第1バーコード41に対応した識別情報及び第2バーコード42に対応した固有情報のデータを、1グループとして相互に関連付けて、コンテナ8単位で管理PC33の情報記憶部45や外部サーバ51に記憶させる(図5(c)参照)。
その後は、シャッター5を閉めてから、制御盤6上の電源スイッチ(図示せず)を入り操作して、各コンテナ8内にある籾の乾燥処理を実行する(図6〜図9参照、詳細は後述する)。乾燥処理の終了後は、例えばフォークリフト32にて各コンテナ8を籾摺り機のある施設まで運んで、籾摺り・袋詰めして出荷したり、各コンテナ8を再度トラック31に載せ、貯留施設まで配送したりする。
以上の手順によると、籾が収容される複数個のコンテナ8と、圃場Fや農家、温室1といった所望個所に各コンテナ8を配送する配送手段としてのトラック31と、圃場Fや農家にて籾を受け取った各コンテナ8を温室1とトラック31との間で運搬する運搬手段としてのフォークリフト32とを備えているので、圃場Fや農家等の所望個所と温室1との間において、トラック31及びフォークリフト32を使って、籾が収容されるコンテナ8を直接運搬できる。このため、乾燥処理前における運搬のための袋詰め作業や、袋詰めした籾をコンテナに移し替える作業が不要になる。従って、作業者の負担を低減できると共に、乾燥処理の作業効率が向上する。
しかも、コンテナ8の外側面に貼り付けられたラベル34には、コンテナ8別の識別情報であるコンテナ番号情報35と、コンテナ8内の籾に関する固有情報としての客先名称情報36、客先番号情報37、通し番号情報38、及びトレーサビリティ情報39とが付されており、これら情報35〜39の組合せを目視にて確認することで、作業者は各コンテナ8を識別して管理できる。
このため、作業者は、コンテナ8とその中に収容された籾とに関する各種情報35〜39を容易に把握でき、籾入りの各コンテナ8について個別情報管理が可能になる。その結果、別々の農家(客先)から運ばれてきた籾入りのコンテナ8同士を混在させて乾燥処理することが可能になるから、乾燥装置DRひいてはシステム全体を効率的に運用できると共に、ランニングコストの抑制に寄与できる。
特に実施形態では、各コンテナ8におけるラベル34上のバーコード41,42を、バーコードリーダ49にて読み取り、第1バーコード41に対応した識別情報及び第2バーコード42に対応した固有情報のデータを、1グループとして相互に関連付けて、コンテナ8単位で管理PC33の情報記憶部45や外部サーバ51に記憶させて管理するので、籾入りの各コンテナ8についての個別情報管理を効率的且つ合理的に行える。
また、コンテナ8単位の識別情報及び固有情報のデータを、管理PC33の情報記憶部45や外部サーバ51に記憶させ保存しておくことは、例えば乾燥不良等の籾の不具合が発見された際のトレーサビリティ(追跡可能性)の点において高い効果を発揮できるのである。
(4).除湿乾燥制御の説明
次に、図6〜図9に示すフローチャートを参照しながら、乾燥コントローラ7による除湿乾燥制御の一例について説明する。ここで、コンテナ8内の籾の平衡水分M(目標とする水分量)や後述する設定時間TM0に関するデータは、ROM27に記憶させたり、設定器(図示せず)の操作にて乾燥コントローラ7のRAM28に記憶させたりして、予め設定しておく。
まず、図6に示す除湿乾燥制御のスタートに続き、各送風ユニット9の送風ファン24を回転駆動させる(ステップS1)。次いで、換気ファン4を両方とも最大駆動周波数(最大送風量に対応する)で適宜時間だけ回転駆動させてから(ステップS2)、湿度センサ13の検出情報(制御情報)から得られた計測湿度H1を読み込む(ステップS3)。実施形態では、換気ファン4の最大駆動周波数は60Hz、その駆動時間は5分間に設定されている。また、湿度センサ13は各送風ダクト23に5個ずつあるので、計測湿度H1としては、各湿度センサ13での計測湿度の平均値を採用している。
それから、換気ファン4を両方とも最小駆動周波数(最小送風量に対応する)で適宜時間だけ回転駆動させたのち(ステップS4)、湿度センサ13の検出情報(制御情報)から得られた計測湿度H2を読み込む(ステップS5)。実施形態では、換気ファン4の最小駆動周波数は30Hz、その駆動時間は5分間に設定されている。また、この場合も、計測湿度H2としては、各湿度センサ13での計測湿度の平均値を用いている。
次いで、換気ファン4を最大駆動周波数で回転駆動させたときの計測湿度H1が換気ファン4を最小駆動周波数で回転駆動させたときの計測湿度H2より小さいか否かを判別する(ステップS6)。
最大駆動周波数での計測湿度H1が最小駆動周波数での計測湿度H2より小さい場合というのは、換気ファン4の駆動にて温室1内に取り込まれた外気の湿度が低いとき(例えば冬季等)を意味しており、逆に、最大駆動周波数での計測湿度H1が最小駆動周波数での計測湿度H2以上である場合というのは、外気の湿度が高いとき(例えば梅雨時期、夏季等)を意味している。
そこで、最大駆動周波数での計測湿度H1が最小駆動周波数での計測湿度H2より小さいと判断したときは(S6:YES)、換気ファン4の駆動回転数を中程度の値(実施形態では45Hz)に変更したのち(ステップS7)、低湿モード制御を実行する(ステップS8)。
一方、最大駆動周波数での計測湿度H1が最小駆動周波数での計測湿度H2以上であると判断したときは(S6:NO)、換気ファン4の駆動回転数を中程度の値(実施形態では45Hz)に変更したのち(ステップS9)、高湿モード制御を実行する(ステップS10)。
低湿モード制御又は高湿モード制御の実行中、又はこれら制御の1サイクルが完了した後は、乾燥コントローラ7に内蔵されたクロックにて送風ファン24の回転駆動開始時からカウントしている計測時間TM1が設定時間TM0を経過したか否かを判別する(ステップS11)。実施形態の設定時間TM0は4時間に設定されている。
計測時間TM1が設定時間TM0未満であると判断したときは(S11:NO)、このまま待機するために再びステップS11に戻る。計測時間TM1が設定時間TM0以上であると判断したときは(S11:YES)、除湿乾燥制御の実行を再開するためにステップS1に戻る。すなわち、除湿乾燥制御の実行中は、設定時間TM0が経過するたびに低湿モード制御か高湿モード制御かの選択をするのである。
ステップS8の低湿モード制御は例えば図7に示す手順で実行される。すなわち、はじめに、温度センサ12の検出情報(制御情報)から得られた送風温度Tと、湿度センサ13の検出情報から得られた送風湿度Hと、目標とする籾の平衡水分Mとを読み込む(ステップS12)。温度センサ12は、湿度センサ13と同様に、各送風ダクト23に対して5個ずつあるので、送風温度Tとしては、各温度センサ12での計測温度の平均値を用いている。送風湿度Hも、各湿度センサ13での計測湿度の平均値である。低湿モード制御の実行中は、この読み込みが2分間隔で行われるように設定されている。
次いで、ステップS12で読み込まれた送風温度Tと、籾の平衡水分Mと、コントローラ7のROM27に予め記憶された関係式又は制御マップとから、目標とする雰囲気湿度h(目標湿度)を求め(ステップS13)、次いで、ステップS12で読み込まれた送風湿度Hから目標湿度hを引いた値が2%以上であるか否かを判別する(ステップS14)。
送風湿度Hから目標湿度hを引いた値が2%以上であると判断したときは(S14:YES)、未だ送風湿度Hが高くてコンテナ8内の籾の水分量が多い状態であるから、次いで、現在の換気ファン4の駆動周波数が最大駆動周波数(60Hz)であるか否かを判別する(ステップS15)。
現在の換気ファン4の駆動周波数が最大駆動周波数ではないと判断したときは(S15:NO)、換気ファン4の駆動周波数を適宜上昇させ(ステップS16)、低湿度である外気の単位時間当りの導入量を増やしてから、ステップS12に戻る。ステップS16において換気ファン4が停止中であれば、当該換気ファン4を最小駆動周波数(30Hz)で回転駆動させる。実施形態では、換気ファン4の駆動周波数の上昇幅が5Hzに設定されている。
現在の換気ファン4の駆動周波数が最大駆動周波数であると判断したときは(S15:YES)、これ以上、低湿度外気の単位時間当りの導入量を増やせないので、次いで、除湿機10が駆動中か否かを判別する(ステップS17)。
除湿機10が停止中であると判断したときは(S17:NO)、除湿機10を駆動させたのち(ステップS18)、換気ファン4の駆動回転数を中程度の値(45Hz)に変更して(ステップS19)、ステップS12に戻る。
除湿機10が駆動中であると判断したときは(S17:YES)、次いで、加温機11が駆動中か否かを判別する(ステップS20)。加温機11が停止中であると判断したときは(S20:NO)、加温機11を駆動させたのち(ステップS21)、換気ファン4の駆動回転数を中程度の値(45Hz)に変更して(ステップS22)、ステップS12に戻る。加温機11が駆動中であると判断したときは(S20:YES)、除湿機10及び加温機11が両方とも駆動中であるから、作業者の注意を喚起するために警報ブザー30を鳴動させ(ステップS23)、ステップS12に戻る。警報ブザー30の鳴動は、除湿機10及び加温機11とのうち少なくとも一方が停止するまで継続する設定になっている。
ステップS14に戻り、送風湿度Hから目標湿度hを引いた値が2%未満であると判断したときは(S14:NO)、次いで、目標湿度hから送風湿度を引いた値が2%以上であるか否かを判別する(ステップS24)。
目標湿度hから送風湿度Hを引いた値が2%未満であると判断したときは(S24:NO)、送風湿度Hは目標湿度hに近い値であるものの、コンテナ8内の籾の水分量を平衡水分M以下に確実に落ち着かせるために、ステップS12に戻って低湿モード制御を継続する。
目標湿度hから送風湿度Hを引いた値が2%以上であると判断したときは(S24:YES)、送風湿度Hが目標湿度hより低くてコンテナ8内の籾の水分量が平衡水分Mの値に近いとみなせるから、次いで、現在の換気ファン4の駆動周波数が最小駆動周波数(30Hz)であるか否かを判別する(ステップS25)。
現在の換気ファン4の駆動周波数が最小駆動周波数ではないと判断したときは(S25:NO)、換気ファン4の駆動周波数を適宜下降させ(ステップS26)、低湿度である外気の単位時間当りの導入量を減らしてから、ステップS12に戻る。実施形態では、換気ファン4の駆動周波数の下降幅も5Hzに設定されている。
現在の換気ファン4の駆動周波数が最小駆動周波数であると判断したときは(S25:YES)、これ以上、低湿度外気の単位時間当りの導入量を減らせないので、次いで、加温機11が停止中か否かを判別する(ステップS27)。
加温機11が駆動中であると判断したときは(S27:NO)、加温機11を停止させたのち(ステップS28)、換気ファン4の駆動回転数を中程度の値(45Hz)に変更して(ステップS29)、ステップS12に戻る。
加温機11が停止中であると判断したときは(S27:YES)、次いで、除湿機10が停止中か否かを判別する(ステップS30)。除湿機10が駆動中であると判断したときは(S30:NO)、除湿機10を停止させたのち(ステップS31)、換気ファン4の駆動回転数を中程度の値(45Hz)に変更して(ステップS32)、ステップS12に戻る。除湿機10が停止中であると判断したときは(S30:YES)、次いで、作業者の注意を喚起するために警報ブザー30を鳴動させてから(ステップS33)、換気ファン4及び送風ファン24も停止させ(ステップS34)、低湿モード制御の1サイクルを完了しリターンする。
ステップS10の高湿モード制御は例えば図8に示す手順で実行される。すなわち、はじめに、温度センサ12の検出情報から得られた送風温度Tと、湿度センサ13の検出情報から得られた送風湿度Hと、目標とする籾の平衡水分Mとを読み込む(ステップS35)。送風温度Tとしては、5個ある温度センサ12での計測温度の平均値を用いている。送風湿度Hも、各湿度センサ13での計測湿度の平均値である。高湿モード制御の実行中も、この読み込みが2分間隔で行われるように設定されている。
次いで、ステップS35で読み込まれた送風温度Tと、籾の平衡水分Mと、乾燥コントローラ7のROM27に予め記憶された関係式又は制御マップとから、目標とする雰囲気湿度h(目標湿度)を求める(ステップS36)。次いで、ステップS35で読み込まれた送風湿度Hから目標湿度hを引いた値が2%以上であるか否かを判別する(ステップS37)。
送風湿度Hから目標湿度hを引いた値が2%以上であると判断したときは(S37:YES)、未だ送風湿度Hが高くてコンテナ8内の籾の水分量が多い状態であるから、次いで、現在の換気ファン4の駆動周波数が最小駆動周波数(30Hz)であるか否かを判別する(ステップS38)。
現在の換気ファン4の駆動周波数が最小駆動周波数ではないと判断したときは(S38:NO)、換気ファン4の駆動周波数を適宜下降させ(ステップS39)、高湿度である外気の単位時間当りの導入量を増やしてから、ステップS35に戻る。ステップS39において換気ファン4が停止中であれば、当該換気ファン4を最高駆動周波数(60Hz)で回転駆動させる。実施形態では、換気ファン4の駆動周波数の下降幅が5Hzに設定されている。
現在の換気ファン4の駆動周波数が最小駆動周波数であると判断したときは(S38:YES)、これ以上、高湿度外気の単位時間当りの導入量を減らせないので、次いで、除湿機10が駆動中か否かを判別する(ステップS40)。
除湿機10が停止中であると判断したときは(S40:NO)、除湿機10を駆動させたのち(ステップS41)、換気ファン4の駆動回転数を中程度の値(45Hz)に変更して(ステップS42)、ステップS34に戻る。
除湿機10が駆動中であると判断したときは(S40:YES)、次いで、加温機11が駆動中か否かを判別する(ステップS43)。加温機11が停止中であると判断したときは(S43:NO)、加温機11を駆動させたのち(ステップS44)、換気ファン4の駆動回転数を中程度の値(45Hz)に変更して(ステップS45)、ステップS34に戻る。加温機11が駆動中であると判断したときは(S43:YES)、次いで、除湿機10又は加温機11が適宜時間(実施形態では10分間)以上駆動しているか否かを判別する(ステップS46)。除湿機10又は加温機11が適宜時間以上駆動していないときは、そのままステップS35に戻る。
除湿機10又は加温機11が適宜時間以上駆動しているときは、作業者の注意を喚起するために警報ブザー30を鳴動させ(ステップS47)、ステップS35に戻る。警報ブザー30の鳴動は、除湿機10及び加温機11とのうち少なくとも一方が停止するまで継続する設定になっている。
ステップS37に戻り、送風湿度Hから目標湿度hを引いた値が2%未満であると判断したときは(S37:NO)、次いで、目標湿度hから送風湿度を引いた値が2%以上であるか否かを判別する(ステップS48)。
目標湿度hから送風湿度Hを引いた値が2%未満であると判断したときは(S48:NO)、送風湿度Hは目標湿度hに近い値であるものの、コンテナ8内の籾の水分量を平衡水分M以下に確実に落ち着かせるために、ステップS35に戻って高湿モード制御を継続する。
目標湿度hから送風湿度Hを引いた値が2%以上であると判断したときは(S48:YES)、送風湿度Hが目標湿度hより低くてコンテナ8内の籾の水分量が平衡水分Mの値に近いとみなせるから、次いで、現在の換気ファン4の駆動周波数が最大駆動周波数(60Hz)であるか否かを判別する(ステップS49)。
現在の換気ファン4の駆動周波数が最大駆動周波数ではないと判断したときは(S49:NO)、コンテナ8内の籾の水分量が平衡水分M以下に落ち着くか否かを確認するために、換気ファン4の駆動周波数を適宜上昇させ(ステップS50)、高湿度である外気の単位時間当りの導入量を増やしてから、ステップS35に戻る。実施形態では、換気フ
ァン4の駆動周波数の上昇幅も5Hzに設定されている。
現在の換気ファン4の駆動周波数が最小駆動周波数であると判断したときは(S49:YES)、これ以上、高湿度外気の単位時間当りの導入量を増やせないので、次いで、加温機11が停止中か否かを判別する(ステップS51)。
加温機11が駆動中であると判断したときは(S51:NO)、加温機11を停止させたのち(ステップS52)、換気ファン4の駆動回転数を中程度の値(45Hz)に変更して(ステップS53)、ステップS35に戻る。
加温機11が停止中であると判断したときは(S51:YES)、次いで、除湿機10が停止中か否かを判別する(ステップS54)。除湿機10が駆動中であると判断したときは(S54:NO)、除湿機10を停止させたのち(ステップS55)、換気ファン4の駆動回転数を中程度の値(45Hz)に変更して(ステップS56)、ステップS35に戻る。除湿機10が停止中であると判断したときは(S54:YES)、次いで、作業者の注意を喚起するために警報ブザー30を鳴動させてから(ステップS57)、換気ファン4及び送風ファン24も停止させ(ステップS58)、高湿モード制御の1サイクルを完了しリターンする。
以上の制御によると、換気ファン4の駆動にて温室1内に取り込まれる外気の湿度を有効利用することによって、コンテナ8内の籾を乾燥処理できる(適切な水分量に調節できる)から、従来の熱風式のものに比べて、無駄な燃料の消費を効果的に防止できる。このため、除湿乾燥システム全体ではランニングコストが抑制され、極めて経済的である。もちろん、温室1による内部空気の昇温効果が籾の乾燥処理の高効率化に貢献していることはいうまでもない。
実施形態では、温室1内に取り込まれる外気の湿度が低い場合(低湿モード)において送風湿度Hが目標湿度hより高ければ、換気ファン4の駆動周波数(送風量)が増加し、送風湿度Hが目標湿度hより低ければ、換気ファン4の駆動周波数(送風量)が減少する。一方、外気の湿度が高い場合(高湿モード)において送風湿度Hが目標湿度hより高ければ、換気ファン4の駆動周波数(送風量)が減少し、送風湿度Hが目標湿度hより低ければ、換気ファン4の駆動周波数(送風量)が増加する。
このように、換気ファン4による外気の単位時間当りの導入量を、外気の湿度状況及び目標とする籾の水分量に応じて変更調節できるから、外気を利用した籾の除湿乾燥制御を効率よく適切に実行できる。
また、前述した通り、外気の湿度を利用して籾の除湿乾燥制御を実行するから、自然乾燥に極めて近い状態でコンテナ8内の籾を乾燥処理でき、過乾燥や胴割れ米等の発生を防止できる。このため、籾(米)の品質及び食味を良好な状態に維持できる。
しかも、低湿モードの実行中に送風湿度Hが目標湿度hより高く且つ換気ファン4の駆動周波数が最大駆動周波数(最大送風量)に達した場合(ステップS18及びS22参照)や、高湿モードの実行中に送風湿度Hが目標湿度hより低く且つ換気ファン4の駆動周波数が最小駆動周波数(最小送風量)に達した場合(ステップS41及びS44参照)に、除湿機10や加温機11を作動させるので、ランニングコストを抑制しつつも、乾燥性能を低下させることなく効率のよい籾の乾燥処理が行えるのである。
更に、実施形態では、温度センサ12の検出情報から得られた送風温度Tに基づいて、乾燥コントローラ7のROM27に予め記憶された関係式又は制御マップから適正な目標湿度hを取得できるから、乾燥処理したい穀物に関する関係式又は制御マップをROM27に予め記憶させておけば、種々の穀物についての除湿乾燥制御を効率よく円滑に実行できる。
実施形態では、コンテナ8、送風ユニット9、除湿機10及び加温機11が温室1内から取り外し可能になっているので、これらを不使用時に温室1内から撤去すれば、当該温室1を育苗や園芸栽培等の種々の用途に利用できる。従って、温室1を周年に亘って利用でき、その利用範囲が広がるという効果も奏する。
なお、実施形態は、除湿乾燥制御の実行中に、図9のフローチャートに示す高温防止制御を適宜時間間隔で割り込み実行する設定になっている。
この高温防止制御では、まず、ステップS12又はステップS35で読み込まれた送風温度Tが35℃より高いか否かを判別する(ステップS59)。送風温度Tが35℃以下であると判断したときは(S59:NO)、そのまま図6のステップS2に戻る。
送風温度Tが35℃より高いと判断したときは(S59:YES)、換気ファン4を最大駆動周波数(60Hz)で駆動させたのち(ステップS60)、作業者の注意を喚起するために警報ブザー30を鳴動させる(ステップS61)。この鳴動は、送風温度が30℃未満になって、図6のステップS2に戻るまで継続する設定になっている。
次いで、加温機11が駆動中か否かを判別する(ステップS62)。加温機11が停止中であると判断したときは(S62:NO)、後述するステップS64へ移行する。加温機11が駆動中であると判断したときは(S62:YES)、加温機11を停止させる(ステップS63)。
次いで、ステップS64において、再び温度センサ12の検出情報から得られた送風温度Tを読み込み、次いで、送風温度Tが30℃未満か否かを判別する(ステップS65)。送風温度Tが30℃以上であると判断したときは(S65:NO)、このまま待機するために再びステップS65に戻る。送風温度Tが30℃未満であると判断したときは(S65:YES)、高温防止制御を終了して図6のステップS2に戻る。
かかる制御により、籾(米)の品質及び食味をより良好な状態に維持でき、籾の乾燥処理に高い効果を発揮できるのである。
(5).その他
本願発明は、前述の実施形態に限らず、様々な態様に具体化できる。例えば運搬手段としては、フォークリフト32に限らず、温室1内に配置されたホイスト等でもよい。各コンテナ8に付される識別情報及び固有情報の内容や形式についても、前述の実施形態に限るものではない。
情報媒体としては、バーコード41,42に限らず、無線タグやICカードであってもよい。情報媒体が無線タグであれば、読み取り手段としてタグリーダを用いればよいし、情報媒体がICカードであれば、読み取り手段としてICカードリーダを採用すればよい。
その他、各部の構成は図示の実施形態に限定されるものではなく、本願発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変更が可能である。