JP4601545B2 - 平行磁場型ラザフォード後方散乱イオン測定装置 - Google Patents

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Description

本発明は、イオンビームが照射された試料から後方散乱された散乱イオンをそのイオンビームと平行な磁場を用いてビーム軸に収束させるて測定する平行磁場型ラザフォード後方散乱イオン測定装置に関するものである。
従来、例えば特許文献1には、高中エネルギーのイオンビームが入射した試料にて後方散乱された散乱イオンを、前記イオンビームと平行な磁場を用いてビーム軸に収束させる平行磁場型ラザフォード後方散乱イオン測定装置(或いは、平行磁場型ラザフォード後方散乱分析装置)が示されている。
図3は、一般的な平行磁場型ラザフォード後方散乱イオン測定装置Xの断面図を表す。
図3に示すように、平行磁場型ラザフォード後方散乱イオン測定装置X(以下、散乱イオン測定装置Xという)は、大別して測定用のイオンビームHを生成する加速器X1と、超伝導スペクトロメータ部(以下「スペクトロメータ部」と略す)X2とを備えて構成される。
また、加速器X1は、水素若しくはヘリウム等のイオン(一次イオン)を生成するイオン源11と、生成されたイオンに高電圧を印加することによりイオンを加速させてイオンビームHにする加速管12とを備えている。
この加速器X1で生成されたイオンビームHは、ビームダクト13を通って、四重極レンズ14や図示しない対物コリメータ等を通じて、スペクトロメータ部X2の測定室20内に配置された試料Sに向けて出射される。
一方、スペクトロメータ部X2は、イオンビームHの軸方向に伸びる円筒状の測定室20と、この測定室20の側面に配置されイオンビームHの軸に対して平行且つ均一な磁場(磁界)を発生させる電磁石30、測定室20内の空気を外部へ排出する真空ポンプ38等を備えて構成されている。ここで、電磁石30は、超伝導ソレノイドコイル(以下、ソレノイドコイルという)35及び補正コイル36、並びにそれらを覆うマグネットヨーク37等により構成されている。また、真空ポンプ38を通じて測定室20内の空気が不図示の吸引装置により吸引されて排出されることにより、測定中は測定室20内がほぼ真空状態に保持される。
さらに、測定室20内には、試料Sが載置される試料台22と、散乱イオンが入射されることによりパルス電流信号を出力するイオン検出器21と、試料Sとイオン検出器21との間の位置に配置されるイオン弁別用のアパーチャ23(イオン弁別手段の一例)とを備えている。
このアパーチャ23は、イオン検出器21側から試料Sに入射するイオンビームHを通過させるとともに、ソレノイドコイル35の磁場によりイオンビームHの軸に収束した特定のエネルギー及び散乱角を有する散乱イオンをイオン検出器21側に通過させるための開口部(イオン通過用開口部)を備えた板状の部材である。一般に、このアパーチャ23は、ほぼ中心部に散乱イオン通過用の開口が設けられた円形の板状部材により構成されている。即ち、CD−ROMの中央の開口部をごく小さくしたようなものである。
測定室20内では、入射したイオンビームHが試料Sに照射されると、入射イオンが試料表面の組成元素に衝突して散乱する。この散乱イオンは、ソレノイドコイル35による磁場によりローレンツ力を受け、測定室20内で螺旋軌道(サイクロトロン軌道)に沿って、試料Sから遠ざかる方向(磁界の方向)、即ち、イオン検出器21の方向へ向けて旋回飛行を行う。このような散乱イオンの旋回飛行を一般にサイクロトロン運動という。
そして、特定のエネルギーと散乱角とをもった散乱イオンがイオンビームHの軸或いはその近傍に収束する位置にアパーチャ23が配置され、その特定の散乱イオンのみがアパーチャ23の開口を通じてイオン検出器21側に通過し、その他の散乱イオンは遮断される。これにより特定のエネルギー及び散乱角を有する散乱イオンのみを弁別して2次元のイオン検出器21により検出し、エネルギースペクトルを得ることができる。このようにして得られたエネルギースペクトルに基づいて試料Sの成分元素の同定や深さ方向の組成分析を行うことができる。
特開平7−190963号公報
しかしながら、従来のアパーチャ23は、散乱イオンのうち特定のもの以外がイオン検出器21側に通過しないよう、特定の散乱イオンを通過させるごく小さな開口が設けられただけの板状部材で構成されるためそのコンダクタンス(通気性)が小さく、これが、測定室20内をイオン検出器21側と試料S側とに仕切る仕切り板のように作用してしまう。このため、真空ポンプ38による測定室20内からの排気の際に、測定室20内のイオン検出器21側の空間と試料S側の空間とで真空状態の差(真空の程度の差)が生じ、測定精度に影響を与えるという問題点があった。さらに、一般に、真空ポンプ38は試料S側に設けられるため(図3参照)、イオン検出器21側が十分な真空状態とならず、これがイオン検出器21の放電の原因となる結果、イオン検出器21が劣化するという問題点もあった。
従って、本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、特定の散乱イオンのみを通過させてその他の散乱イオンを確実に遮断するという散乱イオンの弁別性能を確保しつつ、コンダクタンスを大きく(通気性を高く)して測定室内の圧力差を生じさせないイオン弁別手段を具備する平行磁場型ラザフォード後方散乱イオン測定装置を提供することにある。
上記目的を達成するために本発明は、略真空の測定室内においてイオンビームが入射した試料から後方散乱された散乱イオンを、そのイオンビームと平行な磁場中に飛行させた後にイオン検出器により検出する平行磁場型ラザフォード後方散乱イオン測定装置に用いられ、前記試料と前記イオン検出器との間に、前記散乱イオンの一部を前記イオン検出器側へ通過させるイオン通過用開口部とその他の前記散乱イオンの通過を遮断する遮断部とが設けられたイオン弁別手段が設けられ、さらに前記イオン弁別手段の前記遮断部には、前記試料側と前記イオン検出器側とを連通させる連通部が形成され、該連通部は、前記遮断部の一部が、前記イオンビームの軸方向から見て相互に重なり合う部分と上記重なり合う部分の間を前記試料側から前記イオン検出器側まで貫通する空間とを有することにより、前記イオンビームの軸方向から見て隙間が形成されない状態で前記試料側と前記イオン検出器側とを連通させてなものであることを特徴とする平行磁場型ラザフォード後方散乱イオン測定装置である。
このような構成により、ごく小さく形成される前記イオン通過用開口部の位置に到達した特定の散乱イオンのみがこれを通過してイオン検出器に到達する。一方、前記遮断部における前記連通機構は、イオンビームの軸方向から見ると相互に重なり合う部分により隙間が形成されていないので、前記特定の散乱イオン以外の散乱イオンはこの遮断部により遮断され、散乱イオンの弁別性能が確保される。さらに、前記連通機構は、試料側とイオン検出器側とを連通させるので、測定室内においてほとんど圧力差を生じさせないイオン弁別手段を構成できる。
前記連通機構のより具体的な構成としては、例えば、板状の前記遮断部に前記イオンビームの軸方向に対して斜め方向に前記試料側と前記イオン検出器側とを連通させるよう形成されたスリットにより構成されたものが考えられる。
この場合のスリットは、板状の前記遮断部において前記散乱イオンが旋回飛行する方向に対して直交或いはほぼ直交する方向に前記試料側と前記イオン検出器側とを連通させるよう形成されたものであることが望ましい。
これにより、イオン弁別手段における前記イオン通過用開口部以外の位置に到達する特定の散乱イオン以外の不要な散乱イオンは、その飛行方向(進行方向)に直交或いはほぼ直交するスリットの壁によって確実に遮断され、イオン検出器側へ到達しない。即ち、散乱イオンの弁別性能が確保される。加えて、前記スリットによってイオン検出器側の空間と試料側の空間との通気性が確保され、測定室内において極力圧力差(真空状態の差)を生じさせないイオン弁別手段を構成できる。
また、前記連通機構の他の具体例としては、例えば、複数の板状の前記遮断部を、前記イオンビームの軸方向から見て一部が相互に重なり合う状態で、前記イオンビームの軸方向に間隔を隔てて保持する機構により構成されたものが考えられる。
その一例としては、前記遮断部が、前記イオン通過用開口部が形成された第1の板状部材と、これよりも外縁が大きく形成されその内側に前記試料側と前記イオン検出器側との連通経路となる連通用開口部が形成された1又は複数の第2の板状部材と、により構成されるとともに、前記連通機構が、前記第1の板状部材及び前記第2の板状部材を、前記イオンビームの軸方向から見て前記第2の板状部材の前記連通用開口部各々が前記第1の板状部材により、又は前記第1の板状部材及び他の前記第2の板状部材により塞がれる状態で前記イオンビームの軸方向に間隔を隔てて保持する機構により構成されたものが考えられる。
本発明によれば、イオン弁別手段における散乱イオンを遮断する遮断部(前記イオン通過用開口部以外の部分)に、イオンビームの軸方向から見て隙間が形成されない状態で試料側とイオン検出器側とを連通させる連通機構が設けられるので、イオン検出器側に特定の散乱イオンのみを通過させてその他の不要な散乱イオンを遮断するという散乱イオンの弁別性能を確保しつつ、測定室内においてイオン検出器側及び試料側の両空間に圧力差(真空状態の差)を生じさせないイオン弁別手段を備えた平行磁場型ラザフォード後方散乱イオン測定装置を提供できる。その結果、測定室内の圧力差に起因する測定誤差の発生を回避できる。さらに、イオン検出器周辺の高い真空性を維持でき、イオン検出器の放電による劣化を防止できる。
以下添付図面を参照しながら、本発明の一実施形態について説明し、本発明の理解に供する。なお、以下の実施の形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定する性格のものではない。
ここに、図1は本発明の第1実施形態に係るイオン弁別アパーチャZ1の正面図及び一部断面図、図2は本発明の第2実施形態に係るイオン弁別アパーチャZ2の正面図及び側面図(一部断面図)、図3は本発明の実施形態に係るイオン弁別アパーチャの適用対象となる平行磁場型ラザフォード後方散乱イオン測定装置Xの概略構成を表す断面図、図4は平行磁場型ラザフォード後方散乱イオン測定装置Xにおける測定室の概略構成を表す断面図である。
本発明の実施形態に係るイオン弁別手段であるイオン弁別アパーチャZ1、Z2(以下、アパーチャZ1、Z2という)は、図3に示した一般的な平行磁場型ラザフォード後方散乱イオン測定装置X(以下、散乱イオン測定装置Xという)に適用されるものである。
図3に示す後方散乱イオン測定装置Xは、真空の測定室20内においてイオンビームHが入射した試料Sから後方散乱された散乱イオンを、イオンビームHと平行な磁場中に飛行させた後にイオン検出器21により検出する装置であるが、既に説明したのでここでは説明を省略する。なお、図3に示したアパーチャ23が、本発明の実施形態に係るアパーチャZ1又はZ2(以下、これらを総称してアパーチャZという)に置き換えられる。
ここで、図4を参照しつつ、後方散乱イオン測定装置Xが備える測定室20についてより詳細に説明する。
測定室20は、ほぼ円筒形に形成されており、円筒の中心軸がイオンビームHの軸と一致するように配置され、そのイオンビームHの入口側を塞ぐ磁極31には、イオンビームH通過用の開口31aが設けられている。この測定室20内は、ソレノイドコイル35、補正コイル(図3参照)及びマグネットヨーク(図3参照)が周囲に配置されることにより、イオンビームHの軸に平行な磁場が発生する。
測定室20内には、イオンビームHの照射方向上流側(磁極31側)から順に、イオン検出器21、散乱イオン弁別用のアパーチャZ、及び試料Sが配置される。ここで、イオン検出器21のほぼ中央には、イオンビームHを通過させる開口21aが設けられている。
一方、試料Sとイオン検出器21との間に配置されるアパーチャZのほぼ中央には、イオンビームHを通過させるとともに、試料Sから飛行してくる散乱イオンの一部(後述する特定散乱イオン)e1をイオン検出器21側へ通過させる開口部Za(以下、イオン通過用開口部という)が設けられ、その周囲は、その他の散乱イオンe2の通過を遮断する遮断部Zbが形成されている。
このアパーチャZの外縁は、測定室20の内面にほぼ沿うような形状となっており、測定室20は、アパーチャZによって試料側20aとイオン検出器側20bとに仕切られたような状態となる。
真空状態の測定室20内において、イオンビームHが試料Sに照射され、そのイオンビームHを構成するイオンが試料S表面の組成元素に当たって散乱する。この散乱イオンは、ソレノイドコイル35等により発生する平行磁場によりローレンツ力を受け、測定室20内で螺旋軌道(サイクロトロン軌道)に沿って、試料Sから遠ざかる方向(磁界の方向)、即ち、イオン検出器21の方向へ向けて旋回飛行(サイクロトロン運動)を行う。
そして、アパーチャZが、特定のエネルギーと散乱角とをもった散乱イオン(以下、特定散乱イオンe1という)がほぼイオンビームHの軸に収束する位置にイオン通過用開口部Zaが位置するよう配置され、特定散乱イオンe1のみがイオン通過用開口部Zaを通じてイオン検出器21側に通過し、その他の散乱イオンe2は遮断部Zbにより遮断される。
<第1実施形態>
次に、図1を参照しつつ、本発明の第1実施形態に係る散乱イオン弁別用のアパーチャZ1について説明する。
図1の正面図に示すように、アパーチャZ1は、その外縁が測定室20の内面に沿うように円形の板状部材により遮断部Zbが形成され、そのほぼ中央に前記イオン通過用開口部Zaが設けられている。このアパーチャZ1は、そのイオン通過用開口部ZaをイオンビームHが通過するように配置される。
また、遮断部Zbには、イオンビームHの軸を中心とする放射線に沿って伸びる複数のスリットZcが設けられている。
このスリットZcは、図1のA−A’断面図に示されるように、板状の遮断部ZbにイオンビームHの軸方向に対して斜め方向(図1のR1の方向)に測定室20内の試料側20aとイオン検出器側20bとを連通させるよう形成されており、イオンビームHの軸方向から見て相互に重なり合う部分51、52を有することにより、イオンビームHの軸方向から見て隙間が形成されない状態となっている(連通機構の一例)。
このようなスリットZcを遮断部Zbに設けることにより、特定散乱イオンe1のみを通過させる(他の散乱イオンe2を遮断する)弁別性能を確保しつつ、測定室20内において試料側20aとイオン検出器側20bとの間のコンダクタンスを高めて両空間の圧力差を無くすことができる。
ここで、散乱イオンe2はサイクロトロン運動を行って旋回飛行するが、図1のA−A’断面図に示すように、スリットZcは、板状の遮断部Zbにおいて、散乱イオンe2が旋回飛行する方向に対してほぼ直交する方向R1に、測定室20内の試料側20aとイオン検出器側20bとを連通させるよう形成されている。
このような構成により、イオンビームHの軸方向から見て相互に重なり合う部分51、52の幅(重複範囲)を比較的小さくして高いコンダクタンスを確保しつつ、散乱イオンe2を確実に遮断できる。
また、散乱イオンe2はイオンビームHの軸を中心に旋回飛行するので、散乱イオンe2の旋回飛行の方向に対してほぼ直交する方向のスリットZcは、前述したように、イオンビームHの軸を中心とする放射線に沿う方向に伸びて形成されると、いずれの位置でも散乱イオンe2の飛行方向に対してほぼ同じ角度条件となる。その結果、不要な散乱イオンe2は、スリットZcを形成する壁により確実に遮断され、それがスリットZcを通じてイオン検出器21側に通過することを確実に防止できる。
<第2実施形態>
次に、図2を参照しつつ、本発明の第2実施形態に係る散乱イオン弁別用のアパーチャZ2について説明する。
図2に示すように、アパーチャZ2は、複数枚(図2では3枚)の板状の遮断部Zb1〜Zb3を備え、その複数の遮断部Zb1〜Zb3が、柱状のスペーサZe(支柱)により、イオンビームHの軸方向から見てそれらの一部61、62a、62b、63が相互に重なり合う状態でイオンビームHの軸方向に間隔Zd1、Zc2を隔てて保持されたものである。
図2に示す例では、1枚の遮断部Zb1は、前記イオン通過用開口部Zaが形成された円形状の板状部材(第1の板状部材の一例)であり、他の2枚の遮断部Zb2、Zb3各々は、遮断部Zb1よりも外縁が大きく形成されその内側に測定室20内の試料側20aとイオン検出器側20bとの連通経路となる連通用開口部Zc2、Zc3が形成されたドーナツ板状の板状部材(第2の板状部材の一例)である。ここで、遮断部Zb2の連通用開口部Zc2は、遮断部Zb1の外縁よりも小さく形成され、遮断部Zb3の連通用開口部Zc3は、遮断部Zb1の外縁よりも大きく、かつ遮断部Zb2の外縁よりも小さく形成されている。また、最も大きな遮断部Zb3は、その外縁が測定室20の内面に沿うように円形に形成されている。
そして、3枚の板状の遮断部Zb1は、イオンビームHの軸方向にほぼ平行に間隔Zd1、Zd2を隔てて配列され、その間隔の部分に設けられた柱状のスペーサZeにより連結されて保持されている。
このアパーチャZ2は、そのイオン通過用開口部ZaをイオンビームHが通過するように配置される。
図2に示すように、アパーチャZ2も、各遮断部Zb1〜Zb3が、イオンビームHの軸方向から見て相互に重なり合う部分61、62a、62b、63を有することにより、イオンビームHの軸方向から見て隙間が形成されない状態となっている。さらに、連通用開口部Zc2、Zc3と、各遮断部Zb1〜Zb3の間の間隔Zd1、Zd2(隙間)とが、測定室20内の試料側20aとイオン検出器側20bとの間の連通経路を形成している(連通機構の一例)。
図2に示す例では、イオンビームHの軸方向から見て、遮断部Zb2(第2の板状部材の一例)の連通用開口部Zc2が遮断部Zb1(第1の板状部材の一例)により塞がれる状態で、かつ、遮断部Zb3(第2の板状部材の一例)の連通用開口部Zc3が遮断部Zb1及び遮断部Zb2により塞がれる状態で、イオンビームHの軸方向に間隔Zd1、Zd2を隔ててスペーサZeにより保持されている。
このような構造を有することにより、イオン通過用開口部Zaに到達する特定の散乱イオン以外の不要な散乱イオンe2は、各遮断部Zb1〜Zb3の壁面により確実に遮断され、それが連通用開口部Zc1〜Zc3を通じてイオン検出器21側に通過することを確実に防止できる。即ち、特定散乱イオンe1のみを通過させる(他の散乱イオンe2を遮断する)という弁別性能を確保しつつ、測定室20内において試料側20aの空間とイオン検出器側20bの空間との圧力差(真空状態の差)を無くすことができる。
また、複数の遮断部Zb1〜Zb3の間隔Zd1、Zd2を十分に確保することによって、前述したアパーチャZ1におけるスリットZcを設ける場合よりもさらに圧損を低く抑えることができる。また、遮断部を斜め方向に加工する必要がなく、比較的容易に製造するとができる。
以上示したアパーチャZ1、Z2は、本発明を具体化した一例であり、特定の散乱イオン以外の散乱イオンを遮断する遮断部に、イオンビームHの軸方向から見て相互に重なり合う部分を有することによって、イオンビームHの軸方向から見たときに隙間が生じないように構成しつつ、測定室20内の試料側20aとイオン検出器側20bとの連通経路が形成される構成を有するものであれば、他の構成により実現されたものであっても本発明の実施例となる。
本発明の第1実施形態に係るイオン弁別アパーチャZ1の正面図及び一部断面図。 本発明の第2実施形態に係るイオン弁別アパーチャZ2の正面図及び側面図(一部断面図)。 本発明の実施形態に係るイオン弁別アパーチャの適用対象となる平行磁場型ラザフォード後方散乱イオン測定装置Xの概略構成を表す断面図。 平行磁場型ラザフォード後方散乱イオン測定装置Xにおける測定室の概略構成を表す断面図。
符号の説明
X…平行磁場型ラザフォード後方散乱イオン測定装置
X1…加速器
X2…超伝導スペクトロメータ部
Z1、Z2、Z…アパーチャ
Za…イオン通過用開口部
Zb、Zb1、Zb2、Zb3…遮断部
Zc…スリット
Ze…スペーサ
S…試料
11…イオン源
12…加速管
20…測定室
21…イオン検出器
22…試料台
30…電磁石
35…超伝導ソレノイドコイル
36…補正コイル

Claims (5)

  1. 略真空の測定室内においてイオンビームが入射した試料から後方散乱された散乱イオンを該イオンビームと平行な磁場中に飛行させた後にイオン検出器により検出する平行磁場型ラザフォード後方散乱イオン測定装置であって、
    前記試料と前記イオン検出器との間に、前記散乱イオンの一部を前記イオン検出器側へ通過させるイオン通過用開口部とその他の前記散乱イオンの通過を遮断する遮断部とが設けられたイオン弁別手段が設けられ、さらに前記イオン弁別手段の前記遮断部には、前記試料側と前記イオン検出器側とを連通させる連通部が形成され、該連通部は、前記遮断部の一部が、前記イオンビームの軸方向から見て相互に重なり合う部分と上記重なり合う部分の間を前記試料側から前記イオン検出器側まで貫通する空間とを有することにより、前記イオンビームの軸方向から見て隙間が形成されない状態で前記試料側と前記イオン検出器側とを連通させてなるものであることを特徴とする平行磁場型ラザフォード後方散乱イオン測定装置。
  2. 前記連通機構が、板状の前記遮断部に前記イオンビームの軸方向に対して斜め方向に前記試料側と前記イオン検出器側とを連通させるよう形成されたスリットにより構成されてなる請求項1に記載の平行磁場型ラザフォード後方散乱イオン測定装置。
  3. 前記スリットが、板状の前記遮断部において前記散乱イオンが旋回飛行する方向に対して略直交する方向に前記試料側と前記イオン検出器側とを連通させるよう形成されてなる請求項2に記載の平行磁場型ラザフォード後方散乱イオン測定装置。
  4. 前記連通機構が、複数の板状の前記遮断部の一部が、前記イオンビームの軸方向から見て相互に重なり合う状態で前記イオンビームの軸方向に間隔を隔てて保持する機構により構成されてなる請求項1に記載の平行磁場型ラザフォード後方散乱イオン測定装置。
  5. 前記遮断部が、前記イオン通過用開口部が形成された第1の板状部材と、該第1の板状部材よりも外縁が大きく形成されその内側に前記試料側と前記イオン検出器側との連通経路となる連通用開口部が形成された1又は複数の第2の板状部材と、により構成され、
    前記連通機構が、
    前記第1の板状部材及び前記第2の板状部材を、前記イオンビームの軸方向から見て前記第2の板状部材の前記連通用開口部各々が前記第1の板状部材により、又は前記第1の板状部材及び他の前記第2の板状部材により塞がれる状態で前記イオンビームの軸方向に間隔を隔てて保持する機構により構成されてなる請求項4に記載の平行磁場型ラザフォード後方散乱イオン測定装置。
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