JP4662232B2 - ガスハイドレートの生産方法及びシステム - Google Patents

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Description

本発明はガスハイドレートの生産方法及びシステムに関し、とくに新しいエネルギー資源として注目される地盤中のガスハイドレートを生産する方法及びシステムに関する。
海上からの音波探査(地震探査)や深海底掘削等により、大陸縁辺部の海底地盤中に天然のガスハイドレート(以下、GHということがある。)が大量に賦存することが明らかにされている。GHはメタン等の有用ガス分子が水分子の結晶格子構造(籠構造)中に包接されたシャーベット状物質であり、地盤中の間隙を充填して地盤の安定に役立っている。ガス集積度の高いGH含有地層(以下、単にガスハイドレート層又はGH層ということがある。)は水深1000〜2000m程度以深の海底下200〜600m程度の深さに存在すると想定され、その埋蔵量は従来型天然ガスの確認埋蔵量の数十倍以上と推定されており、メタンを含むGH(メタンハイドレート。以下、MHということがある。)は未来のエネルギー源として期待されている(非特許文献1参照)。
海底のGHを生産する方法として、図12に示すような従来の海洋石油・天然ガスと同様に、海上の掘削リグ8等から海底面4へ向けたボーリングによりGH層2に達する垂直な坑井6を掘削し、その坑井6を介してGHを採掘する方法が提案された。しかしGHの場合は、海底の低温・高圧環境下で安定な固体であるため、GH層2に達する坑井6を掘削しても石油や天然ガスのように自噴しない。また、GHを固体状のまま採掘しようとすると搬出過程で圧力減少と温度上昇とによりガスと水とに分解してしまうため、大量のGHを固体のまま経済的に採掘することは困難である。このため、GH層2の基本的な生産方法は、海底地盤中でGHを分解してガスのみを採取する方法と考えられている(非特許文献1参照)。
海底地盤中でGHを分解する方法として、非特許文献2は、図12のように地上又は海上から掘削した坑井6を介してGH層2内に加熱した流体を注入してGHの分解を促進する方法(熱刺激法)、坑井6内の泥水量や泥水比重を低下させてGH層2付近の圧力を減ずることで分解を促進する方法(減圧法)、メタノール等の分解促進剤をGH層2に注入して温度や圧力を変えずにGHの分解を促進する方法(分解促進剤注入法)等を提案している。また、例えば特許文献1は熱刺激法の一例を開示し、特許文献2は分解促進剤注入法の一例を開示する。
特開平9−158662号公報 特開2000−061293号公報 特開2002−018202号公報 工業技術院資源環境技術総合研究所ニュース、第10巻第10号、2000年10月、pp1-5 メタンハイドレート資源開発研究コンソーシアム「メタンハイドレートの説明・どうやって生産するのか」[online]、[平成15年6月25日検索]、インターネット<http://www.mh21japan.gr.jp/mh/06seisan.html> 三浦光「冷凍食品の超音波解凍」超音波TECHNO、日本工業出版株式会社、1997年2月 小塙康隆他「水中超音波による冷凍物の解凍促進」日本音響学会講演論文集、平成8年3月、pp965-966 白香蘭他「食品や生体の解凍を目的とした誘電加熱における氷の誘電損失特性」冷凍、社団法人日本冷凍空調学会、平成12年6月、第75巻第872号、pp10-12 野村信福「ホーン型振動子を用いた超音波伝熱促進」超音波TECHNO、日本工業出版、2002年11-12月号、pp113-116 野村信福他「超音波伝熱促進に及ぼす周波数の影響」日本機械学会論文集(B編)、第64巻第622号、1998年6月、pp216-222
しかし、GH層内に加熱流体を注入する熱刺激法は、流体の加熱に多量のエネルギーを必要とすると共に、地上又は海上で加熱した流体が1000m以上の深海底まで輸送される間に海水等によって冷やされるため、輸送中のエネルギーロスが大きい問題点がある。GH資源開発の経済性・生産性向上を図るためには、このようなエネルギーロスをできるだけ少なくし、GH層の分解・採掘に要するエネルギーを最小限に抑えることが重要である。
また、従来の熱刺激法や分解促進剤注入法は、坑井の周囲に存在する水により坑井経由で輸送された熱や分解促進剤が奪われ、地層内のGHの効率的な分解が阻害されるおそれがある。海底地盤中に坑井を掘削した場合、坑井と周囲地盤との間に掘削泥水や海水が介在すると考えられる。また、GH層の分解が進むにつれ坑井と周囲地盤との間に介在する水は増加すると考えられる。GH層の分解に要するエネルギーを小さく抑えるためには、坑井の周囲に存在する水の影響を避けてGHを選択的に分解することが有効である。
そこで本発明の目的は、水が存在する環境下でもガスハイドレートを効率的に分解できるガスハイドレートの生産方法及びシステムを提供することにある。
本発明者は、超音波又は電磁波による冷凍物の解凍技術に注目した。上述した熱刺激法等は、冷凍物(この場合はGH)の回りの解凍媒体の温度を冷凍物の温度より高くすることによって冷凍物の解凍を促進するので、外部加熱方式又は緩慢解凍と呼ばれる。これに対し電磁波や超音波による解凍は、解凍媒体なしに冷凍物内部の温度上昇や圧力変動により解凍を促進する点に特徴があるので、内部加熱方式又は急速解凍と呼ばれている。
例えば非特許文献3は、温度及び湿度が異なる空気雰囲気中で超音波を照射しながら又は照射せずに試料(氷)を解凍させた実験結果として、超音波による解凍促進効果は雰囲気の温度が低いほど大きく、雰囲気の湿度が高いほど大きくなることを報告している。また非特許文献4は、水中の超音波の定在波音場で試料(氷)を解凍させた実験結果として、超音波による解凍促進効果は音圧(超音波発生装置への入力電力)が高いほど大きく、音圧の節位置より腹位置で大きくなることを報告している。従来から水中の超音波の透過損失(減衰)は比較的小さいことが知られており、非特許文献4の報告は、水中で氷を選択的に内部加熱できることを示している。
また非特許文献5は、周波数50Hz〜5MHzの高周波電界を印加(高周波電磁波を照射)しながら又は印加せずに温度-2〜-60℃の試料(氷)を解凍させた実験結果として、氷の誘電損失特性は温度と電磁波の周波数とに強く依存しており、とくに周波数3MHz近傍(例えば2.7〜3.2MHz)の電磁波は低温の氷に吸収され易く、しかも急速且つ均一な解凍に適していることを報告している。更に、印加する電界強度を増加すると氷の急速均一加熱効果が大きくなり、3MHzだけでなく50MHz近傍の周波数の電磁波にも同様の傾向が見られることを報告している。従来から家庭用電子レンジ等においてマイクロ波(例えば2.45GHzの電磁波)が水の振動を励起することが知られており、非特許文献5の報告は、氷に吸収され易い電磁波がマイクロ波より低い周波数(例えば、誘電加熱に利用される周波数)であり、氷の吸収し易い周波数の電磁波を用いれば周囲に水が存在する環境で氷を選択的に内部加熱できる可能性を示している。
更に非特許文献6は、液体中の発熱体に超音波を照射することにより発熱体の熱伝達率(伝熱係数)が増加し、とくに超音波照射によりキャビテーション気泡(音響キャビテーション)が発生する場合に熱伝達率が飛躍的に増加することを報告している。また非特許文献7は、周波数28kHz、45kHz、100kHzの超音波照射により形成した水中の定在波音場で伝熱面の熱伝達率を測定した実験結果として、周波数100kHzの照射ではキャビテーション気泡が発生しないものの流体の振動(音響流)により熱伝達率が増加すること、周波数28kHz、45kHzの照射ではキャビテーション気泡が発生するので熱伝達率が更に増加すること、異なる周波数を切り替えながら連続照射することにより定在波のむらの影響を小さく抑えて均一的な熱伝達率の増加が得られることを報告している。
低温・高圧の環境下で解凍促進効果が大きい超音波又は電磁波による解凍技術は、海底環境下におけるGHの採掘に有利に適用できる可能性がある。氷の場合と同様にGHについても周波数や音圧を適切に選択した超音波を使用すれば、水が存在する環境下でGHを選択的に内部加熱することが期待できる。また、氷の場合と同様にGHの誘電損失特性も温度や電磁波の周波数に依存すると考えられるので、温度に応じて周波数や強度を適切に選択した電磁波を用いることにより、水が存在する環境下でGHを選択的に内部加熱することが期待できる。更に、水が存在する環境下でGHに超音波を照射する場合に、超音波の周波数や強度を適切に選択してGHの熱伝達率を増加させることにより、水等の周囲に存在する比較的高温な媒質からGHへの伝熱を促進してGHを効率的に分解できる可能性がある。本発明はこれらの知見に基づく更なる研究・開発により完成に至ったものである。
図1の実施例を参照するに、本発明によるガスハイドレートの生産方法は、地盤中のガスハイドレート層2(図12参照)を切削して坑井6を掘削し、坑井6内に周波数調整可能な誘電加熱式又は超音波解凍式の分解装置20を配置し、坑井6内の地層切削物Tにその切削物Tの温度に応じて水に対するガスハイドレートの電磁波損失又は超音波減衰が最大となる周波数の電磁波又は超音波を照射して切削物T中のガスハイドレートを選択的に分解し、分解生成ガスGを坑井6経由で回収してなるものである。好ましくは、地層切削物Tのガス分離後の残留物Rを地層2へ戻す。更に好ましくは、電磁波を照射する場合に、照射する電磁波の周波数をマイクロ波より低い数十Hz〜200MHzの範囲に調整する。或いは、超音波を照射する場合に、照射する超音波の周波数及び/又は強度をガスハイドレートとその周囲の比較的高温な媒質との熱伝達率が増加するように調整する。
また図1の実施例を参照するに、本発明によるガスハイドレートの生産システムは、地盤中のガスハイドレート層2を切削して坑井6を掘削する削孔装置10、坑井6内に配置され且つ坑井6内の地層切削物Tにその切削物Tの温度に応じて水に対するガスハイドレートの電磁波損失又は超音波減衰が最大となる周波数の電磁波又は超音波を照射して切削物T中のガスハイドレートを選択的に分解する周波数調整可能な誘電加熱式又は超音波解凍式の分解装置20、及び分解生成ガスGを坑井6経由で回収する回収装置14を備えてなるものである。好ましくは、回収装置14に、地層切削物Tから分解生成ガスGを分離すると共にガス分離後の残留物Rを地層2へ戻す分離機構16を含める。
本発明によるガスハイドレートの生産方法及びシステムは、地盤中のGH含有地層を切削して掘削した坑井内に周波数調整可能な誘電加熱式又は超音波解凍式の分解装置を配置し、その地層ないし切削物の温度に応じて水に対するGHの電磁波損失又は超音波減衰が最大となる周波数の電磁波又は超音波を照射して地層層ないし切削物中のGHの選択的な分解を促進し、分解生成ガスを坑井経由で回収するので、次の顕著な効果を奏する。
(イ)加温流体の長距離の移動を伴わずにGH自体を電磁波又は超音波の照射により内部加熱するので、冷めやすい加熱流体を運搬する従来方法に比し、GH採掘に伴うエネルギー損失を小さく抑えることができる。
(ロ)超音波は水による減衰が小さいので、水が存在する環境下でもGHを選択的に分解することができ、GH層の効率的・経済的な採掘に寄与できる。
(ハ)水に対するGHの電磁波損失又は超音波減衰が最大となる周波数の電磁波又は超音波を照射することにより、水が存在する環境下でもGHの選択的な分解が期待できる。
(ニ)周波数の低い(波長の長い)電磁波を用いることにより、GH塊に対する電磁波の浸透深度を大きくすることができ、様々な大きさのGH塊を急速且つ均一に分解することが可能となる。
(ホ)超音波の周波数又は強度を調整してGHの熱伝達率を増加させることにより、周囲の水等の比較的高温な媒質からGHへの伝熱を促進し、水が存在する環境下でGHの分解効率を向上させることが期待できる。
(ヘ)坑井の内部でGHを分解できるだけでなく、坑井からGH層に電磁波又は超音波を照射することにより坑井の外部でGHを分解することもできる。
(ト)電磁波又は超音波の強度・周波数を適切に選択することにより水の影響を避けつつ広範囲のGHを均一に分解できるので、坑井の外部でGHを分解する場合に、坑井から離れたGH層を効率的に分解することが期待できる。
(チ)電磁波又は超音波の周波数や強度を電気的に制御することによりGHの分解の範囲や程度を調節できるので、GH層の空間的・時間的な分解促進制御への利用が期待できる。
(リ)低温・高圧環境下でも電磁波又は超音波の照射によりGHを効率的に分解できるので、新しいエネルギー資源として注目される深海底のMH資源開発にとくに適している。
(ヌ)GHから分解生成ガスのみを分離して回収し、ガス分離後の残留物をGH層へ戻すことにより、回収コストを小さく抑え、GH層の効率的・経済的な採掘に寄与できる。
図1は、GH層(例えばMH層)2内に坑井6を掘削しつつGH(例えばMH)を分解して分解生成ガス(例えばメタンガス)Gを回収する本発明の採掘システムの実施例を示す。図示例のシステムは、坑井6を掘削する削孔装置10と、坑井6の内側で電磁波又は超音波の照射によりGHを分解する分解装置20と、分解装置20からの分解生成ガスGを坑井6経由で回収する回収装置14とを有する。例えば図9に示すように、海底面4のGH層2上の安定地盤部位に沈設した採掘基地30に、分解装置20付き削孔装置10と回収装置14とを装備する。採掘基地30から削孔装置10によりGH層2内を切削しながら坑井6を掘削し、GH層2の切削物Tを坑井6内の分解装置20に取り込んで切削物T中のGHを分解し、分解装置20で生成された分解生成ガスGを回収装置14により坑井6経由で採掘基地30に回収する。更に図示例では、採掘基地30と海面5上の母船9との間に気密輸送路39を設け、採掘基地30に回収した分解生成ガスGを輸送路39経由で母船9に輸送する。
採掘システムの駆動に要するエネルギーは、図9の母船9又は採掘基地30から供給することができる。後述するように本発明は、電磁波又は超音波の照射によりGHを内部加熱させて分解するので、外部加熱方式のように分解装置20に熱エネルギーを供給する必要はなく、例えば母船9又は採掘基地30に適当な電源を設けて分解装置20に電力エネルギーを供給すれば足りる。電力エネルギーは熱エネルギーに比し輸送時のエネルギーロスを小さくできる利点がある。例えば海面5の母船9上に改質器と燃料電池とを搭載し、母船9に集めたメタンガスの一部を改質器で水素に改質して燃料電池へ送り、燃料電池で発電した電力エネルギーをエネルギー輸送路38及び採掘基地30を介して採掘システムに供給する。また、採掘基地30に改質器と燃料電池とを装備し、採掘基地30において回収したメタンガスの一部を水素に改質して燃料電池へ送り、燃料電池で発電した電力エネルギーを採掘システムに供給してもよい。
削孔装置10の一例は、従来のトンネルの機械化削孔等で用いられるトンネルボーリングマシーンである。例えば、削孔装置10の先端部に削孔角度を任意に遠隔制御できる削孔用ビット11(図1参照)を設け、通信・制御ライン37(図9参照)を介してビット11の位置を検知しながら削孔角度を遠隔操作することにより採掘基地30からGH層2へ掘り進め、採掘基地30からGH層2へ向け傾斜角度が徐々に減少する水平向きの坑井(水平井)6を掘削する。更に、GH層2を切削しながらビット11を水平に掘進させ、削孔装置10の先端部の取入口12からGH層2の切削物Tを坑井6内に取り入れる。海底のGH層2は数十m程度の厚さで薄く広がっていると予想されるので、図示例のように水平に近い角度で坑井6を掘削しながらGH層2の切削物Tを取り入れることにより、薄く広く分布したGH層2の効率的な採掘が可能となる。但し、本発明は水平な坑井6の掘削に限定されず、図12のような垂直な坑井6を掘削する場合にも適用可能である。
分解装置20の一例は、図1(B)及び(C)に示すように、坑井6の断面外縁上に坑井6の長さ方向に沿って設けた外側筒状電極21と、外側電極21と対向する坑井6の軸線上に設けた内側筒状電極22と、両電極21、22の間に高周波交流電界を印加する電源23とを有する誘電加熱式の分解装置20aである。図示例の分解装置20aは、削孔装置10の先端部位に取入口12と隣接して取り付けられ、GH層2の切削物Tを取入口12から両電極21、22の間に取り込み、取り込んだ切削物Tに電磁波(高周波)を照射する。切削物Tに電磁波を照射した場合、誘電体である切削物T内のGH構成分子に分極した領域が生じ、GH構成分子の回転・振動・摩擦・衝突が発生し、その領域付近が加熱される。例えば、分解装置20aに電磁波の周波数及び/又は強度の調整手段を含め、GHが安定に存在する温度−圧力条件を外れるように印加する交流電界(すなわち、照射する電磁波)の周波数及び/又は強度を調整することにより切削物T中のGHの分解を促進する。但し、分解装置20の取り付け位置は坑井6の内側であれば足り、図示例に限定されない。
好ましくは、分解装置20aの照射する電磁波の周波数として、採掘対象のGH(例えばMH)によるエネルギー損失(=発熱量=周波数×非誘電損率)が大きい周波数を選択する。非特許文献5を参照して上述したように、採掘対象GHの誘電損失特性は、GHの温度と照射する電磁波の周波数とに依存すると予想される。例えば、掘削対象GHの温度と電磁波の周波数とに応じたエネルギー損失特性を実験的に求め、分解装置20aに取り込まれた切削物Tの温度に応じて切削物T中のGHに最大のエネルギー損失を与える周波数を選択する。
更に好ましくは、分解装置20aの照射する電磁波の周波数として、GHに吸収され易く且つ水に吸収され難い範囲の周波数、すなわち水に対するGHの損失が最大となる周波数を選択する。削孔装置10で掘削した坑井6の周囲には泥水や海水等が存在するので、分解装置20aの内部には取入口12から切削物Tと共に坑井周囲の水や泥、土砂等が同時に取り込まれる。また、分解装置20aの内部ではGHの分解により水(分解水)が生成される。従って図示例の分解装置20aにおいて、水によるエネルギー損失が大きいマイクロ波帯の電磁波を使用すると、水分子により電磁波エネルギーが奪われ、GHの効率的加熱が阻害されるおそれがある。加熱された水分子の伝熱によるGHの加熱は期待できるものの、水分子にエネルギーを奪われる分だけGHの分解効率は低くなる。マイクロ波の周波数帯を避け、例えばマイクロ波より低い数十Hz〜200MHzの範囲内でGHのエネルギー損失が大きい周波数を選択することにより、水や泥が存在する環境下でもGHを選択的に内部加熱させ、エネルギーロスを小さく抑えてGHの効率的な加熱が期待できる。更に、マイクロ波より周波数の低い(波長の長い)電磁波を用いることにより、GH塊に対する電磁波の浸透深度を大きくすることができ、様々な大きさのGH塊を急速且つ均一に分解する効果も期待できる。
照射する電磁波の周波数は、例えば通信・制御ライン37(図9参照)を介して母船9又は採掘基地30から電気的に制御することができる。また照射する電磁波の出力強度も、分解装置20aの内部に取り込んだ切削物Tの量や大きさに応じて、例えば急速で均一な加熱効果が得られるように、母船9又は採掘基地30から電気的に制御できる。すなわち図示例の採掘システムは、母船9又は採掘基地30から分解装置20aの周波数や出力強度を電気的に制御することができ、従来の外部加熱方式や減圧法等に比しGHの分解を比較的容易に管理できる利点を有する。
図1(B)及び(C)は、4枚の弧状電極21a、21b、21c、及び21dにより外側筒状電極21を形成し、4枚の弧状電極22a、22b、22c、及び22dにより内側筒状電極22を形成した二重筒型分解装置20aを示すが、電極21、22の構造及び配置は採掘対象GHの加熱ムラ等が発生しないように適宜に変更可能である。例えば、図2に示すように断面半円弧状のドーム型電極21、22の対により筒型分解装置20aを形成し、図3に示すように単独の外側筒状電極21と内側棒状電極22とにより筒型分解装置20aを形成することができる。
図5及び図6は、誘電加熱式の分解装置20aに代えて、超音波解凍式の分解装置20bを用いた本発明の実施例を示す。図5は、坑井6の断面外縁上に坑井6の長さ方向に沿って設けた筒状外側放射板24と、外側放射板24と対向する坑井6の軸線上に設けた内側放射板25と、放射板24及び25に接続した振動子26とを有する筒型分解装置20bの実施例を示す。また図6は、断面半円弧状のドーム型の超音波放射板24及び25の対により構成した筒型分解装置20bを示す。なお、図示例では超音波放射板24及び25に複数の振動子26を接続しているが、振動子26の数及び形状は超音波放射板24及び25の大きさ等に応じて適宜選択可能であり図示例の限定されない。
図5及び図6の分解装置20bは何れも、上述した誘電加熱式の分解装置20aと同様に、GH層2の切削物Tを両放射板24、25の間に取り込み、取り込んだ切削物Tに超音波を照射する。切削物T内に超音波が浸透した場合、GH構成分子に粒子速度の大きな領域が生じ、その領域付近の物質が加熱される。例えば、分解装置20bに超音波の周波数及び/又は出力強度(音圧)の調整手段を含め、GHが安定に存在する温度−圧力条件を外れるように超音波の周波数及び/又は強度を調整することにより、切削物T中のGHの分解を促進する。
超音波は水中での減衰が小さいので、分解装置20aの内部に海水や泥水が取り込まれた場合でも、放射板24、25から放射された超音波は比較的小さな減衰でGHに浸透することが期待できる。好ましくは分解装置20bの照射する超音波として、採掘対象GHによる減衰特性が大きい周波数を選択し、更に好ましくはGHに吸収され易く且つ水に吸収され難い範囲の周波数、すなわち水に対するGHの減衰が最大となる周波数を選択する。図8は、海水中、淡水中、及び氷中における超音波の周波数に応じた減衰特性(Attenuation、dB/m)の一例を示す。同図の氷の減衰特性と同様に、採掘対象GHの超音波減衰特性も周波数に依存すると考えられる。また、非特許文献3を参照して上述したように、超音波による解凍促進効果は温度にも依存し得る。従って、例えば水とGHの温度及び周波数に応じた超音波減衰特性を実験的に求め、分解装置20bに取り込まれた切削物Tの温度に応じて、水に対するGHの減衰が最大となる周波数で超音波振動板24、25を励振することにより、GHの一層効率的な内部加熱が期待できる。
また、超音波の周波数及び/又は強度をGHの熱伝達率が増加するように調整することにより、周囲の比較的高温の媒体(海水や泥水)から比較的低温のGHへの伝熱を促進し、水が存在する環境下でのGHの効率的な分解が期待できる。上述したように、超音波によりキャビテーション気泡を発生させると、GH近傍でキャビテーション気泡が崩壊する際に高速の微小噴流が発生し、GH近傍の温度境界層を撹拌することで熱伝達率が飛躍的に増加すると考えられる。また、周波数が低いほど強力な音響キャビテーションが得られるといわれている。従って、キャビテーション気泡を発生させる程度の低い周波数(例えば100kHz以下)の超音波を分解装置20bから照射することによりGHの熱伝達率を増加させ、GHと周囲媒体との伝熱を促進してGHの分解の効率化・急速化を図ることができる。また、周波数が高くても(例えば100kHz以上)、超音波の強度を十分大きくすることにより、音響流の流動効果を利用してGHの熱伝達率を高めることができる。
更に望ましくは、超音波放射板24、25の間に定在波を形成し、音圧の大きな部位(定在波の腹位置)を作り出すことにより、GHの加熱・分解の一層の効率化を図る。この場合、放射板24又は25の何れか一方を超音波反射板とすることができる。また、異なる周波数の超音波を切り替えながら連続照射することにより、音圧の大きな部位を移動させてGHの分解又は熱伝達率の均一化を図ることができる。但し、定在波の形成は本発明に必須ではなく、超音波放射板24、25の間の媒質による超音波減衰が大きいために十分な定在波を形成し難い場合でも、超音波の出力強度を高めることにより放射板24、25に近い領域の音圧を十分大きくし、GHを内部加熱させることは可能である。この場合、先ず放射板24、25の近傍領域のGHが分解されて分解水が発生し、次いでその分解水中を超音波が伝播してその遠方領域のGHが分解されるという順序で、超音波放射板24、25の間のGHの分解が徐々に進行する。なお、超音波解凍式の分解装置20bを用いた場合も、照射する超音波の周波数及び出力強度を母船9又は採掘基地30から電気的に制御することができる。
分解装置20で分解された分解生成ガスGは、回収装置14により坑井6を介して回収する。例えば回収装置14に吸気手段又は吸水手段を設け、分解装置20からの分解生成ガスを採掘基地30へ吸引する。図示例の回収装置14は分解装置20に連通させて坑井6内に設けた回収路15を有し、分解装置20から分解生成ガスGを回収路15経由で吸引する。分解生成ガスは、GHの分解時に生じた水(分解水)と共に輸送してもよい。
また図示例の回収装置14は、分解装置20と回収路15との間に、分解装置20で分解された分解生成ガス(例えばメタンガス)Gを分離すると共にガス分離後の残留物RをGH層2へ戻す分離機構16を設けている。分離機構16により分解生成ガスGを水や土砂等の残留物Rから分離して回収すれば、残留物Rと共に回収する場合に比し回収コストを節減し、GH採掘に要するエネルギーを削減できる。例えば分離機構16にガス分離膜又は脱気装置を含め、ガス分離膜又は脱気装置により分解生成ガスGを残留物Rから分離する。脱気装置として、特許文献3が開示するような超音波を利用した脱気装置を利用することができる。図示例では、排出路17を介してGH層2へ戻された水や土砂等の残留物Rが再び取入口12から取り込まれる可能性があるが、本発明では分解装置20においてGHを選択的に分解できるので、GH層2に戻された残留物RによりGH採掘の効率性が損なわれるおそれは小さい。
本発明は、加熱流体の長距離移動を伴わずに電磁波又は超音波の照射によりGH層を加熱するので、GH層の分解に伴うエネルギー損失を小さく抑え、採掘に必要なエネルギーに対する採掘した分解生成ガスのエネルギーの割合、すなわちGH採掘におけるエネルギー収支の効率を高めることができる。また、電磁波又は超音波の周波数及び強度を適当に選択することにより、水が存在する環境下でもGHを選択的に分解することができ、坑井周囲の水の影響を避けてGH層を効率的・経済的に採掘できる。更に、電磁波又は超音波の周波数や強度を電気的に制御してGHの分解の範囲や程度を比較的容易に管理できるので、GH層の空間的・時間的な分解促進制御への有効利用が期待できる。
こうして本発明の目的である「水が存在する環境下でもガスハイドレートを効率的に分解できるガスハイドレートの生産方法及びシステム」の提供を達成できる。
なお、図1の実施例は単独の坑井6によりGH層2を採掘する例を示すが、例えば図9に示す採掘基地30に複数の削孔装置10を装備し、採掘基地30から放射状に複数の坑井6を掘削し、複数の坑井6を介してGH層2を採掘することが可能である。また、図9に示すように採掘基地30の回りの同一角度向きに異なる深さで複数の坑井6を掘削し、異なる深さの複数の坑井6を介してGH層2を採掘することも可能である。
図4及び図7は、地盤中のGH層2に坑井6を掘削し、坑井6からGH層2に電磁波又は超音波を照射してGH層2中のGHを分解し、GH層2中の分解生成ガスGを坑井6経由で回収する本発明の実施例を示す。従来の熱刺激法、減圧法、分解促進剤注入法では、何れも坑井から離れたGH層の分解効率が低下する問題点があった。すなわち、熱刺激法では坑井周囲の水により熱が奪われ、坑井から離れた地層内のGHに対する効率的な熱供給が阻害される。また、減圧法では坑井から離れると減圧効果が及ばなくなり、分解促進剤注入法では坑井から離れた地層中には分解促進剤が届き難くなる。図4及び図7の実施例では、強度・周波数を適切に選択した電磁波又は超音波を利用することにより広範囲のGHを選択的に且つ均一に分解することができるので、従来方法に比し坑井から離れたGH層の分解効率向上が期待できる。
図4の実施例では、GH層2に坑井6の群を平行に掘削し、隣接する坑井6にそれぞれ誘電加熱式の分解装置20cを配置する。すなわち、隣接する坑井6にそれぞれ電極21及び22を対向させて取り付け、電源23により両電極21、22の間に高周波交流電界を印加することにより隣接する坑井6の間のGH層2に電磁波を放射する。図示例は一列に配置した坑井6の群を示すが、例えば坑井6の群を環状に配置することにより、坑井6の群で囲まれたGH層2の全体に電磁波を放射することも可能である。電磁波が放射されたGH層2ではGH構成分子の回転・振動・摩擦・衝突が発生し、その領域付近が内部加熱されて分解が進行する。坑井周囲のGH層2は水が存在する環境であるが、上述したようにGHに吸収され易く且つ水に吸収され難い周波数を選択することにより、水による電磁波エネルギーの吸収を避けつつGHを選択的に加熱することが可能であり、比較的広範囲のGH層2の効率的な分解が期待できる。また、周波数の低い電磁波を用いることにより電磁波の浸透深度を大きくし、広範囲のGH層2を均一に分解する効果も期待できる。
図7の実施例は、誘電加熱式の分解装置20cに代えて、超音波解凍式の分解装置20dを配置した実施例を示す。すなわち、隣接する坑井6にそれぞれ超音波放射板24及び25を取り付け、振動子26により両放射板24、25を振動させることにより隣接する坑井6の間のGH層2に超音波を放射する。放射板24又は25の何れか一方を超音波反射板としてもよい。超音波は水中での減衰が小さいので、GH層2に水が存在する環境であっても、放射板24、25から放射された超音波は比較的小さな減衰でGHに浸透し得る。また、GHに吸収され易く且つ水に吸収され難い周波数を選択することにより、比較的広範囲のGH層2の一層効率的な分解が期待できる。更に、周波数及び/又は強度をGHの熱伝達率が増加するように調整することにより、周囲の水からGHへの伝熱を促進してGHの分解の効率化を図ることができる。超音波放射板24、25の間に定在波を形成することが望ましいが、定在波を形成し難い場合でも、例えば超音波の出力強度を高めることによりGHを内部加熱させて分解することが可能である。
図4及び図7の実施例では、電磁波又は超音波の照射により分解したGH層2の分解生成ガスGを回収装置14により坑井6を介して回収する。図示例では、坑井6をスリット等の取入孔18を適宜設けた透水性又は透気性のケーシングパイプ製等とし、回収装置14に吸水手段又は吸気手段と取入孔18とを含め、GH層2の分解生成ガスGを取入孔18及び坑井6内の回収路15経由で吸引することにより回収する。更に図示例では、取入孔18と回収路15との間に分離機構16(例えば、上述したガス分離膜、脱気装置等)を設け、取入孔18経由で坑井6内に導びかれたGH分解物のうち分解生成ガスGを分離して回収路15へ送り、ガス分離後の残留物Rを地層2へ戻している。分解生成ガスGを残留物Rから分離して回収することにより回収コストの節減を図り、GH採掘に要するエネルギーの削減を図ることができる。
図4及び図7の採掘システムにおいても、電磁波又は超音波の周波数や出力強度を電気的に制御することが可能である。例えば従来の減圧法では、長さ1000m以上の坑井の減圧を通じて海底のGH層2の圧力を制御しなければならず、GH層2の空間的・時間的な分解制御を詳細に行うことが難しい問題点があった。GH層2は地盤の安定にも寄与しており、GH層2の採掘に際しては、坑井壁面や海底地盤の安定性・安全性を確保しながらGH層2の分解の範囲や程度を綿密に管理できることが望ましい。図示例の採掘システムによれば、電磁波又は超音波の周波数や出力強度を電気的に制御することにより、GH層2の分解の範囲や程度を比較的容易に且つ詳細に管理できる可能性がある。
図10は、GH層2に平行に掘削した隣接する坑井6にそれぞれ電極21又は22と超音波放射板24又は25とを有する誘電加熱・超音波解凍式の分解装置20eを配置し、電磁波と超音波との協働作用によってGH層2の分解を促進する実施例を示す。図示例の分解装置20eは、電源23により両電極21、22の間に交流電界を印加してGH層2に電磁波を放射できると共に、振動子26により両放射板24、25を振動させてGH層2に超音波を放射することができる。例えば図示例のように、隣接する坑井6の間に電磁波を照射してGHの内部加熱による分解領域(同図の左右斜め斜線の交差領域)を形成した後、その分解領域内に超音波を放射することにより分解領域とその周囲の未分解領域(同図の右斜め斜線領域)との伝熱を促進して分解領域を周囲に拡大する。図示例では、この分解領域の拡大を白抜き矢印で示す。電磁波及び超音波の交互の照射により広範囲のGH層を効率的に分解できるが、電磁波及び超音波の同時照射により同様の効果を得ることも可能である。図1〜図3において、誘電加熱式の分解装置20aに代えて図10の誘電加熱・超音波解凍式の分解装置20eを坑井6の内側に配置し、坑井6内に取り込んだ地層切削物Tを分解装置20eで分解することも可能である。
なお、図4、図7及び図10は垂直に掘削した坑井6の群に適用した採掘システムを示すが、図4、図7及び図10の採掘システムを水平に掘削した複数の坑井6の群に適用することも可能である。例えば、図9に示す採掘基地30から放射状に複数の水平な坑井6を掘削し、それらの坑井6の群に図示例の採掘システムを適用してGH層2を採掘することが可能である。
超音波及び/又は電磁波によりガスハイドレートの分解を促進する本発明の手法は、低温・高圧環境にある管路内や地底・海底の工作物の周囲に生成したGHの分解にも適用可能であり、例えば流体管路の閉塞防止や工作物の操作障害の防止等にも有効に利用できる。図11は、GH層2内に掘削した坑井6内に生じたGHによる閉塞部41の分解を電磁波により促進する実施例を示す。例えば同図(A)に示すように、坑井6に沿って挿入された導電性ケーシングパイプ40と坑井6内に配置した電極21との間に高周波交流電界を発生させ、閉塞部41に電磁波を照射してGHの分解を促進する。同図(B)に示すように、坑井6内に挿入した一対の電極21、22により交流電界を発生させてもよい。
また、本発明における超音波及び/又は電磁波による加熱・伝熱促進手法は、地下工事等における凍結地盤の解凍促進にも応用可能である。例えば、シールドトンネル工事では、発進・到達用の立坑部やトンネルの地中接合部等において止水や山留めを目的とした凍結工法が実施されるが、地盤の解凍に伴う沈下防止等の後処理が必要であり、自然解凍では工期が長くなるという問題点があった。例えば、凍結工法の適用対象地盤の誘電損失特性や超音波物性を予め測定し、凍結地盤の解凍に適した電磁波や超音波の周波数及び/又は出力強度を実験的に把握し、その周波数及び/又は出力強度を用いた図示例の分解装置20a〜20eを凍結地盤へ送り込むことにより、凍結地盤の解凍を促進することができる。超音波又は電磁波による加熱・伝熱促進手法を適用することにより、凍結工法における後工程の短縮を図り、工期短縮、コスト削減といった効果が期待できる。
本発明の一実施例の説明図である。 電磁波を用いた分解装置の一例の説明図である。 電磁波を用いた分解装置の他の一例の説明図である。 本発明の他の実施例の説明図である。 超音波を用いた分解装置の一例の説明図である。 超音波を用いた分解装置の他の一例の説明図である。 超音波を用いた本発明の一実施例の説明図である。 海水(seawater)中、淡水(water)中、及び氷(ice)中の超音波の減衰特性を示すグラフである。 ガスハイドレート層の採掘方法の一例の説明図である。 電磁波及び超音波を用いた分解装置の一例の説明図である。 本発明の他の実施例の説明図である。 従来の海洋ガス・天然ガスの採掘方法の説明図である。
符号の説明
1…海底地盤 2…ガスハイドレート層
3…フリーガス層 4…海底面
5…海面 6…坑井
8…掘削リグ 9…作業船
10…削孔装置 11…削孔用ビット(カッター)
12…取入口 14…回収装置
15…回収路 16…分離機構
17…排出路 18…取入孔
20…分解装置 21…電極
22…電極 23…電源
24…超音波放射板 25…超音波放射板
26…振動子 30…採掘基地
31…ボーリング装置 34…回収装置
35…探査手段 36…沈設手段
36a…ケーブル 37…通信・制御ライン
38…エネルギー輸送路 39…気密輸送路

Claims (13)

  1. 地盤中のガスハイドレート含有地層を切削して坑井を掘削し、前記坑井内に周波数調整可能な誘電加熱式又は超音波解凍式の分解装置を配置し、前記坑井内の地層切削物に当該切削物の温度に応じて水に対するガスハイドレートの電磁波損失又は超音波減衰が最大となる周波数の電磁波又は超音波を照射して当該切削物中のガスハイドレートを選択的に分解し、分解生成ガスを前記坑井経由で回収してなるガスハイドレートの生産方法。
  2. 請求項1の方法において、前記地層切削物のガス分離後の残留物を前記地層へ戻してなるガスハイドレートの生産方法。
  3. 地盤中のガスハイドレート含有地層に坑井を掘削し、前記坑井内に周波数調整可能な誘電加熱式又は超音波解凍式の分解装置を配置し、前記坑井から前記地層に当該地層の温度に応じて水に対するガスハイドレートの電磁波損失又は超音波減衰が最大となる周波数の電磁波又は超音波を照射して当該地層中のガスハイドレートを選択的に分解し、前記地層中の分解生成ガスを前記坑井経由で回収してなるガスハイドレートの生産方法。
  4. 請求項3の方法において、前記地層中のガスハイドレート分解物を坑井内に導いて分解生成ガスを分離すると共にガス分離後の残留物を前記地層へ戻してなるガスハイドレートの生産方法。
  5. 請求項1から4の何れかの方法において、前記電磁波の周波数を数十Hz〜200MHzの範囲に調整してなるガスハイドレートの生産方法。
  6. 請求項1から4の何れかの方法において、前記超音波の周波数を100kHz以下としてなるガスハイドレートの生産方法。
  7. 地盤中のガスハイドレート含有地層を切削して坑井を掘削する削孔装置、前記坑井内に配置され且つ坑井内の地層切削物に当該切削物の温度に応じて水に対するガスハイドレートの電磁波損失又は超音波減衰が最大となる周波数の電磁波又は超音波を照射して当該切削物中のガスハイドレートを選択的に分解する周波数調整可能な誘電加熱式又は超音波解凍式の分解装置、及び分解生成ガスを前記坑井経由で回収する回収装置を備えてなるガスハイドレートの生産システム。
  8. 請求項7のシステムにおいて、前記回収装置に、前記地層切削物から分解生成ガスを分離すると共にガス分離後の残留物を前記地層へ戻す分離機構を含めてなるガスハイドレートの生産システム。
  9. 地盤中のガスハイドレート含有地層内に掘削した坑井内に配置され且つ前記地層に当該地層の温度に応じて水に対するガスハイドレートの電磁波損失又は超音波減衰が最大となる周波数の電磁波又は超音波を照射して当該地層中のガスハイドレートを選択的に分解する周波数調整可能な誘電加熱式又は超音波解凍式の分解装置、及び前記地層中の分解生成ガスを前記坑井経由で回収する回収装置を備えてなるガスハイドレートの生産システム。
  10. 請求項9のシステムにおいて、前記回収装置に、前記地層中のガスハイドレート分解物を前記坑井内に導いて分解生成ガスを分離すると共にガス分離後の残留物を坑井周囲の地層へ戻す分離機構を含めてなるガスハイドレートの生産システム。
  11. 請求項8又は10のシステムにおいて、前記分離機構にガス分離膜又は脱気装置を含めてなるガスハイドレートの生産システム。
  12. 請求項7から11の何れかのシステムにおいて、前記分解装置により数十Hz〜200MHzの周波数の電磁波を照射してなるガスハイドレートの生産システム。
  13. 請求項7から11の何れかのシステムにおいて、前記分解装置により100kHz以下の周波数の超音波を照射してなるガスハイドレートの生産システム。
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