JP4686719B2 - スルホン酸基を有する架橋陽イオン交換樹脂膜の製造方法及び該膜よりなる燃料電池用電解質膜 - Google Patents
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Description
本発明は、化学式(1)と類似な反応を用いるものであるが、スルホン酸基は、必ずしも芳香族環に結合するものでなくてもよく、例えばアルキレン基を介して存在していてもよい。
膜サンプル約100mgを乾燥して乾燥重量Wdを測定した後、30℃及び100℃で2〜4時間水に浸漬した。膜サンプルを水から取り出し、手早く表面に付着した水をティシュペーパーでふき取り、膨潤時の膜重量Wsを測定した。吸水率(Water uptake;WU)を次式から求めた。
WU=(Ws‐Wd)/Wd×100%
[耐水性]
膜厚約40μmの膜サンプルを130℃加圧下熱水に192時間浸漬した後、膜形状・強度の観点から、次の5段階で評価した。なおII〜Vで用いたフイルム片は、浸漬処理、風乾後に幅5mm長さ2cmの形状としたものである。
I:膜形状を保持していない。膜が多くの小片に破れている。
II:フイルム片の両端をつかんで(つかみ代が5mm)、折り曲げると膜が破断。
III:折り目の角度が0°となるようにフイルム片を折り目をつけて曲げると破断。
IV:折り目を付けて曲げても破断しないが、基に曲げ戻すと破断。
V:折り目を付けて曲げても、さらに曲げ戻しても破断せず。
また、加圧水浸漬処理した膜を風乾後、60℃、100〜80%RHでプロトン伝導度を測定し、プロトン伝導度の観点から、次の3段階で評価した。
A:処理によりプロトン伝導度は20%以上低下した。
B:5〜19%低下した。
C:実験誤差(±5%)範囲内で変化しなかった。
[機械的強度]
膜厚約30μmの膜サンプル(幅5mm、長さ4cm)を(株)オリエンテック製のテンシロン万能試験機(RTC−1150A、ロードセルUR−50N−D)を用いて引っ張り試験を行った。測定は、未処理膜及び130℃加圧下熱水に48時間と192時間浸漬した後風乾した膜について行った。
[プロトン伝導度]
プロトン伝導度測定セルに膜シート(1.0cm×0.5cm)と4枚の白金黒電極板をとりつけ、温度制御した水中または温度・湿度制御したチャンバー内にセットし、日置電気(株)製のLCRメーター(HIOKI3552‐80)を用いて、100Hzから100kHzの周波数範囲で複素インピーダンス法により電気抵抗Rを測定し、プロトン伝導度σを次式から計算した。
s=d/(ts ws R)
ここで、dは2電極間距離(0.5cm)、tsとwsは、室温で70%RHにおける膜シートの厚さと幅である。水中でのプロトン伝導度の計算には、水中でのtsとws値を用いた。
NTDA:1,4,5,8、‐ナフタレンテトラカルボン酸二無水物
BAPBDS:4,4’‐ビス(4‐アミノフェノキシ)ビフェニル−3,3’‐ジスルホン酸
mBAPBDS:4,4‘−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル−3,3’−ジスルホン酸
2,2’‐BSPB:2,2’‐ビス(3‐スルホプロポキシ)ベンジジン
2,2‘−BSPOB:2,2’−ビス(4−スルホフェノキシ)ベンジジン
DASSPB:3,5−ジアミノ−3‘−スルホ−4’−(4−スルホフェノキシ)ベンゾフェノン
BAPB:4,4‘−ビス(4−アミノフェノキシ)べンジジン
BAPBz:1,3‐ビス(4‐アミノフェノキシ)ベンゼン
SDCDPS:3,3‘−ジスルホ−4,4’−ジクロロジフェニルスルホン
DCDPS:4,4’−ジクロロジフェニルスルホン
DPE:4,4‘−ジヒドロキシジフェニルエーテル
TEA:トリエチルアミン
NMP:N‐メチルピロリドン
DMAc:N,N−ジメチルアセトアミド
DMSO:ジメチルスルホキシド
特開2003−68326号公報に記載されている方法で、4,4’−ビス(4‐アミノフェノキシ)ビフェニル‐3,3’‐ジスルホン酸(BAPBDS)を合成した。スルホン化ジアミンとしてBAPBDSを、非スルホン酸ジアミンとして1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン(BAPBz)を用い、乾燥した100mlの四口フラスコ中で2.241g(4.24ミリモル)のBAPBDSと1.43mlのトリエチルアミン(TEA)を21mlのm−クレゾールに加えて溶かし、次いで、0.620g(2.12ミリモル)のBAPBzを添加して溶かした後、1.702g(6.36ミリモル)の1,4,5,8-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物(NTDA)及び1.08gの安息香酸を加え、窒素ガス雰囲気下で混合物を80℃で4時間そして180℃で20間攪拌し、重合反応液を80℃まで冷却後、45mlのm‐クレゾールを加え希釈後、多量のアセトンに投入し、析出した固体を濾別し、アセトン洗浄後乾燥した。得られた生成物の溶液粘度ηSP/c(溶媒:m−クレゾール;0.5wt%;35℃)は2.8dl/gであった。生成物をm−クレゾールに溶解し、6wt%の溶液をガラス板上に流延し、100℃で1時間そして120℃で10時間乾燥して、TEA塩型の共重合スルホン化ポリイミド膜を得た。これをメタノールに1日間浸漬し、次いで1M硫酸溶液に30℃で3日間浸漬しプロトン交換した後、水洗し、超純水に3日間浸漬した後風乾し、最後に真空中150℃で1時間次いで180℃で1時間キュアリングして、膜厚約45μmのプロトン型のランダム共重合スルホン化ポリイミドNTDA‐BAPBDS/BAPBz(2/1)‐r膜を得た。
特開2004−155998号公報に記載されている方法で、2,2’‐ビス(3‐スルホプロポキシ)ベンジジン(2,2’‐BSPB)を合成した。スルホン化ジアミンとして2,2’‐BSPBを、非スルホン化ジアミンとして4,4‘−ビス(4−アミノフェノキシ)べンジジン(BAPB)を用いる以外、実施例1と同様に重合して、ランダム共重合スルホン化ポリイミドNTDA‐2,2’‐BSPB/BAPB(2/1)‐rを得た。得られた生成物の溶液粘度は6.0dl/gであった。これを、実施例1と同様に、キャスト製膜して、スルホン化ポリイミドNTDA‐2,2’‐BSPB/BAPB(2/1)‐r膜を得た。
文献、ポリマー プレプリント ジャパン、第54巻1434頁(2005)に記載されている方法で、2,2’−ビス(4−スルホフェノキシ)ベンジジン(2,2‘−BSPOB)を合成した。スルホン化ジアミンとして2,2’‐BSPOBを、非スルホン化ジアミンとしてBAPBを用いる以外、実施例1と同様に重合して、ランダム共重合スルホン化ポリイミドNTDA‐2,2’‐BSPOB/BAPB(2/1)‐rを得た。得られた生成物の溶液粘度は4.0dl/gであった。これを、実施例1と同様に、キャスト製膜して、ランダム共重合スルホン化ポリイミドNTDA‐2,2’‐BSPOB/BAPB(2/1)‐r膜を得た。
文献、ポリマー 第42巻359−373頁(2001)とジャーナル ポリマー サイエンス、ポリマー ケミストリー 第42巻1432−1440頁(2004)に記載されている方法により、4,4‘−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル−3,3’−ジスルホン酸(mBAPBDS)を合成した。mBAPBDSを用い非スルホン酸ジアミンを用いない以外は実施例1と同様に重合して、スルホン化ポリイミドNTDA‐mBAPBDSを得た。溶液粘度は2.0dl/gであった。生成物ポリマーとポリマー重量の2wt%のフェニルエーテルをm−クレゾールに溶解し、ガラス板上に流延し、実施例1と同様に製膜そして後処理して、少量のフェニルエーテル含有スルホン化ポリイミドNTDA‐mBAPBDS膜を得た。
架橋処理前の膜は、m−クレゾール中で大きく膨潤し、TEA含有m−クレゾールに可溶であったが、架橋処理後の膜は溶媒に不溶であり、膨潤もしなかった。
文献、ポリマー プレプリント ジャパン、第53巻4766−4767頁(2004)に記載されている方法で、3,5−ジアミノ−3‘−スルホ−4’−(4−スルホフェノキシ)ベンゾフェノン(DASSPB)を合成した。乾燥した100mlの四口フラスコ中で1.670g(3.6ミリモル)のDASSPBと2.1mlのTEAを24mlのm−クレゾールに加えて溶かした後、1.287g(4.8ミリモル)のNTDA及び1.53gの安息香酸を加え、窒素ガス雰囲気下で混合物を80℃で4時間そして180℃で5時間攪拌した。重合反応液を室温まで冷却後、15mlのm‐クレゾール、0.701g(2.4ミリモル)のBAPBz、0.536g(2.0ミリモル)のNTDAそして0.51gの安息香酸を加え、反応液を80℃で4時間それから180℃で15時間攪拌した。反応液を室温まで冷却後、多量のアセトンに投入し、析出した固体を濾別し、アセトン洗浄後乾燥した。得られた生成物の溶液粘度は0.8dl/gであった。これを、実施例1と同様に、キャスト製膜して、シークエンス化ブロック共重合スルホン化ポリイミドNTDA−DASSPB/BAPBz(3/2)−s膜を得た。
文献、ジャーナル ポリマー サイエンス、ポリマー ケミストリー 第41巻2264−2276頁(2003)に記載されている方法により、3,3‘−ジスルホ−4,4’−ジクロロジフェニルスルホン(SDCDPS)を合成し、次いで、SDCDPS2ミリモルと4,4’−ジクロロジフェニルスルホン(DCDPS)4ミリモルを4,4‘−ジヒドロキシジフェニルエーテル(DPE)6ミリモルと縮重合して、ポリマー生成物を得た。生成ポリマーの溶液粘度(溶媒:DMAc;0.5wt%;35℃)は1.5dl/gであった。生成物をDMAcに溶解し、7wt%の溶液をガラス板上に流延し、100℃で1時間そして120℃で10時間乾燥して、Na塩型の共重合スルホン化ポリマー膜を得た。これを1M硫酸溶液に30℃で3日間浸漬しプロトン交換した後、水洗し、超純水に3日間浸漬した後風乾し、最後に真空中150℃で10時間キュアリングしてプロトン型のランダム共重合スルホン化ポリアリルエーテルスルホンDPE−SDCDPS/DCDPS(1/2)−r膜を得た。
SDCDPS/DCDPSのモル比を2/3にした以外は、実施例6と同様にし、重合して、ポリマー生成物を得た。生成ポリマーの溶液粘度は2.2dl/gであった。生成物をDMAcに溶解し、実施例5と同様に製膜して、プロトン型のランダム共重合スルホン化ポリアリルエーテルスルホンDPE−SDCDPS/DCDPS(2/3)−r膜を得た。
(膜の評価結果)
上記実施例で調整した架橋処理前の未架橋膜と架橋処理後の架橋膜の耐水性、吸水性、プロトン伝導性を評価した。その結果を表1に示す。また、実施例2と3の未架橋膜と架橋膜の耐水性試験前後での膜の引っ張り試験と曲げ試験の結果を表2に示す。
Claims (9)
- スルホン酸基を有する高分子化合物と、分子中に水素原子を結合した電子密度の高い炭素原子を有する物質とを脱水剤溶液を用いて、該スルホン酸基と該水素原子から脱水反応させることを特徴とする架橋陽イオン交換樹脂膜の製造方法。
- 分子中に水素原子を結合した電子密度の高い炭素原子を有する物質が、電子供与性基が結合している芳香族環である、請求項1記載の架橋陽イオン交換樹脂膜の製造方法。
- 脱水剤として、濃リン酸、ポリリン酸及び溶媒に溶解した五酸化リンから選ばれる少なくとも1種の化合物を用いることを特徴とする請求項1又は2記載の架橋陽イオン交換樹脂膜の製造方法。
- 溶媒に溶解した五酸化リンが、メタンスルホン酸に溶解した五酸化リンである請求項3記載の架橋陽イオン交換樹脂膜の製造方法。
- スルホン酸基を有する高分子化合物が、分子中に水素原子を結合した電子密度の高い炭素原子を有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかの項に記載の架橋陽イオン交換樹脂膜の製造方法。
- スルホン酸基を有する高分子化合物と分子中に水素を結合した電子密度の高い炭素を2個以上有する化合物とを脱水反応により結合させる請求項1乃至3のいずれかの項に記載の架橋陽イオン交換樹脂膜の製造方法。
- スルホン酸基を有する高分子化合物がポリフェニレン、ポリエーテル、ポリスルフィド、ポリエーテルケトン、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリベンゾオキサゾール、及びポリイミドのうち少なくとも1種の高分子化合物である請求項1乃至4のいずれかの項に記載の架橋陽イオン交換樹脂膜の製造方法。
- 電子供与性基が、−O−、−S−、アルキル、アルキレン、アリール及びアリーレンのうちから選ばれる少なくとも1種である請求項2記載の架橋陽イオン交換樹脂膜の製造方法。
- 請求項1乃至7のいずれかの項に記載の架橋陽イオン交換樹脂膜よりなる燃料電池用電解質膜。
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