JP4625626B2 - 線虫害抑制微生物及び線虫害抑制微生物資材を用いた植物寄生性線虫害の抑制方法 - Google Patents

線虫害抑制微生物及び線虫害抑制微生物資材を用いた植物寄生性線虫害の抑制方法 Download PDF

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Description

本発明は、多くの作物、花卉、果樹等の病害の原因となる植物寄生性線虫に対して有効な線虫害抑制微生物資材に関する。
植物寄生性線虫によって引き起こされる土壌病害は作物、花卉、果樹、樹木、キノコ等で報告されており、これらの作物の健全な生育を阻害する重要な病害として認識されている。
代表的な植物寄生性線虫には根にこぶを作るネコブ線虫、根の組織を黒変させるネグサレ線虫、根にシストを作るシスト線虫などがある。しかし、ネコブ線虫、ネグサレ線虫およびシスト線虫のように顕著な症状が発生するのは例外であり、圃場で線虫被害を診断することは極めて難しい。植物寄生性線虫が感染しても病微が地上部には顕著にあらわれず、一般に成長が次第に衰える慢性的衰弱症状を示す。
長年、主要殺線虫剤としてジブロモクロロプロパン(DBCP)、二臭化エチレン(EDB)、D-D、臭化メチルの燻蒸剤が使用されていた。この内、DBCPは1981年に、EDBは1983年に発癌性や地下水汚染が原因となり市場からなくなった。現在使用されているD-Dも、混合物の1,2−dichloropropaneが除去され、1,3−dichloropropene(1,3−D)からなる製剤である。また、臭化メチルはオゾン層を破壊する物質であるため、1992年 第4回オゾン層を破壊する物質に関するモントリオール議定書締約国会合で、オゾン層破壊物質に指定され、全廃することが決定された。現在、殺線虫剤の代替剤の探索、代替技術の確立が急がれている。
近年、農地の宅地化が進み、農地の隣が住宅というケースも珍しくない。都市近郊では臭気の強い燻蒸剤による土壌消毒は困難になっている。東京都や埼玉県では燻蒸剤に替わる薬剤として粒状燻蒸剤や接触剤の使用を奨励している。また、燻蒸剤は人体への刺激が大きく、栽培者が使用に積極的でないことも多い。また、薬剤による環境問題の発生を危惧する動きもある。薬剤防除は、植物寄生性線虫の増殖に対して抑制作用を持つ自活性線虫を減少させてしまい、植物寄生性線虫への拮抗能を低下させてしまう。その結果、何らかの原因で植物寄生性線虫に汚染されると被害が甚大になる事が知られている。
こういった状況において、農薬によらない線虫防除体系として天敵微生物による防除が注目されている。天敵微生物を用いた植物寄生性線虫の防除に関する研究は、1937年のLinfordら(非特許文献1参照)の仮説が始まりである。Linfordらはポット試験において有機物などを大量に投与した結果、ネコブ線虫の防除に成功し、作物の生育や収量を良くしたと報告した。その他に線虫寄生性糸状菌、エンドファイトや根圏微生物の利用がある。しかし、これらはポット試験や室内試験において線虫害抑制効果が確かめられているだけで、圃場試験での成果が少なく実用化には達していない。
Linford,M.B.,Yap,F.and Oliveira,J.M.1937.Reduction of soil populations of the root-knot nematode during decomposition of organic matter,Soil Science,45,127-140
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、その課題は、線虫の天敵微生物となりうる線虫害抑制効果を有する微生物を天然界からスクリーニングし、該微生物を培養した資材を用いた、環境への負荷が小さく、生態系に調和し、植物寄生性線虫害に対する抑制法を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明者は、鋭意検討を重ねた結果、線虫害抑制効果を有する線虫卵寄生微生物および/または線虫捕食微生物を天然界からスクリーニングし、該微生物を培養した資材を用いることにより植物寄生性線虫害が抑制される事を見出した。
さらに検討を進めるうちに、線虫卵寄生微生物および線虫捕食微生物の増殖効率の高い液体培地および固体培地を開発し、また、線虫卵寄生微生物および/または線虫捕食微生物を培養した資材を施用すると同時にまたは施用する前に土壌に施用することにより線虫害抑制効果を促進する副資材を見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は下記の通りである。
1)線虫の卵に寄生する特徴を有する微生物である線虫卵寄生微生物及び/又は線虫を捕食する特徴を有する微生物である線虫捕食微生物からなる線虫害抑制微生物を含むことを特徴とする線虫害抑制微生物資材。
2)上記1記載の線虫害抑制微生物が、有機質基質及び鉱物質から選択される1種又は2種以上の基質資材に定着してなることを特徴とする微生物資材。
3)線虫卵寄生微生物がパエシロマイセス属に属する微生物であることを特徴とする上記1及び2記載の線虫害抑制微生物資材。
4)パエシロマイセス属に属する微生物がパエシロマイセス sp.EP001、パエシロマイセスsp.EP002及びパエシロマイセス sp.EP015から選択される1種又は2種以上の微生物であることを特徴とする上記3記載の線虫害抑制微生物資材。
5)線虫捕食微生物がアースロボトリス属に属する微生物であることを特徴とする上記1及び2記載の線虫害抑制微生物資材。
6)アースロボトリス属に属する微生物がアースロボトリス sp.TF001、アースロボトリスsp.TF003及びアースロボトリス sp.TF006から選択される1種又は2種以上の微生物であることを特徴とする上記5記載の線虫害抑制微生物資材。
7)線虫の卵に寄生する特徴を有する微生物である線虫卵寄生微生物及び/又は線虫を捕食する特徴を有する微生物である線虫捕食微生物からなる線虫害抑制微生物をセルロース及び/又はセルロース誘導体を含む培地で培養して得られることを特徴とする線虫害抑制微生物資材の製造方法。
8)線虫の卵に寄生する特徴を有する微生物である線虫卵寄生微生物及び/又は線虫を捕食する特徴を有する微生物である線虫捕食微生物からなる線虫害抑制微生物をセルロース及び/又はセルロース誘導体を含む培地で培養して得られた培養物を有機質基質及び鉱物質から選択される1種又は2種以上の基質資材に添加し、当該線虫害抑制微生物が当該基質資材に定着してなることを特徴とする線虫害抑制微生物資材の製造方法。
9)線虫卵寄生微生物がパエシロマイセス属に属する微生物であることを特徴とする上記7及び8記載の線虫害抑制微生物資材の製造方法。
10)パエシロマイセス属に属する微生物がパエシロマイセス sp.EP001、パエシロマイセスsp.EP002及びパエシロマイセス sp.EP015から選択される1種又は2種以上の微生物であることを特徴とする上記9記載の線虫害抑制微生物資材の製造方法。
11)線虫捕食微生物がアースロボトリス属に属する微生物であることを特徴とする上記7及び8記載の線虫害抑制微生物資材の製造方法。
12)アースロボトリス属に属する微生物がアースロボトリス sp.TF001、アースロボトリスsp.TF003及びアースロボトリス sp.TF006から選択される1種又は2種以上の微生物であることを特徴とする上記11記載の線虫害抑制微生物資材の製造方法。
13)線虫の卵に寄生する特徴を有する微生物である線虫卵寄生微生物及び/又は線虫を捕食する特徴を有する微生物である線虫捕食微生物からなる線虫害抑制微生物を含む線虫害抑制微生物資材を用いることを特徴とする植物寄生性線虫害の抑制方法。
14)線虫の卵に寄生する特徴を有する微生物である線虫卵寄生微生物及び/又は線虫を捕食する特徴を有する微生物である線虫捕食微生物からなる線虫害抑制微生物を、有機質基質及び鉱物質から選択される1種又は2種以上の基質資材に定着してなる線虫害抑制微生物資材を用いることを特徴とする植物寄生性線虫害の抑制方法。
15)上記13又は14記載の線虫害抑制微生物資材と、蒸製皮革粉、蒸製蹄角及びカニガラから選択される1種又は2種以上の資材を併用することを特徴とする植物寄生性線虫害の抑制方法。
16)線虫卵寄生微生物がパエシロマイセス属に属する微生物であることを特徴とする上記13乃至14記載の植物寄生性線虫害の抑制方法。
17)パエシロマイセス属に属する微生物がパエシロマイセス sp.EP001、パエシロマイセスsp.EP002及びパエシロマイセス sp.EP015から選択される1種又は2種以上の微生物であることを特徴とする上記16記載の植物寄生性線虫害の抑制方法。
18)線虫捕食微生物がアースロボトリス属に属する微生物であることを特徴とする上記13乃至14記載の植物寄生性線虫害の抑制方法。
19)アースロボトリス属に属する微生物がアースロボトリス sp.TF001、アースロボトリスsp.TF003及びアースロボトリス sp.TF006から選択される1種又は2種以上の微生物であることを特徴とする上記18記載の植物寄生性線虫害の抑制方法。
20)線虫卵に寄生し線虫害抑制効果能を有するパエシロマイセス sp.EP001、パエシロマイセスsp.EP002又はパエシロマイセス sp.EP015。
21)線虫を捕食し線虫害抑制効果能を有するアースロボトリス sp.TF001、アースロボトリスsp.TF003又はアースロボトリス sp.TF006。
本発明の線虫害抑制微生物資材を定植前の土壌に混和したり、作物を定植するときに植え穴に添加することにより、植物寄生性線虫に起因する病害を顕著に軽減することが出来る。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の線虫害抑制微生物資材には、線虫の卵に寄生する特徴を有する微生物である線虫卵寄生微生物、線虫を捕食する特徴を有する線虫捕食微生物等の線虫害抑制微生物が用いられる。
線虫卵寄生微生物とは線虫の卵に寄生する微生物で、フザリウム属の糸状菌が線虫の卵に寄生することがLysekによってはじめて報告されて以来、様々な種類の線虫卵寄生微生物が発見されている。本発明に用いられる線虫卵寄生微生物によって寄生された線虫卵は死滅し、線虫卵寄生微生物を利用することで線虫の増殖を抑制することができる。
線虫卵寄生微生物としては、パエシロマイセス属、フザリウム属やバーティシリウム等の糸状菌があげられ、このうち、パエシロマイセス属の糸状菌が本発明の線虫害抑制資材に好適に用いることが出来る。
パエシロマイセス属の糸状菌のうち、パエシロマイセス sp.EP001、パエシロマイセスsp.EP002及びパエシロマイセス sp.EP015は、最も大きな効果を発揮し、特に好ましく本発明に用いることが出来る。
パエシロマイセス sp.EP001は、ナスの根のネコブ線虫卵から分離した微生物であり、菌学的性質は以下のとおりである。
(1)形態学的性質
本菌株は、パエシロマイセス属の糸状菌であり、菌糸に隔壁を有し、分生子は単細胞で亜球体である。
(2)各種培地上の性質
1)麦芽エキス培地
コロニーの色は白色で、綿状である。
2)ポテトデキストロース培地
コロニーの色は茶色で、綿状である。
3)ツァペック培地
コロニーの色は白色で、綿状である。
(3)生理的性質
酢酸、D-アラビノース、デキストリン、D-リボース、D-キシロース、蟻酸、L-アラビノース、プロピオン酸をよく資化する。
本菌株パエシロマイセス sp.EP001は寄託番号FERM P-19279として、独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センターに寄託されている。本菌株の形態学的性質などからPaecilomyces lilacinus(Thom)Samsonに類似した糸状菌であることが判明したが、Paecilomyces lilacinus(Thom)Samson(NBRC32861)の資化性と以下の点について相違があることから、本菌株を新種相当と判定した。
・Paecilomyces lilacinus(Thom)Samson(NBRC32861)が資化できるが、パエシロマイセス sp.EP001が資化できないもの
アルブチン、D-ガラクトース、D-グルコサミン、D-メレチトース、D-ラフィノース、D-トレハロース、フマル酸、ゲンチオビオース、L-アスパラギン酸、L-グルタミン酸、マルチトール、コハク酸メチル、パラチノース、コハク酸、チュラノース、α-D-グルコース、γ-アミノブチル酸
・Paecilomyces lilacinus(Thom)Samson(NBRC32861)が資化できないが、パエシロマイセス sp.EP001が資化できるもの
D-グルコン酸、蟻酸、プロピオン酸
パエシロマイセス sp.EP002は、ナスの根のネコブ線虫卵から分離した微生物であり、菌学的性質は以下のとおりである。
(1)生態学的性質
本菌株は、パエシロマイセス属の糸状菌であり、菌糸に隔壁を有し、分生子は単細胞で亜球体である。
(2)各種培地上の性質
1)麦芽エキス培地
コロニーの色は白色で、綿状である。
2)ポテトデキストロース培地
コロニーの色は褐色で、粉状である。
3)ツァペック培地
コロニーの色は白色で、綿状である。
(3)生理的性質
酢酸、デキストリン、D-リボース、蟻酸、プロピオン酸、チュラノースをよく資化する。
本菌株パエシロマイセス sp.EP002は寄託番号FERM P-19280として、独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センターに寄託されている。本菌株の形態学的性質などからPaecilomyces lilacinus(Thom)Samsonに類似した糸状菌であることが判明したが、Paecilomyces lilacinus (Thom) Samson(NBRC32861)の資化性と以下の点について相違があることから、本菌株を新種相当と判定した。
・Paecilomyces lilacinus(Thom)Samson(NBRC32861)が資化できるが、パエシロマイセス sp. EP002が資化できないもの
アルブチン、D-ガラクトース、D-グルコサミン、D-メレチトース、D-ラフィノース、D-トレハロース、フマル酸、ゲンチオビオース、L-アスパラギン酸、L-グルタミン酸、マルチトール、コハク酸メチル、パラチノース、コハク酸、α-D-グルコース、α-ケトグルタル酸、γ-アミノブチル酸
・Paecilomyces lilacinus(Thom)Samson(NBRC32861)が資化できないが、パエシロマイセス sp.EP002が資化できるもの
アミダグリン、サリシン、蟻酸、プロピオン酸
パエシロマイセス sp.EP015は、スイカの根のネコブ線虫卵から分離した微生物であり、菌学的性質は以下のとおりである。
(1)生態学的性質
本菌株は、パエシロマイセス属の糸状菌であり、菌糸に隔壁を有し、分生子は単細胞で亜球体である。
(2)各種培地上の性質
1)麦芽エキス培地
コロニーの色は白色で、綿状である。
2)ポテトデキストロース培地
コロニーの色は褐色で、綿状である。
3)ツァペック培地
コロニーの色は白色で、綿状である。
(3)生理的性質
酢酸、デキストリン、D-リボース、D-キシロース、蟻酸、プロピオン酸をよく資化する。
本菌株パエシロマイセス sp.EP015は寄託番号FERM P-19281として、独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センターに寄託されている。本菌株の形態学的性質などからPaecilomyces lilacinus(Thom)Samsonに類似した糸状菌であることが判明したが、Paecilomyces lilacinus(Thom)Samson(NBRC32861)の資化性と以下の点について相違があることから、本菌株を新種相当と判定した。
・Paecilomyces lilacinus(Thom)Samson(NBRC32861)が資化できるが、パエシロマイセス sp.EP015が資化できないもの
アルブチン、D-ガラクトース、D-メレチトース、D-ラフィノース、D-トレハロース、フマル酸、ゲンチオビオース、L-アスパラギン酸、L-グルタミン酸、マルチトール、コハク酸メチル、パラチノース、コハク酸、α-D-グルコース、α-ケトグルタル酸、γ-アミノブチル酸
・Paecilomyces lilacinus(Thom)Samson(NBRC32861)が資化できないが、パエシロマイセス sp.EP015が資化できるもの
アミダグリン、D-マンニトール、グリセロール、プロピオン酸、サリシン、蟻酸、ツウェイン80
線虫捕食微生物とは、線虫を捕食する作用を持つ微生物である。線虫を捕食する方法は、1.菌糸で輪を作りセンチュウを輪に捉える、2.菌糸をセンチュウ体内に侵入させる、3.粘着性のある胞子や菌糸をセンチュウの体表に付着させ、発芽してセンチュウ体内に侵入する、などがある。
線虫捕食微生物としては、アースロボトリス属、ダクチラリア属、ダクチレラ属等の糸状菌、バンピレラ属のアメーバー等があげられ、このうち、アースロボトリス属の糸状菌が本発明の線虫害抑制資材に好適に用いることが出来る。
アースロボトリス属の糸状菌のうち、アースロボトリス sp.TF001、アースロボトリスsp.TF003及びアースロボトリス sp. TF006は、最も大きな効果を発揮し、特に好ましく本発明に用いることが出来る。
アースロボトリス sp.TF001は、畑土壌から分離した微生物であり、菌学的性質は以下のとおりである。
(1)生態学的性質
本菌株は、アースロボトリス属の糸状菌であり、菌糸に隔壁を有し、分生子は二細胞で卵型である。
(2)各種培地上の性質
1)麦芽エキス培地
コロニーの色は白色で、綿状である。
2)ポテトデキストロース培地
コロニーの色は白色で、綿状である。
3)ツァペック培地
コロニーの色は白色で、綿状である。
(3)生理的性質
D-ガラクトース、D-マンニトール、D-メレチトースD-プシコース、D-リボース、D-トレハロース、D-キシロース、フマル酸、L-グルタミン酸、L-リンゴ酸、L-プロリン、L-ラムノース、マルトトリオース、パラチノース、コハク酸、キシリトール、α-D-グルコース、α-ケトグルタミン酸、β-メチル D-グルコシドをよく資化する。
本菌株アースロボトリス sp.TF001は寄託番号FERM P-19282として、独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センターに寄託されている。本菌株の形態学的性質などからArthrobotrys oligospora Freseniusに類似した糸状菌であることが判明したが、Arthrobotrys oligospora Fresenius(NBRC32247)の資化性と以下の点について相違があることから、本菌株を新種相当と判定した。
・Arthrobotrys oligospora Fresenius(NBRC32247)が資化できるが、アースロボトリス sp.TF001が資化できないもの
アドニトール、アルブチン、D-アラビノース、D-グルコサミン、D-メリビオース、蟻酸、I-エリスリトール、イヌリン、L-アラビノース、L-アスパラギン酸、マルトース、コハク酸メチル、N-アセチル-D-グルコサンミン、チュラノース、α-メチルD-グルコシド、γ-アミノブチル酸
・Arthrobotrys oligospora Fresenius(NBRC32247)が資化できないが、アースロボトリス sp.TF001が資化できるもの
アミダグリン、セロビオース、D-ガラクトース、D-メレチトース、D-ラフィノース、プロピオン酸、パラチノース、サリシン、スタチロース、コハク酸
アースロボトリス sp.TF003は、畑土壌から分離した微生物であり、菌学的性質は以下のとおりである。
(1)生態学的性質
本菌株は、アースロボトリス属の糸状菌であり、菌糸に隔壁を有し、分生子は二細胞で卵型である。
(2)各種培地上の性質
1)麦芽エキス培地
コロニーの色は白色で、綿状である。
2)ポテトデキストロース培地
コロニーの色は白色で、綿状である。
3)ツァペック培地
コロニーの色は白色で、綿状である。
(3)生理的性質
アルブチン、D-アラビノース、D-アラビトール、デキストリン、D-プシコース、D-ソルビトール、D-トレハロース、蟻酸、ゲンチオビオース、イヌリン、L-アラビノース、L-グルタミン酸、L-ラムノース、L-ソルボース、マルトトリオース、サリシン、シュークロース、コハク酸、α-D-グルコース、β-メチル D-グルコシドをよく資化する。
本菌株アースロボトリス sp.TF003は寄託番号FERM P-19283として、独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センターに寄託されている。本菌株の形態学的性質などからArthrobotrys oligospora Freseniusに類似した糸状菌であることが判明したが、Arthrobotrys oligospora Fresenius(NBRC32247)の資化性と以下の点について相違があることから、本菌株を新種相当と判定した。
・Arthrobotrys oligospora Fresenius(NBRC32247)が資化できるが、アースロボトリス sp.TF003が資化できないもの
2-ケト-D-グルコン酸、D-リボース、D-キシロース、L-アスパラギン酸、L-リンゴ酸、L-プロリン、マルチトール、コハク酸メチル、N-アセチル-D-グルコサミン、ツウェイン80、チュラノース、α-ケトグルタル酸、α-メチルD-グルコシド、γ-アミノブチル酸
・Arthrobotrys oligospora Fresenius(NBRC32247)が資化できないが、アースロボトリス sp.TF003が資化できるもの
セロビオース、D-ガラクトース、D-ラフィノース、D-ソルビトール、ゲンチオビオース、L-ソルボース、パラチノース、サリシン、コハク酸
アースロボトリス sp.TF006は、畑土壌から分離した微生物であり、菌学的性質は以下のとおりである。
(1)生態学的性質
本菌株は、アースロボトリス属の糸状菌であり、菌糸に隔壁を有し、分生子は二細胞で卵型である。
(2)各種培地上の性質
1)麦芽エキス培地
コロニーの色は白色で、綿状である。
2)ポテトデキストロース培地
コロニーの色は白色で、綿状である。
3)ツァペック培地
コロニーの色は白色で、綿状である。
(3)生理的性質
アミダグリン、アルブチン、セロビオースD-ガラクトース、D-メリビオース、D-ラフィノース、D-トレハロース、フマル酸、ゲンチオビオース、L-グルタミン酸、N-アセチル-D-グルコサミン、パラチノース、サリシン、シュークロース、コハク酸、α-D-グルコース、α-ケト-グルタミン酸、α-メチル D-グルコシドをよく資化する。
本菌株アースロボトリス sp.TF006は寄託番号FERM P-19284として、独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センターに寄託されている。本菌株の形態学的性質などからArthrobotrys oligospora Freseniusに類似した糸状菌であることが判明したが、Arthrobotrys oligospora Fresenius(NBRC32247)の資化性と以下の点について相違があることから、本菌株を新種相当と判定した。
・Arthrobotrys oligospora Fresenius(NBRC32247)が資化できるが、アースロボトリス sp.TF006が資化できないもの
酢酸、アドニトール、D-アラビノース、D-グルコサミン、D-マンニトール、D-リボース、D-キシロース、蟻酸、グリセロール、I-エリスリトール、L-アラビノース、L-リンゴ酸、L-プロリン、L-ラムノース、マルチトール、マルトトリオース、コハク酸メチル、チュラノース、ツウェイン80、β-メチルD-グルコシド、γ-アミノブチル酸
・Arthrobotrys oligospora Fresenius(NBRC32247)が資化できないが、アースロボトリス sp.TF006が資化できるもの
アミダグリン、セロビオース、D-ガラクトース、D-ラフィノース、ゲンチオビオース、パラチノース、プロピオン酸、サリシン、スタチロース、コハク酸
本発明に用いられる線虫害抑制微生物としては、上記にあげた線虫卵寄生微生物及び線虫捕食微生物の中から、単独選択して用いることも複数選択して用いることも、それぞれ有する機能により効果を発揮することが出来れば、これを行うことが出来るが、線虫卵寄生微生物及び線虫捕食微生物を組み合わせて用いることが特に好ましい。
すなわち、線虫卵寄生微生物は線虫卵に特異的に寄生する微生物であり、線虫成虫に寄生できず、一方、線虫捕食微生物は線虫成虫を捕食するため、線虫卵を捕食することができない。つまり、線虫卵寄生微生物だけでは線虫卵のみの抑制効果しか期待できず、一方、線虫捕食微生物だけでは線虫成虫のみの抑制効果しか期待できない。従って、線虫卵寄生微生物と線虫捕食微生物を組み合わせることで、線虫卵、線虫成虫の両方に抑制効果を発揮することができる。また、相乗効果として線虫卵寄生微生物の寄生から逃れた線虫卵から孵化した線虫成虫を線虫捕食微生物が速やかに捕食し、また、線虫卵寄生微生物が線虫卵に寄生することで土壌中に存在する線虫密度を線虫捕食微生物の捕食限界以下の密度にすることができる。
本発明の線虫害抑制微生物資材を製造するには、先ず線虫害抑制微生物の培養を行う。
培養の方法としてはそれぞれの線虫害抑制微生物が生育し、増殖することができるものであればいかなるものであっても、これを使用することができる。
また、この培養においては、培地にセルロース及び/又はセルロース誘導体を添加することにより線虫害抑制微生物の生菌数を著しく増殖することができる。セルロース及びセルロース誘導体としては、セルロース、カルボキシメチルセルロース、アセチルセルロース、プロピオン酸セルロース、酪酸セルロースの他、紙、古紙、パルプ、オガクズ等のセルロースを含む物質を使用することができるが、このうちカルボキシメチルセルロースを使用することが特に好ましい。
こうして増殖された線虫害抑制微生物は、このまま線虫害抑制微生物資材として使用することができるが、これを有機質基質物及び/又は鉱物質からなる基質資材に添加し、当該線虫害抑制微生物を当該基質資材に定着したものを使用することが好ましい。有機質基質及び鉱物質を含むことにより、顕著な線虫害抑制微生物の増殖の増大、生菌数の保持、安定等の効果がもたらされる。
有機質基質としては、米糠、フスマ、菜種油かす、大豆かす、セルロース、セルロース誘導体等の植物質有機物、蒸製皮革粉、蒸製蹄角、カニガラ等の動物質有機物が挙げられるが、米糠、フスマ、カルボキシメチルセルロース、蒸製皮革粉、蒸製蹄角を用いることが好ましい。
鉱物質としてはバーミキュライト、ゼオライト、パーライト等が挙げられ、このうち、バーミキュライト、ゼオライトを用いることが好ましい。
こうして得られた本発明の線虫害抑制微生物資材を圃場に施用し、植物寄生性線虫害が抑制される。使用に際しては作物の植付け前の圃場に施用する、または、作物の植付け時に植え穴に施用する。
本発明の線虫害抑制微生物資材は、単独で使用することもできるが、適当な固体担体、液体担体、乳化分散剤などを用いて、粒剤、粉剤、錠剤、乳剤、水和剤等の任意の形状で使用できる。また、この当該資材を無機肥料、有機肥料、除草剤、土壌等と共に使用し、肥料、土壌改良資材、育苗用培土等とすることができる。このとき、単独の資材又は他の原料と混合され得られた製品中には、線虫卵寄生微生物および線虫捕食微生物は線虫害抑制の効果を発揮するに足りる菌数があればよく、好ましくは105CFU/g以上、特に好ましくは106CFU/g以上である。また、本発明の線虫害抑制微生物資材の使用時に蒸製皮革粉、蒸製蹄角及び/又はカニガラからなる副資材を併用することで、線虫害抑制効果を高めることができる。これらの副資材は、線虫害抑制微生物資材の製造時に、これに投入して調製することもできるが、線虫害抑制微生物資材とは別にし、別の時期に施用することもできる。その施用時期としては、本発明の線虫害抑制微生物資材の施用と、同時に、事前に及び/または事後に行うことができる。
以下に、実施例によって本発明をさらに詳しく説明する。ただし、本発明の技術的範囲はこれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1)パエシロマイセス sp.EP001の培養
白金耳を用いて無菌的に卵寄生菌パエシロマイセスsp.EP001をMPS液体培地 250mL(坂口フラスコ)に接種し、30℃で1週間培養した。菌数は1.4×109CFU/mLであった。なお、MPS液体培地は1L当たり麦芽エキス 20.0g、ペプトン 1.0g、シュークロース 20.0gの組成からなり、培地pHは6.8に調製した。
(実施例2)パエシロマイセス sp. EP002の培養
白金耳を用いて無菌的に卵寄生菌パエシロマイセスsp.EP002をMPS液体培地 250mL(坂口フラスコ)に接種し、30℃で1週間培養した。菌数は3.2×109CFU/mLであった。
(実施例3)パエシロマイセス sp. EP015の培養
白金耳を用いて無菌的に卵寄生菌パエシロマイセスsp.EP015をMPS液体培地 250mL(坂口フラスコ)に接種し、30℃で1週間培養した。菌数は2.6×109CFU/mLであった。
(実施例4)アースロボトリス sp. TF001の培養
白金耳を用いて無菌的に捕食菌アースロボトリスsp.TF001をトマトジュース液体培地 250mL(坂口フラスコ)に接種し、27℃で1週間培養した。菌数は5.2×105CFU/mLであった。なお、トマトジュース液体培地はトマトジュースエキスを5倍希釈した液体培地で、トマトジュースエキスは市販の野菜トマトジュース(食塩添加)400mLに対して蒸留水600mL、炭酸カルシウム4.5gを添加し、攪拌した後、遠心分離した上清である。
(実施例5)アースロボトリス sp. TF003の培養
白金耳を用いて無菌的に捕食菌アースロボトリスsp.TF003をトマトジュース液体培地 250mL(坂口フラスコ)に接種し、27℃で1週間培養した。菌数は6.2×105CFU/mLであった。
(実施例6)アースロボトリス sp. TF006の培養
白金耳を用いて無菌的に捕食菌アースロボトリスsp.TF006をトマトジュース液体培地 250mL(坂口フラスコ)に接種し、27℃で1週間培養した。菌数は4.3×105CFU/mLであった。
(実施例7)セルロース誘導体を含む炭素化合物の検討
(1)試験方法
各培地に、次の供試資材を添加(培地100重量部に対し5部添加)する以外は、実施例1〜6と同様にして、各菌株の培養を行った。
供試資材:
アセチルセルロース
プロピオン酸セルロース
酢酸セルロース
カルボキシメチルセルロース
(2)試験結果
培養後の菌数を表1に示した。いずれの菌株も、供試資材を添加していない実施例1〜6に比較し、菌数は増殖した。
Figure 0004625626
(実施例8)有機物基質の検討
(1)試験方法
白金耳を用いて無菌的に捕食菌アースロボトリスsp.TF001をカルボキシメチルセルロース(培地100重量部に対して1部添加)を添加したトマトジュース液体培地 250mL(坂口フラスコ)に接種し、27℃で1週間培養した。次に、培養後の菌液(菌数9.1×107CFU/mL)をフスマ、菜種油粕又は米糠に添加し、25℃に放置した。接種以降4週間ごと1年間の菌数を確認した。
(2)試験結果
菌数の経時変化を表2に示した。いずれの有機質基質に添加した場合においても、菌数の経時的な減少は小さい結果となった。特に米糠に添加した場合においては、菌数の減少の度合いは少なく、1年後も維持し安定した結果となった。
Figure 0004625626
(実施例9)鉱物質の検討
(1)試験方法
白金耳を用いて無菌的に捕食菌アースロボトリスsp.TF001をCM-セルロースを添加したトマトジュース液体培地 250mL(坂口フラスコ)に接種し、27℃で1週間培養した。次に、培養後の菌液(菌数9.1×107CFU/mL)をバーミキュライト、ゼオライト、バーミキュライト・ゼオライト等量混合物、パーライト又はイソライト(鉱物質100重量部に対して菌液0.5部添加)に添加し、25℃に放置した。接種以降4週間ごと1年間の菌数を確認した。
(2)試験結果
菌数の経時変化を表3に示した。いずれの鉱物質に添加した場合においても、菌数の経時的な減少は小さい結果となった。特にバーミキュライト・ゼオライト混合物に添加した場合においては、菌数の減少の度合いは少なく、1年後も維持し安定した結果となった。
Figure 0004625626
(実施例10)各資材を配合した資材の試験
(1)試験方法
白金耳を用いて無菌的にアースロボトリスsp.TF001をカルボキシメチルセルロース(培地100重量部に対して1部添加)を添加したトマトジュース液体培地 250mL(坂口フラスコ)に接種し、27℃で1週間培養した。次に、培養後の菌液(菌数9.1×107CFU/mL)をフスマ-バーミキュライト資材、フスマ-ゼオライト資材、フスマ-バーミキュライト・ゼオライト等量混合資材、菜種油粕-バーミキュライト資材、菜種油粕-ゼオライト資材、菜種油粕-バーミキュライト・ゼオライト等量混合資材、米糠-バーミキュライト資材、米糠-ゼオライト資材又は米糠-バーミキュライト・ゼオライト等量混合資材(資材100重量部に対して菌液0.5部添加)に添加し、25℃に放置した。接種4週間後の菌数を確認した。
(2)試験結果
Figure 0004625626
米糠-バーミキュライト・ゼオライト等量混合資材が最も優れた。
(実施例11)線虫害抑制微生物資材の抑制効果検定試験
(1)試験方法
白金耳を用いて無菌的にパエシロマイセスsp.EP001、パエシロマイセスsp.EP002、パエシロマイセスsp.EP015をそれぞれデキストリン、カルボキシメチルセルロース添加(培地100重量部に対して1部添加)MPS液体培地 250mL(坂口フラスコ)、アースロボトリスsp.TF001、アースロボトリスsp.TF003およびアースロボトリスsp.TF006をそれぞれカルボキシメチルセルロース添加トマトジュース液体培地 250mL(坂口フラスコ)に接種し、27℃で1週間培養した。次に、培養後のそれぞれの菌液をフスマ―バーミキュライト・ゼオライト等量混合資材からなる基質資材(100:5)に接種し、25℃に4週間放置して線虫害抑制微生物資材とした。
一方、バーミキュライト150gに予め乾熱滅菌(160℃ 5時間)しておいた畑土壌(淡色黒ボク土)を添加して2.5Lにした。次に、無機肥料(硫安:4g/ポット、過燐酸石灰:8g/ポット、硫加:4g/ポット)を添加し、よく混和した後、1/5000aワグネルポットに充填し、水1.5Lを加えた。表5に示す試験区を設定し、それぞれ植穴を掘り、各線虫害抑制微生物資材を添加した。このとき、対照区1、2については、菌株を接種していない資材を添加した。
Figure 0004625626
それぞれのポットにキュウリ苗をポット当たり1株移植した。1週間後、苗の株から3cmの距離に3cmの穴をあけ、ネコブセンチュウ抽出液(約500頭/mL)1mLを接種した(対照区1は除く)。その後の生育期間の変化を観察した。栽培試験は5連で行なった。
試験結果
試験の結果は表6に示したとおりである。ネコブ指数は下記の基準によって判定した数値である。
0:根こぶなし
1:根こぶが注意して見ると稀にある
2:根こぶが根系の全体にわたって少程度ある
3:根こぶが根系の全体にわたって中程度ある
4:根こぶが根に連続してある
(ネコブ指数)=[(それぞれの株のネコブ指数合計)÷(調査株数×4)]×100
Figure 0004625626
試験区は対照2のネコブ指数、線虫密度よりも低くなった。
(実施例12)線虫害抑制微生物資材の併用効果検定試験
(1)試験方法
白金耳を用いて無菌的にパエシロマイセスsp.EP001、パエシロマイセスsp.EP002、パエシロマイセスsp.EP015をそれぞれMPS液体培地 250mL(坂口フラスコ)、アースロボトリスsp.TF001、アースロボトリスsp.TF003およびアースロボトリスsp.TF006をそれぞれカルボキシメチルセルロース添加(培地100重量部に対して1部添加)トマトジュース液体培地250mL(坂口フラスコ)に接種し、27℃で1週間培養した。次に、培養後のそれぞれの菌液をフスマ―バーミキュライト・ゼオライト等量混合資材からなる基質資材(100:5)に接種し、25℃に4週間放置し、それぞれ同量混合して線虫害抑制微生物資材とした。
バーミキュライト150gに予め乾熱滅菌(160℃ 5時間)しておいた畑土壌(淡色黒ボク土)を添加して2.5Lにし、更に無機肥料(硫安:4g/ポット、過燐酸石灰:8g/ポット、硫加:4g/ポット)を添加した。表7に示す試験区を設定し、それぞれ規定する併用資材を添加し、よく混和した後、1/5000aワグネルポットに充填した。
Figure 0004625626
それぞれ水1.5Lを加えた後、2週間、ガラス温室内に放置した。植穴を掘り、植穴に線虫害抑制微生物資材10gを添加した。このとき、対照区1、2については、線虫害抑制微生物資材のかわりに、菌を接種していない基質資材10gを添加した。それぞれのポットにキュウリ苗をポット当たり1株移植した。1週間後に苗の株から3cmの距離に3cmの穴をあけ、ネコブセンチュウ抽出液(約500頭/mL)1mLを接種した(対照区1は除く)。その後の生育期間の変化を観察した。栽培試験は5連で行なった。
(2)試験結果
試験の結果は表8に示したとおりである。
Figure 0004625626
試験区は対照2〜6のネコブ指数、線虫密度よりも低くなった。

Claims (9)

  1. (i)線虫の卵に寄生し線虫害抑制効果能を有するパエシロマイセス sp.EP001、パエシロマイセスsp.EP002又はパエシロマイセス sp.EP015及び(ii)線虫を捕食し線虫害抑制効果能を有するアースロボトリス sp.TF001、アースロボトリスsp.TF003又はアースロボトリス sp.TF006の群から選ばれる1種又は2種以上の線虫害抑制微生物を含むことを特徴とする線虫害抑制微生物資材。
  2. 請求項1記載の線虫害抑制微生物が、有機質基質及び鉱物質から選択される1種又は2種以上の基質資材に定着してなることを特徴とする微生物資材。
  3. (i)線虫の卵に寄生し線虫害抑制効果能を有するパエシロマイセス sp.EP001、パエシロマイセスsp.EP002又はパエシロマイセス sp.EP015及び(ii)線虫を捕食し線虫害抑制効果能を有するアースロボトリス sp.TF001、アースロボトリスsp.TF003又はアースロボトリス sp.TF006の群から選ばれる1種又は2種以上の線虫害抑制微生物を、セルロース、又はカルボキシメチルセルロース、アセチルセルロース、プロピオン酸セルロース又は酪酸セルロースの群から選ぶセルロース誘導体、又は紙、パルプ、オガクズから選ぶセルロースを含む物質のいずれか1種又は2種以上を含む培地で培養して得られることを特徴とする線虫害抑制微生物資材の製造方法。
  4. (i)線虫の卵に寄生し線虫害抑制効果能を有するパエシロマイセス sp.EP001、パエシロマイセスsp.EP002又はパエシロマイセス sp.EP015及び(ii)線虫を捕食し線虫害抑制効果能を有するアースロボトリス sp.TF001、アースロボトリスsp.TF003又はアースロボトリス sp.TF006の群から選ばれる1種又は2種以上の線虫害抑制微生物を、セルロース、又はカルボキシメチルセルロース、アセチルセルロース、プロピオン酸セルロース又は酪酸セルロースの群から選ぶセルロース誘導体、又は紙、パルプ、オガクズから選ぶセルロースを含む物質のいずれか1種又は2種以上を含む培地で培養して得られた培養物を、有機質基質及び鉱物質から選択される1種又は2種以上の基質資材に添加し、当該線虫害抑制微生物が当該基質資材に定着してなることを特徴とする線虫害抑制微生物資材の製造方法。
  5. (i)線虫の卵に寄生し線虫害抑制効果能を有するパエシロマイセス sp.EP001、パエシロマイセスsp.EP002又はパエシロマイセス sp.EP015及び(ii)線虫を捕食し線虫害抑制効果能を有するアースロボトリス sp.TF001、アースロボトリスsp.TF003又はアースロボトリス sp.TF006の群から選ばれる1種又は2種以上の線虫害抑制微生物を含む線虫害抑制微生物資材を用いることを特徴とする植物寄生性線虫害の抑制方法。
  6. (i)線虫の卵に寄生し線虫害抑制効果能を有するパエシロマイセス sp.EP001、パエシロマイセスsp.EP002又はパエシロマイセス sp.EP015及び(ii)線虫を捕食し線虫害抑制効果能を有するアースロボトリス sp.TF001、アースロボトリスsp.TF003又はアースロボトリス sp.TF006の群から選ばれる1種又は2種以上の線虫害抑制微生物を、有機質基質及び鉱物質から選択される1種又は2種以上の基質資材に定着してなる線虫害抑制微生物資材を用いることを特徴とする植物寄生性線虫害の抑制方法。
  7. 請求項5又は請求項6記載の線虫害抑制微生物資材と、蒸製皮革粉、蒸製蹄角及びカニガラから選択される1種又は2種以上の資材を併用することを特徴とする植物寄生性線虫害の抑制方法。
  8. 線虫の卵に寄生し線虫害抑制効果能を有するパエシロマイセス sp.EP001、パエシロマイセスsp.EP002又はパエシロマイセス sp.EP015。
  9. 線虫を捕食し線虫害抑制効果能を有するアースロボトリス sp.TF001、アースロボトリスsp.TF003又はアースロボトリス sp.TF006。
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