以下、図面を用いてこの発明の実施の形態について説明する。
図1は、この発明の一実施形態に係るディジタルミキサのブロック構成図である。このミキサ100は、中央処理装置(CPU)101、フラッシュメモリ102、ランダムアクセスメモリ(RAM)103、表示器104、電動フェーダ105、操作子106、波形I/O(入出力インターフェース)107、信号処理部108、USB(Universal Serial Bus)I/O109、その他I/O111、およびバスライン112を備える。
CPU101は、このミキサの全体の動作を制御する処理装置である。フラッシュメモリ102は、CPU101が実行する各種の制御プログラムや処理に使用する各種のデータなどを格納した不揮発性メモリ(書き換えが可能で、電源を切っても記憶された情報が失われないもの)である。RAM103は、CPU101が実行するプログラムのロード領域やワーク領域に使用する揮発性メモリである。表示器104は、このミキサの外部パネル上に設けられた各種の情報を表示するためのドットマトリクス方式のディスプレイである。電動フェーダ105は、このミキサの外部パネル上に設けられた各種パラメータの値設定用の操作子である。操作子106は、このミキサの外部パネル上に設けられた各種の操作子である。
波形I/O107は、各種の入出力機器(例えば、マイクロフォンなどの入力機器から入力したアナログ音響信号をアナログ/ディジタル変換して入力するAD変換カードや、本ミキサから出力されるディジタル音響信号をディジタル/アナログ変換してサウンドシステムに出力するDA変換カードなど)やレコーダなどとの間の入出力インターフェースである。信号処理部108は、波形I/O107経由で入力したディジタル音響信号を複数の入力ch(チャンネル)に任意に割当て、複数のミキシングバスにより各入力chの音響信号を任意にミキシングし、出力ch経由で出力する処理を行うDSP(ディジタル信号処理装置)である。各入力chや各出力chでは、フェーダ105を用いた音量レベルの制御、周波数特性の制御(イコライザ)、各種波形変形処理(コンプレッサなど)、及び効果付与処理(エフェクタ)などを行うことができる。これにより、マイクなどの入力機器から入力した音響信号に対しDSP108でミキシング・レベル設定・効果付与などの処理を施して録音したり放音するなどの処理が可能である。
USB I/O109は、USBメモリ110を接続(挿入)するためのインターフェースである。USBメモリ110の挿入口は、外部パネル上でユーザがUSBメモリ110の抜き挿しがし易い位置に設けてある。USBメモリ110がUSB I/O109に挿入されたり取り外されたりしたとき、CPU101はそれらのイベントを検出することができる。接続されたUSBメモリ110は、CPU101からデータの書き込み及び読み出しが可能である。ただし、USBメモリ110は、本ミキサから適正にアクセスする場合以外は読み書きできないようにするのがよい。その他I/O111は、本ミキサを外部からコントロールするコンピュータなどの各種の外部機器を接続するためのインターフェースである。
図2は、図1のディジタルミキサ100の外部パネル上の外観を示す。図1の表示器104、フェーダ105、及び操作子106が配置されている。201は10個の画面選択スイッチ、202はドットマトリクス表示部、203は割当chストリップ部、211〜214は上下左右のカーソル移動ボタン、215はDECボタン、216はINCボタン、217はエンターキー、218はホイールである。割当chストリップ部203は、8本の割当chストリップ203−1〜203−8を備える。1本の割当chストリップ(例えば、203−1)は、CUEスイッチ231、電動フェーダ232、ONスイッチ233、及びSELスイッチ234を備える。他の割当chストリップ203−2〜203−8も同様の構成である。
画面選択スイッチ201のうち何れかをオンすると、そのスイッチに対応する画面が表示され、割当chストリップ203−1〜203−8は、表示された画面に応じた機能に割り当てられる。例えば、第1〜第8入力ch選択スイッチをオンすると、第1〜第8入力chのパラメータ設定状況が表示部202に表示され各割当chストリップ203−1〜203−8はそれぞれ第1〜第8入力chのパラメータ設定を行う操作子として割り当てられる。第9ch以降の入力chや出力chなどについても、同様に、各chを割当chストリップ203−1〜203−8に割当ててパラメータ設定が行える。電動フェーダ232は、その割当chストリップに割り当てられたchのレベル制御用のフェーダである。ONスイッチ233は、当該chの信号のオン/オフを切り替えるスイッチである。SELスイッチ234は、ミキサの複数の入力chおよび出力chの中から、1つのchを選択chとして選択するためのスイッチである。表示部202には、既に述べた各chの音響信号の様々な処理のうちの各処理ブロックについて、選択chとして選択されたchの処理のパラメータを、詳細に表示し設定するための各処理ブロックの詳細パラメータ設定画面を表示可能であり、画面選択スイッチ201には、そのような詳細パラメータ設定画面を表示させるためのスイッチが含まれる。
詳細パラメータ設定画面上にはカーソルが表示され、カーソルがセットされているパラメータが、選択状態のパラメータである。カーソル移動ボタン211〜214を用いて、画面上に表示されているカーソルを所望のパラメータにセットし、DECボタン215、INCボタン216、及びホイール218を操作して、そのパラメータの値を変更し、エンターキー217で決定することができる。
以上のように、画面選択スイッチ201により画面を切り換え、割当chストリップの機能をその画面に応じて切り換えながら各chに関するパラメータ設定・変更を行い、あるいは、詳細パラメータ設定画面上でカーソルを移動してパラメータを選択し操作子215〜218を用いて当該選択状態のパラメータ設定・変更を行うことができる。このような操作で設定・変更するパラメータは、カレントメモリ上のパラメータである。カレントメモリはRAM103上に設けられており、本ミキサのその時どきにおける動作は該カレントメモリ上のパラメータ設定状態により規定される。
221〜225は、シーンに関連する表示部及び操作子である。シーン(シーンデータ)とは、ミキサの信号処理部108における各種処理(後述するミキシング処理304)を制御するパラメータデータ(例えば、入力ラインと入力chとの結線状態、出力chと出力ラインとの結線状態、各chにおけるパラメータ設定状態など)の組合せである。本ミキサはフラッシュメモリ102上にシーンメモリを備えており、カレントメモリ上のパラメータデータは、シーン番号を付けてシーンメモリに保存(ストア)し、逆にシーン番号を指定してシーンメモリからカレントメモリにシーンを呼び出す(リコール)ことができる。具体的な操作方法としては、アップボタン223及びダウンボタン224を用いてシーン番号表示部221に表示されるシーン番号を変更し、リコールボタン225をオンすることによりその番号のシーンをリコールする。また、シーン番号を指定してストアボタン222をオンすることにより、現在のカレントメモリ上のパラメータ設定状態を、そのシーン番号のシーンとしてストアする。シーン番号表示部221は、通常は、現在カレントメモリ上に呼び出されているシーンの番号を表示する。
本ミキサを使用するユーザは、予めユーザ名とパスワードなどを登録しておく必要がある。また、ユーザ名毎にユーザ権限が設定されており、ログインユーザ(カレントユーザ)は、そのユーザ権限の範囲内で操作を行うことができる。特別なユーザ名として「アドミニストレーター」と「ゲスト」がある(英字で「Administrator」及び「Guest」でもよい)。「アドミニストレーター」と「ゲスト」は、本ミキサの出荷時に既にファクトリプリセットされているユーザ名であり、削除することができない。「ゲスト」にはパスワードを設定できない。本ミキサの電源をオンすると、何らの操作無しに、本ミキサは自動的に「ゲスト」でログインして起動する。他のユーザ名でログインしたい場合、外部パネル上のログインボタン251をオンすると、ログイン処理が起動し画面上にユーザ選択画面が表示されるので、該画面でユーザを選択し、パスワードを入力するなどの操作でログインする。
ログアウトボタン252をオンすると、ログアウト処理が起動し、所定のログアウト確認画面が表示されるので、該画面でユーザがログアウトして良いことを指示操作すると、ログアウトする。ログアウトしたときには、自動的に「ゲスト」でのログイン処理が実行される。従って、本ミキサでは電源がオンされている限り、必ず誰かがユーザとしてログインしている状態にある。また、「ゲスト」以外のユーザがログアウトしたときには、「ゲスト」に戻る。「ゲスト」からログアウトすることはできない。
ユーザ設定操作子群253は、ログインしているユーザ自らが任意に機能を設定することができる複数の操作子が配置されている領域である。
図3は、本実施形態のミキサにおける処理がカレントメモリの設定情報に基づいて制御される様子を示す概念図である。上述したように、カレントメモリ303はRAM103内に設けられている。カレントメモリ303に設定されている各種のパラメータ値に基づいて、DSP108におけるミキシング処理304が実行される。操作子・フェーダ301は、図2に示した操作子やフェーダに対応する。操作子・フェーダ301の操作は、CPU101が実行している操作検出処理302で検出され、検出された操作に応じてカレントメモリ303のパラメータ値が設定・変更(編集)される。パラメータ値の設定・変更は、DSP108におけるミキシング処理304に反映される。
カレントメモリ303は、システム設定情報格納領域、各種パラメータ値格納領域、及び、ユーザ設定情報格納領域を持つ。システム設定情報格納領域は、本ミキサシステムが動作する上での基本的な設定情報であるシステム設定情報を設定する領域である。各種パラメータ値格納領域に設定されるデータは、主としてDSP108がミキシング処理を行う際に使用する係数データなどのパラメータの値である。ユーザ設定情報格納領域に設定されるデータは、ログインしているユーザに固有の設定情報である。ユーザ設定情報およびシステム設定情報はシーンデータに含まれない情報であり、カレントメモリ上のユーザ設定情報およびシステム設定情報は、シーンデータのリコールによって上書きされない。
ユーザ鍵ファイル310は、各ユーザ毎に設けられるファイルであり、各ユーザに固有の設定情報、すなわち当該ユーザがミキサにログインする際に必要な情報(後述するユーザ名や当該ユーザの権限データなど)を格納している。「アドミニストレーター」と「ゲスト」のユーザ鍵ファイル310は、フラッシュメモリ102内にそれぞれ1つずつ格納されている。その他のユーザのユーザ鍵ファイル310は、そのユーザ名のアカウントが新規作成されたときUSBメモリ110に格納される。「アドミニストレーター」と「ゲスト」以外のユーザは、USBメモリ110に格納して自分のユーザ鍵ファイル310を所持するので、当該ユーザ名でログインできるのは基本的に自分だけとなり、他人が自分のユーザ名で不正にログインすることを防止できる。1つのUSBメモリ110内に複数のユーザのユーザ鍵ファイル310を格納してもよい。
ユーザ鍵ファイル310は、このファイルがユーザ鍵ファイルであることを特定する識別子であるUヘッダ311、Uアカウントデータ312、U定義SWデータ313、及びUプレファレンスデータ314を備える。なお、少なくともUアカウントデータ312は暗号化されており、システムの適正な処理を介さずにユーザが参照することはできないものとする。
Uアカウントデータ312は、(1)当該ユーザのユーザ名、(2)ユーザパスワード(ユーザ名が「ゲスト」のときはNULL)、(3)設定ファイル名、(4)認証ID、及び(5)権限データを備える。(3)の設定ファイル名は、当該ユーザ名でログインされたときに読み込む設定ファイルのファイル名である。設定ファイルは、ユーザ鍵ファイルに含まれるUアカウントデータ、U定義SWデータ、及びUプレファレンスデータを除く、ミキサの全設定状態を規定する情報を保持するファイルである(図の設定ファイル330を参照して詳述する)。(5)の権限データは、当該ユーザの権限、すなわち当該ユーザにどのような機能が使用許可(あるいは使用禁止)されているかを示すデータである。
(4)の認証IDは、このユーザ名のユーザが使用するミキサの管理者である「アドミニストレーター」のパスワードであり、「アドミニストレーター」のユーザ鍵ファイル310内の(2)ユーザパスワードと同じデータである。認証IDは、このユーザがミキサにログインするとき、当該ミキサの「アドミニストレーター」のパスワード(詳しく言えば、当該ミキサの「アドミニストレーター」のユーザ鍵ファイル310内に保持されている(2)パスワード)と一致しているかがチェックされる。一致していないときは、その「アドミニストレーター」のパスワードの入力を促し、それが入力されればログインできるが、入力されないときはログインが拒否されるようにしている。
U定義SWデータ313は、図2で説明したユーザ設定操作子群253の各操作子の機能を定義するデータである。Uプレファレンスデータ314は、例えばパラメータ変更を行ったときにその書き込みの確認画面を出すか否かなど、当該ユーザの好みのオプション設定のデータである。
ログイン処理により当該ユーザが正式にログインしたときには、そのユーザのユーザ鍵ファイル310がロードされ、カレントメモリ303のユーザ設定情報格納領域に設定される。また、Uアカウントデータ312中の(3)設定ファイル名の設定ファイル330(後述)が当該ログインユーザの権限の範囲内でロードされる。以降は、ユーザ設定情報格納領域に設定された権限データに基づいて、当該ユーザに許可されている権限の範囲内で処理が行われ、また、ロードされたU定義SWデータ313及びUプレファレンスデータ314に基づいてユーザ設定操作子群253の各操作子の機能やユーザの好みのオプション設定が決定される。権限については、図12などを参照して後述する。
次に、シーンメモリ320について説明する。シーンメモリ320は、図2で説明したシーンデータを保持するメモリ領域であり、フラッシュメモリ102上に確保されている。1〜Nはシーン番号を示す。図2で説明した操作で、シーンデータをリコール/ストアできる。シーンデータをリコールすると、そのシーンデータが読み込まれてカレントメモリ303の各種パラメータ値格納領域に格納され、そのシーンデータのパラメータ値に基づいてミキシング処理が行われるようになる。シーン番号nを指定してシーンデータのストアを指示すると、カレントメモリ303の各種パラメータ値格納領域のデータがシーンメモリ320のシーンデータnに書き込まれる。
上記はシーンメモリ320についての説明であるが、ライブラリについても同様である。ライブラリとは、複数のパラメータ項目(シーンデータの一部分といえる)を一括して設定するパラメータ値の組データを集めたものである。例えば、イコライザ(EQ)のライブラリ、コンプレッサのライブラリ、エフェクタのライブラリ、というようなライブラリが用意される。例えば、320がエフェクタのライブラリであるとすると、データnをカレントメモリ303にリコールすることにより、DSP108で実現しているミキサのエフェクタのパラメータを一括して設定できる。逆に、ライブラリ内のデータの位置を指定して、現在カレントメモリ303上に設定されているエフェクタの設定をライブラリのデータnとしてストアできる。図3では、ライブラリAとBがRAM103上に用意されているとして図示してある。
次に、設定ファイル330について説明する。設定ファイル330は、各ユーザがログインするときにミキサに読み込む情報である。上述したように、ログインユーザのユーザ鍵ファイル310に設定ファイル名が記載されている設定ファイル330を読み込む。設定ファイル330には、ミキサ全体をどのように設定するかを規定する設定情報が格納されている。また、設定ファイル330は、それを読み込むユーザのユーザ鍵ファイル310が格納されている記憶媒体と同じ記憶媒体に格納される。すなわち、「アドミニストレーター」と「ゲスト」は、ユーザ鍵ファイル310がフラッシュメモリ102に格納されているので、読み込む設定ファイル330もフラッシュメモリ102に格納されている。その他のユーザは、ユーザ鍵ファイル310がUSBメモリ110に格納されているので、読み込む設定ファイル330もUSBメモリ110に格納されている。
設定ファイル330は、Sヘッダ331、システム設定領域332、カレントメモリ領域333、シーンメモリ領域334、ライブラリA領域335、ライブラリB領域336、及びその他領域337を備える。システム設定領域は、カレントメモリ303上のシステム設定情報格納領域に格納するシステム設定情報を保持する領域である。カレントメモリ領域333は、カレントメモリ303上の各種パラメータ値格納領域に格納する各種パラメータ値情報を保持する領域である。カレントメモリ303はユーザ設定情報格納領域も持つが、該ユーザ設定情報格納領域に格納されるユーザ設定情報は、設定ファイル330ではなく、ユーザ鍵ファイル310に保持される。シーンメモリ領域334は、ミキサのフラッシュメモリ102のシーンメモリ320に格納されるシーンデータを保持する領域である。ライブラリA領域335とライブラリB領域336は、フラッシュメモリ102のライブラリA及びB(320)に格納されるライブラリデータを保持する領域である。その他領域337は、その他のデータを保持する領域である。すなわち、設定ファイル330が本ミキサにロードされる際には、システム設定領域332およびカレントメモリ領域333のデータがRAM103上のカレントメモリ303の領域に、シーンメモリ領域334のデータがフラッシュメモリ102上のシーンメモリ320の領域に、ライブラリA領域335およびライブラリB領域336のデータが、フラッシュメモリ102上のライブラリA及びB(320)の領域にそれぞれ展開され、それらの展開されたデータによりミキサの動作が制御される。
図3の点線305〜307は、それぞれのデータのストア/リコールまたはセーブ/ロードの実行が、カレントユーザにその権限がある場合のみ可能であることを示すものである。ただし、ユーザ鍵ファイル310のカレントメモリ303(のユーザ設定情報格納領域)へのロードは、当該ユーザがログインするときには必ず読み込まれるものであるから、常に該ロードは許可に設定されている。
ここで、本ミキサを使用するユーザとその権限(権限の詳細な項目は図12で後述する)について説明しておく。上述したように、規定のユーザとして「アドミニストレーター」と「ゲスト」が本体内に登録されている。「アドミニストレーター」は最上位の権限を持つユーザであり、「ゲスト」は不特定の者でもとりあえずミキサを使えるように用意してあるユーザである。「ゲスト」の権限は「アドミニストレーター」のみが設定・変更できる。「アドミニストレーター」の権限は最上位の権限で固定されているので、自分自身でも権限の変更はできない。「ゲスト」は、自分自身を含めて権限の設定・変更を全く行うことができない。「アドミニストレーター」は、「一般ユーザ」と「パワーユーザ」のアカウントを新規登録できる。「一般ユーザ」と「パワーユーザ」はグループ名であり、個々のユーザ名を登録するときにそれが「一般ユーザ」か「パワーユーザ」かを指定できる。「アドミニストレーター」は、「一般ユーザ」または「パワーユーザ」である個々のユーザの権限を設定・変更できる。「パワーユーザ」は、自分自信と一般ユーザの権限を設定・変更できる(ただし、自分に与えられている権限の範囲内に限る)。一般ユーザは、自分自身の権限を参照はできるが変更はできず、また他ユーザの権限は参照もできない。なお、一般ユーザとパワーユーザとの違いはユーザの権限が設定・変更できるか否かの点だけであり、その他の権限については、権限データ内のそれ以外の権限設定項目に従う。
以上のように、ユーザごとに権限に従って許可/禁止する機能を制御しているので、スキルの低いユーザの誤動作を抑制したり、外部エンジニア(ゲストエンジニア)が操作できる範囲を制限することができ、多くの人が交代で使うケースなどで特定の担当者以外が特定のパラメータを勝手に操作するのを防ぐことができる。また、ユーザごとの好みの設定を簡単に切り替えることができる。さらに、ログオン時に、特定の設定ファイルが自動的に読み込まれるので、ログオンしたユーザは、ミキサの直前の設定がどうだったかに煩わされることなく操作を開始することができる。
次に、本実施形態のミキサにおけるユーザのログインの仕方についてまとめておく。本ミキサでは、上述したように、電源をオンすると自動的に「ゲスト」でログインして起動する。他のユーザ名でログインしたい場合は、ログインボタン251をオンし、ユーザ選択画面でユーザを選択してログインする。ログアウトボタン252をオンすると、ログアウトするが、このとき自動的に「ゲスト」でのログイン処理が実行される。従って、本ミキサでは、必ず誰かがユーザとしてログインしている状態にあり、「ゲスト」以外のユーザがログアウトしたときには「ゲスト」に戻る。
ログインボタン251とログアウトボタン252を用いる代りに、USBメモリ110の抜き挿しでログイン/ログアウトを行うことができる。すなわち、USBメモリ110を挿したとき、その中にユーザ鍵ファイルが記憶されていれば、そのユーザ鍵ファイルのユーザの一覧を画面表示し、その中からログインユーザを選択してログインできる。USBメモリ110を抜くと、自動的にログアウトする。なお、「パワーユーザ」は、USBメモリ110上でユーザ鍵ファイル310を新規作成したり編集することができるが、そのときには自分のユーザ鍵ファイル310が記憶されたUSBメモリ110が挿入口に挿してあり、そのUSBメモリ110を抜いて、ユーザ鍵ファイル310を新規作成・編集する対象のUSBメモリ110に挿し替えたい場合がある。しかし、上記USBメモリ110の抜き挿しでログイン/ログアウトを行う機能があるので、USBメモリ110を挿し替えるとカレントユーザがログアウトし、挿し替えたUSBメモリ110のユーザでログインしてしまう。そこで、「パワーユーザ」がユーザ鍵ファイル310の作成・編集を行っているときには、USBメモリ110を抜いてもログアウトせず、また新規作成・編集対象のUSBメモリ110が挿されたときもログインせずに、該「パワーユーザ」がカレントユーザの状態のままとしている。
次に、ログイン時の処理における本ミキサの特徴点について説明する。上述したように本ミキサでは、ログイン時に、当該ユーザのユーザ鍵ファイル310内の認証IDが当該ミキサの「アドミニストレーター」のパスワードと一致していることをチェックする。これにより、あるユーザが自分のユーザ鍵ファイル310をUSBメモリ110に格納して所持していれば、そのユーザは、そのユーザ鍵ファイル310内の認証IDで特定される「アドミニストレーター」の管理下にある(すなわちその「アドミニストレーター」のパスワードを保持している)ミキサであればログインして使用することができる。逆に言えば、そのユーザは、前記認証IDで特定される「アドミニストレーター」以外の「アドミニストレーター」の管理下にあるミキサにはログインできない。このような管理をすることにより、同じ「アドミニストレーター」のパスワードが設定されている1台以上のミキサとそのパスワードを認証IDとして持つ1人以上のユーザとを1グループに括ることができ、あるグループに属するユーザがそのグループに属するミキサのみを使用できるように(すなわち別のグループに属するミキサは使用不可であるように)管理できる。ミキサの管理者を変更する場合、そのミキサが保持する「アドミニストレーター」のユーザ鍵ファイル310の(2)パスワードを変更すれば、それだけで新たな「アドミニストレーター」のグループに属するユーザのみが使用できるミキサにすることができる。
また、ログイン時には、ログインするユーザのユーザ鍵ファイル310中の設定ファイル名の設定ファイルを自動で読み込んでミキサに設定するので、そのユーザに見合ったミキサの環境が即時に再現できる。また、設定ファイルの読み込みは、そのログインユーザの権限に応じて行われる。すなわち、設定ファイルに記載してあるデータでも、ログインユーザにそのデータのロード(またはリコール)の権限が与えられていないデータは読み込まれることがない。これにより、同じ設定ファイルを、異なる権限を持つユーザで共有することができ、共有してもそれぞれの権限に従った環境が再現されることになる。
図4(a)は、本ミキサの電源がオンされたとき、CPU101が実行する処理の流れを示す。ステップ401で、初期設定を行い、ステップ402で「ゲスト」のアカウントを有効化する。この処理は、「ゲスト」のユーザ鍵ファイル310を読み出し、図3で説明したように当該ユーザ鍵ファイル310の各種のデータをカレントメモリ303にロードする処理である。次にステップ403で、読み込んだユーザ鍵ファイル310のUアカウントデータ312中に設定ファイル名が記載されており、かつ、その設定ファイルがフラッシュメモリ102中に存在するか確認する。記載されていない、または、存在しないときは、ステップ404で予め決められている初期設定ファイル330(予め所定のファイル名でフラッシュメモリ102内に格納されているものとする)の全項目を図3で説明したようにカレントメモリ303などにロードする。「ゲスト」のユーザ鍵ファイル310に設定ファイル名の記載があり、かつ、その設定ファイルが存在するときは、ステップ405で、その設定ファイルの全項目をカレントメモリ303などにロードする。
次にステップ406で、各種のイベントの発生を待ち、ステップ407で発生したイベントに応じた処理を行う。イベントの発生がないとき、またはステップ407の後、ステップ408でその他の処理を行い、再びステップ406に戻る。処理を行うイベントとしては、例えばUSBメモリの挿入イベント若しくは取り外しイベント、フェーダ105の操作イベント、操作子106の操作イベント、各種の外部機器との間の通信イベント、タイマイベント、ユーザの切り替えイベントなどがある。
以上の処理により電源投入時には何らのログイン操作を行うことなしに「ゲスト」にて自動的なログインが実行される。
図4(b)は、図2のログインボタン251のオンイベントまたはUSBメモリ110の挿入イベントがあったときにCPU101が実行する処理の流れを示す。まず、ログインボタン251のオンイベントのときは、ステップ414からの処理を行う。ステップ414では、ユーザ選択処理を行う。図8(a)に、ステップ414で表示するユーザ選択画面801を示す。ミキサ本体のフラッシュメモリ102にユーザ鍵ファイル310が格納されているユーザである「アドミニストレーター」が、811に示すようにラジオボタン付きで表示されている。「ゲスト」は表示されない。ログインボタン251のオンによりログインするのは「ゲスト」以外のユーザだからである(ミキサの操作者からみた場合、「ゲスト」にログインするという概念はない)。さらに、この時点で接続されているUSBメモリ110内にあるユーザ鍵ファイル310のユーザ名の一覧が、812に示すようにラジオボタン付きで表示される。813はOKボタンであり、814は閉じるボタンである。ユーザは、表示されたユーザの中からログインするユーザをラジオボタンで選択し、OKボタン813のオンによりユーザ選択処理を終える。閉じるボタン814がオンされたときは、ユーザ選択がキャンセルされたものとみなし、これ以降の処理は行わずに現ログインユーザのログイン状態のままとする。
ステップ414の後、ステップ415で、現在のログインユーザがログインしたときに読み込んだ設定ファイルの設定状態から何らかの変更があったかを判別し、変更があったときは、ステップ416で設定ファイルのセーブ処理を行う。この処理については図5(b)で詳しく説明する。ステップ415で設定ファイルからの変更がないとき、またはステップ416の後、ステップ417で、新たに選択されたユーザのユーザ鍵ファイル310内の認証IDと当該ミキサの「アドミニストレーター」のパスワードの一致を判別する。一致していたら、当該ミキサの適正なユーザであるから、ステップ418で、その選択ユーザのパスワード認証を行う。
図9(a)に、選択ユーザのパスワード認証画面901を示す。選択されたユーザのユーザ名が911に示すように表示され、パスワード入力領域912、OKボタン913、及び閉じるボタン914が表示されている。ユーザがパスワード入力領域912にパスワードを入力し、OKボタン913をオンすると、パスワード認証が実行される。ステップ418の処理の詳細は図5(a)で説明する。
ステップ417で当該ユーザの認証IDが当該ミキサの「アドミニストレーター」のパスワードと異なる場合は、ステップ419でそのアドミニストレーターのパスワード認証処理を行い、ステップ420で認証ID更新処理を行った後、ステップ418に進む。
図9(b)は、ステップ419で表示するアドミニストレーターのパスワード認証画面902を示す。認証IDが異なるので、当該ミキサの正式のユーザであることを確認するため、当該ミキサの「アドミニストレーター」のパスワードの入力を要求するメッセージ921が表示されている。ユーザは、パスワード入力領域922に、当該ミキサの「アドミニストレーター」のパスワードを入力し、OKボタン923をオンする。正しいパスワードが入力されたときは、ステップ420で当該ユーザのユーザ鍵ファイル310内の認証IDの領域を、領域922に入力された新たな「アドミニストレーター」のパスワードに更新する処理を行う。これにより、他のミキサで作られたユーザ鍵を、必要に応じて、当該ミキサのユーザ鍵として使えるようになる。その後、ステップ418に進んで選択ユーザのパスワード認証を行う。なお、ステップ420では当該ユーザの認証IDを書換えているが、ユーザに認証IDの書換えを行うか否かを選択させてもよい。書換えを行わない場合であっても、今回は正しいアドミニストレーターのパスワードが入力されているので、認証IDのチェックはOKとしてステップ418に進むようにする。
ステップ418の後、ステップ421で、選択ユーザのアカウントを有効化する。これは、選択ユーザのユーザ鍵ファイル310の情報をカレントメモリ303のユーザ設定情報格納領域にロードする処理である。次にステップ422で、当該選択ユーザの権限データに設定ファイルのロード許可があることを確認した上で、当該ユーザのユーザ鍵ファイル310内に設定ファイル名が記載されており、かつ、ユーザ鍵ファイル310と同じ記録媒体(フラッシュメモリ又はUSBメモリ)上にその設定ファイルが存在するときは、ステップ423でその設定ファイル名の設定ファイルをロードして終了する。ステップ422で設定ファイルロードの権限がないとき、設定ファイル名の記載がないとき、または上記同じ記録媒体上にその設定ファイルが存在しないときは、そのまま終了する。設定ファイルのロード処理については図5(b)で詳しく説明する。
USBメモリ110の挿入イベントがあったときCPU101が実行する処理も同様である。まずステップ411で、ユーザ鍵の作成または編集中であるか否か判定し、そうであるときはそのまま処理を終了する。ログインしているユーザがアドミニストレーターまたはパワーユーザであるときは、ユーザ鍵の新規作成や編集が可能であり、そのため編集しようとするユーザ鍵の入ったUSBメモリに差し替えたり、新規作成するユーザ鍵を入れるためのUSBメモリに差し替える場合がある。この場合は、USBメモリ110の挿入をログインのし直しの指示と見なさずに、ステップ411から処理を終了する。ステップ411でユーザ鍵の作成または編集中でないときは、ステップ412で、挿入されたUSBメモリ110中にユーザ鍵ファイル310が存在するか判定し、存在しないときは、ステップ413でその他の処理を行い処理を終了する。ユーザ鍵ファイル310があるときは、ステップ414に進む。これ以降の処理は上述した通りである。なお、このUSBメモリ110の挿入の場合のステップ414で表示されるユーザ選択画面は、図8(b)の画面802のようなものである。USBメモリ110を挿入したということは、そのUSBメモリ110のユーザでログインすることの意志表示と見なすことができるので、画面802では、822に示すようにUSBメモリ110内のユーザのみ一覧表示している。
図5(a)は、ステップ418の選択ユーザのパスワード認証処理の手順を示す。ステップ501で、図9(a)で説明したパスワード認証画面901を表示する。ステップ502で、文字入力操作があれば、ステップ503で入力された文字をパスワード入力領域912に設定する。ステップ504でボタン操作を検出する。ボタン操作がなければ、ステップ502に戻る。閉じるボタン914がオンされたときは、キャンセルされたものとして、ステップ505でログイン処理を中止する。この場合は、呼び出し元のステップ418以降の処理も全てキャンセルし、元の状態に戻るものとする。なお、自動的にゲストのアカウントに移行するようにしてもよい。
ステップ504でOKボタン913がオンされたときは、ステップ506でそれまでに入力されているパスワードが当該ユーザのユーザ鍵ファイル310のユーザパスワードと一致しているか判別し、一致していないときはステップ507でエラー表示し、ステップ502に戻る。パスワードが一致したときは、ステップ508でパスワード認証画面901を消去して処理を終了する。
図4(b)のステップ419のアドミニストレーターのパスワード認証処理も、図5(a)の処理と同様のものである。ただし、ステップ501で表示するのは、図9(b)のアドミニストレーターのパスワード認証画面902であるものとする。
図5(b)は、図4(b)のステップ416の設定ファイルのセーブ処理の手順を示す。まずステップ511で、図10(a)の設定ファイルセーブ画面1001を表示する。この画面1001には、設定ファイル330(図3)のどの項目をセーブするかを指定するチェックボックスが表示される。例えば、「システム設定」のチェックボックス1011はチェックされ、「シーンメモリ」のチェックボックス1012はチェックされていないので、カレントメモリのシステム設定情報格納領域のシステム設定情報は設定ファイル330のシステム設定情報332にセーブされ、一方、シーンメモリ320は設定ファイル330のシーンメモリ334にセーブされないことになる。また、ログインユーザがセーブの権限を持たない項目はグレーアウト表示される。例えば、「ライブラリA」のチェックボックス1013がグレーアウト表示されているのは、現ログインユーザがライブラリAのセーブ権限を持っていないことを示している。1014はOKボタン、1015は閉じるボタンである。
ステップ511の後、ステップ512で、各項目のチェックボックスのオン/オフ指示操作があるか判別し、ある場合は、ステップ513で、指示された項目のチェックボックスの選択状態を反転する。次にステップ514でボタン操作の検出を行う。ボタン操作がないときは、ステップ512に戻る。閉じるボタン1015がオンされたときは、ステップ515をスキップして、ステップ516に進む。OKボタン1014がオンされたときは、ステップ515でチェックがオンされた項目のデータを設定ファイル330にセーブし、ステップ516に進む。なお、セーブ先の設定ファイル330は、当該ログインユーザのユーザ鍵ファイル310の設定ファイル名で特定される設定ファイルである。後述するアカウント設定処理で設定ファイル名を書き替えておけば、ログインしたときに読み込んだ設定ファイルではなく、書き替えた設定ファイル名で設定ファイルのセーブを行うこともできる。
上記では図5(b)をセーブ処理として説明したが、図4(b)のステップ423の設定ファイルのロード処理も同様の手順である。ただしロード処理では、ステップ511で図10(b)の設定ファイルロード画面1002が表示される。この画面1002には、設定ファイル330のどの項目をロードするかを指定するチェックボックスが表示される。例えば、1021のようにチェックされた項目のデータは、設定ファイル330からカレントメモリ303などにロードされる。ログインユーザがロードの権限を持たない項目はグレーアウト表示される(例えば1023)。1024はOKボタン、1025は閉じるボタンである。また、ステップ515ではチェックオンされた項目のデータをロードする処理を行い、ステップ516では図10(b)の画面1002を消去する処理を行う。
図5(b)の設定ファイルセーブ及びロード処理は、ログインやログアウトのときだけでなく、ユーザが明示的に指示して行うこともできる。
図6(a)は、図2のログアウトボタン252がオンされたとき実行されるログアウト操作イベント処理の流れを示す。ステップ601で、ログアウト画面を表示する。ログアウト画面は図示しないが、ログアウトしてよいかどうかを確認するメッセージとOKボタンを表示する画面である。ステップ602でボタン操作の有無を検出する。閉じるボタンがオンされたときは、ログアウトをキャンセルしたものとして、処理を終了する。OKボタンがオンされたときは、ステップ603で、現ログインユーザがログインしたときに読み込んだ設定ファイルのデータから何らかの設定状態の変更があったかをチェックする。変更があれば、ステップ604で設定ファイルのセーブ処理(図5(b))を実行する。次に、ステップ605で「ゲスト」のアカウントを有効化する。ステップ606で、「ゲスト」の権限データに設定ファイルのロード許可があることを確認した上で、「ゲスト」のユーザ鍵ファイル310内に設定ファイル名が記載されており、かつ、そのユーザ鍵ファイル310と同じ記録媒体(ここではフラッシュメモリ102)上にその設定ファイルが存在するかをチェックする。権限があり、設定ファイル名の記載があり、かつ、その設定ファイルがあるときは、ステップ607で設定ファイルのロード処理(図5(b))を行った後、処理を終了する。権限がないとき、設定ファイル名の記載がないとき、または上記フラッシュメモリ102上にその設定ファイルが存在しないときは、そのまま処理を終了する。
図6(b)は、USBメモリ110の取り外しイベントがあったときに実行される処理の流れを示す。ステップ611で、現ログインユーザが、取り外されたUSBメモリのユーザ鍵ファイルからログインしたユーザであるか判別する。そうでないときは処理を終了する。そうであるときは、ステップ612で、ユーザ鍵作成または編集中であるか判別する。そうであるときは、作成または編集中のユーザ鍵ファイル310が格納されているUSBメモリへの挿し替えと判断し、そのまま処理を終了する。ステップ612でユーザ鍵ファイルの作成または編集中でないときは、現ログインユーザのログアウトが指示されたものと見なし、ステップ613で「ゲスト」のアカウントを有効化し、ステップ614で「ログアウトしました」のメッセージを含むダイアログを表示する。ステップ615でダイアログ中のOKボタンの操作を待ち、OKボタンがオンされたら、ステップ616および617で上述したステップ606および607と同じ処理を実行して終了する。
図7(a)は、ユーザ鍵作成処理及びユーザ鍵アカウント設定処理の流れを示す。この処理の前提として、所定の操作により図11に示すカレントユーザ&ユーザ鍵管理画面1000が表示されているものとする。
まず、図11の画面1101について説明する。アカウント設定ボタン1111は、カレントユーザ(ログインしているユーザ)に関するパスワードや設定ファイル名及び権限の設定・変更を行うことを指示するボタンである。プレファレンス設定ボタン1112は、カレントユーザのユーザ鍵ファイル310のUプレファレンスデータ314の設定・変更を行うことを指示するボタンである。ユーザ定義SW設定ボタン1113は、カレントユーザのユーザ鍵ファイル310のU定義SWデータ313の設定・変更を行うことを指示するボタンである。ユーザ鍵作成ボタン1114は、現在接続されているUSBメモリ110内に新たなユーザのユーザ鍵ファイル310を新規作成することを指示するボタンである。ユーザ鍵アカウント設定ボタン1115は、フラッシュメモリ102内または現在接続されているUSBメモリ110内のユーザ鍵ファイル310のアカウント設定に関する設定・変更を行うことを指示するボタンである。ユーザ切換ボタン1116は、カレントユーザを切り換えるとき(ログインのし直し)を行うことを指示するボタンである。
なお、この画面1101に表示されている各ボタンは、カレントユーザの権限に応じて有効/無効化される。少なくともボタン1111〜1113はカレントユーザが自己に関するデータの参照・設定・変更を行うためのボタンであるので、有効に表示される。ただし、これらのボタンをオンしたときに表示される画面(例えば後述の図12)では、参照は許可するが設定・変更は許可しない場合がある。ユーザ切換ボタン1116も同様である。カレントユーザが新規ユーザ鍵の作成を許されていないユーザであるときは、ボタン1114はグレーアウト表示される。同様に、カレントユーザが他ユーザのユーザ鍵ファイルのアカウント設定の設定・変更を許可されていない場合は、ボタン1115はグレーアウト表示される。
図7(a)の「ユーザ鍵作成」以降の処理は、図11の画面1101でボタン1114がオンされたときに実行される処理の流れを示す。まずステップ701で、新規作成するユーザ名を入力する。次にステップ702で、入力されたユーザ名のユーザに関するアカウント設定画面(図12)を表示する。なお、「パワーユーザ」がユーザ鍵作成する場合は、ステップ701で、現在挿してあるUSBメモリを抜いて、書き込むべきUSBメモリを挿すことを促すメッセージを表示し、ユーザは、該メッセージに従って、現在挿してある自分のUSBメモリを抜き、新たに作成したユーザ鍵ファイルを格納するUSBメモリに挿し替える。この抜き挿しを行っても、上記ステップ411,612によりログアウト/ログインすることはない。また、パワーユーザについては、新規作成できるユーザが一般ユーザに制限されており、新規のパワーユーザを作成することはできない。
図12に、アカウント設定画面1201の例を示す。アカウント設定画面1201は2つのタブ1210及び1220を有し、タブ1210を指定することにより表示される図12(a)の権限設定画面では、当該ユーザの権限を設定できる。タブ1220を指定することにより表示される図12(b)のパスワード等設定画面では、パスワードや設定ファイル名を設定・変更することができる。
図12(a)の権限設定画面では、パワーユーザ指定ボタン1202が表示される。このボタンをオンすると当該ユーザはパワーユーザとなり、オフすると一般ユーザとなる。パワーユーザボタン1202をオンオフする権限を持つのは「アドミニストレーター」のみとし、他のユーザはこのボタン1202を操作できない(グレーアウト表示されている)。1211〜1215は、当該ユーザの権限を設定する各項目である。例えば、1211のユーザ設定情報に関する各項目では、「ユーザ設定セーブ」が○になっているので、当該ユーザはユーザ鍵ファイル310へのセーブが許可されている。×が設定されている項目は、当該ユーザには許可されていない権限を示す。○と×の切り替えは、このアカウント設定を実行しているログインユーザの権限に応じて許可/不許可される。すなわち、パワーユーザは、自身に権限のない項目について設定を行うことができない。
タブ1220を指定すると、図12(b)のパスワード等設定画面が表示される。1221は当該ユーザのパスワード入力領域(2つあるのは確認用に再度入力させるためである)、1222は設定ファイル名入力領域である。「ゲスト」以外であれば、各ユーザは自分のパスワードを変更できる。なお、設定ファイル名の変更はその権限があるユーザに限定される。また、設定ファイルの存在場所は、ユーザ鍵ファイルが記憶されているのと同じ記憶媒体に限定し、設定ファイル名によるサーチもその範囲で行うようにすればよい。そうすれば、そのユーザ鍵ファイルでのログイン時に、意図した設定ファイルを確実に読み込むことができる。逆に、複数のUSBメモリに記憶された複数のユーザ鍵ファイルで同じ設定ファイルを使用するという目的で、設定ファイル名にフラッシュメモリ102内の設定ファイルの名前を設定することも考えられるが、その場合、設定ファイル名が示すフラッシュメモリ内の設定ファイルの管理を厳密に行わないと、その設定ファイルがフラッシュメモリから消されたり、設定内容が改変されてしまう可能性がある。
以上のように権限やパスワードや設定ファイル名を設定・変更した後、実行ボタン1216をオンすると、当該ユーザのアカウント設定が実行される。閉じるボタン1217をオンすると、キャンセルと見なして処理を終了する。
再び図7(a)に戻って、ステップ702で、図12に示したアカウント設定画面を表示した後、ステップ703で当該画面上での設定操作の有無をチェックし、操作があれば、ステップ704で表示の切り替え(タブ1210や1220の操作の場合)や、各項目の設定変更(権限の○×の変更など)を行う。ステップ705でボタン操作の有無をチェックし、操作がなければステップ703に戻る。閉じるボタン1217がオンされたときは、そのまま終了する。実行ボタン1216がオンされたときは、ステップ706で、作成/編集したユーザ鍵ファイル310の情報を保存する。具体的には、ユーザ鍵ファイル310のうち、Uアカウントデータ312の(1)ユーザ名はステップ701で入力されたユーザ名とし、(2)ユーザパスワードと(3)設定ファイル名は図12(b)の画面で入力されたデータとする。(4)の認証IDは、アドミニストレーターのパスワード(すなわち、本ミキサのフラッシュメモリ102に格納されているアドミニストレーターのユーザ鍵ファイル310の(2)ユーザパスワード)とする。(5)の権限データは、図12(a)の画面で入力されたデータとする。U定義SWデータ313とUプレファレンス314は、ユーザが設定するデータであるのでNULLを初期値としてもよいし、予め定められたデフォルトのU定義SWデータとUプレファレンスを設定することとしてもよい。なお、(4)の認証IDは、所定の画面を表示して、このユーザ鍵の作成/編集の操作を行っているユーザが手入力で入力できるようにしてもよい。
次にステップ707で、カレントユーザがアドミニストレーターか判別する。そうでないときは、ステップ708で、いま作成・編集したユーザのログイン処理を行い、カレントユーザを切り替えて処理を終了する。なお、このログイン処理でログインが中止されたとき(ステップ505)には、元のUSBメモリは装着されていないので、元のパワーユーザのアカウントに戻すのではなく、必ずゲストのアカウントに移行せねばならない。ステップ708では、作成した新たなユーザのアカウントに自動的に切り替わるので、そのユーザアカウントの動作を直ちに確認可能である。
図11の画面1101で、ユーザ鍵アカウント設定ボタン1115がオンされたときは、図7(a)の「ユーザ鍵アカウント設定」以降の処理が実行される。まずステップ709で、ユーザ選択処理が実行される。これは、いま本ミキサに接続されているUSBメモリ110内にユーザ鍵ファイル310が格納されているユーザを図8(c)のユーザ選択画面803のように一覧表示し、その中からアカウント設定の対象となるユーザを選択させる処理である。選択されたユーザに関して、ステップ702以降の処理を実行する。これにより、図12(a)及び(b)の画面による変更が、選択されたユーザのユーザ鍵ファイル310に反映される。なお、ユーザ鍵ファイル310のUアカウントデータ312の(4)認証IDとしては、本ミキサのフラッシュメモリ102に格納されているアドミニストレーターのユーザ鍵ファイル310の(2)ユーザパスワードを書き込むものとする。これにより、当該ユーザが使用可能なミキサを簡単に切り替えられる。
なお、USBメモリ110のユーザだけでなく「アドミニストレーター」や「ゲスト」のアカウント設定を行う場合もあるので、図8(c)では本体とUSBメモリ110のユーザを831,832のように一覧表示している。なお、「アドミニストレーター」と「ゲスト」のアカウント設定を行う権限を持つのは「アドミニストレーター」のみであるので、カレントユーザがパワーユーザの場合は、本体側の一覧表示831はグレーアウトしている。833はOKボタン、834は閉じるボタンである。
図7(b)は、図11の画面1101でカレントユーザのアカウント設定ボタン1111がオンされたときの処理を示す。ステップ711で、ステップ702〜706と同様の処理、すなわち図12で説明したアカウント設定画面を表示して各種の設定変更を受け付ける処理を行う。ステップ712で、それらの設定変更を、カレントメモリ内の現アカウント情報に反映し、処理を終了する。
なお、上記実施の形態では、設定ファイルをセーブするとき(図10(a))とロードするとき(図10(b))の両方で、設定ファイルの項目を選択できるようになっていたが、何れか一方だけで項目を選択できるようにしてもよい。何れか一方だけにするのであれば、ロードするときのみ項目を選択できるようにするのが好適である。また、設定ファイルをセーブするとき、ないし、ロードするときに選択するのではなく、図12(b)の設定ファイル名を設定する画面で、どの項目をセーブするのか、ないし、どの項目をロードするのかを予め設定し、セーブ時、ないし、ロード時には、ユーザに問合せることなくその設定に従ってセーブないしロードを行うようにしてもよい。着脱可能な記憶媒体は、USBメモリに限らず、コンパクトフラッシュ、SDカード(商標)、MMCカード(商標)などの不揮発かつ書き換え可能な任意の記録媒体であってよい。パワーユーザによるアカウント設定では、設定できる項目を自身の権限がある項目に制限していたが、その制限を外し自身の権限に関わらず全項目の設定ができるようにしてもよい。
100…ミキサ、101…中央処理装置(CPU)、102…フラッシュメモリ、103…ランダムアクセスメモリ(RAM)、104…表示器、105…電動フェーダ、106…操作子、107…波形I/O(入出力インターフェース)、108…信号処理部、109…USB(Universal Serial Bus)I/O、111…その他I/O、112…バスライン。