JP4688482B2 - アスファルト組成物 - Google Patents
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Description
近年、道路通行車両の増大、或いは高速化といった事情に伴って、優れた強度、耐摩耗性を有するアスファルト混合物の要求がますます高まっている。このため、より高い軟化点、伸度や弾性率などの機械的強度が必要とされ、例えば上記ブロック共重合体の分子量を上げることにより改良することが試みられている。しかしながら、このような方法では高温貯蔵時貯蔵安定性が充分でなく、溶融粘度が高くなり、道路舗装時の施工性が劣る。
また、特殊構造を有する共役ジエンとビニル芳香族炭化水素とからなる共重合体を用いたアスファルト組成物が開示されている(例えば、特許文献3参照。)。しかしながら、該組成物は、軟化点、弾性率、高温貯蔵安定性のバランスが不充分であり、また耐候性や低温特性等に劣ることから、さらなる改良が望まれていた。
さらに、ビニル芳香族炭化水素と共役ジエンからなるブロック共重合体に、水素を添加してなる水添共重合体を用いたアスファルト組成物が開示されている(例えば、特許文献5参照。)。しかしながら、該組成物は、ビニル芳香族化合物の含有量が多いため、高温貯蔵安定性が優れるものの、軟化点、伸度、弾性率が不充分であり、道路舗装用に用いるには、さらなる改良が望まれていた。
1.水添共役ジエン系共重合体(a)0.5〜50重量部及びアスファルト(b)100重量部を包含するアスファルト組成物であり、
成分(a)が、ビニル芳香族単量体単位からなる重合体ブロック(A)及び共役ジエン単量体単位とビニル芳香族単量体単位とからなる非水添ランダム共重合体ブロックを水添して得られる少なくとも1つの水添共重合体ブロック(B)を包含してなり、
次の特性(1)〜(7)を有することを特徴とする水添共役ジエン系共重合体。
(1)ビニル芳香族単量体単位の含有量が、成分(a)の重量に対して30重量%を越え、50重量%以下であり、
(2)成分(A)の含有量が、成分(a)に対して5〜40重量%であり、
(3)非水添ランダム共重合体ブロック中の共役ジエン部分のビニル結合量が、5〜45重量%であり、
(4)成分(a)のMFR(メルトフローレート:L条件)が、0.05〜10であり、(5)成分(B)の二重結合の水添率が、60%以上であり、
(6)成分(a)が、成分(A)を少なくとも2つ有する水添共役ジエン系共重合体であり、
(7)示差走査熱量測定(DSC)チャートにおいて、−20〜80℃の範囲に水添共重合体ブロック(B)に起因する結晶化ピークが実質的に存在しない。
2.成分(a)のMFR(L条件)が0.2〜2であり、成分(A)が成分(a)に対して10〜30重量%である水添共役ジエン系共重合体である1.に記載のアスファルト組成物、
3.成分(a)が、官能基を有する原子団が結合している変性水添共重合体である1.に記載のアスファルト組成物、
である。
本発明で使用する水添共役ジエン系共重合体(a)は、共役ジエン単量体単位とビニル芳香族単量体単位とを含む非水添共重合体(以下、しばしば「ベース非水添共重合体」と称する)を水添して得られるものである。本発明の水添共役ジエン系共重合体は、ビニル芳香族単量体単位からなる重合体ブロック(A)及び、共役ジエン単量体単位とビニル芳香族単量体単位とからなる非水添ランダム共重合体ブロックを水添して得られる少なくとも1つの水添共重合体ブロック(B)を包含してなる。
本発明で使用する水添共役ジエン系共重合体(a)におけるビニル芳香族単量体単位の含有量は、水添共重合体に対して30重量%を越え、50重量%以下である。水添共役ジエン系共重合体のビニル芳香族単量体単位の含有量が上記の範囲にあるので、軟化点、弾性率の優れたアスファルト組成物が得られる。軟化点、弾性率、伸度等のバランスの点からは、ビニル芳香族単量体単位の含有量は、好ましくは35重量%を越え、48重量%以下である。
本発明で使用する水添共役ジエン系共重合体(a)において、重合体ブロック(A)の含有量は水添共重合体に対して5〜40重量%である。水添共役ジエン系共重合体の重合体ブロック(A)の含有量が上記範囲にあるので、軟化点の高いアスファルト組成物が得られる。アスファルト組成物の軟化点、高温貯蔵安定性の点で、好ましくは8〜35重量%、更に好ましくは10〜35重量%である。特に、高配合でより高い軟化点の組成物を得るには、重合体ブロック(A)の含有量は、多い方が好ましい。
=(ベース非水添共重合体中のビニル芳香族重合体ブロック(A)の重量/ベース非水添共重合体の重量)×100。
なお、重合体ブロック(A)の水添共役ジエン系共重合体に対する含有率を直接測定する場合には、水添共重合体を検体として、核磁気共鳴装置(NMR)を用いて行うことができる(Y.Tanaka,et al.,RUBBER CHEMISTRY and TECHNOLOGY 54,685(1981)に記載の方法;以後、「NMR法」と称する)。
Os値=−0.012(Ns値)2+1.8(Ns値)−13.0
従って、本発明においてNMR法によって重合体ブロック(A)の水添共重合体に対する含有率(Ns値)を求めた場合には、上記式に基づいてNs値をOs値に換算する。
本発明で使用される非水添ランダム重合体ブロックの共役ジエン部分のビニル結合量は、5〜45重量%である。非水添ランダム重合体ブロックの共役ジエン部分のビニル結合量が上記範囲にあることにより、軟化点、伸度、弾性率等のアスファルト特性バランスが良好なアスファルト組成物が得られる。アスファルト組成物の特性バランスの点からは、本発明で使用する非水添ランダム共重合体ブロック中の共役ジエン部分のビニル結合量は、好ましくは10〜40重量%、更に好ましくは15〜35重量%である。
本発明で使用される水添共役ジエン系共重合体(a)のMFR(L)は、0.05〜10である。水添共役ジエン系共重合体のMFRが上記範囲にあることにより、軟化点等のアスファルト特性が良好で、且つ取り扱い性(低粘度)に優れたアスファルト組成物が得られる。アスファルト特性と取り扱い性とのバランスの点からは、本発明で使用する水添共役ジエン系共重合体のMFR(L)は、好ましくは0.1〜5、更に好ましくは0.2〜2である。
水添共役ジエン系共重合体の重量平均分子量はベース非水添共重合体の重量平均分子量とほぼ等しいので、水添共重合体の重量平均分子量はベース非水添共重合体の重量平均分子量として求める。ベース非水添共重合体の重量平均分子量は、分子量が既知の市販の標準単分散ポリスチレンに関して得た検量線を使用して、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって求める。水添共役ジエン系共重合体の数平均分子量も同様にして求める。分子量分布は、重量平均分子量の数平均分子量に対する比として、計算で求める。
なお、水添共重合体におけるビニル芳香族単量体単位の二重結合の水添率に関しては特に限定はないが、水添率は好ましくは50%以下、更に好ましくは30%以下、特に好ましくは20%以下である。
本発明で使用される水添共役ジエン系共重合体(a)は、ビニル芳香族単量体単位からなる重合体ブロック(A)を少なくとも2つ有する水添共役ジエン系共重合体である。重合体ブロック(A)を2つ以上有する場合、アスファルト組成物の軟化点及び弾性率の高いものが得られる。
上記のように、水添共重合体ブロック(B)は、共役ジエン単量体単位とビニル芳香族単量体単位とからなる非水添ランダム共重合体ブロックを水添して得られる。上記非水添ランダム共重合体における共役ジエン単量体単位/ビニル芳香族単量体単位重量比に関しては、特に限定はない。
本発明で使用する共役ジエン系共重合体(a)の構造に関しては、いかなる構造のものでも使用できる。本発明の水添共重合体の一態様として、少なくとも1個の水添共重合体ブロック(B)及び少なくとも2個の重合体ブロック(A)を包含する水添共重合体が挙げられるが、このような水添共重合体の例として、下記式で表されるような構造を有するものが挙げられる。
B−(A−B)n+1、
[(A−B)n]m−X、 [(B−A)n−B]m−X、
[(A−B)n−A]m−X、 [(B−A)n+1]m−X
(上記式において、各Aはそれぞれ独立してビニル芳香族単量体単位からなる重合体ブロックを表す。各Bはそれぞれ独立して共役ジエン単量体単位とビニル芳香族単量体単位とからなる非水添ランダム共重合体を水添して得られる水添共重合体ブロックを表す。各nはそれぞれ独立して1以上の整数、好ましくは1〜5の整数である。各mはそれぞれ独立して2以上の整数、好ましくは2〜11の整数である。各Xはそれぞれ独立してカップリング剤の残基又は多官能開始剤の残基を表す。)
そして、この中でもA−B−A構造が軟化点、伸度、弾性率等のアスファルト特性バランスが優れていることから特に好ましい。
ブロックBの重合開始直後の共重合体中のビニル芳香族量をS1、重合途中、例えば導入した単量体の1/2が重合した時点での共重合体中のビニル芳香族量をS2、重合完了後の共重合体中のビニル芳香族量をS3とした場合、S2/S1>1 且つ S3/S2>1の関係が成り立つ構造である。そして、テーパー構造のブロックBを有する水添共役ジエン系共重合体が、アスファルト組成物の軟化点の点で好ましい。
本発明で使用される水添共役ジエン系共重合体は、上記式で表される構造を有するものの任意の混合物であってもよい。
本発明の水添共役ジエン系共重合体(a)において、共役ジエンは1対の共役二重結合を有するジオレフィンである。共役ジエンの例として、1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン(即ちイソプレン)、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、2−メチル−1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエンが挙げられる。これらのうち特に好ましいのは1,3−ブタジエン及びイソプレンである。これらは一種のみならず二種以上を使用してもよい。
また、ビニル芳香族化合物の例として、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ジビニルベンゼン、1,1−ジフェニルエチレン、N,N−ジメチル−p−アミノエチルスチレン、N,N−ジエチル−p−アミノエチルスチレンがあげられる。これらは一種のみならず二種以上を使用してもよい。
第3級アミン化合物の例として、式R1R2R3N(ただし、R1、R2、R3はそれぞれ独立して炭素数1から20の炭化水素基または第3級アミノ基を有する炭化水素基である)で表される化合物が挙げられる。具体的には、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、N,N−ジメチルアニリン、N−エチルピペリジン、N−メチルピロリジン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラエチルエチレンジアミン、1,2−ジピペリジノエタン、トリメチルアミノエチルピペラジン、N,N,N’,N”,N”−ペンタメチルエチレントリアミン、N,N’−ジオクチル−p−フェニレンジアミン等が挙げられる。
本発明で使用できる変性水添共役ジエン系共重合体において、水酸基、エポキシ基、アミノ基、シラノール基、アルコキシシラン基から選ばれる官能基を少なくとも1個有する原子団が結合している変性水添共役ジエン系共重合体が好ましい。
変性剤の種類により、変性剤を反応させた段階で一般に水酸基やアミノ基等は有機金属塩となっていることもあるが、その場合には水やアルコール等活性水素を有する化合物で処理することにより、水酸基やアミノ基等にすることができる。
上記のようにして得られた水添共役ジエン系共重合体の溶液は、必要に応じて触媒残査を除去し、水添重合体を溶液から分離することができる。溶媒の分離の方法としては、例えば水添後の反応液にアセトンまたはアルコール等の水添共重合体等に対する貧溶媒となる極性溶媒を加えて重合体を沈澱させて回収する方法、反応液を撹拌下熱湯中に投入し、スチームストリッピングにより溶媒を除去して回収する方法、または直接共重合体溶液を加熱して溶媒を留去する方法等を挙げることができる。尚、本発明の水添共役ジエン系共重合体には、各種フェノール系安定剤、リン系安定剤、イオウ系安定剤、アミン系安定剤等の安定剤を添加することができる。
本発明で用いることができるアスファルトの例としては、石油精製の際の副産物(石油アスファルト)、または天然の産出物(天然アスファルト)として得られるもの、もしくはこれらと石油類を混合したものなどを挙げることができ、その主成分は瀝青(ビチューメン)と呼ばれるものである。具体的にはストレートアスファルト、セミブローンアスファルト、ブローンアスファルト、タール、ピッチ、オイルを添加したカットバックアスファルト、アスファルト乳剤などを使用することができる。これらは混合して使用しても良い。本発明において好ましいアスファルトは、針入度(JIS−K 2207によって測定)が30〜300、好ましくは40〜200、更に好ましくは45〜150のストレートアスファルトである。本発明のアスファルト組成物において、水添共役ジエン系共重合体成分(a)の配合割合は、アスファルト100重量部に対して0.5〜50重量部、好ましくは1〜30重量部、更に好ましくは2〜20重量部である。
以下、実施例及び比較例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの例によって何ら限定されるものではない。
尚、実施例及び比較例において、水添共役ジエン系共重合体の特性、アスファルト組成物の物性の測定等は、次のようにして行った。
1−1)スチレン含有量
水添前の共重合体を使用し、紫外分光光度計(島津製作所製、UV−2450)を用いて測定した。
1−2)スチレン重合体ブロック含有量
水添前の共重合体を使用し、I.M.Kolthoff,etal.,J.Polym.Sci.1,429(1946)に記載の四酸化オスミウム酸法で測定した。共重合体の分解にはオスミウム酸0.1g/125ml第3級ブタノール溶液を用いた。
1−3)ビニル結合含量
水添前の共重合体を使用し、赤外分光光度計(装置名:FT/IR−230;日本分光社製)を用い、ハンプトン法により算出した。
1−4)MFR(メルトフローレート:L条件)
水添共役ジエン系共重合体を使用し、メルトインデクサー(L247;TECHNOL SEVENCO.,LTD製)を用い、JIS K7210に準じた方法により算出した。なお、L条件とは試験温度が230℃、試験荷重が2.16kgfであり、測定値の単位はg/10分間である。
1−5)分子量分布
水添前の共重合体を使用し、GPC〔装置は、ウォーターズ製〕で測定し、溶媒にはテトラヒドロフランを用い、測定条件は、温度35℃で行った。分子量は、クロマトグラムのピークの分子量を、市販の標準ポリスチレンの測定から求めた検量線(標準ポリスチレンのピーク分子量を使用して作成)を使用して求めた重量平均分子量(ポリスチレン換算分子量)と数平均分子量の比から分子量分布を求めた。
1−6)水添率
水添率は、核磁気共鳴装置(BRUKER社製、DPX−400)で測定した。
水添反応に用いた水添触媒は、下記の方法で調製した。
窒素置換した反応容器に乾燥、精製したシクロヘキサン2リットルを仕込み、ビス(η5−シクロペンタジエニル)チタニウムジ−(p−トリル)40ミリモルと分子量が約1,000の1,2−ポリブタジエン(1,2−ビニル結合量約85%)150グラムを溶解した後、n−ブチルリチウム60ミリモルを含むシクロヘキサン溶液を添加して室温で5分反応させ、直ちにn−ブタノール40ミリモルを添加攪拌して室温で保存した。
3.水添ジエン系共重合体の作成
作成した共重合体の構造を表1にまとめた。
内容積が10Lの攪拌装置及びジャケット付き槽型反応器を用いて、共重合を以下の方法で行った。
シクロヘキサン10重量部を反応器に仕込んで温度70℃に調整した後、n−ブチルリチウムを全モノマー(反応器に投入したブタジエンモノマー及びスチレンモノマーの総量)の重量に対して0.125重量%、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン(以下TMEDAと称する)をn−ブチルリチウム1モルに対して0.4モル添加し、その後モノマーとしてスチレン10重量部を含有するシクロヘキサン溶液(モノマー濃度22重量%)を約3分間かけて添加し、反応器内温を約70℃に調整しながら30分間反応させた。
その後、更にモノマーとしてスチレン10重量部を含有するシクロヘキサン溶液(モノマー濃度22重量%)を約3分間かけて添加し、反応器内温を約70℃に調整しながら30分間反応させ、共重合体を得た。得られた共重合体のスチレン含有量は42重量%であり、スチレン重合体ブロックの含有量は20重量%、ブタジエン部のビニル結合量は26重量%、分子量分布は1.1であった。
反応器に供給するモノマー等の量を変え、ポリマー1と同様に共重合体を得た。
n−ブチルリチウムの供給量を0.10重量%とし、1段目に供給するスチレンを7.5重量部に、2段目に供給するブタジエンを59重量部、スチレンを26重量部に、また3段目に供給するスチレンを7.5重量部に変えること以外は、同様の方法で重合を行った。得られた共重合体のスチレン含有量は41重量%であり、スチレン重合体ブロックの含有量は15重量%、ブタジエン部のビニル結合量は25重量%、分子量分布は1.2であった。
次に、ポリマー1と同様に水添反応を行い、水添共重合体(以下、ポリマー2と称する)を得た。ポリマー2のMFR(L)は0.4であり、水添率は98%であった。
反応器に供給するモノマー等の量を変え、ポリマー1と同様に共重合体を得た。
n−ブチルリチウムの供給量を0.10重量%とし、1段目に供給するスチレンを4重量部に、2段目に供給するブタジエンを59重量部、スチレンを33重量部に、また3段目に供給するスチレンを4重量部に変えること以外は、同様の方法で重合を行った。得られた共重合体のスチレン含有量は41重量%であり、スチレン重合体ブロックの含有量は8重量%、ブタジエン部のビニル結合量は24重量%、分子量分布は1.2であった。
次に、ポリマー1と同様に水添反応を行い、水添共重合体(以下、ポリマー3と称する)を得た。ポリマー3のMFR(L)は3.8であり、水添率は97%であった。
反応器に供給するモノマー等の量を変え、ポリマー1と同様に共重合体を得た。
n−ブチルリチウムの供給量を0.16重量%とし、1段目に供給するスチレンを18.5重量部に、2段目に供給するブタジエンを52重量部、スチレンを11重量部に、また3段目に供給するスチレンを18.5重量部に変えること以外は、同様の方法で重合を行った。得られた共重合体のスチレン含有量は48重量%であり、スチレン重合体ブロックの含有量は37重量%、ブタジエン部のビニル結合量は30重量%、分子量分布は1.2であった。
次に、得られた共重合体に、上記水添触媒を共重合体の重量に対してチタンとして85重量ppm添加する以外は、ポリマー1と同様に水添反応を行い、水添共重合体(以下、ポリマー4と称する)を得た。ポリマー4のMFR(L)は2.0であり、水添率は70%であった。
反応器に供給するモノマー等の量を変え、ポリマー1と同様に共重合体を得た。
n−ブチルリチウムの供給量を0.12重量%とし、1段目に供給するスチレンを13重量部に、2段目に供給するブタジエンを56重量部、スチレンを18重量部に、また3段目に供給するスチレンを13重量部に変えること以外は、同様の方法で重合を行った。得られた共重合体のスチレン含有量は44重量%であり、スチレン重合体ブロックの含有量は26重量%、ブタジエン部のビニル結合量は27重量%、分子量分布は1.1であった。
次に、ポリマー1と同様に水添反応を行い、水添共重合体(以下、ポリマー5と称する)を得た。ポリマー5のMFR(L)は0.1であり、水添率は96%であった。
反応器に供給するモノマー等の量を変え、ポリマー1と同様に共重合体を得た。
n−ブチルリチウムの供給量を0.13重量%とし、1段目に供給するスチレンを10重量部に、2段目に供給するブタジエンを75重量部、スチレンを5重量部に、また3段目に供給するスチレンを10重量部に変えること以外は、同様の方法で重合を行った。得られた共重合体のスチレン含有量は25重量%であり、スチレン重合体ブロックの含有量は20重量%、ブタジエン部のビニル結合量は35重量%、分子量分布は1.1であった。
次に、ポリマー1と同様に水添反応を行い、水添共重合体(以下、ポリマー6と称する)を得た。ポリマー6のMFR(L)は1.0であり、水添率は98%であった。
反応器に供給するモノマー等の量を変え、ポリマー1と同様に共重合体を得た。
n−ブチルリチウムの供給量を0.13重量%とし、1段目に供給するスチレンを12重量部に、2段目に供給するブタジエンを44重量部、スチレンを32重量部に、また3段目に供給するスチレンを12重量部に変えること以外は、同様の方法で重合を行った。得られた共重合体のスチレン含有量は56重量%であり、スチレン重合体ブロックの含有量は24重量%、ブタジエン部のビニル結合量は23重量%、分子量分布は1.1であった。
次に、ポリマー1と同様に水添反応を行い、水添共重合体(以下、ポリマー7と称する)を得た。ポリマー7のMFR(L)は0.8であり、水添率は93%であった。
反応器に供給するモノマー等の量を変え、ポリマー1と同様に共重合体を得た。
n−ブチルリチウムの供給量を0.085重量%とし、1段目に供給するスチレンを2重量部に、2段目に供給するブタジエンを59重量部、スチレンを37重量部に、また3段目に供給するスチレンを2重量部に変えること以外は、同様の方法で重合を行った。得られた共重合体のスチレン含有量は41重量%であり、スチレン重合体ブロックの含有量は4重量%、ブタジエン部のビニル結合量は27重量%、分子量分布は1.1であった。
次に、ポリマー1と同様に水添反応を行い、水添共重合体(以下、ポリマー8と称する)を得た。ポリマー8のMFR(L)は1.0であり、水添率は99%であった。
反応器に供給するモノマー等の量を変え、ポリマー1と同様に共重合体を得た。
n−ブチルリチウムの供給量を0.16重量%とし、1段目に供給するスチレンを22.5重量部に、2段目に供給するブタジエンを52重量部、スチレンを3重量部に、また3段目に供給するスチレンを22.5重量部に変えること以外は、同様の方法で重合を行った。得られた共重合体のスチレン含有量は48重量%であり、スチレン重合体ブロックの含有量は45重量%、ブタジエン部のビニル結合量は20重量%、分子量分布は1.2であった。
次に、ポリマー1と同様に水添反応を行い、水添共重合体(以下、ポリマー9と称する)を得た。ポリマー9のMFR(L)は2.0であり、水添率は98%であった。
反応器に供給するモノマー等の量を変え、TMEDAをn−ブチルリチウム1モルに対して0.8モル添加する以外は、ポリマー1と同様に共重合体を得た。
n−ブチルリチウムの供給量を0.115重量%とし、1段目に供給するスチレンを10重量部に、2段目に供給するブタジエンを72重量部、スチレンを8重量部に、また3段目に供給するスチレンを10重量部に変えること以外は、同様の方法で重合を行った。得られた共重合体のスチレン含有量は28重量%であり、スチレン重合体ブロックの含有量は20重量%、ブタジエン部のビニル結合量は55重量%、分子量分布は1.1であった。
次に、ポリマー1と同様に水添反応を行い、水添共重合体(以下、ポリマー10と称する)を得た。ポリマー10のMFR(L)は1.1であり、水添率は97%であった。
反応器に供給するモノマー等の量を変え、ポリマー1と同様に共重合体を得た。
n−ブチルリチウムの供給量を0.10重量%とし、1段目に供給するスチレンを10重量部に、2段目に供給するブタジエンを65重量部、スチレンを15重量部に、また3段目に供給するスチレンを10重量部に変えること以外は、同様の方法で重合を行った。得られた共重合体のスチレン含有量は35重量%であり、スチレン重合体ブロックの含有量は20重量%、ブタジエン部のビニル結合量は15重量%、分子量分布は1.1であった。
次に、ポリマー1と同様に水添反応を行い、水添共重合体(以下、ポリマー11と称する)を得た。ポリマー6のMFR(L)は0.02であり、水添率は96%であった。
反応器に供給するモノマー等の量を変え、ポリマー1と同様に共重合体を得た。
n−ブチルリチウムの供給量を0.145重量%とし、1段目に供給するスチレンを9重量部に、2段目に供給するブタジエンを60重量部、スチレンを22重量部に、また3段目に供給するスチレンを9重量部に変えること以外は、同様の方法で重合を行った。得られた共重合体のスチレン含有量は40重量%であり、スチレン重合体ブロックの含有量は18重量%、ブタジエン部のビニル結合量は35重量%、分子量分布は1.1であった。
次に、ポリマー1と同様に水添反応を行い、水添共重合体(以下、ポリマー12と称する)を得た。ポリマー12のMFR(L)は15であり、水添率は97%であった。
反応器に供給するモノマー等の量を変え、ポリマー1と同様に共重合体を得た。
n−ブチルリチウムの供給量を0.14重量%とし、1段目に供給するスチレンを14重量部に、2段目に供給するブタジエンを70重量部、スチレンを2重量部に、また3段目に供給するスチレンを14重量部に変えること以外は、同様の方法で重合を行った。得られた共重合体のスチレン含有量は30重量%であり、スチレン重合体ブロックの含有量は28重量%、ブタジエン部のビニル結合量は20重量%、分子量分布は1.1であった。
次に、得られた共重合体に、上記水添触媒を共重合体の重量に対してチタンとして75重量ppm添加する以外は、ポリマー1と同様に水添反応を行い、水添共重合体(以下、ポリマー13と称する)を得た。ポリマー13のMFR(L)は2.0であり、水添率は50%であった。
反応器に供給するモノマー等の量を変え、ポリマー1と同様に共重合体を得た。
n−ブチルリチウムの供給量を0.14重量%とし、1段目に供給するスチレンを31重量部に、2段目に供給するブタジエンを60重量部、スチレンを9重量部に変えること以外は、同様の方法で重合を行った。得られた共重合体のスチレン含有量は40重量%であり、スチレン重合体ブロックの含有量は31重量%、ブタジエン部のビニル結合量は20重量%、分子量分布は1.2であった。
次に、ポリマー1と同様に水添反応を行い、水添共重合体(以下、ポリマー14と称する)を得た。ポリマー14のMFR(L)は1.5であり、水添率は95%であった。
実施例1〜5、比較例1〜9において、下記の要領でアスファルト組成物を製造した。
750ミリリットルの金属缶にストレートアスファルト60−80〔日本国 新日本石油(株)製〕を500g投入し、180℃のオイルバスに金属缶を充分に浸した。次に、溶融状態のアスファルトの中に所定量の水添ジエン系共重合体を攪拌しながら少量づつ投入した。完全投入後5000rpmの回転速度で90分間攪拌してアスファルト組成物を調製した。
5−1)軟化点(リング&ボール法)
JIS−K 2207に準じて、組成物の軟化点を測定した。規定の環に試料を充填し、グリセリン液中に水平に支え、試料の中央に3.5gの球を置き、液温を5℃/minの速度で上昇させたとき、球の重さで試料が環台の底板に触れた時の温度を測定した。
5−2)溶融粘度
160℃でブルックフィールド型粘度計により測定した。
5−3)針入度
JIS−K 2207に準じ、恒温水浴槽で25℃に保った試料に規定の針が5秒間に進入する長さを測定した。
5−4)伸度
JIS−K 2207に準じ、試料を形枠に流し込み、規定の形状にした後、恒温水浴内で15℃に保ち、次に試料を5cm/minの速度で引っ張ったとき、試料が切れるまでに伸びた距離を測定した。
5−5)弾性率
ダイナミックシェアレオメーターによる動的粘弾性を測定し、得られた複素弾性率(G*)と損失正接(tanδ)からバインダのわだち掘れに対する評価指標として弾性率=G*/tanδを求めた。なお、測定装置、測定条件は以下の通り。
・測定装置:Rheometric Scientific社製 ARES
・測定条件
測定温度:60℃
角速度:10rad/sec
測定モード:パラレルプレート(直径50mmφ)
サンプル量:2g
5−6)高温貯蔵安定性(分離特性)
アスファルト組成物製造直後、内径50mm、高さ130mmのアルミ缶に、アスファルト組成物をアルミ缶の上限まで流し込み、180℃のオーブン中で、24時間加熱した。その後、アルミ缶を取り出し自然冷却させた。次に室温まで下がったアスファルト組成物の下端から4cm、上端から4cmを採取し、それぞれ上層部と下層部の軟化点を測定し、その軟化点差を高温貯蔵安定性の尺度とした。軟化点差が小さいほど、高温貯蔵安定性は良好である。
(実施例1〜3)
水添共重合体としてポリマー1,2,3を用い、表2に記載の材料及び配合処方(共重合体は3.5%)に従い、アスファルト組成物を得た。その特性を表2に示す。
(比較例1〜5)
水添共重合体としてポリマー6〜9、14を用い、表3に記載の材料及び配合処方(共重合体は3.5%)に従い、アスファルト組成物を得た。その特性を表3に示す。
(実施例4、5、比較例6〜9)
水添共重合体としてポリマー4、5、10〜13を用い、表4に記載の材料及び配合処方(共重合体は8.0%)に従い、アスファルト組成物を得た。その特性を表4に示す。
Claims (3)
- 水添共役ジエン系共重合体(a)0.5〜50重量部及びアスファルト(b)100重量部を包含するアスファルト組成物であって、
成分(a)が、ビニル芳香族単量体単位からなる重合体ブロック(A)及び共役ジエン単量体単位とビニル芳香族単量体単位とからなる非水添ランダム共重合体ブロックを水添して得られる少なくとも1つの水添共重合体ブロック(B)を包含してなり、さらに、 次の特性(1)〜(7)を有する水添共役ジエン系共重合体であることを特徴とするアスファルト組成物。
(1)ビニル芳香族単量体単位の含有量が、成分(a)に対して30重量%を越え、50重量%以下であり、
(2)成分(A)の含有量が、成分(a)に対して5〜40重量%であり、
(3)非水添ランダム共重合体ブロック中の共役ジエン部分のビニル結合量が,5〜45重量%であり、
(4)成分(a)のMFR(メルトフローレート:L条件)が、0.05〜10であり、(5)成分(B)の二重結合の水添率が、60%以上であり、
(6)成分(a)が、成分(A)を少なくとも2つ有する水添共役ジエン系共重合体であり、
(7)示差走査熱量測定(DSC)チャートにおいて、−20〜80℃の範囲に水添共重合体ブロック(B)に起因する結晶化ピークが実質的に存在しない。 - 成分(a)のMFR(L条件)が0.2〜2であり、成分(A)が成分(a)に対して10〜30重量%である水添共役ジエン系共重合体である請求項1に記載のアスファルト組成物。
- 成分(a)が、官能基を有する原子団が結合している変性水添共重合体である請求項1に記載のアスファルト組成物。
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