以下、本発明の実施形態を図面により説明する。
図1は本発明による表示装置の第1の実施形態の外観斜視図であって、1は電子式プロジェクタ、2は回転機構部(回転駆動源)、3は視野角制限フィルタ付きスクリーン、4はミラー、5は多角形ミラー(ミラー群)、6は制御部である。
同図において、視野角制限フィルタ付きスクリーン3は、回転機構部2によって連続的またはステップ的に回転駆動される。多角形ミラー5は円錐面でのこの円錐の中心軸を中心とする同じ半径の円軌跡上にリング状に配置された複数のミラーから構成された円錐面状のミラー群であり、ミラー4は表示装置の天板の裏面(下面)に貼り付けられている。これら多角形ミラー5とミラー4とで投影光学系が形成されている。電子式プロジェクタ1は液晶などを用いたものであって、物体の映像を投影する。電子式プロジェクタ1からの映像は、ミラー4及び多角形ミラー5の各ミラーで反射された後、視野角制限フィルタ付きスクリーン3に投影される。制御部6は、回転機構部2を制御し、また、電子式プロジェクタ1に映像データを供給する。
図2はこの電子式プロジェクタ1が投影される映像の一具体例を示すものであって、リング状に配列された複数のコマ映像Ga〜Gpを表わしている。これらコマ映像Ga〜Gpは夫々、同じ物体をその周囲の異なる位置から見たときの映像である。例えば、コマ映像Gaがこの物体の正面から見たコマ映像とすると、コマ映像Giが同じこの物体を真後ろから見た映像であり、これらコマ映像Ga〜Gpの投写映像面での位置はこの物体を見る位置に対応している。これらコマ映像Ga〜Gpは夫々多角形ミラー5の別々のミラーで反射され、視野角制限フィルタ付きスクリーン3に投影される。
図3は図1に示す表示装置の第1の実施形態の全体概略構成を示す図であって、7は駆動回路、8は記憶部であり、図1に対応する部分には同一符号を付けている。
同図において、記憶部8には、図2に示すコマ映像Ga〜Gpを表わす映像データが記憶されている。制御部6は、駆動回路7を制御することにより、回転機構部2を駆動して視野角制限フィルタ付きスクリーン3を回転させ、また、記憶部8から映像データを読み出して電子式プロジェクタ1に供給し、図2に示すような映像を投影させる。かかるコマ映像Ga〜Gpからなる投影映像としては、コンピュータグラフィックなどで任意に作成してもよいし、後述するように、CCDカメラで撮像して作成するようにしてもよい。また、CCDカメラで撮像して作成する場合には、この作成を遠隔地で行ない、作成された映像データを受信して記憶部8に記憶するようにしてもよい。
以上の構成により、制御部6は記憶部8から映像データを読み出し、電子式プロジェクタ1に供給する。電子式プロジェクタ1は、受信した映像データにより、図2に示すような映像を出射する。出射されたこの映像は、ミラー4で反射された後、その各コマ映像Ga〜Gp毎に多角形ミラー5の異なるミラーで反射されて、視野角制限フィルタ付きスクリーン3に投影される。これにより、図4に示すように、視野角制限フィルタ付きスクリーン3の周囲からこの視野角制限フィルタ付きスクリーン3を見る方向をa〜pとすると、これらa〜p方向から夫々コマ映像Ga〜Gpが視野角制限フィルタ付きスクリーン3に投影される。この結果、図5に示すように、視野角制限フィルタ付きスクリーン3をその周囲から見る方向に応じて、この視野角制限フィルタ付きスクリーン3に異なるコマ映像Ga〜Gpが表示されることになる。図5において、コマ映像Ga〜Gpは夫々図4に示すa〜p方向から見た場合の視野角制限フィルタ付きスクリーン3に投影される映像であり、例えば、a方向から視野角制限フィルタ付きスクリーン3を見た場合、この視野角制限フィルタ付きスクリーン3の面がこのa方向に向いたとき、コマ映像Gaがこの視野角制限フィルタ付きスクリーン3に表示されて見ることができる。
かかる構成によると、視野角制限フィルタ付きスクリーン3を一方向(例えば、図4でのa方向)から見続けると、視野角制限フィルタ付きスクリーン3の面がこのa方向を向いたとき、コマ映像Gaがこの視野角制限フィルタ付きスクリーン3に投影された表示されることになり、このために、a方向からはこのコマ映像を見ることができる。即ち、このコマ映像Gaが表示されるのは、視野角制限フィルタ付きスクリーン3が1回転する毎に1回表示されるものである。そこで、立体映像の1側面であるこのコマ映像Gaがちらつかず、連続した映像として見えるようにするためには、コマ映像Gaを見始めてから眼の残像によって視覚に残っている状態にあるときに、視野角制限フィルタ付きスクリーン3が1回転して次のコマ映像の表示を行なうように、視野角制限フィルタ付きスクリーン3の回転速度が設定されなければならない。このようにして、この視野角制限フィルタ付きスクリーン3の最低の回転速度が決まることになる。
図6(a)は図1における視野角制限フィルタ付きスクリーン3の一具体例の一部を示す断面図、同図(b)はその斜視図であって、9aはスクリーン板状部材、9bは視野角制限フィルタ、10はフィンである。
同図(a),(b)において、視野角制限フィルタ付きスクリーン3は、スクリーン板状部材9aの両面に、複数の遮光性のフィン10からなる視野角制限フィルタ9bが設けられている。これらフィン10は、例えば、厚さが100〜200μm程度であって、視野角制限フィルタ付きスクリーン3での画素の寸法程度、例えば、0.5〜2mm程度のピッチで設けられており、図2に示す映像が投写されたとき、いずれの方向からこの視野角制限フィルタ付きスクリーン3を見ても、多角形ミラー5の隣りのミラーで投影されるコマ映像(隣りのコマ映像)が遮光されて、その方向毎に該当するミラーで投影されたコマ映像だけが見えるようにするものである。
視野角制限フィルタ9bは、フィン10により、視野角を制限して隣りのコマ映像が見えないようにするものであるが、視野制限角度(可視範囲)に応じて、フィン10の高さが設定される。ここで、視野制限角度は、±360゜/(一周のコマ映像数×4)程度が与えられる。例えば、投写映像のコマ映像数が、図2に示すように、16コマである場合には、視野制限角度(可視範囲)は±5.6゜(=±360゜/(16×4))程度であり、このためのフィン10の高さは5〜20mm程度である。また、10コマの場合には、視野制限角度は±9.0゜(=±360゜/(10×4))程度であり、このためのフィン10の高さは3.2〜13mmで程度ある。
あるいはまた、視野制限角度が±5.6゜(16コマの場合)程度の場合、3〜20程度の厚さの、また、視野制限角度が±9.0゜(10コマの場合)程度の場合、1.9〜13mm程度の厚さの夫々透明フィルムまたは透明基板(図示せず)の中に、フィン10と同じ作用をする50〜200μm程度の厚さの遮光仕切り(図示せず)を0.3〜2mm程度のピッチで挿入した構成とすることもできる。また、これ以外にも、視野角制限方向に集光させるシリンドリカルレンズを配置した構成としてもよい。
図1における視野角制限フィルタ付きスクリーン3の他の具体例としては、特開平11ー258697号公報に記載されるような指向性反射スクリーン材を用いるようにしてもよい。図7はかかる指向性反射スクリーン材を用いた視野角制限フィルタ付きスクリーン3を示す断面図であって、11は指向性反射材スクリーン、12は視野角制限フィルタである。また、図8は図7における指向性反射材スクリーン11の構成を示す斜視図であって、11aはコーナミラーシート、11bはレンチキュラーシートである。
図7において、この具体例は、指向性反射材スクリーン11に視野角制限フィルタ12が設けられた構成をなしている。指向性反射材スクリーン11は、図8に示すように、コーナーミラーシート11aとレンチキュラーシート11bとで構成されており、入射した光に対して水平方向には再帰性反射、垂直方向には、拡散反射をする特性を持っていて、入射角が±45゜以内で入射した光を入射してきた方向へ反射する。即ち、この指向性反射材スクリーン11がこれを見ている人に正対した状態から左右±45゜の範囲内で回転する間、この人は同じ映像を見ることができる。従って、かかる指向性反射材スクリーン11を用いた視野角制限フィルタ付きスクリーン3は、図6に示す構成の視野角制限フィルタ付きスクリーン3に比べて、所定の方向に反射可能な入力角の範囲が広いため、反射光量が多く、その結果、図6に示す構成の視野角制限フィルタ付きスクリーン3を用いた場合に比べて、明るい映像が得られることになる。
しかし、指向性反射材スクリーン11だけを用いたのでは、光の入射する角度によっては、入射してきた方向とは異なる方向に反射してしまう場合もあり、その結果、見る方向によっては、複数の方向からのコマ映像が重なり合って見えてしまうこともある。そこで、このような他の方向からの反射光を防ぎ、見る人が方向に応じたコマ映像だけを見ることができるようにするために、図7に示すように、視野角制限フィルタ12も設けているものである。この視野角制限フィルタ12は、図6に示す視野角制限フィルタ9bと同様、細かいピッチでフィンを配列した構造をなすものである。指向性反射材スクリーン11の表面に、例えば、その法線に対して±約24度の視野角制限(可視範囲)を有する視野角制限フィルタ(視野角制限光学系)12を貼り付けることにより、近隣からのコマ映像の反射光が遮光されてa〜p方向(図4)からは、図9に示すように、正しい方向からのコマ映像のみが表示されてこれのみを見ることができるようになる。その結果、視野角制限フィルタ付きスクリーン3の周囲を巡って見る方向をa,b,c,……,pと変えていくと、その見る方向毎にその見る方向に応じた物体のコマ映像Ga〜Gp(図5)のみを見ることが可能となり、複数人が任意の方向から同時に映像を楽しめるという効果が得られる。また、指向性反射材スクリーン11を2枚背中合わせに接着し、夫々の指向性反射材スクリーン11の表面に視野角制限フィルタ12を貼り合わせることにより、両面タイプの視野角制限フィルタ付きスクリーン3を作ることができる。両面タイプの視野角制限フィルタ付きスクリーン3を用いる場合、片面タイプの視野角制限フィルタ付きスクリーン3と違って、スクリーンが1回転する間に2回ある方向の鏡から投影された映像を見ることになり、より明るい映像を見ることができる。
図10は図1に示す表示装置の第1の実施形態の変形例であって、図1に対応する部分には同一符号を付けて重複する説明を省略する。
同図において、この変形例では、電子式プロジェクタ1が天井に固定され、その垂直方向下方に回転機構部2や視野角制限フィルタ付きスクリーン3が設置されており、電子式プロジェクタ1から出射されたコマ映像は円錐面状の多角形ミラー5で反射されて、図4に示すa〜p方向から回転する視野角制限フィルタ付きスクリーン3に投影される。これにより、この視野角制限フィルタ付きスクリーン3では、その向き(即ち、見る方向)に応じて、図5に示すようなコマ映像Ga〜Gpが表示される。
以上のように、この第1の実施形態では、複数人が任意の方向から同時に立体映像を楽しむことができ、多角形ミラー5の各ミラーの調整も必要ないし、かかるミラーの位置や向きなどに微妙な狂いによる誤差も軽減できる。しかも、多角形ミラー5を視野角制限フィルタ付きスクリーン3に近づけて配置できるため、装置全体を小型化できるし、視野角制限フィルタ付きスクリーン3の近くで立体映像を見ることができる。
また、電子式プロジェクタ1からは図2に示すような全てのコマ映像を含む投影映像を常時出射することができるため、コマ映像毎の出射タイミングを考慮する必要はないし、この電子式プロジェクタ1から出射されたコマ映像は視野角制限フィルタ付きスクリーン3に投影され、この投影されたコマ映像を人が見るものであるから、鮮明な立体映像をどの方向,位置からも見ることができる。
なお、以上の説明では、電子式プロジェクタ1を視野角制限フィルタ付きスクリーン3の回転軸下方に設置して上向きに投影を行なうものとしたが、これらの上下位置の定義は、理解を容易にするために、回転軸や映像が形成される位置との関係で用いているものであり、例えば、表示装置の設置場所の床や天井との位置関係に限定されるものではなく、また、上下が逆でもよい。
図11は図2に示す投影映像を作成する本発明による撮像装置の原理を示す図であって、13はCCDカメラ、14は多角形ミラー、15は物体(撮影対象)である。
同図において、多角形ミラー14は、図1に示す多角形ミラー5と同様、円錐面上に配列された複数のミラーからなり、この円錐面の中心軸(図示せず)を中心として撮影対象となる物体15が配置される。また、この円錐面の中心軸に沿う上方に、下向きにして、CCDカメラ13が設けられている。このCCDカメラ13の撮像視野内に多角形ミラー14全体が含まれる。多角形ミラー14の各ミラーは図4でのa〜p方向に対応するものであり、多角形ミラー14の各ミラーで反射された物体15の映像は夫々、コマ映像として、CCDカメラ13により撮像される。これにより、例えば、図2に示すような映像が得られる。なお、CCDカメラ13によって撮像される映像は、静止画でも、また、動画でもよい。
図12は図11に示す原理を用いた本発明による撮影装置の第1の実施形態を示す構成図であって、16はミラーであり、図11に対応する部分には同一符号を付けている。
同図において、ここでは、撮影対象15を人物とするものであり、この人物15の全身の映像を得るものである。ミラー16は、CCDカメラ13よりも上方の天井の裏面に取り付けられており、また、CCDカメラ13はこのミラー16側を向いている。多角形ミラー14の各ミラーは、図11での多角形ミラー5の各ミラーと同様、円錐面に配置されている。
人物15のa〜p方向(図4)から見た映像は夫々、多角形ミラー14対応するミラーで反射され、さらに、天井のミラー16で反射されてCCDカメラ13で撮像される。これにより、図2に示すような映像が得られる。この場合、多角形ミラー14でミラー16の方向に光が反射されるものであれば、撮像対象に制限がなく、また、複数の撮像対象が含まれてもよい。
図13は本発明による表示装置の第2の実施形態を示す構成図であって、17は図11に示す原理に基づく投影映像の撮影装置、18は通信路であり、図3及び図11に対応する部分には同一符号を付けて重複する説明を省略する。
同図において、この第2の実施形態では、表示装置が通信路18を介して撮像装置17と接続されている。撮像装置17では、CCDカメラ13で、図11で説明したようにして、投影映像が得られると、この投影映像を処理してNTSC/PALなどの映像信号を生成し、これを表示装置に通信路18を介して送信する。表示装置では、この映像信号を受信すると、もとの撮像映像に変換し、電子式プロジェクタ1に供給する。これにより、先の第1の実施形態と同様に、視野角制限フィルタ付きスクリーン3にその回転に応じた物体15のコマ映像が表示され、しかも、投影映像の作成とともに、リアルタイムで立体映像の表示が可能となる。
ここで、通信路18としては、有線であっても、無線であってもよい。また、撮像装置17は、取得した投影映像をネットワークを介して遠隔地の表示装置に送信するようにするようにしてもよく、この場合には、MPEGなどのデジタル映像フォーマットのデータとして送ってもよい。これにより、遠隔地で、この表示装置により、物体15の立体映像を見ることができる。
さらに、図11に示す撮影装置の原理を利用すれば、撮影対象に応じた大きさの撮影システムを作ることも可能である。即ち、被写体(撮像対象)の大きさに合わせて円錐面状の多角形ミラーの各ミラーの大きさと、これらミラーを配置する円の大きさを設定することで、撮像対象に応じた撮影装置を作ることができる。また、CCDカメラの設置位置も、その撮影視野内に円錐面状の内面多角形ミラー全体が納まり、多角形ミラーの全ミラーからのコマ映像を撮影できるように、高さが調整される。
図14は本発明による表示装置の第3の実施形態を示す外観斜視図であって、19はセンサであり、図1に対応する部分には同一符号を付けて重複する説明を省略する。
この第3の実施形態は、インタラクションを可能としたものであって、図14に示すように、表示装置の周囲の複数箇所にセンサ19を設けたり、図示しないが、床面にマットスイッチを敷くなどの方法を用いることにより、人が近づいてきたことを検知することができるようにしている。また、見る人の方向a〜p(図4)を検知する手段としては、赤外線や近接センサ,マイクなどを検知したい方向の数だけ(例えば、a〜p方向の16個)使用すればよい。このとき、隣り合うセンサから得られる信号の変化から、見る人の凡その動きなどを検知することができる。
いま、図示するように、センサ19が設けられているとすると、センサ19で得られた信号は制御部6で処理される。制御部6は、見る人の動きに応じた映像を電子式プロジェクタ1に送信する。例えば、センサ19の信号の変化から人が近づいてきた方向を検知し、視野角制限フィルタ付きスクリーン3に投影されているキャラクタをこの近づいて来た人と正対するように、この視野角制限フィルタ付きスクリーン3を回転させるなどのインタラクションが可能である。このとき、キャラクタが回転させるようにする映像の作成方法は、制御部6に図5に示すコマ映像Ga〜Gpを記憶しておき、例えば、図2に示すような映像を電子式プロジェクタ1で投影する際に、コマ映像Ga〜Gpを周方向に1コマ、または数コマずつずらした映像を投影することにより、キャラクタが回転しているような動きを作ることができる。コマ映像のいずれが正面にあるかなどを示す方向の情報を予め記憶しておき、人が居ると検知された方向に正面映像が形成されるように制御してもよい。
また、隣り合うセンサ19の信号変化から、例えば、人の手が動いた向きや移動に合わせてキャラクタの向きを返るといったインタラクションの可能である。さらに、複数のセンサ19を取り付けることで、複数の人の接近や動作を検出して、これに対応して映像を作ることもできる。
図15は本発明による表示装置の第4の実施形態を示す外観斜視図であって、3aは視野角制限フィルタ付きスクリーンであり、図1に対応する部分には同一符号を付けている。
同図において、この第4の実施形態は、半円筒状をなすものであって、図15に示すように、多角形ミラー5が半円錐面状に配列された複数のミラーから構成されている。視野角制限フィルタ付きスクリーン3aは、回転機構部(回転駆動源)2により、連続的またはステップ的に回転駆動される。ミラー4は天井の裏面に貼り付けられている。これら多角形ミラー5とミラー4とで投影光学系が形成される。電子式プロジェクタ1は、例えば、図16に示すように、半円状にコマ映像Gb〜Giが配列された投影映像を出射する。制御部6はかかる投影映像を記憶しており、電子式プロジェクタ1に供給する。
図17は図15に示す第4の実施形態の縦断面図である。
同図において、電子式プロジェクタ1は、制御部6から供給される図16で示すような投影映像を出射する。この映像は天井裏のミラー4で反射され、さらに、この映像の各コマ映像Gb〜Giが多角形ミラー5の夫々のミラーで反射されて視野角制限フィルタ付きスクリーン3aに投影される。
電子式プロジェクタ1から出射される投影映像は、図16に示すように、リング領域に物体を周囲から見たときの分割されたコマ映像Gb〜Gi(図5と同様)を円周方向、半円状に並べた映像である。かかる映像の作成方法としては、コンピュータグラフィックなどで任意に作成してもよいし、図11で説明した方法により、CCDカメラの撮影によって作成するようにしてもよい。
この表示装置の第4の実施形態では、以上の構成により、制御部6が、例えば、図16に示す映像データを読み出して電子式プロジェクタ1に供給する。電子式プロジェクタ1は、供給された映像データの投影映像を出射する。出射された投影映像のリング領域の分割された各コマ映像Gb〜Giの光は、天井裏面のミラー4で反射した後、さらに、半円錐面状に配列された多角形ミラー5の各ミラー面で反射され、例えば、図4に示すb〜i方向からコマ映像Gb〜Giが視野角制限フィルタ付きスクリーン3aに投影される。視野角制限フィルタ付きスクリーン3aは、後ろ側から投影された映像を透過する性質を持つスクリーンであるが、見る方向によって異なる映像が見れるように水平方向には視野角を制限し、さらに、垂直方向には、広い視野角範囲を持つスクリーンであることが望ましい。そこで、背面投射型ディスプレイで使用されるような半透過拡散スクリーンなどを利用する。
視野角制限フィルタ付きスクリーン3aの実現方法の1つとして、フレネルレンズを用いる方法が考えられる。
図18はフレネルレンズ20の特性を示す図である。
同図において、フレネルレンズ20は、レンズ曲面が連続ではなく、階段状にしたリンズである。このフレネルレンズ20を用いると、光が入射した方向の延長線上へ透過し、ある位置で集光するため、見る人は、半円錐面状に配置された多角形ミラー5の各ミラーとかかるフレネルレンズ20を用いたスクリーン(フレネルレンズスクリーン)1aとを結ぶ一直線上のある位置から、ちょうどそのミラーに映った映像を見ることができる。即ち、フレネルレンズ20を用いることで、第1の実施形態で説明した再帰性反射と同様に、見る方向に応じた映像を見ることができるという効果が得られる。
また、フレネルレンズスクリーン3aの角度が、見る人に正対している角度から一定範囲内(視野角の範囲内)にある間は、このスクリーン3aに投影された映像を見ることができる。
図19はフレネルレンズの2種類のタイプを示すものであり、図19(a)に示すフレネルレンズ20aは同心円状に曲面状のカットが施されたものであって、最も一般的なものである。このフレネルレンズ20aは、水平方向にも、垂直方向にも集光するため、図15,図17における視野角制限フィルタ付きスクリーン3aに用いると、多角形ミラー5の各ミラーで反射されたコマ映像を水平方向,垂直方向ともにフレネルレンズが持つ視野角の範囲からしか、見ることができない。
そこで、図19(b)に示す水平方向にだけ階段状のカットが施されたフレネルレンズ20bを視野角制限フィルタ付きスクリーン3aに用いると、水平方向にだけ集光するため、視野角制限フィルタ付きスクリーン3aの材料して適当である。
また、垂直方向の集光を抑え、映像をより広範囲に見えるようにするためには、垂直方向に拡散反射するように加工すればよい。図20はその一具体例を示すものであって、フレネルレンズに垂直方向の拡散反射の作用を持たせたものでる。これは、図8に示すレンチキュラーシート11bと同様のレンチキュラーシート21をフレネルレンズ20のレンズ面に貼り合わせたものであり、垂直方向の拡散反射を実現したものである。これにより、視野角制限フィルタ付きスクリーン3aの全面が、垂直方向に、より均一な明るさに見えるようになり、見易くなる。
図21はフレネルレンズを用いた場合の図15における視野角制限フィルタ付きスクリーン3aを示す(上から見た)構成図であって、前出図面に対応する部分には同一符号を付けている。
同図において、フレネルレンズ20に図20に示す拡散反射のためのレンチキュラーシート21を貼り合わせる。さらに、視野角を制限するために、図6に示した視野角制限フィルタ9bと同様に、フィンを取り付けて視野角制限フィルタ22を形成し、目的の視野角を制限するか、または、PCや携帯電話の液晶画面でも使用されているような視野角制限フィルタを用いる。
以上説明した第4の実施形態では、第1の実施形態とは異なり、視野角制限フィルタ付きスクリーン3aの背面から投影した映像を見ることになるので、視野角制限フィルタのフィンのエッジに直接光が当たることがなくなり、ちらつきも少なくなる。これにより、コントラストがはっきりとした映像を見ることができる。また、この第4の実施形態では、全周を巡ることができない代わりに、多角形ミラー5が設置されていない方向から近づいてみることができる。そのため、全周タイプの表示装置に比べて、視野角制限フィルタ付きスクリーン3aに近づくことができる。さらに、第1の実施形態のような円筒状の表示装置では、視野角制限フィルタ付きスクリーン3やこれに表示される映像を大きくするためには、装置全体を大きくする必要があり、見る人とこのスクリーン3との距離も開いてしまうという問題もある。しかし、この第4の実施形態では、装置自体を大きくしても、スクリーン3aと見る人との間の距離に影響は及ばない。
また、表示装置の第1の実施形態では、図2に示すようなリング状にコマ映像Ga〜Gp(16コマの場合)が配置された投影映像を電子式プロジェクタ1から投射するものであった。しかし、この第4の実施形態では、図16に示すような半円状にコマ映像Gb〜Gi(8コマの場合)が配置された投影映像を電子式プロジェクタ1が投射する。電子式プロジェクタ1から投射される投影映像の解像度が同じとした場合、必要なコマ映像が表示装置の第4の実施形態の方が、第1の実施形態の場合の半分となる。このため、この第4の実施形態での電子式プロジェクタ1が投射される各コマ映像の解像度は、この第1の実施形態での電子式プロジェクタ1から投射されるコマ映像の解像度の4倍となり、投影されたコマ映像の表現力が向上する。
なお、以上の表示装置の第4の実施形態では、多角形ミラーを半円状のものとしたが、ミラーが配列されている円筒を半分以上、半分以下とすることも可能であり、この場合には、映像を観賞可能な角度方向は、円筒内にミラーが配置された角度方向の範囲によって決まる。また、光の透過性を持ち、かつ反射を抑えることができる視野角制限フィルタ付きスクリーンを用いて、表示装置の第1の実施形態のように、全周囲の円筒状の表示装置とすることも可能である。
図22は本発明による表示装置の第5の実施形態を示す要部構成図であって、1a〜1dは電子式プロジェクタ、25a〜25dは投射光学系、26a〜26dは投影領域であり、前出図面に対応する部分には同一符号を付けている。
同図において、この第5の実施形態は、電子式プロジェクタを複数用いるものであり、ここでは、4個の電子式プロジェクタ1a〜1dが用いられているものとする。これら電子式プロジェクタ1a〜1dは多角形ミラー(ミラー群)5の上方に配置されており、しかも、これら電子式プロジェクタ1a〜1dの投射光学系25a〜25dの中心が視野角制限フィルタ付きスクリーン3の回転軸23の延長軸24を中心とする同一半径の円周上にあって、かつ等間隔(延長軸24からみて90度の間隔)となるように、これら電子式プロジェクタ1a〜1dが配置されている。
このように配置された電子式プロジェクタ1a〜1dは夫々、多角形ミラー5をその一部ずつ投影する。投影領域26aは電子式プロジェクタ1aから出射される映像が投影される領域であり、この投影領域26aでは、多角形ミラー5のうちの少なくとも、
(多角形ミラー5を構成するミラーの個数)÷(電子式プロジェクタの個数)
のミラーが完全に、かつこの投影領域26a一杯に含まれる。ここで、多角形ミラー5を構成するミラー数を24個とすると、電子式プロジェクタの個数は4個であるから、投影領域26aに完全に含まれるミラーの個数は少なくとも6個である。
投影領域26bは電子式プロジェクタ1bから出射される映像が投影される領域であり、この投影領域26bには、投影領域26aに完全に含まれる6個のミラーに続く6個のミラーが完全に、かつこの投影領域26b一杯に含まれる。同様にして、投影領域26cは電子式プロジェクタ1cから出射される映像が投影される領域であり、この投影領域26cには、投影領域26bに完全に含まれる6個のミラーに続く6個のミラーが完全に、かつこの投影領域26c一杯に含まれる。投影領域26dは電子式プロジェクタ1dから出射される映像が投影される領域であり、この投影領域26dには、投影領域26c,26aに完全に含まれる6個ずつのミラー間の6個のミラーが完全に、かつこの投影領域26d一杯に含まれる。なお、このことは、後述する具体例についても同様である。
これを図23で説明する。いま、多角形ミラー5がミラー5(1)からミラー5(24)までの24個のミラーからなるものとすると、投影領域26aには、ミラー5(1)からミラー5(6)までが完全に含まれ、投影領域26bには、ミラー5(7)からミラー5(12)までが完全に含まれ、投影領域26cには、ミラー5(13)からミラー5(18)までが完全に含まれ、投影領域26dには、ミラー5(19)からミラー5(24)までが完全に含まれる。
この表示装置の第5の実施形態では、多角形ミラー5が24個のミラー5(1)〜(24)から構成されるものであるから、図2に示すように、リング状に配列された24個のコマ映像を含む投射映像が用いられるものであるが、夫々の電子式プロジェクタ1a〜1dが6個ずつのコマ映像を分担して該当する投射領域に完全に含まれるミラーに投射する。図24は、例えば、電子式プロジェクタ1dから出射される投影映像を示すものであり、この投影映像には、6個のコマ映像が投影領域26dでのミラー5(19)〜5(24)の配列に対応した配列で含まれている。そして、これら6個のコマ映像がこれらミラー5(19)〜5(24)に投射されるのであるが、これらのコマ映像の中心が該当するミラーの面の中心と一致して投射されるように、電子式プロジェクタ1dの開口25d(図22)の位置や向きが設定される。このことは、他の電子式プロジェクタ1a〜1cについても同様である。
各電子式プロジェクタ1a〜1dから出射された投影映像でのコマ映像は夫々、多角形ミラー5の該当するミラーで反射され、回転する視野角制限フィルタ付きスクリーン3に投影される。ここで、先の表示装置の第1〜第4の実施形態のように、電子式プロジェクタ1の投射口が視野角制限フィルタ付きスクリーン3の回転軸23の延長軸24上にある場合には、多角形ミラー5の各ミラーの面を同じ円錐面上に配置することにより、視野角制限フィルタ付きスクリーン3上に良好にコマ映像が投影されるが、この第5の実施形態のように、電子式プロジェクタ1a〜1dの投射口25a〜25dがこの延長軸24からずれている場合には、多角形ミラー5の各ミラーの面を同じ円錐面上に配置したのでは、多角形ミラー5の各ミラーで反射されたコマ映像は、視野角制限フィルタ付きスクリーン3上でずれた位置に投影されることなる。そして、このように投影位置にずれが生ずると、見る人が視野角制限フィルタ付きスクリーン3の周りを移動しながらこの視野角制限フィルタ付きスクリーン3の投影映像を見ていくと、その投影映像が見る位置に応じて位置が変動し、不自然な表示となる。例えば、この表示される投影映像が静止した物体の映像とすると、視野角制限フィルタ付きスクリーン3の周りを移動しながらこの投影映像を見た場合、この投影映像が上下・左右に動いて見えることになる。
視野角制限フィルタ付きスクリーン3に表示された投影映像のこのような不自然な動きをなくすために、この第5の実施形態では、電子式プロジェクタ1a〜1dがコマ映像を投射する多角形ミラー5での6個のミラーを組として、各組毎に夫々のミラーの向きを調整する。
即ち、夫々のミラーは、対応する電子プロジェクタから投射されるコマ映像をミラー面で反射して視野角制限フィルタ付きスクリーン3に投影する際に、電子式プロジェクタ−ミラー−スクリーン間に形成される光学系の光路上の適切な位置・角度となるように、調整する。
即ち、いま、図25により、電子式プロジェクタ1aに関して説明すると、電子式プロジェクタ1aから出射される投影映像での各コマ映像の中心の光線が、多角形ミラー5での夫々に該当するミラー5(1),5(2),5(3),5(4),5(5),5(6)の中心で反射された後、視野角制限フィルタ付きスクリーン3の回転軸23に集まるように、さらに具体的には、この視野角制限フィルタ付きスクリーン3の中心位置に集まるように、これらミラー5(1),5(2),5(3),5(4),5(5),5(6)の傾きを設定する。
そこで、いま、これらミラー5(1)〜5(6)の中心位置、即ち、ミラー5(3)とミラー5(4)との境界の傾きを持つ円錐面を想定し、この円錐面のこの境界位置にミラーを配置したとき、電子式プロジェクタ1aからの出射光の中心の光がこのミラーの中心で反射されて視野角制限フィルタ付きスクリーン3の中心に照射されるように、この円錐面が傾斜を持つものとすると、これらミラー5(1)〜5(6)をこの想定される円錐面に対して傾かせる。具体的な数値については、計算によって求めることができるので、省略するが、ミラー5(3)とミラー5(4)との境界を中心として、ミラー5(3)とミラー5(4)とを互い向き合う方向に等角度想定される円錐面から傾かせ、ミラー5(2)とミラー5(5)とを互い向き合う方向に等角度想定される円錐面から傾かせ、ミラー5(1)とミラー5(6)とを互い向き合う方向に等角度想定される円錐面から傾かせる。この場合、ミラー5(3),5(4)の傾き角よりもミラー5(2),5(5)の傾き角を大きくし、さらに、ミラー5(2),5(5)の傾き角よりもミラー5(1),5(6)の傾き角を大きくする。
このように、ミラー5(1)〜5(6)を想定される円錐面に対して傾いた状態に設定することにより、電子式プロジェクタ1aから出射された各コマ映像の中心光は夫々、ミラー5(1)〜5(6)の中心位置で反射された後、視野角制限フィルタ付きスクリーン3の中心位置に集まることになる。そして、その結果、回転する視野角制限フィルタ付きスクリーン3では、多角形ミラー5の各ミラーで反射されて投影されるコマ映像が正しい位置に表示され、図26に示すように、装置の周りを周りながら視野角制限フィルタ付きスクリーン3に表示される立体映像を見ても、この立体映像の不自然な動きや揺れが現われず、良好な立体映像を見ることができる。
そして、この表示装置の第5の実施形態では、立体映像を表わす複数のコマ映像を複数(この場合、4個)の電子式プロジェクタ1a〜1dで分担して表示するものであるから、電子式プロジェクタ1a〜1d夫々についてみると、表示するコマ映像の個数が先の第1〜第4の実施形態に比べて少なく、その分電子式プロジェクタ1a〜1dから出射するときの夫々のコマ映像を大きくすることができるから、夫々のコマ映像を解像度の高い映像として投影することができる。そして、その結果、視野角制限フィルタ付きスクリーン3に投影される立体映像は解像度の高い高精細の画像となる。
図27は図22における各電子式プロジェクタ1a〜1d毎の投影映像を作成するための本発明による撮影装置の他の実施形態を示す構成図であって、27a〜27dはCCDカメラなどの撮像デバイス、28a〜28dは撮像デバイス27a〜27dの光学系、29a〜29dは撮像領域、30は撮像対象であり、図22に対応する部分には同一符号を付けている。
図22における電子式プロジェクタ1a〜1d毎の投影映像を作成する場合には、図22,図26に示す表示装置において、視野角制限フィルタ付きスクリーン3を回転軸23(図25)から取り外し、これに、図27に示すように、これら投影映像の対象物体となる撮像対象30を取り付ける。
つまり、図22,図26において、視野角制限フィルタ付きスクリーン3が設置されていた位置が撮像対象の設置領域となる。
また、これとともに、電子式プロジェクタ1a〜1b(図22)を取り外し、代わりに撮像デバイス27a〜27dを取り付ける。これら電子式プロジェクタ27a,27b,27c,27dは夫々、多角形ミラー5に対し、撮像領域29a,29b,29c,29dを撮像するが、ここで、撮像領域29aが図22,図23での電子式プロジェクタ1aの投影領域26aと一致するように(この場合、完全に一致する必要はないが、後述する解像度の点から、撮像領域29aでコマ映像として撮影するための複数のミラーが撮像領域29a一杯になるようにした方が好ましい。このことは、他の撮像領域29b〜29dについても、また、後述の表示装置の第6の実施形態の場合も同様である)、撮像デバイス27aの位置やその光学系28aの光軸の傾き(従って、撮像デバイス27aの向き)が設定され、同様に、撮像領域29bが図22,図23での電子式プロジェクタ1bの投影領域26bと一致するように、撮像デバイス27bの位置やその光学系28bの光軸の傾き(従って、撮像デバイス27bの向き)が設定され、撮像領域29cが図22,図23での電子式プロジェクタ1cの投影領域26cと一致するように、撮像デバイス27cの位置やその光学系28cの光軸の傾き(従って、撮像デバイス27cの向き)が設定され、撮像領域29dが図22,図23での電子式プロジェクタ1dの投影領域26dと一致するように、撮像デバイス27dの位置やその光学系28dの光軸の傾き(従って、撮像デバイス27dの向き)が設定される。
これによると、図28に示すように、例えば、撮像デバイス27aは、その撮像領域29aでの多角形ミラー5の1つのミラー5(i)についてみると、このミラー5(i)に関して撮像対象30とは対称な位置にある仮想的な撮像対象30’を撮像することになる。撮像対象30についてのx(縦),y(横),z(高さ)の三次元座標系に対し、仮想的な撮像対象30’に対するu(縦),v(横),w(高さ)の三次元座標系は、ミラー5(i)の面のx,y,z座標系での傾きに応じて回転している。これにより、撮像デバイス27aは、ミラー5(i)を介して見る撮像対象30の側面と同じ仮想的な撮像対称30’の側面を同じ大きさで見ることができ、従って、ミラー5(i)を介して見ることができる撮像対象30の側面を撮像することができる。
撮像領域29a内の多角形ミラー5の他のミラーについても同様であり、この撮像領域29aに含まれるミラー夫々から見た撮像対象30の側面が撮像デバイス27aによって同時に撮像される。このことは、他の撮像デバイス27b〜27dについても同様である。
このようにして、各撮像デバイス27a〜27dでは、撮像対象30の撮影が行なわれるが(この場合、これら撮像デバイス27a〜27dが同時に撮影してもよいし、別々のタイミングで撮影してもよい)、これにより、図29(a)に示されるような映像が得られる。即ち、撮像デバイス27aについてみると、この撮像デバイス27aの撮像領域29a(図27)に含まれる多角形ミラー5でのミラー全てで反射された撮像対象30の側面映像が含まれる撮影映像が得られることになる。
かかる撮影映像は処理されて、図29(b)に示すように、必要な側面映像のみがコマ映像として抽出された投影映像が作成される。この場合には、図23に示すように、投影領域26a(撮像領域29aに等しい)でのミラー5(1)〜5(6)からの側面映像が抽出され、コマ映像とする投影映像が作成される。他の撮像デバイス27b〜27dから得られる撮像映像についても同様であり、このようにして、図22での各電子式プロジェクタ1a〜1dから投射される投影映像が作成されることになる。
なお、撮像デバイス27a〜27dの撮像映像から不要なミラーからの反射映像を取り除く方法としては、撮像デバイス27a〜27dの光学系28a〜28dにかかる不要なミラーからの映像光を遮光するマスクを設けるようにしてもよいし、あるいは撮像デバイス27a〜27dの出力映像信号にゲートをかけるなどして、かかる不要ミラーからの映像による信号成分を除去するようにしてもよい。
図30はこの表示装置の第5の実施形態のための図27に示す撮像装置で投影映像を作成するときのシステム構成を示す図であって、31a〜31dはクライアント、32a〜32dは制御処理部、33a〜33dは記憶部、34a〜34dは通信部、35はサーバ、36は制御部、37は通信部、38は通信路であり、図27に対応する部分には同一符号を付けている。
同図において、各クライアント31a〜31dは、その通信部34a〜34dにより、通信路38を介してサーバ35の通信部37と接続されている。また、各クライアント31a〜31dには、制御処理部32a〜32dと記憶部33a〜33dとが設けられている。また、サーバ35には、図示しない操作部の操作に応じて各種の指令信号を発生する制御部36が設けられている。ここでは、各電子式プロジェクタ1a〜1d(図22)の投影映像を作成するものであるから、クライアント31a〜31dの制御処理部32a〜32dに夫々、撮像デバイス27a〜27dが接続される。そして、これら撮像デバイス27a〜27dは夫々、図27で説明したように配置される。
いま、サーバ35において、図示しない操作手段により、この表示装置の使用者が投影映像の作成のための指令操作をすると、制御部36が指令信号を生成し、通信部37から通信路38に送信する。この指令信号は通信路38によって伝送され、クライアント31a〜31dの通信部34aで受信される。クライアント31aでは、通信部34aで受信された指令信号により、制御処理部32aが撮像デバイス27aに撮像を開始させる。この撮像によって撮像デバイス27aから出力される映像信号は、制御処理部32aで処理された後、電子式プロジェクタ1a(図22)に用いる投影映像の映像信号として、記憶部33aに記憶される。この場合、制御処理部32aにおいて、多角形ミラー5(図27)の不要なミラーからの反射映像による信号成分を除去する処理を行なうようにしてもよい。これにより、記憶部33aには、電子式プロジェクタ1a(図22)に用いる投影映像が記憶されることになる。
クライアント31b〜31dにおいても、同様であって、その記憶部33b,33c,33dに電子式プロジェクタ1b〜1d(図22)に用いる投影映像が記憶される。
なお、静止画の立体映像を表示させる場合には、記憶部33a〜33dに記憶する投影映像のデータとしては、1フィールドもしくは1フレーム期間の映像データであればよいが、撮像対象30(図27)が動くものであって、かかる撮像対象30の立体映像を表示させる場合には、必要に応じた所定の期間の投射映像を記憶部33a〜33dに記憶させるようにする。以上のことから、この表示装置の使用者の操作によるサーバ35からの起動指令によって撮像デバイス27a〜27dを撮像開始させ、この使用者が静止画撮像の指令操作をすると、撮像デバイス27a〜27dの出力映像信号を1フィールドもしくは1フレーム期間抽出し、これを電子式プロジェクタ1a〜1dの投影映像のデータとして記憶部33a〜33dに記憶させるようにし、また、動画撮像の指令操作をすると(記憶部33a〜33d経の記録開始指令と記録終了指令とを出す)、この指令に応じた期間の撮像映像信号を投影映像のデータとして記憶部33a〜33dに記録するようにしてもよい。
このように、夫々のクライアント31a〜31dの記憶部33a〜33dに投影映像のデータを記録した後、これら投影映像を用いて立体映像の表示を行なう場合には、図31に示すように、クライアント31aでは、撮像デバイス27aを取り外して電子式プロジェクタ1aを取り付け、同様に、クライアント31b〜31dでは夫々、撮像デバイス27b〜27dを取り外して電子式プロジェクタ1b〜1dを取り付ける。このとき、これら電子式プロジェクタ1a〜1dは、図22で説明したように配置される。
このように構成された後、サーバ35の図示しない操作手段でこの表示装置の使用者が表示指令操作をすると、制御部36が表示指令信号を生成して通信部37から通信路38に送信する。各クライアント31a〜31dでは、この表示指令信号が通信部34a〜34dで受信され、制御処理部32a〜32dに供給される。これら制御処理部32a〜32dは、この表示指令信号を受けると、電子式プロジェクタ1a〜1dを起動させるとともに、記憶部33aから投影画像のデータを取り込み、電子式プロジェクタ1a〜1dに供給する。これにより、電子式プロジェクタ1a〜1dは夫々の投影映像を投射し、この結果、回転する視野角制限フィルタ付きスクリーン3(図22)によって立体映像が表示されることになる。
なお、上記では、同一クライアント31a〜31dで撮像デバスス27a〜27dと電子式プロジェクタ1a〜1dとを取り替えて投影映像の作成とこの投影映像の投射とを行なうようにしたが、図22に示す電子式プロジェクタ1a〜1dの配置に対し、その配置関係を延長軸24の周りに所定角度回転した配置関係で、図27に示すように、撮像デバイス27a〜27dとを配置することにより、即ち、図22において、電子式プロジェクタ1a,1bの間に撮像デバイス27aを配置し、電子式プロジェクタ1b,1cの間に撮像デバイス27bを配置し、電子式プロジェクタ1c,1dの間に撮像デバイス27cを配置し、電子式プロジェクタ1d,1aの間に撮像デバイス27dを配置することにより、撮像デバスス27a〜27dと電子式プロジェクタ1a〜1dとの取替え作業を省くようにすることができる。この場合、図32に示すように、図22に示す電子式プロジェクタ1a〜1dの投影領域26a〜26d(実線で示す)を、回転軸23を中心に、多角形ミラー5のミラーの整数枚分回転させたものが、図27に示す撮像デバイス27a〜27dの撮像領域29a〜29dの位置(破線で示す)となるようにする。
このような構成の場合、図33に示すように、同じクライアント31aに撮像デバイス27aとこれによって作成される投影映像を投射する電子式プロジェクタ1aとを接続することができ、同様にして、クライアント31bに撮像デバイス27bとこれによって作成される投影映像を投射する電子式プロジェクタ1bとを、クライアント31cに撮像デバイス27cとこれによって作成される投影映像を投射する電子式プロジェクタ1cとを、クライアント31dに撮像デバイス27dとこれによって作成される投影映像を投射する電子式プロジェクタ1dとを夫々接続することができる。そして、クライアント31a〜31dでは夫々、撮像デバイス27a〜27dの撮像によって得られて記憶部33a〜33dに記憶された投影映像のデータが、表示制御部39a〜39dの制御のもとに、読みだされて電子式プロジェクタ1a〜1dに供給され、夫々の投影映像が投射されることになる。
この場合の回転する視野角制限フィルタ付きスクリーン3によって表示される立体映像は、撮像デバイス27a〜27dによって撮像されるもとの撮像対象の対し、上記の所定回転角度だけ回転軸23を中心に回転した映像となるが、見る人にとってはこのことは関係ない。なお、サーバ35は、撮像デバイス27a〜27dで撮像対象を撮像する指令と、電子式プロジェクタ1a〜1dで投影映像を投射させる指令を発することはいうまでもない。
また、以上のシステムでは、クライアント31a〜31d毎に記憶部33a〜33dを備えたものとしたが(図30,図31,図33)、図34に示すように、サーバ35に共通の記憶部40を設け、クライアント31a〜31dで生成された投影映像のデータをともにこの記憶部40で記憶するようにしてもよい。立体映像を表示する場合には、図示しない夫々の電子式プロジェクタにこの記憶部40から読み出した該当する投影映像のデータを供給するようにすればよい。なお、図34において、各クライアント31a〜31dで撮像デバイス27a〜27dと電子式プロジェクタとを交換するものとしているが、図33に示すように、撮像デバイスと電子式プロジェクタとを接続する構成としてもよい。
さらに、以上の説明では、使用する電子式プロジェクタを4個としたが、これに限るものではなく、各電子式プロジェクタが等しい整数個ずつコマ映像を投射し、かつこれら電子式プロジェクタによって多角形ミラーを構成するミラーに過不足なくコマ映像を投射するものであるならば(即ち、多角形ミラーを構成するミラーの個数をm、使用する電子式プロジェクタの個数をnとしたとき、m÷nが整数となる電子式プロジェクタの個数m)、電子式プロジェクタの使用個数としては、4個に限るものではない。
図35(a)は電子式プロジェクタを2個使用した場合を示すものであって、この場合には、夫々毎に投影領域26a,26bが設定され、多角形ミラー5を形成するミラーを半分ずつ(ここでは、多角形ミラー5が24個のミラーからなるものとしており、従って、12個ずつ)夫々の電子式プロジェクタがコマ映像の投射を受け持つことになる。また、図35(b)は電子式プロジェクタを6個使用した場合を示すものであって、この場合には、夫々毎に投影領域26a,26b,26c,26d,26e,26fが設定され、多角形ミラー5を形成するミラーを1/6の個数分ずつ(ここでは、多角形ミラー5が24個のミラーからなるものとしており、従って、4個ずつ)夫々の電子式プロジェクタがコマ映像の投射を受け持つことになる。
なお、以上の表示装置の第5の実施形態において、多角形ミラー5を撮像デバイス27a〜27dによる投影映像の作成のためと電子式プロジェクタ1a〜1dによる投射映像の投影のためとに用いたが、図13に示す表示装置の第2の実施形態のように、電子式プロジェクタ夫々に用いる投影映像を作成する撮像装置を別体に設け、作成された投影映像を夫々の電子式プロジェクタに送信するようにしてもよい。
次に、本発明による表示装置の第6の実施形態について説明する。
先に説明した表示装置の第5の実施形態では、投影映像を作成するための撮像デバイスと電子式プロジェクタとの使用個数を等しくしたものであるが、この表示装置の第6の実施形態では、この使用個数を異ならせたものである。即ち、この表示装置の第6の実施形態の電子プロジェクタを用いて立体映像を表示するための構成は基本的に図22に示す構成と同様であり、また、これら電子プロジェクタに用いる投影映像を作成するための撮像装置の構成も、基本的には、図27に示す構成と同様であるが、上記のように、撮像デバイスと電子式プロジェクタとの使用個数を異ならせるものである。
図36は撮像装置としては撮像デバイスを6個用い、表示装置としては電子式プロジェクタを4個用いた場合のこの表示装置の第6の実施形態でのこれら電子式プロジェクタに用いる投影映像の作成過程を示す図である。
図36(a)は、撮像装置として構成される場合において、多角形ミラー5に対する各撮像デバイスの撮像領域を示すものであって、ここでは、多角形ミラー5を構成するミラーの個数を24個としている。ここで、多角形ミラーとしては、図22に示すように、立体映像を表示させるときに用いる多角形ミラー5であってもよいし(この場合には、撮像デバイスと電子式プロジェクタとは交換して使用されることになる)、また、投影映像の作成に専用に用いられる撮像装置に設けられたものであってもよい。なお、撮像デバイスによる撮像領域を順に撮像領域29a,29b,29c,29d,29e,29fとしている。かかる撮像領域29a,29b,……,29fに対する撮像デバイスを撮像デバイス27a,27b,……,29fとする。また、表示装置として構成される場合で使用する4個の電子式プロジェクタを、電子式プロジェクタ1a,1b,1c,1dとする。
図36(a)に示すように、撮像デバイス27aの撮像領域29aは、第5の実施形態と同様、多角形ミラー5の4個のミラーを完全に含む領域に設定され、次の撮像デバイス27bの撮像領域29bは次の4個のミラーを完全に含む領域に設定される。以下同様にして、撮像領域29c,29d,29e,29fは夫々、順番に4個ずつミラーを完全に含む領域に設定される(この場合、夫々の撮像領域29a〜29fでは、4個のミラーができるだけ一杯に含まれるようにした方が好ましい)。
これにより、図36(b)に示すように、撮像デバイス27aからは4個の完全なコマ映像を含む撮像映像41aが得られ、撮像デバイス27bからは次の4個の完全なコマ映像を含む撮像映像41bが得られる。以下同様にして、図示しないが、撮像デバイス27c,27d,27e,27fからは夫々4個ずつの完全なコマ映像を含む撮像映像が得られる。勿論、これらのコマ映像は、図示しない撮像対象を別々の方向から見たときの映像である。
このように得られた撮像映像41a,41bから、図36(c)に示すように、コマ映像を抽出する。これをコマ映像42a,42b,42c,42d,42f,42g,42h,42iとすると、これらのうちの順番に6個のコマ映像42a,42b,42c,42d,42fを選択し、図36(d)に示すように、これを円弧状に配列した映像を作成する。これが電子式プロジェクタの1つ、即ち、電子式プロジェクタ1aに用いる投影映像となる。
また、撮像デバイス27cが撮像領域29cを撮像して得られた撮像映像から4個のコマ映像を抽出し、これと撮像デバイス27bによる撮像映像41bから抽出したコマ映像の残りのコマ映像42g,42h(図36(c))とを円弧状に配列した映像を作成する。これが次の電子式プロジェクタ1bに用いる投影映像となる。このようにして、3個の撮像デバイス27a〜27cから得られた撮像映像から2つの電子式プロジェクタ1a,1bに用いる投影映像が得られる。同様にして、撮像領域29dの撮像で得られた4個のコマ映像と撮像領域29eの撮像で得られた2個のコマ映像とから電子式プロジェクタ1cに用いる投影映像を作成し、撮像領域29eの撮像で得られたコマ映像の残りの2個のコマ映像と撮像領域29fの撮像で得られた4個のコマ映像とから電子式プロジェクタ1dに用いる投影映像を作成する。
このようにして、6個の撮像デバイスを用いて4個の電子式プロジェクタに用いる投影映像を作成するものであるが、電子式プロジェクタと同数の撮像デバイスを用いた場合に比べ、各撮像デバイスによる撮像映像でのコマ映像を大きく撮像することができ、この結果、コマ映像の解像度が高まることになる。従って、6個の撮像デバイスを用いた場合には、電子式プロジェクタと同数の撮像デバイスを用いた場合に比べ、解像度が向上した高精細の立体映像が得られることになるし、また、電子式プロジェクタと同数の撮像デバイスを用いた場合と同程度の解像度の立体映像を得るものとすると、夫々の撮像デバイスの解像度が電子式プロジェクタと同数の撮像デバイスを用いた場合よりも低いものとすることができ、低解像度で安価な撮像デバイスを用いることができる。このことは、撮像デバイスと電子式プロジェクタとの使用個数が上記の例に限らず、撮像デバイスの使用個数が電子式プロジェクタの使用個数よりも多い場合に該当するものである。
図37は、撮像装置として構成される場合には、撮像デバイスを1個用い、表示装置として構成される場合には、電子式プロジェクタを4個用いた場合のこの表示装置の第6の実施形態でのこれら電子式プロジェクタに用いる投影映像の作成過程を示す図である。
図37(a)は多角形ミラー5に対する撮像デバイスの撮像領域を示すものであって、ここでは、多角形ミラー5を構成するミラーの個数を24個としている。この場合も、多角形ミラー5としては、図22に示すように、立体映像を表示させるときに用いる多角形ミラー5であってもよいし(この場合には、撮像デバイスと電子式プロジェクタとは交換して使用するようにしてもよいし、また、4個の電子式プロジェクタの配列の中心部に配列されるようにしてもよい(図22での延長軸24上))、また、投影映像の作成に専用に用いられる撮像装置に設けられたものであってもよい。なお、この撮像デバイスによる撮像領域を撮像領域29としている。かかる撮像領域29に対する撮像デバイスを撮像デバイス27とし、使用する4個の電子式プロジェクタを電子式プロジェクタ1a,1b,1c,1dとする。
図37(a)に示すように、撮像デバイス27の撮像領域29は多角形ミラー5の全体を完全に含むものであり(できるだけ撮像領域29一杯に含まれるようにした方が好ましい)、従って、この撮像デバイス27によって得られる撮像映像は、全てのコマ映像がリング状に配列して含まれるものとなる。
このようにして得られた撮像映像から各コマ映像が抽出され(図37(b))、その配列順に電子式プロジェクタの使用個数分に区分し(即ち、24÷4=6コマ映像ずつ区分し)、各区分毎に、図37(c)に示すように、多角形ミラー5でのミラーの配列に応じて、6個のコマ映像を円弧状に配列した投影映像を作成する。このようにして、各電子式プロジェクタ1a〜1dに用いる投影映像が作成されることになる。
このように、1個の撮像デバイス29を用いた場合には、図36に示した具体例のように複数の撮像デバイスを用いた場合に比べ、撮像映像でのコマ映像が小さくなるので、コマ映像の解像度は低下するが、この撮像デバイス29が高解像度のデバイスである場合には、コマ映像の解像度もかなりのものが得られることになり、立体映像としても、高精細のものが得られることになる。このことは、2個以上の撮像デバイスを用いた場合にもいえることであって、高解像度の撮像デバイスを用いる場合には、撮像デバイスの使用個数を電子式プロジェクタの使用個数よりも少なくすることができる。
図38は表示装置の第6の実施形態での投影映像の作成するための本発明による撮像装置のさらに他の実施形態を概念的に示す図である。
この具体例は、同図(a)に示すように、撮像対象30の周りに複数の撮像デバイス27を配置し、夫々がこの撮像対象30の側面を互いに異なる方向から撮像するものである。ここで、これら撮像デバイス27としては、電子式プロジェクタで立体映像を表示する際のコマ映像の数、即ち、多角形ミラーを構成するミラー数に等しい個数用いられる。従って、例えば、多角形ミラーを構成するミラー数が24個とすると、撮像デバイス27も24個用いられ、撮像対象30の周りに等間隔に、かつ夫々の撮像方向がこの撮像対象30での同一点に向くように、配列される。これら撮像デバイス27は夫々かかる多角形ミラーを構成するミラー1つ1つに対応するものであり、互いに異なる方向から同じ撮像対象30の側面を直接かつ同時に撮像する。このようにして、各撮像デバイス27からは、多角形ミラーの該当するミラーに照射されるコマ映像となる撮像映像が得られる。
そして、各撮像デバイス27からの撮像映像から、図38(b)に示すように、立体表示のときに用いるコマ映像が抽出され、撮像対象30を撮像するときの撮像デバイス27の配列順に対応して、図37(a)に示すようなコマ映像の配列を想定し、この配列順で立体表示の際に使用する電子式プロジェクタ毎にコマ映像を分配する。例えば、多角形ミラーが24個のミラーから構成されて、撮像デバイス27の個数を24個とし(従って、24個のコマ映像が得られる)、また、電子式プロジェクタの使用個数を4個とすると、得られた24個のコマ映像が6個ずつに区分され、区分した6個ずつのコマ映像が夫々の電子式プロジェクタに順に割り当てられる。
このように割り当てられた6個のコマ映像は、図38(c)に示すように、多角形ミラーでのミラーの配列に応じて円弧状に配列され、かかるコマ映像の配列からなる電子式プロジェクタの投影映像が作成される。
このように、この具体例は、多角形ミラーを用いることなく、撮像デバイス27で直接撮像対象30を撮像するものであるから、大きな撮像対象30にも対応でき、自由度が高いものとなるし、また、高解像度のコマ映像が得られて高解像度の立体映像を得ることが可能となる。
このように、表示装置の第6の実施形態では、図22〜図35で説明した表示装置の第5の実施形態に比べて、さらに高解像度の立体映像を得ることを可能とし、また、撮像デバイスの使用個数を減らすことを可能とする。
ところで、上記の表示装置の第5,第6の実施形態では、電子式プロジェクタから出射される投影映像は撮像装置の撮像デバイスから得られる撮像映像から作成できるものとしたが、コンピュータグラフィックなどによっても作成することができる。図39はかかる投影映像のリソース(供給源)に応じた投影映像の作成工程を示すフローチャートである。
同図において、表示装置の使用者からの映像出力の要求を受け付けると(ステップ100)、この映像のリソースがカメラ(撮像デバイス)であるか否か判定する(ステップ101)。いま、カメラの撮像映像を用いるものとすると、カメラを接続(起動)し(ステップ102)、カメラから撮像映像を取得する(ステップ103)。そして、カメラ毎に多角形ミラーでのそれが担当する(即ち、コマ映像のために撮像する)ミラーの枚数を求め(ステップ104)、その枚数のミラーからのコマ映像を切り出す(ステップ5)。また、電子式プロジェクタ毎に多角形ミラーでの担当するミラーの枚数を求め(ステップ)、この担当するミラー毎にその位置や配列を考慮して対応する上記のコマ映像を配置した投影映像を作成する(ステップ109)。そして、作成した投影映像を該当する電子式プロジェクタに夫々供給し、出射させる(ステップ110)。これにより、先の視野角制限フィルタ付きスクリーンに立体映像が形成表示される。
また、リソースがコンピュータグラフィックなどのカメラ以外のものである場合には(ステップ101)、映像のリソースを選択・設定し(ステップ106)、このリソースから映像、即ち、コマ映像を取り込む(ステップ107)。そして、この取り込んだコマ映像に対してステップ108,109の処理を行なうことにより、各電子式プロジェクタ毎の投影映像を作成し、これを投影することにより、例えば、アニメなどの立体映像を表示させる(ステップ110)。