JP4623999B2 - アルドースリダクターゼ活性阻害剤、糖尿病性合併症予防・治療剤及び糖尿病性合併症予防・治療用飲食品 - Google Patents

アルドースリダクターゼ活性阻害剤、糖尿病性合併症予防・治療剤及び糖尿病性合併症予防・治療用飲食品 Download PDF

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Description

本発明は、植物からの抽出物を有効成分として含有するアルドースリダクターゼ活性阻害剤、糖尿病性合併症予防・治療剤及び糖尿病性合併症予防・治療用飲食品に関する。
網膜症、白内障、腎症、神経障害等の糖尿病性合併症は、高血糖によるポリオール代謝の異常、すなわちソルビトール経路の活性化により発症するものと考えられている。ソルビトール経路は、グルコースをソルビトールに還元し、そのソルビトールをフルクトースに変換する経路のことであり、全身組織に見いだされていて、持続的な高血糖状態により急激に活性化する。そのソルビトール経路において、グルコースをソルビトールに還元する律速酵素はアルドースリダクターゼである。
ソルビトール経路において中間代謝物質として生成されるソルビトールは、代謝されにくく、また細胞壁を通過しないので、持続的な高血糖状態によりソルビトール経路が活性化されると、ソルビトールの細胞内蓄積が進行する。その結果、細胞内浸透圧が亢進し、細胞が膨化し、細胞内の酸素が欠乏するというメカニズムにより細胞障害が起こると考えられている。実際、糖尿病患者の赤血球中に含まれるソルビトールは高い値を示し、合併症と密接に結びついているという報告がある。したがって、糖尿病性合併症には、ソルビトール経路の律速酵素であるアルドースリダクターゼの活性を阻害することにより、ソルビトールの細胞内蓄積を抑制することが最も有効な対策であると考えられる。
このような考えに基づき、従来から種々の天然物由来のアルドースリダクターゼ活性阻害物質が提案されており、例えば、黄杞葉からの抽出物(特許文献1)等が挙げられる。
特開平9−30984号公報
本発明は、安全性の高い天然物からの抽出物を有効成分とする新規なアルドースリダクターゼ活性阻害剤、糖尿病性合併症予防・治療剤及び糖尿病性合併症予防・治療用飲食品を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するため、安全な数多くの植物類の中から、アルドースリダクターゼ活性阻害作用を有するものについて鋭意研究を重ねた結果、ツルゲンゲ抽出物及びノゲイトウ抽出物が高いアルドースリダクターゼ活性阻害作用を有すること、そして、それらを有効成分とすることにより、網膜症、白内障、腎症、神経障害等の糖尿病性合併症の予防又は治療に有効なアルドースリダクターゼ活性阻害剤が得られることを見出し、本発明をなすに至った。
すなわち、本発明のアルドースリダクターゼ活性阻害剤は、ツルゲンゲ(Astragalus complanatus R.Br.)からの抽出物を有効成分として含有することを特徴とする(請求項1)。
また、本発明のアルドースリダクターゼ活性阻害剤は、ノゲイトウ(Celosia argentea L.)からの抽出物を有効成分として含有することを特徴とする(請求項2)。
上記発明(請求項1,2)において、前記抽出物は、抽出溶媒として極性溶媒を用いて得られる抽出物であることが好ましい(請求項3)。
本発明の糖尿病性合併症予防・治療剤は、ツルゲンゲ(Astragalus complanatus R.Br.)からの抽出物を有効成分として含有することを特徴とする(請求項4)。
また、本発明の糖尿病性合併症予防・治療剤は、ノゲイトウ(Celosia argentea L.)からの抽出物を有効成分として含有することを特徴とする(請求項5)。
本発明の糖尿病性合併症予防・治療用飲食品は、ツルゲンゲ(Astragalus complanatus R.Br.)からの抽出物を配合したことを特徴とする(請求項6)。
本発明の糖尿病性合併症予防・治療用飲食品は、ノゲイトウ(Celosia argentea L.)からの抽出物を配合したことを特徴とする(請求項7)。
なお、ツルゲンゲ(Astragalus complanatus R.Br.)からの抽出物又はノゲイトウ(Celosia argentea L.)からの抽出物が、アルドースリダクターゼ活性阻害作用を有し、網膜症、白内障、腎症、神経障害等の糖尿病性合併症の予防・治療に有効であることは全く知られておらず、このことは本発明の新知見である。
本発明によれば、天然物であるツルゲンゲからの抽出物又はノゲイトウからの抽出物を有効成分とする、安全性の高いアルドースリダクターゼ活性阻害剤、糖尿病性合併症予防・治療剤及び糖尿病性合併症予防・治療用飲食品を提供することができる。
以下、本発明について詳細に説明する。
〔アルドースリダクターゼ活性阻害剤,糖尿病性合併症予防・治療剤〕
本発明のアルドースリダクターゼ活性阻害剤及び糖尿病性合併症予防・治療剤は、ツルゲンゲからの抽出物又はノゲイトウからの抽出物を有効成分として含有する。
ここで、本発明において、ツルゲンゲからの「抽出物」又はノゲイトウからの「抽出物」には、抽出処理によってツルゲンゲ又はノゲイトウから得られる抽出液、当該抽出液の希釈液若しくは濃縮液、当該抽出液を乾燥して得られる乾燥物、又はこれらの粗精製物若しくは精製物のいずれもが含まれる。
抽出原料としてのツルゲンゲは、学名「Astragalus complanatus R.Br.」のマメ科の植物である。ツルゲンゲは、中国又はモンゴルなどの山野に自生する多年草であり、これらの地域から容易に入手することができる。その種子は特にシャエンシ(沙苑子)といわれ、漢方薬の成分としてめまいを改善するのに用いられている。
また、抽出原料としてのノゲイトウは、学名「Celosia argentea L.」のひゆ科の植物であり、熱帯性の一年草である。ノゲイトウは、日本では、本州西部、四国、九州の暖地で自生し又は栽培されており、これらの地域から容易に入手することができる。その種子は特にセイショウシといわれ、古くから降圧作用及び緑膿菌に対する抑制作用を有することが知られており、高血圧症の予防又は治療のほか、強壮・消炎薬として結膜炎・皮膚掻痒症の予防又は治療にも用いられている。
抽出原料として使用することのできるツルゲンゲの部位又はノゲイトウの部位としては、特に限定されるわけではなく、例えば、花、花穂、果皮、果実、球果、蕾、茎、葉、枝、枝葉、幹、樹皮、根茎、根皮、根、種子又は全草等が挙げられ、これらのうち1種又は2種以上を抽出原料として使用することができるが、特に種子を使用することが好ましい。
抽出原料として使用するツルゲンゲ又はノゲイトウは、採取後直ちに乾燥し粉砕したものが適当である。乾燥は天日で行ってもよいし、通常使用される乾燥機を用いて行ってもよい。また、ヘキサン、ベンゼン等の非極性溶媒によって脱脂等の前処理を施してから抽出原料として使用してもよい。脱脂等の前処理を行うことにより、ツルゲンゲ又はノゲイトウの極性溶媒による抽出処理を効率よく行うことができる。
ツルゲンゲからの抽出物及びノゲイトウからの抽出物に含有されるアルドースリダクターゼ活性阻害物質の詳細は不明であるが、植物の抽出に一般に使用される抽出方法によって、ツルゲンゲ又はノゲイトウから、アルドースリダクターゼ活性阻害作用を有する抽出物を得ることができる。
抽出溶媒としては、極性溶媒を使用することが好ましく、例えば、水、親水性有機溶媒等が挙げられ、これらを単独で又は2種以上を組み合わせて、室温又は溶媒の沸点以下の温度で用いることが好ましい。
抽出溶媒として使用し得る水としては、純水、水道水、井戸水、鉱泉水、鉱水、温泉水、湧水、淡水等のほか、これらに各種処理を施したものが含まれる。水に施す処理としては、例えば、精製、加熱、殺菌、濾過、イオン交換、浸透圧の調整、緩衝化等が含まれる。したがって、本発明において抽出溶媒として使用し得る水には、精製水、熱水、イオン交換水、生理食塩水、リン酸緩衝液、リン酸緩衝生理食塩水等も含まれる。
抽出溶媒として使用し得る親水性有機溶媒としては、メタノール、エタノール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール等の炭素数1〜5の低級脂肪族アルコール;アセトン、メチルエチルケトン等の低級脂肪族ケトン;1,3−ブチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン等の炭素数2〜5の多価アルコール等が挙げられる。
2種以上の極性溶媒の混合液を抽出溶媒として使用する場合、その混合比は適宜調整することができる。例えば、水と低級脂肪族アルコールとの混合液を使用する場合には、水10質量部に対して低級脂肪族アルコール1〜90質量部を混合することが好ましく、水と低級脂肪族ケトンとの混合液を使用する場合には、水10質量部に対して低級脂肪族ケトン1〜40質量部を混合することが好ましく、水と多価アルコールとの混合液を使用する場合には、水10質量部に対して多価アルコール10〜90質量部を混合することが好ましい。
抽出処理は、ツルゲンゲ又はノゲイトウに含まれる可溶性成分を抽出溶媒に溶出させ得る限り特に限定はされず、常法に従って行うことができる。例えば、抽出原料の1〜20倍量(質量比)の抽出溶媒に、ツルゲンゲ又はノゲイトウを浸漬し、常温又は還流加熱下で可溶性成分を抽出させた後、濾過して抽出残渣を除去することにより抽出液を得ることができる。得られた抽出液は、該抽出液の希釈液若しくは濃縮液、該抽出液の乾燥物、又はこれらの粗精製物若しくは精製物を得るために、常法に従って希釈、濃縮、乾燥、精製等の処理を施してもよい。
精製は、例えば、活性炭処理、吸着樹脂処理、イオン交換樹脂処理などにより行うことができる。得られた抽出液はそのままでもアルドースリダクターゼ活性阻害剤の有効成分として使用することができるが、濃縮液又は乾燥物としたものの方が使用しやすい。
以上のようにして得られるツルゲンゲからの抽出物又はノゲイトウからの抽出物は、アルドースリダクターゼ活性阻害作用を有しており、その作用を利用してアルドースリダクターゼ活性阻害剤又は糖尿病性合併症予防・治療剤として使用することができる。糖尿病性合併症としては、網膜症、白内障、腎症、神経障害等が挙げられ、上記アルドースリダクターゼ活性阻害剤又は糖尿病性合併症予防・治療剤は、それら糖尿病性合併症の予防又は治療に効果的であり、特に網膜症・白内障等の糖尿病性眼疾患の予防又は治療に効果的である。
アルドースリダクターゼ活性阻害剤又は糖尿病性合併症予防・治療剤の投与量は、対象疾患、症状、性別、年齢等により適宜調整することができるが、成人1日あたりのツルゲンゲ抽出物又はノゲイトウ抽出物投与量が約1〜1000mgとなるようにするのが好ましい。また、アルドースリダクターゼ活性阻害剤又は糖尿病性合併症予防・治療剤の投与方法としては、例えば、経口投与、脈管内投与等が挙げられるが、経口投与が好ましい。
アルドースリダクターゼ活性阻害剤又は糖尿病性合併症予防・治療剤は、上記ツルゲンゲからの抽出物又はノゲイトウからの抽出物のみからなるものでもよいし、上記ツルゲンゲからの抽出物又はノゲイトウからの抽出物を製剤化したものでもよい。
上記ツルゲンゲからの抽出物又はノゲイトウからの抽出物は、デキストリン、シクロデキストリン等の薬学的に許容され得るキャリアーその他任意の助剤を用いて、錠剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤、シロップ剤、トローチ剤等、任意の剤形に製剤化することができる。この際、助剤としては、例えば、賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、安定剤、矯味・矯臭剤等を用いることができる。
上記アルドースリダクターゼ活性阻害剤及び糖尿病性合併症予防・治療剤は、アルドースリダクターゼの活性を阻害することによりソルビトールの細胞内蓄積を抑制することができる。これにより、網膜症、白内障、腎症、神経障害等の糖尿病性合併症を予防又は治療することができる。
〔糖尿病性合併症予防・治療用飲食品〕
上記ツルゲンゲからの抽出物又はノゲイトウからの抽出物は、アルドースリダクターゼ活性阻害作用を有しており、消化管で消化されるようなものではないことが確認されており、また安全性に優れているため、一般食品、健康食品、保健機能食品又は栄養補助食品等、任意の飲食品に配合するのに好適である。この場合、ツルゲンゲからの抽出物又はノゲイトウからの抽出物をそのまま配合してもよいし、ツルゲンゲからの抽出物又はノゲイトウからの抽出物を製剤化したアルドースリダクターゼ活性阻害剤又は糖尿病性合併症予防・治療剤を配合してもよい。
上記ツルゲンゲからの抽出物、ノゲイトウからの抽出物、アルドースリダクターゼ活性阻害剤又は糖尿病性合併症予防・治療剤を飲食品に配合する場合、それらにおける有効成分の配合量は、使用目的、性別、症状等を考慮して適宜調整することができるが、添加対象飲食品の一般的な摂取量を考慮して成人1日あたりのツルゲンゲ抽出物又はノゲイトウ抽出物摂取量が約1〜1000mgになるようにするのが好ましい。
上記ツルゲンゲからの抽出物、ノゲイトウからの抽出物、アルドースリダクターゼ活性阻害剤又は糖尿病性合併症予防・治療剤を配合し得る飲食品は、ツルゲンゲからの抽出物又はノゲイトウからの抽出物が有するアルドースリダクターゼ活性阻害作用を妨げない限り、特に限定されるものではない。
具体例としては、清涼飲料、炭酸飲料、栄養飲料、果実飲料、乳酸飲料等の飲料(これらの飲料の濃縮原液及び調整用粉末を含む);アイスクリーム、アイスシャーベット、かき氷等の冷菓;そば、うどん、はるさめ、ぎょうざの皮、しゅうまいの皮、中華麺、即席麺等の麺類;飴、チューインガム、キャンディー、ガム、チョコレート、錠菓、スナック菓子、ビスケット、ゼリー、ジャム、クリーム、焼き菓子等の菓子類;かまぼこ、ハム、ソーセージ等の水産・畜産加工食品;加工乳、発酵乳等の乳製品;サラダ油、てんぷら油、マーガリン、マヨネーズ、ショートニング、ホイップクリーム、ドレッシング等の油脂及び油脂加工食品;ソース、たれ等の調味料;スープ、シチュー、サラダ、惣菜、漬物;その他種々の形態の健康・栄養補助食品;錠剤、カプセル剤、ドリンク剤等に上記ツルゲンゲからの抽出物又はノゲイトウからの抽出物を配合して製造することができ、このとき、通常用いられる補助的な原料や添加物を併用することができる。
以上のようにして得られる飲食品は、アルドースリダクターゼ活性阻害作用を有するため、ソルビトールの細胞内蓄積を抑制でき、その結果として、網膜症、白内障、腎症、神経障害等の糖尿病性合併症を予防又は治療することができる。
なお、本発明のアルドースリダクターゼ活性阻害剤、糖尿病性合併症予防・治療剤及び飲食品は、ヒトに対して好適に適用されるものではあるが、その作用効果が奏される限り、ヒト以外の動物に対して適用することもできる。
以下、製造例、試験例及び配合例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明は、下記の各例に何ら限定されるものではない。
〔製造例1〕ツルゲンゲ抽出物の製造
中国産ツルゲンゲの種子部1000gを抽出溶媒3000mLに投入し、還流下で1時間、90℃で加熱抽出し、熱時濾過して抽出液を得た。残渣についてさらに同様の抽出操作を行い、得られた抽出液を合わせて減圧下に濃縮・乾燥し、ツルゲンゲ抽出物を得た。抽出溶媒を種々変更して上記抽出処理を行った場合の抽出物の収率を表1に示す。
[表1]
試 料 抽出溶媒 抽出物収率(質量%)
a 水 11.2
b 30%エタノール 10.3
c 50%エタノール 9.6
d 70%エタノール 5.5
〔製造例2〕 ノゲイトウ抽出物の製造
中国産ノゲイトウの種子部1000gを抽出溶媒3000mLに投入し、還流下で1時間、90℃で加熱抽出し、熱時濾過して抽出液を得た。残渣についてさらに同様の抽出操作を行い、得られた抽出液を合わせて減圧下に濃縮・乾燥し、ツルゲンゲ抽出物を得た。抽出溶媒を種々変更して上記抽出処理を行った場合の抽出物の収率を表2に示す。
[表2]
試 料 抽出溶媒 抽出物収率(質量%)
e 水 2.5
f 30%エタノール 1.8
g 50%エタノール 1.4
h 70%エタノール 1.0
〔試験例1〕 アルドースリダクターゼ活性阻害作用試験
製造例1で得られたツルゲンゲからの抽出物(試料a〜d)及び製造例2で得られたノゲイトウからの抽出物(試料e〜h)について、下記の試験方法によりアルドースリダクターゼ活性阻害作用を試験した。
(1)粗アルドースリダクターゼ溶液の調製
10mMのβ−メルカプトエタノールを含む135mMのリン酸緩衝液(pH7.0)にブタ水晶体をいれてホモジナイズした後、10,000×gで30分間遠心分離した。得られた上清液を75%飽和となるように硫酸アンモニウムを加えた後、10,000×gで10分間遠心分離した。得られた沈殿物を上記と同じ緩衝液に溶解し、さらに10,000×gで10分間遠心分離し、その上清液を粗アルドースリダクターゼ溶液とした。
(2)アルドースリダクターゼ活性阻害作用試験
まず、下記の組成の酵素反応液を調製した。
3mMグリセルアルデヒド溶液 900μL
(400mM硫酸リチウムを含むpH6.2の50mMリン酸緩衝液使用)
粗アルドースリダクターゼ溶液 50μL
試料溶液(試料a〜h) 50μL
上記酵素反応液を37℃の温度条件下で2分間加温した後、0.125mMの還元型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸(NADPH)50μLを添加し、NADPHの吸収波長340nmの吸光度を測定した。また、コントロールとして、試料溶液の代わりに水を加えた酵素反応液について、同様の操作を行った。なお、上記操作において酵素反応の開始前にも、340nmの吸光度を測定した。ここで、アルドースリダクターゼはNADPHを補酵素としてグリセルアルデヒドをポリオールに還元する酵素であり、この反応に伴って、NADPHはニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸(NADP)に変化する。したがって、生成したNADPが少なく、酵素反応前の吸光度と酵素反応後の吸光度との変化量が小さければ、アルドースリダクターゼの活性が阻害されていることになる。
種々の濃度の試料溶液について上記吸光度を測定し、その吸光度の測定結果から、下記の計算式によりアルドースリダクターゼ活性阻害率を求め、その阻害率の結果から各試料におけるアルドースリダクターゼ活性阻害率が50%になる濃度IC50(ppm;μg/mL)を内挿法により求めた。
阻害率(%)=〔1−(A−B)/(C−D)〕×100
ただし、上記式において、「A」は試料溶液添加の酵素反応開始前の吸光度を、「B」は試料溶液添加の酵素反応後の吸光度を、「C」は試料溶液無添加の酵素反応開始前の吸光度を、「D」は試料溶液無添加の酵素反応後の吸光度を表す。
この試験の結果を表3及び表4に示す。
[表3](ツルゲンゲ抽出物溶液のアルドースリダクターゼ活性50%阻害濃度)
試 料 IC 50 (ppm)
a 117.2
b 88.8
c 79.3
d 63.6
[表4](ノゲイトウ抽出物溶液のアルドースリダクターゼ活性50%阻害濃度)
試 料 IC 50 (ppm)
e 92.3
f 45.1
g 31.2
h 26.2
表3及び表4に示すように、ツルゲンゲ抽出物及びノゲイトウ抽出物は、優れたアルドースリダクターゼ活性阻害作用を有することが認められた。
〔配合例1〕
下記の原料を均一に混合して、常法により顆粒状にし、その後打錠して、錠剤状健康食品を製造した。
ツルゲンゲ50%エタノール抽出物(製造例1) 32質量部
デキストリン 50質量部
結晶セルロース 10質量部
ショ糖脂肪酸エステル 8質量部
〔配合例2〕
下記の原料を混合して、常法に従ってソフトカプセル状の健康食品を製造した。
ノゲイトウ30%エタノール抽出物(製造例2) 90質量部
ウコンオレオレジンターメリック 25質量部
植物油 113質量部
グリセリン脂肪酸エステル 12質量部
ミツロウ 60質量部
〔配合例3〕
下記の原料を混合して、インスタントティー顆粒を流動層造粒機により製造した。
ノゲイトウ熱水抽出物(製造例2) 45質量部
ステビア甘味料 1質量部
(丸善製薬株式会社製,商品名:マルミロン50)
ビタミンC 50質量部
ラクチュロース 50質量部
デキストリン 754質量部
原料の混合及び流動層造粒機による顆粒化は容易にでき、得られたインスタントティー顆粒は、呈味が良好であった。
〔配合例4〕
下記の原料を用いてドウを作製し、延展後これを成形してばい焼し、ビスケットを製造した。
ツルゲンゲ熱水抽出物(製造例1) 2g
小麦粉 1000g
コーンスターチ 100g
砂糖 250g
マーガリン 125g
食塩 5g
炭酸ソーダ 25g
炭酸アンモニウム 9g
レシチン 6g
全卵 75g
乳酸カルシウム 50g
ゴマ 5g
水 350g
得られたビスケットは、呈味が良好であった。
本発明のアルドースリダクターゼ活性阻害剤、糖尿病性合併症予防・治療剤及び糖尿病性合併症予防・治療用飲食品は、網膜症、白内障、腎症、神経障害等の糖尿病性合併症の予防又は治療に大きく貢献することができる。

Claims (3)

  1. ツルゲンゲ(Astragalus complanatus R.Br.)からの抽出物を有効成分として含有することを特徴とするアルドースリダクターゼ活性阻害剤(腎症の予防・治療用途を除く)
  2. 前記抽出物が、抽出溶媒として極性溶媒を用いて得られる抽出物であることを特徴とする請求項に記載のアルドースリダクターゼ活性阻害剤。
  3. ツルゲンゲ(Astragalus complanatus R.Br.)からの抽出物を有効成分として含有することを特徴とする、網膜症、白内障又は神経障害から選択される糖尿病性合併症予防・治療剤。
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