以下に、本発明に係る画像読取装置及びその画像読取方法について、実施の形態を示して詳しく説明する。
[第1の実施形態]
<全体構成>
まず、本発明に係る画像読取装置の全体構成について簡単に説明する。
図1は、本発明に係る画像読取装置の第1の実施形態を示す全体構成図である。ここで、図1(a)は、本実施形態に係る画像読取装置の概略斜視図であり、図1(b)は、画像読取装置の概略断面図である。なお、本実施形態においては、画像表示部として透過型の表示画素アレイを備え、該画像表示部の背面側に、面光源型のバックライトを配置した構成を示す。
図1(a)、(b)に示すように、本実施形態に係る画像読取装置DVCは、大別して、液晶表示装置等の透過型の画像表示部200と、該画像表示部200の視野側(図面上方)に配置された、透過型の画像読取部100と、画像表示部200の背面側(視野側の反対側;図面下方)に配置されたバックライト(面光源)300と、を備え、少なくとも、画像読取部100の読取画素アレイ140により規定される被写体の画像読取エリアが、画像表示部200の表示画素アレイ250により規定される画像表示エリアに平面的に重なるように設定された構成を有している。
ここで、図1(a)、(b)においては、図示の都合上、画像表示部200と画像読取部100との間、画像表示部200とバックライト300との間が、相互に離間するように示したが、これらの構成は、相互に密着した積層構造を有するものであってもよいし、各構成間に、拡散フィルムや偏光板等の光学部材を介在させて密着した積層構造を有するものであってもよい。
また、本実施形態に適用されるバックライト300は、例えば、図1(a)、(b)に示すように、画像表示部200の背面側に、対向して配置されたアクリル板等からなる導光板310と、該導光板310の一側方端面側に設けられた、冷陰極線管や発光ダイオード(LED)等からなる光源320と、を備えた構成を適用することができるが、本発明はこれに限定するものではなく、例えば、有機エレクトロルミネッセンス素子(有機EL素子)や発光ダイオード等の自発光素子を2次元配列した平面型の光源を適用するものであってもよい。
画像表示部200は、例えば、図1(a)、(b)に示すように、上述したバックライト300において光が放射される導光板310の一面側(視野側)に配置されたガラス基板等の透明な絶縁性基板210と、該絶縁性基板210の一面側(視野側)に対向するように配置された透明な対向基板220と、絶縁性基板210及び対向基板220間に設けられた電極層や配線層、該電極層間に液晶が封入された液晶封入層240等からなり、画像表示エリアの全域にわたり、2次元配列された複数の液晶画素(表示画素)と、各液晶画素ごとに設けられた画素トランジスタ(詳しくは後述する)と、を備えた構成を有している。
ここで、上記画像表示エリアに2次元配列された複数の液晶画素は、表示画素アレイ250を構成する。また、対向基板220が配置されていない領域の絶縁性基板210上には、表示画素アレイ250における画像情報の表示動作を制御するための表示駆動用のドライバ(後述するゲートドライバ、ソースドライバ)230等が設けられている。
画像読取部100は、例えば、図1(a)、(b)に示すように、上述した画像表示部200の視野側に配置されたガラス基板等の透明な絶縁性基板110と、該絶縁性基板110上であって、上記画像読取エリアに2次元配列された複数のフォトセンサ(読取画素)からなる読取画素アレイ140と、読取画素アレイ140における画像情報の読取動作を制御するための走査ドライバ(走査制御手段)120及び読出ドライバ(読出制御手段)130と、を備えた構成を有している。
そして、本実施形態においては、バックライト300から放射された光が、画像表示部200の表示画素アレイ250を構成する絶縁性基板210及び対向基板220を透過し、画像読取部100の読取画素アレイ140を構成する絶縁性基板110を介して視野側に放射されることにより、画像表示エリアに表示された所望の画像情報を使用者に視認させることができる(画像表示機能)とともに、画像読取部100の画像読取エリアに載置された被写体に照射されて反射した光を読取画素アレイ140を構成する各フォトセンサにより検出することにより被写体の画像パターンを読み取ることができる(画像読取機能)。
以下、各構成について、具体的に説明する。
<画像表示部>
図2は、本実施形態に係る画像読取装置に適用される画像表示部の一例を示す要部構成図である。ここでは、画像表示部として、周知のアクティブマトリクス型の駆動方式に対応した画素構造及びドライバ構造を備える液晶表示装置を適用した場合について説明する。
図2に示すように、本実施形態に係る画像表示部(液晶表示装置)200は、大別して、多数の液晶画素(表示画素)Pxを2次元配列した透過型の液晶画素アレイ(表示画素アレイ、液晶表示パネル)250Pと、該液晶画素アレイ250Pの各行の液晶画素Px群を行方向に接続して伸延する走査ラインSLと、各液晶画素Pxを列方向に接続して伸延するデータラインDLと、各走査ラインSLに接続されたゲートドライバ(走査ドライバ)231と、各データラインDLに接続されたソースドライバ(データドライバ)232と、を有して構成されている。ここで、ゲートドライバ231及びソースドライバ232は、図1に示した表示駆動用のドライバ230を構成する。
なお、図2において、垂直制御信号は、ゲートドライバ231において、各行の液晶画素Px群を選択状態に設定するための走査信号を順次生成して出力するための制御信号であり、水平制御信号は、ソースドライバ232において、ゲートドライバ231により選択状態に設定された各液晶画素Pxに対して表示データに基づく階調表示を行うための表示信号電圧を生成して印加するための制御信号である。これらの制御信号はいずれも、例えば、図示を省略したLCDコントローラ(タイミング制御手段)等により生成されて供給される。
液晶画素アレイ250Pは、概略、図2に示すように、相互に直交して配設された複数の走査ラインSL及び複数のデータラインDLの各交点近傍に、液晶画素Pxが接続されて、マトリクス状に配列された構成を有している。ここで、各液晶画素Pxは、周知のように、走査ラインSLにゲート端子が接続され、データラインDLにソース端子が接続された画素トランジスタTFTと、該画素トランジスタTFTのドレイン端子に一端側(画素電極)が接続され、コモン信号電圧Vcomが他端側(共通電極)に印加される液晶容量Clcと、該液晶容量Clcに並列に、画素トランジスタTFTのドレイン端子に一端側(容量電極)が接続され、共通ラインCLを介して共通電圧Vcs(例えば、コモン信号電圧Vcom)が他端側(対向電極)に印加される蓄積容量Csと、を備えた構成を有している。
なお、図2に示した各液晶画素Px間には遮光性材料からなるブラックマトリクス(図示を省略)が設けられた構成を有するものであってもよい。
ゲートドライバ231は、例えば、図2に示すように、概略、図示を省略したLCDコントローラ等から供給される垂直制御信号(スタート信号、基準クロック信号、出力イネーブル信号等)に基づいて、各行の走査ラインSLに対応するシフト信号を順次出力するシフトレジスタ回路部231sと、該シフトレジスタ回路部231sから順次出力されるシフト信号を、所定の信号レベルに増幅して走査信号として、各走査ラインSLに出力する出力バッファ部231bと、を有して構成されている。
また、ソースドライバ232は、例えば、図2に示すように、概略、図示を省略したLCDコントローラ等から出力される水平制御信号(スタート信号、基準クロック信号、出力イネーブル信号等)に基づいて、各データラインDLに対応するシフト信号を順次出力するシフトレジスタ回路部232sと、該シフトレジスタ回路部232sから順次出力されるシフト信号に基づくタイミングで、アナログ信号からなる表示データ(アナログRGB)を1行単位で取り込んで保持するサンプルホールド回路部232hと、該サンプルホールド回路部232hにより保持された表示データに対応する信号電圧を、所定の信号レベルに増幅して表示信号電圧として、各データラインDLに出力する出力バッファ部232bと、を有して構成されている。
なお、図示を省略したLCDコントローラ(表示制御部)は、少なくとも、画像表示部200に供給される水平同期信号、垂直同期信号、システムクロック等の各種タイミング信号に基づいて、上記水平制御信号及び垂直制御信号を生成して、ゲートドライバ231及びソースドライバ232に供給する。
このような構成を有する画像表示部200における駆動制御方法は、まず、水平制御信号に基づいて、ソースドライバ232により液晶画素アレイ250Pの1行分の表示データが順次取り込み保持される。一方、垂直制御信号に基づいて、ゲートドライバ231により液晶画素アレイ250Pに配設された各走査ラインSLに走査信号を順次印加して各行の液晶画素Pxを選択状態に設定する。そして、上記保持した表示データに対応する行の液晶画素Pxの選択タイミングに同期して、ソースドライバ232により、上記保持した表示データに対応する表示信号電圧を、各データラインDLを介して各表示画素Pxに一斉に印加することにより、当該選択状態に設定された各液晶画素Pxに充填された液晶分子が、上記表示データに応じた配向状態に制御される。
このような一連の動作を、液晶画素アレイ250Pの各行に対して繰り返し実行することにより、上記表示データに基づく階調表示が行われ、このとき、バックライト300を点灯動作させて、放射光を液晶画素アレイ250Pの背面側から視野側に透過させることにより、表示された所望の画像情報が使用者により視認される。
<画像読取部>
図3は、本実施形態に係る画像読取装置に適用される画像読取部の一例を示す要部構成図である。なお、本実施形態及び以下に示す各実施形態においては、画像読取部を構成する読取画素として、後述するダブルゲート型フォトセンサを適用した場合について説明するが、本発明はこれに限定されるものではなく、要するに、透過型の読取画素アレイにより構成され、上述した画像表示部において表示された画像情報が、読取画素アレイを介して、視野側から良好な輝度階調で視認することができるものであれば、他の素子構造や回路構成を有するものであってもよいことはいうまでもない。
図3に示すように、本実施形態に係る画像読取部100は、大別して、多数のフォトセンサ(読取画素;後述するダブルゲート型フォトセンサ)PSを、例えば、n行×m列(n、mは任意の正の整数)のマトリクス状に配列した透過型のフォトセンサアレイ(読取画素アレイ)140Pと、各フォトセンサPSのトップゲート端子TGを行方向に接続して伸延するトップゲートラインLtと、各フォトセンサPSのボトムゲート端子BGを行方向に接続して伸延するボトムゲートラインLbと、各フォトセンサPSのドレイン端子Dを列方向に接続して伸延するドレインライン(データライン)Ldと、ソース端子Sを所定の低電位電圧(例えば、接地電位)Vssに共通に接続するソースライン(コモンライン)Lsと、各トップゲートラインLtに接続されたトップゲートドライバ120Tと、各ボトムゲートラインLbに接続されたボトムゲートドライバ120Bと、各ドレインラインLdに接続されたドレインドライバ130Dと、を有して構成されている。ここで、トップゲートドライバ120T及びボトムゲートドライバ120Bは、図1に示した走査ドライバ120に対応し、ドレインドライバ130Dは、読出ドライバ130に対応する。
なお、図3に示したトップゲート制御信号は、トップゲートドライバ120Tにおいて後述するリセット電圧(リセットパルス)及びキャリヤ蓄積電圧のいずれかとして、選択的に出力される信号φT1、φT2、…φTi、…φTn(iは1≦i≦nとなる任意の正の整数)を生成するための制御信号であり、ボトムゲート制御信号は、ボトムゲートドライバ120Bにおいて後述する読み出し電圧及び非読み出し電圧のいずれかとして、選択的に出力される信号φB1、φB2、…φBi、…φBnを生成するための制御信号であり、ドレイン制御信号は、ドレインドライバ130Dにおいて後述するプリチャージ電圧Vpgを各フォトセンサPSに印加するとともに、各フォトセンサPSに蓄積されたキャリヤに対応するデータ電圧Vrdの読み出しを制御するための制御信号である。これらの制御信号はいずれも、例えば、図示を省略したシステムコントローラ(タイミング制御手段)等により生成されて供給される。
(フォトセンサPS)
図4は、本実施形態に係る画像読取部に適用可能なフォトセンサの素子構造を示す概略断面図である。ここで、図4(a)は、本実施形態に係るフォトセンサの一構成例を示す概略断面図であり、図4(b)は、本実施形態に係るフォトセンサの等価回路図である。
上述した画像読取部100(フォトセンサアレイ140P)に適用可能なフォトセンサPSは、図4(a)に示すように、概略、励起光(ここでは、可視光)の入射により電子−正孔対が生成されるアモルファスシリコン等の半導体層(チャネル領域)11と、該半導体層11の両端に、各々n+シリコンからなる不純物層(オーミックコンタクト層)17、18を介して形成され、クロム、クロム合金、アルミニウム、アルミニウム合金等から選択された導電性材料からなり、可視光に対して不透明なドレイン電極12(ドレイン端子D)及びソース電極13(ソース端子S)と、半導体層11の上方(図面上方)にブロック絶縁膜(ストッパ膜)14及び上部ゲート絶縁膜15を介して形成され、酸化スズ膜やITO膜(インジウム−スズ酸化膜)等の透明電極層からなり、可視光に対して透過性を示すトップゲート電極TGx(第1のゲート電極;トップゲート端子TG)と、半導体層11の下方(図面下方)に下部ゲート絶縁膜16を介して形成され、クロム、クロム合金、アルミニウム、アルミニウム合金等から選択された導電性材料からなり、可視光に対して不透明な(遮光性を有する)ボトムゲート電極BGx(第2のゲート電極;ボトムゲート端子BG)と、を有して構成されている。
すなわち、本実施形態に係るフォトセンサアレイ140Pに適用されるフォトセンサPSは、いわゆる、ダブルゲート型の薄膜トランジスタ構造を有するフォトセンサ(ダブルゲート型フォトセンサ)であって、半導体製造技術を適用して、図4(a)に示すように、ガラス基板等の透明な絶縁性基板110上に薄膜形成されている。また、該フォトセンサPSを含む絶縁性基板110の一面側(視野側;図面上方)全体には保護絶縁膜(パッシベーション膜)19が被覆形成されて、該保護絶縁膜19の上面を検知面DTCとして、被写体を載置することにより、フォトセンサPSへの電気的、物理的、化学的なダメージを抑制するように構成されている。
なお、図4(a)に示したフォトセンサPSにおいて、トップゲート絶縁膜15、ブロック絶縁膜14、ボトムゲート絶縁膜16を構成する絶縁膜、及び、トップゲート電極TGx上に設けられる保護絶縁膜19は、いずれも半導体層11を励起する可視光に対して高い透過率を有する材質、例えば、窒化シリコンや酸化シリコン等により構成されていることにより、絶縁性基板110側(図面下方)に設けられた光源(図示を省略;上述した画像表示部200の背面側に設けられたバックライト300に相当する)からの放射光を図面上方に透過させるとともに、保護絶縁膜19の上面に設けられた検知面DTCに載置された被写体に反射してフォトセンサPS(詳しくは、半導体層11)に入射する光のみを検知する構造を有している。
また、図4(a)に示したような素子構造を有するフォトセンサPSは、一般に、図4(b)に示すような等価回路により表される。ここで、TGはトップゲート電極TGxに電気的に接続されたトップゲート端子、BGはボトムゲート電極BGxに電気的に接続されたボトムゲート端子、Dはドレイン電極12に電気的に接続されたドレイン端子、Sはソース電極13に電気的に接続されたソース端子である。
(トップゲートドライバ120T/ボトムゲートドライバ120B)
図5は、本実施形態に係る画像読取部に適用可能なトップゲートドライバ又はボトムゲートドライバの一構成例を示す概略ブロック図である。ここで、トップゲートドライバ120T及びボトムゲートドライバ120Bは、略同等の構成を有しているので、以下の説明においては、主に、トップゲートドライバを例にして構成を説明する。
トップゲートドライバ120T(又は、ボトムゲートドライバ120B)は、例えば、図5に示すように、概略、図示を省略したシステムコントローラ等からトップゲート制御信号(又は、ボトムゲート制御信号)として供給されるスタート信号、基準クロック信号、出力イネーブル信号等に基づいて、スタート信号を基準クロック信号に基づくタイミングで順次次段へシフトしつつ、出力イネーブル信号等に基づくタイミングで、各行のトップゲートラインLt(又は、ボトムゲートラインLb)に対応するシフト信号SG1、SG2、・・・SGnとして出力するシフトレジスタ回路部121と、該シフトレジスタ回路部121から順次出力されるシフト信号SG1、SG2、・・・SGnを、所定の信号レベルに増幅してリセットパルスφTi(又は、読み出しパルスφBi)として、各トップゲートラインLt(又は、ボトムゲートラインLb)に出力する出力バッファ部122と、を有して構成されている。
(ドレインドライバ130D)
図6は、本実施形態に係る画像読取部に適用可能なドレインドライバの一構成例を示す概略ブロック図である。
ドレインドライバ130Dは、例えば、図6に示すように、概略、図示を省略したシステムコントローラ等からドレイン制御信号として供給されるスタート信号、基準クロック信号、出力イネーブル信号等に基づいて、スタート信号を基準クロック信号に基づくタイミングで順次次段へシフトしつつ、出力イネーブル信号等に基づくタイミングで各ドレインラインLdに対応するシフト信号SD1、SD2、・・・SDmとして出力するシフトレジスタ回路部131と、ドレイン制御信号として供給されるプリチャージ信号φpgに基づくタイミング(後述するプリチャージ期間)で、各ドレインラインLdに所定のプリチャージパルス(プリチャージ電圧Vpg)を一斉に印加するプリチャージ回路部135と、ドレイン制御信号として供給されるサンプリング信号に基づくタイミング(後述する読み出し期間)で、各ドレインラインLdを介して各フォトセンサPSに蓄積されたキャリヤに対応する各データ電圧Vrd(ドレインライン電圧VD)を並列的に読み出して保持するサンプリング回路部134と、該サンプリング回路部134により読み出された(保持された)各データ電圧Vrdを所定の信号レベルに増幅するソースフォロワ回路部133と、上記シフトレジスタ回路部131から順次出力されるシフト信号SD1、SD2、・・・SDmに基づくタイミングで、ソースフォロワ回路部133から出力される増幅されたデータ電圧を、時系列的に取り出してシリアル信号に変換し、読取データ信号Vdataとして出力するパラレル−シリアル変換回路部132と、を有して構成されている。
(画像読取部の駆動制御方法)
次いで、上述した画像読取部の駆動制御方法について、図面を参照して説明する。
図7は、本実施形態に係る画像読取部における駆動制御方法の一例を示すタイミングチャートである。また、図8は、本実施形態に係る画像読取部において、指紋を読み取る場合の画像読取動作を示す概念図である。ここで、図8においては、図示の都合上、フォトセンサアレイ140Pの断面部分を表すハッチングの一部を省略する。
上述したフォトセンサアレイ140Pの駆動制御方法は、例えば、図7に示すように、所定の処理動作期間(1処理サイクル)に、リセット期間Trst、電荷蓄積期間Ta、プリチャージ期間Tprch及び読み出し期間Treadを設定することにより実現される。
図7に示すように、まず、リセット期間Trstにおいては、トップゲートドライバ120TによりトップゲートラインLtを介して、i行目のフォトセンサPSのトップゲート端子TGにリセットパルスφTi(例えば、トップゲート電圧(=リセットパルス電圧)Vtg=+15Vのハイレベル)を印加して、半導体層11に蓄積されているキャリヤ(ここでは、正孔)を放出するリセット動作(初期化動作)を実行する。
次いで、電荷蓄積期間Taにおいては、トップゲートドライバ120Tによりトップゲート端子TGにローレベルのバイアス電圧φTi(例えば、トップゲート電圧Vtg=−15V)を印加することにより、上記リセット動作を終了し、電荷蓄積動作(キャリヤ蓄積動作)をスタートする。
ここで、電荷蓄積期間Taにおいては、図8に示すように、図4に示したフォトセンサPSが形成された透明な絶縁性基板110の下方(画像表示部200の背面側)に配置されたバックライト300から放射された光Lxが、(画像表示部200及び)画像読取部100を透過して、フォトセンサアレイ140Pの上面の検知面DTCに密着して載置された被写体(指FG)に照射され、該光Lxの反射光Lyが、透明電極層からなるトップゲート電極TGxを通過して半導体層11に入射する。これにより、電荷蓄積期間Ta中に半導体層11に入射した光量に応じて、半導体層11の入射有効領域(キャリヤ発生領域)で電子−正孔対が生成され、半導体層11とブロック絶縁膜14との界面近傍(チャネル領域周辺)に正孔が蓄積される。
そして、プリチャージ期間Tprchにおいては、上記電荷蓄積期間Taに並行して、ドレイン制御信号として供給されるプリチャージ信号φpgに基づいて、ドレインドライバ130DによりドレインラインLdを介してドレイン端子Dにプリチャージパルス(例えば、プリチャージ電圧Vpg=+5V)を印加し、ドレイン電極12に電荷を保持させるプリチャージ動作を実行する。
次いで、読み出し期間Treadにおいては、上記プリチャージ期間Tprchが経過した後、ボトムゲートドライバ120BによりボトムゲートラインLbを介して、ボトムゲート端子BGに読み出しパルスφBi(例えば、ボトムゲート電圧(=読み出しパルス電圧)Vbg=+10Vのハイレベル)を印加することにより、電荷蓄積期間Taに上記チャネル領域に蓄積されたキャリヤ(正孔)に応じたドレイン電圧VD(データ電圧Vrd;電圧信号)を、ドレインラインLdを介してドレインドライバ130Dにより読み出す読み出し動作が実行される。
ここで、読み出しパルスφBiの印加期間(読み出し期間)におけるドレイン電圧VD(データ電圧Vrd)の変化傾向は、電荷蓄積期間Taに蓄積されたキャリヤが多い場合(明状態)には、電圧が急峻に低下する傾向を示し、一方、蓄積されたキャリヤが少ない場合(暗状態)には緩やかに低下する傾向を示すので、例えば、読み出し期間Treadの開始から所定の時間経過後のデータ電圧Vrdを検出することにより、フォトセンサPSに入射した光の量、すなわち、被写体の明暗パターンに対応した明度データ(明暗情報)を検出することができる。
そして、このような特定の行(i行目)に対する一連の明度データ検出動作を1処理サイクルとして、上述したフォトセンサアレイ140Pの各行(i=1、2、・・・n)に対して、同等の動作処理を繰り返し実行することにより、ダブルゲート型の薄膜トランジスタ構造を有するフォトセンサPSからなるフォトセンサアレイ140Pを、被写体の2次元画像パターン(指紋画像)を明度データとして読み取るモノクローム型の画像読取部として動作させることができる。なお、上述した一連の画像読取部の駆動制御動作は、例えば、後述するコントローラ(第3の実施形態参照)等により制御される。
<画像読取装置の画像読取方法>
次に、上述した画像表示部を備えた画像読取装置において、指紋を読み取る場合の全体動作(指紋読取動作)について詳しく説明する。
図9は、本実施形態に係る画像読取装置において、指紋を読み取る場合の全体動作の一例を示すフローチャートである。また、図10は、本実施形態に係る画像読取装置において、指紋を読み取る動作に先立って実行されるデモンストレーション表示の一例を示す概略図である。図11は、本実施形態に係る画像読取装置において、指紋を読み取る動作における指の回転移動を示す概念図である。
本実施形態に係る画像読取装置DVCにおける指紋読取動作は、図9に示すように、まず、被写体の画像パターンの読取動作(指紋読取動作)に先立って、指紋読取動作において実際に被写体(指)を回転移動させる場合と同等の被写体の動きをデモンストレーション画像(誘導情報)により表示する(ステップS101)。
ここで、デモンストレーション画像の表示は、具体的には、まず、図10(a)に示すように、画像読取装置DVCの画像表示部200に設定された画像表示エリアARiにおいて、指紋読取動作の始点側となる端部領域(回転移動の始点領域;図では、画像表示エリアARiの右側端部領域)に、指の一方側(右側)の側面がフォトセンサアレイ140P上の検知面DTCに密着しているように認識される被写体像FGiを表示する。
次いで、図10(b)に示すように、画像表示エリアARiにおいて、例えば、指紋読取動作の中間点となる中心領域に、図10(a)に示した状態から指を回転させて、指の略正面領域(腹部)が検知面DTCに密着しているように認識される被写体像FGiを表示し、さらに、図10(c)に示すように、画像表示エリアARiにおいて、指紋読取動作の終点側となる端部領域(回転移動の終点領域;図では、画像表示エリアARiの左側端部領域)に、図10(b)に示した状態から指をさらに回転させて、指の他方側(左側)の側面が検知面DTCに密着しているように認識される被写体像FGiを表示する。
このように、被写体である指の回転移動の状態を、図10(a)〜(c)の順に時系列的に表示することにより、後述する指紋読取動作における指の載置位置や回転移動の方法、当該回転移動の概略速度等を、画像読取装置DVCの使用者に視覚を通して直感的に認識させることができる。
ここで、図10においては、指の回転移動を示すデモンストレーション画像として、指の回転移動の3状態(始点、中間点、終点)のみを示したが、これらの3状態を含む連続した画像を所定の時間間隔でコマ送り表示するものであってもよいし、当該時間間隔をさらに短くして、滑らかな動画像として表示するものであってもよい。要するに、少なくとも、画像読取装置DVCの使用者に対して、後述する指紋読取動作における指の載置位置や移動方法等を直感的に認識させることができる表示であればよく、さらに、上記図10(a)〜(c)に示したようなデモンストレーション画像だけでなく、指紋読取動作に関連する情報を文字情報やイラスト、音声情報等を付加的に用いるものであってもよい。
次いで、図11(a)に示すように、画像読取部100に設定された画像読取エリアARsの上記始点領域に、使用者が被写体となる指を傾斜させて、指FGの一方側(右側)の側面が密着するように載置し(ステップS102)、その後、例えば、使用者が指紋読取動作を開始するためのスイッチを押す等の操作を行うことにより(ステップS103)、上述した画像読取部100における駆動制御方法に基づいて、図11(a)〜(c)に示すように、指FGの回転移動方向に対応して、画像読取エリアARsの一方側(図面右側)から他方側(図面左側)へ読取領域(読取動作を実行している行)RGsを走査しながら指紋を読み取る指紋読取動作(画像読取動作)を実行する(ステップS104)。
ここで、ステップS104における指紋読取動作は、図3に示した画像読取部100(フォトセンサアレイ140P)において、1行目のフォトセンサPSから順に行ごとに指紋を読み取る動作を、一定方向(図3の下方)に走査するように順次行うことになるが、このとき、使用者は、当該指紋読取動作に先立って(直前に)表示されたデモンストレーション画像に基づいて、指の載置位置や回転移動の方法、当該回転移動の概略速度等を認識しているので、当該デモンストレーション画像と同様のタイミングで指FGを回転移動させることにより、画像読取部100において、読取動作を実行している行(読取領域RGs)のフォトセンサPSの直上に、指FGが載置されるとともに、当該指FGの概ね所望の領域が検知面DTCに密着された状態を実現することができる。
したがって、本実施形態に係る画像読取装置及びその駆動制御方法によれば、画像表示部上に透過型の画像読取部を積層した構成を有しているので、指紋読取動作に先立って、画像表示部にデモンストレーション画像を表示することにより、画像読取動作を実行する行のフォトセンサの配置位置に対して、概ね対応する領域に指を載置させることができ、さらに、フォトセンサアレイにおける各行の走査速度に概ね対応させて指を回転移動させることができる。
これにより、指の回転移動に対応させて画像読取動作のタイミング制御を行う必要がなく、また、画像読取動作中に指の載置位置を指示するためのガイド表示機構等を別途設ける必要もないので、簡易な制御方法かつ簡易な装置構成で、撮像ミスを抑制しつつ、良好な画質を有する指紋画像(回転指紋画像)を取得することができる。
特に、本実施形態においては、検知面上を回転移動する指(被写体)の各回転状態(載置位置)ごとに、当該指が密着した領域の指紋画像を読み取ることができ、また、当該読取領域における画像読取動作を、読取領域を走査しながら順次繰り返し実行することにより、フォトセンサアレイにおける1回の走査駆動制御(読取動作)のみで、曲面を有する指の側面をも含む広い範囲の指紋画像を迅速かつ良好に取得することができる。
また、フォトセンサアレイの各行(読取領域)ごとの画像読取動作により出力される読取データ信号がそのまま指紋画像の一部を構成するので、上述した従来技術に示したように指紋画像の抽出、合成といった複雑な処理を行う必要がなく、動作処理負担を軽減することができるとともに、簡易な回路構成で適切に画像読取動作(指紋読取動作)を実行することができる。
さらに、本実施形態においては、画像読取装置の構成として、液晶表示装置等からなる薄型の画像表示部の視野側に、透明な絶縁性基板上に薄膜技術を用いて製造された透過型のフォトセンサアレイを備えた画像読取部を配置(積層)した構成を有しているので、従来技術に示したような三角プリズムやCCD等を用いた光学系を有する装置構成に比較して、画像読取装置(指紋読取装置)全体を大幅に小型薄型化することができ、当該画像読取装置を小型の電子機器等にも良好に適用することができる。
<画像読取装置の他の構成例>
次に、本実施形態に係る画像読取装置の他の構成例について説明する。
図12は、本実施形態に係る画像読取装置の他の例を示す全体構成図である。ここで、図12(a)は、本構成例に係る画像読取装置の概略斜視図であり、図12(b)は、画像読取装置の概略断面図である。なお、上述した実施形態と同等の構成については、同一の符号を付してその説明を簡略化する。
上述した実施形態(図1参照)においては、面光源を構成するバックライト300と、透過型の液晶画素アレイ250Pを備えた画像表示部200を適用した構成を示したが、本発明はこれに限定されるものではない。すなわち、画像読取部100(フォトセンサアレイ140P)上の検知面DTCに載置された被写体(指)に対して、画像読取部100の背面側(視野側と反対側)から光を照射することができる構成を有しているものであればよい。例えば、図12(a)、(b)に示すように、絶縁性基板410上に有機エレクトロルミネッセンス素子(有機EL素子)や発光ダイオード等の発光素子を含む表示画素を2次元配列した表示画素アレイ430を備えた自己発光型の画像表示部(画像表示部、面光源、自己発光型の表示パネル)400を適用するものであってもよい。
ここで、例えば、有機EL素子を含む表示画素を適用する場合にあっては、図12(a)、(b)に示すように、上記絶縁性基板410の一面側(図面上方)に、各画素領域に対応して有機EL層及び電極層(図示を省略)等により形成された表示画素を、2次元配列した表示画素アレイ430により画像表示エリアが規定され、該画像表示エリア以外の領域の絶縁性基板410に配置された表示駆動用のドライバ420から供給される制御信号に基づいて、表示駆動動作が制御される。
このような自己発光型の画像表示部を備えた画像読取装置によれば、当該画像表示部から放射される光により、所望の画像情報の表示動作、及び、画像読取部における被写体の画像パターン(指紋)の読取動作の双方を実現することができるので、上述した実施形態(図1参照)に示したバックライトや、該バックライトを点灯制御(発光制御)するための制御回路や電源回路等を省略して画像読取装置の装置構成をより小型、軽量、薄型化することができるとともに、消費電力の大幅な削減を図ることができる。
[第2の実施形態]
次に、本発明に係る画像読取装置及びその画像読取方法の第2の実施形態について、図面を参照して説明する。
<画像読取装置>
図13は、第2の実施形態に係る画像読取装置に適用される画像読取部の一例を示す要部構成図である。ここで、上述した第1の実施形態と同等の構成については、同一の符号を付してその説明を簡略化する。
上述した第1の実施形態においては、指紋読取動作に先立ってデモンストレーション画像を表示する場合について説明したが、本実施形態においては、指紋読取動作中、指(被写体)に照射する光を、画像読取エリアの全域ではなく、画像読取動作を実行している行(読取領域)に対応する領域のみを介して透過させるように設定されている。
このような指紋読取動作を実現するために、本実施形態に係る画像読取装置DVCに適用される画像読取部100(フォトセンサアレイ140P)は、図13に示すように、行ごとに配列されたフォトセンサPSのトップゲート端子TG相互を共通に接続するトップゲートラインLtと、ボトムゲート端子BG相互を共通に接続するボトムゲートラインLbとの配置関係が、行番号の小さい側にボトムゲートラインLbが配設されるとともに、行番号の大きい側(画像読取動作が実行される行の走査方向(図中、矢印で表記);換言すれば、指FGの回転移動方向)にトップゲートラインLtが配設されるように構成されている。
<画像読取装置の画像読取方法>
次に、上述した画像読取部を備えた画像読取装置における指紋読取動作(画像読取動作)について説明する。
図14は、本実施形態に係る画像読取装置における指紋読取動作の一例を示すフローチャートである。また、図15は、本実施形態に係る画像読取装置において、指紋読取動作における指への光の照射状態を示す概念図である。ここで、上述した第1の実施形態と同等の制御動作については、その説明を簡略化する。
本実施形態に係る画像読取装置DVCにおける指紋読取動作は、図14に示すように、上述した第1の実施形態(図9参照)と同様に、まず、指紋読取動作に先立って、所定のデモンストレーション画像を画像表示部200に表示して(ステップS201)、指紋読取動作における指の載置位置や回転移動の方法、当該回転移動の概略速度等を、画像読取装置DVCの使用者に認識させる。
次いで、上記デモンストレーション画像にしたがって、画像読取部100に設定された画像読取エリアARsの始点領域に指FGを載置し(ステップS202)、その後、指紋読取動作を開始する操作を行うことにより(ステップS203)、図15(a)〜(c)に示すように、指の回転移動に対応して、画像読取エリアARsの一方側(図面右側)から他方側(図面左側)へ読取領域(読取動作を実行している行)を走査しながら指紋を読み取る指紋読取動作(画像読取動作)を実行する(ステップS204)。
ここで、ステップS204における指紋読取動作においては、指FGに光を照射する照射領域(照明領域;誘導情報)を、当該指紋読取動作における電荷蓄積時間に対応する行範囲を含む領域(少なくとも読取動作を実行している1行の読取領域RGsを、最小限の領域とする任意の範囲の領域)に設定し、当該照射領域を指FGの回転移動に対応させて(実際にはデモンストレーション画像により表示した指の移動方法、移動速度等に対応するものであって、上記指紋読取動作における読取領域RGsの走査制御に対応させて)順次移動させていくように制御する。
ここで、図13に示したフォトセンサアレイ140Pを備えた画像読取部100において、上記照射領域(照明領域)となる画像表示部200における白表示領域DSwの幅は、上述した画像読取動作が行われる各行のトップゲートラインLtとボトムゲートラインLb間の幅が最小単位幅となるように設定される。
この照射領域DSwを読取領域RGsの走査制御に対応させて順次移動させていく方法は、具体的には、画像表示部200に設定された画像表示エリアARiにおいて、少なくとも上記読取領域RGsを最小限の領域として含む任意の範囲の領域に対応して、白表示領域DSwを設定し、画像表示エリアARsのその他の領域を黒表示領域DSbに設定する。
より具体的には、画像読取動作時に、被写体(指)の所定の領域に対して光を照射するために、画像表示部200において設定される白表示領域DSwは、画像読取部100のフォトセンサアレイ140Pにおいて、特定の行(i行)のトップゲートラインLtに対してトップゲートパルス(リセットパルス)を印加することによりリセット状態に設定され、当該リセット動作の終了タイミングに同期して(又は、リセット動作の終了後)、画像表示部200の液晶画素アレイ250Pにおいて、当該i行に対応する領域において白表示を開始し、また、ボトムゲートラインLbに対してボトムゲートパルス(読み出しパルス)を印加することにより設定される読み出し動作の開始タイミングに同期して(又は、読み出し動作の開始前)に、上記画像表示部200における白表示を終了することにより、各行のフォトセンサPSにおける電荷蓄積期間、すなわち、白表示の表示期間が設定される。
そして、この白表示領域DSwを上記読取領域RGsの走査制御に対応させて順次移動させていくことにより、指FGの回転移動に対応させて指紋画像を良好に読み取ることができる。
これにより、指紋を撮像している領域(読取領域RGs)付近のみが白表示状態に設定されて、指FGに光が照射されるので、画像読取装置DVCの使用者は、当該白表示領域DSwの動きにより指FGの載置位置や回転移動の速度等が認識し易くなり、指FGを回転移動させる際のガイドにすることができる。
したがって、指紋読取動作に先立って、画像表示エリアにデモンストレーション画像を表示し、さらに、指紋読取動作中に白表示領域(照射領域)を所定の走査方向に所定の移動速度で表示する簡易な動作制御のみで、曲面を有する指の側面をも含む広い範囲の指紋画像(回転指紋画像)を良好に読み取ることができる。
また、所定の走査方向に移動する白表示領域に対して、フォトセンサアレイの各行トップゲートラインが走査方向前方側に配設され、ボトムゲートラインが走査方向後方側に配設されているので、トップゲートパルス(リセットパルス)により設定されるリセット動作、及び、ボトムゲートパルス(読み出しパルス)により設定される読み出し動作、並びに、これらのパルスにより設定される電荷蓄積期間の実行タイミングを、簡易な制御方法で、上記白表示領域の移動タイミングに対応させることができる。
なお、本実施形態においては、画像表示部の構成として、上述した第1の実施形態において図1に示したように、透過型の画像表示部とバックライトを備えるものであってもよいし、図12に示したように、自己発光型の画像表示部を備えるものであってもよい。ここで、前者の構成においては、指紋読取動作期間中、継続してバックライトを点灯しておく必要があるが、後者の構成においては、上述した白表示領域を行う表示画素のみを発光動作させればよいので、画像読取装置における消費電力を削減することができる。
[第3の実施形態]
次に、本発明に係る画像読取装置及びその画像読取方法の第3の実施形態について、図面を参照して説明する。
(画像読取装置)
図16は、本発明に係る画像読取装置の第3の実施形態を示す要部ブロック図である。ここでは、上述した第1の実施形態に示した画像読取装置のうち、画像表示部を省略した構成を示す。また、第1の実施形態と同等の構成については、同一又は同等の符号を付してその説明を簡略化する。
図16に示すように、本実施形態に係る画像読取装置DVCは、上述した第1の実施形態と同等の画像読取部100、画像表示部200(図示を省略)、バックライト300に加え、これらの各構成を制御するとともに、画像読取装置DVCの外部に設けられた外部機能部600とのデータのやり取り等を行うシステム制御部500を備えた構成を有している。
ここで、図16において、画像読取部100に設けられたA/Dコンバータ150は、ドレインドライバ130Dを介して読み出されたアナログ信号からなる読取データ信号(データ電圧Vrd)を、デジタル信号からなる階調データ(明度データ)に変換するアナログ−デジタル変換器(以下、「A/Dコンバータ」と略記する)である。
システム制御部500は、少なくとも画像読取部100における被写体の画像パターンの読取動作制御や、画像読取部100により取得された読取データ信号に基づく画像データ(画像情報)の生成制御、バックライト300の点灯制御(発光制御)に加え、画像データの加工や照合等の所定の画像処理を実行する外部機能部600とのデータのやり取り等の制御を行うとともに、後述する読取感度調整動作を実行して、被写体の画像パターンの読取動作時における被写体に最適な読取感度を設定する機能を備えたコントローラ(読取感度設定部、画像生成手段)510と、該コントローラ510のワークエリアとして用いられ、取得した階調データや画像データ、フォトセンサの読取感度の設定等に関連する処理データ等を一時的に保存(記憶)するRAM520と、コントローラ510の制御プログラムや制御用各種データを保持するROM530と、を備えている。
図17は、本実施形態に係る画像読取装置に適用されるコントローラの一構成例を示す概略図である。なお、ここでは、後述する読取感度調整動作を実行するために必要なコントローラの一構成例を示すものに過ぎず、本発明はこの構成に限定されるものではない。要するに、被写体に応じた適切な読取感度を設定する感度調整動作を実行するために必要な構成を有するものであれば、他の構成を有するものであってもよい。
本実施形態に係る画像読取装置DVCに適用可能なコントローラ510は、例えば、図17に示すように、少なくとも、トップゲートドライバ120Tやボトムゲートドライバ120B、ドレインドライバ130Dに各制御信号φtg、φbg、φpgを供給して、各動作状態を制御するデバイスコントローラ511と、各種データを管理するとともに、RAM520やROM530との間でデータ等の書き込み/読み出し、外部機能部600へのデータの出力等を行うデータコントローラ512と、これらのコントローラ511、512を所定の制御プログラムにしたがって統括するとともに、外部機能部600との間で制御信号のやり取りを行うメインコントローラ513と、以下に説明するような機能を備えたデータ比較器514、加算器515、データセレクタ516、感度調整制御部517及びバックライト発光制御部518を備えている。
データ比較器514は、後述する感度調整用読取動作において、フォトセンサアレイ140Pに配列されたフォトセンサPSにおいて、読取感度(すなわち、上述した電荷蓄積期間)を変化させつつ読み取った被写体画像の階調データ(明度データ)について、各読取感度における階調データ相互の大小関係を比較して、飽和値を除く最大値及び最小値を抽出するとともに、後述する加算器515によりフォトセンサPSの読取感度ごとに算出されるダイナミックレンジ(階調データの最大値及び最小値の差分からなるデータ範囲)の最大値を抽出する。
また、加算器515は、データ比較器514により抽出された、フォトセンサPSの各読取感度における階調データの最大値及び最小値の差分から、各読取感度ごとのダイナミックレンジを算出して、データセレクタ516へ出力する。
データセレクタ516は、A/Dコンバータ150を介して入力された階調データ、及び、データ比較器514、さらには、加算器515を介して処理された階調データ(ダイナミックレンジ等)、並びに、処理済みデータ等を入力とし、これらのデータを必要に応じてRAM520への書き込みや読み出し、あるいは、データ比較器514や加算器515への再入力、データコントローラ512を介しての外部機能部600への出力等の動作を切り換え制御する。
感度調整制御部517は、感度調整用読取動作時においては、データコントローラ512からの制御信号に基づいて、フォトセンサアレイ140Pに配列されたフォトセンサPSの読取感度(電荷蓄積期間)を、行ごとに段階的に変化させるように、デバイスコントローラ511からトップゲートドライバ120T、ボトムゲートドライバ120B及びドレインドライバ130Dに出力する各制御信号φtg、φbg、φpgのタイミングを制御する。また、感度調整用読取動作後の正規の画像読取動作(指紋読取動作)時においては、上記感度調整用読取動作により取得された階調データに基づいて選択された最適な読取感度がフォトセンサPSに設定されるように、デバイスコントローラ511から出力される各制御信号φtg、φbg、φpgのタイミングを制御する。
また、バックライト発光制御部518は、メインコントローラ513からの制御信号に基づいて、少なくとも、感度調整用読取動作及び正規の画像読取動作において、バックライトBLを所定の輝度で発光させて、フォトセンサアレイ140P上面の検知面DTCに載置された被写体(指FG)に照射させる制御を行う。
これにより、コントローラ510は、トップゲートドライバ120T、ボトムゲートドライバ120B及びドレインドライバ130D(プリチャージ回路部135)に、各制御信号φtg、φbg、φpgを出力することにより、図7に示したように、リセット期間においては、トップゲートドライバ120Tから、各フォトセンサPSのトップゲート端子TGにトップゲートパルス(リセットパルス)φTを印加する動作、読み出し期間においては、ボトムゲートドライバ120Bから、各フォトセンサPSのボトムゲート端子BGにボトムゲートパルス(読み出しパルス)φBを印加する動作、プリチャージ期間においては、ドレインドライバ130D(プリチャージ回路部135)から、各フォトセンサPSのドレイン端子Dにプリチャージパルス(プリチャージ電圧Vpg)を印加する動作を各々制御する。
そして、コントローラ510には、被写体の画像パターン(指紋)に対応して各フォトセンサPSに蓄積された電荷量に応じたドレイン電圧VD(データ電圧Vrd)がサンプリング回路部134により検出され、ソースフォロワ回路部133、パラレル−シリアル変換回路部132及びA/Dコンバータ150を介してデジタル信号に変換されて、階調データとして入力される。コントローラ510は、この階調データに基づいて被写体の画像データを生成して、例えば、RAM520への書き込みや読み出し、あるいは、外部機能部600への出力を実行する。なお、外部機能部600としては、任意の画像処理や画像表示を行うことができる機器であればよく、例えば、近年普及が著しいパーソナルコンピュータ等であってもよい。
<画像読取装置の画像読取方法>
次いで、本実施形態に係る画像読取装置における画像読取方法(読取感度調整動作、指紋読取動作)について説明する。
図18は、本実施形態に係る画像読取装置における画像読取方法の一例を示すフローチャートである。また、図19は、本実施形態に係る画像読取装置において、感度調整用読取動作に先立って実行されるガイド表示の一例を示す概略図である。なお、以下に示す一連の画像読取方法(読取感度調整動作)は、本発明に係る画像読取装置に適用可能な一例を示すものに過ぎず、本発明はこの方法に限定されるものではない。
本実施形態に係る画像読取装置DVCの画像読取方法は、大別して、被写体(指)に対する正規の被写体画像読取動作(指紋読取動作)に先立つ任意のタイミングで、フォトセンサアレイ140Pに配列された各行のフォトセンサごとに読取感度を変化させて、被写体の画像パターン(指紋画像)を読み取る感度調整用読取動作、及び、該感度調整用読取動作により取得された階調データに基づいて、被写体の画像パターンや表面特性、画像読取装置DVCの使用環境等に対応した最適な読取感度(電荷蓄積期間)を抽出する最適感度導出動作からなる読取感度調整動作と、上記抽出された最適な読取感度を用いて被写体の画像パターンを読み取る正規の被写体画像読取動作(指紋読取動作)と、を順次実行するように、上述したコントローラ510により画像読取装置DVCの各構成を制御する。ここで、以下に示す一連の処理手順は、例えば、ROM530にあらかじめ格納された制御プログラムがRAM520にロードされて、コントローラ510により実行されることにより実現される。
本実施形態に係るコントローラ510による処理動作は、上述した感度調整用読取動作、最適感度導出動作、正規の被写体画像読取動作が順次実行されるが、図18に示すように、まず、感度調整用読取動作に先立って、画像表示部200により画像表示エリアARiに、被写体(指FG)の画像読取動作(指紋読取動作)に先立って感度調整用読取動作を実行する旨、及び、当該感度調整用読取動作における被写体の載置位置や載置方法等を、文字情報や画像情報からなるガイド情報により表示(報知)して画像読取装置DVCの使用者に認識させる動作を実行する(ステップS311)。なお、感度調整用読取動作を事前に認識させる方法としては、上述した画像表示エリアARiへの表示に加え、音声情報や画像読取装置DVCが搭載された機器の振動等により報知するものであってもよい。
ここで、画像表示エリアARiに表示される感度調整用読取動作に関するガイド表示は、例えば、図19(a)、(b)に示すように、矩形状の感度調整用の読取領域RGa(図示の都合上、便宜的にハッチングを施して表記する)とともに、当該領域に重ねて被写体像FGiを表示して、被写体の載置状態(指の傾斜状態等)を認識させるようにしてもよいし、読取領域RGaのみを表示して、図示を省略した文字情報や音声情報により当該読取領域RGaに被写体を密着させて載置するように報知するものであってもよいし、読取領域RGaを表示することなく、被写体画像のみを表示するものであってもよい。
また、画像表示エリアARiに表示される感度調整用の読取領域RGaは、図19(a)に示すように、画像読取エリアARsの端部領域(例えば、指紋読取動作の始点となる端部領域)に配置されるものであってもよいし、図19(b)に示すように、それ以外の任意の領域(例えば、画像読取エリアARsの中央領域等)に配置されるものであってもよい。
次いで、上記感度調整用読取動作に関するガイド表示(感度調整用の読取領域RGa)に基づいて、使用者が被写体(指)を画像読取エリアARsの読取領域RGa上の検知面DTCに載置し、その後、例えば、感度調整用の読取動作を開始するためのスイッチを押す等の操作を行うことにより、以下に説明するような一連の感度調整動作を実行する。
まず、感度調整用読取動作においては、メインコントローラ513によりデバイスコントローラ511に読取感度調整動作の動作モードが設定されるとともに、データコントローラ512を介して感度調整制御部517に感度調整用読取動作のための読取感度が設定される。
これにより、デバイスコントローラ511から、トップゲートドライバ120T、ボトムゲートドライバ120B及びドレインドライバ130Dに各制御信号φtg、φbg、φpgが供給されることにより、フォトセンサアレイ140Pの検知面DTCに載置された被写体(指FG)の画像を所定の読取感度で読み取る動作を実行する(S101)。
具体的には、フォトセンサアレイ140Pに設定された感度調整用の読取領域RGa内の各行ごと、あるいは、複数行おきに、段階的に読取感度が異なるように設定され、図7に示したように、各行ごとのフォトセンサPSを順次駆動することにより、単一の被写体を複数の異なる読取感度で読み取る感度調整用読取動作が実行される(S301)。なお、感度調整用読取動作に適用される読取感度の設定方法の具体例については、詳しく後述する。
そして、このような感度調整用読取動作によりフォトセンサアレイ140Pの各フォトセンサPSからドレインドライバ130Dに取り込まれたデータ電圧Vrdは、A/Dコンバータ150を介して、デジタル信号からなる階調データに変換されてコントローラ510に取り込まれ、例えば、直接データセレクタ516を介してRAM170に格納されるか、もしくは、一旦データ比較器514に入力される。
次いで、最適感度導出動作においては、データコントローラ512によりデータセレクタ516を介して、上記ステップS301により取得された階調データのうち、各読取感度ごと(すなわち、例えば、各行ごと)にフォトセンサPSから得られた階調データを抽出してデータ比較器514に読み込み(S302)、各読取感度ごとに階調データ相互の大小関係を比較して、最大となる階調データ(最も明るい階調に相当する)及び最小となる階調データ(最も暗い階調に相当する)を抽出する(S303)。
そして、データコントローラ512により制御される加算器515により、各読取感度ごとに抽出された階調データの最大値と最小値の差分、すなわち、ダイナミックレンジ(階調データのデータ範囲)を算出し(S304)、その結果をデータセレクタ516を介して、RAM520に一旦格納する。このようなダイナミックレンジの算出処理を各読取感度ごとに順次実行する。
次いで、RAM520に格納された各読取感度ごとのダイナミックレンジを、データセレクタ516を介して、データ比較器514に読み込み、読取感度に対するダイナミックレンジの変化傾向から、例えば、ダイナミックレンジが最大となる読取感度を抽出する(S305)。
これにより、メインコントローラ513は、抽出された当該読取感度を、被写体(指FG)の画像パターンに対応した良好なコントラストを得ることができる最適な読取感度(電荷蓄積期間)であると決定する(S306)。なお、最適感度導出動作に適用される最適な読取感度の導出方法の具体例については、詳しく後述する。
そして、上述した一連の感度調整用読取動作及び最適感度導出動作からなる、当該被写体についての読取感度調整動作が終了した時点で、図18に示すように、画像表示部200により画像表示エリアARiに、当該読取感度調整動作が終了した旨を、文字情報や画像情報からなるガイド情報により表示(報知)して、画像読取装置DVCの使用者に認識させてもよいし、当該画像表示エリアARiへの表示に加えて、音声情報や画像読取装置DVCが搭載された機器の振動等により報知するものであってもよい(ステップS312)。
次いで、図18に示すように、正規の被写体画像読取動作に先立って、画像表示部200により画像表示エリアARiに、上述した第1の実施形態(図10参照)と同様に、被写体(指FG)の画像読取動作(指紋読取動作)を実行する旨、及び、当該被写体画像読取動作における被写体の画像読取エリアARs上での載置位置や回転移動の方法、当該回転移動の概略速度等を使用者に認識させることができるデモンストレーション画像を表示する(ステップS313)。
その後、メインコントローラ513によりデバイスコントローラ511に正規の被写体画像読取動作(指紋読取動作)の動作モードが設定されるとともに、上述した読取感度調整動作により、フォトセンサPSにおける最適な読取感度であるとされた読取感度(電荷蓄積期間)が、データコントローラ512を介して感度調整制御部517に設定され、これにより、デバイスコントローラ511から、トップゲートドライバ120T、ボトムゲートドライバ120B及びドレインドライバ130Dに各制御信号φtg、φbg、φpgが供給され、検知面DTCに載置された被写体(指FG)の画像を、上記最適な読取感度で読み取る被写体画像読取動作を実行する(S307)。
ここで、ステップS307において実行される被写体画像読取動作(指紋読取動作)は、上述した第1の実施形態に示したように、画像読取部100に設けられた画像読取エリアARs(検知面DTC)上を、上述したデモンストレーション画像に基づいて被写体(指FG)を回転移動させつつ、当該被写体が検知面DTCに密着している領域(読取領域RGs)の画像を順次読み取ることにより、フォトセンサアレイ140Pにおける1画面分の走査制御のみで、曲面を有する被写体(指)の側面をも含む広い範囲の指紋画像を、撮像ミスの発生を抑制しつつ、迅速かつ良好に取得することができる。
なお、本実施形態においては、正規の被写体画像の読取動作(指紋読取動作)に先立って実行される、当該被写体画像読取動作に関するデモンストレーション画像の表示動作を、読取感度調整動作の終了後であって、当該被写体画像読取動作の直前に実行する場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、読取感度調整動作に先立って実行するものであってもよい。
また、本実施形態においては、読取感度調整動作を実行した後に、正規の被写体画像読取動作を実行する場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、読取感度調整動作を実行することなく、既定の読取感度を適用して正規の被写体画像読取動作を実行し、当該被写体画像読取動作により取得された画像データの画像処理(例えば、指紋照合処理)等において、エラーが発生した場合に、読取感度調整動作(感度調整用読取動作に関するガイド情報の表示、報知動作を含む)を実行し、再度正規の被写体画像読取動作を実行するように促すものであってもよい。
(感度調整用読取動作)
ここで、上述した感度調整用読取動作(ステップS301)について具体的に説明する。
図20は、本実施形態に係る感度調整用読取動作に適用される読取感度(電荷蓄積期間)の設定方法の一例を示すタイミングチャートである。ここでは、上述したフォトセンサ(ダブルゲート型フォトセンサ)における駆動制御方法(図7参照)を適宜参照するものとする。
上述した感度調整用読取動作において、画像読取エリアARsに設定された感度調整用の読取領域RGaの全行又は特定の行について、段階的に異なる読取感度を設定する手法としては、図20に示すように、まず、フォトセンサアレイ140Pを構成するフォトセンサPSの各々に対して、トップゲートドライバ120Tから一括して同時にトップゲートパルス(リセットパルス)φT1、φT2、…φTnを印加してリセット動作を実行し、全ての行におけるフォトセンサPSの電荷蓄積期間T1、T2、…、Tnを一斉にスタートした後、ドレインドライバ130Dから各行ごとのフォトセンサPSに印加されるプリチャージ信号φpg、及び、ボトムゲートドライバ120Bから印加されるボトムゲートパルス(読み出しパルス)φB1、φB2、…φBnを所定の時間間隔(遅れ時間Tdly)ずつ段階的にずらすように設定することにより、各行ごとのフォトセンサPSにおけるプリチャージ動作及び読み出し動作のタイミングを順次異ならせて、各行ごとに設定される電荷蓄積期間(読取感度)T1、T2、…、Tnを上記時間間隔(Tdly)で相互に変化させるように制御する。
これにより、感度調整用読取動作において、1回(1画面分)の被写体画像の読取動作により、各行ごと(上述したように全行であってもよいし、特定の行であってもよい)に異なる読取感度(すなわち、行数分の異なる読取感度)で階調データを取得することができる。
なお、本発明に係る画像読取装置DVCの画像読取方法(感度調整用読取動作)に適用される読取感度(電荷蓄積期間)の設定方法は、上述した手法に限定されるものではなく、少なくとも、被写体の画像パターンを異なる読取感度で読み取り、各読取感度ごとに階調データを取得できるものであれば、例えば、単一の読取感度により読取領域内の被写体画像を読み取った後、読取感度を変更して再度読取領域内の被写体画像を読み取る動作を複数回繰り返すようにしたものであってもよいし、さらに他の方法であってもよいことはいうまでもない。
(最適感度導出動作)
次いで、上述した最適感度導出動作(ステップS302〜S306)について具体的に説明する。
図21は、本実施形態に係る感度調整用読取動作により得られた階調データの変化の一例を示すグラフであり、図22は、本実施形態に係る読取感度調整動作に適用可能な最適な読取感度の導出方法の一例を示す概念図である。
上述したような読取感度の設定方法を適用して、行ごとにフォトセンサPSに設定される読取感度を変化させて被写体の画像パターン(指紋)を読み取った場合、特定の行(読取感度)における階調データの変化は、例えば、図21(a)〜(e)のように示される。図21においては、被写体の白色部において観測される階調データ(すなわち、明状態の最大値)と、黒色部において観測される階調データ(暗状態の最大値)との間を、例えば256階調に設定し、フォトセンサアレイ140Pに設定された感度調整用の読取領域RGa内の任意の行(例えば、80、104、128、152、176行目)における階調データの変化の例を示した。
このような各行(読取感度)における階調データの変化は、読取感度、すなわち、電荷蓄積期間が比較的短く設定された行においては、図21(a)〜(c)に示すように、被写体画像(指紋画像)全体が略暗状態として読み取られ、当該行における階調データの最大値と最小値の差分(ダイナミックレンジ)は、最小値が黒側(階調データ“0”側)に飽和した状態になるため、小さな数値となる。なお、図示を省略したが、電荷蓄積期間が比較的長く設定された行においては、指紋画像全体が略明状態として読み取られ、当該行における階調データの最大値と最小値の差分は、最大値が白側(階調データ“255”側)に飽和した状態になるため、やはり小さな数値となる。
これに対して、図21(d)、(e)に示すように、被写体画像(指紋画像)のコントラスト(明暗差)が比較的明瞭な領域においては、階調データの最大値と最小値の差分(ダイナミックレンジ)は、大きな数値を示す。
したがって、各行ごと(読取感度ごと)に階調データの最大値と最小値を抽出して、その差分からダイナミックレンジを算出することにより、図22(a)、(b)に示すように、行番号が小さい領域、及び、行番号が大きい領域では、いずれもダイナミックレンジが小さく算出され、一方、行番号の中間領域においては、コントラストが明瞭となるため、ダイナミックレンジが大きく算出される変化傾向を示す。
このようなダイナミックレンジの変化傾向において、図22(a)に示すように、特定の行RCa(例えば、176行目)において、ダイナミックレンジが最大値MA1を示す場合、図22(b)に示すような行番号ごとの階調データの最大、最小値とダイナミックレンジ、当該行に設定された読取感度(電荷蓄積期間)との相関表を参照して、ダイナミックレンジが最大となる行(176行目)に設定された読取感度(T176)を抽出し、当該フォトセンサ(受光感度特性)における最適な読取感度とする。
したがって、このような読取感度調整動作を適用することにより、被写体の画像パターンを複数の異なる読取感度で読み取り、各読取感度のうち、最もコントラストが大きくなる(ダイナミックレンジが最大となる)読取感度を抽出し、正規の被写体画像読取動作(指紋読取動作)において、当該抽出された読取感度(最適読取感度)を用いて被写体の画像パターンを読み取ることができるので、被写体である指の湿り具合や指紋の凹凸の大小、また、指紋読取動作を行う際の機器の使用環境等に応じた適切な読取感度を適宜設定することができ、常時良好なコントラストの指紋画像を読み取ることができる。これにより、指紋認証処理時の認証誤差の小さいシステムを構築することができる。また、この場合、例えば、比較的暗い使用環境であっても、その状況に応じて読取感度を適切に調整して設定することができるので、バックライトの発光輝度を高くする必要がなく、画像読取装置(指紋読取装置)における消費電力の増加を抑制することもできる。
[第4の実施形態]
次に、本発明に係る画像読取装置及びその画像読取方法の第4の実施形態について、図面を参照して説明する。
<画像読取装置>
図23は、本発明に係る画像読取装置の第4の実施形態を示す概略図である。ここで、図23(a)は、本実施形態に係る画像読取装置における画像読取エリアと画像表示エリアとの平面的な広がりを示す図であり、図23(b)、(c)は、本実施形態に係る画像読取装置の概略構成図である。なお、図23においては、絶縁性基板上に設けられたドライバを省略して示す。また、図24は、本実施形態に係る画像読取装置において、絶縁性基板のサイズを同等に設定した場合の画像読取エリアと画像表示エリアとの関係を示す概略図である。なお、上述した第1の実施形態と同等の構成については、同一の符号を付してその説明を簡略化する。また、ここでは、バックライトを省略して示す。
本実施形態に係る画像読取装置DVCにおいては、図23(a)に示すように、画像表示部200に設定される画像表示エリアARiが、少なくとも、画像読取部100に設定される画像読取エリアARs(図示の都合上、便宜的にハッチングを施して表記する)を含むとともに、当該画像読取エリアARsよりも広い領域を有するように平面的な広がりが設定されている。ここで、画像表示エリアARiは、例えば、図23(a)に示すように、矩形状の画像読取エリアARsの特定の一辺側(図面上辺側)からはみ出すように設定され、画像読取装置DVCは、このはみ出した画像表示エリアARgに、少なくとも上述した画像読取動作(読取感度設動作を含む)に関連する各種のガイド情報(文字情報や画像情報等;誘導情報)を表示することができるように構成されている。なお、以下、画像読取エリアARsからはみ出した画像表示エリアARgを「ガイド表示領域」と記す。
このような画像表示エリアARiと画像読取エリアARsとの平面的な広がりを実現するための構成としては、例えば、図23(b)に示すように、画像読取部100の絶縁性基板110と、画像表示部200の絶縁性基板210のサイズを同等としつつ、画像読取エリアARsを画像表示エリアARiよりも小さく設定した構成や、図23(c)に示すように、画像読取部100の絶縁性基板110を、画像表示部200の絶縁性基板210のサイズよりも小さく設定した構成を適用することができる。
このような画像読取装置によれば、図23(b)に示した構成を適用した場合にあっては、画像表示エリアARiのガイド表示領域ARgに表示された情報が、視野側に配置された画像読取部100の絶縁性基板110を透過して、使用者により視認される。また、図23(c)に示した構成を適用した場合にあっては、画像表示エリアARiのガイド表示領域ARgに表示された情報が、直接使用者により視認される。
なお、図23(b)に示したように、画像読取部100の絶縁性基板110のサイズと、画像表示部200の絶縁性基板210のサイズが同等に設定された構成においては、ガイド表示領域ARgに表示されたガイド情報が、視野側に配置された画像読取部100の絶縁性基板110を介して(透過して)使用者に視認されることになるが、ガイド表示領域ARgの視野側に配置される画像読取100部には、例えば、図24(a)に示すように、フォトセンサアレイ140P(画像読取エリアARs)が形成されていない透明な絶縁性基板110のみが設けられているものであってもよいし、図24(b)に示すように、絶縁性基板110の表面に、画像読取エリアARsと同様に、トップゲートラインLtやボトムゲートラインLb、ドレインラインLd、フォトセンサPS等からなるフォトセンサアレイ140Pと同等の構成、又は、フォトセンサアレイ140Pの少なくともいずれか一つの構成が形成されているものであってもよい。但し、後者の構成においては、ガイド表示領域ARgに対応する領域の画像読取部100(フォトセンサアレイ140P)に設けられたフォトセンサPS及び各種配線は、画像読取動作を行わないダミー(ダミー画素、ダミー配線)である。
<画像読取装置の画像読取方法>
次に、上述した構成を有する画像読取装置における指紋読取動作(画像読取動作)について説明する。
図25は、本実施形態に係る画像読取装置において、指紋読取動作における指の回転移動の誘導方法を示す概念図である。ここで、上述した各実施形態と同等の制御動作については、その説明を簡略化する。
本実施形態に係る画像読取装置DVCにおける指紋読取動作は、上述した第1の実施形態(図9参照)と同様に、まず、指紋読取動作に先立って、指FGを回転移動させるデモンストレーション画像を画像表示部200に表示して、指紋読取動作における指FGの載置位置や回転移動の方法、当該回転移動の概略速度等を、画像読取装置DVCの使用者に認識させる。
次いで、上述したデモンストレーション画像に基づいて、画像読取部100に設定された画像読取エリアARsの始点領域に指FGを載置し、その後、指紋読取動作を開始する操作を行う。ここで、図25(a)に示すように、指を載置する画像読取エリアARsの始点領域に対応する位置のガイド表示領域ARgに、当該始点領域を認識させるためのガイド情報SINを表示する。ここで、ガイド表示領域ARgに表示されるガイド情報SINは、図25(a)に示すように、指紋の読取領域RGsを表記するための文字情報(図中、「撮像エリア」)やイラスト等であってもよいし、指の回転移動に対応させてマークや発光領域が伸縮するインジケータ状の表示であってもよい。
次いで、図25(a)〜(c)に示すように、画像読取エリアARsの一方側(図面右側)から他方側(図面左側)へ読取領域RGsを走査させる移動速度に対応させて、ガイド表示領域ARgに表示されるガイド表示SINを移動させることにより、使用者に指FGの載置位置(読取領域)を認識させて、指FGを回転移動させつつ、読取領域RGs上に常に密着させて指紋を読み取る。
これにより、指紋を撮像している領域(読取領域)に対応するガイド表示領域にガイド情報を表示する簡易な動作制御で、画像読取装置の使用者に、指の載置位置を認識させることができるので、指を回転移動させつつ、適切に読取領域上に密着させることができ、曲面を有する指の側面をも含む広い範囲の指紋画像を、撮像ミスを抑制して良好に読み取ることができる。
なお、本実施形態においても、画像表示部の構成として、図1に示したように、透過型の画像表示部とバックライトを備えるものであってもよいし、図12に示したように、自己発光型の画像表示部を備えるものであってもよい。