以下、本発明の一実施の形態を図面を参照しつつ説明する。
以下、本発明の一実施の形態を図面を参照しつつ説明する。本実施形態は、本発明の無線タグ情報読み取り装置を例えば会社内におけるファイル管理システムに適用した例である。
図1は、本実施形態の無線タグ情報読み取り装置を有するファイル管理システム1の全体構成を示すシステム構成図である。この図1に示すように、キャビネットCは上段と下段の2段構成となっており、上段には複数のファイルF1(対象物)が、下段には複数のファイルF2(対象物)が収容されている。本実施形態では、上段に収容されたファイルF1の方が下段のファイルF2よりも比較的最近に作成されたファイルであり、社員Mによる持ち出し頻度が高いものとする。なお、ここでは理解を容易とするために上段にファイルF1、下段にファイルF2を収容するようにしたが、上段又は下段にファイルF1,F2を混在させて収容してもよい。
上記各ファイルF1,F2には当該ファイルに関する情報を記憶する無線タグ回路素子Toを有する無線タグラベルTF1,TF2がそれぞれ設けられている。ファイル管理システム1は、上記各ファイルF1,F2の無線タグラベルTF1,TF2に備えられる複数の無線タグ回路素子Toの情報にアンテナ210を介してアクセスする(この例では読み取りを行う)リーダ200(無線タグ情報読み取り装置)と、このリーダ200と通信回線206を介して接続されデータベースDBを備えたサーバ207とを有している。
上記無線タグラベルTF1及び無線タグラベルTF2に備えられる無線タグ回路素子Toには、対応する情報取得対象物(ここではファイルF1,F2)を特定可能な固有の(但し書き換え可能でもよい)識別情報としてのタグIDが記憶保持されている。そして、リーダ200がこのタグIDを読み取り上記サーバ207に問い合わせを行うことで、当該ファイルを特定可能なようになっている。このように、ファイル管理システム1は、周期的にリーダ200からキャビネットC内に収容された複数のファイルFから情報の読み取りを行うことにより、どのファイルFがキャビネットCから持ち出され、どのファイルFがキャビネットCに収容されているかを検出できるようになっている。
図2は、上記無線タグラベルTF1,TF2のうちTF1の全体概略構造の一例を表す図であり、図2(a)は無線タグラベルTF1の上面図、図2(b)は下面図である。これら図2(a)及び図2(b)において、無線タグラベルTF1は、例えば略シート形状の基材2と、この基材2に配置され、情報を記憶するIC回路部150とこのIC回路部150に接続されるアンテナ151(タグ側アンテナ)とをそれぞれ備えた無線タグ回路素子Toを備えている。
図2(a)に示すように、無線タグラベルTF1の基材2の表側(上面)には、対応する印字情報(この例では「ファイル1」)を表記した領域Sを備えている。なお、これら領域Sは、文字でなく図形や符号、あるいは単なる色塗りや模様等であってもよい。
図3は、上記無線タグラベルTF1,TF2に備えられた上記無線タグ回路素子Toの機能的構成の一例を表すブロック図である。
図3において、無線タグ回路素子Toは、上記リーダ200のアンテナ210(装置側アンテナ)と短波帯(例えば13.56MHz)、UHF帯、マイクロ波帯等の電磁波を用いて非接触で信号の送受信を行う上記アンテナ151と、このアンテナ151に接続された上記IC回路部150とを有している。
IC回路部150は、アンテナ151により受信された搬送波を整流する整流部152と、この整流部152により整流された搬送波のエネルギを蓄積しIC回路部150の駆動電源とするための電源部153と、上記アンテナ151により受信された搬送波からクロック信号を抽出して制御部(後述)157に供給するクロック抽出部154と、所定の情報信号を記憶し得る情報記憶部として機能するメモリ部155と、上記アンテナ151に接続された変復調部156と、上記整流部152、クロック抽出部154、及び変復調部156等を介して上記無線タグ回路素子Toの作動を制御するための制御部157とを備えている。
変復調部156は、アンテナ151により受信された上記リーダ200のアンテナ210からの通信信号の復調を行うと共に、上記制御部157からの返信信号に基づき、アンテナ151が受信した搬送波を変調し、アンテナ151より反射波として再送信する。
制御部157は、上記変復調部156により復調された受信信号を解釈し、上記メモリ部155において記憶された情報信号に基づいて返信信号を生成し、上記変復調部156により返信する制御等の基本的な制御を実行する。
クロック抽出部154は受信した信号からクロック成分を抽出して制御部157にクロックを抽出するものであり、受信した信号のクロック成分の速度に対応したクロックを制御部157に供給する。
図4は、上記リーダ200の詳細機能を表す機能ブロック図である。
図4において、リーダ200は、上記無線タグラベルTF1,TF2に備えられる複数の無線タグ回路素子Toの上記アンテナ151との間で無線通信により信号の授受を行う上記アンテナ210と、このアンテナ210を介し上記無線タグ回路素子ToのIC回路部150へアクセスする(この例では読み取りを行う)とともに、無線タグ回路素子Toから読み出された信号を処理する高周波回路201と、高周波回路201を介し無線タグ回路素子ToのIC回路部150から読み出された信号を処理して情報を読み出すとともに無線タグ回路素子ToのIC回路部150へアクセスするためのアクセス情報を生成する機能を含み、リーダ200全体の動作を制御する制御回路202と、操作者が操作可能な適宜のボタン、キー等を備えた操作部203と、通信回線206を介しサーバ207と通信を行うためのネットワーク通信部204と、比較的短い周期T1(後述)をカウントする第1タイマ208と、比較的長い周期T2(後述)をカウントする第2タイマ209とを有する。
無線タグラベルTF1及び無線タグラベルTF2に備えられる無線タグ回路素子Toは、上述したようにそれぞれ情報を記憶するIC回路部150とこのIC回路部150に接続されたアンテナ151とを備えている。上記IC回路部150(詳細にはメモリ部155)は、対応する情報取得対象物(ここではファイルF1,F2)を特定可能な固有の(但し書き換え可能でもよい)識別情報としてのタグIDを記憶保持しており、制御回路202がこのタグIDによって上記サーバ207に問い合わせを行うことで、サーバ207のデータベースDBに格納保持された、当該対象物に関する種々の情報(ファイル名等)を上記サーバ207から読み込み、当該ファイルを特定可能なようになっている。なお、上記メモリ部155に、タグIDでなくファイル名情報等を直接記憶させるようにしてもよい。
なお、各ファイルFのデータについては、予め適宜の端末等を用いて入力され、サーバ207のデータベースDBに格納保持されている。
図5は、上記高周波回路201の詳細機能構成を表す機能ブロック図である。
図5において、高周波回路201は、アンテナ210を介し複数の無線タグ回路素子Toの各々に対して信号を送信する送信部212と、アンテナ210により受信された各無線タグ回路素子Toからの反射波を入力する受信部213と、送受分離器214とから構成される。
送信部212は、無線タグ回路素子ToのIC回路部150の無線タグ情報にアクセスする(読み取り/書き込みを行う)ための搬送波を発生させる水晶振動子215、PLL(Phase Locked Loop)230、及びVCO(Voltage Controlled Oscillator)231と、上記制御回路202から供給される信号に基づいて上記搬送波発生部により発生させられた搬送波を変調(この例では制御回路202からの「TX_ASK」信号に基づく振幅変調)する送信乗算回路216(但し搬送波を振幅変調する場合は増幅率可変アンプ等を用いてもよい)と、その送信乗算回路216により変調された変調波を増幅(この例では制御回路202からの「TX_PWR」信号によって増幅率を決定される増幅)する可変送信アンプ217とを備えている。そして、上記搬送波発生部により発生される搬送波は、例えば短波帯(13.56MHz等)、UHF帯、マイクロ波帯等の電磁波を用いており、上記送信アンプ217の出力は、送受分離器214を介しアンテナ210に伝達されて各無線タグ回路素子ToのIC回路部150に供給される。なお、送受される無線タグ情報は上記のように変調した信号に限られず、単なる搬送波のみの場合もある。
受信部213は、アンテナ210で受信された各無線タグ回路素子Toからの反射波と上記発生させられた搬送波とを乗算し復調する受信第1乗算回路218と、その受信第1乗算回路218の出力から必要な帯域の信号のみを取り出すための第1バンドパスフィルタ219と、この第1バンドパスフィルタ219の出力を増幅する受信第1アンプ221と、この受信第1アンプ221の出力をさらに増幅してデジタル信号に変換する第1リミッタ220と、上記アンテナ210で受信された各無線タグ回路素子Toからの反射波と上記発生された後に移相器227により位相が90°遅れた搬送波とを乗算する受信第2乗算回路222と、その受信第2乗算回路222の出力から必要な帯域の信号のみを取り出すための第2バンドパスフィルタ223と、この第2バンドパスフィルタ223の出力を増幅する受信第2アンプ225と、この受信第2アンプ225の出力をさらに増幅してデジタル信号に変換する第2リミッタ224とを備えている。そして、上記第1リミッタ220から出力される信号「RXS−I」及び第2リミッタ224から出力される信号「RXS−Q」は、上記制御回路202に入力されて処理される。
また、受信第1アンプ221及び受信第2アンプ225の出力は、強度検出手段としてのRSSI(Received Signal Strength Indicator)回路226にも入力され、それらの信号の強度を示す信号「RSSI」が制御回路202に入力されるようになっている。このように、リーダ200では、この例ではI−Q直交復調によって各無線タグ回路素子Toからの反射波の復調が行われる。
制御回路202は、上記高周波回路送信部212への増幅制御信号及び変調制御信号を出力するとともに、上記高周波回路受信部213からの受信信号を入力した後各無線タグ回路素子Toから読み出された信号を処理するための所定の演算処理を行う。
図6は、この制御回路202の詳細機能を表す機能ブロック図である。
図6において、制御回路202は、いわゆるマイクロコンピュータであり、中央演算処理装置であるCPU202A、ROM202B、RAM202C、高周波回路201との信号送受を行う回路制御部202D等から構成され、RAM202Cの一時記憶機能を利用しつつROM202Bに予め記憶されたプログラムに従って信号処理を行うようになっている。
上記構成である制御回路202は、前述したネットワーク通信部204、第1、第2タイマ208,209、及び高周波回路201(アンテナ210)と接続されている。
以上の構成において、本実施形態の特徴は、情報読み取り対象である複数のファイルをその使用頻度に応じてグループ分けし、各グループごとに情報の読み取り頻度を変えたことにある。
図7は、上記制御回路202の実行する制御手順を表すフローチャートである。
まずステップS10において、第1タイマ208に起動信号を出力し、第1タイマ208を起動させる。
ステップS20では、第2タイマ209に起動信号を出力し、第2タイマ209を起動させる。
ステップS30では、上記ステップS10で起動した第1タイマ208のカウント値がしきい値T1より大きいかどうかを判定する。このしきい値T1は、比較的使用頻度の高いファイルF1に設けられた無線タグ回路素子To(タグリスト1の無線タグ回路素子To)から情報を読み取る頻度を設定するために、後述するしきい値T2よりも小さい値に設定された値であり、例えば制御回路202の上記RAM202Cに予め記憶されている。第1タイマ208のカウント値がしきい値T1よりも大きい場合には、判定が満たされて次のステップS40に移る。
ステップS40では、ネットワーク通信部204及び通信回線206を介してサーバ207のデータベースDBからタグリスト1(後述の図9参照)を取得する。このタグリスト1は、タグラベル作成装置(後述)により各ファイルFに設けられる無線タグラベルTFを作成するときに当該タグラベル作成装置で生成されサーバ207のデータベースDBに登録された各無線タグラベルTF(無線タグ回路素子To)の作成履歴のリストから、所定の条件で抽出されたリストである。本実施形態では、タグリスト1は、上記各ファイルFに設けられる全無線タグラベルTFに備えられる無線タグ回路素子Toのリスト中、作成日時が所定の日時以降である比較的新しい無線タグ回路素子Toがタグリスト1に抽出されている。すなわち、前述したように比較的最近作成されたファイルF1に設けられる無線タグラベルTF1の無線タグ回路素子Toがタグリスト1として抽出されている。なお、この抽出手順は例えばサーバ207が有する図示しないCPUによって行われる。
ステップS50では、上記ステップS40で取得したタグリスト1に記載されている全無線タグラベルTF1の無線タグ回路素子Toから情報を読み取る読み取り処理を行う。
次のステップS60では、第1タイマ208に制御信号を出力し、第1タイマ208のカウント値をリセットさせる。その後、先のステップS30に戻る。
なお、先のステップS30において、第1タイマ208のカウント値がしきい値T1以下である場合には、判定が満たされずに次のステップS70に移る。
ステップS70では、上記ステップS20で起動した第2タイマ209のカウント値がしきい値T2より大きいかどうかを判定する。このしきい値T2は、比較的使用頻度の低いファイルF2に設けられた無線タグ回路素子To(タグリスト2の無線タグ回路素子To)から情報を読み取る頻度を設定するために、上記しきい値T1よりも大きい値に設定された値であり、例えば制御回路202の上記RAM202Cに予め記憶されている。第2タイマ209のカウント値がしきい値T2よりも大きい場合には、判定が満たされて次のステップS80に移る。
ステップS80では、ネットワーク通信部204及び通信回線206を介してサーバ207のデータベースDBからタグリスト2(後述の図9参照)を取得する。このタグリスト2は、上記タグリスト1と同様に、タグラベル作成装置(後述)により各ファイルFに設けられる無線タグラベルTFを作成するときに当該タグラベル作成装置で生成されサーバ207のデータベースDBに登録された各無線タグラベルTF(無線タグ回路素子To)の作成履歴のリストから、所定の条件で抽出されたリストである。本実施形態では、タグリスト2は、上記各ファイルFに設けられる全無線タグラベルTFに備えられる無線タグ回路素子Toのリスト中、作成日時が所定の日時より前である比較的古い無線タグ回路素子Toがタグリスト2に抽出されている。すなわち、前述したように比較的前に作成されたファイルF2に設けられる無線タグラベルTF2の無線タグ回路素子Toがタグリスト2として抽出されている。なお、この抽出手順は例えばサーバ207が有する図示しないCPUによって行われる。
ステップS90では、上記ステップS80で取得したタグリスト2に記載されている全無線タグラベルTF2の無線タグ回路素子Toから情報を読み取る読み取り処理を行う。
次のステップS100では、第2タイマ209に制御信号を出力し、第2タイマ209のカウント値をリセットさせる。その後、先のステップS30に戻る。
図8は、上記ステップS50(またはステップS90。以下、対応関係同じ)の詳細手順を表すフローチャートである。
まずステップS210では、上記ステップS40(またはステップS80)で取得したタグリスト1(またはタグリスト2)の先頭のIDを選択する。
次のステップS220では、上記ステップS210で選択したIDの無線タグ回路素子Toに対し、IDを指定して情報の読み取りを行う。具体的には、特定のタグを指定してその関連情報(対応するファイル情報)を取得するための問いかけ信号(例えば特定検索信号Scroll ID)を生成して高周波回路201を介して通信範囲内に存在する無線タグ回路素子To(この例ではキャビネットC内の全ファイルFのタグラベルTFに備えられる無線タグ回路素子To)に送信し、返信を促す。
次のステップS230では、取得したタグリスト1(またはタグリスト2)における最後のIDの無線タグ回路素子Toについて情報の読み取りが終了したかどうか、言い換えればタグリスト1(またはタグリスト2)中の全無線タグ回路素子Toについて情報の読み取りが終了したかどうかを判定する。タグリスト1(またはタグリスト2)中の最後のIDに係る無線タグ回路素子Toまで情報の読み取りが終了していない場合には、判定が満たされずに次のステップS240に移り、タグリスト1(またはタグリスト2)中の次のIDを選択する。そして、上記ステップS220に戻る。一方、タグリスト1(またはタグリスト2)中の全ての無線タグ回路素子Toについて情報の読み取りが終了している場合には、判定が満たされて本フローを終了する。
以上の図7及び図8に示すフローが行われることにより、タグリスト1に記載された無線タグラベルTF1の無線タグ回路素子Toについては短い周期T1で(すなわち高い頻度で)情報の読み取りが行われ、タグリスト2に記載された無線タグラベルTF2の無線タグ回路素子Toについては比較的長い周期T2で(すなわち低い頻度で)情報の読み取りが行われる。
なお、以上ではサーバ207のデータベースDBに予めタグリスト1,2が決定されている場合を例にとって説明したが、これに限られず、例えばリーダ200の制御回路202でタグリストを選択する(図7中ステップS40,ステップS80)際に、毎回タグリストを更新するようにしてもよい。例えば、作成日から1ヶ月以内のファイルのタグをタグリスト1に、作成日から1ヶ月を経過したファイルのタグをタグリスト2にグループ分けする場合、毎日タグリストを更新する必要がある。このような場合、上記図7中ステップS40,ステップS80においてタグリストを選択する前に、一度サーバ207からデータベースDBに登録されているタグリストを読み込み、作成日時情報に基づいてタグリストを更新してデータベースDB上のリストを書き換え、その上でタグリストを選択するようにすれば足りる。このようにすれば、常に最新の属性情報(タグリスト)を用いて通信頻度を決定することができる。
また、以上では、各無線タグ回路素子Toから情報を読み取る際に、一律に特定のタグを指定して情報を取得するための問いかけ信号(特定検索信号Scroll ID)を送信するようにしたが、これに限られず、対象物の属性に応じて問いかけ信号のコマンドを決定するようにしてもよい。例えば、上記ステップS50でタグリスト1の無線タグ回路素子Toに対しては特定検索信号Scroll IDを送信し、上記ステップS90でタグリスト2の無線タグ回路素子Toに対しては不特定検索信号Pingを送信して、情報の読み取りを行うようにしてもよい。これにより、移動頻度が比較的高いファイル1の無線タグ回路素子Toに対してはScroll ID信号を送信して個別に読み取りを行うようにし、移動頻度が比較的低いファイル2の無線タグ回路素子Toに対してはPing信号を送信して複数個分を一度に読み取ることができ、読み取り効率をさらに向上することができる。
図9は、サーバ207のデータベースDBに登録された、各無線タグ回路素子Toの作成履歴のリスト、タグリスト1、及びタグリスト2の一例を表す概念図である。
サーバ207のデータベースDBには、例えばネットワークを介してタグラベル作成装置(後述)が接続されており、当該タグラベル作成装置により各ファイルFに設けられる無線タグラベルTFを作成するときに生成された各無線タグラベルTF(無線タグ回路素子To)の作成履歴情報が、リストとして登録される。この図9では、作成履歴情報は各無線タグ回路素子ToにつきID、対象物に関する情報(ここではファイル名)、作成日時からなっており、ファイルF1に設けられる3つの無線タグ回路素子To及びファイルF2に設けられる4つの無線タグ回路素子Toについて、上記項目の作成履歴情報がそれぞれリストとして登録されている。
そして、例えばサーバ207の図示しないCPUにより、上記登録されたリストが所定の条件をもってグループ分けされている。本実施形態では、図に示すように、作成日時が新しいもの(2005年10月以降に作成されたもの)を抽出してタグリスト1とし、作成日時が古いもの(2005年9月以前に作成されたもの)を抽出してタグリスト2としている。
なお、本実施形態では上述したように作成履歴情報として作成日時を用いて通信頻度を決定するようにしたが、これに限られず、例えば各無線タグラベルTF(無線タグ回路素子To)をどの作成装置で作ったか、どのカートリッジで作ったか、作成されたタグラベルの色、形、印字された情報、または誰が作ったか等を作成履歴情報に含めるようにしてもよい。このような作成履歴情報に応じて通信頻度を決定することにより、対象物の属性に応じてよりきめ細かに通信頻度を決定することができる。
上記のように構成され使用される無線タグラベルTF1,TF2であるが、これら無線タグラベルTF1,TF2を製造するラベル作成装置300(タグラベル作成装置)としては、例えば図10に示す装置が用いられる。
図10において、このタグラベル作成装置300(無線タグ情報書き込み装置)は、所定間隔で無線タグ回路素子Toが備えられたタグテープ303(タグ媒体)を巻回したタグテープロール304(無線タグ回路素子収納体)を着脱可能な(又はタグテープロール304を備えたカートリッジを着脱可能な)タグテープロールホルダ部310(収納体設置部)と、このタグテープロール304から繰り出されたタグテープ303のうち上記無線タグ回路素子Toに対応した上記領域Sに所定の印字を行う印字ヘッド305(印字手段)と、無線タグ回路素子Toとの間で無線通信により情報の送受信を行うアンテナ306(通信手段)と、高周波回路301(通信手段)及び制御回路302(作成履歴情報生成手段)と、タグテープ303への印字及び無線タグ回路素子Toへの上記情報書き込みが終了したタグテープ303を所定の長さに切断して無線タグラベルT(=上記TF1,TF2等)とするカッタ307と、印字ヘッド305に対向して設けられ、制御回路302により制御されてタグテープロール304を搬送する搬送装置309とを有する。
高周波回路301及び制御回路302は、詳細な説明を省略するが、上記リーダ200の高周波回路201及び制御回路202とほぼ同等の機能を備えるものであり、無線タグ回路素子ToのIC回路部150へのアクセス情報を生成し、装置側アンテナ306を介して無線タグ回路素子Toへ送信し、無線タグ回路素子ToのIC回路部150へ情報書き込みを行う。また制御回路302は有線又は無線の上記通信回線(ネットワーク)206を介して上記サーバ207や、他のコンピュータ、端末等と接続されており、それらと情報の送受が可能となっている。これにより、無線タグラベルT(=上記TF1,TF2等)の作成履歴情報をサーバ207のデータベースDBへ送信し、登録できるようになっている。
図11は、無線タグラベルTの作成時に上記制御回路302によって実行される制御手順を表すフローチャートである。
図11において、まずステップS710において、(上記通信回線206を介し制御回路302に接続された)操作端末等により別途入力された、印字ヘッド305で上記無線タグラベルTの前述の領域Sに印字したい印字情報及び無線タグ回路素子Toへの書き込み情報が上記通信回線206を介し取得される。なお、上記操作端末等に代えて、タグラベル作成装置300の図示しない操作部から入力するようにしてもよい。
その後、ステップS720に移り、無線タグ回路素子Toに対して印字を行った後、ステップS725に移り,タグ書込み位置まで搬送して情報の書込み(例えばタグIDと記憶させたいファイル情報)を行う。その後、上記ステップS730でテープ切断を行って1つの無線タグ回路素子Toを備えた無線タグラベルT(=上記TF1,TF2等)を作成する。
その後、次のステップS740で、上記作成したタグラベルTに備えられる無線タグ回路素子ToのタグID、書き込んだファイル情報(ファイル名)、及び作成日時からなる作成履歴情報を、上記通信回線206を介しサーバ207に送信し、データベースDBに登録する。そして、このフローを終了する。
以上において、高周波回路201が、請求項3記載の複数種類の問いかけ信号から1つを選択して生成する信号生成手段を構成し、この高周波回路210とアンテナ210とが、無線タグ回路素子Toと無線通信により情報の送受信を行う通信手段を構成する。また、制御回路202(詳細には図7のフロー中ステップS40、ステップS80)が、通信手段における通信態様を決定する決定手段を構成するとともに、属性情報に対応する無線タグ回路素子のタグ識別情報を取得する取得手段を構成する。
以上のように構成した本実施形態においては、リーダ200から所定の時間ごとに通信範囲内に存在する無線タグ回路素子To(この例ではキャビネットCに収容されたファイルF1,F2のタグラベルTF1,TF2に備えられる無線タグ回路素子To)に対して問いかけ信号が送信され、返信を促す。このとき、サーバ207のデータベースには予め読み取り対象の属性情報(本実施形態ではファイルF1,F2に設けられる無線タグ回路素子Toの作成日時情報)が登録されており、リーダ200の制御回路202はこの属性情報に基づき問いかけ信号を送信する頻度を決定する。すなわち、本実施形態においては、タグリスト1に記載された無線タグラベルTF1の無線タグ回路素子Toについては短い周期T1で(すなわち高い頻度で)情報の読み取りを行い、タグリスト2に記載された無線タグラベルTF2の無線タグ回路素子Toについては比較的長い周期T2で(すなわち低い頻度で)情報の読み取りを行う。
これにより、比較的最近作成され使用頻度の高いファイルF1のように、高い頻度で情報の読み取りが必要である対象物の無線タグ回路素子Toに対しては通信頻度を高くすることができ、比較的前に作成され使用頻度の低いファイルF2のように、低い頻度で情報の読み取りを行えば足りる対象物の無線タグ回路素子Toに対しては通信頻度を低くすることができる。このように、対象物の属性情報(本実施形態では作成日時)に応じて無線タグ回路素子Toへの通信態様(本実施形態では通信頻度)を決定することにより、その対象物の性質、特性に相応な通信態様で情報の読み取りを行うことができる。したがって、全ての対象物に係る無線タグ回路素子Toに対し一律の通信態様(ここでは一律の通信頻度)で情報の読み取りを行う場合に比べ、低頻度で足りる対象物に対し一律に高頻度で情報の読み取りを行うといった無駄な読み取り動作を防止することができるので、効率よく迅速に、またファイル管理システム1の操作者にとって効果的な情報の読み取りを行うことができる。
なお、本発明は、上記実施形態に限られず、その趣旨と技術思想の範囲を逸脱しない範囲で更に種々の変形が可能である。以下その変形例を説明する。
(1)対象物の品種でグループ分けする場合
上記実施形態では、対象物の属性情報として当該対象物に設けるタグの作成日時を用いてグループ分けし、そのグループに応じて通信頻度を変更するようにしたが、これに限られず、例えば対象物の品種に応じてグループ分けするようにしてもよい。
図12は本変形例における無線タグ情報読み取り装置を有するファイル管理システム1Aの全体構成を示すシステム構成図である。この図1に示すように、社員M1の机Dの机上には、社員M1の私物である複数のファイルF3(対象物)が載置されている。一方、キャビネットCには社員M2等の複数の社員が共用するファイルF4(対象物)が収容されている。したがって、本変形例では、社員M1の机上のファイルF3については私物であるため机Dより持ち出される頻度が少なく、キャビネットCに収容されたファイルF4については共用であるため、キャビネットCより持ち出される頻度が高いものとする。
上記各ファイルF3,F4には対象ファイルに関する情報を記憶する無線タグ回路素子Toを有する無線タグラベルTF3,TF4がそれぞれ設けられている。これらの無線タグラベルTF3,TF4(無線タグ回路素子To)がタグラベル作成装置によって作成される際には、上記実施形態と同様に作成履歴情報が作成され、上記通信回線206を介しサーバ207のデータベースDBにリストとして登録される。この際、ファイルF4に設けられる無線タグ回路素子Toがタグリスト1として抽出され、ファイルF3に設けられる無線タグ回路素子Toがタグリスト2として抽出される。ファイル管理システム1Aのその他の構成については、前述のファイル管理システム1と同様であるので、説明を省略する。
以上のような構成である本変形例においては、タグリスト1に記載された無線タグラベルTF4の無線タグ回路素子Toについては短い周期T1で(すなわち高い頻度で)情報の読み取りが行われ、タグリスト2に記載された無線タグラベルTF3の無線タグ回路素子Toについては比較的長い周期T2で(すなわち低い頻度で)情報の読み取りが行われる。
これにより、共有物として使用され使用頻度の高いファイルF4のように、高い頻度で情報の読み取りが必要である対象物の無線タグ回路素子Toに対しては通信頻度を高くすることができ、私物として使用され使用頻度の低いファイルF3のように、低い頻度で情報の読み取りを行えば足りる対象物の無線タグ回路素子Toに対しては通信頻度を低くすることができる。したがって、上記実施形態と同様に、効率よく迅速に、またファイル管理システム1Aの操作者にとって効果的な情報の読み取りを行うことができる。
なお、本変形例では対象物の品種の一例として私物と共有物である場合を例にとって説明したが、これに限られず、例えば消耗品とそうでない物や、対象物が薬品である場合における取り扱い注意の劇薬か通常の薬品か等、様々な品種の違いを有する対象物に対して適用可能である。
(2)属性情報をタグに書き込む場合
上記実施形態では、対象物の属性情報としての作成日時をサーバ207のデータベースDBに登録するようにしたが、これに限られず、例えばタグラベル作成装置で無線タグラベルTを作成する際に各無線タグ回路素子Toに書き込むタグIDにおいて、そのIDの一部(例えば先頭部何桁か)で対象物の属性を表すようにしてもよい。
本変形例の場合、例えばIDの最初の4ビットが1111であればタグリスト1に属するタグ、IDの最初の4ビットが1110であればタグリスト2に属するタグであるとし、上記タグラベル作成装置300で無線タグラベルTを作成する際に作成日に応じて上記4ビットから始まるIDを書き込む。そして、リーダ200で情報の読み取りを行う際に、T1周期で行う読み取りについては、IDの最初の4ビットが1111でそれ以降のビットは任意である不特定のタグを指定した問いかけ信号(例えば特定検索信号Scroll ID)を通信範囲内の無線タグ回路素子Toに送信するようにする。一方、T2周期で行う読み取りについては、IDの最初の4ビットが1110でそれ以降のビットは任意である不特定のタグを指定した問いかけ信号(例えば特定検索信号Scroll ID)を通信範囲内の無線タグ回路素子Toに送信するようにすれば足りる。
本変形例のように、対象物の属性情報が当該無線タグ回路素子Toに書き込まれるID情報に組み込まれている場合には、タグIDが属性情報を表すことになるので、上記実施形態のように属性情報としての作成履歴情報をサーバ207のデータベースDBに登録しておく必要がない。したがって、データベースDBが不要となる。
なお、上記ではIDの最初の4ビットを指定してそれ以降のビットは任意である不特定のタグを指定した問いかけ信号(例えば特定検索信号Scroll ID)により情報の読み取りを行うようにしたが、これに限られず、IDを全く指定しない不特定のタグに対する問いかけ信号(例えば不特定検索信号Ping)により通信範囲内の全無線タグ回路素子Toに問いかけを行い、読み取ったIDの一部から属性情報を取得して自動的に通信態様を決定するようにしてもよい。
(3)属性条件を指定する場合
上記実施形態では、サーバ207のデータベースDBに予め登録されたタグリスト1,2を用いて通信頻度を決定するようにしたが、これに限られず、例えば管理システムの操作者が属性を指定(この場合、タグリストの指定入力)できるようにしてもよい。
本変形例においては、操作者がリーダ200の上記操作部203を用いてタグリストの指定入力を行うと、制御回路202がその指定入力信号(属性情報特定信号)に基づき、ネットワーク通信部204及び通信回線206を介してサーバ207のデータベースDB上のタグリストを書き換えるようになっている。
これにより、例えば上記実施形態において、作成時期が古いためファイルF2に分類されているが、その内容が重要であり使用頻度が高いファイルがあった場合等に、そのファイルF2に設けられる無線タグ回路素子ToのIDをタグリスト1に書き換えることができる。その結果、当該ファイルF2については、ファイルF1とともに短い周期T1で高頻度で情報の読み取りが行われる。このように、本変形例によれば、対象物の属性をその状況等に応じてよりきめ細かに設定することができるので、さらに効率よく迅速に、また効果的な情報の読み取りを行うことができる。
なお、以上では対象物の属性の指定入力をリーダ200の操作部203を用いて行うようにしたが、これに限られず、例えば通信回線206に接続された他の適宜の端末等から入力を行ってサーバ207のデータベースDB上のリストを書き換えできるようにしてもよい。
(4)その他の属性情報のバリエーション
(i)対象物の移動回数を属性情報として用いる場合
上記実施形態では、対象物の属性情報として対象物に設ける無線タグラベルTの作成履歴情報を用いるようにしたが、これに限られず、例えば対象物ののべ移動回数を属性情報とし、これに応じて通信頻度を決定するようにしてもよい。
図13は、本変形例におけるファイル管理システム1Bの全体構成を示すシステム構成図である。この図13に示すように、キャビネットC1,C2,C3には、無線タグ回路素子Toを備える無線タグラベルTFがそれぞれ設けられた複数のファイルF(対象物)が収容されている。
ファイル管理システム1Bは、上記キャビネットC1,C2,C3にそれぞれ収容される各ファイルFの無線タグラベルTFに備えられる無線タグ回路素子Toの情報にアンテナ210A,210B,210Cを介してアクセスする(この例では読み取りを行う)リーダ200A,200B,200C(無線タグ情報読み取り装置)と、このリーダ200A,200B,200Cと通信回線206を介して接続されデータベースDBを備えたサーバ207′とを有している。
上記構成のファイル管理システム1Bでは、周期的にリーダ200A,200B,200CによりキャビネットC1,C2,C3内に収容された各ファイルFから情報の読み取りをそれぞれ行うことにより、どのファイルFがどのキャビネットCから持ち出され、どのキャビネットCに収容されたかを管理できるようになっている。
本変形例では、サーバ207′の図示しないCPUにより、各リーダ200A,200B,200Cから入力される情報に基づき、各無線タグ回路素子Toの読み取り履歴情報(本変形例ではのべ移動回数)が作成され、リスト化されてデータベースDBに登録されるようになっている。この移動回数とは、異なったリーダで読み取りが行われた場合に1回としてカウントされるものであり、例えばキャビネットC1において(すなわちリーダ200Aにより)読み取りが行われたファイルFが次にキャビネットC2またはC3において(すなわちリーダ200Bまたは200Cにより)読み取りが行われた場合には1回としてカウントされるが、キャビネットC1において読み取りが行われたファイルFが次も同じキャビネットC1において読み取りが行われた場合には、カウントされないようになっている。
図14は、本変形例において、サーバ207′のデータベースDBに登録された、各無線タグ回路素子Toの読み取り履歴のリスト、タグリスト1、及びタグリスト2の一例を表す概念図である。
この図14に示すように、読み取り履歴情報は各無線タグ回路素子ToにつきID、対象物に関する情報(ここではファイル名)、移動回数からなっており、各無線タグ回路素子Toについて上記項目の読み取り履歴情報がそれぞれリストとして登録されている。そして、例えばサーバ207′の図示しないCPUにより、上記登録されたリストが所定の条件をもってグループ分けされている。本実施形態では、図に示すように、移動回数が比較的多いもの(ここでは例えば5回以上のもの)を抽出してタグリスト1とし、移動回数が比較的少ないもの(ここでは例えば4回以下のもの)を抽出してタグリスト2としている。
各リーダ200A,200B,200Cによって行われる各無線タグ回路素子Toからの情報の読み取り処理の手順については、前述の図7及び図8と同様であるので説明を省略する。
以上説明した本変形例によれば、のべ読み取り回数に基づくファイルFの移動回数が多いものについては今後も比較的よく移動する可能性が高いとみなして通信頻度を高くし、きめ細かに情報を読み取り、一方、のべ読み取り回数に基づくファイルFの移動回数が少ないものについては対象物があまり移動しないとみなして通信頻度を低くし、大雑把に情報を読み取るようにすることができる。この結果、低頻度で足りる対象物に対し一律に高頻度で情報の読み取りを行うといった無駄な読み取り動作を防止することができるので、上記実施形態と同様に、効率よく迅速に、また操作者にとって効果的な情報の読み取りを行うことができるという同様の効果を得る。
(ii)対象物の移動距離を属性情報として用いる場合
上記実施形態では、対象物の属性情報として対象物に設ける無線タグラベルTの作成履歴情報を用いるようにしたが、これに限られず、例えば対象物の移動距離を属性情報とし、これに応じて通信頻度を決定するようにしてもよい。
本変形例におけるファイル管理システムでは、サーバ207′の図示しないCPUにより、各リーダ200A,200B,200Cから入力される情報に基づき、各無線タグ回路素子Toの読み取り履歴情報(本変形例では移動距離)が作成され、リスト化されてデータベースDBに登録されるようになっている。この移動距離とは、各リーダで各無線タグ回路素子Toから情報の読み取りが行われた場合に、当該無線タグ回路素子Toがその前に読み取りが行われた位置と比較して移動距離を検出し、その移動距離を積算したもの(のべ移動距離)である。なお、各キャビネットC1,C2,C3のそれぞれの間の距離は、予めデータベースDBに登録されている。したがって、例えばキャビネットC1において(すなわちリーダ200Aにより)読み取りが行われたファイルFが次にキャビネットC2またはC3において(すなわちリーダ200Bまたは200Cにより)読み取りが行われた場合には、それぞれ該当する移動距離が積算されるが、キャビネットC1において読み取りが行われたファイルFが次も同じキャビネットC1において読み取りが行われた場合には、移動距離は0として積算されるようになっている。その他の機能・構成については、上記図13に示すファイル管理システム1Bと同様であるので説明を省略する。
図15は、本変形例において、サーバ207′のデータベースDBに登録された、各無線タグ回路素子Toの読み取り履歴のリスト、タグリスト1、及びタグリスト2の一例を表す概念図である。
この図15に示すように、読み取り履歴情報は各無線タグ回路素子ToにつきID、対象物に関する情報(ここではファイル名)、移動距離からなっており、各無線タグ回路素子Toについて上記項目の読み取り履歴情報がそれぞれリストとして登録されている。そして、例えばサーバ207′の図示しないCPUにより、上記登録されたリストが所定の条件をもってグループ分けされている。本実施形態では、図に示すように、移動距離が比較的多いもの(ここでは例えば25m以上のもの)を抽出してタグリスト1とし、移動回数が比較的少ないもの(ここでは例えば20m以下のもの)を抽出してタグリスト2としている。
以上説明した本変形例によれば、移動距離が大きいファイルFについては今後も比較的よく移動する可能性が高いとみなして通信頻度を高くし、きめ細かに情報を読み取り、一方、移動距離が小さいファイルFについては今後も対象物があまり移動しないとみなして通信頻度を高くし、大雑把に情報を読み取るようにすることができる。この結果、低頻度で足りる対象物に対し一律に高頻度で情報の読み取りを行うといった無駄な読み取り動作を防止することができるので、上記実施形態と同様に、効率よく迅速に、また操作者にとって効果的な情報の読み取りを行うことができるという同様の効果を得る。
(5)通信態様のバリエーション
上記実施形態では、対象物の属性に応じて通信頻度を決定するようにしたが、決定する通信態様はこれに限られるものではない。すなわち、例えば他の通信態様として、リーダ200(高周波回路201)における無線タグ回路素子Toとの通信出力、又は通信失敗時の再試行(リトライ)回数、若しくはリーダ200のアンテナ210が複数のアンテナ素子からなる場合には当該アンテナの指向性を決定するようにしてもよい。
これにより、例えば通信距離が近い小出力で足りる対象物に対し一律に大出力で情報の読み取りを行ったり、方向が決まっている対象物に対し指向性を広くして情報の読み取りを行うといった無駄な読み取り動作を防止でき、また取り扱いが厳重で常に存在位置を把握する必要がある対象物については再試行回数を多くして確実に管理を行えるようにすることができる。
なお、以上においては、本発明を会社内におけるファイル情報を読み取り管理するファイル管理システムに適用した例を説明したが、これに限られず、例えば人物とその人物の所有物の情報を読み取るシステム等、情報の読み取りを行う際に通信態様を変えるのが好ましい複数のグループからなる対象物から情報を読み取るシステムに対し適用することが可能である。
また、以上で用いた「Scroll ID」信号、「Ping」信号等は、EPC globalが策定した仕様に準拠しているものとする。EPC globalは、流通コードの国際機関である国際EAN協会と、米国の流通コード機関であるUniformed Code Council(UCC)が共同で設立した非営利法人である。なお、他の規格に準拠した信号でも、同様の機能を果たすものであればよい。
また、以上既に述べた以外にも、上記実施形態や各変形例による手法を適宜組み合わせて利用しても良い。
その他、一々例示はしないが、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更が加えられて実施されるものである。