JP4649602B2 - 活性依存性向神経第▲iii▼因子(adnf▲iii▼) - Google Patents

活性依存性向神経第▲iii▼因子(adnf▲iii▼) Download PDF

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Description

発明の分野
本発明は一般的に、活性依存性神経保護タンパク質(Activity Dependent Neuroprotective Protein)(ADNP)としても知られている、活性依存性向神経第III因子(Activity Dependent Neurotrophic Fator III)(ADNF III)に関する。より特定には、本発明は、ADNF IIIポリペプチドをコードする核酸配列;そのような核酸配列によりコードされるADNF IIIポリペプチド;ADNF IIIポリペプチドに対する抗体;及び神経学的欠損の処理への、及び(1)gp120、すなわちHIVからのエンベロープタンパク質;(2)N−メチル−D−アスパラギン酸(毒性刺激性);(3)テトロドトキシン(電気的活性の遮断);及び(4)β−アミロイドペプチド、すなわちアルツハイマー病におけるニューロン変性に関連する物質に関連する細胞死の予防のためのそのようなADNF IIIポリペプチドの使用方法に関する。
発明の背景
ニューロン***、生存及び分化は、発生の間の種々の群のタンパク質及びペプチド成長因子(peptide growth factor)に依存する。調節分子(regulatory group)のこの群に包含されるものは、次の認識された向性因子(trophic factor)、たとえば神経成長因子(nerve growth factor)(NGF)(Levi-Montalcini, Differentiation, 13: 51-53(1979))、線毛向神経因子(ciliary neurotrophic factor)(CNTF)(Linなど.,Science 24: 1023-1025(1989))、線維芽細胞成長因子(fibroblast growth factor)(FGF)(Wallickeなど.,J.Neurosci. 11: 2249-2258(1991))、インスリン様成長因子(insulin-like growth factor)1及び2(IGF1及び2)(Ishiiなど.,Pharmacol. & Ther. 62: 125-144(1994))、脳由来の向神経因子(brain derived neurotrophic factor)(BDNF)(Laibrockなど.,Nature 341: 149-152(1989))、グリア由来の向神経因子(glial derived neurotrophic factor)(GDNF)(Linなど.,Science 260: 1130-1132(1993))、及びニュートロフィン(neurotrophin)−3及びニュートロフィン−4/5(Hendersonなど.,Nature 363: 266-269(1993))である。さらに、サイトカインもまた、向神経特性を有する(Brennemanなど.,J.Neurochem. 58: 454-460(1992); Patterson, Curr.Opia.Neurobiol. 2: 91-97(1992))。従来の成長因子の多くはまず、ニューロン/標的細胞の相互作用において重要な向性役割(trophic role)を演じるものとして認識されたが、中枢神経系(CNS)におけるグリア細胞がそれらの成長因子/サイトラインのほとんどを発現し、そしてそれらの支持細胞が発生及び神経修復/再生の間、有意な役割を演じることは、現在、明白である。
これに関して、グリア由来の栄養物質の開放/発現の調節における神経ペプチドの役割を理解し、そして発生するCNSニューロンの生存性に寄与する新規のグリア分子を同定するために、努力が払われて来た。特に、CNSにおける活性−依存性ニューロンのための向性支持の役割を理解するために努力が払われて来た。その活性依存性ニューロンは、それらの環境における可溶性向性材料の低下のために電気的遮断の間、死亡するニューロンの種類である(Brennemanなど.,Dev.Brain Res. 9: 13-27(1993); Brennemanなど.,Dev.Brain Res. 15: 211-217(1984))。電気的遮断は、CNS培養物の向性物質の合成及び細胞外環境への開放を阻害することが示されている(Agostanなど.,Mol.Brain.Res. 10: 235-240(1991); Brennemanなど.,Peptides 6(2): 35-39(1985))。この向性混合物に含まれるものは、血管作用性腸ペプチド(vasoactive intestinal peptide)(VIP)である(Brennemanなど.,Peptides、前記(1985); Brennemanなど.,Proc.Natl.Acad.Sci. USA 83: 1159-1162(1986))。
Said(Saidなど.,Ann. NY Acad.Sci. 527: 1-691(1988))により最初に単離された28−アミノ酸ペプチドVIPは、感覚神経、軸索切断された交感神経ニューロン及び急性損傷性肺及び気道における細胞保護に関連している(たとえば、Gressensなど.,J.Chin.Invest. 100: 390-397(1997)を参照のこと)。実際、それらの損傷された又は炎症をおこした系において観察されるVIP発現の調節の欠如が、おそらく損傷を制限し、そして回復を促進する適応性応答を表わす。
VIPは、グリア細胞上に存在する高い親和性受容体と相互作用することが示されており(Gozesなど.,J.Pharmacol.Exp.Therop. 257: 959-966(1991))、それは生存−促進物質の開放をもたらし(Brennemanなど.,J.Cell.Biol. 104: 1603-1610(1987); Brennemanなど.,J.Neurosci.Res. 25: 386-394(1990))、その中には、グリア−由来のサイトカインIL-1-α(Brennemanなど.,J.Neurochem. 58: 454-460(1992); Brennemanなど.,Int.J.Dev.Neurosci. 13: 137-200(1995))、及びプロテアーゼネキシンI、すなわちセリンプロテアーゼインヒビター(Festoffなど.,J.Neurobiol. 30: 255-26(1995))が存在する。しかしながら、VIP−条件づけされた培地のニューロン生存性−促進効果が、IL-1、又は星状グリアから放されるプロテアーゼネキシンIに寄与されない非常に低い濃度で観察された。それゆえ、VIPにより刺激されたグリア細胞から開放される他の生存−促進タンパク質を同定するための努力がなされてきた。
そのように実施することで、VIPの存在下で星状グリアにより分泌される新規の神経保護タンパク質が発見された(Brenneman & Gozes, J.Clin.Invest. 97: 2299-2307(1996); Gozes & Brenneman, J.Molec.Neurosci. 7: 235-244(1996))。向神経タンパク質は、イオン交換、サイズ分離及び疎水性相互作用を組合す連続的クロマトグラフィー方法により単離された。この神経保護タンパク質(分子質量、14kD及びpI, 8.3±0.25)は、次の2つの理由のために活性依存性向神経因子(ADNF及びADNFI)と命名された:(1)自発的電気活性の遮断が解離された脊髄培養物におけるこの物質の神経保護作用を検出するために必要であり;そして(2)VIP、すなわちADNFのための分泌促進物質が電気的活性の間に放され、細胞外環境におけるADNFの存在を自発的活性に間接的に依存性にする。ADNFは、先例のない濃度で神経保護を示すことが見出された。より特定には、フェムトメートル濃度のADNFは、広範囲のトキシンに関連する死、たとえばアルツハイマー病、ヒト免疫欠損ウィルス、毒性刺激性、及び電気的遮断に関係する死からニューロンを保護することが見出された(たとえば、Gozesなど.,Dev.Brain Res. 99: 167-75(1997)を参照のこと)。
ADNFの構造特徴に向けられる研究の間、ADNFの活性ペプチドフラグメントが発見された。この活性ペプチド、すなわちADNF(ADNF-9)に由来する9個のアミノ酸は、細胞内ストレスタンパク質、すなわち熱ショックタンパク質60(hsp60)に対して、強い相同性(但し、同一ではない)を有することが見出された。さらに、ADNF-14は、親タンパク質に比較して、より広い範囲の有効濃度を示すと共に、親タンパク質の有効性を模倣することが示された。ADNFのようにADNF-14は、HIVからのエンベロープタンパク質(gp120)(Dibbernなど.,J.Clin.Invest. 99: 2837-2841(1997)を参照のこと)、毒性刺激性(N−メチル−D−アスパーテート)、β−アミロイドペプチド(アルツハイマー病における推定上の細胞毒素)、及びテトロドトキシン(電気的遮断)(Brenneman & Gozes, J.Clin.Invest. 97: 2299-2307(1996)を参照のこと)に関連するニューロン細胞の死を妨げることが見出されている。
ADNFの発見は、VIPの神経保護作用に関してさらなる知識を提供している(Gozes & Brenneman, Mol.Neurobiol. 3: 201-236(1989); Said, J.Clin Invest. 97: 2163-2164(1996))。さらに、ADNFポリペプチドの向神経特性は、有意な治療及び診断の密接な関係を有する。ADNF活性が14−アミノ酸ペプチドにより模倣され得る発見は、HIV感染、アルツハイマー病、及び他の流行の神経変性疾病に関連する神経学的症候の処理のための革新的な薬物企画を促進することが予測される。ADNF及びADNF-14は神経保護剤として無限の可能性を有するが、VIPにより刺激されたグリア細胞から放される他の生存−促進タンパク質を同定することは、さらに好都合である。
発明の要約
本発明は、新規神経保護ポリペプチド、すなわち活性依存性神経保護タンパク質(ADNP)とも呼ばれる活性依存性向神経第III因子(ADNF III)をコードする核酸の発見に関する。前に記載されたADNFIに関しては、ADNF IIIは可能性ある神経保護効果を示し、そしてそのような神経保護効果のEC50はフェムトモル濃度の範囲で存在する。ADNFIとhsp60、すなわち熱ショックタンパク質との、及びPIF1、すなわちDNA修復タンパク質との間の認識される相同性に基づけば、それらの2つのエピトープが、新規神経保護ポリペプチドADNF IIIを同定するためにマウスcDNA−発現ベクターをスクリーンするために使用された抗体を調製するために利用された。マウスADNF III cDNAは、約806個のアミノ酸(pI5.85)のADNF IIIポリペプチドをコードする、約2418塩基対のリーディングフレームから成る。ヒトADNF IIIはまた、クローニングされ得る。ADNF IIIに対するADNFIとhsp60との間の相同性に基づけば、hsp60に対する、及び前に記載されたADNF−由来の活性ペプチドをSALLRSIPA(配列番号5)に対する構造的相同性を示した8-ADNF IIIポリペプチドが合成された。このADNF IIIポリペプチドは8個の長さのアミノ酸であり、そして配列NAPVSIPQ、すなわちAsn-Ala-Pro-Val-Ser-Ile-Pro-Gln(配列番号6)を有する。本発明の“発現された”(十分な長さ)ADNF IIIポリペプチド及びNAPVSIPQ−由来のADNF IIIポリペプチドの両者は、ニューロン細胞の死の防止において特別な能力を有する。そのようなADNF IIIポリペプチドは、HIV感染、電気的遮断、毒性刺激性及びアルツハイマー病に関連する神経毒素に対して神経保護を示すことが見出された。
1つの態様において、本発明は、本発明のADNF IIIポリペプチドをコードする単離された核酸、ADNF IIIポリペプチド、たとえば配列番号1及び3から成る群から選択されたアミノ酸配列を有する免疫原に対して生成された抗体に特異的に結合するポリペプチド、及び保存的に修飾されたそれらの変異体を提供する。本発明のADNF IIIポリペプチドはまた、配列番号1、配列番号3及び保存的に修飾されたそれらの変種から成る群から選択されたアミノ酸配列を有するポリペプチドも包含する。典型的な核酸は、配列番号2及び4に示される核酸を包含する。本発明のADNF IIIポリペプチドをコードする他の核酸は、配列番号2及び4に対してサイレントコドン置換を有する核酸、及び保存的に修飾されたそれらの変種を包含する。
緊縮条件下で、典型的な核酸、すなわち配列番号2及び4に対して特異的にハイブリダイズする単離された核酸がまた供給される。たとえば、配列番号2又は4により供給される配列に対する相補的核酸は、それぞれ、配列番号2又は4に対して特異的にハイブリダイズする。同様に、配列番号2又は4に対して相補的な実質的な副配列を有する核酸はまた、それぞれ、配列番号2又は4に対して特異的にハイブリダイズする。本発明のADNF IIIポリペプチドをコードするさらなる他の核酸は、緊縮条件下で、下記から成る群から選択されたプライマー組と同じ配列に対して特異的にハイブリダイズするプライマーにより増幅される核酸を包含する:センス5′TCCAATGTTCACCTGCAG 3′(配列番号7)、センス5′ACCTGCAGCAAAACAACTAT 3′(配列番号9)、及びアンチセンス5′GCTCGTTACAGATTGTAC 3′(配列番号8)。
現在好ましい態様においては、本発明の単離された核酸は、任意には、転写カセットを含んで成るベクター核酸である。より特定には、ベクターは好ましくは、構成又は誘発性プロモーターの制御下で操作可能的に連結される上記核酸を包含する。ベクターはまた、開始及び停止コドンも包含する。転写カセットは任意には、ポリペプチドをコードする。典型的には、ポリペプチドをコードする転写カセットの一部は、配列番号2及び4から成る群から選択された核酸に対して、緊縮条件下で特異的にハイブリダイズする。細胞中への転写カセットのトランスダクションに基づいて、配列番号2及び4から成る群から選択された核酸に対して、緊縮条件下で、特異的にハイブリダイズするmRNAが生成される。mRNAは、細胞において、ADNF IIIポリペプチド、たとえば配列番号1,3及び保存的に修飾されたそれらの変種から成る群から選択されたアミノ酸配列を含んで成るADNF IIIポリペプチドに翻訳される。
もう1つの態様において、本発明はADNF IIIポリペプチドを供給する。そのようなADNF IIIポリペプチドは、配列番号2及び4に対して緊縮条件下で特異的にハイブリダイズする核酸によりコードされるポリペプチドを包含する。そのようなADNF IIIポリペプチドはまた、配列番号1、及び2から成る群から選択されたアミノ酸配列を有する免疫原に対して生成された抗体、及び保存的に修飾されたその変種を特異的に結合するポリペプチドを包含する。典型的なADNF IIIポリペプチドは、配列番号1,3、及び保存的に修飾されたその変種から成る群から選択されたアミノ酸配列を有するADNF IIIポリペプチドを包含する。
さらにもう1つの態様においては、本発明のADNF IIIポリペプチドは、下記アミノ酸配列:
(R1x-Asn-Ala-Pro-Val-Ser-Ile-Pro-Gln-(R2y(配列番号10)、及び
保存的に修飾されたその変種を含んで成る。上記式において、R1は1〜約40個のアミノ酸を含んで成るアミノ酸配列であり、ここで個々のアミノ酸は天然に存在するアミノ酸及びアミノ酸擬似体から成る群から独立して選択される。用語“独立的に選択された”とは、アミノ酸配列R1を構成するアミノ酸が同一であるか又は異なることができる(たとえば、アミノ酸配列におけるアミノ酸のすべてがトレオニン、等であり得る)ことを示すために本明細書において使用される。さらに、前で説明されたように、アミノ酸配列Rlを構成するアミノ酸は、天然に存在するアミノ酸か、又は天然に存在するアミノ酸に類似する態様で機能する天然アミノ酸の既知類似体(すなわち、アミノ酸擬似体)のいづれかであり得る。アミノ酸配列R1を形成するために使用され得る適切なアミノ酸は、表Iに列挙されるアミノ酸を包含するが、但しそれらだけには限定されない。添え文字“x”及び“y”は、独立して選択され、そして1又はゼロに等しい。
上記式において、R1に関するように、R2は、1〜約40個のアミノ酸を含んで成るアミノ酸配列であり、ここで個々のアミノ酸は天然に存在するアミノ酸及びアミノ酸擬似体から成る群から独立して選択される。さらに、R1に関するように、アミノ酸配列R2を構成するアミノ酸は同一であっても又は異なっていても良く、そして天然に存在するアミノ酸、又は天然に存在するアミノ酸に類似する態様で機能する天然アミノ酸の既知類似体(すなわちアミノ酸擬似体)のいづれかであり得る。R2を形成するために使用され得る適切なアミノ酸は、表Iに列挙されるものを包含するが、但しそれらだけには限定されない。
さらなる態様において、本発明は、ADNF IIIポリペプチドに対して特異的に結合する抗体を供給する。好ましい態様において、抗体は、配列番号1,3及び保存的に修飾されたその変種から成る群から選択されたアミノ酸配列を有するADNF IIIポリペプチドに対して特異的に結合する。
非常に驚くべきことには、本発明のADNF IIIポリペプチドは神経学的損傷の処理のために、及びニューロン細胞の死の防止のために使用され得ることが発見された。そのようなADNF IIIポリペプチドは、ニューロン細胞、たとえば脊髄ニューロン、海馬ニューロン、大脳ニューロン及びコリン作用性ニューロン(但し、それらだけには限定されない)の死を防止するために使用され得る。より特定には、本発明のADNF IIIポリペプチドは、(1)gp120、すなわちHIVからのエンベロープタンパク質;(2)N−メチル−D−アスパラギン酸(毒性刺激性);(3)テトロドトキシン(電気的活性の遮断);及び(4)β−アミロイドペプチド、すなわちアルツハイマー病におけるニューロン変性に関連する物質に関連する細胞の死を防止するために使用され得る。
本発明は、ニューロン細胞の死を妨げるための方法を提供する。より特定には、1つの観点においては、HIVにより感染された患者におけるgp120−誘発性ニューロン細胞の死を妨げるために本発明のADNF IIIポリペプチドを用いるための方法が提供される。もう1つの観点においては、N−メチル−D−アスパーテート刺激により誘発された毒性刺激性に関連するニューロン細胞の死を妨げるために本発明のADNF IIIポリペプチドを用いるための方法が提供される。さらにもう1つの観点においては、アルツハイマー病を有するか又はそれにより害された患者においてβ−アミロイドペプチドにより誘発されるニューロン細胞の死を妨げるために本発明のADNF IIIポリペプチドを用いるための方法が提供される。さらにもう1つの観点においては、アルツハイマー病により害されているか又はそれを有する患者においてコリン作用性遮断により生成される学習障害を緩和するために本発明のADNF IIIポリペプチドを用いるための方法が提供される。
前記の他に、本発明のADNF IIIポリペプチドは、多くの他の神経学的疾病及び欠損に関連するニューロン細胞の死を妨げるために効果的に使用され得る。より特定には、N−メチル−D−アスパラギン酸(毒性刺激性)に関連するニューロン細胞の死を阻止するそれらの能力の結果として、本発明のADNF IIIポリペプチドは、多くの形の神経変性を処理するために使用され得る(Lipton & Rosenberg, New Eng.J.Med. 330: 613-622(1994)を参照のこと:その教授はすべての目的のために引例により本明細書中に組込まれる)。そのような神経変性は、次のものを包含するが、但しそれらだけには限定されない:ハンチントン病;AIDS痴呆複合体;ニューロパシー性苦痛症候群;オリーブ橋小脳萎縮;振せん麻痺及びパーキンソン病;筋萎縮性側索硬化症;ミトコンドリア異性症、及び他の遺伝されたか又は後天性生化学的障害;MELAS症候群;MERRF;Leber病;ウェルニック脳障害;Rett症候群;ホモシスチン症;高プロリン血症;非ケトン症性高グリシン血症;ヒドロキシ酪酸アミノ酸尿症;酸化亜硫酸欠損;組合された器管系疾患;鉛脳障害;アルツハイマー病;肝性脳障害;Tourett症候群;酸化ストレス誘発性ニューロン死;ダウン症候群;進行性遅滞及び学習障害;閉鎖性頭部外傷;ドパミン毒性;薬物常用癖、耐性、及び依存性。当業者は、上記列挙が例示的であり、そしてすべてではなく、そして本発明のADNF IIIポリペプチドが他の神経学的障害の処理に使用され得ることを理解するであろう。
本発明及びその好ましい態様の他の特徴、目的及び利点は、次の詳細な記載から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
図1は、マウスADNF IIIについての核酸及びアミノ酸配列を示す。核酸配列は2418塩基対のリーディングフレームを含む。ADNF IIIポリペプチドは、806個のアミノ酸から成り、そして約90kDaの計算された分子量及び約5.85のpIを有する。図1はまた、hsp60(一本下線)及びPIF1(点の下線)に対する相同性、グリコシル化部位(二本下線)、並びにADNF IIIに存在するグルタレドキシン活性部位モチーフ及び亜鉛フィンガーモチーフ(太字及びイタリック体)を示す。
図2は、ラット星状細胞におけるADNF III mRNAを同定するためにポリメラーゼ鎖反応(PCR)を用いての結果を示す。ADNF III PCR生成物は、線維芽細胞に比較して、星状細胞において富化される。ノザンブロットハイブリダイゼーションにおける十分な長さのRNA転写体のサイズは約5300±200塩基対であり、これは長いポリ(A)末端(示されてはいない)を示す。mRNAは、星状細胞、並びに脳皮質、すなわち小脳皮質及び後部脳において同定された。低い量が、腎臓、脾臓及び肺において検出できた。
図3は、擬似ポリメラーゼ鎖反応の結果を示す。mRNA発現は、前記(Gressensなど.,Nature 362: 155-158(1993))のようにして、4時間、インビトロでインキュベートされた生後9.5日目のマウス胚において決定される。結果は、PCR生成物を試験することによって決定される場合、VIP処理に続いてのADNF III mRNAの約2倍の上昇を示す。現場ハイブリダイゼーション実験は、マウス胚の成長する神経系への発現に集中した(示されていない)。
図4A−B。図4Aは、細菌抽出物からのクローン化されたADNF IIIタンパク質の免疫学的検出のためのウェスターンブロットハイブリダイゼーションを示す。クローンp25を発現する細菌抽出物が、10% SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動、続くクローニングのために使用される抗体によるウェスターンブロット分析にゆだねられた。抗−SALLRSIPA=α1、(1:250で希釈され、そしてAmersham’s Life Science(ECL+Plusキット)により検出される);pBS=クローン25挿入体を含むファージミドpBluescript SKにより形質転換された培養物の細菌抽出物;ε1=p25、(β−ガラクトシダーゼの部分配列を含む融合タンパク質)が、アフィニティーカラム上で富化された(15倍)。CBB=ウェスターンブロット分析にゆだねられた同じレーンのクーマシーブリリアントブルー(タンパク質)染色。示されるドットブロットは、抗体(α1)が抗原SALLRISIPA(配列番号5)及びNAPVSIPQ(配列番号6)(1=SALLRSIPA, NAP=NAPVSIPQ)を認識するが、しかし対照ペプチドLGGGS(配列番号11)を認識しなかったことを示す。図4Aに示されるように、高い分子量(約90kDa、レーンp25)のタンパク質がADNF III分子として同定された。図4Bは、星状細胞ならし培地における分泌されたADNF IIIタンパク質の免疫学的同定を示す。星状細胞−ならし培地は、前記(Brenneman & Gozes, J.Clin.Invest. 97: 2299-2237(1996))のようにして調製され、そして高い分子量のタンパク質はウェスターンブロットハイブリダイゼーションによりADNF III分子として同定された。SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動が、上記引用される文献に示されるようにして実施された。新生ラットの小脳皮質から得られた星状グリア培養物が使用された。VIPにより処理されているか又は処理されていない(+,−)星状細胞からの細胞抽出物及びならし培地が、0.1%のSDSを含む10%ポリアクリルアミドスラブゲルを通しての電気泳動にゆだねられた。ウェスターンブロット分析が、クローニングのために使用される抗体(抗−SALLRSIPA=α1)により実施された。最初のレーンは、抗体により同定された細胞内タンパク質を示す。特異性が、抗体結合の消出をもたらす富化された、クローン化されたタンパク質(ε1)の存在下でブロットと共に抗体をインキュベートすることによって決定された。さらなる特異性が、抗体がhsp60に対して反応しなかったことにより決定された(Stress Gen Biotechnologies Corp, Victoria, Canada)。α2は、ポリアクリルアミドゲルから抽出された89kDaのADNF III−様分泌タンパク質に対して生ぜしめられた特異的抗体である。α3は、ポリアクリルアミドゲルから抽出された低い分子量(約60kDa)のADNF III−様タンパク質に対して生ぜしめられた特異的抗体である。
図5A−C。図5は、ヒト神経芽腫からのヒトADNF III cDNAのPCRを示す(Lillingなど.,J.Molec.Neurosci. 5: 231-239(1995))。生成物の正しい予測されるサイズ(マウスにおいて予測されるサイズに類似する)が示される(図5Bを参照のこと)。ヒト材料は、ADNF III mRNAを発現し、そして配列分析は、マウス配列に比較して、ヌクレオチドレベルで86%の類似性、及びアミノ酸レベルで93%の類似性及び92%の同一性を示した(図5Cを参照のこと)。
図6A−Cは、クローン25(“発現されたタンパク質”)を発現する細菌からの細菌抽出物が種々の設定で神経保護を提供することを示す。図6Aは、神経毒素による電気的遮断に対する(ぬりつぶされた丸)及びβ−アミロイド関連神経毒性に対する(空白の丸)、小脳皮質培養物における神経保護を示す(実験は、Gozesなど.,Proc.Natl.Acad.Sci. USA 93: 427-432(1996)により記載のようにして実施された)。挿入体を有さないファージミドを含む細菌抽出物は不活性である(ぬりつぶされた四角)。β−アミロイド処理に関して、フラグメント25−35が前記(Gozesなど.,Proc.Natl.Acad.Sci. USA 93: 427-432(1996))のようにして合成され、そして25μMの濃度で培養物に添加された。図6Bは、図6Aに記載される実験の反復において、ADNF IIIの活性が8個のアミノ酸ペプチド(NAP)により模倣されたことを示す。ぬりつぶされた丸はテトロドトキシンに対する保護であり;空白の丸はβ−アミロイドに対する保護であり;そしてぬりつぶされた四角は対照の不活性ペプチド(SVRLGLGGNAPVSIPQQS(配列番号12))に対する保護である。図6Cは、1pM gp120(RF II単離物)(Brennemanなど.,Nature 335: 639-642(1988); Brenneman & Gozes, J.Clin.Invest. 97: 2299-2307(1996)); NMDA(10μM);及び天然に存在する細胞死に対するNAPによる神経保護の例を示す。新生ラットに由来する大脳皮質培養物を用いる実験が前記のようにして実施された。電気的遮断のために、1μMのテトロドトキシンとのインキュベーションが行なわれた(Brenneman & Eiden, Proc.Natl.Acad.Sci. USA 83: 1159-1162(1986))。β−アミロイド処理のために、フラグメント25−35が前記(Gozesなど.,Proc.Natl.Acad.Sci. USA 93: 427-432(1996))のようにして合成され、そして25μMの濃度で培養物に添加された。トキシンが9日目の培養物に添加され、そしてさらに5日間インキュベートされた。発現されたADNF IIIタンパク質抽出物が、示される希釈度でトキシンと共に添加された。実験は少なくとも3回、反復された。プレートされたニューロンの数=300,000/プレート;解離及びプレート工程を生存する数は約88%であり;そして実験の終結で生存する数は75%である(いづれの追加のトキシンも添加しないで)。追加のトキシンの添加によれば、生存するニューロンの数は約50%である。ADNF IIIによる有意な神経保護(クローン25として示される)が、テトロドトキシンに対して10-15〜10-13(PBSに希釈された1mg/mlのタンパク質溶液の)希釈度で、及びβ−アミロイドに対して>10-15の希釈度で得られた(p<0.001)。テトロドトキシンに対するNAPによる有意な神経保護は、10-18〜10-14Mの濃度で存在し、β−アミロイドに対するその保護は10-16〜10-15Mの濃度で存在し、NMDAに対するその保護は>1016Mで存在し、そしてgp120に対するその保護は10-15〜10-10Mで存在した(p<0.01)。
図7A及び7Bは、構造体−活性研究を示し、そして2種の最適ピーク濃度、すなわち10-16〜10-14M及び10-11〜10-10Mを示す、最とも活性的なペプチドとしてのNAPVSIPQ(配列番号6)を同定する。
図8は、学習及び記憶に対するNAPVSIPQ(配列番号6)(“NAP”)の効果を示す。
図9は、ADNF III mRNAのノザンブロット同定を示す。RNAは、生命の最初の2週間、塩溶液(E)により、及びNAP(E+N)により処理された生後28日目のアボリポタンパク質E−欠損マウスの脳から抽出され、対照マウス(C)は、塩溶液により処理された。RNAは、アクチン−特異的プローブ(Gozesなど.,Mol.Brain Res. 2: 137-148(1987))に比較して、PCR−ラベルされたADNF III特異的プローブ(α−32P-dCTP, Amersham, 300Ci/mモル)によるノザンブロットハイブリダイゼーションにゆだねられた(図2を参照のこと)。
図10は、予防NAP処理により回復される、学習及び記憶に障害を示すApoE−欠損マウスを示す。2日おきの水迷路試験が生後3週目の動物に対して実施された。試験されたグループは次の通りであった:1.生命の最初の2週間、ビークルにより注射された対照動物(6種の異なった同腹子の35匹の動物、個々の同腹子から5〜7匹の動物、空白の丸);2.生命の最初の2週間、ビークルにより注射されたApoE−欠損動物(3種の異なった同腹子に由来する18匹の動物、同腹子当たり5〜7匹の動物、ぬりつぶされた丸);3.生命の最初の2週間、NAPにより慢性的に処理された対照動物(3種の異なった同腹子に由来する14匹の動物、空白の三角);及び4.生命の最初の2週間、NAPにより慢性的に処理されたApoE−欠損マウス(3種の異なった同腹子に由来する19匹の動物、空白の四角)。図は、0.5分で隠されたプラットフォームに達成するよう、秒で測定される潜伏時間を示す。試験は5日間、連続して実施され、そして次に、2日遅れて、さらに1日間、試験された。ApoE=ApoE−欠損動物。ビークルにより処理される動物と処理されていない動物との間の差異は存在しなかった(データは示されていない)。示される統計学的比較は次のように行なわれた:1.ApoE−欠損動物と対照との間;2.NAPにより処理されたApoEとビークルにより処理されたApoEとの間;及び3.NAPにより処理された対照とビークルにより処理された対照の間(*p<0.001; **p<0.03; ***p<0.002)。
定 義
“ペプチド”、“ポリペプチド”及び“オリゴペプチド”とは、α炭素が1つのアミノ酸のα炭素のカルボキシル基ともう1つのアミノ酸のα炭素のアミノ基との間での縮合反応により形成されるペプチド結合を通して結合されているアミノ酸(典型的には、L−アミノ酸)の鎖である。鎖の1つの端(すなわち、アミノ末端)での末端アミノ酸は遊離アミノ基を有し、そして鎖の他端(すなわち、カルボキシ末端)での末端アミノ酸は遊離カルボキシル基を有する。用語“アミノ末端”(N−末端として短縮される)は、ペプチドのアミノ末端でのアミノ酸上の遊離α−アミノ基、又はペプチド内のいづれかの他の位置でのアミノ酸のα−アミノ基(ペプチド結合に関与する場合、イミノ基)を意味する。同様に、用語“カルボキシ末端”(C−末端として短縮される)は、ペプチドのカルボキシ末端でのアミノ酸上の遊離カルボキシル基、又はペプチド内のいづれか他の位置でのアミノ酸のカルボキシル基を意味する。
典型的には、ポリペプチドを製造するアミノ酸は、ポリペプチドのアミノ末端で開始し、そしてカルボキシ末端の方向に増すよう順序よく番号づけられている。従って、1つのアミノ酸がもう1つのアミノ酸の“次にくる”と言われる場合、そのアミノ酸は、“前方”のアミノ酸よりもポリペプチドのカルボキシ末端に接近して位置する。
用語“残基”とは、アミド結合又はアミド結合擬似体によりポリペプチド中に組込まれる、アミノ酸又はアミノ酸擬似体を意味するために本明細書において使用される。アミノ酸は、天然に存在するアミノ酸であり、又は特にことわらない限り、天然に存在するアミノ酸に類似する態様で機能する天然のアミノ酸の既知類似体(すなわちアミノ酸擬似体)を包含することができる。さらに、アミド結合擬似体は、当業者に良く知られているペプチド主鎖修飾を包含する。
用語“単離された”、“精製された”、又は“生物学的に純粋な”とは、その天然の状態で見出されるように、通常、それに付随する成分を実質的に有さない材料を意味する。
用語“核酸”とは、一本鎖又は二本鎖形でのデオキシリボヌクレオチド又はリボヌクレオチドポリマーを意味し、そして特にことわらない限り、天然に存在するヌクレオチドに類似する態様で核酸にハイブリダイズする天然のヌクレオチドの既知類似体を包含する。特にことわらない限り、特定の核酸配列は任意には、その相補的配列を包含する。
特定の核酸配列における用語“副配列”(Subsequence)とは、特定された核酸に等しいか又はそれより小さな核酸の領域を意味する。
二本鎖核酸は、それらが二本鎖複合体を形成する場合、“ハイブリダイズする”。二本鎖の領域は、十分な長さの1つの又は両者の一本鎖核酸、又は1つの一本鎖核酸及び他の一本鎖核酸の副配列のすべてを包含することができ、又は二本鎖の領域は個々の核酸の副配列を含むことができる。核酸のハイブリダイゼーションに関する概観は、Tijssen, Laboratory Techniques in Biochemistry and Molecular Biology-Hybridization with Nucleic Acid Probes,“Overview of principles of hybridization and the strategy of nucleic acid probe assays”(1993)に見出される。
用語“核酸プローブ”とは、核酸の特定の配列又は副配列に結合する分子を意味する。プローブは好ましくは、標的核酸の十分な配列又は副配列に相補的塩基対合を通して結合する核酸である。プローブはハイブリダイゼーション条件の緊縮性に依存してプローブ配列との完全な相補性を欠失する標的配列を結合することができることが当業者により理解されるであろう。プローブは好ましくは、同位体、発色団、発光団、色原体により直接的にラベルされ、又はストレプタビジン複合体が後で結合することができるビオチンにより間接的にラベルされる。プローブの存在又は不在についてアッセイすることによって、選択配列又は副配列の存在又は不在を検出することができる。
“ラベル”は、分光、光化学、生化学、免疫化学、又は化学的手段により検出できる組成物である。たとえば、有用なラベルは、次のものを包含するが、但しそれらだけには限定されない:32P、螢光色素、電子密集試薬、酵素(たとえば、ELISAに通常使用されるような)、ビオチン、ジオキシゲニン、又はハプテン、及び抗血清又はモノクローナル抗体が利用できるタンパク質。
“ラベルされた核酸プローブ”とは、プローブの存在がプローブに結合されるラベルの存在を検出することによって検出され得るよう、ラベルに、共有的に、リンカーを通して、又は静電、van der Waals又は水素結合を通して、結合される核酸プローブである。
用語“選択的に(又は特異的に)ハイブリダイズする”とは、特定のヌクレオチド配列が複合混合物(たとえば、全細胞又はライブラリーDNA又はRNA)に存在する場合、緊縮ハイブリダイゼーション条件下でその特定のヌクレオチド配列に対してのみの分子の結合、複合体化、又はハイブリダイジングを意味する。
用語“緊縮ハイブリダイゼーション条件”とは、プローブがその標的副配列に対してハイブリダイズするが、しかし他の配列に対してはハイブリダイズしないであろう条件を言及する。緊縮条件は、配列−依存性であり、そして異なった環境下で異なるであろう。より長い配列ほど、より高い温度で特異的にハイブリダイズする。核酸のハイブリダイゼーションに関する広範なガイドは、Tijssen, Techaiques in Biochemistry and Molecular Biology-Hybridization with Nucleic Probes,“Overview of principles of hybridization and the strategy of nucleic acid assays”(1993)に見出される。一般的に、緊縮条件は、定義されたイオン強度pHで特定の配列についての熱溶融点(Tm)よりも約5〜10℃低く選択される。Tmは、標的物に相補的なプローブの50%が平衡で標的配列にハイブリダイズする(標的配列はTmで過剰に存在するので、プローブの50%が平衡で占有される)温度(定義されたイオン強度、pH及び核酸濃度下で)である。緊縮条件は、塩濃度が約1.0以下のナトリウムイオン、典型的には、pH7.0〜8.3で、約0.01〜1.0Mのナトリウムイオン濃度(又は他の塩)であり、そして温度が短いプローブ(たとえば10〜50個のヌクレオチド)に関して、少なくとも約30℃及び長いプローブ(たとえば50個以上のヌクレオチド)に関して、少なくとも約60℃である条件であろう。緊縮条件はまた、不安定剤、たとえばホルムアミドの添加により達成され得る。緊縮条件下でお互いハイブリダイズしない核酸は、それらがコードするポリペプチドが実質的に同一である場合、まだ実質的に同一である。たとえば、これは、核酸のコピーが遺伝子コードにより可能にされる最大のコドン縮重を用いて創造される場合に生じる。
複数の核酸又はポリペプチド配列における用語“同一”又は%“同一性”とは、次の配列比較アルゴリズムの1つを用いて、又は手動的な一列整列及び視覚観察により測定されるように、最大の対応のために比較されそして一列整列される場合、同じであるか、又は同じであるアミノ酸残基又はヌクレオチドの特定された百分率を有する複数の配列又は副配列を意味する。配列同一性の百分率がタンパク質又はペプチドに関して使用される場合、同一でない残基位置はしばしば、アミノ酸残基が類似する化学性質(たとえば電荷又は疎水性)を有する他のアミノ酸残基と置換され、そして従って、分子の機能的性質を変更しない保存性アミノ酸置換により異なることが理解される。配列が保存性置換において異なる場合、%配列同一性は、その置換の保存性質を訂正するために、より高度に調節され得る。この調節を行なうための手段は、当業者に良く知られている。典型的には、これは、完全なミスマッチよりもむしろ部分的ミスマッチとしての保存性置換の評点を包含し、それにより、%配列同一性を高める。従って、たとえば、同一のアミノ酸が1の評点を与えられ、そして非保存性置換がゼロの評点を与えられる場合、保存性置換は0〜1の間の評点を与えられる。保存性置換の評点は、たとえば既知のアルゴリズムに従って計算される。
2つの核酸又はポリペプチドにおける用語“実質的に同一である”とは、次の配列比較アルゴリズムの1つを用いて又は手動的一列整列及び視覚的観察により測定されるように、最大の対応のために一列整列される場合、少なくとも60%、好ましくは80%、より好ましくは90〜95%のヌクレオチド又はアミノ酸残基同一性を有する配列又は副配列を言及する。この定義はまた、試験配列が対照配列に対して実質的な同一性を有する場合、実質的な配列又は副配列相補性を有する、試験配列の補足を意味する。
配列比較のためには、典型的には、1つの配列が、試験配列が比較される対照配列として作用する。配列比較アルゴリズムを用いる場合、試験及び対照配列がコンピューターに入力され、必要なら、配列座標が企画され、そして配列アルゴリズムプログラムパラメーターが企画される。次に、配列比較アルゴリズムが、プログラムパラメーターに基づいて、対照配列に対する試験配列についての%配列同一性を計算する。
比較のための配列の最適な一列整列は、たとえばSmith & Waterman, Adv.Appl.Math. 2: 248(1981)の局部相同性アルゴリズムにより、Needleman & Wunsch, J.Mol.Biol. 48: 443(1970)の相同性一列整列アルゴリズムにより、Pearson & Lipman, Proc.Natl.Acad.Sci. USA 85: 2444(1988)の類似性方法のための調査により、それらのアルゴリズム(Wisconsin Genetics Software Package, Genetics Computer Group, 575 Science Dr., Madison, WIにおけるGAP, BESTFIT, FASTA及びTFASTA)のコンピューター処理された実施により、又は手動的一列整列及び視覚的観察により実施され得る。
有用なアルゴリズムの1つの例は、PILEUPである。PILEUPは、関係及び%配列同一性を示すために、進行性の対様式の一列整列を用いて、関連する配列のグループから複数の配列の一列整列を創造する。それはまた、一列整列を創造するために使用されるクラスター関係を示す系図又は樹状図もプロットする。PILEUPは、Feng & Doolittle, J.Mol.Evol. 35: 351-360(1987)の進行性一列整列方法の単純化を使用する。使用される方法は、Higgins & Sharp, CABIOS 5: 151-153(1989)により記載される方法に類似する。そのプログラムは300個までの配列を一列整列でき、個々は最大5,000個の長さのヌクレオチド又はアミノ酸から成る。複数一列配列方法が、2つの一列配列された配列のクラスターを生成する、2種の最とも類似する配列の対様式一列整列により開始する。次に、このクラスターが、次の最とも関連される配列又は一列整列された配列のクラスターに一列整列される。2つの配列クラスターは、2つの個々の配列の対様式一列整列の単純な延長により一列整列される。最終一列整列は、一連の進行性対様式一列整列により達成される。このプログラムは、配列比較の領域のための、特定配列及びそれらのアミノ酸又はヌクレオチド座標を企画することによって、又はプログラムパラメーターを企画することによって実施される。たとえば、対照配列は、次のパラメーター:デフォルトギャップ重量(3.00)、デフォルトギャップの長さ重量(0.10)及び計量された末端ギャップを用いて、%配列同一性関係を決定するために他の試験配列に比較され得る。
%配列同一性及び配列類似性を決定するために適切であるアルゴリズムのもう1つの例は、Altschulなど.,J.Mol.Biol. 215: 403-410(1990)に記載される、BLASTアルゴリズムである。BLAST分析を実施するためのソフトウェアは、National Center for Biotechnology Information(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/)を通して入手できる。このアルゴリズムはまず、データベースにおける同じ長さのコドン(word)と一列整列される場合、いくつかの陽性として評価された限界評点Tと適合するか又はそれを満たす、問題の配列における長さWの短いコドンを同定することによって、高い評点の配列対(HSP)を同定することを包含する。Tは、近隣コドン評点限界として言及される(Altschulなど、前記)。それらの初期の近隣コドンヒットはそれらを含むより長いHSPを見出すためのサーチを開示するための種子として機能する。コドンヒットは、累積一列整列評点が高められ得る限り、個々の配列にそって両方向に延長される。個々の方向へのコドンヒットの延長は、累積一列整列評点がその最大の達成される値から量X、離れる場合;累積評点が、1又は複数の負の評点残基一列整列の蓄積のために、ゼロ又はそれ以下に進行する場合;又はいづれかの配列の端に達する場合、停止される。ELASTアルゴリズムのパラメーターW,T及びXは、その一列整列の感度及び速度を決定する。BLASTプログラムは、デフォルトとして、11のコドンの長さ(W)、50のBLOSUM62評点マトリックス(Henikoff & Henikoff, Proc.Natl.Acad.Sci. USA 89: 10915(1989))一列整列(B)、10の期待値(E)、M=5,N=−4、及び両鎖の比較を用いる。
BLASTアルゴリズムはまた、2つの配列間の類似性の統計学的分析も実施する(たとえば、Karlin & Altschul, Proc.Natl.Acad.Sci. USA 90: 5873-5787(1993)を参照のこと。BLASTアルゴリズムにより提供される類似性の1つの尺度は、2つのヌクレオチド又はアミノ酸配列間の適合が偶然に生じる確立の表示を提供する、最小合計確立(P(N))である。たとえば、核酸は、対照核酸に対する試験核酸の比較における最小合計確立が約0.2以下、より好ましくは約0.01以下、及び最とも好ましくは、約0.001以下である場合、対照配列に類似すると見なされる。
2つの核酸配列又はポリペプチドが実質的に同一である表示は、第1の核酸によりコードされるポリペプチドが、下記のように、第2の核酸によりコードされるポリペプチドと免疫学的に交差反応することである。従って、ポリペプチドは、典型的には、2つのペプチドが保存性置換によってのみ異なる場合、第2のポリペプチドに対して実質的に同一である。2つの核酸配列が実質的に同一であるもう1つの表示は、2つの分子及び/又はそれらの補体が、下記のように、緊縮条件下でお互いに対してハイブリダイズすることである。
特定の核酸配列の“保存的に修飾された変形体”とは、同一の又は実質的に同一のアミノ酸配列をコードするそれらの核酸、又は核酸がアミノ酸配列をコードしない場合、実質的に同一の配列を言及する。遺伝子コードの縮重により、多くの機能的に同一の核酸はいづれか一定のポリペプチドをコードする。たとえば、コドンCGU, CGC, CGA, CGG, AGA及びAGGはすべて、アミノ酸アルギニンをコードする。従って、アルギニンがコドンにより特定されるあらゆる位置で、コドンは、コードされたポリペプチドを変更しないで、記載されるその対応するコドンのいづれかに変更され得る。そのような核酸変形体は、“保存的に修飾された変形体”の1つの種である“サイレント変形体”である。ポリペプチドをコードする、本明細書におけるあらゆる核酸配列はまた、あらゆる可能なサイレント変形体を記載する。当業者は、核酸における個々のコドン(通常、メチオニンのための唯一のコドンであるAUGを除く)が標準技法により機能的に同一の分子を生成するために修飾され得ることを理解するであろう。従って、ポリペプチドをコードする核酸の個々の“サイレント変形体”は、個々の記載される配列に内在する。さらに、当業者は、コードされた配列における単一のアミノ酸又は低%のアミノ酸(典型的には5%以下、より典型的には1%以下)を変更し、付加し、又は欠失する個々の置換、欠失又は付加は、変更が化学的に類似するアミノ酸によるアミノ酸の置換をもたらす“保存的に修飾された変形体”であることを理解するであろう。機能的に類似するアミノ酸を提供する保存的置換表は当業界において良く知られている。次の6種のグループは、お互いのための保存性置換であるアミノ酸をそれぞれ含む:
1)アラニン(A)、セリン(S)、トレオニン(T);
2)アスパラギン酸(D)、グルタミン酸(E);
3)アスパラギン(N)、グルタミン(G);
4)アルギニン(R)、リシン(K);
5)イソロイシン(I)、ロイシン(L)、メチオニン(M)、バリン(V);及び
6)フェニルアラニン(F)、チロシン(Y)、トリプトファン(W)。
用語“抗体”とは、免疫グロブリン遺伝子又は複数の免疫グロブリン遺伝子、又はそれらのフラグメントにより実質的にコードされるポリペプチドを言及する。認識される免疫グロブリン遺伝子は、カッパ、ラムダ、アルファ、ガンマ、デルタ、エプシロン及びミュ不変領域遺伝子、及び無数の免疫グロブリン可変領域遺伝子を包含する。L鎖は、カッパ又はラムダのいづれかとして分類される。H鎖は、他方では、それぞれ免疫グロブリンクラス、すなわちIgG, IgM, IgA, IgD及びIgEを定義する、ガンマ、ミュ、アルファ、デルタ、又はエプシロンとして分類される。
典型的な免疫グロブリン(抗体)構造単位は、テトラマーを含んで成る。個々のテトラマーは、1つの“L”(約25kD)鎖及び1つの“H”(約50〜70kD)鎖をそれぞれ有する2つの同一の対のポリペプチド鎖から構成される。個々の鎖のN−末端は、抗原認識のために主に応答する約100〜110又はそれ以上のアミノ酸の可変領域を定義する。用語可変L鎖(VL)及び可変H鎖(VH)は、それぞれそれらのL及びH鎖を意味する。
抗体は、損なわれていない免疫グロブリンとして、又は種々のペプチダーゼによる消化により生成される多くの十分に特徴づけられたフラグメントとして存在する。従って、ペプシンはヒンジ領域におけるジスルフィド結合下の抗体を消化し、それ自体、ジスルフィド結合によりVH-CH1に結合されるL鎖であるFabのダイマーF(ab)′2を生成する。F(ab)′2は、温和な条件下で還元され;ヒンジ領域におけるジスルフィド結合を分解され、それにより、F(ab)′2ダイマーがFab′モノマーに転換される。Fab′モノマーは、実質的に、ヒンジ領域の一部を有するFabである(他の抗体フラグメントのより詳細な記載については、Fundamental Immunology(Paul, ed., 3d ed. 1993)(引用により本明細書中に組込まれる)を参照のこと)。種々の抗体フラグメントが損なわれていない抗体の消化により定義されるが、当業者は、そのようなFab′フラグメントが化学的に又は組換えDNA技法を用いることによって新たに合成され得ることを認識するであろう。従って、用語抗体は、本明細書において使用される場合、また、完全な抗体の修飾により生成される抗体フラグメント、又は組換えDNA技法を用いて新たに合成されるそれらのフラグメントも包含する。
“キメラ抗体”は、(a)不変領域又はその一部が、抗原結合部位(可変領域)が異なった又は変更された種類のエフェクター機能及び/又は種の不変領域、又は新規の性質をキメラ抗体に付与する完全に異なった分子、たとえば酵素、トキシン、ホルモン、成長因子、薬物、等に結合されるよう変更され、置換され、又は交換され;又は(b)可変領域又はその一部が、異なった又は変更された抗原特異性を有する可変領域により変更され、置換され、又は交換される抗体分子である。
用語“イムノアッセイ”とは、分析物を特異的に結合するために抗体を使用するアッセイである。イムノアッセイは、分析物を単離し、標的化し、そして/又は定量化するために特定の抗体の特異的結合性質の使用により特徴づけられる。
タンパク質又はペプチドを意味する場合、抗体に“特異的に(又は選択的に)結合する”又は“特異的に(又は選択的に)免疫反応する”とは、タンパク質及び他の生物体の異種集団におけるタンパク質の存在の決定力のある結合反応を意味する。従って、企画されたイムノアッセイ条件下で、特定された抗体は、バックグラウンドの少なくとも2倍、特定のタンパク質に結合し、そしてサンプルに存在する他のタンパク質に有意な量で、実質的に結合しない。そのような条件下での抗体の特異的結合は、特定のタンパク質のためのその特異性について選択される抗体を必要とする。たとえば、配列番号1又は3のアミノ酸配列を有するADNF IIIに対して生ぜしめられた抗体は、それらのポリペプチドと特異的に免疫反応するが、他のタンパク質とは免疫反応しない(但し、ADNF IIIの多形現象変異体、対立遺伝子及び種間相同体を除く)それらの抗体のみを得るために選択され得る。この選択は、例えばADNFIのような分子と交差反応する抗体を除くことによって達成されうる。種々のイムノアッセイ型が、特定のタンパク質を特異的に免疫反応する抗体を選択するために使用され得る。たとえば、固相ELISAイムノアッセイは、タンパク質と特異的に免疫反応する抗体を選択するために通常使用される(たとえば、特定の免疫反応性を決定するために使用され得るイムノアッセイ型及び条件の記載については、Harlow & Lane, Antibodies, A Laboratory Manual(1988)を参照のこと)。典型的には、特定の又は選択的な反応は、バックグラウンドシグナル又はノイズの少なくとも2倍、及びより典型的には、バックグラウンドの10〜100倍以上である。
“抗−ADNF III”抗体は、本明細書に記載されるADNF III核酸によりコードされるポリペプチドを特異的に結合する抗体又は抗体フラグメントである。
“発現ベクター”は、細胞により転写され、そして翻訳され得るポリペプチドをコードする核酸を包含する組換え発現カセットを包含する。“組換え発現カセット”は、標的細胞における特定の核酸の転写を可能にする一連の特定された核酸要素により、組換え的に又は合成的に生成される核酸構造体である。発現ベクターは、プラスミド、ウィルス、又は核酸フラグメントの一部であり得る。典型的には、発現ベクターの組換え発現カセット部分は、転写されるべき核酸及びプロモーターを含む。いくつかの態様において、発現カセットはさらに、たとえば複製の起点及び/又は染色体組込み要素を含む。“プロモーター”は、核酸の転写を方向づける一連の核酸制御配列である。本明細書において使用される場合、プロモーターは、転写の開始部位近くの必要な核酸配列、たとえばポリメラーゼIIタイプのプロモーターの場合、TATA要素を包含する。プロモーターはまた、転写の開始部位から数千の塩基対位置に存在することができる遠位エンハンサー又はリプレッサーを包含する。“構成”プロモーターとは、発生又は細胞分化のほとんどの環境条件及び状態下で活性的であるプロモーターである。“誘発性”プロモーターは、細胞外刺激に対して応答する。用語“操作可能的に連結される”とは、核酸発現制御配列(たとえば、プロモーター、又は一連の転写因子結合部位)と第2核酸配列との間の機能的連鎖を意味し、ここで前記発現制御配列は、前記第2配列に対応する核酸の転写を方向づける。
用語“組換え”とは、細胞に関して使用される場合、細胞が核酸を複製し、又は発現し、又はその起源が細胞に対して外因性である核酸によりコードされるペプチド又はタンパク質を発現することを示す。組換え細胞は、細胞の生来(非組換え)形内に見出されない遺伝子を発現することができる。組換え細胞はまた、細胞の生来形に見出される遺伝子も発現することができ、ここで前記遺伝子は、たとえば異種プロモーターの制御下で、人工的な手段により細胞中に再導入される。
“免疫原性組成物”とは、哺乳類に導入される場合、その組成物中の成分を結合する抗体の生成を誘発するか、又は組成物中の成分に対する細胞−介在免疫応答の生成を誘発する組成物である。
ポリペプチドに関しての“抗原エピトープ”とは、免疫原として、又は免疫原の一部として(たとえば、キャリヤータンパク質又はアジュバントと共に、又はウィルスベクターの表面上に)与えられる場合、十分な長さのポリペプチドに対して特異的に結合する抗体を誘発するポリペプチド副配列である。
用語“生物学的活性”とは、天然に存在する生物学的分子と、インビトロ又はインビボでそれらの分子の機能を活性化するか又は阻害するために、相互作用するであろうペプチド配列を言及する。用語“生物学的活性”とは、インビトロ又はインビボで、中枢神経系において起因するニューロンに対する神経保護/向神経作用を示すADNF IIIポリペプチドを言及するために本明細書において最とも通常には使用される。従って、本発明は、たとえば神経毒素により処理された大脳皮質培養物を用いてADNF IIIに比較して試験される場合、ADNF IIIと同じか又は類似する活性を有するポリペプチド副配列を提供する(Gozesなど.,Proc.Natl.Acad.Sci. USA 93: 427-432(1996)を参照のこと)。
用語“から実質的に成る”とは、この用語が言及するADNF IIIポリペプチドの必須性質を実質的に変更するいづれかの要素を排除するために本明細書において使用される。従って、“〜から実質的に成る”ポリペプチドの記載は、そのポリペプチドの生物学的な活性を実質的に変更するいづれかのアミノ酸の置換、付加又は欠失を排除する。
用語“接触する”とは、次のものと交換可能的に本明細書において使用される:〜と組合され、〜に添加され、〜と混合され、〜上に通され、〜と共にインキュベートされ、〜上に流され、等。さらに、本発明のADNF IIIポリペプチドは、いづれかの従来の方法、たとえば非経口、経口、局部及び吸入路により“投与され”得る。現在好ましい態様においては、非経口及び鼻腔吸入路が使用される。
“十分な量”又は“有効量”とは、興味ある神経保護/向神経活性を示すか、又は臨床医又は他の資格のある観察者により示されるように、症状の主観的な軽減又は客観的に同定できる改良のいづれかを提供する所定のADNF IIIポリペプチドの量である。用量範囲は、使用されるADNF IIIポリペプチド、投与の経路、及び特定のADNF IIIポリペプチドの能力により変化する。
用語“ADNF III”又は“ADNP”とは、(1)配列番号1,3及び保存的に修飾されたその変異体から成る群から選択されたアミノ酸を含んで成る免疫原に対して生ぜしめられた抗体に結合し;又は(2)配列番号2,4及び保存的に修飾されたその変異体から成る群から選択された配列に対して緊縮ハイブリダイゼーション条件下で特異的にハイブリダイズし;又は(3)配列番号7,8及び9から成る群から選択されたプライマーを含んで成るプライマー組と同じ配列に対して緊縮ハイブリダイゼーション条件下で特異的にハイブリダイズするプライマーにより増幅され;又は(4)配列番号1〜4及び保存的に修飾されたその変異体から成る群から選択された配列に対しての実質的な配列又は副配列同一性/相補性を有する、ADNF IIIの多型変異体、種間相同体(好ましくは、哺乳類相同体)及び対立遺伝子であるポリペプチドをコードする核酸を言及する。
本明細書に言及されるアミノ酸は次の通りに短縮された名称により記載される:
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本発明及び好ましい態様の詳細な記載
本発明は、新規神経保護ポリペプチド、すなわち活性依存性神経保護タンパク質(ADNP)とも呼ばれる活性依存性向神経第III因子(ADNF III)をコードする核酸の発現に関する。ADNFIとhsp60、すなわち熱ショックタンパク質との、及びPIF1、すなわちDNA修復タンパク質との間の認識される相同性に基づけば、それらの2つのエピトープが、新規神経保護ポリペプチドADNF IIIを同定するためにマウスcDNA−発現ベクターをスクリーンするために使用された抗体を調製するために利用された。マウスcDNAは、約806個(pI5.85)のアミノ酸のADNF IIIポリペプチドをコードする、約2418塩基対のリーディングフレームから成る。ADNF IIIの8−アミノ酸配列(ADNF III-8ポリペプチド)は、熱ショックタンパク質60コード配列に比較して、DNAレベルで77.8%の同一性を伴って、ADNFI(熱ショックタンパク質60相同体)の活性部位に対する構造類似性を示す。さらに、cDNA構造体にそっての2つのアミノ酸配列(5個のアミノ酸の1つ及び9個のアミノ酸のもう1つ)は、それぞれ、PIF1コード配列との72%及び77.8%の同一性を示す。さらなる比較配列分析は、次のABCトランスポーターファミリーの特性を示した:細胞質膜を通しての小さな親水性分子の活性輸送に関連するATP結合タンパク質;GTP/ATP結合部位;及びアルデヒドデヒドロゲナーゼ活性部位。ヒトADNF IIIをコードするcDNAはまたクローン化されており、そして本発明により供給される。従って、本発明は、ADNF III、種間相同体(好ましくは、哺乳類相同体)、多型変異体及び対立遺伝子、並びに、たとえば神経毒素により処理された大脳皮質培養物を用いてADNF IIIに比較試験される場合(Gozesなど.,Proc. Natl. Acad. Sci. USA 93:427-432(1996)を参照のこと)、ADNF IIIと同じか又は類似する活性を有するポリペプチド副配列を提供する。
RT-PCR技法を用いて、ADNF IIIをコードするmRNAが最初に、大脳皮質に由来するラット星状細胞において同定された。ノザンブロットハイブリダイゼーションにおける十分な長さのRNA転写体のサイズは約5300±200塩基対であり、これは長いポリ(A)末端を示す。さらに、PCR−助力のmRNA決定は、ADNF IIIをコードするmRNAが線維芽細胞においてではなく、星状細胞において発現されたことを示した。星状細胞において発現される他に、mRNAは脳、たとえば皮質、小脳、海馬、前頭葉、延髄、視床下部核酸、脊髄、及び後部脳においても同定された。ADNFmRNAはまた、胎児組織、特に肺、及び内分泌組織においても発現される。低量のmRNAは、腎臓、脾臓及び肺において検出でき、そして腸管においては、有意な量は検出できなかった。ヒト神経芽腫からのcDNAのPCRは、ヒト材料がADNF III mRNAを発現することを示した。ヒトADNF III cDNAがクローン化され、そして配列分析は、マウスADNF III核酸に対して、ヌクレオチドレベルで87%の類似性及びアミノ酸レベルで93%の類似性及び92%の同一性を示した。ウェスターンブロットハイブリダイゼーションは、さらに、ADNF III−様免疫反応性(約90kDa)がVIPと共にインキュベートされた星状グリア細胞から分泌されることを示した。
ADNF IIIに対する、ADNFIとhsp60との間の相同性に基づいて、hsp60に対して、及び前に記載された活性ペプチドSALLRSIPA(配列番号5)に対して構造相同性を示したADNF IIIポリペプチドが合成された。このADNF IIIポリペプチドは、8個の長さのアミノ酸であり、そして配列NAPVSIPQ(配列番号6)(NAP又はADNF III-8として言及される)を有する。合成されると、ADNF IIIポリペプチド、すなわちNAPVSIPQ(配列番号6)、及び“発現されたタンパク質”が、ニューロン細胞の死を妨げるそれらの能力についてスクリーンされた。そのように実施することで、“発現されたタンパク質”(クローン25から発現された十分な長さのADNF III)が大脳皮質培養物においてβ−アミロイドペプチドに関連するニューロン細胞の死を妨げることが見出された(実験は、Gozesなど.,Proc. Natl. Acad. Sci. USA 93:427-432(1996)により記載のようにして実施された)。さらに、ADNF IIIポリペプチド、すなわちNAPVSIPQ(配列番号6)が大脳皮質培養物においてβ−アミロイドペプチドに関連するニューロン細胞の死を妨げることが見出された。
さらに、クローン化された材料からの“発現されたタンパク質”が大脳皮質培養物において電気的遮断に関連するニューロン細胞の死を妨げることが見出された(実験は、Brenneman & Gozes, J. Clin. Invest., 97:2299-2237(1996)に記載のようにして実施された)。同様に、同定されたADNF III-8ポリペプチド、すなわちNAPVSIPQ(配列番号6)が、大脳皮質培養物において電気的遮断に関連するニューロン細胞の死を妨げる。さらに、ADNF III-8ポリペプチドがまた、コリン作用性遮断に関連する学習及び記憶障害に対する保護を提供する。
前述の観点において、本発明は、中でも、ADNF IIIポリペプチドをコードする核酸;そのような核酸配列によりコードされるADNF IIIポリペプチド;ADNF IIIポリペプチドに対する抗体;及び神経学的欠損の処理のために、及び(1)gp120、すなわちHIVからのエンベロープタンパク質;(2)N−メチル−D−アスパラギン酸(毒性刺激性);(3)テトロドトキシン(電気的活性の遮断);及び(4)β−アミロイドペプチド、すなわちアルツハイマー病におけるニューロン変性に関係する物質に関連する細胞死の阻止のためにそのようなADNF IIIポリペプチドを用いる方法を提供する。
さらに、N−メチル−D−アスパラギン酸(毒性刺激性)に関連するニューロン細胞の死を阻害するそれらの能力の結果として、本発明のADNF IIIポリペプチドが多くの形の神経変性を処理するために使用され得る(Lipton & Rosenberg, New Eng. J. Med. 330:613-622(1994)を参照のこと;この教授はすべての目的のために引用により本明細書中に組込まれる)。そのような神経変性は、次のものを包含するが、但しそれらだけには限定されない:ハンチントン病;AIDS痴集複合体;ニューロパシー性苦痛症候群;オリーブ橋小脳萎縮;振せん麻痺及びパーキンソン病;筋萎縮性側索硬化症;ミトコンドリア異性症、及び他の遺伝されたか又は後天性生化学的障害;MELAS症候群;MERRF;Leber病;ウェルニッケ脳障害;Rett症候群;ホモシスチン症;高プロリン血症;非ケトン症性高グリシン血症;ヒドロキシ酪酸アミノ酸尿症;酸化亜硫酸欠損;組合された器官系疾患:鉛脳障害;アルツハイマー病;肝性脳障害;Tourett症候群;酸化ストレス誘発性ニューロン死;ダウン症候群;進行性遅滞及び学習障害;閉鎖性頭部外傷;ドパミン毒性;薬物常用癖、耐性、及び依存性。当業者は、上記列挙が例示的であり、そしてすべてではなく、そして本発明のADNF IIIポリペプチドが他の神経学的障害の処理に使用され得ることを理解するであろう。
A.ADNF IIIポリペプチドをコードする核酸の単離するためのクローニング方法
ADNF IIIポリペプチドをコードするいくつかの特定の核酸が本明細書に記載されている。それらの核酸は、標準の組換え又は合成技法を用いて製造され得る。本発明の核酸が与えられる場合、当業者は、機能的に同等の核酸、たとえば同じポリペプチドをコードする核酸を含む種々のクローンを構成することができる。それらの目的を達成するためのクローニング技法、及び核酸の配列を確認するための配列決定方法は、当業界において良く知られている。適切なクローニング及び配列決定技法の例、及び多くのクローニング実習を通して当業者を方向づけるのに十分な教示が、Sambrookなど.,Molecular Cloning-A Laboratory Manual(2nd ed. 1989)及びCurrent Protocols in Molecular Biology(Ausubelなど.,eds., 1994)に見出される。
さらに、生物学的試薬及び実験装置の製造業者からの生成物情報はまた、既知の生物学的方法に有用な情報を提供する。そのような製造業者は、次のものを包含する:SIGMA化学会社(Saint Louis, MO), R & Dシステム(Minneapolis, MN), Pharmacia LKB Biotechnology(Piscataway, NJ),(CLONTECH Laboratories, Inc.(Palo Alto CA), Chem Genes Corp., Aldrich Chemical Company(Milwaukee, WI), Glen Research, Inc., GIBCO BRL Life Technologies, Inc.(Gaithersberg, MD), Fluka Chemical-Biochemika Analytika(Fluka Chemie AG, Buchs, Switzerland), Invitrogen(San Diego, CA)、及びApplied Biosystems(Foster City, CA)、並びに当業者に知られている多くの他の市販源。
RNA, cDNA、ゲノムDNA又は種々の組合せのハイブリッドのいづれかを含む本発明の核酸組成物が、生物学的源から単離され、又はインビトロで合成され得る。本発明の核酸は、形質転換された又はトランスフェクトされた細胞に、形質転換された又はトランスフェクトされた細胞溶解物に、又は部分精製された又は実質的に純粋な形で存在する。
分子プローブとして使用するための配列を増幅し、又は続くサブクローニングのための核酸フラグメントを生成するために適切なインビトロ増幅技法は知られている。そのようなインビトロ増幅方法、たとえばポリメラーゼ鎖反応(PCR)、リガーゼ鎖反応(LCR)、Qβ−レプリカーゼ増幅及び他のRNAポリメラーゼ介在技法(たとえば、NASBA)を通して当業者を方向づけるのに十分な技法の例は、次のものに見出される:Berger, Sambrookなど.及びAusubelなど.,前記、並びにアメリカ特許第4,683,202号;PCR Protocols A Guide to Methods and Applications(Innisなど.,eds., 1990): Arnheim & Levinson(October 1, 1990)C & EN 36-47;The Journal Of NIH Research 3:81-94(1991); Kwohなど.,Proc. Natl. Acad. Sci. USA 86:1173(1989); Guatelliなど.,Proc. Natl. Acad. Sci. USA 87:1874(1990); Lomellなど.,J. Clin. Chem 35:1826(1989); Landegrenなど.,Science 241:1077-1080(1988); Van Brunt, Biotechnology 8:291-294(1990); Wu & Wallace, Gene 4:560(1989);Barringerなど.,Gene 89:117(1990);及びSooknanan & Malek, Biotechnology 13:563-564(1995)。インビトロ増幅された核酸をクローニングするための改良された方法が、アメリカ特許第5,426,039号に記載される。大きな核酸を増幅するための改良された方法が、Chengなど.,Nature 369:684-685(1994)及びそこにおける引例に要約されている。当業者は、実質的にいづれかのRNAが、逆転写酵素及びポリメラーゼを用いて、制限消化、PCR拡張及び配列決定のために適切な二本鎖DNAに転換され得ることを理解するであろう。
インビトロADNF III核酸増幅方法においてプローブとして使用するための、又はADNF III核酸を検出するために核酸プローブとして使用するためのオリゴヌクレオチドは、典型的には、Beaucage & Caruthers, Tetrahedron Letts., 22(20): 1859-1862(1981)により記載される固相ホスホラミジットトリエステル方法に従って、たとえばNeedham-VanDevanterなど.,Nucleic Acids Res. 12:6159-6168(1984)に記載されるような自動合成機を用いて化学的に合成される。オリゴヌクレオチドは、また、当業者に知られている種々の市販源から注文製造され得る。オリゴヌクレオチドの精製は、必要な場合、典型的には、アクリルアミドゲル電気泳動又はPearson & Regnier, J. Chrom. 255:137-149(1983)に記載されるようなアニオン−交換HPLCのいづれかにより実施される。合成オリゴヌクレオチドの配列は、Maxam & Gilbert, Methods in Enzymology 65:499-560(Grossman & Moldave, eds., 1980)の化学的分解方法を用いて確認され得る。
当業者は所定の核酸配列に変更をもたらすための多くの手段を認識するであろう。そのような既知の方法は、特定部位の突然変異誘発、変性オリゴヌクレオチドを用いてのPCR増幅、核酸を含む細胞の突然変異誘発物質又は放射線への暴露、所望するオリゴヌクレオチドの化学的合成(たとえば、大きな核酸を生成するために連結及び/又はクローニングを伴って)、及び他の良く知られた技法(Giliman & Smith, Gene 8:81-97(1979);Robertsなど.,Nature 328:731-734(1987); 及びSambrookなど.,Molecular Cloning-A Laboratory Manual(2nd ed. 1989))を包含する。
B.ADNF IIIポリペプチドの発現/合成
1つの態様において、ポリペプチド又はその副配列は、組換えDNA技法を用いて合成される。一般的に、これは、タンパク質をコードする核酸配列を創造し、特定のプロモーターの制御下に発現カセットにおいて核酸を配置し、宿主細胞においてタンパク質を発現し、発現されたタンパク質を単離し、そして必要なら、タンパク質を再生することを包含する。
本発明のポリペプチドをコードする核酸が単離され、そしてクローン化されると、核酸は任意には、当業者に知られている組換え的に構築された細胞において発現される。そのような細胞の例は、細菌、酵母、植物、糸状菌、昆虫(特に、バキュロウィルスベクターを用いる)及び哺乳類細胞を包含するが、但しそれらだけには限定されない。組換え核酸は、選択された宿主における発現のために適切な制御配列に操作可能的に連結される。E.コリに関して、典型的な制御配列は、T7,Trp、又はλプロモーター、リボソーム結合部位及び好ましくは、転写終結シグナルを包含する。真核細胞に関しては、制御配列の典型的には、プロモーター及び好ましくは、免疫グロブリン遺伝子、SV40、サイトメガロウィルス、等に由来するエンハンサー、及びポリアデニル化配列を包含し、そしてスプライスドナー及び受容体配列を含むことができる。
本発明のプラスミドは、良く知られている方法により、選択された宿主細胞中にトランスファーされ得る。そのような方法は、E.コリに関しては、塩化カルシウム形質転換方法、及び哺乳類細胞に関しては、リン酸カルシウム処理方法又はエレクトロポレーション方法を包含する。プラスミドにより形質転換された細胞は、プラスミド上に含まれる遺伝子、たとえばamp, gpt, neo、及びhyg遺伝子により付与される耐抗生物質性により選択され得る。
発現されると、組換えポリペプチドは、標準の方法、たとえば硫酸アンモニウム沈殿、アフィニティーカラム、カラムクロマトグラフィー、ゲル電気泳動、及び同様の方法に従って精製され得る(たとえば、Scopes, Polypeptide Purification(1982); Dentscner, Methods in Enzymology, Vol. 182, Guide to Polypeptide Purification(1990))。部分的に、又は所望により、均質性に精製されると、ADNF IIIポリペプチドは、ニューロン細胞の死を阻止するために又は抗体生成のための免疫原として使用され得る。
前述の組換え技法の他に、本発明のポリペプチドは任意には、広範囲の種類の良く知られている技法により合成的に調製される。比較的短いサイズのポリペプチドは典型的には、従来の技法(たとえば、Merrifield, Am. Chem. Soc. 85:2149-2154(1963)を参照のこと)に従って、溶液において又は固体支持体上で合成される。種々の自動合成機及び配列決定機が市販されており、そして既知のプロトコールに従って使用され得る(たとえば、Stewart & Young, Solid Phase Peptide Synthesis(2nd ed. 1984)を参照のこと)。配列のC−末端アミノ酸が不溶性支持体に結合され、続いて、配列における残るアミノ酸の連続的付加を伴う固相合成は、本発明のポリペプチドの化学的合成のための好ましい方法である。固相合成のための技法は、Barany & Merrifield, Solid-Phase Peptide Synthesis;pp. 3-284, The Peptides:Analysis, Synthesis, Biology, Vol. 2:Special Methods in Peptide Synthesis, Part A; Merrifieldなど.,J. Am. Chem. Soc. 85:2149-2156(1963); 及びStewartなど.,Solid Phase Peptide Synthesis(2nd ed. 1984)により記載される。
化学的合成、生物学的発現又は精製の後、ポリペプチドは、構成ポリペプチドの生来のコンホメーションよりも実質的に異なったコンホメーションを有する。この場合、ポリペプチドを変性し、そして還元し、そして次に、ポリペプチドの好ましいコンホメーションへの再生を引き起こすことは有用である。ポリペプチドを還元し、そして変性し、そして再生を誘発するための方法は、当業者に良く知られている(Debinskiなど.,J. Biol. Chem. 268:14065-14070(1993); Kreitman & Pastan, Bioconjug. Chem. 4:581-585(1993); 及びBuchnerなど.,Anal. Biochem. 205:263-270(1992)を参照のこと)。たとえば、Debinskiは、グアニジン−DTEにおける封入体ポリペプチドの変性及び還元を記載している。次に、ポリペプチドは、酸化されたグルタチオン及びL−アルギニンを含むレドックス緩衝液において再生される。
当業者は、修飾がそれらの生物学的活性を低めないで、ポリペプチドに対して行なわれ得ることを認識するであろう。いくつかの修飾は、融合ポリペプチド中への標的分子のクローニング、発現又は組込みを促進するために行なわれ得る。そのような修飾は、当業者に良く知られており、そしてたとえば、開始部位を供給するためにアミノ末端で付加されるメチオニン、又は便利に配置される制限部位又は停止コドン又は精製配列を創造するためにいづれかの末端上に配置される追加のアミノ酸(たとえばポリHis)を包含する。
C.ADNF III核酸及びポリペプチドの保存性修飾
当業者は、本明細書に供給される核酸及びポリペプチド配列の多くの保存性修飾は、機能的に同の生成物を生成することを理解するであろう。たとえば、遺伝子コードの縮重のために、“サイレント置換”(すなわち、コードされたポリペプチドにおいて変更をもたらさない核酸配列の置換)は、アミノ酸をコードするあらゆる核酸配列の含蓄された特徴である。同様に、アミノ酸配列における1又は数個のアミノ酸の“保存性アミノ酸置換”は、非常に類似する性質(前記の定義セクションを参照のこと)を有する異なったアミノ酸により置換され、そして又は、開示されるアミノ酸配列、又はアミノ酸をコードする開示される核酸配列に非常に類似するものとして容易に同定される。個々の明白に列挙される核酸及びアミノ酸配列のそのような保存的に置換された変形体は、本発明の特徴である。
当業者は、所定の核酸配列において変更を行なうための多くの手段を認識するであろう。そのような良く知られた方法は、特定部位の突然変異誘発、変性オリゴヌクレオチドを用いてのPCR増幅、核酸を含む細胞の突然変異誘発物質又は放射線への暴露、所望するオリゴヌクレオチドの化学合成(たとえば、大きな核酸を生成するために連結及び/又はクローニングを伴う)、及び他の良く知られている技法(Giliman & Smith, Gene 8:81-97(1979);Robertsなど.,Nature 328:731-734(1987)を参照のこと)を包含する。
最とも通常には、ポリペプチド配列は、その対応する核酸配列を変更し、そしてポリペプチドを発現することによって変更される。しかしながら、ポリペプチド配列はまた、任意には、いづれかの所望するポリペプチドを生成するために市販のペプチド合成機を用いて、合成的に生成される(Merrifield、前記及びStewart & Young、前記を参照のこと)。
当業者は、一般的にタンパク質に関して、提供される配列及び当業界における知識に基づいて、本発明の所望する核酸又はポリペプチドを選択することができる。タンパク質及び核酸の性質に関する知識は、本明細書に開示される核酸及びポリペプチドに類似するか又は同等の活性を有する適切な配列の選択を当業者に可能にする。前記の定義セクションは、典型的な保存性アミノ酸置換を記載する。
最終的に、ADNF III核酸及びポリペプチドに対するほとんどの修飾は、所望する特性についての適切なアッセイにおける通常のスクリーニング技法により評価される。たとえば、ポリペプチドの免疫学的特性は、適切な免疫学的アッセイにより検出され得る。他の性質、たとえば標的核酸に対する核酸ハイブリダイゼーション、タンパク質のレトックス又は熱安定性、疎水性、タンパク質分解に対する感受性、又は凝集する傾向の修飾は、標準の技法に従ってすべてアッセイされる。
より特定には、本発明のADNF IIIポリペプチドが、次のCNSアッセイを用いることによって、神経保護/向神経活性について容易にスクリーンされ得ることは、当業者に明らかであろう。大脳皮質培養物は、次の修飾を伴って、Forsythe & Westbrook, J. Physiol. Lond. 396:515(1988)により記載される技法を用いて調製される。大脳皮質が、海馬の代わりに使用され、そして新生ラットがE16マウスの代わりに使用される。
インビトロでの9日間の増殖の後、培養物は、培地を完全に交換され、そして興味あるADNF IIIポリペプチド(リン酸緩衝溶液に溶解されている)により、さらに5日間、処理される。停止のために、細胞が免疫細胞化学的に固定され、そしてニューロンがNSE(すなわちニューロン特異的エノラーゼ、ニューロン特異的マーカー)により同定される。細胞計数は、約15mm2の合計領域を伴って、30領域に対して実施される。ニューロンが、処理の認識なしに計数される。いづれの薬物によっても処理されていない対照が、比較のために計数されるべきである。
このアッセイを用いて、当業者は、本発明の教授に従って、多数のADNF IIIポリペプチドを容易に調製することができ、そして本明細書に示されるポリペプチドの他に、損なわれていないADNF III成長因子の神経保護/向神経活性を有するADNF IIIポリペプチドを見出すために、前記アッセイを用いてそれらをスクリーンすることができる。たとえば、出発点としてADNF III-8(すなわち、Asn-Ala-Pro-Val-Ser-Ile-Pro-Gln(配列番号6))を用いて、Gly-, Gly-Gly-, Leu-Gly-GlyをADNF-8のN−末端に組織的に付加し、そして前記アッセイにおけるそれらのADNF IIIポリペプチドの個々を、それらが神経保護/向神経活性を有するかどうかを決定するために、スクリーンすることができる。そのようにすることで、追加のアミノ酸が、損なわれていないADNF III成長因子が異例な生物学的活性を示す事実により明らかなように、生物活性の損失なしに、新たに発見された活性部位、すなわちAsn-Ala-Pro-Val-Ser-Ile-Pro-Gln(配列番号6)のN−末端及びC−末端の両者に付加され得ることが見出されるであろう。
D.ADNF III核酸についてのスクリーニング及び分子プローブとしてのADNF III核酸の使用
本明細書に記載されるポリペプチドをコードすることにおけるそれらの有用性の他に、本発明の核酸は、分子プローブとしても有用である。広範囲の種類の形式及びラベル、たとえばTijssen, Laboratory Techniques in Biochemistry and Molecular Biology-Hybridization with Nucleic Acid Probes(1993); 及びMethods in Molecular Biology, Volume 33-In Situ Hybridization Protocols(Choo, ed., 1994)(また、Methods in Molecular Biologyシリーズにおける他の本も参照のこと)に再考されるそれらの形式及びラベルが、核酸ハイブリダイゼーションのために利用でき、そして適切であり;特に、Choo、前記、“Detection of Virus Nucleic Acids by Radioactive and Nonisotopic in Situ Hybridization”のChapter 21を、それらについては、参照のこと。
たとえば、PCR, LCR及び他の増幅技法は、生物学的サンプルにおけるADNF III核酸を検出するために通常使用される。従って、1つの種類の態様においては、本発明の核酸は、生物学的サンプル、たとえば星状グリア細胞におけるADNF IIIの検出のための増幅反応においてプライマー又は鋳型、又は陽性の対照として使用される。手短に言及すれば、配列番号2及び4又はその補体に対して配列、副配列同一性又は相補性を有する核酸は、選択されたADNF III核酸副配列の補体に類似するか又は同一の配列を有する、約15〜25個のヌクレオチドのオリゴヌクレオチドを合成的に生成するための鋳型として使用される。次に、前記オリゴヌクレオチドが、生物学的サンプル、たとえば星状グリア細胞における選択されたADNF III核酸を検出するための増幅反応、たとえばPCRにおいてプライマーとして使用される。本発明の核酸(すなわち、増幅されるべき領域に対応するクローン化された核酸)はまた、任意には、増幅試薬及びハイブリダイゼーション条件が適切であることを決定するための陽性対照として別々の反応において増幅鋳型として使用される。
本発明の核酸を用いての生物学的サンプルにおける核酸の検出のための他の方法は、サザンブロット、ノザンブロット、現場ハイブリダイゼーション(螢光現場ハイブリダイゼーション(FISH)及びChoo(前記)に概略される種々の他の技法を包含する)を包含する。種々の自動化された固相検出技法もまた適切である。たとえば、非常に大規模な固定されたポリマーアレイ(VLSIPSTM)が、核酸の検出のために使用される(Tijssen(前記)、Fodorなど.,Science 251:767-777(1991); Sheldonなど.,Clinical Chemistry 39(4):718-719(1993);及びKozalなど.,Nature Medicine 2(7):753-759(1996)を参照のこと)。
E.選択されたADNF IIIポリペプチドに対する抗体
抗体が、それらの天然に存在する(十分な長さ)形及び組換え形の両者において、本発明の選択されたADNF IIIポリペプチド(個々、対立遺伝子又は株又は種変異体、及びそれらのフラグメントを包含する)に対して生ぜしめられる。さらに、抗体が、それらの天然の形状又は非天然の形状のいづれかで、それらのADNF IIIポリペプチドに対して生ぜしめられる。抗−イディオタイプ抗体もまた、生成され得る。抗体を製造する多くの方法は、当業者に知られている。次の議論は利用できる技術の一般的な概観として示されるが、しかしながら、当業者は、次の方法に対する多くの変更が知られていることを認識するであろう。
多くの免疫原が、配列番号1及び3から成る群から選択されたアミノ酸配列を有するADNF IIIポリペプチドと特異的に反応する抗体を生成するために使用される。配列番号1及び3から成る群から選択されたアミノ酸を有するADNF IIIポリペプチドのアミノ酸副配列から選択された、8個の長さのアミノ酸、又はそれ以上、典型的には20個の長さのアミノ酸、又はそれ以上、より典型的には30個の長さのアミノ酸、又はそれ以上の長さのアミノ酸の組換え又は合成ポリペプチドが、モノクローナル又はポリクローナル抗体の生成のための好ましいポリペプチド免疫原である。1つの種類の好ましい態様においては、免疫原ペプチド接合体がまた、免疫原として包含される。天然に存在するポリペプチドはまた、純粋な又は不純な形のいづれの形ででも使用される。抗原性ドメインは通常、少なくても約3個の長さのアミノ酸、しばしば少なくても約5個の長さのアミノ酸、一般的に少なくても約9個の長さのアミノ酸、及びしばしば少なくても約15個の長さのアミノ酸である。抗原性ドメインは通常、典型的には3〜約20個の長さのアミノ酸であり、そして一般的には、約8〜12個の長さのアミノ酸である、抗体のための結合部位を含む。
組換えADNF IIIポリペプチドは、真核又は原核細胞において発現され、そして標準の技法を用いて精製される。次に、ポリペプチド、又はその合成形が、抗体を生成することができる動物に注射される。モノクローナル又はポリクローナル抗体のいづれかが、ポリペプチドの存在及び量を測定するためにイムノアッセイへの続く使用のために生成され得る。
ポリクローナル抗体を生成するための方法は、当業者に知られている。手短に言及すれば、免疫原(抗原)、好ましくは精製されたADNF IIIポリペプチド、適切なキャリヤー(たとえばGST、キーホールリンペットヘモシアニン、等)に結合されるADNF IIIポリペプチド、又は免疫化ベクター、たとえば組換えワクシニアウィルス(アメリカ特許第4,722,848号を参照のこと)中に組込まれるADNF IIIポリペプチドが、アジュバントと共に混合され、そして動物がその混合物により免疫化される。免疫原調製物に対する動物の免疫応答が、試験血液を採取し、そして興味あるポリペプチドに対する反応性の力価を決定することによってモニターされる。免疫原に対して適切に高い力価の抗体が得られる場合、血液が動物から集められ、そして抗血清が調製される。ポリペプチドに対して反応性の抗体を富化するために抗血清のさらなる分別が、所望により実施される(たとえば、Coligon, Current Protocols in Immunology(1991)及びHarlow & Lane, Antibodies:A Laboratory Manual(1989)を参照のこと)。
選択されたADNF IIIポリペプチドの完全な又は予定されたフラグメントに対する、結合フラグメント及びその一本鎖組換え型を包含する抗体は、たとえば上記のように、キャリヤータンパク質とフラグメントとの接合体により動物を免疫化することによって生ぜしめられる。典型的には、興味ある免疫原は、少なくとも約8個の長さのアミノ酸のペプチドであり、より典型的には、前記ペプチドは20個の長さのアミノ酸であり、一般的に前記フラグメントは25個の長さのアミノ酸であり、そしてしばしば、そのフラグメントは30個又はそれ以上の長さのアミノ酸である。ペプチドは任意には、キャリヤータンパク質に結合され(たとえば、融合タンパク質として)、又は免疫化ベクターにより組換え的に発現される。抗体が結合する選択されたADNF IIIポリペプチドに基づく抗原決定基は典型的には、3〜10個の長さのアミノ酸である。
モノクローナル抗体は、所望する抗体を分泌する細胞から調製される。それらの抗体は、正常な又は修飾されたポリペプチドに対する結合についてスクリーンされ、又はアゴニスト又はアンタゴニスト活性、たとえば選択されたADNF IIIポリペプチドを通して介在される活性について選択される。特異的モノクローナル及びポリクローナル抗体は、通常、少なくとも約0.1mM、より通常には少なくとも約50μM、及び好ましくは少なくとも約1μM又はそれ以上のKDを伴って結合するであろう。
いくつかの場合、種々の哺乳類宿主、たとえばマウス、ゲッ歯動物、霊長類、ヒト、等からモノクローナル抗体を調製することが所望される。そのようなモノクローナル抗体を調製するための技法の記載は、たとえばBasic and Clinical Immunology(Stitesなど.,eds., 4th ed.)及びそれに引用される文献;Harlow & Lane、前記;Goding, Monoclonal Antibodiess:Principles and Practice(2nd ed. 1996);及びKohler & Milstein, Nature 256:495-497(1975)に見出される。手短に要約すると、この方法は、免疫原を動物に注射することによって進行する。次に、動物が殺害され、そして骨髄腫細胞により融合される細胞がその脾臓から採取される。これは、インビトロで再生することができるハイブリッド細胞又は“ハイブリドーマ”をもたらす。次に、ハイブリドーマ集団が個々のクローンを単離するためにスクリーンされ、ここでその個々のクローンは免疫原に対する単一の抗体種を分泌する。この態様においては、得られる個々の抗体種は、免疫原物質上に認識される特異的部位に応答して生成される免疫動物からの免疫化され、そしてクローン化された単一のB細胞の生成物である。
免疫化の他の方法は、Epstein Barrウィルス、腫瘍遺伝子又はレトロウィルスによる形質転換、又は当業界において知られている他の方法を包含する。単一の固定された細胞から生じるコロニーが、抗原に対する所望する特異性及び親和性の抗体の生成のためにスクリーンされ、そしてそのような細胞により生成されるモノクローナル抗体の収量が、脊椎動物(好ましくは哺乳類)宿主の腹腔中への注入を包含する種々の技法により増強される。本発明のポリペプチド及び抗体は、修飾を伴って又は伴わないで使用され、そしてキメラ抗体、たとえばヒト適合されたネズミ抗体を包含する。
他の適切な技法は、ファージ又は類似するベクターにおける組換え抗体のライブラリーの選択を包含する(たとえば、Huseなど.,Science 246:1275-1281(1989);Wardなど.,Nature 341:544-546(1989); 及びVaughanなど.,Nature Biotechnology 14:309-314(1996)を参照のこと)。
時おり、ポリペプチド及び抗体は、検出可能シグナルを提供する物質を共有又は非共有結合することによってラベルされるであろう。広範囲の種類のラベル及び接合技法が知られており、そして科学及び特許文献に広く報告されている。適切なラベルは、次のものを包含するが、但しそれらだけには限定されない:放射性核種、酵素、基質、補因子、インヒビター、螢光成分、化学発光成分、磁気成分、及び同様のもの。そのようなラベルの使用を教授する特許は、アメリカ特許第3,817,837号;第3,850,752号;第3,939,350号;第3,996,345号;第4,277,437号;第4,275,149号;及び第4,366,241号を包含する。また、組換え免疫グロブリンも生成され得る(アメリカ特許第4,816,567号;及びOueenなど.,Proc. Natl. Acad. Sci. USA 86:10029-10033(1989)を参照のこと)。
本発明の抗体は、天然又は組換えADNF IIIポリペプチドを単離することにおける親和性クロマトグラフィーのために使用される。たとえば、カラムが固体支持体又は固体粒子、たとえばアガロース、Sephadox、又は同様のものに連結され、ここで細胞溶解物がカラムに通され、洗浄され、そして上昇する濃度の温和な変性剤により処理され、それにより、精製されたポリペプチドが放される。
抗体は特定の発現生成物、たとえば正常又は異常ADNF IIIポリペプチド、又は選択されるADNF IIIポリペプチドに関する関連ポリペプチドのための発現ライブラリーをスクリーンするために使用され得る。任意には、そのような方法における抗体が、抗体結合により抗原の存在の容易な検出を可能にする成分によりラベルされる。
ポリペプチドに対して生ぜしめられる抗体はまた、抗−イディオタイプ抗体を生ぜしめるためにも使用され得る。そのような抗体は、それぞれの抗原の存在に関連する種々の病理学的条件の検出又は診断のために有用である。
本発明の抗体はまた、治療目的のために生物(たとえば、ヒト患者)に投与され得る。それらが生ぜしめられる種以外の生物に投与される抗体は、免疫原性であり得る。従って、たとえばヒトに投与されるネズミ抗体は、特に複数回の投与の後、抗体に対する免疫応答(たとえばヒト抗−マウス抗体(HAMA)応答)を誘発することができる。抗体の免疫原性質は、抗体の一部又はすべてを特徴的にヒト配列に変えることによって低められ、それにより、それぞれ、キメラ性又はヒト抗体が生成される。
ヒト適合された(キメラ性)抗体は、ヒト及び非ヒト部分を含んで成る免疫グロブリン分子である。ヒト適合されたキメラ抗体の抗原結合領域(又は可変領域)は非ヒト源(たとえばネズミ)に由来し、そしてキメラ抗体の不変領域(生物学的エフェクター機能、たとえば細胞毒性を免疫グロブリンに対して付与する)はヒト源に由来する。ヒト適合されたキメラ抗体は、非ヒト抗体分子の抗原結合特異性、及びヒト抗体分子により付与されるエフェクター機能を有する。キメラ抗体を生成するための多数の方法が当業者に良く知られている(たとえば、アメリカ特許第5,502,167号、第5,500,362号、第5,491,088号、第5,482,856号、第5,472,693号、第5,354,847号、第5,292,867号、第5,231,026号、第5,204,244号、第5,202,238号、第5,169,939号、第5,081,235号、第5,075,431号、第4,975,369号を参照のこと)。
一般的に、それらのキメラ抗体を生成するために使用される方法は、次の段階(いくつかの段階の順序は交換可能である)から成る:(a)抗体分子の抗原結合部分をコードする正しい遺伝子セグメントの同定及びクローニング;この遺伝子セグメント(VDJ、すなわちH鎖についての可変、多様性及び連結領域又はVJ、すなわちL鎖のための連結領域(又は単純に、V又は可変領域)として知られる)はcDNA又はゲノム形のいづれかで存在することができ;(b)不変領域又はその所望する部分をコードする遺伝子セグメントのクローニング;(c)完全なキメラ抗体が転写可能及び翻訳可能形でコードされるよう不変領域と可変領域との連結;(d)選択マーカー及び遺伝子制御領域、たとえばプロモーター、エンハンサー及びポリ(A)付加シグナルを含むベクター中へのこの構造体の連結;(e)宿主細胞(たとえば細菌)におけるこの構造体の増幅;及び(f)真核細胞、最ともしばしばには、哺乳類リンパ球中へのDNAの導入(トランスフェクション)。
いくつかの明確な抗原結合特異性の抗体は、キメラタンパク質(たとえば、抗−TNP:Boulianneなど.,Nature 312:643(1984);及び抗−腫瘍抗原:Sahaganなど.,J. Immunol., 137:1066(1986))を生成するためにそれらのプロトコールにより操作されて来た。同様に、いくつかの異なったエフェクター機能が、抗原結合領域をコードする配列に新しい配列を連結することによって達成されて来た。それらのエフェクターのいくつかは、酵素(Neubergerなど.,Nature 312:604(1984))、もう1つの種からの免疫グロブリン不変領域、及びもう1つの免疫グロブリン鎖の不変領域(Sharonなど.,Nature 309:364(1984);Tanなど.,J. Immunol. 135:3565-3567(1985))を包含する。
1つの好ましい態様においては、組換えDNAベクターは、抗体を生成する細胞系をトランスフェクトするために使用される。新規の組換えDNAベクターは、細胞系における免疫グロブリン不変領域をコードする遺伝子のすべて又は一部を置換するための“置換遺伝子”(たとえば、置換遺伝子はヒト免疫グロブリン、特定の免疫グロブリン種類、又は酵素、トキシン、生物学的活性ペプチド、成長因子、インヒビター、又は薬物、トキシン又は他の分子、等に対する接合を促進するためのリンカーペプチドのすべて又は一部をコードすることができる)、及び抗体生成細胞内の免疫グロブリン配列との標的化された相同組換えを可能にする“標的配列”を含む。
もう1つの態様において、組換えDNAベクターは、所望するエフェクター機能(たとえばヒト免疫グロブリンの不変領域)を有する抗体を生成する細胞系をトランスフェクトするために使用され、この場合、その組換えベクターに含まれる置換遺伝子は抗体の領域のすべて又は一部をコードすることができ、そして組換えベクターに含まれる標的配列は抗体生成細胞内の相同組換え及び標的化された遺伝子修飾を可能にする。いづれかの態様においては、可変又は不変領域の一部のみが置換される場合、その得られるキメラ抗体は同じ抗原を定義することができ、そして/又はキメラ抗体がより高い抗原特異性、より高い親和性結合定数、高められたエフェクター機能、又はトランスフェクトされた、抗体生成細胞による高められた分泌及び生成、等を示すことができるよう、さらに変更され又は改良される同じエフェクター機能を有する。実施される態様にかかわりなく、組込まれたDNAについての選択(選択マーカーを通して)、キメラ抗体生成のためのスクリーニング、及び細胞クローニングの方法が、キメラ抗体を生成する細胞のクローンを得るために使用され得る。
モノクローナル抗体についての修飾をコードするDNAの断片が、B−細胞又はハイブリドーマ細胞系内の発現された免疫グロブリン遺伝子の部位に対して直接的に標的化され得る。いづれかの特定の修飾のためのDNA構造体は、いづれかのモノクローナル細胞系又はハイブリドーマのタンパク質生成物を変更するために使用され得る。そのような方法は、有用な抗原特異性を発現する個々のB−細胞クローンからのH及びL鎖可変領域遺伝子をクローニングする困難な作業を回避する。可変領域遺伝子をクローニングする工程を回避する他に、キメラ抗体の発現レベルは、遺伝子がその天然の染色***置で存在する場合、ゲノムにおけるランダム位置で存在するよりもかなり高い。キメラ(ヒト適合された)抗体の調製のための詳細な方法は、アメリカ特許第5,482,856号に見出され得る。
もう1つの態様において、本発明は、選択されたADNF IIIポリペプチドに対しての十分なヒト抗体を供給する。ヒト抗体は、特徴的なヒト免疫グロブリン配列から完全には、成る。本発明のヒト抗体は、広範囲の種類の方法を用いて生成され得る(たとえば、再考のためには、アメリカ特許第5,001,065号を参照のこと)。
1つの好ましい態様においては、本発明のヒト抗体は、初めトリオーマ(trioma)細胞において生成される。次に、抗体をコードする遺伝子が、他の細胞、たとえば非ヒト哺乳類細胞においてクローン化され、そして発現される。
トリオーマ技法によりヒト抗体を生成するための一般的なアプローチは、Ostbergなど.,Hybridama 2:361-367(1983);アメリカ特許第4,634,664号及び第4,634,666号により記載される。この方法により得られる抗体−生成細胞系は、それらが3種の細胞、すなわち2種のヒト及び1つのマウス細胞から伝わるので、トリオーマと呼ばれる。トリオーマは、ヒト細胞から製造される通常のハイブリドーマよりも、より安定した抗体を生成することが見出された。
トリオーマ細胞の調製は、不滅化されていないヒト末梢Bリンパ球によるマウス骨髄腫細胞系の初期融合を必要とする。この融合は、ヒト及びマウス染色体を含む異種移植ハイブリッド細胞を生成する(Engelman、前記を参照のこと)。抗体分泌能力を失なっている異種移植細胞が選択される。好ましくは、選択マーカー、たとえば8−アザグアニンに対して耐性である異種移植細胞が選択される。8−アザグアニンに対する耐性を有する細胞は、ヒポキサンチン−アミノプテリン−チミジン(HAT)又はアザセリン−ヒポキサンチン(AH)培地上で増殖することができない。
抗体を分泌する能力は、異種移植細胞と、選択されたADNF IIIポリペプチド、又はそのエピトープに対して免疫化されたB−リンパ球との間のさらなる融合により付与される。B−リンパ球がヒトドナーの脾臓、血液又はリンパ節から得られる。特定の抗原又はエピトープに対する抗体が所望される場合、十分な長さのポリペプチドよりもむしろ免疫原としてその抗原又はエピトープを使用することが好ましい。他方では、B−リンパ球は、免疫化されていない個人から得られ、そしてポリペプチド又はそのエピトープによりインビトロで刺激される。さらなる変動においては、B−リンパ球は、感染された又は他方では、免疫化された個人から得られ、そして次に、約7〜14日間、インビトロで、選択されたADNF IIIポリペプチドに対する暴露により過剰免疫化される。
上記方法の1つにより調製された、免疫化されたB−リンパ球は、良く知られている方法を用いて、異種移植ハイブリッド細胞により融合される。たとえば、細胞は、分子量1000〜4000の40〜50%ポリエチレングリコールにより約37℃で約5〜10分間、処理される。細胞が融合混合物から分離され、そして所望するハイブリッドのための選択培地において増殖される。異種移植ハイブリッド細胞が8−アザグアニンに対して耐性である場合、不滅化されたトリオーマ細胞は、HAT又はAH培地上への細胞の連続的通過により便利には選択される。もちろん、他の選択方法も、融合に使用される細胞の性質に依存して可能である。必要とされる結合特異性を有する抗体を分泌するクローンは、選択されたADNF IIIポリペプチド又はそのエピトープを結合する能力について、トリオーマ培養培地をアッセイすることによって同定される。所望する特異性を有するヒト抗体を生成するトリオーマは、たとえば限界希釈技法によりサブクローン化され、そして培養培地においてインビトロ増殖され、又は選択された宿主動物中に注射され、そしてインビボで増殖される。
次に、得られるトリオーマ細胞系が、ポリペプチド又はそのエピトープを結合する能力について試験される。抗体は、得られる培養培地又は体液から、従来の抗体−分別方法、たとえば硫酸アンモニウム沈殿法、DEAEセルロースクロマトグラフィー及びアフィニティクロマトグラフィーにより分離される。
トリオーマは遺伝的に安定しているが、それらは非常に高いレベルで抗体を生成しない。発現レベルは、トリオーマからの抗体遺伝子を1又は複数の発現ベクター中にクローン化し、そしてそのベクターを用いて、細胞系、たとえば、典型的には、組換え又はヒト適合された免疫グロブリンの発現のために使用される細胞系を形質転換することによって高められ得る。抗体の上昇する収率と共に、この方法は、免疫グロブリンが、ヒト成分を有さず、そして従って、ヒト細胞系のために必要とされる集中的なウィルススクリーニングにゆだねられる必要がない細胞系から得られる追加の利点を提供する。
トリオーマ細胞系により分泌される免疫グロブリンのH及びL鎖をコードする遺伝子は、当業界において知られているポリメラーゼ鎖反応(たとえば、Sambrook、前記、及びBerger & Kimmel、前記を参照のこと)を包含する方法に従ってクローン化される。たとえば、H及びL鎖をコードする遺伝子は、トリオーマのRNAの逆転写により生成されるトリオーマのゲノムDNA又はcDNAからクローン化される。クローニングは、遺伝子を端に有し、又はオーバーラップする配列、又はクローン化されるべき遺伝子のセグメントにハイブリダイズするPCRプライマーの使用を包含する従来の技法により達成される。
典型的には、組換え構造体は、トリオーマ細胞系により発現される免疫グロブリンの完全なヒト免疫グロブリンH鎖及び/又は完全なヒト免疫グロブリンL鎖をコードするDNAセグメントを含んで成る。他方では、一次抗体遺伝子の一部のみをコードするDNAセグメントが生成され、ここで前記一部は結合及び/又はエフェクター活性を有する。他の組換え構造体は、他の免疫グロブリン遺伝子のセグメント、特に他のヒト不変領域配列のセグメント(H及び/又はL鎖)に融合されるトリオーマ細胞系免疫グロブリン遺伝子のセグメントを含む。ヒト不変領域配列は、種々の対照源、たとえばKabatなど.,Sequences of Proteins of Immunological Interest, U.S. Department of Health and Human Services(1987)に列挙されるもの(但し、それらだけには限定されない)から選択され得る。
抗−ORF免疫グロブリン又はのフラグメントをコードするDNAセグメントの他に、他の実質的に相同の、修飾された免疫グロブリンは、当業者に知られている種々の組換えDNA技法、たとえば特定部位の突然変異誘発を用いて、容易に企画され、そして製造され得る(Gillman & Smith, Gene 8:81-97(1979);Robertsなど.,Nature 328:731-734(1987)を参照のこと)。そのような修飾されたセグメントは通常、抗原結合能力及び/又はエフェクター機能を保持するであろう。さらに、修飾されたセグメントは通常、緊縮条件下でそれらの配列に対するハイブリダイゼーションを妨げるために、オリジナルのトリオーマゲノム配列から、これまで変更されていない。多くの遺伝子のように、免疫グロブリン遺伝子は、1又は複数の明確な生物学的活性を有する別々の機能的領域を含むので、その遺伝子は、新規性質又は新規組合せの性質を有する融合タンパク質(たとえば、イムノトキシン)を生成するために他の遺伝子からの機能的領域に融合され得る。
組換えポリヌクレオチド構造体は典型的には、天然において関連する又は異種プロモーター領域を包含する、コード配列に操作可能的に連結される発現制御配列を含むであろう。好ましくは、発現制御配列は、真核宿主細胞を形質転換し又はトランスフェクトすることができるベクターにおける真核プロモーターシステムであろう。ベクターが適切な宿主中に組込まれると、宿主は、ヌクレオチド配列の高レベル発現、及びヒト免疫グロブリンの集収及び精製のために適切な条件下で維持される。
発現ベクターは、典型的には、エピソームとして、又は宿主染色体DNAの統合部分として、宿主生物において複製できる。通常、発現ベクターは、所望するDNA配列により形質転換されたそれらの細胞の検出を可能にするために、選択マーカー、たとえば耐アンピシリン性又は耐ヒグロマイシン性選択マーカーを含むであろう。一般的に、原核又は真核細胞が、ヒト免疫グロブリン鎖をコードするDNA配列をクローニングするために使用される。
他のアプローチは、ヒト血液のインビトロ免疫化を包含する。このアプローチにおいては、ヒト抗体を生成することができるヒト血液リンパ球が生成される。ヒト末梢血液が患者から集められ、そして単核細胞を回収するために処理される。次に、サプレッサーT−細胞が除去され、そして残る細胞が組織培養培地に懸濁され、これに、抗原及び自己由来の血液、及び好ましくは非特異的リンパ球活性化因子が添加される。次に、細胞が、それらが所望する特定の抗体を生成するための時間インキュベートされる。次に、細胞は、細胞系を不滅化し、それにより抗体の連続的な生成を可能にするために、ヒト骨髄腫細胞に融合され得る(アメリカ特許第4,716,111号を参照のこと)。
もう1つのアプローチにおいては、ヒト抗体を生成するマウス−ヒトハイブリドーマが調製される(たとえば、アメリカ特許第5,506,132号を参照のこと)。他のアプローチは、ヒト免疫グロブリン遺伝子を発現するために形質転換されたマウスの免疫化、及びファージ表示スクリーニングを包含する(Vaughanなど.,前記)。
従って、前述の観点から、ADNF IIIポリペプチドに対する抗体は多くの用途を有することが、当業者に容易に明らかであろう。たとえば、ADNF IIIポリペプチドに対する抗体は、アフィニティクロマトグラフィーを用いて本発明のADNF IIIポリペプチドを精製し、サンプル(たとえば血清又は大脳脊髄液(CSF))におけるADNF IIIポリペプチドの存在を検出し、腫瘍増殖を処理し、又は阻止するために使用され得る。ADNF IIIポリペプチドに対する抗体は、診断及び治療用途を有する。
F.ADNF IIIの検出
時おり、ADNF IIIの存在又は不在を決定し、又はサンプル中のADNF IIIポリペプチド又は核酸の発現を定量化することが所望される。ADNF III、又はADNF IIIに対する抗血清の検出は、本発明のADNF III核酸の生成物、その核酸自体、又はその核酸によりコードされるポリペプチドに対する抗体をアッセイすることによって達成される。
選択されたADNF III核酸又は核酸生成物(すなわち、mRNA又はポリペプチド)は、好ましくは、生物学的サンプルにおいて検出され、そして/又は定量化される。そのようなサンプルは、星状グリア細胞、脳、脾臓、腎臓又は肺組織、又は細かな針状生検サンプルを包含するが、但しそれらだけには限定されない。生物学的サンプルはまた、組織断片、たとえば組織学的目的のために採取された凍結された断片も包含することができる。
サンプルは、必要なら、適切な緩衝溶液への希釈により前処理され、又は所望により、濃縮され得る。種々の緩衝液、たとえばリン酸、トリス又は同様の緩衝液の1つを用いての生理学的pHでの多くの標準の緩衝水溶液が使用され得る。
1つの態様において、本発明は、基本的遺伝子(又はそのフラグメント)をアッセイし、又は遺伝子転写物(mRNA)をアッセイすることによって、ADNF III遺伝子発現を検出し、そして/又は定量化するための方法を提供する。このアッセイは、遺伝子又は遺伝子生成物の存在又は不在、又は遺伝子生成物の転写レベルの定量化のために存在し得る。
好ましい態様において、核酸アッセイは、試験されるべき生物から単離された核酸のサンプルにより実施される。最とも単純な態様においては、そのような核酸サンプルは、生物学的サンプルから単離された全mRNAである。核酸(たとえば、ゲノムDNA又はmRNAのいづれか)は、当業者に良く知られている多くの方法のいづれかに従って、サンプルから単離され得る。
全DNA又はmRNAを単離するための方法は、当業者に良く知られている。たとえば、核酸の単離及び精製の方法は、Tijssen, Laboratory Techniques in Biochemistry and Molecular Biology-Hybridization with Nucleic Acid Probes:Theory and Nucleic Acid Preparation(1993)のチャプター3に詳細に説明されている。
時おり、ハイブリダイゼーションの前、核酸サンプルを増幅することが所望される。“定量的”増幅の方法は、当業者に良く知られている。たとえば、定量的PCRは、同じプライマーを用いて、既知量の対照配列を同時に、同時増幅することを包含する。これは、PCR反応を検量するために使用され得る内部標準を提供する。定量的PCRのための詳細なプロトコールは、PCR Protocols, A Guide to Methods and Applications(Innisなど.,eds., 1990)に提供されている。他の適切な増幅方法は、前記の方法を包含するが、但しそれらだけには限定されない。
増幅に基づくアッセイは、当業者に良く知られている(たとえば、Innis、前記を参照のこと)。提供されるADNF III核酸配列は、遺伝子のいづれかの部分を増幅するために、当業者にプライマーの選択を教授するのに十分である。当業者は核酸ハイブリダイゼーション及びプライマー選択の理論及び実施に関しては、十分に精通していることが予測される。次の文献は、核酸ハイブリダイゼーションのための基本的なガイドを提供する:Oligonucleotido Synthesis: A Practcal Approach(Gait, ed., 1984); Kuijpers, Nucleic Acids Research 18(17):5197(1994); Dueholm, J. Org. Chem., 59:5767-5773(1994); 及びTijssen, Laboratory Techniques in Biochemistry and Molecular Biology-Hybridization with Nucleic Acid Probes(1993)。Innis、前記は、プライマー選択の概観を提供する。さらに、PCR増幅生成物は任意には、Foderなど.,Science 251:767-777(1991); Sheldonなど.,Clinical Chemistry 39(4):718-719(1993);及びKozalなど.,Nature Medicine 2(7):753-759(1996)に記載されるようなポリマーアレイに基づいて検出される。
最とも典型的には、増幅プライマーは、8〜100個の長さの、ヌクレオチド、及び好ましくは、約10〜30個の長さのヌクレオチドである。より典型的には、プライマーは、約15〜25個の長さの核酸である。
当業者は、増幅プライマーの3′末端が5′末端よりもPCRのためにより重要であることを認識するであろう。研究者は、増幅プライマーの3′末端での少数のヌクレオチドが増幅されるべきDNAに対して相補的であるPCR生成物を報告している。これに関して、プライマーの5′末端でのヌクレオチドが標的核酸に関係しない構造特徴を組込むことができ;たとえば、1つの好ましい態様においては、配列決定プライマーハイブリダイゼーション部位(又は、適用に依存して、そのようなプライマーに対する補体)が、増幅プライマー中に組込まれ、ここで前記配列決定プライマーは標準の配列決定キット、たとえばビオチニル化された又は色素−ラベルされた普遍的M13又はSP6プライマーを用いてのキットに使用されるプライマーに起因する。他方では、プライマーは任意に、制限エンドヌクレアーゼ部位を組込んでいる。プライマーは、増幅されるサンプルにおいてたぶん存在するいづれか既知配列といづれかのプライマー不変領域との間に相補性が存在しないよう選択される。当業者は、プライマー配列における不変領域が任意であることを理解するであろう。
典型的には、すべてのプライマー配列は、完全に相補的なDNAに対してのみハイブリダイズするよう選択され、そして増幅されるサンプルにおいてたぶん存在する既知のDNA配列からの最とも近くのミスマッチハイブリダイゼーション可能性はプライマーの3′末端で少なくとも約50〜70%のハイブリダイゼーションミスマッチ、及び好ましくは100%のミスマッチを有する。
プライマーは、二次構造がそのプライマー内に形成しないよう選択される。自己−相補的プライマーは、そのプライマーの相補的部分が自己ハイブリダイズするので(すなわち、ヘアーピン構造を形成する)、良好でないハイブリダイゼーション性質を有する。プライマーはまた、そのプライマーがお互いに対してハイブリダイズしないよう選択され、それにより、溶液におけるプライマーの複合体形成、及びPCRの間プライマーの可能な連結を妨げる。プライマーに1つよりも多くの不変領域が存在する場合、そのプライマー中の不変領域は、それらが自己ハイブリダイズ又はヘアピン構造を形成しないよう選択される。
数組の増幅プライマー(すなわち、指数増幅のために使用される5′及び3′側プライマー)が単一の長さのものである場合、そのプライマーは、それらが大まかに同じか、及び好ましくは、正確に同じ全体の塩基組成(すなわち、核酸中の同じA+T:G+C比)を有するよう選択される。プライマーが異なった長さのものである場合、A+T:G+C比は、プライマー−DNAハイブリダイゼーションに関する熱溶融温度を選択し、そして選択された熱溶融温度をほぼ有する個々のプライマーについてのA+T:G+C比及びプローブの長を選択することによって決定される。
当業者は、上記選択段階を実施する種々の可能な手段が存在し、そしてそれらの段階に対する変動が適切であることを認識するであろう。最とも典型的には、選択段階は、上記で概略されたような選択を実施するために単純なコンピュータープログラムを用いて実施されるが;しかしながら、それらの段階のすべては任意には、手動的に実施される。プライマー選択のための1つの利用できるコンピュータープログラムは、KodakからのMacVecturプログラムである。プライマー選択のための市販のプログラムの他に、当業者は好ましいいづれかの選択段階のための単純なプログラムを容易に企画することができる。増幅プライマーは、増幅標的物における特定の欠失、切断及び挿入に及ぶ増幅生成物を提供するよう選択され得、それにより、特定の異常性、たとえば本明細書に記載のようなトランスポゾン挿入の検出を促進する。
サンプル中のADNF III遺伝子の転写レベル(及びそれによる発現)を定量化することが所望される場合、その核酸サンプルは、遺伝子のmRNA転写物の濃度、又はmRNA転写物に由来する核酸の濃度が、その遺伝子の転写レベル(及び従って、発現レベル)に比例するものである。同様に、ハイブリダイゼーションシグナル強度はハイブリダイズされる核酸の量に比例することが好ましい。前記比例度は比較的厳密である(たとえば、転写速度の倍増はサンプル核酸におけるmRNA転写体の倍増、及びハイブリダイゼーションシグナルの倍増をもたらす)ことが好ましいが、当業者は、その比例度は緩和され、そして非線状でさえあり得る。従って、たとえば、標的mRNAの濃度における5倍の差異がハイブリダイゼーション強度における3〜6倍の差異をもたらすアッセイは、ほとんどの目的のために十分である。より正確な制限が必要とされる場合、適切な制御が本明細書に記載されるように、サンプル調製及びハイブリダイゼーションにおいて導入される変動を補正するために実施され得る。さらに、“標準”の標的mRNAの連続希釈が、当業者に良く知られている方法に従って、検量曲線を調製するために使用され得る。もちろん、標的物の存在又は不在の単純な検出が所望される場合、精巧な制御又は検量は必要とされない。
前述の他に、選択されたADNF IIIポリペプチドの発現はまた、発現されたポリペプチドを検出し、又は定量化することによって検出され、そして/又は定量化され得る。ポリペプチドは、当業者に良く知られている多くの方法のいづれかにより検出され、そして定量化され得る。そのような方法は、分析生化学方法、たとえば電気泳動、細管電気泳動、高性能液体クロマトグラフィー(HPLC)、薄層クロマトグラフィー(TLC)、高拡散クロマトグラフィー、及び同様の方法、種々の免疫学的方法、たとえば流体又はゲル沈降素反応、免疫拡散(単又は二重)、免疫電気泳動、ラジオイムノアッセイ(RIA)、酵素結合の免疫吸着アッセイ(ELISA)、免疫螢光アッセイ、ウェスターンブロット及び同様の方法を包含するが、但しそれらだけには限定されない。
特に好ましい態様においては、ADNF IIIポリペプチドは、電気泳動タンパク質分離により、より好ましくは2次元電気泳動により検出されるが、ところが最とも好ましい態様においては、ポリペプチドはイムノアッセイを用いて検出される。
本明細書において使用される場合、イムノアッセイは、分析物(たとえば、配列番号1及び3から成る群から選択されたアミノ酸配列を有するADNF IIIポリペプチド)に特異的に結合する抗体を利用するアッセイである。従って、イムノアッセイは、分析物を単離し、標的化し、そして定量化するためへの他の物理的又は化学的性質の使用とは対照的に、抗−ポリペプチド抗体へのポリペプチドの特異的結合の検出により特徴づけられる。
上記に示されるように、生物学的サンプルにおけるポリペプチドの存在又は不在は、電気泳動方法を用いて決定され得る。電気泳動技法を用いてのタンパク質の検出手段は、当業者に良く知られている(一般的には、Scopes, Protein Purification(1982); Dentscher, Methods in Enzymology Vol.182: Guide to Protein精製(1990)を参照のこと)。
好ましい態様においては、ADNF IIIポリペプチドは、多くの十分に認識される免疫学的結合アッセイのいづれかを用いて、検出され、そして/又は定量化される(たとえば、アメリカ特許第4,366,241号;第4,376,110号;第4,517,288号;及び第4,837,168号を参照のこと)(一般的なイムノアッセイの再考のためには、Method in Cell Biology, Volume 37: Antibodies in Cell Biology(Asai, ed., 1993); Basic and Clinical Immunology(Stites & Terr, eds., 7th ed. (1991)を参照のこと)。免疫学的結合アッセイ(又はイムノアッセイ)は典型的には、分析物に特異的に結合し、そしてそれを固定するために“捕獲剤”を使用する。捕獲剤は、分析物に特異的に結合する成分である。好ましい態様においては、捕獲剤は、ポリペプチド又はポリペプチド副配列(たとえば、抗体に特異的に結合する抗原性ドメイン)を特異的に結合する抗体である。第2の好ましい態様においては、捕獲剤はポリペプチドであり、そして分析物は、ポリペプチドに特異的に結合する抗体を含んで成る抗血清である。
イムノアッセイは、しばしば、捕獲剤及び分析物により形成される結合複合体を特異的に結合し、そしてラベルするためにラベリング剤を使用する。そのラベリング剤は、抗体/分析物複合体を含んで成る成分の1つであり得る。従って、ラベリング剤は、ラベルされたポリペプチド又はラベルされた抗−ポリペプチド抗体であり得る。他方では、ラベリング剤は、第3成分、たとえば抗体/ポリペプチド複合体に特異的に結合するもう1つの抗体であり得る。
好ましい態様において、ラベリング剤は、ラベルを担持する第2抗体である。他方では、第2抗体はラベルを欠くことができるが、しかしそれは第2抗体が由来する種の抗体に対して特異的なラベルされた第3抗体により結合され得る。第2抗体は、検出可能成分、たとえば、第3のラベルされた分子が特異的に結合できるビオチン、たとえば酵素−ラベルされたストレプタビジンにより修飾され得る。
免疫グロブリン不変領域を特異的に結合できる他のタンパク質、たとえばストレプトコーカル(Streptococcal)プロテインA又はプロテインGはまた、ラベル剤としても使用され得る。それらのタンパク質は、ストレプトコーカル細菌の細胞壁の通常の構成成分である。それらは、種々の種からの免疫グロブリン不変領域との強い非免疫原性反応性を示す(一般的に、Kronvalなど.,J.Immunol. 111: 1401-1406(1973)、及びA Kerstromなど.,J.Immunol. 135: 2589-2542(1985)を参照のこと)。
アッセイを通して、インキュベーション及び/又は洗浄段階は任意には、試薬の個々の組合せの後、実施される。インキュベーション段階は、約5秒〜数時間、好ましくは約5分〜約24時間であり得る。しかしながら、インキュベーション時間は、アッセイ型式、分析物、溶液の体積、濃度及び同様のものに依存するであろう。アッセイは、広範囲の温度、たとえば10℃〜40℃にわたって実施され得るが、通常、周囲温度で実施されるであろう。
ポリペプチドを検出するためのイムノアッセイは、競争性又は非競争性のいづれかであり得る。非競争イムノアッセイは、捕獲された分析物の量が直接的に測定されるアッセイである。1つの好ましい“サントイッチ”アッセイにおいては、捕獲剤が、それらが固定される固体支持体に直接的に結合され得る。次に、それらの固定された捕獲剤が試験サンプルに存在する分析物を捕獲する。次に、このようにして固定された分析物は、ラベリング剤、たとえばラベルを担持する第2抗体により結合され得る。他方では、その第2抗体はラベルを欠くことができるが、しかしそれは、第2抗体が由来する種の抗体に対して特異的なラベルされた第3抗体により結合され得る。第2抗体は、検出可能成分、たとえば第3のラベルされた分子が特異的に結合するビオチン、たとえば酵素ラベルされたストレプタビジンにより修飾され得る。
競争アッセイにおいては、サンプルに存在する分析物の初期量は、サンプルに存在する分析物により捕獲剤から置換される(又は競争除去される)添加された(外因性)分析物の量を測定することによって間接的に測定される。1つの競争アッセイにおいては、この場合、分析物の既知量がサンプルに添加され、そして次に、そのサンプルが捕獲剤と接触せしめられる。捕獲剤に結合される外因性分析物の量はサンプルに存在する初期分析物に反比例する。
競争結合型式におけるイムノアッセイはまた、交差反応性の決定のためにも使用され得る。たとえば、配列番号1又は3により少なくとも部分的にコードされるタンパク質が固体支持体に固定され得る。関連するタンパク質(たとえばADNFI)が固定された抗原への抗血清の結合のために競争するアッセイに添加される。その添加されたタンパク質の固定されたタンパク質に対する抗血清の結合のための競争する能力が、配列番号1又は3によりコードされるADNF IIIポリペプチドのそれ自体と競争する能力と比較される。上記タンパク質に関する%交差反応性が、標準の計算を用いて計算される。添加されたタンパク質の個々との10%以下の交差反応性を有するそれらの抗血清が選択され、そしてプールされる。交差反応する抗体は任意には、添加されたと思われるタンパク質、たとえば遠縁の相同体による免疫吸着によりプールされた抗血清から除去される。
次に、免疫吸着され、そしてプールされた抗血清が、たぶん対立遺伝子、種間相同体、又はADNF IIIの多型変異体と思われる第2タンパク質を免疫原タンパク質(すなわち、配列番号1又は3のADNF III)に比較するために上記のような競争結合イムノアッセイに使用される。この比較を行なうために、2種のタンパク質が広範囲の濃度でそれぞれアッセイされ、そして固定されたタンパク質への抗血清の結合の50%を阻害するのに必要とされる個々のタンパク質の量が決定される。結合の50%を阻害するために必要とされる第2タンパク質の量が、結合の50%を阻害するために必要とされる、配列番号1又は3によりコードされるタンパク質の量の10倍以下である場合、その第2タンパク質はADNF III免疫原に対して生成されるポリクローナル抗体に特異的に結合すると言われる。
好ましい態様においては、ウェスターンブロット(イムノブロット)分析が、サンプル中の選択されたADNF IIIポリペプチドの存在を検出し、そして定量化するために使用される。その技法は一般的に、分子量に基づいてゲル電気泳動によりサンプルタンパク質を分離し、適切な固体支持体(たとえばニトロセルロースフィルター、ナイロンフィルター又は誘導されたナイロンフィルター)に前記分離されたタンパク質を移行し、そしてサンプルと共に、選択されたポリペプチドを特異的に結合する抗体をインキュベートすることを含んで成る。抗体は、固体支持体上でポリペプチドに特異的に結合する。それらの抗体は任意には、直接的にラベルされ、又は他方では、任意に続いて、選択されたポリペプチドに特異的に結合するラベルされた抗体(たとえば、ラベルされた羊抗−マウス抗体)を用いて検出される。
他のアッセイ型式は、特定分子(たとえば抗体)を結合し、そして封入された試薬又はマーカーを開放するよう企画されたリポソームを用いるリポソームイムノアッセイ(LIA)を包含する。次に、その開放された化学物質は、標準の技法に従って検出される(Monroeなど.,Amer.Clin.Prod.Rev. 5: 34-41(1986)を参照のこと)。酵素結合されたアッセイ(たとえばELISAアッセイ)もまた好ましい。
本発明のアッセイは、当業者に良く知られている標準の方法に従って評点をつけられる(ADNF III又は選択されたADNF IIIポリペプチドについて陽性又は陰性として)。評点をつける特定の方法は、アッセイ型式及びラベルの選択に依存するであろう。たとえば、ウェスターンブロットアッセイは、酵素ラベルにより生成されるクローン化された生成物を可視化することによって評点をつけられ得る。正しい分子量での明確に見える着色されたバンド又はスポットが陽性結果として評点をつけられ、そして明確に見えるスポット又はバンドの不在が陰性として評点をつけられる。好ましい態様においては、陽性試験は、バックグラウンド及び/又は対照のシグナル強度よりも少なくとも2倍の強いシグナル強度(たとえばポリペプチドの量)を示し、そしてより好ましくは、バックグラウンド又は負の対照よりも少なくとも3倍又はさらに少なくとも5倍高い。
当業者は、イムノアッセイにおいて非特異的結合を減じることがしばしば、所望されることを理解するであろう。特に、アッセイが固体支持体上に固定される抗原又は抗体を包含する場合、前記支持体への非特異的結合の量を最少にすることが所望される。そのような非特異的結合を減じるための手段は、当業者に良く知られている。典型的には、これは、タンパク質組成物による支持体の被覆を包含する。特に、タンパク質組成物、たとえばウシ血清アルブミン(BSA)、脱脂粉末乳、及びゼラチンである。
アッセイに使用される特定のラベル又は検出可能グループは、それがアッセイに使用される抗体の特異的結合を有意に妨害しない限り、本発明の決定的な観点ではない。検出可能グループは、検出できる物理的又は化学的性質を有するいづれかの材料であり得る。そのような検出できるラベルは、イムノアッセイの分野においては良く開発されており、そして一般的に、そのような方法において有用なほとんどのラベルが本発明に適用され得る。従って、ラベルは、分光、光化学、生化学、免疫化学、電気的、光学的又は化学的手段により検出できるいづれかの組成物である。本発明における有用なラベルは、磁気ビーズ(たとえばDynabeadsTM)、螢光色素(たとえば、フルオレセインイソチオシアネート、テキサスレッド、ロダミン、及び同様のもの)、放射性ラベル(たとえば、3H,125I,35S,14C又は32P)、酵素(たとえば、ホースラディシュペルオキシダーゼ、アルカリホスファターゼ及びELISAに通常使用される他のもの)、及び比色ラベル、たとえばコロイド状金、又は着色されたガラス又はプラスチック(たとえば、ポリスチレン、ポリプロピレン、ラテックス、等)ビーズを包含する。
ラベルは、当業界において良く知られている方法に従って、アッセイの所望する成分に直接的に又は間接的に結合され得る。上記に示されるように、広範囲の種類のラベルが使用され得、そしてラベルの選択は、必要とされる感度、化合物との個々の接合、安定性必要条件、利用できる装置、及び廃棄設備に依存する。
非放射性ラベルはしばしば、間接的手段により結合される。一般的に、リガンド分子(たとえばビオチン)が分子に共有結合される。次に、そのリガンドが、本質的に検出できるか、又はシグナルシステム、たとえば検出できる酵素、螢光化合物、又は化学発光化合物に共有結合される抗−リガンド(たとえば、ストレプタビジン)分子に結合する。多くのリガンド及び抗−リガンドが使用され得る。リガンドが天然の抗−リガンド、たとえばビオチン、チロキシン及びコルチゾールを有する場合、それはラベルされた、天然に存在する抗−リガンドと共に使用され得る。他方では、いづれかのハプテン性又は抗原性化合物が、抗体と組合して使用され得る。
分子はまた、たとえば酵素又は螢光団との接合により、シグナル生成化合物に直接的に接合され得る。ラベルとしての興味ある酵素は主に、ヒドロラーゼ、特にホスファターゼ、エステラーゼ及びグリコシダーゼ、又はオキシドレダクターゼ、特にペルオキシダーゼであろう。螢光化合物は、フルオレセイン及びその誘導体、ロダミン及びその誘導体、ダンシル、ウンベリフェロン、等を包含する。化学発光化合物は、ルシフェリン及び2,3−ジヒドロフタルラジンジオン、たとえばルミノールを包含する。使用され得る種々のラベリング又はシグナル生成システムの再考のためには、アメリカ特許第4,391,904号を参照のこと。
ラベルを検出するための手段は、当業者に良く知られている。従って、たとえば、ラベルが放射性ラベルである場合、検出のための手段は、シンチレーションカウンター、又はオートラジオグラフィーにおけるような写真フィルムを包含する。ラベルが螢光ラベルである場合、それは適切な光の波長により螢光色素を励起せしめ、そして得られる螢光を検出することによって検出され得る。螢光は、視覚的に、写真フィルムの手段により、電子検出器、たとえば電荷連結された装置(CCD)又は光電子増倍管の使用により、及び同様のものにより検出され得る。同様に、酵素ラベルは、酵素のための適切な基質を供給し、そしてその得られる反応生成物を検出することによって検出され得る。最終的に、単純な比色ラベルは、そのラベルに関連する色彩を観察することによって、単純に検出され得る。従って、種々のディプスティクアッセイにおいては、接合された金がしばしば、ピンク色に出現し、そして種々の接合されたビーズがそのビーズの色を出現する。
いくつかのアッセイ型式は、ラベルされた化合物の使用を必要としない。たとえば、凝集アッセイは、標的抗体の存在を検出するために使用され得る。この場合、抗体−被覆された粒子が、標的抗体を含んで成るサンプルにより凝集される。この型式においては、ラベルされるのに必要な成分及び標的抗体の存在は、単純な視覚的観察により検出されない。
上記で言及されたように、アッセイに依存して、種々の成分、たとえば抗原、標的抗体又は抗−抗体が固体表面に結合され得る。種々の固体表面に生物分子を固定するための多くの方法は当業界において知られている。たとえば、固体表面は、膜(たとえば、ニトロセルロース)、マイクロタイター皿(たとえば、PVC、ポリプロピレン、又はポリスチレン)、試験管(ガラス又はプラスチック)、ディプスティク(たとえば、ガラス、PVC、ポリプロピレン、ポリスチレン、ラテックス及び同様のもの)、微小遠心分離管、又はガラス又はプラスチックビーズであり得る。所望する成分は、共有結合され得、又は非特異的結合を通して非共有結合され得る。
広範囲の種類の有機及び無機ポリマー(天然及び合成)が、固体表面のための材料として使用され得る。例示的なポリマーは、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ(4−メチルブテン)、ポリスチレン、ポリメタクリレート、ポリ(エチレンテレフタレート)、レーヨン、ナイロン、ポリ(ビニルブチレート)、ポリビニリデンジフルオリド(PVDF)、シリコーン、ポリホルムアルデヒド、セルロース、酢酸セルロース、ニトロセルロース及び同様のものを包含する。使用され得る他の材料は、紙、ガラス、セラミックス、金属、メタロイド、半導体、セメント又は同様のものを包含する。さらに、ゲルを形成する物質、たとえばタンパク質(たとえばゼラチン)、リポ多糖類、シリケート、アガロース、及びポリアクリルアミドが使用され得る。いくつかの水性相を形成するポリマー、たとえばデキストラン、ポリアルキレングリコール又は界面活性剤、たとえばリン脂質、長鎖(12〜24個の炭素原子)アルキルアンモニウム塩及び同様のものもまた適切である。固体表面が多孔性である場合、種々の孔サイズが、システムの性質に依存して使用され得る。
表面を調製する場合、多くの異なった材料、特に種々の性質を得るためにラミネートが使用され得る。たとえば、タンパク質被膜、たとえばゼラチンが、非特異的結合を回避し、共有結合を単純にし、シグナル検出を増強し、又は同様のことを実施するために使用され得る。
化合物と表面との間の共有結合が所望される場合、その表面は通常、多官能性であるか、又は多官能化され得る。表面上に存在し、そして結合のために使用され得る官能基は、カルボン酸、アルデヒド、アミノ基、シアノ基、エチレン基、ヒドロキシル基、メルカプト基及び同様のものを包含することができる。種々の表面に広範囲の種類の化合物を結合する態様は、良く知られており、そして文献に多く例示されている(たとえば、Immobilized Enzymes(Chibata, ed. 1978); 及びCuatrecusas, J.Biol.Chem. 245: 3059(1970)を参照のこと)。
共有結合の他に、アッセイ成分を非共有結合するための種々の方法が使用され得る。非共有結合は典型的には、表面への化合物の非特異的吸着である。典型的には、表面は、ラベルされたアッセイ成分の非特異的結合を妨げるために第2化合物によりブロックされる。他方では、表面は、それが1つの成分を非特異的に結合するが、しかし有意には、他の成分を結合しないよう企画される。たとえば、レクチン、たとえばConcanavalin Aを担持する表面は、化合物を含む炭水化物を結合するが、しかしグリコシル化を欠いているラベルされたタンパク質を結合しない。アッセイ成分の非共有結合に使用するための種々の固体表面は、アメリカ特許第4,447,576号及び第4,254,082号に再考されている。
G.向神経ADNF IIIポリペプチドを用いてのニューロン細胞の死を妨げるための方法
もう1つの観点において、本発明は、ニューロン細胞の死を妨げるために十分な量での活性依存性向神経因子(ADNF)IIIポリペプチドとニューロン細胞とを接触せしめることを含んで成る、ニューロン細胞の死を妨げるための方法を提供する。1つの態様において、ADNF IIIポリペプチドは、配列番号1,3及び保存的に修飾されたそれらの変形体から成る群から選択されたアミノ酸配列を有する。もう1つの態様においては、ADNF IIIポリペプチドは、次のアミノ酸配列:
(R1x-Asn-Ala-Pro-Val-Ser-Ile-Pro-Gln-(R2y(配列番号10)、
及び保存的に修飾されたその変形体を含んで成る。
上記式において、R1は1〜約40個のアミノ酸を含んで成るアミノ酸配列であり、ここで個々のアミノ酸は、天然に存在するアミノ酸及びアミノ擬似体から成る群から独立して選択される。用語“独立して選択される”とは、アミノ酸配列R1を製造するアミノ酸が同一であっても、又は異なっていても良いことを示すために本明細書において使用される(たとえば、アミノ酸配列におけるアミノ酸のすべては、トレオニン、等であることができる)。さらに、前に説明されたように、アミノ酸配列R1を製造するアミノ酸は、天然に存在するアミノ酸、又はその天然に存在するアミノ酸に類似する態様で機能する天然のアミノ酸の既知の類似体(すなわち、アミノ酸擬似体)のいづれかであり得る。アミノ酸配列R1を形成するために使用され得る適切なアミノ酸は、前記表Iに列挙されるものを包含するが、但しそれらだけには限定されない。
上記式において、R1に関するように、R2は、1〜約40個のアミノ酸を含んで成るアミノ酸配列であり、ここで個々のアミノ酸は天然に存在するアミノ酸及びアミノ酸擬似体から成る群から独立して選択される。さらに、R1に関するように、アミノ酸配列R2を構成するアミノ酸は同一であっても又は異なっていても良く、そして天然に存在するアミノ酸、又は天然に存在するアミノ酸に類似する態様で機能する天然アミノ酸の既知類似体(すなわちアミノ酸擬似体)のいづれかであり得る。R2を形成するために使用され得る適切なアミノ酸は、表Iに列挙されるものを包含するが、但しそれらだけには限定されない。
上記式内の、x及びyは独立して選択され、そしてゼロ又は1に等しい。用語“独立して選択される”とは、x及びyが同一であっても又は異なっていても良いことを示すために本明細書において使用される。たとえば、x及びyは両者ともゼロであり得、又は他方では、x及びyは両者とも1であり得る。さらに、xはゼロであり得、そしてyは1であり得、又は他方では、xは1であり得、そしてyはゼロであり得る。さらに、x及びyの両者が1である場合、アミノ酸配列R1及びR2は同じであっても又は異なっても良い。アミノ酸配列R1及びR2は、独立して選択される。R1及びR2が同じである場合、それらは鎖長及びアミノ酸組成の両者に関して同一である。たとえば、R1及びR2の両者は、Val-Leu-Gly-Gly-Gly(配列番号13)であり得る。R1及びR2が異なる場合、それらは鎖長及び/又はアミノ酸組成、及び/又はアミノ酸配列におけるアミノ酸の順序に関して、お互い異なることができる。たとえば、R1は、Val-Leu-Gly-Gly-Gly(配列番号13)であり得、そしてR2はVal-Leu-Gly-Gly(配列番号14)であり得る。他方では、R1はVal-Leu-Gly-Gly-Gly(配列番号13)であり得、そしてR2はVal-Leu-Gly-Gly-Val(配列番号15)であり得る。他方では、R1はVal-Leu-Gly-Gly-Gly(配列番号13)であり得、そしてR2はGly-Val-Leu-Gly-Gly(配列番号16)であり得る。
上記式の範囲内においては、一定のADNF IIIポリペプチド、すなわちx及びyが両者ともゼロであるもの(すなわち、ADNF III-8)が好ましい。xが1であり;R1がGly-Glyであり;そしてyがゼロであるADNF IIIポリペプチドが同等に好ましい。xが1であり;R1がLeu-Glu-Glyであり;yが1であり;そしてR2が-Gln-SerであるADNF IIIポリペプチドがまた同等に好ましい。xが1であり;R1がLeu-Gly-Leu-Gly-Gly(配列番号17)であり;yが1であり;そしてR2が-Gln-SerであるADNF IIIポリペプチドがまた同等に好ましい。xが1であり;R1がSer-Val-Arg-Leu-Gly-Leu-Gly-Gly-(配列番号18)であり;yが1であり;そしてR2が-Gln-SerであるADNF IIIポリペプチドがまた、同等に好ましい。追加のアミノ酸は、損なわれていないADNF III生長が異例な生物学的活性を示す事実により明らかなように、生物学的活性の損失を伴わないで、新しく発見された活性部位のN−末端及びC−末端の両者に付加され得る。
前記で説明されたように、本発明のADNF IIIポリペプチドは神経学的損傷の処理のために、及びニューロン細胞の死の防止のために使用され得る。たとえば、そのようなADNF IIIポリペプチドは、ニューロン細胞、たとえば脊髄ニューロン、海馬ニューロン、大脳ニューロン及びコリン作用性ニューロン(但し、それらだけには限定されない)の死を防止するために使用され得る。より特定には、本発明のADNF IIIポリペプチドは、(1)gp120、すなわちHIVからのエンベロープタンパク質;(2)N−メチル−D−アスパラギン酸(毒性刺激性);(3)テトロドトキシン(電気的活性の遮断);及び(4)β−アミロイドペプチド、すなわちアルツハイマー病におけるニューロン変性に関連する物質に関連する細胞の死を防止するために使用され得る。ニューロン細胞の死又は損傷を防止するために本発明のADNF IIIポリペプチドを用いる種々の方法の個々は、下記により詳細に説明されるであろう。それらの例から、本発明のADNF IIIポリペプチドは、多くの他の神経学的疾病及び欠損に関連するニューロン細胞の死を阻止するために類似する態様で使用され得ることは、当業者に容易に明らかになるであろう。
これに関して、本発明のADNF IIIポリペプチドが、gp120−誘発されたニューロン細胞の死を妨げるために使用され得ることが現在、発見された。従って、本発明のADNF IIIポリペプチドの有効量を、HIV-1ウィルスにより感染された患者に投与することによって、gp120−誘発されたニューロン細胞の死は妨げられ得る。1つの観点において、本発明は、ニューロン細胞の死を防止するために十分な量での活性依存性向神経因子(ADNF)IIIポリペプチド及び医薬的に許容できるキャリヤーを患者に投与することを含んで成る、ヒト免疫欠損ウィルスにより感染された患者におけるニューロン細胞の死を妨げるための方法を提供する。1つの態様においては、ADNF IIIポリペプチドは、配列番号1,3及び保存的に修飾されたその変形体から成る群から選択されたアミノ酸配列を有する。もう1つの態様において、ADNF IIIポリペプチドは、次のアミノ酸配列:
(R1x-Asn-Ala-Pro-Val-Ser-Ile-Pro-Gln-(R2y(配列番号10)、
及び保存的に修飾されたその変形体を含んで成る。
1,R2,x及びyに関する前の議論は、本発明の方法に使用されるADNF IIIポリペプチドに十分に適用でき、そして従って、この特定の方法に関してくり返えされないであろう。上記式の範囲内においては、一定のADNF IIIポリペプチド、すなわちx及びyが両者ともゼロであるもの(すなわち、ADNF III-8)が好ましい。xが1であり;R1がGly-Glyであり;そしてyがゼロであるADNF IIIポリペプチドが同等に好ましい。xが1であり;R1がLeu-Glu-Glyであり;yが1であり;そしてR2が-Gln-SerであるADNF IIIポリペプチドがまた同等に好ましい。xが1であり;R1がLeu-Gly-Leu-Gly-Gly(配列番号17)であり;yが1であり;そしてR2が-Gln-SerであるADNF IIIポリペプチドがまた同等に好ましい。xが1であり;R1がSer-Val-Arg-Leu-Gly-Leu-Gly-Gly-(配列番号18)であり;yが1であり;そしてR2が-Gln-SerであるADNF IIIポリペプチドがまた、同等に好ましい。
さらに、ADNF IIIポリペプチドの企画及び合成、及びBrennemanなど.,Nature 335: 636(1988)(その教授は引用により本明細書中に組込まれる)のアッセイに関して上記に示される教授を用いて、当業者は、gp120に関連する細胞の死を妨げるために使用され得る他のADNF IIIポリペプチドを同定することができることは、当業者に明らかであろう。
前述の他に、本発明のADNF IIIポリペプチドが、解離された大脳皮質培養物におけるNMDA毒性に関連するニューロン細胞の死を妨げるために使用され得ることがまた、発見された。もう1つの観点において、本発明は、ニューロン細胞の死を妨げるために十分な量での活性依存性向神経因子(ADNF)IIIポリペプチドと、それらのニューロン細胞とを接解せしめることを含んで成る、N−メチル−D−アスパーテート刺激により誘発された毒性刺激性に関連するニューロン細胞の死を妨げるための方法を提供する。1つの態様において、ADNF IIIポリペプチドは、配列番号1,3及び保存的に修飾されたその変形体から成る群から選択されたアミノ酸配列を有する。もう1つの態様においては、ADNF IIIポリペプチドは、次のアミノ酸配列:(R1x-Asn-Ala-Pro-Val-Ser-Ile-Pro-Gln-(R2y(配列番号10)、
及び保存的に修飾されたその変形体を含んで成る。
1,R2,x及びyに関する前の議論は、本発明の方法に使用されるADNF IIIポリペプチドに十分に適用でき、そして従って、この特定の方法に関してくり返えされないであろう。上記式の範囲内においては、一定のADNF IIIポリペプチド、すなわちx及びyが両者ともゼロであるもの(すなわち、ADNF III-8)が好ましい。xが1であり;R1がGly-Glyであり;そしてyがゼロであるADNF IIIポリペプチドが同等に好ましい。xが1であり;R1がLeu-Gly-Glyであり;yが1であり;そしてR2が-Gln-SerであるADNF IIIポリペプチドがまた同等に好ましい。xが1であり;R1がLeu-Gly-Leu-Gly-Gly(配列番号17)であり;yが1であり;そしてR2が-Gln-SerであるADNF IIIポリペプチドがまた同等に好ましい。xが1であり;R1がSer-Val-Arg-Leu-Gly-Leu-Gly-Gly-(配列番号18)であり;yが1であり;そしてR2が-Gln-SerであるADNF IIIポリペプチドがまた、同等に好ましい。
さらに、ADNF IIIポリペプチドの設画及び合成、及びBrenneman & Gozes, J.Clin.Invest.97: 2299-2307(1996)(その教示は引用により本明細書中に組込まれる)のアッセイに関して上記に示される教授を用いて、当業者は、N−メチル−D−アスパーテートによる刺激により誘発される毒性刺激に関連する細胞の死を妨げるために使用され得る他のADNF IIIポリペプチドを同定することができることは、当業者に明らかであろう。
前述の他に、本発明のADNF IIIポリペプチドがアルツハイマー病に関連する細胞の死を妨げることができることがまた発見された。アルツハイマー病のためのインビトロモデルは、β−アミロイド神経毒性により提供される。もう1つの観点において、本発明は、ニューロン細胞の死を妨げるために十分な量での活性依存性向神経因子(ADNF)IIIポリペプチド及び医薬的に許容できるキャリヤーを患者に投与することを含んで成る、アルツハイマー病を有するか又はそれにより損傷を受けた患者における、β−アミロイドペプチドにより誘発されるニューロン細胞の死を妨げるための方法を提供する。1つの態様においては、ADNF IIIポリペプチドは、配列番号1,3及び保存的に修飾されたその変形体から成る群から選択されたアミノ酸配列を有する。もう1つの態様において、ADNF IIIポリペプチドは、次のアミノ酸配列:
(R1x-Asn-Ala-Pro-Val-Ser-Ile-Pro-Gln-(R2y(配列番号10)、
及び保存的に修飾されたその変形体を含んで成る。
1,R2,x及びyに関する前の議論は、本発明の方法に使用されるADNF IIIポリペプチドに十分に適用でき、そして従って、この特定の方法に関してくり返えされないであろう。上記式の範囲内においては、一定のADNF IIIポリペプチド、すなわちx及びyが両者ともゼロであるもの(すなわち、ADNF III-8)が好ましい。xが1であり;R1がGly-Glyであり;そしてyがゼロであるADNF IIIポリペプチドが同等に好ましい。xが1であり;R1がLeu-Gly-Glyであり;yが1であり;そしてR2が-Gln-SerであるADNF IIIポリペプチドがまた同等に好ましい。xが1であり;R1がLeu-Gly-Leu-Gly-Gly(配列番号17)であり;yが1であり;そしてR2が-Gln-SerであるADNF IIIポリペプチドがまた同等に好ましい。xが1であり;R1がSer-Val-Arg-Leu-Gly-Leu-Gly-Gly-(配列番号18)であり;yが1であり;そしてR2が-Gln-SerであるADNF IIIポリペプチドがまた、同等に好ましい。
さらに、ADNF IIIポリペプチドの企画及び合成、及びGozesなど.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 93: 427-432(1996)(その教授は引用により本明細書中に組込まれる)のアッセイに関して上記に示される教授を用いて、当業者は、アルツハイマー病を有するか又はそれにより損傷を受けた患者における、β−アミロイドペプチドにより誘発される細胞の死を妨げるために使用され得る他のADNF IIIポリペプチドを同定することができることは当業者に明らかであろう。
前述の他に、本発明のADNF IIIポリペプチドがコリン作用性遮断により生成される学習障害を緩和することができることが発見された。さらにもう1つの観点において、本発明は、ニューロン細胞の死を妨げるために十分な量での活性依存性向神経因子(ADNF)IIIポリペプチド及び医薬的に許容できるキャリヤーを患者に投与することを含んで成る、アルツハイマー病を有するか又はそれにより損傷を受けた患者における、コリン作用性遮断により誘発される学習障害を緩和するための方法を提供する。1つの態様においては、ADNF IIIポリペプチドは、配列番号1,3及び保存的に修飾されたその変形体から成る群から選択されたアミノ酸配列を有する。もう1つの態様において、ADNF IIIポリペプチドは、次のアミノ酸配列:
(R1x-Asn-Ala-Pro-Val-Ser-Ile-Pro-Gln-(R2y(配列番号10)、
及び保存的に修飾されたその変形体を含んで成る。
1,R2,x及びyに関する前の議論は、本発明の方法に使用されるADNF IIIポリペプチドに十分に適用でき、そして従って、この特定の方法に関してくり返えされないであろう。上記式の範囲内においては、一定のADNF IIIポリペプチド、すなわちx及びyが両者ともゼロであるもの(すなわち、ADNF III-8)が好ましい。xが1であり;R1がGly-Glyであり;そしてyがゼロであるADNF IIIポリペプチドが同等に好ましい。xが1であり;R1がLeu-Gly-Glyであり;yが1であり;そしてR2が-Gln-SerであるADNF IIIポリペプチドがまた同等に好ましい。xが1であり;R1がLeu-Gly-Leu-Gly-Gly(配列番号17)であり;yが1であり;そしてR2が-Gln-SerであるADNF IIIポリペプチドがまた同等に好ましい。xが1であり;R1がSer-Val-Arg-Leu-Gly-Leu-Gly-Gly-(配列番号18)であり;yが1であり;そしてR2が-Gln-SerであるADNF IIIポリペプチドがまた、同等に好ましい。
さらに、ADNF IIIポリペプチドの企画及び合成、及びGozesなど.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA, 93: 427-432(1996)(その教授は引用により本明細書中に組込まれる)のアッセイに関して上記に示される教授を用いて、当業者は、アルツハイマー病を有するか又はそれにより損傷を受けた患者における、コリン作用性遮断により生成される学習障害を緩和するために使用され得る他のADNF IIIポリペプチドを同定することができることは、当業者に明らかであろう。
前述の他に、本発明のADNF IIIポリペプチドは、神経変性病状、たとえば疾病状態から生じ、そして/又は毒性刺激/虚血性機構を有する病状(但し、それらだけには限定されない)の処理及び診断において有用である。たとえば、死後のアルツハイマー病患者の脳は、非−アルツハイマー病患者の脳組織に比較して、高められたADNF III mRNA発現を示す。
本発明の治療及び診断用途から利益を得る病状は、ニューロン細胞の死及び/又は致死下のニューロン病状を導びく状態(疾病及び傷害)、たとえば次のものを包含する:
中枢運動系の疾患、たとえば脳幹神経節に影響を及ぼす変性病状(ハンチントン病、ウィルソン病、線条体黒質変性、皮質脳幹神経節変性)、トウレット(Touretts)症候群)、パーキンソン病、進行性核上麻痺、進行性球麻痺、家族性痙性対麻痺、脊髄筋萎縮、ALS及びその変異体、オリーブ橋小脳萎縮、腫瘍随伴性小脳変性、及びドパミン毒性;
感覚ニューロンに影響を及ぼす疾病、たとえばフリートラ化運動失調、糖尿病、末梢神経障害、網膜ニューロン変性;
跛行及び皮質系の疾病、たとえば大脳アミロイド症、Pick萎縮症、Retts症候群;
多発性ニューロン系及び/又は脳幹を含む神経変性病状、たとえばアルツハイマー病、AIDS−関連痴呆症、Leigh病、拡散性Lewy体病(diffuse Lewy body disease)、てんかん、多発性系萎縮、Guillain-Barre症候群、リソソーム貯蔵障害、たとえばリポフスチン症、ダウン症候群の後期変性段階、Alper病、CNS変性の結果としてのめまい;
進行性遅滞及び学習障害に関連する病状、ダウン症候群、及び酸化ストレス誘発性ニューロンの死;
老化及び慢性アルコール又は薬物乱用により、たとえばアルコール症、青斑、小脳、コリン作用性基底前脳におけるニューロンの変性により;認識及び運動障害を導びく小脳ニューロン及び皮質ニューロンの老化変性により;及び運動障害を導びく脳幹神経節ニューロンの慢性アンフェタミン乱用変性により生じる病状;
病巣外傷、たとえば発作、病巣虚血症、血管不全、低酸素症−虚血症脳障害、高血糖症、低血糖症、閉鎖性頭部外傷又は直接的な外傷に起因する病状変化;
治療用薬物及び処理の陰性副作用として生じる病状(たとえば、NMDA種類のグルタメート受容体の抗痙攣性用量のアンタゴニストに応答しての帯状皮質の変性)。
さらにもう1つの観点において、本発明は、神経保護/向神経活性を示すのに十分な量での前記記載されたADNF IIIポリペプチドの1つ及び医薬的に許容できる希釈剤、キャリヤー又は賦形剤を含んで成る医薬組成物を提供する。1つの態様においては、ADNF IIIポリペプチドは、配列番号1,3及び保存的に修飾されたその変形体から成る群から選択されたアミノ酸配列を有する。もう1つの態様において、ADNF IIIポリペプチドは、次のアミノ酸配列:
(R1x-Asn-Ala-Pro-Val-Ser-Ile-Pro-Gln-(R2y(配列番号10)、
及び保存的に修飾されたその変形体を含んで成る。
1,R2,x及びyに関する前の議論は、本発明の方法に使用されるADNF IIIポリペプチドに十分に適用でき、そして従って、この特定の方法に関してくり返えされないであろう。上記式の範囲内においては、一定のADNF IIIポリペプチド、すなわちx及びyが両者ともゼロであるもの(すなわち、ADNF III-8)が好ましい。xが1であり;R1がGly-Glyであり;そしてyがゼロであるADNF IIIポリペプチドが同等に好ましい。xが1であり;R1がLeu-Gly-Glyであり;yが1であり;そしてR2が-Gln-SerであるADNF IIIポリペプチドがまた同等に好ましい。xが1であり;R1がLeu-Gly-Leu-Gly-Gly(配列番号17)であり;yが1であり;そしてR2が-Gln-SerであるADNF IIIポリペプチドがまた同等に好ましい。xが1であり;R1がSer-Val-Arg-Leu-Gly-Leu-Gly-Gly-(配列番号18)であり;yが1であり;そしてR2が-Gln-SerであるADNF IIIポリペプチドがまた、同等に好ましい。
本発明の医薬組成物は、種々の薬物供給システムへの使用のために適切である。本発明への使用のための適切な配合物は、引用により本明細書中に組込まれる、Remington’s Pharmaceutical Sciences(17th ed. 1985)に見出される。さらに、薬物供給のための方法の手短な再考のためには、引用により本明細書中に組込まれるLanger, Science 249: 1527-1533(1990)を参照のこと。
ニューロンの生長及び生存性を高めるその能力のために、ADNF IIIポリペプチドは、たとえばニューロン生長、老化、神経変性疾患又は脊髄損傷に起因する神経学的欠損の処理に広範に使用される。本発明は、医薬的に許容できる賦形剤と組合して、上記に記載される1又は複数のADNF IIIポリペプチドを含んで成る治療組成物又は医薬を供給し、ここで前記ADNF IIIポリペプチドの量は治療効果を提供するのに十分である。
治療用途においては、本発明のADNF IIIポリペプチドは、非経口、局部、経口、又は局所投与のために意図された医薬組成物に包含される。好ましくは、医薬組成物は、非経口、たとえば静脈内、皮下、経皮下又は筋肉内、又は鼻腔内投与される。従って、本発明は、許容できるキャリヤー、好ましくは水性キャリヤーに溶解された又は懸濁された、上記のようなADNF IIIポリペプチドの溶液を含んで成る、非経口投与のための組成物を提供する。種々の水性キャリヤー、たとえば水、緩衝された水、0.4%塩溶液、0.3%グリシン、ヒアルロン酸及び同様のものが使用され得る。それらの組成物は、従来の良く知られている殺菌技法により殺菌され、又はそれらは濾過殺菌され得る。得られる水溶液は、使用のために包装され、又は凍結乾燥され、その凍結乾燥された調製物は、投与の前、無菌溶液と共に組合される。組成物は、生理学的状態に近づけることが必要とされる場合、医薬的に許容できる助剤、たとえばpH調節及び緩衝剤、緊張調節剤、湿潤剤、及び同様のもの、たとえば酢酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、ソルビタンモノラウレート、トリエタノールアミンオレエート、等を含むことができる。
固体組成物に関しては、たとえば医薬品種のマンニトール、ラクトース、スターチ、ステアリン酸マグネシウム、ナトリウムサッカリン、タルク、セルロース、グルコース、スクロース、炭酸マグネシウム、及び同様のものを包含する、従来の非毒性固体キャリヤーが使用され得る。経口投与のためには、医薬的に許容される非毒性組成物は、通常使用される賦形剤、たとえば前記列挙されるそれらのキャリヤーのいづれか、及び一般的に10〜95%の濃度の活性成分及びより好ましくは、25%〜75%の濃度での活性成分を混合することによって形成される。
エアゾール投与のためには、ADNF IIIポリペプチドが好ましくは、界面活性剤及び推進剤と共に、細かく分割された形で供給される。もちろん、界面活性剤は非毒性であり、そして好ましくは、推進剤に可溶性であるべきである。そのような剤の代表物は、6〜22個の炭素原子を含む脂肪酸、たとえばカプロン酸、オクタノン酸、ラウリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、リノール酸、リノレイン酸、オレステアリン酸、及びオレイン酸と脂肪族多価アルコール又はその環状無水物とのエステル又は部分エステルである。混合されたエステル、たとえば混合された又は天然のグリセリドが使用され得る。キャリヤーはまた、所望により、鼻腔内供給のために、たとえばレシチンと共に包含され得る。
治療用途においては、本発明のADNF IIIポリペプチドは、ニューロン細胞の死を妨げるのに十分な量で患者に投与される。これを達成するための適切な量は、“治療的有効用量”として定義される。この使用のための有効量は、たとえば使用される特定のADNF IIIポリペプチド、阻止されるべきニューロン細胞の死又は損傷の型、投与の態様、患者の体重及び健康の一般的な状態、及び処方医師の判断に依存するであろう。ニューロン細胞の死の防止のためには、1日1回(たとえば、夜に)、鼻腔内投与される、100ng〜10mgの範囲内のADNF IIIポリペプチドの量が、治療的有効量である。
本発明は、特定の例により、より詳細に記載されるであろう。次の例は例示的であって、本発明を限定するものではない。当業者は、同じ結果を実質的に生成するよう変更され、又は修飾され得る種々の非決定的パラメーターを容易に認識するであろう。

A.材料及び方法
1.細胞培養物
a.星状細胞:星状細胞を、生後1日目のラット(Sprague-Dawley)から調製した。10〜12匹の子犬からの大脳皮質を、無菌HBSS培地(ハンクス液)中にすばやく切開した。髄膜を注意して除去した後、細胞を機械的に解離し、そして次に、0.125%のトリプシンにより20分間、処理した。最終的に、10%ウシ胎児血清を含むダルベッコ変性イーグル培地(DMEM)を添加した。混合した後、その細胞懸濁液を、フラスコ当たり15×106個の細胞の濃度で75-cm2のフラスコにプレートし、そして10%のCO2下で37℃で、インキュベートした。培養システムにおける培地は、DMEM、10%のFBS、50mg/mlのゲンタマイシン及びペニシリンGナトリウム塩、ストレプトマイシンスルフェート及びナイスタチンの混合物(10,000U/mlのペニシリン、10mg/mlのストレプトマイシン及び1250U/mlのナイスタチンの原溶液からの100ml/100ml培地)から構成された。培養物をプレートし、2日及び5日で交換した。プレートして6日後、残留ニューロン及び/又は稀突起膠細胞を除くために、細胞を1:1に分けた。それらをトリプシンにより再び処理し、フラスコから除き、そして10%ウシ胎児血清/DMEMに懸濁した。培養物を75-cm2のフラスコに再びプレートし、そして4日後、ならし培地の源として使用した。2週目の培養物を15mlのリン酸緩衝溶液(PBS)により3度、洗浄し、そして次に、0.25nMのVIP(原溶液は0.01Nの酢酸0.3mlに溶解され、そしてその後、希釈されたVIP 1mgを含んだ)を含むPBS 15mlと共に3時間インキュベートした。ならし培地を集め、培地を1000×gで10分間、遠心分離し、損なわれていない細胞を沈降せしめ、そして使用まで、−20℃で貯蔵した。
b.神経芽腫細胞系:前のようにして、Lilling, J. Mol. Neurosci. 5:231-239(1994/5)に従って調製された培養物を、15mlのリン酸緩衝溶液(PBS)により3度、洗浄し、そして次に、0.25nMのVIP(原溶液は上記のように、0.01Nの酢酸0.3mlに溶解されたVIP 1mgを含んだ)を含むPBS 15mlと共に3時間インキュベートした。ならし培地を上記のようにして集めた。
2.ADNF精製
ADNFを、Brenneman & Gozes, J. Clin. Invest. 97:2299-2307(1996)に記載される方法に従って精製した。手短に言及すると、生後2週目の大グリア細胞培養物(集密的75-cm2フラスコ)を、PBSにより3度洗浄し、そしてならし培地を集め(10mlのPBS/フラスコ)、この間、0.1nMのVIP(星状グリア細胞から向神経活性を開放するために最適であることが前に示されている量)と共に3時間インキュベートした。培地を遠心分離し(3,000×gで10分間)、そして50mMのリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.0)に対して4℃で透析した(3.5kDのカットオフ)。神経保護を初めに、テトロドトキシン−ブロックされた脊髄培養物においてアッセイした。VIPの存在下でグリア細胞から分泌された生存−促進活性のアッセイのためのテトロドトキシン−ブロックされた細胞を選択するための原理は、1μMのテトロドトキシンによる処理が自発的シナプス活性をブロックし、それにより、内因性VIPの合成(Agostanなど.,Mol. Brain. Res. 10:235-240(1991))及び開放(Brennemanなど.,Peptides 6(2):35-39(1985))を阻害し、システムを外因性VIPに依存性にすることである。
ADNFの単離における最初の精製段階は、50mMのピロリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.0)により予備平衡化されたDEAE-Sephacelカラム(0.75cmの直径及び3cmの長さ)上に負荷されるVIP−刺激された星状細胞−ならし培地(300ml、6〜8mgのタンパク質)のDEAE-Sephacelクロマトグラフィー(Pharmacia Diagnostics AB, Uppsala, Sweden)であった。カラムを、50mMのピロリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.0)40ml及び次に上昇する濃度(0.1M,0.26M,0.5M,1.0M,2M及び3M)のNaClにより補充された同じ緩衝液により連続的に洗浄した。水に対しての透析の後のカラム画分(1:10,000)を、1μMのテトロドトキシンと一緒に、脊髄試験培養物に添加した。神経保護活性を、生存する脊髄ニューロンの数に対する効果を測定することによって決定した。ニューロン細胞計数の有意な上昇が、2MのNaCl溶出液において観察された。第2の精製段階は、急速性能液体クロマトグラフィー(FPLC:Pharmacia Diagnostics AB)上での活性DEAE画分(2MのNaCl溶出液)のサイズ分離であった。2MのNaCl画分(300mlのオリジナルならし培地調製物に対応する)を水に対して透析し、凍結乾燥し、そして0.15MのNaClを含む50mMのリン酸ナトリウム(pH7.3)0.5mlに再懸濁した。0.25mlのアリコートを、SuperoseTM(Pharmacia Diagnostics AB)12−カラム(予備包装されたHR 10/30)FPLC上に負荷した。画分(0.5ml、0.4ml/分)をカラムから集め、希釈し(1:10,000)、そしてニューロン生存性アッセイにおいて試験した。ニューロン細胞計数における有意な上昇がカラム画分22及び31で観察された。低分子量神経保護活性の第3精製段階は、疎水性相互作用(Alkyl=SuperoseTM HR 5/5, Pharmacia Diagnostics AB)FPLCを包含した。カラムを0.lMのリン酸緩衝液(pH7.0)により洗浄し、そして2.0Mの(NH42SO4を含む0.1Mのリン酸緩衝液(pH7.0)により平衡化した。サンプル(サイズ分別FPLCからの0.5mlの溶出された画分31)を脱イオン水に対して集中的に透析し、凍結乾燥せしめ、そして1.43Mの(NH42SO4を含む0.1Mのリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.0)に再懸濁した。溶出(1ml画分、0.5ml/分)を、注入後10分で開始される塩除去の線状グラジエント(2.0〜0M)により実施し、そして50分、続けた。タンパク質サンプルを脱イオン水に対して集中的に透析し、そしてタンパク質濃度についてアッセイした(タンパク質アッセイ:Bio-Rad Laboratories, Richmond, CA)。疎水性相互作用クロマトグラフィー処理の後、活性画分におけるタンパク質の量を、0.2%フェノールを含む6NのHCl溶液における加水分解(24時/110℃)の後、装置(モデル7300、Beckman Instrs., Fullerton, CA)上での全アミノ酸の分析により決定した。塩除去により疎水性相互作用カラムから溶出されたサンプルを、水に対する透析の後、生物学的活性及び吸光度(280nm)について試験した。
3.ペプチド配列決定
a.V8プロテアーゼ消化:ペプチド配列決定のために、HPLC−溶出されたADNF(3〜5μg)を、V8プロテアーゼ消化(Boehringer Mannheim, Indianapolis, IN)にゆだねた。この反応は、1:50の酵素:基質比を伴って、37℃で16時間、50mMの炭酸水素アンモニウム(pH7.8)において実施された。得られるペプチドを、Brenneman & Gozes, J. Clin. Invest., 97(10):2299-2307(1996)により記載のようにして、HPLCにより分解し、そしてModel 470及び477(Applied Biosystems Inc., Foster City, CA)上で配列決定した。配列決定のためには、ペプチドをBiobrene−被覆されたカートリッジフィルター(Applied Biosystems Inc.)上で乾燥せしめ、そしてペプチドを含む管を、30μlのトリフルオロ酢酸によりすすぎ、これをまた、フィルター上部上で乾燥せしめた。ペプチド合成のためには、最適な側鎖保護を用いての固相方法が用いられた(Gozesなど.,Proc. Natl. Acad. Sci. USA 93:427-432(1996); Gozesなど.,Endocrinology 134:2121-2125(1994); Gozesなど.,J. Pharmacol. Esp. Ther. 173:161-167(1995))。生成物を、Sephadex G-25(Sigma Chemical Co., St. Louis, MO)及び逆相アミノ酸上で精製した。
b.CNBr消化:タンパク質を70%蟻酸に希釈した。CNBr(5重量倍)を、70%蟻酸に暗室でゆっくり溶解した。その消化を、1:1のCNBr:タンパク質の比で、暗室において室温で実施した。一晩のインキュベーションの後、消化されたタンパク質を、4回の連続した水洗浄により、Speedvacを用いて濃縮した。その後、ペプチドを、Brenneman & Gozes(J. Clin. Invest. 97:2299-2307(1996))により記載のようにして、HPLCにより分離した。
得られる配列は、次の酵母タンパク質PIF1に関連する:
(a)PGLISEXSFXQ(配列番号19)(Xは未知を示す);及び
(b)IQLEXEIXEXQ II(配列番号20)。
4.ADNFに対する抗体
a.抗体の調製:抗体を、KLHへの、得られる配列、すなわちADNFI/PIF1−関連配列(IQLETEIQEKQ II(配列番号20))の融合の後、ウサギにおいて調製した。同様に、抗体を、KLHへの、得られる配列、すなわちADNFI/hsp60−関連配列(CVLGGGSALLRSIPA(配列番号21))の融合の後、ウサギにおいて、及びまた、N−末端でのシステイン残基を通してBSAに対する相等の実験において調製した。アフィニティークロマトグラフィー処理を、接合されたCVLGGGSALLRSIPA(配列番号21)を含むSephadexカラム上で、又はCSALLRSIPA(配列番号22)を含むカラム上で実施した(両者とも、システイン残基を通して接合される)。ポリアクリルアミドゲルから抽出された、単離されたADNF IIIタンパク質バンドに対する抗体をマウスにおいて誘発した(Gozesなど.,Developmental Brain Research 99:167-175(1997); McManamanなど.,J. Biol. Chem. 12:5890-5897(1988)。
b.PIF1−関連配列に対する抗体の精製:抗体の沈殿化を、通常、硫酸アンモニウムにより行なう。ウサギ血清5mlを採取し、そして3000×gで30分間、遠心分離した。次に、上清液を適切な管に移し、そして軽く、撹拌した。抗体溶液を軽く撹拌しながら、飽和された硫酸アンモニウム0.5体積を添加した。すべての硫酸アンモニウムを添加した後、容器を、一晩のインキュベーションのために4℃に移し、そして次に、3000×gで30分間、遠心分離した。次に、上清液を注意して除去し、そして上記工程を、第2回目のために反復した。最終沈殿物を、10,000rpmで30分間、遠心分離した。上清液を注意して除去し、そして廃棄し、そしてペレットを十分に排水した。そのペレットを2.5mlのPBSに再懸濁した。抗体溶液を、透析管(10mMのEDTAと共に10分間、前もって煮沸し、続いて水により3度洗浄している)に移し、そして2晩の間、PBS(3度、変換される)に対して透析した。次に、抗体溶液を遠心分離し、残る残骸を除去した。
c.hsp60−関連配列に対する抗体のアフィニティー精製:カラムを、PBS中、0.5MのNaCl、続いてPBSにより洗浄した。血清を添加し(1mlの樹脂に対して10ml)、そして4℃で16時間、振盪しながら、インキュベートした。カラムを10体積のPBSにより、及び次に、0.5MのNaClを含むPBSにより洗浄した(A260で吸収する物質が溶出されなくなるまで)。抗体の溶出を、0.1Mのグリシン−HCl(pH2.5)により実施した。溶出された画分を、0.1体積の2Mのトリス(pH8.0)により中和した。抗体をまず、VLGGGSALLRSIPA(配列番号23)に対して精製し、そして次に、2種のタイプの親和性を、SALLRSIPA(配列番号5)カラム上で分離した。
d.ドットブロット:さらなる特異性の研究を、hsp60相同体ペプチドVLGGGCALRCIPA(配列番号24)、及び短いペプチド、すなわちVLGGG(配列番号13)及びLGGGS(配列番号11)を用いて実施し、そして抗体はSALLRSIPA(配列番号5)に対する特異性を示した。特異性の研究をまた、実施し、SALLRSIPA−ペプチドとIQLETEIQEKQ II−ペプチドとの間を区別した。
5.クローニング方法
レチン酸によりグリア及びニューロン中に分化するよう誘発され、そしてUni-ZapTM XR(Stratagene)を用いてクローン化された、P19−、すなわちマウス胚癌細胞系を用いての発現ライブラリーを使用した。オリジナルのライブラリーは、2×106プラーク形成単位(PFU)であり、そして最初の増幅の後、2×1010PFUであった。形質転換のために使用される細菌はXLI-Blueであった。抗体のためのAmersham(ECL)非放射性検出キットを用いて、陽性プラークを検出した。クローニング方法は次の通りであった:E.コリXLI-Blueの単一のコロニーを、12.5mg/mlのテトラサイクリンを含む培地から採取し、そして0.2%のマルトース及び10mMのMgSO4を含む液体LB培地において、37℃で一晩、増殖した。陽性クローンを得るために全ライブラリーをスクリーンするために必要とされるプレートの数は、90mmプレート当たり2×104のプラークを仮定して、50であることが計算された。100μlの細菌混合物を、50の管に等分した。個々の管においては、プレート細菌0.1mlを、2×104 PFUのUniZAP XR発現ライブラリーを含むSM 0.1mlと共に混合し、そして37℃で20分間インキュベートした。次に、個々の管は、溶融された上部アガロース3mlを受け、そしてすぐに、LB寒天プレート上に注いだ。次に、感染されたプレートを、37℃で3.5時間インキュベートした。ニトロセルロースフィルターをボールペンにより番号づけし、そしてイソプロピルチオ−β−D−ガラクトシド(IPTG)の溶液(希釈された水において10mM)に、数分間リークした。先を鈍くされたピンセットを用いて、フィルターを溶液から取り出し、そして室温で乾燥せしめた。プレートをインキュベーターから取り出し、そしてすばやく、IPTG−含浸されたニトロセルロースフィルターにより積層し、そして次に、37℃で4時間インキュベートした。このインキュベーションに続いて、プレートから蓋を取り除き、そしてインキュベーションを37℃でさらに20分間、続け、次にプレートを室温に移した。個々のフィルターを、耐水性黒色インキを含む注射器に結合される18−ゲージ針により、フィルターを突き刺し、そしてその下の寒天中に、少なくとも3種の非対称位置で印を付けた。次に、フィルターをプレートから剥ぎ取り、そしてすぐに、多量のTNT(10mMのトリスCl(pH=8.0)、150mMのNaCl、0.05%のTween 20)に含浸した。フィルターのすべてが取り除かれ、そしてすすがれた後、それらを、非特異的結合をブロックするために、ブロッキング緩衝液(個々のフィルターのために、10%低脂肪牛乳(TNTにおいて1%)7.5ml)を含むガラストレー上に、4℃での一晩のインキュベーションのために移した。次に、フィルターを、一次抗体(上記に言及される)を含む新しいガラストレーに移した。抗体をブロッキング緩衝液により1:250〜1000に希釈し(個々のフィルターのために7.5ml)、そしてすべてのフィルターを沈めた後、それらを4℃で一晩インキュベートした。次に、フィルターを、室温でそれぞれ15分間、新鮮なブロッキング緩衝液により3度洗浄した。次に、フィルターを、ブロッキング緩衝液により1:30,000に希釈された(個々のフィルターのために7.5ml)、第2抗体(ヤギ抗−ウサギIgG−ペルオキシダーゼ接合体、Sigma Immuno Chemicals A-6154)を含む新しいガラストレーに移した。フィルターを沈め、そして室温で1時間インキュベートした。次に、フィルターを、前記のようにして、洗浄した。抗体のためのAmersham(ECL)非放射性検出キットを用いて、陽性プラークを検出した。同定された個々の陽性プラークを、大きな末端を有するPasteurピペットを用いて寒天から採取し、そして2滴のクロロホルムを含むSM(5.8g/lのNaCl;2g/lのMgSO4−7H2O;1Mのトリス−HCl、pH7.5、50ml/l;2%のゼラチン、5ml/l)1mlに移した。次に、バクテリオファージ粒子を、4℃で一晩のインキュベーションにより、寒天からの溶出を可能にした。バクテリオファージの力価を決定し、そして再プレート化を、90mmプレート当たり1000プラークで実施した。次に、プラークを再スクリーンし、そして免疫陽性組換えバクテリオファージの均質集団が得られるまで、プレートした。
6.プラスミド調製
λ ZAP IIベクターからpBluescript SK-を切除するために、ExAssistTMシステム(Stratagene)を用いてのインビボ切除プロトコールを用いた。実験を、会社のマニュアルに従って実施した。興味あるプラークを寒天プレートから採取し、そして500mlのSM緩衝液及び2滴のクロロホルムを含む無菌の微小遠心分離管に移した。管を、SM緩衝液中にファージ粒子を開放するために混合し、そして4℃で一晩インキュベートした。50mlの円錐形管において、次の成分を組合した:
200mlのO.D.600=1.0 XLI-Blue細胞;
100mlのファージストック(1×105以上のファージ粒子を含む;及び
1mlのExAssistヘルパーファージ(1×106以上のPFU/ml)。次に、その混合物を37℃で15分間インキュベートした。上記混合物に、5mlの2XYT(バクト−トリプトン16g/l、バクト酵母抽出物10g/l、NaCl 5g/l)培地を添加し、そして振盪しながら、37℃で2〜2.5時間、インキュベートした。次に、管を70℃で20分間、加熱し、そして4000×gで5分間、遠心分離した。得られる上清液を無菌の管にデカントし、そして4℃で貯蔵した。得られたファージミドをプレートするために、XLl-Blue細胞200mlを2つの管に添加した。ファージストック10mlを1つの管に添加し、そしてファージストックからの1:100希釈溶液20mlを他の管に添加した。次に、管を37℃で15分間インキュベートした。次に、個々の管からの溶液100mlを、LB−アンピシリンプレート(100mg/ml)上にプレートし、そして37℃で一晩インキュベートした。プレート上に出現したコロニーは、p25(ADNF III)のクローン化されたDNA挿入体と共に二本鎖pBluescript SK-ファージミドを含んだ。次に、単一のコロニーをプレートから採取し、そして100mg/mlのアンピシリンを含む液体LB培地において37℃で一晩、増殖した。次に、E.コリの一晩培養物をWizard Midi-prep DNA Purification System(Promega)にゆだねた。精製されたDNAを、いづれの塩又は高分子汚染物を有さない水に、Midi-prepカラムから溶出した。次に、精製されたプラスミドを、DNA配列決定のために直接使用した。
7.機能的クローニングのための発現
プラスミドクローンを担持するE.コリを、O.D.600=0.2まで増殖し、続いて、O.D.600=1.0になるまで、IPTG(1mM)と共にインキュベートした。細菌プレート(1500×g、15分)を、4MのグアニジンHCl;100mMのKCl;50mMのトリス、pH8.0;1mMのEDTA;12.5mMのMgCl2;0.1%のNP-40;及びプロテアーゼインヒビターの混合物:フェニル−メチル−スルホニル−フルオリド、アプロトニン、ロイペプチンの溶液に再懸濁した。前記方法は、さらに、それぞれ10秒間、2度の氷上での音波処理、4℃で30分間の振盪、27,000×g、4℃での回転、続く分別、及び−80℃での貯蔵を必要とする。
8.生物学的活性
生物学的活性を、前記のようにして(たとえば、Gozesなど.,Proc. Natl. Acad. Sci. USA 93:427-432(1996))、大脳皮質培養物において試験した。インビトロでの9日間の後、培養物から、完全に培地を変え、そして前記培養物を、1mMのテトロドトキシン又は25mMのβ−アミロイドペプチド(25−35)のいづれかにより、及びp25(ADNF III)の挿入体を含むプラスミド及び前記挿入体を含まないプラスミドを担持するE.コリから単離された種々の濃度の分別されたタンパク質により、さらに5日間、処理した。ニューロン細胞の計数を、ニューロン特異的エノラーゼに対する抗血清による免疫細胞学的同定の後に実施した。計数は、処理グループの知識なしに、予定された同等の位置からの40の領域で行なわれた。
9.配列決定
直接的な配列決定を、自動DNA配列決定(Applied Biosystems)を用いて実施した。完全な配列決定のためには、共有される配列を有する複数のフラグメントを生成する、合成オリゴヌクレオチド又はキットErase a Baseのいづれかを使用した。次の2種の制限酵素による閉環された環状DNA 10mgの二重消化により開始する:ApaI、プライマー結合部位を保護する4−塩基3′側突出部分を、それらはエキソヌクレアーゼIII(Exo III)消化に対して耐性であるので、生ぜしめ;及びXhoI、欠失が進行する予定である挿入体に隣接する5′突出部分を残す。Exo IIIの消化の均等な速度は、反応から時間を測定された(1分ごとに32℃での25の時点)アリコートを除去することによる、予定された長さの欠失の単純な実施を可能にする。Exo III消化のサンプルを、時間を測定された間隔で除去し、そして残存する一本鎖末端を除去するS1ヌクレアーゼを含む管に添加した。S1ヌクレアーゼの中和及び熱不活性化の後、クレノウDNAポリメラーゼを、末端をフラッシュするために添加、次にその末端を連結し、欠失含有ベクターを環状化した。その連結混合物を、コンピテント細胞を形質転換するために直接的に使用した。個々の連続時点が、オリジナル挿入体中にさらに延長する欠失群を含むサブクローンの収集をもたらす。次に、個々の時点からの多くのサブクローンをスクリーンし、欠失間の適切な間隔を選択した。配列分析を、T7プロモータープライマーにより行なった。
10.モチーフの決定
新規DNA配列におけるモチーフの決定を、GCGプログラム(Wisconsin Package Version 8.1 UNIX, August 1995、使用される研究においては、わずか1つのミスマッチが可能とされる)を用いて実施した。
11.RNA単離
RNAを、室温で、PBS中、0.1nMのVIP(分泌されたADNFを含むならし培地の調製のために使用されるような(Brenneman & Gozes, J. Clin. Invest. 97:2299-2237(1996)を参照のこと)による3時間の処理に続いて、星状細胞及び神経芽腫細胞から調製した。RNAをまた、生まれたばかりのラットの髄膜、及びマウス脳皮質、小脳、後部脳、腎臓、脾臓、肺及び腸管からの線維芽細胞から調製した。RNAを、RNA NOWTM(Biological Industries Co. Beit-Haemek(1990)LTD)の使用により単離した。RNAの定量化を、260〜280nmでの吸光度測定により実施した。
12.ノザンブロットハイブリダイゼーション
a.ゲル電気泳動:類似する量(10〜30mg)の変性されたRNAを、1%アガロースゲル電気泳動(Sekeam, FMC)により、続いてニトロセルロース膜(Schleicher & Schuell)上での一晩のブロットにより分離した(Gozes, Basic Principles of Gene Expression, ETP/ENA/IBRO, Practical Course on Molecular Neuroanatomy pp. 35-55(Van Leeuwenなど.,eds. 1987);及びまた、Techniques and Behavioral and Neural Sciences Series pp. 3-24(Huston ed., 1989)を参照のこと)。前記膜は、短波UV線(12000mJ/cm2)への暴露により架橋された。
b.ハイブリダイゼーション:ブロットを55℃で2時間、プレハイブリダイズし、そしてマウスADNF III cDNAのための特定の相補的DNAプローブ(次のプライマーを用いて得られたPCR生成物:下記に詳細に記載される、61−79、及び位置438−455からの相補的鎖)によりハイブリダイズせしめた。ラベルされたプローブを、ランダムプライミングにより調製し、そして55℃で16時間ブロットと共にインキュベートした。プレハイブリダイゼーション及びハイブリダイゼーション溶液(12ml/ブロット)は、次のものを含んだ:50%ホルムアミド(混合された樹脂層を用いて脱イオン化されている、Sigma)、50mMのリン酸ナトリウム緩衝液(pH6.5)、0.8MのNaCl、1mMのEDTA、5×Denhart試薬(0.05%のBSA、0.05%のポリビニルピロリドン及び0.05%のFricoll)、0.1%のSDS及び200mg/mlのポリ(A)。ラベルされたプローブを、ハイブリダイゼーション溶液12mlに溶解し、そしてプレハイブリダイゼーション混合物に添加した。ハイブリダイゼーションの後、ブロットを2×SSC(20×SSC=3MのNaCl、0.3Mのクエン酸三ナトリウム)及び0.1% SDS溶液により、65℃で30分間、洗浄し、そしてDu Pont Crouex増強スクリーンを用いて、Kodak XAR5フィルムに−70℃で16〜20時間、照射した。
13.ポリメラーゼ鎖反応(PCR)
ADNF III cDNAの増幅のために使用されるプライマーは次の通りであった:
センスプライマーに関して:
5′TCCAATGTTCACCTGCAG3′(配列番号7);及び
アンチセンスプライマーに関して:
5′GCTCGTTACAGATTGTAC3′(配列番号8)、
ここで、それらのプライマーは、マウスADNF III cDNAのために、それぞれ塩基対61−79及び438−455に対応する。PCR生成物は、p25(ADNF III)のクローン化されたDNA挿入体を有するpBluescript SK-二本鎖ファージミドに由来した。方法は、分子生物学に記載されるテキストブック方法に従って実施された(たとえば、Sambrook, J., など.,Molecular Cloning, A Laboratory Manual(2nd. ed. 1989)を参照のこと)。35回のPCRサイクル(94℃で1分、56℃で1分、72℃で1分)を実施した。個々のPCR生成物10mlを、臭化エチジウムにより染色された1.5% TAEアガロースゲル上での電気泳動にゆだね、そしてU.V.光下で可視化した。
14.DNAの回収
個々のPCR生成物90mlを、臭化エチジウムにより染色された1.5% TAEアガロースゲル上での電気泳動にゆだね、そしてU.V.光下で可視化した。対応するバンドを、アガロースゲルから切除し、そしてGen EluteTM Agarose Spin Columms(Supelco)にゆだねた。
15.ラベルされたDNAプローブ
アガロースゲルから溶出された鋳型DNA 25ngは、NEBlotキット(New England BioLabs)及び32P dCTP(3,000Ci/mモル、50mCi)を用いて、ランダムプライミング反応においてラベルされた。次に、ラベルされたDNAを、組込まれていない32P−ラベルされたヌクレオチドの分離のために、NICKカラム(Pharmacia Biotech)にゆだねた。
16.RT-PCR
cDNAを、製造業者のプロトコールに従って、Gibco-BRL(Life Technologies)からのMLV逆転写酵素による全RNA 2mlの逆転写により得た。次に、前記cDNAを、製造業者の説明書に従って、Amplitaq DNAポリメラーゼ(Perkin Elmer)を用いてのポリメラーゼ鎖反応(PCR)のために使用した。ADNF III cDNAの増幅のために使用されるプライマーは、PCRセクションに記載されるプライマーと同じであった。負の対照として、RNAを、新生ラットの髄膜から調製された線維芽細胞から調製した。
17.SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動
a.ゲル電気泳動:VIPにより処理された星状細胞からのならし培地を、0.1% SDSを含む10%ポリアクリルアミド(BioRad)スラブゲルを通しての電気泳動にゆだねた。サンプルを、2×SDSゲル充填緩衝液(100mMのトリスCl(pH6.8)、200mMのジチオトレイトール、4%のSDS(電気泳動品種)、0.2%のブロモフェノールブルー、20%のグリセロール、200mMのジチオトレイトール)と共に1:1の体積比で混合した。分子量の決定を、分子量マーカー(Sigma)の平行した分析により得た。
b.クーマシーブリリアントブルー染色:クーマシーブリリアントブルー染色を、SDS 10%ポリアクリルアミドゲル電気泳動上で、標準条件を用いて実施した(Sambrookなど.,Molecular Cloning, A Laboratory Manual(2nd ed. 1989)。
c.ウェスターンブロットハイブリダイゼーション:ウェスターンブロットを、上記のようにしてウサギにおいて誘発され、そして結合リガンドとしてSALLRSIPA(配列番号5)を含むアフィニティーカラム上で精製された、VLGGGSALLRSIPA(配列番号18)に対して調製された抗体を用いて、SDS 10%ポリアクリルアミドゲル電気泳動(Sambrookなど.,Molecular Cloning, A Laboratory Manual(2nd ed. 1989)上で標準の条件下で実施した。アフィニティー精製された抗体を正しい希釈度のために検量し、そしてこの実験のために使用される1つは1:250の希釈度であった。
18.擬似ポリメラーゼ鎖反応
プライマー:5′側、位置71(20mer)Td=59.3;5′ACCTGCAGCAAAACAACTAT3′(配列番号9);及び3′側プライマー、位置423(23mer)、及び同様に次のプライマー:5′ACCTGCAGCAAAACAACTATTTCCATCCCTCAACAGT5′(配列番号25)を含む擬似生成物(位置1165から出発する、小文字)を用いれば、この擬似ハイブリッドプライマーは、使用される場合、cDNAと同じ5′を含むが、しかし位置90−165で一定範囲の塩基を欠失する欠失生成物をもたらす。その欠失生成物は多量に調製され、そして相対的定量化を可能にするPCR反応のための標準として使用される。さらに、サイクロフィリンmRNA(上方プライマー:位置348:5′ATGGCACAGCAGGAAAGAGC3′(配列番号26)、279個の塩基の生成物を付与する下方プライマー:5′TTGCCGGAGTCGACAATGAT3′(配列番号27)、及び擬似プライマー5′ATGGCACAGGAGGAAAGAGCAATGCAGGCAAAGACACC3′(配列番号25))を定量化し、そしてその結果を、同じ態様で、同じサンプルにおいて定量化されたシクロフィリンmRNAとの比として示す。発現が胚、すなわち前記のようにしてインビトロで4時間インキュベートされた生後9.5日目のマウス胚において決定される(Goessonsなど.,Nature 362:155-158(1993))。
19.ペプチド合成
ペプチド合成のためには、最適な側鎖保護を用いる固相方法を使用した(Gozesなど.,Proc. Natl. Acad. Sci. USA 93:427-432(1996); Gozesなど.,Endocrinology 134:2121-2125(1994); Gozesなど.,J. Pharmacol. Exp. Ther. 173:161-167(1995))。生成物は、Sephadex G-25(Sigma Chemical Co., St. Louis, MO)及び逆相アミノ酸に基づいて精製された。
20.学習及び記憶
コリン作用性遮断に関連する学習及び記憶に対する保護を評価した。コリン作用性遮断は、鼻腔内投与されるコリノトキシンAF64A;NAPVSIPQ(配列番号6)の投与によりラットにおいて得られ、そして水迷路実験が前述のようにして行なわれた(Gozesなど.,Proc. Natl. Acad. Sci. USA 93:427-432(1996);この教授は引用により本明細書中に組込まれる)。
21.アポリポタンパク質E(ApoE)欠損マウスモデル
ApoEノックアウトマウス及び正常な対照は、本来、Dr. J.L. Bneslow(Plumpなど.,Cell 71:343-353(1992)により提供される、Tel Ariv UniversityのProf. Shlomo Eisenbergからの贈り物であった。ApoEノックアウトマウスを、C57B6×FVBマウス(記載されるような)における胚幹細胞OLA129から得た。年齢適合対照は、近交系C57B6マウスであった。子供のマウスのグループを、生後14日まで、誕生から処理した。毎日の皮下注射は次のものを含んだ:20mlの塩溶液(1〜4日目)、40mlの塩溶液(5〜10日目)、及び80mlの塩溶液(11〜14日目)。ペプチド(前記のようにして合成された;Gozesなど.,J. Neurobiol. 33:329-342(1997); Gozes & Brenneman, J. Molec. Neurosci. 7:235-244(1996))を、投与の前、溶解し、25g/mlの最終濃度にした。ペプチドの均質溶液を得るために、初期溶解を、ジメチルスルホキシド(DMSO、1mg/30ml)において行ない、続いて、塩溶液において連続して希釈した。対照動物は塩溶液を受けた。ビークル(塩溶液に希釈されたDMSO)はいづれの効果も有さず、そしてそれらにより得られる結果は、塩溶液のみにより得られる結果に類似した。
22.統計学的分析
平均試験のStudent-Neuman-Kucl’s多重比較によるANOVAを用いて、結果を評価した。
B.結果
レチン酸(Uni-ZapTMXR(Stratagene)における)によりグリア及びニューロン中への分化を誘発されたP19−マウス胚癌細胞系からのcDNA発現ライブラリーを、ADNF III発現についてスクリーンした。2つのタイプの抗体を使用し、1つはSALLRSIPA-BSAに対してであり、そしてもう1つはPIF1に対してである(両者は前記に記載される)。SALLRSIPA(配列番号5)に対する抗体を有する9つの免疫陽性組換えバクテリオファージを得た後、次の段階が、それらのバクテリオファージの1つがPIF1に対して調製された抗体と反応するかどうかを決定する。次に、プラークを、9種の異なったプレート上に再プレートし、そしてさらに、抗−PIF1抗体により同じ工程にゆだねた。この段階で、9種の異なったプラークの1つのみが陽性結果を付与し、そしてそれを名称“p25”と命名した。pBluescript SK中にクローン化されるp25 DNAフラグメントは約3kbの長さであり、そして従って、ベクター上の単一のプライマー結合部位から便利に配列決定するのには長過ぎた。そのような大きなDNA挿入体を配列決定するための効果的な手段は、標的DNAにおいて一群の欠失を生成することであり、それにより、興味ある配列に、より接近したプライミング部位を効果的に移動する。従って、マウスADNF IIIの完全な配列が得られた。cDNAは、806個のアミノ酸、pI:5.85をコードする、2418個の塩基対のリーディングフレームを含む(図1)。ADNF IIIに対するhsp60とPIF1との間の類似性がまた、図1に示される。
新規DNA配列におけるモチーフの決定を、GCGプログラムを用いて実施し、ほとんどの5′側領域に多くの保存されたモチーフの存在を示す。これは、下記に詳細に論じられる、活性NAPVSIPQ−ペプチドの配列を含む領域であることが注目されるべきである。モチーフは次のABCトランスポーターファミリー特性を包含する:細胞質膜を通して小さな親水性分子の活性輸送に関与するATP−結合タンパク質;ATP/GTP−結合部位モチーフA(P−ループ);及びアルデヒドデヒドロゲナーゼ活性部位。
p25クローンの9個のアミノ酸の配列(GGNAPVSIP、配列番号28)は、ADNFI(VLGGGSALLRSIPA、配列番号23)の活性ペプチド及びhsp60(VLGGGCALLRCIPA、配列番号24)における相同領域に対する制限された構造類似性、並びにラットhsp60との77.8%の核酸同一性、及びマウスhSP60との70.4%の同一性を示した(Peraltaなど.,Nucleic Acid Res. 18:7162(1994); Venner & Gupta, Biochem. Biophys. Acta 1087:336-338(1990))。制限された構造類似性は、同様にPIF1に関し観察された(図1)。さらなる比較配列分析は、亜鉛フィンガードメイン(図1の太線)を示した(Rosenfeld & Margalit, J. Biomol. Struct. Dyn. 11:557-570(1993))。この配列内に、グルタレドキシン(チオールトランスフェラーゼ)の活性部位に対する相同性がまた観察された20.Chou-Fasman予測(Chou & Fasman, Adv. Enzymology 47:45-148(1978))を用いての全体の分析は、タンパク質が複数の抗原性部位、及び混合されたαヘリックス及びβシートを有する柔軟な親水性分子であることを示した。9個の可能性あるグリコシル化部位が膜関連されるか又は分泌されるタンパク質を示した。その親水性の性質は、分泌されたタンパク質と適合した。酸性基を有さない、疎水性、極性及び塩基性アミノ酸を含んで成るは個のアミノ酸の推定上のシグナルペプチドを、分子のN−末端で同定した(実効電荷+2)。分子のC−末端領域での長いグルタミン酸残基(図1)は、細胞外塩基性分子、たとえばポリアミンとの相互作用を仲介し、又はタンパク質分解のための部位として作用することができた(Changなど.,J.Biol.Chem. 262: 11901-11903(1987); Chestukhinなど.,J.Biol.Chem. 272: 3153-3160(1997))。見出される他の可能性あるプロセッシング部位は、神経ペプチド分解に通常関連する二塩基性残基、特にKKRK(アミノ酸425−428)及びKRKK(アミノ酸504−507)であった。多くのプロリン、グリシン、ロイシン、グルタミン、アラニン及びセリンを含む配列が、局分子相互作用を示す、タンパク質のN−末端部分で観察された(Tairaなど.,Dev.Biol. 159: 254-256(1993))。
次の段階を、ADNF IIIの特徴化に関して、できるだけ多くのデータを得るための試みにおいて実施した。最初に、mRNAを、RT-PCR技法によりラット星状細胞において同定した。星状細胞を、室温でPBS中、0.1nMのVIPにより3時間、処理した(分泌されたADNFを含むならし培地の調製のために使用されるように)(Brenneman & Gozes, J.Clin.Invest. 97: 2299-2237(1996)を参照のこと)。PCR増幅を、前記のようにして実施した。負の対照として、RNAを、新生ラットの髄膜から調製された線維芽細胞から調製した。図2は、臭化エチジウムにより染色されたアガロース(2%)ゲル電気泳動を示す:M=DNAサイズマーカー、1、線維芽細胞RNAに由来するPCR生成物、2、星状細胞RNAに由来するPCR生成物。ノザンブロットハイブリダイゼーションにおける十分な長さのRNA転写体のサイズは、約5300±200塩基対であり、これは長いポリ(A)末端を示唆する。mRNAを、星状細胞、及び脳、たとえば皮質、小脳、海馬、前頭葉、延髄、視床下部核、及び後部脳、並びに脊髄において同定した。mRNA発現をまた、胎児組織、特に肺、及び内分泌組織において観察した。低い量が、腎臓、脾臓及び肺において検出でき、そして腸管においては検出できる量は存在しなかった。
図3は、擬似ポリメラーゼ鎖反応を示す。発現を、前記のようにして(Gressensなど.,Nature, 362: 155-158(1993))、インビトロで4時間インキュベートされた生後9.5日目のマウス胚において決定した。結果は、VIP処理に続いて、ADNF III mRNAの約2倍の上昇を示す。Student t−テストは、VIP処理に基づいての有意な差異を示した。(p<0.0096)。現場ハイブリダイゼーション実験は、マウス胚の生長する神経系に発現を局在化した。
クローン25遺伝子発現は、線維芽細胞に比較して、星状細胞を富化した(図2)。新規タンパク質の星状細胞−分泌を研究するために、ウェスターンブロット分析を行なった。第1抗体(α1)は、抗原SALLRSIPA(配列番号5)及びNAPVSIPQ(配列番号6)(NAP、クローン25配列)を検出したが、しかしLGGGS(配列番号11)、すなわち抗原のhsp60−由来の部分を検出しなかった(図4A、ドットブロット)。この抗体は、ウェスターンブロットにより、細菌的に発現されたクローン25タンパク質を特異的に同定した(約89kD、図4A、p25)。クローン化された挿入体を含まない、形質転換された細菌抽出物を、負の対照として使用した(図4A、pBS)。追加のタンパク質バンド(約60kD)を、p25及びpBSの両者において抗体により同定した。クローン化されたβ−ガラクトシダーゼ−融合タンパク質の部分精製(15倍)を、p−アミノベンジル−1−チオ−β−D−ガラクトピラノシドアフィニティーカラム上でのクロマトグラフィー処理により達成し(図4A、E1)、オリジナル細菌抽出物と同じ免疫特異性を示す富化されたタンパク質をもたらす。従って、60kDのタンパク質バンドは、ADNF IIIの分解生成物、及び細菌相同体の両者を表わすことができる。約89kD及び約60kDのタンパク質の両者の高められた発現(数倍)を、クローン25におけるインプロピル−β−D−チオガラクトピラノシド(IPTG)誘発に従って得た。
同じ89kD及び60kD−免疫反応性タンパク質(ADNF III)を、ポリアクリルアミドゲルから抽出し、そして抗−ADNF III抗体の調製のためにマウス中に注射した(それぞれ、α2及びα3)。すべての3種の抗体(α1,α2及びα3)は、星状細胞の細胞外環境において60kD範囲でのタンパク質バンドを認識した(図4B)。抗体α1は、追加の約14kDタンパク質(推定上のADNFI)を認識し、そしてα2(約89kDのクローン25タンパク質に対して調製された)は分解生成物を表わすことができる約37kDタンパク質をまた認識した。α1の特異性をさらに、富化されたクローン25タンパク質と結合する抗体を競争することによって決定した(E1、図4B)。細胞生存率を、乳酸デヒドロゲナーゼの測定により確かめた。全体的に、その結果は、タンパク質の分泌される形への後−翻訳プロセッシングを示す。細胞内星状細胞−由来の免疫反応性材料は、推定上のADNF IIIハロタンパク質を示す89kDバンド、推定上の後−翻訳的に修飾された形を示す144kDバンド、及び推定上の分泌された形を示す約60kDバンドを有する高分子量バンド(図4B)を包含した。分泌された60kDのADNF−様免疫反応性の明らかな上昇(2倍まで)が、VIPの存在において観察された。
図5Aは、ヒト神経芽腫からのcDNAのPCRを示す(Lillingなど.,J.Molec.Neurosci. 5: 231-239(1995))。使用されるプライマーは、塩基71−90(センス):ACCTGCAGCAAAACAACTAT(配列番号9);及び塩基438−455(アンチセンス):5′GCTCGTTACAGATTGTAC3′(配列番号8)であった。生成物の正しい予測されるサイズ(マウスにおいて予測されるサイズに類似する)が、示される(図5Bを参照のこと)。ヒト材料はADNF III mRNAを発現し、そして配列分析はマウスcDNAに対して、ヌクレオチドレベルで87%の類似性及びアミノ酸レベルで93%の類似性及び92%の同一性を示した(図5Cを参照のこと)。
“発現されたタンパク質”の生物学的活性を、新生ラットに由来する大脳皮質培養物において、次の2種の神経毒素を用いて評価した:1、テトロドトキシン、コリン作用性集団を包含するニューロンの30〜50%においてアポプトシスを増強する、電気的活性のブロッカー;2、β−アミロイドペプチド、ニューロン細胞計数の50〜70%低下を提供する、アルツハイマー病−関連毒素(Gozesなど.,Proc.Natl.Acad.Sci. USA 93: 427-432(1996))。2種の毒素に対する神経保護(図6A)が、発現されたクローンp25を含む、1mg/mlのE.コリタンパク質抽出物の非常に高い希釈度(10-14 p<0.0001)で得られた。類似する神経保護を、単離された免疫反応性タンパク質バンドにより得た(p25における87kD及び60kD、図4A)。上昇する濃度での突然の下降を伴うベル形状用量応答は、広範囲の種類の組織における成長因子及び神経ペプチドの薬理学的応答である。細胞計数は、処理が培養物に天然において存在するニューロン細胞の死を妨げるので、対照の100以上の合計になった。挿入体(pBS)を欠くファージミドからの対照抽出物は神経保護性ではなかった(図6A、ぬりつぶされた四角)。
ADNFIに関する前の結果は、14個のアミノ酸のフェムトモル−作用性神経保護ペプチドを同定した。ADNF IIIからのNAPVSIPQ(配列番号6)(NAP又はADNF III-8)は活性ADNFIペプチドに対する構造的及び免疫学的類似性を示すので(図1及び図4A)、それをさらに、生物学的活性について試験した。NAPは、β−アミロイドペプチドに関連する神経毒性に対して及び電気的遮断に対して保護を提供することにおいて、完全なペクチンの活性を模倣した(図6B)。対照ペプチドは不活性であった(図6B、ぬりつぶされた四角)。従って、すべてのADNP構造体が神経保護のために必要とされるとは限らない。
相当に広範な活性が、NAPがまた、gp120、すなわちヒト免疫欠損ウィルスからのエンベロープタンパク質に関連する毒性、N−メチルD−アスパーテート(NMDA)からの毒性及び天然に存在する細胞の死からの毒性に対してニューロンを保護したことにおいて明らかであった(図6C)。NMDAに対する神経保護濃度の範囲は、10-16 M〜10-8M、通常、広い効能の範囲であった。さらに、NMDA関連毒性は多くの原因からのニューロンの死の根本をなす通常の経路であるので(Liptonなど.,Neuron 7: 111-118(1991))、神経保護におけるNAPのための広い適用が推定される。
図7A及び7Bは、構造体−活性研究を示し、そして2つのピークの最適濃度、すなわち10-16〜10-14 M及び10-11〜10-10 Mを示す、最とも活性的なペプチドとしてNAPVSIPQ(配列番号6)を同定する。ペプチドのいづれかの側でのアミノ酸付加は、神経保護タンパク質としてまだ有用であるが、ペプチドの活性をより低くした。
コリン作用性遮断に関連する学習及び記憶障害を保護するADNF IIIポリペプチドの能力をまた研究した。コリン作用性遮断は、コリノトキシンAF64A、又はNAPVSIPQ(配列番号6)(図8においてNAPと称する)の投与によりラットにおいて得られた。NAPVSIPQ(配列番号6)を鼻腔内投与し、そして水迷路実験を前記のようにして行なった(Gozesなど.,Proc.Natl.Acad.Sci. USA 93: 427-432(1996))。図8に見られるように、訓練の3日目、AF64A−処理された動物とAF64A及びNAPVSIPQ(配列番号6)により処理された動物この間に有意な差異が観察された。従って、ペプチドにより処理される場合、コリン作用的に障害を受けた動物は、それらの学習及び記憶能力に改良を示し、そして対照動物として行動した。
NAPのインビボ効能を、神経変性及び神経保護の研究のための有用なモデルシステムである、アポリポタンパク質E(ApoE)−欠失ホモ接合性マウスにおいて評価した(Plumpなど.,Cell 71: 343-353(1992); Cordonなど.,Neuroscience Letters 199: 1-4(1995); Gozesなど.,J. Neurobiol. 33: 329-342(1997))。脳ApoEに、修復、成長、維持及び柔軟性に関連してコレステロールの代謝及び再分布を調整する(Masliahなど.,Exp.Neurol. 136: 107-122(1995))。ApoEの3種の通常の対立遺伝子の1つのApoE4対立遺伝子を、アルツハイマー病に関する主要感受性遺伝子として同定した(Weisgraberなど.,Current Opinion in Structural Biology 4: 507-515(1994))。ApoE4は毒性線維中へのβ−アミロイドペプチドのアセンブリーを促進し、そしてApoE2はβ−アミロイドペプチドの毒性集合を阻害する。これまでの研究は、ヒトにおいてApoE4遺伝子型を模倣する、ApoE−欠失マウスにおけるニューロン破壊及び記憶障害を同定した(Olizlなど.,Brain Res. 752: 189-196(1997))。
ノザンブロットハイブリダイゼーションは、ApoE−欠失マウスにおいて36%(n=5、p<0.04)高められた、マウス脳(生後、28日)におけるユニークな5.5kbのADNF III mRNAを同定した(図9)。異なった大人のゲッ歯動物組織の比較は、脳−由来の構造体(大脳皮質、小脳及び後部脳)における富化、及び肺、腎臓、脾臓及び肺における低い富化を示した(データは示されていない)。一緒に考慮すると、欠失マウスにおいて観察される上昇は補足的な機構を表わすことができる。同じ動物が、低められたニューロン機能に関連するVIP mRNAの低下を表わすことが前に示されている。ApoE−欠失性新生児動物へのNAPの毎日の注射(生後、最初の2週間)は、生後28日目のマウスにおけるADNP mRNA含有量を変えなかった(図9)。
しかしながら、意識機能の著しい改良点が、ペプチド処理の停止の後1週間で観察された(8日間の訓練プロトコールに暴露された生後21日目のマウスにおいて;図10)。損なわれていない活動記憶工程を、2回の毎日の試験の2回目において隠されたプラットフォームを見出すために必要とされる時間を測定する、水迷路における動作により試験した(Gordonなど.,Neuroscience Letters 199: 1-4(1995)を参照のこと)。プラットフォームの位置、及び動物が水に配置される開始点はそれぞれの組の毎日の試験内で一定に維持されたが、しかし両位置は毎日、変更された。ApoE−欠失マウスは、8日間の訓練の後でさえ、対照マウスに比較して、有意に遅延された(図10)。対照的に、NAP−処理されたApoE−欠失動物は、すべての試験日で、対照動物と同じほど十分に行動した。生後21日目のマウスの脳におけるコリンアセチルトランスフェラーゼ活性の測定は、それが欠失動物において有意に低められたが、ところがペプチド処理された動物は対照から区別できない値を示したことを示唆した(データは示されていない)。さらに、及び意外には、NAPによる対照動物の慢性的な処理がまた、それらの動作を改良した(図10)。類似する結果が、NAPの鼻腔内投与に続いて(コリノトキシンAF64と共に)、コリン作用欠失のラットモデルにおいて得られた(データは示されていない)。
本発明は、β−アミロイド神経毒性、及びアルツハイマー病関連のコリン作用欠失に関連する記憶障害に対して保護する、8個のアミノ酸のコアペプチドを有するフェムトモル濃度作用性神経保護タンパク質を発現するクローン化されたcDNAの最初の同定を示す。
上記の記載は例示的であって、制限的ではないことが理解されるべきである。多くの態様は、当業者に明らかであろう。従って、本発明の範囲は、上記の記載に関して決定されるべきではないが、しかし代わりに、付随する請求の範囲に関して決定されるべきである。すべての論文及び文献、並びに特許出願及び公開の開示は、引用により本明細書中に組込まれる。
付随する配列表の論議
核酸配列についての情報は、DNA配列情報として表わされる。当業者は、配列の部分がまた、その配列によりコードされるRNA(たとえば、T残基の対応するU残基による置換による)、及び種々の保存的に修飾された変形体、たとえば配列のサイレント置換を十分に説明することを容易に理解するであろう。
一本鎖の配列情報のみが典型的には示されているが、当業者は、完全な対応する相補的な配列が所定の配列に比較して十分に記載されていることをすぐに理解するであろう。従って、個々の核酸配列は任意には、その示された配列に対して相補的な鎖を包含する。
配列表に提供されるアミノ酸配列の種々の保存的に修飾された変形体は、当業者に明らかであろう。機能的に類似するアミノ酸を提供する保存的置換表は当業界において良く知られている。次の6種のグループは、お互いのための保存性置換であるアミノ酸をそれぞれ含む:
1)アラニン(A)、セリン(S)、トレオニン(T);
2)アスパラギン酸(D)、グルタミン酸(E);
3)アスパラギン(N)、グルタミン(G);
4)アルギニン(R)、リシン(K);
5)イソロイシン(I)、ロイシン(L)、メチオニン(M)、バリン(V);及び
6)フェニルアラニン(F)、チロシン(Y)、トリプトファン(W)。
(また、Creighton, Proteins(1984)を参照のこと)。
当業者は、非常に多くの種類の核酸配列が、遺伝子コードに存在するコドン縮重のために、個々の所定のポリペプチドをコードすることをまた理解するであろう。所定のポリペプチドをコードする個々の核酸が遺伝子コードによるアミノ酸配列及び翻訳の比較により記載される。従って、当業者は、いづれか所定のアミノ酸配列をコードするあらゆる核酸配列を生成できる。
配列表
配列番号1
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配列番号2
Figure 0004649602
Figure 0004649602
Figure 0004649602
配列番号3
Figure 0004649602
配列番号4
Figure 0004649602

Claims (31)

  1. 配列番号1若しくは配列番号3に記載のアミノ酸配列を有する活性依存性向神経第III因子(ADNF III)ポリペプチド、又は配列番号1若しくは配列番号3に記載のアミノ酸配列に対して少なくとの90%の同一性を有するアミノ酸配列を有し、且つニューロン細胞の死を抑制する活性を有するADNF IIIポリペプチド、をコードする核酸。
  2. ADNF IIIポリペプチドをコードする核酸であって、当該核酸は緊縮条件下で、配列番号2に記載の核酸配列又はその相補配列を有する核酸に特異的にハイブリダイズし、前記ADNF IIIポリペプチドはニューロン細胞の死を抑制する活性を有する、ことを特徴とする前記核酸。
  3. 前記核酸が配列番号2を含んで成る核酸配列を有する請求の範囲第1項又は第2項記載の核酸。
  4. ADNF IIIポリペプチドをコードする核酸であって、当該核酸は緊縮条件下で、配列番号4に記載の核酸配列又はその相補配列を有する核酸に特異的にハイブリダイズし、前記ADNF IIIポリペプチドはニューロン細胞の死を抑制する活性を有する、ことを特徴とする前記核酸。
  5. 前記核酸が配列番号4を含んで成る核酸配列を有する請求の範囲第1項又は第4項記載の核酸。
  6. 組換えベクターに含まれる請求の範囲第1項〜第5項のいずれか1項記載の核酸。
  7. 配列番号1若しくは配列番号3に記載のアミノ酸配列を有するADNF IIIポリペプチド、又は配列番号1若しくは配列番号3に記載のアミノ酸配列に対して少なくとの90%の同一性を有するアミノ酸配列を有し、且つニューロン細胞の死を抑制する活性を有するADNF IIIポリペプチド。
  8. 請求の範囲第1項〜第6項のいずれか1項に記載の核酸によりコードされるADNF IIIポリペプチド。
  9. ヒト由来の請求の範囲第7項又は第8項記載のADNF IIIポリペプチド。
  10. 配列番号1に記載のアミノ酸配列を有する請求の範囲第7項又は第8項記載のADNF IIIポリペプチド。
  11. ネズミ由来の請求の範囲第7項又は第8項記載のADNF IIIポリペプチド。
  12. 配列番号3に記載のアミノ酸配列を有する請求の範囲第7項又は第8項記載のADNF IIIポリペプチド。
  13. 配列番号2に記載の核酸配列を有する核酸によりコードされる請求の範囲第7項〜第10項のいずれか1項に記載のADNF IIIポリペプチド。
  14. 組換え生産される請求の範囲第7項〜第13項のいずれか1項に記載のADNF IIIポリペプチド。
  15. 請求の範囲第7項〜第14項のいずれか1項に記載のADNF IIIポリペプチドに対して特異的に結合する抗体。
  16. 前記抗体がモノクローナルである請求の範囲第15項記載の抗体。
  17. 請求の範囲第1項〜第6項のいずれか1項に記載の核酸を含んで成る組換え細胞。
  18. 下記アミノ酸配列:
    (R1x-Asn-Ala-Pro-Val-Ser-Ile-Pro-Gln-(R2y(配列番号10)
    〔式中、
    (1)x及びyが両者ともゼロであり;
    (2)xが1であり、R1がGly-Gly-であり、そしてyが0であり;
    (3)xが1であり、R1がLeu-Gly-Gly-であり、yが1であり、そしてR2が-Gln-Serであり;
    (4)xが1であり、R1がSer-Val-Arg-Leu-Gly-Leu-Gly-Gly-(配列番号:18)であり、yが1であり、そしてR2がGln-Serであり;
    (5)xが1であり、R1がVal-Leu-Gly-Gly-Gly-(配列番号:13)であり、yが1であり、そしてR2がVal-Leu-Gly-Gly-Gly-(配列番号:13)であり;
    (6)xが1であり、R1がVal-Leu-Gly-Gly-Gly-(配列番号:13)であり、yが1であり、そしてR2が-Val-Leu-Gly-Gly(配列番号:14)であり;
    (7)xが1であり、R1がVal-Leu-Gly-Gly-Gly-(配列番号:13)であり、yが1であり、そしてR2が-Val-Leu-Gly-Gly-Val(配列番号:15)であり;
    (8)xが1であり、R1がVal-Leu-Gly-Gly-Gly-(配列番号:13)であり、yが1であり、そしてR2が-Gly-Val-Leu-Gly-Gly(配列番号:16)であり;
    (9)xが1であり、R1がLeu-Glu-Gly-であり、yが1であり、そしてR2が-Gln-Serであり;或いは
    (10)xが1であり、R1がLeu-Gly-Leu-Gly-Gly-(配列番号17)であり、yが1であり、そしてR2が-Gln-Serである〕
    で表されるADNF IIIポリペプチド。
  19. 請求の範囲第7項〜第14項及び第18項のいずれか1項に記載のADNF IIIポリペプチドを含んでなる医薬組成物。
  20. ニューロン細胞の死を抑制するための、請求の範囲第19項に記載の医薬組成物。
  21. 前記ニューロン細胞が、脊髄ニューロン、海馬ニューロン、大脳皮質ニューロン、及びコリン作用性ニューロンから成る群から選択される請求の範囲第20項に記載の医薬組成物。
  22. 前記ニューロン細胞の死が、テトロドトキシン又はgp120により誘導される、請求の範囲第19〜21のいずれか1項に記載の医薬組成物。
  23. 前記ニューロン細胞の死が、N−メチル−D−アスパーテート刺激により誘発された毒性刺激に関連する、請求の範囲第19〜21のいずれか1項に記載の医薬組成物。
  24. 前記ニューロン細胞の死が、アルツハイマー病を有する患者におけるβ−アミロイドペプチドにより誘発される、請求の範囲第19〜21のいずれか1項に記載の医薬組成物。
  25. アルツハイマー病を有する患者におけるコリン作用性遮断により誘発される学習障害を緩和するための組成物であって、請求の範囲第7項〜第14項及び第18項のいずれか1項に記載のADNF IIIポリペプチドを含んでなる組成物。
  26. 皮質脳幹神経節変性、パーキンソン病、進行性核上麻痺、進行性球麻痺、ALS若しくはその変形、Pick萎縮症、又はLewy体病(diffuse Lewy body disease)の治療のための医薬の製造における、請求の範囲第7項〜第14項及び第18項のいずれか1項に記載のADNF IIIポリペプチドの使用。
  27. 皮質脳幹神経節変性、パーキンソン病、進行性核上麻痺、進行性球麻痺、ALS若しくはその変形、Pick萎縮症、又はLewy体病(diffuse Lewy body disease)の治療のために使用される、請求の範囲第7項〜第14項及び第18項のいずれか1項に記載のADNF IIIポリペプチド。
  28. 皮質脳幹神経節変性、パーキンソン病、進行性核上麻痺、進行性球麻痺、ALS若しくはその変形、Pick萎縮症、又はLewy体病(diffuse Lewy body disease)に罹患している患者において、ニューロン細胞の死を抑制するための医薬の製造における、請求の範囲第7項〜第14項及び第18項のいずれか1項に記載のADNF IIIポリペプチドの使用。
  29. 皮質脳幹神経節変性、パーキンソン病、進行性核上麻痺、進行性球麻痺、ALS若しくはその変形、Pick萎縮症、又はLewy体病(diffuse Lewy body disease)に罹患している患者において、ニューロン細胞の死を抑制するための、請求の範囲第7項〜第14項及び第18項のいずれか1項に記載のADNF IIIポリペプチド。
  30. 皮質脳幹神経節変性、パーキンソン病、進行性核上麻痺、進行性球麻痺、ALS若しくはその変形、Pick萎縮症、又はLewy体病(diffuse Lewy body disease)の治療のため、請求の範囲第7項〜第14項及び第18項のいずれか1項に記載のADNF IIIポリペプチドを含んでなる組成物。
  31. 皮質脳幹神経節変性、パーキンソン病、進行性核上麻痺、進行性球麻痺、ALS若しくはその変形、Pick萎縮症、又はLewy体病(diffuse Lewy body disease)に罹患している患者において、ニューロン細胞の死を抑制するための、請求の範囲第7項〜第14項及び第18項のいずれか1項に記載のADNF IIIポリペプチドを含んでなる組成物。
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