JP4668624B2 - 食道粘膜用画像処理装置 - Google Patents
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Description
このような場合、内視鏡画像から画像処理により、正常な状態か性状変化状態であるかの判定を行うことができると、術者は、その判定結果の部位を重点的に診断することにより、効率的な診断を行うことができる。
例えば、従来例としての特開2000−155840号公報は、撮像条件の影響を少なくして、性状変化部と正常部の境界の形状に関する情報に基づき特徴量を算出することが記載されている。
バレット食道は、特に欧米人において増加しており、高い確率で腺癌が発生することから大きな問題となっているため、バレット食道或いはバレット粘膜の早期発見が非常に重要なものとなっている。
なお、バレット食道或いはバレット粘膜は、食道に対して全周的に発生する場合のみでなく、しばしば局所的に進行するような場合がある。
また、食道内部のような管状部位を直視型の内視鏡により撮像した画像の場合には、管状の粘膜組織(上皮)を管腔の軸方向から撮像した画像となるため、特に撮像手段からの距離が異なる部分での形状等が大きく変化する。
(発明の目的)
本発明は、上述した点に鑑みてなされたもので、直視型の内視鏡によって撮像された食道の内視鏡画像のような場合に対してもバレット食道の診断等を効率良く行うのに適した食道粘膜用画像処理装置を提供することを目的とする。
本発明の第2の食道粘膜用画像処理装置は、食道内を撮像した画像に対して、展開図を生成する展開図生成手段と、前記展開図上の画素値の色調変化または当該画像のエッジ状態に基づいて、食道側粘膜としての扁平上皮と、胃側粘膜の円柱上皮との境界としての上皮境界を検出する上皮境界検出手段と、前記上皮境界検出手段により検出された前記上皮境界を構成する各画素の管腔方向に対する座標に関する特徴量を算出する特徴量算出手段と、前記特徴量算出手段が算出した特徴量に基づいて解析結果を出力する解析手段と、を具備したことを特徴とする。
本発明の第3の食道粘膜用画像処理装置は、食道内を撮像した画像に対して、展開図を生成する展開図生成手段と、前記展開図上の画素値の色調変化または当該画像のエッジ状態に基づいて、食道側粘膜としての扁平上皮と、胃側粘膜の円柱上皮との境界としての上皮境界を検出する上皮境界検出手段と、前記展開図上の基準部を設定する基準部設定手段と、前記上皮境界検出手段により検出された前記上皮境界を構成する画素と、前記基準部設定手段により設定された前記基準部を構成する画素の座標間の距離に関する特徴量を算出する特徴量算出手段と、前記特徴量算出手段が算出した特徴量に基づいて解析結果を出力する解析手段と、を具備しことを特徴とする。
図7は、内視鏡画像から展開図生成の処理手順のフローを示し、図8は図5における上皮境界を検出する処理手順のフローを示し、図9は算出した上皮境界のZ方向の平均値を表示した展開図を示し、図10は予め診断が確定した上皮境界の場合とバレット食道の場合のサンプルの分散値のヒストグラムにより判定基準となる基準値を算出したヒストグラム例を示し、図11は内視鏡画像、展開図及び判定結果を表示したモニタでの表示例を示し、図12は内視鏡画像、この内視鏡画像から推定された食道と胃の接合部周辺部の内壁の立体形状、及びその立体形状から生成した展開図を示す。
内視鏡観察装置2は、体腔内に挿入される内視鏡6と、この内視鏡6に照明光を供給する光源装置7と、内視鏡6の撮像手段に対する信号処理を行うカメラコントロールユニット(CCUと略記)8と、このCCU8から出力される映像信号が入力されることにより、撮像素子で撮影した内視鏡画像を表示するモニタ9とを有する。
このライトガイド13の後端は、光源装置7に接続される。そして、この光源装置7から供給される照明光をライトガイド13により転送し、挿入部11の先端部14に設けた照明窓に取り付けられた先端面から(伝送した照明光を)出射し、患部等の被写体を照明する。
照明窓に隣接する観察窓に取り付けた対物レンズ15と、この対物レンズ15の結像位置に配置された固体撮像素子としての例えば電荷結合素子(CCDと略記)16とによる撮像装置17が設けてある。そして、このCCD16の撮像面に結蔵された光学像は、このCCD16により光電変換される。
この画像処理装置3は、内視鏡観察装置2から入力される内視鏡画像に対応する映像信号が入力され、A/D変換する画像入力部21と、この画像入力部21から出力される画像データに対する画像処理を行う中央演算処理装置としてのCPU22と、このCPU22により画像処理を実行させる処理プログラム(制御プログラム)を記憶する処理プログラム記憶部23とを有する。
そして、この表示処理部28により生成された映像信号は、モニタ4に表示され、このモニタ4の表示面には画像処理された処理画像が表示される。なお、画像入力部21、CPU22、処理プログラム記憶部23、画像記憶部24、情報記憶部25、記憶装置インターフェース26、表示処理部28、入力操作部29は、データバス30を介して互いに接続されている。
図3は、この直視型の内視鏡6によって撮像されたバレット食道の内視鏡画像Iaの1例を示している。バレット食道は、胃と食道の接合部としての胃食道接合部Bから口腔に向かって連続的に食道粘膜としての扁平上皮32が胃粘膜或いはバレット粘膜としての円柱上皮33に変性したものであり、このバレット粘膜が正常な粘膜境界から3cm以上、食道管腔断面に対して全周性に生じた場合に、バレット食道という疾患と診断される。
図3の内視鏡画像Iaでは、食道31から胃内部に至る管状部位部分が、図示しない最暗部の周囲の胃食道接合部B、胃食道接合部Bの周囲の外側の円柱上皮33、その外側の上皮境界A、そしてこの上皮境界Aの外側の扁平上皮32が表示されている。
そして、検出された上皮境界Aの特徴的な形状に基づいて、形状の解析を行い、解析結果を出力する処理を行う。
具体的には、上皮境界AのZ方向の平均値を算出し、さらに上皮境界AのZ方向の分散値を算出することによって、上皮境界かバレット食道かを判定する処理を行い、上皮境界かバレット食道かの判定結果(解析結果)を出力する。
上記上皮境界解析手段22dは、具体的には、上皮境界のZ軸方向の平均値を算出する上皮境界の平均値算出手段(機能)と、上皮境界のZ方向の分散値を算出する上皮境界の分散値算出手段(機能)と、この分散値が上皮境界かバレット食道かを判定する判定手段(機能)とからなる。
次に図5を参照して、本実施例の動作を説明する。
画像処理装置3の動作が開始すると、CPU22は処理プログラム記憶部23の処理プログラムを読み出し、その処理プログラムに従った処理を開始する。CPU22は最初のステップS1において、内視鏡観察装置2のCCU8から画像入力部21を経て入力される内視鏡画像Iaの画像データを取得する。
この展開図Ibを生成する処理を図7に示す。
図7に示すように最初のステップS11において、内視鏡画像Ia内の最暗部の位置を検出し、検出された最暗部の重心位置を内視鏡画像Iaの座標の中心位置とする。
本実施例においては、内視鏡画像Ia内の最暗部の位置を中心に展開図を生成する。最暗部の検出方法として内視鏡画像Iaを複数の領域に分割し、分割された領域の平均輝度を算出し、最小の平均輝度を有する領域を最暗部の位置として求める。
なお、図6では内視鏡画像Iaから展開図Ibが生成された場合の関係を分かりやすくするために、内視鏡画像Iaにおける扁平上皮32と円柱上皮33の上皮境界A、胃食道接合部Bを展開図Ibにした場合にはどのような形状で表示されるかを矢印で対応付けて示している。ここで、θが0度、45度、90度、…の場合の目盛を付して示している。また、画像の表示枠の位置をQ0,Q45,Q90により示している。
次のステップS12とステップS13において展開図Ibの座標S(θ、z)の初期値を設定する。つまり、ステップS12において、CPU22は、θ=0とし、ステップS13においてz=0とする。
x=z sin θ 、y=z cos θ (1)
ステップS15において算出された座標P(x、y)が内視鏡画像Ia内に存在するかを判断する。
そして、内視鏡画像Ia内に存在する場合は、ステップS16に進む。式(1)より得られた内視鏡画像の座標P(x、y)の位置は、画素間の中に存在する可能性がある為、ステップS16で線形補間等の処理を用いて座標P(x、y)の輝度値を算出する。
なお、輝度値としては、カラー撮像を行っている場合には、各色信号の輝度値を算出する。
一方、ステップS15において算出された座標P(x、y)が内視鏡画像Ia内に存在しない場合、ステップS19へ進み、展開図Ibのθの値を変更する(例えばθの増分Δθ=π/180、つまり1°)。
次のステップS20において、θが2π(360°)より小さければステップS13に戻り、展開図生成の処理を継続する。一方、θが2π以上になった場合、展開図Ibが生成されたと判断しステップS11に進み、内視鏡画像Iaと展開図Ibとをモニタ4に出力して、展開図生成の処理を終了し、生成された展開図Ibを用いて図5のステップS4の上皮境界を検出する処理に移る。
図8に示すようにCPU22は、ステップS31において、画像記憶部24等に格納された展開図Ibの画像データを取得する。
そして、次のステップS32においてCPU22は、その画像データに対して、輪郭抽出フィルタリング処理として上述した公知のエッジ検出の処理を行い、エッジ検出画像を生成する。
次のステップS34においてCPU22は、取得した境界に対してトレース処理を行って境界に沿った座標点列、つまり上皮境界の点列を取得する。
このようにして上皮境界の点列を取得したら、CPU22は、図5のステップS5に示すように上皮境界の(食道の管腔方向となる)Z方向の平均値<ZA>を算出する。
つまり、検出された上皮境界のZ方向の平均値<ZA>を以下の式で求める。
そして、分散値σAが基準値σthより小さい場合にはステップS8に示すように上皮境界と判定し、逆に分散値σAが基準値σthより大きい場合はステップS9に示すように上皮境界が複雑な形状をしていると判断し、撮像された画像をバレット食道と判断する。
この場合、展開図Ibにより得られた分散値σAに対して判定に用いる基準値σthは、図10に示すように予め診断が確定した上皮境界のサンプルとバレット食道の場合のサンプルを用いて求められた分散値σのヒストグラムを用いる。
図10に示すように2つのヒストグラムDnor及びDbarから、例えば2つのヒストグラムが交差する位置σthをバレット食道と評価する基準値とする。
そして、上述したように式(3)で求めた分散値σAをこの基準値σthと比較することにより上皮境界であるかバレット食道かを判定する。
ステップS8或いはステップS9による判定結果(解析結果)の情報を、ステップS10に示すようにモニタ4等の表示装置に出力してこの処理を終了する。
なお、ここでは、バレット食道と表示しているが、”バレット食道の可能性が高い”と表示する等しても良い。また、分散値σAを求める代わりに標準偏差値を算出して、基準値と比較して比較結果を解析結果としても良い。
また、本実施例及び以下の実施例では、算出した分散値σA等、判定対象となるバレット食道の特徴量に対する評価値を単一の基準値(σth等))と比較した比較結果を解析結果としているが、算出した評価値を複数の基準値と比較して、バレット食道の可能性が高い状態と正常に近い状態との中間的な状態(1つ或いは複数の中間的な状態)の解析結果等を出すようにしても良い。
術者は、判定結果の情報を参考にすることにより、効率的な診断を行うことができる。また、術者は、モニタ4に表示される内視鏡画像Iaと共に表示される展開図Ibを参照することにより、上皮境界Aの周方向の形状等を(内視鏡画像Iaのみの場合よりも)より把握し易くなり、従って診断等も効率良く進めることができる。
さらにこの3次元座標系(XL,YL,ZL)における立体形状の各点を、この立体形状に近い同じZLを中心とした円柱体の表面に投影する。この円柱体の表面の座標系をθL―ZLとする。そして、3次元座標系(XL,YL,ZL)の各点或いは円柱体の表面に投影された各点をθL―ZLの座標系に変換する。
図12(B)に示すように円柱体の表面に投影された各点をθL―ZLの座標系に変換後、θLを0とした値で切り開き、図12(C)に示す展開図Ibにより、内視鏡画像Iaの各位置を表示する。この処理は、その詳細が特願2005−1842号の明細書に記載されている。
また、この明細書に記載されている他の展開図生成手段を採用して展開図を生成しても良い(また、2次元的な変換により展開図を生成する場合にも、特願2004−378011号の明細書に記載されている展開図生成手段を採用して展開図を生成し、その展開図を利用して上述した処理を行うようにしても良い)。
このように図12(C)に示した展開図Ibの場合にも、図5のステップS4以降の処理を行うことによって、上皮境界AのZ方向(図12(C)ではZL方向)の平均値<ZA>、分散値σAを算出して、この分散値σAを基準値σthと比較することにより上皮境界であるか或いは性状が変化したバレット食道であるかを判定することができる。なお、図12(C)の展開図の分解能は、診断対象の立体形状を推定する場合の画像の分解能によって決定される。
従って、術者は、この判定結果を利用することにより、バレット食道か否かの診断を効率良く行うことができる。
また、本実施例では、展開図Ibを生成するようにしているので、内視鏡画像Iaのみの場合よりも管腔方向或いは管腔と直交する周方向における上皮境界の形状分布等の把握がし易くなり、従ってより診断も行い易くなる。
この場合には、実施例1では、この形状に対して適切な解析結果を出力することが困難になる可能性がある。このため、本実施例では、円柱上皮が舌状に広がったような場合にも、それに対して適切な解析結果(判定結果)を出力することができるようにすることを目的とする。
このため、本実施例では、以下に説明するように実施例1における上皮境界AのZ方向の平均値<ZA>を算出して、上皮境界AのZ方向のばらつき(複雑さ)に対応する分散値σAを算出する代わりに、上皮境界AのZ方向の最大値と最小値を求め、これらの差分値の絶対値を基準値と比較することにより、上皮境界Aが上皮境界かバレット食道かの判定を行う。
本実施例では、図14に示すような処理を行う。図14の処理は、ステップS1からステップS4までは図5の処理と同様である。ステップS4により上皮境界Aを検出した後、本実施例ではステップS41に示すように上皮境界AのZ方向の最大値Zmaxと最小値Zminを算出する。
そして、次のステップS42において、これら最大値Zmaxと最小値Zminの差分値の絶対値DAを求める。
次のステップS43において、この差分値の絶対値DAを基準値Dthと比較して、差分値の絶対値DAが基準値Dthより小さいか否かを判定する。
差分値の絶対値DAが基準値Dthより小さい場合にはステップS8に示すように上皮境界と判定し、逆に差分値の絶対値DAが基準値Dth以上の場合にはステップS9に示すようにバレット食道と判定する。そして、ステップS8或いはステップS9による判定した結果をステップS10においてモニタ4等の表示装置で表示する等して、判定結果を出力してこの処理を終了する。
本実施例によれば、上皮境界Aが舌状に広がったような場合のバレット食道の場合にもその特徴を適切に解析して、的確な判定を行うことができる。
実施例1の判定方法では、食道を円管形状に近いことを想定して、上皮境界AのZ方向の平均値<ZA>を算出し、上皮境界AのZ方向の各位置をこの平均値<ZA>からのばらつき(分散値)を算出して、バレット食道か否かの判定を行っていた。この方法では、食道の管腔の形状が、例えば心臓の拍動等の影響その他の影響で円管形状から変形したような場合には、判定結果がその影響を受けやすくなる。
本実施例においては、その影響を軽減するべく、図15に示す内視鏡画像Iaから展開図Ibを生成し、この展開図Ib上において例えば胃食道接合部Bを検出し、この胃食道接合部Bから上皮境界Aまでの距離の分散値からバレット食道か否かを判定する。
胃食道接合部Bの検出方法としては、例えば食道粘膜の管腔方向(つまりZ方向)に走行する柵状血管の端点を検出し、その端点を連結することにより胃食道接合部Bを検出することができる。
本実施例の処理方法は、図16のようになる。図16において、ステップS1からS4までは、図5或いは図14と同じである。ステップS4の次にステップS51の胃食道接合部Bを検出する処理を行い、胃食道接合部Bを検出する。
ここで、平均値<ZAB>及び分散値σABは、以下の式で求めることができる。
つまり、ステップS53により分散値σABの値が基準の分散値σABthより小さい場合には、ステップS8に示すように上皮境界と判定し、逆に分散値σABの値が基準の分散値σABth以上の場合には、ステップS9に示すようにバレット食道であると判定する。
本実施例によれば、胃食道接合部Bを基準に上皮境界Aまでの距離ZAθi−ZBθiの平均値<ZAB>を算出して、その距離ZAθi−ZBθiのばらつきを評価することにより、上皮境界Aが上皮境界かバレット食道かを判定するようにしているので、食道の管腔が変形した場合でも適切に判定することができる。
なお、上述したように胃食道接合部Bを基準にする代わりに胃に通じる暗部や噴門部を基準に用いて判定するようにしても良い。例えば暗部(最暗部)を検出するには、暗部を検出するために設定した閾値で2値化し、エッジ抽出によりその境界を検出し、さらに細線化する等して暗部の境界を検出することができる。
この場合には胃食道接合部Bを検出する場合よりも簡単な処理で算出することができる。
図17は上述した各実施例のように内視鏡画像から生成した展開図Ibを示す。この展開図Ibは、離散的な画像であるため、実際には上皮境界Aの曲線は、折れ線で表される。従って、隣接する2点Ai−1(θi−1、Zi−1)、Ai(θi、Zi)間の距離Li−1,iを算出し、その距離Li−1,iの総和値を求めることにより、上皮境界Aの長さLAを求める。 つまり、
図18に示すようにステップS4により上皮境界Aの検出を行った後、ステップS61に示すように上皮境界Aの長さLAを算出する。
次のステップS62において、算出した上皮境界Aの長さLAを、予め診断が確定している多数のサンプルを用いて判定に使用する基準とする上皮境界の長さLthと比較する。そして、上皮境界Aの長さLAが基準の上皮境界の長さLthより小さい場合には、ステップS8に示すように上皮境界と判定し、逆に上皮境界Aの長さLAが基準の上皮境界の長さLth以上の場合には、ステップS9に示すようにバレット食道であると判定する。
本実施例によれば、バレット食道の場合には、上皮境界Aが複雑な形状となる症例が多く見受けられ、そのような症例の場合に対して的確な判定を行うことができる。
なお、上皮境界Aの長さLAを算出する場合、上皮境界Aの曲線を近似式で表すようにし、その近似式により線長を求めるようにしても良い。このようにすると、より精度の良い線長を算出でき、線長による判定をより精度良く行うこともできる。
なお、隣接する2点Ai−1(θi−1、Zi−1)、Ai(θi、Zi)間の距離Li−1,iを周方向に全周(360度)分の総和値から上皮境界Aの長さLAを算出しているが、必ずしも全周に限定されるものでない。これは他の実施例においても同様である。
本実施例においても、図19(A)に示すように内視鏡画像Iaから展開図Ibを生成する。そして、展開図Ibから上皮境界Aを検出する。展開図Ibは離散的な画像であるため、上皮境界Aは折れ線で表される。
この上皮境界A上における隣接する3点を抽出し、隣接する2点をそれぞれ結んだ2つの線分がなす角、或いは2つのベクトルのなす角を求める。
例えば図19における円Cの部分の拡大図を図19(B)に示し、この図中の3点Ai−1、Ai、Ai+1におけるベクトルVi、Vi+1を拡大して図19(C)に示す。
そして、iを0から1つづつ大きくするようにして、3点Ai−1、Ai、Ai+1を左側に移動しつつ、その場合の角φθiの絶対値の総和φAを算出する。
この場合、
本実施例における上皮境界かバレット食道かの判定方法は図20のようになる。図20においても最初のステップS1からステップS3までは図5の場合と同様であるので、そのステップを省略している。
次のステップS73において、算出した総和φAを、予め診断が確定した多数のサンプルを用いて求めた基準とする上皮境界の場合の総和値φthと比較する。そして、算出した総和φAが基準の総和値φthより小さい場合には、ステップS8に示すように上皮境界と判定し、逆に総和φAが基準の総和値φth以上の場合には、ステップS9に示すようにバレット食道であると判定する。
本実施例によれば、バレット食道の場合には、上皮境界Aが複雑な形状となる症例が多く見受けられ、そのような症例の場合に対して的確な判定を行うことができる。
本実施例では、屈曲点の数を算出(評価)する具体例として、例えば展開図における上皮境界Aの極大値と極小値に相当する変曲点の数を算出する。或いは展開図における上皮境界A上の隣接する2点を結ぶ線分或いはベクトルが水平方向となす角が0度を超える状態から0度以下(正から負)になる状態或いは0度未満から0度以上(負から正)になる点の数を計測する。この様子を図21に示す。
そして、このように変曲点の検出をθiをi=1からNまで行い、変曲点の総和を算出する。そして、変曲点の総和の値の大小から上皮境界かバレット食道かの判定を行う。
本実施例における上皮境界かバレット食道かの判定方法は図22のようになる。図22においても最初のステップS1からステップS3までは図5の場合と同様であるので、そのステップを省略している。
また、逆に変曲点に該当しない場合には、ステップS85に移る。ステップS85においては、変数パラメータiがθの分割数Nかの判定を行い、Nに等しくない場合にはステップS86に示すように変数パラメータiの数を1つ増大してステップS82に戻る。
そして、i=Nになった場合にはステップS87に示すように数FAが基準となる数Fthより小さいかの判定を行う。この基準となる数Fthは、診断が確定した多数のサンプルから算出される。
そして、数FAが基準となる数Fthより小さい場合には、ステップS8に示すように上皮境界と判定し、逆に数FAが基準の数Fth以上の場合には、ステップS9に示すようにバレット食道であると判定する。
そして、ステップS10に示すように、ステップS8或いはステップS9の判定結果をモニタ4に表示する等して判定結果を出力してこの処理を終了する。
なお、本実施例においては、変曲点の数FAを算出して、算出した数を比較することにより上皮境界かバレット食道であるかの判定を行う例を説明したが、例えば特願2004−360319号に記載されているように屈曲点の数を算出してその数を比較することにより、上皮境界かバレット食道であるかの判定を行うようにしても良い。
この判定方法は、この特願2004−360319号の図4におけるステップS4からS14の処理に沿った処理を行えば良い。なお、この場合には、内視鏡画像により得られる画像データに対して行っている。
なお、例えば図5の処理手順では、ステップS3において展開図を生成した後、次のステップS4において上皮境界を検出するようにしているが、先に上皮境界を検出した後、展開図を生成するようにしても良い。
また、上述した各実施例においては、上部消化管としての食道内における胃食道接合部周辺部の疾患としてのバレット食道か否かを定量的に判定する場合を説明したが、下部消化管の場合に対しても適用することができる。
1.請求項1において、前記解析手段は、前記上皮境界における前記食道の管腔方向に対する最大値と最小値との差分値を算出して所定の値との比較結果を解析結果とする。
2.請求項1において、前記解析手段は、胃と食道の接合部等の基準部位から前記上皮境界までの距離のばらつき量を算出し、算出したばらつき量を基準値と比較して解析結果とする。
3.請求項1において、前記解析手段は、前記上皮境界上の隣接する2点間の距離の総和値を算出し、算出した総和値を基準値と比較した比較結果を解析結果とする。
5.請求項1において、前記解析手段は、前記上皮境界上における各点の形状が前記食道の管腔方向に関して凹凸となる場合の屈曲点の数を算出し、算出した屈曲点の数を基準値と比較した比較結果を解析結果とする。
6.請求項1において、前記解析手段は、前記上皮境界の形状が前記食道の管腔方向に関して極大と極小となる極値の数を算出し、算出した極値の数を基準値と比較した比較結果を解析結果とする。
前記展開図より食道側粘膜としての扁平上皮と、前記扁平上皮が胃側粘膜に変性した円柱上皮との境界としての上皮境界を検出する上皮境界検出ステップと、
検出された前記上皮境界に対して、所定の特徴量に対応する解析結果を算出する解析ステップと、
を有することを特徴とする食道粘膜用画像処理方法。
8.付記7において、前記解析ステップは、前記所定の特徴量としてバレット食道の場合における上皮境界の特徴量の評価値を算出し、前記評価値を基準となる基準値と比較して解析結果を算出することを特徴とする。
11.付記7において、前記解析ステップは、胃と食道の接合部等の基準部位から前記上皮境界までの距離のばらつき量を算出するステップを有する。
12.付記7において、前記解析ステップは、前記上皮境界上の隣接する2点間の距離の総和値を算出するステップを有する。
14.付記7において、前記解析ステップは、前記上皮境界上における各点の形状が前記食道の管腔方向に関して凹凸となる場合の屈曲点の数を算出するステップを有する。
16.体腔内の管状器官の画像を撮像する撮像手段を備えた内視鏡と、
前記撮像された少なくとも1枚の画像を用いて管状器官の展開図を生成する展開図生成手段と、
前記展開図より上皮境界を検出する上皮境界検出手段と、
前記上皮境界検出手段によって検出された境界の形状を解析し、解析結果を出力する解析手段と、
を有することを特徴とする内視鏡装置。
前記画像又は展開図より食道側粘膜としての扁平上皮と、前記扁平上皮が胃側粘膜に変性した円柱上皮との境界としての上皮境界を検出する上皮境界検出手段と、
検出された前記上皮境界に対して、所定の特徴量に対応する解析結果を算出する解析手段と、
を有することを特徴とする食道粘膜用画像処理装置。
18.生体内の管状部位を撮像した内視鏡画像から展開図を生成する展開図生成手段と、
前記展開図より判定対象となる粘膜組織が持つ特徴量を評価(解析)してその結果を出力する解析手段と、
を具備することを特徴とする医用画像処理装置。
2…内視鏡観察装置
3…画像処理装置
4…モニタ
6…内視鏡
7…光源装置
8…CCU
11…挿入部
14…先端部
16…CCD
17…撮像装置
21…画像入力部
22…CPU
22a…幾何学的画像変換手段
22b…展開図出力手段
22c…上皮境界検出手段
22d…上皮境界解析手段
23…処理プログラム記憶部
24…画像記憶部
25…解析情報記憶部
27…ハードディスク
28…表示処理部
29…入力操作部
31…食道
A…上皮境界
B…胃食道接合部
代理人 弁理士 伊藤 進
Claims (11)
- 食道内を撮像した画像に対して、展開図を生成する展開図生成手段と、
前記展開図上の画素値の色調変化または当該画像のエッジ状態に基づいて、食道側粘膜としての扁平上皮と、胃側粘膜の円柱上皮との境界としての上皮境界を検出する上皮境界検出手段と、
前記上皮境界検出手段により検出された前記上皮境界を構成する各画素の位置情報に関する特徴量を算出する特徴量算出手段と、
前記特徴量算出手段が算出した特徴量に基づいて解析結果を出力する解析手段と、
を具備したことを特徴とする食道粘膜用画像処理装置。 - 食道の管腔方向における前記上皮境界を構成する画素の位置の平均値を算出する上皮境界位置平均値算出手段と、
前記上皮境界位置平均値算出手段により算出された前記上皮境界を構成する画素の位置の平均値に対して食道の管腔方向における当該上皮境界を構成する画素の位置の分散値を算出する上皮境界位置分散値算出手段と、
をさらに備え、
前記特徴量算出手段は、前記上皮境界位置分散値算出手段により算出された前記分散値に基づいて前記特徴量を算出する
ことを特徴とする請求項1に記載の食道粘膜用画像処理装置。 - 食道の管腔方向における前記上皮境界を構成する画素の位置の標準偏差値を算出する上皮境界位置標準偏差値算出手段をさらに備え、
前記特徴量算出手段は、前記上皮境界位置標準偏差値算出手段により算出された前記標準偏差値に基づいて前記特徴量を算出する
ことを特徴とする請求項1に記載の食道粘膜用画像処理装置。 - 前記特徴量算出手段は、前記上皮境界検出手段により検出された前記上皮境界の線長を算出し、当該算出した線長に基づいて前記特徴量を算出する
ことを特徴とする請求項1に記載の食道粘膜用画像処理装置。 - 前記特徴量算出手段は、前記上皮境界検出手段により検出された前記上皮境界曲線における隣接するベクトルのなす角の絶対値の周方向における総和値を算出し、当該算出した総和値に基づいて前記特徴量を算出する
ことを特徴とする請求項1に記載の食道粘膜用画像処理装置。 - 前記特徴量算出手段は、前記上皮境界検出手段により検出された前記上皮境界における屈曲点の数を算出し、当該算出した屈曲点の数に基づいて前記特徴量を算出する
ことを特徴とする請求項1に記載の食道粘膜用画像処理装置。 - 前記特徴量算出手段は、前記上皮境界検出手段により検出された前記上皮境界における極大または極小となる極値の数を算出し、当該算出した極値の数に基づいて前記特徴量を算出する
ことを特徴とする請求項1に記載の食道粘膜用画像処理装置。 - 食道内を撮像した画像に対して、展開図を生成する展開図生成手段と、
前記展開図上の画素値の色調変化または当該画像のエッジ状態に基づいて、食道側粘膜としての扁平上皮と、胃側粘膜の円柱上皮との境界としての上皮境界を検出する上皮境界検出手段と、
前記上皮境界検出手段により検出された前記上皮境界を構成する各画素の管腔方向に対する座標に関する特徴量を算出する特徴量算出手段と、
前記特徴量算出手段が算出した特徴量に基づいて解析結果を出力する解析手段と、
を具備したことを特徴とする食道粘膜用画像処理装置。 - 前記特徴量算出手段は、前記上皮境界を構成する画素の食道の管腔方向における最大値と最小値との差分値に関する前記特徴量を算出する
ことを特徴とする請求項8に記載の食道粘膜用画像処理装置。 - 食道内を撮像した画像に対して、展開図を生成する展開図生成手段と、
前記展開図上の画素値の色調変化または当該画像のエッジ状態に基づいて、食道側粘膜としての扁平上皮と、胃側粘膜の円柱上皮との境界としての上皮境界を検出する上皮境界検出手段と、
前記展開図上の基準部を設定する基準部設定手段と、
前記上皮境界検出手段により検出された前記上皮境界を構成する画素と、前記基準部設定手段により設定された前記基準部を構成する画素の座標間の距離に関する特徴量を算出する特徴量算出手段と、
前記特徴量算出手段が算出した特徴量に基づいて解析結果を出力する解析手段と、
を具備しことを特徴とする食道粘膜用画像処理装置。 - 前記基準部は、前記食道内の胃食道接合部であり、
前記特徴量算出手段は、前記上皮境界を構成する画素と、前記胃食道接合部を構成する画素の座標間の距離に関する特徴量を算出する
ことを特徴とする請求項10に記載の食道粘膜用画像処理装置。
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