JP4601809B2 - バイオセンサおよび基質の測定方法 - Google Patents

バイオセンサおよび基質の測定方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、試料中の測定対象物について、迅速で高精度な定量を簡便に実施することができるバイオセンサおよび基質の測定方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、試料中の特定成分について、試料液の希釈や攪拌などを行うことなく簡易に定量する方式として、次のようなバイオセンサを用いた方法が提案されている(特開平2−062952号公報)。
ここで用いられるバイオセンサは、絶縁性の基板上にスクリーン印刷等の方法で測定極、対極および参照極からなる電極系を形成し、この電極系上に、親水性高分子と酸化還元酵素および電子メディエータを含む酵素反応層を形成したものである。この酵素反応層には必要に応じて緩衝剤が加えられる。
このようにして作製されたバイオセンサの酵素反応層上に、基質を含む試料液を滴下すると、酵素反応層が溶解して酵素と基質が反応し、これに伴い電子メディエータが還元される。酵素反応終了後、この還元された電子メディエータを電気化学的に酸化し、このとき得られる酸化電流値から試料液中の基質濃度を求めることができる。
このようなバイオセンサは、測定対象物質を基質とする酵素を選択することによって、様々な物質に対する測定が原理的には可能である。
例えば、酸化還元酵素にグルコースオキシダーゼを用いれば、血液中のグルコース濃度を測定するバイオセンサを構成することができる。このセンサは、グルコースセンサとして、広く実用化されている。
また、コレステロールオキシダーゼを用いれば、血清中のコレステロールを測定するバイオセンサを構成することができる。
【0003】
通常、診断指針として用いられる血清コレステロール値は、コレステロールとコレステロールエステルの濃度を合計したものである。コレステロールエステルは、コレステロールオキシダーゼによる酸化反応の基質になることができない。
そのため、診断指針としての血清コレステロール値を測定するには、コレステロールエステルをコレステロールに変化させる過程が必要である。この過程を触媒する酵素として、コレステロールエステラーゼが知られている。
このコレステロールエステラーゼとコレステロールオキシダーゼを酵素反応層中に含むバイオセンサを用いることによって、血清中の総コレステロール濃度を測定することができる。
【0004】
しかし、例えば、コレステロールの測定は、細胞膜中に存在するコレステロールによる影響を受け得る。また、反応試薬中のコレステロールエステラーゼは、反応性を高めるために界面活性剤を必要とする。界面活性剤は、多くの場合、細胞膜を破壊するので、細胞内の物質が、直接あるいは間接的に、酵素反応または電極反応に影響を及ぼす可能性がある。このような理由により、コレステロールセンサでは、酵素反応およびそれに続く電極反応は、血漿あるいは血清で行われる必要がある。また、コレステロールセンサ以外でも、血液中の血球の存在が応答値に影響を与える場合がある。従って、理想的には血球を含まない溶液で酵素反応および電極反応が行われることが望ましい。
全血から血漿または血清を分離するための方法としては、遠心分離がよく知られている。しかし、遠心分離による方法では、時間がかかり、また操作が煩雑である。
【0005】
米国特許第3,607,092号は、血液を試験するメンブレンを開示している。このメンブレンは、溶液に対する透過性を有するが、血球などの固体や蛋白質などの巨大分子に対しては不透性である薄膜層を有している。このような薄膜により血球を除去することが可能である。しかし、血液の通過に伴い、薄膜上に固体成分が蓄積するので、上記のバイオセンサの反応に必要な量の濾過液を得るためには、広い面積の薄膜層が必要である。従って、前記の薄膜は必ずしも好適ではない。
米国特許第4,477,575号は、ガラス繊維のフィルタに全血を通すことにより血清を分離するための装置および方法を開示している。このような、繊維や多孔体からなるフィルタを用いて、全血から血清を分離する方法を、上記のバイオセンサに用いることは可能である。しかし、この方法では、血球をフィルタで保持するのではなく、単にその流れを遅らせることにより、血球と血漿の分離をなすものである。従って、この方法を上記のバイオセンサに用いるためには、血球がフィルタから流出しない間に、フィルタによって濾過された血漿あるいは血清が、バイオセンサの反応に必要な量以上得られる必要がある。
【0006】
そのような条件を満たしたフィルタを、バイオセンサの電極系および反応試薬系が配置された部分と、試料である血液を供給する部分との間に設置することにより、血球濾過能を有するバイオセンサを構成することが可能である。図4にその一例を示す。図4は反応試薬層を除いた分解斜視図を示している。図4において、ポリエチレンテレフタレートからなる絶縁性基板1上に、スクリーン印刷により銀ペーストを印刷してリード2、3および電極系の下地を形成してある。そして、基板1上に、さらに、樹脂バインダーを含む導電性カーボンペーストを印刷することにより測定極6と対極7を含む電極系を形成し、また、絶縁性ペーストを印刷することにより絶縁層10をそれぞれ形成している。測定極6は、リード2に、また対極7はリード3にそれぞれ接続されている。絶縁層10は、測定極6および対極7の露出部分の面積を一定とし、かつリードを部分的に覆っている。
【0007】
このようにして電極系を形成した絶縁性基板1と、空気孔12を備えたカバー11、スぺーサ13および血球濾過能を有するフィルタ16を、図4中、一点鎖線で示すような位置関係をもって接着してバイオセンサを作製する。フィルタ16は、カバー11と絶縁性基板1との間に、スペーサ13のスリット14によって形成される試料液供給路に嵌合するよう裁断されたものである。16aは、フィルタ16が絶縁性基板1に接触する部分を示している。フィルタ16は、前記の試料液供給路における、測定極6と対極7からなる電極系を覆うことなく、電極系と試料供給部15との間に設置されている。
【0008】
このような構成のバイオセンサでは、試料供給部15上に血液を滴下すると、フィルタ16の試料供給部側の端部から血液がフィルタ内に浸透する。フィルタ内では、血球の浸透速度は液体成分である血漿より遅いので、血漿がフィルタの電極系側の端部から浸み出す。そしてこの浸み出した血漿は、酵素等からなり、電極系を覆う位置またはその直上のカバー裏面に担持された反応試薬を溶解しつつ電極系近傍から、さらに空気孔12部分までの試料液供給路全体を満たす。試料液供給路全体が液体で満たされると、フィルタ16内の液体の流動も停止し、その時点で、血球はフィルタの電極系側の端部に到達せず、その位置に留め置かれる。このような、血球濾過の過程を経て、血漿により溶解された反応試薬層と血漿中の測定成分、コレステロールセンサであればコレステロール、との化学反応が生じ、一定時間経過後、電極反応により電流値を測定することにより、血漿中の成分の測定が行われる。
【0009】
しかし、前述したように、この方法では、血球をフィルタで保持するのではなく、単にその流れを遅らせることにより、血球と血漿を分離するものであるから、血球がフィルタから流出しない間に、フィルタによって濾過された血漿あるいは血清が、バイオセンサの反応に必要な量以上得られる必要がある。そのためには、試料液供給路の容積に比して、フィルタが吸収することができる液体の量が相当多くなければならない。
このような試料液供給路の容積とフィルタに吸収される液体の量の比率の制約のため、試料液供給路に到達した血漿などの液体により溶解された反応試薬の一部が、フィルタに拡散し、その結果試料液供給路内の反応試薬濃度が低下し、応答性が低下する場合があった。特に、高濃度の脂質を含んだ血液を用いた場合、血漿の粘性が比較的高いので、反応試薬層への血漿の浸透と反応試薬層の溶解も比較的ゆっくり進行し、そのため、溶解した反応試薬が順次フィルタ中に拡散してしまうという現象もみられた。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記問題点に鑑み、血球等の固形成分を濾過する能力を有するフィルタを備えたバイオセンサにおいて、フィルタで濾過された試料液により溶解した反応試薬がフィルタに拡散することを防ぎ、安定した応答性を示すバイオセンサを提供することを目的とする。
本発明は、そのようなバイオセンサを用いた基質の測定方法を提供することをも目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明のバイオセンサは、絶縁性基板、前記基板上に設けられた少なくとも測定極と対極とを有する第1の電極系、前記基板に組み合わされて基板との間に基板上の試料供給部から第1の電極系に試料液を供給するための試料液供給路を形成するカバー部材、少なくとも電子メディエータと酸化還元酵素とを含み第1の電極系上またはその近傍に配置された反応試薬系、前記試料液供給路において第1の電極系と前記試料供給部との間に設置されたフィルタ、および前記試料液供給路において第1の電極系より上流側において試料液を電解するための、少なくとも1つの電極が第1の電極系と前記フィルタとの間に配置された一対の電極からなる第2の電極系を具備し、前記第2の電極系の他方の電極が前記試料供給部側に設けられていることを特徴とする。前記試料液供給路内の第1の電極系より下流側に液絡検知極を有することが好ましい
【0012】
本発明の基質の測定方法は、前記のバイオセンサを用い、前記試料供給部へ試料液を添加する工程、試料液が前記フィルタ内を経由して第1の電極系を完全に覆う状態になった時点で、第1の電極系と前記フィルタとの間に配置された電極からガスを発生させるに足りる電圧を第2の電極系に印加することにより、第1の電極系側の試料液の前記フィルタとの接触部分に気泡を生じさせる工程、および第1の電極系により所定の応答を得る工程を有する。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明のバイオセンサは、絶縁性基板、前記基板上に設けられた少なくとも測定極と対極とを有する第1の電極系、前記基板に組み合わされて基板との間に基板上の試料供給部から第1の電極系に試料液を供給するための試料液供給路を形成するカバー部材、少なくとも電子メディエータと酸化還元酵素とを含み第1の電極系上またはその近傍に配置された反応試薬系、および前記試料液供給路において第1の電極系と前記試料供給部との間に設置されたフィルタを具備するバイオセンサにおいて、前記試料液供給路において第1の電極系より上流側において試料液を電解するための、少なくとも1つの電極が第1の電極系と前記フィルタとの間に配置された一対の電極からなる第2の電極系を具備し、前記第2の電極系の他方の電極が前記試料供給部側に設けられていることを特徴とする。
このバイオセンサを用いた測定方法においては、前記試料供給部へ試料液を添加し、その試料液が前記フィルタ内を経由して第1の電極系を完全に覆う状態になった時点で、第1の電極系と前記フィルタとの間に配置された電極からガスを発生させるに足りる電圧を第2の電極系に印加する。これにより、第1の電極系側の試料液の前記フィルタとの接触部分に気泡を生じさせ、この気泡により反応試薬を溶解した試料液と前記フィルタとの接触を断ち、フィルタへの反応試薬の拡散を防止する。その後、第1の電極系により所定の応答を得る。
【0014】
このように、本発明は、試料液中にガスを発生させることで、第1の電極系側に達した試料液とフィルタとの実質的な接触を断ち、試料液中に溶解した反応試薬がフィルタ内に拡散することを防ぎ、安定した応答を得ることができる。このガスを発生させる電極、すなわち第1の電極系とフィルタとの間に設けられる電極は、試料液とフィルタとの接触をより完全に断つために、試料液供給路の幅と同じかそれ以上の幅を持つことが望ましい。
第2の電極系を構成する他方の電極は、前記一方の電極より上流で、試料供給部側に配置するのが好ましい。フィルタの下部などフィルタに接触していてもよい。第2の電極系に2.5〜3Vの電圧を印加すると、陽極から酸素ガスが、陰極から水素ガスがそれぞれ発生する。第2の電極系に電圧を印加する際、第1の電極系とフィルタとの間に設けられる電極を陰極、他方の電極を陽極とする。第1の電極系とフィルタとの間に設けられる電極を陽極にすることも可能ではある。しかし、その場合は、同電極から発生する酸素ガスが、酵素反応系に影響する可能性があるので好ましくない。
【0015】
測定にあたり、試料液を試料供給部に添加し、フィルタによる濾過を経て、試料液が第1の電極系を完全に覆う状態に至ったか否かは、目視によるか液絡検知極を利用して電気的に検知する。目視による場合は、カバーを透明な材料で構成する必要がある。電気的な検知は、液絡検知極と第2の電極系のいずれかの電極との間の電気伝導度の変化により行う。すなわち、試料液が第1の電極系を完全に覆う状態になれば、液絡検知極と第2の電極系のいずれかの電極とは液絡し、両極間の電気伝導度が急激に上昇するから、容易に確認できる。
本発明のバイオセンサは、フィルタと、第1の電極系を構成する電極のうち、測定極と対極との位置関係が、試料供給部に近い順に、フィルタ−対極−測定極の順に配置されていることが望ましい。これは、第2の電極系を用いてフィルタの第1の電極系側の端部に気泡を発生させた時に、フィルタと測定極が隣接していると、発生した気泡が測定極に接触し、正確な測定を妨げる可能性があるからである。
【0016】
反応試薬系を構成する酸化還元酵素には、種々のものを用いることができる。
例えば、グルコースオキシダーゼ、乳酸オキシダーゼ、コレステロールオキシダーゼ等が挙げられる。
血清コレステロール値を測定する場合は、コレステロールオキシダーゼとコレステロールエステル加水分解能を有する酵素を用いる。コレステロールエステル加水分解能を有する酵素には、コレステロールエステラーゼ、リポプロテインリパーゼ等が挙げられる。特に、コレステロールエステラーゼは、適当な界面活性剤を用いることによって、迅速にコレステロールエステルをコレステロールに変化させることができるので都合がよい。
コレステロールエステル加水分解能を有する酵素を使用する場合、この酵素の活性を向上させる効果を有する界面活性剤を反応試薬中に含ませると、酵素反応に要する時間を短縮することができて好ましい。例えば、コレステロールエステラーゼの活性を向上させる界面活性剤には、n−オクチル−β−D−チオグルコシド、ポリエチレングリコールモノドデシルエーテル、コール酸ナトリウム、ドデシル−β−マルトシド、シュークロースモノラウレート、デオキシコール酸ナトリウム、タウロデオキシコール酸ナトリウム、N,N−ビス(3−D−グルコンアミドプロピル)コールアミド、N,N−ビス(3−D−グルコンアミドプロピル)デオキシコールアミド、ポリオキシエチレン−p−t−オクチルフェニルエーテル(「TritonX−100」)などを任意に用いることができる。
【0017】
バイオセンサの電極系を白金などの電気化学的に安定な金属を用いて形成すると、得られる酸化電流値が誤差を含むことがない。しかし、このような金属は高価であるため、使い捨て型のセンサでは、銀ペーストなどを用いて銀電極を形成した後、これをカーボンペーストで被覆して電極系を形成する。ところが、試料液中に界面活性剤が含有されると、界面活性剤の作用により試料液がカーボン粒子間に浸潤する。その結果、カーボン電極の活性が低下することがある。また、試料液が銀電極に接触する状態になる。このため、この状態で測定極に電圧を印加すると、銀電極が酸化反応を起こして電流を生じ、測定電流値に正の誤差を与える場合が生じる。
このような現象を抑制するために、電極系表面を親水性高分子で被覆する方法がある。この親水性高分子は、試料液が導入されても粘調な層となって試料液が電極に接触するのを抑制する。
【0018】
このような親水性高分子には、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ゼラチン、ポリアクリル酸およびその塩、デンプンおよびその誘導体、無水マレイン酸のポリマーおよびその塩、ポリアクリルアミド、メタクリレート樹脂、ポリ−2−ヒドロキシエチルメクリレートなどが挙げられる。
上記のような、界面活性剤による影響の抑制は、上記のような親水性高分子を用いる方法以外に、電極系の試料液に接触する部分をカーボンペーストのみで形成し、導電性確保のために用いる銀ペーストは、絶縁層で被覆された部分にのみにした印刷電極を用いることによっても可能である。この場合、上記の親水性高分子層は不要である。しかし、これらの親水性高分子は、試料液または試料液と反応試薬の混合液中の蛋白質などが電極表面に吸着して電極反応の活性を低下させるのを防ぐ効果もあるので、このような印刷電極を用いる場合でも用いることが好ましい。
【0019】
バイオセンサの電極系を銀およびカーボンで形成する場合は、担体に担持される試薬中に、電子メディエータを含有させる。
このような電子メデイエータには、フェリシアン化カリウム、p−ベンゾキノン、フェナジンメトサルフェート、フェロセン誘導体(酸化型)など水溶性で、酵素−電極間の電子移動を媒介しうる化合物を任意に使用できる。
酸化電流の測定方法としては、第1の電極系として、測定極と対極のみの二電極系と、参照極を加えた三電極方式があり、三電極方式の方がより正確な測定が可能である。
【0020】
【実施例】
以下に具体的な実施例を挙げて、本発明を詳細に説明する。なお、図面は概略を示すものであって、各要素の相対的なサイズは必ずしも正確ではない。
図1は、本発明の一実施の形態におけるバイオセンサの試薬層を除いた分解斜視図であり、図2は同要部の縦断面図である。
ポリエチレンテレフタレートからなる絶縁性基板1上に、スクリーン印刷により銀ペーストを印刷してリード2、3、4、5および電極系の下地を形成してある。そして、基板1上に、さらに、樹脂バインダーを含む導電性カーボンペーストを印刷することにより測定極6と対極7からなる第1の電極系、並びに陰極8と陽極9からなる第2の電極系を形成し、また、絶縁性ペーストを印刷することにより絶縁層10をそれぞれ形成している。測定極6は、リード2に、また対極7はリード3に、陰極8はリード4に、陽極9はリード5にそれぞれ接続されている。絶縁層10は、測定極6および対極7の露出部分の面積を一定とし、かつリードを部分的に覆っている。このようにして電極系を形成した絶縁性基板1と、空気孔12を備えたカバー11、スぺーサ13および血球濾過能を有するフィルタ16を、図1中、一点鎖線で示すような位置関係をもって接着してバイオセンサを作製する。
【0021】
絶縁性基板1とカバー11との間に、スペーサ13のスリット14によって試料液供給路が形成される。フィルタ16は、前記の試料液供給路に嵌合するよう裁断されている。16aは、フィルタ16が絶縁性基板1に接触する部分を示している。フィルタ16は、試料液供給路において、測定極6と対極7からなる第1の電極系と試料供給部15との間に設置される。また、第2の電極系の陰極8は、第1の電極系とフィルタ16との間に位置し、陽極9は試料供給部15側に配置されている。フィルタ16の二次側端部は、陰極8に接触していても接触していなくてもよい。
試料供給部15に、試料液を滴下し、フィルタ16の試料供給部側の端部に接触させると、試料液はフィルタ16に吸引され、フィルタ16により血球等の固形成分を除去されつつ試料液供給路を移動し、センサ内部へ導入される。本実施の形態では、スリット14の試料供給部側の端部から空気孔12の外周までの長さは12.5mm、スリット14の幅は2.0mm、スリット14の深さは0.1mmである。バイオセンサ全体の寸法を規定するために、前記の各寸法を明記したが、各寸法は必ずしもこれに限定されるものではない。
【0022】
図2に示すように、第1の電極系上に、親水性高分子層17、およびこれを覆うように電子メディエータ層18が形成されている。これらの層は、陰極8に接触していても接触していなくてもよい。
試料液供給路内のカバー11の裏面には、第1の電極系上から空気孔12近傍に至る領域に、酵素および界面活性剤からなる酵素/界面活性剤層19が形成されている。この酵素/界面活性剤層19とフィルタ16の二次側の端部が接触していると、試料液の流入が行われやすいが、接触していることが必須であるわけではない。
次に、図3は、本発明の他の実施の形態に係るバイオセンサの分解斜視図である。第1の電極系の下流側に、液絡検知極21およびこれにつながる銀リード20が設けられている他は、図1と同様の構成である。
【0023】
《実施例1》
バイオセンサの一例であるコレステロールセンサを作製するために、まず、図1の絶縁性基板1上の電極系上に、親水性高分子であるカルボキシメチルセルロースのナトリウム塩(以下、CMCという。)の0.5wt%水溶液を滴下し、50℃の温風乾燥器中で10分間乾燥させて、CMC層17を形成した。続いて、CMC層17を覆うようにして、電子メディエータであるフェリシアン化カリウムの水溶液4μl(フェリシアン化カリウム70mM相当)をCMC層上に滴下し、50℃の温風乾燥器中で10分間乾燥させることにより、フェリシアン化カリウム層18を形成した。
【0024】
一方、カバー11とスペーサ13とを貼り合わせたカバー部材のスリット14の部分に形成される凹部に、界面活性剤であるTritonX−100の2wt%エタノール溶液を2μl滴下し、室温で3分間乾燥させることにより界面活性層を形成した。次いで、ノカルジア由来のコレステロールオキシダーゼ(EC1.1.3.6、以下ChODと略す)とシュードモナス由来のコレステロールエステラーゼ(EC.3.1.1.13、以下ChEと略す)を溶解した水溶液に、TritonX−100を添加した。この混合水溶液を、前記の界面活性剤層上に1.5μl滴下し、液体窒素にて凍結した後、大型凍結乾燥機中で一晩乾燥させることにより、1ユニット(U)/センサのコレステロールオキシダーゼ、2.5U/センサのコレステロールエステラーゼおよび2wt%の界面活性剤を含む酵素/界面活性剤層19を形成した。
続いて、2mm×8mmの長方形に裁断したガラスフィルタ16(ADVANTEC社製GC50、厚さ0.19mm)を、試料液供給路内の図1に示す位置に設置した。
この後、前記のカバー部材を基板1に接着することにより、図1および図2に示すようなバイオセンサを作製した。
【0025】
試料液として、全血試料20μlを試料液供給部15上に滴下し、目視で、濾過された液体が試料液供給路の、空気孔12の外周部に到達したのを確認し、陰極8と陽極9の間に、2.75Vの電圧を1秒間印加した。その結果、陰極8、陽極9の双方から気泡の発生が認められた。その3分後に対極7を基準にして測定極にアノード方向へ+0.5Vのパルス電圧を印加し、5秒後に測定極と対極との間に流れる電流値を測定した。その結果、血清中のコレステロール濃度に依存した応答を得ることができた。
なお、本実施例では、酵素/界面活性剤を、凍結乾燥により形成しているが、風乾により形成することも可能である。ただし、その場合は、反応試薬層の溶解性が大幅に悪化するので、濾過された液体が試料液供給路の、空気孔12の外周部に到達してから反応が完了するまでに長時間を要する。
【0026】
《実施例2》
図3の電極系を用いて、実施例1同様に反応試薬層を形成し、センサを構成した。試料供給前に、液絡検知極21とフィルタの一次側、すなわち試料供給部側の端部に形成された陽極9との間の抵抗値を測定し続けておく。試料添加前には、液絡検知極21と陽極9との間には、導体が存在しないので、抵抗値はほぼ無限大である。そして、実施例1同様に全血試料を試料供給部に添加したところ、濾過された試料液(血漿)が液絡検知極21に到達した瞬間に、抵抗値が急激に低下した。これを確認後、抵抗値の測定を中止し、実施例1と同様に、陰極8と陽極9の間にカソード方向に2.75Vの電圧を1秒間印加した。その結果、陰極8および陽極9の双方から気泡の発生が認められた。その3分後に対極を基準にして測定極にアノード方向へ+0.5Vのパルス電圧を印加し、5秒後に測定極と対極との間に流れる電流値を測定した。その結果、血清中のコレステロール濃度に依存した応答を得ることができた。
【0027】
なお、液絡検知極21と陽極9の間の抵抗値の測定から、陽極9と陰極8の間に電圧を印加するまでの過程は、測定器の回路切り替えを自動化することにより自動的に行うことも可能である。
また、抵抗値の測定は液絡検知極21と陰極8との間で行ってもよい。
以上の実施例では、試料液供給路を形成するためのスリット14の、フィルタが嵌合される部分と、第1の電極系が存在し、フィルタによって濾過された試料が流入する部分との幅は同じであるが、どちらか一方が狭い形状でもよい。
また、反応試薬系を構成する試薬の配置および担持方法については、反応試薬系を構成する試薬が迅速に溶解し、酵素反応が円滑に進行する要件を満たしている限り、上記実施例に示した条件により限定されるものではない。
【0028】
【発明の効果】
上記のように本発明によれば、血球などの固形成分を含む試料液に対してもフィルタを用い、これを濾過して測定に供することができ、しかも反応試薬がこのフィルタ中に拡散することによる応答性の低下も防ぐことができる。従って、精度の高い測定が可能であり、応答値のばらつきが少なくなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態におけるバイオセンサの試薬層を除いた分解斜視図である。
【図2】同センサの要部の縦断面図である。
【図3】本発明の他の実施の形態におけるバイオセンサの試薬層を除いた分解斜視図である。
【図4】比較例におけるバイオセンサの試薬層を除いた分解斜視図である。
【符号の説明】
1 絶縁性基板
2、3、4、5、20 リード
6 測定極
7 対極
8 陰極
9 陽極
10 絶縁層
11 カバー
12 空気孔
13 スぺーサ
14 スリット
15 試料供給部
16 フィルタ
16a フィルタが絶縁性基板に接触する部分
17 親水性高分子層
18 電子メディエータを含む層
19 界面活性剤および酵素を含む層
21 液絡検知極

Claims (7)

  1. 絶縁性基板、
    前記基板上に設けられた少なくとも測定極と対極とを有する第1の電極系、
    前記基板に組み合わされて基板との間に基板上の試料供給部から第1の電極系に試料液を供給するための試料液供給路を形成するカバー部材、
    少なくとも電子メディエータと酸化還元酵素とを含み第1の電極系上またはその近傍に配置された反応試薬系、
    前記試料液供給路において第1の電極系と前記試料供給部との間に設置されたフィルタ、および
    前記試料液供給路において第1の電極系より上流側において試料液を電解するための、少なくとも1つの電極が第1の電極系と前記フィルタとの間に配置された一対の電極からなる第2の電極系
    を具備し、
    前記第2の電極系の他方の電極が前記試料供給部側に設けられている、バイオセンサ。
  2. 前記試料液供給路内の第1の電極系より下流側に液絡検知極を設けた請求項1記載のバイオセンサ。
  3. 前記測定極が、対極より下流に配置された請求項1または2記載のバイオセンサ。
  4. 絶縁性基板、
    前記基板上に設けられた少なくとも測定極と対極とを有する第1の電極系、
    前記基板に組み合わされて基板との間に基板上の試料供給部から第1の電極系に試料液を供給するための試料液供給路を形成するカバー部材、
    少なくとも電子メディエータと酸化還元酵素とを含み第1の電極系上またはその近傍に配置された反応試薬系、
    前記試料液供給路において第1の電極系と前記試料供給部との間に設置されたフィルタ、および
    前記試料液供給路において第1の電極系より上流側において試料液を電解するための、少なくとも1つの電極が第1の電極系と前記フィルタとの間に配置された一対の電極からなる第2の電極系
    を具備し、
    前記第2の電極系の他方の電極が前記試料供給部側に設けられているバイオセンサを用いた基質の測定方法であって、
    前記試料供給部へ試料液を添加する工程、
    試料液が前記フィルタ内を経由して第1の電極系を完全に覆う状態になった時点で、第1の電極系と前記フィルタとの間に配置された電極からガスを発生させるに足りる電圧を第2の電極系に印加することにより、第1の電極系側の試料液の前記フィルタとの接触部分に気泡を生じさせる工程、および
    第1の電極系により所定の応答を得る工程
    を有する基質の測定方法。
  5. 前記バイオセンサが、前記試料液供給路内の第1の電極系より下流側に液絡検知極を有し、この液絡検知極と第2の電極系のいずれかの電極との間の電気伝導度の変化により、試料液が第1の電極系に達したことを検知する請求項記載の基質の測定方法。
  6. 前記第2の電極系に印加する電圧が試料中の水を電解する電圧であり、前記ガスが水素ガスである請求項記載の基質の測定方法。
  7. 前記酸化還元酵素がコレステロールオキシダーゼであり、前記反応試薬系がコレステロールエステル加水分解能を有する酵素を含み、前記基質がコレステロールである請求項4〜6のいずれかに記載の基質の測定方法。
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