JP4659232B2 - 帯電不織布 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この出願発明は、フィルターやマスクなどに用いられる帯電不織布に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
空気中の塵埃を捕集するために、様々な空気濾過材が用いられているのは周知の通りである。このような空気濾過材には、圧力損失が低く、しかも塵埃の捕集効率は可能な限り高いことが望まれており、種々の技術が提案されてきた。
その中にあって、異なる繊維成分同士が摩擦によって帯電する現象は古くから知られており、圧力損失の増大に繋がる繊維の見掛け密度を上げることなく、繊維ウエブの調製時に生じる繊維間摩擦を利用した帯電により捕集効率を向上させ得る技術として注目されている。
このような摩擦を利用した帯電不織布として、摩擦に関与する繊維成分を選択することにより、種々の組合せが提案されている。その一例として、米国特許第4,798,850号公報には、清浄なポリオレフィン系繊維と清浄なアクリル系繊維とをカード機によって繊維ウエブとして形成し、この際の繊維間摩擦を利用して帯電不織布を得る技術が開示されている。
尚、この出願明細書では、繊維表面に付着する潤滑剤や帯電防止剤といった帯電を妨げる表面処理剤やオリゴマーなどが、温水、非イオン性界面活性剤、アルカリ性水溶液、アルコールなどによって洗浄除去された繊維の状態を「清浄な」と称する。
この米国特許第4,798,850号公報に開示されるポリオレフィン系繊維として、ポリエチレン樹脂、エチレン−プロピレン共重合体またはポリプロピレン樹脂などを構成する炭化水素の一部をシアノ基、またはフッ素或いは塩素といったハロゲンで置換した構造のものが挙げられている。また、アクリル系繊維として、アクリロニトリルと塩化ビニルまたは塩化ビニリデンとを共重合したモダクリル繊維が開示されている。
【0003】
さらに、特開平7−256024号公報では、上述したポリオレフィン系繊維をポリプロピレン樹脂とポリエチレン樹脂とを芯鞘型またはサイドバイサイド型に配置した複合繊維とし、アクリル系繊維をハロゲン不含のポリアクリロニトリル繊維とし、これら2種類の繊維を摩擦帯電させ、しかも上記複合繊維によって熱融着性を持たせることが可能な空気濾過材を開示している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
このように、従来知られている帯電不織布として、ポリオレフィン系繊維とアクリル系繊維との組み合わせのうち、米国特許第4,798,850号公報ではシアノ基またはハロゲンで一部置換を受けたポリオレフィン系繊維とモダクリル繊維との組み合わせが開示され、特開平7−256024号公報では加熱成型などを考慮してポリプロピレン/ポリエチレンからなる熱融着性のポリオレフィン系繊維とハロゲン不含のアクリル系繊維とを組み合わせたものが開示されているが、低い圧力損失で、より帯電性能を高めた捕集効率の優れた帯電不織布が望まれていた。
【0005】
また、帯電不織布を用いて一定量で供給された塵埃を捕集する際、縦軸に捕集効率、横軸に時間(または粉じん供給量)をとって経時的変化を測定すると、比較的初期の段階では帯電が徐々に中和されて行くために捕集効率低下が見られる。
さらに測定を継続すると、帯電不織布内に捕集された塵埃によって不織布に目詰まりを生じ、見かけ上の捕集効率は上昇傾向を示す。この目詰まりによる捕集効率の向上はメカニカル濾過とも言われ、圧力損失の上昇を伴うものであるが、この様な一連の現象は、その捕集効率曲線の形状からボトムダウン現象と称される。
フィルターやマスクの分野では、このボトムダウン現象における捕集効率の低下をできるだけ起こさない帯電不織布が望まれていた。
【0006】
この出願発明者らは、種々検討した結果、特定の添加剤を組合わせて使用したポリオレフィン系繊維を用いることによって帯電性能が向上し、これらの添加剤を組合わせていないポリオレフィン系繊維を用いた帯電不織布に比べて、高い初期捕集効率を有する帯電不織布が得られることを見出しこの出願発明を完成した。
また、この出願発明者らは特定の添加剤の量を一定量以上とすることにより、上記のボトムダウン現象における捕集効率の低下を防ぎ、高い捕集効率を維持できる帯電不織布を見出しこの出願発明を完成した。
従って、この出願発明の目的は他のフィルタ条件が同じ場合に、より優れた帯電性能を有する初期捕集効率の向上した帯電不織布を得ることにあり、また、望ましくは継続使用した際に高い捕集効率を維持できる帯電不織布を得ることにある。
【0007】
【発明を解決するための手段】
この目的の達成を図るため、この出願発明の帯電不織布の構成によれば、アクリル系繊維と、リン系添加剤とイオウ系添加剤とを含有するポリオレフィン系繊維とを含み、前記リン系添加剤と前記イオウ系添加剤とが前記ポリオレフィン系繊維にのみ含有されており、ウエブ形成装置により各繊維成分を互いに摩擦することにより帯電してなることを特徴としている。
また、この出願発明の帯電不織布は好ましくは上記リン系添加剤のポリオレフィン系繊維中に占める割合が0.2重量%以上であることを特徴としている。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、この出願発明の実施に好適な形態につき説明する。上述した通り、この出願発明の特徴は、ポリオレフィン系繊維とアクリル系繊維とを組み合わせた帯電不織布であって、このポリオレフィン系繊維がリン系添加剤とイオウ系添加剤とを含有していることにある。
【0009】
この出願発明に使用されるポリオレフィン系繊維を形成する樹脂にはポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリスチレン樹脂、酢酸ビニル共重合体樹脂、エチレン−プロピレン共重合体または、これら樹脂の一部をシアノ基やハロゲンで置換した樹脂などを単独若しくは複数組み合わせたものや、複合繊維として組み合わせたものを用いることができる。
さらには、例えば芯鞘型の複合繊維において、芯成分としてポリオレフィン系樹脂以外の樹脂を使用し、鞘成分として繊維表面に上記ポリオレフィン系樹脂を備えた場合であっても良い。とくに、好ましい樹脂はポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂である。
【0010】
この出願発明に使用するポリオレフィン系繊維には、リン系添加剤とイオウ系添加剤とが含有される。リン系添加剤のみではその添加量を増加させても、得られる帯電不織布はある水準以上に初期捕集効率が向上しないが、イオウ系添加剤を併用したポリオレフィン系繊維を使用することによって初期捕集効率が向上する。なお、ポリオレフィン系繊維中には、リン系添加剤とイオウ系添加剤に加えて、更に、フェノール系、アミン系などの他の添加剤が含まれていても良い。
また、ポリオレフィン系繊維中にリン系添加剤は0.01重量%以上含有されていることが望ましく、とくに0.2重量%以上含有させると、得られる帯電不織布に、いわゆるボトムダウン現象がおきにくくなり、捕集効率の低下を防止できるので良い。
【0011】
上記リン系添加剤としては、トリスノニルフェニルホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールホスファイト、ビス(2,6,ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)オクチルホスファイト、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレン−ジ−ホスホナイト、ビス(2,4−ビス(1,1−ジメチルエチル)−6−メチルフェニル)エチルエステル亜リン酸、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)(1,1−ビフェニル)−4,4’−ジイルビスホスフォナイト、ビス(ビス(2,4−ジ−t−ブチル−5−メチルフェノキシ)ホスフィノ)などのリン系酸化防止剤などが好適に使用できる。
【0012】
上記リン系添加剤がポリオレフィン系繊維中に0.2重量%以上含まれていると、粒子の捕集に伴う帯電能力の低下による捕集効率の低下が生じにくくなる傾向があり、ボトムダウン現象における最低の捕集効率が高くなるので良い。この傾向はリン系添加剤の量が増えるとより顕著になるため、好ましくはリン系添加剤がポリオレフィン系繊維中に0.3重量%以上含まれていると良く、より好ましくは0.6重量%以上含まれていると良い。
ただし、添加剤があまり多く含まれると繊維の紡糸性が悪くなるため、リン系添加剤とイオウ系添加剤の合計量が5重量%は越えない方が良く、好ましくは2重量%以下、より好ましくは1重量%以下であるのが良い。
【0013】
この出願発明に使用するポリオレフィン系繊維には、上記リン系添加剤と共にイオウ系添加剤が含まれる。イオウ系添加剤としては、ジラウリル−3,3’−チオジプロピオネート、ジミリスチル−3,3’−チオジプロピオネート、ジステアリル−3,3’−チオジプロピオネート、ペンタエリスリトールテトラキスなどのイオウ系酸化防止剤などが好適に使用できる。リン系添加剤と共にイオウ系添加剤を共存させると、リン系添加剤のみを用いた場合と比べて、得られる帯電不織布の初期捕集効率が向上する。イオウ系添加剤はポリオレフィン系繊維中に0.01重量%以上含まれていることが望ましく、0.1重量%以上含まれていると初期捕集効率がより向上するので好ましい。
【0014】
この出願発明で使用されるアクリル系繊維は特に限定されるものではなく、モダクリルやポリアクリロニトリルなどを単独若しくは複合繊維として組合わせたものを用いることができる。このうち、とくに硝酸、塩化亜鉛水溶液、塩化カルシウム水溶液、ロダン塩(チオシアン酸ナトリウム、チオシアン酸カリウム、チオシアン酸カルシウム)水溶液などの無機系溶媒を用いて紡糸したポリアクリロニトリル系のアクリル系繊維を使用すると、帯電能力の低下を抑制し、捕集効率の低下を起こしにくい帯電不織布が得られる。
【0015】
これら無機系溶媒によって紡糸された市販のアクリル系繊維として、「ベスロン」(東邦レーヨン(株)製,商品名)、「カシミロン」(旭化成工業(株)製,商品名)、「エクスラン」(日本エクスラン工業(株),商品名)、「クレスラン」(米国American Cyanamid Co.製,商品名)、「ゼフラン」(米国The DowChemical Co.製,商品名)、「コーテル」(英国Courtaulds Co.製,商品名)などが挙げられる。これら無機系溶媒によって紡糸調製されたアクリル系繊維の使用が帯電能力の低下を抑制し、捕集効率の低下を起こしにくくする理由は明らかではない。
しかし、モダクリル系繊維や有機系溶媒で紡糸調製されたポリアクリロニトリル系繊維の殆どは、くびれた異形断面を持ち、上述した無機系溶媒で紡糸調製されたポリアクリロニトリル系繊維の殆どが略円形断面を有することから、この略円形の繊維断面が摩擦帯電後の帯電状態などに有利に作用するものと考えられる。
【0016】
この出願発明におけるポリオレフィン系繊維とアクリル系繊維との重量混合比は、摩擦による帯電効率を確保するために30:70〜80:20の範囲内とするのが好適である。
この出願発明の帯電不織布は、これらポリオレフィン系繊維及びアクリル系繊維のみにより構成するのが好ましいが、これに限定されるものではなく、この他の樹脂からなる繊維成分は、帯電不織布に占める重量比率で30重量%以下程度であれば、実質的に同等の効果を期待し得る。
【0017】
また、繊維成分における前述の表面処理剤などの残留量、即ち、例えば60〜80℃の温水で30分洗浄し、80℃で乾燥を行った繊維を、メタノールで再度洗浄抽出することによって減少する重量が、メタノールなどのアルコールによる抽出前の繊維重量に占める割合を0.2重量%以下、好ましくは0.15重量%以下とするのが好適である。温水などで洗浄した繊維における残留物の量が繊維の清浄の程度を表す。
【0018】
なお、帯電不織布はスパンボンド不織布などの他の不織布や、ネット、織物、編物などの補強材によって補強しても良い。補強材は帯電不織布の製造工程において、ウェブ形成工程などで帯電した繊維ウェブと積層し、ニードルパンチなどの絡合手段や接着手段により一体化される。
補強材と一体化されることで、その後の工程における帯電不織布の形態安定性が増すと共に、得られる帯電不織布の強度も向上し、取扱いやすくなる。とくに、補強材には圧力損失が低く、強度のあるものを使用するのが好ましく、また、繊維油剤などの付着ができるだけないものの方が捕集効率の経時的な低下が起きにくいので良い。
【0019】
以下、この出願発明の帯電不織布を得るのに好適な製造工程を例示により説明する。まず、上述した組み合わせを含む複数の繊維成分を所定の重量混合比で開繊・混綿した後、これら繊維成分を温水などにより洗浄して清浄化する。然る後、これら繊維を周知のウエブ形成装置にかけ、各繊維成分を互いに摩擦することにより帯電した繊維ウエブを形成する。
ここに言うウエブ形成装置とは、繊維成分同士を摺擦して帯電することが可能なフラットカードやローラーカードに代表されるカード機の他、ガーネット機或いはエアレイ法に属する装置を表す。このエアレイ法に属する装置として、例えばこの出願の出願人が特開平5−9813号公報に開示するような、複数の開繊シリンダーをハウジング内に収納し、これらシリンダーを高速回転させることによってシリンダーの周縁に積極的に空気流を発生させ、この空気流によって繊維成分を所定方向に吹き飛ばし得る装置が挙げられる。
特に、このエアレイ法によるウエブ形成は、空気流を積極的に発生させる過程で繊維同士が摺擦されるエネルギーが大きいため、カード機などに比べて良好な帯電状態を実現することができる。
【0020】
このようなウエブ形成装置により得られた繊維ウエブをそのまま帯電不織布として利用することもできるが、主としてウエブ強度を高めるため、また、補助的な摩擦帯電を図るためにニードルパンチ法、水流絡合法などによる繊維絡合を行うのが好適である。
【0021】
また、この絡合の際に、スパンボンド不織布などの他の不織布や、ネット、織物、編物などの補強材を繊維ウェブと積層、または繊維ウェブ内に挿入して絡合しても良い。補強材で補強することにより、工程安定性が得られると共に、得られる帯電不織布の強度も向上し、取扱い性に優れたものとなる。
【0022】
この出願発明の帯電不織布は繊維ウエブ作製時に帯電が実現されるため、コロナ放電処理のように効率的な帯電を実現するための設計上の制約が少なく、用途に応じた面密度及び厚さで作製することができる。
しかし、ウエブ強度を確保するために、面密度は好ましくは40g/m以上、前述したメカニカル濾過を利用するために、より好適には150g/m以上とするのが良い。
【0023】
【実施例】
以下、この出願発明の実施例につき説明する。尚、この実施例では、この出願発明の理解を容易とするため、特定の数値条件などを例示するが、この出願発明はこれら特定条件にのみ限定されるものではなく、この出願発明の目的の範囲内で任意好適な設計の変更及び変形を行うことができる。
【0024】
この出願発明の実施例では、アクリル系繊維として商品名「ベスロンW241B」(東邦レーヨン(株)製、繊度2.2デシテックス、繊維長51mm)の無機系溶媒で紡糸調製されたポリアクリロニトリル繊維を使用し、一方、ポリオレフィン系繊維として各々表1に示す配合でイオウ系酸化防止剤「ヨシノックスDMTP(吉冨製薬(株)製、ジミリスチル−3,3’−チオジプロピオネート)とリン系酸化防止剤「Irgafos168」(チバガイギー(株)製、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト)とを含むポリプロピレン繊維(繊度2.2デシテックス、繊維長51mm)を使用した。各繊維を重量混合比がポリオレフィン系繊維/アクリル系繊維=40/60となるように混綿した後、温水で清浄化を図った。なお、清浄化した繊維は別途、メタノール抽出法により繊維に残留する表面処理剤などが0.15重量%以下であることを確認した。これらの混綿されており清浄化されている繊維をカード機またはエアレイ機にかけてウエブ形成し、針密度50本/cmの条件でニードルパンチ法による絡合を行うことにより面密度130g/mの帯電不織布を作製した。
【0025】
【表1】
Figure 0004659232
【0026】
次いで、これら帯電不織布の評価方法について説明する。この実施例では、初期捕集効率及びボトムダウン改善効果を評価する測定法の一例として、防じんマスクに適用されている「防じんマスクの規格」(昭和63年労働省告示第19号)第6条に記載される試験方法に準じて行った。
まず、粉じんの通過面積が直径85mmの円形となるように各帯電不織布を所定形状に裁断して測定サンプルとし、規定の測定装置に装着する。次いで、粒径が2μm以下の石英を粉じんに用い、粉じん濃度が30±5mg/m、かつ流量を30リッター/分(0.03m/分)として粉じんを測定サンプル上流側から供給し、測定サンプル上流側及び測定サンプル下流側の粉じん量を光散乱式粉じん濃度計で測定した。この測定結果は、供給された粉じん量と下流側で観測された粉じん量との差(補修された粉じん量)を、供給された粉じん量で除した割合を百分率で表したものを捕集効率(%)として経時的に記録した。さらに、各測定点での圧力損失は、測定試料上流側と同下流側での圧力差をマノメーターで測定、記録した。
これらの結果につき、図を参照して説明する。
【0027】
図1から図4は、実施例1、2及び比較例1、2に係る4種類の帯電不織布を測定サンプルとし、各測定サンプルに対する粉じん供給量が合計100mgとなるまでの測定を行った際の捕集効率を各々プロットした捕集効率曲線である。縦軸は捕集効率(%)をとり、横軸は測定開始からの粉じん供給量(mg)をとって示す。
【0028】
まず、実施例1の帯電不織布は、図1に示すように、測定開始時の初期捕集効率は約85%と後述する比較例2と比べて2割近く高かった。また、捕集効率の最小値は粉じん供給量が50mgにおいて約66%で、最小値に至るまでに捕集される粉じん量が各比較例に比べて多く、また捕集効率の最小値も各比較例よりも高く、優れた粉じんの捕集能力を示した。
【0029】
また、実施例2の帯電不織布は、図2に示すように、測定開始時の初期捕集効率は約79%と添加剤の合計量が倍以上である比較例2よりも高かった。また、捕集効率の最小値は粉じん供給量が50mgにおいて約53%で、最小値に至るまでに捕集される粉じん量が各比較例に比べて多く、また捕集効率の最小値もリン系添加剤の含有率の高い実施例1とは差があるものの、添加剤量の多い比較例2とは遜色がなく、比較例1よりも優れていた。
【0030】
比較例1の帯電不織布は、図3に示すように、測定開始時の初期捕集効率は約66%と低く、しかも、捕集効率の最小値は粉じん供給量が40mgにおいて約45%で、最小値に至るまでに捕集される粉じん量が各実施例に比べて少なく、また捕集効率の最小値も低く、捕集能力が劣っていた。
【0031】
比較例2の帯電不織布は、リン系添加剤の量が比較例1に比べて7倍も含まれているにもかかわらず、図4に示すように、測定開始時の初期捕集効率は約68%と低く、しかも、捕集効率の最小値は粉じん供給量が35mgにおいて約53%で、最小値に至るまでに捕集される粉じん量が各実施例に比べて少なかった。
【0032】
これらの結果から理解できるように、清浄なポリオレフィン系繊維と清浄なアクリル系繊維の組合わせで構成した帯電不織布において、ポリオレフィン系繊維中にリン酸系酸化防止剤からなるリン系添加剤とイオウ系酸化防止剤からなるイオウ系添加剤との双方を含有させた実施例のものは、高い初期捕集効率が得られ、ボトムダウン現象による捕集効率の最小値に至るまでに捕集できる粉じん量が多く、粉じんの捕集能力に優れている。
【0033】
また、相対的にリン酸系酸化防止剤からなるリン系添加剤の量が多い実施例1では、実施例2に比べて捕集効率の最小値が高く、粉じんの捕集によるボトムダウン現象が起きにくく、長期にわたって高い捕集効率が持続できる優れた帯電不織布であることが理解できる。
【0034】
なお、これら4種類の帯電不織布について初期の圧力損失を測定したところ、いずれも同程度の圧力損失を示した。
【0035】
以上、この出願発明の実施例につき、防じんマスクの評価方法を参照して説明したが、この出願発明の技術は係る用途に限定して用いるものではなく、空気濾過材一般に適用することができる。また、この出願発明の帯電不織布を濾過材として使用する場合、単独でも使用できるが、他の濾過材と組合わせて使用してもよい。
更に、この出願発明の帯電不織布の優れた帯電特性を利用してワイピングクロスなどに使用することもできる。
【0036】
【発明の効果】
この出願発明の帯電不織布は、アクリル系繊維と、リン系添加剤とイオウ系添加剤とを含有するポリオレフィン系繊維とを含むため、優れた帯電状態を実現することができるので、初期捕集効率が高く、ボトムダウン現象による捕集効率の最小値に至るまでに捕集できる粉じん量が多く、優れた捕集能力を有する。従って、この出願発明を適用することにより、優れた濾過性能を有する種々の空気濾過材を提供することができる。
【0037】
また、とくにリン系添加剤を繊維重量に対して0.2重量%以上含ませることで、帯電状態の低下が抑制されることによってボトムダウン現象の改善を図り、長期にわたって高い捕集効率を持続できる、優れた帯電状態を持つ帯電不織布を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例1に関する評価試験結果を説明するための特性曲線図
【図2】 実施例2に関する評価試験結果を説明するための特性曲線図
【図3】 比較例1に関する評価試験結果を説明するための特性曲線図
【図4】 比較例2に関する評価試験結果を説明するための特性曲線図

Claims (6)

  1. アクリル系繊維と、リン系添加剤とイオウ系添加剤とを含有するポリオレフィン系繊維とを含み、前記リン系添加剤と前記イオウ系添加剤とが前記ポリオレフィン系繊維にのみ含有されており、ウエブ形成装置により各繊維成分を互いに摩擦することにより帯電してなることを特徴とする帯電不織布。
  2. リン系添加剤を繊維重量に対して0.2重量%以上含むことを特徴とする請求項1に記載の帯電不織布。
  3. イオウ系添加剤を繊維重量に対して0.1重量%以上含むことを特徴とする請求項1または2に記載の帯電不織布。
  4. 補強材によって補強されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の帯電不織布。
  5. 繊維が、メタノールで洗浄抽出することによって減少する重量が、抽出前の繊維重量に占める割合の0.2重量%以下の繊維であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の帯電不織布。
  6. 繊維が、温水、非イオン性界面活性剤、アルカリ性水溶液、アルコールのいずれかで洗浄されることで調製されることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の帯電不織布。
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