JP4672102B2 - ポリウレタン塗料用硬化剤 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリウレタン樹脂塗膜および該塗膜形成用硬化剤に関し、水酸基含有樹脂の単独、またはブロックポリイソシアネートを含んだベースコート塗料を塗装し、次いでトップコート塗料として、特定のポリイソシアネートからなる硬化剤を含んだポリウレタン塗料を塗装することにより、全体としてポリイソシアネートの量を低減し、耐候性、耐久性に優れたウレタン樹脂塗膜を提供する。
【0002】
【従来の技術】
従来、自動車の補修用塗料やプラスチックス用塗料において、着色成分であるベースコート塗料を塗装し、更に耐候性、耐久性、外観向上のためにトップコート塗料を塗装することが行われている。この場合には、ベースコート塗料およびトップコート塗料において、2液型のポリウレタン樹脂塗料が、優れた塗膜物性を示すことから、多用されている。
【0003】
2液型ポリウレタン樹脂塗料は、時間と共に反応し粘度が上昇していき、ある粘度以上になった塗料は外観、付着性などが低下するため廃棄しなければならず、高価なポリイソシアネートを使用する上で経済的ではなかった。
ブロックポリイソシアネートをベースコート、トップコートの硬化剤として使用する一液型の方法も知られているが、硬化に130℃以上の加熱が必要であり、被塗物が金属以外での使用は難しく、またトップコートに使用した場合は焼付け時の着色が問題となるため、淡彩色の用途に使用するのは制限があった。
【0004】
また、特開昭61−161179号公報には、ベースコートの塗料として水酸基ならびにカルボキシル基を含有する樹脂と触媒からなる塗料を塗装し、次いで水酸基含有樹脂とポリイソシアネート化合物を主成分とするトップコート塗料を塗装してトップコート塗料中のイソシアネート化合物をベースコート層へ一部移行せしめて硬化させる方法が知られているが、ベースコートを架橋せしめるに十分なイソシアネート化合物が移行しない場合もあり、付着性、耐溶剤性などに問題のある場合があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、ベースコート、トップコートからなる2層の塗料を2コート1ベークで塗装し硬化せしめて得られるポリウレタン樹脂塗膜を形成する際に、低温、短時間での乾燥条件において優れた硬化性、塗膜物性、作業性を奏する硬化剤を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは鋭意検討の結果、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は、下記の通りである。
1.水酸基含有樹脂を含むベースコート塗料を塗装し、次いで該塗膜面に、トップコート塗料として、硬化剤と水酸基含有樹脂とを含み、NCO/OH比が1.2〜3.0の2液型ポリウレタン塗料を塗装し、硬化してなるポリウレタン樹脂塗膜形成用の硬化剤であって、該硬化剤が1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートのウレトジオン2量体を1重量%以上、70重量%以下含有するポリイソシアネートであることを特徴とするポリウレタン塗料用硬化剤、
2.水酸基含有樹脂とブロックイソシアネートを含むベースコート塗料を塗装し、次いで該塗膜面に、トップコート塗料として、硬化剤と水酸基含有樹脂とを含み、NCO/OH比が1.2〜3.0の2液型ポリウレタン塗料を塗装し、硬化してなるポリウレタン樹脂塗膜形成用の硬化剤であって、該硬化剤が1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートのウレトジオン2量体を1重量%以上、70重量%以下含有するポリイソシアネートであることを特徴とするポリウレタン塗料用硬化剤、
【0007】
3.水酸基含有樹脂を含むベースコート塗料を塗装し、次いで該塗膜面に、トップコート塗料として、硬化剤と水酸基含有樹脂とを含み、NCO/OH比が1.2〜3.0の2液型ポリウレタン塗料を塗装し、硬化してなるポリウレタン樹脂塗膜であって、該硬化剤が1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートのウレトジオン2量体を1重量%以上、70重量%以下含有するポリイソシアネートであることを特徴とするポリウレタン樹脂塗膜、
4.水酸基含有樹脂とブロックイソシアネートを含むベースコート塗料を塗装し、次いで該塗膜面に、トップコート塗料として、硬化剤と水酸基含有樹脂とを含み、NCO/OH比が1.2〜3.0の2液型ポリウレタン塗料を塗装し、硬化してなるポリウレタン樹脂塗膜であって、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートのウレトジオン2量体を1重量%以上、70重量%以下含有するポリイソシアネートであることを特徴とするポリウレタン樹脂塗膜。
【0008】
以下、本発明について、詳細に説明する。
2コート1ベークでポリウレタン樹脂塗膜を形成する際のトップコート用硬化剤につき鋭意検討した結果、特定のポリイソシアネートを選択することにより、ベースコート層まで十分に架橋し、優れた塗膜物性を形成できることがわかった。ここで言う、特定のポリイソシアネートとは、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートから得られるウレトジオン2量体を1重量%以上、70重量%(以下、表2の光沢保持率を除き、%は重量%を示す。)以下含有するものである。
【0009】
本発明で使用する1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートのウレトジオン2量体を含むポリイソシアネートの製造方法としては、例えば、特許公開公報 昭59−98180号、同昭61−97265号、同平5−32759号、同平7−309926号、同平8−269012号、同平9−208563号、同平10−77324号、同平10−506660号、同平10−95823号などに記載されている公知の方法で製造されるポリイソシアネートが使用できる。
【0010】
また、多価アルコールとの反応の際に、高温で加熱してウレトジオン結合を副生させる方法を用いても良い。
従来公知である水や第三級アルコールとの反応物であるビゥレット構造を有するポリイソシアネートもウレトジオン2量体を含有するため使用できる。
更に、イソシアヌレート化反応やアロファネート化反応で得られるポリイソシアネートや多価アルコールとの付加生成物であるポリイソシアネートを前述の方法で得られたウレトジオンを含有するポリイソシアネートと混合して、ポリイソシアネート中のウレトジオン2量体の含有量を1%以上、70%以下に調製しても良い。
【0011】
トップコートで使用するポリイソシアネートとしては、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートから得られるウレトジオン2量体を1%以上、70%以下含むものであり、好ましくは5%以上、50%以下含むものが良い。1%未満の場合は、トップコート層のポリイソシアネートがベースコート層へ移行する割合が小さくなるため、耐溶剤性、付着性などに十分な性能を発現しない。一方、70%を超えると、ウレトジオン2量体は2官能であり、塗膜の架橋性が悪く、耐溶剤性、耐候性などに劣る。また、ウレトジオン体は熱的に不安定であるため、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート(モノマー)に解離し、ポリイソシアネート貯蔵中にモノマーの含有量が増加し、作業環境の点で好ましくない。ウレトジオン2量体以外の成分としては、ビゥレット構造、イソシアヌレート構造、アロファネート構造を有するポリイソシアネートが好ましく、特にイソシアヌレート構造を有するポリイソシアネートが耐候性の点で好ましい。また、アロファネート構造単独またはイソシアヌレート構造を同時に含むポリイソシアネートも低粘度、極性の低い溶剤への溶解性の点で好ましい。
【0012】
本発明で使用されるポリイソシアネートとトップコートに使用される水酸基含有樹脂との比率はNCO/OHで表されるモル比で0.8〜3.0、特に1.0〜2.0の範囲が好ましい。0.8未満の場合、トップコート層からベースコート層に移行するポリイソシアネートの量が少なくなるため、十分な架橋を形成できず、耐溶剤性、耐候性、付着性などの低下が起こる。一方、3.0を超えた場合は、乾燥性の遅延やポリイソシアネートの量が増えるために経済的に好ましくない。
【0013】
水酸基含有樹脂としては当該業界で使用されている、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂などが使用でき、例えば、水酸基価は5〜200mgKOH/g、好ましくは20〜120mgKOH/g、酸価は0〜50mgKOH/g、好ましくは0〜20mgKOH/g、数平均分子量は1000〜100000,好ましくは2000〜50000の範囲のものが使用される。
ベースコート塗料は、水酸基含有樹脂の単独またはブロックポリイソシアネートを調合した一液型塗料が使用される。ブロックポリイソシアネートとしては、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートおよび/またはイソホロンジイソシアネートから得られるビゥレット、イソシアヌレート、ウレタン、ウレトジオン、アロファネート基のいずれかを有するポリイソシアネートを公知のブロック化剤であるオキシム類、ラクタム類、活性メチレン化合物などでブロック化したものであり、例えば、2−ブタノンオキシム、ε−カプロラクタム、アセト酢酸エチル、マロン酸ジエチルなどの化合物でブロックすることができる。これらのブロックポリイソシアネートは、焼き付け条件に応じて任意に選択することができる。
【0014】
ブロックポリイソシアネートを使用する場合、水酸基含有樹脂とブロックポリイソシアネートの比率は、(有効NCO)/(OH)モル比で1.0以下、特に0.8以下が好ましい。
また、ベースコート塗料には通常当該分野で使用される無機および有機系顔料を使用したソリッドカラー塗料や、鱗片状のアルミニウムなどの金属微粉、雲母状酸化鉄などを使用したメタリック塗料、パール塗料を使用することもできる。
【0015】
ベースコート塗料の樹脂には、トップコート層から移行してくるウレトジオン2量体の硬化およびベースコートに調合されているブロックポリイソシアネートの硬化を促進するために、当該分野で使用されている硬化触媒、例えば、有機金属系化合物、酸性燐酸エステルや第3級アミン化合物を使用してもよい。これらの化合物として、例えば、ジブチル錫ジラウレート、ジオクチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジアセテート、テトラブチルジアセトキシジスタノキサン、ナフテン酸鉛、ナフテン酸コバルト、2−エチルヘキサン酸鉛、2−エチルヘキサン酸鉄、リン酸モノブチルエステル、リン酸ジブトキシエステル、トリエチレンジアミンなどを使用することができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
次に、実施例によって本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は、実施例によりなんら限定されるものではない。
<ポリイソシアネート中のHDIのウレトジオン2量体の含有量>
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)の測定で得られる流出面積百分率で求めた。測定条件は、カラム:東ソー(株)G1000HXL、G2000HXL、G3000HXLを各1本、キャリアー:テトラヒドロフラン、検出方法:示差屈折計、データ処理:東ソー(株)CP8000で行った。
<ウレトジオン含有ポリイソシアネートの製造例>
【0017】
【参考例1】
<ポリイソシアネート−A>
冷却管、窒素導入管と温度計、滴下漏斗、攪拌機を備えた1Lの4ツ口フラスコに、ヘキサメチレンジイソシアネート(以下、HDIと略) 500gを仕込み、60℃に加熱し、攪拌下、トリスジエチルアミノホスフィン 5.0gを加えた。60℃で反応を進行させ、4時間後、反応液の屈折率が0.006上昇した時点で、リン酸4.0gを添加し反応を停止した。リン酸添加後、更に60℃で1時間、加熱を続けた後、室温に冷却した。
反応液を濾過し析出物を除いた後、流下式薄膜蒸発装置を用いて、1回目を3Torr/155℃、2回目を0.2Torr/145℃で未反応のHDIを除去し、微黄色透明の液体で、25℃での粘度が52mPa・s、イソシアネート基含有量が24.0%のポリイソシアネート−Aを得た。
ポリイソシアネート−Aのウレトジオン2量体含有量は75%であり、赤外線吸収スペクトラム(IR)では、1760cm-1にウレトジオン結合に基づく強い吸収が観察された。
【0018】
【参考例2】
<ポリイソシアネート−B>
参考例1と同じ反応装置に、HDI 560g、トリメチル燐酸 120g、メチルセロソルブ 120gと水を2.8g仕込み、125℃に昇温して2時間、更に160℃に昇温して4時間反応させた後、室温まで冷却を行った。
反応液を濾過し析出物を除去した後、実施例1と同じ流下式薄膜蒸発装置を用いて、未反応のHDIを除去し、微黄色透明の液体で、25℃での粘度が1100mPa・s、イソシアネート基含有量が23.8%のポリイソシアネート−Bを得た。ポリイソシアネート−Bのウレトジオン2量体含有量は13%であった。
【0019】
【参考例3】
<ポリイソシアネート−C>
参考例1と同じ反応装置に、HDI 700g 、1,3−ブタンジオール 28gを仕込み、160℃に3時間保持し反応を行った後、室温まで冷却を行った。
反応液を濾過し、実施例1と同様に未反応のHDIを除去し、微黄色透明の液体で、25℃での粘度が530mPa・s、イソシアネート基含有量が19.6%のポリイソシアネート−Cを得た。
ポリイソシアネート−Cのウレトジオン2量体含有量は16%であった。
IRスペクトラムからは、ウレタンとウレトジオンに基づく吸収が認められた。
<ウレトジオンを含有しないポリイソシアネートの製造例>
【0020】
【参考例4】
<ポリイソシアネート−D>
参考例1と同じ反応装置に、HDI 700gを仕込み、60℃に加温し、攪拌下、三量化触媒としてテトラメチルアンモニウム・カプリエートを反応液の屈折率が0.0010上昇するまで0.2g分割添加した。その後、リン酸0.15gを加え、90℃に加温して1時間加熱を続けた後、室温に冷却して触媒の失活物を析出させ、濾過を行った後、流下式薄膜蒸発装置を用いて、未反応のHDIを除去して、微黄色、透明の液体で、25℃における粘度が1350mPa・s、NCO含有量が23.1%のポリイソシアネート−Dを得た。
ポリイソシアネート−Dのウレトジオン2量体含有量は1%未満であり、IRではウレトジオンに基づく吸収は観察されなかった。
【0021】
【参考例5】
<ポリイソシアネート−E>
参考例1と同じ反応装置に、HDI 700g 、2−エチルヘキシルアルコール30gを仕込み、攪拌下80℃で反応を行った。次いで、温度を60℃に下げた後、テトラメチルアンモニウム・カプリエート0.2gを30分毎に分割して8回加えた。4時間、60℃で反応を行った後、85%リン酸0.20gを加え反応を停止させた後、さらに90℃まで温度を上げて1時間加熱を行い、室温に冷却した。析出物のある反応液を濾過により除去した後、流下式薄膜蒸発装置を用いて未反応のHDIを除去し、微黄色、透明の液体で、25℃における粘度は440mPa・s、NCO含有量が21.0%のポリイソシアネート−Eを得た。
ポリイソシアネート−Eのウレトジオン2量体含有量は1%未満であり、ウレトジオンに基づく吸収は観察されなかった。
【0022】
【参考例6】
<ブロックポリイソシアネートの製造>
参考例1と同じ反応装置に、イソホロンジイソシアネートの3量体であるVestagone T1890L(ヒュルス社製品)400g、キシレン 86gを仕込み均一に溶解させた。更に、アセト酢酸エチル 164gを加えて均一にした後、ナトリウムメチラート溶液(28%溶液)0.72gを、反応液の温度が80℃を越えないように注意しながら、3時間かけて滴下、添加した。その後n−ブタノールを10g添加し、更に90℃に加熱してIRでイソシアネート基の吸収がなくなるまで2時間反応を続けた後、ジブチルリン酸2.3gを加え1時間攪拌を続けた後、室温まで冷却しブロックポリイソシアネートを得た。
ブロックポリイソシアネートは固形分60%,有効イソシアネート基量は7.4%、25℃での粘度は550mPa・sであった。
【0023】
【実施例1】
ポリプロピレン板上にアクリルポリオールA(固形分55%,水酸基価30、ガラス転移温度10℃)を乾燥膜厚40ミクロンとなるよう塗工し、室温に30分間放置後、更に60℃で30分間乾燥させベースコートの塗膜を得た。次いで、該塗面上にアクリルポリオールB(固形分55%、水酸基価45、ガラス転移温度35℃)100重量部(以下、部と略記する。)とポリイソシアネートBを17.0部、酢酸n−ブチル/キシレン混合溶剤27部を均一に混合しNCO/OH比が1.2のトップコート塗料を乾燥膜厚80ミクロンになるように塗工した。室温で15分間放置後、90℃で30分間乾燥した後、塗膜をポリプロピレン板から剥離し、ポリプロピレン板面側のベースコート塗膜の窒素と炭素の比率を以下に記載したX線光電子分光分析(以下、ESCAと略)方法で測定し、その強度比でもってトップコート塗膜からベースコート塗膜へのポリイソシアネートの移行性の測定をした。
測定の結果、ベースコート塗膜の窒素/炭素比は、1.9であった。また、アクリルポリオールAだけを塗工、乾燥した塗膜を同様の操作を行い窒素/炭素比を測定した結果は0.9であることからベースコート塗膜中にトップコートのポリイソシアネートが移行していることが確認された。
【0024】
光電子脱出角度を90度とし、X線源にMgKα1.2を用い、出力を7KV×30mAで、試料チャンバー室を3×10-5Pa以下の真空に保った。窒素はN1sで410〜392eVの範囲を積分回数16回、炭素はC1sで294〜280eVの範囲を積分回数1回で測定し、各々バックグラウンド除去した後、ピーク面積を求め、装置固有の感度補正値(本実施例ではC1sで1.00,N1sで1.77)で除し、原子数比としての窒素/炭素比を算出した。
【0025】
【実施例2〜5、比較例1〜3】
トップコート塗料のポリイソシアネートの種類、量を変更した以外は実施例1と同様に行い測定した結果を表1に示す。
【0026】
【表1】
【0027】
【実施例6】
実施例1と同じアクリルポリオールA 100部とブロックポリイソシアネート 18.2部(NCO/OH比0.6)を加え、キシレン/酢酸nブチル混合溶剤にて塗料粘度をフォードカップNo.4で14秒に調製しベースコート塗料を作成した。また、実施例1と同じアクリルポリオールB 100部とポリイソシアネートB 17.0部を加え、キシレン/酢酸nブチル混合溶剤にて塗料粘度をフォードカップNo.4で同じく14秒に調製し、NCO/OH比が1.2のトップコート塗料を作成した。
作成したベースコート塗料をアルミ板(JIS K5410に規定されるアルミ板をイソプロピルアルコールとキシレンの1:1混合溶剤で洗浄、乾燥したもの)に、乾燥膜厚が40ミクロンになるようにエアースプレー塗装し、室温に15分放置後、トップコート塗料を乾燥膜厚が30ミクロンになるようにエアースプレー塗装した。15分室温に放置後、90℃の乾燥炉にて30分焼き付け乾燥を行った。得られた塗膜性能の結果を表2に示す。
【0028】
【実施例7】
実施例1と同じアクリルポリオールA 100部をキシレン/酢酸nブチル混合溶剤にて塗料粘度をフォードカップNo.4で14秒に調製しベースコート塗料を作成した。また、実施例1と同じアクリルポリオールB 100部とポリイソシアネートB 21.2部を加え、キシレン/酢酸nブチル混合溶剤にて塗料粘度をフォードカップNo.4で同じく14秒に調製し、NCO/OH比が1.5のトップコート塗料を作成した。
実施例6と同じように塗装、乾燥して得られた塗膜の結果を表2に示す。
【0029】
【比較例4】
実施例6のトップコートのポリイソシアネートをポリイソシアネートBとポリイソシアネートDを各々4.2, 12.7部の混合物(NCO%=23.2)を使用したNCO/OH比が0.9のトップコート塗料を用いた他は実施例6と同じにした結果を表2に示す。
【0030】
【比較例5】
実施例6のトップコート塗料のポリイソシアネートに代えてポリイソシアネートAを21.2部(NCO/OH比1.5)用いた他は実施例6と同じにした結果を表2に示す。
【0031】
【比較例6】
アクリルポリオールA 100部にポリイソシアネートDを7.7部配合し、キシレン/酢酸nブチルの混合溶剤でフォードカップNo.4で15秒の粘度に調製したNCO/OH比が0.8のベースコート塗料を作成した。また、アクリルポリオールBにポリイソシアネートDを14.7部加え、同じくキシレン/酢酸nブチルの混合溶剤で塗料粘度をフォードカップNo.4で14秒に調製したNCO/OH比1.0のトップコート塗料を作成した。
実施例6と同じように塗装、乾燥して得られた塗膜の結果を表2に示した。
【0032】
【表2】
【0033】
【発明の効果】
1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートから得られるウレトジオン2量体を1%以上含有するポリイソシアネートをトップコート用2液型ポリウレタン塗料の硬化剤に使用することにより、ベースコート塗膜も十分に架橋させることが可能である。そのため、該硬化剤を用いて形成したポリウレタン樹脂塗膜は、付着性、耐溶剤性、耐候性において優れた特性を発現できる。
Claims (4)
- 水酸基含有樹脂を含むベースコート塗料を塗装し、次いで該塗膜面に、トップコート塗料として、硬化剤と水酸基含有樹脂とを含み、NCO/OH比が1.2〜3.0の2液型ポリウレタン塗料を塗装し、硬化してなるポリウレタン樹脂塗膜形成用の硬化剤であって、該硬化剤が1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートのウレトジオン2量体を1重量%以上、70重量%以下含有するポリイソシアネートであることを特徴とするポリウレタン塗料用硬化剤。
- 水酸基含有樹脂とブロックイソシアネートを含むベースコート塗料を塗装し、次いで該塗膜面に、トップコート塗料として、硬化剤と水酸基含有樹脂とを含み、NCO/OH比が1.2〜3.0の2液型ポリウレタン塗料を塗装し、硬化してなるポリウレタン樹脂塗膜形成用の硬化剤であって、該硬化剤が1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートのウレトジオン2量体を1重量%以上、70重量%以下含有するポリイソシアネートであることを特徴とするポリウレタン塗料用硬化剤。
- 水酸基含有樹脂を含むベースコート塗料を塗装し、次いで該塗膜面に、トップコート塗料として、硬化剤と水酸基含有樹脂とを含み、NCO/OH比が1.2〜3.0の2液型ポリウレタン塗料を塗装し、硬化してなるポリウレタン樹脂塗膜であって、該硬化剤が1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートのウレトジオン2量体を1重量%以上、70重量%以下含有するポリイソシアネートであることを特徴とするポリウレタン樹脂塗膜。
- 水酸基含有樹脂とブロックイソシアネートを含むベースコート塗料を塗装し、次いで該塗膜面に、トップコート塗料として、硬化剤と水酸基含有樹脂とを含み、NCO/OH比が1.2〜3.0の2液型ポリウレタン塗料を塗装し、硬化してなるポリウレタン樹脂塗膜であって、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートのウレトジオン2量体を1重量%以上、70重量%以下含有するポリイソシアネートであることを特徴とするポリウレタン樹脂塗膜。
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