JP4627296B2 - 発酵麦芽飲料製造用麦汁の製造方法 - Google Patents

発酵麦芽飲料製造用麦汁の製造方法 Download PDF

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本発明は、発酵麦芽飲料製造用麦汁の製造方法、具体的には、麦芽使用比率の低い発泡酒等の発酵麦芽飲料製造用麦汁の製造において、用いるプロテアーゼのエンドプロテアーゼ及びエキソペプチダーゼの構成を調整し、麦汁中の遊離アミノ酸、起泡性タンパク質含量、及び、麦汁の濾過性において優れた発酵麦芽飲料製造用麦汁を製造する方法に関する。更に、詳しくは、発泡酒等の発酵麦芽飲料製造用麦汁の製造において、該麦汁の製造に用いられるプロテアーゼとして、低減化した量のエンドプロテアーゼと増加した量のエキソペプチダーゼからなるプロテアーゼを用い、麦汁中の遊離アミノ酸の増強と起泡性タンパク質の保持、及び、麦汁の濾過性の保持とを図り、発酵麦芽飲料製造用麦汁として優れた性質を持つ発酵麦芽飲料製造用麦汁を製造する方法に関する。
我が国の酒税法上、麦芽を使用する酒類のうち、ビールは、主原料としての麦芽、副原料としての米、麦、コーン、スターチ等の澱粉質、ホップ及び水を原料とするものであり、水を除く麦芽の使用量が66.7重量%以上と規定されている。一方、発泡酒では、上記原料のうち、水を除く麦芽の使用量が50重量%以上66.7重量%未満、25重量%以上50重量%未満、25重量%未満の3種類が規定されている。
発泡酒は、我が国の酒税法上、麦芽を原料の一部として用いた雑種に属し、ビールも発泡酒も、いずれも麦芽の活性酵素やカビ由来などの精製された酵素を用い、副原料である澱粉質を糖化させ、糖化液を発酵させて、アルコール、炭酸ガスに分解して得るアルコール飲料である点では共通している。従って、発泡酒の作り方も、ビールの作り方と基本的に大きく変わるものでなく、ビールの製造装置を使用して作ることが可能である。
このような発泡酒においては、仕込等を同一条件で製造したとしても、麦芽の使用量によって、得られる麦汁中の遊離アミノ態窒素(FAN)量が変化し、発酵工程における酵母の代謝及び生育に影響を及ぼし、その香味に変化を生ずる。すなわち、麦芽の使用量を減らしていき、麦芽以外の副原料の使用量に対して麦芽の使用量を少なくした場合には、ビールと同一条件で発泡酒を製造したとしても、麦汁中のFAN生成量の減少によって酵母の醗酵性が悪化し、コハク酸やリンゴ酸のような有機酸の生成量が増加し、酸味の増加が目立ってくる。
発泡酒のような発酵麦芽飲料の製造において問題となる、麦芽使用量の減少による酵素不足及び香味の変化に対する改善技術としては、仕込工程において外部酵素を添加する方法(特公昭55−38110号公報)や、副原料の一部又は全部を大麦分解物とする方法(特開2001-333760号公報)、或いは、発酵工程前に酵母の栄養源として酵母エキスやペプトンなどの有機窒素源を添加する方法(特開平11−178564号公報)が開示されている。
また、仕込工程中にプロテアーゼを添加することにより、麦汁中の遊離アミノ酸が増加することが知られており(発酵工学会誌, Vol.59, No.5, 421-429, 1981)、プロテアーゼの添加によって麦汁中のFAN生成量を増加させる、或いは発酵工程前にアミノ酸を添加する方法が開示されている(特開平10−117760号公報、特開平10−225287号公報)。しかし、一方で、プロテアーゼの添加は麦汁濾過を悪化させることやビールの泡持ちを低下させることが知られている。
麦汁中の遊離アミノ酸の増加には、エンドプロテアーゼとエキソペプチダーゼが寄与していることが開示されている(特表2000−504571号公報)。しかし、ここで報告されているエキソペプチダーゼはロイシン−アミノペプチダーゼ(LAP)若しくはフェニルアラニン−アミノペプチダーゼを指しており、該公報では、X−プロリル−ジペプチジル−アミノペプチダーゼ(DAP)については言及されていない。しかしながら、本発明者は、精製したLAP及びDAPを用いて糖化試験を行い、LAPのみを増強してもFAN増加効果は低いこと、を確認している。
プロテアーゼを用いたペプチドの分解において、ペプチド中にプロリンが存在する場合には、プロリンのイミノ基側にアミノ酸が一つ結合したX-Pro-peptideの状態でLAPによる分解が停止してしまい、LAPを増強しても遊離アミノ酸は増加しないことが知られており(醤油の科学と技術, 栃倉辰六郎編, 日本醸造協会, 174-176, 1988)、醤油醸造における原料タンパクの分解では、X−プロリル−ジペプチジル−アミノペプチダーゼ(DAP)がLAPの分解できないX-Pro-peptideのアミノ末端よりX-Proのジペプチドを特異的に遊離することによって、DAP分解生成ペプチドに更にLAPが作用して、アミノ酸の遊離生成が進行することが報告されている(J. Brew. Soc. Japan, Vol.93, No.4, 307-311, 1998)。
また、上記特許(特表2000−504571号公報)では、エキソペプチダーゼ(LAP)の添加によって麦汁濾過性が改善することが報告されているが、上記のように、本発明者は、精製したLAP及びDAPを用いて糖化試験を行い、LAPのみを増強しても濾過性が改善しないことを見出している。
以上のように、発酵麦芽飲料製造用麦汁の製造において、該麦汁の製造に用いられるプロテアーゼの市販酵素剤は、該プロテアーゼのエンドプロテアーゼやエキソペプチダーゼのような構成酵素の比率や組成については、何も考慮されていないことから、プロテアーゼを用いて調製した麦汁においては、仕込工程で麦汁中の遊離アミノ酸が思うように増加しないことや、遊離アミノ酸が増加しても、麦汁濾過の悪化やビールの泡持ち低下を引き起こすなどの問題があった。そこで、発酵麦芽飲料製造用麦汁の製造におけるこれらの問題の解決が課題とされていた。
特公昭55−38110号公報。 特開2001-333760号公報。 特開平11−178564号公報。 特開平10−117760号公報。 特開平10−225287号公報。 特表2000-504571号公報。 発酵工学会誌, Vol.59, No.5, 421-429, 1981。 醤油の科学と技術, 栃倉辰六郎編, 日本醸造協会, 174-176, 1988。 J. Brew. Soc. Japan, Vol.93, No.4, 307-311, 1998。
本発明の課題は、発酵麦芽飲料製造用麦汁の製造方法、具体的には、麦芽使用比率の低い発泡酒等の発酵麦芽飲料製造用麦汁の製造において、麦汁中の遊離アミノ酸、起泡性タンパク質含量、及び、麦汁の濾過性等において優れた発酵麦芽飲料製造用麦汁を製造する方法を提供すること、更に、詳細には、発泡酒等の発酵麦芽飲料製造用麦汁の製造において、該麦汁の製造に用いられるプロテアーゼのエンドプロテアーゼとエキソペプチダーゼの構成を調整し、麦汁中の遊離アミノ酸の増強と起泡性タンパク質の保持、及び、麦汁の濾過性の保持とを図り、発酵麦芽飲料製造用麦汁として優れた性質を持つ発酵麦芽飲料製造用麦汁を製造する方法を提供することにある。更には、優れた性質を持つ発酵麦芽飲料製造用麦汁の製造に用いられる上記プロテアーゼの調製方法を提供することにある。
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意検討する中で、次のようなことを確認した。すなわち、特表2000−504571号公報に記載された発明では、エキソペプチダーゼ(LAP)の添加によって麦汁濾過性が改善することが報告されているが、本発明者は、精製したLAP及びDAP(X−プロリル−ジペプチジル−アミノぺプチダーゼ)を用いて糖化試験を行い、LAPのみを増強しても濾過性が改善しないこと、DAPの共存によって濾過性が改善することを確認した。更に、エンドプロテアーゼ(特に、耐熱性エンドプロテアーゼ)が過剰にあると、エキソペプチダーゼの増強によって濾過性が悪化することを確認した。
本発明は、これらの知見に基づいて完成されたものであり、発酵麦芽飲料製造用麦汁の製造において、該麦汁の製造に用いられるプロテアーゼとして、低減化した量のエンドプロテアーゼ(エンドプロテアーゼの低減化)と増加した量のエキソペプチダーゼ(エキソペプチダーゼの増強)からなるプロテアーゼを用い、麦汁を製造することにより、麦汁中の遊離アミノ酸を増強し、かつ、起泡性タンパク質と麦汁の濾過性の低減化を抑制して、発酵麦芽飲料製造用麦汁として優れた性質を持つ発酵麦芽飲料製造用麦汁を製造するものである。
本発明においては、プロテアーゼ(粗酵素)における構成酵素、すなわち、エンドプロテアーゼ及びエキソペプチダーゼ、エンドプロテアーゼにおける耐熱性エンドプロテアーゼ及び非耐熱性エンドプロテアーゼ、エキソペプチダーゼにおけるロイシン−アミノペプチダーゼ(LAP)及びX−プロリル−ジペプチジル−アミノぺプチダーゼ(DAP)等について、及びそれらの酵素の含有比率についての、麦汁製造における影響について、特に、麦汁中の遊離アミノ酸の増強及び、麦汁の濾過性、起泡タンパク量の改善について検討する中で、遊離アミノ態窒素の増強と濾過性の改善について、それらを両立する以下の3通りの最適比率を見出し、本発明は、かかるプロテアーゼの構成酵素の含有比率を基本構成とする。
(1)エンドプロテアーゼ活性を5.0U/g−大麦未満、望ましくは2.5U/g−大麦以下に低減し、LAP活性を1.5U/g−大麦以上、望ましくは3.0U/g−大麦以上、DAP活性を40.0mU/g−大麦以上、望ましくは80.0mU/g−大麦以上にする。
(2)エンドプロテアーゼ活性5.0〜7.5U/g−大麦のときには、総エンド活性中の耐熱性エンドプロテアーゼの比率を2.5%未満、望ましくは1.25%以下に低減する、若しくは耐熱性エンドプロテアーゼ無添加とし、LAP活性を1.5U/g−大麦以上、望ましくは3.0U/g−大麦以上、DAP活性を40.0mU/g−大麦以上、望ましくは80.0mU/g−大麦以上にする。
(3)耐熱性エンドプロテアーゼ活性を0.1U/g−大麦未満、望ましくは0.05U/g−大麦以下に低減し、LAP活性を1.5U/g−大麦以上、望ましくは3.0U/g−大麦以上、DAP活性を40.0mU/g−大麦以上、望ましくは80.0mU/g−大麦以上にする。
ここで、本発明における、ロイシン−アミノペプチダーゼ(LAP)、X−プロリル−ジペプチジル−アミノペプチダーゼ(DAP)、及びエンド型プロテアーゼ(アゾカゼイン法)の活性の定義は、実施例2に示した、[ロイシン−アミノペプチダーゼ(LAP)活性測定]、[X−プロリル−ジペプチジル−アミノペプチダーゼ(DAP)活性測定]、[エンド型プロテアーゼ活性測定(アゾカゼイン法)]の測定の定義による。
本発明は、更に、本発明のプロテアーゼの構成酵素の含有比率を有するプロテアーゼの調製方法を包含する。本発明において用いられるエンドプロテアーゼ及びエキソペプチダーゼとしては、Aspergillus属に属する麹菌、例えば、Aspergillus oryzaeのような微生物由来のプロテアーゼを用いることができる。本発明において、本発明の麦汁の製造に用いられるプロテアーゼの調製には、上記のような微生物に由来するプロテアーゼ粗酵素剤から、エンドプロテアーゼ及びエキソペプチダーゼを精製・分離し、所定のエンドプロテアーゼ含量及びエキソペプチダーゼ含量に再構成することにより調製することができる。
上記プロテアーゼ粗酵素剤からのエンドプロテアーゼ及びエキソペプチダーゼの精製・分離、及び再構成は、プロテアーゼ粗酵素剤を、クロマトグラフィーにより精製・分離して、或いは、プロテアーゼ粗酵素剤を、熱処理することによって粗酵素剤中の非耐熱性エンドプロテアーゼを失活させ、行うことができる。酵素の精製・分離については、[「タンパク質実験ハンドブック」羊土社、2003;「蛋白質、酵素の基礎実験法」南江堂、1994]などの文献に記載の一般的な方法で精製・分離が可能である。また、本発明においては、プロテアーゼ粗酵素剤を、阻害剤若しくは吸着剤により粗酵素中から耐熱性エンドプロテアーゼを失活、除去させ、所定のエンドプロテアーゼ含量及びエキソペプチダーゼ含量への再構成を行うことができる。本発明における上記エンドプロテアーゼ及びエキソペプチダーゼの精製・分離、及び再構成においては、熱処理による粗酵素剤中の非耐熱性エンドプロテアーゼの失活、及び/又は、阻害剤若しくは吸着剤による粗酵素中からの耐熱性エンドプロテアーゼの失活を、熱処理及び阻害剤添加アッセイによって、特異的に定量測定することによって行うことができる。
更に、本発明においては、麦汁の製造に用いるプロテアーゼの調製を、プロテアーゼ生産菌のエキソペプチダーゼ(LAP及びDAP)量に対するエンドプロテアーゼ総量の相対的な低減化、非耐熱性エンドプロテアーゼの非生産化、エキソペプチダーゼ(LAP及びDAP)量に対する耐熱性エンドプロテアーゼ量の相対的な低減化、及び、耐熱性エンドプロテアーゼ非生産化に繋がるいずれかの特性を獲得したプロテアーゼ生産菌を育種し、該プロテアーゼ生産菌により行うことができる。本発明における、所定のエンドプロテアーゼ含量及びエキソペプチダーゼ含量のプロテアーゼを生産するプロテアーゼ生産菌の育種手段としては、該プロテアーゼを発現する遺伝子の改変によって行うことができる。該プロテアーゼを発現する遺伝子としては、Aspergillus oryzaeのプロテアーゼ遺伝子を用いることができる。
本発明は、本発明のプロテアーゼの調製方法によって調製されたプロテアーゼを用いて、麦汁を製造し、該麦汁を発酵させることにより製造された、発泡酒のような発酵麦芽飲料を包含する。
すなわち具体的には本発明は、[1]汁の製造に用いられるプロテアーゼとして、低減化した量のエンドプロテアーゼと増加した量のエキソペプチダーゼからなるプロテアーゼを用い、麦汁中の遊離アミノ酸の増強と起泡性タンパク質の保持、及び、麦汁の濾過性の保持とを図った発酵麦芽飲料製造用麦汁の製造において、プロテアーゼのエンドプロテアーゼ含量が2.5U/g−大麦以下に低減された量であるか、又は、プロテアーゼのエンドプロテアーゼ含量が5.0〜7.5U/g−大麦のときに、耐熱性エンドプロテアーゼ活性の全体のエンド活性に対する比率が1.25%以下に低減された量であり、かつ、エキソペプチダーゼであるロイシン−アミノペプチダーゼ(LAP)、及びX−プロリル−ジペプチジル−アミノペプチダーゼ(DAP)含量がそれぞれ、以下のいずれかとなるように増加した量であることを特徴とする発酵麦芽飲料製造用麦汁の製造方法からなる。
(1)ロイシン−アミノペプチダーゼ(LAP)含量が、3.0U/g−大麦以上で、かつX−プロリル−ジペプチジル−アミノペプチダーゼ(DAP)含量が、80.0mU/g−大麦以上である、
(2)ロイシン−アミノペプチダーゼ(LAP)含量が、4.5U/g−大麦以上で、かつX−プロリル−ジペプチジル−アミノペプチダーゼ(DAP)含量が、40.0mU/g−大麦以上である、
(3)ロイシン−アミノペプチダーゼ(LAP)含量が、1.5U/g−大麦以上で、かつX−プロリル−ジペプチジル−アミノペプチダーゼ(DAP)含量が、120.0mU/g−大麦以上である。
また本発明は、[2]プロテアーゼのエンドプロテアーゼ含量が2.5U/g−大麦以下に低減された量であるか、又は、プロテアーゼのエンドプロテアーゼ含量が5.0〜7.5U/g−大麦のときに、耐熱性エンドプロテアーゼ活性の全体のエンド活性に対する比率が1.25%以下に低減された量であり、かつ、エキソペプチダーゼであるロイシン−アミノペプチダーゼ(LAP)、及びX−プロリル−ジペプチジル−アミノペプチダーゼ(DAP)含量がそれぞれ、以下のいずれかであることを特徴とする前記[1]記載の発酵麦芽飲料製造用麦汁の製造方法からなる。
(1)ロイシン−アミノペプチダーゼ(LAP)含量が、4.5U/g−大麦で、かつX−プロリル−ジペプチジル−アミノペプチダーゼ(DAP)含量が、120.0mU/g−大麦である、
(2)ロイシン−アミノペプチダーゼ(LAP)含量が、3.0U/g−大麦で、かつX−プロリル−ジペプチジル−アミノペプチダーゼ(DAP)含量が、120.0mU/g−大麦である、
(3)ロイシン−アミノペプチダーゼ(LAP)含量が、4.5U/g−大麦で、かつX−プロリル−ジペプチジル−アミノペプチダーゼ(DAP)含量が、80.0mU/g−大麦である。
さらに本発明は、[3]プロテアーゼのエンドプロテアーゼを耐熱性エンドプロテアーゼのみとし、耐熱性エンドプロテアーゼ含量を0.05U/g−大麦以下とし、エキソペプチダーゼであるロイシン−アミノペプチダーゼ(LAP)、及びX−プロリル−ジペプチジル−アミノペプチダーゼ(DAP)含量がそれぞれ、以下のいずれかとなるように増加した量であることを特徴とする前記[2]記載の発酵麦芽飲料製造用麦汁の製造方法からなる。
(1)ロイシン−アミノペプチダーゼ(LAP)含量が、3.0U/g−大麦以上で、かつX−プロリル−ジペプチジル−アミノペプチダーゼ(DAP)含量が80.0mU/g−大麦以上である、
(2)ロイシン−アミノペプチダーゼ(LAP)含量が、4.5U/g−大麦以上で、かつX−プロリル−ジペプチジル−アミノペプチダーゼ(DAP)含量が40.0mU/g−大麦以上である、
(3)ロイシン−アミノペプチダーゼ(LAP)含量が、1.5U/g−大麦以上で、かつX−プロリル−ジペプチジル−アミノペプチダーゼ(DAP)含量が120.0mU/g−大麦以上である。
また本発明は、[4]耐熱性エンドプロテアーゼ含量を0.05U/g−大麦以下とし、エキソペプチダーゼであるロイシン−アミノペプチダーゼ(LAP)、及びX−プロリル−ジペプチジル−アミノペプチダーゼ(DAP)含量がそれぞれ、以下のいずれかであることを特徴とする前記[3]記載の発酵麦芽飲料製造用麦汁の製造方法からなる。
(1)ロイシン−アミノペプチダーゼ(LAP)含量が、4.5U/g−大麦以上で、かつX−プロリル−ジペプチジル−アミノペプチダーゼ(DAP)含量が120.0mU/g−大麦以上である、
(2)ロイシン−アミノペプチダーゼ(LAP)含量が、3.0U/g−大麦以上で、かつX−プロリル−ジペプチジル−アミノペプチダーゼ(DAP)含量が120.0mU/g−大麦以上である、
(3)ロイシン−アミノペプチダーゼ(LAP)含量が、4.5U/g−大麦以上で、かつX−プロリル−ジペプチジル−アミノペプチダーゼ(DAP)含量が80.0mU/g−大麦以上である。
以下に、本発明を更に詳細に説明するために、本発明のプロテアーゼについて、該プロテアーゼの構成酵素及び含有比率による麦汁への影響について、本発明者が行った該構成酵素の分離・精製、及びそれらの各酵素の機能の解明についての実験例を記載する。
(市販プロテアーゼ製剤の評価)
各種市販酵素剤をタンパク質原料に添加して糖化したところ、Aspergillus oryzae起源の「スミチームFP」(新日本化学工業社製)の遊離アミノ態窒素増強効果が最も高かった。しかし、麹菌由来の酵素は遊離アミノ態窒素を増強する一方で、麦汁濾過性を悪化させることがわかった。そこで、スミチームFP中のプロテアーゼを精製し、遊離アミノ態窒素増強因子および濾過性悪化因子を特定することとした。
(各種酵素の大量精製)
スミチームFPをクロマト(DEAEおよびPhenyl、ハイドロキシアパタイト)によって精製し、エンドプロテアーゼ3種、エキソペプチダーゼ2種を得た。SDS-PAGEでのメインバンドをPVDF膜にブロッティングし、リジルエンドペプチダーゼ(LysC)で限定分解後、MALDI-TOF/MS(マルディ−トフマス)解析による分子種の特定を行った結果、エンドプロテアーゼ3種は、セリンタイプのアルカリプロテアーゼ(別名:オリツィン)、中性メタルプロテアーゼI、耐熱性が高くカゼインに対する反応性が低い中性メタルプロテアーゼII(別名:デューテロリシン)であった。便宜上それぞれエンドa、エンドb、エンドcと命名した(以降、エンドa、b、cと表記した場合は上記の分子種を指すこととする)。エキソ型2種は、ロイシン−アミノペプチダーゼ(LAP)、X−プロリル−ジペプチジルアミノペプチダーゼ(DAP:別名DAPIV)であった。
LAPはLAP1とLAP2の種類の分子種があったが、遊離アミノ態窒素増強への効果は同程度であり、主にLAP1を用いて検討を実施したため、以降LAPと表記した場合はLAP1を指すこととする。DAPについてもLys-Ala-MCAを基質とするDAPIIが存在したが、遊離アミノ態窒素増強への効果はほとんどなく、主にDAP1を用いて検討を実施したため、以降DAPと表記した場合はDAP1を指すこととする。
(エンド型分子種特異的検出法の開発)
エンドcはカゼインへの反応性が低く、特異的に反応する基質としては、Boc-Arg-Val-Arg-Arg-MCAやBoc-Leu-Lys-Arg-MCAなどが報告されている(日本農芸化学会誌, 大会講演要旨集, 50, 2001)が、粗酵素の状態ではLAPの混入によってエンドa及びbでも蛍光を発してしまう。そこで本発明者らは、エンドcの耐熱性を利用して、熱処理と阻害剤添加アッセイを組み合わせることにより、エンドa、b、cの特異的な検出法を開発した。この検出法により、粗酵素の状態でもエンドa、b、cの特異的な検出・定量が可能となった。
(遊離アミノ態窒素増強因子・濾過性悪化因子の特定)
精製したエンドプロテアーゼおよびエキソペプチダーゼを用いて糖化したところ、エンド型もエキソ型も遊離アミノ態窒素増強因子であることを確認した。しかし、エキソ型は単独では遊離アミノ態窒素がほとんど増加せず、エンド型の添加によって遊離アミノ態窒素の増加が進行した。したがって、エンドとエキソの共存によって、遊離アミノ態窒素が増強することが明らかとなった。一方で、エンド型を増強すると濾過性が悪化することがわかった。その中でも、エンドcは遊離アミノ態窒素増強・濾過性悪化への寄与が大きく、耐熱性があるために糖化中の反応時間がエンドa、bに比べて長くなることが原因と考えられた。エンドcはカゼインに対する反応性が低く、アゾカゼイン法ではスミチームFP中エンド活性の5%程度であるが、遊離アミノ態窒素増強の50%程度の効果はエンドcに起因しており、見かけ上の活性以上にその影響が大きいことが明らかとなった。
(最適比率検討:エンド添加量低減)
エンド添加量を低減して糖化したところ、エンド活性5〜10U/g−大麦(アゾカゼイン分解活性)では、エキソ(LAP及びDAP)の増強によって遊離アミノ態窒素が増加するものの、濾過性が悪化した。これは特表2000−504571号公報の記載内容とは異なり、新規知見である。一方で、エンド活性を2.5U/g−大麦まで低減すると、エキソ(LAP及びDAP)の増強によって遊離アミノ態窒素の増強及び濾過性の改善が両立できることがわかった。
つまり、エンドが過剰に存在していると、エキソ(LAP及びDAP)の添加量を増やしても濾過性は改善されず、むしろ悪化してしまうため、エキソの増強によって濾過性を改善するには、エンド活性を5.0U/g−大麦未満、望ましくは2.5U/g−大麦以下に低減する必要があることを明らかにした。本発明者は、様々な酵素比率での糖化試験により、エンド活性を5.0U/g−大麦未満、望ましくは2.5U/g−大麦以下に低減し、LAP活性を1.5U/g−大麦以上、望ましくは3.0U/g−大麦以上、DAP活性を40.0mU/g−大麦以上、望ましくは80.0mU/g−大麦以上にすることによって、遊離アミノ態窒素の増強及び濾過性の改善が両立できることを見出した。
(最適比率検討:耐熱性エンド低減)
濾過性悪化には耐熱性のエンドcの寄与が大きいことから、エンドc添加量を低減して糖化したところ、エンド活性を5.0U/g−大麦(アゾカゼイン分解活性)とし、総エンド活性中の耐熱性エンド(エンドc)比率を2.5〜5.0%とした系では、エキソ(LAP及びDAP)の増強によって遊離アミノ態窒素が増加するものの、濾過性が悪化した。これは特表2000−504571号公報の記載内容とは異なり、新規知見である。一方で、エンドc比率を1.25%まで低減すると、エキソ(LAP及びDAP)の増強によって遊離アミノ態窒素の増強および濾過性の改善が両立できることがわかった。更に、エンドc無添加として糖化したところ、エンド活性を7.5U/g−大麦とし、エンドa:b:c=70:30:0で、エキソ(LAP及びDAP)の増強によって遊離アミノ態窒素の増強及び濾過性の改善が両立できることがわかった。
また、LAPを増強してもDAP無添加の系では遊離アミノ態窒素がほとんど増加しないことを確認した。同様に、LAP無添加の系では、DAPを増強しても遊離アミノ態窒素がほとんど増加しないことを確認した。これも、特表2000−504571号公報の記載内容とは異なり、遊離アミノ態窒素増強にはLAPとDAPの共存が重要であることが明らかとなった。更に、DAP無添加の系、或いはLAP無添加の系では、それぞれLAP、或いはDAPを増強しても濾過性はほとんど改善しないことを確認した。
本発明者らは、様々な酵素比率での糖化試験により、エンド活性5.0〜7.5U/g−大麦のときには、総エンド活性中の耐熱性エンド(エンドc)比率を2.5%未満、望ましくは1.25%以下に低減する、もしくは耐熱性エンド無添加とし、LAP活性を1.5U/g−大麦以上、望ましくは3.0U/g−大麦以上、DAP活性を40.0mU/g-大麦以上、望ましくは80.0mU/g−大麦以上にすることによって、遊離アミノ態窒素の増強および濾過性の改善が両立できることを見出した。
(最適比率検討:耐熱性エンド単独添加量低減)
エンドプロテアーゼを低減する手法としては、熱処理による非耐熱性エンドの失活が考えられる。そこで、エンドプロテアーゼを耐熱性エンド(エンドc)のみにして糖化したところ、エンドc活性0.1U/g−大麦(アゾカゼイン分解活性)では、エキソ(LAP及びDAP)の増強によって遊離アミノ態窒素が増加するものの、濾過性が悪化することを確認した。これは特表2000−504571号公報の記載内容とは異なり、新規知見である。一方で、エンドc活性0.05U/g−大麦では、エキソ(LAP及びDAP)の増強によって遊離アミノ態窒素の増強および濾過性の改善が両立できることがわかった。本発明者らは、様々な酵素比率での糖化試験により、耐熱性エンド活性を0.1U/g−大麦未満、望ましくは0.05U/g−大麦以下に低減し、LAP活性を1.5U/g−大麦以上、望ましくは3.0U/g−大麦以上、DAP活性を40.0mU/g-大麦以上、望ましくは80.0mU/g−大麦以上にすることによって、遊離アミノ態窒素の増強および濾過性の改善が両立できることを見出した。
(起泡タンパク低減抑制)
ビール、発泡酒中において、LTP(Lipid transfer protein)は起泡タンパク質であることが報告されている(J. Agric.Food Chem. Vol. 48,No.10, 5023-5029,2000)。そこで、エンド型の添加が起泡タンパク(LTP)に及ぼす影響を評価したところ、エンド型の添加によってLTPが分解されていることを確認した。したがって、エンド型は起泡タンパク低減因子であることが明らかとなった。その中でも、エンドa、cの添加によってLTPが分解されており、一方で、エキソ型及びエンドbの添加では、LTPはほとんど分解されなかったことから、起泡タンパク低減因子はエンドa及びエンドcであることが明らかとなった。特にエンドcの寄与は大きく、耐熱性があるために糖化中の反応時間がエンドa、bに比べて長くなることが原因と考えられた。
エンド添加量およびエンドc添加量を低減して糖化したところ、エンド添加量が多い、若しくはエンドc添加量が多いほどLTPの分解は進行することがわかった。一方で、エンドc無添加及びエンドc添加量を低減した系ではLTPが残存していることから、エンド添加量を減らす、若しくは耐熱性エンド添加量を低減することによって、起泡タンパクの低減を抑制できると考えられる。エキソの増強ではLTPはほとんど分解されないことから、本発明者は、エンド添加量を減らす、若しくは耐熱性エンド添加量を低減し、エキソ型を増強することによって、遊離アミノ態窒素の増強及び濾過性の改善だけでなく、起泡タンパクの低減も抑制できることを見出した。
本発明により、麦汁の調製に用いるプロテアーゼの構成酵素を、その機能によって調整することができ、麦汁の調製に好ましい酵素作用を選択的に調整したプロテアーゼを調製することができる。したがって、本発明で調製したプロテアーゼを用い、麦汁を製造することにより、麦汁中の遊離アミノ酸を増強し、かつ、起泡性タンパク質と麦汁の濾過性の低減化を抑制して、発酵麦芽飲料製造用麦汁として優れた性質を持つ発酵麦芽飲料製造用麦汁を製造することができる。
本発明は、発酵麦芽飲料製造用麦汁の製造において、麦汁の製造に用いられるプロテアーゼとして、低減化した量のエンドプロテアーゼと増加した量のエキソペプチダーゼからなるプロテアーゼを用い、製造した麦汁中の遊離アミノ酸の増強と起泡性タンパク質の保持、及び、麦汁の濾過性の保持とを図ることからなる。ここで、エキソペプチダーゼとしては、ロイシン−アミノペプチダーゼ(LAP)、及びX−プロリル−ジペプチジル−アミノペプチダーゼ(DAP)が挙げられる。エンドプロテアーゼとしては、耐熱性或いは非耐熱性エンドプロテアーゼが挙げられる。
(プロテアーゼ)
本発明において用いるアミノペプチダーゼとしては、ロイシンアミノペプチダーゼ、或いはそれに類するようなアミノ末端からアミノ酸を一つずつ遊離する活性を持つ酵素であれば、いずれの麹菌由来の酵素でもよい。ジペプチジルアミノペプチダーゼとしては、アミノ末端にX−プロリン配列を持つペプチドからX−プロリンを遊離する活性を持つ酵素、すなわちX−プロリル−ジペプチジル−アミノペプチダーゼであれば、いずれの麹菌由来の酵素でもよい。エンド型プロテアーゼとしては、耐熱性の低いものとして中性メタルプロテアーゼIやアルカリプロテアーゼ(別名オリツィン)などが挙げられる。耐熱性の高いものとしては中性メタルプロテアーゼII(別名デューテロリシン)などが挙げられる。耐熱性、至適pHや基質特異性など、酵素学的な性質の類似した酵素であれば、いずれの麹菌由来の酵素でもよい。
麹菌としては、Aspergillus oryzae(アスペルギルス・オリゼ)、Aspergillus sojae(アスペルギルス・ソーエ)、Aspergillus niger(アスペルギルス・ニガー)、Aspergillus kawachii(アスペルギルス・カワチ)、Aspergillus awamori(アスペルギルス・アワモリ)、Aspergillus saitoi(アスペルギルス・サイトイ)等が挙げられる。その中でもAspergillus oryzae(アスペルギルス・オリゼ)、或いはその近縁であり、ほぼ同等の酵素を生産するAspergillus sojae(アスペルギルス・ソーエ)由来のものが特によい。その他同等の酵素を生産するものであれば、その他の糸状菌(RhizopusやMucor、Monascusなど)を用いてもよい。また、同等の性質を持つ酵素(アミノペプチダーゼ、X−プロリル−ジペプチジル−アミノペプチダーゼ、或いはエンド型プロテアーゼ)を生産する微生物であれば、麹菌だけでなく、PenicilliumやAcremoniumのようなその他の糸状菌、Saccaromycesのような酵母、Grifolaのような担子菌、BacillusやLactobacillusのような細菌、或いは放線菌などに由来するものでもよい。
(プロテアーゼ構成酵素の精製・分離)
本発明における麹菌の各種プロテアーゼの分画物は下記に示すような、公知の方法によって得ることができる。例えば、麹菌の液体培養物を遠心分離、珪藻土濾過、或いは膜濾過等によって菌体除去し、濾液として粗酵素抽出物を得る事ができる。また固体培養物を常温の水、若しくは適当な緩衝液中に懸濁し、そのまま攪拌若しくは超音波処理、磨砕、フレンチプレス等により固形物を破砕し、遠心分離、珪藻土濾過、或いは膜濾過等によって残渣を除去し、濾液として粗酵素抽出物を得る事ができる。粗酵素抽出液は更に減圧濃縮、UF濃縮、凍結乾燥、或いはスプレードライによる乾燥などの方法によって濃縮する事ができる。
粗酵素抽出物からの各種プロテアーゼの精製には、公知の分離、精製法を適当に組み合わせて行うことができる。例えば、塩沈澱及び有機溶媒沈澱のような溶解性を利用する方法、透析、限外濾過、ゲル濾過のような分子量の差を利用する方法、イオン交換クロマトグラフィーのような電荷の差を利用する方法、アフィニティークロマトグラフィーのような特異的親和性を利用する方法、疎水クロマトグラフィー、逆相クロマトグラフィーのような疎水性の差を利用する方法、更に等電点電気泳動のような等電点の差を利用する方法等が挙げられる。また、抽出、精製後の濃縮についても、公知の方法であればどのような方法でもよく、限外濾過、減圧加熱濃縮などを具体的に例示することができる。
更に、抽出、精製後の乾燥についても、公知の方法であればどのような方法でもよく、風乾法、加熱乾燥法、スプレードライ法、凍結乾燥法などを具体的に例示することができる。また、熱処理、pH処理、阻害剤、吸着剤による吸着除去、或いはこれらのいずれかの組み合わせ等により、夾雑酵素を物理的に失活、或いは除去し、目的の酵素活性だけを残して、精製分画する事もできる。
(プロテアーゼ構成酵素の最適構成の調製)
このようにして調製した精製酵素を本発明で示すような最適比率のプロテアーゼ組成に混合する事により、遊離アミノ態窒素量と麦汁濾過性および起泡タンパク量に優れた麦汁の調製に用いる事ができる。例えば本発明で指すエンドa、bは耐熱性が低く、かつロイシンアミノペプチダーゼ、X−プロリル−ジペプチジル−アミノペプチダーゼ、及びエンドcは耐熱性が高いことを見出したので、熱処理によってロイシンアミノペプチダーゼ、X-プロリル−ジペプチジル−アミノペプチダーゼなどのエキソ型は残し、エンド型としてはエンドcのみにしてエンド型を低減する事により、最適比率のプロテアーゼ組成を作る事もできる。
(微生物によるプロテアーゼ構成酵素の最適構成の調製)
本発明においては、プロテアーゼ構成酵素の最適構成の調製を、該酵素を生産する微生物を用いて行うことができる。該微生物の取得には、NTG、EMS、BU、などの変異剤、UV処理、X線処理などにより突然変異を誘発し、目的酵素の生産性を増強させ、また、抑制する酵素の生産を阻害して、目的の最適比率のプロテアーゼ組成物を生産させるように育種した微生物を作出する。該微生物を用いて、公知の方法により液体培養、或いは、固体培養を行い、最適組成のプロテアーゼ組成物を調製し、遊離アミノ態窒素量と麦汁濾過性、及び起泡タンパク量に優れた麦汁の調製に用いることができる。又は、個々の酵素成分を特異的に高発現する様に育種した菌株を個別に培養し、最適比率のプロテアーゼ組成に混合して用いてもよい。
プロテアーゼ構成酵素の最適構成の調製のために、該酵素を生産する微生物の調製に際しては、遺伝子工学的手法により遺伝子を改変し、最適構成の酵素を生産する微生物を取得することができる。すなわち、遺伝子操作によって目的の酵素遺伝子を組込んだり、転写制御因子の発現を制御することにより、目的酵素の生産性を増強させ、目的の最適比率のプロテアーゼ組成物を生産させるように調製した微生物を構築することができる。該遺伝子操作に用いる手法は、公知の方法を用いることができる。また、該遺伝子操作に用いる遺伝子情報は、遺伝子の商用データーベースから入手することができる。
例えば、Aspergillus oryzae由来の酵素に関して、エンドaの遺伝子については、アクセッションナンバー:BAA00258.1(セリンタイプのアルカリプロテアーゼ:オリツィン)で;エンドbの遺伝子については、アクセッションナンバー:AAF04628.1で;エンドcの遺伝子については、アクセッションナンバー:1EB6、AAB19701(中性メタルプロテアーゼII:デューテロシン)で;LAPの遺伝子については、アクセッションナンバー:AAN31395.1で;DAPの遺伝子については、アクセッションナンバー:CAA05343.1でアクセスすることができ、遺伝子情報を入手し、用いることができる。また、特定の酵素の生産を抑制するためには、該酵素を発現する遺伝子を遺伝子ターゲッティング技術により不活化し、該酵素の生産を抑制することができる。
上記のようにして、分子育種した微生物を公知の方法により液体培養、或いは固体培養を行い、最適組成のプロテアーゼ組成物を調製し、遊離アミノ態窒素量と麦汁濾過性および起泡タンパク量に優れた麦汁の調製に用いることができる。又は、個々の酵素成分を特異的に高発現する様に分子育種した菌株を個別に培養し、最適比率のプロテアーゼ組成に混合して用いてもよい。
上記方法により、プロテアーゼの構成酵素の組成を最適化するが、本発明によれば、エンドプロテアーゼ含量は5.0U/g−大麦未満に低減すればよい。望ましくは4.5、4.0、3.5或いは3.0U/g−大麦以下まで低減すればよい。更に望ましくは2.5U/g−大麦以下まで低減すればよい。なお、ここでいうエンドプロテアーゼ活性中に含まれる耐熱性エンドプロテアーゼ活性は、エンドプロテアーゼ活性全体の5%以下であればよい。上記条件におけるエンドプロテアーゼとエキソペプチダーゼの含有比率は、ロイシン−アミノペプチダーゼ(LAP)活性/エンド活性、及びX−プロリル−ジペプチジル−アミノペプチダーゼ(DAP)活性/エンド活性がそれぞれ、以下のいずれかの比率であればよい。
(1)ロイシン−アミノペプチダーゼ(LAP)活性/エンド活性が、1.2以上で、かつX−プロリル−ジペプチジル−アミノペプチダーゼ(DAP)活性/エンド活性が3.2×10−2以上である、
(2)ロイシン−アミノペプチダーゼ(LAP)活性/エンド活性が、1.8以上で、かつX−プロリル−ジペプチジル−アミノペプチダーゼ(DAP)活性/エンド活性が1.6×10−2以上である、
(3)ロイシン−アミノペプチダーゼ(LAP)活性/エンド活性が、0.6以上で、かつX−プロリル−ジペプチジル−アミノペプチダーゼ(DAP)活性/エンド活性が4.8×10−2以上である。
望ましくは上記条件におけるエキソペプチダーゼ含量が、ロイシン−アミノペプチダーゼ(LAP)活性、及びX−プロリル−ジペプチジル−アミノペプチダーゼ(DAP)活性がそれぞれ、以下のいずれかであればよい。
(1)ロイシン−アミノペプチダーゼ(LAP)活性が、3.0U/g−大麦以上で、かつX−プロリル−ジペプチジル−アミノペプチダーゼ(DAP)活性が80.0mU/g−大麦以上である、
(2)ロイシン−アミノペプチダーゼ(LAP)活性が、4.5U/g−大麦以上で、かつX−プロリル−ジペプチジル−アミノペプチダーゼ(DAP)活性が、40.0mU/g−大麦以上である、
(3)ロイシン−アミノペプチダーゼ(LAP)活性が、1.5U/g−大麦以上で、かつX−プロリル−ジペプチジル−アミノペプチダーゼ(DAP)活性が、120.0mU/g−大麦以上である。
更に望ましくは上記条件におけるエキソペプチダーゼ含量が、ロイシン−アミノペプチダーゼ(LAP)活性、及びX−プロリル−ジペプチジル−アミノペプチダーゼ(DAP)活性がそれぞれ、以下のいずれかであればよい。
(1)ロイシン−アミノペプチダーゼ(LAP)活性が、4.5U/g−大麦で、かつX−プロリル−ジペプチジル−アミノペプチダーゼ(DAP)活性が、120.0mU/g−大麦である、
(2)ロイシン−アミノペプチダーゼ(LAP)活性が、3.0U/g−大麦で、かつX−プロリル−ジペプチジル−アミノペプチダーゼ(DAP)活性が、120.0mU/g−大麦である、
(3)ロイシン−アミノペプチダーゼ(LAP)活性が、4.5U/g−大麦でかつX−プロリル−ジペプチジル−アミノペプチダーゼ(DAP)活性が80.0mU/g−大麦である。
また、エンドプロテアーゼ含量が5.0〜7.5U/g−大麦のときは、耐熱性エンドプロテアーゼの比率を全体のエンド活性に対して2.5%未満にすればよい。望ましくは2.25、2.0、あるいは1.5%以下まで低減すればよい。さらに望ましくは1.25%以下まで低減すればよい。上記条件におけるエンドプロテアーゼとエキソペプチダーゼの含有比率は、ロイシン−アミノペプチダーゼ(LAP)活性/エンド活性、及びX−プロリル−ジペプチジル−アミノペプチダーゼ(DAP)活性/エンド活性がそれぞれ、以下のいずれかの比率であればよい。
(1)ロイシン−アミノペプチダーゼ(LAP)活性/エンド活性が、0.4以上で、かつX−プロリル−ジペプチジル−アミノペプチダーゼ(DAP)活性/エンド活性1.1×10−2以上である、
(2)ロイシン−アミノペプチダーゼ(LAP)活性/エンド活性が、0.6以上で、かつX−プロリル−ジペプチジル−アミノペプチダーゼ(DAP)活性/エンド活性5.5×10−3以上である、
(3)ロイシン−アミノペプチダーゼ(LAP)活性/エンド活性が、0.2以上で、かつX−プロリル−ジペプチジル−アミノペプチダーゼ(DAP)活性/エンド活性1.65×10−2以上である。
望ましくは上記条件におけるエキソペプチダーゼ含量が、ロイシン−アミノペプチダーゼ(LAP)活性、及びX−プロリル−ジペプチジル−アミノペプチダーゼ(DAP)活性がそれぞれ、以下のいずれかであればよい。
(1)ロイシン−アミノペプチダーゼ(LAP)活性が、3.0U/g−大麦以上で、かつX−プロリル−ジペプチジル−アミノペプチダーゼ(DAP)活性が80.0mU/g−大麦以上である、
(2)ロイシン−アミノペプチダーゼ(LAP)活性が、4.5U/g−大麦以上で、かつX−プロリル−ジペプチジル−アミノペプチダーゼ(DAP)活性が、40.0mU/g−大麦以上である、
(3)ロイシン−アミノペプチダーゼ(LAP)活性が、1.5U/g−大麦以上で、かつX−プロリル−ジペプチジル−アミノペプチダーゼ(DAP)活性が、120.0mU/g−大麦以上である。
更に望ましくは上記条件におけるエキソペプチダーゼ含量が、ロイシン−アミノペプチダーゼ(LAP)活性、及びX−プロリル−ジペプチジル−アミノペプチダーゼ(DAP)活性がそれぞれ、以下のいずれかであればよい。
(1)ロイシン−アミノペプチダーゼ(LAP)活性が、4.5U/g−大麦で、かつX−プロリル−ジペプチジル−アミノペプチダーゼ(DAP)活性が、120.0mU/g−大麦である、
(2)ロイシン−アミノペプチダーゼ(LAP)活性が、3.0U/g−大麦で、かつX−プロリル−ジペプチジル−アミノペプチダーゼ(DAP)活性が、120.0mU/g−大麦である、
(3)ロイシン−アミノペプチダーゼ(LAP)活性が、4.5U/g−大麦で、かつX−プロリル−ジペプチジル−アミノペプチダーゼ(DAP)活性が、80.0mU/g−大麦である。
なお、ここでいうエンドプロテアーゼ含量は、耐熱性エンドプロテアーゼが含まれていなければ、10.0U/g−大麦未満に低減すればよい。望ましくは9.5、9.0、8.5或いは8.0U/g−大麦以下まで低減すればよい。更に望ましくは7.5U/g−大麦以下まで低減すればよい。
また、非耐熱性エンドプロテアーゼを含まず、耐熱性エンドプロテアーゼ含量を0.1U/g−大麦未満、望ましくは0.09、0.08、0.07、或いは0.06U/g−大麦以下に低減してもよい。更に望ましくは0.05U/g−大麦以下に低減してもよい。望ましくは上記条件におけるエキソペプチダーゼ含量が、ロイシン−アミノペプチダーゼ(LAP)活性、及びX−プロリル−ジペプチジル−アミノペプチダーゼ(DAP)活性がそれぞれ、以下のいずれかであればよい。
(1)ロイシン−アミノペプチダーゼ(LAP)活性が、3.0U/g−大麦以上で、かつX−プロリル−ジペプチジル−アミノペプチダーゼ(DAP)活性が、80.0mU/
g−大麦以上である、
(2)ロイシン−アミノペプチダーゼ(LAP)活性が、4.5U/g−大麦以上で、かつX−プロリル−ジペプチジル−アミノペプチダーゼ(DAP)活性が、40.0mU/g−大麦以上である、
(3)ロイシン−アミノペプチダーゼ(LAP)活性1.5U/g−大麦以上で、かつX−プロリル−ジペプチジル−アミノペプチダーゼ(DAP)活性が、120.0mU/g−大麦以上である。
更に望ましくは上記条件におけるエキソペプチダーゼ含量が、ロイシン−アミノペプチダーゼ(LAP)活性、及びX−プロリル−ジペプチジル−アミノペプチダーゼ(DAP)活性がそれぞれ、以下のいずれかであればよい。
(1)ロイシン−アミノペプチダーゼ(LAP)活性が、4.5U/g−大麦で、かつX−プロリル−ジペプチジル−アミノペプチダーゼ(DAP)活性が、120.0mU/g−大麦である、
(2)ロイシン−アミノペプチダーゼ(LAP)活性が、3.0U/g−大麦で、かつX−プロリル−ジペプチジル−アミノペプチダーゼ(DAP)活性が、120.0mU/g−大麦である、
(3)ロイシン−アミノペプチダーゼ(LAP)活性が、4.5U/g−大麦で、かつX−プロリル−ジペプチジル−アミノペプチダーゼ(DAP)活性が、80.0mU/g−大麦である。
本発明において、本発明で指すエンドプロテアーゼa、b及びcの量は、本発明による方法である、エンドcの耐熱性を利用した、熱処理と阻害剤の添加を組み合わせることにより、粗酵素の状態でも特異的に検出し、定量する事ができる。また、本発明において、麦汁の濾過性は公知の漏斗法、或いは、クロマト管法などで測定することができる。大規模の場合はロイターで濾過を行い、測定することができる。更に、発酵後の起泡性はグラスに注いだ際の泡立ち量や泡の持続時間などを測定することにより確認することができる。
本発明においては、上記のようにして調製したプロテアーゼを用いて糖化を行い、定法に従って発泡酒等の発酵麦芽飲料を製造する。本発明において、遊離アミノ態窒素増強、濾過性、起泡性に関しては、本発明の方法を利用して、大麦や麦芽蛋白に限らず、大豆、エンドウ、その他雑穀に由来するような蛋白についても同様の方法で実施することができる。該方法により、大豆、エンドウ、その他雑穀に由来するような蛋白を原料として用いた場合にも、遊離アミノ態窒素増強、濾過性、起泡性の全てを満たす麦汁や雑酒を作ることができる。
本発明における発酵麦芽飲料の製造に用いる方法は、上記のとおり、本発明の方法によって調製された発酵麦芽飲料用麦汁を用いる点を除いて、従来の発酵麦芽飲料の製造に用いられている方法と変わるところはない。本発明の発酵麦芽飲料の製造を実施するための一般的な製造方法を発泡酒の製造工程を例にとって概略を説明すると、まず、主原料である麦芽の一部と澱粉質の一部又は全部を仕込釜に温水とともに投入し、更に攪拌しながら所定の温度制御下に加熱し液化して醪を形成する。又、残りの麦芽に温水とともに仕込槽に投入し、混合しながら所定温度所定時間経過させて醪を形成する。麦芽比率を一定とし、発酵に必要な糖分を米、大麦、トウモロコシ(コーン、スターチ)、液糖等の副原料を使用することができる。次に、仕込釜で形成した醪を仕込槽で形成した醪に加え、仕込槽中に醪を所定温度で所定時間保持して酵素作用による糖化を行う。糖化終了後、濾過槽で濾過して麦汁を得る。本発明においては、この麦汁の製造工程において、本発明の調製方法によって調製されたプロテアーゼを添加して、分解を行う。
濾過工程によって得られた麦汁にホップを加え煮沸釜にて煮沸し熱麦汁を得る。
得られた熱麦汁は沈殿槽に送られ、ここで煮沸時に形成した凝固物や粕などを沈殿させて除去し、清澄な麦汁を得る。得られた麦汁をプレートクーラーで6〜10℃までに冷却される。冷却された麦汁は発酵タンクに移され、これに酵母を加えて発酵を数日間行う。得られた発酵液を貯蔵タンクにて熟成を数週間行う。熟成を終了した段階で目的とする発泡酒が得られる。以上が発泡酒の製造の一般的な工程であるが、該工程は、ビール等麦芽を使用した通常の発酵麦芽飲料の製造工程と基本的に変わるものではない。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明の技術的範囲はこれらの例示に限定されるものではない。
[市販プロテアーゼ製剤の評価]
(各種市販酵素剤):各種酵素メーカー(ノボザイムス、天野エンザイム、新日本化学、ナガセケムテック、ヤクルト薬品工業、大和化成等)より各種プロテアーゼ製剤をサンプルとして入手した。
(発泡酒用麦汁の調製・糖化):ユニテック社製10連式自動糖化装置を用いて、副原料としては粉砕した大麦15.6gを湯105mlに加え、市販の糖質分解酵素を常法により所定量添加し、常法により所定の糖化条件で、麦汁を調製した。得られた麦汁の糖度は22〜23%であった。市販酵素剤添加区では、それに市販酵素剤を15.6mg添加して糖化を実施した。
(遊離アミノ態窒素測定):希釈した麦汁2mlに0.5%ニンヒドリン溶液1mlを添加し、沸騰した湯浴で16分間加熱する。反応終了後、流水で冷却し、0.2%ヨウ素酸カリウム溶液5mlを加え、そのうちの150μlをマイクロプレートに移し、マイクロプレートリーダーにて570nmの吸光度を測定した。
(麦汁濾過性測定):温調したクロマト管(直径26mm×長さ500mm)に醪を投入し、濾層を乱さないように濾液を循環させて麦層を形成させた後、清澄麦汁の濾過液量を測定し、濾過初速度を求め、麦汁の濾過性とした。
市販酵素剤添加糖化試験の結果を図1(市販酵素剤添加によるFAN増強効果)に示す。この結果からわかるように、Aspergillus oryzae起源の「スミチームFP」(新日本化学工業社製)の遊離アミノ態窒素増強効果が最も高かった。しかし、麹菌由来の酵素はアミノ態窒素を増強する一方で、麦汁濾過性を悪化させることがわかった(図2:スミチームFP添加醪の濾過性評価)。そこで、スミチームFP中のプロテアーゼを精製し、遊離アミノ態窒素増強因子および濾過性悪化因子を特定することとした。
(各種酵素の大量精製)
(スミチームFPの透析):スミチームFPを25mMトリスHCl(pH7.0)に30%(W/V)となるよう溶解し、50倍量の同緩衝液に対し、3時間×2回透析を行ない脱塩した。
(DEAEトヨパールクロマトグラフィー):トーソー社のDEAEトヨパールクロマトグラフィー650Mカラム(ファルマシア社BPGカラム φ10cm×20cm)を用いて定法に従いクロマトを行なった。緩衝液系は25mMトリスHCL(pH7.0)0M及び0.3M NaClを用いた。
(Phenylトヨパールクロマトグラフィー):トーソー社のPhenyl トヨパールクロマトグラフィー650Mカラム(ファルマシア社BPGカラム φ10cm×20cm)を用いて定法に従いクロマトを行なった。緩衝液系は25mMトリスHCl(pH7.0)0.75M及び0M 硫安を用いた。
(ハイドロキシアパタイトクロマトグラフィー):バイオラッド社のハイドロキシアパタイト充填剤CHT−IIをバイオスケールカラム(φ1×8cm)に充填したハイドロキシアパタイトカラムを用いて、イニシャル緩衝液(10mMリン酸K pH7.2)、溶出緩衝液(400mMリン酸Na pH6.8)にてリニアグラジェントによってクロマトを行った。
[酵素活性測定法]
(ロイシン-アミノペプチダーゼ(LAP)活性測定):36mgのL-Leucine-p-nitiroanilideHClを2.5mlのDMSOに溶解したのち、50mM 燐酸緩衝液(pH7.0)にて100mlにメスアップした。酵素はMQ水にて適宜希釈する。基質溶液80μl、酵素希釈液20μlを氷上で冷却しておいたエッペンドルフチューブに入れ、フタをして攪拌した後、40℃、5分間反応を行なう。反応は1.5M酢酸溶液200μlを添加して攪拌する事により停止する。そのうちの200μlをマイクロプレートに移し、マイクロプレートリーダーにて405nmの吸光度を測定する。p-nitroanilineで作成した検量線をもとに酵素活性を計算する。酵素活性は1分間に1μmolのp-nitroanilineを遊離する酵素量を1Unitと定義する。
(X−プロリル−ジペプチジル-アミノペプチダーゼ(DAP)活性測定):5mgのGly-Pro-MCAを1.6mlのDMSOに溶解し、10mM溶液を作成したのち、小分けして凍結保存しておく。使用時にこれを100mM トリスHCl緩衝液(pH7.5)にて希釈し0.111mM溶液を作成し、基質溶液とする。酵素はMQ水にて適宜希釈する。基質溶液72μl、酵素希釈液8μlを氷上で冷却しておいたエッペンドルフチューブに入れ、フタをして攪拌した後、30℃、15分間反応を行なう。反応は1.5M酢酸溶液160μlを添加して攪拌する事により完全に停止する。そのうちの150μlをマイクロプレートに移し、蛍光マイクロプレートリーダーにて蛍光(Ex370nm、Em440nm)を測定する。AMC(7-Amino-4-methylcoumarin)で作成した検量線をもとに酵素活性を計算する。酵素活性は1分間に1μmolのAMCを遊離する酵素量を1Unitと定義する。
(エンドプロテアーゼ活性測定(アゾカゼイン法)):4%アゾカゼイン(シグマ社製)溶液2.9ml、1.5M酢酸緩衝液(pH5.8)2.9mlを入れ、混合し基質溶液とする。酵素はMQ水にて適宜希釈する。基質溶液40μl、酵素希釈液60μlを氷上で冷却しておいたエッペンドルフチューブに入れ、フタをして攪拌した後、40℃、30分間反応を行う。反応は5%TCA溶液を100μl添加して攪拌する事により停止する。室温で5分放置後、再びよく攪拌した後、1500rpm、10分間遠心分離する。そのうちの150μlをマイクロプレートに移し、マイクロプレートリーダーにて366nmの吸光度を測定する。酵素活性は本測定条件下で吸光度を1.0上昇させる酵素反応液に添加した酵素液の酵素濃度を1Unit/mlと定義する。例えば、10mlの酵素液の原液を用いて、本反応系で反応を行い、吸光度が1.0であった場合、この酵素液の1mlあたりのエンドプロテアーゼ活性は1.0Unit/mlであり、エンドプロテアーゼ活性の総量は次の様に計算される。1.0Unit/ml×10ml=10Unit。
(β−グルカナーゼ活性測定法(アゾβ−グルカン法)):1%アゾβ−グルカン(メガザイム社製)溶液を基質溶液とする。酵素は40mM酢酸Na、リン酸Na pH5.7にて適宜希釈する。沈殿溶液は30g酢酸Na・3HOと3g酢酸亜鉛を250mlのMQ水に溶かしHCLにてpH5.0に調節後、300mlに調整し、その後700mlの95%エタノールを添加しよく混合して作成する。基質溶液25μl、酵素希釈液25μlを氷上で冷却しておいたエッペンドルフチューブに入れ、フタをして攪拌した後、40℃、10分間反応を行なう。反応は150μlの沈殿溶液の添加後良く攪拌する事により停止する。室温で5分放置後、再びよく攪拌した後、1500rpm、10分間遠心分離する。その上清150μlをマイクロプレートに移し、マイクロプレートリーダーにて590nmの吸光度を測定する。酵素活性は本測定条件下で吸光度を1.0上昇させる酵素反応液に添加した酵素液の酵素濃度を1Unit/mlと定義する。例えば、10mlの酵素液の原液を用いて、本反応系で反応を行い、吸光度が1.0であった場合、この酵素液の1mlあたりのβ―グルカナーゼ活性は1.0Unit/mlであり、β―グルカナーゼ活性の総量は次の様に計算される。1.0Unit/ml×10ml=10Unit。
(精製酵素)
スミチームFPの精製フローを図3に示す。精製の結果、スミチームFPよりエンドプロテアーゼ3種、エキソペプチダーゼ2種を得た。エンドプロテアーゼ3種は、便宜上それぞれエンドa、エンドb、エンドcと命名した。エキソ型2種は、ロイシン−アミノペプチダーゼ(LAP)、X−プロリル−ジペプチジル−アミノペプチダーゼ(DAP)であった。それぞれ、精製した酵素は電気泳動でシングルバンド、もしくはメインバンドレベルまで精製されていた。各種精製酵素画分の共雑酵素活性は表1(各種精製プロテアーゼの活性)に示す通りである。
(各種酵素の同定)
各種精製酵素の耐熱性を評価した結果を図4(各種プロテアーゼの耐熱性評価)に示す。この結果からわかるように、エンドa、bは60℃でほとんど失活するのに対し、エンドcはほとんど失活せず、70℃で失活、更に温度を上げると逆に100℃で活性が部分的に回復していた。すなわちエンドcはエンドa、bよりも耐熱性が高かった。また、DAPも60℃でほとんど活性を保持していた。LAPはさらに耐熱性が高く、65℃でもほとんど活性を保持していた。
得られた各種精製酵素の性質を文献情報と照合すると、それぞれAspergillus oryzae由来のLAP(ロイシン・アミノペプチダーゼ)、DAP(X−プロリル・ジペプチジルアミノペプチダーゼ、別名DAPIV)、エンドaはセリンタイプのアルカリプロテアーゼ(別名:オリツィン)、エンドbは中性メタルプロテアーゼI、及びエンドcは耐熱性が高くカゼインに対する反応性が低い中性メタルプロテアーゼII(別名:デューテロリシン)と推定された。そこで、LAP、DAP、エンドb、cについては文献の分子量の情報から相当するSDS−PAGEでのメインバンドをPVDF膜にブロッティングし、リジルエンドペプチダーゼ(LysC)で限定分解後、MALDI−TOF/MS(マルディ−トフマス)解析により分子量を測定し、ペプチドマスフィンガープリント法によって分子種の特定を行った。その結果を図5〜9(各種プロテアーゼ分子種の特定)に示す。図5はエンドaについて、図6はエンドbについて、図7はエンドcについて、図8はLAPについて、図9はDAPについての分子種の特定について示す。
LAPはAspergillus oryzae由来のLAP遺伝子の登録がなかったものの、Aspergillus sojae由来LAPと一致するフラグメントが確認され、LAPと特定された。DAPはAspergillus oryzae由来のDAP(プロリル・ジペプチジルアミノペプチダーゼ)、エンドbは中性メタルプロテアーゼI、及びエンドcは中性メタルプロテアーゼII(別名:デューテロリシン)と一致するフラグメントがそれぞれ確認され、特定された。エンドaはMSHを添加したサンプルバッファーで100℃、3分間加熱した後SDS−PAGEを行うと分子量53kDa、35kDaにメインバンドが現れ、両者を解析した結果、いずれもAspergillus oryzae由来のアルカリプロテアーゼ(別名:オリツィン)と一致するフラグメントが確認され、特定された。
エンドcはカゼインへの反応性が低く、特異的に反応する基質としては、Boc-Arg-Val-Arg-Arg-MCAやBoc-Leu-Lys-Arg-MCAなどが報告されているが、粗酵素の状態ではLAPの混入によってエンドa及びbでも蛍光を発してしまう。
そこで本発明者らは、エンドcの耐熱性を利用して、熱処理と阻害剤添加アッセイを組み合わせることにより、エンドa、b、cの特異的な検出法を開発した。熱処理は60℃ 20min、阻害剤にはエンドaのインヒビターとしてPMSFを、エンドb、cのインヒビターとしてEDTAを用いる。この検出法により、粗酵素の状態でもエンドa、b、cの特異的な検出が可能となった。エンドa、b、cそれぞれの活性は以下の計算式によって算出できる。
(計算式):
エンドa活性=(通常の活性)−(PMSF添加時の活性)
エンドb活性=(通常の活性)−(EDTA添加時の活性)−(熱処理後の活性)
エンドc活性=(熱処理後の活性)
上記の検出法により、Aspergillus oryzae起源の市販プロテアーゼ製剤のエンド比率を測定した結果を図10に示す。その結果、スミチームFPの全体のエンド活性(アゾカゼイン分解活性)に対する各エンドの比率は、a:b:c=50:45:5であった。スミチームFP中に含まれる活性は、LAP活性1500U/g、DAP活性4.0U/g、エンド活性は10340U/gであり、エンド活性のうち、エンドa、b、cはそれぞれ5190U/g、4590U/g、560U/gであった。また、Aspergillus oryzae起源の市販プロテアーゼ製剤の中で、エンドcを含まないものはない事がわかった。なお、スミチームFPの総エンドプロテアーゼ活性をカゼインフォーリン法(Biosci. Biotech. Biochem., Vol.61, No.4, 710-715,1997、に記載の方法を基本として、反応条件をpH6.0、温度37℃に改変)で測定した場合の活性は、43000U/gであった。
[遊離アミノ態窒素増強因子・濾過性悪化因子の特定]
遊離アミノ態窒素増強因子と濾過性悪化因子を特定するために、実施例2で精製した酵素を用いて実施例1と同様の条件で糖化試験を行った。糖化終了後、実施例1と同様の方法で麦汁濾過性及び遊離アミノ態窒素量を測定した。精製したエンドプロテアーゼ及びエキソペプチダーゼを用いた糖化試験の結果を図11(各種エンドプロテアーゼ添加による遊離アミノ態窒素増強及び濾過性悪化効果)に示す。この結果からわかるように、エンド型もエキソ型もアミノ態窒素増強因子であることを確認した。ただし、エキソ型は単独ではアミノ態窒素がほとんど増加せず、エンド型の添加によって遊離アミノ態窒素の増加が進行した。これは、エンドとエキソの共存によって、遊離アミノ態窒素が増強することを示している。
一方で、エキソ型の添加によって濾過性は改善されたが、エンド型を増強すると濾過性が悪化することがわかった。その中でも、エンドcは遊離アミノ態窒素増強・濾過性悪化への寄与が大きく、耐熱性があるために糖化中の反応時間がエンドa、bに比べて長くなることが原因と考えられた。実施例2より、エンドcはアゾカゼイン法ではスミチームFP中エンド活性の5%程度であるが、デューテロリシンはカゼインへの反応性が低いことが報告されており、アゾカゼイン法では見かけ上、エンドcの活性は少ない。しかし、エンドcの糖化時の遊離アミノ態窒素増強に対する寄与度は、スミチームFPに含まれる全エンド型プロテアーゼのうち、半分程度を占めている事がわかった。また、エンドcは遊離アミノ態窒素増強効果が強い上に、濾過性悪化への寄与が大きいことがわかった。
[最適比率検討:エンド添加量低減]
実施例3により、エンドプロテアーゼが濾過性悪化因子であることがわかったため、エンド添加量を低減し、エキソ添加量を増強した際の効果について検討を行った。実施例2で精製した酵素を用いて実施例1と同様の条件で糖化試験を行い、遊離アミノ態窒素量および麦汁濾過性については実施例1と同様の方法で測定した。
エンド添加量低減糖化試験の結果を図12〜13(エンド添加量低減の効果:様々な酵素比率での糖化試験)に示す。図12は、エンド添加量低減糖化試験(遊離アミノ態窒素)について、図13は、エンド添加量低減糖化試験(麦汁濾過性)について示す。この結果からわかるように、エンド活性5〜10U/g−大麦(アゾカゼイン分解活性)では、LAPの増強によって遊離アミノ態窒素が増加するものの、濾過性が悪化した。これは特表2000−504571号公報の記載内容とは異なり、新規知見である。また、DAPを増強しても遊離アミノ態窒素がほとんど増加せず、濾過性が悪化することから、エンドが過剰に存在することが原因と考えられる。
一方で、エンド活性を2.5U/g−大麦まで低減すると、エキソの増強によって遊離アミノ態窒素の増強および濾過性の改善が両立できることがわかった。つまり、エンドが過剰に存在していると、エキソの添加量を増やしても濾過性は改善されず、むしろ悪化してしまうため、エキソ(LAP及びDAP)の増強によって濾過性を改善するには、エンド活性を2.5U/g−大麦以下に低減する必要があることを見出した。エキソ(LAP及びDAP)の増強による遊離アミノ態窒素増強及び濾過性改善の両立の可否については、以下の式(式1)によってエキソ(LAP及びDAP)増強の効果を算出することにより、簡便な判定が可能となる。
上記の式によってエキソ(LAP及びDAP)増強の効果を評価した結果を図14に示す。この結果より、エンドを2.5U/g−大麦まで低減するとエキソ(LAP及びDAP)の増強によって濾過性が改善することがわかった。本発明者らは、様々な酵素比率での糖化試験により、エンド活性を5.0U/g−大麦未満、望ましくは2.5U/g−大麦以下に低減し、LAP活性を1.5U/g−大麦以上、望ましくは3.0U/g−大麦以上、DAP活性を40.0mU/g−大麦以上、望ましくは80.0mU/g−大麦以上にすることによって、遊離アミノ態窒素の増強および濾過性の改善が両立できることを見出した(表2)。
[最適比率検討:耐熱性エンド低減]
実施例3より、エンドプロテアーゼの中でも、耐熱性エンド(エンドc)の寄与が大きかったことから、耐熱性エンド添加量を低減し、エキソ添加量を増強した際の効果について検討を行った。実施例2で精製した酵素を用いて実施例1と同様の条件で糖化試験を行い、遊離アミノ態窒素量および麦汁濾過性については実施例1と同様の方法で測定した。
耐熱性エンド低減糖化試験の結果を図15〜16(耐熱性エンド低減の効果:様々な酵素比率での糖化試験)に示す。図15は、耐熱性エンド低減糖化試験(アミノ態窒素)について、図16は、耐熱性エンド低減糖化試験(麦汁濾過性)について示す。この結果からわかるように、エンド活性を5.0U/g−大麦(アゾカゼイン分解活性)とし、エンドc比率を2.5〜5.0%とした系では、エキソ(LAP及びDAP)の増強によって遊離アミノ態窒素の増加を確認するとともに、濾過性が悪化した。これは実施例4同様、特表2000−504571号公報の記載内容とは異なり、新規知見である。一方で、エンドc比率を1.25%まで低減すると、エキソ(LAP及びDAP)の増強によって遊離アミノ態窒素の増強および濾過性の改善が両立できることがわかった。更に、エンドc無添加とし、エキソ添加量を増強した際の効果についても検討を行った結果を図17〜18に示す。図17は、耐熱性エンド無添加の効果(様々な酵素比率での糖化試験)について、図18は、耐熱性エンド無添加糖化試験(麦汁濾過性)について示す。この結果からわかるように、エンド活性を7.5U/g−大麦とし、エンドa:b:c=70:30:0で、エキソ(LAP及びDAP)の増強によって遊離アミノ態窒素の増強および濾過性の改善が両立できることがわかった。
また、LAPを増強してもDAP無添加の系では遊離アミノ態窒素がほとんど増加しないことを確認した。同様に、LAP無添加の系では、DAPを増強しても遊離アミノ態窒素がほとんど増加しないことを確認した。これも、特表2000−504571号公報の記載内容とは異なり、遊離アミノ態窒素増強にはLAPとDAPの共存が重要であることがわかった。また、DAP無添加の系、或いはLAP無添加の系では、それぞれLAP、或いはDAPを増強しても濾過性はほとんど改善しないことを確認した。本発明者は、様々な酵素比率での糖化試験により、エンド活性5.0〜7.5U/g−大麦のときには、耐熱性エンドの添加比率を2.5%未満、望ましくは1.25%以下に低減する、若しくは耐熱性エンド無添加とし、LAP活性を1.5U/g−大麦以上、望ましくは3.0U/g−大麦以上、DAP活性を40.0mU/g−大麦以上、望ましくは80.0mU/g−大麦以上にすることによって、遊離アミノ態窒素の増強および濾過性の改善が両立できることを見出した。結果を、表3(耐熱性エンド低減の効果耐熱性エンド低減の効果:エンド活性5.0U/g−大麦、耐熱性エンド比率1.25%)、及び、表4(耐熱性エンド無添加の効果:エンド活性7.5U/g−大麦、耐熱性エンド無添加)に示す。
[最適比率検討:耐熱性エンド単独添加量低減]
エンドプロテアーゼを低減する手法としては、熱処理による非耐熱性エンドの失活が考えられる。そこで、エンドプロテアーゼを耐熱性エンド(エンドc)のみにし、エキソ添加量を増強した際の効果について検討を行った。実施例2で精製した酵素を用いて実施例1と同様の条件で糖化試験を行い、遊離アミノ態窒素量および麦汁濾過性については実施例1と同様の方法で測定した。
耐熱性エンド単独添加糖化試験の結果を図19〜20(耐熱性エンド単独添加量低減の効果)に示す。図19は、耐熱性エンド単独添加糖化試験(遊離アミノ態窒素)について、図20は、耐熱性エンド単独添加糖化試験(麦汁濾過性)について示す。この結果からわかるように、エンドc活性0.1U/g−大麦(アゾカゼイン分解活性)では、エキソの増強によって遊離アミノ態窒素が増加するものの、濾過性が悪化することを確認した。これは実施例4、5と同様に、特表2000−504571号公報の記載内容とは異なり、新規知見である。一方で、エンドc活性0.05U/g−大麦では、エキソの増強によって遊離アミノ態窒素の増強および濾過性の改善が両立できることがわかった。本発明者は、様々な酵素比率での糖化試験により、耐熱性エンド活性を0.1U/g−大麦未満、望ましくは0.05U/g−大麦以下に低減し、LAP活性を1.5U/g−大麦以上、望ましくは3.0U/g−大麦以上、DAP活性を40.0mU/g−大麦以上、望ましくは80.0mU/g−大麦以上にすることによって、遊離アミノ態窒素の増強および濾過性の改善が両立できることを見出した(表5:耐熱性エンド単独添加量低減の効果:エンドc活性0.05U/g−大麦)。
[起泡タンパク定量]
麦汁中の起泡タンパク(LTP)は、SDS−PAGE上のバンドでは9kDa付近に位置する。麦汁をグラジェンドゲル(第一化学社製、PAGミニ「第一」15/25)によってSDS−PAGEし、9kDa付近に確認されたバンドをPVDF膜にブロッティングし、リジルエンドペプチダーゼ(Lys C)で限定分解後、MALDI-TOF/MS(マルディ−トフマス)解析により分子量を測定し、ペプチドマスフィンガープリント法によって分子種の特定を行った。その結果、このバンドが大麦由来のLTP1(Lipid transfer protein1)である事が確認された。麦汁は、SDS−PAGE後にゲルを固定化し、サイプロルビー法(インビトロジェン社)により染色し、分子量9kDaのLTP1のバンドをフルオロイメージャーによって定量した。なお、タンパク定量の標準液としてBSAを用いた。
エンド型の添加がLTPに及ぼす影響を評価するために、実施例4で得られた麦汁中の起泡タンパク(LTP)を定量した結果を図21(エンド型の添加がLTPに及ぼす影響)に示す。この結果からわかるように、エンド型の添加によってLTPが分解されていることを確認した。したがって、エンド型は起泡タンパク低減因子であることが明らかとなった。次に、どのエンド分子種がLTPの分解に寄与しているかを評価すべく、実施例3で得られた麦汁中の起泡タンパク(LTP)を定量した結果を図22(各種エンドプロテアーゼ添加がLTPに及ぼす影響)に示す。この結果からわかるように、エンドa、cの添加によってLTPが分解されていることを確認した。一方で、エキソ型およびエンドbの添加では、LTPはほとんど分解されなかったことから、起泡タンパク低減因子はエンドaおよびエンドcであることが明らかとなった。その中でもエンドcの寄与が大きく、耐熱性があるために糖化中の反応時間がエンドa、bに比べて長くなることが原因と考えられた。
実施例4〜6で得られた麦汁中の起泡タンパク(LTP)を定量した結果を図23(各種エンド比率がLTPに及ぼす影響)に示す。この結果からわかるように、エンド添加量が多い、もしくはエンドc添加量が多いほどLTPの分解は進行することがわかった。一方で、エンドc無添加およびエンドc添加量を低減した系ではLTPが残存していることから、エンド添加量を減らす、もしくは耐熱性エンド添加量を低減することによって、起泡タンパクの低減を抑制できると考えられる。エキソの増強ではLTPはほとんど分解されないことから、本発明者らは、エンド添加量を減らす、もしくは耐熱性エンド添加量を低減し、エキソ型を増強することによって、遊離アミノ態窒素の増強および濾過性の改善だけでなく、起泡タンパクの低減も抑制できることを見出した。
[粗酵素剤の熱処理]
エンドプロテアーゼを低減する手法としては、熱処理による非耐熱性エンドの失活が考えられる。そこで、市販酵素剤スミチームFPをMQ水に溶解したものを熱処理した際の酵素活性について検討を実施した。熱処理は60℃20分の条件で行った。スミチームFP熱処理試験の結果を図24に示す。この結果からわかるように、熱処理によってエンドa、bは完全に失活し、エンドc、LAP、DAPの活性は維持されていた。
本発明の実施例の市販酵素剤添加糖化試験において、市販酵素剤添加によるFAN増強効果を示す図である。 本発明の実施例の市販酵素剤添加糖化試験において、スミチームFP添加醪の濾過性評価を示す図である。 本発明の実施例におけるスミチームFP精製フローを示す図である。 本発明の実施例において、各種精製酵素の耐熱性を評価した結果を示す図である。 本発明の実施例において、各種プロテアーゼ分子種(エンドa)の特定について示す図である。 本発明の実施例において、各種プロテアーゼ分子種(エンドb)の特定について示す図である。 本発明の実施例において、各種プロテアーゼ分子種(エンドc)の特定について示す図である。 本発明の実施例において、各種プロテアーゼ分子種(LAP)の特定について示す図である。 本発明の実施例において、各種プロテアーゼ分子種(DAP)の特定について示す図である。 本発明の実施例において、Aspergillus oryzae起源の市販酵素剤のエンド比率を測定した結果について示す図である。 本発明の実施例において、精製したエンドプロテアーゼ及びエキソペプチダーゼを用いた糖化試験の結果を示す図である。図中、D1+L1:DAP活性40mU/g−大麦+LAP活性1.5U/g−大麦を;A0.5〜A2.0:エンドa活性(アゾカイン分解活性)2.5〜10.0U/g−大麦を;B0.25〜B2.0:エンドb活性(アゾカイン分解活性)1.125〜9.0U/g−大麦を;C0.25〜C2.0:エンドc活性(アゾカイン分解活性)0.125〜1.0U/g−大麦を表す。 本発明の実施例のエンド添加量低減糖化試験において、エンド添加量低減糖化試験(遊離アミノ態窒素)の結果について示す図である。図中、エンド活性(アゾカイン分解活性):E1.0=10U/g−大麦、E0.75=7.5U/g−大麦、E0.5=5.0U/g−大麦、E0.25=2.5U/g−大麦;a:b:c=50:45:5(アゾカイン分解活性);LAP活性:L1=1.5U/g−大麦、L2=3.0U/g−大麦、、L3=4.5U/g−大麦;DAP活性:D1=40mU/g−大麦、D2=80mU/g−大麦、D3=120mU/g−大麦、を表す。 本発明の実施例のエンド添加量低減糖化試験において、エンド添加量低減糖化試験(麦汁濾過性)の結果について示す図である。図中、エンド活性(アゾカイン分解活性):E1.0=10U/g−大麦、E0.75=7.5U/g−大麦、E0.5=5.0U/g−大麦、E0.25=2.5U/g−大麦;a:b:c=50:45:5(アゾカイン分解活性);LAP活性:L1=1.5U/g−大麦、L2=3.0U/g−大麦、、L3=4.5U/g−大麦;DAP活性:D1=40mU/g−大麦、D2=80mU/g−大麦、D3=120mU/g−大麦、を表す。 本発明の実施例のエンド添加量低減糖化試験において、エンド添加量低減によるエキソの効果について示す図である。図中、C:エキソ3倍量(LAP4.5U/g−大麦、DAP120mU/g−大麦)添加時の相対比;C:エキソ1倍量(LAP1.5U/g−大麦、DAP40mU/g−大麦)添加時の相対比、を表す。 本発明の実施例の耐熱性エンド低減糖化試験の結果について、耐熱性エンド低減糖化試験(遊離アミノ態窒素)を示す図である。図中、エンド活性(アゾカゼイン分解活性):E0.5=5.0U/g−大麦;エンドa活性:2.5U/g−大麦;エンドb活性=2.25U/g−大麦;エンドc活性:c5.0=0.25U/g−大麦、c2.5=0.125U/g−大麦、c1.25=0.063U/g−大麦;LAP活性:L1=1.5U/g−大麦、L2=3.0U/g−大麦、L3=4.5U/g−大麦;DAP活性:D1=40mU/g−大麦、D2=80mU/g−大麦、D3=120mU/g−大麦、を表す。 本発明の実施例の耐熱性エンド低減糖化試験において、耐熱性エンド低減糖化試験(麦汁濾過性)について示す図である。図中、エンド活性(アゾカゼイン分解活性):E0.5=5.0U/g−大麦;エンドa活性:2.5U/g−大麦;エンドb活性=2.25U/g−大麦;エンドc活性:c5.0=0.25U/g−大麦、c2.5=0.125U/g−大麦、c1.25=0.063U/g−大麦;LAP活性:L1=1.5U/g−大麦、L2=3.0U/g−大麦、L3=4.5U/g−大麦;DAP活性:D1=40mU/g−大麦、D2=80mU/g−大麦、D3=120mU/g−大麦、を表す。 本発明の実施例の耐熱性エンド低減糖化試験において、耐熱性エンド無添加糖化試験(遊離アミノ態窒素)についてす図である。図中、エンド活性(アゾカゼイン分解活性):E0.75=7.5U/g−大麦(耐熱性エンド無添加);LAP活性:L1=1.5U/g−大麦、L2=3.0U/g−大麦、L3=4.5U/g−大麦、L4=6.0U/g−大麦;DAP活性:D1=40mU/g−大麦、D2=80mU/g−大麦、D3=120mU/g−大麦、D4=160mU/g−大麦、を表す。 本発明の実施例の耐熱性エンド低減糖化試験において、耐熱性エンド無添加糖化試験(麦汁濾過性)について示す図である。図中、エンド活性(アゾカゼイン分解活性):E0.75=7.5U/g−大麦(耐熱性エンド無添加);LAP活性:L1=1.5U/g−大麦、L2=3.0U/g−大麦、L3=4.5U/g−大麦、L4=6.0U/g−大麦;DAP活性:D1=40mU/g−大麦、D2=80mU/g−大麦、D3=120mU/g−大麦、D4=160mU/g−大麦、を表す。 本発明の実施例の耐熱性エンド単独添加糖化試験において、耐熱性エンド単独添加糖化試験(遊離アミノ態窒素)について示す図である。図中、エンドc活性(アゾカゼイン分解活性):c1.0=0.05U/g−大麦、c2.0=0.1U/g−大麦;LAP活性:L1=1.5U/g−大麦、L3=4.5U/g−大麦;DAP活性:D1=40mU/g−大麦、D3=120mU/g−大麦、を表す。 本発明の実施例の耐熱性エンド単独添加糖化試験において、耐熱性エンド単独添加糖化試験(麦汁濾過性)について示す図である。図中、エンドc活性(アゾカゼイン分解活性):c1.0=0.05U/g−大麦、c2.0=0.1U/g−大麦;LAP活性:L1=1.5U/g−大麦、L3=4.5U/g−大麦;DAP活性:D1=40mU/g−大麦、D3=120mU/g−大麦、を表す。 本発明の実施例の麦汁中の起泡タンパク(LTP)を定量した結果において、エンド型の添加がLTPに及ぼす影響について示す図である。 本発明の実施例の麦汁中の起泡タンパク(LTP)を定量した結果において、各種エンドプロテアーゼ添加がLTPに及ぼす影響について示す図である。 本発明の実施例の麦汁中の起泡タンパク(LTP)を定量した結果において、各種エンド比率がLTPに及ぼす影響について示す図である。 本発明の実施例の市販酵素剤を熱処理した際の酵素活性について、スミチームFP熱処理試験の結果を示す図である。

Claims (4)

  1. 汁の製造に用いられるプロテアーゼとして、低減化した量のエンドプロテアーゼと増加した量のエキソペプチダーゼからなるプロテアーゼを用い、麦汁中の遊離アミノ酸の増強と起泡性タンパク質の保持、及び、麦汁の濾過性の保持とを図った発酵麦芽飲料製造用麦汁の製造において、プロテアーゼのエンドプロテアーゼ含量が2.5U/g−大麦以下に低減された量であるか、又は、プロテアーゼのエンドプロテアーゼ含量が5.0〜7.5U/g−大麦のときに、耐熱性エンドプロテアーゼ活性の全体のエンド活性に対する比率が1.25%以下に低減された量であり、かつ、エキソペプチダーゼであるロイシン−アミノペプチダーゼ(LAP)、及びX−プロリル−ジペプチジル−アミノペプチダーゼ(DAP)含量がそれぞれ、以下のいずれかとなるように増加した量であることを特徴とする発酵麦芽飲料製造用麦汁の製造方法。
    (1)ロイシン−アミノペプチダーゼ(LAP)含量が、3.0U/g−大麦以上で、かつX−プロリル−ジペプチジル−アミノペプチダーゼ(DAP)含量が、80.0mU/g−大麦以上である、
    (2)ロイシン−アミノペプチダーゼ(LAP)含量が、4.5U/g−大麦以上で、かつX−プロリル−ジペプチジル−アミノペプチダーゼ(DAP)含量が、40.0mU/g−大麦以上である、
    (3)ロイシン−アミノペプチダーゼ(LAP)含量が、1.5U/g−大麦以上で、かつX−プロリル−ジペプチジル−アミノペプチダーゼ(DAP)含量が、120.0mU/g−大麦以上である。
  2. プロテアーゼのエンドプロテアーゼ含量が2.5U/g−大麦以下に低減された量であるか、又は、プロテアーゼのエンドプロテアーゼ含量が5.0〜7.5U/g−大麦のときに、耐熱性エンドプロテアーゼ活性の全体のエンド活性に対する比率が1.25%以下に低減された量であり、かつ、エキソペプチダーゼであるロイシン−アミノペプチダーゼ(LAP)、及びX−プロリル−ジペプチジル−アミノペプチダーゼ(DAP)含量がそれぞれ、以下のいずれかであることを特徴とする請求項1記載の発酵麦芽飲料製造用麦汁の製造方法。
    (1)ロイシン−アミノペプチダーゼ(LAP)含量が、4.5U/g−大麦で、かつX−プロリル−ジペプチジル−アミノペプチダーゼ(DAP)含量が、120.0mU/g−大麦である、
    (2)ロイシン−アミノペプチダーゼ(LAP)含量が、3.0U/g−大麦で、かつX−プロリル−ジペプチジル−アミノペプチダーゼ(DAP)含量が、120.0mU/g−大麦である、
    (3)ロイシン−アミノペプチダーゼ(LAP)含量が、4.5U/g−大麦で、かつX−プロリル−ジペプチジル−アミノペプチダーゼ(DAP)含量が、80.0mU/g−大麦である。
  3. プロテアーゼのエンドプロテアーゼを耐熱性エンドプロテアーゼのみとし、耐熱性エンドプロテアーゼ含量を0.05U/g−大麦以下とし、エキソペプチダーゼであるロイシン−アミノペプチダーゼ(LAP)、及びX−プロリル−ジペプチジル−アミノペプチダーゼ(DAP)含量がそれぞれ、以下のいずれかとなるように増加した量であることを特徴とする請求項2記載の発酵麦芽飲料製造用麦汁の製造方法。
    (1)ロイシン−アミノペプチダーゼ(LAP)含量が、3.0U/g−大麦以上で、かつX−プロリル−ジペプチジル−アミノペプチダーゼ(DAP)含量が80.0mU/g−大麦以上である、
    (2)ロイシン−アミノペプチダーゼ(LAP)含量が、4.5U/g−大麦以上で、かつX−プロリル−ジペプチジル−アミノペプチダーゼ(DAP)含量が40.0mU/g−大麦以上である、
    (3)ロイシン−アミノペプチダーゼ(LAP)含量が、1.5U/g−大麦以上で、かつX−プロリル−ジペプチジル−アミノペプチダーゼ(DAP)含量が120.0mU/g−大麦以上である。
  4. 耐熱性エンドプロテアーゼ含量を0.05U/g−大麦以下とし、エキソペプチダーゼであるロイシン−アミノペプチダーゼ(LAP)、及びX−プロリル−ジペプチジル−アミノペプチダーゼ(DAP)含量がそれぞれ、以下のいずれかであることを特徴とする請求項3記載の発酵麦芽飲料製造用麦汁の製造方法。
    (1)ロイシン−アミノペプチダーゼ(LAP)含量が、4.5U/g−大麦以上で、かつX−プロリル−ジペプチジル−アミノペプチダーゼ(DAP)含量が120.0mU/g−大麦以上である、
    (2)ロイシン−アミノペプチダーゼ(LAP)含量が、3.0U/g−大麦以上で、かつX−プロリル−ジペプチジル−アミノペプチダーゼ(DAP)含量が120.0mU/g−大麦以上である、
    (3)ロイシン−アミノペプチダーゼ(LAP)含量が、4.5U/g−大麦以上で、かつX−プロリル−ジペプチジル−アミノペプチダーゼ(DAP)含量が80.0mU/g−大麦以上である。
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