JP4662484B2 - 土留め擁壁構造の選定方法、土留め擁壁の構築方法、及び土留め擁壁 - Google Patents

土留め擁壁構造の選定方法、土留め擁壁の構築方法、及び土留め擁壁 Download PDF

Info

Publication number
JP4662484B2
JP4662484B2 JP2006202437A JP2006202437A JP4662484B2 JP 4662484 B2 JP4662484 B2 JP 4662484B2 JP 2006202437 A JP2006202437 A JP 2006202437A JP 2006202437 A JP2006202437 A JP 2006202437A JP 4662484 B2 JP4662484 B2 JP 4662484B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
retaining wall
ground
slope
cylindrical
pillar
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2006202437A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2008025316A (ja
Inventor
茂夫 射場
貴章 加藤
勝也 石田
龍 野田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Steel Metal Products Co Ltd
Original Assignee
Nippon Steel Metal Products Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Steel Metal Products Co Ltd filed Critical Nippon Steel Metal Products Co Ltd
Priority to JP2006202437A priority Critical patent/JP4662484B2/ja
Publication of JP2008025316A publication Critical patent/JP2008025316A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4662484B2 publication Critical patent/JP4662484B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Retaining Walls (AREA)

Description

この発明は、法面の崩壊を防ぐ土留め擁壁を構築する際に土留め擁壁構造を選定する土留め擁壁構造の選定方法、及び、その選定方法を採用した土留め擁壁の構築方法、及びその方法によって構築される土留め擁壁に関する。
法面の崩壊を防ぐ土留め擁壁として、コンクリート製の土留め擁壁が広く採用されている。コンクリート製の土留め擁壁には、現地で型枠を組んでコンクリートを打設する施工法と、予め工場で製作したコンクリート擁壁部材を現地に搬入して組み立てる施工法とがある。前者の施工法では作業が繁雑で、工期も長くかかり、型枠工等の技能工を必要とする欠点があり、後者の施工法では、コンクリート擁壁部材の重量が大なので、これを現地に搬入するのが容易でなく、また施工時に大型の重機を必要とする欠点がある。
上記のようなコンクリート土留め擁壁の欠点を解消するものとして、複数の柱材を法面幅方向に間隔をあけて設置し、隣接する柱材間に壁面材を掛け渡し、前記壁面材及び柱材と法面との間に土砂を裏込めして土留め擁壁を構築する施工法がある。
例えば、図14に示した土留め擁壁1Cは、柱材として高さ全体が円筒状をなす全体円筒状柱材4Cを用いた場合のものであり、それ自体としては従来構造であると同時に、後述する本発明の土留め擁壁構造の選定方法の第3選択肢に相当するものであるが、土留め擁壁を構築すべき法面2を適宜掘削した後、波付鋼板パネルからなる全体円筒状柱材4Cを法面幅方向(図14で紙面と直交する方向)に間隔をあけて設置し、隣接する全体円筒状柱材4C間にエキスパンドメタル等による壁面材7を掛け渡し、全体円筒状柱材4C内にコンクリート5を打設して円柱体6Cを構成し、次いで、前記壁面材7及び円柱体6Cと法面との間の隙間に土砂8を裏込めしてなる土留め擁壁である(特許文献1)。図14において、10はアンカーである。図15は法面2の掘削状況を平面図(同図(イ))、及び断面図(同図(ロ))で示したもので、図示例では概ね全体円筒状柱材4Cの設置予定箇所のみを掘削している。掘削部を33で示す。33aは掘削部33の底面部、33bは掘削部33の傾斜面部である。4Ccは全体円筒状柱材4Cの下端面を示す。
特開2000−96584
図14に示した土留め擁壁は、コンクリート製の土留め擁壁の現地打設方式と比べると、作業が簡単で、工期も短く済み、型枠工等の技能工を必要としない長所があり、また、工場製作のコンクリート擁壁部材を用いる方式と比べると、部材搬入に困難さがなく、また施工時に小型の重機(主として小型の油圧ショベル等)で済む長所がある。
特に、この種の土留め擁壁は、民家裏の法面の保護のために施工する場合が多いが、そのような場合には、民家裏のスペースが狭くて大型の重機を搬入できない場合が多いが、このような場合に特に有効である。図14で30は保全対象の民家を示す。
ところで、土留め擁壁の施工性を悪くする要因には、上述の各要因を始め種々の要因があるが、法面地盤を掘削する掘削作業も大きな要因となる。
特に、土留め擁壁を構築すべき法面2の地盤が、図15(ロ)に示すように、柔らかい表層地盤2aが厚く、固い岩盤2bがある程度深い位置にある場合(岩盤ラインを1点鎖線mで示す)は、全体が円筒状である上記従来の全体円筒状柱材4Cを用いても、それを設置するために必要な固い岩盤の掘削量はないか又は少なく済むので、地盤掘削にあまり困難はないが、岩盤が浅い位置にある場合は、全体円筒状柱材4Cを設置するために固い岩盤を多量に掘削しなければならず、地盤掘削が困難であり、コストと工期がかかる。
したがって、法面の崩壊を防ぐために充分な強度を確保しつつ、固い岩盤の掘削量を極力少なくすることを可能とする、法面地盤の態様に応じた適切な土留め擁壁構造が望まれる。
土留め擁壁を構築すべき法面2の地盤が図14のような場合には、同図に示した土留め擁壁構造(土留め擁壁1C)が適切であるが、法面地盤の性状、特に固い岩盤の態様によっては、同図の土留め擁壁構造が必ずしも最適でないことも考えられる。
本発明は上記背景のもとになされたもので、柱材及び壁面材を用いて土留め擁壁を構築する場合に、特に固い岩盤の掘削量を極力減らすことができ掘削作業の軽減を可能とする土留め擁壁構造の選定方法、及び、土留め擁壁の構築方法、及び土留め擁壁を提供することを目的とする。
上記課題を解決する請求項1の発明の土留め擁壁構造の選定方法は、施工対象の法面と保全対象との間に重機を用いた施工はできないが人手による施工はできる程度のスペースが確保される場合に適用される土留め擁壁構造の選定方法であって、複数の柱材を法面幅方向に間隔をあけて設置し、隣接する柱材間に壁面材を掛け渡し、前記壁面材及び柱材と法面との間に裏込め材を裏込めして土留め擁壁を構築するに際して、
土留め擁壁を構築すべき法面の地盤を調査し、
(1)法面地盤が、固い岩盤の上に柔らかい表層地盤を殆ど有さない第1パターンの地盤である場合は、前記柱材として、断面H形の鋼材であるH形鋼柱材を用い、
(2)それ以外の場合は、柱材として内部に中詰め材を充填可能な中空柱材を用い、この中空柱材を民家などの保全対象との間に重機を用いた施工はできないが人手による施工はできる程度のスペースが確保される位置に、かつ、法面側に所定角度で傾斜させて設置するとともに、
(2−1)法面地盤が、固い岩盤の上に柔らかい表層地盤を有するとともに、前記柔らかい表層地盤が、上部では設置しようとする中空柱材が固い岩盤と概ね干渉しない程度に厚く、下部では中空柱材が固い岩盤と干渉する程度に薄い第2パターンの地盤である場合は、前記中空柱材として、筒状体の下部背面側を切り欠いた下部背面切欠きの筒状柱材を用い、
(2−2)法面地盤が、固い岩盤の上に柔らかい表層地盤を有するとともに、前記柔らかい表層地盤が柱材高さ全体に亘って、設置しようとする中空柱材が固い岩盤と概ね干渉しない程度に厚い第3パターンの地盤である場合は、前記中空柱材として、全体が筒体である全体筒状柱材を用いることを特徴とする。
請求項2の発明は、複数の柱材を法面幅方向に間隔をあけて設置し、隣接する柱材間に壁面材を掛け渡し、前記壁面材及び柱材と法面との間に裏込め材を裏込めして土留め擁壁を構築する土留め擁壁の構築方法であって、
土留め擁壁を構築すべき法面の地盤を調査した結果、当該法面に、請求項1記載の土留め擁壁構造の選定方法におけるH形鋼柱材を用いる第1パターンの地盤と、下部背面切欠きの筒状柱材を用いる第2パターンの地盤と、全体筒状柱材を用いる第3パターンの地盤との3つのパターンのうちの少なくとも2つのパターンの地盤が混在している場合に、
当該法面における地盤のパターン毎にそれに対応する柱材を用いることで、2種以上の異なる土留め擁壁構造を混在させることを特徴とする。
請求項3の発明は、複数の柱材を法面幅方向に間隔をあけて設置し、隣接する柱材間に壁面材を掛け渡し、前記壁面材及び柱材と法面との間に裏込め材を裏込めしてなる土留め擁壁であって、
土留め擁壁を構築すべき法面に、請求項1記載の土留め擁壁構造の選定方法におけるH形鋼柱材を用いる第1パターンの地盤と、下部背面切欠きの筒状柱材を用いる第2パターンの地盤と、全体筒状柱材を用いる第3パターンの地盤との3つのパターンのうちの少なくとも2つのパターンの地盤が混在しているとともに、
当該法面における地盤のパターン毎にそれに対応する柱材を用いることで、2種以上の異なる土留め擁壁構造を混在させたことを特徴とする。
請求項4は、請求項2の土留め擁壁の構築方法において、下部背面切欠きの筒状柱材が、下段の半円筒体の上に円筒体を連結して構成した下端部背面切欠きの円筒状柱材であることを特徴とする。
請求項5は、請求項2の土留め擁壁の構築方法において、下部背面切欠きの筒状柱材が、複数の円弧状のセグメントを周方向に連結して形成してなる下段の半円筒体の上に、複数の円弧状のセグメントを周方向に連結して形成した円筒体を連結して構成した下端部背面切欠きの円筒状柱材であることを特徴とする。
本発明によれば、法面地盤の性状に応じた土留め擁壁構造を選定することができ、特に固い岩盤の掘削量を極力減らすことができ、掘削作業の軽減を図ることができる。
すなわち、法面地盤が、固い岩盤の上に柔らかい表層地盤を殆ど有さない第1パターンの地盤である場合は、固い岩盤を掘削せずにH形鋼柱材を設置した構造であっても、構築した土留め擁壁の強度を確保できる。
それ以外の場合には、内部に中詰め材を充填可能な中空柱材を用いるが、法面地盤が、固い岩盤の上に柔らかい表層地盤を有するとともに前記柔らかい表層地盤が上部では、設置しようとする中空柱材と概ね干渉しない程度に厚く下部では中空柱材と干渉する程度に薄い第2パターンの地盤である場合は、上部が円筒体で下部が背面側に欠けた半円筒体である下部背面切欠きの筒状柱材を設置することで、下部背面切欠き部に対応する下部の固い岩盤の掘削をせずに残すことができる。この場合、掘削せずに残した部分が岩盤部分なので、下部背面を切り欠いた筒状柱材であっても、強度が低下する恐れはなく、土留め擁壁の強度を損なわない。
また、法面地盤が、固い岩盤の上に柔らかい表層地盤を有するとともに前記柔らかい表層地盤が柱材高さ全体に亘って、設置しようとする中空柱材と概ね干渉しない程度に厚い第3パターンの地盤である場合は、全体が円筒体である全体筒状柱材を設置しても、固い岩盤を掘削する必要が生じないか又は若干の掘削で済む。
上記のように、法面地盤の性状に応じて固い岩盤を必要以上に掘削せず済ませることができ、固い岩盤を掘削する困難さが軽減され、コスト低減と工期短縮を図ることができる。
下部背面切欠きの筒状柱材を形成する方法として、請求項4のように、半円筒体の上に円筒体を連結して下部背面切欠きの円筒状柱材を構成する構造は、下部背面切欠きの円筒状柱材を得る手段として簡便である。
下部背面切欠きの筒状柱材を形成する方法として、請求項5のように、複数の円弧状のセグメントを用いて下段の半円筒体及びその上の円筒体を形成して下部背面切欠きの円筒状柱材を構成する構造は、半円筒体又は円筒体を形成する部材として小サイズのセグメントを用いることができるので、部材の搬入や取り扱いが容易で施工性がよい。
また、下段の半円筒体の形状(背面開口の程度)を比較的自在に変更することができるので、容易に施工現場に最適な半円筒体形状とすることができる。
以下、本発明の土留め擁壁構造の選定方法、及び、土留め擁壁の構築方法、及び土留め擁壁の実施例を、図1〜図17参照して説明する。
図1〜図13は土留め擁壁を構築しようとする法面地盤が後述する第2パターンの地盤である場合に本発明を適用して構築された土留め擁壁1Bの一実施例、図14、図15は法面地盤が後述する第3パターンの地盤である場合に本発明を適用して構築された土留め擁壁1Cの一実施例、図16は法面地盤が後述する第1パターンの地盤である場合に本発明を適用して構築された土留め擁壁1Aの一実施例を示す。
本発明の土留め擁壁構造の選定方法は、複数の柱材4(4A、4B、4C)を法面幅方向(図1、図2で左右方向)に間隔をあけて設置し、隣接する柱材4間に壁面材7を掛け渡し、前記壁面材7及び柱材4と法面との間に裏込め材例えば土砂8を裏込めして土留め擁壁を構築する際に適用される選定方法である。裏込め材としては、土砂以外に岩、砕石、割石などを用いることができるが、主に現地発生土砂を使用する。
本発明の土留め擁壁構造の選定方法は、施工対象の法面と保全対象との間に重機を用いた施工はできないが人手による施工はできる程度のスペースが確保される場合に適用される土留め擁壁構造の選定方法であるが、まず、土留め擁壁を構築すべき法面の地盤を調査し、調査で判明した法面地盤の性状によって、次の(1)、(2−1)、(2−2)の3つの選択肢の何れかの土留め擁壁構造を選定する。図17(イ)、(ロ)、(ハ)はそれぞれ前記3種の土留め擁壁構造1A、1B、1Cを模式的に示したもので、同図において、2は土留め擁壁を構築しようとする法面、2bは固い岩盤、2aは固い岩盤2b上の柔らかい表層地盤である。mは岩盤ラインを示す。
(1)法面地盤が、図17(イ)に示すように、固い岩盤2bの上に柔らかい表層地盤2aを殆ど有さない第1パターンの地盤である場合は、前記柱材4として、断面H形の鋼材であるH形鋼柱材4Aを用いる土留め擁壁構造を採用する。
(2)それ以外の場合は、柱材として内部に中詰め材を充填可能な中空柱材を用い、この中空柱材を民家などの保全対象との間に重機を用いた施工はできないが人手による施工はできる程度のスペースが確保される位置に、かつ、法面側に所定角度で傾斜させて設置するが、次の2つの選択肢の何れかを選定する。すなわち、
(2−1)法面地盤が、図17(ロ)に示すように、固い岩盤2bの上に柔らかい表層地盤2aを有するとともに、前記柔らかい表層地盤2aが、上部では設置しようとする中空柱材が固い岩盤と概ね干渉しない程度に厚く(厚みt)、下部では中空柱材が固い岩盤と干渉する程度に薄い(厚みt2’)第2パターンの地盤である場合は、前記中空柱材として、下部背面切欠きの筒状柱材、例えば実施例のように上部が円筒体4Baで下部が背面側に欠けた半円筒体4Bbである下部背面切欠きの円筒状柱材4Bを用いる土留め擁壁構造を選定する。
(2−2)法面地盤が、図17(ハ)に示すように、固い岩盤2bの上に柔らかい表層地盤2aを有するとともに、前記柔らかい表層地盤2aが柱材高さHの全体に亘って、設置しようとする中空柱材が固い岩盤と概ね干渉しない程度に厚い(厚みt)第3パターンの地盤である場合は、前記中空柱材として、全体が筒体である全体筒状柱材、例えば全体が円筒体である全体円筒状柱材4Cを用いる土留め擁壁構造を選定する。
なお、上記の(1)の土留め擁壁構造1Aを選定する場合を第1選択肢、(2−1)の土留め擁壁構造1Bを選定する場合を第2選択肢、(2−2)の土留め擁壁構造1Cを選定する場合を第3選択肢と呼ぶ。
なお、柱材を間隔をあけて設置し柱材間に壁面材を掛け渡し法面との間に土砂を裏込めする土留め擁壁構築工法は、重機なしで施工できるので、民家裏などのように重機が入るスペースがない場合(図17(イ)、(ロ)、(ハ)に記載の寸法Lは重機が入れない距離である)に特に有効であるが、第1選択肢を選定する場合にはさらにスペースが狭くても作業可能である。
上記の土留め擁壁構造の選定方法において、「固い岩盤」あるいは「柔らかい表層地盤」と判定する基準としては、例えば、いわゆる電研方式(電力中央研究所方式)の岩盤等級区分を利用することができる。この場合、「柔らかい表層地盤」として、岩盤強度が電研方式岩盤等級区分のD、C、C以下である場合とするのが適切である。岩盤等級区分がA、B、Cである場合は「固い岩盤」となる。
法面地盤が第2パターンの地盤と第3パターンの地盤との中間的なものである場合もあるが、その場合にはその他の状況を考慮するなどして、適切な土留め擁壁構造を選定をする。
すなわち、全体円筒状柱材4Cを設置しようとすればその下部に固い地盤2bが僅かに干渉する程度であれば、全体円筒状柱材4Cを設置する第3選択肢を採用してもよいし、また、下部背面切欠きの円筒状柱材4Bを設置する第2選択肢を採用してもよい。
また、法面地盤が第2パターンの地盤である場合のなかには、下部において固い岩盤2bが露出している場合も含む。
法面地盤が第2パターンの地盤である場合(上記(2−1)の場合)に選定される土留め擁壁構造(土留め擁壁1B)を図1〜図13を参照して説明する。
図1は土留め擁壁1Bの平面図、図2は同正面図、図3は図2のA−A断面図(ただし、埋め戻し土砂の図示を一部省略)である。
この土留め擁壁1Bは、柱材として内部に中詰め材を充填可能な中空柱材を用いるものであり、かつ、法面地盤が、図3にも示すように、固い岩盤2bの上に柔らかい表層地盤2aを有するとともに、前記柔らかい表層地盤2aが、上部では設置しようとする中空柱材が固い岩盤と概ね干渉しない程度に厚く、下部では中空柱材が固い岩盤と干渉する程度に薄い第2パターンの地盤である場合に施工されるものであり、そして、前記中空柱材として、上部が円筒体4Baで下部が背面側に欠けた半円筒体4Bbである下部背面切欠きの円筒状柱材4Bを用いる。
土留め擁壁1Bを構築する手順を簡単に説明すると、土留め擁壁を構築すべき法面2を適宜掘削した後に、法面幅方向(図1、図2で左右方向、図3で紙面と直交する方向)に間隔をあけて下部背面切欠きの円筒状柱材4Bを設置しかつその内部から法面の岩盤2bにアンカー10を設置し、前記下部背面切欠きの円筒状柱材4Bの内部にコンクリート5を打設して円筒体6Bを形成し、隣接する円筒体6B間に円弧状の壁面材7を複数段架け渡し、前記壁面材7および円筒体6Bと法面2との間に土砂8を裏込めする。
この実施例の下部背面切欠きの円筒状柱材4B(以下場合により単に円筒状柱材4Bという)は、図5に示すように、例えば1枚の波付鋼板パネル9とその両側の半分サイズの2枚の波付鋼板パネル9とを円周方向に連結して半円状に形成した半円筒体4Bbを図3に示すように縦方向に2段に連結し、その上に、図4に示すように、4枚の波付鋼板パネル9を円周方向に連結して形成した円筒体4Baを縦方向に4段に連結して構成している。すなわち、下部の2段の半円筒体4Bbの部分の背面開口が、円筒状柱材4Bの下部背面切欠き部となる。
前記波付鋼板パネル9は、図7(イ)、(ロ)、(ハ)に示すように、コルゲートシート9aの両側縁を直角に折り曲げてフランジ9bとし、両端部にプレート9cを溶接固定し、接合用の穴9dをあけ、円弧状に湾曲させた構成(すなわち円弧状のセグメント)である。この波付鋼板パネル9は、いわゆるライナープレートと称されるものと同形状であるが、フランジやプレートのない波付鋼板であるコルゲートセクションを用いることもできる。
この実施例では、後述するように円筒状柱材4B内にコンクリートを打設するが、打設したコンクリートが半円筒体4Bbの背面開口から外に漏洩できるように、半円筒体4Bbの背面開口に打設コンクリートに対して半透過性を有する半透過材18を取り付けている。
半透過材18としては、図9に示すように、半円筒体4Bbの背面開口形状に合わせた例えばフラットバーによる矩形フレーム18dにエキスパンドメタル18aを溶接固定した半透過材18Aを用いることができる。
また、図10に示すように、矩形フレーム18dに溶接金網18bを溶接固定した半透過材18Bを用いることができる。
また、図11に示すように、矩形フレーム18dにフラットバー18cを格子状に溶接固定した半透過材18Cを用いることができる。
また、図12(イ)に示すように、直線タイプの波付鋼板パネル18eの両端に取り付け用の例えば山形鋼18fを取り付けた半透過材18Dを用いることができる。直線タイプの波付鋼板パネル18eの構造は、図12(ロ)、(ハ)、(ニ)に示す通りであり、図7の円弧状の波付鋼板パネル9を直線状にしたものに相当する。
実施例の壁面材7は、図6に示すように、細長い矩形状のエキスパンドメタル12の上縁部および左右縁部にフラットバー13を溶接固定した構成であり、左右のフラットバー13に、ボルト連結用穴をあけた耳板14を溶接固定している。
前記壁面材7の取り付け構造について説明すると、円筒体4Ba及び半円筒体4Bbのいずれについても、正面中央に配した1枚の波付鋼板パネル9(図4、図5に9(A)で示すもの)とその両側の波付鋼板パネル9との接合部に取付プレート16を挟み込み、この取付プレート16に前記壁面材7の左右の耳板14をボルトで連結している。正面中央の波付鋼板パネル9(A)は四分の一円弧なので、この取付プレート16の位置は、擁壁面と直角な方向に対して45゜をなしている。取付プレート16の取り付け角度が45゜であれば、壁面材7に作用する土圧を円筒体6Bが負担する構造として、円柱体6B側(円筒状柱材4B側)にとっても壁面材7側にとっても無理な力の作用を生じさせないものとなる。
また、取付けプレート16は、波付鋼板パネル9を製作する際に、あらかじめ、コルゲートシート9aの片端部にプレート9cの替わりに溶接しておけば、現地で取付けプレート16を挟み込む作業も省けるし、部材も省略できる。
上記の土留め擁壁1Bを構築する手順について説明する。まず、下部背面切欠きの円筒状柱材4Bを設置するために法面2を掘削するが、この場合、図8(イ)に示すように、法面幅方向(図8(イ)で上下方向)に間隔をあけた複数の円筒状柱材設置予定箇所(円筒状柱材4Bを設置すべき箇所)だけを掘削するのが、掘削量を極力少なくするために好ましい。ただし、必要があれば、円筒状柱材4Bと円筒状柱材4Bとの間の部分も適宜掘削する。
円筒状柱材設置箇所の掘削については、図8(ロ)に示すように、円筒状柱材4Bの下部の切り欠かれた部分に対応する地盤部分を掘削せずに残す。掘削部を3で示す。掘削せずに残した段差状の部分(段差部)を3bで示す。3aは掘削部3の底面部、3cは段差部3bより上方の傾斜面部、3b’は段差部3bの下側傾斜面部を示す。図8(イ)で円筒状柱材4Bの下端面(半円筒体の下端面)を4Bcで示す。
なお、この実施例では円筒状柱材4Bを傾斜させて設置するので、図示の通り、傾斜した掘削壁面となるように掘削する。
次いで、前記円筒状柱材設置予定箇所にそれぞれ円筒状柱材(下部背面切欠きの円筒状柱材)4Bを設置する。前記の通り、掘削部3は下部の段差部3bが前方に出っ張っているが、円筒状柱材4Bの背面下部が切り欠かれているので、円筒状柱材4Bは段差部3bと干渉しない。
円筒状柱材4Bを組み立てる要領は前述した通りであるが、図5に示すように1枚の波付鋼板パネル9とその両側の半分サイズの2枚の波付鋼板パネル9とを円周方向に連結して半円状に形成した半円筒体4Bbを縦方向に2段に連結し、その上に、図4に示すように、4枚の波付鋼板パネル9を円周方向に連結して形成した円筒体4Baを縦方向に4段に連結して、掘削部3に下部背面切欠きの円筒状柱材4Bを設置する。
その後若しくは円筒状柱材組み立て時に、円筒状柱材4Bの高さ方向の適宜の個所から法面の岩盤2bにアンカー10を打ち込む。図示例では、高さ方向の3つの位置から、すなわち下部の半円筒体4Bbの位置の1箇所と円筒体4Baの位置の2箇所から、それぞれ上から見て八の字形をなすように2本のアンカー10を岩盤に設置している。なお、アンカー10は、岩盤に穴をあけ、その穴に挿入した後モルタルを充填する等して岩盤に設置する。また、先端ドリル付きのアンカーを用いて岩盤に挿入することもできる。
次いで、設置した円筒状柱材4B内にコンクリート5を打設して円柱体6Bを構成する。
その後若しくはコンクリート打設前に、壁面材7の両端の耳板14を左右の円筒状柱材4Bの取付プレート16にボルトで連結する。この作業を円筒状柱材4Bの円筒体4Ba及び半円筒体4Bbの各段それぞれについて行う。図示例の壁面材7は、エキスパンドメタル12の下縁部にフラットバー13を取り付けていないが、その部分は下段の壁面材7の上縁部のフラットバー13の内側に収まる。
次いで、壁面材7および円柱体6Bの背面と法面2との間に土砂8を埋め戻す。以上により、土留め擁壁1Bが構築される。この土留め擁壁1Bは、重力式土留め擁壁であり、壁面材7および円柱体6Bに作用する土圧に対して円柱体6Bの重量で抵抗する。
上記土留め擁壁1Bによれば、円筒状柱材4Bの下部の背面側が切り欠かれているので、土留め擁壁を構築すべき法面の円筒状柱材設置予定箇所を掘削するに際して、上述の通り下部背面切欠き部に対応する法面地盤を掘削せずに残す(段差部3bを残す)ことができる。したがって、法面地盤の掘削量が少なく済み、掘削作業が軽減される。
特に図示例のように法面2の下部が急勾配でかつ岩盤2bが浅い位置にある場合(岩盤ラインを1点鎖線mで示す)には、掘削の困難な岩盤部分の掘削量が少なく済むので、地盤掘削の困難さが軽減され、コスト低減と工期短縮を図ることができる。この場合、掘削せずに残した部分が岩盤部分なので、下部背面を切り欠いた円筒状柱材4Bであっても、強度が低下する恐れはなく、土留め擁壁の強度を損なわない。
また、実施例ではアンカー10を、円筒体4Baからだけでなく半円筒体4Bbからも設置しているので、この円筒状柱材4B内にコンクリート5を打設してなる円柱体6Bを堅固に岩盤2bに連結することができる。
また、実施例では、半円筒体4Bbの背面開口に、エキスパンドメタルや溶接金網等による半透過材18を設けているので、円筒状柱材4Bにコンクリートを打設した時、コンクリートが半透過材18から背面側(法面側)に漏出して、背面側の法面との間の隙間をコンクリートで埋めることができる。したがって、その部分の土砂の裏込めは一部不要となる。また、その漏出したコンクリートで円柱体6Bと岩盤2bとを結合させる作用を得ることも可能である。
掘削せずに残す部分(段差部3b)をどの程度にするかは、法面地盤の岩盤の状況によって異なる。実施例の法面地盤は、岩盤の勾配が下部では急、上部では緩い地盤であり、図示のような段差部3bの残す掘削をし、それに対応して円筒状柱材4Bの高さの3分の1(6段のうちの下部2段)を半円筒体としているが、掘削せずに残す段差部をさらに高くした場合には、例えば円筒状柱材の高さの2分の1あるいはそれ以上を半円筒体とすることも考えられる。
法面地盤が第3パターンの地盤である場合(上記(2−2)の場合)に選定される土留め擁壁構造(第3選択肢の土留め擁壁1C)を図14、図15を参照して説明する。
図14は土留め擁壁1Cの断面図(ただし、埋め戻し土砂の図示を一部省略)であり、第2選択肢の場合の図3に相当する。
この土留め擁壁1Cは、第2選択肢の場合と同じく柱材として中空柱材を用いるものであるが、法面地盤が、図14にも示すように、固い岩盤2bの上に柔らかい表層地盤2aを有するとともに、前記柔らかい表層地盤2aが柱材高さHの全体に亘って、設置しようとする中空柱材が固い岩盤と概ね干渉しない程度に厚い第3パターンの地盤である場合に施工されるものであり、そして、前記中空柱材として、全体が円筒体である全体円筒状柱材4Cを用いる。
この土留め擁壁1Cを構築する手順は、中空柱材として全体円筒状柱材4Cを用いること及び地盤の掘削態様を除けば、前述の第2選択肢の場合の構築要領と概ね同じである。なお、図1、図4、図6、図7は、第2選択肢の土留め擁壁1Bの実施例であるが、そこに表されている範囲では第3選択肢の土留め擁壁1Cの構造を表している。全体円筒状柱材4Cにコンクリートを充填して構成した円柱体を6Cで示す。
この実施例の全体円筒状柱材4Cは、図4に示した円筒体4Baと同様な構造の円筒体4Ca(すなわち4枚の波付鋼板パネル9を円周方向に連結して形成した円筒体)を柱材高さ全体に亘って縦方向に連結したもので、図示例は6段である。
図15は法面2の掘削状況を平面図(同図(イ))、及び断面図(同図(ロ))で示したもので、図示例では全体円筒状柱材4Cの設置予定箇所のみを掘削している。掘削部を33で示す。33aは掘削部33の底面部、33bは掘削部33の傾斜面部である。4Ccは全体円筒状柱材4Cの下端面を示す。地盤の掘削は、図14、図15の通り、全体円筒状柱材4Cの全体が収まるように掘削するが、柔らかい表層地盤2aが厚く固い岩盤2bが深い位置にあるので、固い岩盤2bの掘削量はないか僅かで済む。
法面地盤が第1パターンの地盤である場合(上記(1)の場合)に選定される土留め擁壁構造(第1選択肢の土留め擁壁1A)を図16、図17(イ)を参照して説明する。
図16は土留め擁壁1Aの断面図(ただし、埋め戻し土砂の図示を一部省略)であり、第2選択肢の場合の図3に相当する。
この土留め擁壁1Aは、法面地盤が、図16、図17(イ)に示すように、固い岩盤2bの上に柔らかい表層地盤2aを殆ど有さない場合(固い岩盤2bが概ね露出している場合)に施工されるものであり、柱材4としてH形鋼柱材4Aを用いる。
この土留め擁壁1Aを構築する手順は、柱材としてH形鋼柱材4Aを用いること及び地盤の掘削態様を除けば、前述の第2選択肢の場合の構築要領と概ね同じである。
H形鋼柱材4Aは熱間圧延のH形鋼を用いるとよいが、溶接してH形断面にした溶接H形鋼を用いることもできる。
この第1選択肢の場合は、固い岩盤2bが露出しているので、基本的には固い岩盤の掘削を必要とせず、H形鋼柱材4Aを単に設置すればよいことになるが、実際の地盤では図16のような直線的な表面であることは殆どないので、適宜掘削する。
上述の実施例では、土留め擁壁を構築しようとする法面地盤の全体が第1パターン又は第2パターン又は第3パターンのいずれかである場合として説明したが、土留め擁壁を構築しようとする法面地盤に、第1パターン又は第2パターン又は第3パターンのいずれか2つ以上の地盤パターンが混在している場合に、それらの地盤のパターン毎にそれに対応する柱材(H形鋼柱材4A、下部背面切欠きの円筒状柱材4B、全体円筒状柱材4C)を用いることで、2種以上の異なる土留め擁壁構造が混在した土留め擁壁とすることも可能である。
上述の第2選択肢の土留め擁壁1Bの実施例では、下部背面切欠きの円筒状柱材4Bの円筒体4Baや半円筒体4Bbを形成する円弧状のセグメントとして波付鋼板パネル9を用いたが、波付鋼板パネルに限らず、種々の鋼製セグメントを用いることができる。
また、円筒体4Baや半円筒体4Bbを複数の円弧状セグメントで組み立てる場合に限らず、一体の円筒体あるいは半円筒体を用いることができる。
なお、下部背面切欠き部を形成する実施例の半円筒体4Bbは180°円弧状(丁度半円形)をなしているが、必ずしも180°円弧状に限らず、掘削せずに残す部分(段差部3b)の外形に応じて、適切な形状に設定するとよい。
第3選択肢の土留め擁壁1Cにおける全体円筒状柱材4Cの各円筒体4Caについても同様に、波付鋼板パネルに限らず、種々の鋼製セグメントを用いることができ、また、円筒体4Caを複数の円弧状セグメントで組み立てる場合に限らず、一体の円筒体を用いることができる。
上述の第2選択肢の土留め擁壁1Bにおける下部背面切欠きの円筒状柱材4Bは、鋼製のものに限らず、プラスチック製のものを用いることができる。図13にその一例を示す。この下部背面切欠きの円筒状柱材4B’は、樹脂一体成形した波付け半円筒体4Bb’の上に同じく樹脂一体成形した波付け円筒体4Ba’を連結して構成したものである。両者の連結手段としては種々の手段を採用できるが、詳細説明は省略する。
壁面材7を円筒状柱材4B’に取り付ける手段としては、例えば、図13(イ)のように波付け円筒体4Ba’の波の谷の部分に締付けバンド21を配し、図13(ロ)に示すように、締付けバンド21の両端の締め付け部21aの間に取付プレート22を挟み込んで締め付けることで、取付プレート22を円筒状柱材4B’に取り付け、この取付プレート22に壁面材7を取り付けることができる。
また、下部背面切欠きの円筒状柱材の全体を一体樹脂成形したものも考えられる。
また、第3選択肢の土留め擁壁1Cにおける全体円筒状柱材4Cについても同様に、鋼製のものに限らず、プラスチック製のものを用いることができる。
上述の説明では筒状柱材として円筒状柱材を用いたが、角筒状柱材を用いることも可能である。角筒状柱材を用いた時は、これに充填材を充填したものは角柱体となる。
本発明の土留め擁壁構造の選定方法における3つの選択肢のうちの、法面地盤が第2パターンである場合の土留め擁壁(第2選択肢)を示す平面図である。 図1の土留め擁壁の正面図である。 図2のA−A断面図(ただし、土砂断面の図示を一部省略)である。 図3のB−B断面位置で示した要部詳細平面図である。 図3のC−C断面図位置で示した要部詳細平面図である。 (イ)は図4における1つの壁面材の展開正面図、(ロ)は取付プレートの正面図である。 上記の土留め擁壁における下部背面切欠きの円筒状柱材に用いた波付鋼板パネルの詳細を示すもので、(イ)は平面図、(ロ)は正面図、(ハ)は(ロ)のD−D断面図である。 上記の土留め擁壁を構築する際の法面掘削状況の一例を示すもので、(イ)は法面を掘削した状態を上から見た図、(ロ)は(イ)のE−E断面図である。 半円筒体の背面開口に設ける半透過材の詳細を説明するもので、(イ)は半透過材を取り付けた半円筒体の平面図、(ロ)は(イ)における半透過材の背面図(F矢視図)である。 半透過材として溶接金網を用いた場合の半透過材の背面図である。 半透過材としてフラットバーを格子状に溶接固定したものを用いた場合の半透過材の背面図である。 半円筒体の背面開口を閉塞する場合の実施例を示すもので、(イ)は閉塞部材を取り付けた半円筒体の平面図、(ロ)は(イ)における閉塞部材の背面図(G矢視図)、(ハ)は同平面図、(ニ)は同右側面図である。 樹脂成形した下部背面切欠きの円筒状柱材の実施例を示すもので、(イ)は円筒状柱材の斜視図、(ロ)は壁面材取付手段の詳細を説明する断面図である。 本発明の土留め擁壁構造の選定方法における3つの選択肢のうちの、法面地盤が第3パターンである場合の土留め擁壁(第3選択肢)を示す断面図であり、図3に対応する図である。 図14の土留め擁壁を構築する際の法面掘削状況の一例を示すもので、(イ)は法面を掘削した状態を上から見た図、(ロ)は(イ)のF−F断面図である。 本発明の土留め擁壁構造の選定方法における3つの選択肢のうちの、法面地盤が第1パターンである場合の土留め擁壁(第1選択肢)を示す断面図であり、図3に対応する図である。 本発明の土留め擁壁構造の選定方法を模式的に説明する図であり、(イ)は法面地盤が第1パターンの場合、(ロ)は同第2パターンの場合、(ハ)は同第3パターンの場合をそれぞれを示す。
符号の説明
1A、1B、1C 土留め擁壁
2 法面
2a 柔らかい表層地盤
2b 固い岩盤
3、33 掘削部
3a、33a 底部
3b 段差部
3b’(段差部の)傾斜面部
3c、33b 傾斜面部
4 柱材
4A H形鋼柱材
4B 下部背面切欠きの円筒状柱材(下部背面切欠きの筒状柱材)
4C 全体円筒状柱材(全体筒状柱材)
4Ba、4Ca 円筒体
4Bb 半円筒体
5 コンクリート
6B、6C 円柱体(柱体)
7 壁面材
8 土砂(裏込め材)
9 波付鋼板パネル
10 アンカー
30 民家(保全対象)

Claims (5)

  1. 施工対象の法面と保全対象との間に重機を用いた施工はできないが人手による施工はできる程度のスペースが確保される場合に適用される土留め擁壁構造の選定方法であって、複数の柱材を法面幅方向に間隔をあけて設置し、隣接する柱材間に壁面材を掛け渡し、前記壁面材及び柱材と法面との間に裏込め材を裏込めして土留め擁壁を構築するに際して、
    土留め擁壁を構築すべき法面の地盤を調査し、
    (1)法面地盤が、固い岩盤の上に柔らかい表層地盤を殆ど有さない第1パターンの地盤である場合は、前記柱材として、断面H形の鋼材であるH形鋼柱材を用い、
    (2)それ以外の場合は、柱材として内部に中詰め材を充填可能な中空柱材を用い、この中空柱材を民家などの保全対象との間に重機を用いた施工はできないが人手による施工はできる程度のスペースが確保される位置に、かつ、法面側に所定角度で傾斜させて設置するとともに、
    (2−1)法面地盤が、固い岩盤の上に柔らかい表層地盤を有するとともに、前記柔らかい表層地盤が、上部では設置しようとする中空柱材が固い岩盤と概ね干渉しない程度に厚く、下部では中空柱材が固い岩盤と干渉する程度に薄い第2パターンの地盤である場合は、前記中空柱材として、筒状体の下部背面側を切り欠いた下部背面切欠きの筒状柱材を用い、
    (2−2)法面地盤が、固い岩盤の上に柔らかい表層地盤を有するとともに、前記柔らかい表層地盤が柱材高さ全体に亘って、設置しようとする中空柱材が固い岩盤と概ね干渉しない程度に厚い第3パターンの地盤である場合は、前記中空柱材として、全体が筒体である全体筒状柱材を用いることを特徴とする土留め擁壁構造の選定方法。
  2. 複数の柱材を法面幅方向に間隔をあけて設置し、隣接する柱材間に壁面材を掛け渡し、前記壁面材及び柱材と法面との間に裏込め材を裏込めして土留め擁壁を構築する土留め擁壁の構築方法であって、
    土留め擁壁を構築すべき法面の地盤を調査した結果、当該法面に、請求項1記載の土留め擁壁構造の選定方法におけるH形鋼柱材を用いる第1パターンの地盤と、下部背面切欠きの筒状柱材を用いる第2パターンの地盤と、全体筒状柱材を用いる第3パターンの地盤との3つのパターンのうちの少なくとも2つのパターンの地盤が混在している場合に、
    当該法面における地盤のパターン毎にそれに対応する柱材を用いることで、2種以上の異なる土留め擁壁構造を混在させることを特徴とする土留め擁壁の構築方法。
  3. 複数の柱材を法面幅方向に間隔をあけて設置し、隣接する柱材間に壁面材を掛け渡し、前記壁面材及び柱材と法面との間に裏込め材を裏込めしてなる土留め擁壁であって、
    土留め擁壁を構築すべき法面に、請求項1記載の土留め擁壁構造の選定方法におけるH形鋼柱材を用いる第1パターンの地盤と、下部背面切欠きの筒状柱材を用いる第2パターンの地盤と、全体筒状柱材を用いる第3パターンの地盤との3つのパターンのうちの少なくとも2つのパターンの地盤が混在しているとともに、
    当該法面における地盤のパターン毎にそれに対応する柱材を用いることで、2種以上の異なる土留め擁壁構造を混在させたことを特徴とする土留め擁壁。
  4. 前記下部背面切欠きの筒状柱材が、下段の半円筒体の上に円筒体を連結して構成した下端部背面切欠きの円筒状柱材であることを特徴とする請求項2記載の土留め擁壁の構築方法。
  5. 前記下部背面切欠きの筒状柱材が、複数の円弧状のセグメントを周方向に連結して形成してなる下段の半円筒体の上に、複数の円弧状のセグメントを周方向に連結して形成した円筒体を連結して構成した下端部背面切欠きの円筒状柱材であることを特徴とする請求項2記載の土留め擁壁の構築方法。
JP2006202437A 2006-07-25 2006-07-25 土留め擁壁構造の選定方法、土留め擁壁の構築方法、及び土留め擁壁 Active JP4662484B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006202437A JP4662484B2 (ja) 2006-07-25 2006-07-25 土留め擁壁構造の選定方法、土留め擁壁の構築方法、及び土留め擁壁

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006202437A JP4662484B2 (ja) 2006-07-25 2006-07-25 土留め擁壁構造の選定方法、土留め擁壁の構築方法、及び土留め擁壁

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2008025316A JP2008025316A (ja) 2008-02-07
JP4662484B2 true JP4662484B2 (ja) 2011-03-30

Family

ID=39116235

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2006202437A Active JP4662484B2 (ja) 2006-07-25 2006-07-25 土留め擁壁構造の選定方法、土留め擁壁の構築方法、及び土留め擁壁

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4662484B2 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5215024B2 (ja) * 2008-04-18 2013-06-19 日鐵住金建材株式会社 鋼製枠据え付け装置、土留め擁壁、および土留め擁壁の構築方法
JP2013204407A (ja) * 2012-03-29 2013-10-07 Nippon Steel & Sumikin Metal Products Co Ltd 土留め擁壁

Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS4870307A (ja) * 1971-12-27 1973-09-22

Patent Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS4870307A (ja) * 1971-12-27 1973-09-22

Also Published As

Publication number Publication date
JP2008025316A (ja) 2008-02-07

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR101973565B1 (ko) 종방향 플레이트가 부착된 phc 말뚝에 차수용 플레이트를 용접으로 접합하여 흙막이 벽체와 차수벽을 동시에 조성하는 흙막이 공법
WO2006083976A2 (en) Wall structural member and method for contructing a wall structure
JP6632028B2 (ja) コンクリート組立擁壁
KR20070095481A (ko) 저토피구간의 반개착식 터널시공방법
KR102208236B1 (ko) 터널 반개착 지보 시스템 및 이를 활용한 터널 시공방법
JP4662484B2 (ja) 土留め擁壁構造の選定方法、土留め擁壁の構築方法、及び土留め擁壁
KR101425030B1 (ko) 래티스 구조체를 이용한 흙막이 벽
JP2008223390A (ja) 鋼管矢板の腹起こし材、腹起こし、腹起こしを用いた鋼管矢板及びその施工方法
KR20190109890A (ko) 차수 성능을 향상시키기 위한 흙막이 벽체용 합성 phc 파일
JP5480744B2 (ja) 構造物用基礎およびその構築方法
JP3829319B2 (ja) 地下中空構造物の施工方法とその地下中空構造物
KR102076969B1 (ko) 강관파일지중벽체와 전단지지플레이트를 이용한 탑-다운 시공방법
JP5777435B2 (ja) 小規模建築物用基礎の補強工法
JP6785591B2 (ja) 先行エレメントの端部構造および地中連続壁の施工方法
JP2006207317A (ja) コンクリート構造体の構築方法
JP2017197910A (ja) 土留壁構造の構築方法および土留壁構造
JP4602290B2 (ja) 土留め擁壁、及び土留め擁壁構築方法
JP2976102B2 (ja) 地中連続壁の施工法における先行エレメントの切削方法
JP3135495B2 (ja) 雪崩・落石防護柵施工方法および雪崩・落石防護柵
JP4394097B2 (ja) コンクリート函体の接続方法
JP5480745B2 (ja) 構造物用既設基礎の補強方法
JP6130139B2 (ja) 耐圧版を有するケーソン構造物及びその構築方法
JP7093089B1 (ja) ライナープレート土留壁用坑口根固部材及びライナープレート土留壁坑口根固方法
JP3228199U (ja) 土留支保工の施工構造
KR102305424B1 (ko) 폐합형 중간지지대를 이용한 비개착지중구조물 시공방법 및 이를 이용하여 제작된 비개착지중구조물

Legal Events

Date Code Title Description
A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A711

Effective date: 20081121

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20090716

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20090902

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20100917

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20100927

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20101122

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20101228

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20101228

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4662484

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140114

Year of fee payment: 3

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250