JP4685683B2 - 磁気エンコーダおよびその製造方法 - Google Patents

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Description

この発明は、回転体の回転数(回転速度)を検出する際に用いられる磁気エンコーダ、たとえば自動車の車輪の回転数を検出する装置や相対回転する軸受部の回転数検出装置などに使用される磁気エンコーダおよびその製造方法に関する。
従来、自動車の車輪の回転速度を検出するための回転速度検出装置に採用される磁気エンコーダにおいてアキシャルタイプのものは、円環状の補強用芯金と、その芯金の一面に設けられ、かつ周方向に多極に着磁された磁石からなる円環状のスケールと、を備えている。
この磁気エンコーダが、回転部位としての回転軸の端部に固定される一方、磁場の変化を検出するセンサが、磁気エンコーダの円環状スケールに対向するように近接配置される。そして回転する磁気エンコーダの円環状スケールから生じる磁場の変化をセンサにより感知させて、回転速度を検出するようにしている。
従来、上記のような磁気エンコーダにおける円環状スケールとしては下記特許文献1などに示すように、ゴム磁石材料が多く使用されている。
ゴム磁石材料は、合成ゴムなどのゴム材料にたとえば、フェライトなどの磁性粉末を分散配合させたもの(磁性ゴム材料)が一般に使用されている。
すなわちこの磁性ゴム材料を加硫成形して、円周方向にN極とS極とが交互になるように多極に着磁させて円環状のスケール成形体を作製し、そのスケール成形体を芯金の一面に、接着剤を介して焼付け固定して、磁気エンコーダを作製するものである。
一方、磁気エンコーダの技術分野、特に自動車用のものでは、検出精度の向上、生産性の向上およびコストの削減などが可及的に追求されている。その対策の一つに、磁気エンコーダの円環状スケールを構成する材料として、従来より広く一般に使用されているゴム磁石に代えて、下記特許文献2に示すようにプラスチック磁石材料を用いる技術が検討されている。
プラスチック磁石は、ゴム磁石に比べて、磁場成形による磁粉の配向率が高いため、磁力が大きく検出精度の向上を期待できるとともに、熱成形などによって効率良く製造できるため、生産性の向上も大いに期待することができる。
特開平11−281659号 特開2005−315782号(特許請求の範囲)
ところで、自動車の車輪回転数検出装置は、高温、低温および泥水中の環境下や、凍結防止用の高塩分中の環境下などの過酷な条件下で使用される。たとえば寒冷地においては停車時に−40℃程度の極低温に曝される場合があり、逆に運転時にはエンジンからの伝熱や軸受の回転昇温などの影響により120℃程度の高温に曝されることもある。
このように自動車用の磁気エンコーダは、過酷な温度環境下においても使用されるが、磁気エンコーダにおける円環状のスケール成形体としてのプラスチックは、芯金としての金属に対し熱膨張率が大きい上、ゴムとは異なり伸縮性にも劣るため、上記過酷な温度環境下においては両者の熱膨張の相違によってプラスチック製スケール成形体に多大な変形応力が作用して、スケール成形体に亀裂が生じたり、密着性が低下して場合によっては、芯金から剥離、脱落するという問題があった。
一方、プラスチック磁石材料を芯金に接合固定するには、芯金をインサート部材とするインサート成形法や、あるいは、プラスチック磁石材料を予め円環状に熱成形して独立状態のスケール成形体を作製しておき、そのスケール成形体を接着剤により芯金に接着固定する方法が一般に採用される。
しかしながらいずれの方法においても、プラスチック磁石材料を芯金に接着剤を介して接合するものであるため、接着剤の塗布作業が必要となりその分、工程数が増加して、生産性の低下およびコストの増大を来すという問題があった。
さらに芯金に接着剤を塗布してインサート成形を行う場合には、上記過酷な温度環境の悪影響に加えて、熱成形直後に成形収縮によってプラスチック磁石材料(スケール成形体)に内部応力も発生するため、スケール成形体の亀裂や剥離を助長させるおそれがあった。
なおプラスチック磁石材料の芯金に対する接着性を向上させるために、特殊な改質材を配合する対策や、特殊な接着剤を使用する対策も提案されているが、これらの対策はいずれもコストの増大を来すため、現状では採用することは困難である。
この発明は、上記従来技術の問題を解消し、プラスチック磁石製スケール成形体の芯金に対する密着強度を十分に確保できるとともに、成形体に亀裂や割れなどが発生するのを防止でき、さらに生産効率良く安価に製造することができる磁気エンコーダおよびその製造方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明は下記の手段を提供する。
[1] 円環状の芯金と、前記芯金の一面に設けられ、かつ周方向に多極に着磁されたプラスチック磁石材料により構成される円環状のスケール成形体と、を備えた磁気エンコーダであって、
前記芯金の一面に、径方向に沿って延び、かつ内径方向に開口する放射溝が周方向に並んで複数形成され、
前記放射溝内に充填されたプラスチック磁石材料によって構成される充填成形部が、前記スケール成形体と一体に形成されたことを特徴とする磁気エンコーダ。
[2] 前記芯金および前記スケール成形体間に接着剤が設けられない前項1に記載の磁気エンコーダ。
[3] 前記放射溝の側壁内面が、前記芯金の中心から放射状に延びる仮想の放射線上に配置されて、前記放射溝の幅が内径方向に向かうに従って細くなるように形成される前項1または2に記載の磁気エンコーダ。
[4] 前記放射溝の側壁内面に、前記スケール成形体が軸心方向へ剥離するのを防止するための剥離防止用突出部が設けられる前項1〜3のいずれか1項に記載の磁気エンコーダ。
[5] 前記芯金の外周縁部に、前記スケール成形体の外周端面に係止して、前記スケール成形体が軸心方向へ剥離するのを防止するための立ち上がり片が設けられる前項1〜4のいずれか1項に記載の磁気エンコーダ。
[6] 前記スケール成形体の内周部にプラスチック磁石材料により構成される回り込み成形部が一体に形成されるとともに、その回り込み成形部が前記芯金の一面から内周端縁を通って前記芯金の他面に回り込むよう配置される前項1〜4のいずれか1項に記載の磁気エンコーダ。
[7] 円環状の芯金と、前記芯金の一面に設けられ、かつ周方向に多極に着磁されたプラスチック磁石材料により構成される円環状のスケール成形体と、を備えた磁気エンコーダを製造するための方法であって、
一面に、径方向に沿って延び、かつ内径方向に開口する放射溝が周方向に並んで複数形成された円環状の芯金を得る工程と、
プラスチック磁石材料を成形材料とし、前記芯金をインサート部材として、磁場内で射出成形を行うことにより、前記放射溝内に充填された成形材料により充填成形部を形成するとともに、その充填成形部を一体に有する前記スケール成形体を形成して、磁気エンコーダを得る工程と、を含むことを特徴とする磁気エンコーダの製造方法。
上記発明[1]における磁気エンコーダによれば、芯金の一面に放射溝を複数形成し、芯金一面にスケール成形体を形成するとともに、放射溝内にスケール成形体と一体に充填成形部を形成するものであるため、スケール成形体が充填成形部を介して放射溝に構造的に固定される。このためスケール成形体が芯金に対し、剥離したり位置ずれするのを有効に防止でき、十分な強度に密着固定することができる。
さらに本発明は、芯金に、径方向に延びかつ内径方向に開口する放射溝を形成し、その放射溝に充填樹脂部を充填形成するものであるため、芯金およびスケール成形体の熱膨張差に起因する亀裂や割れの発生を防止することができる。すなわちスケール成形体が芯金に対し収縮/膨張した際に、スケール成形体は相似形状を保って、径方向に沿って全体的に収縮/膨張するため、放射溝内の充填成形部は、スケール成形体の収縮/膨張に伴って、放射溝に沿って径方向に移動する。そしてこの移動によってスケール成形体や充填樹脂部に応力が集中して発生するのを防止でき、スケール成形体に亀裂や割れなどの不具合が発生するのを防止することができる。
また本発明の磁気エンコーダは、インサート成形などの量産可能な熱成形によって製造できるため、生産効率の向上およびコストの削減を図ることができる。
上記発明[2]における磁気エンコーダによれば、接着剤を用いずに、芯金にスケール成形体を被覆成形するものであるため、接着剤を塗布する工程を省略できる分、生産効率をより一層向上できるとともに、コストをさらに削減することができる。
上記発明[3]における磁気エンコーダによれば、放射溝の溝幅を内径方向に向かうに従って細くなるように形成しているため、たとえばスケール成形体の収縮時には、充填成形部はその幅を狭めるように変形しつつ、放射溝に沿って径方向内側に無理なくスムーズに変位していく。逆にスケール成形体の膨張時には、充填成形部はその幅を広げるように変形しつつ、放射溝に沿って径方向外側に無理なくスムーズに変位していく。このようにケール成形体の収縮/膨張時時に、充填成形部は放射溝に沿って無理なくスムーズに移動するため、充填成形部、ひいてはスケール成形体に多大な応力が発生するのを防止でき、スケール成形体に亀裂や割れなどの不具合が発生するのをより一層確実に防止することができる。
上記発明[4]における磁気エンコーダによれば、放射溝の側壁内面に剥離防止用突出部を設けるものであるため、放射溝内の充填成形部が剥離防止用突出部に係止することにより、スケール成形体が芯金に対し軸心方向に剥離するのを、より確実に防止することができ、より安定した状態にスケール成形体を芯金に密着固定することができる。
上記発明[5]における磁気エンコーダによれば、芯金外周縁部に立ち上がり片を設けて、その立ち上がり片にスケール成形体の外周端面に係止させるものであるため、スケール成形体の軸心方向への剥離を、より一層確実に防止することができ、スケール成形体を芯金に、より一層安定した状態に密着接合することができる。
上記発明[6]における磁気エンコーダによれば、スケール成形体と一体に形成された回り込み成形部を、芯金の一面内周部から他面内周部に回り込ませるように形成しているため、この回り込み成形部が、芯金に係合することによって、スケール成形体が芯金に対し軸心方向に剥離するのを防止することができ、スケール成形体の剥離を、なお一層確実に防止できて、なお一層安定した状態に密着接合することができる。
上記発明[7]は、上記発明[1]の構成を有する磁気エンコーダを製造する方法の一形態を特定するものであるため、上記と同様の作用効果を有する磁気エンコーダを製造することができる。
<第1実施形態>
図1および図2はこの発明の第1実施形態である磁気エンコーダ(1)を示す図で、図3〜7はそのエンコーダ(1)に適用された芯金部材(10)を示す図である。これらの図に示すように、本第1実施形態の磁気エンコーダ(1)は、略円環状の芯金部材(10)と、プラスチック磁石材料からなる円環状のスケール成形体(40)とを備えている。
芯金部材(10)は、円環板状の芯金(20)と、その芯金(20)の外周縁部に立ち上がり状に設けられる円筒状の取付片(30)とを一体に有する金属製のプレス成形品をもって構成されている。
この芯金部材(10)はたとえば、磁性を有する鋼板などの金属板に打ち抜き加工、絞り加工などのプレス加工を施して形成される。
また芯金部材(10)の材料としては、上記プラスチック磁石材料との吸着性が必要であることや、磁石材料との磁気特性を低下させないために、磁性を有する金属材料が使用される。特にプレス加工での成形性も考慮すると、冷間圧延鋼板(SPCC)などの低炭素鋼板を芯金部材(10)の材料として使用するのが好ましい。
芯金部材(10)における円環状の芯金(20)の一面には、径方向に沿って延びる放射溝(21)が、周方向に所定のピッチで均等に多数並んで形成されている。
この放射溝(21)は、矩形状の断面形状を有しており、内径方向の端部が内側に開放されるとともに、外径方向の端部は、芯金(20)の外周縁部よりも内側に配置されることにより、外側に対し閉塞されている。
さらに図6および図7に示すように、放射溝(21)は、その両側壁内面(22)が、芯金(20)の中心(C)から放射状に延びる仮想の放射線(L)に一致するように配置されて、放射溝(21)の幅が内径方向に向かうに従って漸次細くなるように形成されている。このように放射溝(21)は、両側壁内面(22)がテーパ状に形成されて、図7に示す平面視において略台形溝ないし扇形溝の形態に形成されている。
また本実施形態において、放射溝(21)の数を、後述のスケール成形体(40)のN極およびS極の合計数と同数に設定する場合には、放射溝(21)の形成による磁気特性への影響が均一化されるので、好ましい。
放射溝(21)の形成方法は、特に限定されるものではなく、切削加工、プレス加工、放電加工などを用いることができ、中でも量産性を考慮すると、プレス加工を用いるのが好ましい。
プレス加工により放射溝(21)を形成する場合、溝(21)の形状に対応した凸部が、周方向に沿って多数均等に配置されたパンチ金型を用いることによって、一度のプレス加工で全ての放射溝(21)を同時に形成できる。この場合、鋼板などの金属板製の円環状芯金(20)を、一対のパンチによって上下から挟み込むようにして、パンチ金型を食い込ませて押圧加工(コイニング加工)して形成するものである。
なお後に詳述する第2変形例のように、放射溝(21)を半抜き加工によって形成してても良い。
放射溝(21)の溝深さは、コイニング加工による場合、芯金(20)の厚みに対し25〜50%に設定するのが好ましい。すなわち放射溝(21)が浅過ぎる場合には、後述するようにスケール成形体(40)を構成するプラスチック磁石材料を溝(21)内に十分に充填させて絡みつけることができず、スケール成形体(40)の芯金(20)に対する密着強度が低下するおそれがある。逆に放射溝(21)が深過ぎる場合には、加工度合が大きくなり、反りや変形などが生じて、寸法精度が低下するおそれがある。
図1および図2に示すように、芯金(20)の一面には、プラスチック磁石材料により構成される円環状スケール成形体(40)が形成されている。
さらにスケール成形体(40)の内周部には、プラスチック磁石材料により構成される回り込み成形部(41)がスケール成形体(40)と一体に形成される。この回り込み成形部(41)は、芯金一面の内周縁部から芯金内周端縁を通って他面の内周縁部にかけて配置されている。
さらに各放射溝(21)内には、プラスチック磁石材料により構成される充填成形部(42)がスケール成形体(40)と一体に形成されている。
本実施形態において、成形部(41)(42)を含めてスケール成形体(40)を構成するプラスチック磁石材料は、磁性粉末に結合剤(バインダー)としてプラスチック材料を混合した樹脂組成物によって構成される。
磁性粉末としては、ストロンチウムフェライトやバリウムフェライトなどのフェライト系磁性粉末の他、ネオジム系、サマリウム系などの希土類磁性粉末が好適に使用される。
磁性粉末のバインダーとして用いられるプラスチック材料としては、射出成形用の熱可塑性樹脂材料が用いられる。なお言うまでもなく、使用する樹脂材料は、強度、耐熱性、耐薬品性、磁気特性などの性質や、成形性、配合性、コストなどを考慮して適宜選定されるものである。たとえば本実施形態では、ポリアミド6(PA6)、ポリアミド12(PA12)、ポリアミド612(PA612)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)などの樹脂材料を好適に使用することができる。
本実施形態において、プラスチック磁石材料中における磁性粉末の含有量は、45〜75体積%に設定するのが好ましい。すなわち磁性粉末の含有量が少過ぎる場合には、磁気特性に劣り多極磁化が困難となり、後述する回転速度検出時における検出精度の低下を来すおそれがある。逆に磁性粉末の含有量が多過ぎる場合には、相対的にバインダー樹脂の配合量が少なくなり、熱成形が困難になるとともに、成形体強度も低下するおそれがある。
本実施形態においては、上記プラスチック磁石材料を用いてインサート成形することによって、磁気エンコーダ(1)を製作するものである。すなわち上記のプラスチック磁石材料を成形材料とし、上記の芯金部材(10)をインサート部材として接着剤を用いずに、磁場内で射出成形を行う。これにより図1および図2に示すように、芯金(20)の一面から内周端縁を通って他面の内周縁部に至る領域に、プラスチック磁石材料により構成されるスケール成形体(40)および回り込み成形部(41)が一体に形成されるとともに、芯金(20)の各放射溝(21)内に、プラスチック磁石材料により構成される充填樹脂部(42)が、スケール成形体(40)と一体に形成される。
こうして得られたインサート成形品に対し、脱磁を行った後、別途準備した着磁装置を用いて所定の多極磁化を行うことにより、図2に示すように、プラスチック磁石材料のスケール成形体(40)を、周方向にN極とS極とが交互になるように多極に着磁する。これにより磁気エンコーダ(1)が製造される。
この磁気エンコーダ(1)を転がり軸受などの回転速度検出装置として用いる場合には、芯金部材(10)の円筒状取付片(30)を、軸受内輪などの回転軸部に外嵌状態に圧入固定する一方、磁場の変化を検出するセンサ(図示省略)を、磁気エンコーダ(1)のスケール成形体(40)に対向させるように近接配置する。そして回転軸部と同期して回転する磁気エンコーダ(1)のスケール成形体(40)から生じる磁場の変化を上記センサにより感知させて、回転速度を検出するものである。
以上のように本実施形態の磁気エンコーダ(1)によれば、芯金(20)の一面に、径方向に延びる放射溝(21)を周方向に所定のピッチで多数形成して、芯金一面にプラスチック磁石製のスケール成形体(40)を形成するとともに、各放射溝(21)内に、プラスチック磁石製の充填成形部(42)をスケール成形体(40)と一体に形成するものであるため、スケール成形体(40)が充填成形部(42)を介して放射溝(21)に機械的に固定される。このためスケール成形体(40)が芯金(20)に対し、軸心方向に剥離したり、周方向へ位置ずれするのを有効に防止でき、優れた密着性能を得ることができる。特にスケール成形体(40)は磁気吸着によっても芯金(20)に密着するため、この磁気吸着作用も相まって、軸心方向への剥離をより確実に防止することができる。
さらに本実施形態においては、スケール成形体(40)と一体に形成された回り込み成形部(41)を、芯金(20)の一面内周部から他面内周部に回り込ませるように形成しているため、この回り込み成形部(41)が、芯金(20)に係合することによっても、スケール成形体(40)が芯金(20)に対し軸心方向に剥離するのを防止することができ、スケール成形体(40)の剥離を一層確実に防止できて、安定状態に密着接合することができる。
また本実施形態においては、磁気エンコーダ(1)を、インサート成形などの量産可能な熱成形によって製造するものであるため、生産効率を向上できるとともに、コストを削減することができる。
さらに本実施形態においては、接着剤を用いずに、インサート成形して芯金(20)にスケール成形体(40)を被覆成形するものであるため、接着剤を塗布する工程を省略でき、その分、生産効率をより一層向上できるとともに、コストをより一層削減することができる。
また本実施形態においては、回り込み成形部(41)および充填成形部(42)を含むスケール成形体(40)と、芯金(20)との熱膨張率の相違による不具合を確実に防止することができる。すなわち温度環境変化や、熱成形直後の成形収縮によって、スケール成形体(40)が芯金(20)に対し成形後に大きく収縮した場合、スケール成形体(40)が芯金(20)に追従できずスケール成形体(40)に亀裂や剥離が生じるおそれがある。そこで本実施形態の磁気エンコーダ(1)においては、芯金(20)に、径方向に延びかつ内径方向に開口する放射溝(21)を、周方向に所定のピッチで多数形成し、その放射溝(21)に充填樹脂部(42)を形成するものであるため、スケール成形体(40)が芯金(20)に対し収縮したとしても、スケール成形体(40)は全体的に径寸法が小さくなるように相似形状を保って収縮する。つまりスケール成形体(40)は、径方向に沿って全体的に収縮するため、放射溝(21)内の充填成形部(42)は、スケール成形体(40)の収縮に伴って、放射溝(21)に沿って内径方向に移動する。この移動によって熱膨張差が無理なく吸収されるため、スケール成形体(40)や充填樹脂部(42)に応力が集中して発生することがなく、スケール成形体(40)などに亀裂や割れなどの不具合が発生するのを確実に防止することができる。
逆に温度環境変化などによって、スケール成形体(40)が芯金(20)に対し膨張した場合には、スケール成形体(40)が径方向に全体的に膨張するため、放射溝(21)内の充填成形部(42)は、スケール成形体(40)の膨張に伴って、放射溝(21)に沿って外径方向に移動して、熱膨張差が無理なく吸収される。このためスケール成形体(40)や充填樹脂部(42)に応力が集中して発生することがなく、スケール成形体(40)などに亀裂や割れなどの不具合が発生するのを確実に防止することができる。
ここで本実施形態において、放射溝(21)内の充填成形部(42)における収縮時の挙動や寸法変化について詳細に説明する。まず図8に示すように本実施形態のスケール成形体(40)を構成するプラスチック磁石材料の熱膨張係数を「α」、放射溝(21)の総数を「2n」として、「Δt」の温度変化によって、円環状スケール(40)の直径が「φD」から「φd」に小さくなったとき、以下の(1)式の関係が成立し、その(1)式から(2)式が導き出される。
D−d=αD・Δt…(1)
d=D−αD・Δt…(2)
また放射溝(21)内の充填成形部(42)において、「Δt」の温度変化による収縮前の外周端縁の幅を「A」、収縮後の外周端縁の幅を「a」としたとき、以下の(3)(4)式の関係が成立する。ただしこれらの式においては、発明の理解を容易にするため、充填成形部(42)の外周端縁の幅寸法は円弧線上の距離にほぼ等しいものとし、隣合う放射溝(21)間の隙間は「0」として計算する。
A=π・D/2n…(3)
a=π・d/2n…(4)
さらに(2)式と(4)式とから、以下の(5)式が導き出される。
a=πD(1−α・Δt)/2n…(5)
そして(3)〜(5)式から、充填成形部(42)の外周端縁幅の収縮率(A−a)/Aを求めると、以下の(6)式が導き出される。
(A−a)/A=(A−π・D(A−a)/AD(1−α・Δt)/2n)/A
=1−(π・D/2n)(2n/π・D)(1−α・Δt)
=1−(1−α・Δt)
=α・Δt…(6)
さらに(1)式と(6)式とを比較すると、スケール成形体(40)における直径方向の収縮率(D−d)/Dと、充填成形部(42)の外周端縁幅の収縮率(A−a)/Aとは等しいことが判る。
つまりスケール成形体(40)が収縮する場合、充填成形部(42)の両側面は、その両側面とスケール成形体(40)の中心(C)とを結ぶ仮想の放射線(L)に沿って内径方向に変位するように収縮変形するものである。
そこで本実施形態においては既述したように、放射溝(21)の両側壁内面(22)を、芯金(20)の中心(C)から放射状に延びる仮想の放射線(L)上に配置させて、放射溝(21)の溝幅を内径方向に向かうに従って漸次細くなるように形成しているため、スケール成形体(40)が収縮した際に、充填成形部(42)はその幅を狭めるように変形しつつ、放射溝(21)に沿って径方向内側に変位していく。このようにケール成形体(40)の収縮時に、充填成形部(42)は放射溝(21)に沿って無理なくスムーズに移動するため、充填成形部(42)、ひいてはスケール成形体(40)に多大な応力が発生するのを防止でき、スケール成形体(40)に亀裂や割れなどの不具合が発生するのをより確実に防止することができる。
また逆にスケール成形体(40)が芯金(20)に対し膨張する場合には、充填成形部(42)は、その幅を広げるように変形しつつ、放射溝(21)に沿って径方向外側に変位していく。従ってスケール成形体(40)の膨張時においても上記と同様、充填成形部(42)、ひいてはスケール成形体(40)に多大な応力が加わることがなく、亀裂や割れなどの不具合が発生するのを確実に防止することができる。
なお放射溝(21)の側壁内面(22)を放射線(L)に沿って形成する場合、放射溝(21)の形成数が多いと、放射溝(21)の内端幅と外端幅との寸法差が小さく、側壁内面(22)の傾斜も緩くなる。このため放射溝(21)の形成数が多い場合には、溝(21)の側壁内面(22)を放射線(L)上に配置せずに、放射溝(21)の内端幅と外端幅とが等しくて、溝幅が一定の平行溝形態に形成するようにしても良い。
具体的には、放射溝(21)の形成数が30以下の場合には、放射溝(21)の側壁内面(22)を放射線(L)上に配置して、側壁内面(22)を傾斜させるのが良い。
また本実施形態のように放射溝(21)を等間隔に形成する場合、溝数が多い方が、各溝内の樹脂充填部(42)の収縮量が小さくなるため、収縮時の応力を小さくでき、亀裂や剥離が発生するのを、より確実に防止することができる。
<第1変形例>
図9および図10はこの発明の第1変形例である磁気エンコーダの芯金部材(10)を示す斜視図である。両図に示すように、本実施形態では、芯金部材(10)における芯金(20)の放射溝(21)がアリ溝状に形成されている。すなわち、放射溝(21)における両側壁内面(22)が内側に傾斜する傾斜面に形成されて、放射溝(21)の開口幅に溝底幅よりも狭く形成されている。そして放射溝(21)における両側壁の開口縁部が、溝内側に突出する剥離防止用突出部(25)として構成されている。その他の構成は、上記実施形態と同様である。
この構成の芯金部材(10)を用いた磁気エンコーダにおいては、放射溝(21)内の充填成形部(42)が、剥離防止用突出部(25)に係止するため、スケール成形体(40)が芯金(20)に対し放射溝(21)の開口方向、つまり軸心方向に剥離するのを、より確実に防止することができ、より安定した状態にスケール成形体(40)を芯金(20)に密着固定することができる。
なおこの第1変形例においては、放射溝(21)の長さ方向に連続して剥離防止用突出部(25)を形成しているが、それだけに限られず、本発明においては、放射溝(21)内の一部に剥離防止用突出部を形成するようにしても良い。
また本発明において、放射溝(21)の側壁側面に剥離防止用突出部(25)を形成する場合、その形成方法としてはたとえば、芯金(20)の一面側における放射溝間の平坦部をプレス加工により部分的に押圧することにより、押された肉を溝方向に移動させて、剥離防止用突出部(25)を形成する方法を採用することができる。
<第2変形例>
図11はこの発明の第2変形例である磁気エンコーダ(1)の一部を示す斜視図、図12は第2変形例に適用された芯金部材(10)の一部を示す斜視図である。両図に示すように、この第2変形例においては、芯金部材(10)の芯金(20)における放射溝(21)を半抜き加工により形成するものである。すなわち上記実施形態において、放射溝(21)は、押圧加工(コイニング加工)によって形成しているが、この第2変形例においては、放射溝(21)を押圧パンチにより押し付けた溝部の肉を背面側(他面側)に塑性流動させる半抜き加工により形成している。その他の構成は、上記実施形態と同様である。
この第2変形例のように、半抜き加工により放射溝(21)を形成する場合には、所定の精度を維持しつつ、溝深さを芯金(20)の肉厚に対し90%程度まで形成することができる。なお上記実施形態のようにコイニング加工により放射溝(21)を形成した場合には、既述したように、溝深さは芯金(20)の肉厚に対し50%程度以下に制限される。
またこの第2変形例の磁気エンコーダ(1)においては、芯金(20)の他面側には、放射溝(21)に対応して、肉盛り部(11)が形成されるため、芯金(20)の一面側から他面側に回り込ませるように被覆成形したスケール成形体(40)の回り込み成形部(41)を、肉盛り部(11)の外端段差部(12)まで到達しないように形成するのが良い。すなわち図13に示すように回り込み成形部(41)を、芯金他面側における肉盛り膨出部(11)の外端段差部(12)を超える位置まで形成して、回り込み成形部(41)によって外端段差部(12)を被覆させると、上記した樹脂収縮によって、スケール成形体(40)が収縮した際に、回り込み成形部(41)が外端段差部(12)に係合して収縮挙動に追従できなくなる。このため、回り込み成形部(41)の段差部周辺に多大な変形応力が発生して、亀裂や割れが発生することがある。従って回り込み成形部(41)によって、芯金他面側における肉盛り部(11)の外端段差部(12)を被覆しないように構成するのが好ましい。
もっとも本発明においては、回り込み成形部(41)を必ずしも形成する必要はなく、芯金(20)の他面側に樹脂を回り込ませずに、芯金(20)の一面側のみに樹脂成形体(スケール成形体)を形成するようにしても良い。
<第2実施形態>
図14および図15はこの発明の第2実施形態である磁気エンコーダ(2)を示す斜視図である。両図に示すようにこの第2実施形態の磁気エンコーダ(2)は、パックシールやハブシールと称される密封装置の一部を構成するものであり、その密封装置における内径側(内輪側)のスリンガ(110)が、上記第1実施形態の芯金部材(10)に対応するものである。
すなわち本実施形態の磁気エンコーダ(2)は、略円環状のスリンガ(110)と、円環状のスケール成形体(140)と、を備えている。
スリンガ(110)は、円環状の芯金(120)と、その芯金(120)の内周縁部に立ち上がり状に設けられる円筒状の取付片(130)とを一体に有する金属製のプレス成形品をもって構成されている。
このスリンガ(110)における円環状芯金(120)の一面(外面)には、上記と同様に径方向に沿って延びる放射溝(121)が、周方向に所定のピッチで多数並んで形成されている。
なおスリンガ(110)の材料としては、上記第1実施形態と同様に、磁性を有し、良好な成形性を有する金属材料を用いることができる。さらにこれらの性質に加えて、耐泥水性や、耐食性などを考慮すると、フェライト系ステンレス(SUS430等)、マルテンサイト系ステンレス(SUS410等)などのステンレス鋼板を好適に使用することができる。
スリンガ(110)の一面には、その一面を被覆するように円環状のスケール成形体(140)が形成されている。このスケール成形体(110)は、プラスチック磁石により構成されている。
さらにスリンガ(110)の放射溝(121)内には、プラスチック磁石材料により構成される充填成形部(142)がスケール成形体(110)と一体に形成されている。
その他の構成は、上記実施形態等と実質的に同様であるため、同一または相当部分に、同一または相当符号を付して、重複説明は省略する。
さらにこの第2実施形態の磁気エンコーダ(2)は、上記と同様にして製造されるものである。
以上のように構成された第2実施形態の磁気エンコーダ(2)は、そのスリンガ(110)の円筒状取付片(130)が、軸受内輪に外嵌状態に固定されて、スリンガ(110)の芯金(120)が、スケール成形体(140)を外向きにした状態で、軸受内輪および外輪間の開口部に配置される。
さらに本実施形態の磁気エンコーダ(2)を有するハブシールなどの密封装置においては、軸受外輪に外径側スリンガが内嵌状態に固定され、その外径側スリンガに設けられたシールリップが、上記スリンガ(110)の芯金(120)における他面(内面)の外周部に接触するよう構成されている。
そしてこの密封装置では、磁場検出用センサを、スケール成形体(140)に対向配置させて、上記と同様に、回転速度を検出するものである。
この密封装置における磁気エンコーダ(2)においても、上記と同様に同様の効果を得ることができる。
なおこの第2実施形態の磁気エンコーダ(2)においては、スリンガ(110)における芯金(120)の一面(外面)に放射溝(121)をプレス加工により形成すると、芯金(120)の他面(内面)における放射溝(121)に対応する位置に、微小な肉盛り部が形成される可能性がある。既述したように、芯金(120)の他面側は、外径側スリンガのシールリップを接触させる接触面であるため、シールリップが適切に接触できるよう平坦に形成するのが望ましい。このため芯金(120)におけるシールリップが接触する位置には、放射溝(121)を形成しないようにするのが良い。換言すれば、放射溝(121)の最外側位置を、シールリップの接触位置よりも内側に配置しておくのが良い。
特に放射溝(121)を半抜きプレス加工により形成する場合には、パンチにより押圧した溝の肉が他面側(内面側)に大きく移動して、大きい肉盛り部が形成されるため、その肉盛り部がシールリップと干渉しないように、放射溝(121)の最外側位置を設定しておくのが好ましい。
<第3実施形態>
図16および図17はこの発明の第3実施形態である磁気エンコーダ(3)を示す斜視図である。両図に示すようにこの磁気エンコーダ(3)は、上記第2実施形態と同様、パックシールやハブシールと称される密封装置に採用されるものであり、その密封装置おける内径側(内輪側)のスリンガ(110)が、上記第1実施形態の芯金部材(10)に対応するものである。
この磁気エンコーダ(3)においては、スリンガ(110)における芯金(120)の外周端縁に、軸方向の一面側(外面側)に突出する立ち上がり片(126)が形成されている。この立ち上がり片(126)は、内径側に傾斜するように形成されて、立ち上がり片(126)の内面が内径側に傾斜する傾斜面として形成されている。そして立ち上がり片(126)のスケール成形体(140)の外周端面が、立ち上がり片(126)の内面に適合状態に接合するよう構成されている。
その他の構成は、上記第2実施形態と実質的に同様であるため、同一または相当部分に、同一または相当符号を付して、重複説明は省略する。
この第3実施形態の磁気エンコーダ(3)においても、上記第1および第2実施形態と同様に同様の効果を得ることができる。その上さらに本実施形態においては、スリンガ(110)における芯金(120)の外周端縁に立ち上がり片(126)を形成して、その立ち上がり片(126)にスケール成形体(140)の外周端面を接合させているため、スケール成形体(140)の外周端面が内径側に傾斜した立ち上がり片(126)に係止することによって、スケール成形体(140)の軸心方向への剥離を、より一層確実に防止することができ、スケール成形体(140)をスリンガ(110)に、より一層安定した状態に密着接合することができる。
<実施例1>
図1〜7に示す第1実施形態と同様にして、同形態の磁気エンコーダ(1)を作製した。このとき芯金部材(10)として、SUS430からなるものを用い、芯金(20)の厚さを0.6mm、放射溝(21)の深さを0.25mm、放射溝(21)の等分数(数)を90(総極数90)に設定した。さらに放射溝(21)を上記第1実施形態と同様に、両側壁内面(22)が芯金(20)の中心からの放射線(L)に沿って配置される扇形溝の形態に形成した。
またスケール成形体(40)を形成するためのプラスチック磁石材料として、ポリアミド6(バインダー樹脂)に対し、ストロンチウムフェライト(磁性粉末)が60体積%含有された樹脂組成物を用いた。そしてこの樹脂組成物を成形材料とし、芯金部材(10)をインサート部材として、上記第1実施形態と同様にインサート成形を行って、芯金部材(10)に、厚さ0.9mmのスケール成形体(40)を形成して、実施例1の磁気エンコーダを作製した。なおこの実施例1では、接着剤は使用しなかった。つまり芯板(10)の樹脂成形面(接着面)に接着剤を塗布せずに、インサート成形を行った。
<実施例2>
芯金部材における放射溝を、その両側壁内面を外径端部から内径端部にかけて平行にした平行溝の形態に形成した。それ以外は、上記実施例1と同様にして、実施例2の磁気エンコーダを作製した。
<比較例1>
芯金部材として、放射溝が形成されず、芯金一面が平坦なものを用い、さらに芯金部材の樹脂成形面に接着剤を塗布して、上記と同様にインサート成形を行った。それ以外は、上記実施例1と同様にして、比較例1の磁気エンコーダを作製した。
<比較例2>
芯金部材として、放射溝が形成されず、芯金一面が平坦なものを準備する一方、実施例1と同様なプラスチック磁石材料を射出成形することにより、単独のスケール成形体を準備した。そして芯金部材の芯金一面に接着剤を用いてスケール成形体を貼り付けた。それ以外は、上記実施例1と同様にして、比較例2の磁気エンコーダを作製した。
<評価試験>
上記実施例および比較例の各磁気エンコーダに対し、150℃で30分加熱して、−40℃で30分冷却する処理を1サイクルとする熱履歴衝撃試験を、1000サイクル行った。その試験結果および各磁気エンコーダの主な構成を表1に示す。
Figure 0004685683
表1から明らかなように、本発明に関連した実施例1,2の磁気エンコーダは、1000サイクルの熱履歴衝撃試験に対しても、スケール成形体に、亀裂や割れなどの異常が認められなかった。従って実施例の磁気エンコーダは、過酷な温度環境下においても、支障なく使用できるものと考えられる。
これに対し本発明の要旨を逸脱する比較例のうち、比較例1の磁気エンコーダは、試験中に早期に、スケール成形体に割れが発生し、極端に耐熱性に劣っているものであった。さらに比較例2の磁気エンコーダにおいても、試験途中で、スケール成形体に割れが発生し、耐熱性に劣っているものであった。従って比較例1,2の磁気エンコーダはいずれも、過酷な温度環境下での使用は困難であると考えられる。
さらに上記の熱履歴衝撃試験後において、実施例1,2の磁気エンコーダの磁気特性を検査したところ、磁気特性に変化は認められず、良好な磁気特性を維持していた。
また熱履歴衝撃試験後に実施例1,2の磁気エンコーダにおいて、−40℃に冷却した状態でスケール成形体の芯金に対するガタツキを観察したところ、実施例1の磁気エンコーダには全くガタツキが認められず、安定状態に密着されていた。これに対し実施例2の磁気エンコーダは、実施例1のものに比べて僅かにガタツキが認められたものの、実使用上問題のない程度であった。
この発明の第1実施形態である磁気エンコーダを示す斜視図である。 第1実施形態の磁気エンコーダの一部を切り欠いて示す斜視図である。 第1実施形態の磁気エンコーダに適用された芯金部材を示す斜視図である。 第1実施形態の芯金部材の一部を切り欠いて示す斜視図である。 第1実施形態の芯金部材の一部を拡大して示す斜視図である。 第1実施形態の芯金部材を示す平面図である。 図6の一点鎖線で囲まれる部分を拡大して示す平面図である。 放射溝の溝形態を説明するための模式図である。 この発明の第1変形例である芯金部材の一部を切り欠いて示す斜視図である。 この発明の第1変形例である芯金部材の一部を拡大して示す斜視図である。 この発明の第2変形例である磁気エンコーダの一部を切り欠いて示す斜視図である。 第2変形例の磁気エンコーダに適用された芯金部材の一部を切り欠いて示す斜視図である。 第2変形例の磁気エンコーダに問題点を説明するための斜視図である。 この発明の第2実施形態である密封装置の磁気エンコーダを示す斜視図である。 第2実施形態の磁気エンコーダの一部を切り欠いて示す斜視図である。 この発明の第3実施形態である密封装置の磁気エンコーダを示す斜視図である。 第3実施形態の磁気エンコーダの一部を切り欠いて示す斜視図である。
符号の説明
1〜3…磁気エンコーダ
20…芯金
21…放射溝
22…側壁内面
25…剥離防止用突出部
40…スケール成形体
41…回り込み成形部
42…充填成形部
120…芯金
121…放射溝
126…立ち上がり片
140…スケール成形体
142…充填成形部
C…芯金中心
L…仮想放射線

Claims (7)

  1. 円環状の芯金と、前記芯金の一面に設けられ、かつ周方向に多極に着磁されたプラスチック磁石材料により構成される円環状のスケール成形体と、を備えた磁気エンコーダであって、
    前記芯金の一面に、径方向に沿って延び、かつ内径方向に開口する放射溝が周方向に並んで複数形成され、
    前記放射溝内に充填されたプラスチック磁石材料によって構成される充填成形部が、前記スケール成形体と一体に形成されたことを特徴とする磁気エンコーダ。
  2. 前記芯金および前記スケール成形体間に接着剤が設けられない請求項1に記載の磁気エンコーダ。
  3. 前記放射溝の側壁内面が、前記芯金の中心から放射状に延びる仮想の放射線上に配置されて、前記放射溝の幅が内径方向に向かうに従って細くなるように形成される請求項1または2に記載の磁気エンコーダ。
  4. 前記放射溝の側壁内面に、前記スケール成形体が軸心方向へ剥離するのを防止するための剥離防止用突出部が設けられる請求項1〜3のいずれか1項に記載の磁気エンコーダ。
  5. 前記芯金の外周縁部に、前記スケール成形体の外周端面に係止して、前記スケール成形体が軸心方向へ剥離するのを防止するための立ち上がり片が設けられる請求項1〜4のいずれか1項に記載の磁気エンコーダ。
  6. 前記スケール成形体の内周部にプラスチック磁石材料により構成される回り込み成形部が一体に形成されるとともに、その回り込み成形部が前記芯金の一面から内周端縁を通って前記芯金の他面に回り込むよう配置される請求項1〜4のいずれか1項に記載の磁気エンコーダ。
  7. 円環状の芯金と、前記芯金の一面に設けられ、かつ周方向に多極に着磁されたプラスチック磁石材料により構成される円環状のスケール成形体と、を備えた磁気エンコーダを製造するための方法であって、
    一面に、径方向に沿って延び、かつ内径方向に開口する放射溝が周方向に並んで複数形成された円環状の芯金を得る工程と、
    プラスチック磁石材料を成形材料とし、前記芯金をインサート部材として、磁場内で射出成形を行うことにより、前記放射溝内に充填された成形材料により充填成形部を形成するとともに、その充填成形部を一体に有する前記スケール成形体を形成して、磁気エンコーダを得る工程と、を含むことを特徴とする磁気エンコーダの製造方法。
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