JP4691356B2 - 画像表示装置用の視野角規制シート - Google Patents
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Description
このような問題を解決するために、これまで種々のディスプレイに対して、様々な反射防止処置や防眩処置がとられている。
前記防眩処置としては、例えば、画像表示装置の表示画面に防眩フィルムを貼着する方法、あるいは液晶表示装置における偏光板に使用されるハードコートフィルムや各種ディスプレイ保護用ハードコートフィルムなどに対し、その表面を粗面化する防眩処置がとられている。
画像表示装置の表示画面に貼着される防眩フィルムとしては、例えば基材フィルム上にウェットプロセスにより無機微粒子及び電離放射線による硬化樹脂を含む防眩層が積層されたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。このような防眩フィルムが適用される表示装置においては、防眩層内の無機微粒子が透過光を散乱させるので、背後の表示装置に由来して輝点がランダムに発生することが防止でき、表示される画像や映像の視認性の低下を防止することができる。前記防眩層は所望の微細凹凸の逆型形状の型を使用して、透明樹脂層にエンボス加工を施すことによっても形成することができる。
これらの2つの方法の中で、後者のハードコート剤にフィラーを混入する方法が主流であり、そして、フィラーとしては、主にシリカ粒子が用いられている。シリカ粒子が使用される理由としては、得られたハードコートフィルムの白色度が低いこと及びコート剤に混入させた際に分離性が良好であることなどが挙げられる。
この反射防止フィルムは、従来、蒸着やスパッタリングなどのドライプロセス法により、基材フィルム上に、低屈折率の物質(例えばMgF2)を薄膜化する方法や、屈折率の高い物質[ITO(錫ドープ酸化インジウム)、TiO2など]と屈折率の低い物質(MgF2、SiO2など)を交互に積層する方法などで作製されている。しかしながら、このようなドライプロセス法で作製された反射防止フィルムは、製造コストが高くつくという問題があった。
したがって、近年、ウェットプロセス法、すなわちコーティングにより反射防止フィルムを作製することが試みられている。しかしながら、このウェットプロセス法により作製された反射防止フィルムにおいては、前記のドライプロセス法による反射防止フィルムに比べて、表面の耐擦傷性に劣るという問題があった。
また、画像表示装置の表面に、反射防止性及び防眩性の両方の性質を付与するために、透明基材フィルムの少なくとも一方の面に、該透明基材フィルムよりも低い屈折率を有する光透過性の低屈折率層が少なくとも積層され、かつ、該透明基材フィルムと該低屈折率層の間に、該透明基材フィルム及び該低屈折率層よりも高い屈折率を有する光透過性の防眩層が少なくとも積層されている反射防止フィルムが提案されている(例えば特許文献3参照)。
防眩フィルムや反射防止フィルムにおいては、ハードコート機能を付与したものが開発されているが、近年、防眩フィルムや反射防止フィルムに、さらにハードコート機能以外の様々な機能を付与した多機能防眩フィルムや多機能反射防止フィルムが要求されるようになってきた。
例えば、パーソナルコンピューターの画面や、市役所の端末、銀行のATMなどの表示装置、あるいは携帯電話の窓などの画像表示装置においては、第三者の側面からの覗き込みによる情報の洩れを嫌う場合が多い。したがって防眩機能や反射防止機能を有すると共に、側面からの視認性を抑制し得る視野角規制シートが要望されている。
すなわち、本発明は、
(1)実質上、表裏面に対して垂直にかつ互いに平行になるように所定間隔で設けられた複数の高光吸収性層を有する透明シートの一方の面に、防眩フィルムをその防眩層が外側に位置するように貼合すると共に、他方の面に、反射防止フィルムをその反射防止層が外側に位置するように貼合したことを特徴とする、画像表示装置用の視野角規制シート、
(2)高光吸収性層の厚さが1〜30μmであり、かつ隣接する高光吸収性層間の距離が50〜200μmである上記(1)に記載の画像表示装置用の視野角規制シート、
(3)複数の高光吸収性層を有する透明シートの厚さが、100〜500μmである上記(1)又は(2)に記載の画像表示装置用の視野角規制シート、
(5)反射防止フィルムの反射防止層が、ドライプロセス又はウェットプロセスにより形成された単層構造又は二層以上の積層構造を有する上記(1)〜(4)のいずれかに記載の画像表示装置用の視野角規制シート、
(6)防眩層及び/又は反射防止層の形成にウェットプロセスを採用する場合、電離放射線硬化型重合性化合物の硬化してなる樹脂層を設ける上記(4)又は(5)に記載の画像表示装置用の視野角規制シート、
(7)複数の高光吸収性層を有する透明シートが、複数の透明プラスチックフィルムを、高光吸収性層となる着色接着剤層を介して圧着一体化してなるシート状部材を、該着色接着剤層に対して実質上直角に厚さ方向に裁断することにより得られたものである上記(1)〜(6)のいずれかに記載の画像表示装置用の視野角規制シート、及び
(8)防眩層及び/又は反射防止層面に、防汚層が形成されてなる上記(1)〜(7)のいずれかに記載の画像表示装置用の視野角規制シート、
を提供するものである。
図1は、本発明の視野角規制シートの一例の構成を示す断面図である。視野角規制シート10は、透明シートの一方の面に、接着剤層3aを介して、表面に防眩層5を有する防眩フィルム4が、該防眩層5を外側に配置して貼合されていると共に、透明シート1の他方の面に、接着剤層3bを介して表面に反射防止層7を有する反射防止フィルム6が、該反射防止層7を外側に配置して貼合され、一体化された構造を有している。そして、前記透明シート1は、実質上、表裏両面に対して垂直にかつ互いに平行になるように設けられた複数の高光吸収性層2を有しており、各高光吸収性層間は、光線透過性に優れる透明部である。また、視野角規制シート10における各高光吸収性層2、及び透明シート(透明部)1は、図3の斜視図のごとく、各々1方向(視野角規制シート10AについてXA方向)に向かって長く伸びた(延在した)直方体形状をなし、かかる直方体形状の高光吸収層2及び透明シート1(透明部)が該延在方向に直交する方向に、交互に平行配列しつつ、接着一体化されてなる。
なお、図3では2枚の視野角規制シート10Aと10Bとを重ねた利用形態を図示している。
図2は、本発明の視野角規制シートにおいて、透視可能な角度θLimitを求めるための説明図である。図2は、高光吸収性層2及び透明シート(透明部)1の直方体の延在方向に直交する面(YAZA面、あるいはYBZB面、あるいは視野角規制を生じる面)で視野角規制シートを切断した断面を図示している。
すなわち、高光吸収性層を有する透明シート1の厚さをD(μm)、高光吸収性層2間の距離をL(μm)とした場合、(YAZA面内、あるいはYBZB面内における)透視可能な角度θLimitは、下記式(I)で表すことができる。
θLimit=2tan-1(L/D) ・・・(I)
したがって、所望の透視可能な角度を得るには、前記のLとDとを適宣選定すればよい。なお、本発明における高光吸収性層は、下記のようにして測定した可視光線の全波長領域での全光線透過率が、通常50%以下、好ましくは10%以下の層を指す。
高光吸収性層の全光線透過率の測定方法は、JIS K7105に準拠して全光線透過率を測定する。なお、高吸収性層の色層は通常は無彩色とするが、所望により適当な有彩色(紺色、褐色、深緑色等)としてもよい。
本発明の視野角規制シートにおいて、複数の高光吸収性層を有する透明シートの素材としては、通常透明プラスチックが用いられる。この透明プラスチックとしては、従来光学用の反射防止部材や防眩部材に使用されている公知のプラスチックの中から適宜選択して用いることができる。このようなプラスチックとしては、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステル系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、環状ポリオレフィンなどのポリオレフィン系樹脂、セロハン、ジアセチルセルロース、トリアセチルセルロース、アセチルセルロースブチレートなどのセルロース系樹脂、ポリカーボネート、ポリスチレン、アクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルイミド、ポリイミド、ポリアミド系樹脂、フッ素系樹脂などを挙げることができる。これらの中で、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、アクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、トリアセチルセルロースなどが、透明性、耐熱性及び経済性などの点で好適である。
前記透明プラスチックフィルムは、その表面に設けられる層との密着性を向上させる目的で、所望により片面又は両面に、酸化法や凹凸化法などにより表面処理を施すことができる。上記酸化法としては、例えばコロナ放電処理、プラズマ放電処理、クロム酸処理(湿式)、火炎処理、熱風処理、オゾン・紫外線照射処理などが挙げられ、また凹凸化法としては、例えばサンドブラスト法、溶剤処理法などが挙げられる。これらの表面処理法は素材の種類に応じて適宜選ばれるが、一般にはコロナ放電処理法が効果及び操作性などの面から、好ましく用いられる。また、片面又は両面にプライマー処理を施したものも用いることができる。
この透明プラスチックシートの厚さは、通常50〜200μm、好ましくは70〜150μmである。
前記着色接着剤層を構成する着色接着剤としては、反応硬化型接着剤や感熱接着剤、例えばウレタン系接着剤、エポキシ系接着剤、塩化ビニル−酢酸ビニル系接着剤、ゴム系接着剤などに着色剤を配合したものを用いることができる。
ここで、着色剤としては、例えばカーボンブラック、四三酸化鉄、チタンブラック、アニリンブラック、さらには弁柄、ベンジジンイエロー、コバルトブルーなどの無機顔料や有機顔料、染料を挙げることができる。これらは一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよいが、所定の光吸収能を有する層が得られるように適宜選択される。
前記シート状部材は、下記のようにして作製することができる。
当該透明プラスチックシートの表面に、前記着色接着剤を、例えばバーコート法、ナイフコート法、ロールコート法、ブレードコート法、ダイコート法、グラビアコート法などを用いて、塗布、乾燥したのち、その上に透明プラスチックシートを貼着する。さらに、この透明プラスチックシートの表面に、上記と同様にして着色接着剤を塗布、乾燥したのち、その上に透明プラスチックシートを貼着する。この操作を所定の厚さになるまで繰り返したのち、適当な温度で圧着し、一体化することにより、シート状部材が得られる。
次いで、このシート状部材を、該着色接着剤層に対して実質上直角に厚さ方向に、かつ得られるシートの厚さが、通常100〜500μm、好ましくは150〜350μmになるように裁断(スライス)することにより、複数の高光吸収性層を有する透明プラスチックシートを作製することができる。
なお、使用する透明プラスチックシートの種類によっては、高光吸収性層の形成に着色接着剤を用いないで、着色剤を含有するプラスチックシートと熱融着性を有する着色樹脂フィルムを用い、着色樹脂フィルムとプラスチックシートとを交互に重ね、熱プレスする方法でも、シート状部材を作製することが可能であり、これを上記と同様に裁断(スライス)することにより、目的の複数の高光吸収性層を有する透明シートを得ることができる。なお、該着色樹脂フィルムを構成する樹脂としては、ポリ塩化ビニル系樹脂、アクリル樹脂等が挙げられる。
次に、このようにして得られた複数の高光吸収性層を有する透明シートの一方の面及び他方の面に、それぞれ貼合される防眩フィルム及び反射防止フィルムについて説明する。
これらの基材フィルムは、透明、半透明のいずれであってもよく、また、着色されていてもよいし、無着色のものでもよく、用途に応じて適宜選択すればよい。該基材フィルムの厚さに特に制限はないが、作業性及び経済性のバランスなどの面から、通常15〜250μm程度、好ましくは30〜200μmの範囲である。
前記基材フィルムの一方の面に反射防止層を設けることにより反射防止フィルムが得られ、防眩層を設けることにより防眩フィルムが得られる。
反射防止層は、多層膜の光干渉による反射光減衰によって、太陽や蛍光灯などからの外光が、画像表示装置の表示画面に入射して反射することから生じる画面の映り込みを低減させる機能、及び表面の反射率を抑えることで、画像のコントラストがよくなり、その結果、画像の視認性を向上させる機能を有する。
本発明における反射防止層の構成は、基材フィルム表面に、透明な誘電体層を一層以上積層した構成を有している。該誘電体層のうち最外層の屈折率をその直下の層(基材フィルム、直下の誘電体層、あるいは後述のハードコート層の上に反射防止層を積層する場合においてはハードコート層)よりも低屈折率となるように構成し、かつ該誘電体層の光学的厚み(屈折率×幾何学的厚み)を反射防止すべき光の波長の1/4とするのがよい。かかる構成により各層界面からの反射光を干渉により減少させることができる。
反射防止層の代表的な層構成としては、(1)基材フィルム/〔低屈折率層〕、(2)基材フィルム/〔高屈折率層/低屈折率層〕、(3)基材フィルム/〔低屈折率層/高屈折率層/低屈折率層〕、(4)基材フィルム/〔高屈折率層/中屈折率層/低屈折率層〕等が挙げられる。なお、ここで〔〕内が反射防止層の構成である。
ドライプロセスの具体例としては、屈折率が2.3の硫化亜鉛からなる高屈折率層と、屈折率が1.38のフッ化マグネシウムからなる低屈折率層とを、(基材フィルム/〔高屈折率層/低屈折率層/高屈折率層/低屈折率層〕)の順で真空蒸着法にて積層したものを挙げることができる。なお、各層の光学的厚みは、可視光線帯域の中間付近の波長(ナトリウム原子スペクトルのD線〔≒590nm〕)の1/4とする。
前記低屈折率樹脂組成物としては、例えば分子中にフッ素原子を含む電離放射線硬化型樹脂中に、平均粒子径5〜300nm程度の透明微粒子を分散させたものからなる組成物を用いることができる。ここで、電離放射線硬化型樹脂とは、電磁波又は荷電粒子線の中でエネルギー量子を有するもの、すなわち紫外線や電子線などを照射することにより、架橋、硬化する樹脂を指す。
該低屈折率樹脂組成物を基材フィルム表面に塗工し、電離放射線を照射して架橋、硬化させることにより、硬化塗膜の内部及び/又は表面に平均孔径が0.01〜100nm程度の空気を含有する孔を多数生じ、多孔質塗膜を形成する。かかる分子中にフッ素原子を含む電離放射線硬化型樹脂は、それ自体が通常の樹脂に比べて低屈折率であり、かつ塗膜が多孔質となり空気を含有することによって、塗膜の平均屈折率は空気の屈折率(1.0)に向って近づき、結果として塗膜の屈折率は低いものとなる。
この場合、各層の形成は、例えば電離放射線硬化型重合性化合物と、所定の屈折率を有する材料と、所望により光重合開始剤などを含む塗工液を塗布して塗膜を形成させ、電離放射線を照射して、該塗膜を硬化させることにより、行うことができる。
前記の電離放射線硬化型重合性化合物としては、例えば重合性プレポリマー及び/又は重合性モノマーを挙げることができる。上記重合性プレポリマーには、ラジカル重合型とカチオン重合型があり、ラジカル重合型の重合性プレポリマーとしては、例えばポリエステル(メタ)アクリレート系、エポキシ(メタ)アクリレート系、ウレタン(メタ)アクリレート系、ポリオール(メタ)アクリレート系などが挙げられる。なお、ここで(メタ)アクリレートとは、「アクリレート又はメタクリレート」を意味する。
重合性モノマーとしては、多価アルコール、例えば、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、グリセリン、ジグリセリンなどと、アクリル酸又はメタクリル酸との多官能エステルを挙げることができる。
光重合開始剤としては、従来公知の化合物の中から、任意のものを適宜選択して用いることができるが、電離放射線として、電子線を用いる場合には光重合開始剤は添加しなくてもよい。
該ハードコート層の形成は、例えば前記の電離放射線硬化型重合性化合物と所望により光重合開始剤などを含む塗工液を塗布して塗膜を形成させ、電離放射線を照射して、該塗膜を硬化させることにより行うことができる。
このハードコート層の厚さは、通常0.5〜30μm、好ましくは、3〜20μmである。
本発明において、反射防止層やハードコート層の形成で用いる電離放射線として、紫外線を用いる場合、該紫外線は、高圧水銀ランプ、ヒュージョンHランプ、キセノンランプなどで得られる。一方、電子線を用いる場合、該電子線は、電子線加速器などによって得られる。
防眩層は、層表面の微小凹凸、あるいは層内部に分散する異屈折率微粒子によって光を拡散(散乱)させることにより、画像表示装置における表示画面のギラツキやチラツキ感を防止する機能を有する。
該防眩層としては、従来公知のもの、例えば無機粒子、好ましくはシリカ粒子を含む層、あるいは外光を乱反射する微細な凹凸表面を有する層などが挙げられる。
この防眩層の形成方法としては、ドライプロセス及びウェットプロセスのいずれも用いることができる。ドライプロセスとしては、エンボス版を用いた熱プレスにより表面に微小凹凸を形成させる方法、サンドブラスト法により、表面に微小凹凸を形成させる方法などがある。
防眩層の耐擦傷性の面から、前述の電離放射線硬化型重合性化合物と、シリカ粒子と、所望により光重合開始剤などを含む塗工液を塗布して塗膜を形成させ、電離放射線を照射して、該塗膜を硬化させることにより、防眩層を形成するのが好ましい。
本発明においては、基材フィルムと防眩層との間に、必要に応じハードコート層を設けることができる。このハードコート層については、前述の反射防止フィルムの説明において示した通りである。
該防汚層は、前記塗料を従来公知の方法、例えばバーコート法、ナイフコート法、ロールコート法、ブレードコート法、ダイコート法、グラビアコート法などを用いて、反射防止層及び/又は防眩層上にコーティングし、塗膜を形成させ、乾燥処理することにより、形成することができる。
この防汚層の厚さは、通常1〜10μm、好ましくは3〜8μmの範囲である。該防汚層を設けることにより、得られる光学用部材は、表面の滑り性がよくなるとともに、汚れにくくなる。
前記接着剤層を構成する接着剤については特に制限はなく、電離放射線硬化型接着剤、感圧接着剤、感熱接着剤(ホットメルト型)などを用いることができるが、作業性などの点から、電離放射線硬化型接着剤及び感圧接着剤が好ましく、さらに、接着保持性の点から電離放射線硬化型接着剤が好ましい。
前記電離放射線硬化型接着剤としては、例えば(1)側鎖に電離放射線架橋性官能基を有する(メタ)アクリル酸エステル系共重合体、及び所望により光重合開始剤を含む接着剤、(2)(メタ)アクリル酸エステル系共重合体と、光重合性オリゴマー及び/又は光重合性モノマーと、所望により光重合開始剤を含む接着剤などが挙げられる。
一方感圧接着剤としては、光学用途のもの、例えばアクリル系、ウレタン系、シリコーン系感圧接着剤を好ましく用いることができるが、これらの中で、耐侯性などに優れる点から、アクリル系感圧接着剤が特に好ましい。
前記アクリル系感圧接着剤は、通常(メタ)アクリル酸エステル系共重合体と、架橋剤成分を含む組成物である。
接着剤層の厚さは、通常5〜100μm、好ましくは10〜50μm程度である。
また、60°グロス値は90以下が好ましい。このグロス値が90以下であると、反射による表面光沢が抑制され、十分な防眩性が得られる。より好ましい60°グロス値は40〜80である。また、全光線透過率が75%以上であることが好ましい。75%以上であると十分な透明性が得られる。以上の点から、全光線透過率は80%以上であることが好ましい。透過鮮明度(合計値)は、良好な表示画質(視認性)が得られる点から、100以上が好ましく、より好ましくは150以上、さらに好ましくは200〜300である。
一方、画像表示装置の表示画面に、反射防止層が外側に位置するように装着した場合、反射防止部材として機能する。この場合、反射防止性の光学的性質としては、450〜650nmの平均反射率が3%以下であることが好ましく、特に1%以下が好ましい。
この場合、透視可能な角度θLimitは、通常10〜90度程度、好ましくは20〜50度である。なお、本発明の視野角規制シートを用いれば、表示画面側に反射防止層又は防眩層が配置されることになり、その結果、表示画面からの入射光は、前記各層によって鏡面反射が抑制されるという利点がある。この効果は、表示画面側に反射防止層が配置された場合に特に大きい。
また、図3のごとく、2枚の視野角規制シートを重ねて使用する場合において、両視野角規制シート間の対向面内での画像光や外光の多重反射を防止できる利点がある。さらに、適用される画像表示装置の表示画面が、防眩機能の付与を要求する場合には、反射防止層を該表示画面に対面させて装着させ、逆に、表示画面が反射防止機能の付与を要求する場合には、防眩層側を該表示画面に対面させて装着させるなど、リバーシブル使用が可能である。
2枚のシートを図3のごとく、その視野角規制効果を奏する面、YAZA面及びYBZB面が直交するようにして、重ねて使用し、これらを画像表示装置の前面に設置して使用した場合には、互いに直交する2つの面内(YAZA面内及びYBZB面内)において、視野角規制効果を奏する。すなわち、YAZA面を左右方向、YBZB面を上下方向とすれば、画像表示装置の上下左右いずれの方向においても側面からの覗き込みを防止できる。
なお、光学的諸特性は、下記の方法に従って求めた。
(1)全光線透過率、ヘイズ値及び60°グロス値
村上色彩研究所製、品番「HM−150」を使用して測定した。
(2)高光吸収性層(着色接着剤層)の全光線透過率
明細書本文に記載の方法に従って測定した。
(1)複数の高光吸収性層を有するポリカーボネートシートの作製
厚さ100μmの透明ポリカーボネートフィルムの片面に、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体系接着剤にカーボンブラックを添加してなる着色接着剤(固形分中のカーボンブラック含有量:30質量%)を、乾燥厚さが10μmになるようにマイヤーバーにて塗布し乾燥させた。
次いで、この塗布層上に、前記と同じポリカーボネートフィルムを貼着したのち、その表面に前記と同様にして着色接着剤を塗布、乾燥し、さらにその上に前記と同じポリカーボネートフィルムを貼着した。この操作を繰り返し、ポリカーボネートフィルムを1000層積層したのち、温度140℃、荷重1kg/cm2、5分間の条件で圧着して、シート状部材を得た。
なお、着色接着剤層の全光線透過率は1%であった。
次に、このシート状部材を、着色接着剤層に対して実質上直角に厚さ方向に、かつ得られるシートの厚さが250μmになるように裁断(スライス)することにより、複数の高光吸収性層(着色接着剤層)を有するポリカーボネートシートを作製した。
上記(1)で得られた複数の高光吸収性層を有する厚さ250μmのポリカーボネートシートの一方の面に、透明な紫外線硬化型アクリル系の接着剤を用いて形成された厚さ30μmの未硬化接着剤層を介して、ヘイズ値5%の防眩処理をした厚さ125μmの透明ポリエチレンテレフタレートフィルムを、防眩層が外側に位置するように貼着した。
次に、前記ポリカーボネートシートの他方の面に、前記と同じ紫外線硬化型アクリル系接着剤を用いて形成された厚さ30μmの未硬化接着剤層を介して、波長500nmにおける反射率が1.0%の反射防止処理を施した厚さ125μmの透明ポリエチレンテレフタレートフィルムを、反射防止層が外側に位置するように貼着した。
次いで、前記未硬化接着剤層それぞれに、高圧水銀ランプから輻射される紫外線を照射して該接着剤層を硬化させることにより、図1に示す構成を有する視野角規制シートを作製した。
この視野角規制シートにおいては、複数の高光吸収性層を有するポリカーボネートシートの厚さ(D)は250μm、高光吸収性層の厚さは10μm、隣接する高光吸収性層間の距離は100μmであり、透視可能な角度(θLimit)は
44度であった。
(3)評価
上記(2)で得られた視野角規制シートの防眩層側については、全光線透過率82%、ヘイズ値7%、60°グロス値50であった。また、上記(2)で得られた視野角規制シートの反射防止層側については、全光線透過率とヘイズは防眩層側と同じであり、全光線反射率は1%であった。
また、パーソナルコンピューターの表示画面に装着し、サイドから該表示画面を見たところ、表示画面の法線に対する視認角度が高光吸収性層の延在方向と直行する方向に対して約22度以上の場合、該表示画面は実質上見えなかった。
また、正面(表示画面の法線方向)から表示画面を見たところ、防眩層側および反射防止層側のいずれ側から見た場合も、ギラギラやチラツキが少なく、良好な外交の鏡面反射防止性を有すると共に、視認性も良好であった。
2:高光吸収性層
3a、3b:透明接着剤層
4:防眩フィルム
5:防眩層
6:反射防止フィルム
7:反射防止層
10、10A、10B:視野角規制シート
Claims (9)
- 実質上、表裏面に対して垂直にかつ互いに平行になるように所定間隔で設けられた複数の高光吸収性層を有する透明シートの一方の面に、防眩フィルムをその防眩層が外側に位置するように貼合すると共に、他方の面に、反射防止フィルムをその反射防止層が外側に位置するように貼合したことを特徴とする、画像表示装置用の視野角規制シート。
- 高光吸収性層の厚さが1〜30μmであり、かつ隣接する高光吸収性層間の距離が50〜200μmである請求項1に記載の画像表示装置用の視野角規制シート。
- 複数の高光吸収性層を有する透明シートの厚さが、100〜500μmである請求項1又は2に記載の画像表示装置用の視野角規制シート。
- 防眩フィルムの防眩層が、表面にドライプロセス又はウェットプロセスにより形成された微小凹凸を有する層である請求項1〜3のいずれかに記載の画像表示装置用の視野角規制シート。
- 反射防止フィルムの反射防止層が、ドライプロセス又はウェットプロセスにより形成された単層構造又は二層以上の積層構造を有する請求項1〜4のいずれかに記載の画像表示装置用の視野角規制シート。
- 防眩層及び/又は反射防止層の形成にウェットプロセスを採用する場合、電離放射線硬化型重合性化合物の硬化してなる樹脂層を設ける請求項4又は5に記載の画像表示装置用の視野角規制シート。
- 複数の高光吸収性層を有する透明シートが、複数の透明プラスチックフィルムを、高光吸収性層となる着色接着剤層を介して圧着一体化してなるシート状部材を、該着色接着剤層に対して実質上直角に厚さ方向に裁断することにより得られたものである請求項1〜6のいずれかに記載の画像表示装置用の視野角規制シート。
- 防眩層及び/又は反射防止層面に、防汚層が形成されてなる請求項1〜7のいずれかに記載の画像表示装置用の視野角規制シート。
- 請求項1〜8のいずれかに記載の視野角規制シート2枚を、各々の視野角規制方向が互いに直交するようにして重ねたことを特徴とする画像表示装置用の視野角規制シート。
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