JP4644390B2 - シリカ被覆金属系複合粉体の製造方法 - Google Patents

シリカ被覆金属系複合粉体の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、シリカ被覆金属系複合粉体の製造方法およびその方法により得られたシリカ被覆金属系複合粉体に関する。さらに詳しくは、本発明は、凝集粒子やシリカ粒子を実質上含まず、かつ表面に均質で緻密なシリカ被膜をむらなく有し、機能性粉体として各種の用途に有用な金属系複合粉体を効率よく製造する方法、およびこの方法で得られた前記シリカ被覆金属系複合粉体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、金属粉体、合金粉体、金属間化合物粉体および金属化合物粉体は、その化学的、機械的、電気的、熱的、光学的性質などに応じて、様々な分野において種々の用途に用いられており、そして、それぞれの用途に応じた機能を効果的に発揮させるために、あるいは2種以上の複合化された機能を発揮させるために、様々な表面改質が行われている。粉体の表面改質法としては、例えばコーティングによる改質、トポケミカルな改質、メカノケミカル反応による改質、カプセル化による改質、高エネルギー利用による改質、沈殿反応による改質などが知られている。
【0003】
具体的には、磁性トナーには磁性粉体が用いられており、従来の黒い磁性トナーでは、該磁性粉体の色調は問題とならないが、カラー磁性トナーにおいては、その色調のままでは使用できないことがあり、この場合、該磁性粉体の表面改質処理を行い、表面の色調をカラー磁性トナーに使用可能なものに変えることが必要となる。また、半導体の封止材の充填物として使用する放熱物質においては、熱伝導性の良い金属粉体だけでは使用できず、電気絶縁性であることが必要となるから、該金属粉体はその表面に十分な電気絶縁性のある膜を備えたものでなければならない。したがって、前記金属粉体の表面改質処理を行い、粒子表面に絶縁性被膜を設けることが必要となる。
【0004】
そこで、このような事態に対処するために、例えば金属アルコキシド溶液中に金属または金属化合物粉体を分散し、該金属アルコキシドを加水分解することにより該金属または金属化合物粉体の表面において金属酸化物を生成させて該金属酸化物の膜を形成させる方法が開示されている(特開平6−228604号公報)。しかしながら、この方法においては、ミクロンサイズ以上の金属や金属化合物粉体に表面処理を行う際、粉体の比重および反応溶媒へのなじみの悪さから、反応溶媒中で、均一に、個々の粒子として分散させることは極めて困難であり、その状態で反応を行うと、当然なことながら、凝集状態のまま表面がコーティングされることになり、均質で緻密な被膜が形成されないという問題が生じる。
【0005】
一方、現在、高磁気特性を有する希土類磁石は、磁石の小型化、小片化を可能にし、それを組み込んだ通信機器、情報処理機器などのエレクトロニクス製品の小型化に欠くことのできない材料となっている。特に、希土類ボンド磁石は優れた形状加工性を有し、薄肉微小への成形が可能であることからその使用量はますます増加の一途をたどっている。
【0006】
ところで、近年、二酸化チタンを代表とする光触媒は、環境触媒として期待され、NOxやダイオキシン、室内のVOC(揮発性有機化学物質)など、多くの有害有機物の分解に適用され始めている。しかし、この光触媒は、光触媒作用である強い酸化力のために、バインダーに無機物を選択したり、あるいは光触媒と樹脂などが直接接触しないようにするなどの工夫が必要とされ、光触媒応用のネックの一つとなっていた。このため、光触媒である二酸化チタン微粒子の表面を、微細な空隙を有するシリカ系多孔質体で被覆することが試みられている。このような光触媒は、樹脂などの有機物と接触しても、二酸化チタンが直接触れないことから、該有機物を劣化させることが抑制され、塗料、樹脂、紙、繊維などに混合して使用することが可能となる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような事情のもとで、凝集粒子やシリカ粒子を実質上含まず、かつ表面にシリカ被膜をむらなく有し、機能性粉体として各種の用途に有用な金属系複合粉体を効率よく製造する方法を提供することを目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、表面にシラノール基を有するコロイダルシリカスラリー中に金属系粉体を分散させ、シラノール基を有するコロイダルシリカ間で不可逆な凝集を発生させない条件下で乾燥処理し、その後、得られた乾燥粉体をコロイダルシリカが分散可能な溶媒中に再分散して、被覆に寄与していない過剰なコロイダルシリカを湿式分級により除去することにより、その目的を達成し得ることを見出し、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、本発明は、
(1)表面にシラノール基を有するコロイダルシリカと平均粒径0.5〜500μmであって、金属、合金、金属間化合物および金属化合物の中から選ばれる少なくとも1種の粉体からなる金属系粉体とを含むスラリーを、凍結乾燥処理し、次いで得られた乾燥粉体をコロイダルシリカが分散可能な溶媒中で再分散して、被覆に寄与していない過剰なコロイダルシリカを分級・除去することを特徴とするシリカ被覆金属系複合粉体の製造方法、
(2)スラリーを粘度が0.15Pa・s以上になるように調整し、分散状態を保持した状態で乾燥処理を行う(1)に記載の方法、
(3)凍結乾燥における凍結工程において、スラリーを撹拌しながら冷却して凍結させる(1)または(2)に記載の方法、
(4)得られたシリカ被覆金属系複合粉体を、さらに50〜1200℃の間で加熱処理する(1)ないし(3)のいずれか1項に記載の方法、
【0010】
(5)コロイダルシリカの平均粒径が金属系粉体の平均粒径に対して1/10以下で、かつ1〜200nmである(1)ないし(4)のいずれか1項に記載の方法、
(6)スラリー中のコロイダルシリカと金属系粉体との含有割合が、重量比3:97ないし50:50である(1)ないし(5)のいずれか1項に記載の方法、
)コロイダルシリカと金属系粉体を含むスラリーが水系スラリーである(1)ないし()のいずれか1項に記載の方法、および
)金属系粉体が、ニッケルである(1)ないし()のいずれか1項に記載の方法、
を提供するものである。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明において、コア粒子として用いられる金属系粉体は、金属粉体、合金粉体、金属間化合物粉体および金属化合物粉体であり、このようなものとしては、特に制限はなく、様々なものを挙げることができる。具体的には、鉄、ニッケル、クロム、コバルト、チタン、ジルコニウム、錫、銅、アルミニウム、亜鉛など、およびこれらの合金、酸化物、複合酸化物、Sm−Co系合金、Nd−Fe−B系合金、Sm−Fe−N系合金、Ce−Co系合金、Srフェライト、Baフェライトなどの磁性材料、さらには錫ドープ酸化インジウム(ITO)、アンチモンドープ酸化錫(ATO)、酸化タングステン、チタン酸バリウム(BaTi49)、チタン酸ストロンチウム(SrTiO3)、チタン酸ナトリウム(Na2Ti613)、硫化カドミウムなどの粉体の中から、得られるシリカ被覆金属系複合粉体の使用目的に応じて、適宜一種以上を選び用いられる。
【0012】
この金属系粉体の平均粒径は、0.5〜500μmの範囲で選定される。該平均粒径が上記範囲にあることにより、金属系粉体の粒径をコロイダルシリカより10倍以上の粒径とすることができ、該金属系粉体の粒子表面をシリカで十分に被服することが可能となる。この金属系粉体のより好ましい平均粒径は、1〜100μmであり、より好ましくは1〜50μmの範囲である。
【0013】
本発明の方法においては、まず表面にシラノール基を有するコロイダルシリカのスラリーに、前記の金属系粉体を分散させてコロイダルシリカと金属系粉体とのスラリーを得る。ここで、コロイダルシリカは、その製造方法については特に制限はなく、従来公知の方法で製造されたものを用いることができる。例えば、メタケイ酸ナトリウムやオルトケイ酸ナトリウム、あるいは水ガラスなどを含む水系溶液を、鉱酸や酸性イオン交換樹脂などにより処理して得られたもの、およびテトラアルコキシシランを水系媒体中で加水分解・縮合して得られたものなど、いずれも用いることができるが、得られるシリカ被覆金属系複合粉体をアルカリ金属イオンなどのイオン性不純物を嫌う電子材料用途のフィラーなどとして用いる場合には、テトラアルコキシシランの加水分解・縮合による方法、いわゆるゾルゲル法により得られたものが好ましい。
【0014】
このコロイダルシリカスラリーに用いられる溶媒としては、特に制限はなく、例えば水系溶媒やアルコールなどの有機溶剤系溶媒を用いることができるが、環境や操作性などを考慮すると、水系溶媒が好ましい。なお、このようにして得られたコロイダルシリカスラリーは、乾燥処理することなく、そのまま用いるのが有利である。該コロイダルシリカスラリーを乾燥処理すると、乾燥処理特に凝集が生じ、この乾燥コロイダルシリカを水系溶媒に再分散させてスラリーを調製して使用した場合、金属系粉体の粒子表面にコロイダルシリカの凝集物がコーティングされ、斑のないシリカ被膜が形成されにくい。
【0015】
本発明で用いられる前記コロイダルシリカスラリーにおけるコロイダルシリカの平均粒径は、小さすぎるとその凝集力が強すぎてコロイダルシリカを介した凝集体が発生してしまう。また大きすぎると、凝集力や付着力が弱くなり、金属系粉体との密着性が低下する。そのため、金属系粉体に対して1/10以下で、かつ1〜200nmであるのが好ましいが、より好ましくは10〜150nm、特に好ましくは30〜120nmの範囲で選定される。また、このコロイダルシリカスラリーに分散させる金属系粉体の量は、該粉体の粒子表面に、均質で緻密なシリカ被膜をむらなく設けるためには、金属系粉体の表面積によって変化するが、コロイダルシリカと金属系粉体との重量比が、通常3:97ないし50:50、好ましくは5:95ないし40:60、より好ましくは5:90ないし30:70の範囲になるように選定するのがよい。コロイダルシリカは、金属系粉体の表面積に対して十分な量添加する必要があるが、あまり過剰に添加しても経済的ではない。
【0016】
コロイダルシリカスラリー中への金属系粉体の分散は機械的攪拌および/または超音波照射などにより行うことができる。本発明においては、このようにして得られたコロイダルシリカと金属系粉体とを均質な分散状態で含むスラリーを濃縮したものも用いることできる。なお、前記濃縮は、減圧下で加熱することにより行うのが好ましい。
【0017】
次に、このようにしてを得られたコロイダルシリカと金属系粉体とを均質に分散したスラリーをコロイダルシリカ間で不可逆な凝集を発生させない条件下で乾燥処理する。乾燥処理時の、加熱温度が高いと、コロイダルシリカ間の凝集が強固なものとなり、その結果、シリカ被覆金属系複合粉体の凝集を防止することが困難となる。したがって、乾燥処理は40℃以下の温度で行うことが好ましく、その方法としては真空乾燥、噴霧乾燥、凍結乾燥等が適用可能であるが、特に凍結乾燥が好適である。
【0018】
この乾燥処理の前処理として、コロイダルシリカと金属系粉体とを均質な分散状態で含むスラリーを濃縮して、粘度が0.15Pa・s以上になるように調整し、分散状態を保持したまま乾燥処理することで金属系粉体表面に斑なく、シリカ皮膜を形成させることができる。上記粘度が0.15Pa・s未満では金属系粉体とコロイダルシリカとが、粒径および比重の違いから相分離を起こし、該粉体の粒子表面に、斑のないシリカ被膜が形成されず、本発明の目的が達せられない。好ましい粘度は0.5〜4.0Pa・sであり、特に0.8〜3.0Pa・sの範囲が好ましい。なお、前記濃縮は、エバポレーター等を用いた撹拌操作と減圧下で加熱することを同時に行う方法が好ましい。
【0019】
一方、撹拌を行い、コロイダルシリカと金属系粉体とを含むスラリーを均質な分散状態に保ちながら乾燥処理することによっても金属系粉体表面に斑なく、シリカ皮膜を形成させることができる。特に凍結乾燥処理を行う前に、該スラリーを入れた容器を回転させるなどの撹拌操作を行い、該スラリーの分散状態を保ったままの状態で冷却、凍結させて、凍結乾燥処理を行うのが最適である。
【0020】
以上のような方法によって得られたシリカ被覆金属系粉体のシリカと金属系粉体の界面では、メタロシロキサン結合(M−O−Si)が生成しているため、その化学的結合力によって強固な密着性を有するものと推察される。
【0021】
このようにして得られた乾燥粉体には、あらかじめ金属系粉体表面を斑なく、完全に被覆するため、金属系粉体表面に対して過剰のコロイダルシリカを仕込んであるので、目的のシリカ被覆金属系複合粒子以外に、コロイダルシリカ由来のシリカ成分が存在しており、したがって、この乾燥粉体を、そのままフィラーとして用いる場合、樹脂との混合特に粘度上昇などが生じるおそれがあり、また焼結成形する場合には、成形体に斑などが生じる場合がある。したがって、本発明においては、コロイダルシリカが分散可能な溶媒中で再分散を行い、粒子の沈降速度差を利用した分級操作により、上記シリカ成分を取り除く操作を行うことが望ましい。これにより、粒子表面に均質で緻密なシリカ被膜をむらなく有する金属系複合粉体が得られる。また、再分散の際には、機械的撹拌および/または超音波照射を行うが、目的のシリカ被覆金属系複合粒子表面のシリカ成分は、脱落することがなく、このことからも界面密着性が良い被覆状態にあることが分かる。
【0022】
本発明においては、このようにして得られたシリカ被覆金属系複合粉体に、所望により加熱処理を行い、皮膜の強度をさらに向上させることができる。加熱処理温度は、通常50〜1200℃、好ましくは、50〜800℃、さらに好ましくは、100〜800℃である。この加熱処理温度は、この他にも被被覆粉体である金属の機能変化が起きないような温度に設定する必要もある。
【0023】
そして、ハイブリダイゼーションやメカノフュージョンなどの装置などを用いた物理的なせん断力や衝撃力による処理を施し、被膜の強度をさらに向上させることや球形化を行うこともできる。
【0024】
本発明においては、ミクロンサイズの金属系粉体の粒子表面に設けるシリカ被膜の原料として、粒子表面にシラノール基を含むナノメータサイズのコロイダルシリカをスラリー状態で用いることにより、シラノール基による凝集力や脱水縮合を利用して、むらのないシリカ被膜を設けることができる。
【0025】
このコロイダルシリカスラリーの代わりに、気相法によるシリカのスラリーを用いる場合、該気相法によるシリカは凝集構造を有しているため、金属系粉体の粒子表面に均質で緻密なシリカ被膜を形成することは困難である。さらに、シラノール基を有していないので、シリカ被膜と金属系粒子間や、シリカ被膜におけるシリカ同士間での結合が期待できないので、金属系粒子との密着性に優れ、かつ緻密で強度の良好なシリカ被膜が形成されにくい。
【0026】
また、テトラエトキシシランなどを用いて、その加水分解縮合によって金属系粉体の粒子表面にシリカ被膜を設ける際、完全なカプセル化を試みる場合は、凝集のない分散状態を保ちながら処理する必要があり、また系内で均一に、かつすべての粒子表面で反応させる必要がある。しかし、特にミクロンサイズの金属系粉体の場合にはそれらが困難であり、したがって、粒子間で凝集を発生させずに粒子表面にむらなくシリカ被膜を形成させることは難しく、粉体攪拌および流動状態の非常に精密な制御を要する。
【0027】
本発明においては、金属系粉体の粒子表面に微細な空隙を有する多孔質シリカ被膜を形成させる場合には、例えば、コロイダルシリカと金属系粉体を含むスラリーに、適当な有機溶剤に可溶な有機微粒子、あるいは焼成により取り除くことのできる有機微粒子を加え、前記と同様な操作を行い、シリカ被覆金属系複合粉体を得たのち、有機溶剤処理あるいは焼成処理を施せばよい。二酸化チタン粉体に、このような操作を施すことにより、粒子表面に多孔質シリカ被膜を有する二酸化チタン粉体からなる光触媒を得ることができる。
【0028】
また、本発明においては、前記のようにして得られたシリカ被覆金属系複合粉体を樹脂などと混合して用いる場合、樹脂との濡れ性などを改善する目的で、所望により該シリカ被覆金属系複合粉体に対し、カップリング剤による表面処理を施すことができる。このカップリング剤としては、例えば公知のシラン系カップリング剤、チタネート系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤などが挙げられる。
本発明はまた、前述の方法で得られたシリカ被覆金属系複合粉体をも提供する。
【0029】
【実施例】
次に、本発明を実施例により、さらに詳細に説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定されるものではない。
【0030】
実施例1
<合成>
1000mlのナスフラスコに、テトラエトキシシランを加水分解・重縮合反応することで得られた平均粒径92nmのコロイダルシリカ粒子[宇部日東化成(株)製「ハイプレシカUF」、合成後生シリカ]を含む水分散シリカスラリー(シリカ濃度9.85重量%)を457g仕込み、これに平均粒径10μmのニッケル粉体を255g添加した。その後、エバポレーターに接続し、約1時間回転させることによる攪拌および超音波照射により、分散を行った。次いで、圧力3450Pa、温度50℃で減圧濃縮を行い、水およびアンモニアを除去し、粘性が高くなって、ニッケルとシリカとが相分離を起こさなくなるまで濃縮を続けた。濃縮後の液粘度を、振動式粘度計(Viscomate Model VM1G 山一電機社製)で測定した結果、20℃条件下で、1.6Pa・sであった。
【0031】
次に、メタノール中にドライアイスを添加した溶液中に、ナスフラスコを静置してスラリーを凍結させた後、凍結乾燥器によって乾燥処理することにより、粉体を得た。次いで、この一部をガラス製容器に添加し、イオン交換水中で撹拌及び超音波照射によって再分散させた後、放置し、目的のシリカ被覆ニッケル粉末が沈降後、白濁したコロイダルシリカ単独物が浮遊する上澄みを除去した。そして再度、イオン交換水を添加し、再分散させるという沈降速度差を利用した分級操作によるシリカ単独粒子の除去を行うことで、目的のシリカ被覆ニッケル粉末を得た。
【0032】
<評価>
図1にニッケル粉末の走査型電子顕微鏡(SEM)写真を示した。このシリカ被覆ニッケル粉末を、走査型電子顕微鏡(SEM)で観察したところ、図2に示すように、粒子表面にシリカ被膜がむらなく形成され、かつ凝集粒子が、実質上ないことが確認された。
BET比表面積を測定(フローソーブII2300、島津製作所社製)した結果、Ni粉末が、0.425m2/gであったのに対して、シリカ被覆ニッケル粉末は、4.265m2/gであった。
さらに蛍光X線測定(PW2400型 全自動蛍光X線分析装置 PHILIPS社製)を行った結果、Niが91wt%、Siが3.1wt%であった。
【0033】
実施例2
<熱処理>
実施例1で得られたシリカ被覆ニッケル粉末を空気中で300℃、12時間の加熱処理を行った。
【0034】
<評価>
この加熱処理後シリカ被覆ニッケル粉末をSEM 観察した結果、粒子表面及び凝集状態に大きな変化が、実質上ないことが確認された。
実施例1と同様にBET比表面積を測定した結果、2.025m2/gであり、シリカ被覆層が緻密化されていることが推察された。
【0035】
実施例3
<機械的処理>
実施例1において、凍結乾燥後に得られた粉体を、ハイブリダイゼーションシステム(奈良機械製作所社製)にて、15000rpm、30分間の条件で処理を行った。ついで、イオン交換水中に分散し、実施例1と同様に分級操作を行った。
【0036】
<評価>
このハイブリダイゼーション処理後シリカ被覆ニッケル粉末をSEM 観察した結果、図3に示すように、粒子が物理的衝撃によって球形化されており、またその処理によってシリカ被覆層の脱落、凝集の発生は実質上ないことが確認された。
【0037】
実施例4
<合成>
実施例1におけるコロイダルシリカを、市販品のスノーテックZL(シリカ成分濃度40重量%、日産化学社製)にし、仕込み量を113gにし、減圧濃縮工程を行わず、かつナスフラスコを回転させ、撹拌しながら凍結させた後、凍結乾燥を行った以外は、同様の操作を行った。
【0038】
<評価>
このシリカ被覆ニッケル粉末を、走査型電子顕微鏡(SEM)で観察したところ、図4に示すように、粒子表面にシリカ被膜がむらなく形成され、かつ凝集粒子が、実質上ないことが確認された。
【0039】
実施例5
実施例1において、濃縮工程後にナスフラスコを回転させ、撹拌しながら凍結させた上、凍結乾燥を行った以外は同様の操作を行った。
そして、得られたシリカ被覆ニッケル粉体をSEM観察した結果、実施例1や4と同様に粒子表面にシリカ被膜がむらなく形成され、かつ凝集粒子が、実質上ないことが確認された。
【0040】
比較例1
実施例1において、減圧濃縮処理を行なわなかった以外は、実施例1と同様に行った。
得られた粉末のSEM観察を行った結果、その形状から表面に全くシリカが被覆されていないことが分かった。
【0041】
比較例2
実施例1において、減圧濃縮処理を継続して、水分をそのまま除去して乾燥粉末を得、ついで、同様な分級操作を行った。
得られた粉末は、乾固した状態であり、コロイダルシリカ成分を介した強固な凝集塊の発生していたため、撹拌や超音波照射では、それら凝集を解すことはできなかった。
【0042】
【発明の効果】
本発明によれば、凝集粒子やシリカ粒子を実質上含まず、かつ表面に均質で緻密なシリカ被膜をむらなく有し、機能性粉体として各種の用途に有用な金属系複合粉体を効率よく得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 被覆前のニッケル粉末のSEM写真である。
【図2】 実施例1において得られたシリカ被覆ニッケル粉末のSEM写真である。
【図3】 実施例3において得られたシリカ被覆ニッケル粉末のSEM写真である。
【図4】 実施例4において得られたシリカ被覆ニッケル粉末のSEM写真である。

Claims (8)

  1. 表面にシラノール基を有するコロイダルシリカと平均粒径0.5〜500μmであって、金属、合金、金属間化合物および金属化合物の中から選ばれる少なくとも1種の粉体からなる金属系粉体とを含むスラリーを、凍結乾燥処理し、次いで得られた乾燥粉体をコロイダルシリカが分散可能な溶媒中で再分散して、被覆に寄与していない過剰なコロイダルシリカを分級・除去することを特徴とするシリカ被覆金属系複合粉体の製造方法。
  2. スラリーを粘度が0.15Pa・s以上になるように調整し、分散状態を保持した状態で凍結乾燥処理を行う請求項1に記載のシリカ被覆金属系複合粉体の製造方法。
  3. 凍結乾燥における凍結工程において、スラリーを撹拌しながら冷却して凍結させる請求項1または2に記載のシリカ被覆金属系複合粉体の製造方法。
  4. 得られたシリカ被覆金属系複合粉体を、さらに50〜1200℃の間で加熱処理する請求項1ないし3のいずれか1項に記載のシリカ被覆金属系複合粉体の製造方法。
  5. コロイダルシリカの平均粒径が金属系粉体に対して1/10以下で、かつ1〜200nmである請求項1ないし4のいずれか1項に記載の方法。
  6. スラリー中のコロイダルシリカと金属系粉体との含有割合が、重量比3:97ないし50:50である請求項1ないし5のいずれか1項に記載の方法。
  7. コロイダルシリカと金属系粉体を含むスラリーが水系スラリーである請求項1ないしのいずれか1項に記載の方法。
  8. 金属系粉体が、ニッケルである請求項1ないしのいずれか1項に記載の方法。
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