JP4662484B2 - 土留め擁壁構造の選定方法、土留め擁壁の構築方法、及び土留め擁壁 - Google Patents
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例えば、図14に示した土留め擁壁1Cは、柱材として高さ全体が円筒状をなす全体円筒状柱材4Cを用いた場合のものであり、それ自体としては従来構造であると同時に、後述する本発明の土留め擁壁構造の選定方法の第3選択肢に相当するものであるが、土留め擁壁を構築すべき法面2を適宜掘削した後、波付鋼板パネルからなる全体円筒状柱材4Cを法面幅方向(図14で紙面と直交する方向)に間隔をあけて設置し、隣接する全体円筒状柱材4C間にエキスパンドメタル等による壁面材7を掛け渡し、全体円筒状柱材4C内にコンクリート5を打設して円柱体6Cを構成し、次いで、前記壁面材7及び円柱体6Cと法面との間の隙間に土砂8を裏込めしてなる土留め擁壁である(特許文献1)。図14において、10はアンカーである。図15は法面2の掘削状況を平面図(同図(イ))、及び断面図(同図(ロ))で示したもので、図示例では概ね全体円筒状柱材4Cの設置予定箇所のみを掘削している。掘削部を33で示す。33aは掘削部33の底面部、33bは掘削部33の傾斜面部である。4Ccは全体円筒状柱材4Cの下端面を示す。
特に、この種の土留め擁壁は、民家裏の法面の保護のために施工する場合が多いが、そのような場合には、民家裏のスペースが狭くて大型の重機を搬入できない場合が多いが、このような場合に特に有効である。図14で30は保全対象の民家を示す。
特に、土留め擁壁を構築すべき法面2の地盤が、図15(ロ)に示すように、柔らかい表層地盤2aが厚く、固い岩盤2bがある程度深い位置にある場合(岩盤ラインを1点鎖線mで示す)は、全体が円筒状である上記従来の全体円筒状柱材4Cを用いても、それを設置するために必要な固い岩盤の掘削量はないか又は少なく済むので、地盤掘削にあまり困難はないが、岩盤が浅い位置にある場合は、全体円筒状柱材4Cを設置するために固い岩盤を多量に掘削しなければならず、地盤掘削が困難であり、コストと工期がかかる。
土留め擁壁を構築すべき法面2の地盤が図14のような場合には、同図に示した土留め擁壁構造(土留め擁壁1C)が適切であるが、法面地盤の性状、特に固い岩盤の態様によっては、同図の土留め擁壁構造が必ずしも最適でないことも考えられる。
土留め擁壁を構築すべき法面の地盤を調査し、
(1)法面地盤が、固い岩盤の上に柔らかい表層地盤を殆ど有さない第1パターンの地盤である場合は、前記柱材として、断面H形の鋼材であるH形鋼柱材を用い、
(2)それ以外の場合は、柱材として内部に中詰め材を充填可能な中空柱材を用い、この中空柱材を民家などの保全対象との間に重機を用いた施工はできないが人手による施工はできる程度のスペースが確保される位置に、かつ、法面側に所定角度で傾斜させて設置するとともに、
(2−1)法面地盤が、固い岩盤の上に柔らかい表層地盤を有するとともに、前記柔らかい表層地盤が、上部では設置しようとする中空柱材が固い岩盤と概ね干渉しない程度に厚く、下部では中空柱材が固い岩盤と干渉する程度に薄い第2パターンの地盤である場合は、前記中空柱材として、筒状体の下部背面側を切り欠いた下部背面切欠きの筒状柱材を用い、
(2−2)法面地盤が、固い岩盤の上に柔らかい表層地盤を有するとともに、前記柔らかい表層地盤が柱材高さ全体に亘って、設置しようとする中空柱材が固い岩盤と概ね干渉しない程度に厚い第3パターンの地盤である場合は、前記中空柱材として、全体が筒体である全体筒状柱材を用いることを特徴とする。
土留め擁壁を構築すべき法面の地盤を調査した結果、当該法面に、請求項1記載の土留め擁壁構造の選定方法におけるH形鋼柱材を用いる第1パターンの地盤と、下部背面切欠きの筒状柱材を用いる第2パターンの地盤と、全体筒状柱材を用いる第3パターンの地盤との3つのパターンのうちの少なくとも2つのパターンの地盤が混在している場合に、
当該法面における地盤のパターン毎にそれに対応する柱材を用いることで、2種以上の異なる土留め擁壁構造を混在させることを特徴とする。
土留め擁壁を構築すべき法面に、請求項1記載の土留め擁壁構造の選定方法におけるH形鋼柱材を用いる第1パターンの地盤と、下部背面切欠きの筒状柱材を用いる第2パターンの地盤と、全体筒状柱材を用いる第3パターンの地盤との3つのパターンのうちの少なくとも2つのパターンの地盤が混在しているとともに、
当該法面における地盤のパターン毎にそれに対応する柱材を用いることで、2種以上の異なる土留め擁壁構造を混在させたことを特徴とする。
すなわち、法面地盤が、固い岩盤の上に柔らかい表層地盤を殆ど有さない第1パターンの地盤である場合は、固い岩盤を掘削せずにH形鋼柱材を設置した構造であっても、構築した土留め擁壁の強度を確保できる。
それ以外の場合には、内部に中詰め材を充填可能な中空柱材を用いるが、法面地盤が、固い岩盤の上に柔らかい表層地盤を有するとともに前記柔らかい表層地盤が上部では、設置しようとする中空柱材と概ね干渉しない程度に厚く下部では中空柱材と干渉する程度に薄い第2パターンの地盤である場合は、上部が円筒体で下部が背面側に欠けた半円筒体である下部背面切欠きの筒状柱材を設置することで、下部背面切欠き部に対応する下部の固い岩盤の掘削をせずに残すことができる。この場合、掘削せずに残した部分が岩盤部分なので、下部背面を切り欠いた筒状柱材であっても、強度が低下する恐れはなく、土留め擁壁の強度を損なわない。
また、法面地盤が、固い岩盤の上に柔らかい表層地盤を有するとともに前記柔らかい表層地盤が柱材高さ全体に亘って、設置しようとする中空柱材と概ね干渉しない程度に厚い第3パターンの地盤である場合は、全体が円筒体である全体筒状柱材を設置しても、固い岩盤を掘削する必要が生じないか又は若干の掘削で済む。
上記のように、法面地盤の性状に応じて固い岩盤を必要以上に掘削せず済ませることができ、固い岩盤を掘削する困難さが軽減され、コスト低減と工期短縮を図ることができる。
また、下段の半円筒体の形状(背面開口の程度)を比較的自在に変更することができるので、容易に施工現場に最適な半円筒体形状とすることができる。
(1)法面地盤が、図17(イ)に示すように、固い岩盤2bの上に柔らかい表層地盤2aを殆ど有さない第1パターンの地盤である場合は、前記柱材4として、断面H形の鋼材であるH形鋼柱材4Aを用いる土留め擁壁構造を採用する。
(2)それ以外の場合は、柱材として内部に中詰め材を充填可能な中空柱材を用い、この中空柱材を民家などの保全対象との間に重機を用いた施工はできないが人手による施工はできる程度のスペースが確保される位置に、かつ、法面側に所定角度で傾斜させて設置するが、次の2つの選択肢の何れかを選定する。すなわち、
(2−1)法面地盤が、図17(ロ)に示すように、固い岩盤2bの上に柔らかい表層地盤2aを有するとともに、前記柔らかい表層地盤2aが、上部では設置しようとする中空柱材が固い岩盤と概ね干渉しない程度に厚く(厚みt2)、下部では中空柱材が固い岩盤と干渉する程度に薄い(厚みt2’)第2パターンの地盤である場合は、前記中空柱材として、下部背面切欠きの筒状柱材、例えば実施例のように上部が円筒体4Baで下部が背面側に欠けた半円筒体4Bbである下部背面切欠きの円筒状柱材4Bを用いる土留め擁壁構造を選定する。
(2−2)法面地盤が、図17(ハ)に示すように、固い岩盤2bの上に柔らかい表層地盤2aを有するとともに、前記柔らかい表層地盤2aが柱材高さHの全体に亘って、設置しようとする中空柱材が固い岩盤と概ね干渉しない程度に厚い(厚みt3)第3パターンの地盤である場合は、前記中空柱材として、全体が筒体である全体筒状柱材、例えば全体が円筒体である全体円筒状柱材4Cを用いる土留め擁壁構造を選定する。
なお、上記の(1)の土留め擁壁構造1Aを選定する場合を第1選択肢、(2−1)の土留め擁壁構造1Bを選定する場合を第2選択肢、(2−2)の土留め擁壁構造1Cを選定する場合を第3選択肢と呼ぶ。
なお、柱材を間隔をあけて設置し柱材間に壁面材を掛け渡し法面との間に土砂を裏込めする土留め擁壁構築工法は、重機なしで施工できるので、民家裏などのように重機が入るスペースがない場合(図17(イ)、(ロ)、(ハ)に記載の寸法Lは重機が入れない距離である)に特に有効であるが、第1選択肢を選定する場合にはさらにスペースが狭くても作業可能である。
すなわち、全体円筒状柱材4Cを設置しようとすればその下部に固い地盤2bが僅かに干渉する程度であれば、全体円筒状柱材4Cを設置する第3選択肢を採用してもよいし、また、下部背面切欠きの円筒状柱材4Bを設置する第2選択肢を採用してもよい。
また、法面地盤が第2パターンの地盤である場合のなかには、下部において固い岩盤2bが露出している場合も含む。
図1は土留め擁壁1Bの平面図、図2は同正面図、図3は図2のA−A断面図(ただし、埋め戻し土砂の図示を一部省略)である。
この土留め擁壁1Bは、柱材として内部に中詰め材を充填可能な中空柱材を用いるものであり、かつ、法面地盤が、図3にも示すように、固い岩盤2bの上に柔らかい表層地盤2aを有するとともに、前記柔らかい表層地盤2aが、上部では設置しようとする中空柱材が固い岩盤と概ね干渉しない程度に厚く、下部では中空柱材が固い岩盤と干渉する程度に薄い第2パターンの地盤である場合に施工されるものであり、そして、前記中空柱材として、上部が円筒体4Baで下部が背面側に欠けた半円筒体4Bbである下部背面切欠きの円筒状柱材4Bを用いる。
半透過材18としては、図9に示すように、半円筒体4Bbの背面開口形状に合わせた例えばフラットバーによる矩形フレーム18dにエキスパンドメタル18aを溶接固定した半透過材18Aを用いることができる。
また、図10に示すように、矩形フレーム18dに溶接金網18bを溶接固定した半透過材18Bを用いることができる。
また、図11に示すように、矩形フレーム18dにフラットバー18cを格子状に溶接固定した半透過材18Cを用いることができる。
また、図12(イ)に示すように、直線タイプの波付鋼板パネル18eの両端に取り付け用の例えば山形鋼18fを取り付けた半透過材18Dを用いることができる。直線タイプの波付鋼板パネル18eの構造は、図12(ロ)、(ハ)、(ニ)に示す通りであり、図7の円弧状の波付鋼板パネル9を直線状にしたものに相当する。
また、取付けプレート16は、波付鋼板パネル9を製作する際に、あらかじめ、コルゲートシート9aの片端部にプレート9cの替わりに溶接しておけば、現地で取付けプレート16を挟み込む作業も省けるし、部材も省略できる。
円筒状柱材設置箇所の掘削については、図8(ロ)に示すように、円筒状柱材4Bの下部の切り欠かれた部分に対応する地盤部分を掘削せずに残す。掘削部を3で示す。掘削せずに残した段差状の部分(段差部)を3bで示す。3aは掘削部3の底面部、3cは段差部3bより上方の傾斜面部、3b’は段差部3bの下側傾斜面部を示す。図8(イ)で円筒状柱材4Bの下端面(半円筒体の下端面)を4Bcで示す。
なお、この実施例では円筒状柱材4Bを傾斜させて設置するので、図示の通り、傾斜した掘削壁面となるように掘削する。
円筒状柱材4Bを組み立てる要領は前述した通りであるが、図5に示すように1枚の波付鋼板パネル9とその両側の半分サイズの2枚の波付鋼板パネル9とを円周方向に連結して半円状に形成した半円筒体4Bbを縦方向に2段に連結し、その上に、図4に示すように、4枚の波付鋼板パネル9を円周方向に連結して形成した円筒体4Baを縦方向に4段に連結して、掘削部3に下部背面切欠きの円筒状柱材4Bを設置する。
その後若しくはコンクリート打設前に、壁面材7の両端の耳板14を左右の円筒状柱材4Bの取付プレート16にボルトで連結する。この作業を円筒状柱材4Bの円筒体4Ba及び半円筒体4Bbの各段それぞれについて行う。図示例の壁面材7は、エキスパンドメタル12の下縁部にフラットバー13を取り付けていないが、その部分は下段の壁面材7の上縁部のフラットバー13の内側に収まる。
特に図示例のように法面2の下部が急勾配でかつ岩盤2bが浅い位置にある場合(岩盤ラインを1点鎖線mで示す)には、掘削の困難な岩盤部分の掘削量が少なく済むので、地盤掘削の困難さが軽減され、コスト低減と工期短縮を図ることができる。この場合、掘削せずに残した部分が岩盤部分なので、下部背面を切り欠いた円筒状柱材4Bであっても、強度が低下する恐れはなく、土留め擁壁の強度を損なわない。
また、実施例ではアンカー10を、円筒体4Baからだけでなく半円筒体4Bbからも設置しているので、この円筒状柱材4B内にコンクリート5を打設してなる円柱体6Bを堅固に岩盤2bに連結することができる。
また、実施例では、半円筒体4Bbの背面開口に、エキスパンドメタルや溶接金網等による半透過材18を設けているので、円筒状柱材4Bにコンクリートを打設した時、コンクリートが半透過材18から背面側(法面側)に漏出して、背面側の法面との間の隙間をコンクリートで埋めることができる。したがって、その部分の土砂の裏込めは一部不要となる。また、その漏出したコンクリートで円柱体6Bと岩盤2bとを結合させる作用を得ることも可能である。
図14は土留め擁壁1Cの断面図(ただし、埋め戻し土砂の図示を一部省略)であり、第2選択肢の場合の図3に相当する。
この土留め擁壁1Cは、第2選択肢の場合と同じく柱材として中空柱材を用いるものであるが、法面地盤が、図14にも示すように、固い岩盤2bの上に柔らかい表層地盤2aを有するとともに、前記柔らかい表層地盤2aが柱材高さHの全体に亘って、設置しようとする中空柱材が固い岩盤と概ね干渉しない程度に厚い第3パターンの地盤である場合に施工されるものであり、そして、前記中空柱材として、全体が円筒体である全体円筒状柱材4Cを用いる。
この実施例の全体円筒状柱材4Cは、図4に示した円筒体4Baと同様な構造の円筒体4Ca(すなわち4枚の波付鋼板パネル9を円周方向に連結して形成した円筒体)を柱材高さ全体に亘って縦方向に連結したもので、図示例は6段である。
図15は法面2の掘削状況を平面図(同図(イ))、及び断面図(同図(ロ))で示したもので、図示例では全体円筒状柱材4Cの設置予定箇所のみを掘削している。掘削部を33で示す。33aは掘削部33の底面部、33bは掘削部33の傾斜面部である。4Ccは全体円筒状柱材4Cの下端面を示す。地盤の掘削は、図14、図15の通り、全体円筒状柱材4Cの全体が収まるように掘削するが、柔らかい表層地盤2aが厚く固い岩盤2bが深い位置にあるので、固い岩盤2bの掘削量はないか僅かで済む。
図16は土留め擁壁1Aの断面図(ただし、埋め戻し土砂の図示を一部省略)であり、第2選択肢の場合の図3に相当する。
この土留め擁壁1Aは、法面地盤が、図16、図17(イ)に示すように、固い岩盤2bの上に柔らかい表層地盤2aを殆ど有さない場合(固い岩盤2bが概ね露出している場合)に施工されるものであり、柱材4としてH形鋼柱材4Aを用いる。
H形鋼柱材4Aは熱間圧延のH形鋼を用いるとよいが、溶接してH形断面にした溶接H形鋼を用いることもできる。
この第1選択肢の場合は、固い岩盤2bが露出しているので、基本的には固い岩盤の掘削を必要とせず、H形鋼柱材4Aを単に設置すればよいことになるが、実際の地盤では図16のような直線的な表面であることは殆どないので、適宜掘削する。
また、円筒体4Baや半円筒体4Bbを複数の円弧状セグメントで組み立てる場合に限らず、一体の円筒体あるいは半円筒体を用いることができる。
なお、下部背面切欠き部を形成する実施例の半円筒体4Bbは180°円弧状(丁度半円形)をなしているが、必ずしも180°円弧状に限らず、掘削せずに残す部分(段差部3b)の外形に応じて、適切な形状に設定するとよい。
第3選択肢の土留め擁壁1Cにおける全体円筒状柱材4Cの各円筒体4Caについても同様に、波付鋼板パネルに限らず、種々の鋼製セグメントを用いることができ、また、円筒体4Caを複数の円弧状セグメントで組み立てる場合に限らず、一体の円筒体を用いることができる。
壁面材7を円筒状柱材4B’に取り付ける手段としては、例えば、図13(イ)のように波付け円筒体4Ba’の波の谷の部分に締付けバンド21を配し、図13(ロ)に示すように、締付けバンド21の両端の締め付け部21aの間に取付プレート22を挟み込んで締め付けることで、取付プレート22を円筒状柱材4B’に取り付け、この取付プレート22に壁面材7を取り付けることができる。
また、下部背面切欠きの円筒状柱材の全体を一体樹脂成形したものも考えられる。
また、第3選択肢の土留め擁壁1Cにおける全体円筒状柱材4Cについても同様に、鋼製のものに限らず、プラスチック製のものを用いることができる。
2 法面
2a 柔らかい表層地盤
2b 固い岩盤
3、33 掘削部
3a、33a 底部
3b 段差部
3b’(段差部の)傾斜面部
3c、33b 傾斜面部
4 柱材
4A H形鋼柱材
4B 下部背面切欠きの円筒状柱材(下部背面切欠きの筒状柱材)
4C 全体円筒状柱材(全体筒状柱材)
4Ba、4Ca 円筒体
4Bb 半円筒体
5 コンクリート
6B、6C 円柱体(柱体)
7 壁面材
8 土砂(裏込め材)
9 波付鋼板パネル
10 アンカー
30 民家(保全対象)
Claims (5)
- 施工対象の法面と保全対象との間に重機を用いた施工はできないが人手による施工はできる程度のスペースが確保される場合に適用される土留め擁壁構造の選定方法であって、複数の柱材を法面幅方向に間隔をあけて設置し、隣接する柱材間に壁面材を掛け渡し、前記壁面材及び柱材と法面との間に裏込め材を裏込めして土留め擁壁を構築するに際して、
土留め擁壁を構築すべき法面の地盤を調査し、
(1)法面地盤が、固い岩盤の上に柔らかい表層地盤を殆ど有さない第1パターンの地盤である場合は、前記柱材として、断面H形の鋼材であるH形鋼柱材を用い、
(2)それ以外の場合は、柱材として内部に中詰め材を充填可能な中空柱材を用い、この中空柱材を民家などの保全対象との間に重機を用いた施工はできないが人手による施工はできる程度のスペースが確保される位置に、かつ、法面側に所定角度で傾斜させて設置するとともに、
(2−1)法面地盤が、固い岩盤の上に柔らかい表層地盤を有するとともに、前記柔らかい表層地盤が、上部では設置しようとする中空柱材が固い岩盤と概ね干渉しない程度に厚く、下部では中空柱材が固い岩盤と干渉する程度に薄い第2パターンの地盤である場合は、前記中空柱材として、筒状体の下部背面側を切り欠いた下部背面切欠きの筒状柱材を用い、
(2−2)法面地盤が、固い岩盤の上に柔らかい表層地盤を有するとともに、前記柔らかい表層地盤が柱材高さ全体に亘って、設置しようとする中空柱材が固い岩盤と概ね干渉しない程度に厚い第3パターンの地盤である場合は、前記中空柱材として、全体が筒体である全体筒状柱材を用いることを特徴とする土留め擁壁構造の選定方法。 - 複数の柱材を法面幅方向に間隔をあけて設置し、隣接する柱材間に壁面材を掛け渡し、前記壁面材及び柱材と法面との間に裏込め材を裏込めして土留め擁壁を構築する土留め擁壁の構築方法であって、
土留め擁壁を構築すべき法面の地盤を調査した結果、当該法面に、請求項1記載の土留め擁壁構造の選定方法におけるH形鋼柱材を用いる第1パターンの地盤と、下部背面切欠きの筒状柱材を用いる第2パターンの地盤と、全体筒状柱材を用いる第3パターンの地盤との3つのパターンのうちの少なくとも2つのパターンの地盤が混在している場合に、
当該法面における地盤のパターン毎にそれに対応する柱材を用いることで、2種以上の異なる土留め擁壁構造を混在させることを特徴とする土留め擁壁の構築方法。 - 複数の柱材を法面幅方向に間隔をあけて設置し、隣接する柱材間に壁面材を掛け渡し、前記壁面材及び柱材と法面との間に裏込め材を裏込めしてなる土留め擁壁であって、
土留め擁壁を構築すべき法面に、請求項1記載の土留め擁壁構造の選定方法におけるH形鋼柱材を用いる第1パターンの地盤と、下部背面切欠きの筒状柱材を用いる第2パターンの地盤と、全体筒状柱材を用いる第3パターンの地盤との3つのパターンのうちの少なくとも2つのパターンの地盤が混在しているとともに、
当該法面における地盤のパターン毎にそれに対応する柱材を用いることで、2種以上の異なる土留め擁壁構造を混在させたことを特徴とする土留め擁壁。 - 前記下部背面切欠きの筒状柱材が、下段の半円筒体の上に円筒体を連結して構成した下端部背面切欠きの円筒状柱材であることを特徴とする請求項2記載の土留め擁壁の構築方法。
- 前記下部背面切欠きの筒状柱材が、複数の円弧状のセグメントを周方向に連結して形成してなる下段の半円筒体の上に、複数の円弧状のセグメントを周方向に連結して形成した円筒体を連結して構成した下端部背面切欠きの円筒状柱材であることを特徴とする請求項2記載の土留め擁壁の構築方法。
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