JP4634696B2 - 環境改善機能塗材とその製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、環境改善機能塗材とその製造方法および塗装方法に関し、詳しくは、住宅の室内壁面などに施工されて、施工環境に含まれる湿度や揮発性ガスの除去などを果たして環境を改善する機能のある塗材と、このような塗材を製造する方法と、このような塗材を用いて塗装する方法とを対象にしている。
【0002】
【従来の技術】
住宅の室内壁面を、珪藻土などの無機多孔質調湿材を含有する塗り壁材あるいは塗料などの塗材で仕上げる技術が提案されている。
無機多孔質調湿材が有する調湿機能や揮発性ガス吸着機能などが、塗材を施工した環境を改善する。具体的には、例えば、シックハウス症候群やアレルギー疾患の原因とされている揮発性有害物質を吸着除去したり、カビやダニが繁殖する原因になる結露を防止したりすることができる。室内環境の湿度を一定の範囲に調整維持することができる。その他、脱臭機能やマイナスイオン放出機能なども知られている。
【0003】
これらの機能によって、室内環境を居住者にとって快適な環境に改善できるとされている。
調湿材が配合された塗壁材の具体例が、特許文献1、2に示されている。
特許文献3には、塗壁材の材料として、無機調湿材の造粒物を用いる技術が示されている。
【0004】
【特許文献1】
特開2001−193253号公報
【0005】
【特許文献2】
特開2002−47039号公報
【0006】
【特許文献3】
特開2002−114557号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、前記した環境改善機能を向上させようと、塗材に大量の無機多孔質調湿材を配合しておくと、硬化後に塗面にクラックが発生し易いという問題がある。
これは、吸湿性が極めて高い無機多孔質調湿材を含む塗材を、塗工可能な流動状態にするには、大量の水を配合する必要がある。大量の水を含有する塗材が乾燥硬化するときに、水分が放出されるのに伴って塗膜が収縮を起こし、クラックが発生するのであると考えられる。
【0008】
この問題があるために、従来の調湿機能塗材では、無機多孔質調湿材の配合量を制限しなければならず、無機多孔質調湿材が本来有する調湿機能などを十分に発揮できていなかった。
壁面の仕上げ塗装をロール塗装で行うのに適した作業性の良い塗料として知られているエマルジョン樹脂塗材は、樹脂が有する製膜性によって、クラックの発生を防止し易い。しかし、このようなエマルジョン樹脂塗材に、無機多孔質調湿材を配合すると、樹脂成分が無機多孔質調湿材のミクロ状の空隙を塞いでしまい、無機多孔質調湿材が有する機能が十分に発揮できないという欠点がある。
【0009】
塗り壁材の材料として優れた品質性能を有するとされる漆喰は、加水量が増加すると収縮が大きくなりクラックを生じ易い。また、透湿性の点で石膏などに比べて劣り、無機多孔質調湿材の機能を低下させる傾向がある。
塗装作業性が良くて、クラックの発生もなく、しかも、目的とする環境改善機能に優れた塗材は見当たらない現状であった。
本発明の課題は、無機多孔質調湿材が有する環境改善機能を有効に発揮でき、塗工作業性および塗工仕上がりも良好な塗材を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明にかかる環境改善機能塗材は、無機多孔質調湿材を含む粒状物と漆喰と繊維材とを含み、水を混合して塗工され、塗工環境を改善する機能を有する塗材であって、
前記無機多孔質調湿材を含む粒状物が、無機多孔質調湿材粒子を含有する不焼成造粒物であり、粒度200μm〜2mmの造粒物が、塗材固形分の10〜65重量%の割合で含有され、粒度200μm未満の造粒物は含有しない、ことを特徴とする。
【0011】
【発明の実施の形態】
〔塗材〕
建築物の壁面などに塗工され、施工された室内空間あるいは壁面の環境を改善する機能を有する塗材である。
環境改善機能には、湿度の調整すなわち調湿機能がある。建材などから放出されるホルムアルデヒドなどの揮発性ガスを吸着除去する機能がある。脱臭機能がある。マイナスイオンの放出機能がある。その他、施工環境を居住者あるいは使用者によって適切な環境に近づける機能である。これらの環境改善機能のうち、少なくとも1種類の機能、好ましくは複数の機能に優れた塗材である。
【0012】
塗材は、粉粒状態で提供され、塗工使用時に、水を混合して、液状あるいはスラリー状などの流動状態にしてから塗工される。
塗材には、環境改善機能を果たす成分として、無機多孔質調湿材を含む。それ以外の組成配合については、基本的には通常の塗材と同様の技術を組み合わせることができる。
〔無機多孔質調湿材〕
前記した環境改善機能を有するとされている各種の無機多孔質調湿材が使用される。無機多孔質調湿材は、その独特の多孔質構造によって、湿気の吸放出やガス吸着、イオン発生、脱臭などの機能を果たすものと考えられている。
【0013】
無機多孔質調湿材の具体例として、珪藻泥岩、珪質頁岩、アロフェン、イモゴライト、セピオライト、ゼオライト、大谷石などが挙げられる。複数の材料を組み合わせて使用することもできる。
平均細孔径が20〜200Åの範囲で、比表面積が20〜200m2/gの無機多孔質調湿材が、吸放湿性に優れる。望ましくは、平均細孔径20〜150Åの範囲である。比表面積が40m2/g以上で、平均細孔径100Å以下のものが好ましい。比表面積40m2/g以上、細孔径80Å以下のものがより好ましい。特に望ましいのは、平均細孔径20〜80Å、比表面積80m2/g以上である。このような特性を備える無機多孔質調湿材の材料として、珪質頁岩やアロフェン、セピオライトが好ましいものとなる。
【0014】
無機多孔質調湿材は、粒状物の形態で塗材に配合される。無機多孔質調湿材の原料を粉砕したままのものでもよいし、無機多孔質調湿材の粒子に他の材料を組み合わせて造粒した造粒物でもよい。
無機多孔質調湿材を含む粒状物は、粒度200μm〜2mmの粒状物を、塗材固形分の10〜65重量%の割合で含有する。好ましくは、30〜60重量%である。
適切な粒度範囲の粒状物が、塗材に配合された状態で環境改善機能を効率的に発揮できる。粒度が小さ過ぎると、塗材に配合され塗工使用されたときに表面の多孔質構造が塗材成分で塞がれ易く、目的の環境改善機能が十分に発揮できなくなる。吸水量が過剰になるため、塗材を塗工する際の加水量が増大する。過剰な水分が配合されていると、クラックが生じ易くなる。粒度が大き過ぎると、塗工が行い難くなったり、塗膜の外観品質が低下したりする。環境改善機能を良好に果たすには、前記配合割合が適切である。塗材に含まれる無機多孔質調湿材が多過ぎると、塗膜性能に悪影響を与えることがある。
【0015】
粒度200μm未満の粒状物は、塗材固形分の20重量%未満の割合でしか含有されない。好ましくは10重量%未満である。前記したとおり、粒度の小さな粒状物は、環境改善機能は果たせず無駄になるとともに、加水量を増大させたり、塗膜性能を低下させたりする悪影響がでる。したがって、粒度の小さな粒状物の割合を規制することが、環境改善機能塗材の性能向上に有効である。粒度200μm未満の粒状物が実質的に含まれないようにしておけば、より好ましい。
〔その他の成分〕
塗材には、無機多孔質調湿材に加えて、漆喰と繊維材とを含む。
【0016】
漆喰は、消石灰を主成分とする通常の塗り壁用の建築仕上げ材料である。塗材のバインダーとして機能し、製膜性を向上させ、塗膜を補強する。漆喰の配合量は、塗材固形分の30〜70重量%に設定できる。好ましくは、40〜60重量%である。漆喰が少な過ぎると、その機能が十分に発揮できない。漆喰が多過ぎると、無機多孔質調湿材の細孔空隙を塞いで、その機能を阻害する。
繊維材は、ビニロン、ポリエチレン、テトロンなどの合成繊維、あるいは、わら、スサ、麻などの天然繊維が使用される。パルプ紙も使用できる。これらの繊維材料をもみほぐして短く裁断したものが好ましい。繊維材は、塗材を塗工する際の粘性を調整したり、たれ防止を図ったり、塗膜の補強およびクラック防止などに有効である。繊維材の配合量は、塗材固形分の0.05〜8重量%に設定できる。好ましくは、0.1〜5重量%である。繊維材は、粘性、たれ防止、クラック防止に有効である。
【0017】
漆喰に加えて、他のバインダー材料を配合しておくこともできる。例えば、粘土、糊材、セメントが挙げられる。
顔料などの着色剤を配合しておくこともできる。
減水剤を配合すると、更に安定した機能性塗材ができる。
粉末樹脂を配合すれば、クラック防止に有効である。粉末樹脂の配合量は、塗材に対して1〜10重量%に設定できる。配合量が少な過ぎると、下地材に対する接着性が悪くなり、クラック防止が十分に果たせない。多過ぎると、無機多孔質調湿材の機能を損なう。粉末樹脂の材料としては、アクリル樹脂、エチレン酢酸ビニル樹脂などの高分子粉末樹脂が挙げられる。粉末樹脂の粒径は、平均粒径0.1〜200μmである。
【0018】
塗材をロール塗装に供する場合は、メチルセルロース、エチルセルロース、ポリビニルアルコール、CMCなどの増粘剤を配合しておくことが有効である。塗材のバインダーに漆喰を用いている場合、そのままではロール塗装は困難であるが、適量の増粘剤が配合されていれば、ロール塗装にも適したものになる。増粘剤の配合量は、塗材に対して0.1〜0.5重量%に設定できる。
チタン、燐酸チタニウム、鉄化合物などの触媒分解機能を有する物質を配合しておくと、無機多孔質調湿材が吸着した成分を分解除去する作用が期待できる。
〔造粒物〕
無機多孔質調湿材として、造粒物を使用すると、粒度のバラツキを少なくできる。目的に応じて、粒度の調整制御が容易である。球状の滑らかな外形が得られ、流動性が高くなって、取扱い易い。その結果、塗材の仕上がり品質が向上し、クラックの発生も低減できる。
【0019】
造粒方法は、押出し造粒、パン型造粒、混合造粒、スプレー乾燥造粒など各種の造粒方法が適用できる。粒度が安定したスプレー乾燥造粒が好ましい。
スプレー乾燥造粒では、無機多孔質調湿材を含む造粒物の原料を湿式粉砕した後、スプレー乾燥することで、造粒を果たす。原料として、平均粒径10μm程度に粉砕された粉体が使用できる。この造粒方法では、所定の粒度に揃った造粒物が容易に得られる。微紛が発生し難いので、製造歩留まりが高く、経済性にも優れている。
湿式混合粉砕後、フイルタープレスにて、塊を作り、更に、真空土練機にて円棒状に押出して成型後、適当な長さに切断し、マルメライザーにて造粒する方法も採用できる。乾燥後に粉砕する方法も適用できる。
【0020】
無機多孔質調湿材の造粒を容易にするため、造粒物の原料に、バインダーを配合しておくことが有効である。バインダーとしては、通気性バインダーが好ましい。通気性バインダーは、無機多孔質調湿材の表面細孔を塞いで機能を阻害することが少ない。バインダーとして、耐水性の高いバインダーであれば、塗材に水を混合して使用する際に、造粒物が溶解したり崩壊したりし難い。バインダーの具体例として、粘土鉱物、糊材、セメントが挙げられる。
バインダーの配合量は、バインダーの種類によっても異なるが、通常、造粒物全体の10〜30重量%に設定できる。バインダーが少な過ぎると造粒物の結合力が弱くなり、造粒作業も難しくなる。バインダーが多過ぎると、無機多孔質調湿材の割合が減って、環境改善機能を十分に発揮できなくなる。
【0021】
造粒物は、焼成して用いることもできるが、不焼成のままのほうが、無機多孔質調湿材の機能は有効に発揮できる。ただし、不焼成造粒物は、塗材の使用時に、水と混合して長時間を経過すると、粒崩れが生じ易くなり、微紛が生成され易くなる。したがって、不焼成造粒物を用いた塗材は、施工現場で水と混合し、出来るだけ速やかに塗工使用することが望ましい。
造粒物には、顔料などの着色剤を配合しておくことができる。無機多孔質調湿材が色を有し、それによって顔料の発色性が悪くなる場合は、造粒物に白色の着色剤を配合しておくことができる。この場合、造粒物を焼成したほうが、発色安定性が良く、好ましい。
【0022】
造粒物を焼成すると、粒強度、耐水性などを向上させることができる。焼成造粒物は、造粒物を1000℃以下、好ましくは950℃以下で焼成することで得られる。焼成温度が高過ぎると、無機多孔質調湿材の空隙が塞がれたりして無機多孔質調湿材の機能が損なわれる。無機多孔質調湿材の耐熱性によって、適切な焼成温度は変わる。無機多孔質調湿材として珪質頁岩を用いると、耐熱温度が高いので、950℃以下であれば、殆ど空隙を塞がず、高機能の造粒物が得られる。
無機多孔質調湿材として、吸湿率1%以上のもの、特に、吸湿率5%以上のものが好ましい。例えば、珪質頁岩では吸湿率14%、セピオライトでは14%、アロフェンでは8%、珪質泥岩では3%が達成できる。
【0023】
〔塗材の製造〕
基本的には、通常の建築用塗材と同様の製造技術が適用できる。
塗材を構成する各成分を均一に混合すればよい。塗材原料を粉砕しながら混合したり、攪拌混練したりすることもできる。必要に応じて、加熱処理や養生処理などを行えばよい。
無機多孔質調湿材は、予め準備された粒状物を配合することができる。造粒物を用いる場合、造粒物を配合してから、造粒物が崩壊したり破壊されたりしないように取り扱うのが好ましい。造粒物には、無機多孔質調湿材とバインダーのほかに、塗材を構成する成分の一部を配合しておくこともできる。
【0024】
不焼成造粒物を用いる場合、塗材には過剰の水分が存在しないことが望ましい。過剰の水分が存在すると、バインダーである漆喰の硬化が進んでしまう。塗材の水分量を20重量%未満に設定しておくことができる。好ましくは、水分量2〜13重量%である。焼成造粒物を使用する場合は、塗材にある程度の水分が存在していても構わない。
塗材は、比較的に水分量が少ない乾燥状態で製造され、輸送・保管に供する。水分量が少ない状態であれば、塗工使用までに長い期間がたっても、漆喰が硬化してしまわず、無機多孔質調湿材の粒度が安定して維持され、塗工後の調湿機能などが有効に発揮される。
【0025】
〔塗装方法〕
塗材は、住宅の屋内壁面に塗工されて、内装仕上げ面を構成することができる。住宅以外にも、集合住宅や公共施設その他の各種建築物の壁面仕上げにも適用できる。屋内のほか、屋外壁面の仕上げ施工にも適用できる。
塗材は、水を加えて流動状態にしてから塗工する。流動状態とは、粘性の少ない液状のほか、スラリー状や、粘性の強い練物状を含む概念である。塗材の配合成分と水の配合量によって、塗材の流動状態は違ってくる。
塗材に配合する水の量は、30〜70重量%に設定できる。加水量が少な過ぎると、塗工作業性が悪くなる。加水量が多過ぎると、乾燥硬化時にクラックが発生し易くなる。粒度の小さな無機多孔質調湿材の割合が少なければ、加水量は少なくても、良好な塗工作業が可能になる。特に、無機多孔質調湿材が球状の粒であると、少ない水分で良好な流動性が得られるため、比較的に大量に配合してもクラックが生じ難い。
【0026】
塗材に水を混合し均一な流動物が得られたあと、速やかに塗工することが望ましい。
塗材に水が混合された状態で長く放置されると、無機多孔質調湿材の造粒物が吸水して崩壊したり破壊されたりし易くなる。塗材に含まれる成分が無機多孔質調湿材の微細な空隙に浸入して塞ぐことも起こり易くなる。塗材を構成する粒が崩れて微細な粉末状態になり、塗工後の乾燥収縮によってクラックが生じ易くなる。
焼成造粒物を使用した場合には、水と混練後に時間がたっても、吸水によって粒が崩れることはない。しかし、漆喰の安定性などの点からは、あまり長い時間を放置しないほうがよい。
【0027】
通常は、塗材に水を配合したあと、48時間以内に塗工することが望ましい。より好ましくは8時間以内、さらに好ましくは4時間以内である。
塗材の塗工厚みは、用途や要求性能によっても異なるが、通常、0.5〜5mmに設定される。
塗工された塗材は、通常、自然乾燥によって乾燥硬化される。必要であれば、加熱乾燥や送風乾燥も採用できる。
【0028】
【実施例】
<無機多孔質調湿材の粒状物>
珪質頁岩80重量%、粘土20重量%からなる造粒原料を、湿式粉砕したあと、スプレー乾燥造粒して、粒度200μm〜1mmの範囲の不焼成造粒物Aを得た。
珪藻土を粉砕して、粒度200μm未満の粉砕物Bを得た。
<塗材の調製>
表1、2に示す配合で塗材を調製した。なお、粉末アクリル樹脂は平均粒径1μmであった。
【0029】
<塗材の使用>
塗材100重量部に、水60重量部を加えて、均一に攪拌混合した。
得られた塗材流動物を、下地板(石膏ボード板)の表面に、厚み2mmで塗工した。自然乾燥によって硬化させた。
<性能評価試験>
得られた塗面の性能を評価し、その結果を表1、2に示した。
吸湿量:
以下の手順で試験を行なった。
【0030】
1) 試験体の裏面および側面をアルミ箔テープでマスキングした。
2) 40℃の乾燥機の中に24時間静置して乾燥させた。
3) 乾燥後、前処理として、25℃、50%RHで24時間養生させたあと、重量(W0)を測定した。
4) その後、25℃、90%RHで24時間静置したあと、重量(W1)を測定した。
5) 下式により、吸湿率を算出した。
吸湿量(g/m2)=(W1−W0)/試験体表面積(m2
塗面状態:
塗面を目視観察して、塗面の外観を評価した。
【0031】
○=ダレ、ハジキ、ムラが無く、極めて良好。
△=実用的には問題がない程度に良好。
×=塗膜が均一に塗布できていない。
クラック性:
塗面を目視観察して、クラックの有無を評価した。
◎=クラックなし、極めて良好。
○=わずかにクラックが認められるが、良好。
△=クラックが認められるが、実用的には問題はない。
【0032】
×=クラック発生、不良。
付着強さ:
JIS−A6909−2000.7.10「建築用仕上げ塗材」
付着強さ試験に準じて測定した。
○=下地板(石膏ボード)の凝集破壊。
△=50%以上が下地板の凝集破壊。
×=下地板と塗膜との界面で剥離。
【0033】
【表1】
Figure 0004634696
【0034】
【表2】
Figure 0004634696
【0035】
評 価:
(1) 各実施例では、十分な吸湿性が発揮され、塗面状態、クラック性、付着強さも良好であった。
(2) 造粒物Aの割合が多過ぎる比較例1、2では、吸湿性は高いが、塗面状態が悪く、付着強さも劣るものであった。特に、比較例2は、塗面状態として強度が弱いものであった。
造粒物Aの割合が少な過ぎる比較例3では、吸湿性が低く、クラック性も良くない。
【0036】
無機多孔質調湿材粒状物の粒度が細かい比較例4では、実施例1と共通する配合でありながら、実施例1に比べて吸湿性は低く、塗面状態、クラック性、付着強さにも劣るものであった。
【0037】
【発明の効果】
本発明にかかる環境改善機能塗材は、環境改善機能を果たす無機多孔質調湿材の粒度を規定することで、無機多孔質調湿材の環境改善機能を損なうことなく、塗材を塗工したときにクラックの発生が抑制され、塗工仕上がりを良好にすることができる。
本発明にかかる環境改善機能塗材の製造方法では、粒度が適切に調整された無機多孔質調湿材の粒状物が得られ、前記した性能に優れた環境改善機能塗材を経済的に供給することができる。
【0038】
本発明にかかる環境改善機能塗材の塗装方法では、塗材の取扱いが行い易く、無機多孔質調湿材の粒度を損なうことなく、塗装を行うことができ、環境改善機能塗材の性能を有効に発揮させることができる。

Claims (4)

  1. 無機多孔質調湿材を含む粒状物と漆喰と繊維材とを含み、水を混合して塗工され、塗工環境を改善する機能を有する塗材であって、
    前記無機多孔質調湿材を含む粒状物が、無機多孔質調湿材粒子を含有する不焼成造粒物であり、粒度200μm〜2mmの造粒物が、塗材固形分の10〜65重量%の割合で含有され、粒度200μm未満の造粒物は含有しない、
    ことを特徴とする、環境改善機能塗材。
  2. 前記造粒物が、前記無機多孔質調湿材粒子と、粘土鉱物、糊材、セメントからなる群から選ばれる通気性バインダーとを含む、
    請求項1に記載の環境改善機能塗材。
  3. 前記無機多孔質調湿材が、珪藻泥岩、珪質頁岩、アロフェン、イモゴライト、セピオライト、ゼオライト、大谷石からなる群から選ばれる何れか1種を含む、
    請求項1または2に記載の環境改善機能塗材。
  4. 請求項1から3までのいずれかに記載の塗材の製造方法であって、
    前記無機多孔質調湿材を含む造粒原料を湿式粉砕した後、スプレー乾燥造粒して粒度200μm〜2mmの造粒物を製造する工程(a)と、
    前記造粒物と漆喰と繊維材とを配合して塗材を調製する工程(b)とを含む、
    ことを特徴とする、環境改善機能塗材の製造方法。
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