前記目的を達成するために、本発明に係る液体吐出ヘッドは、被吐出媒体上に液体を吐出するための複数のノズルが2次元配列されたノズル面を有する液体吐出ヘッドであって、前記被吐出媒体に対して前記液体吐出ヘッドを相対移動させる搬送方向と略直交する主走査方向に対して前記ノズル面における時計回り方向に角度φをなす第1の方向に沿って前記ノズルが並べられた第1のノズル列と、前記主走査方向に対して前記ノズル面における反時計回りに角度φをなす第2の方向に沿って前記ノズルが並べられ、前記第1のノズル列と交差する第2のノズル列と、を有し、前記第1のノズル列及び前記第2のノズル列に属するノズルを前記主走査方向に並ぶように投影した主走査方向投影ノズル群において前記主走査方向に隣り合うノズルは異なるノズル列に属するノズルを投影したものとなるように、前記第1のノズル列及び前記第2のノズル列を配列させるとともに、前記第1のノズル列を前記搬送方向と略平行な副走査方向に並ぶように投影した第1の副走査方向投影ノズル群の少なくとも一部が、前記第2のノズル列を副走査方向に並ぶように投影した第2の副走査方向投影ノズル群の少なくとも一部と重なるように、前記第1のノズル列及び前記第2のノズル列を配列させた単位ノズル群を備えたことを特徴とする。
本発明によれば、主走査方向に対してノズル面における時計回り方向に角度φをなす第1の方向に沿ってノズルを配列した第1のノズル列と、主走査方向に対してノズル面における反時計回り方向に角度φをなす第2の方向に沿ってノズルを配列させた第2のノズル列と、を交差するように配置した単位ノズル群は、第1のノズル列及び第2のノズル列を主走査方向に並ぶように投影した主走査方向投影ノズル群において、隣接するノズルが異なるノズル列に属するノズルを投影したものとなるように各ノズルを配置したX字配列が適用されるので、被吐出媒体に対して液体吐出ヘッドが回転方向誤差を持つ場合にも、該回転誤差によって画像に生じるムラの視認性が低減される。
また、被吐出媒体の全幅に対応する長さにわたってノズルが配列されたライン型ヘッドでは、被吐出媒体の搬送方向と略平行方向に生じるムラに対して視認性低減効果を発揮する。
液体吐出ヘッドには、上述したようなX字配列されたノズルを有する単位ノズル群を少なくとも1つ備えていればよく、他の配列が適用された単位ノズル群が混在していてもよい。また、当該液体吐出ヘッドの全ノズルに対してX字配列が適用された単位ノズル群を適用してもよい。
液体吐出ヘッドは、ノズル(吐出口)から吐出(打滴)される液体を収容する圧力室と、圧力室に収容されている液体に吐出力を与える吐出力付与手段と、を備える態様がある。圧力室付与手段には、圧力室を変形させて圧力室の体積を変化させるアクチュエータや、圧力室内の液体を加熱して圧力室内にバブルを発生させるヒータなどがある。
また、液体吐出ヘッドには、被吐出媒体の全幅に対応する長さの吐出口列を有するライン型ヘッドがある。このライン型ヘッドには、被吐出媒体の全幅に対応する長さに満たない短尺の吐出口列を有する短尺ヘッドを千鳥状に配列して繋ぎ合わせて、被吐出媒体の全幅に対応する長さとしてもよい。
被吐出媒体は、ノズルから吐出される液体を付着させる媒体であり、連続用紙、カット紙、シール用紙、PHPシート等の樹脂シート、フイルム、布、その他材質や形状を問わず、様々な媒体を含む。なお、被吐出媒体は、記録媒体(記録メディア)、印字媒体などと呼ばれることがある。
液体吐出ヘッドから吐出される液体には、インクジェット記録装置に用いられるインクやレジストなどの薬液、処理液などがある。この液体は、液体吐出ヘッドに設けられたノズルから吐出可能な物性(粘度など)を有している。
X字配列されたノズルを有する単位ノズル群の各ノズルを副走査方向に並ぶように投影すると、第1の副走査投影ノズル群と第2の副走査投影ノズル群が重なる領域では、隣り合うノズルは異なるノズル列に属するノズルとなる。
請求項2記載の発明は、請求項1記載の液体吐出ヘッドの一態様に係り、前記単位ノズル群を前記主走査方向に沿って複数配列させることを特徴とする。
請求項2記載の発明によれば、X字配列されたノズルを有する単位ノズル群を主走査方向に複数配列させて被吐出媒体の全幅に対応する長さとすると、単位ノズル群をつなぎ合わせて当該液体吐出ヘッドを製造することが可能となり、製造上精度の向上が見込まれるとともに製造工程の簡素化に寄与する。
請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載の液体吐出ヘッドの一態様に係り、前記単位ノズル群を副走査方向に沿って複数配列させることを特徴とする。
副走査方向に沿って配列された複数の単位ノズル群において、ある単位ノズル群に対して他の単位ノズル群を補完するように配置すると、当該液体吐出ヘッドの主走査方向における実質的なノズル密度を上げることができる。
また、上記目的を達成するために、本発明に係る液体吐出装置は、被吐出媒体上に液体を吐出するための複数のノズルが前記被吐出媒体の全幅に対応する長さにわたり2次元配列されたノズル面を有するライン型液体吐出ヘッドと、前記液体吐出ヘッドと前記被吐出媒体とを相対的に移動させる搬送手段と、を備え、前記液体吐出ヘッドは、前記被吐出媒体に対して前記液体吐出ヘッドを相対移動させる搬送方向と略直交する主走査方向に対して前記ノズル面における時計回り方向に角度φをなす第1の方向に沿って前記ノズルが並べられた第1のノズル列と、前記主走査方向に対して前記ノズル面における反時計回りに角度φをなす第2の方向に沿って前記ノズルが並べられ、前記第1のノズル列と交差する第2のノズル列と、を有し、前記第1のノズル列及び前記第2のノズル列に属するノズルを前記主走査方向に並ぶように投影した主走査方向投影ノズル群において前記主走査方向に隣り合うノズルは異なるノズル列に属するノズルを投影したものとなるように、前記第1のノズル列及び前記第2のノズル列を配列させるとともに、前記第1のノズル列を前記搬送方向と略平行な副走査方向に並ぶように投影した第1の副走査方向投影ノズル群の少なくとも一部が、前記第2のノズル列を副走査方向に並ぶように投影した第2の副走査方向投影ノズル群の少なくとも一部と重なるように、前記第1のノズル列及び前記第2のノズル列を配列させた単位ノズル群を備えたことを特徴とする。
本発明によれば、被吐出媒体に対して液体吐出ヘッドに回転方向誤差が生じても、被吐出媒体に発生するムラ視認性を低減可能な液体吐出装置を実現できる。
被吐出媒体に対して液体吐出ヘッドを相対的に移動させる搬送手段は、停止した(固定された)ヘッドに対して被吐出媒体を搬送する態様、停止した被吐出媒体に対してヘッドを移動させる態様、ヘッドと被吐出媒体の両方を移動させる態様の何れをも含む。
また、上記目的を達成するために本発明に係る画像形成装置は、被吐出媒体に画像記録液を吐出するための複数のノズルが前記被吐出媒体の全幅に対応する長さにわたり2次元配列されたノズル面を有するライン型液体吐出ヘッドと、前記液体吐出ヘッドと前記被吐出媒体とを相対的に移動させる搬送手段と、を備え、前記液体吐出ヘッドは、前記被吐出媒体に対して前記液体吐出ヘッドを相対移動させる搬送方向と略直交する主走査方向に対して前記ノズル面における時計回り方向に角度φをなす第1の方向に沿って前記ノズルが並べられた第1のノズル列と、前記主走査方向に対して前記ノズル面における反時計回りに角度φをなす第2の方向に沿って前記ノズルが並べられ、前記第1のノズル列と交差する第2のノズル列と、を有し、前記第1のノズル列及び前記第2のノズル列に属するノズルを前記主走査方向に並ぶように投影した主走査投影ノズル群において、前記主走査方向に隣り合うノズルは異なるノズル列に属するノズルを投影したものとなるように前記第1のノズル列及び前記第2のノズル列を配列させるとともに、前記第1のノズル列を前記搬送方向と略平行な副走査方向に並ぶように投影した第1の副走査方向投影ノズル群の少なくとも一部が、前記第2のノズル列を副走査方向に並ぶように投影した第2の副走査方向投影ノズル群の少なくとも一部と重なるように、前記第1のノズル列及び前記第2のノズル列を配列させた単位ノズル群を備えたことを特徴とする。
インクジェットヘッド(インクジェット方式の液体吐出ヘッド)を用いてカラー画像を形成する場合には、複数色のインクに色別のヘッドを配置してもよいし、1つのヘッドから複数色のインクを吐出可能な構成としてもよい。
請求項6記載の発明は、請求項5記載の画像形成装置の一態様に係り、前記被吐出媒体に対して前記液体吐出ヘッドを相対的に一方向に移動させて前記被吐出媒体の全域に前記画像記録液によって所望の画像を形成するように、前記搬送手段の搬送制御及び前記液体吐出ヘッドの吐出制御を行う制御手段を備えたことを特徴とする。
請求項6記載の発明によれば、被吐出媒体に対して液体吐出ヘッドを1回だけ走査させるシングルパス印字を行うことで、生産性の向上が見込まれる。
本発明によれば、ヘッドの取り付け回転位置誤差や媒体の斜行等によって発生するムラの視認性を低減させることができる。
〔液体吐出ヘッドの構造〕
図1は、本発明の実施形態に係る液体吐出ヘッドの構造を模式的に示した平面図である。図示のヘッド50は、インクジェット記録装置に用いられるフルライン型の印字ヘッドであり(記録ヘッド、インクジェットヘッド、或いはプリントヘッドとも呼ばれる)、印字媒体60の搬送方向(副走査方向:矢印S方向)と直交する方向(主走査方向:矢印M方向)に沿って印字媒体60の全幅Wmにわたり多数のノズル51を2次元配列させた構造を有している。図中、符号52は各ノズル51に対応した圧力室である。また、印字媒体60は図の上から下に向かって搬送されるものとする。
図2は1つの液滴吐出素子(1ノズルに対応したインク室ユニット)53の拡大図であり、図3は図2中の3−3線に沿う断面図である。図2に示したように、各ノズル51に対応して設けられている圧力室52は、その平面形状が概略正方形となっており、対角線上の両隅部の一方にノズル51への流出口(ノズル流路)が設けられ、他方に供給インクの流入口(供給口)54が設けられている。ただし、本発明の実施に際して、圧力室52の形状は、本例に限定されず、平面形状が四角形(菱形、長方形など)、五角形、六角形その他の多角形、円形、楕円形など、多様な形態があり得る。
図3に示したように、圧力室52は供給口54を介して共通流路55と連通されている。共通流路55はインク供給源たるインクタンク(不図示)と連通しており、インクタンクから供給されるインクは共通流路55を介して各圧力室52に分配供給される。
圧力室52の一部の面(図3において天面)を構成している加圧板(共通電極と兼用される振動板)56には個別電極57を備えたアクチュエータ58が接合されている。個別電極57と共通電極間に駆動電圧を印加することによってアクチュエータ58が変形して圧力室52の容積が変化し、これに伴う圧力変化によりノズル51からインクが吐出される。なお、アクチュエータ58には、チタン酸ジルコン酸鉛やチタン酸バリウムなどの圧電体を用いた圧電素子が好適に用いられる。インク吐出後、アクチュエータ58の変位が元に戻る際に、共通流路55から供給口54を通って新しいインクが圧力室52に再充填される。
また、吐出安定性並びに吐出面(ノズル面50A)のクリーニング性を向上させる等の観点から、ヘッド50のノズル面50Aには撥液層59が設けられている。ノズル面50Aに撥液性を付与する方法(撥液処理方法)は、特に限定されず、例えば、フッ素系の撥液材を塗布する方法や、フッ素系高分子粒子(PTFE)等の撥液材を真空中で蒸着し表面に薄層を形成する方法等がある。
印字データに応じて各ノズル51に対応したアクチュエータ58の駆動を制御することにより、ノズル51からインク滴を吐出させることができる。図1で説明したように、印字媒体60を一定の速度で副走査方向に搬送しながら、その搬送速度に合わせて各ノズル51のインク吐出タイミングを制御することによって、印字媒体60上に所望の画像を記録することができる。
図3では、ピエゾ素子(圧電素子)に代表されるアクチュエータ58の変形によってインク滴を飛ばす方式が採用されているが、本発明の実施に際して、インクを吐出させる方式は特に限定されず、ピエゾジェット方式に代えて、ヒータなどの発熱体によってインクを加熱して気泡を発生させ、その圧力でインク滴を飛ばすサーマルジェット方式など、各種方式を適用できる。
図4は、図1に示したヘッド50における2次元ノズル配列の拡大図である。図2及び図3で説明した構造を有するインク室ユニット53を図4に示すように2次元配列させることにより、本例の高密度ノズルヘッド(図1における符号50)が実現されている。図4では、図16で説明した従来の構成との比較を容易にするため、図16と同等の回転誤差量(ヘッド傾斜量或いは媒体の斜行量・蛇行量)を有する場合を示してある。
図4に示したヘッド50の2次元ノズル配列について、説明の便宜上、図4の横方向(主走査方向)を行方向、縦方向(副走査方向)を列方向とし、同図の上から下に向かって順に、第1行、第2行、…第10行と行番号(i=1〜10)を定める。また、列方向(略縦方向)に直線上に並ぶノズル列について左から右に向かって列番号(j=1,2,…J)を定め、ノズル51の位置を行番号iと列番号jの組合せによって「51-ij 」と表記する。ただし、i =10の場合については、表記の都合上「51-Xj 」と記載することにした。
図4に示すノズル配置は、主走査方向に対して角度φをなし、ノズル51-23、ノズル51-43、ノズル51-63、ノズル51-83、51-X3の5つのノズルから構成されるノズル列70と、主走査方向に対して角度−φをなし、ノズル51-13、ノズル51-33、ノズル51-53、51-73、ノズル51-93の5つのノズルから構成されるノズル列72がノズル51-53の位置で交差するX字配列である。
本例では、ノズル列70に属するノズル51-53が配置される位置でノズル列70とノズル列72が交差する態様を示したが、各ノズル列が交差する位置に当該ノズル列のうち何れか一方に属するノズルが配置されていなくてもよい(各ノズル列の交差点にノズルが配置されていなくてもよい)。
なお、図4に示す、主走査方向に対する各ノズル列の角度φは、図1に示すノズル面50Aにおける時計回り方向を正方向とし、反時計回り方向を負方向とする。
このようなノズル列70とノズル列72とから成る最小構成単位(X字配列を有する単位ノズル群)74を主走査方向に繰り返すことで、印字媒体60の全幅に対応する長さにわたって多数のノズルが配列されるノズル配置を構成している。
本例では、1つのノズル列(例えば、図4のノズル列70及びノズル列72)が有する副走査方向のノズル数(行数)nを「5」とし、1つの単位ノズル群が有するノズル数(行数)をn×2(=10)としているが、本発明の実施に際して、副走査方向のノズル数(行数)nはn=5に限定されず、また、1つの単位ノズル群が有するノズル数(行数)も10に限定されない。
各行の主走査方向ノズル間隔は全て同じNLmとし、各行のノズル51-ij は主走査方向に沿って互いのノズル位置を行間で異ならせながら千鳥状に配置される。即ち、ヘッド50のノズル行数(副走査方向のノズル数)をn(図4の場合、n=10)、印字媒体上で主走査方向に沿って並ぶドットを打滴するノズルの実質的な主走査方向ノズル間ピッチをNm とすると、NLm=n×Nm の関係を満たす。また、副走査方向(ノズル配列の列方向)について各行の行間隔(副走査方向のノズル間距離)Ls は一定であるとし、副走査方向のノズル間最大距離をLとするとき、L=n×Ls である。
なお、ヘッド50が印字媒体60に対して回転方向誤差を持たない場合には、主走査方向に並ぶように投影された主走査方向投影ノズル群80において、各ノズルは主走査方向に均等に並んでいる。
図5には、ヘッド50に含まれるノズル51-ijを主走査方向に並ぶように投影された主走査方向投影ノズル群80(図4に図示)の拡大図を示す。図5に示すように、主走査方向投影ノズル群80において、1つの単位ノズル群に属するノズル51-ijに対応した主走査方向投影単位ノズル群82では、ノズル列70に属する各ノズル51-ijと主走査方向に隣り合うノズル51-ijはノズル列72に属するノズル51-ijが配置されている。言い換えると、主走査方向投影単位ノズル群82において、ノズル列70に属するノズル51-ijを補完する位置にノズル列72に属するノズル51-ijが配置されている。
図5に示すように、ヘッド50と同様の回転方向誤差を有して配置された(または、印字媒体60に対してヘッド50が回転方向誤差θを有する場合の)従来技術に係るヘッド300(図16に図示)に比べて、主走査方向のノズル間ピッチの誤差が分散されるので、本発明に係るヘッド50を用いた記録画像において、回転方向誤差に起因する濃度ムラが発生しても人間の目には視認されにくい。
なお、図示は省略するが、単位ノズル群74を副走査方向に並ぶように投影した副走査方向投影ノズル群において、副走査方向に隣り合うノズルは異なるノズル列に属するノズルとなるように、各ノズル51-ijが配置されている。なお、図4に示すノズル配置では、ノズル列72に属するノズル51-ijと略同一直線状にノズル51-X4が配置されているが、このノズル51-X4はノズル列72(ノズル群74)に属するノズルではなく、ノズル群74の図4における右隣のノズル群に属するノズルである。
〔印字ヘッドの回転方向誤差の画像への影響〕
次に、ヘッド50の回転方向誤差の記録画像への影響について説明する。本例のヘッド50は、印字媒体60に対してヘッド50が角度θの回転方向誤差を持っている場合を考える。なお、このヘッド50の回転方向誤差θは時計回り方向を正方向、反時計回りを負方向と定義されている。
図6には、回転方向誤差θに対する記録画像の濃度変化(濃度ムラ)の様子を示す。図6に示すように、ヘッド50の印字媒体60に対する回転方向誤差θがθ>0の場合(即ち、時計回り方向に回転方向誤差を有している場合)、従来技術に係るマトリクス配列されたノズル310を有するヘッド300(図15に図示)では、主走査方向とノズル列とのなす角度φがφ>0(右上がり型)では、回転方向誤差θがない場合(或いは、回転方向誤差θが画質に影響しない程度のごくわずかな場合)に比べて、図16に図示するノズル群部分(非折り返し部)Cに対応する部分では画像の濃度が濃くなり、つなぎ部分(折り返し部)A、Bに対応する部分では画像の濃度が薄くなる。
また、主走査方向とノズル列とのなす角度φがφ<0(右下がり型)では、回転方向誤差θがない場合(或いは、回転方向誤差θが画質に影響しない程度のごくわずかな場合)に比べて、ノズル群部分(非折り返し部)Cに対応する部分では画像の濃度が薄くなり、つなぎ部分(折り返し部)A、Bに対応する部分では画像の濃度が濃くなる。
一方、図1に示すX字配列されたノズル51を有するヘッド50は、上述した右上がり型のノズル列と右下がり型のノズル列とを併せ持つ構造であり、これらの濃度誤差が相殺されて、図7(a),(b)に示す画像90のように、濃度ムラが少ない(ほとんど視認されない)画像の形成が可能になる。なお、図7(a)に示す画像90を模式的に表した図(図18(b)に対応する図)であり、図7(b)からも画像90には視認される程度の濃度ムラが発生していないことがわかる。
次に、本発明に係るヘッド50と従来技術に係るヘッド300との記録画像における濃度ムラについて説明する。
先ず、X字配列されたノズル51を有するヘッド50の規格の一例を挙げると、以下のとおりである。
主走査方向のノズルピッチNm:21.2μm(投影ノズル密度1200dpi)
副走査方向のノズルピッチLs:500μm(圧力室52サイズ500μm×500μm)
1ノズル群のノズル数:24ノズル(1つの単位ノズル群のノズル数は24×2=48ノズル)
図8には、従来技術に係るヘッド300における濃度プロファイルを示す。図8に示す濃度プロファイルは、記録媒体に対するヘッドの回転方向誤差θがθ=0.001度、1列のノズル列が48ノズルの条件における主走査方向のノズルピッチ誤差を濃度誤差に変換した濃度プロファイルである。
また、図9には、本発明に係るヘッド50の濃度プロファイルを示す。図9に示す濃度プロファイルは、図8に示す濃度プロファイルと同一条件における主走査方向のノズルピッチ誤差を濃度誤差に変換した濃度プロファイルである。
なお、図8、図9に示す濃度プロファイルにおいて、ノズルピッチ誤差と濃度とは、ノズルピッチ誤差が大きくなると濃度が低下し、ノズルピッチ誤差が小さくなると濃度が上昇する関係を有している。
図8に示すように、従来技術に係るヘッド300では、つなぎ部分(ノズル番号48、96、…)で急激に濃度が低下し、記録画像には周期的に白スジが生じていることがわかる。
一方、図9に示すように、本発明に係るヘッド50では、局所的(ノズル単位)には濃度誤差が大きくなっているが、この濃度誤差の空間周波数は高周波成分であり、このような高周波領域の空間周波数を持つ濃度ムラは人間の目には視認されないことがわかっている。即ち、本発明に係るヘッド50を用いた記録画像に生じる濃度ムラは、人間の目には視認されにくい濃度ムラであるといえる。
ここで、図10に、図8及び図9に示す濃度プロファイルに対してフーリエ解析を行い、空間周波数特性として表したノズル配列と濃度パワースペクトルとの関係を示す。図10に示すように、従来技術に係るヘッド300では(黒塗りのひし形のプロットで図示)、0〜4(cycle/mm)程度の低周波成分のエネルギーを持っており、この低周波成分のパワースペクトルが濃度ムラとして視認されるのに対して、本発明に係るヘッド50では(白抜きの丸のプロットで図示)、低周波領域のエネルギーが小さくなっており、人間の目には濃度ムラとして視認されにくい。
また、図11には視覚特性(VTF)を示す。図11の横軸は空間周波数(cycle/mm)であり、たて軸の値が大きいほど視認性が高い(人間の目に視認されやすい)ことを示している。
図11に示す視覚特性によれば、濃度ムラの空間周波数が0〜4(cycle/mm)程度の低周波領域では、濃度ムラの空間周波数が4(cycle/mm)以上の高周波領域の場合に比べて視認性が高くなることがわかる。印字媒体302に対してヘッド300が回転方向に角度誤差を持つ場合、従来技術に係るヘッド300によって記録された画像には、1(cycle/mm)程度の低周波領域の空間周波数をもつ濃度ムラが発生するために、当該濃度ムラが視認されやすくなり、本発明に係るヘッド50によって記録された画像には、4(cycle/mm)以上の高周波領域の空間周波数を持つ濃度ムラが発生するが、当該濃度ムラの視認性は低くなる。
上記の如く構成されたヘッド50は、主走査方向に対して角度φをなすノズル列70と主走査方向に対して角度−φをなすノズル列72から構成される単位ノズル群を主走査方向に複数並べて印字媒体60の幅方向に対応するノズル配置構造を有し、この単位ノズル群を構成する2つのノズル列70及びノズル列72は交差し、単位ノズル群を構成するノズル51を主走査方向に並ぶように投影した投影ノズル群において隣り合うノズルは当該単位ノズル群を構成する異なるノズル列に属するノズル51となるように各ノズル51を配置したので、ヘッド50の回転方向誤差に対してロバストであり、印字媒体60に対してヘッド50が回転方向誤差を有していても、記録画像に生じる濃度ムラは高周波領域の空間周波数を有しているので、この濃度ムラが人間の目には視認されにくい高品位な画像がプリントできる。また、ヘッド50の取り付け精度及び印字媒体60の搬送精度の許容範囲が広くなり、コストダウンに寄与する。
〔応用例〕
次に、図12を用いて、本発明の応用例について説明する。図12には、本発明の応用例に係るヘッド200を示す。
図12に示すように、ヘッド200は、当該ヘッド200の最小構成単位である単位ノズル群202を印字媒体60の全幅に対応する長さにわたって主走査方向にn個並べ、更に、n個の単位ノズル群202が主走査方向に並べられた2つのノズルブロック210-1及びノズルブロック210-2を副走査方向に並べて構成され、ノズルブロック210-1とノズルブロック210-2は互いに補完するように配置されている。このように、副走査方向に2つ以上のノズルブロック210を互いに補完するように並べたノズル配列を適用すると、主走査方向の実質的なノズル密度を高くすることができる。
なお、副走査方向に並べられるノズルブロック210(単位ノズル群202)は2つに限定されず、2つ以上のノズルブロック210を副走査方向に配列してもよい。
〔インクジェット記録装置の構成〕
次に、上記の実施形態及び変形例で説明した液体吐出ヘッドを用いたインクジェット記録装置の構成について説明する。
図13は、本発明に係る画像形成装置の一実施形態を示すインクジェット記録装置の全体構成図である。同図に示すように、このインクジェット記録装置110は、黒(K),シアン(C),マゼンタ(M),イエロー(Y)の各インクに対応して設けられた複数のインクジェット記録ヘッド(以下、ヘッドという。)112K,112C,112M,112Yを有する印字部112と、各ヘッド112K,112C,112M,112Yに供給するインクを貯蔵しておくインク貯蔵/装填部114と、印字媒体116を供給する給紙部118と、印字媒体116のカールを除去するデカール処理部120と、前記印字部112のノズル面(インク吐出面)に対向して配置され、印字媒体116の平面性を保持しながら印字媒体116を搬送するベルト搬送部122と、印字部112による印字結果を読み取る印字検出部124と、記録済みの記録紙(プリント物)を外部に排紙する排紙部126とを備えている。
印字部112の各ヘッド112K,112C,112M,112Yについて、上記の第1実施形態或いは第2実施形態で説明した液体吐出ヘッド50が用いられる。
インク貯蔵/装填部114は、各ヘッド112K,112C,112M,112Yに対応する色のインクを貯蔵するインクタンクを有し、各タンクは所要の管路を介してヘッド112K,112C,112M,112Yと連通されている。また、インク貯蔵/装填部114は、インク残量が少なくなるとその旨を報知する報知手段(表示手段、警告音発生手段)を備えるとともに、色間の誤装填を防止するための機構を有している。
図13では、給紙部118の一例としてロール紙(連続用紙)のマガジンが示されているが、紙幅や紙質等が異なる複数のマガジンを併設してもよい。また、ロール紙のマガジンに代えて、又はこれと併用して、カット紙が積層装填されたカセットによって用紙を供給してもよい。
複数種類の記録媒体(メディア)を利用可能な構成にした場合、メディアの種類情報を記録したバーコード或いは無線タグなどの情報記録体をマガジンに取り付け、その情報記録体の情報を所定の読取装置によって読み取ることで、使用される記録媒体の種類(メディア種)を自動的に判別し、メディア種に応じて適切なインク吐出を実現するようにインク吐出制御を行うことが好ましい。
給紙部118から送り出される印字媒体116はマガジンに装填されていたことによる巻きクセが残り、カールする。このカールを除去するために、デカール処理部120においてマガジンの巻きクセ方向と逆方向に加熱ドラム130で印字媒体116に熱を与える。このとき、多少印字面が外側に弱いカールとなるように加熱温度を制御するとより好ましい。
ロール紙を使用する装置構成の場合、図13のように、裁断用のカッター(第1のカッター)128が設けられており、該カッター128によってロール紙は所望のサイズにカットされる。なお、カット紙を使用する場合には、カッター128は不要である。
デカール処理後、カットされた印字媒体116は、ベルト搬送部122へと送られる。ベルト搬送部122は、ローラ131、132間に無端状のベルト133が巻き掛けられた構造を有し、少なくとも印字部112のノズル面及び印字検出部124のセンサ面に対向する部分が水平面(フラット面)をなすように構成されている。
ベルト133は、印字媒体116の幅よりも広い幅寸法を有しており、ベルト面には多数の吸引穴(不図示)が形成されている。図13に示したとおり、ローラ131、132間に掛け渡されたベルト133の内側において印字部112のノズル面及び印字検出部124のセンサ面に対向する位置には吸着チャンバ134が設けられており、この吸着チャンバ134をファン135で吸引して負圧にすることによって印字媒体116がベルト133上に吸着保持される。なお、吸引吸着方式に代えて、静電吸着方式を採用してもよい。
ベルト133が巻かれているローラ131、132の少なくとも一方にモータ(図14中符号188)の動力が伝達されることにより、ベルト133は図13上の時計回り方向に駆動され、ベルト133上に保持された印字媒体116は図13の左から右へと搬送される。
縁無しプリント等を印字するとベルト133上にもインクが付着するので、ベルト133の外側の所定位置(印字領域以外の適当な位置)にベルト清掃部136が設けられている。ベルト清掃部136の構成について詳細は図示しないが、例えば、ブラシ・ロール、吸水ロール等をニップする方式、清浄エアーを吹き掛けるエアーブロー方式、或いはこれらの組合せなどがある。清掃用ロールをニップする方式の場合、ベルト線速度とローラ線速度を変えると清掃効果が大きい。
なお、ベルト搬送部122に代えて、ローラ・ニップ搬送機構を用いる態様も考えられるが、印字領域をローラ・ニップ搬送すると、印字直後に用紙の印字面をローラが接触するので画像が滲み易いという問題がある。したがって、本例のように、印字領域では画像面を接触させない吸着ベルト搬送が好ましい。
ベルト搬送部122により形成される用紙搬送路上において印字部112の上流側には、加熱ファン140が設けられている。加熱ファン140は、印字前の印字媒体116に加熱空気を吹き付け、印字媒体116を加熱する。印字直前に印字媒体116を加熱しておくことにより、インクが着弾後乾き易くなる。
印字部112の各ヘッド112K,112C,112M,112Yは、当該インクジェット記録装置110が対象とする印字媒体116の最大紙幅に対応する長さを有し、そのノズル面には最大サイズの記録媒体の少なくとも一辺を超える長さ(描画可能範囲の全幅)にわたりインク吐出用のノズルが複数配列されたフルライン型のヘッドとなっている(図1参照)。
図13において、ヘッド112K,112C,112M,112Yは、印字媒体116の送り方向に沿って上流側から黒(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の色順に配置され、それぞれのヘッド112K,112C,112M,112Yが印字媒体116の搬送方向と略直交する方向に沿って延在するように固定設置される。
ベルト搬送部122により印字媒体116を搬送しつつ各ヘッド112K,112C,112M,112Yからそれぞれ異色のインクを吐出することにより印字媒体116上にカラー画像を形成し得る。
このように、紙幅の全域をカバーするノズル列を有するフルライン型のヘッド112K,112C,112M,112Yを色別に設ける構成によれば、紙送り方向(副走査方向)について印字媒体116と印字部112を相対的に移動させる動作を1回行うだけで(即ち1回の副走査で)、印字媒体116の全面に画像を記録することができる。これにより、記録ヘッドが紙搬送方向と直交する方向に往復動作するシャトル型ヘッドに比べて高速印字が可能であり、生産性を向上させることができる。
本例では、KCMYの標準色(4色)の構成を例示したが、インク色や色数の組合せについては本実施形態に限定されず、必要に応じて淡インク、濃インク、特別色インクを追加してもよい。例えば、ライトシアン、ライトマゼンタなどのライト系インクを吐出するインクジェットヘッドを追加する構成も可能である。また、各色ヘッドの配置順序も特に限定はない。
図13に示した印字検出部124は、印字部112の打滴結果を撮像するためのイメージセンサ(ラインセンサ又はエリアセンサ)を含み、該イメージセンサによって読み取った打滴画像からノズルの目詰まりや着弾位置ずれなどの吐出不良をチェックする手段として機能する。また、この印字検出部124を利用してヘッドの取り付け回転誤差を計測することも可能である。
各色のヘッド112K,112C,112M,112Yにより印字されたテストパターン又は実技画像が印字検出部124により読み取られ、各ヘッドの吐出判定が行われる。吐出判定は、吐出の有無、ドットサイズの測定、ドット着弾位置の測定などで構成される。
印字検出部124の後段には後乾燥部142が設けられている。後乾燥部142は、印字された画像面を乾燥させる手段であり、例えば、加熱ファンが用いられる。印字後のインクが乾燥するまでは印字面と接触することは避けたほうが好ましいので、熱風を吹き付ける方式が好ましい。
多孔質のペーパーに染料系インクで印字した場合などでは、加圧によりペーパーの孔を塞ぐことでオゾンなど、染料分子を壊す原因となるものと接触することを防ぐことで画像の耐候性がアップする効果がある。
後乾燥部142の後段には、加熱・加圧部144が設けられている。加熱・加圧部144は、画像表面の光沢度を制御するための手段であり、画像面を加熱しながら所定の表面凹凸形状を有する加圧ローラ145で加圧し、画像面に凹凸形状を転写する。
こうして生成されたプリント物は排紙部126から排出される。本来プリントすべき本画像(目的の画像を印刷したもの)とテスト印字とは分けて排出することが好ましい。このインクジェット記録装置110では、本画像のプリント物と、テスト印字のプリント物とを選別してそれぞれの排出部126A、126Bへと送るために排紙経路を切り換える不図示の選別手段が設けられている。なお、大きめの用紙に本画像とテスト印字とを同時に並列に形成する場合は、カッター(第2のカッター)148によってテスト印字の部分を切り離す。また、図13には示さないが、本画像の排出部126Aには、オーダー別に画像を集積するソーターが設けられる。
〔制御系の説明〕
図14は、インクジェット記録装置110のシステム構成を示すブロック図である。同図に示したように、インクジェット記録装置110は、通信インターフェース170、システムコントローラ172、画像メモリ174、ROM175、モータドライバ176、ヒータドライバ178、プリント制御部180、画像バッファメモリ182、ヘッドドライバ184等を備えている。なお、図14では、図示の簡略化のため、符号150によって各色のヘッドを代表的に示している。
通信インターフェース170は、ホストコンピュータ186から送られてくる画像データを受信するインターフェース部である。通信インターフェース170にはUSB(Universal serial bass)、IEEE1394、イーサネット(登録商標)、無線ネットワークなどのシリアルインターフェースやセントロニクスなどのパラレルインターフェースを適用することができる。この部分には、通信を高速化するためのバッファメモリ(不図示)を搭載してもよい。なお、この通信インターフェース170は、図9で説明した画像入力部76に相当している。
図14に示したホストコンピュータ186から送出された画像データは通信インターフェース170を介してインクジェット記録装置110に取り込まれ、一旦画像メモリ174に記憶される。画像メモリ174は、通信インターフェース170を介して入力された画像を格納する記憶手段であり、システムコントローラ172を通じてデータの読み書きが行われる。画像メモリ174は、半導体素子からなるメモリに限らず、ハードディスクなど磁気媒体を用いてもよい。
システムコントローラ172は、中央演算処理装置(CPU)及びその周辺回路等から構成され、所定のプログラムに従ってインクジェット記録装置110の全体を制御する制御装置として機能するとともに、各種演算を行う演算装置として機能する。即ち、システムコントローラ172は、通信インターフェース170、画像メモリ174、モータドライバ176、ヒータドライバ178等の各部を制御し、ホストコンピュータ186との間の通信制御、画像メモリ174及びROM175の読み書き制御等を行うとともに、搬送系のモータ188やヒータ189を制御する制御信号を生成する。
ROM175には、システムコントローラ172のCPUが実行するプログラム及び制御に必要な各種データなどが格納されている。ROM175は、書換不能な記憶手段であってもよいし、EEPROMのような書換可能な記憶手段であってもよい。画像メモリ174は、画像データの一時記憶領域として利用されるとともに、プログラムの展開領域及びCPUの演算作業領域としても利用される。
モータドライバ176は、システムコントローラ172からの指示に従って搬送系のモータ188を駆動するドライバ(駆動回路)である。ヒータドライバ178は、システムコントローラ172からの指示に従って後乾燥部142等のヒータ189を駆動するドライバである。
プリント制御部180は、システムコントローラ172の制御に従い、画像メモリ174内の画像データ(元画像のデータ) から印字制御用の信号を生成するための各種加工、補正などの処理を行う信号処理機能を有し、生成したドットデータ(打滴データ)をヘッドドライバ184に供給する制御部である。
プリント制御部180には画像バッファメモリ182が備えられており、プリント制御部180における画像データ処理時に画像データやパラメータなどのデータが画像バッファメモリ182に一時的に格納される。なお、図14において画像バッファメモリ182はプリント制御部180に付随する態様で示されているが、画像メモリ174と兼用することも可能である。また、プリント制御部180とシステムコントローラ172とを統合して1つのプロセッサで構成する態様も可能である。
画像入力から印字出力までの処理の流れを概説すると、印刷すべき画像のデータは、通信インターフェース170を介して外部から入力され、画像メモリ174に蓄えられる。この段階では、例えば、RGBの画像データが画像メモリ174に記憶される。
画像メモリ174に蓄えられた元画像(RGB)のデータは、システムコントローラ172を介してプリント制御部180に送られ、該プリント制御部180において色変換及びハーフトーン化処理を経てインク色毎のドットデータに変換される。
即ち、プリント制御部180は、入力されたRGB画像データをK,C,M,Yの4色のドットデータに変換する処理を行う。こうして、プリント制御部180で生成されたドットデータは、画像バッファメモリ182に蓄えられる。
ヘッドドライバ184は、図9でも説明したとおり、図13のプリント制御部180から与えられる打滴データ(即ち、画像バッファメモリ182に記憶されたドットデータ)に基づき、ヘッド150の各ノズル51に対応するアクチュエータ58を駆動するための駆動信号を出力する。ヘッドドライバ184にはヘッドの駆動条件を一定に保つためのフィードバック制御系を含んでいてもよい。
ヘッドドライバ184から出力された駆動信号がヘッド150に加えられることによって、該当するノズル51からインクが吐出される。印字媒体116の搬送速度に同期してヘッド150からのインク吐出を制御することにより、印字媒体116上に画像が形成される。
上記のように、プリント制御部180における所要の信号処理を経て生成されたドットデータに基づき、ヘッドドライバ184を介して各ノズルからのインク液滴の吐出量や吐出タイミングの制御が行われる。これにより、所望のドットサイズやドット配置が実現される。
印字検出部124は、図16で説明したように、イメージセンサを含むブロックであり、印字媒体116に印字された画像を読み取り、所要の信号処理などを行って印字状況(吐出の有無、打滴のばらつき、光学濃度など)を検出し、その検出結果をプリント制御部180に提供する。なお、この印字検出部124に代えて、又はこれと組み合わせて他の吐出検出手段(吐出異常検出手段に相当)を設けてもよい。
他の吐出検出手段としては、例えば、ヘッド150の各圧力室内又はその近傍に圧力センサを設け、インク吐出時或いは圧力測定用のアクチュエータ駆動時などに、この圧力センサから得られる検出信号から吐出異常を検出する態様(内部検出方法)、或いは、レーザ発光素子などの光源と受光素子から成る光学検出系を用い、ノズルから吐出された液滴にレーザ光等の光を照射し、その透過光量(受光量)によって飛翔液滴を検出する態様(外部検出方法)などがあり得る。
プリント制御部180は、必要に応じて印字検出部124或いは図示しない他の吐出検出手段から得られる情報に基づいて、ヘッド150に対する各種補正を行うとともに、必要に応じて予備吐出や吸引、ワイピング等のクリーニング動作(ノズル回復動作)を実施する制御を行う。
上記構成のインクジェット記録装置110によれば、ムラの発生が抑制され、良好な画像形成が可能である。
本実施形態では液滴の吐出ヘッドとしてインクジェット記録装置に用いられるインクジェットヘッドを例示したが、本発明は、ウエハやガラス基板、エポキシなどの基板類等の被吐出媒体上に液類(水、薬液、レジスト、処理液)を吐出させて、画像や回路配線、加工パターンなどの立体形状を形成させる液吐出装置に用いられる吐出ヘッドに適用可能である。