しかし、上記従来の方式では、基地局装置において干渉量の余裕度が確保されるようになっておらず、例えば新規情報符号が多数一度に送信された場合等には、依然として干渉量が突然過多となって、基地局装置にて復号不能となる事態に陥るおそれがあった。
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであって、その目的の一つは、基地局装置等において復号不能となる事態を減少できる移動体通信システム、移動局装置、基地局装置及び送信レート制御方法を提供することにある。
上記課題を解決するための本発明の一側面に係る移動体通信システムは、基地局装置と移動局装置とを含む、符号分割多重接続方式による移動体通信システムにおいて、前記基地局装置は、前記移動局装置から送信された電波の干渉量を取得する干渉量取得部と、前記移動局装置が通常の送信レートより低い低送信レートで送信を行なう期間を送信する期間送信部と、を備え、前記移動局装置は、前記干渉量が所定の範囲である場合に、前記期間送信部により送信された前記期間の間、前記低送信レートによる送信する設定を行い、前記期間が経過した際に前記通常の送信レートによる送信を行なう設定を行なうレート制御部と、を備える、ことを特徴とする。
このようにすることで、移動局装置において自律的に送信レートを低下させることができる。符号分割多重接続方式による移動体通信システムでは、一般に移動局装置の送信レートと必要な送信電力(空中線電力)との間に相関があり、移動局装置において自立的に送信レートを低下させると、移動局装置の送信電力を低下させることができるようになる。このため、本発明によれば通信を途絶えさせることなく移動局装置の送信電力を低下させて、基地局装置における干渉量の余裕度を確保することができるようになる。その結果、該基地局装置において干渉量過多により復号不能となる事態を減少させることができる。
なお、上記移動体通信システムにおいて、前記期間送信部は、更に周期を送信し、前記レート制御部は、前記期間送信部により送信された前記周期で、低送信レートによる送信と、通常の送信レートによる送信とを繰り返す、こととしてもよい。
また、上記移動体通信システムにおいて、前記基地局装置は、前記移動局装置から送信される信号の受信エラー率に応じて、前記移動局装置の送信電力を上下させる指示を該移動局装置に送信する手段、を含み、前記移動局装置は、前記基地局装置から送信される指示に応じた電力にて信号を送信する手段、をさらに含む、こととしてもよい。一般に、送信レートが高いほど受信エラー率(フレームエラーレート、ブロックエラーレート、ビットエラーレートなどの、受信データにエラーが含まれる割合を示す指標)は高くなるので、このようにすれば、送信レートを上下させることにより、移動局装置の送信電力を上下させることができる。このため、移動局装置において送信レートを上下させることにより、基地局装置において干渉量の余裕度を確保することができる。
また、本発明の別の一側面に係る移動体通信システムは、基地局装置と移動局装置とを含む、符号分割多重接続方式による移動体通信システムにおいて、前記移動局装置は、前記基地局装置に対し情報符号を送信する情報符号送信手段、をさらに含み、前記基地局装置は、前記移動局装置から送信される情報符号を受信する情報符号受信手段と、前記移動局装置に対し、低レート送信指示を送信する低レート送信指示送信手段と、を含み、前記移動局装置は、前記低レート送信指示を受信する低レート送信指示受信手段と、前記低レート送信指示に従って、情報符号の送信レートが低下するよう、該送信レートを変更する送信レート変更手段と、をさらに含む、ことを特徴とする。
本発明によれば、基地局装置が移動局装置の送信レートを低下させるようにすることで、移動局装置は送信電力を低下させることができるようになる。このため、移動局装置の送信電力を低下させて、基地局装置における干渉量が突然過多となることを防止することができるようになる。
また、上記移動体通信システムにおいて、前記基地局装置は、前記移動局装置が所定の閾値を超える送信レートで前記情報符号の送信を行っていることを判断する送信レート判断手段、をさらに含み、前記低レート送信指示送信手段は、前記所定の閾値を超える送信レートで送信を行っているか否かに応じて、前記移動局装置に対し低レート送信指示を送信する、こととしてもよい。こうすれば、移動局装置が所定の閾値を超える送信レートで送信を行っているか否かに応じて、低レート送信指示を送信することができる。
また、上記移動体通信システムにおいて、前記基地局装置は、当該基地局装置における干渉量が所定の閾値を超えていることを判断する干渉量判断手段、をさらに含み、前記低レート送信指示送信手段は、当該基地局装置における干渉量が所定の閾値を超えているか否かに応じて、前記低レート送信指示を送信する、こととしてもよい。こうすれば、基地局装置における干渉量に応じて低レート送信指示を送信することができる。
また、上記移動体通信システムにおいて、前記移動局装置は、前記送信レート変更手段が送信レートを変更した場合に、該変更前の送信レートを記憶する送信レート記憶手段と、前記送信レート変更手段による送信レートの変更後所定時間経過後に、当該移動局装置の送信レートを、前記送信レート記憶手段が記憶する前記送信レートに応じた送信レートに復帰させる送信レート復帰手段と、をさらに含む、こととしてもよい。こうすれば、移動局装置のスループットを上げることができる。
また、上記移動体通信システムにおいて、前記移動局装置は、前記所定時間を取得する所定時間取得手段、をさらに含む、こととしてもよい。こうすれば、移動局装置は変更前の送信レートに復帰させるまでの時間を取得することができる。
また、上記移動体通信システムにおいて、前記基地局装置は、前記所定時間を決定する所定時間決定手段と、前記決定される所定時間を前記移動局装置に対して送信する所定時間送信手段と、をさらに含み、前記移動局装置は、前記所定時間を受信する所定時間受信手段、をさらに含み、前記所定時間取得手段は、前記送信される所定時間を受信することにより、前記所定時間を取得する、こととしてもよい。こうすれば、基地局装置は変更前の送信レートに復帰させるまでの時間を決定することができる。
また、上記移動体通信システムにおいて、前記基地局装置は、前記移動局装置から送信される信号の受信エラー率に応じて、前記移動局装置の送信電力を上下させる指示を該移動局装置に送信する手段、を含み、前記移動局装置は、前記基地局装置から送信される指示に応じた電力にて信号を送信する手段、をさらに含む、こととしてもよい。一般に、送信レートが高いほど受信エラー率は高くなるので、このようにすれば、送信レートを上下させることにより、移動局装置の送信電力を上下させることができる。このため、移動局装置において送信レートを上下させることにより、基地局装置において干渉量の余裕度を確保することができる。
また、本発明のさらに他の側面に係る移動局装置は、符号分割多重接続方式による移動体通信システムに用いられる移動局装置であって、送信レートを設定するレート制御部を備え、前記レート制御部は、送信した電波の基地局装置における干渉量に基づく情報である干渉量情報、及び通常の送信レートより低い低送信レートで送信を行なう期間を示す期間情報を受信し、前記干渉量情報が前記干渉量が所定の範囲であることを示す場合に、前記期間情報により示された前記期間の間、前記低送信レートによる送信する設定を行い、前記期間が経過した際に前記通常の送信レートによる送信を行なう設定を行なう、ことを特徴とする。
また、本発明のさらに別の側面に係る移動局装置は、符号分割多重接続方式による移動体通信システムに用いられる移動局装置であって、基地局装置に対し情報符号を送信する情報符号送信手段と、前記基地局装置から低レート送信指示を受信する低レート送信指示受信手段と、前記低レート送信指示に従って、情報符号の送信レートを変更する送信レート変更手段と、前記送信レート変更手段が送信レートを変更した場合に、該変更前の送信レートを記憶する送信レート記憶手段と、該送信レートの変更後所定時間経過後に、送信レートを前記送信レート記憶手段が記憶する前記送信レートに応じた送信レートに復帰させる送信レート復帰手段と、を含むことを特徴とする。
また、本発明のさらに別の側面に係る基地局装置は、符号分割多重接続方式による移動体通信システムに用いられる基地局装置であって、移動局装置から送信される情報符号を受信する情報符号受信手段と、前記移動局装置が所定の閾値を超える送信レートで前記情報符号の送信を行っていることを判断する判断手段と、前記所定の閾値を超える送信レートで送信を行っている前記移動局装置に対し、低レート送信指示を送信する低レート送信指示送信手段と、を含むことを特徴とする。
また、本発明のさらに別の側面に係る送信レート制御方法は、符号分割多重接続方式による移動体通信システムに用いられる移動局装置の送信レート制御方法であって、送信した電波の基地局装置における干渉量に基づく情報である干渉量情報を取得するステップと、通常の送信レートより低い低送信レートで送信を行なう期間を示す期間情報を取得するステップと、前記干渉量情報が前記干渉量が所定の範囲であることを示す場合に、前記期間情報により示された前記期間の間、前記低送信レートによる送信を行なうステップと、前記期間が経過した際に前記通常の送信レートによる送信を行なうステップと、を含むことを特徴とする。
また、本発明のさらに別の側面に係る送信レート制御方法は、符号分割多重接続方式による移動体通信システムに用いられる移動局装置の送信レート制御方法であって、移動局装置から送信される情報符号を受信するステップと、前記移動局装置が所定の閾値を超える送信レートで前記情報符号の送信を行っていることを判断するステップと、前記所定の閾値を超える送信レートで送信を行っている前記移動局装置に対し、低レート送信指示を送信するステップと、を含むことを特徴とする。
(実施形態1.)
本発明の実施形態1について、図面を参照しながら説明する。本実施の形態に係る移動体通信システム4は、図1に示すように、複数の移動局装置1、基地局装置2及び通信ネットワーク3とを含んで構成されている。基地局装置2は、通常複数の移動局装置1とそれぞれCDMA方式による通信を行う。
移動局装置1は、図2に示すように、制御部11と、通信部12と、記憶部13と、操作部14と、表示部15とを含んで構成されている。制御部11は、移動局装置1の各部を制御し、通話やデータ通信に関わる処理を実行している。また、制御部11は、データ通信において使用する通信用パケットを通信部12を介して送信する場合、その送信レートを決定するための処理も行っている。通信部12は、空中線を備え、制御部11から入力される指示に従って、音声信号や通信用パケット等を変調して空中線を介して出力したり、空中線に到来する音声信号や通信用パケット等を受信して復調し、制御部11に出力したり、といった処理を行う。
記憶部13は、制御部11のワークメモリとして動作する。また、この記憶部13は、制御部11によって行われる各種処理に関わるプログラムやパラメータを保持している。操作部14は、例えばテンキー等であり、利用者から電話番号や文字列の入力を受けて制御部11に出力している。表示部15は、例えば液晶表示装置を含んで構成されており、制御部11から入力される信号に従って情報を表示出力する。
次に、基地局装置2は、図3に示すように、制御部21と、ネットワークインターフェイス部22と、無線通信部23と、記憶部24とを含んで構成されている。制御部21は、基地局装置2の各部を制御し、通話やデータ通信に関わる処理を実行している。ネットワークインターフェイス部22は、通信ネットワーク3と接続されており、通信ネットワーク3からの音声信号や通信用パケット等を受信して制御部21に出力したり、制御部21の指示に従って音声信号や通信用パケット等を通信ネットワーク3に対して送信したりする。無線通信部23は、空中線を備え、少なくとも1つの移動局装置1からの音声信号や通信用パケット等をそれぞれ受信して復調し、制御部21に出力したり、制御部21から入力される指示に従って、制御部21から入力される音声信号や通信用パケット等を変調して空中線を介して出力したり、といった処理を行う。記憶部24は、制御部21のワークメモリとして動作する。また、この記憶部24は、制御部21によって行われる各種処理に関わるプログラムやパラメータを保持している。
基地局装置2が無線通信部23を使用して移動局装置1との間で通信する場合には、論理チャネルとしてトラヒックチャネルと制御チャネルとを使用することができる。トラヒックチャネルには、上りと下りの通信チャネル及びパワー制御チャネルが含まれる。上りと下りの通信チャネルでは音声信号や通信用パケットが送受信される。上りは移動局装置1から基地局装置2への通信、下りは基地局装置2から移動局装置1への通信を意味する。また、パワー制御チャネルは、移動局装置1の空中線電力を基地局装置2が制御するためのチャネルである。制御チャネルには、上りのアクセスチャネルと、下りのパイロットチャネル、同期チャネル及びページングチャネルが含まれる。アクセスチャネルは、移動局装置1から基地局装置2に信号を送信するためのチャネルであり、上り個別制御チャネルが含まれる。パイロットチャネル及び同期チャネルは、基地局装置2と移動局装置1とが同期するためのチャネルである。ページングチャネルは、基地局装置2が移動局装置1に対して移動局装置1の制御情報を送信するためのチャネルであり、通信可能な全移動局装置1に対して一斉に送信される共通制御チャネル、個別の移動局装置1と通信を行うための下り個別制御チャネルが含まれる。共通制御チャネルにおいては、具体的には、干渉量を示す情報や発信規制等の情報が、通信可能な全移動局装置に対して一斉に報知される。また個別制御チャネルにおいては、各移動局装置を制御するために通信シーケンスで使用される各種の信号等が送受信される。
そして、上記の各論理チャネルにおける信号であって、基地局装置2から移動局装置1に向かう信号は、CDMAの無線キャリアから構成される物理的な下りチャネルに含まれ、移動局装置1から基地局装置2に向かう信号は、CDMAの無線キャリアから構成される物理的な上りチャネル(以下、「上りチャネル」と称する)に含まれる。
パケット等の情報を含む信号(情報符号)は、送信側装置でASK(振幅偏移変調方式)、FSK(周波数変換式変調方式)又はPSK(位相偏移変調方式)等の信号に一次変調される。本システムでは、この一次変調波の周波数や多値レベル(多値変調方式を採用する場合)を可変とすることで、送信レートを可変としている。
次に、該一次変調された一次変調波は、PN(Pseudorandom Noise)系列と呼ばれる、例えば+1または−1がランダムな順序で出現する波形であって自己相関性が極めて高い関数で表される波形、を乗積することにより得られる二次変調波に変換される。そして、該二次変調波が、搬送波に重畳される等した後、無線区間に送信される。ここで、一次変調波から二次変調波を得ることを拡散という。そして、復調側装置では、受信した二次変調波に同じPN系列を乗積することにより、元の一次変調波を得ることができる。ここで、二次変調波から一次変調波を得ることを逆拡散という。このようにすることにより、送受信する間に干渉波が入った場合でも、干渉波は上記PN系列を乗積しても逆拡散され得ず、さらに拡散されてしまう。このため、干渉がある場合にも、復調できる可能性が高いという効果が得られる。
そして、PN系列を移動局装置1毎に違う系列とすることにより、個々の移動局装置と送受信する信号が識別される。このため、例えば移動局装置1が多数存在し、それぞれが上記方式で信号を送信する場合には、それぞれの信号が他の信号に対する干渉波となる。この干渉波が多い場合には、逆拡散した場合に干渉波の影響が無視できなくなり、干渉波がある量を超えると、逆拡散によって一次変調波を得ることができなくなる。すなわち、新規呼や新規情報符号が基地局装置2において復調不能となり、受付けられなくなる。この干渉波の量は一般的に干渉量と呼ばれており、通常、信号対雑音比(S/N比)や搬送波電力対雑音電力比(C/N比)で表される。そして、該干渉量は移動局装置1毎に計算されることができ、基地局装置2全体としての干渉量はその統計的量とすることができる。具体的には、移動局装置1毎の干渉量の総計であってもよいし、平均値であってもよい。
次に、移動局装置1と基地局装置2との間の通信で使用されるパケットは、複数段階の送信レートで送信される。例えばCDMA2000で使用されるパケットは、通常5段階の送信レートで送受信される。より具体的には、9.6kbps、19.2kbps、38.4kbps、76.8kbps、153.6kbpsのいずれかとして決定され、基地局装置2及び移動局装置1は、これらの送信レートで相互間の通信を行う。
また、基地局装置2では、いわゆるクローズドループ制御を行っている。すなわち、移動局装置1から受信した信号のSIR(受信SIR)を監視し、それが所与の目標SIR以上であれば送信電力を減少させるよう移動局装置1に指示している。また、目標SIR未満であれば送信電力を増加させるよう移動局に指示している。このとき、目標SIRはFER(Frame Error Rate,フレームエラーレート)等の受信エラー率によって決定される。例えば、受信エラー率が所定値よりも大きければ目標SIRを上げ、受信エラー率が所定値以下であれば目標SIRを下げるようにしている。
移動体通信システム4では、基地局装置2においてこのようなクローズドループ制御を採用しているので、移動局装置1の送信レートと送信電力とが相関している。すなわち、移動局装置1が低レートでデータ送信すると、基地局装置2において当該移動局装置1からの受信信号の品質が向上し、それにより目標SIRが下降する。その結果、送信電力を下降させる指示を当該移動局装置1に与える可能性が高まる。逆に、移動局装置1が高レートでデータ送信すると、基地局装置2において当該移動局装置1からの受信信号の品質が低下し、それにより目標SIRが上昇する。その結果、送信電力を上昇させる指示を当該移動局装置1に与える可能性が高まる。
以上のようにして、移動体通信システム4では、移動局装置1において送信レートを上下させることにより、間接的に移動局装置1の送信電力を上下させるようにしている。
図4は、本実施形態で使用される移動局装置1及び基地局装置2の機能ブロック図である。同図に示すように、移動局装置1は、機能的にはレート制御部42及びデータ送信部44を含んで構成されており、基地局装置2は、機能的には繰り返し周期取得部41、干渉判定部43及びデータ受信部45を含んで構成されている。繰り返し周期取得部41は、以下に述べる送信レートの上げ下げの繰り返し周期を、移動局装置1に対して個別制御チャネルを用いて通知する。ここで繰り返し周期は、移動局装置1での送信レート制御の都度送信されるものであってもよいし、予め通信に先立ち移動局装置1に送信されるものであってもよい。また、共通制御チャネルにより送信することにより、全ての移動局装置1に同じ繰り返し周期を送信してもよい。この場合、全ての移動機が一斉に送信レートを下げる場合には、干渉量が過多となり復号できなくなる可能性を下げることができる。しかし、全ての移動局装置1が一斉に送信レートを上げる場合には、干渉量が過多となり復号できなくなる可能性があるので、各移動局装置1でタイミングを異ならせることが望ましい。
干渉判定部43では、上りチャネルの干渉量を測定する。具体的には、上りチャネルにおいて受信する信号と雑音の比から干渉量を測定してもよいし、上りチャネルにおける搬送波電力と雑音電力の比から干渉量を測定してもよい。そして、該干渉量の範囲を示す値を、移動局装置1に対して、共通制御チャネルを使用して送信する。なお、干渉量は各移動局装置1に関する値であってもよいし、全部又は一部の平均値等の統計量であってもよい。
レート制御部42は、繰り返し周期取得部41により送信される繰り返し周期と、干渉判定部43より送信される干渉量の範囲を示す値を受信する。そして、該干渉量が属する所定の範囲と該繰り返し周期に応じて決定される送信レートを、パケットを送信する送信レートとして決定し、データ送信部44に渡す。そして、データ送信部44は、上りデータチャネルを使用して、該渡された送信レートにてパケットを送信する。データ受信部45は、少なくとも1以上の移動局装置1のデータ送信部44から送信された上記パケットを受信して、復号その他の処理を行う。そして、干渉判定部43は、上記パケットを含む信号と雑音の割合から上りチャネルの干渉量を測定し、以上の処理を繰り返すこととなる。
本実施の形態をさらに具体的に説明する。繰り返し周期は、通信に先立ち、個別制御チャネルを通じて移動局装置1に送信される。そして、その内容には、低レート時間T1と復帰レート時間T2が含まれ、それぞれ送信レートが下がっている期間と、上がっている(元の送信レートに復帰している)期間に対応付けられる。干渉判定部43は、上りチャネルの干渉量をLEVEL1から3の3段階に区切った場合に、現在の干渉量がどの範囲に属するかを判断する。そして、該範囲を示す値を、共通制御チャネルを用いて送信する。具体的には、図8に示すように、2bitの情報51として、共通制御チャネル50に含めることができる。なおここでは、LEVEL1が干渉量最小であり、LEVEL2ではLEVEL1に比べて干渉量が増大し、LEVEL3で干渉量最大とする。そして、移動局装置1のレート制御部42は、該繰り返し周期と、該送信された干渉量がどの範囲に属するかを示す値を受信し、それらに応じて送信レートを決定する処理を変更する。すなわち、干渉量がLEVEL1に属する場合には、乱数に応じて所定確率で送信レートを増大させることにより(併せて送信電力を上げることにより)、各移動局装置1のスループットを上げる。干渉量がLEVEL3に属する場合には、乱数に応じて所定確率で送信レートを減少させることにより(併せて送信電力を下げることにより)、干渉量を低下させるようにしている。一方、干渉量がLEVEL2に属する場合には、新規情報符号が多数一度に送信された場合等、干渉量がLEVEL3の場合における送信レートを下げる方向でのクローズトループ制御が間に合わず、それ故に干渉量が過多となり、基地局装置2で複号ができなくなる事態を避けるため、予め移動局装置1間の互譲の精神で、送信レートを下げる期間(すなわち送信電力を下げる期間)を設ける。そして、送信レートを下げたままではスループットが下がるだけであるので、一定の期間経過後には元の送信レートに復帰させる(すなわち送信電力を元に戻す)。このようにして、スループットの維持も図っている。また、周期的に送信レートを下げたり上げたりすることにより、より効果的に基地局装置2で復号ができなくなる可能性を減少させることができる。ここで該周期は、繰り返し周期取得部41により送信された繰り返し周期である。
次に、レート制御部42において実行される処理のさらに具体的な例を示す。
図5はレート制御部42において、干渉量が属する所定の範囲に応じてパケットの送信レートを決定する処理のフロー図である。なお、図5における符号Sは、送信レートに対応しており、その詳細を図6に示す。図6は記憶部13において記憶されるテーブルであり、同図に示すように、送信レートを識別する数値である符号Sの数値が大きいほど高い送信レートが対応づけられている。まず、個別制御チャネルを通じて、基地局装置2から、低レート時間T1及び復帰レート時間T2を受信する(S201)。また、共通制御チャネルを通じて、基地局装置2からA及びBの2つの値を受信する(S202)。A及びBは、後に詳述するように、パケットの送信レートを決定する際に使用される定数であって、乱数の値に応じてパケットの送信レートを決めるための閾値であり、通常A≧Bを満たす。すなわち、Aは低干渉量の場合に送信レートを上げる確率に対応しており、Bは高干渉量の場合に送信レートを下げる確率に対応している。そして、移動局装置1において、上りデータ送信要求が発生した場合には(S203)、最低送信レートでパケットを送信する(S204)。これは、基地局装置2における干渉量に対する影響をできるだけ少なくするために行われる。そして、変数Lの記憶領域を確保し、0を代入する(S205)。このLは、後に干渉量のレベルを記憶するために使用される変数である。また、変数S0の記憶領域を確保し、1を代入する(S206)。このS0は後に送信レートの実績を記憶するために使用される変数である。
そして、再度上りデータ送信要求が発生した場合に(S207)、乱数Xを生成する(S208)。Xは多数の移動局装置1が一斉に送信レートを変動することによる干渉量への影響を防止するために用いられる乱数である。そして、基地局装置2における干渉量がLEVEL1乃至LEVEL3のいずれにあるかを判定する(S210)。該干渉量がLEVEL1である場合には、X>Aであるか否かを判定し(S211)、X>Aであれば、直前に送信したパケットの送信レートS0よりも1段階高い送信レートでパケットを送信する(S213,S214)。もちろん、S0が既に最高の送信レートである場合には、送信レートを上げる処理は行わずにパケットを送信する(S212,S214)。X>Aでなければ、S0のままでパケットを送信する(S214)。そして変数に1を代入し(S215)、後述するS223の処理に移る。該干渉量がLEVEL3である場合には、X>Bであるか否かを判定し(S216)、X>Bであれば、直前に送信したパケットの送信レートS0よりも1段階低い送信レートでパケットを送信する(S218,S219)。もちろん、S0が既に最低の送信レートである場合には、送信レートを下げる処理は行わずにパケットを送信する(S217,S219)。X>Bでなければ、S0のままでパケットを送信する(S219)。そして変数Lに3を代入し(S220)、後述するS223の処理に移る。
該干渉量がLEVEL2である場合には、レート決定処理として図7に示す処理を行う(S221)。図7における処理では、まずL=2であるか否かを判定する(S301)。これは、前回の干渉量がレート決定処理を行う干渉量でなかった場合には、送信レートを記憶する必要があるためである。そして、L=2でない場合には、変数S1にS0を代入する(S302)。このS1は移動局装置における送信レート繰り返しの基準の送信レートとなる。そして、変数t0に現在時刻を代入する(S303)。このt0は、繰り返し周期の基準となる。
次に、具体的な繰り返しの処理に入り、図9に示すような送信レートの繰り返しが行われる。図9では、基準となるt0において送信レートS1を下げ、T1の間それを維持した後、に復帰させる。そして、T2の間S1を維持した後、再度送信レートを下げる。これを、干渉量がLEVEL2である間繰り返す。この具体的な処理が図7に示されている。図7のS304では、現在時刻が、以下の式(1)を満たすか否かを判定する。この式(1)を満たす場合とは、図9で示すT1の区間であることを意味する。
n×(T1+T2)≦現在時刻−t0<n×(T1+T2)+T1 ・・・(1)
ここで、nは0以上の整数である。上記式(1)を満たす場合、すなわち送信レートを下げる(送信電力を下げる)期間である場合には、S0がS1と等しいか否か、すなわち基準となる送信レートで前回送信していたか否かを判定し(S305)、等しい場合には、SをS0からαだけ下げ、該Sに対応する送信レートでパケットを送信する(S306,S308)。ここで、αは0以上4以下の整数であり、Sは1以上4以下となる範囲で、S0より下げられる。また、αはランダムに選択されることができる。S0がS1と等しくない場合には、SにS0を代入する処理は行わず、Sに対応する送信レートでパケットを送信する(S308)。つまり、下げられた送信レートを維持する。次に、上記式(1)を満たさない場合、すなわち送信レートを基準送信レートとする(送信電力を元に戻す)期間である場合には、SにS1を代入し(S307)、Sに対応する送信レートでパケットを送信する(S308)。そして、処理を図5に戻し、図5のS222でLに2を代入し、さらにS0にSを代入して(S223)、S207に戻る。ここで、S0にSを代入するのは、前回の送信レートを記憶するためである。
このようにすることにより、本実施の形態では、クローズトループ制御による通常の送信電力制御以外に、強制的且つ一時的に送信レートを下げることにより送信電力が下がる期間を設けるようにしているので、干渉量の余裕度を確保することができる。このため、新規情報符号が多数一度に送信された場合等にクローズトループ制御が間に合わず、干渉量が過多となり、それ故に第1の通信装置での復号ができなくなる事態を回避できる。
また、送信レートを下げさせるだけではなく、繰り返しにより上下させるため、各移動局装置のスループットの低下を抑えることができる。また、繰り返し周期や干渉量の範囲は局データ等で自由に設定できるので、基地局装置の設置される場所や、時間帯等、個々の基地局装置の事情に応じた適切な範囲の決定が可能である。
また、移動局装置1毎に異なるタイミングで低レート期間T1が課されるようにすれば、移動局装置1側の負担を少なくしつつ、基地局装置2における干渉量の余裕度を定常的に持たせることができるようになる。他にも、基地局装置2が干渉量がどの範囲に属するかを判断するとしたことにより、共通制御チャネルにおいて送信される干渉量がどの範囲に属するかを示す値は高々2bitで足り、限られた無線資源を有効活用するとともに、各移動局装置1での計算を省略できることにより、移動局装置1の処理を軽減することもできる。
(実施形態2.)
本発明の実施形態2について、図面を参照しながら説明する。本実施の形態に係る移動体通信システム4の構成は実施形態1において示したものと図1乃至図3に示す基本的構成は同じであるが、その機能において異なっている点がある。具体的には、実施形態1では移動局装置1が自律的に送信レートを適宜変更することにより移動局装置の送信電力を変更していたが、実施形態2では、移動局装置1の送信レートを基地局装置2からの指示により変更することにより、移動局装置の送信電力を変更する。
図10は、本実施形態で使用される移動局装置1及び基地局装置2の機能ブロック図である。同図に示すように、基地局装置2は、機能的には送信レート判断部60、データ受信部62、干渉判定部64、指示部66及び低レート時間決定部68を含んで構成されており、移動局装置1は、機能的には低レート時間取得部70、送信レート変更部72及びデータ送信部74を含んで構成されている。
データ送信部74は、例えば上り通信チャネルを使用して情報符号を送信する。このように情報符号を送信する際には、予め記憶される複数段階の送信レートの中から、情報符号の送信レートが選択される。例えばCDMA2000において、情報符号がパケットである場合には、上記のように、9.6kbps、19.2kbps、38.4kbps、76.8kbps、153.6kbpsのいずれかが選択され、該選択された送信レートにて該パケットが送信される。このとき、実施形態1と同様に、移動体通信システム4では、移動局装置1において送信レートを上下させることにより、間接的に移動局装置1の送信電力を上下させるようにしている。
データ受信部62は、データ送信部74が送信する情報符号を受信する。該情報符号は、例えば上り通信チャネルに含まれるパケットである。そして、該データ送信部74は、受信するパケットの送信レートを、送信レート判断部60に出力する。
送信レート判断部60は、入力される上記送信レートが所定の閾値を超えているか否かを判断する。例えば、上記CDMA2000の場合において所定の閾値を150kbpsとすれば、送信レートが153.6kbpsであった場合には所定の閾値を超えると判断される。そして、その判断の結果を、指示部66に出力する。なお、該判断は、入力される上記送信レートが所定の時間にわたって所定の閾値を超えているか否かを判断することとしてもよい。つまり、ある時点で上記送信レートが所定の閾値を超えている場合に計時を開始し、所定の時間が到来した時点まで上記送信レートが所定の閾値を超えていれば、上記送信レートが所定の時間にわたって所定の閾値を超えていると判断することとしてもよい。
また、干渉判定部64は、上記上りチャネルの干渉量が所定の閾値を超えているか否かを判断する。具体的には、干渉量は、上述の通り例えばS/N比等で表され、S/N比が所定の閾値を超えているか否かを判断する。そして、その判断の結果を、指示部66に出力する。
指示部66は、送信レート判断部60から入力される判断の結果及び干渉判定部64から入力される判断の結果に応じて、移動局装置1に対し、低レート送信指示を送信する。もちろん、いずれか一方の結果のみに応じて送信してもよい。または、これらの結果に関わらず、送信することとしてもよい。送信レート判断部60から入力される判断の結果に応ずる場合には、例えば該判断の結果が所定の閾値を超えるという結果である場合に低レート送信指示を送信し、該判断の結果が所定の閾値を超えるという結果でない場合には送信を制限することが好適である。こうすれば、所定の閾値以上で送信している移動局装置1の送信レートを下げることができる。送信レートが高い移動局装置1は上述のように送信に係る空中線電力が高く、例えば干渉量に与える影響が大きいため、このようにすることで基地局装置等において復号不能となる事態を減らすことができる。また、干渉判定部64から入力される判断の結果に応ずる場合には、例えば該判断の結果が所定の閾値を超えるという結果である場合に低レート送信指示を送信し、該判断の結果が所定の閾値を超えるという結果でない場合には送信を制限することが好適である。こうすれば、現実に干渉量が大きくなっている場合に移動局装置1の送信レートを下げることができるので、移動局装置1からの上りチャネルによる干渉量への影響を減らすことができ、基地局装置等において復号不能となる事態を減らすことができる。なお、低レート送信指示は、上記下り個別制御チャネルを使用して移動局装置1に対し送信することが好適である。そして、該低レート送信指示は、具体的には、例えば下り個別制御チャネルに含まれる1ビットの0,1を指定することにより、移動局装置1に0ならば何もせず、1ならば現在の送信レートより下げることを指示することとしてもよい。または、該低レート送信指示において、具体的な送信レートを指定することもできる。
移動局装置1は、送信レート変更部72において、上記低レート送信指示を受信する。そして、送信レート変更部72は、該低レート送信指示に従って、データ送信部74が送信する情報符号の送信レートを変更する。なお、移動局装置1は、必ずしも該低レート送信指示の指示に絶対的に従わなければならないわけではなく、その他の理由で移動局装置1が送信レートを変更しようとすることを妨げるものではない。例えば、該低レート送信指示において、具体的な送信レート76.8kbpsが指定されている場合に、38.4kbpsに変更することは何ら妨げられるものではない。このような場合は、例えば移動局装置1と基地局装置2との通信に係る電波の状況が悪くなったことによって、例えばBER(Bit Error Rate,ビット誤り率)が大きくなり、38.4kbpsに下げなければ通信を継続できない場合等が考えられる。つまり、該低レート送信指示を受信した場合にはデータ送信部74が送信する情報符号の送信レートを変更することにより、基地局装置2において復号不能となる事態を減少できればよい。
次に、低レート時間決定部68は、低レート送信指示を受信した移動局装置1が低レートに下げる時間の長さについて決定する。つまり、送信レート変更部72は、該低レート送信指示に従って、データ送信部74が送信する情報符号の送信レートを変更するが、所定の時間経過後には元に戻す、とすることができる。そのために低レート時間決定部68は、該所定の時間を決定し、移動局装置1の低レート時間取得部70に対し送信する。なお、該所定の時間も、上記下り個別制御チャネルを使用して移動局装置1に対し送信することが好適である。また、該決定又は送信は、低レート送信指示と同時に行うこととしてもよいし、例えば移動局装置1が在圏したタイミングで送信してもよい。また、各基地局装置2において共通でよい場合には、移動局装置1の電源が投入された場合に送信することとしてもよい。また、各移動局装置1において共通でよい場合には、共通制御チャネルを用いて移動局装置1に報知することとしてもよい。さらには変更の必要がない場合には、移動局装置1の製造段階で記憶部13に予め記憶させておくとすることもできる。この場合には、基地局装置2で決定する必要はないし、送信も必要ない。もちろん、移動局装置1で決定することとしてもよい。なお、複数の移動局装置1が一斉に送信レートを復帰させた場合には、例えば干渉量が急激に上昇することが考えられので、移動局装置1ごとに該所定の時間を異ならせることが望ましい。具体的には、例えば該所定の時間はランダムな数字に基づいて決定されることができる。
そして、低レート時間取得部70は、上記所定の時間を受信することにより、取得する。そして、該所定の時間を送信レート変更部72に出力する。そして、送信レート変更部72は、低レート送信指示に従ってデータ送信部74が送信する情報符号の送信レートを変更する場合に、変更前の送信レートを記憶しておくとともに、低レート時間取得部70から入力される上記所定の時間の経過を監視することとしてもよい。そして、上記所定の時間が経過したと判断される場合に、該送信レートを記憶している上記変更前の送信レートに戻すこととしてもよい。
ここで、送信レート変更部72の処理について、再度詳細に説明する。図11は、送信レート変更部72の内部機能の機能ブロック図である。まず、受信部80は指示部66から低レート送信指示を受信して変更部82に出力する。そして、変更部82は、該低レート送信指示に従って、データ送信部74における情報符号の送信レートを変更する。そして変更前の送信レートを記憶部84に記憶しておく。また、変更部82は低レート時間取得部70から時間情報を入力される。そして該時間情報を計時部86に渡す。そして変更部82がデータ送信部74における送信レートを変更するタイミングで計時部86において計時を開始し、該計時部86は渡されている時間情報が示す時間が到来したときに、変更部82に対して時間の到来を通知し、変更部82は記憶部84から変更前の送信レートを読み出し、データ送信部74における送信レートを該読み出した送信レートに復帰させる。
以上の処理を、さらに具体的な処理フロー図を参照しながら説明する。
図12は、基地局装置2での処理を示すフロー図である。同図に示す処理では、まず基地局装置2は、移動局装置1の電源が投入されたことを検出する(S400)。具体的には、従来公知の位置登録処理等によって検出される。そして、当該移動局装置1に固有のTaを通知する(S402)。該Taは、低レート時間決定部68が決定する低レート送信指示を受信した移動局装置1が低レートに下げる時間の長さである。該Taは移動局装置1ごとに固有の数字であるとすることもできる。そして、当該移動局装置1が、例えばCDMA2000における最高送信レートである153.6kbpsにて情報符号を送信することを判断し、該送信レートで送信することを継続している時間を測定する(S404)。具体的には、153.6kbpsにて情報符号を送信することを検出した場合に、検出した時点から計時を開始し、継続している時間が予め定められた所定の時間に達したか否かを判断(S406)し、所定の時間に達した場合には、干渉量が所定の閾値を超えているか否かを判断する(S408)。そして、干渉量が所定の閾値を超えている場合には、移動局装置1に対して低レート送信指示を送信する(S410)。そして、低レート送信指示を送信した場合又は干渉量が所定の閾値を超えていない場合には、再度当該移動局装置1が最高送信レートで情報符号を送信することと判断し、該送信レートで送信することを継続している時間を測定すること(c)としてもよいし、再度新たなTaを送信すること(b)としてもよいし、再度移動局装置1の電源投入がされるまで処理を行わないこと(a)としてもよい。
また、図13は、図12における基地局装置2の処理に対応する移動局装置1での処理である。同図に示す処理では、まず電源が投入された場合には、基地局装置2から下り個別制御チャネルを用いて送信されるTaを受信する(S500)。そして、例えば上り通信チャネルを用いて、パケット等の情報符号の送信を行う(S502)。なお、例えばCDMA2000においては、送信を開始する際には、最低送信レートである9.6kbpsで送信を開始し、基地局装置から送信されるパイロット信号等の受信レベルや、基地局装置から通知される干渉量の情報に応じて、送信レートを徐々に上昇させるようにしている。このため送信レートは、最高送信レートである153.6kbpsに達する場合がある(S504)。そして、上記基地局装置2における処理で記したように、例えば最高送信レートで送信している場合には、基地局装置2から低レート送信指示を受信する場合がある(S506)。そして、該低レート送信指示を受信した場合には、送信レートを変更して、該送信レートを例えば1レベル下げる(S508)。そして、タイマーを起動し、該タイマーがTaを超えた場合には、最高送信レートに戻す(S510,S512,S514)。つまり、元の送信レートに復帰させる。このようにして、移動局装置1は、基地局装置2からの指示に従って、送信レートを上げたり、下げたりする処理を行い、基地局装置2において復号不能となる事態を減少させている。なお、S514で最高送信レートに上げた後は、再度低レート送信指示が送信されるのを待つこととしてもよい。
以上のようにして送信レートを変更することにより、間接的に移動局装置1の送信電力を変更することができるので、基地局装置2において復号不能となる事態を減少できる。また、所定の閾値を超える送信レートで所定時間送信している場合に、低レート送信指示を行うことにより、さらには低レート送信を行う時間を基地局装置において決定できることにより、基地局装置において柔軟に送信レートを制御することができる。さらに、干渉量が高い場合に低レート送信指示を行うことにより、干渉量を下げる効果が得られ、干渉量が高いために復号不能となる事態を減少できる。さらに、所定時間後には変更前の送信レートに復帰させることにより、移動局装置1のスループットの向上も可能になる。
例えば上記実施の形態1ではレート制御部42が移動局装置1に存在するとしたが、基地局装置2に存在することとしてもよい。この場合には、送信レートは下り個別制御チャネルを使用して、基地局装置2から移動局装置1に対して送信される。また、繰り返し周期は、移動局装置1において計算されてもよいし、移動局装置1に予め記憶されていることもできる。また、干渉判定部43は干渉量そのものを移動局装置1に対して送信することもできる。干渉判定部43が干渉量そのものを送信する場合には、レート制御部42において、干渉量を所定の範囲ずつに区切り、該範囲を示す値を得る。また、3段階でなく、他の段階数で区切ることもできるし、また他の送信レート制御処理を入れてもよい。また、上記実施の形態は移動体通信システムであったが、本発明は符号分割多重接続方式による通信システムであれば、どのような形態のシステムにも適用可能である。
また、上記実施の形態では移動体通信システムを例にとって説明したが、通信装置が互いに通信を行う通信システムであれば、どのような通信システムにも適用可能である。具体的には、無線や有線のLAN(Local Area Network)であってもよい。無線LANの場合を例に取ると、例えばアクセスポイントを設けるインフラストラクチャモードのみでなく、アクセスポイントを介さずに通信装置同士が直接通信を行うアドホックモードにも適用可能である。
1 移動局装置、2 基地局装置、3 通信ネットワーク、4 移動体通信システム、11,21 制御部、12 通信部、13,24,84 記憶部、14 操作部、15 表示部、22 ネットワークインターフェイス部、23 無線通信部、41 繰り返し周期取得部、42 レート制御部、43,64 干渉判定部、44,74 データ送信部、45,62 データ受信部、50 共通制御チャネル、60 送信レート判断部、66 指示部、68 低レート時間決定部、70 低レート時間取得部、72 送信レート変更部、80 受信部、82 変更部、86 計時部。