JP4650001B2 - ポリエステル重縮合用触媒、その製造法、およびその重縮合用触媒を用いたポリエステル樹脂の製造方法 - Google Patents
ポリエステル重縮合用触媒、その製造法、およびその重縮合用触媒を用いたポリエステル樹脂の製造方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP4650001B2 JP4650001B2 JP2005014379A JP2005014379A JP4650001B2 JP 4650001 B2 JP4650001 B2 JP 4650001B2 JP 2005014379 A JP2005014379 A JP 2005014379A JP 2005014379 A JP2005014379 A JP 2005014379A JP 4650001 B2 JP4650001 B2 JP 4650001B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- polyester
- catalyst
- titanium
- polycondensation
- compound
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Active
Links
Landscapes
- Polyesters Or Polycarbonates (AREA)
Description
特許文献1及び2の方法はチタン元素、マグネシウム元素及びリン元素を含む溶液を2段または3段で分割添加しているが、工業生産で分割添加を採用する場合には、生産性、或いは得られるポリエステルの性能及び製品品質の安定性等の点から、反応系内で重縮合用触媒成分を所定の濃度とするために添加方法等を厳密にコントロールする必要がある。
添加して触媒溶液を調製した例が記載されている(特許文献3)。該触媒溶液は、チタン元素、リン元素及びマグネシウム元素を含む触媒溶液であるため、反応系への触媒成分の分割添加の必要がなく、工業的に有利な方法と考えられる。しかしながら、本発明者による検討では、該触媒溶液は長期安定性に欠け、数日の保存で白濁し、金属成分の析出が見られスラリー状となる。この結果、該触媒溶液をポリエステルの重縮合反応に精度よく添加するのが困難となり、また、スラリー状の触媒が触媒貯槽や触媒添加ライン中で沈降し、スケーリングしてしまうなど、取り扱い性に劣るという問題があることが判明した。
即ち、本発明の要旨は、(i)アルコール、アルカリ土類金属化合物、及び酸性リン酸エステル化合物をあらかじめ混合する工程、及び、(ii)工程(i)で得られた混合溶液にさ
らにチタン化合物を混合する工程、を有し、該酸性リン酸エステル化合物が下記一般式(1)で表されることを特徴とする、チタン、アルカリ土類金属、およびリンを含有する液状ポリエステル重縮合用触媒の製造方法、に存する。
アリール基を示す)
他の要旨は、上記のポリエステル重縮合用触媒の製造方法により得られた触媒を用いる、ポリエステル樹脂の製造方法、に存する。
本発明の液状ポリエステル重縮合用触媒は、アルコール、アルカリ土類金属化合物、及び酸性リン酸エステル化合物をあらかじめ混合させて得られた混合液に、更にチタン化合物を混合させることにより得られるものである。
本発明において用いられるアルコールとしては、アルカリ土類金属化合物、酸性リン酸エステル化合物およびチタン化合物をそれぞれ常温で混合して均一・透明になるものであればよく、中でも1価のアルコール及び/又はジオールが好ましく用いられる。1価のアルコールとしては、例えば炭素数が1〜5程度のアルコールが好ましく、中でも炭素数が1〜3のアルコールが更に好ましく、特にエタノールが好ましい。また、ポリエステルはジカルボン酸とジオールを原料として製造されることから、ジオール、特にアルキレングリコールが好ましい。アルキレングリコールとしては例えば、エチレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ペンタメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、オクタメチレングリコール、デカメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、2−エチル−2−ブチル−1,3−プロパンジオール、ポリエチレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール等が挙げられる。アルキレングリコールとしては、ポリエステルの原料であるアルキレングリコールが好ましく、炭素数2〜4のアルキレングリコールは、ポリエステルの原料として使用されることが多いため特に好ましい。
(アルカリ土類金属化合物)
アルカリ土類金属化合物としては、マグネシウム、カルシウム等の酸化物、水酸化物、炭酸塩などの無機化合物及び有機酸塩等が挙げられるが、マグネシウム化合物が触媒活性の点で好ましい。
酸性リン酸エステル化合物としては、下記構造式を有するものが好ましい。
チタン化合物としては、テトラ−n−プロピルチタネート、テトラ−i−プロピルチタネート、テトラ−n−ブチルチタネート、テトラ−n−ブチルチタネートテトラマー、テトラ−t−ブチルチタネート、アセチル−トリ−i−プロピルチタネートなどのテトラアルキルチタネート、酢酸チタン、蓚酸チタン、塩化チタン等が挙げられ、中でも、テト
ラ−i−プロピルチタネート、テトラ−n−ブチルチタネート等のテトラアルキルチタネート及び蓚酸チタンが触媒活性の点から好ましく、特にテトラアルキルチタネートが好ましい。テトラアルキルチタネートの中では、テトラ−n−ブチルチタネートが特に好ましい。
本発明の液状ポリエステル重縮合用触媒は、チタン、アルカリ土類金属、及びリンを含むが、液状触媒中のチタンの含有量は、チタン原子として下限は通常0.01重量%であり、好ましくは0.02重量%である。上限は通常2.0重量%であり、1.5重量%が好ましい。下限未満であると触媒液中の活性成分が少なく大量の触媒液が必要となる。一方、上限濃度を越えるときは均一溶液を得にくい傾向となる。
また、本発明の液状ポリエステル重縮合用触媒中の、チタンとアルカリ土類金属(M)とリンのモル比は下記式(2)、(3)の範囲であることが好ましい。
0.1≦Ti/P≦5 (3)
Mg/P(モル比)の好ましい下限は0.2、特に好ましくは0.5であり、好ましい上限は2、特に好ましくは1.5である。又、Ti/P(モル比)の好ましい下限は0.2、特に好ましくは0.3であり、好ましい上限は3、特に好ましくは1.5である。
M/P(モル比)が3を超えると、後述の工程(ii)において混合されるチタン化合物とアルカリ土類金属化合物が反応して不溶性の化合物を生成し易い傾向となる。また、M/Pが0.1未満であると重縮合活性が低下する傾向となる。
Ti/P(モル比)が5を超えると、液状触媒中にチタンおよびリンから成る不溶性のゲル組成物が生成し易い。Ti/Pが0.1未満であると、触媒活性が低下する傾向となる。
M/P(モル比)及びTi/P(モル比)が上記範囲を満たすことにより、長期保存安定性及び反応性に優れた液状ポリエステル触媒を、より確実に得ることができる。
本発明の液状ポリエステル重縮合用触媒は、(i)アルコール、アルカリ土類金属化合物、及び酸性リン酸エステル化合物をあらかじめ混合する工程、及び、(ii)工程(i)で得
られた混合液にさらにチタン化合物を混合する工程、により製造することができる。
アルキレングリコール等のアルコール、アルカリ土類金属化合物および酸性リン酸エステル化合物を、アルカリ土類金属およびリンのモル比が前記式(2)の範囲となる割合で投入し、撹拌混合する方法が挙げられる。又、アルコールの使用割合は、通常、前述の通り、本発明の液状ポリエステル重縮合用触媒におけるチタンとリンのモル比が前記式(3)の範囲となる割合で、かつチタンの含有量がチタン原子として0.01重量%以上2重量%以下となる濃度となる割合を選択する。但し、アルコールを所定量以上使用し、後述の通り、液状触媒調製後これを蒸留することで、成分濃度をコントロールしてもよい。
上記原料の混合は穏和な条件で行われ、例えば常圧下10〜80℃、好ましくは20〜50℃で、5〜60分混合することにより、通常、均一透明な混合液になる。工程(ii)
は、通常、工程(i)の混合液が透明になったのを目視で確認後、チタン化合物を投入し撹拌する。工程(ii)は、工程(i)と同様な条件(温度、圧力、時間)を採用することができ、これにより均一透明な液状ポリエステル重縮合用触媒を得ることができる。
また、例えば工程(i)及び(ii)において1価のアルコールを用いて重縮合用触媒を調製した後、一度1価のアルコールを留去し、再度アルキレングリコールを加えて液状ポリエステル重縮合用触媒を得ることもできる。
又、後述の通り、本発明の液状ポリエステル重縮合用触媒は、後述の量の水を含有するのが好ましいが、使用する原料に由来して必然的に水が混入する場合の他、原料に水を混合しても、各工程の混合液に水を混合してもよい。
行うことができる。
かくして得られる本発明の液状ポリエステル重縮合用触媒のpHは、通常3以上7以下、好ましくは4以上6.5以下、更に好ましくは5.5以上6以下である。pHが7を越えると金属が析出し易い傾向となり、pH3未満では、経時的に重縮合用触媒がゲル状態に変質する場合があり、また装置の腐食を招く場合がある。
又、発明の液状ポリエステル重縮合用触媒は、常温で均一透明溶液であるのが好ましい。本発明で透明とは目視で透明であると認識できる程度の透明性を有することをいい、光路長10mmでの濁度が5%以下であるのが好ましい。
水は、触媒原料に由来して含まれてもよく(例えば、アルカリ土類金属化合物として、水和物を使用)、触媒製造時に使用するアルキレングリコール中に適量添加してもよいし、触媒製造中、調製後に添加してもよい。従って、マグネシウム化合物の水和物を使用する場合等、触媒原料に由来して液状触媒中に水を含むこととなる場合には、水和物からの水分を考慮して、上記範囲に水濃度を調節するのが好ましい。
本発明のポリエステル樹脂の製造方法は、上記の本発明の液状ポリエステル重縮合用触媒を用いる以外は、基本的には、ポリエステル樹脂の慣用の製造方法を用いることが出来る。ポリエステル樹脂の慣用の製造方法の一例として、ポリエステル樹脂がポリエチレンテレフタレートである場合を例に述べる。
500Torr)、好ましくは26kPa(200Torr)、下限を通常1.3kPa(10Torr)、好ましくは2kPa(15Torr)とし、最終段における反応温度を、下限は通常265℃、好ましくは270℃、上限は通常300℃、好ましくは295℃、反応圧力を絶対圧力で、上限を通常1.3kPa(10Torr)、好ましくは0.65kPa(5Torr)、下限を通常0.013kPa(0.1Torr)、好ましくは0.065kPa(0.5Torr)とする方法が挙げられる。更に、中間段を用いる場合の反応条件としては、上記条件の中間の条件が選択され、例えば、3段反応装置における第2段の反応条件の一例として、反応温度を、下限は通常265℃、好ましくは270℃、上限は通常295℃、好ましくは285℃、反応圧力は絶対圧力で、上限は通常6.5kPa(50Torr)、好ましくは4kPa(30Torr)、下限は通常0.13kPa(1Torr)、好ましくは0.26kPa(2Torr)とする方法が挙げられる。
ている方法等で行うことができる。
尚、以下の実施例において、液状ポリエステル重縮合用触媒のpH及び水分量は、下記に従って測定した。
又、得られたポリエステルの固有粘度[η]、色調、末端カルボキシル基量、ジエチレングリコール単位の含有量、環状三量体(CT)含量、重縮合反応速度は、下記に従って測定した。
<pH測定>
東亜DKK社製自動滴定装置(AUT−501型)を用い、大気下で、pH電極を液状触媒に浸して測定した。
<水分量測定>
三菱化学(株)製水分測定装置CV−06を用いて、カール・フィッシャー反応の原理に基づいて測定を行なった。
ペレット状樹脂の場合は、ペレットを凍結粉砕した樹脂試料0.25gを、又、成形体の場合は、ペレットと同程度の大きさに切り出した後、凍結粉砕した樹脂試料0.25gを、フェノール/テトラクロロエタン(重量比1/1)の混合液を溶媒として、濃度(c)を1.0g/dLとして、溶融重縮合樹脂、及び成形体の場合は110℃で30分間、固相重縮合樹脂の場合は120℃で30分間保持することにより溶解させた後、ウベローデ型毛細粘度管を用いて、30℃で、原液との相対粘度(ηrel )を測定し、この相対粘度(ηrel )−1から求めた比粘度(ηsp)と濃度(c)との比(ηsp/c)を求め、同じく濃度(c)を0.5g/dL、0.2g/dL、0.1g/dLとしたときについてもそれぞれの比(ηsp/c)を求め、これらの値より、濃度(c)を0に外挿したときの比(ηsp/c)を固有粘度[η](dL/g)として求めた。
重縮合反応で得られたポリエステルチップを内径30mm、深さ12mmの円柱状の粉体測定用セルに充填し、測色色差計ZE−2000(日本電色工業(株))を使用して、JIS Z8730の参考例1に記載されるLab表示系におけるハンターの色差式の色差式の色座標によるカラーb値を、反射法により測定セルを90度ずつ回転させて4箇所測定した値の単純平均値として求めた。
ポリエステルチップを粉砕した後、熱風乾燥機にて140℃で15分間乾燥させ、デシケーター内で室温まで冷却した試料から、0.1gを精秤して試験管に採取し、ベンジルアルコール3mLを加えて、乾燥窒素ガスを吹き込みながら195℃、3分間で溶解させ、次いで、クロロホルム5mLを徐々に加えて室温まで冷却した。この溶液にフェノールレッド指示薬を1〜2滴加え、乾燥窒素ガスを吹き込みながら攪拌下に、0.1Nの水酸化ナトリウムのベンジルアルコール溶液で滴定し、黄色から赤色に変じた時点で終了とした。又、ブランクとして、ポリエステル樹脂試料抜きで同様の操作を実施し、以下の式(4)によって酸価を算出した。
[ここで、Aは、滴定に要した0.1Nの水酸化ナトリウムのベンジルアルコール溶液の
量(μL)、Bは、ブランクでの滴定に要した0.1Nの水酸化ナトリウムのベンジルアルコール溶液の量(μL)、Wは、ポリエステル樹脂の試料の量(g)、fは、0.1Nの水酸化ナトリウムのベンジルアルコール溶液の力価である。]
なお、0.1Nの水酸化ナトリウムのベンジルアルコール溶液の力価(f)は、試験管にメタノール5mLを採取し、フェノールレッドのエタノール溶液を指示薬として1〜2滴加え、0.lNの水酸化ナトリウムのベンジルアルコール溶液0.4mLで変色点まで滴定し、次いで力価既知の0.1Nの塩酸水溶液を標準液として0.2mL採取して加え、再度、0.1Nの水酸化ナトリウムのベンジルアルコール溶液で変色点まで滴定した。(以上の操作は、乾燥窒素ガス吹き込み下で行った。)以下の式(5)によって力価(f)を算出した。
/0.1Nの水酸化ナトリウムのベンジルアルコール溶液の滴定量(μL)
(5)
<ジエチレングリコール単位の含有量>
ポリエステルチップを重水素化トリフルオロ酢酸に常温で溶解して3重量%溶液とした。日本電子株式会社製JNM−EX270型核磁気共鳴装置を使用して、トリメチルシリルクロライド(TMS)を標準物質として1H−NMRを測定して各ピークの帰属を行な
った。帰属を行ったピークからジオール成分由来のピークを抽出し、その積分比からジオール成分中のジエチレングリコール量(モル%)を算出した。
固相重縮合後のポリエステルチップを凍結粉砕した後、その樹脂試料200mgを精秤し、
クロロホルム/ヘキサフルオロイソプロパノール(容量比3/2)の混合溶液2mLに溶解させ、さらにクロロホルム20mLを加えて希釈した。これにメタノール10mLを加えて試料を析出させ、次いで濾過して濾液を得た。この濾液を蒸発乾固させた後、残渣をジメチルホルムアミド25mLに溶解した。この溶液中の環状三量体量(シクロトリエンテレフタレート)量を、島津製作所製LC−10A型液体クロマトグラフィーで定量し樹脂あたりの重量ppmで表した。
溶融重縮合速度Kmは下記式(6)によって求められる。
式(6)中、Mn'は溶融重縮合反応後のポリエステルの固有粘度[η](dL/g)より算
出されるポリエステルの数平均分子量であり、Mnは重縮合反応前のオリゴマーの固有粘度より算出されるオリゴマーの数平均分子量である。時間(分)は減圧開始後の重縮合反応時間である。
式(7)中、Mn''は固相重縮合反応後のポリエステルの固有粘度[η](dL/g)により算出されるポリエステルの数平均分子量である。
攪拌装置付き1Lガラス製ナス型フラスコ中にエチレングリコール500g、酢酸マグネシウム・4水和物 23.3g、エチルアシッドホスフェート 11.9g(商品名:JP−502、城北化学社製、モノエステル体とジエステル体の重量比0.82:1)を仕込み(M/P(モル比)=1.3)、常圧、室温(23℃)で混合・攪拌して、10分後に均一透明溶液を得た。次にテトラ−n−ブチルチタネート 12.5gを2分かけて添加し(Ti/P(モル比)=0.43、チタン含有量0.3重量%)、更に攪拌を行った。テトラ−n−ブチルチタネートを添加した直後は一旦白濁するが、5分後、均一透明なポリエステル重縮合用触媒溶液が得られた。得られた触媒溶液をサンプル瓶に移し、密栓した状態で冷蔵庫(5℃)、室温(23〜25℃)、保温庫(50〜60℃)で保存し、状態を観察した。3ヶ月に亘って、いずれの条件においても均一透明性が保持されていた。
尚、上記で得られた液状ポリエステル重縮合用触媒のpHは5.5、水分含有量は1.4重量%であった。
エチルアシッドホスフェートの代わりにジブチルアシッドホスフェート(東京化成(株)社製)17.9gを使用した以外は、実施例1と同様な操作で触媒溶液を得た(M/P(モル比)=1.3、Ti/P(モル比)=0.43、チタン含有量0.3重量%)。
尚、上記で得られた液状ポリエステル重縮合用触媒のpHは5.5、水分含有量は1.4重量%であった。
エチルアシッドホスフェートの使用量を4.8g(Mg/P(モル比)=3.2)とし
た以外は、実施例1と同様な方法で触媒溶液を得た(Ti/P(モル比)=1.1、チタン含有量0.3重量%)。得られた触媒溶液をサンプル瓶に移し、室温(23〜25℃)で一ヶ月放置したところ、若干の析出物が生成した。
尚、上記で得られた液状ポリエステル重縮合用触媒のpHは5.9、水分含有量は1.4重量%であった。
チタン化合物、マグネシウム化合物及び酸性リン酸エステル化合物の混合順序を、特許文献3に記載の順序と同様にして触媒を製造した。
即ち、攪拌装置付き1Lガラス製ナス型フラスコ中にエチレングリコール500gを仕込み、その中で酢酸マグネシウム・4水和物 23.3gを懸濁させ、次にテトラ−n−ブチルチタネート 12.5gを添加し、室温(23℃)で混合・攪拌を行った。60分後、大量の白色スラリーが懸濁している状況が観察された。引き続き、エチルアシッドホスフェートを11.9g添加し(M/P(モル比)=1.3、Ti/P(モル比)=0.43、チタン含有量0.3重量%)、更に一昼夜攪拌を継続したが、スラリーが溶解することは無かった。数日後、スラリーは白色析出物と透明な溶媒とに完全に分離していた。析出物を濾別、減圧乾燥して、硫酸及び過酸化水素で湿式分解を行った後にICP−AES装置(JOBIN YVON社製 JY−138U型)でICP金属分析を行ったところ、主としてチタン、マグネシウムを含むものであった。
攪拌装置付き1Lガラス製ナス型フラスコ中にエチレングリコール500gを仕込み、
その中で酢酸マグネシウム・4水和物 23.3g、上記エチルアシッドホスフェート 11.9g、テトラ−n−ブチルチタネート 12.5gをほぼ同時に添加した後(M/P(モル比)=1.3、Ti/P(モル比)=0.43、チタン含有量0.3重量%)、室温(23℃)で混合・攪拌を行った。60分後、白濁し、数日後には析出物が多量に観察された。比較例1と同様に、析出物のICP金属分析を行った結果、主としてチタン、マグネシウムを含むものであった。
攪拌装置付き1Lガラス製ナス型フラスコ中にエチレングリコール500gを仕込み、上記エチルアシッドホスフェート 11.9gを添加し、その均一溶液にテトラ−n−ブチルチタネート 12.5gを添加した後、更に室温(23℃)で混合・攪拌を行った。60分後、大量に白色析出物が観察された。次に酢酸マグネシウム・4水和物 23.3gを添加しても均一溶液は得られなかった(M/P(モル比)=1.3、Ti/P(モル比)=0.43、チタン含有量0.3重量%)。比較例1と同様に、析出物のICP金属分析を行った結果、主としてチタン、リンを含むものであった。また、生成した析出物は30日後には黄変していた。
攪拌装置付き1Lガラス製ナス型フラスコ中にエチレングリコール500g、酢酸マグネシウム・4水和物 23.3gを仕込み混合撹拌し30分後均一透明液を得た。次いでその中に、上記エチルアシッドホスフェート 11.9g、およびテトラ−n−ブチルチタネート 12.5gを同時に添加した後(M/P(モル比)=1.3、Ti/P(モル比)=0.43、チタン含有量0.3重量%)。更に室温(23℃)で混合・攪拌を行った。60分後、白濁が観察された。次にこの触媒液をオイルバス温度100℃で5時間加熱・還流を行ったが白濁が消失する様子はまったく見られなかった。1日放置後、白色沈殿が確認され、この沈殿物を比較例1と同様にICP金属分析の結果、チタン、マグネシウム、リンを含むものであった。
攪拌装置付き2L容量の三つ口フラスコにエチレングリコール919gと無水トリメリ
ット酸80gを入れて混合攪拌した中に、テトラ-n-ブチルチタネート71gを5分間か
けて添加し、透明なチタン化合物を含むエチレングリコール溶液を得た(これを溶液Aとする)。
後数時間は透明であったものが、一日後には明らかに白濁が見られ、1週間後には析出物が多量に観察された。
実施例1〜3、比較例1〜5の触媒製造方法の概要と、得られた触媒の結果を表1に纏めた。
実施例1で得られたチタン、マグネシウム、リンを含む均一な液状ポリエステル重縮
合用触媒を用いて重縮合反応を行った。
テレフタル酸ジメチル2012kg(10.4×103モル)とエチレングリコール1
286kg(20.7×103)とをエステル化反応槽に供給して溶解後、エチレングリ
コールに溶解させた酢酸カルシウムを、カルシウム原子として0.20kg(エステル交換反応により得られる生成物に対して100ppm)となるように添加し、220℃に保持しつつ、生成するメタノールを留出させながらエステル交換反応を行った。エステル交換反応が終了した後、このエステル化反応槽に、テレフタル酸1721kg(10.4×103)とエチレングリコール772kg(12.4×103モル)とをスラリー調製槽で攪拌・混合して得られたスラリーを3時間かけて連続的に供給し、常圧下、約250℃でエステル化反応を行い、移送開始から約4時間後に、反応液の約50%を重縮合反応槽に抜き出した。
前記原料オリゴマー104gをトルクメータ付属攪拌装置付き重縮合反応器に移して、系内を窒素で置換した後、オイルバス(260℃一定)中でオリゴマーの溶解を行った。以下、オリゴマー溶解開始時間を0時間として時間を表記する。
記実施例1にて調製した液状ポリエステル重縮合反応用触媒をエチレングリコールにて26倍に希釈したものを、70分後に3mL添加した。得られるポリエステル樹脂に対するチタン、マグネシウム、リンの含有量は、それぞれ4、6、6重量ppmとなる。80分後
に減圧を開始し、140分後に2.7×10-4MPaまで減圧した。減圧操作は圧力の対数値が時間に逆比例するように行った。重縮合温度は、80分から160分の間に260℃から280℃まで一定速度で昇温し、到達固有粘度が0.50〜0.60(dL/g)の範囲に入るように、溶融重縮合反応を行った。なお、重縮合開始時間は減圧開始時間とした。
固有粘度は0.520dL/gであり、カラーb値は7.0であった。
実施例4において、液状重縮合用触媒の代わりに、比較例1で得られた主としてチタン、マグネシウムを含む白色析出物とエチルアシッドホスフェートを含むエチレングリコールスラリーを使用した以外は実施例4と同様に重縮合反応を行った。溶融重縮合時間340分で固有粘度0.558dL/g、カラーb値は8.6のポリエステル樹脂を得た。
表2に実施例4及び比較例6の重合結果をまとめた。
Claims (8)
- アルコールがアルキレングリコールである請求項1に記載のポリエステル重縮合用触媒の製造方法。
- チタン含有量がチタン原子として0.01〜2重量%の範囲であり、かつアルカリ土類金属(M)とリンのモル比及びチタンとリンのモル比が、各々下記式(2)及び(3)を満足する請求項1または2に記載のポリエステル重縮合用触媒の製造方法。
0.1≦M/P≦3 (2)
0.1≦Ti/P≦5 (3)
(ただし、Ti、Mg、及びPは、各々チタン、アルカリ土類金属、及びリンのポリエステル重縮合用触媒中での含有量(モル基準)を示す) - 水を0.01〜10重量%含有する請求項1乃至3のいずれか1項に記載のポリエステル重縮合用触媒の製造方法。
- アルカリ土類金属化合物が、マグネシウム化合物である請求項1乃至4のいずれか1項に記載のポリエステル重縮合用触媒の製造方法。
- マグネシウム化合物が有機酸のマグネシウム塩またはその水和物である請求項5に記載のポリエステル重縮合用触媒の製造方法。
- チタン化合物がテトラアルキルチタネートである請求項1乃至6のいずれか1項に記載のポリエステル重縮合用触媒の製造方法。
- 請求項1〜7のいずれか1項に記載のポリエステル重縮合用触媒の製造方法により得られた触媒を用いる、ポリエステル樹脂の製造方法。
Priority Applications (12)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2005014379A JP4650001B2 (ja) | 2005-01-21 | 2005-01-21 | ポリエステル重縮合用触媒、その製造法、およびその重縮合用触媒を用いたポリエステル樹脂の製造方法 |
US11/814,454 US8039416B2 (en) | 2005-01-21 | 2006-01-20 | Catalyst for polyester polycondensation and method for producing polyester resin using the same |
EP06712068.3A EP1857483A4 (en) | 2005-01-21 | 2006-01-20 | CATALYST FOR POLYCONDENSATION OF POLYESTERS AND METHOD OF SYNTHESIZING POLYESTER RESINS EMPLOYING SAID CATALYST |
CN2006800028335A CN101107287B (zh) | 2005-01-21 | 2006-01-20 | 聚酯制备用缩聚催化剂以及用其制造聚酯树脂的方法 |
TW095102221A TW200704671A (en) | 2005-01-21 | 2006-01-20 | Catalyst for polyester polycondensation and method for producing polyester resin using the same |
PCT/JP2006/300843 WO2006077963A1 (ja) | 2005-01-21 | 2006-01-20 | ポリエステル重縮合用触媒及びそれを用いたポリエステル樹脂の製造方法 |
AU2006206995A AU2006206995B2 (en) | 2005-01-21 | 2006-01-20 | Catalyst for polyester polycondensation and method for producing polyester resin using the same |
KR1020077016836A KR101270863B1 (ko) | 2005-01-21 | 2006-01-20 | 폴리에스테르 제조용 중축합 촉매 및 이를 이용한폴리에스테르 수지의 제조 방법 |
US12/414,891 US8039417B2 (en) | 2005-01-21 | 2009-03-31 | Catalyst for polyester polycondensation and method for producing polyester resin using the same |
US13/210,781 US20110301322A1 (en) | 2005-01-21 | 2011-08-16 | Catalyst for polyester polycondensation and method for producing polyester resin using the same |
US13/210,685 US20110301019A1 (en) | 2005-01-21 | 2011-08-16 | Catalyst for polyester polycondensation and method for producing polyester resin using the same |
US13/210,755 US8476183B2 (en) | 2005-01-21 | 2011-08-16 | Catalyst for polyester polycondensation and method for producing polyester resin using the same |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2005014379A JP4650001B2 (ja) | 2005-01-21 | 2005-01-21 | ポリエステル重縮合用触媒、その製造法、およびその重縮合用触媒を用いたポリエステル樹脂の製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2006199870A JP2006199870A (ja) | 2006-08-03 |
JP4650001B2 true JP4650001B2 (ja) | 2011-03-16 |
Family
ID=36958156
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2005014379A Active JP4650001B2 (ja) | 2005-01-21 | 2005-01-21 | ポリエステル重縮合用触媒、その製造法、およびその重縮合用触媒を用いたポリエステル樹脂の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP4650001B2 (ja) |
Families Citing this family (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR101191515B1 (ko) * | 2010-09-02 | 2012-10-15 | 호남석유화학 주식회사 | 폴리에스테르 수지 제조용 촉매화합물, 이를 이용하여 제조된 호모폴리에스테르 또는 코폴리에스테르 수지 및 성형 용기 |
US11059837B2 (en) | 2016-07-05 | 2021-07-13 | Nitto Kasei Co., Ltd. | Catalyst for polyester polymerization and method for producing polyester resin |
Citations (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2002179781A (ja) * | 2000-12-11 | 2002-06-26 | Toyobo Co Ltd | ポリエステル樹脂 |
JP2004168888A (ja) * | 2002-11-20 | 2004-06-17 | Teijin Ltd | ポリエステル樹脂組成物、ポリエステルフィルムおよびそれらの製造方法 |
JP2004175911A (ja) * | 2002-11-27 | 2004-06-24 | Teijin Ltd | ポリエステルフィルムの製造方法 |
JP2004217750A (ja) * | 2003-01-14 | 2004-08-05 | Teijin Ltd | ポリエステル製造用触媒およびそれよりなるポリエステル |
JP2004224858A (ja) * | 2003-01-21 | 2004-08-12 | Teijin Ltd | ポリエステル製造用触媒およびそれよりなるポリエステル |
-
2005
- 2005-01-21 JP JP2005014379A patent/JP4650001B2/ja active Active
Patent Citations (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2002179781A (ja) * | 2000-12-11 | 2002-06-26 | Toyobo Co Ltd | ポリエステル樹脂 |
JP2004168888A (ja) * | 2002-11-20 | 2004-06-17 | Teijin Ltd | ポリエステル樹脂組成物、ポリエステルフィルムおよびそれらの製造方法 |
JP2004175911A (ja) * | 2002-11-27 | 2004-06-24 | Teijin Ltd | ポリエステルフィルムの製造方法 |
JP2004217750A (ja) * | 2003-01-14 | 2004-08-05 | Teijin Ltd | ポリエステル製造用触媒およびそれよりなるポリエステル |
JP2004224858A (ja) * | 2003-01-21 | 2004-08-12 | Teijin Ltd | ポリエステル製造用触媒およびそれよりなるポリエステル |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2006199870A (ja) | 2006-08-03 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP4529485B2 (ja) | ポリエステル重合触媒、その製造方法、及びそれを用いたポリエステルの製造方法 | |
US8039417B2 (en) | Catalyst for polyester polycondensation and method for producing polyester resin using the same | |
US6506853B2 (en) | Copolymer comprising isophthalic acid | |
EP3116933B1 (en) | Process for enhancing the molecular weight of a polyester | |
US8680229B2 (en) | Method for producing polyester | |
US8344093B2 (en) | Production method of aliphatic polyester | |
JP4983043B2 (ja) | ポリエステル重縮合用触媒、その製造方法およびポリエステルの製造方法 | |
JP4134710B2 (ja) | ポリエステル製造用チタン触媒溶液、及びそれを用いるポリエステルの製造法 | |
JP5200531B2 (ja) | 脂肪族ポリエステルの製造方法 | |
JP2012144744A (ja) | 脂肪族ポリエステルの製造方法 | |
JP5045216B2 (ja) | ポリエステル重縮合用触媒の製造方法、該触媒を用いたポリエステルの製造方法 | |
JP4650001B2 (ja) | ポリエステル重縮合用触媒、その製造法、およびその重縮合用触媒を用いたポリエステル樹脂の製造方法 | |
KR101110628B1 (ko) | 폴리에스테르 수지의 제조방법 및 이에 의하여 제조되는폴리에스테르 수지 | |
JP4844088B2 (ja) | ポリエステル重縮合用触媒及びそれを用いたポリエステル樹脂の製造方法 | |
JP2008019391A (ja) | ポリエステル重縮合用触媒、その製造方法およびポリエステルの製造方法 | |
JP4910515B2 (ja) | ポリエステル重縮合用触媒、その製造方法及び該触媒を用いたポリエステル樹脂の製造方法 | |
JP5729217B2 (ja) | 脂肪族ポリエステルの製造方法 | |
US8476183B2 (en) | Catalyst for polyester polycondensation and method for producing polyester resin using the same | |
JP5678667B2 (ja) | 脂肪族ポリエステルの製造方法 | |
JP2009024088A (ja) | ゴム補強繊維用ポリエステル樹脂及びその製造方法 | |
JP2001139671A (ja) | 共重合ポリエステル樹脂の製造方法 | |
JP2013091684A (ja) | ポリエステル重縮合用触媒、および該触媒を用いたポリエステル樹脂の製造方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20070831 |
|
RD05 | Notification of revocation of power of attorney |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7425 Effective date: 20090619 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20100907 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20101027 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20101116 |
|
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821 Effective date: 20101029 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20101129 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 4650001 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20131224 Year of fee payment: 3 |
|
S111 | Request for change of ownership or part of ownership |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313111 |
|
R350 | Written notification of registration of transfer |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350 |