以下、本発明の第1の実施の形態を図面を参照しつつ説明する。
図1は、本実施形態のラベル作成装置(但し後述するカートリッジ100を取り付け、さらに開閉蓋OCを開けた状態)の全体概略構造を表す斜視図である。
図1において、ラベル作成装置Mは、装置本体1と、この装置本体1に着脱可能に取り付けられるカートリッジ100を収容するためのカートリッジホルダ部2(テープ設置用ホルダ)と、装置本体1の外郭を構成する筐体3と、UHF帯等の高周波を用いて無線通信により信号の授受を行うアンテナ4(装置側アンテナ)と、閉じ状態で上記カートリッジホルダ部2を覆うように装置本体1に回動可能に接続された開閉蓋OCとを有している。
図2は、上記装置本体1のうち上記カートリッジ100周辺の部分を、カートリッジ100とともに表す図1中II方向からみた(一部透視)上面図である。
図2において、カートリッジ100は筐体3内の凹所である上記カートリッジホルダ部2に着脱可能に嵌合され、テープ103が巻回されたテープロール101と、印字用のインクリボン104を繰り出すリボン供給側ロール106と、印字後のインクリボン104を巻き取るリボン巻き取りローラ105と、上記テープロール101をカートリッジ100外部方向にテープ送りをするテープ送りローラ102(搬送手段)とを有している。
テープロール101は、リール部材101Aの周りに、長手方向に複数の無線タグ回路素子Toが順次形成された帯状の透明なテープ(以下適宜、タグテープと称する)103を巻回している。
テープ103は3層構造となっており(図2中部分拡大図参照)、外側に巻かれる側(図2中左側)よりその反対側(図2中右側)へ向かって、剥離紙103a、粘着層103b、PET(ポリエチレンテレフタラート)等から成るカバーフィルム(被印字層、テープ基材)103cの順序で積層され構成されている。
カバーフィルム103cの裏側(図2中左側)には、上記粘着層103bによって上記剥離紙103aがカバーフィルム103cに接着されている。この剥離紙103aは、最終的に完成した無線タグラベルTが所定の商品等に貼り付けられる際に、これを剥がすことで粘着層103bにより当該商品等に接着できるようにしたものである。またテープ103においては、カバーフィルム103cの裏側(図2中左側)には、この例では情報を記憶するIC回路部150が一体的に設けられており、カバーフィルム103cの裏側の表面には上記IC回路部150に接続され情報の送受信を行うアンテナ151が形成されており、これらIC回路部150及びアンテナ151によって無線タグ回路素子Toが構成されている。
また、カートリッジ100のケース120には、テープ送りローラ102と反対側の隅部には被検出部IS(テープ種類情報保持部)が形成されている。この被検出部ISには所定のパターンにより複数個のスイッチ孔hが孔設されており、各パターンは、タグテープが設置されているか後述の通常テープが設置されているかのテープ種類情報、その他のパラメータ情報、例えば、タグテープが設置されている場合における上記無線タグ回路素子Toに最適な通信パラメータ(無線通信に使用する電波の周波数、通信プロトコル等)やタグ属性パラメータ(無線タグ回路素子Toのアンテナ151の感度、IC回路部150のメモリ容量、テープ103の幅、テープ103上の無線タグ回路素子Toの配置間隔、無線タグ回路素子Toのテープ幅方向位置等)等により特定されるカートリッジ種類を表している。各カートリッジ種類に従って異なるこのパターンが、装置本体1側に配設されたカートリッジセンサ(又はカートリッジ検出スイッチ)132(検出手段;後述の図3または図4参照)により検出されるようになっている。
一方、上記ラベル作成装置Mのカートリッジホルダ部2には、上記テープロール101から繰り出されたテープ103に所定の印字(印刷)を行う印字ヘッド(サーマルヘッド)8と、テープ103への印字が終了したインクリボン104を巻き取るリボン巻き取りローラ105を駆動するリボン巻き取りローラ駆動軸107と、テープ送りローラ102を駆動するテープ送りローラ駆動軸(繰り出し駆動軸)109と、印字ヘッド8に対向する位置に当接離反可能に配置されプラテンローラ110とサブローラ111を保持するローラーホルダ112とを備えている。
カートリッジ100が上記ラベル作成装置Mのカートリッジホルダ部2に装着されると、上記ローラホルダ112が離反位置から当接位置に移動され、テープ103及びインクリボン104が印字ヘッド8とプラテンローラ110との間に狭持されるとともに、またテープ103がテープ送りローラ102とサブローラ111との間に狭持される。前述のテープ送りローラ駆動軸109とサブローラ111及びプラテンローラ110はギヤにて連結されており、テープ送りローラ駆動軸109の駆動に伴いテープ送りローラ102、サブローラ111及びプラテンローラ110が回転するようになっている。そして、この第2ロール102より巻き出されるテープ103は、その表面側に配置された上記リボン供給側ロール106及び上記リボン巻き取りローラ105で駆動されるインクリボン104が、上記印字ヘッド8に押圧されることで当該テープ103の表面に当接させられるようになっている。
上記構成において、テープ送りローラ102及びリボン巻き取りローラ105がカートリッジ用モータ203(後述)の駆動力によって矢印A及び矢印Bで示す方向にそれぞれ同期して自転され、この駆動力によってテープロール101からテープ103が繰り出される。これとともに、印刷駆動回路205(後述)により印字ヘッド8の複数の発熱素子が通電される(この時、この印字ヘッド8の印字駆動領域の大きさや位置等がカートリッジ種類に応じて制御されるが、この詳細については、図9〜11により後述する)。この結果、テープ103の裏面(=粘着層103a側の面、後述の図7(C)参照)に所定の文字、記号、バーコード等の印字Rが印刷され、印字済ラベル用テープ108として形成され、カートリッジ100外へと搬出される。テープ103への印字が終了したインクリボン104は、リボン巻き取りローラ駆動軸107の駆動によりリボン巻き取りローラ105に巻き取られる。
なお、上記カートリッジホルダ部2には、上記無線タグ回路素子Toが形成されたテープ103(タグテープ)を備えるカートリッジ100のほか、無線タグ回路素子を配置しないテープ103′(以下、通常テープと称する)をテープロール101′に巻回したカートリッジ100′を着脱し、カートリッジ100同様に通常テープ103′を搬送し印字ヘッド8で印字可能に構成されている。
図3は、無線タグ回路素子Toが形成されたテープ103(タグテープ)を備える上記カートリッジ100を取り付けた状態の装置本体1の詳細を表す概念的構成図である。
図3において、テープロール101に巻回された上記タグテープ103は、上記複数の無線タグ回路素子Toがその幅方向一方側(この例では図3中下側)端部に配列されるとともに、それぞれの無線タグ回路素子Toの幅方向他方側(この例では図3中上側)が印字ヘッド8により各無線タグ回路素子Toに対応する印字が行われる印字領域Sとなっている。
また装置本体1は、前述の構成の他に、上記した印刷動作に伴い印字済ラベル用テープ108に備えられる無線タグ回路素子Toとの間でマイクロ波やUHF帯等の高周波を用いて無線通信により信号の授受を行う上記アンテナ4と、上記印字済ラベル用テープ108を所定のタイミングで所定の長さに切断しラベル状の無線タグラベルT(後述)を生成するカッタ5と、上記無線通信による信号授受時において無線タグ回路素子Toをアンテナ4に対向する所定のアクセスエリアに設定保持するとともに切断後の各無線タグラベルTを案内するための一対の搬送ガイド6と、その案内された無線タグラベルTを搬出口Eへと搬送し送出する送出ローラ7と、搬出口Eにおける無線タグラベルTの有無を検出するセンサ9と、上記アンテナ4を介し上記無線タグ回路素子ToのIC回路部150の情報(無線タグ情報)へアクセスする(読み取り又は書き込みを行う)ための高周波回路201と、無線タグ回路素子ToのIC回路部150から読み出された信号を処理して情報を読み出すとともに無線タグ回路素子ToのIC回路部150へアクセスする信号処理回路202と、上記カートリッジ用モータ203の駆動を制御するカートリッジ駆動回路204と、上記印字ヘッド8への通電を制御する印刷駆動回路205と、上記カッタ5を駆動して切断動作を行わせるソレノイド206と、そのソレノイド206を制御するソレノイド駆動回路207と、上記送出ローラを駆動する送出ローラ用モータ208を制御する送出ローラ駆動回路209と、上記高周波回路201、信号処理回路202、カートリッジ駆動回路204、印刷駆動回路205、ソレノイド駆動回路207、送出ローラ駆動回路209等を介し、ラベル作成装置M全体の動作を制御するための制御回路210とを有する。
カッタ5は、カートリッジ100の出口部近傍に設けられており、カートリッジ100より搬出されさらに無線タグ回路素子ToのIC回路部150に対する無線タグ情報読み取り/書き込みが終了した印字済ラベル用テープ108を、所定のタイミングで所定の長さに切断し、無線タグ回路素子Toを備えた無線タグTに分割生成する。
制御回路210は、いわゆるマイクロコンピュータであり、詳細な図示を省略するが、中央演算処理装置であるCPU、ROM、及びRAM等から構成され、RAMの一時記憶機能を利用しつつROMに予め記憶されたプログラムに従って信号処理を行うようになっている。またこの制御回路210は、電源回路211Aにより給電されるとともに、通信回路211Bを介し例えば通信回線に接続され、この通信回線に接続された図示しないルートサーバ、他の端末、汎用コンピュータ、及び情報サーバ等との間で情報のやりとりが可能となっている。さらに、カートリッジセンサ132からのテープ判別情報(前述したタグテープが設置されているか通常テープが設置されているかの情報、その他のパラメータ情報など)が、制御回路210に入力される。制御回路210はカートリッジセンサ132からの情報に基づき、印字ヘッド8の通電方式(詳細は後述の図11及び図12参照)を制御する。
図4は、通常テープ103′を備える上記カートリッジ100′を取り付けた状態の装置本体1の詳細を表す概念的構成図である。但し、図4において、図3と同等の部分には同一の符号を付してあり、それぞれの動作及び機能は図3のものと同様であるので、ここでは説明を省略する。カートリッジ100′では、テープロール101に、無線タグ回路素子を配置しない通常テープ103′が巻回され、その印字領域S′に印字が行われて印字済みラベル用テープ108′が生成され、これをカッタ5で切断してラベルT′(後述の図8参照)が生成される点が図3のカートリッジ100とは異なる。また、図4に示す通常テープ103′を備える上記カートリッジ100′の場合、テープロール101′、リボン供給側ロール106′、リボン巻取りローラ105′、テープ送りローラ102′の取り付け位置が、カートリッジ100の各ロール・ローラ101,106,105,102に比べて各ローラ又はロールの軸方向にずれており、この結果テープ103′,108′の位置がカートリッジ100のテープ103,108の位置に比べて、図中上側にわずかにずれている。具体的には、カートリッジ100に備えられたテープ108のテープ搬送路の位置と、カートリッジ100′に備えられたテープ108′のテープ搬送路の位置は、テープ108の幅方向の一方側端部(図3中下端)からIC回路部150のテープ108幅方向の他方側端部(図3中上端)までの距離xとほぼ等しい寸法だけ(若しくはそれ以上の大きさの寸法だけ)テープ108幅方向に(図3では下方に)ずれている(後述の図8及び図9に示されるテープ排出口位置の違いも参照)。言い換えれば、カートリッジ100′を設置したときのテープ108′の幅方向の一方側端部(図4中下端)の位置が、カートリッジ100を設置したときのテープ108のIC回路部150のテープ108幅方向の他方側端部(図3中上端)の位置と略一致している。
なお、通常テープ103′を用いた場合には、上記アンテナ4を介した無線タグへのアクセスは行われない。
図5は、上記高周波回路201の詳細機能を表す機能ブロック図である。この図5において、高周波回路201は、アンテナ4を介し無線タグ回路素子Toに対して信号を送信する送信部212と、アンテナ4により受信された無線タグ回路素子Toからの反射波を入力する受信部213と、送受分離器214とから構成される。
送信部212は、無線タグ回路素子ToのIC回路部150の無線タグ情報にアクセスする(読み取り/書き込みを行う)ための搬送波を発生させる搬送波発生手段として機能する水晶振動子215a、PLL(Phase
Locked Loop)215b、及びVCO(Voltage Controlled Oscillator)215cと、上記信号処理回路212から供給される信号に基づいて上記発生させられた搬送波を変調(この例では信号処理回路212からの「TX_ASK」信号に基づく振幅変調)する第1乗算回路216(但し振幅変調の場合は増幅率可変アンプ等を用いてもよい)と、その第1乗算回路216により変調された変調波を増幅(この例では制御回路210からの「TX_PWR」信号によって増幅率を決定される増幅)する第1アンプ217とを備えている。そして、上記第1アンプ217の出力は、送受分離器214を介してアンテナ4に伝達されて無線タグ回路素子ToのIC回路部150に供給される。
受信部213は、アンテナ4により受信された無線タグ回路素子Toからの反射波と上記発生させられた搬送波とを掛け合わせる受信第1乗算回路218と、その受信第1乗算回路218の出力から必要な帯域の信号のみを取り出すための第1バンドパスフィルタ219と、この第1バンドパスフィルタ219の出力を増幅する受信第1アンプ221と、この受信第1アンプ221の出力をさらに増幅してデジタル信号に変換する第1リミッタ220と、上記アンテナ4により受信された無線タグ回路素子Toからの反射波と上記発生された後に移相器227で位相を90°遅らせた搬送波とを掛け合わせる受信第2乗算回路222と、その受信第2乗算回路222の出力から必要な帯域の信号のみを取り出すための第2バンドパスフィルタ223と、この第2バンドパスフィルタ223の出力を増幅する受信第2アンプ225と、この受信第2アンプ225の出力をさらに増幅してデジタル信号に変換する第2リミッタ224とを備えている。そして、上記第1リミッタ220から出力される信号「RXS−I」及び第2リミッタ224から出力される信号「RXS−Q」は、上記信号処理回路202に入力されて処理される。
また、第2アンプ221及び第3アンプ225の出力は、RSSI(Received Signal Strength Indicator)回路226にも入力され、それらの信号の強度を示す信号「RSSI」が信号処理回路202に入力されるようになっている。このようにして、本実施形態のラベル作成装置Mでは、I−Q直交復調によって無線タグ回路素子Toからの反射波の復調が行われる。
図6は、タグテープ103を使用した印字済ラベル用テープ108に備えられた無線タグ回路素子Toの機能的構成を表す機能ブロック図である。
この図6において、無線タグ回路素子Toは、ラベル作成装置M側のアンテナ4とUHF帯等の高周波又はマイクロ波等を用いて非接触で信号の送受信を行う上記アンテナ151と、このアンテナ151に接続されたIC回路部150とを有している。
IC回路部150は、アンテナ151により受信された搬送波を整流する整流部152と、この整流部152により整流された搬送波のエネルギを蓄積しIC回路部150の駆動電源とするための電源部153と、上記アンテナ151により受信された搬送波からクロック信号を抽出して制御部157に供給するクロック抽出部154と、所定の情報信号を記憶し得る情報記憶部として機能するメモリ部155と、上記アンテナ151に接続された変復調部156と、上記整流部152、クロック抽出部154、及び変復調部156等を介して上記無線タグ回路素子Toの作動を制御するための上記制御部157とを備えている。
変復調部156は、アンテナ151により受信された上記ラベル作成装置Mのアンテナ4あるいは他の無線タグリーダ/ライタからの通信信号の復調を行うと共に、上記制御部157からの応答信号に基づき、アンテナ4より受信された搬送波を変調反射する。
制御部157は、上記変復調部156により復調された受信信号を解釈し、上記メモリ部155において記憶された情報信号に基づいて返信信号を生成し、上記変復調部156により返信する制御等の基本的な制御を実行する。
図7(A)〜(C)は、上記のようにしてカートリッジホルダ部2にカートリッジ100が装着されて無線タグ回路素子Toの情報読み取り(又は書き込み)及び印字済ラベル用テープ108の切断が完了し形成された無線タグラベルTの外観の一例を表す図であり、図7(A)は上面図、図7(B)は下面図である。また図7(C)は、図7中VII‐VII′断面による横断面図である。
これら図7(A)、図7(B)、及び図7(C)において、無線タグラベルTは、前述のように3層構造となっており、表面側(図7(C)中上側)よりその反対側(図7(C)中下側)へ向かって、カバーフィルム103c、粘着層103b、剥離紙103aの順で積層している。そして、前述のようにカバーフィルム103cの裏側に、IC回路部150及びアンテナ151からなる無線タグ回路素子Toが備えられるとともに、カバーフィルム103cの表面に印字R(この例では「AA−AA」の文字)が印刷されている。
一方、図8(A)〜図8(C)は、上記のようにしてカートリッジホルダ部2にカートリッジ100′が装着されて通常テープ103′へ印字が行われた後のラベル用テープ108′の切断が完了し形成されたラベルT′の外観の一例を表す図であり、図8(A)は上面図、図8(B)は下面図である。また図8(C)は、図8(A)中VIII‐VIII′断面による横断面図である。
これら図8(A)、図8(B)、及び図8(C)において、ラベルT′は、上記タグラベルTと同様の3層構造となっており、表面側(図8(C)中上側)よりその反対側(図8(C)中下側)へ向かって、カバーフィルム103c、粘着層103b、剥離紙103aの順で積層している。そして、カバーフィルム103cの表面に印字R′(この例では「BB−BB」の文字)が印刷されている。
以上の基本構成において、本実施形態の大きな特徴の一つは、タグテープ103を収納したカートリッジ100と、通常テープ103′を収納したカートリッジ100′とにおけるテープの排出口が異なり、この結果、同一の装置Mのカートリッジホルダ部2にそれらを装着したときに、カートリッジ100装着時のタグテープ103とカートリッジ100′装着時の通常テープ103′の搬送経路が異なるようになることである。以下、その詳細を図9〜図12により説明する。
図9は、タグテープ103が設置されたカートリッジ100の詳細構造をその周辺部とともに示す斜視図である。
この図9において、カートリッジ100は、その外郭を構成する筐体としてのケース120を備えており、このケース120には、上記テープロール101を回動可能に支持する支持孔121と、上記リボン巻き取りローラ105を回動可能に支持する支持孔122と、上記テープ送りローラ102を回動可能に支持する支持孔123とが設けられている。
またケース120の一方側(図9中右前方側)には、上記テープロール101繰り出された上記テープ103、及び上記リボン供給側ロール106から繰り出されたインクリボン104を案内し、突出端部の開口(図示せず)から送出するアーム部(ガイド部)124が設けられている。また、このアーム部124の図9中左手前側には上記印字ヘッド8が貫入され装着されるヘッド装着部125が形成されている。このヘッド装着部125の上記アーム部124と対向する壁部にテープ排出方向に向かって入り込むように第1嵌合部126Aが形成され、また上記第1嵌合部126Aと直交する方向に入り込むように第2嵌合部126Bが形成されている。
またカートリッジホルダ部2には、装置本体1に立設した支持軸112Aの周りに回動可能に支持された上記ローラホルダ112がカートリッジ100に対向するように配設されており、このローラホルダ112に、上記サブローラ111及びプラテンローラ110が回動可能に支持されている。テープ103は、上記したように上記テープ送りローラ102とサブローラ111との協働により、テープロール101から引き出され、上記アーム部124の開口からヘッド装着部125へ導出された後、印字ヘッド8とプラテンローラ110との間に狭持され、さらにテープ送りローラ102とサブローラ111との間に狭持される。またインクリボン104は、リボン巻き取りローラ105によりリボン供給側ロール106から引き出され、アーム部124の開口からヘッド装着部125へ導出された後、リボン巻き取りローラ105の周囲に巻き取られる。
図10は、通常テープが設置されたカートリッジ100′の詳細構造をその周辺部とともに示す斜視図である。図10において、図9と同等の部分には同一の符号を付してあり、それぞれの動作及び機能は図9のものと同様であるので、ここでは説明を省略する。図10のカートリッジ100′の印字済みラベル用テープ108′のテープ排出口e′は、前述したように、図9のカートリッジ100の印字済みラベル用テープ108に比べ、テープ排出口eの位置が紙面上方にわずかにずれている。このような構成とするためには、例えば、カートリッジ100,100′内におけるテープ103,108又は103′,108′を支持する部材にスペーサ等を介在させるなどの手法でテープ位置をずらせることが可能である。また、カートリッジ内の空間を上げ底構造とする等、これ以外の他の手法でもよい。
図11(A)は上記タグテープ103を備えるカートリッジ100におけるテープ位置と印字ヘッド8との相対的な関係を示す概略図であり、図11(B)は上記通常テープ103′を備えるカートリッジ100′におけるテープ位置と印字ヘッド8との相対的な関係を示す概略図である。
本実施形態のラベル作成装置Mでは、上記カートリッジホルダ部2にタグテープ103を備えるカートリッジ100を装着した場合には、図11(A)に示すように、テープ103の位置はより紙面右側に位置し印字ヘッド8がタグテープ103の上記幅方向一方側に位置する無線タグ回路素子Toに重ならないように(無線タグ回路素子Toの部分に当接しないよう)に構成されている。これによって、図中L1で示される印字ヘッド8の紙面左側の一部分は、通電が不要となり、印字ヘッド8の図中L2で示される部分のみ印字駆動回路205を制御して通電すればよいことになる(すなわち、印字駆動領域は長さL2となる)。
一方、上記カートリッジホルダ部2に通常テープ103′を備えるカートリッジ100′を装着した場合には、図11(B)に示すように、テープ103′の位置はより紙面左側に位置し、印字ヘッド8がテープ103全体に正対するように構成されている。この場合、印字ヘッド8の図中L1+L2で示される部分が印字駆動回路205の制御によって通電される(すなわち、印字駆動領域は長さL1+L2となる)
図12は、タグテープ103を備えたカートリッジ100を装着した場合と、通常テープ103′を備えたカートリッジ100′を装着した場合とで、制御回路210が印刷駆動回路205を介して実行する印字ヘッド8の発熱素子の通電制御動作を示すフローチャートである。
図12において、まず、ステップS10で、前述したようにしてカートリッジセンサ132によりカートリッジ100,100′の種類、言い換えればタグテープ103か通常テープ103′かが検出され、そのセンサ信号が入力(識別)される。
次に、ステップS20で、上記ステップS10で入力したセンサ信号に基づき、タグ有りかどうか、即ちタグテープ103を備えたカートリッジ100か通常テープ103′を備えたカートリッジ100′かが判断される。
タグテープ103であると判断された場合には、ステップS30に進み、印字ヘッド8の通電態様の設定を、図11(A)に示したような、L1部分を無通電区間とする(=印字駆動領域が長さL2のみ)一部縮小型通電とするように、印刷駆動回路205に制御信号を出力し、このフローを終了する。また、ステップS20で、通常テープ103′であると判断された場合には、ステップS40に進み、印字ヘッド8の通電態様の設定を、図11(B)に示したような、L1+L2分の全域を通電する(=印字駆動領域が長さL1+L2)全域通電とするように、印刷駆動回路205に制御信号を出力し、このフローを終了する。
以上において、信号処理回路202及び高周波回路201の送信部212が、各請求項記載の、無線タグ回路素子のIC回路部へのアクセス情報を生成し、装置側アンテナを介して無線タグ回路素子へ送信し、IC回路部への情報書き込み又はIC回路部からの情報読み取りを行う情報アクセス手段を構成し、制御回路30(特に図12に示すフローのステップS20、ステップS30、及びステップS40)が、検出手段の検出結果に基づき、タグテープが設置されたか通常テープが設置されたかに応じて、印字手段の印字駆動領域を切り替える印字駆動制御手段を構成する。
以上のように構成した本実施の形態によれば、カートリッジホルダ部2にタグテープ3を備えたカートリッジ100が設置された場合は、通常テープ3′を備えたカートリッジ100′が設置された場合に比べて(図9及び図10に示したテープ108,108′の配置位置の違いに基づき)、図3及び図4に示すようにラベル作成装置M内におけるテープの搬送路の位置が変わる。また、特にこの位置の違いに応じて図3及び図4、あるいは図11(A)(B)に示すように、印字ヘッド8の印字駆動領域の長さは、L1+L2からL2へと変わる。これらにより、タグテープ103に備えられる無線タグ回路素子Toに(長さL2部分である)印字ヘッド8の印字駆動領域が重ならないようにすることができ、印字ヘッド8の発熱により無線タグ回路素子Toが損傷するおそれがなくなり、また印刷のかすれなどが発生する畏れがなくなる。この結果、印字つきタグラベルTと通常のラベルT′との両方を同一のラベル作成装置Mで作成でき、かつ作成したタグラベルTの健全性及び印字品質を向上することができる。特にこのとき、タグテープ103を備えたカートリッジ100の設置の際に印字ヘッド8の印字駆動領域の長さをL1+L2からL2へと縮小するように切り替え、長さL1部分については通電を行わないようにすることにより、上記のように無線タグ回路素子Toに印字駆動領域が重ならないようにしつつ、テープ103からはみ出た上記長さL1部分に対し不要な印字駆動を行わないようにし、電力消費を低減することができる。
以下、本発明の第2の実施の形態を図面を参照しつつ説明する。
図13は、本実施形態のラベル作成装置の概略構成を表す斜視図である。
図13において、ラベル作成装置501は、本体筐体502と、透明樹脂製の上カバー505と、この上カバー505の前側略中央部に対向するように立設される透明樹脂製のトレー506と、このトレー506の前側に配置される電源ボタン507と、カッタレバー509と、LEDランプ534等を備えている。
図14は、図13に示したラベル作成装置の上記上カバー505を取り外した状態を表す斜視図である。
図14において、テープ軸部材収納部(テープ設置用ホルダ)504に、テープ軸部材503(本実施形態におけるカートリッジ)が着脱可能に収納配置されている。このテープ軸部材503は、位置決め保持部材512とガイド部材520とを備えており、所定幅のテープ503A(タグテープ)が回転可能に巻回されている。すなわち、テープ503Aの軸方向両側にその軸線と略直交するように、一方側側壁部としての上記ガイド部材520と他方側側壁部としての上記位置決め保持部材512とが設けられている。またテープ軸部材収納部504の上側を覆うように、前述の上カバー505が後側上端縁部に開閉自在に取り付けられている。
またテープ軸部材収納部504の搬送方向に対して略垂直方向の一方の側端縁部に支持部材515が設けられ、この支持部材515には、上方に開口する正面視略縦長コの字状の第1位置決め溝部516が形成されている。そして、上記位置決め保持部材512の外側方向に突設され、正面視下方向に幅狭になるように形成された上下方向に縦長の断面略矩形状の取付部材513が、下方向に幅狭な上記第1位置決め溝部516内に密着することで上記支持部材515に嵌め込ま
れる。この取付部材513の突出高さ寸法は、第1位置決め溝部516の幅寸法にほぼ等しくなるように形成されている。なお、保持部材512上には、タグテープ503Aをガイド部材520側(図14中紙面左奥側)にややずらして配置するためのスペーサ部580が、テープ503Aとの間に介在配置されている。
テープ軸部材収納部504の他方の側端縁部の搬送方向前端部には、レバー527が設けられている。テープ503Aには、IC回路部650及びアンテナ651を備えた無線タグ回路素子T1が、この例では幅方向一方側端部(図14中紙面左側)付近にテープ長手方向一列に設けられている(図示では存在の明確化のために大きさを誇張して示している)。なお本実施形態では、テープとしてタグテープ503に代えて無線タグ回路素子を配置しない通常テープ503A′(後述の図23参照)を用いることも可能であるが、これについては後述する。
図15は、図14に示した構造の側面図である。図15に示すように、タグテープ503Aはこの例では3層構造となっており(図15中部分拡大図参照)、外側に巻かれる側(図15中左上側)よりその反対側(図15中右下側)へ向かって、剥離紙503a、粘着層503b、自己発色性を有する長尺状の感熱紙(テープ基材)503cの順序で積層され構成されている。
感熱紙503cの裏側(図15中左上側)には、情報を記憶するIC回路部650がこの例では一体的に設けられており、感熱紙503cの裏側の表面には上記IC回路部650に接続され情報の送受信を行うアンテナ651が形成されており、これらIC回路部650及びアンテナ651によって無線タグ回路素子T1が構成されている。感熱紙503cの裏側(図15中左上側)にはまた、上記粘着層503bによって上記剥離紙503aが感熱紙503cに接着されている。この剥離紙503aは、最終的に完成した無線タグラベルTが所定の商品等に貼り付けられる際に、これを剥がすことで粘着層503bにより当該商品等に接着できるようにしたものである。なお、本体筐体502の背面部には一方の側端部に電源コード510が接続されている。
図16は、図15中X−X′断面による断面図である。図16において、上記タグテープ503Aは、巻芯503Bにロール状に巻回されている。これらタグテープ503A及び巻芯503Bと、上記位置決め保持部材512、ガイド部材520、スペーサ部580等を備えたテープ軸部材503とからテープロール体600が構成されている。
位置決め保持部材512とガイド部材520との間には、上記巻芯503Bの内周側にて軸方向に配置されるように略筒状形状の軸部材540が設けられており、主としてこれら位置決め保持部材512、ガイド部材520、及び軸部材540によってテープ軸部材503が構成されている。また、前述したように保持部材512上にはスペーサ部580が設けられているが、巻芯503B(従ってタグテープ503A)の軸方向(図16中左右方向)寸法は、保持部材512とガイド部材520との間の軸方向距離よりも当該スペーサ部580の軸方向寸法だけ短くなっており、この結果、タグテープ503Aの軸方向中心が軸部材540の軸方向中心よりも、ガイド部材520側(図16中紙面左側)にややずれている。なお、この例では、スペーサ部580の幅w(図16中左右方向寸法)は、無線タグ回路素子T1の幅(テープ長手方向直角な方向)より若干大きい程度となっている。
支持部材515の内側基端部には係合凹部515Aが形成されており、この係合凹部515Aに対し、位置決め保持部材512の下端部に突設された弾性係止片512Aが係合されている。
テープ軸部材収納部504の底面部には、支持部材515の内側基端部から搬送方向に対して略垂直に、平面視横長四角形の位置決め凹部504Aが所定深さ(例えば約1.5〜3mm)で形成される。またテープ軸部材収納部504の下側には、外部のパーソナルコンピュータ等からの指令により各機構部を駆動制御する制御回路部が形成された制御基板532が設けられている。
位置決め凹部504Aの搬送方向幅寸法は、テープ軸部材503を構成する位置決め保持部材512及びガイド部材520の各下端縁部の幅寸法にほぼ等しくなるように形成されている。また位置決め凹部504Aの支持部材515の内側基端部には、位置決め保持部材512の下端縁部から略直角内側方向に延出される後述のテープ判別部560(後述の図24〜図27も参照)に対向する位置に判別凹部504Bが形成されている。
この判別凹部504Bは、搬送方向に縦長の平面視長四角形となっており、位置決め凹部504Aよりもさらに所定深さ(例えば約1.5〜3mm)だけ深くなるように形成されている。また判別凹部504Bには、プッシュ式のマイクロスイッチ等から構成され、タグテープ503A(又は後述の通常テープ503A′)の種別を判別する4個のテープ判別センサ(検出手段)S1、S2、S3、S4がこの例では略L字状に設けられている。これらテープ判別センサS1〜S4は、それぞれプランジャーとマイクロスイッチ等から構成される公知の機械式スイッチからなり、該各プランジャーの上端部は、該判別凹部504Bの底面部から位置決め凹部504Aの底面部近傍まで突き出るように設けられている。そして、この各テープ判別センサS1〜S4によってテープ判別部560(テープ種類情報保持部)の各センサ孔(後述)が有るか否かを検出し、そのオン・オフ信号によりテープ軸部材503に装着されたタグテープ503Aの種類(無線タグ回路素子Toを備えたタグテープ503Aであるか無線タグ回路素子Toを備えない通常テープ503A′であるかを含む。詳細は後述)を検出するようになっている。
図17(A)及び図17(B)は、図13に示したラベル作成装置より上カバー5及びテープロール体600を取り外した状態を表す斜視図、及び図15(A)中W部の拡大斜視図である。
これら図17(A)及び図17(B)において、テープ軸部材503を構成する上記ガイド部材520の先端部が載置される載置部521が設けられている。この載置部521は、上記タグテープ503Aを挿入する挿入口518の後端縁部からテープ軸部材収納部504の前側上端縁部まで略水平に延出されている。なお前述のガイド部材520の先端部は上記挿入口518まで延出されるようになっている。
載置部521の搬送方向後側の端縁角部には、タグテープ503A(又は通常テープ503A′、詳細は後述)を備えたテープ軸部材503の複数の幅寸法(後述するタグテープと通常テープとの違い等)に対応して断面略L字状の複数個(この例では2個)の第2位置決め溝部522A,522Bが形成されている。各第2位置決め溝部522A,522Bは、テープ軸部材503を構成するガイド部材520の載置部521に当接する部分の一部を上方から嵌め込むことができるように形成されており、この例では溝部522Aがタグテープ503Aの場合に、溝部522Bが通常テープ503A′の場合にそれぞれ対応している(言い換えれば、タグテープ503Aか通常テープ503A′かに応じてテープ軸部材503,503′の装着位置が異なる)。これは、図25及び図26を用いて詳細を後述するが、タグテープ503Aを備えたテープ軸部材503の幅のほうが、通常テープ503A′を備えたテープ軸部材503′の幅よりも前述のスペーサ部508の幅wの分、大きくなるためである。なお、前述した上記位置決め凹部504Aは、支持部材515の内側基端部から上記第2位置決め溝部522Aに対向する位置まで設けられている。
巻芯503B、タグテープ503A(又は後述の通常テープ503A′、詳細は後述)、及びテープ軸部材503(又は503′)からなるテープロール体600は、位置決め部材512の取付部材513を支持部材515の第1位置決め溝部516に嵌め込み、該位置決め部材512の下端部に突設される弾性係止片512Aを支持部材515の内側基端部に形成される係合凹部515Aに係合させると共に、ガイド部材520の先端部下面を各第2位置決め溝部522A(又は522B)に嵌め込んで該ガイド部材520の下端部を位置決め凹部504A内に嵌入して当接させることによって、テープ軸部材収納部504に着脱自在に取り付けられる。
図18は、図13に示したラベル作成装置の上カバー505及びテープロール体600を取り外した状態を表す後方斜視図である。
図18において、上記挿入口518の支持部材515側の側端縁部には、案内リブ部523が立設されている。また、挿入口518の支持部材515側の側端縁部(図18中左端縁部)は、該支持部材515に嵌め込まれる上記位置決め部材512の内側端面に対応する位置になるように形成されている。
なお、本体筐体502の背面部の他方の側端部には、不図示のパーソナルコンピュータ等と接続されるUSB(Universal Serial Bus)等から構成されるコネクタ部511が設けられている。
図19は、図13に示したラベル作成装置1に上記テープ軸部材503が装着された状態を上カバー505を取り外して示す側断面図である。
図19において、前側側面部に左右移動可能に設けられた上記カッタレバー509には、接続部材570を介して上記カッタレバー509によって左右に移動されるカッタユニット508が設けられる。このカッタユニット508は、テープ503Aの長手方向と略直交する切断方向(図19中紙面垂直方向)にガイド軸571により移動可能に配置されたカッタ(切断刃)572と、このカッタ572と係脱可能に構成され、上記接続部材570のカッタ側に設けられた中間部材573とを有している。また、上記カッタユニット508のテープ503A搬送方向上流側(図19中右側)下部には印字を行う印字手段としてのサーマルヘッド(印字ヘッド)531が設けられ、これと対向する位置にはプラテンローラ526(搬送手段)が設けられている。
印字ヘッド531は、その上下動操作用の前述のレバー527を上方に回動させることにより印字ヘッド531が下方に移動されてプラテンローラ526から離間した状態となり、レバー527を下方に回動させることにより上方に移動されてタグテープ503Aをプラテンローラ526に押圧付勢して印字可能な状態になる。
すなわち、印刷実行時においては、まずレバー527を上方に回動させて、タグテープ503Aの一方の側端縁部をガイド部材520の内側面に当接させつつ、このタグテープ503Aの他方の側端縁部を挿入口518の側縁部に立設される上記案内リブ部523に当接させながら挿入口518内に挿入し、この状態でレバー527を下方に回動させることにより、挿入口518から挿入されたタグテープ503Aは、ライン型の印字ヘッド531によってプラテンローラ526に向かって押圧されるように付勢される。そして、該プラテンローラ526をパルスモータあるいはステッピングモータ等からなるプラテンローラ用モータ708(後述の図21参照)等により回転駆動しつつ、該印字ヘッド531を駆動制御することによって、タグテープ503Aを搬送しながら印字面に順次所定の印字データを印字でき、さらにその搬送方向下流側に位置するアンテナ704を介し、さらに無線タグ回路素子T1のアンテナ651を介してIC回路部650へのアクセス(情報読み取り又は書き込み)が行われる。そして、トレー506上に排出された印字済みのタグテープ503Aは、カッタレバー509を右側方向に手動操作することによってカッタユニット508により切断され、無線タグ回路素子T1を備えた無線ラベルTが分割生成される。
図20は、上記タグテープ503Aに備えられる無線タグ回路素子T1の機能的構成を表す機能ブロック図である。
この図20において、無線タグ回路素子T1は、ラベル作成装置501側のアンテナ704とUHF帯等の高周波を用いて非接触で信号の送受信を行う上記アンテナ651と、このアンテナ651に接続された上記IC回路部650とを有している。
IC回路部650は、アンテナ651により受信された搬送波を整流する整流部652と、この整流部652により整流された搬送波のエネルギを蓄積しIC回路部650の駆動電源とするための電源部653と、上記アンテナ651により受信された搬送波からクロック信号を抽出して制御部657に供給するクロック抽出部654と、所定の情報信号を記憶し得る情報記憶部として機能するメモリ部655と、上記アンテナ651に接続された変復調部656と、上記整流部652、クロック抽出部654、及び変復調部656等を介して上記無線タグ回路素子T1の作動を制御するための上記制御部657とを備えている。
変復調部656は、アンテナ651により受信された上記ラベル作成装置501のアンテナ704あるいは他の無線タグリーダ/ライタからの通信信号の復調を行うと共に、上記制御部657からの応答信号に基づき、アンテナ704より受信された搬送波を変調反射する。
制御部657は、上記変復調部656により復調された受信信号を解釈し、上記メモリ部655において記憶された情報信号に基づいて返信信号を生成し、上記変復調部656により返信する制御等の基本的な制御を実行する。
図21は、ラベル作成装置501の制御系を表す概念図である。図21において、タグテープ503Aは前述したように複数の無線タグ回路素子T1がその幅方向一方側(図21中紙面上側)端部に配列されるとともに、この例では、それぞれの無線タグ回路素子T1に対応している領域が、印字ヘッド531により各無線タグ回路素子T1に対応する印字Rが行われる印字領域Sとなっている。そして、前述した印刷の後、上記アンテナ704によって、テープ503Aに備えられる無線タグ回路素子T1との間でUHF帯等の高周波やマイクロ波等を用いて無線通信により信号の授受が行われ、印字済みのテープ503Aは前述のようにカッタレバー509が操作されることでカッタユニット508にて切断され、無線タグラベルTが生成される。
そのほか、ラベル作成装置501には、タグテープ503A及び切断後の無線タグラベルTを搬出口Eへと搬送し送出する上記プラテンローラ526と、上記アンテナ704を介し上記無線タグ回路素子T1のIC回路部650の情報(無線タグ情報)へアクセスする(読み取り又は書き込みを行う)ための高周波回路701と、無線タグ回路素子T1のIC回路部650から読み出された信号を高周波回路701を介して入力し所定の処理を行って情報を読み出すとともに、高周波回路701を介して無線タグ回路素子T1のIC回路部650へアクセスする信号処理回路702と、上記印字ヘッド531への通電を制御する印刷駆動回路705と、上記プラテンローラ526を駆動するプラテンローラ用モータ708を制御するプラテンローラ駆動回路709と、上記高周波回路701、信号処理回路702、印刷駆動回路705、プラテンローラ駆動回路709等を介し、ラベル作成装置501全体の動作を制御するための制御回路710と、この制御回路710からの制御信号により点灯する前述のLED534とが設けられている。なお、上記無線通信による信号授受時において無線タグ回路素子T1をアンテナ704に対向する所定のアクセスエリアに設定保持するとともに切断後の各無線タグラベルTを案内する搬送ガイドをさらに設けてもよい。
制御回路710は、いわゆるマイクロコンピュータであり、詳細な図示を省略するが、中央演算処理装置であるCPU、ROM、及びRAM等から構成され、RAMの一時記憶機能を利用しつつROMに予め記憶されたプログラムに従って信号処理を行うようになっている。また、この制御回路710は、電源回路711Aにより給電されるとともに、通信回路711Bを介し例えば通信回線に接続され、この通信回線に接続された図示しないルートサーバ、他の端末、汎用コンピュータ、及び情報サーバ等との間で情報のやりとりが可能となっている。さらに、前述したテープ判別センサS1〜S4からのテープ判別情報(タグテープが設置されているか通常テープが設置されているかの情報、その他のパラメータ情報など)が、制御回路710に入力される。制御回路710はテープ判別センサS1〜S4からの情報に基づき、印字ヘッド531の通電方式(図31及び図32参照)を制御する(詳細は後述)。
図22は、上記高周波回路701の詳細機能を表す機能ブロック図である。この図22において、高周波回路701は、アンテナ704を介し無線タグ回路素子T1に対して信号を送信する送信部712と、アンテナ704により受信された無線タグ回路素子T1からの反射波を入力する受信部713と、送受分離器714とから構成される。
送信部712は、無線タグ回路素子T1のIC回路部650の無線タグ情報にアクセスする(読み取り/書き込みを行う)ための搬送波を発生させる搬送波発生手段として機能する水晶振動子715a、PLL(Phase
Locked Loop)715b、及びVCO(Voltage Controlled Oscillator)715cと、と、上記信号処理回路712から供給される信号に基づいて上記発生させられた搬送波を変調(この例では信号処理回路712からの「TX_ASK」信号に基づく振幅変調)する送信乗算回路716(但し振幅変調の場合は増幅率可変アンプ等を用いてもよい)と、その送信乗算回路716により変調された変調波を増幅(この例では制御回路710からの「TX_PWR」信号によって増幅率を決定される増幅)する送信アンプ717とを備えている。そして、上記送信アンプ717の出力は、送受分離器714を介してアンテナ704に伝達されて無線タグ回路素子T1のIC回路部650に供給される。
受信部713は、アンテナ704により受信された無線タグ回路素子T1からの反射波と上記発生させられた搬送波とを掛け合わせる受信第1乗算回路718と、その受信第1乗算回路718の出力から必要な帯域の信号のみを取り出すための第1バンドパスフィルタ719と、この第1バンドパスフィルタ719の出力を増幅する受信第1アンプ721と、この受信第1アンプ721の出力をさらに増幅してデジタル信号に変換する第1リミッタ720と、上記アンテナ704により受信された無線タグ回路素子T1からの反射波と上記発生された後に移相器727で位相を90°遅らせた搬送波とを掛け合わせる受信第2乗算回路722と、その受信第2乗算回路722の出力から必要な帯域の信号のみを取り出すための第2バンドパスフィルタ723と、この第2バンドパスフィルタ723の出力を増幅する受信第2アンプ725と、この受信第2アンプ725の出力をさらに増幅してデジタル信号に変換する第2リミッタ724とを備えている。そして、上記第1リミッタ720から出力される信号「RXS−I」及び第2リミッタ724から出力される信号「RXS−Q」は、上記信号処理回路702に入力されて処理される。
また、受信第1アンプ721及び受信第2アンプ725の出力は、RSSI(Received Signal Strength Indicator)回路726にも入力され、それらの信号の強度を示す信号「RSSI」が信号処理回路702に入力されるようになっている。このようにして、本実施形態のラベル作成装置501では、I−Q直交復調によって無線タグ回路素子T1からの反射波の復調が行われる。
一方、ここで、前述したように、テープ軸部材収納部504には、上記無線タグ回路素子Toが形成されたタグテープ503Aを備えるテープ軸部材503のほか、無線タグ回路素子を配置しないテープ503A′(通常テープ)を備えるテープ軸部材503′も着脱可能であり、これをテープ軸部材収納部504に装着することで、タグテープ503Aのときと同様、通常テープ503A′を搬送し印字ヘッド531を用いて印字可能に構成されている。
図23は、通常テープ503A′を備えたテープ軸部材503′をテープ軸部材収納部504に取り付けた場合の上記図21(ラベル作成装置501の制御系を表す概念図)に相当する図である。図23において、通常テープ503A′は、前述のようにタグテープ503Aに比べて軸方向に(図23中の紙面では下方に)若干ずれた搬送位置を搬送され、印字ヘッド531により所定の印字領域S′に印字が行われた後、印字済みのテープ503A′は前述のようにカッタレバー509が操作されることでカッタユニット508にて切断され、ラベル(タグなしラベル)T′が生成される。上記搬送位置のずれは、具体的には、以下の通りである。すなわち、タグテープ503Aのテープ搬送路の位置と、通常テープ503A′のテープ搬送路の位置は、タグテープ503Aの幅方向の一方側端部(図21中上端)からIC回路部650のタグテープ503A幅方向の他方側端部(図21中下端)までの距離yとほぼ等しい寸法だけ(若しくはそれ以上の大きさの寸法だけ)テープ幅方向に(図21では上方に)ずれている。言い換えれば、通常テープ503A′の幅方向の一方側端部(図23中上端)の位置が、タグテープ503のIC回路部650のテープ幅方向の他方側端部(図21中下端)の位置と略一致している。
なお、通常テープ503′を用いた場合には、上記アンテナ704を介した無線タグへのアクセスは行われない。
図24(A)及び図24(B)は、図13に示したラベル作成装置501に備えられたテープロール体600の詳細構造を表す、前側上方からの斜視図、及び下側後方からの斜視図である。
これら図24(A)及び図24(B)において、テープロール体600に備えられたテープ軸部材503(又は503′)のガイド部材520には、テープ軸部材収納部504の底面部に形成される位置決め凹部504Aに嵌入されて該位置決め凹部504Aの底面に当接される第1延出部542と、テープ503A(又は503A′)の前側方向略1/4円周上の外側端面部を覆うように外側方向に延出される第2延出部543と、この第2延出部543の外周部からテープ503A(又は503A′)の上記挿入口518(図18参照)近傍まで上側端縁部が前下がり状に延出される第3延出部544とが形成されている。
第3延出部544の先端部の下端面は、略水平に形成され、ラベル作成装置501の前述の載置部521上に当接して、該第3延出部544と第2延出部543の内側面によって装着されたテープ503A(又は503A′)の一側端縁部を上記挿入口518まで案内するように構成されている。また、この第3延出部544の下端面の載置部521の搬送方向後端縁部に対向する位置から第1延出部542まで、所定長さ延出される第4延出部545が形成されている。この第4延出部545の搬送方向先端部分は、上記第3延出部544の下端面が載置部521上に当接された場合に、装着されたテープ503Aのテープ幅に対向する各第2位置決め溝部522A(又は522B)に嵌入されるように構成されている(前述の図19参照)。
また、テープ軸部材503(又は503′)の位置決め部材512の取付部材513の下端部には、該取付部材513の下端部よりも左右方向に各々外側方向に所定長さ(この例では、約1.5mm〜3mm)突出する正面視略四角形の平板状(この例では長さ約1.5mm〜3mm)の案内部557が形成されている。これにより、テープ軸部材503(又は503′)を装着する場合は、取付部材513の下端部に形成される案内部557を支持部材515の外側端面に当接させつつ、取付部材513を第1位置決め溝部516に挿入することによって、該テープ軸部材503(又は503′)を容易に位置決めしつつ装着できるようになっている。
位置決め部材512の延出部556の下端縁部は、ガイド部材520の下端縁部よりも所定長さ(この例では、約1mm〜2.5mm)下側方向に突出するように延出されており、この下端縁部に、略直角内側方向に所定長さ延出される略長四角形のテープ判別部560が形成されている。
このテープ判別部560は、前述した各テープ判別センサS1〜S4に対向する所定位置に各センサ孔560A〜560Dが略L字状に配置されて穿設され、これらセンサS1〜S4と協働してテープ503Aの種類を特定するテープ特定部として機能するものである。さらに、上記センサS1〜S4は、テープの種類としてタグテープ503Aが設置されているか通常テープ503A′が設置されているかの情報、その他のパラメータ情報として第1の実施の形態と同様の情報等も特定することが出来るようになっている。
図25(A)は、タグテープ503Aを備えたテープ軸部材503を斜め後方側からみた斜視図であり、図25(B)は斜め前方側からみた斜視図である。
これら図25(A)及び図25(B)において、上記ガイド部材520には第1筒部535が設けられており、この第1筒部535が巻芯503Bの筒孔の一端側端縁部に嵌挿されることによって、ガイド部材520がテープ503Aの一方の端面に当接されている。一方、上記位置決め保持部材512には第2筒部537が設けられており、この第2筒部537が巻芯503Bの他端側に嵌挿されることによって、位置決め保持部材512がテープ503Aの他方の端面に当接されている。このときスペーサ部580が第2筒部537上に設けられているため、図16で説明したようにテープ503Aはガイド部材520側(図25(A)中紙面左手前側、図25(B)中紙面右奥側)にややずれることになる。なお、図示を省略しているが、テープ503Aにおいては、無線タグ回路素子T1はガイド部材520側側(図25(A)中紙面左手前側、図25(B)中紙面右奥側)の端部近くに形成される。上記第1筒部535と第2筒部537とによって、テープ503Aが巻回された巻芯503Bが回転可能に保持される。
また上記軸部材540は、一端側が上記ガイド部材520の第1筒部535に嵌挿されるとともに、その一端側端面の外周部にフランジ部536が形成されており、このフランジ部536は上記第1筒部535の外側端面に固着されている。また軸部材540の他端側端部は、位置決め保持部材512の第2筒部537に嵌挿されてその第2筒部537に固着されている。
このとき、ガイド部材520の上記第1延出部542は、第1筒部535の外側端面の下側外周部から下側方向に延出されており、その上端部、即ち、第1筒部535の外側端面の外周部の左右両中央部には、正面視略四角形の各切欠部547が設けられている。
また、ガイド部材520の各延出部543,544,545の内側面には、装着されたテープ3Aの巻回長さすなわちテープ残量10m、20m、30mをそれぞれ表す各目盛り543A,543,543Cが形成されている。なお、テープ軸部材503に巻回されるテープ503Aの最大巻回長さは、約30mの長さである。
一方、位置決め部材512の上記第2筒部537の外周部には、フランジ部555が形成されると共に、このフランジ部555の下側外周部から下側方向に延出される延出部556が形成されている。このフランジ部555と延出部556の内側面がタグテープ503A及び巻芯503Bの外側端面に当接される。そして、上記取付部材513は、これらフランジ部555と延出部556の外側端面部の幅方向(図25(A)中左上〜右下方向)略中央部に、即ち軸部材540の軸心の端縁部から該軸心に対してほぼ直交するように、突設されている。
図26(A)は、通常テープ503A′を備えたテープ軸部材503′を斜め後方側からみた斜視図であり、図26(B)は斜め前方側からみた斜視図である。但し、図26において、図25と同等の部分は同一の符号を付し、それぞれの動作及び機能は図25のものと同様であるので、ここでは説明を省略する。図26(A)及び(B)に示すように、通常テープ503A′の場合は、上記スペーサ部580は設けられず、そのスペーサ部580の幅w分だけ軸部材540の幅(軸方向の寸法)は短くなる。このようにして、タグテープ503Aと通常テープ503A′とで、印字ヘッド531に対する相対位置が、無線タグ回路素子T1の幅(≒スペーサ部580の幅w)程度ずれることになる。これによる作用効果については、後ほど図31で説明する。
図27(A)は、図25のテープ軸部材503の詳細構造を表す左側面図であり、図27(B)は正面図であり、図27(C)は右側面図である。これら図27(A)〜(C)において、前述したように、上記位置決め保持部材512と上記ガイド部材520との間に上記軸部材540が設けられている。このとき、軸部材540は、例えば複数種類の長さ寸法のものが予め準備されており、この軸部材540の長さ寸法を変更することにより、異なる幅寸法のタグテープ503Aが装着可能な複数種類のテープ軸部材503を容易に製作できるようになっている。
図28は、図27(A)中Y−Y′断面における矢視断面図である。図28において、軸部材540のうち、位置決め保持部材512の第2筒部537内に嵌入される先端部には略縦長の切欠部551が形成されている。この切欠部551には、第2筒部537の内側下端部に内側半径方向に突設される位置決めリブ550が嵌入され、これによって、軸部材540を介して位置決め保持部材512とガイド部材520との位置決めをテープ幅に応じて行えるようになっている。また、位置決め部材512の取付部材513の下端部には延出部556に縦長四角形の貫通孔562が穿設され、この貫通孔562の上端縁部には、下側方向に先端部に外側方向に突出する突起部が形成された弾性係止片512Aが設けられている。
図29は、図27(A)中Z−Z′断面における矢視断面図である。図29において、前述した第1延出部542の切欠部547に、軸部材540の上記フランジ部536の内側面に突設される各位置決め突起548が嵌入され、これによって軸部材540のガイド部材に対する位置決めが行われる。
なお、以上図27〜図29は、タグテープ503Aを備えたテープ軸部材503の詳細構成を説明したが、通常テープ503A′を備えたテープ軸部材503′もほぼ同様の構成である。すなわち前述したように、軸方向寸法wのスペーサ部580が設けられないのに対応して軸部材540の寸法が短くなっている点がテープ軸部材503と異なる。また、このようにテープ軸部材503′の軸部材540はテープ軸部材503の軸部材540よりも(同一幅のテープ装着であっても)軸方向寸法長さが小さくなるが、テープ軸部材503′の軸部材540の中でも、前述と同様、異なる幅寸法の通常テープ503A′が装着可能なように軸部材540を複数種類の長さ寸法のものを用意してもよい。
図30(A)〜(E)は、それぞれ、上記テープ軸部材503又は503′の位置決め保持部材512のテープ判別部560におけるテープの種類を表すセンサ孔の穿設例を示す図である。
図30(A)は、前述したようにテープ判別部560に4つのセンサ孔560A〜560Dが設けられた例を表している。テープ軸部材収納部504の判別凹部504Bにはこれらテープ判別孔560A〜560Dに対応して前述のテープ判別センサS1〜S4が設けられている。各センサS1〜S4は、そのプランジャーが上記判別凹部504Bの底面から位置決め凹部504Aの底面部近傍まで突き出し、マイクロスイッチがオフ状態になっている。そして、各センサ孔560A〜560Dが各テープ判別センサS1〜S4に対向する位置にそれぞれ存在する場合にはプランジャーが押下されずマイクロスイッチがオフ状態にあるためオフ信号が出力され、テープ判別部560の各センサ孔560A〜560Dが各テープ判別センサS1〜S4に対向する位置にない場合には上記プランジャーが押下されてマイクロスイッチがオン状態になり、オン信号が出力されるようになっている。
このように、4つのセンサS1〜S4に4つのセンサ孔560A〜560Dの有無の検出結果を関連づけ、ひとつひとつのセンサ孔の有無を「1」と「0」に対応させることにより、テープ軸部材503又は503′に装着されたタグテープ503A又は通常テープ503A′の種類を4ビットの符号によって(言い換えれば16通りを区別して)表示できるようになっている。図30(A)〜図30(E)はそれら16通りのうちの一例をそれぞれ表しており、図30(A)はセンサ孔560A,560B,560C,560Dがすべて存在し「1,1,1,1」の検出信号が出力される場合、図30(B)はセンサ孔560A,560B,560Cが存在し「1,1,1,0」の検出信号が出力される場合、図30(C)はセンサ孔560A,560B,560Dが存在し「1,1,0,1」の検出信号が出力される場合、図30(D)はセンサ孔560Bが存在し「0,1,0,0」の検出信号が出力される場合、図30(E)はセンサ孔560C,560Dが存在し「0,0,1,1」の検出信号が出力される場合を表している。
以上のようにして、位置決め部材512の内側下端縁部に設けられたテープ判別部560が判別凹部504B内に挿入され、センサS1〜S4で各センサ孔560A〜560Dの有無が検出されることで、テープ軸部材503又は503′に装着されたタグテープ503A又は通常テープ503A′の種類が検出可能となっている。本実施形態では少なくともタグテープ503Aと通常テープ503A′の2種類を判別できれば足りるものであるが、図30のように4つのセンサS1〜S4で16種類のテープを判別できるようにしておくと、テープの種類が増加した場合に対応でき、さらにセンサの数を増やすことで、16種類以上の種類の判別が行える。
図31(A)及び(B)は、テープ軸部材収納部504に、上記タグテープ503Aを備えたテープ軸部材503を装着する場合と、上記通常テープ503A′を備えたテープ軸部材503′を装着した場合とで、テープ位置と印字ヘッド531位置との相対的な関係を示す概略図である。
本実施形態のラベル作成装置501では、上記テープ軸部材収納部504にタグテープ503Aを備えるテープ軸部材503を装着した場合には、図31(A)に示すように、上記スペーサ部580によってタグテープ503Aの位置はより紙面左側に位置し印字ヘッド531がタグテープ503Aの上記幅方向一方側に位置する無線タグ回路素子T1に重ならないように(無線タグ回路素子T1の部分に当接しないよう)に構成されている。これによって、図中L4で示される印字ヘッド531の紙面右側の一部分は、通電が不要となり、印字ヘッド531の図中L3で示される部分のみ印刷駆動回路705を制御して通電すればよいことになる(すなわち、印字駆動領域は長さL3となる)。
一方、上記テープ軸部材収納部504に通常テープ503A′を備えるテープ軸部材503′を装着した場合には、図31(B)に示すように、通常テープ503A′の位置はより紙面右側に位置し、印字ヘッド531がテープ503A′全体に正対するように構成されている。この場合、印字ヘッド531の図中L3+L4で示される部分が印刷駆動回路705の制御によって通電される(すなわち、印字駆動領域は長さL3+L4となる)
図32は、タグテープ503Aを備えたテープ軸部材503を装着した場合と、通常テープ503A′を備えたテープ軸部材503′を装着した場合とで、制御回路710が印刷駆動回路705を介して実行する印字ヘッド531の発熱素子の通電制御動作を示すフローチャートである。
図32において、まず、ステップS510で、前述したようにしてカートリッジセンサS1〜S4によりテープ軸部材503,503′の種類、言い換えればタグテープ503Aか通常テープ503A′かが検出され、そのセンサ信号が入力(識別)される。
次に、ステップS520で、上記ステップS510で入力したセンサ信号に基づき、タグ有りかどうか、即ちタグテープ503Aを備えたテープ軸部材503か通常テープ503A′を備えたテープ軸部材503′かが判断される。
タグテープ503Aであると判断された場合には、ステップS530に進み、印字ヘッド531の通電態様の設定を、図31(A)に示したような、L4部分を無通電区間とする(=印字駆動領域が長さL3のみ)一部縮小型通電とするように、印刷駆動回路705に制御信号を出力し、このフローを終了する。また、ステップS520で、通常テープ503A′であると判断された場合には、ステップS540に進み、印字ヘッド531の通電態様の設定を、図32(B)に示したような、L3+L4分の全域を通電する(=印字駆動領域が長さL3+L4)全域通電とするように、印刷駆動回路705に制御信号を出力し、このフローを終了する。
以上において、信号処理回路702及び高周波回路701の送信部712が、各請求項記載の、無線タグ回路素子のIC回路部へのアクセス情報を生成し、装置側アンテナを介して無線タグ回路素子へ送信し、IC回路部への情報書き込み又はIC回路部からの情報読み取りを行う情報アクセス手段を構成し、制御回路710(特に図32に示すフローのステップS520、ステップS530、及びステップS540)が、検出手段の検出結果に基づき、タグテープが設置されたか通常テープが設置されたかに応じて、印字手段の印字駆動領域を切り替える印字駆動制御手段を構成する。
以上のように構成した本実施の形態によれば、テープ軸部材収納部504にタグテープ503Aを備えたテープ軸部材503が設置された場合は、通常テープ503A′を備えたテープ軸部材503′が設置された場合に比べて(図31に示したようなスペーサ部580の有無によるテープ503A,503A′の位置の違いに基づき)、ラベル作成装置501内におけるテープの搬送路の位置が変わる。また、特にこの位置の違いに応じて、印字ヘッド531の印字駆動領域の長さは、L3+L4からL3へと変わる。これらにより、タグテープ503Aに備えられる無線タグ回路素子T1に(長さL3部分である)印字ヘッド531の印字駆動領域が重ならないようにすることができ、印字ヘッド531の発熱により無線タグ回路素子T1が損傷するおそれがなくなり、また印刷のかすれなどが発生する畏れがなくなる。この結果、印字つきタグラベルTと通常のラベルT′との両方を同一のラベル作成装置501で作成でき、かつ作成したタグラベルTの健全性及び印字品質を向上することができる。特にこのとき、タグテープ503Aを備えたテープ軸部材503の設置の際に印字ヘッド531の印字駆動領域の長さをL3+L4からL3へと縮小するように切り替え、長さL4部分については通電を行わないようにすることにより、上記のように無線タグ回路素子T1に印字駆動領域が重ならないようにしつつ、テープ503A′からはみ出た上記長さL4部分に対し不要な印字駆動を行わないようにし、電力消費を低減することができる。
なお、本発明は、上記各実施形態に限られるものではなく、その趣旨と技術思想の範囲を逸脱しない範囲でさらに種々の変形が可能である。以下、そのような変形例を説明する。
(1)タグラベル作成装置M側へのカートリッジの取り付け態様
上記第2実施形態においては、タグテープ503Aを備えたテープ軸部材503も通常テープ503A′を備えたテープ軸部材503′も、取付部材513を第1位置決め溝部516内に密着させつつ支持部材515に嵌め込むようにして(言い換えれば位置決め保持部材512を支持部材515側に位置決めするようにして)テープ軸部材収納部504に配置したが、これに限られない。例えば、タグテープ503Aを備えたテープ軸部材503は反対側のガイド部材520側に寄せて位置決めするようにし、通常テープ503A′を備えたテープ軸部材503′は上記のように支持部材515側に寄せて位置決めするようにしてもよい。この場合、判別凹部504Bをラベル作成装置Mの幅方向(図14中左奥〜右手前方向)における中央よりに移設し、テープ軸部材503,503′はそれぞれの上記位置決め位置で上記テープ判別部560が上記判別凹部504Bに対向するようにすればよい。この場合も上記第2実施形態と同様の効果を得る。
(2)印字ヘッドにおける通電制御(印字駆動領域の制御)のみの場合
なお、図示は省略するが、上記2つの実施の形態の変形例として、タグテープを使用する際に、スペーサ等を用いずに、印字ヘッドに対する相対位置を通常テープと同様の相対位置になるよう設置して、印字ヘッドに正対させたままにしておき、印字ヘッドの通電のみを制御してそれまでの印字駆動領域のうち無線タグ回路素子に対応する部分の通電を停止しその部分のみを印字駆動しないように(言い換えれば印字駆動領域が縮小するように)切り替え制御してもよい。
この変形例においても、上記2つの実施形態と同様、タグテープに備えられる無線タグ回路素子に印字ヘッドの印字駆動領域が重ならないようにすることができるので、印字ヘッドの発熱により無線タグ回路素子が損傷するおそれがなくなり、また印刷のかすれなどが発生する畏れがなくなる。この結果、印字つきタグラベルTと通常のラベルT′との両方を同一のラベル作成装置で作成でき、かつ作成したタグラベルTの健全性及び印字品質を向上することができる。また、タグテープを用いる場合に印字ヘッドの印字駆動領域の長さを縮小し、無線タグ回路素子に対応する部分については通電を行わないようにすることにより、電力消費を低減することができる。
(3)タグテープの他の態様
以上は、タグテープ3A,503Aがロール101,503Bを構成し、カートリッジ100またはテープ軸部材503にそのロール101,503Bが配置されてタグテープ3A,503Aが繰り出される場合を例にとって説明したが、これに限られない。例えば、複数個の有効な(未破断の)無線タグ回路素子が少なくとも配置された長尺平紙状あるいは短冊状のテープやシート(ロールに巻回されたテープを繰り出した後に適宜の長さに切断して形成したものを含む)を、所定の収納部にスタックしてカートリッジ化し、このカートリッジをタグラベル作成装置M,501側のカートリッジホルダ部2やテープ軸部材収納部504に装着して、上記収納部から移送、搬送して印字及び情報読み取り・書き込みを行いタグラベルTの作成を(ラベルT′の作成も)行うようにしてもよい。
さらにはカートリッジ方式にも限られず、上記ロールを直接タグラベル作成装置側に装着する構成や、長尺平紙状あるいは短冊状のテープやシートをタグラベル作成装置外より所定のフィーダ機構によって移送しタグラベル作成装置内へ供給する構成も考えられる。これらの場合も、上記と同様の効果を得る。
また、以上既に述べた以外にも、上記実施形態や各変形例による手法を適宜組み合わせて利用しても良い。
その他、一々例示はしないが、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更が加えられて実施されるものである。