JP4627371B2 - Al合金板の材質予測方法 - Google Patents
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Description
【発明が属する技術分野】
本発明は、圧延によって製造されるAl合金板の材質をその成分、製造条件に基づいて予測する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
通常、Al(アルミニウム)合金板は、Al溶湯を半連続鋳造法あるいは連続鋳造法によりスラブ(鋳造片)に鋳造し、このスラブを均熱処理(均質化熱処理)した後、熱間圧延し、巻き取り、その後、必要に応じて中間工程として冷間圧延や焼鈍が施され、最終工程として冷間圧延や最終焼鈍が施されて、製品板とされる。
【0003】
Al合金板には、強度、耐力、伸び、成形性、絞り加工後の耳率などの機械的特性が求められる。例えば、アルミニウム缶の缶胴材(以下、キャン材という。)やキャップ材のような絞り加工を施して使用するユーザーにおいては、製品板の納入と共に、品質保証のため、絞り加工試験による耳率というような材質検査結果が要求される。
【0004】
このため、Al合金板の製造メーカーでは、製品板の一部から試験片を採取し、この試験片を用いて引張試験や絞り加工試験などの物理的、機械的試験を行っている。材質試験の結果、要求仕様の機械的特性を満足しない場合は、その部分が除去されるため、歩留まりが低下することになる。従って、Al合金板の製造に際しては、製品品質にバラツキが生じにくい、最適な製造条件を適用することが重要である。
【0005】
一方、近年、要求品質が多様化し、種々の目標材質のAl合金板を製造することが求められている。
これらの要求に対して、目標材質のAl合金板を安定的に製造するためには、成分や製造条件を最適化する必要があるが、現状では、実験室的もしくは実機レベルで、鋳造、均熱、熱間圧延、巻き取り、冷間圧延などの工程やその条件を変化させて試行錯誤的に最適条件を調べ、その結果得られた製造条件に基づいて、実機での製造を行っている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記のとおり、種々のAl合金板を安定的に製造するための最適な製造条件の調査検討は、従来、主として人的作業に基づいて行われているため、膨大な時間を要し、目標材質のAl合金板製品を速やかに安定供給するに至っていない。また、材質の評価は、実機による製造後の評価が主となるため、一旦、不良が出ると、その改善に時間かかり、迅速な対応を取ることができないという問題がある。
【0007】
ところで、鋼板製造分野においては、特開昭61−15915号公報や特許第2563844号公報などに記載されているように、コンピュータによる材質の予測や、その予測結果に基づいて圧延、冷却条件を設定する手法が実現されている。
しかし、Al合金板の製造においては、鉄鋼材料と鋳造組織、冶金現象(加工、回復、再結晶、固溶、析出挙動)が全く異なるため、鉄鋼材料分野での材質予測方法では、最適な製造条件を見出すことはできない。Al合金材料と鉄鋼材料の冶金現象の相違点としては、まず、Al合金材料の場合、鋳造時に金属間化合物(晶出物)が不可避的に発生し、実際の製造工程では晶出物をそれ以後の均熱処理等で完全に消滅させることができない。この晶出物の挙動が、鋳造以降の均熱、熱間圧延、焼鈍工程などでの析出物の析出挙動に影響を与える。また、鉄鋼材料では、相変態を制御することが特性を制御する上で最も重要なポイントとなるが、Al合金材料では相変態は生じない。このように、Al合金材料においては、析出挙動が複雑なばかりでなく、析出挙動、再結晶挙動を精緻に制御しなければ、材質が安定化せず、鉄鋼材料に比較して材質予測が極めて難しく、実用的なAl合金板の材質予測は行われていないのが現状である。
【0008】
本発明はかかる問題に鑑みなされたもので、製品のAl合金板を用いることなくその材質を予測することができ、また種々の材質のAl合金板を安定的に製造することができる最適な製造条件を速やかに見出すことができるAl合金板の材質予測方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、Al合金板の特性を制御するための因子について鋭意検討を重ねた結果、最終製品板の特性のばらつきは、第一義的に熱延板中の晶出物量、析出物量、合金元素の固溶量、残留ひずみおよび結晶粒径によって支配されており、これら複数の因子のバランスを制御することで材質の制御、材質予測が可能であることを見出した。特に、量産製品のように、製品板厚や要求強度規格が特定しているものでは、熱間圧延後の冷間圧延や焼鈍はある程度一定の条件の下で行われることから、熱延板中の前記組織因子を把握することで、冷延板あるいは冷延後に焼鈍された冷延焼鈍板等の板材の材質を高精度に予測することができる。
【0010】
本発明は上記知見を基にしてなされたものであり、請求項1に記載されたAl合金板の材質予測方法は、Al合金の溶湯を鋳造する鋳造工程、前記鋳造工程によって得られた鋳造片を均熱処理する均熱工程、前記均熱工程によって均熱処理された鋳造片を熱間圧延する熱間圧延工程、および前記熱間圧延工程によって得られた熱延板を巻き取る巻取工程を有する製造工程によって製造されるAl合金板の材質予測方法であって、
成分、鋳造片のサイズ、鋳造片の鋳造・冷却条件に基づいて鋳造片の晶出物量、合金元素の固溶量、析出物量増分および結晶粒径を算出する鋳造組織計算を行い、
前記鋳造組織計算によって算出された鋳造片の合金元素の固溶量と結晶粒径および均熱条件に基づいて、均熱により生成した析出物量増分、均熱後の鋳造片の合金元素の固溶量および結晶粒径を算出する均熱組織計算を行い、
熱間圧延のある圧延パスにおけるパス入側での均熱後の鋳造片あるいは熱延板の合金元素の固溶量、残留応力、結晶粒径および当該圧延パスの圧延条件に基づいて当該圧延パス後の析出物量増分、固溶量、残留応力および結晶粒径求める圧延パス組織計算を第1パスから最終パスまで繰り返して行い、各圧延パスにおいて生成した析出物量増分の合計量である、熱間圧延により生成した析出物量増分および最終パス後の熱延板の合金元素の固溶量、残留応力および結晶粒径を算出する熱延組織計算を行い、
前記熱延組織計算によって算出された熱延板の合金元素の固溶量、残留応力および巻取条件に基づいて巻取において生じた析出物量増分、巻取後の熱延板の合金元素の固溶量および残留応力を算出する巻取組織計算を行い、
前記鋳造組織計算によって算出された晶出物量、前記鋳造組織計算,均熱組織計算,熱延組織計算および巻取組織計算によって各々算出された析出物量増分の合計である全析出物量、前記熱延組織計算によって算出された結晶粒径、並びに前記巻取組織計算によって算出された熱延板の合金元素の固溶量および残留応力に基づいてAl合金板の材質予測を行う。
【0011】
この発明によると、鋳造工程、均熱工程、熱間圧延工程、巻取工程の各工程におけるAl合金材の組織状態およびその変化について、特に各々の工程において生成した析出物量増分およびその工程後の合金元素の固溶量を、鋳造組織計算、均熱組織計算、熱延組織計算、巻取組織計算によって算出し、巻き取り後の熱延板の晶出物量、全析出物量、固溶量、結晶粒径、残留応力に基づいて材質を予測するので、熱延板の材質のみならず、熱延板に所定の加工、処理が施された板材の材質を正確に予測することができる。その結果、目標材質が得られる製造条件も正確に把握することができ、その製造条件を実機に適用することで、目標材質の板材を安定的に製造することができる。また、熱延組織計算に際しては、各圧延パス毎に圧延パス組織計算により、合金元素の固溶量、析出物量増分、残留応力、結晶粒径を算出するので、熱間圧延工程後の熱延板の組織状態が正確に把握され、材質予測精度の向上を図ることができる。なお、算出されたAl合金熱延板の組織状態から最終製品板の材質を予測するには、実測した熱延板組織と最終製品板材質との関係について事前に回帰式、較正曲線を求めておき、これらの式によって組織算出結果から製品板の材質を予測することができる。
【0012】
また、請求項2に記載された材質予測方法は、請求項1に記載した材質予測方法において、巻き取られた熱延板に冷間圧延を施す冷間圧延工程をさらに有する製造工程によって製造されるAl合金板の材質予測方法であって、
前記巻取組織計算後、さらに、前記巻取組織計算によって算出された巻取後の熱延板の残留応力および冷間圧延条件に基づいて、冷間圧延された冷延板の残留応力を算出する冷延組織計算を行い、
前記鋳造組織計算によって算出された晶出物量、前記鋳造組織計算,均熱組織計算,熱延組織計算および巻取組織計算によって各々算出された析出物量増分の合計である全析出物量、前記熱延組織計算によって算出された結晶粒径、前記巻取組織計算によって算出された合金元素の固溶量、および前記冷延組織計算によって算出された残留応力に基づいてAl合金板の材質予測を行う。
【0013】
この材質予測方法によると、鋳造組織計算、均熱組織計算、熱延組織計算、巻取組織計算、さらに冷延組織計算によって各工程における組織状態を正確に計算することができ、冷間圧延後の冷延板の正確な組織データが得られる。このため、冷延板の材質をより正確に予測することができる。例えば、巻き取り後に種々の条件の冷間圧延が施されて製造されるキャン材用Al合金板の材質をより正確かつ容易に予測することができる。
【0014】
また、請求項3に記載された材質予測方法は、請求項2に記載した材質予測方法において、冷間圧延された冷延板を焼鈍する冷延後焼鈍工程をさらに有する製造工程によって製造されるAl合金板の材質予測方法であって、
前記冷延組織計算後、さらに、前記熱延組織計算によって算出された結晶粒径、前記巻取組織計算によって算出された合金元素の固溶量、前記冷延組織計算によって算出された残留応力および冷延後焼鈍条件に基づいて、冷延後焼鈍により生成した析出物量増分、冷延後焼鈍された冷延焼鈍板の合金元素の固溶量、残留応力および結晶粒径を算出する冷延後焼鈍組織計算を行い、
前記鋳造組織計算によって算出された晶出物量、前記鋳造組織計算,均熱組織計算,熱延組織計算,巻取組織計算および冷延後焼鈍組織計算によって各々算出された析出物量増分の合計である全析出物量、並びに前記冷延後焼鈍組織計算によって算出された冷延焼鈍板の合金元素の固溶量、残留応力および結晶粒径に基づいてAl合金板の材質予測を行う。
【0015】
この材質予測方法によると、鋳造組織計算、均熱組織計算、熱延組織計算、巻取組織計算、冷延組織計算さらに冷延後焼鈍組織計算によって各工程における組織状態を正確に計算することができ、冷延後焼鈍された冷延焼鈍板の正確な組織データが得られる。このため、冷延焼鈍板の材質をより正確に予測することができる。例えば、冷間圧延後に種々の焼鈍(最終焼鈍)が施されて製造される一般加工用Al合金板の材質をより正確かつ容易に予測することができる。前記焼鈍により、その条件を変化させることで、種々の材質特性が得られるため、種々の目標材質の一般加工用Al合金板の焼鈍条件等の製造条件を本発明により容易に把握することができ、工程設計を迅速に行うことができる。
【0016】
また、請求項4に記載された材質予測方法は、請求項3に記載した材質予測方法において、冷延後焼鈍によって焼鈍された冷延焼鈍板に冷間圧延を施す第2冷間圧延工程をさらに有する製造工程によって製造されるAl合金板の材質予測方法であって、
前記冷延後焼鈍組織計算後、さらに、前記冷延後焼鈍組織計算によって算出された冷延焼鈍板の残留応力および第2冷間圧延条件に基づいて、第2冷間圧延後の第2冷延板の残留応力を算出する第2冷延組織計算を行い、
前記鋳造組織計算によって算出された晶出物量、前記鋳造組織計算,均熱組織計算,熱延組織計算、巻取組織計算および冷延後焼鈍組織計算によって各々算出された析出物量増分の合計である全析出物量、前記冷延後焼鈍組織計算によって算出された冷延焼鈍板の合金元素の固溶量および結晶粒径、並びに前記第2冷延組織計算によって算出された残留応力に基づいてAl合金板の材質予測を行う。
【0017】
この材質予測方法によると、鋳造組織計算、均熱組織計算、熱延組織計算、巻取組織計算、冷延組織計算、冷延後焼鈍組織計算、さらに第2冷延組織計算によって各工程における組織状態を正確に計算することができ、冷延焼鈍板にさらに冷間圧延が施された冷延板の正確な組織データを得ることができる。このため、第2冷延が施された冷延板の材質を正確に予測することができる。例えば、冷間圧延、焼鈍さらに冷間圧延が施されて製造される平板印刷版支持体用、箔用、キャン材用のAl合金板の材質をより正確かつ容易に予測することができる。
【0018】
また、請求項5に記載された材質予測方法は、請求項1に記載した材質予測方法において、巻き取られた熱延板を焼鈍する冷延前焼鈍工程、冷延前焼鈍された熱延焼鈍板に冷間圧延を施す冷間圧延工程をさらに有する製造工程によって製造されるAl合金板の材質予測方法であって、
前記巻取組織計算後、さらに、前記熱延組織計算によって算出された結晶粒径、前記巻取組織計算によって算出された合金元素の固溶量および残留応力、並びに冷延前焼鈍条件に基づいて、冷延前焼鈍により生成した析出物量増分、冷延前焼鈍された熱延焼鈍板の合金元素の固溶量、残留応力および結晶粒径を算出する冷延前焼鈍組織計算を行い、
前記冷延前焼鈍組織計算により算出した熱延焼鈍板の残留応力および冷間圧延条件に基づいて、冷延板の残留応力を算出する冷延組織計算を行い、
前記鋳造組織計算によって算出された晶出物量、前記鋳造組織計算,均熱組織計算,熱延組織計算,巻取組織計算および冷延前焼鈍組織計算によって各々算出された析出物量増分の合計である全析出物量、前記冷延前焼鈍組織計算によって算出された熱延焼鈍板の合金元素の固溶量および結晶粒径、並びに前記冷延組織計算によって算出された残留応力に基づいてAl合金板の材質予測を行う。
【0019】
この材質予測方法によると、鋳造組織計算、均熱組織計算、熱延組織計算、巻取組織計算、冷延前焼鈍組織計算、さらに冷延組織計算によって各工程における組織状態を正確に計算することができ、冷延板の正確な組織データを得ることができる。このため、冷間圧延前に中間焼鈍された冷延板の材質を正確に予測することができる。例えば、このような工程によって製造されるキャン材用のAl合金板の材質をより正確かつ容易に予測することができる。
【0020】
また、請求項6に記載された材質予測方法は、請求項5に記載した材質予測方法において、冷間圧延された冷延板を焼鈍する冷延後焼鈍工程をさらに有する製造工程によって製造されるAl合金板の材質予測方法であって、
前記冷延組織計算後、前記冷延前焼鈍組織計算によって算出された合金元素の固溶量および結晶粒径、前記冷延組織計算によって算出された残留応力、並びに冷延後焼鈍条件に基づいて、冷延後焼鈍により生成した析出物量増分、冷延後焼鈍された冷延焼鈍板の合金元素の固溶量、残留応力および結晶粒径を算出する冷延後焼鈍組織計算を行い、
前記鋳造組織計算によって算出された晶出物量、前記鋳造組織計算,均熱組織計算,熱延組織計算,巻取組織計算,冷延前焼鈍組織計算および冷延後焼鈍組織計算によって各々算出された析出物量増分の合計である全析出物量、並びに前記冷延後焼鈍組織計算によって算出された冷延焼鈍板の合金元素の固溶量,結晶粒径および残留応力に基づいてAl合金板の材質予測を行う。
【0021】
この材質予測方法によると、鋳造組織計算、均熱組織計算、熱延組織計算、巻取組織計算、冷延前焼鈍組織計算、冷延組織計算、さらに冷延後焼鈍組織計算によって各工程における組織状態を正確に計算することができ、冷延後焼鈍された冷延焼鈍板の正確な組織データを得ることができる。このため、冷間圧延前に中間焼鈍され、冷延後に最終焼鈍された冷延焼鈍板の材質を正確に予測することができる。例えば、このような工程によって製造される自動車用のAl合金板の材質をより正確かつ容易に予測することができる。
【0022】
また、請求項7に記載された材質予測方法は、請求項1に記載した材質予測方法において、
前記鋳造組織計算において算出する合金元素の固溶量および析出物量増分を、鋳造片の冷却曲線に対して一定の保持温度と保持時間とが段階的に定められた複数の冷却区間に対して高温側から固溶・析出計算を順次行うことによって求め、前記均熱組織計算により算出する合金元素の固溶量および析出物量増分を前記固溶・析出計算によって求め、同均熱組織計算により算出する結晶粒径を成長時結晶粒径計算によって求め、
前記熱延パス組織計算により算出する合金元素の固溶量および析出物量増分を前記固溶・析出計算によって求め、同熱延パス組織計算により算出する残留応力を蓄積応力計算および回復・再結晶計算によって求め、同熱延パス組織計算により算出する結晶粒径を加工時結晶粒径計算によって求め、
前記巻取組織計算により算出する合金元素の固溶量および析出物量増分並びに残留応力を、巻取コイルの冷却曲線に対して一定の保持温度と保持時間とが段階的に定められた複数の冷却区間に対して高温側から前記固溶・析出計算および前記回復・再結晶計算を順次行うことによって求めることとし、
前記固溶・析出計算は、当該処理工程における被処理材の保持温度をTh、保持時間をtとするとき、合金元素iを含む析出物Iの平衡析出温度Tpと前記Thとに基づいて析出物Iが析出開始するまでの時間Qを算出し、このQと前記tとに基づいて析出物Iの析出率Xiを算出し、この析出率Xiと前記Tpにおける合金元素iのアルミニウム母相中の平衡固溶度C(T)と初期固溶量に基づいて保持時間経過後の合金元素iの固溶量および析出物Iの析出物量増分を算出する計算であり、
前記成長時結晶粒径計算は、当該処理工程における被処理材の保持温度をTh、保持時間をtとするとき、前記Thとtと初期結晶粒径に基づいて粒成長後の結晶粒径を算出する計算であり、
前記加工時結晶粒径計算は、当該圧延パスにおける被処理材のパス間温度Thと圧下によるひずみεとひずみ速度εspとに基づいて再結晶後の結晶粒径を算出する計算であり、
前記蓄積応力計算は、圧延パス入側での被処理材の残留応力σpre と、当該圧延パスのひずみε、ひずみ速度εspおよび圧延温度Tdef に基づいて被処理材に新たに導入導入された応力との合計である蓄積応力を算出する計算であり、
前記回復・再結晶計算は、当該処理工程における被処理材の保持温度をTh、保持時間をtとするとき、前記蓄積応力と前記Thとに基づいて特定の再結晶率が得られるまでの時間Pを算出し、このPと前記tから再結晶率Xrec を算出し、このXrecと前記蓄積応力とに基づいて再結晶後の残留応力σrecを算出する計算である、Al合金板の材質予測方法である。
【0023】
この材質予測方法によると、固溶・析出計算によって、各工程、処理における合金元素iの固溶量、およびそれを含む析出物Iの析出物量増分を容易に算出することができる。また、各工程で生成する析出物量増分は、前工程後の固溶量に基づいて算出するため、鋳造工程で生じる晶出物に影響されることなく算出することができる。なお、計算の対象とする合金元素は、成分より特性に影響する元素を選択すればよい。また、複数の析出物種が同時に生じる場合においては、前記計算を組み合わせて行うことでそれらの析出物量増分を算出することができる。
また、蓄積応力計算によって、熱間圧延あるいは冷間圧延の際の圧下により生じた応力と、圧下前の残留応力との合計である蓄積応力、すなわち組織中の転位密度が反映された応力が求められ、これを基に種々の組織予測計算を行うので、回復・再結晶後、あるいは冷間圧延後の残留応力を正確に算出することができる。
また、回復・再結晶計算よって、当該工程における保持温度、保持時間による回復、さらには再結晶を考慮した現実的な残留応力を算出することができ、材質予測精度を向上させることができる。
また、成長時結晶粒径計算によって保持温度、保持時間による粒成長を考慮した現実的な結晶粒径、あるいは加工時結晶粒径計算によって再結晶の駆動源となるひずみ条件を考慮した現実的な結晶粒径を算出することができ、材質予測精度を向上させることができる。
上記各種の計算により、Al合金熱延板の組織状態、すなわち晶出物量、合金元素の固溶量、全析出物量、残留応力および結晶粒径を正確に算出することができ、これによってAl合金熱延板あるいは最終製品板の材質を速やかに、かつ高精度に予測することができる。
【0024】
また、請求項8〜12のいずれか1項に記載された材質予測方法においても、鋳造組織計算、均熱組織計算、熱延パス組織計算、巻取組織計算、冷延組織計算、冷延後組織計算、第2冷延組織計算あるいは冷延前焼鈍組織計算を行うに際して、前記固溶・析出計算、蓄積応力計算、回復・再結晶計算、成長時結晶粒径計算および加工時結晶粒径計算によって、冷間圧延後(請求項8、請求項10、請求項11の場合)、冷延後焼鈍後(請求項9、請求項12の場合)のAl合金板の組織状態、すなわち晶出物量、合金元素の固溶量、全析出物量、残留応力および結晶粒径を正確に算出することができ、これによってAl合金板の材質を速やかに、かつ高精度に予測することができる。
【0025】
また、請求項13に記載したように、熱間圧延における圧延パス組織計算において、まず蓄積応力計算および回復・再結晶組織計算を行い、次に固溶・析出計算を行い、前記回復・再結晶計算によって算出された残留応力に基づいて前記固溶・析出計算において算出したQを補正し、補正されたQに基づいて析出率Xiを算出することができる。
Qの補正によって、ある圧延パスの終了後における残留応力に対応した組織中の転位密度、ひずみによる析出の促進を加味して、当該圧延パスにおける、より正確な析出物量増分を算出することができる。
【0026】
また、冷間圧延および冷延後焼鈍を含む製造工程を有する場合、請求項14に記載したように、冷延後焼鈍組織計算において、冷延組織計算によって算出された冷延板の残留応力に基づいて冷延後焼鈍組織計算における固溶・析出計算において算出したQを補正し、補正されたQに基づいて析出率Xiを算出することができる。
Qの補正によって、冷間圧延の終了後における残留応力に対応した組織中の転位密度、ひずみによる析出の促進を加味して、冷延後焼鈍における、より正確な析出物量増分を算出することができる。
【0027】
【発明の実施の形態】
Al合金板は、成分調整した後、種々の製造工程の下で様々な材質の板材が製造される。例えば下記のような製造工程がある。
(1) 熱延板の場合
鋳造工程→均熱工程→熱間圧延工程→巻取工程
(2) キャン材等の冷延板
鋳造工程→均熱工程→熱間圧延工程→巻取工程→冷間圧延工程
(3) 汎用冷延焼鈍板
鋳造工程→均熱工程→熱間圧延工程→巻取工程→冷間圧延工程→焼鈍工程
(4) 平板印刷版支持体用材、箔地、キャン材等の冷延焼鈍冷延板
鋳造工程→均熱工程→熱間圧延工程→巻取工程→冷間圧延工程→焼鈍工程→冷間圧延工程
(5) キャン材等の中間焼鈍冷延板
鋳造工程→均熱工程→熱間圧延工程→巻取工程→焼鈍工程→冷間圧延工程
(6) 自動車用材等の中間焼鈍冷延焼鈍板
鋳造工程→均熱工程→熱間圧延工程→巻取工程→焼鈍工程→冷間圧延工程→焼鈍工程
以下、汎用冷延焼鈍板の製造を例として本発明の材質予測方法を説明する。他のAl合金板についても、所望の製造工程を付加することで所期の板材を製造することができる。
【0028】
まず、熱延板およびこれを冷間圧延、焼鈍する製造ラインの一例を図1を基に簡単に説明する。
この製造ラインは、所定成分のAl合金スラブ(連鋳スラブを含む。)を鋳造する鋳造設備1と、前記スラブを加熱、均熱する加熱・均熱設備2と、加熱したスラブを熱間圧延する熱延設備3と、熱間圧延後の熱延板を巻き取る巻取設備4と、巻き取られた熱延板を巻き戻して冷間圧延する冷延設備5と、冷間圧延された冷延板を焼鈍する焼鈍設備6とを備えている。前記熱延設備3は、粗圧延機3Aと仕上圧延機3Bとを有しており、複数の圧延パスによりスラブを所定の板厚に圧延する。
【0029】
前記各設備1,2,3,4,5,6には、各々その設備を制御する鋳造制御プロセスコンピュータ(プロコン)7,加熱・均熱プロコン8,熱延制御プロコン9,冷延制御プロコン10,焼鈍制御プロコン11が付設され、これらのプロセスコンピュータはライン全体を統御する中央管理計算機12の管理下で制御される。また、材質予測計算機13が前記中央管理計算機12に接続され、成分・工程設計者の操作によって製造にかかるAl合金板の材質予測が行われ、最適な工程設計、製造条件の設定が行われる。
【0030】
前記材質予測計算機13は、後述するフローチャートに示された各種計算を実現するプログラムが記憶装置に記憶されている。また、オペレータにより、あるいは中央管理計算機12から計算に必要な情報、例えば成分、鋳造条件(鋳造温度、鋳造速度、鋳型水冷・冷却速度、スラブ冷却条件、スラブサイズ(厚さ、幅)、熱延条件(各圧延パスのパス間温度、パス間時間、圧延温度(加工温度)、圧下率(パス入側板厚、出側板厚)、ロール径、圧延速度)、巻取温度(巻取温度、冷却時間)、冷延条件(各圧延パスの圧延温度、圧下率(パス入側板厚、出側板厚)、ロール径、圧延速度)、焼鈍条件(焼鈍温度、焼鈍時間)等の製造条件データを受信し、それらのデータを記憶装置に保存する。材質予測プログラムの実行に際しては、記憶装置から必要なデータを読み出し、また計算結果を適宜保存し、製造対象のAl合金板の材質を予測計算する。
なお、材質計算によって適正と判断された製造条件は、中央管理計算機12を介して各プロセスコンピュータに伝達され、これに基づいて各設備が制御される。また、、材質予測計算機12は独立して設けることもできるが、中央管理計算機12によって代用することもできる。
【0031】
以下、フローチャートを参照しながら、本発明にかかる材質予測方法について説明する。
図2は、実施形態にかかる材質予測方法の概略フローチャートであり、鋳造組織計算、均熱組織計算、熱延組織計算、巻取組織計算、冷延組織計算および冷延後焼鈍組織計算が行われ、巻取後の熱延板の組織あるいは焼鈍後の冷延焼鈍板の組織が予測計算され、得られた組織データに基づいて、事前に求められた熱延板あるいは冷延後焼鈍板の組織と材質との関係式(回帰式)から材質(例えば、耳率、強度,耐力,伸びなどの引張特性など)が計算される。なお、本発明において、組織という場合は、晶出物量、析出物量(析出物量増分を意味する場合がある。)、各合金元素の固溶量、残留応力および結晶粒径を意味する。
発明者らの知見によると、組織と材質とは、下記の一次回帰式によって比較的高精度に整理される。
材質(特性)=f(Al合金板中の晶出物量、各析出物の量、各合金元素の固溶量、残留応力および結晶粒径)
=A×晶出物量+(B1×析出物1の量+B×析出物2の量+……)
+C×(固溶元素1の固溶量+固溶元素2の固溶量+……)
+D×残留応力+E×結晶粒径+F(但し、A〜Fは定数)
【0032】
前記鋳造組織計算は、図3(A)に示すように、まず成分を読み込み、これに基づいて金属間化合物の種類をデータベースより抽出し、またその平衡固溶曲線を状態図から算出し、これらのデータを基にデータベースから晶出物量を算出し、保存する。
【0033】
さらに、スラブ冷却中に析出する析出物の量が無視できない場合、スラブの冷却曲線をスラブ冷却条件、スラブサイズより算出するか、データべースより抽出し、この冷却曲線(スラブ温度と経過時間との関係式)に対して、図4に示すように、凝固後室温に冷却されるまでの間、複数の冷却区間を定め、各区間毎に時間間隔および代表温度を決定する。図例では、高温側から時間間隔t1,t2,t3…,ti,…に対して、代表温度Th1,Th2,Th3…,Thi,…を算出する。このように見ると、冷却曲線はある冷却区間における保持温度Thiと保持時間tiとの集合とみなすことができる。
【0034】
これらのデータは、材質予測計算機13の記憶装置に保存され、高温側より順次読み出され、合金元素の初期固溶量を基に、後述する固溶・析出計算により各冷却区間ごとに析出物量増分および冷却区間終端の合金元素の固溶量を算出する計算を第1冷却区間から最終冷却区間まで繰り返して行い、各冷却区間における析出物量増分の合計である、鋳造後冷却段階で生成する析出物量増分、および鋳造冷却後の合金元素の固溶量が算出される。前記鋳造後冷却段階での析出物量増分は、初期値が0であるため、冷却後の析出物量でもある。また、第1冷却区間における合金元素の初期固溶量は、各成分毎に合金元素の添加量から晶出物の当該元素の含有量を差し引いた値である。
【0035】
また、鋳造組織計算は、図3(B)に示すように、鋳造条件(鋳造温度、鋳造速度、鋳型冷却速度)、スラブ冷却条件、スラブサイズ(厚さ、幅)を読み込み、これらのデータに基づいて汎用ソフトによる伝熱解析によりスラブ内部温度、冷却・凝固速度を算出し、算出した冷却・凝固速度からデータベースによって結晶粒径を算出する。なお、凝固組織(デントライト組織)の結晶粒径DAS と冷却速度Vとは下記の関係式によって整理されることが知られており、この式から結晶粒径を算出するようにしてもよい。
DAS =aV-n
但し、a,nは係数であり、データベースにより決定される。
鋳造組織計算により算出された、鋳造冷却後のスラブの晶出物量、析出物量増分、合金元素の固溶量、結晶粒径の組織データは材質予測計算機13の記憶装置に保存される。
【0036】
前記均熱組織計算は、図5に示すように、前記鋳造計算によって算出された鋳造後の組織(合金元素の固溶量、結晶粒径)と均熱条件(保持温度、保持時間)、その他、必要に応じてヒートパターン(昇温速度、冷却速度)を読み込み、これらデータを基に、後述の固溶・析出計算を行って均熱後の析出物量増分、合金元素の固溶量を算出し、また結晶粒の成長が無視できない場合に、後述の成長時結晶粒径計算によって均熱後の結晶粒径を算出する。算出された均熱後組織のデータは材質予測計算機13の記憶装置に保存される。なお、昇温時、冷却時の析出物量増分が無視できない場合には、前記スラブの冷却段階における析出・固溶計算と同様の手法により、昇温曲線、冷却曲線を複数の昇温区間、冷却区間に区分して、各区間の析出物量増分の合計、区間経過後の固溶量を求めて、均熱後の組織を求めるようにしてもよい。
【0037】
前記熱延組織計算は、図6に示すように、まず、均熱後の組織(合金元素の固溶量、残留応力、結晶粒径)、各圧延パスの圧延条件(圧下条件(入側板厚、出側板厚、ロール径、圧延速度)、圧延温度、パス間温度、パス間時間)を読み込み、圧下条件から各圧延パスにおけるひずみ(相当ひずみ)ε及びひずみ速度εspを算出し、保存する。なお、パス間温度、パス間時間はその圧延パスにおける保持温度、保持時間と考えて差し支えない。
【0038】
次に、均熱後のスラブの均熱組織を基に、後述する圧延パス組織計算を第1パスから最終パスまで繰り返して行うことによって、各圧延パスにおいて生成した析出物量の合計量(熱延段階で生成した析出物量増分)、最終パス後の合金元素の固溶量、残留応力および結晶粒径を算出する。
【0039】
前記圧延パス組織計算は、当該圧延パスの入側のスラブあるいは熱延板の組織(残留応力、結晶粒径)およびプロセス条件(ε、εsp、圧延温度Tdef )を基に、当該圧延パス入側の板材の残留応力と当該圧延パスの圧下により付加された残留応力との合計応力(蓄積応力という)を算出する蓄積応力計算と、前記蓄積応力、パス間温度、パス間時間を基に当該圧延パス終了後の残留応力を算出する回復・再結晶計算と、成分、パス間温度(保持温度)、パス間時間(保持時間)を基に当該圧延パスにおいて生成した析出物量増分および当該パス終了後の合金元素の固溶量を算出する前記固溶・再結晶計算と、初期結晶粒径、プロセス条件(ε、εsp、Tdef )を基に当該パス終了後の結晶粒径を算出する加工時結晶粒径計算を行う。この圧延パス組織計算を第1パスから最終パスまで繰り返して行うことで、熱間圧延後の組織が算出される。各パスにおいて算出された組織データは材質予測計算機13の記憶装置に保存され、次パス等の計算に利用される。
【0040】
前記巻取組織計算は、図7に示すように、熱延組織計算により算出された熱延後の組織(熱延板の合金元素の固溶量、残留応力)および巻取条件(巻取温度、コイルサイズ、冷却時間)を読み込み、巻取温度、コイルサイズを基にコイルの冷却曲線を算出あるいはデータベースより抽出し、この冷却曲線(コイル温度と経過時間との関係式)に対して、図4と同様、巻き取り後室温に冷却されるまでの間を複数の冷却区間に区分し、各冷却区間に対して時間間隔ごとにスラブの代表温度、すなわち各冷却区間ごとに保持温度Thiと保持時間tiとを決定し、保存する。
【0041】
次に、これらのデータを高温側から順次読み出し、前記回復・再結晶計算により冷却区間終端での熱延板の残留応力を算出し、また前記固溶・析出計算により当該冷却区間において生成した析出物量増分、当該冷却区間終端での熱延板の合金元素の固溶量を算出する計算を第1冷却区間から最終冷却区間まで繰り返して行う。これによって、巻取冷却後の組織すなわち各冷却区間において生成した析出物量増分の合計(巻取工程において生成した析出物量増分)、最終冷却区間後の合金元素の固溶量、残留応力が求められ、これらのデータは材質予測計算機13の記憶装置に保存される。なお、巻取コイルが冷却される間は結晶粒径の成長は無視できるので、巻取冷却後の熱延板の結晶粒径は熱間圧延終了後の熱延板の結晶粒径として差し支えない。
【0042】
以上の計算により、鋳造工程において生成した晶出物量、鋳造工程,均熱工程,熱延工程および巻取工程において生成した析出物量増分、巻取工程後の熱延板の合金元素の固溶量、残留応力、および結晶粒径(熱延工程後の結晶粒径と同等)が求まる。前記各工程において生成した析出物量増分を加算することで、鋳造から巻取までの全析出物量が求まる。
巻取工程以降の工程が一定条件で操業される場合、追加された工程により生成する析出物量増分、固溶量の変化等は、予め実際の熱延板の組織と最終製品板の材質とについて求められた関係式(回帰式)においては定数となるため、熱延板の組織状態を把握することにより、前記回帰式から最終製品板の材質を正確に予測することができる。
【0043】
熱延板の組織より製品板(冷延後焼鈍板)の材質を予測するのではなく、冷延焼鈍板の組織を計算し、その組織より材質を予測する場合は、さらに冷延組織計算、冷延後組織計算が行われる。
【0044】
前記冷延組織計算は、図8に示すように、巻取後の熱延板の残留応力と冷延条件(圧下条件(入側板厚、出側板厚、ロール径、圧延速度)、圧延温度)を読み込み、圧下条件から各圧延パスにおけるひずみ(相当ひずみ)ε、ひずみ速度εspを算出し、保存する。前記残留応力、前記ε、εspおよび圧延温度から前記蓄積応力計算により、巻取熱延板の残留応力と当該冷間圧延の圧下により付加された応力との合計応力(蓄積応力であり、冷延後の残留応力でもある)を算出し、保存する。なお、冷間圧延後の冷延板組織は熱延板組織に比して残留応力のみが変化し、合金元素の固溶量、結晶粒径は巻取熱延板のものと同等とみなして差し支えない。
【0045】
前記冷延後焼鈍組織計算は、図9に示すように、冷延後の組織、すなわち巻取熱延板の合金元素固溶量、結晶粒径および冷延組織計算によって算出された残留応力並びに焼鈍条件(焼鈍温度=保持温度、焼鈍時間=保持時間)を読み込み、これらのデータを基に、前記回復・再結晶計算により冷延焼鈍板の残留応力を算出し、また前記固溶・析出計算により焼鈍の間に生成した析出物量の増分、冷延焼鈍板の合金元素の固溶量を算出し、また前記成長時結晶粒径計算により冷延焼鈍板の結晶粒径を算出する。これらの算出されたデータは材質予測計算機13の記憶装置に保存される。
【0046】
これらの計算により、鋳造工程において生成した晶出物量、各工程(冷延工程を除く)において生成した析出物量増分、最終工程後の冷延焼鈍板の合金元素の固溶量、残留応力、および結晶粒径が求まる。前記各工程において生成した析出物量増分を加算することで、焼鈍後の全析出物量が求まる。従って、これらの組織データを基に、予め回帰計算によって求められた冷延焼鈍板組織と材質との関係式によって、冷延焼鈍板(最終製品板)の材質が正確に予測される。
【0047】
ここで、鋳造組織計算、均熱組織計算、熱延組織計算および巻取組織計算、冷延後焼鈍計算において使用した前記固溶・析出計算について図10を参照して詳しく説明する。
固溶・析出計算は、まず、成分を読み込み、対象とする合金元素iを含む析出物Iの析出温度Tp、平衡固溶度C(T)を材質予測計算機13の記憶装置に記憶されたデータベースから抽出する。
【0048】
次に、合金元素iを含む析出物Iの平衡析出温度Tpと保持温度Thとに基づいて析出物Iが析出開始するまでの時間Qを下記式によって算出する。下記式は模式的に図11によって表され、析出物の析出開始時間を一般化したものである。
Q=a1×exp((a2×Tp2)/(Th×(Tp-Th)2)−a3)+a4/Th−a5
但し、a1〜a5は係数であり、別途、熱処理を施した試験片に対して、電気比抵抗測定や熱フェノール抽出分析などによる固溶・析出状態の測定を行うことにより決定される。
【0049】
次に、加工の有無が判断され、加工がない場合には前記Qと保持時間tとに基づいて下記式により析出物Iの析出率Xiを算出する。下記式は模式的に図12によって表される。
Xi=1−0.95R、R=(t/Q)n
但し、nは曲線の形状を決める定数であり、前記a1〜a5の場合と同様にして決定される。
【0050】
次に、前記Xiと前記Tpにおける合金元素iのアルミニウム母相中の平衡固溶度C(T)と初期固溶量Ci0に基づいて保持時間経過後の合金元素iの固溶量Ciを下記式より算出し、保持後の析出物Iの析出量増分(析出物Iに含まれる合金元素iの増分)を(Ci0−Ci)より算出し、保存する。
Xi=(Ci0−Ci)/(Ci0−C(T))
【0051】
なお、材質予測するAl合金板の合金成分、計算の対象とする成分は、少なくとも材質特性を支配する主因子となる固溶、析出元素を選べばよい。例えば、1000系Al合金ではFe,Si、3000系Al合金ではMn,Mg,Si,Fe、6000系Al合金ではMg,Si,Fe,Cuを例示することができる。
【0052】
この固溶・析出計算においては、加工がある場合、すなわち熱間圧延、冷間圧延が施された場合、加工によって板材に導入された残留応力(σrec)による析出の促進を考慮して、前記Qの値を下記式によって補正し、補正後のQ’を用いて析出率Xiを算出することが好ましい。
Q’=a6×σrec×Q
但し、a6は係数であり、別途、熱間加工シュミレーターおよび熱処理によって得た試験片に対して、固溶・析出状態を測定することにより決定される。
【0053】
次に、熱延パス組織計算において使用した加工時結晶粒径計算について説明する。
この加工時結晶粒径計算は、図13に示すように、パス入側での初期結晶粒径(D0)、プロセス条件(ひずみ:ε、ひずみ速度:εsp、加工温度:Tdef )を読み込み、下記式に基づいて再結晶後の結晶粒径(Drec)を算出し、算出されたデータを記憶装置に保存する。
LN(Drec)=b1+b2×LN(D0)+b3×LN(ε)+b4×(εsp×exp(b5/Tdef))
但し、b1〜b5は係数であり、別途、熱間加工シュミレーターおよび熱処理によって得た試験片に対して、光学顕微鏡による粒径測定を行うことにより決定される。
前記式は、図14に示すように、加工後の再結晶粒径に及ぼす初期粒径、ひずみ、ひずみ速度の影響を各々加算したものである。
【0054】
一方、均熱組織計算および焼鈍組織計算において使用した成長時結晶粒径計算は、図15に示すように、均熱工程におけるスラブ、あるいは焼鈍工程における板材の各工程における初期結晶粒径(D0)、保持温度Th、保持時間tを読み込み、これらの条件に基づいて結晶が成長した後の粒径(D)を下記式にて算出する。下記式は模式的に図16のように表される。
Dm=D0m+b6×tp×exp(-b7/Th)
但し、b6,b7,m、pは係数であり、前記b1〜b5の場合と同様にして決定される。
【0055】
次に、熱延パス組織計算および冷延組織計算において使用した蓄積応力計算について説明する。
この蓄積応力計算は、図17に示すように、パス入側での初期結晶粒径(D0)、初期残留応力(σpre)、プロセス条件(加工温度Tdef、ひずみε、ひずみ速度εsp)を読み込み、まず、下記式に基づいて残留応力を残留ひずみ(εpre )に換算する。
LN(εpre)=(LN(σpre)−c1−c2×LN(D0)−C3×LN(εsp)−c5/Tdef)/c4
但し、c1〜c5は係数であり、別途、熱間加工シュミレーターにより得た試験片に対して、変形応力を測定することにより決定される。
【0056】
次に、算出された残留ひずみεpre を用いて、初期残留応力と圧下によって導入された応力との合計応力(蓄積応力、σ)下記式により算出し、記憶装置に保存する。なお、蓄積応力は板材組織中の転位密度の対応した値を持つ。熱間圧延の場合、蓄積応力を基に回復再結晶を考慮して後述する回復・再結晶計算により圧延パス後の残留応力が算出されるが、冷間圧延の場合には、冷間圧延後の冷延板の蓄積応力が残留応力となる。
LN(σ)=c1+c2×LN(D0)+c3×LN(εsp)+c4×LN(ε+εpre)+c5/Tdef
【0057】
次に、熱延パス組織計算、冷延後焼鈍組織計算において使用した回復・再結晶計算について説明する。
この回復・再結晶計算は、図18に示すように、まず蓄積応力計算によって算出された蓄積応力σ、プロセス条件として保持温度Th(パス間温度あるいは焼鈍温度)、保持時間(パス間時間あるいは焼鈍時間)を読み込み、前記σとThとを基に下記式により特定(典型的には50%)の再結晶率Xが得られるまでの時間Pを算出する。下記式は模式的に図19のように表される。
LN(P)=d1+d2×LN(σ)+d3/Th
但し、d1〜d4は係数であり、別途、熱間加工シュミレーターおよび熱処理によって得た試験片に対して、強度・硬さ変化の測定や光学顕微鏡による組織変化の測定を行うことにより決定される。
【0058】
次に、算出されたPと保持時間tとを基に下記式より再結晶率Xrec を算出する。
Xrec=1−exp(−d4×(t/P)k)
但し、d4、kは係数であり、前記d1〜d4と同様にして決定される。
【0059】
次に、算出された再結晶率Xrec と蓄積応力σを基に下記式により回復後あるいは再結晶後の残留応力σrec を算出し、保存する。下記式は模式的に図20のように表される。なお、条件によっては、再結晶まで至らずに、回復段階に止まる場合があるが、この場合においても回復後の残留応力は下記式によって算出することができる。
σrec=σ−(σ−d5)×Xrec
【0060】
以上、巻取後に冷間圧延、焼鈍を施した冷延後焼鈍板の材質予測方法を詳細に説明したが、巻取熱延板に冷間圧延のみを施して製品板とする場合は、冷延板の組織(晶出物量、全析出物量、合金元素の固溶量、結晶粒径(これらの組織因子は冷間圧延の入側での巻取熱延板と同等)、残留応力)とに基づいて、予め回帰計算によって求められた冷延板組織と材質との関係式によって、冷延板(最終製品板)の材質を正確に予測することができる。
【0061】
また、冷延後焼鈍を行った後、さらに冷延焼鈍板に冷間圧延を施して製品板を製造する場合は、冷延後焼鈍板の残留応力、最終冷間圧延(第2冷間圧延)の冷延条件を基に前記冷延組織計算によって第2冷間圧延後の冷延板の残留応力を算出し、この残留応力と、第2冷間圧延の入側での冷延焼鈍板の組織(晶出物量、全析出物量、合金元素の固溶量、結晶粒径)とに基づいて、予め回帰計算によって求められた第2冷延後の冷延板組織と材質との関係式によって、第2冷延後の冷延板(最終製品板)の材質を正確に予測することができる。
【0062】
また、巻取熱延板に中間焼鈍(冷延前焼鈍)を施して、さらに冷間圧延、あるいはさらに焼鈍(冷延後焼鈍)を行う場合には、巻取熱延板の組織と中間焼鈍条件を基に、前記回復・再結晶計算、前記固溶・析出計算、前記結晶粒計算によって中間焼鈍において生成した析出物量増分、中間焼鈍後の焼鈍板の合金元素固溶量、残留応力、結晶粒径を算出し、これらの組織データを基に冷間圧延、あるいはさらに冷延後焼鈍による組織変化を前記実施形態と同様に算出し、冷延板あるいは最終焼鈍後の冷延焼鈍板の晶出物量、全析出物量、固溶量、残留応力、結晶粒径を求め、これらの組織データに基づいて製品板の材質を正確に予測することができる。
【0063】
また、板材の各部(例えば、長手方向では先端部、中央部、後端部、幅方向では中央部、端部)の組織を予測計算することで、対応する部分の組織の材質を予測することができる。この場合、予測部位の製造条件によって予測計算を行う。例えば、熱間圧延の際に板幅方向において温度差がある場合、予測部位の温度条件に基づいて予測計算を行う。
【0064】
また、前記固溶・析出計算、成長時結晶粒径計算あるいは加工時結晶粒径計算、蓄積応力計算、回復・再結晶計算におけるモデル式を製造工程での制御装置の演算処理に組み込み、目標材質が得られるように製造条件をプロセス制御にフィードバック、フィードフォーワードさせることによって、品質ばらつきをより一層低減させることができる。実際の量産製造においては、温度や時間といったプロセス因子は変動しやすいこと、また不測の事態により製造ラインでトラブルが生じた場合、例えば、熱延前の加熱の時間が長時間化したり、パス間時間が変動するなどにより、組織や固溶析出状態が変動する。この様な場合でも前記制御手法により、既に製造ラインで流れているコイルに対して、品質ばらつき、歩留まり落ちを抑制することができる。
以下、実施例を上げて本発明を具体的に説明するが、本発明はかかる実施例によって制限されるものではない。
【0065】
【実施例】
下記成分範囲の1000系Al合金を溶製し、通常のDC鋳造(半連続鋳造)により、厚さ500mm、幅1500mmのスラブを鋳造し、その表面に面削を施し、これを均熱処理し、引き続いて熱間圧延し、巻き取り、冷間圧延および焼鈍を行って冷延焼鈍板を製造することとした。面削は均熱処理の前後のいずれにおいても実施可能であるが、本例では均熱前に行った。上記各計算により巻取後の熱延板(コイル)から最終冷延焼鈍板の材質を予測した。また、実機により材質予測の基礎とされた製造条件に基づいて冷延焼鈍板を製造し、巻取後の熱延板の予測する部位の組織因子を調査し、最終焼鈍板の同部位の材質を実測し、両者の関係を回帰式として整理した。
【0066】
Al合金の主要合金成分であるSi、Feの含有量については表1に併記した。均熱条件については、590℃で1次均熱後、面削し、450℃で2次均熱し、同温度から熱間圧延(粗圧延)を行うこととし、それらの処理時間を同表に示した。また、粗圧延の時間(合計時間)および終了温度、仕上圧延の終了温度を同表に示した。
・成分(mass%、残部Al)
Si:0.05〜0.10%、Fe:0.5〜0.6%、Cu:0.05〜0.15%、Mn:0.01%、Mg:0.01%、Cr:0.01%、Zr:0.01%、Zn:0.005%、Ti:0.03%、B:0.003%
【0067】
材質の評価位置は、コイルの長手方向では中央部、先端部、後端部で、幅方向では中央部、端部とした。材質の評価は、耳率によって行った。耳率の測定は、ブランク径80mm、ポンチ径40mm、絞り率50%の絞り加工により成形した測定用カップを用いて行った。耳率の評価は下記式により行った。耳率の正値は45度方向の耳が大きいこと、負値は0度,90度方向の耳が大きいことを意味する。耳率の予測値、実測値を表1に併せて示す。また、これらの関係を図示したグラフを図21に示す。
耳率(%)=(A−B)/C×100
但し、A:圧延方向に対して45度をなす4方向の平均高さ
B:圧延方向と0度および90度をなす4方向の平均高さ
C:前記A、Bの全方向(8方向)の平均高さ
【0068】
【表1】
【0069】
表1および図21より、本発明の材質予測方法によると、本発明にかかる組織計算により算出した熱延板の組織から最終冷延焼鈍板の耳率を予測した結果と、実際に製造した冷延焼鈍板の耳率とは良好な一致を見ている。これより、材質予測の基礎とした製造条件を実機に適用することにより、目標材質のAl合金板を安定的に製造することができる。
さらに、冷延焼鈍板の組織を予測計算し、その組織データを用いて、予め求めた回帰式により冷延焼鈍板の耳率を予測したが、この場合も実測結果と良好な一致が認められた。
【0070】
【発明の効果】
本発明によると、実際に製造することなく、成分、製造条件から製造後のAl合金板の材質を正確に予測することができるので、目標材質を製造するための最適な製造条件を容易かつ速やかに把握することができる。このため、所望の材質を得るため、成分設計、工程設計の時間、および問題解決の時間、納期を著しく短縮することができる。また、少ない成分系から製造条件を変化させることで、種々の材質のAl合金板を容易かつ迅速に作り分けることができ、またコンピュータ上で成分と製造条件を種々に変化させて、材質を予測することができるため、膨大な試作、材料分析、解析調査および実機試験の量を少なくすることができ、Al合金板の生産性を向上させ、製造コストを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明が適用されるAl合金板の製造設備の一例を示す設備構成図である。
【図2】本発明の材質予測方法の一例を示す概略フローチャートである。
【図3】鋳造組織計算方法を示す主フローチャートである。
【図4】鋳造後のスラブあるいは巻取後の熱延コイルの冷却曲線および冷却曲線を複数の冷却区間に区分し、冷却区間ごとに定められた保持温度Th、保持時間tを示す段階的冷却線図である。
【図5】均熱組織計算方法を示す主フローチャートである。
【図6】熱延組織計算方法を示す主フローチャートである。
【図7】巻取組織計算方法を示す主フローチャートである。
【図8】冷延組織計算方法を示す主フローチャートである。
【図9】冷延後焼鈍組織計算方法を示す主フローチャートである。
【図10】固溶・析出計算方法を示す主フローチャートである。
【図11】パラメータQの物理的意味を示すための保持時間と保持温度との関係を表したグラフである。
【図12】保持時間と析出率との関係を示すグラフである。
【図13】加工時結晶粒径計算方法を示す主フローチャートである。
【図14】加工後の結晶粒径とこれに影響を及ぼす初期粒径、ひずみε、ひずみ速度εspとの関係を示すグラフである。
【図15】成長時結晶粒径計算方法を示す主フローチャートである。
【図16】結晶粒径と保持時間との関係を示すグラフである。
【図17】蓄積応力計算方法を示す主フローチャートである。
【図18】回復・再結晶計算方法を示す主フローチャートである。
【図19】パラメータPの物理的意味を示すための再結晶率と時間との関係を示すグラフである。
【図20】保持時間と残留応力との関係を示すグラフである。
【図21】実施例における熱延組織状態から予測した耳率と、実機により製造した製品板によって実測した耳率との関係を表したグラフである。
【符号の説明】
1 鋳造設備
2 加熱均熱炉
3 圧延設備
4 巻取設備
5 冷延設備
6 焼鈍設備
12 中央管理計算機
13 材質予測計算機
Claims (14)
- Al合金の溶湯を鋳造する鋳造工程、前記鋳造工程によって得られた鋳造片を均熱処理する均熱工程、前記均熱工程によって均熱処理された鋳造片を熱間圧延する熱間圧延工程、および前記熱間圧延工程によって得られた熱延板を巻き取る巻取工程を有する製造工程によって製造されるAl合金板の材質予測方法であって、
成分、鋳造片のサイズ、鋳造片の鋳造・冷却条件に基づいて鋳造片の晶出物量、合金元素の固溶量、析出物量増分および結晶粒径を算出する鋳造組織計算を行い、
前記鋳造組織計算によって算出された鋳造片の合金元素の固溶量と結晶粒径および均熱条件に基づいて、均熱により生成した析出物量増分、均熱後の鋳造片の合金元素の固溶量および結晶粒径を算出する均熱組織計算を行い、
熱間圧延のある圧延パスにおけるパス入側での均熱後の鋳造片あるいは熱延板の合金元素の固溶量、残留応力、結晶粒径および当該圧延パスの圧延条件に基づいて当該圧延パス後の析出物量増分、固溶量、残留応力および結晶粒径求める圧延パス組織計算を第1パスから最終パスまで繰り返して行い、各圧延パスにおいて生成した析出物量増分の合計量である、熱間圧延により生成した析出物量増分および最終パス後の熱延板の合金元素の固溶量、残留応力および結晶粒径を算出する熱延組織計算を行い、
前記熱延組織計算によって算出された熱延板の合金元素の固溶量、残留応力および巻取条件に基づいて巻取において生じた析出物量増分、巻取後の熱延板の合金元素の固溶量および残留応力を算出する巻取組織計算を行い、
前記鋳造組織計算によって算出された晶出物量、前記鋳造組織計算,均熱組織計算,熱延組織計算および巻取組織計算によって各々算出された析出物量増分の合計である全析出物量、前記熱延組織計算によって算出された結晶粒径、並びに前記巻取組織計算によって算出された熱延板の合金元素の固溶量および残留応力に基づいてAl合金板の材質予測を行うAl合金板の材質予測方法。 - 請求項1に記載した材質予測方法において、巻き取られた熱延板に冷間圧延を施す冷間圧延工程をさらに有する製造工程によって製造されるAl合金板の材質予測方法であって、
前記巻取組織計算後、さらに、前記巻取組織計算によって算出された巻取後の熱延板の残留応力および冷間圧延条件に基づいて、冷間圧延された冷延板の残留応力を算出する冷延組織計算を行い、
前記鋳造組織計算によって算出された晶出物量、前記鋳造組織計算,均熱組織計算,熱延組織計算および巻取組織計算によって各々算出された析出物量増分の合計である全析出物量、前記熱延組織計算によって算出された結晶粒径、前記巻取組織計算によって算出された合金元素の固溶量、および前記冷延組織計算によって算出された残留応力に基づいてAl合金板の材質予測を行うAl合金板の材質予測方法。 - 請求項2に記載した材質予測方法において、冷間圧延された冷延板を焼鈍する冷延後焼鈍工程をさらに有する製造工程によって製造されるAl合金板の材質予測方法であって、
前記冷延組織計算後、さらに、前記熱延組織計算によって算出された結晶粒径、前記巻取組織計算によって算出された合金元素の固溶量、前記冷延組織計算によって算出された残留応力および冷延後焼鈍条件に基づいて、冷延後焼鈍により生成した析出物量増分、冷延後焼鈍された冷延焼鈍板の合金元素の固溶量、残留応力および結晶粒径を算出する冷延後焼鈍組織計算を行い、
前記鋳造組織計算によって算出された晶出物量、前記鋳造組織計算,均熱組織計算,熱延組織計算,巻取組織計算および冷延後焼鈍組織計算によって各々算出された析出物量増分の合計である全析出物量、並びに前記冷延後焼鈍組織計算によって算出された冷延焼鈍板の合金元素の固溶量、残留応力および結晶粒径に基づいてAl合金板の材質予測を行うAl合金板の材質予測方法。 - 請求項3に記載した材質予測方法において、冷延後焼鈍によって焼鈍された冷延焼鈍板に冷間圧延を施す第2冷間圧延工程をさらに有する製造工程によって製造されるAl合金板の材質予測方法であって、
前記冷延後焼鈍組織計算後、さらに、前記冷延後焼鈍組織計算によって算出された冷延焼鈍板の残留応力および第2冷間圧延条件に基づいて、第2冷間圧延後の第2冷延板の残留応力を算出する第2冷延組織計算を行い、
前記鋳造組織計算によって算出された晶出物量、前記鋳造組織計算,均熱組織計算,熱延組織計算、巻取組織計算および冷延後焼鈍組織計算によって各々算出された析出物量増分の合計である全析出物量、前記冷延後焼鈍組織計算によって算出された冷延焼鈍板の合金元素の固溶量および結晶粒径、並びに前記第2冷延組織計算によって算出された残留応力に基づいてAl合金板の材質予測を行うAl合金板の材質予測方法。 - 請求項1に記載した材質予測方法において、巻き取られた熱延板を焼鈍する冷延前焼鈍工程、冷延前焼鈍された熱延焼鈍板に冷間圧延を施す冷間圧延工程をさらに有する製造工程によって製造されるAl合金板の材質予測方法であって、
前記巻取組織計算後、さらに、前記熱延組織計算によって算出された結晶粒径、前記巻取組織計算によって算出された合金元素の固溶量および残留応力、並びに冷延前焼鈍条件に基づいて、冷延前焼鈍により生成した析出物量増分、冷延前焼鈍された熱延焼鈍板の合金元素の固溶量、残留応力および結晶粒径を算出する冷延前焼鈍組織計算を行い、
前記冷延前焼鈍組織計算により算出した熱延焼鈍板の残留応力および冷間圧延条件に基づいて、冷延板の残留応力を算出する冷延組織計算を行い、
前記鋳造組織計算によって算出された晶出物量、前記鋳造組織計算,均熱組織計算,熱延組織計算,巻取組織計算および冷延前焼鈍組織計算によって各々算出された析出物量増分の合計である全析出物量、前記冷延前焼鈍組織計算によって算出された熱延焼鈍板の合金元素の固溶量および結晶粒径、並びに前記冷延組織計算によって算出された残留応力に基づいてAl合金板の材質予測を行うAl合金板の材質予測方法。 - 請求項5に記載した材質予測方法において、冷間圧延された冷延板を焼鈍する冷延後焼鈍工程をさらに有する製造工程によって製造されるAl合金板の材質予測方法であって、
前記冷延組織計算後、前記冷延前焼鈍組織計算によって算出された合金元素の固溶量および結晶粒径、前記冷延組織計算によって算出された残留応力、並びに冷延後焼鈍条件に基づいて、冷延後焼鈍により生成した析出物量増分、冷延後焼鈍された冷延焼鈍板の合金元素の固溶量、残留応力および結晶粒径を算出する冷延後焼鈍組織計算を行い、
前記鋳造組織計算によって算出された晶出物量、前記鋳造組織計算,均熱組織計算,熱延組織計算,巻取組織計算,冷延前焼鈍組織計算および冷延後焼鈍組織計算によって各々算出された析出物量増分の合計である全析出物量、並びに前記冷延後焼鈍組織計算によって算出された冷延焼鈍板の合金元素の固溶量,結晶粒径および残留応力に基づいてAl合金板の材質予測を行うAl合金板の材質予測方法。 - 請求項1に記載した材質予測方法において、
前記鋳造組織計算において算出する合金元素の固溶量および析出物量増分を、鋳造片の冷却曲線に対して一定の保持温度と保持時間とが段階的に定められた複数の冷却区間に対して高温側から固溶・析出計算を順次行うことによって求め、
前記均熱組織計算により算出する合金元素の固溶量および析出物量増分を前記固溶・析出計算によって求め、同均熱組織計算により算出する結晶粒径を成長時結晶粒径計算によって求め、
前記熱延パス組織計算により算出する合金元素の固溶量および析出物量増分を前記固溶・析出計算によって求め、同熱延パス組織計算により算出する残留応力を蓄積応力計算および回復・再結晶計算によって求め、同熱延パス組織計算により算出する結晶粒径を加工時結晶粒径計算によって求め、
前記巻取組織計算により算出する合金元素の固溶量および析出物量増分並びに残留応力を、巻取コイルの冷却曲線に対して一定の保持温度と保持時間とが段階的に定められた複数の冷却区間に対して高温側から前記固溶・析出計算および前記回復・再結晶計算を順次行うことによって求めることとし、
前記固溶・析出計算は、当該処理工程における被処理材の保持温度をTh、保持時間をtとするとき、合金元素iを含む析出物Iの平衡析出温度Tpと前記Thとに基づいて析出物Iが析出開始するまでの時間Qを算出し、このQと前記tとに基づいて析出物Iの析出率Xiを算出し、この析出率Xiと前記Tpにおける合金元素iのアルミニウム母相中の平衡固溶度C(T)と初期固溶量に基づいて保持時間経過後の合金元素iの固溶量および析出物Iの析出物量増分を算出する計算であり、
前記成長時結晶粒径計算は、当該処理工程における被処理材の保持温度をTh、保持時間をtとするとき、前記Thとtと初期結晶粒径に基づいて粒成長後の結晶粒径を算出する計算であり、
前記加工時結晶粒径計算は、当該圧延パスにおける被処理材のパス間温度Thと圧下によるひずみεとひずみ速度εspとに基づいて再結晶後の結晶粒径を算出する計算であり、
前記蓄積応力計算は、圧延パス入側での被処理材の残留応力σpre と、当該圧延パスのひずみε、ひずみ速度εspおよび圧延温度Tdef に基づいて被処理材に新たに導入導入された応力との合計である蓄積応力を算出する計算であり、
前記回復・再結晶計算は、当該処理工程における被処理材の保持温度をTh、保持時間をtとするとき、前記蓄積応力と前記Thとに基づいて特定の再結晶率が得られるまでの時間Pを算出し、このPと前記tから再結晶率Xrec を算出し、このXrecと前記蓄積応力とに基づいて再結晶後の残留応力σrecを算出する計算である、Al合金板の材質予測方法。 - 請求項2に記載した材質予測方法において、
前記鋳造組織計算において算出する合金元素の固溶量および析出物量増分を、鋳造片の冷却曲線に対して一定の保持温度と保持時間とが段階的に定められた複数の冷却区間に対して高温側から固溶・析出計算を順次行うことによって求め、
前記均熱組織計算により算出する合金元素の固溶量および析出物量増分を前記固溶・析出計算によって求め、同均熱組織計算により算出する結晶粒径を成長時結晶粒径計算によって求め、
前記熱延パス組織計算により算出する合金元素の固溶量および析出物量増分を前記固溶・析出計算によって求め、同熱延パス組織計算により算出する残留応力を蓄積応力計算および回復・再結晶計算によって求め、同熱延パス組織計算により算出する結晶粒径を加工時結晶粒径計算によって求め、
前記巻取組織計算により算出する合金元素の固溶量および析出物量増分並びに残留応力を、巻取コイルの冷却曲線に対して一定の保持温度と保持時間とが段階的に定められた複数の冷却区間に対して高温側から前記固溶・析出計算および前記回復・再結晶計算を順次行うことによって求め、
前記冷延組織計算により算出する残留応力を前記蓄積応力計算によって求めることとし、
前記固溶・析出計算、成長時結晶粒径計算、加工時結晶粒径計算、蓄積応力計算、および回復・再結晶計算は請求項7に記載されたものと同様の計算を行う、Al合金板の材質予測方法。 - 請求項3に記載した材質予測方法において、
前記鋳造組織計算において算出する合金元素の固溶量および析出物量増分を、鋳造片の冷却曲線に対して一定の保持温度と保持時間とが段階的に定められた複数の冷却区間に対して高温側から固溶・析出計算を順次行うことによって求め、
前記均熱組織計算により算出する合金元素の固溶量および析出物量増分を前記固溶・析出計算によって求め、同均熱組織計算により算出する結晶粒径を成長時結晶粒径計算によって求め、
前記熱延パス組織計算により算出する合金元素の固溶量および析出物量増分を前記固溶・析出計算によって求め、同熱延パス組織計算により算出する残留応力を蓄積応力計算および回復・再結晶計算によって求め、同熱延パス組織計算により算出する結晶粒径を加工時結晶粒径計算によって求め、
前記巻取組織計算により算出する合金元素の固溶量および析出物量増分並びに残留応力を、巻取コイルの冷却曲線に対して一定の保持温度と保持時間とが段階的に定められた複数の冷却区間に対して高温側から前記固溶・析出計算および前記回復・再結晶計算を順次行うことによって求め、
前記冷延組織計算により算出する残留応力を前記蓄積応力計算によって求め、
前記冷延後焼鈍組織計算により算出する合金元素の固溶量および析出物量増分を前記固溶・析出計算によって求め、同冷延後焼鈍組織計算により算出する残留応力を前記回復・再結晶計算によって求め、同冷延後焼鈍組織計算により算出する結晶粒径を前記成長時結晶粒径計算によって求めることとし、
前記固溶・析出計算、成長時結晶粒径計算、加工時結晶粒径計算、蓄積応力計算、および回復再結晶計算は請求項7に記載されたものと同様の計算を行う、Al合金板の材質予測方法。 - 請求項4に記載した材質予測方法において、
前記鋳造組織計算において算出する合金元素の固溶量および析出物量増分を、鋳造片の冷却曲線に対して一定の保持温度と保持時間とが段階的に定められた複数の冷却区間に対して高温側から固溶・析出計算を順次行うことによって求め、
前記均熱組織計算により算出する合金元素の固溶量および析出物量増分を前記固溶・析出計算によって求め、同均熱組織計算により算出する結晶粒径を成長時結晶粒径計算によって求め、
前記熱延パス組織計算により算出する合金元素の固溶量および析出物量増分を前記固溶・析出計算によって求め、同熱延パス組織計算により算出する残留応力を蓄積応力計算および回復・再結晶計算によって求め、同熱延パス組織計算により算出する結晶粒径を加工時結晶粒径計算によって求め、
前記巻取組織計算により算出する合金元素の固溶量および析出物量増分並びに残留応力を、巻取コイルの冷却曲線に対して一定の保持温度と保持時間とが段階的に定められた複数の冷却区間に対して高温側から前記固溶・析出計算および前記回復・再結晶計算を順次行うことによって求め、
前記冷延組織計算により算出する残留応力を前記蓄積応力計算によって求め、
前記冷延後焼鈍組織計算により算出する合金元素の固溶量および析出物量増分を前記固溶・析出計算によって求め、同冷延後焼鈍組織計算により算出する残留応力を前記回復・再結晶計算によって求め、同冷延後焼鈍組織計算により算出する結晶粒径を前記成長時結晶粒径計算によって求め、
前記第2冷延組織計算により算出する残留応力を前記蓄積応力計算によって求めることとし、
前記固溶・析出計算、成長時結晶粒径計算、加工時結晶粒径計算、蓄積応力計算、および回復再結晶計算は請求項7に記載されたものと同様の計算を行う、Al合金板の材質予測方法。 - 請求項5に記載した材質予測方法において、
前記鋳造組織計算において算出する合金元素の固溶量および析出物量増分を、鋳造片の冷却曲線に対して一定の保持温度と保持時間とが段階的に定められた複数の冷却区間に対して高温側から固溶・析出計算を順次行うことによって求め、
前記均熱組織計算により算出する合金元素の固溶量および析出物量増分を前記固溶・析出計算によって求め、同均熱組織計算により算出する結晶粒径を成長時結晶粒径計算によって求め、
前記熱延パス組織計算により算出する合金元素の固溶量および析出物量増分を前記固溶・析出計算によって求め、同熱延パス組織計算により算出する残留応力を蓄積応力計算および回復・再結晶計算によって求め、同熱延パス組織計算により算出する結晶粒径を加工時結晶粒径計算によって求め、
前記巻取組織計算により算出する合金元素の固溶量および析出物量増分並びに残留応力を、巻取コイルの冷却曲線に対して一定の保持温度と保持時間とが段階的に定められた複数の冷却区間に対して高温側から前記固溶・析出計算および前記回復・再結晶計算を順次行うことによって求めることとし、
前記冷延前焼鈍組織計算により算出する合金元素の固溶量および析出物量増分を前記固溶・析出計算によって求め、同冷延前焼鈍組織計算により算出する残留応力を前記回復・再結晶計算によって求め、同冷延前焼鈍組織計算により算出する結晶粒径を前記成長時結晶粒径計算によって求め、
前記冷延組織計算により算出する残留応力を前記蓄積応力計算によって求めることとし、
前記固溶・析出計算、成長時結晶粒径計算、加工時結晶粒径計算、蓄積応力計算、および回復・再結晶計算は請求項7に記載されたものと同様の計算を行う、Al合金板の材質予測方法。 - 請求項6に記載した材質予測方法において、
前記鋳造組織計算において算出する合金元素の固溶量および析出物量増分を、鋳造片の冷却曲線に対して一定の保持温度と保持時間とが段階的に定められた複数の冷却区間に対して高温側から固溶・析出計算を順次行うことによって求め、
前記均熱組織計算により算出する合金元素の固溶量および析出物量増分を前記固溶・析出計算によって求め、同均熱組織計算により算出する結晶粒径を成長時結晶粒径計算によって求め、
前記熱延パス組織計算により算出する合金元素の固溶量および析出物量増分を前記固溶・析出計算によって求め、同熱延パス組織計算により算出する残留応力を蓄積応力計算および回復・再結晶計算によって求め、同熱延パス組織計算により算出する結晶粒径を加工時結晶粒径計算によって求め、
前記巻取組織計算により算出する合金元素の固溶量および析出物量増分並びに残留応力を、巻取コイルの冷却曲線に対して一定の保持温度と保持時間とが段階的に定められた複数の冷却区間に対して高温側から前記固溶・析出計算および前記回復・再結晶計算を順次行うことによって求めることとし、
前記冷延前焼鈍組織計算により算出する合金元素の固溶量および析出物量増分を前記固溶・析出計算によって求め、同冷延前焼鈍組織計算により算出する残留応力を前記回復・再結晶計算によって求め、同冷延前焼鈍組織計算により算出する結晶粒径を前記成長時結晶粒径計算によって求め、
前記冷延組織計算により算出する残留応力を前記蓄積応力計算によって求め、
前記冷延後焼鈍組織計算により算出する合金元素の固溶量および析出物量増分を前記固溶・析出計算によって求め、同冷延後焼鈍組織計算により算出する残留応力を前記回復・再結晶計算によって求め、同冷延後焼鈍組織計算により算出する結晶粒径を前記成長時結晶粒径計算によって求めることとし、
前記固溶・析出計算、成長時結晶粒径計算、加工時結晶粒径計算、蓄積応力計算、および回復・再結晶計算は請求項7に記載されたものと同様の計算を行う、Al合金板の材質予測方法。 - 請求項7〜12のいずれか1項に記載した材質予測方法において、
熱延パス組織計算において、まず蓄積応力計算および回復・再結晶組織計算を行い、次に固溶・析出計算を行い、前記回復・再結晶計算によって算出された残留応力に基づいて前記固溶・析出計算において算出したQを補正し、補正されたQに基づいて析出率Xiを算出する、Al合金板の材質予測方法。 - 請求項9、10および12のいずれか1項に記載した材質予測方法において、
冷延後焼鈍組織計算において、冷延組織計算によって算出された冷延板の残留応力に基づいて冷延後焼鈍組織計算における固溶・析出計算において算出したQを補正し、補正されたQに基づいて析出率Xiを算出する、Al合金板の材質予測方法。
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