JP4672179B2 - 医療用モニタシステム及びその制御方法、プログラム記憶媒体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、一人の患者に対しこの患者の電解質情報をリアルタイムに、患者出納情報としてモニタする医療用モニタシステムに関する。ここで電解質情報とは、例えば患者に注入された(患者が摂取した)薬剤等の電解質(Na+,Mg2+,Ca2+,K+,Cl-等) 量に関する出納(Intake/Output)情報である。
【0002】
【従来の技術】
近年の医療の進歩に伴い治療方法やそれに用いる薬剤の種類も増加し、投与方法も複雑化してきている。これにより、複数の医療用ポンプ(シリンジポンプ、輸液ポンプ等)を一人の患者に対して同時に使用する治療方法が増加しており、またこのような複数のシリンジポンプ、輸液ポンプ等の医療用ポンプからの薬液の投与流量や電解質情報をリアルタイム表示する方法が明らかにされている。
【0003】
例えば、「輸液ロボット(試作2号機)」(麻酔・集中治療とテクノロジー/1993年;146〜152ページ)で開示されているような輸液ロボットでは、パーソナルコンピュータを用いて複数の医療用ポンプからの情報を収集し、表やグラフに集計するシステムが明らかになっている。このようなシステムが具現化され、患者に対する輸液量などのIntake(摂取)情報と、尿,便,出血量, 限外ろ過量等のOutput(排出)情報の出納トレンドグラフ表示が可能となり、循環状態の安定度が一目で理解できるようになり、また輸液監視業務の省力化にも繋がっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、患者の水分や電解質などのトレンドグラフを表示するにしても、患者毎の適正な電解質量の閾値を表示し、医療従事者(操作者)に知らしめる方法がなかった。
【0005】
本発明は、このような問題点を鑑み、電解質量の閾値を患者毎に設定し、閾値を越える場合にアラームを発生させる医療用モニタ装置を提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は、一人の患者に対し複数の医療用ポンプを用いて薬液等を投与し、該医療用ポンプの送液流量と投与薬剤の情報より該患者の血液中の電解質量をリアルタイムで無線及び/または有線による通信により収集手段を介してモニタする医療用モニタ装置であって、投与薬剤のデータを入力する入力手段と、該収集手段から得られる該医療用ポンプの送液流量データ(mL/h)と前記入力手段で入力された前記投与薬剤のデータから前記者の前記血液中の電解質量であるナトリウムとカリウムを時系列的に記憶する記憶手段と、前記患者の前記血液中の前記電解質量である前記ナトリウムの閾値と前記カリウムの閾値を設定する設定手段と、該時系列で記憶された前記患者の前記血液中の前記電解質量である前記ナトリウムと前記カリウムの電解質量を該閾値とともに表示する表示手段と、前記患者の前記血液中の前記電解質量である前記ナトリウムと前記カリウムが前記閾値を越えたか否かを判断する判断手段と、該判断手段が前記閾値を越えたと判断した場合にアラームを発生するアラーム発生手段とを備え、
流量グラフと共に該患者の前記血液中の前記電解質量である前記ナトリウムと前記カリウムのグラフを前記表示部にリアルタイムで表示することを特徴とする。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の具体的な実施形態の例について説明する。図1に本発明におけるシステムのブロック図を示す。図6は、本発明のシステムのフローチャートである。
【0010】
100は、システム全体を制御する制御手段である。102,103,104は、医療ポンプを示している。医療ポンプ102,103,104は、収集手段101に有線で接続されており、収集手段で一旦収集された医療ポンプ102,103,104の情報は、制御手段100に送られる。本実施例では医療用ポンプを3台としているが、それ以上あるいはそれ以下の医療ポンプを接続してもよいし、人工呼吸器、血液透析機、尿量計等の医療機器を接続してもよい。
【0011】
105は表示手段であり、通常はCRTやTFT液晶モニタ等の表示器が用いられる。106は入力手段であり、キーボードやマウス等が用いられるが、105の表示手段と一体になったタッチパネル付き液晶を用いてもよい。107は、患者の血液中の電解質(Na+,Mg2+,Ca2+,K+,Cl-等)量をリアルタイムで測定するカテーテル型のような測定手段(センサ)である。108は、各種プログラムデータ、医療用ポンプ102,103,104を始めとした血圧計,心拍計,体温計,尿量計,人工呼吸器等の医療用機器(不図示)、測定手段107等からの各種データを記憶する記憶手段、109は警報等を発生するアラーム発生手段である。
【0012】
システムが起動すると(起動には図示していないシステム開始スイッチ押下や電源の直接投入で行われる)、制御手段100は表示手段105に図2で示すような電解質閾値入力画面を表示させる(ステップS100)。
【0013】
図2には、ナトリウム電解質(Na+)閾値入力領域201、カリウム電解質(K+)閾値入力領域202、確定ボタン203、中止ボタン204があり、操作者がカリウム電解質の閾値を入力する場合には、マウスを操作してカリウム電解質閾値入力領域202にマウスポインタを移動させた後にクリック、キーボードから閾値を入力しする。その後マウスを用いてマウスポインタを確定ボタン上に移動させ、押下(クリック)することにより、カリウム電解質の閾値が確定する。確定ボタン203が押下されると、制御手段100は図3に示すポンプ運転画面を表示手段105に表示させる。
【0014】
図3には、ポンプ1(102)情報表示領域301、ポンプ2(103)情報表示領域302、ポンプ3(104)情報表示領域303とポンプ1薬剤設定ボタン311、ポンプ2薬剤設定ボタン312、ポンプ3薬剤設定ボタン313、流量グラフ304、ナトリウム電解質グラフ305、カリウム電解質グラフ306がある。
【0015】
各ポンプ情報表示領域301,302,303には、設定薬剤表示部分と流量表示部分から構成されている。システム開始時には各薬剤設定は空欄のままになっている。システム開始以降収集手段101は所定間隔(所定秒)で接続されているポンプ102,103,104の流量値を収集し、その値を制御手段100へ送る。制御手段100ではポンプ102の流量値はポンプ情報表示領域301の流量表示部に、ポンプ103の流量値はポンプ情報表示領域302の流量表示部に、ポンプ104の流量値はポンプ情報表示領域303の流量表示部それぞれに流量値が表示される。また、記憶手段108に順次記憶され、それと同時に収集手段101から制御手段100へ送られた各流量値(電解質量も含まれる)は1分間や10分間などの所定単位時間(所定単位時分)毎に集計され流量グラフ304にその値が反映される。各ポンプ101,102,103での使用薬剤が定義されていない状態では、使用薬剤に伴い電解質データが定義されるため、ナトリウム電解質グラフ、カリウム電解質グラフにはデータが存在しない(全て0レベル)状態になる。システム起動直後は未設定のため各電解質グラフでは全て0レベルになる。
【0016】
各ポンプ101,102,103において薬剤を設定する場合には、各ポンプ101,102,103の薬剤設定ボタン311,312,313を押下する。薬剤設定ボタン311,312,313が押下されると図4で示されるような薬剤登録画面が表示される。
【0017】
図4(A)には、ポンプラベル400、薬剤テキスト領域401、薬剤選択ボタン402、開始時間入力領域403、開始分入力領域404、終了時間入力領域405、終了分入力領域406、薬剤履歴リスト407、確定ボタン408、中止ボタン409、削除ボタン410、閉じるボタン411、薬剤履歴リストスクロールバー412がある。
【0018】
ポンプラベル400には、現在入力中のポンプ名が表示される(実施例では、「ポンプ1」の入力画面を示している)。ポンプ1の薬剤設定ボタン311の押下により薬剤登録画面が表示された場合のポンプラベルは「ポンプ1」と、ポンプ2の薬剤設定ボタン312の押下により薬剤登録画面が表示された場合のポンプラベルは「ポンプ2」のように表示される。
【0019】
薬剤テキスト領域は画面が表示された状態では空欄である。薬剤選択ボタン402の押下により選択可能な薬剤リストがプルダウン表示され(図4(B)参照)、プルダウンリスト中の所望の薬剤データにマウス等のポインタを移動させ押下するとプルダウンリストが消え、選択した薬剤データが薬剤テキスト領域中に表示される。
【0020】
続いて選択した薬剤がいつからいつまで投与されていたかという時間的データを入力する。例えば、薬剤Aが10時30分から14時0分まで投与されていた場合には、開始時間入力領域403をポインティングデバイスで選択しテンキーで10を入力する。次に開始分入力領域404を選択しテンキーから30を入力する。その後終了時間入力領域405を選択しテンキーから14を入力する。最後に終了分入力領域406を選択し0を入力することで投与時間データの入力が行われる。なお、未入力の場合の入力値をデフォルトで0としておけば、最後の終了分入力領域の設定は行わなくてもよい。
【0021】
薬剤投与条件として、薬剤名、投与開始・終了時刻を設定し、内容を確認後操作者は確定ボタン408を押下する。確定ボタンが押下されると、制御手段は各項目で入力されたデータの整合性をチェックする。ここでの整合性のチェックとは、例えば終了時間が開始時間より古い値が入力されている場合やありえない値(開始時間入力領域にを30を入力した場合)等のチェックという意味である。整合性の確認が取れると薬剤履歴リスト407に入力したデータが追加される。
【0022】
薬剤名、投与開始・終了時刻の設定が、間違っていた場合は、確定ボタンを押下する前に薬剤名・時間の各領域のデータを入力しなおすか、中止ボタン409を押下する。中止ボタンが押下されると確定ボタン押下前に入力された薬剤テキスト領域401、開始時間・分入力領域403,404、終了時間・分領域405,406のデータが全て無効になり、各領域が空白に表示される。
【0023】
記憶手段108の一部を構成する薬剤手段履歴リストには開始・終了時間順に並べ替えれたデータが表示されている。すでにリストに登録されているデータを削除する場合にはリスト中の該当するデータが表示されている領域にポインティングデバイスを移動させクリックし、薬剤履歴リスト中から該当するデータを選択状態にする。その状態で削除ボタン410を押下すると選択したリストが削除される。
【0024】
例えば、
【0025】
という薬剤履歴リストがあり、この状態で薬剤名ZZの欄にポインタを移動させ削除ボタンを押下すると、薬剤履歴リストは
【0026】
になる。
【0027】
投与時間が重複して薬剤を設定しようとした場合には、確定ボタンの押下時の整合性チェックで重複する旨のアラーム表示をさせてもよい。
選択可能な薬剤には、単位量当たりの電解質データが別データで記録されている。
【0028】
例えば、
薬剤名,Na電解質,Ca電解質
AA,100,10
BB,50,50
CC,10,0
ZZ,10,10
のようなCSV(Comma Separated Value)ファイル構造を持つデータファイルをシステム中に保存させ、薬剤データの読み込み時に各電解質データも読み取るようにしておけばよい。上の例では薬剤AAには1リットル中100mEqのナトリウム電解質と、10mEqのカリウム電解質が含まれていることになる。またCSVファイルではなく一般的なデータベースアプリケーションソフトウェアで扱うファイル構成でもよい。
【0029】
制御手段100ではこのように設定された薬剤データと収集手段から得られるポンプ流量データから単位時間当たりの電解質データを算出することが可能になる。例えば10時から11時までの一時間に各ポンプの流量と設定された薬剤のデータが
【0030】
であった場合、この1時間でポンプ1から投与された薬剤中に含まれるカリウム電解質は、
投与された薬剤量 × カリウム電解質濃度 = 0.1(L)×100(mEq/L) = 10mEq
となる。
【0031】
同様にポンプ2で投与されたカリウム電解質は0.2×50=10mEq、ポンプ3で投与されたカリウム電解質は0.05×10=0.5mEqとなり、トータルで10時から11時までに20.5mEqのカリウム電解質が投与されたことになる。
【0032】
カリウム電解質においても同様にして、
ポンプ1からの量 : 0.1×10=1mEq
ポンプ2からの量 : 0.2×50=10mEq
ポンプ3からの量 : 0.05×0=0mEq
となり、トータルで11mEqのカリウム電解質が投与されていることになる。
【0033】
投与された薬剤の総量は350mLなので、トータルで1リットル中約31.4mEqのカリウム電解質濃度を持つ薬液が単純計算で投与されたことになる。
【0034】
例えばカリウム電解質は通常体液1リットル中に3.5〜5.5mEq溶けている。腎不全患者はカリウム過多状態に陥り易い。
【0035】
投与対象患者が腎不全患者の場合には、この約31.4mEq/Lの投与を持続することは基本的には好ましくない。
【0036】
このような患者に対して例えば、トータルで10mEq/L以上のカリウム電解質を1時間以上投与した場合、測定手段107で測定された血液中のリアルタイムのカリウム電解質量を参照して、好ましくない状態になると医師が判断した場合、図2のカリウム閾値入力領域(202)に10(mEq/Lh)を入力しておけば、単位時間当たりに上述のように各ポンプからの流量値と設定薬剤からカリウム電解質を求め閾値以上だった場合(ステップS103)に、制御手段100は図5に示すようなアラーム画面(アラームレベルの表示501)を表示手段105に、現在値、閾値(設定値)とともに表示させる(ステップS104)。
【0037】
図5には、アラームラベル501と現在電解質濃度表示領域502、設定電解質濃度表示領域503、閉じるボタン504、血中濃度表示領域505、ポンプ1流量値領域511、ポンプ1使用薬剤領域512、ポンプ1電解質濃度領域513、ポンプ2流量値領域521、ポンプ2使用薬剤領域522、ポンプ2電解質濃度領域523、ポンプ3流量値領域531、ポンプ3使用薬剤領域532、ポンプ3電解質濃度領域533がある。なお、血中濃度表示領域505で表示される血中電解質濃度は、測定手段107で測定された濃度が表示される。
【0038】
アラームラベルおよび各ポンプ電解質濃度領域は、設定閾値を越えた電解質によって表示内容が変化する。仮にカリウム電解質が設定濃度を超えた場合には、アラームラベルの表示内容は、「カリウム濃度が設定値を超えています」となり、現在電解質濃度表示領域および設定電解質濃度表示領域にはカリウム電解質に関するデータが表示され513、523、533の各ポンプ電解質濃度領域もカリウム電解質データが表示される。
【0039】
アラーム画面を表示するだけでなく、音声やアラーム音などを発生させ医師などにさらに注意を促すことも可能である。
【0040】
医師はこのアラーム画面から、ポンプの流量を少なくしたり、使用する薬剤を変えたりするなどの医療処置を講ずる判断材料の一つとすることができる。
【0041】
【発明の効果】
本発明によれば、患者毎に水分や電解質などの閾値(設定値)を決め、投与している間はリアルタイムでトレンドグラフを表示するとともに、閾値を越える場合にアラームを発生させる医療用モニタシステム、その制御方法、そのプログラム記憶媒体が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明におけるシステムのブロック図である。
【図2】 電解質閾値設定画面構成を示す図である。
【図3】 ポンプ運転画面構成を示す図である。
【図4】 各ポンプでの使用薬剤設定画面構成を示す図である。
【図5】 電解質アラーム表示画面構成を示す図である。
【図6】 本発明におけるシステムのフローチャートの一部を示す図である。
【符号の説明】
100…制御手段、101…収集手段、102,103,104…医療用ポンプ、105…表示手段、106…入力手段、107…測定手段、108…記憶手段、109…アーラム発生手段
Claims (2)
- 一人の患者に対し複数の医療用ポンプを用いて薬液等を投与し、該医療用ポンプの送液流量と投与薬剤の情報より該患者の血液中の電解質量をリアルタイムで無線及び/または有線による通信により収集手段を介してモニタする医療用モニタ装置であって、投与薬剤のデータを入力する入力手段と、該収集手段から得られる該医療用ポンプの送液流量データ(mL/h)と前記入力手段で入力された前記投与薬剤のデータから前記者の前記血液中の電解質量であるナトリウムとカリウムを時系列的に記憶する記憶手段と、前記患者の前記血液中の前記電解質量である前記ナトリウムの閾値と前記カリウムの閾値を設定する設定手段と、該時系列で記憶された前記患者の前記血液中の前記電解質量である前記ナトリウムと前記カリウムの電解質量を該閾値とともに表示する表示手段と、前記患者の前記血液中の前記電解質量である前記ナトリウムと前記カリウムが前記閾値を越えたか否かを判断する判断手段と、該判断手段が前記閾値を越えたと判断した場合にアラームを発生するアラーム発生手段とを備え、
流量グラフと共に該患者の前記血液中の前記電解質量である前記ナトリウムと前記カリウムのグラフを前記表示部にリアルタイムで表示することを特徴とする医療用モニタ装置。 - 該患者の前記血液中の前記電解質量である前記ナトリウムと前記カリウムをリアルタイムで測定する測定手段をさらに設けたことを特徴とする請求項1記載の医療用モニタ装置。
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