JP4616416B1 - 撥水性及び親水性の領域を有するパターン化膜、及びその製造方法 - Google Patents

撥水性及び親水性の領域を有するパターン化膜、及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】超撥水性領域と親水性領域の共存する表面を有する超撥水性/親水性パターン化膜の製造方法を提供する。
【解決手段】 (1)エネルギー線の照射により重合可能な重合性化合物(A)と、該重合性化合物(A)の重合体ポリマー(P)とは相溶しない化合物(B)を含む重合性組成物(X)を調製し、該重合性組成物(X)の層を形成させ、エネルギー線を照射後、化合物(B)を除去して超撥水性膜(SH)とする工程α1、
(2)エネルギー線の照射により重合可能な、重合性化合物(C)を含む重合性組成物(Y)を調製し、該重合性組成物(Y)を前記超撥水性膜(SH)の表面の一部または全部に塗布し、エネルギー線を照射することにより重合性化合物(C)を重合させる工程β2、を順次行なう同一表面に超撥水性の領域と、親水性の領域とを有するパターン化膜の製造方法。
【選択図】図1

Description

本発明は、撥水性領域と親水性領域の共存する表面を有するパターン化膜(撥水性/親水性パターン化膜)とその製造方法に関し、より詳細には、表面に微細な凹凸構造を有するポリマーからなる撥水性膜の表面に、ポリマーからなる親水性領域を形成させることによって、または、ポリマーからなる親水性膜の表面に、微細な凹凸構造を有するポリマーからなる撥水性領域を形成させることによって製造する撥水性/親水性パターン化膜に関する。
近年注目されている超撥水性表面は、その科学的定義はないが、一般的には、水接触角が150°以上の、きわめて水にぬれにくい表面を指す。超撥水性表面は、水との接触面積を著しく小さくすることができることから、水を介した各種の化学反応の進行や化学結合の形成を抑えることができる。このため、防汚性、防錆性、電気絶縁性などさまざまな目的に対して、従来の撥水性表面(水接触角90〜120°程度)に較べ高い効果が得られることが報告されている。
ちなみに、撥水性材料の技術分野では、上記の通り水接触角がおよそ150°以上の表面を超撥水性表面といい、およそ120〜150°の範囲の水接触角を示す表面を高撥水性表面といい、およそ90〜120°の範囲の水接触角を示す表面を通常の撥水性表面といっている。
一方、周囲とは異なるぬれ性を有する領域を同一表面上に形成した撥水性/親水性パターン化表面は、印刷用部材、表示用部材、輸送用部材、建築装飾用部材等の用途において、幅広く用いられている。特に、印刷用部材では、文字・図案・画像の印刷に関して、撥水性/親水性パターンは印刷インクを転写する際にインクを受容及び反発する部分となり、数多くの研究がなされている。しかしながら、近年、水系印刷において、より解像度の高い印刷精度を実現するために、水系組成物をより撥きやすい超撥水性領域を有する超撥水性/親水性パターン化表面が求められる傾向がある。また、特に、超撥水性領域とともに、水接触角が10°以下である超親水性領域を有する超撥水性/超親水性パターン化表面は、印刷用部材の他にも、着霜防止用部材等、多くの用途に用いることが期待できる。
特許文献1においては、凹凸化処理を施した基材上に光触媒無機コーティング剤を含むゾルゲル膜前駆体を塗布した後、加熱処理により加水分解・重縮合を進行させ、水接触角値150°以上を示す超撥水性膜を調製した。これに、フォトマスクを介してパターン露光をすることにより、水接触角値10°以下の超親水性領域を有する超撥水性/超親水性パターン化表面を調製した。
また、特許文献2においては、ゾルゲル反応により得た微細凹凸性アルミナ膜に対して、酸化チタンアナターゼゾル、続いて含フッ素シラン化合物で処理し、水接触角値150°以上を示す超撥水性膜を調製した。これに、フォトマスクを介してパターン露光を施し、酸化チタン結晶層の光触媒作用により、水接触角値4°以下の超親水性領域を有する超撥水性/超親水性パターン表面を調製した。
以上2例の発明は、酸化チタン層の光触媒作用を利用して超親水性領域のパターン生成を行ったものである。しかしながら、超撥水性領域に存在する有機物も、長期の使用により、光触媒作用により徐々に分解され、撥水性が低下することが指摘されている。
一方、特許文献3においては、含フッ素化合物、無機粒子、樹脂、溶剤の混合物を基材に塗布し、加熱処理を行うことで超撥水性表面を作製した。これにフォトクロミック化合物を付着させた後、パターン露光により該フォトクロミック化合物の化学構造変化を促し、その後、露光部に親水性高分子を付着することにより親水性パターンを生成させた。しかしながら、この方法では、水接触角値約60°の親水性領域の形成は可能であるが、超親水性パターンを形成するには至っていない。
特開2000−87016号公報 特開2001−17907号公報 特開平11−265058号公報
本発明が解決しようとする課題は、撥水性領域と親水性領域の共存する表面を有する撥水性/親水性パターン化膜の製造方法、特に、光触媒性膜の作用を用いることなく、水接触角が150°以上の超撥水性領域と水接触角が10°以下の超親水性領域を有する超撥水性/超親水性パターン化膜の簡便な製造方法、及び、該製造方法によって形成した超撥水性/(超)親水性パターン化膜を提供することにある。
本発明者等は、種々検討した結果、エネルギー線の照射により重合可能な重合性化合物と、エネルギー線に対して不活性な添加物とを混合した撥水性重合性組成物の層を基材上に形成し、エネルギー線照射により重合させ相分離状態を誘起し、その後、可溶性添加物の一部を除去することにより撥水性を有する膜が得られることを見出した。更に、その撥水性膜上の一部にエネルギー線の照射により重合可能な重合性化合物を含む重合性組成物を塗布し、エネルギー線を照射することにより撥水性/親水性パターン化膜を製造することが可能であること、及びその逆に、エネルギー線の照射により重合可能な重合性化合物を含む重合性組成物の硬化膜上の一部に上記の撥水性重合性組成物を塗布し、エネルギー線照射により重合させ相分離状態を誘起し、その後、可溶性添加物の一部を除去することにより撥水性/親水性パターン化膜を製造することが可能であることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、
(1)エネルギー線の照射により重合可能な重合性化合物(A)と、
該重合性化合物(A)とは相溶するが、該重合性化合物(A)の重合体ポリマー(P)とは相溶せず、且つエネルギー線に対して不活性な化合物(B)を含む重合性組成物(X)を調製した後、
該重合性組成物(X)の層を形成し、
エネルギー線の照射により該重合性組成物(X)中の重合性化合物(A)を重合させた後、化合物(B)を除去して撥水性膜(SH)とする工程α1、
(2)エネルギー線の照射により重合可能な、親水性化学構造単位を有する重合性化合物(C)を含む重合性組成物(Y)を調製し、
該重合性組成物(Y)を前記撥水性膜(SH)の表面の一部または全部に塗布し、
エネルギー線を照射することにより、該重合性組成物(Y)中の重合性化合物(C)を重合させる工程β2、
を順次行なうことを特徴とする同一表面に撥水性の領域と、親水性の領域とを有するパターン化膜の製造方法を提供するものである。
また、本発明は、
(1)エネルギー線の照射により重合可能な、親水性化学構造単位を有する重合性化合物(C)を含む重合性組成物(Y)を調製した後、
該重合性組成物(Y)の層を形成し、
エネルギー線を照射することにより、該重合性組成物(Y)中の重合性化合物(C)を重合させて親水性膜(HP)とする工程β1、
(2)エネルギー線の照射により重合可能な重合性化合物(A)と、
該重合性化合物(A)とは相溶するが、該重合性化合物(A)の重合体ポリマー(P)とは相溶せず、且つエネルギー線に対して不活性な化合物(B)を含む重合性組成物(X)を調製し、
該重合性組成物(X)を前記親水性膜(PH)の表面の一部または全部に塗布し、
エネルギー線の照射により該重合性組成物(X)中の重合性化合物(A)を重合させた後、化合物(B)を除去する工程α2、
を順次行なうことを特徴とする同一表面に撥水性の領域と、親水性の領域とを有するパターン化膜の製造方法を提供するものである。
また、本発明は、上記の方法で得られる同一表面に撥水性の領域と、親水性の領域とを有するパターン化膜を提供するものである。
また、本発明は、基材(S)と、該基材(S)上に形成された上記のパターン化膜とを備えた複合部材を提供するものである。
更に、本発明は、エネルギー線の照射により重合可能な重合性化合物(A)の重合体により形成される撥水性の領域と、
エネルギー線の照射により重合可能な、親水性化学構造単位を有する重合性化合物(C)の重合体により形成される親水性の領域とを有し、
該撥水性領域の平均表面粗さ(Ra)が30nmを超えて、1000nmまでの範囲であることを特徴とする同一表面に撥水性の領域と、親水性の領域とを有するパターン化膜を提供するものである。
本発明の製造方法によれば、前記特許文献1及び特許文献2で開示された光触媒の作用を利用することなく、ポリマーからなる表面凹凸性及び多孔性の撥水性膜への親水性重合性組成物の含浸と、エネルギー線照射による親水性領域の形成により、または、ポリマーからなる親水性膜表面への重合性組成物の塗布と、エネルギー線照射による表面凹凸性及び多孔性の撥水性領域の形成により、簡便なプロセスにより撥水性/(超)親水性パターン化膜、特に、水接触角が150°以上の超撥水性/(超)親水性パターン化膜をを製造することができる。
実施例1で得られた超撥水性/親水性パターン化膜[SHL−1]の外観写真である。 実施例1で得られた超撥水性/親水性パターン化膜[SHL−1]の超撥水性部分の走査型電子顕微鏡像である。 実施例1で得られた超撥水性/親水性パターン化膜[SHL−1]の超撥水性部分と親水性部分の境界付近の走査型電子顕微鏡像である。 実施例18で得られた超撥水性/親水性パターン化膜[SHL−18]の外観写真である。 実施例18で得られた超撥水性/親水性パターン化膜[SHL−18]の超撥水性部分の走査型電子顕微鏡像である。 実施例18で得られた超撥水性/親水性パターン化膜[SHL−18]の親水性部分の走査型電子顕微鏡像である。
以下、本発明について説明する。
なお、撥水性材料の技術分野では、学術上、技術上の明確な区別、及び定義はないが、一般的に、水接触角がおよそ150°以上の表面を超撥水性表面といい、およそ120〜150°の範囲の水接触角を示す表面を高撥水性表面といい、およそ90〜120°の範囲の水接触角を示す表面を通常の撥水性表面と区別している。
本明細書では、上記の一般的な区別を採用し、水接触角が150°以上の表面を「超撥水性」表面と定義し、120°以上〜150°未満の範囲の水接触角を示す表面を「高撥水性」表面と定義し、90°〜120°未満の範囲の水接触角を示す表面を「通常の撥水性」表面と定義し、表記する。但し、単に「撥水性表面」と記載した場合は、「超撥水性表面」、「高撥水性表面」及び「通常の撥水性表面」の全てを含むものとする。
本発明の製造方法では、「超撥水性」、「高撥水性」及び「通常の撥水性」表面を有する膜の製造まで、原料の選択、配合量の調整、製膜条件の調整等で制御可能であるが、特に、「超撥水性」、及び「高撥水性」表面を有する膜の製造に適しており、「超撥水性」表面を有する膜の製造に最も適している。したがって、以下では超撥水性表面を有する膜の製造方法を主体に説明を行う。
更に、超親水性についても学術上、技術上の明確な区別、及び定義はなく、一般的に、水接触角がおよそ10°以下の表面を超親水性表面といっている。
本明細書では、水接触角が10°以下の表面を「超親水性表面」と定義し、表記するが、単に「親水性表面」と記載した場合は、「超親水性表面」を含む通常の親水性表面を意味するものとする。
本発明は、膜の同一表面に超撥水性の領域と、親水性の領域とを有するパターン化膜(本明細書では、超撥水性及び親水性の領域を有するパターン化膜、超撥水性/親水性パターン化膜、等と記載する。)、及びその製造方法に関する。ここで、「パターン化膜」とは、膜の同一表面上に超撥水性の領域と、親水性の領域とを有する膜の全てを意味し、その領域の形状、つまりパターン形状は特に限定されるものではない。不定形であっても、円形、楕円形、たまご型、瓢箪型、ダンベル型、三角形、四角形、多角形、縞模様、波線模様、特定形状の領域が繰り返し現れる形状、幾何学状模様等、いかなる形状であっても良い。更に、超撥水性の領域と、親水性の領域とは必ずしも隣接している必要はなく、離間していても良い。ただし、本発明では超撥水性の領域と、親水性の領域とが隙間が空くことなしに隣接していることが好ましい。
本発明の超撥水性/親水性パターン化膜は、以下に示す2工程を行うことにより、製造することができる。
工程α:エネルギー線の照射により重合可能な重合性化合物(A)と、該重合性化合物(A)とは相溶するが、該重合性化合物(A)の重合体ポリマー(P)とは相溶せず、且つエネルギー線に対して不活性な化合物(B)を含む重合性組成物(X)を調製し、該重合性組成物(X)の層を基材(S)上に形成させ、エネルギー線の照射により該重合性組成物(X)中の重合性化合物(A)を重合させた後、化合物(B)を除去してポリマーからなる表面凹凸性を有する超撥水性膜(SH)を生成する工程。
工程β:エネルギー線の照射により重合可能な、親水性化学構造単位を有する重合性化合物(C)を含む重合性組成物(Y)を調製し、該重合性組成物(Y)の層を基材(S)上に形成させ、エネルギー線を照射することにより、該重合性組成物(Y)中の重合性化合物(C)を重合させ、ポリマーからなる親水性膜(HP)を生成する工程。
工程αと工程βを行う順序に限定はない。上記の説明文中、後から行う工程については、基材(S)の代わりに先の工程で形成した膜上での工程となる。すなわち、工程αの場合はポリマーからなる親水性膜(HP)上での工程であり、一方、工程βの場合はポリマーからなる表面凹凸性を有する超撥水性膜(SH)上での工程である。ただし、工程αを先に行い、次いで、工程βを行う方法が、超撥水性の領域と親水性の領域の微細なパターン化を行う上で好ましい。
また、後から行う工程については、次の二通りの方法により行うことができる:(1)先の工程で形成した膜上の全部に対して重合性組成物の層を形成させ、エネルギー線をパターン照射することにより重合性組成物中の重合性化合物を重合させ、その後、非照射部分の未重合の重合性組成物を除去する方法と、(2)先の工程で形成した膜上の一部に対して重合性組成物の層を形成させ、その後、エネルギー線を照射することにより重合性組成物中の重合性化合物を重合させる方法である。
上記の如く工程αと工程βはどちらを先に行なっても良い。したがって、本明細書では、基材上に組成物の層を形成する先の工程を工程α1及び工程β1と表記し、先に形成された組成物の層上に、更に組成物の層を形成する後の工程を工程α2及び工程β2と表記することにした。この表記方法に従い、(課題を解決するための手段)の項に記載した製造方法においては、先に行なう工程を工程α1及び工程β1、後の工程を工程α2及び工程β2とそれぞれ表記した。
以下に、それぞれの工程について説明する。
[工程α]
工程αは超撥水性膜の形成を行う工程であり、その方法は2つに分けられる。
(第1の方法)
第1の方法では、超撥水性膜は、エネルギー線の照射により重合可能な重合性化合物(A)と、該重合性化合物(A)とは相溶するが、該重合性化合物(A)の重合体ポリマー(P)とは相溶せず、且つエネルギー線に対して不活性な化合物(B)とを混合した重合性組成物(X)の薄層を基材(S)上に形成し、エネルギー線の照射により重合させた後、化合物(B)を除去することにより形成することができる。
この方法では、重合性化合物(A)の重合により生成した重合体ポリマー(P)が、化合物(B)と相溶しなくなり、重合体ポリマー(P)と化合物(B)との相分離状態が生じ、重合体ポリマー(P)内部や重合体ポリマー(P)間に化合物(B)が取り込まれた状態になる。この化合物(B)を除去することにより、化合物(B)が占めていた領域が孔となり、膜表面に微細凹凸構造が誘起され超撥水性膜を形成できる。
重合性化合物(A)は、エネルギー線の照射により重合可能な重合性化合物(a)を単一成分で、または、その2種類以上を混合して用いることができる。重合性化合物(a)は、エネルギー線の照射により重合し、ポリマーとなる物質であれば特に制限はなく、ラジカル重合性、アニオン重合性、カチオン重合性など任意のものであってよい。例えば、ビニル基を含有する重合性化合物が用いられるが、なかでも、エネルギー線の照射による重合速度が速い(メタ)アクリル系化合物が好ましい。また、硬化後の強度も高くできることから、重合して架橋ポリマーを形成する化合物であることが好ましく、1分子中に2つ以上のビニル基を有する2官能以上の重合性化合物であることが特に好ましい。
前記(メタ)アクリル系化合物としては、例えばエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジメチロールトリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、2−イソシアナト−2−メチルプロピルジ(メタ)アクリレート、2−メタクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート、3−メチル−1,5−ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオールジ(メタ)アクリレート、2,2′−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシポリエチレンオキシフェニル)プロパン、2,2′−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシポリプロピレンオキシフェニル)プロパン、ヒドロキシジピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルジアクリレート、ビス(アクロキシエチル)ヒドロキシエチルイソシアヌレート、N−メチレンビスアクリルアミドなどの2官能モノマー;トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリス(アクロキシエチル)イソシアヌレート、カプロラクトン変性トリス(アクロキシエチル)イソシアヌレートなどの3官能モノマー;ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレートなどの4官能モノマー;ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどの6官能モノマーが挙げられる。
また、分子鎖に(メタ)アクリロイル基を有する重合性のオリゴマーとして、重量平均分子量が500〜50,000のものが挙げられ、例えば、エポキシ樹脂の(メタ)アクリル酸エステル、ポリエーテル樹脂の(メタ)アクリル酸エステル、ビスフェノールA骨格を有するポリエーテル樹脂の(メタ)アクリル酸エステル、ポリブタジエン樹脂の(メタ)アクリル酸エステル、ポリジメチルシロキサン樹脂の(メタ)アクリル酸エステル、分子末端に(メタ)アクリロイル基を有するポリウレタン樹脂などが挙げられる。
以上挙げた重合性化合物および重合性オリゴマーの中でも、疎水性が高く、且つ、重合後に架橋密度が高く、表面微細構造の発達したポリマー膜を与えやすいという観点から、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジメチロールトリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートが好ましく用いられる。
また、重合性化合物(a)としては、ビニル基を1つ有する単官能重合性化合物、特に、ビニル基を1つ有する(メタ)アクリル化合物などを用いることができる。ただし、単官能重合性化合物は、2官能以上の重合性化合物とともに用いることが好ましい。
ビニル基を1つ有する(メタ)アクリル系化合物としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、アルキル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、アルコキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシジアルキル(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、アルキルフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、グリセロールアクリレートメタクリレート、ブタンジオールモノ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート、2−アクリロイルオキシエチル−2−ヒドロキシプロピルアクリレート、エチレンオキサイド変性フタル酸アクリレート、ω−カルボキシカプロラクトンモノアクリレート、2−アクリロイルオキシプロピルハイドロジェンフタレート、2−アクリロイルオキシエチルコハク酸、アクリル酸ダイマー、2−アクリロイルオキシプロピルヘキサヒドロハイドロジェンフタレート、フッ素置換アルキル(メタ)アクリレート、塩素置換アルキル(メタ)アクリレート、スルホン酸ソーダエトキシ(メタ)アクリレート、スルホン酸−2−メチルプロパン−2−アクリルアミド、燐酸エステル基含有(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、2−イソシアナトエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルクロライド、(メタ)アクリルアルデヒド、スルホン酸エステル基含有(メタ)アクリレート、シラノ基含有(メタ)アクリレート、((ジ)アルキル)アミノ基含有(メタ)アクリレート、4級((ジ)アルキル)アンモニウム基含有(メタ)アクリレート、(N−アルキル)アクリルアミド、(N、N−ジアルキル)アクリルアミド、アクリロイルモルホリン、ポリジメチルシロキサン鎖含有(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
これらの単官能重合性化合物の中でも、疎水性を高め、且つ、粘度調節を行う目的で、メチル(メタ)アクリレート、アルキル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレートが、また、重合後膜表面に偏在し、表面の自由エネルギーを低下させる目的で、フッ素置換アルキル(メタ)アクリレート、ポリジメチルシロキサン鎖含有(メタ)アクリレートなどが好ましく用いられる。
化合物(B)は、化合物(D)を単一成分で、または、その2種類以上を混合して用いることができる。化合物(D)は、重合性化合物(A)の重合プロセスにおいては、基材上にとどまり、且つ、重合性化合物(A)の重合後は主に溶剤洗浄により除去される。化合物(D)は、化合物(B)の構成成分として、重合性化合物(A)とは相溶するが、重合性化合物(A)の重合体ポリマー(P)とは相溶せず、且つエネルギー線に対して不活性であり、また、25℃における飽和蒸気圧が400Pa以下の液体状又は固体状の化合物であれば、特に制限はない。そのような用件を満たし、且つ、疎水性の高い化合物として、
前記化合物(D)が、式(1)、式(2)、式(3)及び式(4)で表される化合物、並びに炭素数14〜22の分岐していてもよいアルカンが挙げられる。
Figure 0004616416
(式(1)中、Rは炭素数が9〜19の分岐していてもよいアルキル基、Rはメチル基、又はエチル基を表す。)
Figure 0004616416
(式(2)中、Rはメチル基、又はエチル基、Rは炭素数10〜20の分岐していてもよいアルキル基を表す。)
Figure 0004616416
(式(5)中、R〜R14は、それぞれ独立して水素原子又は分岐していてもよいアルキル基を表すが、そのうちの少なくとも2つがエチル基であるか、少なくとも1つが炭素数3〜8の分岐していてもよいアルキル基である。
Figure 0004616416
(式(6)中、R15及びR16は、それぞれ独立して炭素数2〜8の分岐していてもよいアルキル基を表す。)
式(1)及び式(2)中、R及びRは炭素数が9〜19のアルキル基であることが好ましく、10〜18のアルキル基であることがより好ましい。アルカンとしては炭素数14〜20のアルカンであることが好ましく、16〜20のアルカンであることがより好ましい。また、式(5)中、R〜R10は、少なくとも1つが炭素数3〜7のアルキル基であることが好ましく、炭素数3〜6のアルキル基であることがより好ましい。この場合、残りの他の基は水素原子であることが好ましい。また、R〜R10中の炭素数の合計は10以下であることが好ましい。更に、式(6)中、R11及びR12は、それぞれ独立して炭素数2〜7のアルキル基であることが好ましく、炭素数2〜6のアルキル基であることがより好ましい。そして、アルカンとしては炭素数12〜20のアルカンであることが好ましく、炭素数12〜18のアルカンであることがより好ましい。
これらの中でも、25℃における飽和蒸気圧が150Pa以下である液体または固体を用いる場合は、その揮発性が低いため、超撥水性膜を作製するのに有利である。そのような化合物として、テトラデカン酸メチル、ヘキサデカン酸メチル、オクタデカン酸メチル等の長鎖脂肪族カルボン酸のメチルエステル、及び、テトラデカン、ヘキサデカン、オクタデカン等の長鎖脂肪族炭化水素が好ましく用いられる。
重合性組成物(X)に含まれる重合性化合物(A)及び化合物(B)の含有量によって、超撥水性膜の孔径、表面凹凸性や強度が変化する。重合性化合物(A)の含有量が多いほど膜の強度が向上するが、膜内部の孔径や表面凹凸は小さくなり、撥水性が低下する傾向にある。重合性化合物(A)の好ましい含有量としては30〜80質量%の範囲、特に好ましくは40〜70質量%の範囲が挙げられる。重合性化合物(A)の含有量が30質量%以下になると、膜の強度が低くなり、重合性化合物(A)の含有量が80質量%以上になると、膜内部の孔径や表面凹凸の調整が難しくなる。
重合性組成物(X)には、重合速度や重合度、あるいは膜の孔径、表面凹凸性などを調整するために、重合開始剤、重合禁止剤、重合遅延剤、あるいは、増粘剤などの各種添加剤を添加してもよい。
重合開始剤としては、エネルギー線の照射により、重合性化合物(A)を重合させることが可能なものであれば、特に制限はなく、ラジカル重合開始剤、アニオン重合開始剤、カチオン重合開始剤などが使用できる。例えば、p−tert−ブチルトリクロロアセトフェノン、2,2′−ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オンなどのアセトフェノン類、ベンゾフェノン、4,4′−ビスジメチルアミノベンゾフェノン、2−クロロチオキサントン、2−メチルチオキサントン、2−エチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントンなどのケトン類、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテルなどのベンゾインエーテル類、ベンジルジメチルケタール、ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンなどのベンジルケタール類、N−アジドスルフォニルフェニルマレイミドなどのアジドが挙げられる。また、マレイミド系化合物などの重合性光重合開始剤を使用することもできる。また、ここに挙げた重合開始剤を、テトラエチルチイラムジスルフィドなどのジスルフィド系化合物、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシルなどのニトロキシド化合物、4,4’−ジ−t−ブチル−2,2’−ビピリジン銅錯体−トリクロロ酢酸メチル複合体、ベンジルジエチルジチオカルバメートなどの化合物と併用して、リビングラジカル重合開始剤として用いることもできる。
重合遅延剤や重合禁止剤は、α−メチルスチレン、2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテンなどの重合速度の低いビニル系モノマーやtert−ブチルフェノールなどのヒンダントフェノール類などが挙げられる。
増粘剤は、塗工性、膜厚の均質性を向上させる目的、及び、膜内部の孔径、表面の凹凸性を制御する目的で、公知慣用のものを用いることができる。重合性組成物(X)が低粘度であると、細孔の形状が、互いに接着した粒状ポリマーの間隙として与えられることが多く、逆に高粘度であると網状に析出したポリマーの間隙として与えられることが多い。すなわち、高粘度であるほど塗工性、膜厚の均質性は向上するが、孔径や表面凹凸が細かくなり、撥水性が低下する傾向にある。したがって、重合性組成物(X)を構成する素材の組合せや膜の目的性能により、粘度は適宜設定を変えることは重要である。
本発明におけるパターン化膜は、膜単独の自立膜であっても良いが、基材(S)と積層した積層体として用いることができる。本発明のパターン化膜と積層する基材(S)は、重合性組成物(X)や使用するエネルギー線によって実質的に侵されず、例えば、溶解、分解、重合などが生じず、かつ、重合性組成物(X)を実質的に侵さないものであればよい。そのような基材としては、例えば、樹脂、ガラス、石英などの結晶、セラミックス、シリコンなどの半導体、金属、金属酸化物などが挙げられるが、これらの中でも、透明性が高いこと、および、安価であることより、樹脂、または、ガラスが好ましい。基材に使用する樹脂は、単一モノマーの重合体ポリマーであっても、複数モノマーの共重合体ポリマーであってもよく、熱可塑性ポリマーであっても、熱硬化性ポリマーであってもよい。また、基材は、ポリマーブレンドやポリマーアロイで構成されていてもよいし、積層体その他の複合体であってもよい。更に、基材は、改質剤、着色剤、充填材、強化材などの添加物を含有してもよい。
基材の形状は特に限定されず、使用目的に応じて任意の形状のものを使用できる。例えば、シート状(フィルム状、リボン状、ベルト状を含む)、板状、ロール状、球状などの形状が挙げられるが、重合性組成物(X)をその上に塗布し易く、また、エネルギー線を照射し易いという観点から、塗工面が平面状または2次曲面状の形状であることが好ましい。
基材はまた、樹脂の場合もそれ以外の素材の場合も、表面処理されていてよい。表面処理は、重合性組成物(X)による基材の溶解防止を目的としたもの、重合性組成物(X)の濡れ性向上及び超撥水性膜の接着性向上を目的としたものなどが挙げられる。
基材の表面処理方法は任意であり、例えば、前記重合性化合物(A)を基材の表面に塗布し、エネルギー線を照射して硬化させる処理、コロナ処理、プラズマ処理、火炎処理、酸又はアルカリ処理、スルホン化処理、フッ素化処理、シランカップリング剤等によるプライマー処理、表面グラフト重合、界面活性剤や離型剤等の塗布、ラビングやサンドブラストなどの物理的処理などが挙げられる。また、超撥水性膜が有する官能基や上記の表面処理方法によって導入された官能基と反応して表面に固定される化合物を反応させる方法が挙げられる。この中で、基材としてガラス、または、石英を用いた場合、例えば、トリメトキシシリルプロピル(メタ)アクリレートやトリエトキシシリルプロピル(メタ)アクリレート等のシランカップリング剤によって処理する方法は、これらのシランカップリング剤の有する重合基が重合性組成物(X)と共重合できることより、超撥水性膜の基材上への接着性を向上させる上で有用である。
重合性組成物(X)の基材(S)への塗布方法は公知慣用の方法であればいずれの方法でもよく、例えば、ディップ法、ロ−ルコ−ト法、ドクタ−ブレ−ド法、スピンコ−ト法、スプレ−法等による塗布方法が好ましく挙げられる。
重合過程において照射するエネルギー線としては、紫外線、可視光線、赤外線、レーザー光線、放射光などの光線;エックス線、ガンマ線、放射光などの電離放射線;電子線、イオンビーム、ベータ線、重粒子線などの粒子線が挙げられる。これらの中でも、取り扱い性や硬化速度の面から紫外線及び可視光が好ましく、紫外線が特に好ましい。硬化速度を速め、硬化を完全に行う目的で、エネルギー線の照射を低酸素濃度雰囲気で行うことが好ましい。低酸素濃度雰囲気としては、窒素気流中、二酸化炭素気流中、アルゴン気流中、真空又は減圧雰囲気中が好ましい。
重合性組成物(X)の重合により生成した、重合体ポリマー(P)と化合物(B)が相分離された膜から化合物(B)を除去する方法は、溶剤を用いた洗浄により行うことができる。その際、化合物(B)が占めていた領域が溶剤により置換され、その後、乾燥過程において溶剤が蒸発することにより、膜内部の孔や表面の凹凸構造が形成され、超撥水性膜の製造が完結する。溶剤は、化合物(B)と相溶するものであれば、制限なく用いることができる。ただし、乾燥操作を容易にするために、メタノール、エタノール、アセトン、ヘキサン、酢酸エチル、ジエチルエーテル、クロロホルムなどの揮発性の高い汎用溶剤を用いることが好ましい。
この方法により製造した超撥水性膜は、直径約0.05μm〜10μmの粒子状のポリマーが互いに凝集し、この粒子間の隙間が細孔となる凝集粒子構造の多孔性膜や、ポリマーが網目状に凝集した三次元網目構造の多孔性膜である。得られた超撥水性膜の平均表面粗さ(Ra)は、30nmを超えて、1000nmまでの範囲である。また、超撥水性膜としては平均表面粗さ(Ra)が、40nm〜1000nmであることが好ましく、40〜500nmであることがより好ましい。この範囲であれば、表面の水接触角値は、150°以上をしめし易く、好ましい。
なお、上記の如く規定する平均表面粗さ(Ra)は下記の機器(I)で測定した値であり、特許請求の範囲で規定する平均表面粗さ(Ra)の数値は機器(I)で測定した値である。
機器(I):走査型プローブ顕微鏡(SPI3800N/SPA400):エスアイアイ・ナノテクノロジーズ株式会社製
測定モード:AFM
走査エリア:10μm×10μm
また、上記測定装置と同様な原理にて平均表面粗さを測定する下記の機器(II)で測定したデータも下記の実施例の項で参考値として併記する。
機器(II):ナノスケールハイブリッド顕微鏡VN−8000:株式会社キーエンス製
測定モード:AFM
走査エリア:10μm×10μm
上記機器(II)で測定した場合、若干の機差により、本発明の製造方法で得られる超撥水性膜の平均表面粗さ(Ra)は、20nm〜1000nmの範囲である。
(第2の方法)
第2の方法では、超撥水性膜は、エネルギー線の照射により重合可能な重合性化合物(A)、該重合性化合物(A)とは相溶するが、該重合性化合物(A)の重合体ポリマー(P)とは相溶せず、且つエネルギー線に対して不活性な化合物(B)、及び、該重合性化合物(A)と該化合物(B)と相溶し、且つエネルギー線に対して不活性なポリマー(E)とを混合した重合性組成物(X)の薄層を基材(S)上に形成し、エネルギー線の照射により重合させた後、化合物(B)を除去することにより製造することができる。
この方法では、重合性化合物(A)の重合により生成した重合体ポリマー(P)が、化合物(B)と相溶しなくなり、重合体ポリマー(P)と化合物(B)との相分離状態が生じ、重合体ポリマー(P)内部や重合体ポリマー(P)間に化合物(B)が取り込まれた状態になる。この化合物(B)を除去することにより、化合物(B)が占めていた領域が孔となり、膜表面に微細凹凸構造が誘起され超撥水性膜を形成できる。ポリマー(E)は、本発明の効果を損なわない限り、重合性組成物(X)の硬化膜からその全てが除去されても構わないが、硬化膜の強度を確保する上で、少なくとも一部を硬化膜中に残留させることが好ましい。したがって、重合体ポリマー(P)と化合物(B)との相分離状態において、ポリマー(E)は重合体ポリマー(P)相にある程度分配されることが好ましく、その分配率が高ければ高いほど、硬化膜の強度は高くなる。
重合性化合物(A)については、前記、第1の方法において説明した通りである。
化合物(B)は、化合物(F)を単一成分で、または、その2種類以上を混合して用いることができる。化合物(F)は、化合物(B)の構成成分として、重合性化合物(A)とは相溶するが、重合性化合物(A)の重合体ポリマー(P)とは相溶せず、且つエネルギー線に対して不活性であれば、特に制限はない。ただし、化合物(B)は、重合性化合物(A)の重合プロセスにおいては、基材上にとどまり、且つ、重合性化合物(A)の重合後は主に溶剤洗浄により除去され、表面微細構造を有する超撥水性膜を与える必要があるため、化合物(F)は揮発性が低く、且つ、溶剤への溶解性が高い化合物であることが好ましい。したがって、化合物(F)は、25℃における飽和蒸気圧が600Pa以下である液体または固体であることが好ましい。そのような用件を満たし、且つ、疎水性の高い化合物として、
前記化合物(F)が、式(3)、式(4)、式(5)及び式(6)で表される化合物、並びに炭素数10〜20の分岐していてもよいアルカンが挙げられる。
Figure 0004616416
(式(3)中、Rは炭素数が7〜19の分岐していてもよいアルキル基又はベンジル基、Rはメチル基又はエチル基を表す。)
Figure 0004616416
(式(4)中、Rはメチル基又はエチル基、Rは炭素数8〜20の分岐していてもよいアルキル基又はベンジル基を表す。)
Figure 0004616416
(式(5)中、R〜R14は、それぞれ独立して水素原子又は分岐していてもよいアルキル基を表すが、そのうちの少なくとも2つがエチル基であるか、少なくとも1つが炭素数3〜8の分岐していてもよいアルキル基である。)
Figure 0004616416
(式(6)中、R15及びR16は、それぞれ独立して炭素数2〜8の分岐していてもよいアルキル基を表す。)
式(3)及び式(4)中、R及びRは炭素数が7〜18のアルキル基であることが好ましく、8〜16のアルキル基であることがより好ましい。また、式(5)中、R〜R14は、少なくとも1つが炭素数3〜7のアルキル基であることが好ましく、3〜6のアルキル基であることがより好ましい。この場合、残りの他の基は水素原子であることが好ましい。また、R〜R10中の炭素数の合計は10以下であることが好ましい。更に、式(6)中、R15及びR16は、それぞれ独立して炭素数2〜7のアルキル基であることが好ましく、2〜6のアルキル基であることがより好ましい。そして、アルカンとしては炭素数12〜20のアルカンであることが好ましく、12〜18のアルカンであることがより好ましい。
これらの中でも、25℃における飽和蒸気圧が150Pa以下である液体または固体を用いる場合は、その揮発性が低いため、より薄い膜を形成することができ、透明性の高い超撥水性膜を作製するのに有利である。そのような化合物として、テトラデカン酸メチル、ヘキサデカン酸メチル、オクタデカン酸メチル等の長鎖脂肪族カルボン酸のメチルエステルが好ましく用いられる。
また、化合物(B)中に、上記化合物(F)とともに、揮発性の高い液体状の化合物(G)を構成成分として共存させることは、調製する超撥水性膜の膜厚を小さくし、その透明度を上げる上で有用である。この場合、重合性組成物の基材上への塗布後、重合性化合物(A)の重合プロセスを通して、化合物(F)は基材上にとどまるが、一方、化合物(G)は揮発するため、結果として、膜厚は薄くなる。そのような化合物(G)としては、25℃における飽和蒸気圧が600Pa以上である液体であることが好ましい。そのような用件を満たし、且つ、疎水性の高い化合物として、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、R17COOR18(式中R17及びR18は、それぞれ独立して炭素数1〜5のアルキル基を表すが、R17とR18の炭素数の合計は6以下である。)、R19COR20(式中R19及びR20は、それぞれ独立して炭素数1〜5のアルキル基を表すが、R19とR20の炭素数の合計は6以下である。)、R21OR22(式中R21及びR22は、それぞれ独立して炭素数1〜6のアルキル基を表すが、R21とR22の炭素数の合計は7以下である。)、ベンゼン、トルエン、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素が好ましく用いられる。R17COOR18の具体例としては、酢酸エチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、ブタン酸メチル、ブタン酸エチル、ペンタン酸メチル、ペンタン酸エチル、ヘキサン酸メチル等が、R19COR20の具体例としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等が、R21OR22の具体例としては、ジエチルエーテルがある。
化合物(F)と化合物(G)の混合割合は、超撥水性膜の目的性能、特に透明性に応じて、任意の割合で適宜設定することができる。
ポリマー(E)は、ポリマーを単一成分で、または、その2種類以上を混合して用いることができる。ポリマー(E)の構成成分として、重合性化合物(A)と化合物(B)と
相溶し、且つエネルギー線に対して不活性であれば、特に制限はない。ポリマー(E)は、本発明の効果を損なわない限り、重合性組成物(X)の硬化膜からその全てが除去されても構わないが、硬化膜の強度を確保する上で、少なくとも一部を硬化膜中に残留させることが好ましい。したがって、重合体ポリマー(P)と化合物(B)との相分離状態において、ポリマー(E)は重合体ポリマー(P)相にある程度分配されることが好ましく、その分配率が高ければ高いほど、硬化膜の強度は高くなる。このような観点から、ポリマー(E)は、超撥水性膜を構成する成分となるために疎水性が高いことが好ましく、アクリル系(共)重合体又はスチレン系(共)重合体が好ましく用いられる。中でも、ポリメチル(メタ)アクリレート、ポリエチル(メタ)アクリレート、ポリイソプロピル(メタ)アクリレート、ポリブチル(メタ)アクリレート、ポリイソブチル(メタ)アクリレート、ポリtert−ブチル(メタ)アクリレート、ポリヘキシル(メタ)アクリレート、ポリドデシル(メタ)アクリレート、ポリステアリル(メタ)アクリレート、ポリイソボルニル(メタ)アクリレート、ポリスチレン、ポリα−メチルスチレンが特に好ましく用いられる。また、ポリマー(E)の役割の1つとして、重合性組成物(X)の粘度を高めることによる、相分離条件の拡大が挙げられる。すなわち、重合性組成物(X)の粘度が高いほど、組成物に用いることのできる重合性化合物(A)および化合物(B)の種類が増える。また、後述するように、重合性組成物(X)の粘度は、超撥水性膜の孔径、表面凹凸性に影響を与える。したがって、該ポリマーの分子量は、超撥水性膜の目的性能に応じて適宜設定することが重要である。該ポリマーの分子量は10,000〜1,000,000の範囲において設定することが好ましい。
重合性組成物(X)に含まれる重合性化合物(A)と化合物(B)及びポリマー(E)の相対含有量によって、超撥水性膜の孔径、表面凹凸性や強度が変化する。重合性化合物(A)の含有量が多いほど膜の強度が向上するが、膜内部の孔径や表面凹凸は小さくなり、撥水性が低下する傾向にある。重合性化合物(A)の好ましい含有量としては30〜80質量%の範囲、特に好ましくは40〜70質量%の範囲が挙げられる。重合性化合物(A)の含有量が30質量%以下になると、膜の強度が低くなり、重合性化合物(A)の含有量が80質量%以上になると、膜内部の孔径や表面凹凸の調整が難しくなる。
また、重合性組成物(X)の粘度は、膜の細孔形状に影響を与える。重合性組成物(X)が低粘度であると、細孔の形状が、互いに接着した粒状ポリマーの間隙として与えられることが多く、逆に高粘度であると網状に析出したポリマーの間隙として与えられることが多い。すなわち、高粘度であるほど塗工性、膜厚の均質性は向上するが、孔径や表面凹凸が細かくなり、撥水性が低下する傾向にある。したがって、透明性等、超撥水性膜の目的性能に応じ、重合性化合物(A)と化合物(B)及びポリマー(E)の相対含有量、化合物(B)に対するポリマー(E)の相対含有量を変化させ、重合性組成物(X)の粘度を適宜設定することは重要である。
重合性組成物(X)には、重合速度や重合度、あるいは膜の孔径、表面凹凸性などを調整するために、重合開始剤、重合禁止剤、重合遅延剤、あるいは、増粘剤などの各種添加剤を添加してもよい。これらの添加剤に関しては、前記、第1の方法において行った説明と同様である。
基材(S)は、重合性組成物(X)や使用するエネルギー線によって実質的に侵されず、例えば、溶解、分解、重合などが生じず、かつ、重合性組成物(X)を実質的に侵さないものであればよい。基剤(S)についての説明も、前記と同様である。また、重合性組成物(X)の基材(S)への塗布方法は、前記の通りである。
重合過程において照射するエネルギー線は、前記説明の通りである。
重合性組成物(X)の重合により生成した、重合体ポリマー(P)と化合物(B)が相分離された膜から化合物(B)を除去する方法は、第1の方法において説明した通りである。
この方法により製造した超撥水性膜は、直径約0.05μm〜10μmの粒子状のポリマーが互いに凝集し、この粒子間の隙間が細孔となる凝集粒子構造の多孔性膜や、ポリマーが網目状に凝集した三次元網目構造の多孔性膜である。得られた超撥水性膜の膜厚は0.02〜100μm、平均表面粗さ(Ra)は20〜1000nmの範囲にある。表面の水接触角値は、150°以上を示す。
また、この発明の製造方法によると、前記のように、透明性の高い超撥水性膜を容易に得ることができる。例えば、波長600nmの可視光の透過率が80%以上である透明性超撥水性膜は、膜厚が0.02〜1.00μm、平均表面粗さ(Ra)は10〜100nmの範囲にあることが特徴である。
上記、第1の方法、及び、第2の方法について、工程αにより基材(S)上に超撥水性膜を作製する方法を説明したが、工程αを工程βの後に行う場合も、これと同様の方法により行うことができる。
工程αを後から行う場合のエネルギー線のパターン照射の方法は任意であり、例えば、エネルギー線を照射しない部分をマスキングして照射する、あるいはレーザーなどの活性エネルギー線のビームを走査するなどのフォトリソグラフィーの手法が利用できる。エネルギー線をパターン照射した後、非照射部分の未重合の重合性組成物(X)を除去する方法は、溶剤を用いた洗浄により行うことができる。溶剤は、重合性組成物(X)と相溶するものであれば、制限なく用いることができる。ただし、乾燥操作を容易にするために、メタノール、エタノール、アセトン、ヘキサン、酢酸エチル、ジエチルエーテル、クロロホルムなどの揮発性の高い汎用溶剤を用いることが好ましい。
また、工程αを後から行う場合において、重合性組成物(X)をパターン塗布する方法としては、インクジェット方式やXYロボットなどの液体精密定量吐出機能を備えた装置が好ましく用いられる。
[工程β]
工程βは、基材(S)上に重合性化合物(C)を含む重合性組成物(Y)を塗布し、エネルギー線を照射することにより親水性膜(PH)を形成する工程である。重合性化合物(C)は、エネルギー線の照射により重合可能な重合性化合物(b)を単一成分で、または、その2種類以上を混合して用いることができる。重合性化合物(b)は、エネルギー線の照射により重合しポリマーとなる物質であれば、ラジカル重合性、アニオン重合性、カチオン重合性など任意のものであってよいが、重合性化合物(C)中に含まれる重合性化合物(b)のうちの少なくとも1つが、親水性化学構造単位を有するものであることが好ましい。ここでいう親水性化学構造単位とは、例えば、ポリエチレングリコール単位、ポリオキシエチレン単位、水酸基、糖含有基、アミド結合、ピロリドン単位などのノニオン性化学構造単位;カルボキシ基、スルホン酸基、リン酸基などのアニオン性化学構造単位;アミノ基、アンモニウム基などのカチオン性化学構造単位;アミノ酸骨格を有する化学構造単位やリン酸基/アンモニウム基などの双性イオン性化学構造単位、などが挙げられる。また、重合性化合物(b)としては、ビニル基を含有する重合性化合物が用いられるが、なかでも、エネルギー線の照射による重合速度が速い(メタ)アクリル系化合物が好ましい。
親水性化学構造単位を有する重合性化合物(b)を例示すると、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリセロールモノ(メタ)アクリレートなどの水酸基を有するモノマー;ジエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ノナエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、テトラデカエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、トリエイコサエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシテトラエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシノナエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシテトラデカエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリエイコサエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシテトラエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシヘキサエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシノナエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレートなどのポリエチレングリコール単位やポリオキシエチレン単位を有するモノマー;
N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−n−プロピル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−シクロプロピル(メタ)アクリルアミド、N−メチル−N−エチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N−メチル−N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−メチル−N−n−プロピル(メタ)アクリルアミド、N−(メタ)アクリロイルモルホリン、N−(メタ)アクリロイルピロリジン、N−(メタ)アクリロイルピぺリジン、N−ビニル−2−ピロリドン、N−メチレンビスアクリルアミド、N−メトキシプロピル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロポキシプロピル(メタ)アクリルアミド、N−エトキシプロピル(メタ)アクリルアミド、N−1−メトキシメチルプロピル(メタ)アクリルアミド、N−メトキシエトキシプロピル(メタ)アクリルアミド、N−1−メチル−2−メトキシエチル(メタ)アクリルアミド、N−メチル−N−n−プロピル(メタ)アクリルアミド、N−(1,3−ジオキソラン−2−イル)(メタ)アクリルアミドなどのアミド結合を有するモノマー;
N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−(ビスメトキシメチル)カルバミルオキシエチルメタクリレート、N−メトキシメチルカルバミルオキシエチルメタクリレートなどのアミノ基を有するモノマー;2−(メタ)アクリロイルオキシエチルフタル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルフタル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルコハク酸などのカルボキシ基を有するモノマー;モノ(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)アシッドホスフェートなどのリン酸基を有するモノマー;
(メタ)アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド、(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメチルアンモニウムクロライドなどのアンモニウム基を有するモノマー;2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−フェニルプロパンスルホン酸、(メタ)アクリロイルオキシエチルスルホン酸ナトリウム、(メタ)アクリロイルオキシエチルスルホン酸アンモニウム、ビス(ポリオキシエチレン多環フェニルエーテル)メタクリレート硫酸エステル塩、アリルスルホン酸、メタリルスルホン酸、ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、スルホン酸ソーダエトキシメタクリレートなどのスルホン酸基を有するモノマー;これらの親水基を有する分子量500〜50000の重合性オリゴマー、などが挙げられる。
これらの中でも、より高い親水性部分、特に水接触角値10°以下を示す超親水性部分を有するパターン化膜を提供できるため、ノニルフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、モノ(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)アシッドホスフェート、(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメチルアンモニウムクロライド、(メタ)アクリロイルオキシエチルスルホン酸ナトリウム、ビス(ポリオキシエチレン多環フェニルエーテル)メタクリレート硫酸エステル塩が好ましく用いられる。
重合性化合物(b)として用いられる親水性化学構造単位を有していない重合性化合物としては、例えば、前記した工程1において使用できる重合性化合物(a)と同様の化合物を使用できる。また、粘度の調節や、あるいは接着性、粘着性などの機能を付与するために、単官能モノマーと混合して使用してもよく、混合できる単官能モノマーとしては、例えば前記した工程1において使用できる重合性化合物(a)と同様の化合物を使用できる。
重合性組成物(Y)には、必要に応じて、光重合開始剤、重合遅延剤、重合禁止剤などを混合して使用することができる。重合性組成物(Y)に添加できる光重合開始剤、重合遅延剤、重合禁止剤としては、例えば、前記した工程1において重合性組成物(X)の光重合開始剤、重合遅延剤、および重合禁止剤と同様の化合物を好適に使用できる。
重合性組成物(Y)の粘度は、超撥水性膜の孔径及び表面凹凸度に応じて変わりうるものであるが、本工程を工程αに次いで行う場合は、重合性組成物(Y)が速く超撥水性膜の孔内へ浸透すること、及びエネルギー線照射後に未重合の重合性組成物(Y)を除去する場合、重合性組成物(Y)が完全に孔内から除去されるという観点から、重合性組成物(Y)の粘度が25℃ において30〜3,000mPa・sの範囲であることが好ましく、100〜1,000mPa・sの範囲であることが更に好ましい。粘度が3,000mPa・sより大きいと、重合性組成物(Y)の超撥水性膜内部への浸透が困難になり、また、未重合の重合性組成物(Y)の除去も困難になる。
また、重合性組成物(Y)には、必要に応じて、溶剤を添加することができる。溶剤としては、使用する重合性化合物(b)や重合性組成物(Y)に添加された添加剤、あるいは要求される粘度などによって溶剤の種類や添加量を適宜調整する必要があるが、揮発性の高いものが好適に用いられる。その場合、重合性組成物(Y)の塗布後、エネルギー線照射による重合過程の前に溶剤は揮発するため、本工程を工程αに次いで行う場合は、エネルギー線照射による重合後、超撥水性膜の孔内及び表面において、重合性組成物(Y)から形成された親水性ポリマーが超撥水性膜を構成するポリマーの表面に吸着した形態となる。用いられる溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、2−プロパノールなどのアルコール類、アセトン、2−ブタノンなどのケトン類、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタンなどのエーテル類、水、及びそれらの混合溶剤が挙げられる。
基材(S)は、重合性組成物(Y)や使用するエネルギー線によって実質的に侵されず、例えば、溶解、分解、重合などが生じず、かつ、重合性組成物(Y)を実質的に侵さないものであればよい。具体的には、前記工程αで示した説明と同様である。
超撥水性膜上に重合性組成物(Y)を塗布する方法としては、公知慣用の方法であればいずれの方法でもよく、例えば、ディップ法、ロ−ルコ−ト法、ドクタ−ブレ−ド法、スピンコ−ト法、スプレ−法等による塗布方法が好ましく挙げられる。また、本工程を工程αに次いで行う場合において、重合性組成物(Y)をパターン塗布する方法としては、インクジェット方式やXYロボットなどの液体精密定量吐出機能を備えた装置が好ましく用いられる。
重合性組成物(Y)を塗布する量は、特に制限されないが、本工程を工程αに次いで行う際、溶剤を含まない重合性組成物(Y)を塗布する場合、塗布量を調節することにより、エネルギー線照射後に形成される重合性組成物(Y)の硬化物の上端を超撥水性膜の上端と同じレベルにすることが可能であり、段差のない超撥水性/親水性パターン化膜を作製する上で好ましい。
重合過程において照射するエネルギー線としては、紫外線、可視光線、赤外線、レーザー光線、放射光などの光線;エックス線、ガンマ線、放射光などの電離放射線;電子線、イオンビーム、ベータ線、重粒子線などの粒子線が挙げられる。これらの中でも、取り扱い性や硬化速度の面から紫外線及び可視光が好ましく、紫外線が特に好ましい。硬化速度を速め、硬化を完全に行う目的で、エネルギー線の照射を低酸素濃度雰囲気で行うことが好ましい。低酸素濃度雰囲気としては、窒素気流中、二酸化炭素気流中、アルゴン気流中、真空又は減圧雰囲気中が好ましい。
工程βを後から行う場合のエネルギー線のパターン照射の方法は任意であり、例えば、エネルギー線を照射しない部分をマスキングして照射する、あるいはレーザーなどの活性エネルギー線のビームを走査するなどのフォトリソグラフィーの手法が利用できる。エネルギー線をパターン照射した後、非照射部分の未重合の重合性組成物(Y)を除去する方法は、溶剤を用いた洗浄により行うことができる。溶剤は、重合性組成物(Y)と相溶するものであれば、制限なく用いることができる。ただし、乾燥操作を容易にするために、メタノール、エタノール、アセトン、ヘキサン、酢酸エチル、ジエチルエーテル、クロロホルムなどの揮発性の高い汎用溶剤を用いることが好ましい。
以上示した方法により製造した超撥水性/親水性パターン化膜は、直径約0.05μm〜10μmの粒子状のポリマーが互いに凝集し、この粒子間の隙間が細孔となる凝集粒子構造の多孔性膜や、ポリマーが網目状に凝集した三次元網目構造の多孔性膜である超撥水性領域と、以下に説明する親水性領域が同一平面上に共存する構造を有する。
工程α−工程βの順で製造した場合(課題を解決するための手段の項では、工程α1−工程β2の順):工程βにおいて、溶剤を含まない重合性組成物(Y)を用いて製造した場合の親水性領域は、主に超撥水性膜の孔内に重合性組成物(Y)の硬化物が充填された構造をとり、多くの場合、平滑な表面である。一方、溶剤を含む重合性組成物(Y)を用いて製造した場合の親水性領域は、主に超撥水性膜を構成するポリマーの表面に重合性組成物(Y)の硬化物が付着された構造をとり、多孔構造は保持される。
工程β−工程αの順で製造した場合(課題を解決するための手段の項では、工程β1−工程α2の順):親水性領域は、平滑な表面を有する。
また、本発明の製造方法によると、透明性の高い超撥水性部分を有する超撥水性/親水性パターン化膜を得ることができる。その場合の超撥水性部分の可視光透過率は、波長600nmにおいて80%以上であることが特徴である。
超撥水性/親水性パターン化膜の表面の水接触角値について、超撥水性部分は150°以上を示す。一方、親水性部分は、同60°以下を示し、中でも、超親水性を示す場合の水接触角値は10°以下である。
以下、実施例を用いて本発明を更に詳しく説明するが、本発明は、以下の実施例の範囲に限定されるものではない。
(実施例1)
[工程α]
〔基材の調製〕
松浪硝子工業株式会社製ガラス製平板S−1111(26mm×76mm、厚さ1mm)を、東京化成工業株式会社製メタクリル酸3−(トリメトキシシリル)プロピルエステル「M0725」の5mmol/Lのメタノール溶液に50℃にて3時間浸漬した後、メタノール中で超音波洗浄し、100℃の恒温槽で減圧下(0.01Pa以下)1時間加熱し、基材[S−1]を調製した。
〔超撥水性膜の作製〕
共栄社化学株式会社製エチレングリコールジメタクリレート「ライトエステルEG」6.94g、共栄社化学株式会社製tert−ブチルメタクリレート「ライトエステルTB」1.14g、共栄社化学株式会社製パーフロロオクチルエチルメタクリレート「ライトエステルFM−108」0.16g、及び、光重合開始剤としてチバガイギー社製1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン「イルガキュア184」0.18gを均一に混合して重合性化合物[A−1]を調製した。これを、デカン酸メチル4.64g及びAldrich社製ポリイソブチルメタクリレート(重量平均分子量300,000)0.52gと均一に混合して重合性組成物[X−1]を調製した。
前記の表面処理を施した基材[S−1]上に、スピンコーターを用いて、1000rpm、10秒間の条件で重合性組成物[X−1]を塗工した。該塗膜に3000Wメタルハライドランプを光源とするアイグラフィックス株式会社製のUE031−353CHC型UV照射装置(以下、「ランプ1」と称する。)を用い、365nmにおける紫外線強度が40mW/cmの紫外線を、室温、窒素気流下で3分間照射して重合性組成物[X−1]を重合させ、その後、エタノールおよびヘキサンを用いて洗浄することにより、基材上に形成された厚さ18μmの超撥水性膜[SH−1]を得た。
〔超撥水性膜の分析〕
水接触角:159°(転落角:1°)
測定装置:協和界面化学自動接触角計DM500
水滴量:4.0μl
以上の結果から、ガラス基材上に、超撥水性ポリマー膜が形成できたことが確認された。
[工程β]
〔超撥水性/親水性パターン化膜の作製〕
東亞合成株式会社製イソシアヌル酸EO変性ジアクリレート「アロニックスM−215」3.00g、第一工業製薬株式会社製EO変性ノニルフェノールアクリレート「ニューフロンティアN−177E」2.00g、及び、光重合開始剤としてチバガイギー社製1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン「イルガキュア184」0.01gを均一に混合して重合性組成物[Y−1]を調製した。
前記の基材[S−1]上に形成された超撥水性膜[SH−1]の上に、スピンコーターを用いて、7000rpm、25秒間の条件で重合性組成物[Y−1]を塗工した。次いで、超撥水性表面として残す部分をフォトマスキングし、250W高圧水銀ランプを光源とするウシオ電機株式会社製のマルチライト250Wシリーズ露光装置用光源ユニット(以下、「ランプ2」と称する。)を用い、365nmにおける紫外線強度が50mW/cmの紫外線を185秒間照射した後、エタノールを用いて洗浄することにより未重合の組成物[Y−1]を除去し、超撥水性/親水性パターン化膜[SHL−1]を作製した。
〔超撥水性/親水性パターン化膜の分析〕
外観:膜の外観写真を図1に示す。
[超撥水性部分]
水接触角:159°(転落角:1°)
測定装置:前記と同様。
水滴量:4.0μl
平均表面粗さ(Ra):410nm
測定装置:エスアイアイ・ナノテクノロジーズ走査型プローブ顕微鏡(SPI3800N/SPA400)
測定モード:AFM
走査エリア:10μm×10μm
表面形態:膜表面の走査型電子顕微鏡像を図2に示す。
測定装置:キーエンスリアルサーフェスビュー顕微鏡VE−9800
加速電圧:20kV
[親水性部分]
水接触角:32°
水滴量:1.0μl
平均表面粗さ(Ra):4.5nm
測定装置、測定条件:前記と同様。
表面形態:膜表面の走査型電子顕微鏡像を図3に示す。
測定装置:前記と同様。
加速電圧:20kV
以上の結果から、ガラス基材上に、超撥水性部分と親水性部分の共存する表面を有する超撥水性/親水性パターン化膜が形成できたことが確認された。
(実施例2)
[工程α]
〔基材の調製〕
日東樹脂工業株式会社メタアクリル樹脂板クラレックスS0(厚さ1mm)を切り出して(53mm×80mm)、基材[S−2]とした。
〔超撥水性膜の作製〕
基材として、[S−1]の代わりに[S−2]を用いる以外は実施例1と同様にして、基材上に形成された厚さ19μmの超撥水性膜[SH−2]を得た。
〔超撥水性膜の分析〕
水接触角:161°(転落角:1°)
測定装置、測定条件等は、実施例1に記載の通り。
以上の結果から、メタアクリル基材上に、超撥水性ポリマー膜が形成できたことが確認された。
[工程β]
〔超撥水性/親水性パターン化膜の作製〕
基材[S−1]上に形成された超撥水性膜[SH−1]の代わりに、基材[S−2]上に形成された超撥水性膜[SH−2]を用いる以外は実施例1と同様にして、超撥水性/親水性パターン化膜[SHL−2]を作製した。
〔超撥水性/親水性パターン化膜の分析〕
[超撥水性部分]
水接触角:160°(転落角:1°)
平均表面粗さ(Ra):400nm
表面形態:走査型電子顕微鏡を用いて評価した。
測定装置、測定条件等は、実施例1に記載の通り。
[親水性部分]
水接触角:33°
平均表面粗さ(Ra):3.8nm
表面形態:走査型電子顕微鏡を用いて評価した。
測定装置、測定条件等は、実施例1に記載の通り。
以上の結果から、メタアクリル基材上に、超撥水性部分と親水性部分の共存する表面を有する超撥水性/親水性パターン化膜が形成できたことが確認された。
(実施例3)
[工程α]
〔基材の調製〕
東洋紡績株式会社二軸延伸ポリエステルフィルムコスモシャインA4300(厚さ125μm)を切り出して(40mm×50mm)、基材[S−3]とした。
〔超撥水性膜の作製〕
基材として、[S−1]の代わりに[S−3]を用いる以外は実施例1と同様にして、基材上に形成された厚さ17μmの超撥水性膜[SH−3]を得た。
〔超撥水性膜の分析〕
水接触角:158°(転落角:1°)
測定装置、測定条件等は、実施例1に記載の通り。
以上の結果から、ポリエステル基材上に、超撥水性ポリマー膜が形成できたことが確認された。
[工程β]
〔超撥水性/親水性パターン化膜の作製〕
基材[S−1]上に形成された超撥水性膜[SH−1]の代わりに、基材[S−3]上に形成された超撥水性膜[SH−3]を用いる以外は実施例1と同様にして、超撥水性/親水性パターン化膜[SHL−3]を作製した。
〔超撥水性/親水性パターン化膜の分析〕
[超撥水性部分]
水接触角:159°(転落角:1°)
平均表面粗さ(Ra):390nm
表面形態:走査型電子顕微鏡を用いて評価した。
測定装置、測定条件等は、実施例1に記載の通り。
[親水性部分]
水接触角:30°
平均表面粗さ(Ra):3.1nm
表面形態:走査型電子顕微鏡を用いて評価した。
測定装置、測定条件等は、実施例1に記載の通り。
以上の結果から、ポリエステル基材上に、超撥水性部分と親水性部分の共存する表面を有する超撥水性/親水性パターン化膜が形成できたことが確認された。
(実施例4)
[工程α]
〔超撥水性膜の作製〕
実施例1と同様の方法により、重合性化合物[A−1]を調製した。これを、テトラデカン酸メチル5.23gと均一に混合して、重合性組成物[X−2]を調製した。
続いて、重合性組成物[X−1]の代わりに、[X−2]を用いる以外は実施例1と同様にして、基材上に形成された厚さ16μmの超撥水性膜[SH−4]を得た。
〔超撥水性膜の分析〕
水接触角:152°(転落角:2°)
測定装置、測定条件等は、実施例1に記載の通り。
以上の結果から、ガラス基材上に、超撥水性ポリマー膜が形成できたことが確認された。
[工程β]
〔超撥水性/親水性パターン化膜の作製〕
基材[S−1]上に形成された超撥水性膜[SH−1]の代わりに、基材[S−1]上に形成された超撥水性膜[SH−4]を用いる以外は実施例1と同様にして、超撥水性/親水性パターン化膜[SHL−4]を作製した。
〔超撥水性/親水性パターン化膜の分析〕
[超撥水性部分]
水接触角:152°(転落角:2°)
平均表面粗さ(Ra):260nm
表面形態:走査型電子顕微鏡を用いて評価した。
測定装置、測定条件等は、実施例1に記載の通り。
[親水性部分]
水接触角:34°
平均表面粗さ(Ra):4.0nm
表面形態:走査型電子顕微鏡を用いて評価した。
測定装置、測定条件等は、実施例1に記載の通り。
以上の結果から、ガラス基材上に、超撥水性部分と親水性部分の共存する表面を有する超撥水性/親水性パターン化膜が形成できたことが確認された。
(実施例5)
[工程α]
〔超撥水性膜の作製〕
実施例1と同様の方法により、重合性化合物[A−1]を調製した。これを、イソブチルベンゼン4.65g及びAldrich社製ポリイソブチルメタクリレート(重量平均分子量300,000)0.52gと均一に混合して重合性組成物[X−3]を調製した。
続いて、重合性組成物[X−1]の代わりに、[X−3]を用いる以外は実施例1と同様にして、基材上に形成された厚さ23μmの超撥水性膜[SH−5]を得た。
〔超撥水性膜の分析〕
水接触角:161°(転落角:1°)
測定装置、測定条件等は、実施例1に記載の通り。
以上の結果から、ガラス基材上に、超撥水性ポリマー膜が形成できたことが確認された。
[工程β]
〔超撥水性/親水性パターン化膜の作製〕
基材[S−1]上に形成された超撥水性膜[SH−1]の代わりに、基材[S−1]上に形成された超撥水性膜[SH−5]を用いる以外は実施例1と同様にして、超撥水性/親水性パターン化膜[SHL−5]を作製した。
〔超撥水性/親水性パターン化膜の分析〕
[超撥水性部分]
水接触角:160°(転落角:1°)
平均表面粗さ(Ra):370nm
表面形態:走査型電子顕微鏡を用いて評価した。
測定装置、測定条件等は、実施例1に記載の通り。
[親水性部分]
水接触角:31°
平均表面粗さ(Ra):3.9nm
表面形態:走査型電子顕微鏡を用いて評価した。
測定装置、測定条件等は、実施例1に記載の通り。
以上の結果から、ガラス基材上に、超撥水性部分と親水性部分の共存する表面を有する超撥水性/親水性パターン化膜が形成できたことが確認された。
(実施例6)
[工程α]
〔超撥水性膜の作製〕
実施例1と同様の方法により、重合性化合物[A−1]を調製した。これを、ジエチレングリコールジブチルエーテル4.64g及びAldrich社製ポリイソブチルメタクリレート(重量平均分子量300,000)0.52gと均一に混合して重合性組成物[X−4]を調製した。
続いて、重合性組成物[X−1]の代わりに、[X−4]を用いる以外は実施例1と同様にして、基材上に形成された厚さ20μmの超撥水性膜[SH−6]を得た。
〔超撥水性膜の分析〕
水接触角:160°(転落角:1°)
測定装置、測定条件等は、実施例1に記載の通り。
以上の結果から、ガラス基材上に、超撥水性ポリマー膜が形成できたことが確認された。
[工程β]
〔超撥水性/親水性パターン化膜の作製〕
基材[S−1]上に形成された超撥水性膜[SH−1]の代わりに、基材[S−1]上に形成された超撥水性膜[SH−6]を用いる以外は実施例1と同様にして、超撥水性/親水性パターン化膜[SHL−6]を作製した。
〔超撥水性/親水性パターン化膜の分析〕
[超撥水性部分]
水接触角:161°(転落角:1°)
平均表面粗さ(Ra):390nm
表面形態:走査型電子顕微鏡を用いて評価した。
測定装置、測定条件等は、実施例1に記載の通り。
[親水性部分]
水接触角:30°
平均表面粗さ(Ra):4.3nm
表面形態:走査型電子顕微鏡を用いて評価した。
測定装置、測定条件等は、実施例1に記載の通り。
以上の結果から、ガラス基材上に、超撥水性部分と親水性部分の共存する表面を有する超撥水性/親水性パターン化膜が形成できたことが確認された。
(実施例7)
[工程α]
〔超撥水性膜の作製〕
実施例1と同様の方法により、重合性化合物[A−1]を調製した。これを、デカン酸メチル4.64g及びAldrich社製ポリエチルメタクリレート(重量平均分子量340,000)0.52gと均一に混合して重合性組成物[X−5]を調製した。
続いて、重合性組成物[X−1]の代わりに、[X−5]を用いる以外は実施例1と同様にして、基材上に形成された厚さ19μmの超撥水性膜[SH−7]を得た。
〔超撥水性膜の分析〕
水接触角:154°(転落角:1°)
測定装置、測定条件等は、実施例1に記載の通り。
以上の結果から、ガラス基材上に、超撥水性ポリマー膜が形成できたことが確認された。
[工程β]
〔超撥水性/親水性パターン化膜の作製〕
基材[S−1]上に形成された超撥水性膜[SH−1]の代わりに、基材[S−1]上に形成された超撥水性膜[SH−7]を用いる以外は実施例1と同様にして、超撥水性/親水性パターン化膜[SHL−7]を作製した。
〔超撥水性/親水性パターン化膜の分析〕
[超撥水性部分]
水接触角:155°(転落角:1°)
平均表面粗さ(Ra):320nm
表面形態:走査型電子顕微鏡を用いて評価した。
測定装置、測定条件等は、実施例1に記載の通り。
[親水性部分]
水接触角:33°
平均表面粗さ(Ra):4.7nm
表面形態:走査型電子顕微鏡を用いて評価した。
測定装置、測定条件等は、実施例1に記載の通り。
以上の結果から、ガラス基材上に、超撥水性部分と親水性部分の共存する表面を有する超撥水性/親水性パターン化膜が形成できたことが確認された。
(実施例8)
[工程α]
〔超撥水性膜の作製〕
実施例1と同様の方法により、重合性化合物[A−1]を調製した。これを、デカン酸メチル4.64g及びAldrich社製ポリスチレン(重量平均分子量280,000)0.48gと均一に混合して重合性組成物[X−6]を調製した。
続いて、重合性組成物[X−1]の代わりに、[X−6]を用いる以外は実施例1と同様にして、基材上に形成された厚さ18μmの超撥水性膜[SH−8]を得た。
〔超撥水性膜の分析〕
水接触角:150°(転落角:2°)
測定装置、測定条件等は、実施例1に記載の通り。
以上の結果から、ガラス基材上に、超撥水性ポリマー膜が形成できたことが確認された。
[工程β]
〔超撥水性/親水性パターン化膜の作製〕
基材[S−1]上に形成された超撥水性膜[SH−1]の代わりに、基材[S−1]上に形成された超撥水性膜[SH−8]を用いる以外は実施例1と同様にして、超撥水性/親水性パターン化膜[SHL−8]を作製した。
〔超撥水性/親水性パターン化膜の分析〕
[超撥水性部分]
水接触角:152°(転落角:2°)
平均表面粗さ(Ra):310nm
表面形態:走査型電子顕微鏡を用いて評価した。
測定装置、測定条件等は、実施例1に記載の通り。
[親水性部分]
水接触角:34°
平均表面粗さ(Ra):2.7nm
表面形態:走査型電子顕微鏡を用いて評価した。
測定装置、測定条件等は、実施例1に記載の通り。
以上の結果から、ガラス基材上に、超撥水性部分と親水性部分の共存する表面を有する超撥水性/親水性パターン化膜が形成できたことが確認された。
(実施例9)
[工程α]
〔超撥水性膜の作製〕
共栄社化学株式会社製1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート「ライトエステル1,6HX」6.87g、共栄社化学株式会社製n−ラウリルメタクリレート「ライトエステルL」1.27g、前記「ライトエステルFM−108」0.16g、及び、光重合開始剤として前記「イルガキュア184」0.18gを均一に混合して重合性化合物[A−2]を調製した。これを、デカン酸メチル4.64g及びAldrich社製ポリイソブチルメタクリレート(重量平均分子量300,000)0.52gと均一に混合して重合性組成物[X−7]を調製した。
続いて、重合性組成物[X−1]の代わりに、[X−7]を用いる以外は実施例1と同様にして、基材上に形成された厚さ20μmの超撥水性膜[SH−9]を得た。
〔超撥水性膜の分析〕
水接触角:159°(転落角:1°)
測定装置、測定条件等は、実施例1に記載の通り。
以上の結果から、ガラス基材上に、超撥水性ポリマー膜が形成できたことが確認された。
[工程β]
〔超撥水性/親水性パターン化膜の作製〕
基材[S−1]上に形成された超撥水性膜[SH−1]の代わりに、基材[S−1]上に形成された超撥水性膜[SH−9]を用いる以外は実施例1と同様にして、超撥水性/親水性パターン化膜[SHL−9]を作製した。
〔超撥水性/親水性パターン化膜の分析〕
[超撥水性部分]
水接触角:160°(転落角:1°)
平均表面粗さ(Ra):290nm
表面形態:走査型電子顕微鏡を用いて評価した。
測定装置、測定条件等は、実施例1に記載の通り。
[親水性部分]
水接触角:32°
平均表面粗さ(Ra):3.2nm
表面形態:走査型電子顕微鏡を用いて評価した。
測定装置、測定条件等は、実施例1に記載の通り。
以上の結果から、ガラス基材上に、超撥水性部分と親水性部分の共存する表面を有する超撥水性/親水性パターン化膜が形成できたことが確認された。
(実施例10)
[工程α]
〔超撥水性膜の作製〕
共栄社化学株式会社製ジメチロールトリシクロデカンジアクリレート「ライトアクリレートDCP−A」7.00g、大阪有機化学工業株式会社製イソブチルアクリレート「AIB」1.02g、共栄社化学株式会社製パーフロロオクチルエチルアクリレート「ライトアクリレートFA−108」0.15g、及び、光重合開始剤として前記「イルガキュア184」0.18gを均一に混合して重合性化合物[A−3]を調製した。これを、デカン酸メチル4.64g及びAldrich社製ポリイソブチルメタクリレート(重量平均分子量300,000)0.52gと均一に混合して重合性組成物[X−8]を調製した。
続いて、重合性組成物[X−1]の代わりに、[X−8]を用いる以外は実施例1と同様にして、基材上に形成された厚さ26μmの超撥水性膜[SH−10]を得た。
〔超撥水性膜の分析〕
水接触角:157°(転落角:1°)
測定装置、測定条件等は、実施例1に記載の通り。
以上の結果から、ガラス基材上に、超撥水性ポリマー膜が形成できたことが確認された。
[工程β]
〔超撥水性/親水性パターン化膜の作製〕
基材[S−1]上に形成された超撥水性膜[SH−1]の代わりに、基材[S−1]上に形成された超撥水性膜[SH−10]を用いる以外は実施例1と同様にして、超撥水性/親水性パターン化膜[SHL−10]を作製した。
〔超撥水性/親水性パターン化膜の分析〕
[超撥水性部分]
水接触角:158°(転落角:1°)
平均表面粗さ(Ra):360nm
表面形態:走査型電子顕微鏡を用いて評価した。
測定装置、測定条件等は、実施例1に記載の通り。
[親水性部分]
水接触角:32°
平均表面粗さ(Ra):3.4nm
表面形態:走査型電子顕微鏡を用いて評価した。
測定装置、測定条件等は、実施例1に記載の通り。
以上の結果から、ガラス基材上に、超撥水性部分と親水性部分の共存する表面を有する超撥水性/親水性パターン化膜が形成できたことが確認された。
(実施例11)
[工程α]
〔超撥水性膜の作製〕
実施例1と同様の方法により、重合性組成物[X−1]を調製した。これを、酢酸エチル50.5gと均一に混合して重合性組成物[X−9]を調製した。
続いて、実施例1と同様の方法により表面処理を施した基材[S−1]上に、スピンコーターを用いて、2000rpm、180秒間の条件で重合性組成物[X−9]を塗工した。該塗膜に対して、実施例1と同様の方法で重合、続いて、洗浄を行うことにより、基材上に形成された厚さ0.7μmの超撥水性膜[SH−11]を得た。
〔超撥水性膜の分析〕
水接触角:152°(転落角:2°)
測定装置、測定条件等は、実施例1に記載の通り。
以上の結果から、ガラス基材上に、超撥水性ポリマー膜が形成できたことが確認された。
[工程β]
〔超撥水性/親水性パターン化膜の作製〕
基材[S−1]上に形成された超撥水性膜[SH−1]の代わりに、基材[S−1]上に形成された超撥水性膜[SH−11]を用いる以外は実施例1と同様にして、超撥水性/親水性パターン化膜[SHL−11]を作製した。
〔超撥水性/親水性パターン化膜の分析〕
[超撥水性部分]
水接触角:152°(転落角:2°)
平均表面粗さ(Ra):52nm
表面形態:走査型電子顕微鏡を用いて評価した。
測定装置、測定条件等は、実施例1に記載の通り。
[親水性部分]
水接触角:30°
平均表面粗さ(Ra):3.5nm
表面形態:走査型電子顕微鏡を用いて評価した。
測定装置、測定条件等は、実施例1に記載の通り。
以上の結果から、ガラス基材上に、超撥水性部分と親水性部分の共存する表面を有する超撥水性/親水性パターン化膜が形成できたことが確認された。
(実施例12)
[工程α]
〔超撥水性膜の作製〕
実施例1と同様の方法により、重合性組成物[X−1]を調製した。これを、ヘキサン9.23gと均一に混合して重合性組成物[X−10]を調製した。
続いて、実施例1と同様の方法により表面処理を施した基材[S−1]上に、スピンコーターを用いて、2000rpm、180秒間の条件で重合性組成物[X−10]を塗工した。該塗膜に対して、実施例1と同様の方法で重合、続いて、洗浄を行うことにより、基材上に形成された厚さ0.8μmの超撥水性膜[SH−12]を得た。
〔超撥水性膜の分析〕
水接触角:151°(転落角:2°)
測定装置、測定条件等は、実施例1に記載の通り。
以上の結果から、ガラス基材上に、超撥水性ポリマー膜が形成できたことが確認された。
[工程β]
〔超撥水性/親水性パターン化膜の作製〕
基材[S−1]上に形成された超撥水性膜[SH−1]の代わりに、基材[S−1]上に形成された超撥水性膜[SH−12]を用いる以外は実施例1と同様にして、超撥水性/親水性パターン化膜[SHL−12]を作製した。
〔超撥水性/親水性パターン化膜の分析〕
[超撥水性部分]
水接触角:152°(転落角:2°)
平均表面粗さ(Ra):47nm
表面形態:走査型電子顕微鏡を用いて評価した。
測定装置、測定条件等は、実施例1に記載の通り。
[親水性部分]
水接触角:29°
平均表面粗さ(Ra):4.1nm
表面形態:走査型電子顕微鏡を用いて評価した。
測定装置、測定条件等は、実施例1に記載の通り。
以上の結果から、ガラス基材上に、超撥水性部分と親水性部分の共存する表面を有する超撥水性/親水性パターン化膜が形成できたことが確認された。
(実施例13)
[工程α]
〔超撥水性膜の作製〕
実施例1と同様の方法により、基材[S−1]上に形成された厚さ18μmの超撥水性膜[SH−1]を得た。
[工程β]
〔超撥水性/親水性パターン化膜の作製〕
前記「アロニックスM−215」3.00g、和光純薬工業株式会社製N,N−ジメチルアクリルアミド「049−19185」2.00g、及び、光重合開始剤として前記「イルガキュア184」0.01gを均一に混合して重合性組成物[Y−2]を調製した。
前記の基材[S−1]上に形成された超撥水性膜[SH−1]の上に、重合性組成物[Y−1]の代わりに[Y−2]を用いる以外は実施例1と同様にして、超撥水性/親水性パターン化膜[SHL−13]を作製した。
〔超撥水性/親水性パターン化膜の分析〕
[超撥水性部分]
水接触角:160°(転落角:1°)
平均表面粗さ(Ra):420nm
表面形態:走査型電子顕微鏡を用いて評価した。
測定装置、測定条件等は、実施例1に記載の通り。
[親水性部分]
水接触角:21°
平均表面粗さ(Ra):3.8nm
表面形態:走査型電子顕微鏡を用いて評価した。
測定装置、測定条件等は、実施例1に記載の通り。
以上の結果から、ガラス基材上に、超撥水性部分と親水性部分の共存する表面を有する超撥水性/親水性パターン化膜が形成できたことが確認された。
(実施例14)
[工程α]
〔超撥水性膜の作製〕
実施例1と同様の方法により、基材[S−1]上に形成された厚さ18μmの超撥水性膜[SH−1]を得た。
[工程β]
〔超撥水性/親水性パターン化膜の作製〕
前記「アロニックスM−215」3.25g、和光純薬工業株式会社製N−イソプロピルアクリルアミド「099−03695」1.25g、共栄社化学株式会社製2−ヒドロキシエチルアクリレート「ライトエステルHOA」0.50g、及び、光重合開始剤として前記「イルガキュア184」0.01gを均一に混合して重合性組成物[Y−3]を調製した。
前記の基材[S−1]上に形成された超撥水性膜[SH−1]の上に、重合性組成物[Y−1]の代わりに[Y−3]を用いる以外は実施例1と同様にして、超撥水性/親水性パターン化膜[SHL−14]を作製した。
〔超撥水性/親水性パターン化膜の分析〕
[超撥水性部分]
水接触角:161°(転落角:1°)
平均表面粗さ(Ra):410nm
表面形態:走査型電子顕微鏡を用いて評価した。
測定装置、測定条件等は、実施例1に記載の通り。
[親水性部分]
水接触角:30°
平均表面粗さ(Ra):4.4nm
表面形態:走査型電子顕微鏡を用いて評価した。
測定装置、測定条件等は、実施例1に記載の通り。
以上の結果から、ガラス基材上に、超撥水性部分と親水性部分の共存する表面を有する超撥水性/親水性パターン化膜が形成できたことが確認された。
(実施例15)
[工程α]
〔超撥水性膜の作製〕
実施例1と同様の方法により、基材[S−1]上に形成された厚さ18μmの超撥水性膜[SH−1]を得た。
[工程β]
〔超撥水性/親水性パターン化膜の作製〕
新中村化学工業株式会社製ポリエチレングリコール#600ジアクリレート「NKエステルA−600」3.25g、前記「099−03695」1.25g、前記「ライトエステルHOA」0.50g、及び、光重合開始剤として前記「イルガキュア184」0.01gを均一に混合して重合性組成物[Y−4]を調製した。
前記の基材[S−1]上に形成された超撥水性膜[SH−1]の上に、重合性組成物[Y−1]の代わりに[Y−4]を用いる以外は実施例1と同様にして、超撥水性/親水性パターン化膜[SHL−15]を作製した。
〔超撥水性/親水性パターン化膜の分析〕
[超撥水性部分]
水接触角:160°(転落角:1°)
平均表面粗さ(Ra):390nm
表面形態:走査型電子顕微鏡を用いて評価した。
測定装置、測定条件等は、実施例1に記載の通り。
[親水性部分]
水接触角:24°
平均表面粗さ(Ra):3.3nm
表面形態:走査型電子顕微鏡を用いて評価した。
測定装置、測定条件等は、実施例1に記載の通り。
以上の結果から、ガラス基材上に、超撥水性部分と親水性部分の共存する表面を有する超撥水性/親水性パターン化膜が形成できたことが確認された。
(実施例16)
[工程α]
〔超撥水性膜の作製〕
実施例1と同様の方法により、基材[S−1]上に形成された厚さ18μmの超撥水性膜[SH−1]を得た。
[工程β]
〔超撥水性/親水性パターン化膜の作製〕
前記「アロニックスM−215」3.00g、前記「ニューフロンティアN−177E」1.00g、日本乳化剤株式会社ビス(ポリオキシエチレン多環フェニルエーテル)メタクリレート硫酸エステル塩「アントックスMS−60」1.00g、及び、光重合開始剤として前記「イルガキュア184」0.01gを均一に混合して重合性組成物[Y−5]を調製した。
前記の基材[S−1]上に形成された超撥水性膜[SH−1]の上に、重合性組成物[Y−1]の代わりに[Y−5]を用いる以外は実施例1と同様にして、超撥水性/親水性パターン化膜[SHL−16]を作製した。
〔超撥水性/親水性パターン化膜の分析〕
[超撥水性部分]
水接触角:162°(転落角:1°)
平均表面粗さ(Ra):430nm
表面形態:走査型電子顕微鏡を用いて評価した。
測定装置、測定条件等は、実施例1に記載の通り。
[親水性部分]
水接触角:7°
平均表面粗さ(Ra):3.6nm
表面形態:走査型電子顕微鏡を用いて評価した。
測定装置、測定条件等は、実施例1に記載の通り。
以上の結果から、ガラス基材上に、超撥水性部分と親水性部分の共存する表面を有する超撥水性/親水性パターン化膜が形成できたことが確認された。
(実施例17)
[工程α]
〔超撥水性膜の作製〕
実施例1と同様の方法により、基材[S−1]上に形成された厚さ18μmの超撥水性膜[SH−1]を得た。
[工程β]
〔超撥水性/親水性パターン化膜の作製〕
前記「アロニックスM−215」3.00g、前記「アントックスMS−60」2.00g、及び、光重合開始剤として前記「イルガキュア184」0.01gを均一に混合して重合性組成物[Y−6]を調製した。
前記の基材[S−1]上に形成された超撥水性膜[SH−1]の上に、重合性組成物[Y−1]の代わりに[Y−6]を用いる以外は実施例1と同様にして、超撥水性/親水性パターン化膜[SHL−17]を作製した。
〔超撥水性/親水性パターン化膜の分析〕
[超撥水性部分]
水接触角:160°(転落角:1°)
平均表面粗さ(Ra):400nm
表面形態:走査型電子顕微鏡を用いて評価した。
測定装置、測定条件等は、実施例1に記載の通り。
[親水性部分]
水接触角:10°
平均表面粗さ(Ra):4.9nm
表面形態:走査型電子顕微鏡を用いて評価した。
測定装置、測定条件等は、実施例1に記載の通り。
以上の結果から、ガラス基材上に、超撥水性部分と親水性部分の共存する表面を有する超撥水性/親水性パターン化膜が形成できたことが確認された。
(実施例18)
[工程α]
〔超撥水性膜の作製〕
実施例1と同様の方法により、基材[S−1]上に形成された厚さ18μmの超撥水性膜[SH−1]を得た。
[工程β]
〔超撥水性/親水性パターン化膜の作製〕
日本乳化剤株式会社2−ソジウムスルホエチルメタクリレート「アントックスMS−2N」1.00g、水2.00g、2−プロパノール1.20g、及び、光重合開始剤として前記「イルガキュア184」0.01gを均一に混合して重合性組成物[Y−7]を調製した。
前記の基材[S−1]上に形成された超撥水性膜[SH−1]の上に、スポイドを用いた滴下により重合性組成物[Y−7]を塗工した。次いで、超撥水性表面として残す部分をフォトマスキングし、「ランプ1」を用い、365nmにおける紫外線強度が40mW/cmの紫外線を、室温、窒素気流下で3分間照射した後、水/2−プロパノール混合溶液(質量比:5/3)を用いて洗浄することにより未重合の組成物[Y−7]を除去し、超撥水性/親水性パターン化膜[SHL−18]を作製した。
〔超撥水性/親水性パターン化膜の分析〕
外観:膜の外観写真を図4に示す。
[超撥水性部分]
水接触角:160°(転落角:1°)
平均表面粗さ(Ra):420nm
表面形態:膜表面の走査型電子顕微鏡像を図5に示す。
測定装置、測定条件等は、実施例1に記載の通り。
[親水性部分]
水接触角:0°
平均表面粗さ(Ra):400nm
表面形態:膜表面の走査型電子顕微鏡像を図6に示す。
測定装置、測定条件等は、実施例1に記載の通り。
以上の結果から、ガラス基材上に、超撥水性部分と親水性部分の共存する表面を有する超撥水性/親水性パターン化膜が形成できたことが確認された。
(実施例19)
[工程α]
〔超撥水性膜の作製〕
実施例10と同様の方法により、基材[S−1]上に形成された厚さ26μmの超撥水性膜[SH−10]を得た。
[工程β]
〔超撥水性/親水性パターン化膜の作製〕
基材[S−1]上に形成された超撥水性膜[SH−1]の代わりに、基材[S−1]上に形成された超撥水性膜[SH−10]を用いる以外は実施例18と同様にして、重合性組成物[Y−7]を用いて、超撥水性/親水性パターン化膜[SHL−19]を作製した。
〔超撥水性/親水性パターン化膜の分析〕
[超撥水性部分]
水接触角:158°(転落角:1°)
平均表面粗さ(Ra):350nm
表面形態:走査型電子顕微鏡を用いて評価した。
測定装置、測定条件等は、実施例1に記載の通り。
[親水性部分]
水接触角:0°
平均表面粗さ(Ra):360nm
表面形態:走査型電子顕微鏡を用いて評価した。
測定装置、測定条件等は、実施例1に記載の通り。
以上の結果から、ガラス基材上に、超撥水性部分と親水性部分の共存する表面を有する超撥水性/親水性パターン化膜が形成できたことが確認された。
(実施例20)
[工程α]
〔超撥水性膜の作製〕
実施例1と同様の方法により、基材[S−1]上に形成された厚さ18μmの超撥水性膜[SH−1]を得た。
[工程β]
〔超撥水性/親水性パターン化膜の作製〕
共栄社化学株式会社ジメチルアミノエチルメタクリレート四級化物「ライトエステルDQ−100」1.00g、水2.00g、2−プロパノール1.20g、及び、光重合開始剤として前記「イルガキュア184」0.01gを均一に混合して重合性組成物[Y−8]を調製した。
続いて、重合性組成物[Y−7]の代わりに[Y−8]を用いる以外は実施例18と同様にして、前記の基材[S−1]上に形成された超撥水性膜[SH−1]の上に超撥水性/親水性パターン化膜[SHL−20]を作製した。
〔超撥水性/親水性パターン化膜の分析〕
[超撥水性部分]
水接触角:161°(転落角:1°)
平均表面粗さ(Ra):390nm
表面形態:走査型電子顕微鏡を用いて評価した。
測定装置、測定条件等は、実施例1に記載の通り。
[親水性部分]
水接触角:0°
平均表面粗さ(Ra):380nm
表面形態:走査型電子顕微鏡を用いて評価した。
測定装置、測定条件等は、実施例1に記載の通り。
以上の結果から、ガラス基材上に、超撥水性部分と親水性部分の共存する表面を有する超撥水性/親水性パターン化膜が形成できたことが確認された。
(実施例21)
[工程α]
〔超撥水性膜の作製〕
実施例10と同様の方法により、基材[S−1]上に形成された厚さ26μmの超撥水性膜[SH−10]を得た。
[工程β]
〔超撥水性/親水性パターン化膜の作製〕
重合性組成物[Y−7]の代わりに[Y−8]を用いる以外は実施例19と同様にして、前記の基材[S−1]上に形成された超撥水性膜[SH−10]の上に超撥水性/親水性パターン化膜[SHL−21]を作製した。
〔超撥水性/親水性パターン化膜の分析〕
[超撥水性部分]
水接触角:159°(転落角:1°)
平均表面粗さ(Ra):350nm
表面形態:走査型電子顕微鏡を用いて評価した。
測定装置、測定条件等は、実施例1に記載の通り。
[親水性部分]
水接触角:0°
平均表面粗さ(Ra):350nm
表面形態:走査型電子顕微鏡を用いて評価した。
測定装置、測定条件等は、実施例1に記載の通り。
以上の結果から、ガラス基材上に、超撥水性部分と親水性部分の共存する表面を有する超撥水性/親水性パターン化膜が形成できたことが確認された。
(実施例22)
[工程β]
〔親水性膜の作製〕
実施例1と同様の方法により、重合性組成物[Y−1]を調製した。次いで、実施例1と同様の方法で調製した基材[S−1]上に、スピンコーターを用いて、3000rpm、25秒間の条件で重合性組成物[Y−1]を塗工した。ランプ1を用い、365nmにおける紫外線強度40mW/cmの紫外線を、該塗膜に室温、窒素気流下で1分間照射して重合性組成物[Y−1]を重合させ、基材上に形成された厚さ25μmの親水性膜[PH−1]を得た。
〔親水性膜の分析〕
水接触角:25°
表面形態:走査型電子顕微鏡を用いて評価した。
測定装置、測定条件等は、実施例1に記載の通り。
[工程α]
〔超撥水性/親水性パターン化膜の作製〕
実施例1と同様の方法により、重合性組成物[X−1]を調製した。前記の基材[S−1]上に形成された超撥水性膜[PH−1]の上に、スピンコーターを用いて、1000rpm、10秒間の条件で重合性組成物[X−1]を塗工した。次いで、親水性表面として残す部分をフォトマスキングし、ランプ2を用い、365nmにおける紫外線強度が50mW/cmの紫外線を185秒間照射した後、エタノールを用いて洗浄することにより未重合の組成物[X−1]を除去し、超撥水性/親水性パターン化膜[SHL−22]を作製した。
〔超撥水性/親水性パターン化膜の分析〕
[超撥水性部分]
水接触角:160°(転落角:1°)
平均表面粗さ(Ra):380nm
表面形態:走査型電子顕微鏡を用いて評価した。
測定装置、測定条件等は、実施例1に記載の通り。
[親水性部分]
水接触角:29°
平均表面粗さ(Ra):2.2nm
表面形態:走査型電子顕微鏡を用いて評価した。
測定装置、測定条件等は、実施例1に記載の通り。
以上の結果から、ガラス基材上に、超撥水性部分と親水性部分の共存する表面を有する超撥水性/親水性パターン化膜が形成できたことが確認された。
(実施例23)
[工程β]
〔親水性膜の作製〕
実施例18と同様の方法により、重合性組成物[Y−7]を調製した。次いで、実施例1と同様の方法で調製した基材[S−1]上に、スピンコーターを用いて、1000rpm、10秒間の条件で重合性組成物[Y−7]を塗工した。ランプ1を用い、365nmにおける紫外線強度40mW/cmの紫外線を、該塗膜に室温、窒素気流下で3分間照射して重合性組成物[Y−7]を重合させ、基材上に形成された厚さ5μmの親水性膜[PH−2]を得た。
〔親水性膜の分析〕
水接触角:5°
表面形態:走査型電子顕微鏡を用いて評価した。
測定装置、測定条件等は、実施例1に記載の通り。
[工程α]
〔超撥水性/親水性パターン化膜の作製〕
実施例1と同様の方法により、重合性組成物[X−1]を調製した。前記の基材[S−1]上に形成された超撥水性膜[PH−2]の上に、スピンコーターを用いて、1000rpm、10秒間の条件で重合性組成物[X−1]を塗工した。次いで、親水性表面として残す部分をフォトマスキングし、ランプ2を用い、365nmにおける紫外線強度が50mW/cmの紫外線を185秒間照射した後、エタノールを用いて洗浄することにより未重合の組成物[X−1]を除去し、超撥水性/親水性パターン化膜[SHL−23]を作製した。
〔超撥水性/親水性パターン化膜の分析〕
[超撥水性部分]
水接触角:162°(転落角:1°)
平均表面粗さ(Ra):410nm
表面形態:走査型電子顕微鏡を用いて評価した。
測定装置、測定条件等は、実施例1に記載の通り。
[親水性部分]
水接触角:5°
平均表面粗さ(Ra):3.9nm
表面形態:走査型電子顕微鏡を用いて評価した。
測定装置、測定条件等は、実施例1に記載の通り。
以上の結果から、ガラス基材上に、超撥水性部分と親水性部分の共存する表面を有する超撥水性/親水性パターン化膜が形成できたことが確認された。
(実施例24)
[工程α]
〔基材の調製〕
実施例1と同様に基材[S−1]を調製した。
〔超撥水性膜の作製〕
実施例1と同様にして重合性化合物[A−1]を調製した。これを、デカン酸メチル4.64g及びAldrich社製ポリイソブチルメタクリレート(重量平均分子量300,000)0.52gと均一に混合して重合性組成物[X−24]を調製した。
前記の表面処理を施した基材[S−1]上に、スピンコーターを用いて、1000rpm、10秒間の条件で重合性組成物[X−24]を塗工した。該塗膜に3000Wメタルハライドランプを光源とするアイグラフィックス株式会社製のUE031−353CHC型UV照射装置(以下、「ランプ1」と称する。)を用い、365nmにおける紫外線強度が40mW/cmの紫外線を、室温、窒素気流下で3分間照射して重合性組成物[X−24]を重合させ、その後、エタノールおよびヘキサンを用いて洗浄することにより、基材上に形成された厚さ18μmの超撥水性膜[SH−24]を得た。
次に、超撥水性膜[SH−24]上に、上記と同様の方法で膜形成用組成物[X−24]を用いて超撥水性膜を作製する工程を繰り返し4回行い、厚さ54μmの超撥水性膜[SH−24−2]を得た。
〔超撥水性膜の分析〕
水接触角:157°(転落角:2°)
測定装置、測定条件等は、実施例1に記載の通り。
以上の結果から、ガラス基材上に、超撥水性膜が形成できたことが確認された。
[工程β]
〔超撥水性/親水性パターン化膜の作製〕
日本乳化剤株式会社2−ソジウムスルホエチルメタクリレート「アントックスMS−2N」1.00g、水2.00g、2−プロパノール1.20g、及び、光重合開始剤として前記「イルガキュア184」0.01gを均一に混合して重合性組成物[Y−24]を調製した。
前記の基材[S−1]上に形成された超撥水性膜[SH−24−2]の上に、スポイドを用いた滴下により重合性組成物[Y−24]を塗工した。次いで、超撥水性表面として残す部分をフォトマスキングし、「ランプ1」を用い、365nmにおける紫外線強度が40mW/cmの紫外線を、室温、窒素気流下で3分間照射した後、水/2−プロパノール混合溶液(質量比:5/3)を用いて洗浄することにより未重合の組成物[Y−24]を除去し、超撥水性/親水性パターン化膜[SHL−24]を作製した。
〔超撥水性/親水性パターン化膜の分析〕
[超撥水性部分]
水接触角:157°(転落角:3°)
平均表面粗さ(Ra):490nm
表面形態:走査型電子顕微鏡を用いて評価した。
測定装置、測定条件等は、実施例1に記載の通り。
耐摩耗性:ベンコット(旭化成工業社製)を耐摩耗材料として用い荷重10gで200回の試験を実施。水接触角:151°(転落角:10°)
[親水性部分]
水接触角:0°
平均表面粗さ(Ra):480nm
表面形態:走査型電子顕微鏡を用いて評価した。
測定装置、測定条件等は、実施例1に記載の通り。
以上の結果から、超撥水性膜の製造工程を繰り返し行うことにより、耐摩耗性に優れた超撥水性部分を有する超撥水性/親水性パターン化膜が形成できたことが確認された。

Claims (15)

  1. (1)エネルギー線の照射により重合可能な重合性化合物(A)と、
    該重合性化合物(A)とは相溶するが、該重合性化合物(A)の重合体ポリマー(P)とは相溶せず、且つエネルギー線に対して不活性な化合物(B)を含む重合性組成物(X)を調製した後、
    該重合性組成物(X)の層を形成し、
    エネルギー線の照射により該重合性組成物(X)中の重合性化合物(A)を重合させた後、化合物(B)を除去して撥水性膜(SH)とする工程α1、
    (2)エネルギー線の照射により重合可能な、親水性化学構造単位を有する重合性化合物(C)を含む重合性組成物(Y)を調製し、
    該重合性組成物(Y)を前記撥水性膜(SH)の表面の一部または全部に塗布し、
    エネルギー線を照射することにより、該重合性組成物(Y)中の重合性化合物(C)を重合させる工程β2を有し
    前記化合物(B)が液体状又は固体状であり、分子量が500以下であり、且つ25℃における飽和蒸気圧が400Pa以下であり、
    更に、分子構造が、式(1)、式(2)、式(5)及び式(6)で表される化合物、又は、炭素数14〜22の分岐していてもよいアルカンからなる群から選ばれた1種以上の化合物(D)であることを特徴とする同一表面に撥水性の領域と、親水性の領域とを有するパターン化膜の製造方法。
    Figure 0004616416
    (式(1)中、R は炭素数が9〜19の分岐していてもよいアルキル基、R はメチル基、又はエチル基である。)
    Figure 0004616416
    (式(2)中、R はメチル基、又はエチル基、R は炭素数10〜20の分岐していてもよいアルキル基である。)
    Figure 0004616416
    (式(5)中、R 〜R 14 は、それぞれ独立して水素原子又は分岐していてもよいアルキル基を表すが、そのうちの少なくとも2つがエチル基であるか、少なくとも1つが炭素数3〜8の分岐していてもよいアルキル基である。)
    Figure 0004616416
    (式(6)中、R 15 及びR 16 は、それぞれ独立して炭素数2〜8の分岐していてもよいアルキル基を表す。)
  2. 前記工程2において、エネルギー線をパターン照射することにより、エネルギー線が照射された部分のみ該重合性組成物(Y)中の重合性化合物(C)を重合させ、
    非照射部分に残存する未重合の該重合性組成物(Y)を除去する工程を有する請求項1記載のパターン化膜の製造方法。
  3. (1)エネルギー線の照射により重合可能な、親水性化学構造単位を有する重合性化合物(C)を含む重合性組成物(Y)を調製した後、
    該重合性組成物(Y)の層を形成し、
    エネルギー線を照射することにより、該重合性組成物(Y)中の重合性化合物(C)を重合させて親水性膜(HP)とする工程β1、
    (2)エネルギー線の照射により重合可能な重合性化合物(A)と、
    該重合性化合物(A)とは相溶するが、該重合性化合物(A)の重合体ポリマー(P)とは相溶せず、且つエネルギー線に対して不活性な化合物(B)を含む重合性組成物(X)を調製し、
    該重合性組成物(X)を前記親水性膜(PH)の表面の一部または全部に塗布し、
    エネルギー線の照射により該重合性組成物(X)中の重合性化合物(A)を重合させた後、化合物(B)を除去する工程α2を有し
    前記化合物(B)が液体状又は固体状であり、分子量が500以下であり、且つ25℃における飽和蒸気圧が400Pa以下であり、
    更に、分子構造が、式(1)、式(2)、式(5)及び式(6)で表される化合物、又は、炭素数14〜22の分岐していてもよいアルカンからなる群から選ばれた1種以上の化合物(D)であることを特徴とする同一表面に撥水性の領域と、親水性の領域とを有するパターン化膜の製造方法。
    Figure 0004616416
    (式(1)中、R は炭素数が9〜19の分岐していてもよいアルキル基、R はメチル基、又はエチル基である。)
    Figure 0004616416
    (式(2)中、R はメチル基、又はエチル基、R は炭素数10〜20の分岐していてもよいアルキル基である。)
    Figure 0004616416
    (式(5)中、R 〜R 14 は、それぞれ独立して水素原子又は分岐していてもよいアルキル基を表すが、そのうちの少なくとも2つがエチル基であるか、少なくとも1つが炭素数3〜8の分岐していてもよいアルキル基である。
    Figure 0004616416
    (式(6)中、R 15 及びR 16 は、それぞれ独立して炭素数2〜8の分岐していてもよいアルキル基を表す。)
  4. 前記工程α2において、エネルギー線をパターン照射することにより、エネルギー線が照射された部分のみ該重合性組成物(X)中の重合性化合物(A)を重合させ、
    非照射部分に残存する未重合の該重合性組成物(X)を除去する工程を有する請求項3記載のパターン化膜の製造方法。
  5. (1)エネルギー線の照射により重合可能な重合性化合物(A)と、
    該重合性化合物(A)とは相溶するが、該重合性化合物(A)の重合体ポリマー(P )とは相溶せず、且つエネルギー線に対して不活性な化合物(B)と、前記重合性化合物(A)と前記化合物(B)と相溶し、且つエネルギー線に対して不活性なポリマー(E)とを含む重合性組成物(X)を調製した後、
    該重合性組成物(X)の層を形成し、
    エネルギー線の照射により該重合性組成物(X)中の重合性化合物(A)を重合させた後、化合物(B)を除去して撥水性膜(SH)とする工程α1、
    (2)エネルギー線の照射により重合可能な、親水性化学構造単位を有する重合性化合物(C)を含む重合性組成物(Y)を調製し、
    該重合性組成物(Y)を前記撥水性膜(SH)の表面の一部または全部に塗布し、
    エネルギー線を照射することにより、該重合性組成物(Y)中の重合性化合物(C)を重合させる工程β2、
    を順次行なうパターン化膜の製造方法であり、
    前記化合物(B)が液体状又は固体状であり、25℃における飽和蒸気圧が600Pa以下であり、
    更に、分子構造が、式(3)、式(4)、式(5)及び式(6)で表される化合物、並びに炭素数10〜20の分岐していてもよいアルカンからなる群から選ばれた1種以上の化合物(F)であることを特徴とする同一表面に撥水性の領域と、親水性の領域とを有するパターン化膜の製造方法。
    Figure 0004616416
    (式(3)中、R は炭素数が7〜19の分岐していてもよいアルキル基又はベンジル基、R はメチル基又はエチル基を表す。)
    Figure 0004616416
    (式(4)中、R はメチル基又はエチル基、R は炭素数8〜20の分岐していてもよいアルキル基又はベンジル基を表す。)
    Figure 0004616416
    (式(5)中、R 〜R 14 は、それぞれ独立して水素原子又は分岐していてもよいアルキル基を表すが、そのうちの少なくとも2つがエチル基であるか、少なくとも1つが炭素数3〜8の分岐していてもよいアルキル基である。
    Figure 0004616416
    (式(6)中、R 15 及びR 16 は、それぞれ独立して炭素数2〜8の分岐していてもよいアルキル基を表す。)
  6. 前記化合物(B)として、液体状又は固体状であり、25℃における飽和蒸気圧が600Pa以下の化合物(F)及び25℃における飽和蒸気圧が600Pa以上である液体状の化合物(G)を用いる請求項記載のパターン化膜の製造方法。
  7. 前記化合物(G)が、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、R17COOR18(式中R17及びR18は、それぞれ独立して炭素数1〜5のアルキル基を表すが、R17とR18の炭素数の合計は6以下である。)、R19COR20(式中R19及びR20は、それぞれ独立して炭素数1〜5のアルキル基を表すが、R19とR20の炭素数の合計は6以下である。)、R21OR22(式中R21及びR22は、それぞれ独立して炭素数1〜6のアルキル基を表すが、R21とR22の炭素数の合計は7以下である。)、ベンゼン、トルエン、ジクロロメタン、クロロホルム及び四塩化炭素からなる群から選ばれた1種以上の化合物である請求項記載のパターン化膜の製造方法。
  8. 前記ポリマー(E)が、アクリル系共重合体又はスチレン系共重合体である請求項のいずれか1つに記載のパターン化膜の製造方法。
  9. 前記重合性化合物(C)が、親水性化学構造単位として、ポリオキシエチレン単位、アミド結合、リン酸基、アンモニウム基、及び、スルホン酸基からなる群から選ばれた1種以上の化学構造単位を有する1種以上の化合物である請求項1〜のいずれか1つに記載のパターン化膜の製造方法。
  10. 請求項1〜のいずれか1つに記載の方法で得られたことを特徴とする同一表面に撥水性の領域と、親水性の領域とを有するパターン化膜。
  11. 膜表面の超撥水性部分が、水との接触角が150°以上の超撥水性を示す請求項10に記載のパターン化膜。
  12. 膜表面の親水性部分が、水との接触角が10°以下の超親水性を示す請求項10又は11に記載のパターン化膜。
  13. 基材(S)と、該基材(S)上に形成された請求項1012のいずれかに記載のパターン化膜とを備えた複合部材。
  14. 前記撥水性領域の平均表面粗さ(Ra)が30nmを超えて、1000nmまでの範囲である請求項1012のいずれかに記載のパターン化膜。
  15. エネルギー線の照射により重合可能な重合性化合物(A)の重合体により形成される撥水性の領域と、
    エネルギー線の照射により重合可能な、親水性化学構造単位を有する重合性化合物(C)の重合体により形成される親水性の領域とを有し、
    該撥水性領域の平均表面粗さ(Ra)が30nmを超えて、1000nmまでの範囲であることを特徴とする同一表面に撥水性の領域と、親水性の領域とを有するパターン化膜。
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