JP4668453B2 - オートクレーブ装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、内視鏡を内視鏡用収納容器ごとオートクレーブ滅菌できるオートクレーブ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
内視鏡は、使用後に洗滌消毒あるいは滅菌される。内視鏡を滅菌する方法としては、高圧蒸気滅菌(オートクレーブ)が知られており、この場合には、専用のオートクレーブ装置を用いて内視鏡の滅菌が行なわれる。
【0003】
また、内視鏡は、洗滌消毒あるいは滅菌された後、次の使用に備えて保管される。この場合、内視鏡は、破損や汚染を防止するため、一般に、収容ケース(内視鏡用収納容器)内に収容されて保管される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、従来のオートクレーブ装置は、比較的大きなチャンバ内に1つの内視鏡を収容し、このチャンバ内を陰圧および加圧して滅菌処理を行なうものである(特開平5−285103号公報等参照)ため、その滅菌処理には、比較的長い時間(40分〜1時間)を必要とする。しかし、内視鏡検査においては、1本の内視鏡を同日に多数回使用する場合もあるため、短い時間(例えば30分以内)で滅菌処理できることが求められている。
【0005】
また、洗滌消毒あるいは滅菌された内視鏡を次の使用に備えて保管するための従来の収納ケースは中身が見えないため、どのような内視鏡が内部に保管されているのかケースを開けて確認する必要があった。収容ケースが多数保管されている状況で、このような確認作業を行なうことは、非常に煩雑であり、即座に内視鏡検査に移行することができない場合がある。
【0006】
このように、従来においては、オートクレーブ装置における処理時間が長く、また、収容ケースに保管されている内視鏡の種別を効率良く確認できないため、内視鏡検査全体の作業効率の悪化を招く虞がある。
【0007】
本発明は、前記事情に着目してなされたものであり、その目的とするところは、内視鏡検査全体の作業効率を向上させることであり、具体的には、収納されている内視鏡の種別を効率良く確認でき、短時間で内視鏡を滅菌できるオートクレーブ装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、1つの内視鏡のみを収容する収容部と、前記収容部に収容した内視鏡と無線方式で通信する通信手段と、前記通信手段を介して前記内視鏡の種別に関する情報を取得する情報取得手段と、前記情報取得手段により取得された前記内視鏡に関する情報を基に告知する告知手段と、を備えている密閉容器を収納する収納部と、前記収納部に接続される接続部と、前記接続部に接続され、この接続部を通じて前記内視鏡を滅菌する滅菌流体を前記収納部に注入または吸引する手段と、を備えていることを特徴とする。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。
【0012】
図1〜図6は本発明の第1の実施形態を示している。図1には、内視鏡を収納するための本発明に係る内視鏡用収納容器(以下、内視鏡コンテナという。)1が概略的に示されている。この内視鏡コンテナ1は、内視鏡2を内部に設置して、通信ケーブル3を接続することにより内視鏡2と通信を行なえるようになっている。また、内視鏡2には、消毒や滅菌を行なう際に内視鏡2の管路内へ消毒液や高圧蒸気を送り込むための吸引管路用チューブ4と、送気送水管路用チューブ5とが接続される。
【0013】
内視鏡コンテナ1の側面には、内視鏡2を消毒あるいは滅菌する際に消毒液や滅菌用の高圧蒸気を内視鏡2の管路内へ供給するための吸引管路用ポート6と送気送水管路用ポート7とが設けられている。また、内視鏡コンテナ1の内部を消毒液や高圧蒸気で満たして内視鏡2の外表面を消毒或いは滅菌できるように、内視鏡コンテナ1の側面には、消毒液や高圧蒸気を内視鏡コンテナ1の内部に供給するための内部浸漬用ポート8が設けられている。一方、内部浸漬用ポート8と反対側に位置する内視鏡コンテナ1の側面には、内視鏡コンテナ1の内部に充満された消毒液や高圧蒸気を排出するための排出ポート9が設けられている。なお、各ポート6,7,8,9は、逆止弁構造になっており、通常時は閉塞状態を保っているが、適応するチューブが接続されることにより開放状態となる。
【0014】
また、内視鏡コンテナ1には、収納されている内視鏡2の種別を表示するための表示部10が設けられている。また、表示部10の近傍にはスイッチ11が設けられており、このスイッチ11を押すことにより、内視鏡の種別に関する情報が表示部10に表示されるようになっている。なお、内視鏡コンテナ1には、通信ケーブル3により、通信のための電力が供給されるようになっている。
【0015】
また、内視鏡コンテナ1には、開閉可能な開閉蓋12が設けられている。この開閉蓋12を閉めると、内視鏡コンテナ1の内部が密閉されてロック機構13が掛かるようになっている。また、内視鏡コンテナ1を持ち運び出来るように、内視鏡コンテナ1には取手部14が設けられている。
【0016】
内視鏡コンテナ1の内部(収納部)には、内視鏡2を支持固定するために内視鏡2の形状に沿った形に形成された支持部材70が設けられている。この支持部材70は、内視鏡コンテナ1内の容積をなるべく小さくして、消毒液や蒸気の使用量を少なくする役割も果たしている。
【0017】
図2は、内視鏡コンテナ1と内視鏡2との間の通信システムを示している。内視鏡2には、CPU19と、内視鏡2の種別を記憶するメモリ20と、メモリ20と通信を行なうための通信ポート(通信手段)21とが設けられている。一方、内視鏡コンテナ1には、CPU22と、内視鏡2と通信を行なうための通信ポート23と、メモリ24とが設けられている。CPU22は、スイッチ11が押されると、収納されている内視鏡2と通信ポート23を介して通信を行ない、内視鏡2の種別を表示部10に表示するようになっている。すなわち、CPU22は、通信ポート21を介して内視鏡2の種別に関する情報を取得する情報取得手段を構成しており、表示部10は、CPU22により取得された内視鏡2に関する情報を告知する告知手段を構成している。
【0018】
図3は内視鏡コンテナ1を消毒装置或いは滅菌装置(以下、単に装置60という。)にセットした状態を示している。図示のように、装置60は、内視鏡コンテナ1がセットされるチャンバ15を有している。チャンバ15内には、消毒液或いは高圧蒸気を内視鏡コンテナ1内に供給するための供給チューブ16a,16b,16cが設けられており、これらのチューブ16a,16b,16cは、内視鏡コンテナ1の吸引管路用ポート6、送気送水管路用ポート7、内部浸漬用ポート8にそれぞれ接続される。
【0019】
また、内視鏡コンテナ1をチャンバ15内に設置すると、内視鏡コンテナ1の排出ポート9が内視鏡コンテナ1の自重で自動的にチャンバ15の内底部に設けられているコネクタ25,43(図4および図5参照)に接続されるようになっている。排出ポート9が前記コネクタに接続されると、装置60の内部管路と排出ポート9とが導通する。
【0020】
以上のように内視鏡コンテナ1をセットして、操作パネル17を操作すると、内視鏡コンテナ1内に設置されている内視鏡2の消毒或いは滅菌が行なわれるようになっている。
【0021】
図4は消毒装置60Aの内部構造を概略的に示している。チャンバ15に内視鏡コンテナ1を設置すると、内視鏡コンテナ1の排出ポート9がコンテナの自重で自動的にチャンバ15の内底部に設けられている排出コネクタ25に接続される。この排出コネクタ25は切換弁26につながっている。
【0022】
切換弁26は、消毒装置60Aの図示しない制御部により、排出コネクタ25を、排出管路27、回収管路28、循環管路29のいずれかの一つの管路へ接続するように切換えられる。排出管路27は、内視鏡コンテナ1内の液を装置60A外へと排出するように導いており、途中に排出ポンプ30を有している。回収管路28は、消毒液タンク31へと繋がっており、消毒液を回収できるようになっている。内視鏡2を消毒する消毒液は、この消毒液タンク31に蓄えられており、消毒処理の際にここから内視鏡コンテナ1へ供給されていく。
【0023】
消毒液タンク31の内底には消毒液供給管路32の一端が接続されており、この消毒液供給管路32の他端は供給チューブ16cへと繋がっている。また、消毒液供給管路32の途中には消毒ポンプ33と逆止弁34とが介設されている。また、消毒液供給管路32の途中には、逆止弁34と供給チューブ16cとの間に、給水管路35の一端が逆止弁36を介して接続されている。給水管路35の他端は蛇口等の給水設備に接続されており、給水管路35の途中には給水弁37が設けられている。
【0024】
また、切換弁26に一端が接続された循環管路29の他端は、途中で二つに分岐して供給チューブ16aと供給チューブ16bとに接続されている。また、循環管路29の途中には循環ポンプ38と逆止弁39とが設けられている。また、逆止弁39と供給チューブ16b,16cとの間には、送気管路40の一端が逆止弁41を介して接続されている。また、送気管路40の他端はコンプレッサ42に接続されている。
【0025】
図5は滅菌装置60Bの内部構造を概略的に示している。チャンバ15に内視鏡コンテナ1を設置すると、内視鏡コンテナ1の排出ポート9が内視鏡コンテナ1の自重で自動的にチャンバ15の内底部に設けられている排出コネクタ43に接続されるようになっている。排出コネクタ43には排出管路44の一端が接続されている。排出管路44の途中には、排出弁45と真空ポンプ46とが設けられている。また、各供給チューブ16a,16b,16cは、蒸気供給管路47に接続されている。蒸気供給管路47は、図示しない蒸気発生器から蒸気を導いて内視鏡コンテナ1内に供給する。蒸気供給管路44の途中には、蒸気供給弁48が設けられている。また、蒸気供給弁48と供給チューブ16a,16b,16cとの間には、送気管路49の一端が逆止弁50を介して接続されている。送気管路49の他端はコンプレッサ51に接続されている。
【0026】
次に、装置60(60A,60B)の動作について説明する。
【0027】
内視鏡2を消毒或いは滅菌するために、内視鏡コンテナ1に内視鏡2を設置するとともに、通信ケーブル3と吸引管路用チューブ4と送気送水管路用チューブ5とを内視鏡2に接続する。そして、蓋12を閉めてロック13をかけ、装置60のチャンバ15に内視鏡コンテナ1を設置する。この際、供給チューブ16a,16b,16cを内視鏡コンテナ1の吸引管路用ポート6、送気送水管路用ポート7、内部浸漬用ポート8にそれぞれ接続する。その後、操作パネル17を操作して、消毒或いは滅菌処理を開始する。
【0028】
消毒装置60Aにおいて消毒処理を行なう場合には、まず、消毒工程が開始される。すなわち、排出コネクタ25と循環管路29とが接続されるように切換弁26が切換えられた後、消毒ポンプ33が動作する。これにより、消毒液タンク31から消毒液が供給チューブ16cを通じて内視鏡コンテナ1内に供給される。
【0029】
供給された消毒液は、密閉されている内視鏡コンテナ1内を満たし、収納されている内視鏡2を浸漬して内視鏡2の外表面を消毒する。また、この時、循環ポンプ38が動作して、内視鏡コンテナ1内に満たされている消毒液が、排出コネクタ25から吸引される。吸引された消毒液は、循環管路29を通じて流れ、吸引管路用チューブ4と送気送水管路用チューブ5とを介して内視鏡2の内部の吸引管路および送気送水管路に供給され、各管路内の消毒を行なう。
【0030】
規定時間の浸漬が終了し、内視鏡2の消毒が終わると、清毒液回収工程に移行する。すなわち、排出コネクタ25と回収管路28とが接続されるように切換弁26が切換えられ、内視鏡コンテナ1内に満たされた消毒液が消毒液タンク31に回収される。回収後は、内視鏡2のすすぎを行なうすすぎ工程が実行される。まず、排出コネクタ25と循環管路29とが接続されるように切換弁26が切換えられるとともに、給水弁37が開かれて、内視鏡コンテナ1内にすすぎ水が供給される。そして、すすぎ水が消毒液コンテナ1内に満たされることにより、内視鏡2の外表面のすすぎが行なわれる。また、同時に、循環ポンプ38が動作して、内視鏡2の内部管路内へすすぎ水が送水される。これにより、内視鏡2の内部管路内のすすぎが行なわれる。
【0031】
すすぎが修了すると、排出コネクタ25と排出管路27とが接続されるように切換弁26が切換えられるとともに、排出ポンプ30が動作されて、すすぎ水が装置外部へ排出される。また、同時に、コンプレッサ42が動作し、送気管路40を通じた送気が行なわれる。この送気では、吸引管路用チューブ4と送気送水管路用チューブ5とを介して、内視鏡2の内部の吸引管路と送気送水管路とに気体が供給され、各管路内の水切りおよび乾燥が行なわれる。すすぎ水の排出および内視鏡2の管路内の水きり・乾燥が終了すると、消毒処理の全工程が終了する。
【0032】
また、滅菌装置60Bにおいて滅菌処理を行なう場合には、まず、内視鏡コンテナ1内の真空引きが行なわれる。すなわち、排出弁45が開いて真空ポンプ46が動作することにより、内視鏡コンテナ1内の空気が排出されて減圧されていく。そして、真空引きが終わると、真空ポンプ46が停止されて排出弁45が閉じられ、蒸気供給弁48が開かれる。これにより、蒸気供給管路47を通じて内視鏡コンテナ1内に滅菌用の蒸気が供給される。吸引管路用ポート6および送気送水管路用ポート7から供給された蒸気は、吸引管路用チューブ4と送気送水管路用チューブ5とを通じて、内視鏡2内の各管路内へ供給され、管路内の滅菌を行なう。一方、内部浸漬用ポート8から供給された蒸気は、内視鏡コンテナ1内を満たして、内視鏡2の外表面を滅菌する。規定時間だけ指定温度による高圧蒸気滅菌が終了すると、蒸気供給弁48が閉じられるとともに、排出弁45が開かれ、真空ポンプ46が動作される。これにより、内視鏡コンテナ1内の真空引きが行なわれ、蒸気の排出および内視鏡2の乾燥・冷却が行なわれる。この時、コンプレッサー51が同時に動作して、内視鏡2の管路内の蒸気の排出および管路内の乾燥・冷却も行なわれる。そして、内視鏡コンテナ1内の蒸気排出および乾燥・冷却が終了すると、滅菌処理工程の全工程が終了する。
内視鏡2は、消毒或いは滅菌処理が終了した後、内視鏡コンテナ1に収納されたまま、図6に示される保管庫18で保管される。図示のように、保管庫18には、内視鏡2が収納された複数の内視鏡コンテナ1が保管されている。この場合、複数の内視鏡コンテナ1は、それぞれの表示部10が見えるように並べられて収納されている。このような保管形態では、スイッチ11を押すことにより、収納されている内視鏡2の種別が表示部10に表示されるため、内視鏡コンテナ1内にどの内視鏡が収納されているかを容易に確認することができる。
【0033】
すなわち、スイッチ11が押されると、内視鏡コンテナ1のCPU22は、収納されている内視鏡2と通信ケーブル3を通じて通信を行なう。通信が行なえない場合は、通信ケーブル3が接続されていないか、あるいは、内視鏡2が収納されていないので、その旨を表示部10に表示してユーザに告知を行なう。通信が可能な場合は、内視鏡コンテナ1のCPU22は、内視鏡2のCPU19へ内視鏡2の種別を問い合わせる。内視鏡2のCPU19は、メモリ20に記憶されている内視鏡2の種別を読み出して、その情報を内視鏡コンテナ1のCPU22へ送信する。内視鏡コンテナ1のCPU22は、受信した内視鏡種別情報を表示部10に表示する。情報の内容は例えば、型名やシリアルナンバー等である。
【0034】
以上説明したように、本実施形態の内視鏡コンテナ1は、内視鏡2を収容する収容部と、この収容部に収容した内視鏡2と通信する通信手段と、この通信手段を介して内視鏡2の種別に関する情報を取得する情報取得手段と、この情報取得手段により取得された内視鏡2に関する情報を基に告知する告知手段とを有している。そのため、わざわざ内視鏡コンテナ1を開けることなく、内視鏡コンテナ1内に収納されている内視鏡2を表示部10を通じて簡便に確認することができる。したがって、ひいては、内視鏡検査全体の作業効率を向上させることができる。
【0035】
また、内視鏡コンテナ1を次回使用するまで開ける必要がないため、消毒或いは滅菌処理を行なった内視鏡を、処理した状態のまま、清浄な状態で内視鏡コンテナ1内に保管し続けることができる。
【0036】
なお、本実施形態では、内視鏡コンテナ1と内視鏡2との通信を通信ケーブル3を用いて行なっているが、通信方法を無線方式にしても構わない。また、内視鏡コンテナ1の表示部10に表示する情報内容は、収納されている内視鏡2の種別だけでなく、滅菌や消毒済みであるか否かを表示したり、あるいは、滅菌や消毒を行なった時期などを表示するようにしても良い。
【0037】
図7は、内視鏡2を内視鏡コンテナごと短時間でオートクレーブ滅菌できる本発明の第2の実施形態に係るオートクレーブ装置100を示している。
【0038】
図示のように、オートクレーブ装置100には、第1の収納室101と、第2の収納室102と、第3の収納室103とが設けられている。各収納室(収納部)101,102,103はそれぞれサイズが異なっている。また、各収納室101,102,103には、蒸気を注入するための注入接続部104と、排気や吸引を行なうための排気接続部105とが設けられている。更に、各収納室101,102,103には、ロック機構付きの扉106,107,108が設けられている。また、図示しないが、オートクレーブ装置100には、精製水などの水が入ったタンクと、このタンクの水から蒸気を生成する蒸気生成手段と、吸引ポンプとが内蔵されている。
【0039】
一方、オートクレーブ装置100の各収納室101,102,103に収納される内視鏡コンテナ1Aは、第1の実施形態と同様の構成に加えて、オートクレーブ装置100の注入接続部104および排気接続部105と着脱自在に接続可能な口金112,113を有している。また、内視鏡コンテナ1Aは、各収納室101,102,103に丁度収納できるサイズの専用のものがそれぞれ具備されている。なお、それ以外の構成は、第1の実施形態の内視鏡コンテナ1と同様であるため、以下、同一符号を付してその詳細な説明を省略する(第1の実施形態のような通信手段が付加されていなくても構わない。図8には、通信手段が設けられていない形態で内視鏡コンテナ1Aが図示されている)。
【0040】
図8に詳しく示されるように、内視鏡コンテナ1Aは、開閉蓋12と内視鏡収納部111とからなり、内視鏡収納部111には、注入接続部104に接続可能な注入口金112と、排気接続部105に接続可能な排気口金113とが設けられている。開閉蓋12を閉じた状態では、内視鏡コンテナ1Aの内部が外部に対して密閉される。したがって、内視鏡コンテナ1Aは、第1の実施形態の場合と同様、オートクレーブ行程後も、内視鏡保管ケースとして滅菌状態を保持しながら利用可能である。
【0041】
また、内視鏡コンテナ1Aの内視鏡収納部111に設けられた支持部材70に支持される内視鏡2は、主に、軟性の挿入部115と、操作部116と、ユニバーサルコード117と、コネクタ118とからなる。コネクタ118の一部には逆止弁119が設けられている。内視鏡2の挿入部115は、小さく丸めてオートクレーブ装置100内に投入されると、ある程度の曲がり癖が付く傾向がある。そうなると、患者体内への挿入性が落ちる可能性がでてくる。そこで、図8に示されるように、支持部材70は、挿入部115の先端から所定部位までを略ストレートに保つことができ且つ曲がり癖が付いても比較的挿入性への影響が少ないと思われる部位を曲げて収納できるように設けられている。
【0042】
次に、上記構成のオートクレーブ装置100を用いて内視鏡2を内視鏡コンテナ1Aごとオートクレーブ滅菌する場合について説明する。
【0043】
内視鏡収納部111内に図8の状態で内視鏡2が収納された内視鏡コンテナ1Aは、開閉蓋12により密閉された状態(気密状態)で、例えば第1の収納室101内に収納される。内視鏡コンテナ1Aを収納室101内に押し込んでいくと、注入口金112が注入接続部104に接続されるとともに、排気口金113が排気接続部105に接続される。その後、扉106を閉めてロックすると、オートクレーブ滅菌行程を始める準備ができたことになる。
【0044】
滅菌行程においては、まず、被滅菌物である内視鏡2を温める予熱行程が実行され、その後、排気接続部105を通じて内視鏡コンテナ1A内の空気が抜かれ、内視鏡コンテナ1A内が陰圧状態に設定される。内視鏡2内には、図示しないが、一つ以上の細長い管路があるため、この陰圧状態を形成した後に、蒸気を注入接続部104から入れていくことで、前記管路内に速やかに且つ十分に蒸気が行き渡る。そのために、オートクレーブ装置100には、前述したように吸引ポンプが設けられている。
【0045】
高圧蒸気を内視鏡コンテナ1A内に注入して滅菌行程を行なったら、次に、排気接続部105を通じて蒸気を抜き、更に吸引して、内視鏡コンテナ1A内を陰圧状態にしながら、乾燥行程を実施する。内視鏡2は基本的に水密構造であるが、高圧蒸気滅菌行程時は、挿入部115やユニバーサルコード117の軟性樹脂や各部品の接続シール部などから内視鏡2内に蒸気が侵入する。そのため、滅菌行程後には必ず吸引して内視鏡コンテナ1A内を陰圧にしながら乾燥させる必要があり、そうすることで、逆止弁119を通じて内視鏡2内の蒸気を抜き取り、内視鏡2内の湿度を低くすることができる。
【0046】
本実施形態において、口金112,113および接続部104,105は、2つずつ設けられているが、これを一つの口金にして構造をシンプルにしても良い。この場合、コスト低減を図ることができる。しかしながら、本実施形態のように口金112,113および接続部104,105を2つ(3つ以上でも良い)ずつ設けて、図8に示すごとく、口金112が内視鏡収納部111内で開口する部位と、口金113が内視鏡収納部111内で開口する部位とを離間させると、蒸気が内視鏡収納部111内の空間に極力ムラなく行き渡るようになる。
【0047】
本実施形態においては、各収納室101,102,103のサイズがそれぞれ異なっているため、例えば挿入部が1.7m程度ある内視鏡関連機種を大きく丸めて第1の収納室101に収納し、0.7m程度の内視鏡関連機種を第2の収納室102に収納し、付属品などの小物を第3の収納室103に収納するなど、用途に応じて使い分けることができるとともに、より小さいコンテナほど、吸引、加圧が速やかに行なえるので、行程全体の時間が早くなる。
【0048】
また、本実施形態では、扉106,107,108を閉めてロックすることにより、加圧時に内視鏡コンテナ1Aが収納室101,102,103から抜けたり、万が一、内視鏡コンテナ1Aの一部が破損して蒸気が勢い良く装置100外に飛び出すことを防ぐことができる。
【0049】
また、本実施形態においても、第1の実施形態と同様、内視鏡コンテナ1Aそのものがオートクレーブチャンバを兼ねているので、陰圧にしたり加圧したりする空間は無駄がなく、各工程を速やかに実行することができる(従来より速やかに前真空行程、高圧蒸気滅菌行程、真空引き乾燥工程による滅菌処理が行なえる)。したがって、ひいては、内視鏡検査全体の作業効率を向上させることができる。
【0050】
ところで、洗滌・消毒・滅菌(リプロセス)の処理を行なう場合には、内視鏡等の医療用具を専用のトレイに収納する場合もある。従来から一般に使用されているトレイは、樹脂や金属からなる筐体(箱状の容器)で構成されており、リプロセス処理終了後、滅菌状態を保持し、収納スペース(棚など)に収納する場合、スペースが多大に必要になるという問題があった。つまり、病院等の施設内のスペースを有効に活用できないという問題があった。
【0051】
そこで、以下では、内視鏡等の医療用具を洗滌・消毒・滅菌(リプロセス)処理した後に、確実に滅菌状態を保持し、病院等の施設内のスペースを効率的に(場所をとらない)活用できる洗滌・消毒・滅菌装置用トレイを提案する。
【0052】
このトレイの特徴は、以下の3つである。すなわち、
1.洗滌・消毒・滅菌装置の脱気、乾燥に用いる真空ポンプを流用し、前記トレイを真空パックする手段が設けられている。
【0053】
2.前記トレイが剛性部材と収縮自在な部材との複合構造で構成されている。
【0054】
3.前記トレイが収縮自在の部材で構成されている。
【0055】
以下、上記トレイについて図9および図10を参照しながら詳細に説明する。
【0056】
図9には、剛性部材と収縮自在な部材との複合構造で構成されたトレイが示されている。図示のように、トレイ本体201は、トレイ全体の強度と形状を保つための剛性部材204と、トレイ本体201を上下に収縮するために剛性部材204と接合された収縮自在部材203と、機密性を保ち、外部からの汚染物の侵入を防ぐためのトレイ本体用蓋202とから構成されている。
【0057】
また、トレイ本体201には、トレイ本体201の内部を真空にするための真空管路が接続されるノズル205が設けられている。剛性部材204は、例えば、金属や樹脂等、規定の耐熱性、耐腐食性等の性能を満足する部材によって形成されている。また、収縮自在部材203は、繊維、樹脂、紙類などから成り、収縮性、耐熱性、耐腐食性等の性能を満足する部材によって形成されている。また、ノズル205は、真空ポンプ等により吸引された後に気密性を保つことができる逆止弁構造を有している。本構成において、トレイ本体用蓋202の構造は剛性部材204から成る。
【0058】
次に作用を説明する。
【0059】
トレイ本体201に内視鏡等の医療用具を入れ、トレイ本体用蓋202を装着し、装置にて洗滌、消毒、滅菌が行われると、洗滌・消毒・滅菌装置に設けられた真空管路がノズル205に接続され、トレイ内部を真空状態にする。圧力が低下するにつれて、収縮自在部材203が収縮され、トレイの厚みはおおよそ1/2以下になる(トレイに使用する収縮自在部材203の設計により、収縮レベルは異なる)。規定の圧力になると、自動的に真空工程は停止し、ノズル205に設けられた逆止弁により、トレイ内は真空に保たれた状態で閉止される。この状態でトレイを装置本体より外し、ロッカー等に収納することができる。本構成では、トレイの厚さが1/2になっているので、従来の収納スペースに、約2倍の量を収納することが可能になる。
【0060】
図10には、収縮自在部材のみで構成されたトレイが示されている。トレイ本体206は、トレイ全体が収縮自在部材203で構成されており、機密性を保つために、溶着部材208がトレイ本体のトレイ本体用蓋207との接合面と、トレイ本体用蓋207とに塗布されている。また、トレイ本体206には、トレイ本体206の内部を真空にするための真空管路が接続されるノズル205が設けられている。
【0061】
収縮自在部材203は繊維、樹脂、紙類などから成り、収縮性、耐熱性、耐腐食性等の性能を有し且つ熱溶着が出来る材料によって形成されている。また、ノズル205は、図9の構成と同様に、真空ポンプ等によりトレイ内部を吸引した後に弁を閉じて気密性を保つことができる逆止弁構造を有している。
【0062】
次に作用を説明する。
【0063】
トレイ本体206に内視鏡等の医療用具を入れ、トレイ本体用蓋207を装着し、熱溶着を施して容器を密着する。次に、装置にて洗滌、消毒、滅菌が行なわれると、洗滌・消毒・滅菌装置に設けられた真空管路がノズル205に接続され、トレイ内部を真空状態にする。圧力が低下するにつれて、収縮自在部材203が収縮され、トレイの厚みはおおよそ1/2以下になる(トレイに使用する収縮自在部材203の設計により、収縮レベルは異なる)。規定の圧力になると自動的に真空工程は停止し、ノズル205に設けられた逆止弁により、トレイ内は真空に保たれた状態で保持される。この状態でトレイを装置本体より外し、ロッカー等に収納することができる。本構成では、トレイの厚さが1/2になっているので、従来の収納スペースに、約2倍の量を収納することが可能になる。
【0064】
これらの構成を用いることにより、内視鏡等の医療用具を洗滌、消毒、滅菌し、滅菌状態を維持するとともに、リプロセス処理後の保管も効率良く行なうことができる。
【0065】
以上説明してきた技術内容によれば、以下に示されるような各種の構成が得られる。
【0066】
1.内視鏡を収容する収容部と、
収容した内視鏡と通信する通信手段と、
前記通信手段を介して前記内視鏡内の記憶手段に記憶された当該内視鏡の種別に関する情報を取得する情報取得手段と、
前記情報取得手段より取得された前記内視鏡の種別に関する情報を表示する表示手段と、
を有することを特徴とする内視鏡用コンテナ。
【0067】
2.コンテナと、コンテナに気体の注入用及び排気用の接続口金と、前記コンテナを収納可能な収納部と前記接続口金に接続可能な接続部を有し、前記接続部を介してコンテナ内を負圧にする手段及び蒸気を注入する手段とを有するオートクレーブ装置とからなるオートクレーブ装置システム。
3.コンテナは軟性部を有する内視鏡を所定形状で収納可能であることを特徴とする第2項に記載のオートクレーブ装置システム。
4.コンテナはサイズが異なる複数種があり、オートクレーブ装置には、それら複数種のコンテナを収納する複数の収納部があることを特徴とする第2項に記載のオートクレーブ装置システム。
【0068】
5.コンテナの注入用の接続口金と排気用の接続口金は別々であることを特徴とする第2項に記載のオートクレーブ装置システム。
6.コンテナの注入用の接続口金と排気用の接続口金は同一の口金であることを特徴とする第2項に記載のオートクレーブ装置システム。
7.オートクレーブ装置には、コンテナ加圧時に、コンテナ密閉するロック機能付きの扉が設けられていることを特徴とする第2項に記載のオートクレーブ装置システム。
【0069】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、内視鏡検査全体の作業効率を向上させることができる。具体的には、本発明の内視鏡用収納容器によれば、収納されている内視鏡の種別を効率良く確認でき、また、本発明のオートクレーブ装置によれば、短時間で内視鏡を滅菌できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る内視鏡コンテナを概略的に示す斜視図である。
【図2】図1の内視鏡コンテナと内視鏡との通信システムのブロック図である。
【図3】図1の内視鏡を洗滌消毒或いは滅菌装置にセットした状態を示す斜視図である。
【図4】洗滌消毒装置の概略構成図である。
【図5】滅菌装置の概略構成図である。
【図6】図1の内視鏡コンテナを保管庫に収納した状態を示す斜視図である。
【図7】本発明の第2の実施形態に係るオートクレーブ装置を概略的に示す斜視図である。
【図8】図7のオートクレーブ装置に対応した内視鏡コンテナの内部構造を示す平面州である。
【図9】(a)はトレイ本体の斜視図、(b)は(a)のトリ本体に装着される蓋の斜視図である。
【図10】(a)は他の構成に係るトレイ本体の斜視図、(b)は(a)のトリ本体に装着される蓋の斜視図である。
【符号の説明】
1…内視鏡コンテナ(内視鏡用収納容器)
2…内視鏡
3…通信ケーブル
10…表示部
11…スイッチ
19,22…CPU
20,24…メモリ
100…オートクレーブ装置
111…内視鏡収納部
Claims (1)
- 1つの内視鏡のみを収容する収容部と、
前記収容部に収容した内視鏡と無線方式で通信する通信手段と、
前記通信手段を介して前記内視鏡の種別に関する情報を取得する情報取得手段と、
前記情報取得手段により取得された前記内視鏡に関する情報を基に告知する告知手段と、を備えている密閉容器を収納する収納部と、
前記収納部に接続される接続部と、
前記接続部に接続され、この接続部を通じて前記内視鏡を滅菌する滅菌流体を前記収納部に注入または吸引する手段と、
を備えていることを特徴とするオートクレーブ装置。
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