JP4636639B2 - フォトニック結晶の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、可視光線領域でブラッグ条件に由来するフォトニックバンドギャップ(PBG)を発現するフォトニック結晶および該フォトニック結晶層が基材上に形成された基材に関する。
【0002】
【発明の技術的背景】
フォトニック結晶は、光が光波長程度の周期的な誘電率変化の中を伝播するとき、マクスウェル方程式に従い、ブラッグ条件をみたすブリュアン帯域で光が伝播できない光のエネルギー帯、すなわち、フォトニックバンドギャップ(PBG:photonic band gap)を有している。このため、フォトニック結晶のマイクロ波〜赤外線領域における完全なフォトニックバンドギャップ(PBG)を利用して、デバイスヘの応用が、種々の理論および実験の双方から検証されている。
【0003】
たとえば、フォトニック結晶を、光(電磁波)を制御する機能材料に用いることが提案されている。具体的には、フォトニック結晶を用いることによって、入射光に対する伝播特性(フォトニックバンドギャップ)を制御し、波長可変型の高効率低閥値レーザーダイオード(LD)素子を実現可能とすることが期待されている。
このようなフォトニック結晶としては、誘電率または屈折率の異なる2種類の誘電体を光波長程度の格子定数をもつように多次元周期的に配列制御された複合誘電体結晶が有効であると考えられている。
【0004】
ところで、このようなフォトニック結晶中における光の波数ベクトルと周波数(エネルギー)との分散関係は、一様な系の中と大きく異なる。これは、真性半導体とフォトニック結晶との比較から理解することができる。
一様な系の真性半導体では、電子が原子間隔の周期的な電子エネルギー変化の中を運動するとき、シュレーディンガー方程式に従い、ブラッグ条件をみたすブリュアン帯域(ブリュアン・ゾーン)で電子が運動できないエネルギー帯、すなわち、エネルギーギャップ(バンドギャップ)が現れる。これに対して、フォトニック結晶では、光がフォトニック結晶内を伝播しようとするとき、誘電体の周期が入射光の波長と同程度になると、ある結晶方位(1次元方向)において、誘電体による光の回折(ブラッグ反射)が起こり、特定の波長領域の光が伝播できないという伝播特性(フォトニックバンドギャップ)が現れる。さらに、あらゆる結晶方位(3次元方向)において、共通の波長領域の光が伝播できないという完全なフォトニックバンドギャップも現れる。また、フォトニック結晶は、2種類の誘電体が形成する結晶構造(粒子の配列)、誘電率比、充填率、それらの形等に依存して光学的異方性を示す。
【0005】
すなわち、半導体はバンドギャップによる物質(電子系)の制御を可能にした材料であるのに対し、フォトニック結晶はフォトニックバンドギャップによる光(輻射場)の制御を可能にしうる材料である。
以上のように、マイクロ波〜赤外線領域より微細な可視光線領域において、理論的には考えられているが、フォトニック結晶の製造は、3次元的な高精度加工技術が確立されていないために実現されていないのが現状である。
【0006】
このような情況に鑑み、本発明者らは鋭意検討した結果、
コロイド粒子の大きさが可視光線波長程度であり、コロイド粒子は真球状でかつ粒子径が揃っていることに着目し、このようなコロイド粒子からなる層を3層以上積層すれば、フォトニック結晶を得ることができることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
【発明の目的】
本発明は、電子を制御する半導体のように光(電磁波)を制御できる機能材料、すなわちフォトニック結晶および該フォトニック結晶層が基材上に形成された基材を提供することを目的としている。
【0008】
【発明の概要】
本発明に係るフォトニック結晶は、層状に配列した無機酸化物粒子群が少なくとも3層以上積層してなり、前記無機酸化物粒子が、平均粒子径0.05〜1.0μmの範囲にある球状粒子であり、かつ粒子径変動係数(CV値)50%以下にあり、かつフォトニックバンドギャップを有することを特徴としている。
前記フォトニック結晶は、面心立方構造を有することが好ましい。
【0009】
さらに、前記無機酸化物粒子は、周期律表第Ib、IIa、IIb、IIIa、IIIb、IVa、IVb、Va、Vb、VIa、VIb、VIIa、VIII族から選ばれる1種以上の金属からなる酸化物粒子であることが好ましい。本発明に係るフォトニック結晶の製造方法は、無機酸化物粒子分散ゾルを、基材表面に塗布したのち、50〜760mmHgの溶媒の蒸気圧下で、5〜50℃の温度範囲で乾燥することを特徴としている。
【0010】
本発明に係るフォトニック結晶層付基材は上記記載のフォトニック結晶が基材上に形成されたことを特徴としている。
【0011】
【発明の具体的な説明】
以下、本発明について具体的に説明する。
本発明に係るフォトニック結晶は、層状に配列した無機酸化物粒子群が少なくとも3層以上積層してなり、かつフォトニックバンドギャップを有することを特徴としている。
【0012】
[無機酸化物粒子]
まず、無機酸化物粒子について説明する。
無機酸化物粒子としては、周期律表第Ib、IIa、IIb、IIIa、IIIb、IVa、IVb、Va、Vb、VIa、VIb、VIIa、VIII族から選ばれる1種以上の金属からなる酸化物粒子が挙げられる。具体的には、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、マグネシア等の無機酸化物粒子、シリカ・アルミナ、シリカ・チタニア、シリカ・ジルコニア、アルミナ・ジルコニア、チタニア・ジルコニア、シリカ・チタニア・ジルコニアなどの複合無機酸化物粒子を挙げることができる。また、複合無機酸化物粒子である場合は、無機酸化物の混合体であっても、共晶体であってもよく、さらに内部が前記無機酸化物粒子または複合無機酸化物粒子であって該粒子の外部表面にさらに前記無機酸化物または複合無機酸化物粒子の被覆層を形成した、いわゆるコア−シェル構造を有する粒子であってもよい。
【0013】
さらに、無機酸化物粒子は、使用する基材の親水性あるいは疎水性に応じて、親水性を高めたり、逆に疎水性を高めたりしてもよい。
親水性を高めるためには無機酸化物粒子をアルカリ溶液に浸漬してアルカリ処理すればよく、疎水性を高めるためにはシランカップリング剤で処理するなど公知の処理方法を採用することができる。
【0014】
このような無機酸化物粒子は、必要に応じて、レーザー色素を吸着あるいはドープして用いることもできる。
このような無機酸化物粒子は、球状粒子であって、かつ平均粒子径が0.05〜1.0μm、好ましくは0.2〜0.8μmの範囲にあることが望ましい。
平均粒子径が0.05μm未満の場合は、粒子径が小さいために沈降しにくく積層構造の形成が困難であり、光学波長領域でフォトニックバンドギャップを発現しないことがある。また、平均粒子径が1.0μmを越えると、積層構造を形成することはできるものの、光学波長領域でフォトニックバンドギャップを発現しないことがある。
【0015】
また、無機酸化物粒子は粒子径変動係数(CV値)が50%以下の均一な粒子径を有していることが好ましく、さらに好ましい範囲は20%以下である。
粒子径変動係数(CV値)が50%を超える場合は、無機酸化物粒子群が積層しても、規則的に配列した積層体を形成することが困難となり、フォトニック結晶を得ることが困難となることがある。
【0016】
なお、平均粒子径は、走査型電子顕微鏡(日本電子(株)製:JSM−5300型)により粒子の写真を撮影し、この画像の100個の粒子について画像解析装置(旭化成(株)製:IP−100)により各粒子の粒子径を測定しこれを平均して求める。
粒子径変動係数(CV値)は、100個の粒子における各々の粒子径と、平均粒子径を用いて下記式から計算によって求める。
【0017】
粒子径変動係数=(粒子径標準偏差値(σ)/平均粒子径(Dn))×100
【0018】
【数1】
【0019】
無機酸化物粒子の製造方法
本発明に用いる無機酸化物粒子の製造方法は、上記した平均粒子径およびCV値を有する粒子が得られる方法であれば特に制限はなく従来公知の方法を採用できる。
具体的には、本願出願人による特公平4−56775号公報、(シリカ粒子)、特開平11−12608号公報(その他複合粒子)等に開示された方が好ましい。
【0020】
たとえば、前記金属の金属化合物(塩)あるいは有機金属化合物を、必要に応じて酸(鉱酸、有機酸等)または塩基(アルカリ、アンモニア、塩基性窒素化合物等)の存在下で加水分解し、粒子成長をさせることによって得ることができる。 特に、あらかじめ前記金属塩等を加水分解し、必要に応じて熟成して得た種粒子の存在下で加水分解するとより均一な粒子径分布の粒子が得られるので好ましい。さらに、このようにして得られた粒子の存在下に、さらに同種のあるいは異種の金属化合物等を加水分解して析出させれば、前記したコア-シェル構造を有する無機酸化物粒子を得ることもできる(特開平11−12608号公報参照)。
【0021】
[フォトニック結晶]
本発明に係るフォトニック結晶は、上記無機酸化物粒子からなる層状の粒子群が少なくとも3層以上、好ましくは5〜20層の範囲で積層されている。
なお、積層が3層未満ではフォトニックバンドギャップの発現が小さくなることがあり、また20層以上積層してもフォトニックバンドギャップの発現が効果的に増加することもない。
【0022】
このようなフォトニック結晶は面心立方構造を有することが好ましい。面心立方構造であれば、フォトニックバンドギャップをより効果的に発現することができる。
なお、フォトニックバンドギャップは、たとえば図1に示されるように、結晶の透過スペクトルを磁気分光光度計((株)日立製作所製:U-3200型)により、基板に対し垂直方向に光を入射させながら、波長150〜800nmの範囲で測定し、ブラッグ条件から計算される波長域における吸収スペクトルの存在によって判断することができる。
【0023】
ブラッグ条件とは、下式(I)により表される。
2d'Sinθ=nγ …(I)
(式中、θ=入射角、d'=屈折率×dであり、γは入射光の波長であり、nは層数である。またdは格子面間隔であり、面心立方構造の場合、d=√6/3×粒子径となる。)
このようなフォトニック結晶は、積層体の断面等を走査型電子顕微鏡写真(SEM)を撮影して確認することができる。
【0024】
図2は、代表的なフォトニック結晶(後述する実施例1で製造)の断面写真を示すものであり、広い範囲にわたって乱れの少ない単純立方格子が観察される。また、(1.1.1)面に単純立方格子が観察できるので、無機酸化物粒子は面心立方構造であることがわかる。
フォトニック結晶の製造
上記のようなフォトニック結晶は、上記無機酸化物粒子が分散したゾルを、基材表面に塗布したのち、50〜760mmHg、好ましくは200〜700mmHgの溶媒蒸気圧下で乾燥して製造することができる。
【0025】
分散液に用いる分散媒としては、無機酸化物粒子を単分散することが可能な分散媒であれば特に制限はなく、具体的には水、アルコール類、エーテル類、エステル類などが挙げられる。
無機酸化物粒子分散液中の無機酸化物粒子の濃度は、使用する溶媒の種類、乾燥速度等によって異なるが5〜30重量%の範囲にあることが好ましい。
【0026】
濃度が5重量%未満であると、濃度が薄すぎるため、粒子群が3層以上積層できないことがある。
また、30重量%を越えると、乾燥速度が速すぎて粒子が緻密に配列することができないために、フォトニック結晶が得られないことがある。
無機酸化物分散ゾルの塗布方法は、前記分散液を塗布できれば特に制限はなく、従来公知の方法が採用できる。具体的には、滴下法(キャスト法)、ディッピング法、スピナー法、スプレー法、ロールコーター法、印刷法等が採用できる。
【0027】
なお、塗布に際して、基材表面は清浄であることが好ましく、従来公知の方法で清浄にすることができる。たとえば、有機溶媒、純水、スチーム等で清浄にした後乾燥して使用することができる。
また、必要に応じて基材表面は、親水化処理あるいは疎水化処理がされていてもよい。たとえば、親水性を高めた粒子を使用する場合には親水化処理された基材を使用し、疎水性を高めた粒子を使用する場合には疎水化処理された基材を使用することが望ましい。このような基材を使用すれば粒子同士の密着性が向上したり、基板と粒子との密着性が向上したりして、層状に配列した無機酸化物粒子群の積層構造を容易に形成することできる。
【0028】
塗布した後、塗膜を50〜760mmHg、好ましくは200〜700mmHgの溶媒蒸気圧下で乾燥する。このときの温度は溶媒の沸点によっても異なるが5〜50℃の範囲にあることが好ましい。
乾燥温度が5℃未満では、乾燥時間が長くなりすぎ、50℃を越えると乾燥速度が速すぎて粒子が緻密に配列することができないため、層状に配列した粒子群が3層以上積層したフォトニック結晶が得られないことがある。
【0029】
また、乾燥後、必要に応じて、加熱処理および/または真空排気処理を行ってもよい。
このようにして形成された無機酸化物粒子の積層膜は、層状に配列した無機酸化物粒子群が3層以上積層しており、その膜厚は0.15〜4μmの範囲にあることが好ましい。
【0030】
膜厚が0.15μm未満の場合は、実質的に無機酸化物粒子が3層以上積層していないのでフォトニックバンドギャップの発現が不充分であり、膜厚が4μmを越えると積層膜の上部において周期性が低下し、フォトニックバンドギャップの発現が不充分となることがある。
[フォトニック結晶付基材]
本発明に係るフォトニック結晶層付基材は、前記記載のフォトニック結晶が基材上に形成されている。このようなフォトニック結晶層付基材は上記した方法で、基材表面にフォトニック結晶を形成することによって製造される。
【0031】
基材としては、平坦な絶縁性基材であれば特に制限はなく、具体的には通常のガラス、白緑磨(マイクロスライドガラス)の他セラミックス製の基材を用いることができる。なお、基材の表面粗さは、用いる無機酸化物粒子の大きさの1/5以下であることが好ましい。なお、基材の表面粗さは、表面凹凸の「山頂」と「谷底」の距離の平均値である。
【0032】
このようにして形成された無機酸化物粒子の積層膜は、層状に配列した無機酸化物粒子群が少なくとも3層以上積層している。この積層膜の膜厚は0.15〜4μmの範囲にあることが好ましい。
膜厚が0.15μm未満の場合は、波長領域の粒子径を有する無機酸化物粒子が3層以上積層することがないのでフォトニックバンドギャップの発現が不充分であり、膜厚が4μmを越えると積層膜の上部において、粒子群の配列周期性が低下し、フォトニックバンドギャップの発現が不充分となることがある。
【0033】
【発明の効果】
本発明によれば、大きさが可視光線波長程度であり、しかも真球状でかつ粒子径が揃った粒子が層状に配列し、しかも3層以上積層しているので、
可視光領域にフォトニックバンドギャップを発現するフォトニック結晶を効率的に得ることができる。
【0034】
このような本発明によれば、電子を制御する半導体のように光(電磁波)を制御できる機能材料を提供することができる。
【0035】
【実施例】
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明はこれら実施例により限定されるものではない。
【0036】
【実施例1】
シリカゾル(SiO2濃度40重量%、平均粒子径0.08nm)75.8gに珪酸ナトリウム溶液(SiO2濃度24重量%)および純水を混合して全シリカ濃度4.9重量%、全SiO2 /Na2Oモル比が30.7のシード粒子分散液を調製した。
【0037】
このシード粒子分散液を還流器、攪拌装置および加熱装置を備えた内容積5Lのステンレス製容器に仕込んだ。これを150℃に昇温し、この温度を維持しながら酸性珪酸液(SiO2濃度4.5重量%)3710gを一定の速度W(W=0.046)で添加した。
速度Wとは、以下の定義による。
【0038】
【数2】
【0039】
酸性珪酸液添加終了後、150℃に約1時間保持した後、冷却し、限外濾過装置により、SiO2濃度45重量%まで濃縮して平均粒子径152nmのシリカ粒子を含むシリカゾル(1)を調製した。
得られたシリカゾル(1)80.9gに珪酸ナトリウム溶液(SiO2濃度24重量%)および純水を混合して全シリカ濃度5.0重量%、全SiO2 /Na2Oモル比が24.3のシード粒子分散液(2)を調製した。
【0040】
このシード粒子分散液(2)を還流器、攪拌装置および加熱装置を備えた内容積5Lのステンレス製容器に仕込んだ。これを150℃に昇温し、この温度を維持しながら酸性珪酸液(SiO2濃度5.0重量%)3179gを一定の速度W(W=0.162)で添加した。
添加終了後、150℃に約1時間保持した後冷却し、限外濾過装置により、SiO2濃度50重量%まで濃縮して平均粒子径300nm、CV値2.0%のシリカ粒子を含むシリカゾル(A)を調製した。
【0041】
調製したシリカゾル(A)に純水を加えてSiO2濃度16.2重量%に希釈し、図に示した基板設置用の台を設け、水を入れ温度を20℃に保ったシャーレ中の基板(MATYNAMI GLASS IND., LTD製:白緑磨 No1、S-1111、76×26mm)の上に滴下し、ついで外界と通じるように隙間を設けてシャーレの蓋をし、分散媒(純水)を蒸発させて乾燥し、基材上にシリカ粒子の積層した積層膜を形成した。
【0042】
得られた積層膜の膜厚、結晶格子、およびフォトニックバンドギャップを測定した。また、得られたフォトニック結晶の断面SEM写真を図2に示す。
結果を表1に示す。
【0043】
【実施例2】
500mlのガラスビーカーにイソプロピルアルコール164gを入れ、イソプロポキシドチタネート36gを添加し混合してチタンアルコキシドのアルコール溶液(b液)を調製した。このチタンアルコキシドのアルコール溶液(b液)を25℃に保ちながら、NH3濃度0.1重量%のアンモニア水溶液50gを添加して30分間攪拌を続けて、チタンアルコキシドの加水分解を行い、限外濾過装置により純水で洗浄した後濃縮してTiO2濃度15.0重量%、平均粒子径100nm、CV値5.0%のチタニア粒子を含むチタニアゾル(B)を調製した。
【0044】
このチタニアゾル(B)を、実施例1と同様にして基板に滴下、乾燥してチタニア粒子の積層した積層膜を形成した。
得られた積層膜の膜厚、結晶格子、およびフォトニックバンドギャップを測定した。
結果を表1に示す。
【0045】
【実施例3】
500mlのガラスビーカーにSiO2濃度20.0重量%のシリカ粒子水分散液(触媒化成工業(株)製:スフェリカスラリー300、平均粒子径280nm)を入れ、エバポレーターでイソプロピルアルコール置換してSiO2濃度20.0重量%のシリカ粒子のイソプロピルアルコール分散液を調製した。この液200gにあらかじめNH3濃度0.1重量%のアンモニア水溶液50gを添加し、30℃に維持しながら、これにイソプロピルアルコール410gとイソプロポキシドチタネート90gを混合したチタンアルコキシドのアルコール溶液500gを5g/分の速度で添加して、チタンアルコキシドを加水分解したのち、限外濾過装置により純水で洗浄し、濃縮してSiO2 ・TiO2濃度15.0重量%、平均粒子径200nm、CV値12.5%のシリカ・チタニア粒子を含むシリカ・チタニアゾル(C)を調製した。
【0046】
このシリカ・チタニアゾル(C)を、実施例1と同様にして基板に滴下、乾燥してチタニア粒子の積層した積層膜を形成した。
得られた積層膜の膜厚、結晶格子、およびフォトニックバンドギャップを測定した。
結果を表1に示す。
【0047】
【比較例1】
シリカゾル(触媒化成工業(株)製:カタロイドSI-40、SiO2濃度40.0重量%、平均粒子径20nm、CV値30%)に純水を加えて、SiO2濃度16.2重量%に希釈し、実施例1と同様にして基板に滴下、乾燥してシリカ粒子の積層した積層膜を形成した。
【0048】
得られた積層膜の膜厚およびSEM観察結果、および分光スペクトル測定結果を表1に示す。
【0049】
【比較例2】
オートクレーブ容器に純水4000gを入れ、これにSiO2濃度20.0重量%のシリカ粒子水分散液(触媒化成工業(株)製:スフェリカスラリー160、平均粒子径160nm)10gとシリカゾル(触媒化成工業(株)製:カタロイドSI-550、SiO2濃度20.0重量%、平均粒子径5nm、CV値30%)100gを添加し、ついでNaClを40g添加し、150℃で5時間熟成した。その後、冷却し、限外濾過装置により、SiO2濃度50重量%まで濃縮して平均粒子径200nm、CV値70%のシリカ粒子を含むシリカゾル(D)を調製した。このゾルに純水を加えてSiO2濃度16.2重量%に希釈し、実施例1と同様にして基板に滴下、乾燥してシリカ粒子の積層した積層膜を形成した。
【0050】
得られた積層膜の膜厚、結晶格子、およびフォトニックバンドギャップを測定した。
結果を表1に示す。
【0051】
【比較例3】
ガラスビーカーにエチルアルコール200gを入れ、これにテトラエトキシシラン10gをいれ、ついでこの溶液を30℃に維持しながら、NH3としての濃度濃度25重量%のアンモニア水溶液50gとエチルアルコール200gを混合した溶液を一度に添加し、30分間攪拌した。ついで、この溶液にイソプロピルアルコール41gとイソプロポキシドチタネート9gを混合したチタンアルコキシドのアルコール溶液50gを5g/分の速度で添加した。加水分解終了後、限外濾過装置により純水で洗浄した後、濃縮してSiO2 ・TiO2濃度15.0重量%、平均粒子径1500nm、CV値10%のシリカ・チタニア粒子の水分散液(E)を調製した。
【0052】
このシリカ・チタニア粒子分散液(E)を、実施例1と同様にして基板に滴下、乾燥してチタニア粒子の積層した積層膜を形成した。
得られた積層膜の膜厚、結晶格子、およびフォトニックバンドギャップを測定した。
結果を表1に示す。
【0053】
【比較例4】
実施例1においてシャーレの中に水を入れることなく、シリカゲル(和光純薬工業(株)製:シリカゲル(青色))を入れた以外は実施例1と同様にして基材上にシリカ粒子の積層した積層膜を形成した。
得られた積層膜の膜厚、結晶格子、およびフォトニックバンドギャップを測定した。
【0054】
結果を表1に示す。
【0055】
【表1】
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1はフォトニックバンドギャップの出現を示す概略図である。
【図2】 図2は実施例1で製造したフォトニック結晶の断面写真である。
Claims (3)
- 平均粒子径0.1〜0.3μmの範囲にある球状粒子であり、かつ粒子径変動係数(CV値)12.5%以下にある無機酸化物粒子が分散した分散ゾルを、基材表面に塗布したのち、50〜760mmHgの溶媒の蒸気圧下、5〜50℃の温度範囲で乾燥することを特徴とするフォトニック結晶の製造方法。
- 前記フォトニック結晶が面心立方構造を有することを特徴とする請求項1に記載のフォトニック結晶の製造方法。
- 前記無機酸化物粒子が周期律第Ib、IIa、IIb、IIIa、IIIb、IVa、IVb、Va、Vb、VIa、VIb、VIIa、VIII族から選ばれる1種以上の金属からなる酸化物粒子であることを特徴とする請求項1または2に記載のフォトニック結晶の製造方法。
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