JP4613091B2 - モータおよびモータの製造方法 - Google Patents
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Description
このような場合、整流子の長軸回りの周方向に1つずつシフトしたセグメントから、電機子の長軸回りの周方向に1スロットずつシフトしたスロットに向かって順次ワイヤが配線される等の要因により、ワイヤに規則的な重なりが生じ、整流子と電機子間に配設されるワイヤのボリュームに偏りが生じ易い。したがって、出力軸、電機子、整流子、電機子巻線から構成される回転子の重量にアンバランスが生じ、回転子の回転中心が出力軸から偏心し易い。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、電機子巻線を構成するワイヤを整流子と電機子にバランス良く巻くモータ構築技術を提供することを目的とする。
上記課題を達成するため、各請求項記載の発明が構成される。
請求項1に記載の発明によれば、複数のスロットが設けられた電機子と、電機子とともに回転する整流子と、整流子の長軸周りの周方向に配設された複数のセグメントと、電機子とセグメント間に形成された少なくとも第1および第2の単位巻線を有する電機子巻線とを備えたモータが構成される。本発明における「モータ」としては、整流子およびブラシにより、電機子巻線に供給される電流の方向が整流されるモータを広く包含する。典型的には、直流モータ、交流整流子モータがこれに該当する。
そして、第1のセグメントは、当該第1の単位巻線の始点を構成し、第1の単位巻線用の第1および第2グループの各コイルは、第1のセグメントから第2のセグメントへと、第1の単位巻線用の第1グループのコイル、第1の単位巻線用の第2グループのコイルの順で直列状に接続され、第1の均圧線は、第2のセグメントから当該第1の単位巻線の終点を構成する第3のセグメントへと配設されている。
このように本発明のモータでは、第1の単位巻線を、始点の第1のセグメント、第1グループのコイル、第2グループのコイル、第2のセグメント、終点の第3のセグメントの順に接続して構成している。なお、第1の単位巻線は、少なくとも第1、第2および第3の各セグメントを有していればよく、他のセグメントも備えていてもよい。また、第1の単位巻線は、少なくとも第1、第2グループのコイルを有していればよく、他のグループのコイルを備えていてもよい。そして、一般的には、第1の単位巻線内のコイルのグループ数と均圧線で接続されるセグメントの数は同数にて構成される。
そして、第3のセグメントは、第1の単位巻線の終点を構成するとともに、当該第2の単位巻線の始点を構成し、第2の単位巻線用の第1および第2グループの各コイルは、第3のセグメントから第4のセグメントへと、第2の単位巻線用の第2グループ、第2の単位巻線用の第1グループのコイルの順で直列状に接続され、第2の均圧線は、第4のセグメントから当該第2の単位巻線の終点を構成する第5のセグメントへと配設されている。
このように本発明のモータでは、第2の単位巻線を、始点の第3のセグメント、第2グループのコイル、第1グループのコイル、第4のセグメント、終点の第5のセグメントの順に接続して構成している。なお、第2の単位巻線は、少なくとも第3、第4および第5の各セグメントを有していればよく、他のセグメントも備えていてもよい。また、第2の単位巻線は、少なくとも第1、第2グループのコイルを有していればよく、他のグループのコイルを備えていてもよい。そして、一般的には、第2の単位巻線内のコイルのグループ数と均圧線で接続されるセグメントの数とは同数にて構成されるとともに、第2の単位巻線内のコイルのグループ数および均圧線で接続されるセグメントの数は第1の単位巻線とそれぞれ同数にて構成される。また、電機子巻線には、1または複数の第1の単位巻線および1または複数の第2の単位巻線が設けられていればよく、他の単位巻線を備えていてもよい。他の単位巻線のコイル数、セグメント数、コイルのグループ接続順序、セグメントの接続順序は、任意の数および接続順序で構成されればよい。
本発明のモータによれば、出力軸、電機子、整流子、電機子巻線から構成される回転子の重量にアンバランスが生じて、回転子の回転中心が出力軸から偏心する事態を回避することができる。したがって、モータの製造過程で、整流子や電機子を部分的に削って軽くする、あるいはパテ等を用いて部分的に重くする等、バランスを調整する作業に時間を要することなく、効率よく製造することができるモータを構成することができる。
請求項2に記載の発明によれば、請求項1に記載のモータの、第1の単位巻線の第3のセグメントは第1のセグメントの隣に位置するように配設されている。また、第2の単位巻線の第4のセグメントは第3のセグメントの隣に位置するように配設されている。
本発明のモータでは、第1の単位巻線と第2の単位巻線について、さらに、均圧線を構成するセグメントを接続する順序が相違している。第1の単位巻線では、終点のセグメントである第3のセグメントが、始点のセグメントである第1のセグメントの隣のセグメントであり、そしてこのセグメントが第2の単位巻線の始点のセグメントとなっている。したがって、第2の単位巻線の始点のセグメントは、第1の単位巻線の始点のセグメントの隣に配置されている。一方、第2の単位巻線では、コイルの終端が接続された第4のセグメントが、始点のセグメントである第3のセグメントの隣のセグメントとなっている。そして、このセグメントと均圧線で接続された第5のセグメントが次ぎに形成される単位巻線の始点のセグメントとなり得る。したがって、第2の単位巻線の次に形成される単位巻線の始点のセグメントは、第2の単位巻線の始点のセグメントの隣には配置されていない。
請求項3に記載の発明は、「モータ」の発明として記載した請求項1に記載の発明を、モータを生産する方法の発明(「モータの製造方法」)として記載したものであるので、詳細な説明は省略する。
本発明のモータの製造方法では、始点の第1のセグメントに接続したワイヤにより、第1グループのコイル、第2グループのコイル、第2のセグメント、終点の第3のセグメントが順に接続されて、第1の単位巻線が形成されている。また、続けて、始点の第3のセグメント、第2グループのコイル、第1グループのコイル、第4のセグメント、終点の第5のセグメントが順に接続されて、第2の単位巻線が形成されている。
すなわち、本発明のモータの製造方法では、第1の単位巻線と第2の単位巻線について、始点のセグメントから終点のセグメントに向けて接続されているコイルのグループを、相違する順序で接続している。したがって、整流子の長軸回りの周方向に1つずつシフトしたセグメントから、電機子の長軸回りの周方向に1スロットずつシフトしたスロットに向かって順次ワイヤが規則的に配線される回数が減少される。すなわち、ワイヤに規則的な重なりが生じ、整流子と電機子間に配設されるワイヤのボリュームに偏りが生じ難い。これにより、電機子巻線を構成するワイヤを整流子と電機子間にバランス良く巻くことができる。
本発明のモータの製造方法によれば、出力軸、電機子、整流子、電機子巻線から構成される回転子の重量にアンバランスが生じて、回転子の回転中心が出力軸から偏心する事態を回避することができる。したがって、モータの製造過程で、整流子や電機子を部分的に削って軽くする、あるいはパテ等を用いて部分的に重くする等、バランスを調整する作業に時間を要することなく、モータを効率よく製造することができる。
請求項4に記載の発明によれば、請求項3に記載のモータの製造方法において、複数の第1の単位巻線が形成されるステップが繰り返されることで、第1の単位巻線と同種の単位巻線が複数形成され、その後、第2の単位巻線が形成されるステップが繰り返されることで、第2の単位巻線と同種の単位巻線が複数形成される。
本発明によれば、複数の単位巻線が形成される際に、第1の単位巻線と同種の単位巻線が複数形成された後に、第2の単位巻線と同種の単位巻線が複数形成される。このような、いわゆるワイヤの巻き方の変更は、何回繰り返されてもよいが、典型的には、複数の単位巻線が形成される際のほぼ中間の時点で1回変更される。
ところで、一般的に、電機子巻線は、巻線機を用いてワイヤを配線して形成する。巻線機は、ワイヤを配線する順序が変更される回数が少ない方が効率よく電機子巻線を形成することができる。本発明のモータの製造方法によれば、複数の単位巻線が形成される際に、1回のみコイルを形成する順序、すなわちワイヤの巻き方を変更することができるので、作業者は、巻線機を用いて比較的効率良く電機子巻線を形成することができる。
本実施の形態では、本発明の「モータ」を、電動式(充電式)のインパクトドライバ100に設けられる駆動モータに適用する場合について説明する。また、駆動モータが4極2ブラシの直流モータであり、整流子の対角に位置するセグメント間がワイヤで接続されて均圧され(均圧線が形成され)、電機子の対角に位置するコイルが直列状に接続されている場合について説明する。
図1は、本実施の形態に係るインパクトドライバ100の全体構成を概略的に示す一部破断の側断面図である。図2は、インパクトドライバ100の駆動モータの概略構成を示す断面図である。図3には、駆動モータに設けられた回転子につき、電機子巻線を形成する前の構成を概略的に示す。図4、図6、図8、図10、図12には、駆動モータの電機子巻線について、整流子の各セグメントと各スロット間に配線されるワイヤの配線状況を、各セグメント及び各スロットを展開した図で示す。図5、図7、図9、図11、図13には、上記各ワイヤの配線状況を、電機子及び整流子の断面図を用いて示す。図14〜図17には、ワイヤに規則的な重なりが生じ、整流子と電機子間に配設されるワイヤのボリュームに偏りが生じている例を示す。図18には、本実施の形態で、セグメントとスロット間に配線され電機子巻線のコイルを形成するワイヤの一部を示す。図19には、セグメント間を接続する均圧線を示す。
本体部101は、モータハウジング103、ギアハウジング105およびハンドグリップ107から構成されている。モータハウジング103内には、駆動モータ121が収容されている。駆動モータ121は、本発明における「モータ」に対応する。
ハンドグリップ107には、駆動モータ121の電源スイッチを投入操作するトリガ125が設けられている。
ギアハウジング105内には、駆動モータ121の出力軸122の回転を適宜減速するための遊星ギア装置からなる減速機構111、減速機構111によって回転駆動されるスピンドル112、当該スピンドル112からボール113を伝達部材として回転駆動されるハンマー114、およびハンマー114によって回転駆動されるアンビル115が配置されている。ハンマー114はスピンドル112の長軸方向に相対的に移動可能とされ、圧縮コイルスプリング116によってアンビル115側に向けて付勢されている。なお、アンビル115の先端は、ギアハウジング105の先端から突出しており、この突出された先端部にドライバビット109が着脱自在に取り付けられる。
出力軸122は、一端(後端、すなわち図2に示す左端)がモータハウジング103に軸受123を介して回転自在に支持され、他端側(減速機構111側、すなわち図2に示す右側)がギアハウジング105(併せて、図1参照)に軸受124を介して回転自在に支持されている。なお、出力軸122、電機子133、整流子137、電機子巻線134によって回転子が構成されている。
電機子133は、径方向に凸状の10個のティース30〜39を備え(併せて、図5参照)、断面が歯車状に構成されている。各ティースの間には10個のスロットが形成され、スロット間には電機子巻線134を構成するワイヤが巻かれコイルが形成される。
本実施の形態の駆動モータ121の電機子巻線134は、セグメント40を始点とする第1巻線(図4,5参照)、セグメント41を始点とする第2巻線(図6,7参照)、セグメント42を始点とする第3巻線(図8,9参照)、セグメント48を始点とする第4巻線(図10,11参照)、セグメント49を始点とする第5巻線(図12,13参照)から構成される。
第1〜第5巻線は、各々、上記した始点のセグメント、Aグループのコイル、Aグループのコイルとは電機子133の対角に位置するBグループのコイル、中継のセグメント、中継のセグメントと接続された終点のセグメントから構成されている。AグループのコイルとBグループのコイルが直列に接続されたコイル部分は、一端が始点のセグメントに、他端が中継のセグメントに接続されている。また、中継のセグメントと終点のセグメントは、互いに電機子133の対角に位置する。
各巻線のAグループのコイルと、次に形成される巻線のAグループのコイルは、電機子133の長軸回りに周方向に互いに1スロットシフトしたスロット間に形成される。また、同様に、各巻線のBグループのコイルと、次に形成される巻線のBグループのコイルは、電機子133の長軸回りに周方向に互いに1スロットシフトしたスロット間に形成される。
すなわち、第1巻線の始点のセグメント(セグメント40)に接続されたワイヤにより、第1、第2、第3、第4、第5巻線が、順次各巻線の終点のセグメントが次に形成する巻線の始点のセグメントとされつつ形成されることで、同一グループのコイルが電機子133の長軸回りに周方向にシフトしつつ周期的に配設される。
なお、中継のセグメントと終点のセグメントを接続したワイヤは、各セグメント間を電気的に短絡しているので、均圧線と称呼される。
本実施の形態の第1〜第5巻線は、本発明の「単位巻線」に対応する。
なお、図中、ワイヤ上に示した矢印は、ワイヤを巻く方向を意味する(駆動電流が流れる方向ではない。)。また、セグメントから電機子133に向かうワイヤ(コイル部を形成するワイヤ)は、振動により断線を防止するために、整流子137と電機子133の間で、少なくとも半周は出力軸122周りにネック巻きされた後にスロットに配線される。
次に、ワイヤは、そのまま反時計回りに巻かれて、ティース33とティース32の間のスロットに挿通され(図4に示す矢印a)、ティース32,31,30を越えて、ティース30とティース39の間のスロットに挿通される。そして、当該ワイヤがこのスロット間に8回巻かれることで、A1コイルとは電機子133の対角に位置するB1コイルが形成される。
そして、ワイヤは、再び、反時計回りに巻かれて、中継のセグメントであるセグメント46に接続される。このように、セグメント40に接続されたワイヤにより、A1コイルが形成され、A1コイルと電機子133の対角に設けられたスロット間にB1コイルが形成され、直列状に接続されたA1コイル及びB1コイルを有する第1巻線のコイル部分が形成される。
そして、セグメント46に接続されたワイヤは、第1巻線の終点のセグメントであるセグメント41に接続され(図4に示す矢印b)、セグメント46とセグメント41が均圧される(第1巻線の均圧線が形成される)。
次に、ワイヤは、そのまま反時計回りに巻かれて、ティース34とティース33の間のスロットに挿通され(図6に示す矢印c)、ティース33,32,31を越えて、ティース31とティース30の間のスロットに挿通される。そして、当該ワイヤがこのスロット間に8回巻かれることで、A2コイルとは電機子133の対角に位置するB2コイルが形成される。
そして、ワイヤは、再び、反時計回りに巻かれて、中継のセグメントであるセグメント47に接続される。このように、セグメント41に接続されたワイヤにより、A2コイルが形成され、A2コイルと電機子133の対角に設けられたスロット間にB2コイルが形成され、直列状に接続されたA2コイル及びB2コイルを有する第2巻線のコイル部分が形成される。
そして、セグメント47に接続されたワイヤは、第2巻線の終点のセグメントであるセグメント42に接続され(図6に示す矢印d)、セグメント47とセグメント42が均圧される(第2巻線の均圧線が形成される)。
本実施の形態の「第2巻線」は、本発明の「第1の単位巻線」に対応する。そして、本実施の形態の「セグメント41」、「セグメント47」、「セグメント42」は、それぞれ本発明の「第1のセグメント」、「第2のセグメント」、「第3のセグメント」に対応する。また、本実施の形態の「A2コイル」は本発明の「第1グループのコイル」に、本実施の形態の「B2コイル」は本発明の「第2グループのコイル」に、それぞれ対応する。また、A2コイルが形成される「ティース39とティース38の間のスロットと、ティース36とティース35の間のスロットによるスロット間」およびB2コイルが形成される「ティース34とティース33の間のスロットと、ティース31とティース30の間のスロットによるスロット間」は、本発明の「複数のスロットから各々選択された所定のスロット群」に対応する。
2を始点のセグメントとして構成される。セグメント42に接続されたワイヤは、図9に示す反時計回りに、出力軸122に1周ネック巻きされた後に、ティース35とティース34の間のスロットに挿通され(図8に示す矢印k)、ティース34,33,32を越えて、ティース32とティース31の間のスロットに挿通される。そして、当該ワイヤがこのスロット間に8回巻かれることで、B3コイルが形成される。
次に、ワイヤは、そのまま反時計回りに巻かれて、ティース30とティース39の間のスロットに挿通され、ティース39,38,37を越えて、ティース37とティース36の間のスロットに挿通される。そして、当該ワイヤがこのスロット間に8回巻かれることで、B3コイルとは電機子133の対角に位置するA3コイルが形成される。
そして、ワイヤは、再び、反時計回りに巻かれて、中継のセグメントであるセグメント43に接続される(図8に示す矢印m)。このように、セグメント42に接続されたワイヤにより、B3コイルが形成され、B3コイルと電機子133の対角に設けられたスロット間にA3コイルが形成され、直列状に接続されたB3コイル及びA3コイルを有する第3巻線のコイル部分が形成される。
そして、セグメント43に接続されたワイヤは、第3巻線の終点のセグメントであるセグメント48に接続され、セグメント43とセグメント48が均圧される(第3巻線の均圧線が形成される)。
本実施の形態の「第3巻線」は、本発明の「第2の単位巻線」に対応する。そして、本実施の形態の「セグメント42」、「セグメント43」、「セグメント48」は、それぞれ本発明の「第3のセグメント」、「第4のセグメント」、「第5のセグメント」に対応する。また、本実施の形態の「A3コイル」は本発明の「第1グループのコイル」に、本実施の形態の「B3コイル」は本発明の「第2グループのコイル」に、それぞれ対応する。また、A3コイルが形成される「ティース30とティース39の間のスロットと、ティース37とティース36の間のスロットによるスロット間」およびB3コイルが形成される「ティース35とティース34の間のスロットと、ティース32とティース31の間のスロットによるスロット間」は、本発明の「第1の単位巻線用の第1および第2グループの各コイルが形成されているスロット群のスロットを一部含むように選択された所定のスロット群」に対応する。
次に、ワイヤは、そのまま反時計回りに巻かれて、ティース31とティース30の間のスロットに挿通され、ティース30,39,38を越えて、ティース38とティース37の間のスロットに挿通される。そして、当該ワイヤがこのスロット間に8回巻かれることで、B4コイルとは電機子133の対角に位置するA4コイルが形成される。
そして、ワイヤは、再び、反時計回りに巻かれて、中継のセグメントであるセグメント44に接続される(図10に示す矢印p)。このように、セグメント48に接続されたワイヤにより、B4コイルが形成され、B4コイルと電機子133の対角に設けられたスロット間にA4コイルが形成され、直列状に接続されたB4コイル及びA4コイルを有する第4巻線のコイル部分が形成される。
そして、セグメント44に接続されたワイヤは、第4巻線の終点のセグメントであるセグメント49に接続され、セグメント44とセグメント49が均圧される(第4巻線の均圧線が形成される)。
次に、ワイヤは、そのまま反時計回りに巻かれて、ティース32とティース31の間のスロットに挿通され(図12に示す矢印t)、ティース31,30,39を越えて、ティース39とティース38の間のスロットに挿通される。そして、当該ワイヤがこのスロット間に8回巻かれることで、B5コイルとは電機子133の対角に位置するA5コイルが形成される。
そして、ワイヤは、再び、反時計回りに巻かれて、中継のセグメントであるセグメント45に接続される。このように、セグメント49に接続されたワイヤにより、B5コイルが形成され、B5コイルと電機子133の対角に設けられたスロット間にA5コイルが形成され、直列状に接続されたB5コイル及びA5コイルを有する第5巻線のコイル部分が形成される。
そして、セグメント45に接続されたワイヤは、第5巻線の終点のセグメントであるセグメント40に接続され、セグメント45とセグメント40が均圧される(第5巻線の均圧線が形成される)。
上記したように、第1巻線〜第5巻線を形成することにより、Aグループのコイルは、電機子134の長軸回りに周方向に互いに1スロットシフトしつつ、A1コイル、A2コイル、A3コイル、A4コイル、A5コイルの順に形成され、Bグループのコイルは、電機子の長軸回りに周方向に互いに1スロットシフトしつつ、B1コイル、B2コイル、B3コイル、B4コイル、B5コイルの順に形成される。
また、第1巻線(併せて図4参照)では、巻線のコイル部分の終端が接続されている中継のセグメントは、始点のセグメント(セグメント40)の隣に位置するセグメント(セグメント41)の対角に位置するセグメント(セグメント46)として、また、終点のセグメントは、始点のセグメントの隣に位置するセグメント(セグメント41)として構成されている。したがって、始点のセグメントの隣に位置するセグメントの対角に位置するセグメント(セグメント46)から、始点のセグメントの隣に位置するセグメント(セグメント41)に均圧線が配線されている。すなわち、始点のセグメントの隣に位置するセグメント(セグメント41)が第1巻線の終点のセグメントとなっており、このセグメントが第2巻線の始点のセグメントとなっている。同様に、第2巻線(併せて図6参照)では、始点のセグメント(セグメント41)の隣に位置するセグメント(セグメント42)が第2巻線の終点のセグメントとなっており、このセグメントが第3巻線の始点のセグメントとなっている。
一方、第3巻線では、(併せて図8参照)では、巻線のコイル部分が接続されている中継のセグメントは、始点のセグメント(セグメント42)の隣に位置するセグメント(セグメント43)として、また、終点のセグメントは、始点のセグメントの隣に位置するセグメント(セグメント43)の対角に位置するセグメント(セグメント48)として構成されている。したがって、始点のセグメントの隣に位置するセグメント(セグメント43)から、始点のセグメントの隣に位置するセグメントの対角に位置するセグメント(セグメント48)に均圧線が配線されている。すなわち、始点のセグメントの隣に位置するセグメントの対角に位置するセグメント(セグメント48)が第3巻線の終点のセグメントとなっており、このセグメントが第4巻線の始点のセグメントとなっている。同様に、第4巻線(併せて図10参照)では、始点のセグメント(セグメント48)の隣に位置するセグメント(セグメント49)が第4巻線の終点のセグメントとなっており、このセグメントが第5巻線の始点のセグメントとなっている。そして、第5巻線(併せて図12参照)では、始点のセグメント(セグメント49)の隣に位置するセグメント(セグメント40)が第5巻線の終点のセグメントとなっており第1巻線の始点のセグメントに戻っている。これにより、整流子137に設けられているそれぞれのセグメントにワイヤが接続され、電機子巻線134が形成されている。したがって、第1巻線〜第5巻線の各々始点のセグメントは、セグメント40、セグメント41、セグメント42、セグメント48、セグメント49となっている。
これによれば、セグメント40〜42の下付近のワイヤのボリュームが図14の場合と比較して大きくなり、セグメント45〜47の下付近のワイヤのボリュームとのバランスが改善されている。このように、本実施の形態の駆動モータ121では、整流子137と電機子133間のワイヤの配線を不規則にし、ワイヤに規則的な重なりが生じて整流子137と電機子133間に配設されるワイヤのボリュームが偏ることを防止することができる。
そして、出力軸122、電機子133、整流子137、電機子巻線134から構成される回転子の重量にアンバランスが生じて、回転子の回転中心が出力軸から偏心する事態を回避することができる。したがって、モータの製造過程で、整流子137や電機子133を部分的に削って軽くする、あるいはパテ等を用いて部分的に重くする等、バランスを調整する作業に時間を要することなく、効率よく製造することができるモータを構成することができる。
本実施の形態では、駆動モータが4極2ブラシの直流モータの場合について説明したが、極数やブラシの数は、これに限定されない。例えば、6極2ブラシの場合、電機子巻線の各コイル部は、Aグループ、Bグループ、Cグループの3個のコイルが直列状に接続されて構成される。そして、均圧線により3個のセグメントが接続される。この場合、例えば、途中の巻線までは、Aグループ→Bグループ→Cグループの順序でワイヤが巻き回されてコイル部が形成され、途中の巻線から、Cグループ→Bグループ→Aグループの順序でコイル部が形成される。形成されるコイルのグループの順序、及びいずれの巻線から、形成されるコイルの順序が変更されるかに関しては、ワイヤのボリュームの偏りが生じ難いように適宜選択される。セグメント間を接続するワイヤ、すなわち均圧線について、セグメントを接続する順序に関しても同様である。
また、本実施の形態では、第1〜第5巻線が形成される際に、第3巻線から1回のみコイルが形成される順序が変更される場合について説明したが、複数回にわたってコイルが形成される順序が変更されてもよい。
また、本実施の形態では、コイルが形成される順序が変更される際に、均圧線で接続されるセグメントの順序も変更される場合について説明したが、コイルが形成される順序が変更されるだけでも本発明の効果は得られる。
なお、本実施の形態では、コイルが形成されるステップと均圧線が形成されるステップが交互に繰り返され、電機子巻線134が形成される場合について説明したが、この電機子巻線の巻線方法は、均圧線は別途形成する場合(セグメント間を、ワイヤではなく接続導体で接続する場合も含む。)にも適用することができる。
本実施の形態では、インパクトドライバ100に設けられているモータについて、本発明を適用した場合について説明したが、本発明のモータの製造方法は、他の機器に設けられているモータについて広く適用することができる。
101 本体部
103 モータハウジング
105 ギアハウジング
107 ハンドグリップ
109 ドライバビット
111 減速機構
112 スピンドル
113 ボール
114 ハンマー
115 アンビル
116 圧縮コイルスプリング
121 駆動モータ
122 出力軸
123,124 軸受
125 トリガ
127 バッテリー
133 電機子
134 電機子巻線
135 固定子
137 整流子
145 ブラシ
Claims (4)
- 複数のスロットが長軸回りの周方向に配設された電機子と、前記電機子とともに回転する整流子と、前記整流子の長軸周りの周方向に配設された複数のセグメントと、前記電機子と前記セグメント間に形成された少なくとも第1および第2の単位巻線を有する電機子巻線とを備えたモータであって、
前記第1の単位巻線は、前記複数のセグメントのうちの第1、第2および第3の各セグメントと、前記複数のスロットから各々選択された所定のスロット群にワイヤを巻くことで形成された第1の単位巻線用の第1および第2グループの各コイルと、ワイヤで形成された第1の均圧線を有するとともに、
前記第1のセグメントは、当該第1の単位巻線の始点を構成し、
前記第1の単位巻線用の第1および第2グループの各コイルは、前記第1のセグメントから前記第2のセグメントへと、前記第1の単位巻線用の第1グループのコイル、前記第1の単位巻線用の第2グループのコイルの順で直列状に接続され、
前記第1の均圧線は、前記第2のセグメントから当該第1の単位巻線の終点を構成する前記第3のセグメントへと配設され、
前記第2の単位巻線は、前記複数のセグメントのうちの前記第3のセグメント、第4および第5の各セグメントと、前記複数のスロットから、前記第1の単位巻線用の第1および第2グループの各コイルが形成されているスロット群のスロットを一部含むように選択された所定のスロット群にワイヤを巻くことで形成され、前記第1の単位巻線用の第1および第2グループの各コイルに対して、各々が前記電機子の長軸回りの周方向にシフトした状態で配設された第2の単位巻線用の第1および第2グループの各コイルと、ワイヤで形成された第2の均圧線を有するとともに、
前記第3のセグメントは、前記第1の単位巻線の終点を構成するとともに、当該第2の単位巻線の始点を構成し、
前記第2の単位巻線用の第1および第2グループの各コイルは、前記第3のセグメントから前記第4のセグメントへと、前記第2の単位巻線用の第2グループ、前記第2の単位巻線用の第1グループのコイルの順で直列状に接続され、
前記第2の均圧線は、前記第4のセグメントから当該第2の単位巻線の終点を構成する前記第5のセグメントへと配設されることを特徴とするモータ。 - 請求項1に記載のモータであって、
前記第1の単位巻線の前記第3のセグメントは前記第1のセグメントの隣に位置するように配設され、
前記第2の単位巻線の前記第4のセグメントは前記第3のセグメントの隣に位置するように配設されていることを特徴とするモータ。 - 複数のスロットが長軸回りの周方向に配設された電機子と、
前記電機子とともに回転する整流子と、
前記整流子に設けられた複数のセグメントと、
前記電機子と前記セグメント間に形成された少なくとも第1および第2の単位巻線を有する電機子巻線とを備えたモータについて、
前記複数のセグメントのうち前記第1の単位巻線の始点を構成する第1のセグメントに接続されたワイヤを、前記複数のスロットから各々選択された所定のスロット群に巻いて、前記第1の単位巻線用の第1グループのコイル、前記第1の単位巻線用の第2グループのコイルの順に、前記第1のセグメントから第2のセグメントへと直列状に接続した各コイルを形成して前記第2のセグメントに接続し、当該ワイヤを前記第2のセグメントから前記第1の単位巻線の終点を構成する第3のセグメントに接続する第1の単位巻線を形成するステップと、
前記第1の単位巻線の終点を構成するとともに前記第2の単位巻線の始点を構成する前記第3のセグメントに接続されたワイヤを、前記第1の単位巻線用の第2グループのコイルを形成するスロット群のスロットを一部含むように前記複数のスロットから選択された所定のスロット群に巻いて、前記第1の単位巻線用の第2グループのコイルに対して、前記電機子の長軸回りの周方向にシフトした状態にて、第2の単位巻線用の第2グループのコイルを形成し、当該ワイヤを、前記第1の単位巻線用の第1グループのコイルを形成するスロット群のスロットを一部含むように前記複数のスロットから選択された所定のスロット群に巻いて、前記第1の単位巻線用の第1グループのコイルに対して、前記電機子の長軸回りの周方向にシフトした状態にて、第2の単位巻線用の第1グループのコイルを形成して、前記第2の単位巻線用の第2グループのコイル、前記第2の単位巻線用の第1グループのコイルの順に、前記第3のセグメントから第4のセグメントへと直列状に接続した各コイルを形成して前記第4のセグメントに接続し、当該ワイヤを前記第4のセグメントから前記第2の単位巻線の終点を構成する第5のセグメントに接続する第2の単位巻線を形成するステップを有することを特徴とするモータの製造方法。 - 請求項3に記載のモータの製造方法であって、
前記電機子巻線として、
前記第1の単位巻線を形成するステップが繰り返されることで、第1の単位巻線と同種の単位巻線が複数形成され、その後、前記第2の単位巻線を形成するステップが繰り返されることで、第2の単位巻線と同種の単位巻線が複数形成されることを特徴とするモータの製造方法。
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