JP4664002B2 - マルチサイクロン式集塵装置及び粉塵の分離方法 - Google Patents
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Description
サイクロン式集塵装置の原理を図1を用いて説明する。サイクロン内の気体は、通常、図1中の矢印のように流れる。すなわち、気体導入管11から流入した粉塵を含む気体は、内筒4の外周と外筒3の内周の間のサイクロン気体入口2の部分で螺旋状の羽根5により旋回しながら下降し、その後、サイクロンの外筒3の下部のある点で反転し、サイクロン内筒4を通って内筒のサイクロン気体出口6から装置外へ流出する。粉塵を含む気体が旋回しながら下降する際、粉塵は遠心分離されサイクロン粉塵出口7からサイクロンの外に出され、ホッパ12に貯められる。
しかし、サイクロン式集塵装置の使用目的によっては、装置内に導入する気体流量を一定に保つのが困難な場合も多く、変化する気体流量に対応してサイクロン内の気体流量を一定に保ち、サイクロン式集塵装置の捕集率を一定に保つのは困難であった。
例えば、マルチサイクロン式集塵装置において、本体内部を仕切部材にて2個のサイクロン室に仕切り、各サイクロン室に連通する気体入口流路の少なくとも一方にこれを開閉するダンパを設けることにより、サイクロン内の気体流量を一定に保つ機構が開示されているが(例えば、特許文献1参照。)、このような方法は気体の流量変動が所定の比率に常に定まっている場合はよいが、変動比率が様々に変わる場合は、それに対応できず、したがってサイクロン内部の厳密な流量制御は困難であった。
(1)本体の内部に設置された多数のサイクロン内で気体を旋回せしめることにより気体中に含まれる粉塵を分離するマルチサイクロンのうち、本体内部の気体入口側の外壁部に近い位置にあるサイクロンのみに気体出口部に開閉ダンパを設けることを特徴とするマルチサイクロン式集塵装置。
(2)本体の内部に設置された多数のサイクロン内で気体を旋回せしめることにより気体中に含まれる粉塵を分離するマルチサイクロンのうち、本体内部の気体入口側の外壁部に近い位置にあるサイクロンのみに気体入口部に開閉ダンパを設けることを特徴とするマルチサイクロン式集塵装置。
(4)サイクロンで分離した粉塵の出口部に開閉ダンパを設けることを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれかに記載のマルチサイクロン式集塵装置。
(5)本体の内部に設置された多数のサイクロン内で気体を旋回せしめることにより気体中に含まれる粉塵を分離するマルチサイクロン式集塵装置を用いた気体中に含まれる粉塵の分離方法であって、上記(1)〜(4)のいずれかに記載のマルチサイクロン式集塵装置を用い、所定のサイクロンの開閉ダンパを風量に応じて開閉することにより、ダンパを開いているサイクロンの粉塵の捕集率変動や圧力損失の変動を低減することを特徴とするマルチサイクロン式集塵装置を用いた気体中に含まれる粉塵の分離方法。
多数のサイクロンとは、サイクロンが2本以上設けられたマルチサイクロン構造であることを意味し、より好ましくは、サイクロンの本数を5本〜100本の範囲内とすることにより捕集率が高く、また捕集率の変動や圧力損失の変動を効率良く制御可能なマルチサイクロン式集塵装置とすることができる。
図1では、サイクロン気体出口6に開閉ダンパを設け、ダンパを閉じることにより、サイクロンに流入する気体を抑える場合である。この装置において気体の入口2は開となっていても、気体出口6が塞がれていれば集塵効果が得られる。
図3は本発明の別の態様を示すもので、気体入口2のところに開閉ダンパ9を設けた構造である。このダンパは図に示すように上下動させることによって気体入口の開閉を行うことができる。
本発明において、サイクロンにダンパを設ける場合、その開閉機構が必要であり、それが集塵装置本体の気体の流れる部分に設けられる場合がある。そのため、これらの開閉機構により集塵装置内の気体の流れが乱されることがある場合も考えられる。
本発明のマルチサイクロン式集塵装置において、開閉ダンパを設けたサイクロンを、本体内部の気体入口側の外壁部に近い位置に設置することにより、集塵装置内の気体流をなるべく乱さない構造とすることができる。
図2は、図1で例示した本発明のマルチサイクロン式集塵装置の内部の断面模式図で、開閉ダンパを設置するのに適したサイクロンの位置を示した例である。図2中で開閉ダンパを設置するのに最も適したサイクロンの位置を黒丸で示し、次に適したサイクロンの位置を二重丸で示している。黒丸のサイクロンの位置は気体の入口側で外壁に近いところである。
(実施例1)
図1に示すようなサイクロンの外筒3の内径が240mm、サイクロン内筒4の内径が120mmであるサイクロンを16本有するマルチサイクロン式集塵装置を用いた。このマルチサイクロン式集塵装置では図2の黒丸および二重丸の、10本のサイクロンの、サイクロン気体出口およびサイクロン粉塵出口に開閉ダンパが設けられている。
このマルチサイクロン式集塵装置の、図2中黒丸の位置の開閉ダンパを全て閉じた状態で、120m3/分の流量で、1m3当たり平均粒径50μmのアルミナ粉を5g含む空気を流した。この条件下での有効(ダンパが開)なサイクロン1本当たりに流れる粉塵を含む空気の流量は約10m3/分となり、アルミナ粉の捕集率は95%であった。
実施例1において、空気の流量を160m3/分とした以外は、実施例1と同様の条件で粉塵の捕集を行った。この条件下での有効なサイクロンに1本当たりに流れる粉塵を含む空気の流量は約13m3/分となり、アルミナ粉の捕集率は96%に高まったが、サイクロン前後の圧力損失が実施例1の約1.7倍となり排風ブロワーが過負荷状態となった。またサイクロン内壁の摩耗速度が実施例1の約1.7倍となった。
比較例1において、全ての開閉ダンパを開いた以外は、比較例1と同様の条件で粉塵の捕集を行った。この条件下での有効なサイクロンに1本当たりに流れる粉塵を含む空気の流量は約10m3/分となり、サイクロン前後の圧力損失は実施例1と同じになった。また、アルミナ粉の捕集率は95%であった。
実施例1において、空気の流量を60m3/分とした以外は、実施例1と同様の条件で粉塵の捕集を行った。この条件下での有効なサイクロンに1本当たりに流れる粉塵を含む空気の流量は約5m3/分となり、アルミナ粉の捕集率は50%であった。
比較例2において、全ての開閉ダンパを閉じた以外は、比較例2と同様の条件で粉塵の捕集を行った。この条件下での有効なサイクロンに1本当たりに流れる粉塵を含む空気の流量は約10m3/分となり、アルミナ粉の捕集率は95%に回復した。
2 サイクロン気体入口
3 サイクロン外筒
4 サイクロン内筒
5 螺旋状の羽根
6 サイクロンの気体出口
61 軸支点
62 ピストンシリンダー機構
7 サイクロン粉塵出口
8 開閉ダンパ
9 開閉ダンパ
10 開閉ダンパ
11 気体導入管
12 ホッパー
Claims (5)
- 本体の内部に設置された多数のサイクロン内で気体を旋回せしめることにより気体中に含まれる粉塵を分離するマルチサイクロン式集塵装置において、各サイクロンのうち、本体内部の気体入口側の外壁部に近い位置にあるサイクロンのみに気体出口部に開閉ダンパを設けることを特徴とするマルチサイクロン式集塵装置。
- 本体の内部に設置された多数のサイクロン内で気体を旋回せしめることにより気体中に含まれる粉塵を分離するマルチサイクロン式集塵装置において、各サイクロンのうち、本体内部の気体入口側の外壁部に近い位置にあるサイクロンのみに気体入口部に開閉ダンパを設けることを特徴とするマルチサイクロン式集塵装置。
- 本体の内部に設置された多数のサイクロン内で気体を旋回せしめることにより気体中に含まれる粉塵を分離するマルチサイクロン式集塵装置において、各サイクロンのうち、本体内部の気体入口側の外壁部に近い位置にあるサイクロンのみに気体出口部及び気体入口部に開閉ダンパを設けることを特徴とするマルチサイクロン式集塵装置。
- サイクロンで分離した粉塵の出口部に開閉ダンパを設けることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のマルチサイクロン式集塵装置。
- 本体の内部に設置された多数のサイクロン内で気体を旋回せしめることにより気体中に含まれる粉塵を分離するマルチサイクロン式集塵装置を用いた気体中に含まれる粉塵の分離方法であって、上記請求項1〜4のいずれか1項に記載のマルチサイクロン式集塵装置を用い、所定のサイクロンの開閉ダンパを風量に応じて開閉することにより、ダンパを開いているサイクロンの粉塵の捕集率変動や圧力損失の変動を低減することを特徴とするマルチサイクロン式集塵装置を用いた気体中に含まれる粉塵の分離方法。
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