以下、本発明の実施の形態を図面を参照しながら説明する。以降の説明においては、大まかに次の1〜5の主題に分けて説明する。
1.ディスクトレイの移動(ローディング/アンローディング)と連動するベースユニット、
2.ディスクトレイのロック機構、
3.ディスククランパ、
4.ディスクカートリッジの押さえ機構、
5.ディスクカートリッジのシャッタの開閉機構。
(1.ディスクトレイの移動と連動するベースユニット)
図1は、本発明の一実施の形態に係る記録媒体駆動装置として、光ディスクドライブ装置を示す斜視図である。
この光ディスクドライブ装置10は、光を利用してディスク状の記録媒体(以下、単にディスクという。)に信号を記録し、及び記録された信号を再生することのうち少なくとも一方を行う装置である。
ディスクとしては、CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)、BD(Blu-ray Disc(登録商標))、HD(High Definition)-DVD、近接場光を利用するディスク、ホログラムを利用するディスク、MO(Magneto Optical)、または、MD(Mini-Disk)が挙げられる。また、特にベアDVD、ベアBD、近接場光を利用するベアディスク、ホログラムを利用するベアディスク等は、カートリッジに収容される場合もあり、以下、これらのベアディスクのうち1つのディスクとカートリッジ本体とを含む構成をディスクカートリッジという。また、ディスクカートリッジに関しては、このディスクカートリッジ全体を記録媒体という。
記録媒体駆動装置としては、光ディスクドライブ装置に限られず、固体メモリでなる記録媒体を駆動する装置も考えられる。固体メモリとしては、例えば半導体メモリ、誘電体メモリ、または磁性体メモリ等の記録媒体が考えられる。
光ディスクドライブ装置10は、ドライブ本体100と、このドライブ本体100から引き出され、また、ドライブ本体100に引き込まれて収容される搬送体としてのディスクトレイ200とを備える。図2は、ディスクトレイ200がドライブ本体100から引き出された状態を示す斜視図である。図1に示すように、ドライブ本体100に対し、ディスクトレイ200が収容されたときのディスクトレイ200の位置を第1の位置とする。また、図2のように、ドライブ本体100に対し、ディスクトレイ200が引き出されたときのディスクトレイ200の位置を第2の位置とする。なお、ドライブ本体100は、図示しないカバーフレームにより覆われる場合が多い。
図2に示すように、ディスクトレイ200は、前端部に設けられたフロントプレート205と、ディスクを載置させる載置部210を有する。載置部210には、ピックアップ180等を搭載したベースユニット170(後述)がディスクにアクセスするための開口204が設けられている。
図3は、ディスクトレイ200の載置部210を説明するための断面図である。載置部210は、ディスクカートリッジ5を載置させて位置決めするための第1の凹部211と、直径12cmのディスクD2を載置させて位置決めするための第2の凹部212と、直径8cmのディスクD3を載置させて位置決めするための第3の凹部213とを有する。第1の凹部211が最も高い位置に設けられ、次に第2の凹部212、最も低い位置に第3の凹部213が設けられる。
ディスクカートリッジ5は、図4に示すような形態を有している。ディスクカートリッジ5は、円板状のディスクD1を収容するカートリッジ本体7を備えている。カートリッジ本体7内の裏面側(ディスクトレイ200の載置部210と対面する側)には、図示しないシャッタが設けられ、このシャッタが開くと、ディスクD1の信号記録面と、ディスクトレイ200の開口が対面する。これにより、上記ベースユニット170のピックアップ180がディスクD1の信号記録面に対してアクセス可能となる。
図1等に示すように、ドライブ本体100は、シャーシ110と、シャーシ110の上部に装着されるカバー板300を備える。図5は、カバー板300が外れた状態のシャーシ110及びローディング機構を示す平面図である。図5においては、説明を分かりやすくするため、ドライブ本体100からディスクトレイ200がほぼ外れた状態を示している。これ以降の説明では、図5で見て、上側を前方側、下側を後方側とする。図6は、図5の後方側から見た斜視図である(ディスクトレイ200及びベースユニット170は図示を省略している。)。
図7は、Y方向の水平線で切った断面を含むカバー板300の斜視図である。カバー板300には、ディスククランパ12を保持する保持板11が装着されている。保持板11は、Y方向に長く延びるように形成されており、保持板11の後方側の一端11aには装着バネ14が設けられている。保持板11と装着バネ14により板部材が構成される。保持板11は、この装着バネ14を介してカバー板300の後方側であって、X方向でほぼ中央に弾性的に装着されている。ディスククランパ12は、ディスクを固定する機能を有する記録媒体固定機構であり、保持板11の前方側の他端11bに保持されている。ディスククランパ12は、磁性材料で構成される。保持板11は、後方側の一端11aを支点として弾性的に可動する。これにより、ディスククランパ12は、後述するディスクテーブル171(図10参照)がディスククランパ12に近づくと、ディスクテーブル171に内蔵されたマグネットの磁気吸引力を受けてディスクテーブル171に引き寄せられる。このとき、ディスクテーブル171にディスクが支持されていれば、ディスクテーブル171とディスククランパ12との間でディスクが挟まれるようにして固定される。
シャーシ110の前方側の端部(前端)には、上記ディスクトレイ200が入出するため開口部113が設けられ、その開口部113には防塵部材114が装着される。防塵部材114は、ドライブ本体100内に塵や埃が進入することを防止するための部材であり、例えば弾性のあるスポンジやゴム等のクッション材料でなる。防塵部材114は、ドライブ本体100の開口部113に設けられる形態でなく、ディスクトレイ200のフロントプレート205に設けられていてもよい。あるいは、防塵部材114は、ドライブ本体100の開口部113及びフロントプレート205の両方に設けられていてもよい。
図5に示すように、開口部113付近には、ディスクトレイ200のローディング機構150が配置されている。ローディング機構150は、ディスクトレイ200をY1方向に排出させ、Y2方向に引き込む。シャーシ110のほぼ中央には開口115が設けられており、この開口115にベースユニット170が配置される。シャーシ110の前方側には、ローディング機構150に連動してベースユニット170を昇降移動させるベースユニット駆動機構130が配置されている。また、シャーシ110の側板116の一方であって、その前方側にはディスクカートリッジ5のシャッタ機構(図示を省略)を開閉するシャッタ開閉機構500(図6参照)が装着されている。なお、図5では、シャッタ開閉機構500は、省略している。
図5に示すように、ローディング機構150は、ローディングモータ151と、ローディングモータ151の出力軸に設けられた第1のプーリ153と、第1のプーリ153にベルト152を介して接続された第2のプーリ154と、第2のプーリ154と同軸で設けられたギア部155に噛み合うギア156と、ギア156と同軸で設けられたピニオン157とを有する。ローディングモータ151は、例えばDCモータでよいが、別のモータであってもよい。ローディング機構150を構成する各部材またはその配置等は、適宜設計の変更が可能である。
図8は、ディスクトレイ200の裏面側を示す平面図である。ディスクトレイ200の左右両端には、直線状に形成された直線溝209が設けられている。直線溝209は、シャーシ110に形成された複数のガイド突起117(図5参照)が嵌る溝であり、ディスクトレイ200がY方向に移動するときにガイド突起117に案内されつつ移動する。図8中、右側の直線溝209より開口204側には、上記ローディング機構150のピニオン157に接続されるラック208が形成されている。したがって、ローディングモータ151の駆動により、第1のプーリ153、第2のプーリ154及びギア156等を介してピニオン157が回転し、これによりディスクトレイ200がY方向に移動する。以降の説明では、ディスクトレイ200がドライブ本体100に引き込まれるY2方向のローディングモータ151の回転を正回転とし、その逆方向の回転を逆回転とする。
また、ディスクトレイ200の裏面側には、後述するリンク部材131(図5参照)の突起部135と係合するガイド溝230が形成されている。このガイド溝230は、Y方向に沿う直線部234と、直線部234の途中にある傾斜折れ部235と、前方側の端部に設けられ、直線部234に対して角度が付けられた傾斜部236とを有する。図9は、ガイド溝230の傾斜部236付近を拡大した斜視図である。このガイド溝230の傾斜部236があることにより、ディスクトレイ200の移動に応じて、その移動方向であるY方向に直交する方向(X方向)にリンク部材131が移動する。このようなディスクトレイ200のガイド溝230と、リンク部材131の突起部135とにより第1のカム構造が構成される。この第1のカム構造の作用については後述する。
図5及び図6を参照して、ベースユニット駆動機構130は、ベースユニット170を保持するホルダ140と、ホルダ140とディスクトレイ200との間に接続され、ディスクトレイ200の移動をホルダ140の昇降移動に変換するリンク部材131とを有する。ホルダ140は、例えば4角形状の3辺でなるフレーム状に構成されるが、このような形状に限られない。ベースユニット駆動機構130の詳細な説明については、後述する。
図10は、ベースユニット170の一部を示す斜視図である。図11は、ホルダ140に保持されたベースユニット170の一部を示す斜視図である。図5、図10、図11を参照して、ベースユニット170は、ベースフレーム178と、ベースフレーム178の所定の位置に装着されたダンパ179と、ベースフレーム178内で前方側に配置されたディスクテーブル171と、ディスクテーブルを回転駆動するスピンドルモータ172と、レーザ光をディスクに照射し、その反射光により信号を読み取るピックアップ180と、ピックアップ180をディスクの径方向(図5のY方向)に移動させるスレッド機構185(図5参照)とを備える。ディスクテーブル171は、ディスクを下方から支持する支持部材として機能する。
スレッド機構185は、ベースフレーム178に装着されたスレッドモータ177(図5参照)と、スレッドモータ177の出力軸に接続されたボールネジ181と、対物レンズ176を有するアクチュエータ175を搭載した移動ベース174と、ボールネジ181と移動ベース174との間に接続された接続部材189と、移動ベース174をY方向に移動させるときのガイドとなるガイド軸173とを有する。
なお、ベースユニット170の各部材の構成は、図10、図11に示すような構成に限られず、公知の構成でよいし、あるいは別の構成であってもよい。
図11に示すように、上記ダンパ179は、例えばベースフレーム178の角部の4箇所に設置されており、ベースフレーム178の前方側は、2つのダンパ179を介してホルダ140の2つの装着部142(図5、図11参照)にそれぞれ装着されている。ベースフレーム178の後方側の2つのダンパ(図示せず)は、シャーシ110に設けられた装着部112にそれぞれ装着されている。ホルダ140は、後方側の左右両側に回動軸141を有し、ベースユニット駆動機構130の駆動により、回動軸141を中心に回動可能となっている。ホルダ140が回動することで、図12(A)及び図12(B)に示すように、ディスクテーブル171がディスクトレイ200に近づいたり(A2方向)、遠ざかったり(A1方向)するようにベースユニット170が昇降する。すなわち、ベースユニット170が、後方側の2つのダンパを結ぶ直線を中心軸として回動する。図12(B)に示す状態にいて、ディスクテーブル171によりディスクが支持される。なお、図6は、図12(A)におけるホルダ140の状態に対応している。
図13(A)及び図13(B)は、図12(A)及び図12(B)にそれぞれ対応する図であり、ディスクトレイ200の裏側から見た斜視図である。
また、図11〜図13に示すように、ホルダ140の前方側には前方に向けて突出する係合突起143を有する。係合突起143は、例えば水平方向(X方向)に並んで2つ設けられているが、1つでもよいし、3つ以上あってもよい。係合突起143は、後述するリンク部材131に設けられた係合溝136(図15も参照)に係合する。
図14は、ディスクトレイ200の裏側から見た、ベースユニット170を示す斜視図である。図14は、ホルダ140が上昇した位置にある状態を示している。図15は、ベースユニット170のリンク部材131を示す背面図である。図14に示すように、ベースユニット駆動機構130のリンク部材131は、ディスクトレイ200が移動する面(X−Y平面)に実質的に平行な水平板131aと、それに垂直方向でX−Z平面に実質的に平行な垂直板131bとを有する。つまり、図15のA−A線断面のリンク部材131の形状は、ほぼL字状でなる。
図5及び図14を参照して、リンク部材131の水平板131aは、U字部133と、U字部133の近傍に配置され、ディスクトレイ200のガイド溝230(図9参照)に係合する突起部135と、このU字部133の一部に形成され、上記ピニオン157が係合可能なラック部(接続機構)134と、シャーシ110に設けられたフランジ111に係合するガイドレール132とを有する。ガイドレール132は、例えば水平板131aの裏面側または内部に設けられている。フランジ111は、例えばシャーシ110に一体的に2つ設けられており、これら2つのフランジ111に対応してガイドレール132も2つ設けられている。上記第1のカム構造により、ローディングモータ151の正回転によるピニオン157の回転に連動するように、リンク部材131は、ガイドレール132に沿って水平右方向(X2方向)に移動する。また、上記第1のカム構造により、ローディングモータ151の逆回転によるピニオン157の回転に連動して、リンク部材131は水平左方向(X1方向)にガイドレール132に沿って移動する。
ここで、リンク部材131の、ピニオン157に係合するラック部134は必ずしも必要ではない。ラック部134がなくても、上記のように第1のカム構造により、ディスクトレイ200に連動するからである。しかし、ラック部134があることにより、リンク部材131は、ローディングモータ151の駆動力の一部を得て移動することができる。これにより、リンク部材131とディスクトレイ200との接続部分の剛性等が弱い構造であっても、確実にリンク部材131を動かすことができる。
図15に示すように、リンク部材131の垂直板131bは係合溝136を有する。係合溝は136、両端の水平部(上部水平部136a及び下部水平部136b)と、これらの間の傾斜部136cとを有する。係合溝136には、上記したように、ホルダ140の係合突起143が係合し、つまり、係合溝136及び係合突起143により第2のカム構造が構成される。この第2のカム構造により、リンク部材131に連動するホルダ140の昇降移動が可能となる。
このように、上記第1及び第2のカム構造により、ディスクトレイ200の所定の区間の移動に応じて、ベースユニット170が上記のように昇降移動する。
ここで、図9に示したガイド溝230の傾斜部236について詳しく説明する。傾斜部236は、ディスクトレイ200の移動方向であるY方向に対して第1の角度で形成された、ベースユニット170を移動させるための第1の部分231と、Y方向に対して第1の角度より急な第2の角度で形成された、防塵部材114(図5参照)を押圧しながらディスクトレイ200を最後の位置まで収容する第2の部分232とを有する。また、傾斜部236は、Y方向に対し、第1の角度より急で、かつ、第2の角度より緩やかな第3の角度で形成された第3の部分233を有する。
これら、第1〜第3の角度は、ディスクトレイ200の移動量を決定するパラメータであり、適宜設定可能である。
次に、ディスクのローディング動作について説明する。アンローディング動作については、ローディング動作時の各部の動きの順番が逆になる。
まず、図16〜図19を参照して、ローディング動作について説明する。今、ドライブ本体100からディスクトレイ200が引き出され、図2に示すようにディスクトレイ200が第2の位置にあるとする。図16及び図17では、説明をわかりやすくするため、ディスクトレイ200に対してリンク部材131が移動していく様子を示しているが、もちろん実際にはディスクトレイが移動する。
図16において、リンク部材131の位置[1]は、ディスクトレイ200が第2の位置にあるときの状態を示す模式図である。上記ディスクトレイ200とガイド溝230とリンク部材131の突起部135とで構成される第1のカム構造は、ディスクトレイ200が第2の位置にあるとき、リンク部材131が図20に示すように左側に位置するように、設定されている。
ディスクトレイ200にディスクが載置され、図示しないローディングボタン等が押されると、ローディングモータ151は正回転の駆動を開始する。ローディングモータ151の駆動によりピニオン157が回転すると、ディスクトレイ200のラック208により、ディスクトレイ200は、Y2方向の直線移動を開始する。このときのリンク部材131のラック部134は、ピニオン157に係合していない状態にある。
図18は、ローディング動作において、リンク部材131の垂直板の係合溝におけるホルダ140の係合突起143の位置を示した図である。図16の位置[1]では、係合突起143は、下部水平部136bの端部の位置143Aにある。したがってこのとき、ホルダ140、つまり、ベースユニット170は最下部に位置している(図12(A)で示す状態)。
位置[1]にある状態から、ローディングモータ151の正回転の駆動がさらに続き、ディスクトレイ200がY2方向にさらに移動すると、ディスクトレイ200のガイド溝230の傾斜折れ部235により、リンク部材131は多少右側に移動する(図16の位置[2])。これにより、リンク部材131のラック部134とピニオン157との係合が開始される。このとき、図18に示すように、係合突起143は、下部水平部136bの端部からやや離れた位置143Bにあるが、傾斜部136cにはない。したがって、ベースユニット170は、未だ最下部の位置にある。
ローディングモータ151の正回転の駆動がさらに続くと、ピニオン157及びディスクトレイ200のラック208の関係より、ディスクトレイ200がY2方向に移動する。また、リンク部材131の突起部135は、直線状のガイド溝230に位置する。このとき、係合突起143は、位置143Bと変わらず、ベースユニット170は、未だ最下部の位置にある。つまり、位置[2]と位置[3]では、リンク部材131の位置は変わらない。
ローディングモータ151の正回転の駆動がさらに続き、ディスクトレイ200がY2方向にさらに移動し、突起部135がガイド溝230の第3の部分233に位置する。そうすると、リンク部材131はさらにX2方向(図20参照)に移動する(図16の位置[4])。リンク部材131が移動すると、図18に示すように、係合突起143は傾斜部136cの下部の位置143Cにあり、傾斜部136cを上昇し始める。すなわち、ベースユニット170が上昇し始める。
ローディングモータ151の正回転の駆動がさらに続き、ディスクトレイ200がY2方向にさらに移動し、図17に示すように、突起部135が第1の部分231に位置する。突起部135が、この第1の部分231の最初の端部付近の位置(リンク部材131の位置[5])にあるときに、例えばディスクトレイ200に載置されたディスクが8cmのベアディスクであれば、その8cmベアディスクD3の中心をディスクテーブル171がすくい上げて支持する(図19(A)参照)。このときのディスクトレイ200の位置を第3の位置とする。このときの係合突起143は、図18に示すように、位置143Dになる。8cmのベアディスクD3はディスクトレイ200の載置部210において最も低い第3の凹部213に載置されることは、先に述べた。
リンク部材131が位置[5]にある状態から、さらにローディングモータ151の正回転の駆動がさらに続き、ディスクトレイ200がY2方向にさらにわずかに移動し、リンク部材131が位置[6]に位置する。すなわち、突起部135が、ガイド溝230の第1の部分231の例えば中央付近当たりに位置したときに、係合突起143は図18の位置143Eに示す高さに位置することで、ディスクテーブル171が12cmのベアディスクD2の中心をすくい上げて支持する(図19(B)参照)。12cmのベアディスクD2はディスクトレイ200の載置部において第2の凹部212に載置されることは、先に述べた。
リンク部材131が位置[6]にある状態から、さらにローディングモータ151の正回転の駆動がさらに続き、ディスクトレイ200がY2方向にさらにわずかに移動して第1の位置に位置する。このとき、リンク部材131が位置[7]に位置する。すなわち、突起部135が、ガイド溝230の第1の部分231の例えば最後の端部付近に位置したときに、係合突起143は図18の位置143Fに示す高さに位置することで、ディスクテーブル171がディスクカートリッジ5に収容されたディスクD1の中心をすくい上げて支持する(図19(C)参照)。この第1の位置において、ディスクトレイ200はドライブ本体100内にほぼ収容されている。ディスクカートリッジ5のディスクD1は、ディスクトレイ200の載置部210において最も高い第1の凹部211に載置されることは、先に述べた。ベースユニット170は、この高さ位置がほぼ最高の高さとなる(図12(B)に示す状態)。
そして、リンク部材131が位置[7]にある状態から、さらにローディングモータ151の正回転の駆動がさらに続き、ディスクトレイ200がY2方向にさらに移動する。リンク部材131が位置[8]する。例えば、突起部135が、ガイド溝230の第2の部分232に位置しながら、該第2の部分232の端部まで移動する間に、ディスクトレイ200が、弾性の反発力のある防塵部材114を押圧しながら、ディスクトレイ200をドライブ本体100内に引き込み、収容する。このとき、係合突起143は、図18における上部水平部136aの位置143Gに位置し、このときのベースユニット170の高さ位置は、係合突起143が位置143Eにあるとき(図12(B)に示す状態)とほぼ変わらないか、または、わずかに変わる程度である。極力少ない動力で防塵部材114を押圧して第1の位置にディスクトレイ200を位置させるために、第2の部分232が第1の部分231より急角度とされている。
ここで、上記第1の位置とは、ディスクテーブル171が、ディスクトレイ200に最も高い位置に載置されたディスクカートリッジ5のディスクを支持することができるディスクトレイ200の位置(リンク部材131の位置が位置[7]にあるとき)であり、ディスクトレイ200がドライブ本体100にほぼ最後まで引き込まれた状態にある当該ディスクトレイ200の位置である。したがって、第1の位置とは、ディスクトレイ200に完全に最後まで引き込まれた位置である必要はない。
なお、ディスクトレイ200のガイド溝230の第2の部分232がない場合も考えられる。この場合、第1の位置が、ディスクトレイ200のドライブ本体100内への引き込みの完了位置となる。
アンローディング時には、ローディングモータの逆回転により、ピニオン157がローディング時とは逆回転する。ピニオン157とディスクトレイ200のラック208との係合の作用により、ディスクトレイ200は、Y1方向へ移動し始める。また、ピニオン157がローディング時とは逆回転することにより、また、リンク部材131の突起部135とディスクトレイ200とガイド溝230の傾斜部236との係合の作用により、リンク部材131がX1方向に移動する。リンク部材131がX1方向に移動すると、ホルダ140が下降し、ベースユニット170が下降する。これにより、ディスクテーブル171からディスクが解放され、ディスクトレイ200上にディスクが載置される。
引き続きローディングモータが逆回転すると、リンク部材131の突起部135は、ガイド溝230の直線部234を移動するようになり、リンク部材131は静止状態となる。しかし、その間も、ピニオン157とラック208との係合作用により、ディスクトレイ200は、さらにY1方向へ移動する。ディスクトレイ200が第2の位置までドライブ本体100から引き出された時点でアンローディング動作が終了する。
以上のように、本実施の形態では、ベースユニット170が昇降するとき、図21に示すように後方側の端部を軸170a(実際には図示しないダンパ)として回動する。したがって、ベースユニット170の前方側に配置されたディスクテーブル171は円弧を描くように移動する。しかも、各種の大きさのディスクについて、ディスクトレイ200に載置される高さ位置がそれぞれ異なる。しかし、本実施の形態では、リンク部材131の突起部135が、ディスクトレイ200のガイド溝230の第1の部分231を移動することで、この円弧状の移動に合わせるように、ディスクトレイ200もY2方向に移動する(図19(A)〜図19(C)参照)。つまり、ディスクトレイ200の位置に応じてベースユニット170は回動するので、異なる大きさのディスクD2、D3や、ディスクカートリッジ5のディスクD1を適切な位置で確実にチャッキングすることができる。
本実施の形態では、ベースユニット駆動機構130は、リンク部材131がディスクトレイ200に直接接続されており、このリンク部材131及びホルダ140によりベースユニット170が回動する構造である。したがって、従来に比べ部品数を削減することができる。部品数が減ることにより、ベースユニット駆動機構130の動きの剛性が高まるとともに、製造誤差が減るので、さらに高精度なチャッキングが可能になる。
なお、ベースユニット170とホルダ140とが別体ではなく、一体であってもかまわない。その場合、ベースユニット170の一部(例えば、ベースフレームの一部)に係合突起143が設けられていればよい。
本実施の形態では、リンク部材131は、上記特許文献1のピニオンレバーやカムレバーのような回動する部材ではなく、直線移動する。したがって、その回動のために要するスペースを小さくすることができる。
次に、本発明の他の実施の形態に係るベースユニット駆動機構130及びディスクトレイ200について説明する。図22は、そのベースユニット駆動機構130のリンク部材の背面図である。この図22は、上記実施の形態における図15に対応する図である。図23は、図22に示すリンク部材31に対応するディスクトレイのガイド溝の端部の傾斜部付近の拡大図である。この図23は、上記実施の形態における図9に対応する図である。図1〜図21に示した実施の形態に係る光ディスクドライブ装置の部材や機能等について同様のものは説明を簡略または省略し、異なる点を中心に説明する。
図22に示すように、リンク部材31の垂直板31bが有する係合溝36は、上部水平部36a、下部水平部36b及び傾斜部36cを有する。傾斜部36cは、上部水平部36a及び下部水平部36bに対して、緩やかな角度を持つ第1の部分36c−1と、それより急な角度を持つ第2の部分36c−2とを有する。
図23に示すように、ディスクトレイ600のガイド溝630は、直線部634に対して2つの角度を持つ部分632及び633で構成される。この2つの部分632及び633は、図9で示した第2の部分232及び第3の部分233に相当し、本実施の形態に係るディスクトレイ600では、図9に示した第1の部分231はない。当該第1の部分がないことにより、ディスクトレイ600のある所定の移動量に対するリンク部材31の移動量が少なくなる。しかし、リンク部材31の少ない移動量でもベースユニット170の移動量を増加させるために(上記実施の形態と同じに保つために)、図22に示すように部分632が直線部634に対して急角度とされている。なお、リンク部材31の総移動量は、上記実施の形態の場合と実質的に同じであるので、図23に示すように、ガイド溝630の傾斜部のX方向の長さd1は、図8に示すX方向の長さd1と同じである。
リンク部材31の係合溝36に係合する係合突起143の各位置143A〜143Gの高さは、図18に示した係合突起の各位置143A〜143Gの高さに相当する。特に、係合溝36の急な角度を持つ第2の部分36c−2では、8cmベアディスクD3、12cmベアディスクD2及びディスクカートリッジ5をそれぞれ適切な位置で確実にチャッキングすることができる。
(2.ディスクトレイのロック機構)
上記実施の形態で説明した図13に示すように、ベースユニット170のホルダ140は、上昇時にディスクトレイ200に係合する係合部として、第1の突起(右側)144a及び第2の突起144bを角部に有する。ディスクトレイ200には、第1の突起144a及び第2の突起144bがそれぞれ嵌るように当接する第1の当接部212a及び第2の当接部212bが形成されている。図11(A)に示すように、ホルダ140の下降時(ディスクの非クランプ時)には第1及び第2の突起144a及び144bが、第1及び第2の当接部212a及び212bに当接していない。しかし、図11(B)に示すように、ホルダ140が上昇してディスクがクランプされた時には、第1及び第2の突起144a及び144bは第2の当接部212a及び212bに嵌り込んで当接する。これにより、ディスクトレイ200とホルダ140とがロックされるようになっている。つまり、ディスクトレイ200とベースユニット170とがロックされる。図24は、第1の突起144a及び第1の当接部212a付近を拡大して示した斜視図である。
このように、ベースユニット170とディスクトレイ200とがロックされるので、ベースユニット170に対してディスクトレイ200が静止した状態となり、高精度にディスクトレイ200を位置決めすることができる。ディスクカートリッジ5のカートリッジ本体7(図4参照)は、ディスクトレイ200に設けられた図示しない固定機構によりほぼ固定される。固定機構とは、例えば、ディスクトレイ200上に設けられた突起等の係合部237(図3参照)である。したがって、本実施の形態によれば、例えばディスクトレイ200に載置されたディスクカートリッジ5もベースユニット170に対して静止状態となり、ディスクカートリッジ5の内面にディスクD1が接触するといったことも起こらない。さらに、高速で記録媒体が回転したときにディスクトレイ200が振動することを防止することができる。
本実施の形態では、ローディング機構によるディスクトレイ200の移動に応じたベースユニット170の動きを利用してディスクトレイ200をロックすることができる。したがって、ロックするための別途の駆動源を必要とせず、部品数を削減することができる。部品数が減ることにより、ロック機構の動きの剛性が高まるとともに、製造誤差が減るので、さらに高精度なロック効果が発揮される。
また、本実施の形態では、ベースユニット170がホルダ140を介して実質的に直接ディスクトレイ200をロックするので、さらに高精度にロックすることができる。
なお、このロック機構に関しても、上記したベースユニット駆動機構130と同様に、ベースユニット170とホルダ140とが別体ではなく、一体であってもかまわない。
図25は、第1の突起144a及び第1の当接部212a付近の模式的な断面図である。第1の突起144aは、前方側及び後方側に、ディスクトレイ200に面するように形成された斜面145及び146をそれぞれ有する。前方側の斜面146は特になくてもよい。後方側の斜面145は、図25に示すようにホルダ140が上昇して来て、第1の突起144aが、第1の当接部212aの凹部に嵌りやすくして確実にロックするために形成されている。特に、それぞれの垂直壁部同士が当接すればよい。また、同じ理由により、第1の当接部212aの後方側の側壁にも斜面215が形成されている。なお、第2の突起144bも図25に示した構成と同様の構成を有していればよい。
図26は、図25におけるB−B線断面図である。ディスクトレイ200の第1の当接部212aには、凸部214が設けられている(図24も参照)。第2の当接部212bにはそのような凸部は設けられていない。これにより、第1及び第2の当接部212a及び212bの深さの製造誤差、または、第1及び第2の高さの製造誤差があっても、凸部214に第1の突起144aが当接し、それらの誤差を吸収することができる。
もちろん、凸部214は、第1の当接部212aではなく、第2の当接部212bに設けられていてもよい。あるいは、第1の当接部212aに、第1の高さの凸部が設けられ、第2の当接部に、第1の高さとは異なる第2の高さの第2の凸部が設けられていてもよい。
図27は、ホルダ140に設けられた突起の位置の変形例を示す模式的な平面図である。この例では、ホルダ240の角部でなくてもよく、角部より互いに近づいた位置に突起244が配置されている。図27のように(上記ホルダ140もそうであるが)、ホルダ140の移動量が最も大きい前方側の端部に突起が配置されることで、確実にロックすることができる。
図28は、突起の位置のさらに別の形態を示す模式的な平面図である。この例では、ホルダ250の両側の2辺にそれぞれ突起254が配置されている。また、突起254は、ディスクテーブル171とX方向で並ぶように配置されている。これにより、最も振動が発生しやすいディスクテーブル171の位置での、ディスクトレイ200とベースユニット170の剛性が高められる。
これまでの説明では、ホルダ140、240、250の突起2つ設けられる構成を示したが、突起が1つ、当接部が1つ設けられる構成であってもよい。あるいは、突起及び当接部がそれぞれ3個以上であってもよい。
(3.ディスククランパ)
図7に示すように、上述したディスククランパ12は、保持板11の上部に配置される上部板42と、この上部板42と一体的に回転するように上部板42が固定されたクランプ板52とを有する。図29は、そのクランプ板を下から見た斜視図である。図30は、ディスクがクランプ板52とディスクテーブル171とに挟まれて固定された状態を示す断面図である。なお、図10では、保持板11の図示を省略してディスククランパ12を図示した。
ディスクテーブル171は、図30に示すように、ディスクDの中心に設けられた穴59に嵌合する突起体171aを有する。クランプ板52は、ディスクテーブル171との間でディスクDを挟むためのクランプ面52cを有する。クランプ板52は、その中央には凹部52bを有し、この凹部52bに弾性体としての爪片52aが形成されている。このように爪片52aが、クランプ板52と一体に設けられていることにより、つまり、一体成型によって、クランプ板52に別体の弾性体が設けられる場合に比べ、部品数が減り、コストを抑えることができる。しかし、別体のバネやゴム等の弾性体が凹部52bに設けられていてもよい。
図31は、ディスクトレイ200にディスクDが載置されない状態で、ディスクトレイ200がドライブ本体100内に収容され、ディスクテーブル171とクランプ板52とが吸着した状態を示す断面図である。この場合、ディスクテーブル171に設けられた図示しないマグネットによる吸引力により、ディスクテーブル171とクランプ板52が吸着する。突起体171aは、凹部52b内に嵌るが、爪片52aがクッションの機能を果たし、吸着時の騒音が抑制される。
また、本実施の形態では、ディスククランパ12とディスクテーブル171とが離れるときに、マグネットの磁気吸引力に抗して離れる。この場合、爪片52aの弾性変形力(弾性体の戻り力)により、その磁気吸引力が緩和される。したがって、ディスククランパ12とディスクテーブル171とが離れるときの力を低減することができ、省エネルギー化に寄与する。また、この力の低減により、ディスククランパ12と支持部材とが離れるときの騒音も抑えることができる。光ディスクドライブ装置10内にディスクDがない状態は多々あることなので、本実施の形態による効果は大きい。
また、爪片52aの形状、個数、または配置等を適宜変えることにより、ディスクDのクランプ力(チャッキング力)を調整することができる。これにより、マグネットの磁気吸引力を調整する必要がなくなる。
一方、図30に示すように、ディスクDがクランプされる場合、爪片52aは突起体171aに対して実質的な弾性変形力(弾性反発力)を与えない程度に、突起体171aと爪片52aとが接触し、または近づく。これにより、ディスクDがディスククランパ12により固定されるときの余分な力を減らすことができる。
なお、本実施の形態では、ディスクテーブル171にマグネットが内蔵される形態を示した。しかし、ディスククランパ12にマグネットが設けられる形態も考えられる。あるいは両者にマグネットが設けられていてもよい。
図32は、本発明者が、ディスクDがない場合のクランプ力及び各種の厚さのディスクDをディスククランパ12がクランプ力(単位:N)(チャッキング力)を実測したときの表である。図32(A)はディスクなし、図32(B)は厚さ1.2mmのディスク、図32(C)は厚さ1.5mmのディスクを示す。実験は、ディスクなし及び2種のディスクについて、それぞれ3回ずつ行われた。測定ポイントは、ディスクテーブル171の円周方向の4点(0°、90°、180°、270°)である。図33は、図32を表すグラフである。
図34(A)〜図34(C)は、図32(A)〜図32(C)にそれぞれ対応する、爪片52aのない従来のクランパによるクランプ力を示す表である。なお、この従来のクランパによる実験では、ディスクなし、1.2mmのディスク、1.5mmのディスクのそれぞれについて4機のディスクテーブル171について行われた。図35は、図33を表すグラフである。
図33及び図35を比較すると、本発明の実施形態に係るディスククランパ12があることで、ディスクなしのときに、ディスククランパ12とディスクテーブル171とが離れるときの力を低減することができる、という効果が大きいことが分かる。
(4.ディスクカートリッジの押さえ機構)
図36は、上記カバー板300と押圧部材400とを分解して示した斜視図である。ただし、図36において、ディスククランパ12及びこれを保持する保持板11等は図示を省略している。
押圧部材400は、ディスクカートリッジ5のカートリッジ本体7を押圧する部材である。押圧部材400は、ベース部401、このベース部401に設けられた押圧バー402及び係合バー403を有する。押圧バー402は、ベース部401から、前方側及び後方側にそれぞれ2本ずつ延びるように設けられている。ベース部401と押圧バー402とにより、平面で見てほぼH字形状をなす。係合バーは、ベース部401から後方側に2本延びるように設けられている。
図37は、図36で示す破線Cで囲まれる部分を拡大して示す斜視図である。ベース部401の側面には、カバー板300と係合する係合溝405が形成されている(第1の係合機構、または、係合部)。係合溝405は、片面に2つ設けられ、X方向で反対側の側面にも2つ設けられている。係合溝405は、後方側(Y2側)から前方側(Y1側)に向かうにしたがって、徐々に上方に向かうように斜めに形成されている。
なお、図1に示すように、押圧部材400の押圧バー402の上部には、金属製板バネ406が装着されている。しかし、金属製板バネ406は必ずしも必要でなく、押圧バー自身にバネ力を持たせればよい。
カバー板300は、押圧部材400の4つの押圧バー402がそれぞれ嵌る溝302を有し、ベース部が嵌る場所に凹部301が設けられている。また、カバー板300は、押圧部材400の2本の係合バー403がそれぞれ嵌る溝303を有する。押圧バー402等が溝302等に嵌るとはいっても、押圧部材400は、後述するようにY方向及びZ方向に移動可能な状態で嵌められる。このように、押圧部材400が板状に形成され、押圧部材400とカバー板300とが1枚の板状となるように構成される。これにより、カバー板300の薄型化、ひいてはドライブ本体100の薄型化を実現することができる。
図38は、図36における破線Dで囲まれる部分を拡大して示す斜視図である。図38に示すように、カバー板300は、上記開口付近に、ベース部401の側面に形成された上記係合溝405に係合する係合突起305を有する。押圧部材400は、係合溝405が係合突起305に係合することで、カバー板300に対する位置決めがなされる。この係合溝405及び係合突起305で構成される第3のカム構造により、押圧部材400はカバー板300に対し、Y方向に移動しながら、上下方向(Z方向)にも移動する。
図1に示すように、カバー板300の前方側の端部と、押圧部材400の前方側との間には、コイルバネ407が接続されている。図2に示したように、ディスクトレイ200が引き出された状態において、コイルバネ407は平衡状態を保っている状態、つまり、伸縮していない状態にある。なお、コイルバネ407の代わりに、板バネ等、別のバネが用いられてもよい。
図39は、押圧部材400の係合バー403とディスクトレイ200との係合部分を示す斜視図である。係合バー403は、その先端部において、その係合バー403が延びる方向と直交する方向に突出するフック部404を有している(第2の係合機構)。ディスクトレイ200の移動時に、このフック部404が、ディスクトレイ200の表面から突出する突出部261に当接して係合するようになっている。突出部261は、図12も示すように、ディスクトレイ200が載置される第1の凹部211より後方側でX方向に並んで配置されている。図40は、図39においてFの方向から見た、フック部404と突出部261との係合の様子を示す模式的な断面図である。
図36に示すように、押圧部材400は、例えば2本の係合バー403の間に形成された、ディスククランパ12を保持する保持板11の動きを規制する規制板(規制部)408を有する。
図41は、カバー板300及び押圧部材400等の断面図である。この図41は、図2に示すように、ディスクトレイ200がドライブ本体100から引き出された第2の位置にあるときの図である。図43(A)は、図41に示した破線Gで囲まれる部分を拡大した図である。図41に示すように、保持板11の一端は、上記したように装着バネ14を介してカバー板300に装着されている。押圧部材400の規制板408は、保持板11の下に潜るように配置され、規制板408が保持板11の裏面にほぼ接触している状態にある。したがって、この状態では、保持板11のこれ以上の下方への移動が規制板408により規制される。
図42は、ディスクトレイ200がドライブ本体100内に引き込まれるときに、押圧部材400がディスクカートリッジ5を押圧するときの動作を順に示す図である。なお、図41では、説明を分かりやすくするため、ドライブ本体100すべてを図示せず、カバー板300や押圧部材400等を図示している。
図42(A)に示すように、ディスクトレイ200がドライブ本体100から引き出された状態(第2の位置)では、コイルバネ407によって、押圧部材400は初期位置に待機している。図44は、このときのディスクトレイ200と押圧部材400との関係を示す斜視図である。また、図42(A)に示す状態では、上述したように、規制板408が保持板11の裏面にほぼ接触している状態にあり、保持板11の動きが規制されている(図43(A)参照)。
図42(B)に示すように、ローディング機構150(図5参照)によりY2方向にディスクトレイ200がドライブ本体100内に引き込まれ、所定の距離だけ移動すると、ディスクトレイ200の突出部261とフック部404とが係合を開始する。ディスクトレイ200の突出部261とフック部404とが係合を開始するときのディスクトレイ200の位置を「所定の位置」とする。係合が開始された時点では、押圧部材400の押圧バー402は未だカートリッジ本体7には接触していない。
上記所定の位置から、ローディング機構150によりさらにY2方向にディスクトレイ200がドライブ本体100内に引き込まれる。そうすると、図42(C)に示すように、カバー板300の係合突起305と押圧部材400の係合溝405とで構成される第3のカム構造により、押圧部材400がY2方向に移動しながら、徐々に下降する。図45は、このときのディスクトレイ200と押圧部材400との関係を示す斜視図である。この間、カートリッジ本体7は徐々に押圧部材400により圧力を受け、ディスクトレイ200がドライブ本体100内に収容される第1の位置において押圧部材400は下降をほぼ停止する。
また、このように押圧部材400は後方側へ移動しながら下降するので、図43(B)に示すように、規制板408も後方側へ移動しながら下降する。これにより、保持板11が下方へ移動可能となり、ディスククランパ12(図43(A)参照。図43(B)ではディスククランパ12を省略。)にディスクテーブル171が近づき、ディスクがチャッキングされる。つまり、図42(A)の状態から、図42(B)の状態までは、規制板408により保持板11の動きが規制される。したがって、例えばディスクトレイ200にディスクカートリッジ5が載置されてディスクトレイ200がドライブ本体100内に引き込まれたり、ドライブ本体100から引き出されたりするときに、ディスクカートリッジ5とディスククランパ12とが接触したりすることを防止することができる。
以上のように、本実施の形態では、押圧部材400によりカートリッジ本体7に徐々に力が加えられるように押圧されるので、ディスクカートリッジ5にダメージを与えることはない。
本実施の形態では、押圧部材400がドライブ本体100とディスクトレイ200に直接接続される構成であるので、部品数を減らすことができる。典型的には、押圧部材400は、一体的な1つの部品でよい。このように部品数が減ることで、押圧部材400及びディスクトレイ200の動きの剛性が高まるとともに、製造誤差を少なくすることができる。
本実施の形態に係る押圧部材400では、複数の係合溝405が、押圧バー402の間のベース部401に設けられることにより、カバー板300に対して押圧部材400が動くときの当該押圧部材400の剛性が高められる。
(5.ディスクカートリッジのシャッタの開閉機構)
図46は、上記したシャッタ開閉機構500を示す、下からの斜視図である。図47は、シャッタ開閉機構500の裏面側から見た斜視図である。
シャッタ開閉機構500は、ディスクカートリッジ5が備える図示しないシャッタ機構に係合して、当該シャッタを開閉する機構である。ディスクカートリッジ5のシャッタ機構については、特開2006−294186号公報に詳しく説明されている。
本実施の形態に係るシャッタ開閉機構500は、表面502及び裏面503を有するベース板501と、ベース板501の表面502側に設けられたラックギア504と、ベース板501の裏面503側から表面502側に突出するように設けられたフロントフック505及びリアフック506と、ベース板501に装着され裏面503側からラックギア504、フロントフック505及びリアフック506を押圧する弾性体としての板バネ510とを備える。
図47に示すように、ベース板501のほぼ中央には横に長い穴508が形成されている。ラックギア504は、この横長穴508を介して裏面503側から表面502側に露出するように配置されている。図48は、この横長穴508に沿って水平に切った断面であり、図49は、その断面が見える裏面側から見た斜視図である。ベース板501の両端部には、フロントフック505及びリアフック506が貫通する貫通孔507がそれぞれ設けられている。図50は、フロントフック505及びリアフック506付近の拡大図であり、図48の破線J及び破線Kで囲まれる部分をそれぞれ拡大した図である。
フロントフック505及びその貫通孔507について説明する。貫通孔507は、ベース板501の裏面503から表面502にかけて徐々に狭くなるテーパ部509を有しており、フロントフック505も、その貫通孔507のテーパ部509の形状に沿った形状の側面を有する。リアフック506についても同様であり、貫通孔507はテーパ部509を有し、リアフック506は、当該テーパ部509に沿った形状の側面を有する。
図49に示すように、板バネ510は、例えばベース板501の裏面503側に装着されている。板バネ510は、ラックギア504を裏面503側から付勢する例えば2本の第1の片511と、フロントフック505及びリアフック506をそれぞれ裏面503側から付勢する第2の片512とを有する。第1の片511と第2の片512の大きさの違いは、バネ力の違いを発生させるためである。
シャッタ開閉機構500がディスクカートリッジ5のシャッタを開閉する場合、シャッタ開閉機構500は、ディスクトレイ200にディスクカートリッジ5が載置され、ディスクトレイ200のドライブ本体100内の移動に連動してシャッタを開く。ディスクトレイ200がドライブ本体100内に引き込まれていく途中で、フロントフック505→ラックギア504→リアフック506という順で、カートリッジ本体7のシャッタ機構の図示しない切り欠きに引っかかっていくことにより、シャッタが開く。一方、ディスクトレイ200がドライブ本体100から引き出される途中で、リアフック506→ラックギア504→フロントフック505という順で、上記切り欠きに引っかかっていくことにより、シャッタが閉じる。図51は、ディスクトレイ200がドライブ本体100内に収容され、シャッタが閉じられたときのシャッタ開閉機構500とディスクカートリッジ5との位置関係を示す斜視図である。
以上のように、本実施の形態に係るシャッタ開閉機構500では、1枚の板バネ510により、ラックギア504、フロントフック505及びリアフック506を付勢するので、シャッタ開閉機構500のベース板501の厚さ方向での薄型化を実現することができる。
また、貫通孔507がテーパ部509を有し、フロントフック505及びリアフック506がそのテーパ部509に沿った形状を有するので、フロントフック505及びリアフック506を確実に位置決めすることができる。したがって、フロントフック505及びリアフック506が上記切り欠きに確実に係合する。
図52は、以上説明した光ディスクドライブ装置が搭載された電子機器として、映像再生装置を示す斜視図である。映像再生装置50は、本体55を有し、本体55のフロントパネル56からディスクトレイ200が引き出されるようになっている。映像再生装置50としては、映像の再生だけでなく、例えばBDレコーダ、HDD(Hard Disk Drive)レコーダ等の映像の記録も可能な装置であってもよい。映像再生装置50の本体55の部には、光ディスクドライブ装置10のピックアップ180を介して信号を記録または再生するための電気信号を発生する信号発生回路(図示せず)を備えている。信号発生回路は、ハードウェア、ソフトウェア、またはこれらの組み合わせで構成され、公知の回路でよい。
図53は、光ディスクドライブ装置10が搭載された電子機器として、PC(Personal Computer)60を示す斜視図である。
電子機器は、図52及び図53のような機器に限られず、例えば、オーディオ機器、プロジェクタ、ゲーム機器、カーナビゲーション機器、その他の電化製品等が挙げられる。
以上のように、本発明に係る実施の形態は、以上説明した実施の形態に限定されず、他の種々の実施形態が考えられる。
例えば、記録媒体として固体メモリが用いられる場合に、記録媒体駆動装置としては、ディスクトレイの代わりに固体メモリを搬送する搬送体を備える装置が考えられる。この場合、ディスククランパはなくてもよく、または、ディスククランパの代わりに別の固定機構が用いられる。