しかし、上記のトイレットペーパーホルダーには、以下に掲げる問題があった。すなわち、一方の手で上フタを押さえ、他方の手で紙を引き出して切断しなければならないので、片手での操作が困難であるという問題があった。従って、例えば身障者や老人、幼い子供等のように、両手での操作が困難な者には使いづらい場合があり、もっと使いやすいペーパーホルダーがかねてより望まれていた。
また、従来のトイレットペーパーホルダーでは、ロールペーパーを支持回転軸に挿入しなければいけないので、芯の部分を中空状に形成する必要があった。これにより、中実状のロールペーパーに比べて巻回される紙片の量が少なくなってしまうので、交換頻度が高くなって面倒であるという問題があった。さらに、従来のトイレットペーパーホルダーは壁に取り付ける構成であるため、壁が無いような場所には設置することができず、持ち運びもできないため不便であった。
そこで、本発明は、上記の実状に鑑み、既存の施設に簡単に設置することができ、且つ片手で操作できる便利なロールペーパー耳出しカットホルダーを提供することを課題とする。
本発明に係るロールペーパー耳出しカットホルダーは、「少なくとも上面の一部が開口された直方体の形状で、自立可能に据え置くための据え置き部が下部に備えられており、内部にロールペーパーが収納可能な収納箱と、互いに離間した二本のローラーより構成されており、前記ロールペーパーの外周に接触するように前記収納箱の底部に配置され、前記ロールペーパーの回転に応じて回転する回動部材と、前後方向において中央より前側の前記収納箱の側面に軸支されており、前記中央より後側に開口部が形成されるように前記上面の少なくとも一部を閉塞する閉位置と、前記上面が開放される開位置、との間で回転する中蓋部材と、前記閉位置の時に切断歯が前記中蓋部材の表面から上側に突出するように前記中蓋部材の前面に取り付けられたカッター部材と、前記中蓋部材を前記閉位置の方向に付勢する付勢手段と、前記開口部より後側の前記収納箱の側面に軸支されており、略水平な状態で前記閉位置の前記中蓋を被覆する使用閉位置と、前記開口部が露出すると共に、該軸支されている回転軸よりも後方に重心が移動し、後端部が前記収納箱に当接することで位置が固定される取出開位置、との間で回転する上蓋部材と、前記中蓋部材の表面に取り付けられ、前記上蓋部材が前記閉位置の状態で、前記開口部より引き出された前記ロールペーパーを構成する紙片を前記上蓋部材との協働で挟んで保持する保持手段とを有する」ことを特徴とする。
ここで、「ロールペーパー」とは、帯状の長い紙片を巻回してロール状にまとめたものであり、例えばトイレットペーパーやキッチンペーパー、クッキングペーパー、紙ナプキン、紙タオル等が例示できる。芯材は、有っても良いし、無くても構わない。どちらの場合でも、本発明に好適に使用される。
また、「前後方向において中央より前側」とは、平面視において、中央より使用者側に近い手前側を示し、「中央より後側」とは、使用者側から遠い奥側を示す。
さらに「付勢手段」とは、例えば圧縮バネや板バネ等のバネ部材や、ゴムのように伸縮する弾性部材を取り付けたもの、磁石の吸引力を利用したもの等を例示することができる。付勢手段を取り付ける位置については特に限定されず、要するに「中蓋部材を閉位置の方向に付勢する」ことができれば良い。なお、「付勢手段」としては、「中蓋部材を閉位置の方向に付勢すると共に、中蓋部材を開位置の状態に固定する」ものとしても良い。このように構成すれば、中蓋部材を開位置にしてロールペーパーを交換する作業を片手で行うことができ、より便利である。
また、「上蓋部材との協働で挟んで保持する」とは、略水平な閉位置に配置された上蓋部材の裏面側と、当該保持手段の表面との間にロールペーパーの紙片を挟み込み、紙片が動き難いよう保持する状態を示す。「保持手段」の構成としては、例えば中蓋部材の表面に取り付けられた厚みのあるスポンジでも良いし、爪状の突起物でも良い。要するに、上蓋部材が閉位置にある状態でその裏面側に当接可能な形状であれば良く、その構成は特に限定されない。
なお、「ロールペーパーを構成する紙片」とは、ロールペーパー本体から解かれた帯状の紙片を示すものであり、ロールされている本体部分とは異なることを示している。
従って、本発明のロールペーパー耳出しカットホルダーによれば、収納箱と、中蓋部材と、上蓋部材とを少なくとも有している。収納箱は、その内部にロールペーパーを収納することができる。また、収納箱内部の底面には、二本のローラーより構成される回動部材がさらに備えられている。回動部材は、ロールペーパーの外周に接触するように配置されており、ロールペーパーの回動に応じて回動する。
上蓋部材は、収納箱の後側に回動可能に軸支されている(正確には、開口部より後側に軸支されているが、開口部については後述にて説明する)。使用者は、軸支されている回動軸を中心として上蓋部材を回動させ、その重心が当該回転軸よりも後方へ位置する取出開位置まで移動させる。すると、上蓋部材の後端側が収納箱に当接して、上蓋部材が取出開位置の状態で固定される。つまり、使用者は、両手での操作は必要なく、片手で上蓋部材を開放し、取出開位置へと固定させておくことができる。
上蓋部材を取出開位置に開放すると、中蓋部材及び収納箱の上面側が露出する。中蓋部材は、前後方向において中央より前側の収納箱の側面に軸支されており、収納箱の上面が開放される開位置へと回動させることができる。従って、上蓋部材を取出開位置にした状態で中蓋部材を開位置にすると、開放された収納箱の上面よりロールペーパー本体を簡単に出し入れすることができる。
そして、中蓋部材を回動させて開位置から閉位置へと移動させると、収納箱の後側に開口部が形成された状態で当該上面の一部が閉塞される。収納箱の後側に開口部が形成されていることにより、使用者は、収納箱内部のロールペーパーの紙片を開口部から引き出すことができる。
ここで、本発明によれば、収納箱の底面に回動部材が備えられているから、ロールペーパーの回動に応じて回動部材が回動する。従って、回動を阻害する摩擦力が減るので、ロールペーパーが軽やかに回動する。これにより、使用者は、大きな力を必要とせずに簡単に紙片を引き出すことができる。また、引き出された紙片が途中で千切れてしまう虞が軽減し、所望量の紙片を自在に引き出すことができる。また、本発明によれば、回動部材は、互いに離間して設けられた二本のローラーより構成されている。従って、ロールペーパーが二本のローラーに対して夫々接触し、二点支持で安定して支持される。これにより、ローラーが一本である場合よりもロールペーパーの位置が安定するので、安定して回動させることが可能である。つまり、紙片を消耗していく過程で径の大きさが変わっても、安定してロールペーパーとロールとが接触するので、軽やかに回動させることができる。
さらに、本発明によれば、回動部材は収納箱の底部に備えられ、ロールペーパーの外周と接触した状態でロールペーパーの回動を補助する。つまり、従来のように、ロールペーパーの芯に支持回転軸を挿入させる必要がないから、芯の無い中実のロールペーパーを適用することができる。これにより、同じ直径のロールペーパーで比較した場合において、芯のある中空のロールペーパーよりも交換頻度が下がるので、便利である。さらに、ロールペーパーの芯の形状に依存せずに使用することができるから、幅広いタイプのロールペーパーに対応できる。
また、本発明によれば、中蓋部材の前面にはカッター部材がさらに備えられている。カッター部材は、中蓋部材が閉位置にあるときに、その切断歯が中蓋部材の表面から上側に突出するように取り付けられている。従って、使用者は、中蓋部材が閉位置にある状態で、開口部からロールペーパーの紙片を取り出す。そして、中蓋部材の前側まで紙片を引き出し、カッター部材の切断歯に押し当てて下側に引く。こうすることで、所定量の紙片を切断することができる。従来のトイレットペーパーホルダーでは、上側に紙を引き上げなければならないが、本発明のロールペーパー耳出しカットホルダーは、下側に紙を引くことで紙片を切り出すことができる。つまり、腕を持ち上げる方向ではなく、重力に従って押し下げる方向に動かせば良いから、紙片を切り出す作業に要求される力が少なくて良い。また、従来のトイレットペーパーホルダーは、上フタの端部で紙を引きちぎる構成だから、紙を切ろうとする時は、上フタが動かないよう押さえつける必要がある。従って、片手で作業することは困難であるという実情があるが、これに対し本発明では、カッター部材は中蓋部材に取り付けられているから、切断に際し上蓋部材を押さえておく必要が無い。さらに、中蓋部材を閉位置の方向に付勢する付勢手段も備えられているから、紙片を切り出す力に抗って中蓋部材が閉位置に付勢される。これにより、両手を使うことなく、片手で簡単に紙片を切り出すことができる。
ところで、本発明によれば、開口部より紙を引き出す際には、上蓋部材を開位置の状態にしておいても構わないが、閉位置にしておくと、一層便利である。すなわち、本発明によれば、保持手段がさらに備えられているから、上蓋部材が閉位置の時に、開口部より引き出された紙を、上蓋部材との協働で挟んで保持できる。従って、開口部より紙を引き出した状態で上蓋部材を閉位置にすると、保持手段と上蓋部材との間で引き出された紙の一部が挟まれて保持される。これにより、引き出された紙がロールペーパーの自重で巻き戻されたり、引き出した勢いでロールペーパーが無駄に回転して必要量以上の紙が引き出されたりする虞が軽減し、一層使いやすい。
また、本発明によれば、開口部は中央より後側に形成されており、カッター部材は中蓋部材の前面に取り付けられている。従って、開口部より引き出した紙をカッター部材に押し当てて切断すると、中蓋部材の後側から前側にわたって紙が引き出され、中蓋部材の表面上に配置されることとなる。次に本発明品を使用する者は、中蓋部材の表面に引き出されている紙片をつかむだけでロールペーパー本体から新たな紙を引き出すことができる。つまり、片手のみで紙を引き出すことができるので、とても使い勝手の良いロールペーパー耳出しカットホルダーを提供することができる。
また、本発明のロールペーパー耳出しカットホルダーによれば、収納箱の下部には、自立可能に据え置くための据え置き部が備えられている。従って、所定の棚やゴミ箱、机の上などに自立させることができるので、従来のトイレットペーパーホルダーのように壁に取り付ける必要が無い。これにより、取り付ける壁が無いような場所にも自由に設置することができるので、極めて便利なロールペーパー耳出しカットホルダーを提供することができる。
また、本発明のロールペーパー耳出しカットホルダーにおいて、「所定の高さを有する移動可能な据え置き台の上面に設けられた被係合部に対して係合可能な係合部をさらに有する」ものとすることができる。
ここで、「所定の高さを有する移動可能な据え置き台」としては、例えば公知のゴミ箱、スタンド式灰皿、テーブル、棚などが例示できる。また、「被係合部」及び「係合部」の形状としては、特に限定されるものではないが、例えば筒状の「被係合部」の内周に「係合部」を合致させる構成、凸状の「被係合部」に凹状の「被係合部」を合致させる構成、または凹状の「被係合部」に凸状の「被係合部」を合致させる構成、等が挙げられる。
従って、本発明のロールペーパー耳出しカットホルダーによれば、据え置き台の上面に設けられた被係合部に対して係合可能な係合部がさらに備えられている。これにより、腰をかがめたり座ったりして本発明品を使用する場合(トイレ使用時、テーブルに座っている時、ベッドに横たわっている時、等)に、使用者がより使いやすい所定の高さに本発明品を設置することができる。また、被係合部に係合部を合致させることで、本発明品の設置場所が固定されるから、使用時に本発明品が動いて設置場所がずれる虞が軽減され、より使いやすいロールペーパー耳出しカットホルダーを提供することができる。
このように、本発明のロールペーパー耳出しカットホルダーによれば、開口部から引き出された紙を下側に引くことで紙を切断できるから、力を使わずに紙片を切断することができる。さらに、上蓋部材と保持手段との協働で紙が挟まれる構成だから、手で押さえなくても紙片を切り出すことができる。つまり、片手の操作のみで所望の紙片を切り出すことができるから、両手での操作が困難な者にとってより使いやすいロールペーパー耳出しカットホルダーが提供できる。また、開口部より引き出された紙を切断した後は、中蓋部材の表面に紙が配置された状態で残るから、次に使用する際には新たに紙を引き出す必要がなく、とても便利である。さらに、据え置き部が設けられているから、既存の施設に簡単に配置することができる。
以下、本発明の一実施形態であるロールペーパー耳出しカットホルダーについて、図1乃至図4に基づき説明する。図1は本発明のロールペーパー耳出しカットホルダーを示す斜視図、図2は中蓋部材及び上蓋部材を開位置にした状態を示す斜視図、図3及び図4はロールペーパー耳出しカットホルダーの使用方法を説明した説明図である。
本発明のロールペーパー耳出しカットホルダー1は、図1及び図2に主に示すように、ロールペーパー2が収納可能な収納箱3と、中蓋部材4と、上蓋部材5とを有している。なお、図2では、説明のためにロールペーパー2の図示を省略している。
収納箱3は、上面6(図2:一点差線部参照)が開放された直方体の形状をしており、下部には、自立可能に据え置くための据え置き部7が備えられている。収納箱3の底部には、回動部材8がさらに備えられている。回動部材8は、互いに離間して設けられた二本のローラー8a,8bより構成されている。ローラー8a,8bは、ロールペーパー2の回動に応じて回動する部材であり、収納箱3内部にセットされたロールペーパー2の外周に夫々接触するように配置されている。ここで、「二本のローラー8a,8b」が、本発明の回動部材に相当する。
中蓋部材4は、収納箱3の前側に位置する回動軸9において、回動可能に軸支されている。ここで、「前側」とは、使用時において使用者側に近い方を示し(図1:矢印F参照)、後述する「後側」とは、使用者側より奥側(図1:矢印B参照)を示す。中蓋部材4は、回動軸9を中心として、上面6が開放される開位置と、上面6に開口部10(図4:一点差線部参照)が形成される閉位置との間で回転する。
中蓋部材4の前側には、カッター部材11が取り付けられている。カッター部材11は、切断歯11aが中蓋部材4の表面より突出しており、中蓋部材4が閉位置の時は、切断歯11aが上側を向くように取り付けられている(図4(a)参照)。また、中蓋部材4は、弾性部材12によって収納箱3に接続されている。弾性部材12は、中蓋部材4を閉位置の方向へと付勢するものであり、(図示は一部省略されているが)収納箱3と中蓋部材4の左右側面側に夫々取り付けられている。ここで、「弾性部材12」が、本発明の「付勢手段」に相当する。
また、中蓋部材4の表面には、スポンジ16が貼着されている。スポンジ16は、カッター部材11の切断歯11aの突出量よりも大きくなるような厚みのものが選択されている。従って、上蓋部材5を閉位置にすると、上蓋部材5とスポンジ16とが当接し、上蓋部材5と切断歯16とは当接しにくいよう構成されている。ここで、「スポンジ16」が、本発明の保持手段に相当する。
上蓋部材5は、収納箱3の開口部10より後側(矢印B)の側面に位置する回転軸13において回動可能に軸支されている。略水平な使用閉位置(図1の状態)と、開口部10が露出する取出開位置(図2の状態)との間で回動することができる。上蓋部材5の後端部分には、ストッパー14が形成されている。ストッパー14は、上蓋部材5の重心が回転軸13よりも後方に位置した状態で、収納箱3の後端部15に当接するよう構成されている。従って、上蓋部材5は、ストッパー14が後端部15に当接することで取出開位置で固定される。
なお、本例の弾性部材12は、中蓋部材4が開位置の状態において、回転軸9と略同じ高さとなるよう取り付けられている。より詳細には図2に示すように、中蓋部材4及び弾性部材12の接続点P1と、回転軸9と、上蓋部材5及び弾性部材12の接続点P2とは、中蓋部材4が開位置の状態において略一直線上に並ぶように配置されている。これにより、中蓋部材4は、閉位置の状態に付勢されると共に、開位置の状態にも固定される。なお、例えば接続点P1を回転軸9よりも下側に位置させると、本例と同様に中蓋部材4を開位置に固定することができるが、この場合には切断歯11aが下側を向くまで中蓋部材4が回動する虞がある。そうすると、中蓋部材4を閉位置に戻すまでに回動させなければいけない量が増えて面倒である。これに対し、本例では、開位置と閉位置との間の中蓋部材4の回動量が必要最小限に留めておくことができるので、より好適である。
また、本実施形態のロールペーパー耳出しカットホルダー1には、後述する据え置き台18(図3参照)の被係合部19に係合可能な係合部17がさらに備えられている。係合部17は、フランジ状の部材であり、据え置き台18の上面に係合できるよう構成されている。なお、本例では、所定高さを有する筒状の部材に投入口40を設け、ゴミ箱としても利用できる据え置き台18を例示している。
次に、本実施形態のロールペーパー耳出しカットホルダー1の使用方法について、図3及び図4に基づき説明する。本実施形態のロールペーパー耳出しカットホルダー1は、据え置き部7が設けられているから、卓上などに据え置いて使用することも可能であるが、図3に示すように、据え置き台18に係合させて使用することも可能である。より具体的には、据え置き台18の上面に設けられた被係合部19に合致する係合部17が備えられているから、据え置き部7及び係合部17を据え置き台18の上面に挿入して使用することができる。据え置き台18は公知のものが適宜に使用され、本実施形態では、約600mm程度の所定の高さを有するものを使用している。このように、据え置き台18に係合させてロールペーパー耳出しカットホルダー1を使用することで、壁が無いような場所や、若しくは既に他のロールペーパーホルダーが取り付けられているような場所にも自由に取り付けることができる。また、据え置き台18をゴミ入れとして使用することもできるから、使用済みの紙片を捨てることができ一層便利である。
続いて、ロールペーパー耳出しカットホルダー1の具体的な使用方法について、図4に基づき説明する。図4では、説明を簡略にするために据え置き台18の図示を省略している。まず、図4(a)に示すように、ロールペーパー耳出しカットホルダー1の上蓋部材5を矢印20に示すように回動させる。上蓋部材5の後端部分にはストッパー14が形成されているから、重心が回転軸13より後方に移動した状態でストッパー14が収納箱3の後端部15に当接し、上蓋部材5の取出開位置が固定される。従って、使用者は、上蓋部材5から手を離して中蓋部材4を開放させることができる(両手を使用する必要が無い)。
中蓋部材4は、閉位置においては図4(a)に示すように、収納箱3の上面6(図2参照)の後方に開口部10が形成されるように上面6の一部を閉塞している。そして、回動軸9を中心として矢印21の方向に回動させることで、図4(b)に示す開位置へと回動させることができる。中蓋部材4が開位置にくると、収納箱3の上面6が広く開放され、ロールペーパー2を簡単に収納できるようになる。ロールーペーパー2は、本実施形態ではトイレットペーパーを例示している。また、ロールペーパー2の向きとしては、どちらでも構わないが、図4(b)に示すように、ロールペーパー2本体の後側から紙片が引き出されてくるような向きにセットすると、後方に形成されている開口部10からスムーズに取出せるので、紙が途中で千切れにくく好適である。
ロールペーパー2を収納箱3の内部に収納した後は、中蓋部材4を矢印21とは逆の向きに回動させ、開位置から閉位置へと移動させる。そして、開口部10よりロールペーパー2の端部をつまみ出し、紙30を前側へと引き出して垂らす(図4(c))。ロールペーパー2を開口部10より引き出すと、ロールペーパー2の回動に応じて回動部材8(図2参照)が回動し、ロールペーパー2の回動を補助する。従って、開口部10より軽やかにロールペーパー2の端部が引き出される。回動部材8は二本のローラー8a,8bによって構成されており、ロールペーパー2は、ローラー8aとローラー8bとの間にその回動中心が位置するように載置されている。つまり、ロールペーパー2は、回動部材8に対して二点で接触するよう配置されているので、径が変わっても常に安定した位置で回動する。これにより、収納箱3の内部でロールペーパー2の位置がごろつかず、安定した位置(二本のローラー8a,8bの間)で紙30を供給することができる。ここで、「紙30」が、本発明の「ロールペーパーより引き出された紙片」に該当する。
そして、上蓋部材5を矢印22の方向に回動させ、図4(d)に示す使用閉位置にする。すると、スポンジ16と上蓋部材5との間に紙が挟まれ、その位置が固定される。本例では、スポンジ16の厚みは、切断歯11aの突出量よりも大きく構成されているので、切断歯11aと上蓋部材5とが干渉して刃先を痛める状態が回避されている。また、切断歯11aと上蓋部材5とが干渉せず、スポンジ16と上蓋部材5とが当接することで紙30を保持し、引き出し量を固定できる。これにより、ロールペーパー2の自重によって紙30が巻き戻る状態が防止されている。
そして、引き出された紙30を下側(矢印23)へと引っ張る。スポンジ16は、比較的柔らかい素材なので、紙30が下側に引っ張られるのに応じて厚み方向が縮められる。また、この時、スポンジ16の表面の摩擦力によって紙30の位置が固定されるから、下側へと引っ張った勢いで余剰な量の紙30が引き出されてしまうことが防止される。こうして、紙30が切断歯11aに当接し、所定量の紙片を切断することができる。なお、本例のロールペーパー耳出しカットホルダー1によれば、弾性部材12が備えられているから、中蓋部材4は閉位置の方向へと付勢されている。従って、紙30を下側へ引っ張っても、この力につられて中蓋部材4が開位置へと回動することが防止されている。
次に本例のロールペーパー耳出しカットホルダー1を使用する場合は、ロールペーパー2をセットする工程を省略することができる。つまり、図4(e)に示すように、上蓋部材5を矢印24の方向に回動させ、取出開位置にするだけで、紙30が引き出された状態となっている。すなわち、上述したように、開口部10から引き出された紙30が切断歯11aの位置まで引き出されているから、中蓋部材4の表面に紙30が配置された状態になっている。従来のトイレットペーパーホルダーでは、使用者は、一方の手で上フタを持ち上げ、他方の手でロールペーパーを回転させて紙の端部を探し出し、所定量を引き出さねばならなかった。これに対し、本例のロールペーパー耳出しカットホルダー1によれば、上蓋部材5を持ち上げると、すでに引き出された紙30が中蓋部材4上に配置されているから、片手で紙30をつまめば所定量を引き出すことができる。また、切断歯11aは上蓋部材5ではなく中蓋部材4に取り付けられているから、上蓋部材5を押さえていなくても紙30を切断することができる。さらに、切断歯11aが上側を向いているから紙30を下側に引けばよく、比較的軽い力で紙片を得ることができる。
以上のように、本例のロールペーパー耳出しカットホルダー1によれば、中蓋部材4に取り付けられたカッター部材11を用いて紙30を切断する構成である。従って、従来のように上蓋部材5で紙片を切り出す必要が無いから、切り出す際に上蓋部材5を押さえつけておかなくても良い。これにより、片手で操作できる便利なロールペーパー耳出しカットホルダー1を提供することができる。また、カッター部材11の切断歯11aは、中蓋部材4が閉位置の時に、上側を向くように取り付けられている。従って、紙30を下側に引っ張るだけで切断することができるから、上側に引っ張る従来の場合より力が必要とされず、便利である。さらに、上蓋部材5は、重心が回転軸13よりも後方に位置した状態で、ストッパー14が後端部15に当接するよう構成されている。これにより、手を離しても上蓋部材5が開位置へと固定されるので、上蓋部材5を押さえることなく紙片を得ることができる。
また、本例のロールペーパー耳出しカットホルダー1によれば、二本のローラー8a,8bによる回動部材8が備えられているから、ロールペーパー2の回動を補助して、軽く回転させることができる。これにより、ロールペーパー2より紙30を引き出す力が軽減されると共に、引き出す途中で紙30が千切れてしまうことを防止できる。また、ローラー8a,8bの略中心にロールペーパー2がセットされるから、回動部材8とロールペーパー2とが互いに二点(ローラー8a,8b)で接触する。これにより、ロールペーパー2の回動位置が安定し、収納箱3の内部でごろつかない。
さらに、本例のロールペーパー耳出しカットホルダー1によれば、回動部材8はロールペーパー2の外周に接触するように配置されている。これにより、芯部が中実のロールペーパーにも好適に使用できるので、芯のある中空のロールペーパーよりも交換頻度が下がって便利である。また、ロールペーパーの芯の形状に依存せずに使用することができるから、幅広いタイプのロールペーパーに対応できる。
また、本例のロールペーパー耳出しカットホルダー1によれば、弾性部材12がさらに備えられているから、中蓋部材4が閉位置の方向へと付勢されている。従って、紙30を切断歯11aに押し付けて切断するときに、その力に引っ張られて中蓋部材4が開位置へと動く状態が抑制される。これにより、安定して紙30を切断して紙片を取り出すことができ、使いやすい。
さらに、本例のロールペーパー耳出しカットホルダー1によれば、係合部17が備えられているから、市販のゴミ箱などの据え置き台18に載置して使用することができる。これにより、取り付けるべき壁が無い場所や、壁があっても(すでに他のペーパーホルダーが有る等して)取り付ける場所がない場合でも設置することができる。また、壁に取り付ける手間も削減され、据え置き台18上に載置するだけでロールペーパー耳出しカットホルダー1を配置できる。
以上、本発明について好適な実施形態を挙げて説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではなく、以下に示すように、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の改良及び設計の変更が可能である。
すなわち、上記実施形態によれば、カッター部材11よりも後方に中蓋部材4の回転軸9が取り付けられている構成を例示したが、この構成に限定されるものではない。例えば、収納箱3の前面よりさらに前側に突出する延出部材を取り付け、当該延出部材に回転軸9を取り付けても良い。このように構成すると、回転軸9よりもカッター部材11が後方側に位置する。従って、紙30を下側に引っ張ると、中蓋部材4が閉位置に閉じる方向へと力を加えることになるので、切断の力につられて中蓋部材4が開位置へと回動する虞が軽減する。これにより、弾性手段12を省略しても安定して紙片を切り出すことができる。但し、本例のように、弾性部材12を用いると、前述のような延出部材を設ける必要が無くなるので、ロールペーパー耳出しカットホルダー1全体をよりコンパクトに形成することができ、好適である。
また、上記実施形態によれば、ロールペーパー耳出しカットホルダー1を据え置き台18上に載置する場合を例示したが、適宜なブラケットを追加して壁に取り付けて使用しても良い。また、据え置き台は、据え置き台18には限定されずスタンド式灰皿などでも構わない。さらに、据え置き部7が備えられているから、据え置き台を利用せず、直接個室内の棚や床、テーブルなどに据え置いて使用することも可能である。