JP4664465B2 - 硬質装飾被膜を有する基材 - Google Patents

硬質装飾被膜を有する基材 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、チタンまたはチタン合金からなるカメラボディ、携帯電話ボディ、携帯ラジオボディ、ビデオカメラボディ、ライターボディ、パソコン本体ボディ等の基材に関する。特に、内部硬化層と、該内部硬化層の表面に装飾被硬質膜とを有する基材とその製造方法の技術に係わる。
【0002】
【従来の技術】
現在、カメラボディ、携帯電話ボディ、時計ケース、携帯ラジオボディ、ビデオカメラボディ、ライターボディ、パソコン本体ボディ等は、耐食性や軽量化等よりチタンまたはチタン合金からなる基材が多く使用されている。
また、この素材は硬度が低いためキズが入りやすく、その上、色もグレー色調であった。この問題を解決するため、基材表面に、乾式メッキ処理より窒化チタン等の硬質被膜を被覆したものもある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
この硬質被膜を有する基材は、カラー色調(金色)で、キズも入りにくいものであった。しかしながら、この硬質被膜は、一般的に1mμ前後の薄膜であるため、被膜表面に強い力が加わった場合、被膜にキズは入らないが、素材が変形し、基材表面に凹凸ができることがあった。また、凹凸が大きい場合には、被膜の内部応力の関係から被膜が剥がれることもあった。
【0004】
本発明の目的は、上記従来の間題点を解決し、被膜表面に強い力が加わっも装飾被膜にキズが入らないことはもとより、基材表面に凹凸ができないようにするともに、被膜の剥がれを極力少なくすることのできる、硬質装飾被膜を有する基材とその製造方法を提供することにある。
【0005】
本発明の第2の目的は、長期間使用しても表面を美しく保つ事の出来る優れた外観品質を有するチタンまたはチタン合金の基材からなる硬質装飾被膜を有する基材とその製造方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
前述した目的を達成するために、本発明は、表面に硬質装飾被膜を有する基材において、前記基材はチタンまたはチタン合金からなり、前記基材は、表面から内部に向かって任意の深さに形成された窒素及び酸素を固溶する第1の硬化層と、該第1の硬化層より内部に向かって任意の深さに形成された第2の硬化層とからなる内部硬化層と、該内部硬化層の表面に被覆形成された硬質装飾被膜とを有し、前記硬質装飾被膜は、硬質カーボン被膜であり、前記基材に形成された前記内部硬化層と前記硬質装飾被膜との間には、クロムまたはチタンを主体とする下層と、シリコンまたはゲルマニウムを主体とする上層とからなる2層構造の中間層を有することを特徴とする。
また、表面に硬質装飾被膜を有する基材において、前記基材はチタンまたはチタン合金からなり、前記基材は、表面から内部に向かって任意の深さに形成された窒素及び酸素を固溶する第1の硬化層と、該第1の硬化層より内部に向かって任意の深さに形成された第2の硬化層とからなる内部硬化層と、該内部硬化層の表面に被覆形成された硬質装飾被膜とを有し、前記硬質装飾被膜は、硬質カーボン被膜であり、前記基材に形成された内部硬化層と前記硬質装飾被膜との間には、チタンを主体とする下層と、タングステン、炭化タングステン、炭化珪素、および炭化チタンのうちのいずれかを主体とする上層との2層構造の中間層を有することを特徴とする。
【0007】
また、前記内部硬化層は、第1の硬化層に、0.68.0W%の窒素と1.0〜14.0W%の酸素とを固溶し、第2の硬化層に、0.5〜14.0W%の酸素を固溶していることを特徴とする。
【0008】
また、前記基材に形成された内部硬化層は、第1の硬化層が、表面から内部に向かって約1μmの範囲に形成され、前記第2の硬化層が、前記第1の硬化層よりも深く、表面から内部に向かって約20μmの範囲に形成されていることを特徴とする。
【0013】
また、前記硬質装飾被膜は、0.1〜3.0μmの範囲に形成されていること特徴とする。
【0016】
また、前記硬質装飾被膜を有する基材は、カメラボディ、携帯電話ボディ、携帯ラジオボディ、ビデオカメラボディ、ライターボディ、パソコン本体ボディの中の1つであるこを特徴とする。
【0023】
【発明の実施の形態】
内部硬化層を形成するための第1の実施の形態)
まず、チタンまたはチタン合金からなる基材に形成される内部硬化層、およびそれを形成する方法について説明する。内部硬化層は、基材の表面から内部に向かって任意の深さに形成された窒素及び酸素を固溶する第1の硬化層と、該第1の硬化層より内部に向かって任意の深さに形成された第2の硬化層とからなる。この説明には図1から5が参照される。
【0024】
図2に示すように、チタン、あるいはチタン合金からなるの基材100の表面部分には、内部硬化層101が形成されている。この内部硬化層101は、表面からほぼ20μmの深さまで広がっている。この内部硬化層101は、窒素104および酸素105が固溶している第1の硬化層102と、酸素105が固溶している第2の硬化層103とに分けられる。第1の硬化層102は、表面からほぼ1μmの深さまでの領域に認められ、それ以上の深さ領域が第2の硬化層103となっている。窒素104および酸素105が固溶している第1の硬化層102は、特に硬度が高く部材表面の傷付きを防止する機能を有している。また、第2の硬化層103は、部材の深部まで硬化範囲を広げ、耐衝撃性を向上させる機能を有している。
【0025】
このように窒素および酸素が固溶した第1の硬化層と、酸素が固溶した第2の硬化層とをもって内部硬化層を形成することにより、表面粗れがなく外観品質に優れるとともに、充分な硬度を備えることが可能となった。ここで、窒素および酸素の固溶可能な範囲は、第1の硬化層において、窒素が0.6〜8.0重量%、酸素が1.0〜14.0重量%であった。また、第2の硬化層においては、酸素が0.5〜14.0重量%であった。したがって、上記の固溶可能な範囲でなるべく多くの窒素または酸素を固溶していることが好ましい。ただし、良好な外観品質を保持する観点から、表面粗れを生じない範囲で窒素または酸素の固溶濃度を選定する必要がある。
【0026】
また、窒素および酸素を固溶する第1の硬化層は、概ね部材表面から1.0μmまでの深さに形成することが好ましい。このような深さに第1の硬化層を形成することで、結晶粒の粗大化による表面粗れを抑制するとともに、充分な表面硬度を得ることができた。
一方、酸素を固溶する第2の硬化層は、第1の硬化層より深い領域で概ね20μmまでの深さに形成することが好ましい。このような深さに第2の硬化層を形成することで、表面硬度を一層向上させることができる。
【0027】
次に本実施形態に用いた表面処理装置の概要について説明する。図3に示す表面処理装置は、真空槽1を中心に構成してある。真空槽1の内部には、チタン、あるいは基材100を載置するトレイ2、および加熱手段としてのヒータ3が配設してある。また、真空槽1には、ガス導入管4とガス排気管5が接続してある。ガス導入管4は、図示しないガス供給源と連通している。このガス導入管4の中間部にはガス導入弁6が設けてあり、このガス導入弁6の開閉操作により、真空槽1内に所要のガスを導入することができる。一方、ガス排気管5は真空ポンプ7と連通しており、真空ポンプ7の吸引力で真空槽1内のガスを吸引して排気できるようになっている。なお、ガス排気管5の中間部には、真空吸引動作の実行/停止を制御するための電磁弁8が設けてある。さらに、真空槽1には大気開放管9が接続してあり、同管9の中間部に設けたベント弁10を開放することにより、真空槽1内の圧力を大気圧とすることができる。
【0028】
次に、表面処理方法について説明する。本実施形態における表面処理方法は、次の行程を含むことを特徴とする。
(1)真空槽内にチタン、あるいは基材100を配置し、加熱して焼鈍処理する加熱工程。
(2)加熱工程の後、微量の酸素成分を含有する窒素主体の混合ガスを前記真空槽内に導入し、所定の減圧状態下で該真空槽1内を700〜800℃の温度で所定時間加熱することにより、基材100の表面から内部へ窒素および酸素を拡散固溶させる硬化処理工程。
(3)硬化処理工程の後、基材100を常温まで冷却する冷却工程。
【0029】
前記加熱行程は、熱間鍛造加工や、その後の研磨加工によって、基材100の表面に発生する加工歪層を緩和する目的で、前記基材100を加熱し焼鈍処理する行程である。研磨加工により生ずる加工歪層は、研磨加工時の応力が格子歪として残存するもので、アモルファス相か、あるいは結晶性が低下した状態となっている。研磨加工後の基材100に対し、焼鈍処理する加工工程を省略して次の硬化処理工程を実施した場合、同硬化処理工程において、加工歪層を緩和しながら窒素および酸素の拡散、固溶を進行させることになる。
【0030】
その結果、基材100の表面における窒素と酸素との反応量が高まり、内部への拡散、固溶量が減少するとともに、表面近傍に着色物質である窒化物および酸化物が形成される。これら着色物質の形成は、外観品質を低下させるため好ましくない。このため、本実施形態においては硬化処理工程の前に加熱工程を挿入して加工歪を事前に除去し、硬化処理工程における窒素および酸素の固溶を促進している。この加熱工程は、真空槽内を真空排気した減圧状態の下で行なうことが好ましい。あるいは、真空槽内を真空排気した後、該真空槽内に不活性ガスを導入した減圧状態下で行なうことが好ましい。加熱工程をこのような雰囲気下で行なうことにより、基材が窒素および酸素成分(硬化処理工程で導入)以外の不純物と反応することを防止することができる。
【0031】
次に硬化処理工程では、微量の酸素成分を含有する窒素主体の混合ガスを前記真空槽内に導入し、基材100の表面から内部へ窒素および酸素を拡散固溶させる。この硬化処理工程によって、基材100の表面近傍に、窒素と酸素が固溶した第1の硬化層を形成するとともに、基材100の深さ方向に酸素が深く固溶した第2の硬化層が形成される。混合ガスに含有される微量の酸素成分としては、酸素を含有する各種のガスを利用できる。例えば、酸素ガス、水素ガス、水蒸気、エチルアルコールやメチルアルコールなどが上記酸素成分としてあげられる。さらに、水蒸気とともに二酸化炭素ガスまたは一酸化炭素ガスを含有させてもよい。
【0032】
この硬化処理工程においては、基材100に対し、窒素と微量の酸素成分が化合物を形成することなく基材100の内部へと拡散、固溶されなければならない。そのためには、同工程における処理温度が重要となる。そこで、この最適処理温度を求めるため、JIS規格で定義された鏡面外観を有するチタン第2種材を被処理部材とし、処理温度を630〜830℃の範囲で変化させて本発明方法に基づく表面処理を実施した。微量の酸素成分を含有する窒素主体の混合ガスとしては、99.4%の窒素に、2000ppm(0.2%)の酸素と、4000ppm(0.4%)の水素とを添加した混合ガスを用いた。真空槽内は減圧状態とし、5時間の加熱処理を行なった。
【0033】
硬化処理後の被処理部材に対し、そのビッカース硬度を測定した結果を図1に示す。同図から明らかなように、処理温度が700℃より低いと、ビッカース硬度がHv=750以下となり、充分な硬化処理がなされなかった。これは、700℃より低い処理温度では、被処理部材に対し、窒素および酸素が充分に拡散、固溶しないため、第1の硬化層および第2の硬化層が適正に形成されないことに起因する。一方、処理温度が800℃より高温の場合、被処理部材に対し窒素と酸素の拡散、固溶速度が大きく、深い領域まで硬化層が得られる。このためビッカース硬度はHv=1100以上となった。
【0034】
しかし、処理温度が800℃を越えると、被処理部材の結晶粒が粗大化して表面粗れが発生することがわかった。したがって、800℃を越える処理温度とした場合、外観品質を良好に保てない。この場合、表面粗れが発生するため、後工程に表面研磨などを挿入する必要があった。以上の結果を踏まえ、700〜800℃の温度範囲内で硬化処理工程を実施することとした。上述した窒素主体の混合ガスにおける酸素成分の含有濃度は任意でよいが、好ましくは窒素に対して酸素成分の濃度を100〜30000ppmに調整する。すなわち、酸素成分の濃度が100ppm(0.01%)より小さいと酸素の固溶が充分に行なわれず、一方、酸素成分の濃度が30000ppm(3%)を越えると、基材の表面に酸化物層が形成され、表面粗れを発生するおそれがある。
【0035】
また、上述した硬化処理工程の減圧の程度は任意でよいが、好ましくは0.01〜10Torrの範囲内に真空槽内の圧力を調整する。また、硬化処理工程において用いられる混合ガスに含有される微量の酸素成分としては、酸素を含有する各種のガスを利用できる。例えば、酸素ガス、水素ガス、水蒸気、エチルアルコールやメチルアルコールなどのアルコールガスなどが上記酸素成分としてあげられる。さらに、水蒸気とともに二酸化炭素ガスまたは一酸化炭素ガスを含有させてもよい。
【0036】
次に冷却行程について説明する。冷却工程は、硬化処理工程を終了した前記基材100を、速やかに常温まで下げることを目的とする。この冷却工程は、硬化処理工程と同一のガス雰囲気で実施しないようにすることが好ましい。硬化処理工程と同一のガス雰囲気で冷却工程を実施した場合、前記基材100の表面に窒化物や酸化物が形成され、外観品質を低下させてしまうおそれがある。そこで、この冷却工程は、アルゴン、ヘリウムなどの不活性ガス雰囲気で実施することが好ましい。すなわち、冷却工程は、真空槽内を高真空排気して微量の酸素成分を含有する窒素主体の混合ガスを除去し、続いて真空槽内に不活性ガスを導入した減圧状態下で常温まで冷却することが好ましい。なお、冷却工程は、真空雰囲気の下で実施してもよい。
【0037】
以下、本実施形態における表面処理方法の具体的な処理条件について述べる。まず、基材(被処理部材)として、JIS規格で定義されたチタン第2種材を熱間鍛造、冷間鍛造、あるいは両者の組み合わせによって、所望の形状に加工した基材を製作した。また、基材100の形状が鍛造加工で得にくい場合には、切削加工を施しても良い。次いで、基材100をバフ研磨で研磨して、基材の表面を鏡面に仕上げた。
【0038】
次に、図3に示す表面処理装置を用いて、前記基材100の表面硬化処理を行った。まず、前記表面処理装置の真空槽1の内部をガス排気管5を通じて残留ガス雰囲気の影響が排除される1×10-5Torr以下の圧力まで高真空排気した後、ヒータ3により基材100を650〜830℃の温度で加熱する。この加熱状態を30分間保持して、基材100を焼鈍処理する(加熱工程)。
【0039】
次いで、ガス導入管4から反応ガスとして、99.5%の窒素に5000ppm(0.5%)の酸素を添加した混合ガスを導入する。そして、真空槽1の内部圧力を0.2Torrに調整するとともに、焼鈍処理したときの温度(650〜830℃)をほぼ保ちながら5時間の加熱を実行する。この硬化処理工程により、基材100の表面に窒素104および酸素105を吸着、拡散させるとともに、基材100の表面から内部へ窒素104および酸素105を固溶させることにより、第1の硬化層102と第2の硬化層103からなる内部硬化層101が形成される(図2参照)。(硬化処理工程)。この後、上記混合ガスの供給を停止して、真空排気を行ないながら常温まで冷却した(冷却工程)。
【0040】
次に、加熱工程および硬化処理工程における処理温度を変えた複数の結果を比較する。
基材(被処理部材)として、JIS規格で定義されたチタン第2種材からなる鏡面外観を有するものを使用した。加熱工程および硬化処理工程は、650〜830℃の温度範囲で処理温度を種々変化させて実行した。その後、硬さ、窒素および酸素の拡散深さと濃度、表面粗れ、表面組織における結晶粒の大きさを、それぞれ測定評価した。硬さは、ビッカース硬度計により測定し、表面から1.0μmの深さでの硬度Hv=750以上を合格とした。窒素および酸素の拡散深さと濃度は、2次イオン質量分析計(SIMS)により測定した。表面粗れは、表面粗さ計を使用して平均表面粗さRaを測定し、0.4μm以下を合格とした。結晶粒Rcの大きさは、表面の結晶組織を電子顕微鏡により測定し、20〜65μmの範囲内にあるものを合格とした。これらの測定結果を表1に示す。
【0041】
【表1】
Figure 0004664465
【0042】
表1において、試料番号S1〜S4は、加熱工程および硬化処理工程における処理温度を変えて得られた基材である。なお、試料番号Scは未処理の純チタン製の基材である。表1に示したように、試料番号S1(処理温度650℃)は、表面処理後の平均表面粗さRaおよび結晶粒の大きさRcについては、ともに未処理の純チタン製基材(試料番号Sc)と同等な良好の外観品質を保持していた。しかし、表面から1.0μmの深さにおける硬さがHv=380と低い値を示した。そこで、同深さ部分の窒素含有量をみると0.05重量%であり、ほとんど窒素を含有していない。すなわち、図2に示す第1の硬化層102が形成されていないことがわかる。さらに、表面から20μmの深さ部分の酸素含有量も0.01重量%であり、第2の硬化層103も形成されていないことがわかる。
【0043】
試料番号S4(処理温度830℃)は、表面から1.0μmの深さにおける硬さがHv=1320と高いものの、平均表面粗さがRa=1.0μmと大きく、また結晶粒もRc=80〜200μmに粗大化しており、表面粗れが顕著に認められた。基材に用いるには、かかる表面粗れの程度は許容範囲を逸脱している。これらに対し、試料番号S2およびS3は、表面から1.0μmの深さにおける硬さがHv=820〜935と充分に高い値を示し、かつ平均表面粗さRa=0.25〜0.3μm、結晶粒の大きさRc=30〜60μmで、未処理の純チタン製基材(試料番号Sc)と同等な良好の外観品質を保持していた。
【0044】
これら試料番号S2およびS3は、表面から1.0μmまでの深さに0.6〜8.0重量%(具体的には、0.8〜1.6重量%)の窒素、および1.0〜14.0重量%(具体的には、1.7〜2.6重量%)の酸素をそれぞれ含有しており、図2に示した第1の硬化層102が形成されていることがわかる。さらに、表面から20μmまでの深さに0.5〜14.0重量%(具体的には、0.7〜1.0重量%)の酸素を含有しており、図2に示した第2の硬化層103も形成されていることがわかる。図4は、表面からの深さに対する窒素含有量および酸素含有量を測定した結果を示す図である。測定対象は、試料番号S2の基材を用いた。
【0045】
同図から明らかなように、本実施例で表面硬化処理された試料番号S2の基材は、表面から深さ1μmまでの領域に多くの窒素および酸素を固溶しており、さらに深い領域では多くの酸素を固溶していることがわかる。かくして、内部硬化層を備える基材を得ることができた。前記試料番号S2、S3の基材は、表面硬化処理前の基材と同等の鏡面品質を保持していた。
【0046】
次に、前記内部硬化層を備える基材をバレル研磨でさらに研磨した。研磨方法について以下に述べる。まず、遠心バレル研磨機のバレル層内に基材を配置する。次いで研磨媒体として、くるみのチップとアルミナ系研磨剤をバレル層内に入れる。そして、約10時間かけてバレル研磨を行ない、前記基材の表面に形成された硬質層における、その表面から0.7μmの部分を除去する。これによって、前記基材の表面にあった微細な歪みが除去され、前記基材の表面がさらに円滑に均一化された。よって、さらに均一な銀白色の光沢を放つ鏡面を備えた基材を得た。従って、基材の鏡面の美観を向上させ、装飾的価値を高めるために、かかるバレル研磨は重要である。
【0047】
なお、上記の実施形態ではバレル研磨を用いたが、研磨手段としては、バフ研磨、あるいはバレル研磨とバフ研磨の組み合わせなど、公知のの機械的研磨手段を用いればよい。また、第1の硬化層の表面を内部に向かって深く研磨しすぎると、窒素及び酸素の含有量、特に窒素の含有量が少ない領域が表面に露呈してしまう。すなわち、研磨すればするほど、硬度の低い領域が露呈するため、基材の表面の硬度は低下してしまう。逆に、研磨する深さが浅いと、美しい鏡面を得ることができない。故に、研磨する深さは、第1の硬化層の表面から、0.1〜3.0μmに設定される。好ましくは、0.2〜2.0μm、さらに好ましくは、0.5〜1.0μmである。研磨する深さを上記の範囲に設定することにより、基材の表面硬度を実用に耐えられる硬さに維持しつつ、平滑な鏡面を得ることが出来る。詳しくは、研磨後の基材に、100g荷重で500〜800Hvの硬度が得られれば良い。
【0048】
上記の表面硬化処理は、従来のイオン注入、イオン窒化、浸炭などの硬化処理と比べ、処理時間が短く、生産性に優れる。かつ、上記の表面硬化処理を経た基材は、その表面から20μmもの深い領域まで達する硬化層を備えるので、長い間使用しても傷がつかない。特に、バレル研磨によって均一な光沢を放つ鏡面を備えることができるため、装飾的な価値を高めることができる。
【0049】
また、前記硬化処理工程において、真空槽1内に導入する微量の酸素成分を含有する窒素主体の反応ガスとして、下記の混合ガスを選択しても、同等の結果が得られた。以下にこれらの測定結果を示す。まず、混合ガスとして、99.7%の窒素に3000ppm(0.3%)の水蒸気を添加した混合ガスを選択した場合の測定結果を表2に示す。
【0050】
【表2】
Figure 0004664465
【0051】
表2において、試料番号S5〜S8は、加熱工程および硬化処理工程における処理温度を変えて得られた基材である。表2に示したように、試料番号S5(処理温度650℃)は、表面処理後の平均表面粗さRaおよび結晶粒の大きさRcについては、ともに未処理の純チタン製基材(試料番号Sc)と同等な良好の外観品質を保持していた。しかし、表面から1.0μmの深さにおける硬さがHv=405と低い値を示した。そこで、同深さ部分の窒素含有量をみると0.06重量%であり、ほとんど窒素を含有していない。すなわち、図2に示す第1の硬化層102が形成されていないことがわかる。さらに、表面から20μmの深さ部分の酸素含有量も0.01重量%であり、第2の硬化層103も形成されていないことがわかる。
【0052】
試料番号S8(処理温度830℃)は、表面から1.0μmの深さにおける硬さがHv=1400と高いものの、平均表面粗さがRa=1.2μmと大きく、また結晶粒もRc=80〜250μmに粗大化しており、表面粗れが顕著に認められた。基材を装飾品に用いるには、かかる表面粗れの程度は許容範囲を逸脱している。これらに対し、試料番号S6およびS7は、表面から1.0μmの深さにおける硬さがHv=820〜940と充分に高い値を示し、かつ平均表面粗さRa=0.25〜0.3μm、結晶粒の大きさRc=30〜60μmで、未処理の純チタン製基材(試料番号Sc)と未処理の純チタンと同等な良好の外観品質を保持していた。
【0053】
これら試料番号S6およびS7は、表面から1.0μmまでの深さに0.6〜8.0重量%(具体的には、0.9〜1.6重量%)の窒素、および1.0〜14.0重量%(具体的には、2.0〜2.5重量%)の酸素をそれぞれ含有しており、図2に示した第1の硬化層102が形成されていることがわかる。さらに、表面から20μmまでの深さに0.5〜14.0重量%(具体的には、0.8〜1.2重量%)の酸素を含有しており、図2に示した第2の硬化層103も形成されていることがわかる。図5は、表面からの深さに対する窒素含有量および酸素含有量を測定した結果を示す図である。測定対象は、試料番号S6の基材を用いた。同図から明らかなように、本実施例で表面硬化処理された試料番号S6の基材は、表面から深さ1.0μmまでの領域に多くの窒素および酸素を固溶しており、さらに深い領域では多くの酸素を固溶していることがわかる。
【0054】
次に、混合ガスとして、99.4%の窒素に2000ppm(0.2%)の酸素、および4000ppm(0.4%)の水素を添加した混合ガスを選択した場合の測定結果を表3に示す。
【0055】
【表3】
Figure 0004664465
【0056】
表3において、試料番号S9〜S12は、加熱工程および硬化処理工程における処理温度を変えて得られた基材である。表3に示したように、試料番号S9(処理温度650℃)は、表面処理後の平均表面粗さRaおよび結晶粒の大きさRcについては、ともに未処理の純チタン製基材(試料番号Sc)と同等な良好の外観品質を保持していた。しかし、表面から1.0μmの深さにおける硬さがHv=370と低い値を示した。試料番号S12(処理温度830℃)は、表面から1.0μmの深さにおける硬さがHv=1300と高いものの、平均表面粗さがRa=1.1μmと大きく、また結晶粒もRc=80〜200μmに粗大化しており、表面粗れが顕著に認められた。基材を装飾品に用いるには、かかる表面粗れの程度は許容範囲を逸脱している。これらに対し、試料番号S10およびS11は、表面から1.0μmの深さにおける硬さがHv=810〜920と充分に高い値を示し、かつ平均表面粗さRa=0.25〜0.3μm、結晶粒の大きさRc=30〜60μmで、未処理の純チタン製基材(試料番号Sc)と同等な良好の外観品質を保持していた。
【0057】
この結果から、試料番号S11およびS12は、先に示した実施例における試料番号S2、S3の基材と同様、表面から1.0μmまでの深さに0.6〜8.0重量%の窒素、および1.0〜14.0重量%の酸素をそれぞれ含有しており、図2に示した第1の硬化層102を形成していることが容易に推測できる。さらに、表面から20μmまでの深さに0.5〜14.0重量%の酸素を含有しており、図2に示した第2の硬化層103を形成していることも容易に推測できる。
【0058】
次に、混合ガスとして、99.7%の窒素に2500ppm(0.25%)の水蒸気、および500ppm(0.05%)の二酸化炭素を添加した混合ガスを選択した場合の測定結果を表4に示す。
【0059】
【表4】
Figure 0004664465
【0060】
表4において、試料番号S13〜S16は、加熱工程および硬化処理工程における処理温度を変えて得られた基材である。表4に示したように、試料番号S13(処理温度650℃)は、表面処理後の平均表面粗さRaおよび結晶粒の大きさRcについては、ともに未処理の純チタン製基材(試料番号Sc)と同等な良好の外観品質を保持していた。しかし、表面から1.0μmの深さにおける硬さがHv=340と低い値を示した。試料番号S16(処理温度830℃)は、表面から1.0μmの深さにおける硬さがHv=1240と高いものの、平均表面粗さがRa=1.0μmと大きく、また結晶粒もRc=80〜200μmに粗大化しており、表面粗れが顕著に認められた。基材を装飾品に用いるには、かかる表面粗れの程度は許容範囲を逸脱している。これらに対し、試料番号S14およびS15は、表面から1.0μmの深さにおける硬さがHv=800〜850と充分に高い値を示し、かつ平均表面粗さRa=0.25〜0.3μm、結晶粒の大きさRc=30〜60μmで、未処理の純チタン製基材(試料番号Sc)と同等な良好の外観品質を保持していた。
【0061】
この結果から、試料番号S14およびS15は、先に示した実施例1における試料番号S2、S3の基材と同様、表面から1.0μmまでの深さに0.6〜8.0重量%の窒素、および1.0〜14.0重量%の酸素をそれぞれ含有しており、図2に示した第1の硬化層102を形成していることが容易に推測できる。さらに、表面から20μmまでの深さに0.5〜14.0重量%の酸素を含有しており、図2に示した第2の硬化層103を形成していることも容易に推測できる。
【0062】
次に、混合ガスとして、99.3%の窒素に、7000ppm(0.3%)のエチルアルコールガスを添加した混合ガスを選択した場合の測定結果を表5に示す。
【0063】
【表5】
Figure 0004664465
【0064】
表5において、試料番号S17〜S20は、加熱工程および硬化処理工程における処理温度を変えて得られた基材である。表5に示したように、試料番号S17(処理温度650℃)は、表面処理後の平均表面粗さRaおよび結晶粒の大きさRcについては、ともに未処理の純チタン製基材(試料番号Sc)と同等な良好の外観品質を保持していた。しかし、表面から1.0μmの深さにおける硬さがHv=330と低い値を示した。
【0065】
試料番号S20(処理温度830℃)は、表面から1.0μmの深さにおける硬さがHv=1200と高いものの、平均表面粗さがRa=1.0μmと大きく、また結晶粒もRc=80〜180μmに粗大化しており、表面粗れが顕著に認められた。基材を装飾品に用いるには、かかる表面粗れの程度は許容範囲を逸脱している。これらに対し、試料番号S18およびS19は、表面から1.0μmの深さにおける硬さがHv=780〜830と充分に高い値を示し、かつ平均表面粗さRa=0.25〜0.3μm、結晶粒の大きさRc=30〜55μmで、未処理の純チタン製基材(試料番号Sc)と同等な良好の外観品質を保持していた。
【0066】
この結果から、試料番号S18およびS19は、先に示した実施例1における試料番号S2、S3の基材と同様、表面から1.0μmまでの深さに0.6〜8.0重量%の窒素、および1.0〜14.0重量%の酸素をそれぞれ含有しており、図2に示した第1の硬化層102を形成していることが容易に推測できる。さらに、表面から20μmまでの深さに0.5〜14.0重量%の酸素を含有しており、図2に示した第2の硬化層103を形成していることも容易に推測できる。
【0067】
上述した実施形態では、加熱工程を高真空排気した後、真空雰囲気中で加熱し焼鈍処理を実施したが、真空雰囲気に限らず、この加熱工程を基材が反応しないヘリウム、アルゴンなどの不活性ガス雰囲気中で実施してもよい。ただし、この場合にも真空槽内は減圧状態とすることが好ましい。
【0068】
また、上述した実施形態では、冷却工程を真空排気しながら実施したが、真空雰囲気に限らず、この冷却工程を基材が反応しないヘリウム、アルゴンなどの不活性ガス雰囲気中で実施してもよい。ただし、この場合にも真空槽1内は減圧状態とすることが好ましい。
【0069】
(内部硬化層を形成するための第2の実施の形態)
次に第2の実施形態について説明する。第2の実施形態における各工程の目的および基本的作用は、先に説明した第1の実施形態と同じである。第2の実施形態は、先の第1の発明方法と大気圧の下において加熱工程および硬化処理工程を実施する点で異なっている。また、大気圧の下で加熱工程を実施する際、基材が活性な金属であることから、同部材が窒素および酸素成分以外の不純物成分と反応することを防止するために真空槽内に不活性ガスを導入している点である。この第2の実施形態においても、加熱工程は、真空槽内を真空排気した後、該真空槽内に不活性ガスを導入して大気圧に調整した雰囲気の下で行なうことが好ましいが、真空槽内を真空排気した減圧状態の下で行なっても良い。加熱工程をこのような雰囲気下で行なうことにより、基材が窒素および酸素成分(硬化処理工程で導入)以外の不純物と反応することを防止することができる。
【0070】
加熱工程の後の硬化処理工程は、真空槽内を高真空排気して不活性ガスを除去し、続いて微量の酸素成分を含有する窒素主体の混合ガスを真空槽内に導入するとともに同真空槽内を大気圧に調整し、かつ該真空槽1内を700〜800℃の温度で所定時間加熱することにより、基材の表面から内部へ窒素および酸素を拡散固溶させる。この硬化処理工程において用いられる混合ガスに含有される微量の酸素成分としては、酸素を含有する各種のガスを利用できる。例えば、酸素ガス、水素ガス、水蒸気、エチルアルコールやメチルアルコールなどのアルコールガスなどが上記酸素成分としてあげられる。さらに、水蒸気とともに二酸化炭素ガスまたは一酸化炭素ガスを含有させてもよい。
【0071】
硬化処理工程の後、基材を常温まで冷却する冷却工程は、第1の実施形態と同様、硬化処理工程と同一のガス雰囲気で実施しないようにすることが好ましい。すなわち、冷却工程は、真空槽内を高真空排気して微量の酸素成分を含有する窒素主体の混合ガスを除去し、続いて真空槽内に不活性ガスを導入して大気圧に調整し、常温まで冷却することが好ましい。なお、冷却工程は、真空雰囲気の下で実施してもよい。
【0072】
以下、本実施形態における表面処理方法の具体的な処理条件について述べる。まず、第1の実施形態と同様に、基材(被処理部材)として、JIS規格で定義されたチタン第2種材を熱間鍛造、冷間鍛造、あるいは両者の組み合わせによって、所望の形状に加工した基材を製作した。次いで、前記基材100をバフ研磨で研磨して、基材の表面を鏡面に仕上げた。次に、図3に示す表面処理装置を用いて、前記基材100の表面硬化処理を行った。まず、真空槽1の内部をガス排気管5を通して真空ポンプ7により真空吸引し、残留ガス雰囲気の影響が排除される1×10-2Torr以下の圧力まで真空排気した後、電磁弁8を閉じる。続いて、ガス導入弁6を開き、ガス導入管4を通して真空槽1内へアルゴンガス(不活性ガス)を導入するとともに、大気開放管9のベント弁10を開いて真空槽1内の圧力を大気圧に調整する。この雰囲気の下で、ヒータ3により基材100を650〜830℃まで30分間加熱し焼鈍処理する(加熱工程)。次いで、大気開放管9のベント弁10およびガス導入管4のガス導入弁6を閉塞するとともに、ガス排気管5の電磁弁8を開いて真空ポンプ7による真空排気を実行する。真空排気は、真空槽1内が1×10-2Torr以下の圧力になるまで続ける。
【0073】
その後、ガス排気管5の電磁弁8を閉塞するとともに、ガス導入管4のガス導入弁6を開き、真空槽1内へ99.7%の窒素に3000ppm(0.3%)の水蒸気を添加した混合ガスを導入する。このとき、大気開放管9のベント弁10を開き、真空槽1内の圧力を大気圧に調整する。そして、焼鈍処理したときの温度(650〜830℃)をほぼ保ちながら5時間の加熱を実行する(硬化処理工程)。この硬化処理工程により、基材100の表面に窒素104および酸素105を吸着、拡散させるとともに、同部材100の表面から内部へ窒素104および酸素105を固溶させることにより、第1の硬化層102と第2の硬化層103からなる内部硬化層101が形成される(図2参照)。
【0074】
硬化処理工程を終了した後、大気開放管9のベント弁10およびガス導入管4のガス導入弁6を閉じるとともに、ガス排気管5の電磁弁8を開いて、真空ポンプ7により真空槽1内を1×10-2Torr以下の圧力まで真空排気して、上記混合ガスを除去する。続いて、ガス排気管5の電磁弁8を閉じるとともに、ガス導入管4のガス導入弁6を開き、アルゴンガスを導入する。同時に大気開放管9のベント弁10を開き、真空槽1内の圧力を大気圧に調整する。この雰囲気中で基材を常温まで冷却した(冷却工程)。
【0075】
この第2の実施形態では、基材(被処理部材)として、JIS規格で定義されたチタン第2種材からなる鏡面外観を有するものを使用した。加熱工程および硬化処理工程は、650〜830℃の温度範囲で処理温度を種々変化させて実行した。その後、硬さ、表面粗れ、表面組織における結晶粒の大きさを、それぞれ測定評価した。硬さは、ビッカース硬度計により測定し、表面から1.0μmの深さでの硬度Hv=750以上を合格とした。表面粗れは、表面粗さ計を使用して平均表面粗さRaを測定し、0.4μm以下を合格とした。結晶粒Rcの大きさは、表面の結晶組織を電子顕微鏡により測定し、20〜65μmの範囲内にあるものを合格とした。これらの測定結果を表6に示す。
【0076】
【表6】
Figure 0004664465
【0077】
表6において、試料番号S21〜S24は、加熱工程および硬化処理工程における処理温度を変えて得られた基材である。表6に示したように、試料番号S21(処理温度650℃)は、表面処理後の平均表面粗さRaおよび結晶粒の大きさRcについては、ともに未処理の純チタン製基材(試料番号Sc)と同等な良好の外観品質を保持していた。しかし、表面から1.0μmの深さにおける硬さがHv=360と低い値を示した。試料番号S24(処理温度830℃)は、表面から1.0μmの深さにおける硬さがHv=1410と高いものの、平均表面粗さがRa=1.3μmと大きく、また結晶粒もRc=80〜250μmに粗大化しており、表面粗れが顕著に認められた。基材を装飾品に用いるには、かかる表面粗れの程度は許容範囲を逸脱している。
【0078】
これらに対し、試料番号S22およびS23は、表面から1.0μmの深さにおける硬さがHv=840〜1050と充分に高い値を示し、かつ平均表面粗さRa=0.25〜0.35μm、結晶粒の大きさRc=30〜60μmで、未処理の純チタン製基材(試料番号Sc)と同等な良好の外観品質を保持していた。この結果から、試料番号S22およびS23は、先に示した実施例1における試料番号S2、S3の基材と同様、表面から1.0μmまでの深さに0.6〜8.0重量%の窒素、および1.0〜14.0重量%の酸素をそれぞれ含有しており、図2に示した第1の硬化層102を形成していることが容易に推測できる。
【0079】
さらに、表面から20μmまでの深さに0.5〜14.0重量%の酸素を含有しており、図2に示した第2の硬化層103を形成していることも容易に推測できる。かくして、内部硬化層を備える基材を得る。試料番号S22、S23の基材は、表面硬化処理前の基材と同等の鏡面品質を保持していた。また、硬化処理工程において、真空槽1内に導入する不活性ガスとして、ヘリウムガスを選択しても、同等の結果が得られた。なお、加熱工程および硬化処理工程は、第2の実施形態と同じく650〜830℃の温度範囲で処理温度を種々変化させて実行し、その後、硬さ、表面粗れ、表面組織における結晶粒の大きさを、それぞれ測定評価した。以下、不活性ガスとしてヘリウムガスを選択した場合の測定結果を表7に示す。
【0080】
【表7】
Figure 0004664465
【0081】
表7において、試料番号S25〜S28は、加熱工程および硬化処理工程における処理温度を変えて得られた基材である。
表7に示したように、試料番号S25(処理温度650℃)は、表面処理後の平均表面粗さRaおよび結晶粒の大きさRcについては、ともに未処理の純チタン製基材(試料番号Sc)と同等な良好の外観品質を保持していた。しかし、表面から1.0μmの深さにおける硬さがHv=330と低い値を示した。試料番号S28(処理温度830℃)は、表面から1.0μmの深さにおける硬さがHv=1220と高いものの、平均表面粗さがRa=1.0μmと大きく、また結晶粒もRc=80〜200μmに粗大化しており、表面粗れが顕著に認められた。基材を装飾品に用いるには、かかる表面粗れの程度は許容範囲を逸脱している。
【0082】
これらに対し、試料番号S26およびS27は、表面から1.0μmの深さにおける硬さがHv=780〜840と充分に高い値を示し、かつ平均表面粗さRa=0.25〜0.3μm、結晶粒の大きさRc=30〜60μmで、未処理の純チタン製基材(試料番号Sc)と同等な良好の外観品質を保持していた。この結果から、試料番号S26およびS27は、先に示した実施例1における試料番号S2、S3の基材と同様、表面から1.0μmまでの深さに0.6〜8.0重量%の窒素、および1.0〜14.0重量%の酸素をそれぞれ含有しており、図2に示した第1の硬化層102を形成していることが容易に推測できる。
【0083】
さらに、表面から20μmまでの深さに0.5〜14.0重量%の酸素を含有しており、図2に示した第2の硬化層103を形成していることも容易に推測できる。なお、本実施形態では加熱工程を大気圧のアルゴン雰囲気で、または大気圧のヘリウム雰囲気で実施したが、これらの雰囲気に限らず、この加熱工程を真空雰囲気で実施してもよい。また、本実施形態では冷却工程を大気圧のアルゴン雰囲気で、または大気圧のヘリウム雰囲気で実施したが、これらの雰囲気に限らず、この冷却工程を真空雰囲気で実施してもよい。
【0084】
なお、本発明は上述した各実施形態に限定されるものではない。
上記各実施形態では、ヒータ3を用いて基材を加熱し、窒素および酸素を固溶させていたが、その他にも例えば、プラズマを利用して基材へ窒素および酸素を固溶させてもよい。
また、硬化処理工程において真空槽1内に導入する微量の酸素成分を含有する窒素主体の混合ガスとしては、上記各実施例で使用したものに限定されず、例えば、窒素ガスに一酸化窒素、二酸化窒素、一酸化炭素、二酸化炭素などの酸素成分を含むガスを添加したものであってもよい。さらに加えて、ヘリウム、ネオン、アルゴン等の不活性ガスや、水素成分、ホウ素成分、炭素成分を含むガスを微量添加してもよい。
【0085】
また、各実施形態において、加熱工程の処理時間は30分間に設定したが、これに限定されるものではなく、例えば30分〜2時間の範囲で任意に設定することができる。
さらに、各実施形態において、硬化処理工程の処理時間は5時間に設定したが、これに限定されるものではなく必要に応じて任意に設定することができる。
ただし、硬化処理工程の処理時間が1時間に満たないと、窒素および酸素の拡散固溶が充分に進行せず、必要な硬度を得られないおそれがある。一方、硬化処理工程の処理時間が10時間を越えると基材に表面粗れを生じるおそれがある。したがって、硬化処理工程の処理時間は、1〜10時間の範囲内に設定することが好ましい。
【0086】
(実施例1)
このようにして、内部硬化層が形成されたチタン、あるいはチタン合金鋼からなる基材の上に、金色色調の硬質装飾被膜を被覆する。この説明には図6が参照される。
図に示す通り、基材100であるカメラボディの表面に形成された内部硬化層101の上に、乾式メッキ法の1つであるイオンプレティーング法によって、金色の硬質装飾被膜として窒化チタンから成るTiN被膜23が被覆される。
【0087】
TiN被膜23の形成方法を説明する。
まず、内部硬化層101が形成されたカメラボディをイソプロピルアルコール等の有機溶剤で洗浄し、イオンプレティーング装置内に配置した。イオンプレティーング装置は、一般に使用されているものでかまわないので、その説明は図面を含めて省略する。
【0088】
次いで、装置内を1.0×10-5Torrまで排気した後、不活性ガスとしてアルゴンガスを3.0×10-3Torrまで導入した。
次に、装置内部に備えられた熱電子フィラメントとプラズマ電極を駆動させて、アルゴンのプラズマを形成した。同時にカメラボディ1に−50Vの電位を印加して、10分間ボンバードクリーニングを行った。
【0089】
次に、アルゴンガスの導入を止めた後、装置内に窒素ガスを2.0×10-3Torrまで導入した。
そして、装置内部の備えられた電子銃でプラズマを発生させた後、チタンを10分間蒸発させて、カメラボディの内部硬化層101の上にTiN被膜23を0.5μmの膜厚で形成した。
【0090】
このようにして得られたカメラボディは、TiN被膜23が金と同じような光学的特性を備えるが故に、均一な金色色調を呈した。これにより、カメラボディの装飾的な価値をさらに高めることができた。
また、このTiN被膜23を被覆したカメラボディの表面硬度(HV)は、50g荷重で800に達した。TiN被膜23を被覆したカメラボディは、優れた耐摩耗性、耐食性、耐擦傷性を備えていた。その上、被膜表面に強い力が加わっても、基材表面に凹凸ができにくくなると共に、被膜の剥がれも無くなった。
このように、内部硬化層101より硬質なTiN被膜23を被覆することにより、表面硬化処理を施したカメラボディが、さらに傷つきにくくなった。
【0091】
なお、乾式メッキ法としては、上記したイオンプレティーング法に限らず、スパッタリング法や真空蒸着法などの公知の手段を用いることができる。
【0092】
また、乾式メッキ法で被覆される金色の硬質装飾被膜として、周期律表の4a、5a、6a族元素(Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W)の窒化物、炭化物、酸化物、窒炭化物、窒炭酸化物を採用することができる。
周期律表の4a、5a、6a族元素をMで表わし、Mの窒化物をMNxで表わしたとき、窒化度を示すxの値が1より小さくなるにしたがって、前記Mの窒化物MNxの被膜の色調は金色から淡黄色に近づく。また、窒化度を示すxの値が1より大きくなるにしたがって、被膜の金色は、赤味を帯びてくる。また、窒化度を示すxの値が、0.9〜1.1の範囲であれば、金、あるいは金合金の色調に近い金色を窒化物MNxの被膜上形成することができる。特に、窒化度を示すxの値が、x=1の時、Mの窒化物MNxの被膜は、充分な硬度を備える硬質装飾被膜であると同時に、金、あるいは金合金の色調に最も近い金色を呈する。
【0093】
周期律表の4a、5a、6a族元素Mの炭化物、酸化物、窒炭化物、窒炭酸化物についても、それらの炭化度、酸化度、窒化度を所定の範囲に制御することにより、それらの被膜に金、あるいは金合金の色調に最も近い金色の色調を付与できる。
特に、TiN被膜とZrN被膜は、充分な硬度を備える硬質装飾被膜であると同時に、金、あるいは金合金の色調に最も近い金色を呈するので好ましい。
また、Mの窒化物MNxの膜厚が薄いと、被膜に有効な耐摩耗性、耐食性、耐擦傷性を得ることができない。逆に、被膜の膜厚が厚いと、被覆にかかる時間が長くなって、被膜のコストが高くなる。よって、Mの窒化物MNxの被膜の膜厚は、好ましくは0.1〜10μmの範囲、さらに好ましくは0.2〜5μmの範囲に制御される。
【0094】
(実施例2)
実施例1と同じ方法によって内部硬化層が形成された、チタン、あるいはチタン合金からなる基材100である携帯電話のボディの上に、実施例1とは異なる色調の硬質装飾被膜を被覆する。この説明には図7が参照される。
図に示すように、携帯電話のボディの表面に形成された内部硬化層101の上に、乾式メッキ法によって、白色色調の硬質装飾被膜として炭化チタンから成るTiC被膜24が被覆される。
乾式メッキ法の1つであるイオンプレティーング法を用いて、エチレンガス雰囲気中でチタンを蒸発させ、携帯電話ボディの表面にTiC被膜24を被覆した。その他の被覆条件は、実施例1に準じた。
【0095】
このようにして得られた携帯電話ボディは、TiC被膜24の被覆により、均一な白色色調を呈した。これにより、携帯電話ボディの装飾的な価値をさらに高めることができた。また、TiC被膜24を被覆した携帯電話ボディの表面硬度(HV)は、50g荷重で800に達した。TiC被膜24を被覆した携帯電話ボディは、優れた耐摩耗性、耐食性、耐擦傷性を備えていた。
このように、内部硬化層101より硬質な被膜24を被覆することにより、表面硬化処理を施した携帯電話ボディが、さらに傷つきにくくなった。
【0096】
(実施例3)
実施例1と同じ方法によって内部硬化層が形成された、チタン、あるいはチタン合金からなる基材100である携帯ラジオのボディの上に、黒色色調の硬質装飾被膜として硬質カーボン被膜を被覆する。硬質カーボン被膜は、ダイヤモンドに似た優れた特性を備えることから、ダイヤモンド・ライク・カーボン(DLC)として、広く知られている。この説明には図8が参照される。
図に示すように、携帯ラジオのボディの表面に形成された内部硬化層101の上に、乾式メッキ法によって黒色の硬質カーボン被膜25が被覆される。
【0097】
硬質カーボン被膜25の形成方法は、例えば以下の通りである。
まず、内部硬化層101が形成された携帯ラジオボディをイソプロピルアルコール等の有機溶剤で洗浄し、真空装置内に配置した。そして、高周波プラズマCVD法を用いて、以下の条件にしたがって、内部硬化層101の上に炭素硬質装飾被膜5を2μm形成した。
〔形成条件〕
ガス種 :メタンガス
成膜圧力 :0.1Torr
高周波電力 :300ワット
成膜速度 :毎分0.1μm
このようにして、硬質カーボン被膜25が内部硬化層101の上に密着良く被覆された。
【0098】
このようにして得られた携帯ラジオボディは、硬質カーボン被膜25の被覆により均一な黒色色調を呈した。これにより、携帯ラジオボディの装飾的な価値をさらに高めることができた。
また、この硬質カーボン被膜25を被覆した携帯ラジオボディの表面硬度(HV)は、3000から5000に達した。このように、内部硬化層101より硬質な被膜25を被覆することにより、表面硬化処理を施した携帯ラジオのボディが、さらに傷つきにくくなった。
【0099】
硬質カーボン被膜25の膜厚は、好ましくは0.1〜3.0μmの範囲、さらに好ましくは0.5〜2.5μmの範囲に制御される。
また、硬質カーボン被膜25を被覆するには、RFP−CVD法の他に、DCプラズマCVD法やECR法などの様々気相成膜法を用いることができる。また、イオンビーム法、スパッタリング法、あるいはイオンプレティーング法などの物理蒸着法を採用してもよい。
【0100】
また、図9に示すように、内部硬化層101と硬質カーボン被膜25との間に中間層被膜26を形成すると、硬質カーボン被膜25が基材1の表面にさらに強く密着するので好ましい。
中間層26の形成方法は、例えば以下の通りである。
乾式メッキ法、たとえばスパッタリング法により、チタンを主体とした下層であるTi被膜26aを内部硬化層101の上に0.1μm被覆した。さらに、スパッタリング法により、シリコンを主体とした上層であるSi被膜26bをTi被膜26aの上に0.3μm被覆した。
その後、たとえば、高周波プラズマCVD法を用いて、前述の条件にしたがって、硬質カーボン被膜25をSi被膜26bの上に2μm被覆すれば良い。
【0101】
上記のTi被膜26aは、クロム(Cr)被膜に代えることができる。また、上記のSi被膜26bは、ゲルマニウム(Ge)被膜に代えることができる。
さらに、シリコンを主体とした上層であるSi被膜26bに代えて、タングステン、炭化タングステン、炭化珪素、および炭化チタンのうちのいずれかを主体とする上層を採用することができる。
中間層としては、このような積層被膜の他にも、IVa族、あるいはVa族金属の炭化物の単層を被覆しても良い。特に、過剰な炭素を含有する炭化チタンの被膜は、炭素硬質装飾被膜との密着強度が高いので好ましい。
【0102】
(実施例4)
実施例1と同じ方法によって内部硬化層が形成されたチタン、あるいはチタン合金からなる基材100であるビデオカメラのボディの表面の一部分に、金色色調の硬質装飾被膜が被覆される。この説明には図10から12が参照される。
図11に示す通り、ビデオカメラのボディの表面の一部分に、乾式メッキ法の1つであるイオンプレティーング法によって、金色色調の硬質装飾被膜として窒化チタンから成るTiN被膜27が被覆される。
【0103】
以下、金色のTiN被膜27の部分的形成方法について説明する。
まず、図10に示すように、内部硬化層101が形成されたビデオカメラのボディそれぞれの表面の所望の部分に、エポキシ系樹脂から成る有機マスク剤、あるいはマスキングインクを印刷して、マスキング層28を形成した。次に、マスキング層28を形成したビデオカメラのボディをイソプロピルアルコール等の有機溶剤で洗浄し、イオンプレティーング装置内に配置した。
なお、イオンプレティーング装置は、一般に使用されているものでかまわないので、その説明は図面を含めて省略する。
【0104】
次いで、装置内を1.0×10-5Torrまで排気した後、不活性ガスであるアルゴンガスを3.0×10-3Torrまで導入した。次に、装置内部に備えられた熱電子フィラメントとプラズマ電極を駆動させて、アルゴンのプラズマを形成した。同時にビデオカメラのボディそれぞれに−50Vの電位を印加して、10分間ボンバードクリーニングを行った。
【0105】
次に、アルゴンガスの導入を止めた後、装置内に窒素ガスを2.0×10-3Torrまで導入した。そして、装置内部の備えられたプラズマ銃でプラズマを発生させた後、チタンを10分間蒸発させた。よって、図11に示すように、ビデオカメラのボディそれぞれの硬化層101の表面にTiN被膜27、およびマスキング層28の表面にTiN被膜27aを共に0.5μmの膜厚で形成した。
【0106】
次に、エチルメチルケトン(EMK)、あるいはエチルメチルケトン(EMK)に蟻酸および過酸化水素を添加した剥離溶液によりマスキング層28を膨潤させ、リフトオフ法により、マスキング層28およびその上に積層されたTiN被膜27aを剥離した。
よって、図12に示すように、TiN被膜27が被覆された金色色調を呈する部分と、TiN被膜が被覆されていないチタン、あるいはチタン合金鋼の銀白色を呈する部分とを有するビデオカメラボディを得た。これにより、ビデオカメラボディの装飾的価値をさらに高めることができた。
【0107】
なお、マスキング手段としては、本実施例で説明したような化学的マスキング層を設ける他に、機械的なマスキング手段を用いても良い。すなわち、窒化チタン被膜を被覆する前に、予め駒の任意の部分に金属製のキャップを被せておき、窒化チタン被膜を被覆後、かかるキャップを取除けば良い。すると、キャップが被せられていた駒の部分には窒化チタン被膜が被覆されず、キャップが被せられなかった部分には窒化チタン被膜が被覆される。
【0108】
また、本実施例では、ビデオカメラのボディ1の表面に部分的に被覆される硬質装飾被膜として窒化チタン被膜を用いた例で説明した。しかしながら、実施例1で説明したように、乾式メッキ法で被覆される金色の硬質装飾被膜として、周期律表の4a、5a、6a族元素の窒化物、炭化物、酸化物、窒炭化物、窒炭酸化物を採用できる。
特に、実施例2で用いた炭化チタン被膜を、ビデオカメラのボディの表面に部分的に被覆することができる。すると、炭化チタン被膜が被覆された白色色調を呈する部分と、炭化チタン被膜が被覆されていないチタン、あるいはチタン合金の銀白色を呈する部分とを有するビデオカメラのボディを得る。
あるいは、実施例3で用いた硬質カーボン被膜を、部分的に被覆される硬質装飾被膜として採用しても良い。すると、硬質カーボン被膜が被覆された黒色色調を呈する部分と、硬質カーボン被膜が被覆されていないチタン、あるいはチタン合金の銀白色を呈する部分とを有するビデオカメラのボディを得る。
【0109】
(実施例5)
実施例1と同じ方法によって内部硬化層が形成された、チタン、あるいはチタン合金鋼からなる基材100であるライターのボディの表面に、金色色調の硬質装飾被膜が被覆される。さらに、金色の硬質装飾被膜の上に金合金被膜被膜が被覆される。この説明には図13が参照される。
図に示す通り、内部硬化層101が形成されたライターボディの表面に、乾式メッキ法の1つであるイオンプレティーング法によって、金色の硬質装飾被膜である窒化チタンから成るTiN被膜29が被覆される。TiN被膜29の上に、金合金被膜としての金−チタン合金被膜30が被覆される。
【0110】
以下、本実施例におけるTiN被膜29と金−チタン合金被膜30の形成方法を説明する。
まず、内部硬化層101が形成されたライターボディをイソプロピルアルコール等の有機溶剤で洗浄し、イオンプレティーング装置内に配置した。イオンプレティーング装置は、一般に使用されているものでかまわないので、その説明は図面を含めて省略する。
次いで、装置内を1.0×10-5Torrまで排気した後、不活性ガスであるアルゴンガスを3.0×10-3Torrまで導入した。次に、装置内部に備えられた熱電子フィラメントとプラズマ電極を駆動させて、アルゴンのプラズマを形成した。同時にライターボディに−50Vの電位を印加して、10分間ボンバードクリーニングを行った。
【0111】
そして、装置内部の備えられたプラズマ銃でプラズマを発生させた後、チタンを10分間蒸発させて、ライターボディの表面全体にTiN被膜29を0.5μmの膜厚で形成した。
次いで、チタンの蒸発と窒素ガスの導入を止め、装置内を1.0×10-5Torrまで排気した。次いで、装置内にアルゴンガスを1.0×10-3Torrまで導入してプラズマを発生させた後、金50原子%とチタン50原子%とからなる金−チタン混合物を蒸発させ、金−チタン合金被膜30を形成した。そして、金−チタン合金被膜30の厚みが0.3μmになったところで金−チタン混合物の蒸発を止めた。
【0112】
このようにして得られライターボディは、均一な金色色調を呈した。これにより、ライターボディの装飾的な価値を高めることができた。また、最外層被膜に金−チタン合金被膜30を被覆したことにより、TiN被膜29よりさらに暖かみのある金色色調を呈するライターボディを得た。これにより、ライターボディの美観をさらに高めることができた。
【0113】
一般的に金合金被膜自体は、10μmを越える厚い膜厚でなければ、有効な耐摩耗性、耐食性、あるいは耐擦傷性を得ることができない。金は、非常に高価な金属である。よって、かかる金合金被膜を厚く被覆することは、被膜のコストを大幅に高くしてしまう。しかしながら、本実施例においては、金合金被膜からなる最外層被膜の下に、硬質なTiN被膜を設けた。TiN被膜が、優れた耐摩耗性、耐食性、耐擦傷性を備えるため、金合金被膜からなる最外層被膜は薄くても良い。これにより、高価な金の使用量が減るため、被膜のコストを安価にすることができるという利点がある。
【0114】
また、薄く被覆された金合金被膜からなる最外層被膜が部分的に摩耗して、その下のTiN被膜が露見する可能性があるが、いかなる局部的な最外層被膜の摩耗も決して目立つことはない。なぜならば、TiN被膜は、金と同じような光学的特性を備え、金色色調を有するからである。金色色調の金合金被膜からなる最外層被膜が摩耗した部分の下から、同じ金色色調のTiN被膜が現れる。
従って、金合金被膜からなる最外層被膜を薄くしても、その摩耗が視認されないので、美観と装飾的価値を維持することができる。
【0115】
また、本実例では、硬質装飾被膜として窒化チタン被膜を用いたが、この他に乾式メッキ法で被覆される金色の硬質装飾被膜として、周期律表の4a、5a、6a族元素の窒化物、炭化物、酸化物、窒炭化物、窒炭酸化物を採用することができる。
また、金合金被膜として、上記した金−チタン合金層以外にも、Al、Si、V、Cr、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ge、Y、Zr、Nb、Mo、Ru、Rh、Pd、Ag、Cd、In、Sn、Hf、Ta、W、Ir、Ptから選ばれた少なくとも1つと金との合金を形成させることができる。
【0116】
しかしながら、上記の組み合わせから選ばれるいくつかの金合金被膜を被覆したライターボディが皮膚に接触すると、汗などの電解溶液により金属イオンが溶出する。すると、ライターボディが接触する皮膚に金属アレルギーを引き起こす可能性がある。
特に、溶出されるニッケルイオンは、金属アレルギーの症例が最も多い金属イオンとして知られている。逆に、鉄は、金属アレルギーの症例が極めて少ない金属である。チタンに関する金属アレルギーの症例は、未だ報告されていない。
よって、金属アレルギーを考慮するならば、最外層被膜に用いる金合金被膜としては、金−鉄合金、あるいは金−チタン合金が好ましい。
【0117】
(実施例6)
さらに、実施例4に記載した、基材の表面に部分的に被覆された金色色調の硬質装飾被膜の上のみに、実施例5に記載した金合金被膜を被覆しても良い。この例を図14と15に示す。
【0118】
以下、金色色調の硬質装飾被膜として窒化チタンから成るTiN被膜31、および金合金被膜として金−チタン合金被膜32を部分的に形成する方法について簡単に説明する。
内部硬化層101が形成された基材100であるパソコンの本体ボディの表面の所望の部分に、エポキシ系樹脂から成る有機マスク剤、あるいはマスキングインクを印刷して、マスキング層33を形成した。次に、マスキング層33を形成したパソコン本体ボディ1をイソプロピルアルコール等の有機溶剤で洗浄し、イオンプレティーング装置内に配置した。
【0119】
次に、乾式メッキ法の1つであるイオンプレティーング法を用いて、パソコン本体ボディの内部硬化層101の表面、およびマスキング層33の表面にTiN被膜31、31aを0.5μmの膜厚で形成した。次いで、TiN被膜31、31aの上に金−チタン合金被膜32、32aを0.3μmの膜厚で形成した。
【0120】
次に、エチルメチルケトン(EMK)、あるいはエチルメチルケトン(EMK)に蟻酸および過酸化水素を添加した剥離溶液に侵漬し、よってマスキング層33を膨潤させ、リフトオフ法により、マスキング層33およびその上に積層されたTiN被膜31a、および金−チタン合金被膜32aを剥離した。
よって、 TiN被膜31と金−チタン合金被膜32が被覆された金色色調を呈する部分と、それらがの被膜が被覆されていないチタン、あるいはチタン合金鋼銀白色を呈する部分とを有するパソコン本体ボディを得た。
【0121】
本実施例においても、実施例5に記載したように、窒化チタン被膜以外の様々な硬質装飾被膜を採用できる。また、金−チタン合金層以外にも、様々な金合金層を採用できる。
【0122】
(実施例7)
実施例1と同じ方法によって内部硬化層が形成された基材の表面に、第1の硬質装飾被膜が被覆される。さらに、第1の硬質装飾被膜の表面に一部分に、第1の硬質装飾被膜とは異なる色調の第2の硬質装飾被膜が被覆される。この説明には図16から18が参照される。
【0123】
図16に示すように、実施例1と同じ方法によって、内部硬化層101が形成された基材100である腕時計のケースの表面に、第1の硬質装飾被膜である金色色調の窒化チタンから成るTiN被膜23を被覆した。TiN被膜23の表面の所望の部分に、エポキシ系樹脂から成る有機マスク剤、あるいはマスキングインクを印刷するなどして、マスキング層33を形成した。
【0124】
次いで、図17に示すように、実施例2と同じ方法によって、TiN被膜23の表面に、第2の硬質装飾被膜である白色色調の炭化チタンから成るTiC被膜34を、マスキング層33の表面に同じくTiC被膜34aを被覆した。
【0125】
次いで、基材100を剥離溶液に侵漬し、よってマスキング層33を膨潤させ、リフトオフ法により、マスキング層33およびその上に積層されたTiC被膜34aを剥離した。
よって、図18に示すように、金色のTiN被膜23の表面の一部分に、白色のTiC被膜34が積層された。このようにして、TiN被膜23に被覆された金色色調を呈する部分と、TiC被膜34が被覆された白色を呈する部分とを有する腕時計のケースを得た。
これにより、腕時計のケースの装飾的価値をさらに高めることができた。また、内部硬化層101より硬質な被膜23と34を被覆することにより、表面硬化処理を施した腕時計のケースが、さらに傷つきにくくなった。
【0126】
本実施例における硬質装飾被膜として、実施例5に記載したように、窒化チタンや炭化チタン被膜以外の様々な硬質装飾被膜を採用できる。あるいは、第1の硬質装飾被膜と第2の硬質装飾被膜のいずれかを、実施例3に記載した炭素硬質装飾被膜とすることができる。また、それらの被膜の種類に合わせて、マスキング層13と剥離溶液の種類は適宜選択できる。
【0127】
また、周期律表の4a、5a、6a族元素をMで表わし、Mの窒化物をMNxで表わしたとき、第1の硬質装飾被膜と第2の硬質装飾被膜を共にMNx被膜とすることもできる。この場合、第1の硬質装飾被膜における窒化度を示すxの値と、第2の硬質装飾被膜におけるxの値が異なるように被覆すれば、第1の硬質装飾被膜と第2の硬質装飾被膜の色調が異なるように被覆できる。炭化物、酸化物、窒炭化物、窒炭酸化物についても同様である。
【0128】
(実施例8)
実施例1と同じ方法によって内部硬化層が形成された基材の表面の一部分に、第1の硬質装飾被膜が被覆される。さらに、基材の表面の他の一部分に、第1の硬質装飾被膜とは異なる色調の第2の硬質装飾被膜が被覆される。この説明には図19から21が参照される。
【0129】
図19に示すように、実施例4と同じ方法によって、内部硬化層101が形成された基材100である腕時計のバンドの駒の表面の一部分に、第1の硬質装飾被膜である金色色調の窒化チタンから成るTiN被膜27を被覆した。TiN被膜27の表面、およびそれと連続する駒1の表面の所望の一部分に、マスキング層35を形成した。
【0130】
次いで、図20に示すように、実施例2と同じ方法によって、TiN被膜27、マスキング層35、および残された駒の表面に、第2の硬質装飾被膜である白色色調の炭化チタンから成るTiC被膜36をを被覆した。
【0131】
次いで、基材100を剥離溶液に侵漬し、マスキング層35を膨潤させ、リフトオフ法により、マスキング層35およびその上に積層されたTiC被膜36を剥離した。
よって、図21に示すように、TiN被膜27に被覆された金色色調を呈する部分と、TiC被膜36が被覆された白色を呈する部分と、駒1の表面が露出した部分とを有する3色のバンドの駒を得た。これにより、バンドの装飾的価値をさらに高めることができた。
【0132】
第1の硬質装飾被膜と第2の硬質装飾被膜の選択肢、あるいは剥離溶液やマスキング層の選択肢は、実施例7の記載に準ずる。また、第1の硬質装飾被膜と第2の硬質装飾被膜のいずれか、あるいは双方の上に、実施例5に記載した金合金被膜被膜を被覆しても良い。
【0133】
なお、上記の実施例2、および4から8では乾式メッキ法としてイオンプレティーング法を用いたが、スパッタリング法や真空蒸着法などの公知の被覆手段を用いることができる。
また、実施例2から8でできた基材も、実施例1でできた基材と同様に、被膜表面に強い力が加わっても、基材表面に凹凸ができにくくなると共に、被膜の剥がれも無くなった。
【0134】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明によれば、発明の目的は、被膜表面に強い力が加わっも装飾被膜にキズが入らないことはもとより、基材表面に凹凸ができないようにするともに、被膜の剥がれを極力少なくすることのできる、装飾被硬質膜を有する基材とその製造方法を提供できる。
また、長期間使用しても表面を美しく保つ事の出来る優れた外観品質を有するチタンまたはチタン合金の基材からなる硬質被膜を有する基材とその製造方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明における表面硬化処理した被処理部材のビッカース硬度を測定した結果を示す図である。
【図2】本発明の第1の実施形態及び第2の実施形態におけるチタン、あるいはチタン合金製の基材の構造を示す模式図である。
【図3】本発明における実施形態において使用した表面処理装置の概要を示す模式図である。
【図4】本発明の第1の実施形態における基材の表面からの深さに対する窒素含有および酸素含有量を測定した結果を示す図である。
【図5】本発明の第2の実施形態における基材の表面からの深さに対する窒素含有量および酸素含有量を測定した結果を示す図である。
【図6】本発明の実施例1におけるカメラボディの構造を示す模式図である。
【図7】本発明の実施例2における携帯電話ボディの構造を示す模式図である。
【図8】本発明の実施例3における携帯ラジオボディの構造を示す模式図である。
【図9】本発明の実施例3における携帯ラジオボディの構造を示す模式図である。
【図10】本発明の実施例4におけるビデオカメラボディの表面処理工程を示す模式図である。
【図11】本発明の実施例4におけるビデオカメラボディの表面処理工程を示す模式図である。
【図12】本発明の実施例4におけるビデオカメラボディの構造を示す模式図である。
【図13】本発明の実施例5におけるライターボディの構造を示す模式図である。
【図14】本発明の実施例6におけるパソコン本体ボディの表面処理工程を示す模式図である。
【図15】本発明の実施例6におけるパソコン本体ボディの構造を示す模式図である。
【図16】本発明の実施例7における腕時計のケースの表面処理工程を示す模式図である。
【図17】本発明の実施例7における腕時計のケースの表面処理工程を示す模式図である。
【図18】本発明の実施例7における腕時計のケースの構造を示す模式図である。
【図19】本発明の実施例8における腕時計のバンドの駒の表面処理工程を示す模式図である。
【図20】本発明の実施例8における腕時計のケースバンドの駒の表面処理工程を示す模式図である。
【図21】本発明の実施例8における腕時計のケースバンドの駒の構造を示す模式図である。
【符号の説明】
1 真空槽
3 ヒ−タ−
4 ガス導入管
5 ガス排気管
6 ガス導入弁
7 真空ポンプ
8 電磁弁
9 大気解放管
10 ベント弁
23 TiN被膜
24 TiC被膜
25 硬質カーボン被膜
26 中間層
27 TiN被膜
28 マスキング層
29 TiN被膜
30 金−チタン合金被膜
31 TiN被膜
32 金−チタン合金被膜
33 マスキング層
34 TiC被膜
35 マスキング層
36 TiC被膜
100 基材
101 内部硬化層
102 第1の硬化層
103 第2の硬化層
104 窒素
105 酸素

Claims (6)

  1. 表面に硬質装飾被膜を有する基材において、前記基材はチタンまたはチタン合金からなり、前記基材は、表面から内部に向かって任意の深さに形成された窒素及び酸素を固溶する第1の硬化層と、該第1の硬化層より内部に向かって任意の深さに形成された第2の硬化層とからなる内部硬化層と、該内部硬化層の表面に被覆形成された硬質装飾被膜とを有し、前記硬質装飾被膜は、硬質カーボン被膜であり、前記基材に形成された前記内部硬化層と前記硬質装飾被膜との間には、クロムまたはチタンを主体とする下層と、シリコンまたはゲルマニウムを主体とする上層とからなる2層構造の中間層を有することを特徴とする硬質装飾被膜を有する基材。
  2. 表面に硬質装飾被膜を有する基材において、前記基材はチタンまたはチタン合金からなり、前記基材は、表面から内部に向かって任意の深さに形成された窒素及び酸素を固溶する第1の硬化層と、該第1の硬化層より内部に向かって任意の深さに形成された第2の硬化層とからなる内部硬化層と、該内部硬化層の表面に被覆形成された硬質装飾被膜とを有し、前記硬質装飾被膜は、硬質カーボン被膜であり、前記基材に形成された内部硬化層と前記硬質装飾被膜との間には、チタンを主体とする下層と、タングステン、炭化タングステン、炭化珪素、および炭化チタンのうちのいずれかを主体とする上層との2層構造の中間層を有することを特徴とする硬質装飾被膜を有する基材。
  3. 前記内部硬化層は、第1の硬化層に、0.6〜8.0W%の窒素と1.0〜14.0W%の酸素とを固溶し、第2の硬化層に、0.5〜14.0W%の酸素を固溶していることを特徴とする請求項1または2に記載の硬質装飾被膜を有する基材。
  4. 前記基材に形成された内部硬化層は、第1の硬化層が、表面から内部に向かって約1μmの範囲に形成され、前記第2の硬化層が、前記第1の硬化よりも深く、表面から内部に向かって約20μmの範囲に形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の硬質装飾被膜を有する基材。
  5. 前記硬質装飾被膜は、0.1〜3.0μmの範囲に形成されていること特徴とする請求項1または2に記載の硬質装飾被膜を有する基材。
  6. 前記硬質装飾被膜を有する基材は、カメラボディ、携帯電話ボディ、携帯ラジオボディ、ビデオカメラボディ、ライターボディ、パソコン本体ボディの中の1つであるこを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の硬質装飾被膜を有する基材。
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